どうすれば超高齢社会で シニア人材が活躍できるか?...コーチング...

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どうすれば超高齢社会で シニア人材が活躍できるか? ~コーチングの視点から~ Copyright(C) 2017 Katsuro Kitamura, Ph.D. 北村勝朗(教育情報学研究部) 2017223SAC東京 1

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どうすれば超高齢社会でシニア人材が活躍できるか?

~コーチングの視点から~

Copyright(C) 2017 Katsuro Kitamura, Ph.D.

北村勝朗(教育情報学研究部)

2017年2月23日 SAC東京 1

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素朴な質問

•定年後に現在の会社で働き続けることを希望する人は多いのか?

•定年以降は給与も下がり,部下だった社員の下で働くことになり,モチベーションは下がるのでは?

•定年が無い会社はあるのか?

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シニア人材の凄さ

~音が見える~

普通,音は耳で聞くもんだ

ろう。でも音は見えるんだよ。

木の音が見えるんだよ。木

肌とか,皮の厚さとか,色艶

とかでどんな音がするかわ

かりますよ。400本あっても,

見ればすぐにわかりますよ。

これとこれがいいだろうって。(現代の名工:バット職人)

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熟達は単なる手先の器用さだけの問題ではなく,総合的な判断力の問題

熟達は教えられて覚えるだけでは成し得ない

熟達は単に経験を重ねるだけでは成し得ない

熟達と伝承は明確な目的のもと苦労して工夫して失敗と成功を重ねながら達成される

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ある企業での意識状態比較

0

2

4

6

8

10成長の実感

帰属感

評価処遇

変化を求める

関わりを求める

場を求める

A:コア人材

B:育成人材

C:支援人材

満足感

渇望感

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インタビューから見たシニア人材活躍の課題

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シニア人材

職場文化

上司先輩

仲間家族

社会時代

ありたい自分

何ができるか

どうがんばれるか

今から定年それまで

環境

個人

どのようなシニアであるべきか

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まずは念のため確認を

1. 仕事で成長しない人がいるが,それは向き不向きの問題だ

2. 長年仕事を続けていれば自然に上達するものだ

3. 努力すれば上達する

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→ いいえ。質の高い学びができていないからです。

→ いいえ。むしろ停滞し,少し低下します。

→ いいえ。正しい方法で学ばないと上達しません。

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ヒント1.場所がある– よい学びの場,居場所

ヒント2.関係がある– 人のつながりが後押しする

ヒント3.変化がある– シニア人材のコーチング

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概要7

シニア人材活躍の

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コーチング

関係性

風土,信念

言える

聞ける

見える

わかる できる 見通せる

コーチングの方向性

(シニアの役割)できる化

わかる化しかけ化

熟達の基盤となる構造(企業文化)

学びの場(学び合う状態)

熟達の状態

8シニア人材活躍の全体像

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ヒント1

場所がある

目次

1.場所

2.関係

3.変化

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学びの場

わかる

できる見通

せる

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チームで熟達する+チームが熟達する→チーム全体が熟達する

充実感は,自分自身が解決するっていうのと,そこの担当のバックアップということで,そこの部分の人たちが育っていく,そういうこともあると思います。一緒になってやると同時に,そこの人たちを育てていくという。

(80歳代社員)

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自分が関わる事で問題解決ができる有能感は生涯に渡る普遍的な有能感

自分だけでなく自分の周囲の人の熟達を実感できることも有能感=充実感=生涯に渡るやる気につながる

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シニア人材の位置づけの明確化

• 60で社会を見るのと100で社会を見るのは違う,深くなっていく。(経営者)

• 高齢者が社会の中に入って,社会が高齢者の中に入っていく,そういう状態のとき社会と高齢者が一体化している。そういう状態にならないと社会の奥にあるニーズはつかめないですよね。(経営者)

• だから,自分が持っているものを引き出してもらう。若い人と一緒にやっていこうというのは構わないですけど,自分が先頭きってとか,新しい知識を導入してというのはだんだんそういうのは低下してきたと思います。

• 一緒になって仕事をやる感じで,自分が身につけてきた知恵を伝えています。(80歳代社員)

