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エレクトロニクス・エネルギー・通信分野 (電気電子分野) Electrical and Electronics Course 「課 題 研 究」 「SGH課題研究」 発表会要旨集 Abstructs Presentation of "Project Study" and "SGH Project Study" 平成28年10月6日 9時40分~12時30分 October 6, 2016 本館2階 212教室 Lecture Room 1-212 東京工業大学附属科学技術高等学校 Tokyo Tech High School of Science and Technology

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エレクトロニクス・エネルギー・通信分野 (電気電子分野)

Electrical and Electronics Course

「課 題 研 究」「SGH課題研究」

発 表 会 要 旨 集

Abstructs

Presentation of "Project Study"and "SGH Project Study"

平成28年10月6日 9時40分~12時30分

October 6, 2016

本館2階 212教室

Lecture Room 1-212

東京工業大学附属科学技術高等学校

Tokyo Tech High School of Science and Technology

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目次(発表順)

Contents

1.災害救助補助ラジコンカー~ The Disaster Relief Aid Radio Control Car~

2.事故回避のための発光傘~ The umbrella equipped with light emitting system

for avoiding an accident~

(休憩)

3.電子オルガン~ Electric Organ~

4.起立補助いすの製作~ Auxiliary Chair~

(休憩)

5.視覚補助システムの開発~ Development of eyesight assistant system~

6.2モード電動台車~ Two-Mode Electronic Dolly Assist & Trace~

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課題名 災害救助補助ラジコンカー ~Research on the Disaster Rescue Robot~

発表者氏名 ◎37 松永拓也 ○21 渋谷駿太 5 市瀬浩将 30 都甲彩乃 32 中野亮太

33 梨本大晴 38 松葉涼輔

指導教員 東隼人先生

1. 研究動機(Research Motive)

日本では、東日本大震災や熊本地震などの地震を含む自然災害 (Natural Disaster)は

我々に甚大な人的被害を及ぼしてきた。その犠牲者において、家屋の倒壊による圧迫死

(Oppression Death)の占める割合は非常に大きい。また、災害救助では発生から 3 日間を

『黄金の 72 時間』と言い、生存者の発見 (Detection of Survivor)の一つの目安とされて

いる。そこで、私たちは被害者の早期発見 (Early Detection)を目的とし、この研究を行う

ことにした。

2. 研究目標(Research Target)

基本目標(Basic Target):車体の製作、無線での操作、音声ブザーの装備

応用目標(Advance Target) :映像を送信するカメラを車体に搭載

3. 原理(Principle)

① 救助方法(Rescue Method)

基本目標は、災害時、人間が立ち入れないような倒壊した家屋にいる被災者の中で、

意識があり四肢を動かせる者を対象とする。ラジコンカーを無作為に操作して「ボタン

を押してください」という音声アナウンス (Announce)と光(light)で被災者に存在を知ら

せ、本体に搭載しているスイッチを押してもらう。これによりラジコンカーが停止して

音声がブザー音に切り替わり、被災者の居場所を知らせる。

応用目標では、被災者全般の発見を目標とする。本体に搭載されたカメラから送られ

てくる映像を見ながら意識が無い被災者を含めて捜索し、発見次第ラジコンカーを停止

させ、ブザー音を鳴らす。

② 通信(Communication)

制御系では、音声・通信にそれぞれ Arduino を 1 台ずつを用い、Arduino 同士での通信

は I2C 通信で実現させた。また音声 IC には AquiesTalk pico LSI を使い、音声用 Arduino

との通信にも I2C 通信を使用した。

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操作には、家庭用ゲーム機 Xbox360 のコントローラーを用い、 Arduino との接続には

Arduino 用 USB Host Shield を使用し、スティックのそれぞれの傾きに対して、シリアル

通信を Xbee を介して無線で一つ一つ指示を与えた。Xbee とは、短距離無線通信の規格の

一つである、ZigBee という規格に基づいて通信を行うモジュールのことであり、省電力か

つ電源を入れてからの立ち上がりが速いといった特徴がある。

③ 映像送信(Video Transmission)

映像送信ではバッテリーや処理部が集まっている Androidスマートフォンを IPカメラ

化して使用する。IP カメラ(ネットワークカメラ)とはカメラとコンピュータを組み合わ

せてできたユニットのことである。この Android スマートフォンとパソコンを無線 LAN

で接続させ、パソコンからブラウザ越しに映像を確認することが可能である。

4. 研究成果(Research Results)

① 基本目標(Basic Target)

車体の製作は設計段階から一部仕様を変更し、上下反転しての走行が可能だが、障

害物への対策が不十分である。無線による通信は、障害物の無い場所では理論上 1 ㎞、

遮蔽物の程度によって通信可能な距離が短くなるが達成した。また音声ブザーではブ

ザー音とアナウンスを状況に応じて切り替えることに成功した。

② 応用目標(Advance Target)

車体に IP カメラ化した Android スマートフォンを搭載し、映像をブラウザ越しに送

信することに成功した。

5. 展望(Future Prospect)

現状では後輪がキャスターであり、段差や障害物の乗り越えに対応できない部分がある

ため、タイヤの改良を行っていく。さらに、Xbee の給電が USB からの給電でないと安定

しない点、全体的に反応が遅い点などの改善を行っていく。また、ラジコン本体が全体的

に肥大化してしまったため、小型化を目指す。

Fig.1 コントローラーの外観 Fig.2 車体の外観

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【SGH課題研究】

事故回避のための発光傘

The umbrella equipped with light emitting system for avoiding an accident

発表者氏名 16.小森明日人 2.飯田珠実 6.伊能駿豪 14.金綱峰司

27.塚田啓太 29.徳川佳久

指導教員 大熊康弘 教諭

1.研究背景(background)

近年、自動車のドライバーから通行人への視認性が低下する雨の夜道

(rainy road at night)での事故が多い。このような事故を減らすために、光る傘を製作

(make)することにした

さらに、様々な国や地域で採用されるためにコストダウン (cost down)や安全性(safety)

の確保などの工夫をしたいと考えた。

2.基本目標(basic goal)

フルカラーLED(以下、LED)をマイコン制御( microcomputer control)することにより、

様々な色で傘を光らせる。

3.応用目標(applied goal)

LED の発光パターン (light pattern)を変更(change)できるようにする。

発電機(generator)を使い非常時(emergency)にも活用できる

ようにする。

4.原理(principle)

充電池(rechargeable battery)を用いてマイコン制御や LED を

発光させる。

「充電切れなどの非常時に用いる」ために手動の発電機を設置する。

豊富な発光色 (light color)、省エネルギー化を図り、 LED を用いる。

LED は傘の先端部分に取り付け、装飾用光ファイバー

(optical fiber for decoration)を傘の骨に沿わせるように設置する。

発電機には握ることで発電するグリップ式を、マイコンには AVR を

使用する。 図 1. ブロック図

色の確定

スイッチ

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【SGH課題研究】

マイコン制御により LED の電流を調整することで、赤、青、緑、さらにそれぞれが合成

された色を発光する。

発光色や発光パターンはスイッチ 1 つで切り替える。

5.研究成果(result)

マイコン制御により、赤や青、緑で発光させたり、徐々に発光色を変化させたりするこ

とをスイッチ 1 つで実践できた。

また非常時には、発電機により単色ではあるが発光させることができた。

6.製品詳細(detail)

傘本体:サエラショップ製「エバーイオン」

大きさ:開傘時直径約 100cm,長さ約 85cm

充電池:Panasonic 社の「eneloop lite」

重量:約 550g

コスト(1 本):約 4000 円

7.課題と展望(problem and prospect)

発電機や電池ボックスを入れたケースを作った際に隙間ができてしまうため防水性の面

で不安が残る。そのため、ケースの組み立て方や等を変えるなどして対応する必要がある。

現在の発電機では、LED を光らせることが限界である。そこで、発電機内のコイルの巻

き数を増やすことで発電量を増やし、充電池などを充電できるようにする。

さらに、グリップのばねの強さを調整したり、重量の軽減をしたりすることで力の弱い

小さな子供や高齢者にも使いやすくすることで、より多くの地域で扱えるようになる。

現在は被覆のある導線を傘の軸に通しているが電気を扱うため極力傘の部品に金属が使

用されていないものを利用しようと考えている。しかし、傘の軸が木や竹でできているも

のは高価であり重量もあるので、扱いづらい。解決のためには、安価な樹脂を傘の軸にす

る必要がある。

図 3. 回路図 図 2. 点灯時

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課題名 電子オルガン ―Electronic Organ―