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技を「教える」のではなく「学び」を支援する~「勉強」と「学び」の区別が重要~ (佐伯,2013より)

勉強 教えに従って「身につけるべきこと」を身につけること

「言われたことでわかる」を積み重ねていく

学び 自分から「こうありたい」自分になること

「なんだろう,こうかな」「やっぱりそうか」と自分で探索し確認して納得する

教えるだけでは,何を,なぜ,を問わなくなる

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教えようとするのではなく,ありたいを後押しするかかわり

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5

10

15

0 2 4 6 8 10 12 14 16 翌日 転移

エラー

練習(12回で1ブロック)

100%群

50%群

図:KR提供頻度とエラー(Winstein & Schmidt, 1990)より

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翌日

逆側

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付加的情報がもつマイナスの影響:なぜ?

付加的情報は練習者が課題をうまく実行する上できわめてわかりやすい手がかりを提供する

しかしそれは同時に事前にやり方を工夫してみることや,自分がやっている状況ややった結果をもとに次の試行のことを考えてみることなど,本来,学習者自身が行わなければならない情報処理活動を抑制してしまう

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コーチング

関係性

風土,信念

言える

聞ける

見える

わかる できる 見通せる

コーチングの方向性

(静の役割)できる化

わかる化しかけ化

熟達の基盤となる構造(企業文化)

学びの場(学び合う状態)

熟達の状態

15チームの熟達の全体像

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熟達とは (北村,2015)

ある特定の領域で長期にわたる練習を積み重ねることで次の4つが達成されること

1. できないことが,できるようになる

2. 今までできたことが,より上手になる

3. どうやったら上達できるか,わかるようになる

4. どうやったらよいうまくできるか,やり方が工夫できる

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熟達者は何が優れているのか?

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わかる

詳細な知識

うまくやる

やり方

言語化され

にくい知識

できる

素早く

正確に

適切な方法を選ぶ

知識を実践

で使える

見通せる

全体のイメージをもつ

自分のエラーや状況把握

異常等に

気づき修正

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職人と名人

知識の活性化

モニタリング

暗黙知

手続き的知識

実践的省察

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熟達者はやることを外から見る目をもっている

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Katsuro Kitamura, Ph.D.

もうひとりの自分(外から見る目)

自分

・ふり返って考える

・周囲を見る

・前後を見る

・先の見通しをもつ

今,目の前のことだけを見る

状況を客観的・鳥瞰的に見る反応型体験

内省型体験

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考えざるを得ない場の設定

• これやれ,あれやれと与えられるのではなくて。そうすると自分で得意なものってなんだろうって自分自身考えざるを得ないですよね。(70歳代社員)

• 50過ぎに自分の充実度に関して一番大きなものは,やはり,改善力というか,問題解決。それは今までの自分の経験が活きているからですね。(80歳代社員)

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質の高い学びとは?よく考えられた学習(deliberate practice) (Ericsson, 1996)

高い動機づけ(やる気が高い)

意図的(明確な目的をもち理解している)

挑戦性(居心地の良い状態から抜け出す)

集中的(定めた時間の中で緊張感をもって)

個別性(個々に合わせて内容と難度が調整)

継続性(繰り返し練習・学習し続けている)

指導(必要に応じた適切なアドバイスと賞賛)

内省(自分で振り返って考えている)

心身のコンディション(良好な心身の状態)

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熟達体験のキーワード

導入期 専門期 発展期

熟達度

欲求が生ずる 夢中で取り組む

自分らしさの発見

時間

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わくわくする 楽しい(快)やり遂げた(達成)

受け入れられる(納得)

がんばり続けるもう一度(探求)

諦めずに(責任感)

支援する(使命感)

もっとを追及するあれも(多様性)

次はこれを(段階目標)

共に創り出す(発見)

変化・成長の段階

安定・成熟の段階

仕事の実感の変化

・大胆・行動・失敗・拡げる

・方向をデザイン・転換・自分らしさ・関係づくり

・知恵袋・理解・手助け・俯瞰

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ヒント2関係がある

目次

1.場所

2.関係

3.変化

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学び合う関係

言える

聞ける見える

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熟達は関係性の中で生まれる

今,不具合に対する答えをまとめてデータベース化しています。でも原稿に向かってると出てこないんですよ。誰か質問してくれるとパッと出てくるんですけど,自分で出そうとすると出てこないんです。不具合だとか,何か投げつけてくれると,キャッチボールするとパアッとでてくるんですけど,何も無いところで出そうとすると出てこないんですね。(現代の名工:金属メッキ職人)

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個人の中にある能力というよりも相互作用の中で技が生まれる

世代間の融合,関わり合い,共同体

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コーチング

関係性

風土,信念

言える

聞ける

見える

わかる できる 見通せる

コーチングの方向性

(静の役割)できる化

わかる化しかけ化

熟達の基盤となる構造(企業文化)

学びの場(学び合う状態)

熟達の状態

24チームの熟達の全体像

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言うべきことは言う

言うべきことは言うし,でも家族だから別居はできないんで,一緒に住むためにはいやなことも言っていかないと。

それがうちの会社の社風。

(Newton 開発者)

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聞く組織文化• 私は先輩といろいろ話しながらとか,昔はどうやったんですかとか聞きながら。うちの文化は聞いていくということが強いので。

• あと,聞いて分からなければおれもわかんないからしょうがないなと言って一緒にやってくれる。一緒に苦労してくれるという気がしました。

• 逆に,自分より下でも知ってるやつにはちょっと教えてよと言って聞きやすい。教えてもらうことに抵抗がない。自分より全然若くても聞いて取り込むということに全然抵抗はなかったですね。

• 言われる文化よりも聞いていく文化というのは,まさにうちの文化と言う感じがしますよね。

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ヒント3変化がある

目次

1.場所

2.関係

3.変化

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コーチング

できる

わかるしかけ

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探究的な初心者(intelligent novice)になる

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時間

上達度

成長し続けるためには,より困難な課題に挑戦し,達成を追求し,失敗から学ぶ状況に身をおくこと(探求的な初心者になること)が重要

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60になっても学び合える

60からの5年間は外部の方と一緒にやったと

いうこともあって,私にとっては非常に勉強になった。どちからというと私は現場の経験でやってきましたけど,この人たちは理屈や論理でやるので,自分で経験してきたことがこの人たちと一緒にやることによって頭の中が整理されたという時期でした。そういう意味では60になっても

勉強できたなと思っています。逆に言ったら彼らは現場肌の人と一緒にやることによって,お互い相乗効果があったと思います。(80才現役社員)

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2種類の熟達

同じことを何百回と繰り返すことにより,その技能が速く正確にできる (タイプ等)

シニア人材の熟達Copyright(C) 2017 Katsuro Kitamura, Ph.D.

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機械的な熟達

状況の変化に応じて適切な解決方法を見つけることができる

適応的な熟達

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シニア人材の知恵と活性化された知識

→問題解決ではその場の判断につながる深い理解が不可欠

知っていても必要な時に活性化しない知識(機械的な記憶)

知識と利用可能な条件が結びついた知識(適用可能な記憶)

①問題解決状況の文脈で②自分なら(お客様なら)どうするか?

記憶の中に知識がどのように貯蔵されているかがポイント

活性化された知識不活性な知識

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ブランスフォード(1989)

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現場からの発想,お客様の思い,私の思い

お客さんが本当に欲しい,よく冷えて安い機械という結果をしっかり出していく感覚です。

お客さんの側にいるあなたが一番よくわかってるんだから,あなたが思ってることが一番正しいからそういう行動しろということを言われた。

他人事にしないということ,自分はそれは知らないからと言う感じにしないことですね。みんな自分のことのように一緒にやるという感覚をもってました。

(Newton 開発者)Copyright(C) 2017 Katsuro Kitamura, Ph.D.

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熟達に導くコーチング

相手の自律的な行動を誘い出す

ヘルプ

連れて行ってあげる

コーチング

後押ししながら一緒に行く

指示・命令

一方的に行かせる

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人のつながりが後押しする

私自身が手を下しているわけではないので,「やりたい,やろう」という人間と,それを「うん,いいんじゃない」という阿吽の呼吸というか,それが一つの人のつながりになると思うんです。それをずっと最後まで諦めずにやったんです。(Newton開発者)

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優れた指導者は をしている

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指導者(上司,先輩,親,リーダー)相手(学習者)

内省型リーダーシップ

反応型リーダシップ

自分自身に問いかけて,状況を客観的に見る

内省

・ふり返って考える

・周囲を見る

・前後を見る

・先の見通しをもつ

目の前のことだけを考える

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見守り,引き出し,支えて,伝える

• 環境とリーダーに恵まれて,いろいろやらせてもらえることが大事だと思う。そういう状態を見守り,任せてくれる人が非常に大事。その人の能力を見極めて引き出す人も必要。

• NewTonのような,人,環境,コンセプトがそ

ろって新しいものを作るプロジェクトがあれば,若手技術者を引っ張り込みつつ,影で支えたい。その中で,マエカワで培った自分なりの知見や経験を,若手技術者に伝えたい。

(NewTon開発者)Copyright(C) 2017 Katsuro Kitamura, Ph.D.

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優れた指導者が共通してやっていることコーチング・メンタルモデル(北村他,2005)

自ら

見える聞ける

気づく振り返る

考える

自分 挑戦

多様性

できる化

しかけ化

わかる化

共同体

すり合わせ

言える

周りと

安心して

尊重して

自信をもって

責任をもって

継続して

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できる化,わかる化,しかけ化• しかけ化(支援)

– お互いが自由に物が言えて,相手の言葉に耳を傾け,状況・情報・思考が共有できる関係をつくること

• わかる化(意識化)

– 自ら考え,ふり返り,気づき,行動していく姿勢を促すこと

• できる化(熟達化)

– 各人の目指す課題に自分で挑戦し,成功・失敗体験を積み重ねること

*「化」・・・~ようなかかわりをつくりあげる,~ように変化させる

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考えることを見守る

今私ができることはあまり口を出さないことだと思ってます。次の人にバトンは渡ってますから,彼らが考えなきゃいけないこととか,こういうふうに問題にぶちあたったときに,我々からすればこうなるだろうなと推測できるじゃないですか。

(70歳代社員)Copyright(C) 2017 Katsuro Kitamura, Ph.D.

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シニア人材のコーチング

自分でナビタイプ

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お客様の思いに共感した自分の思いを追及

自由に考えるタイプ

自由に思いを言い合って共有していく

挑戦タイプ

失敗を恐れず新たな課題に挑戦し続ける

それらを支える場所,関係,変化

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カーナビタイプ スパルタタイプ 失敗回避タイプ

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「期待」のつもりが「プレッシャー」になってしまう

プレッシャー 自分の願いを押し付ける

一方的に命令する

話を聞かない

常に否定的な表現

待てない

結果を評価

ミスをしかる

監視する 自分だけが望むよさが基準

期待する 相手の願いを尊重

相手に任せる

相手の話を聞く

常に肯定的な表現

待つ

努力の過程を評価

ミスを責めない

注目する

相手が望むよさが基準

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ほめ言葉:「頭がよい」?「がんばった」?• Cimpian(2007)Psychological Science 18.314-316.

• 5年生400人に単純な問題を解かせ点数をつける

「頭が良いのねぇ~」 「よくがんばったのねぇ~」

70%が簡単な問題を選択 90%が難しい問題を選択

失敗を回避 挑戦の可能性を追求

問題を解くのは得意ではない 長く取り組み,それを楽しむ

最初のテストと同じ難易度のテストを実施

点数が20%低下 点数が30%増加

2問選択 2問選択

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肩書きに振り回されない

肩書きの意味を拡大しない

機能に特化した意味として扱う

特定の場面のリーダーシップと捉える

ポジションではなくアクションと位置づける

状況的なリーダーシップを重視

上下や偉さではなく役割の一側面としてみる

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コーチング

関係性

風土,信念

言える

聞ける

見える

わかる できる 見通せる

コーチングの方向性

(静の役割)できる化

わかる化しかけ化

熟達の基盤となる構造(企業文化)

学びの場(学び合う状態)

熟達の状態

44シニア人材活躍の全体像