発表者氏名 40 武藤啓太 1 秋山匡功 7 上北悠暉 35 春山優太 36 福田怜和 39 丸山太一

指導教員 河野志行

目的

演奏機能を極力保った上で、運びやすく収納しやすいオルガンを作成する。

動機

市販の電子オルガンは重くて大きいため、持ち運びや収納に不便な面がある。もし機能

を保ったままこの点を克服できれば、使用状況や使用人口が幅広くなってより便利な楽器

になると考え、このテーマを設定した。

目標

基本目標として単音を出力できるようにし、鍵盤楽器の基本動作を可能にすることを目

指す。応用目標として和音の出力を可能にしたり、オクターブ単位で出力可能音域を上下

可能にしたりすることで、機能面でより市販の楽器に近づけることを目指す。

研究内容

☆主な部品

本体部分は市販のものを利用した鍵盤(図1)、木材を使用した外枠(図2)からなる。

音の入力装置であるスイッチ(図3)、音の出力装置である Arduino MEGA(図4)は、ピ

ンソケットを通して導線で接続される。そのスイッチが鍵盤と繋がることで、一連の動作

が機能する。

図1 図2 図3 図4

☆音の出力

鍵盤を押すことによってスイッチが信号を入力し、マイコンが音源を出力する。数列デ

ータにより、様々な音源を出力することができる。その音源信号をスピーカーで出力し、

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音が鳴る。マイコンと直接接続するとコードの長さが足りない・絡まるなど不便なので、

ピンソケットを通している。マイコンにはそれぞれの音の周波数(例:ラの音なら 440Hz)

が鍵盤の位置と合うように割り当てられている。和音の出力は、波形を合成することによ

り行われる。

☆その他

図5

図6 図7

研究成果

基本目標(単音の出力)・応用目標(ペダル実装と和音の出力)ともに、ソフト面では達

成することができた。

しかし、ハード面では部品の接触に関して不十分な点が残っており、全ての機能が完成

するには至っていない。

今後の展望

鍵盤とスイッチ、スイッチとマイコンの接触の安定性の向上が求められる。ならびに、

音響におけるノイズへの対応も必要である。ペダルに関しては導線の耐久性向上などが挙

げられる。さらなる機能としては、使用者に対応したペダルの開発(踏む強さの過不足防

止のための調節機能)や、「実際のピアノにおけるペダル」の製作を見込んでいる。

2 オクターブという規模の中でも幅広い演奏

を可能にするため、ペダル(図5)を 2 つ装着

する。1 つが音程を 1 オクターブ高く、もう 1

つが低くするペダルとなる。2 枚の板が蝶番で

圧着され、その上下運動にバネが利用されてい

る。踏むことでスイッチが押され、周波数が変

換されて音程が上下する。

加えて音量を大きくするため、共鳴箱(図6)

と増幅用 IC(図7)を使用している。小型の共

鳴箱については、紙を利用している。増幅用 IC

は使用により、オペアンプでは増幅できない規

模の電力を増幅でき、音が大きくなる。

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【SGH課題研究】

課題名 起立補助いすの製作 ~ Auxiliary Chair ~

発表者氏名 08 潤間 圭祐 19 佐藤 優成 24 武田 聖志 25 谷口 正晃

28 鴇 亮太郎 31 鳥見 晃平 34 長谷川 朝

担当教員 河野 志行 教諭

1. 研究動機 ~Study Motive~

近年、老化・疲労・肥満などによる QOL の低下が大きな問題となっている。日頃の生

活に根差すこれらの問題を日常的に軽減・解決にむけることができる方法の一つとし

て、多くの国と地域文化の中にある「いす」の利用を考え、その一つの方法を実際に

制作して示すことを目指した。

2. SGH 課題研究目標 ~The Final Objective for the SGH-Project Study~

最終目標は動機に準じ、「いす」の利便性の向上をもって QOL 向上につなげる方法を

提案し、またはこれの一層の普及を目指すものである。

課題研究としては、既に市販されているような座面を任意に上下させることができる

いすの、より安価な製作を直接の目標とした。これにより、より多くの国と地域に普

及していくことが期待できる。また、拡張機能の設計・実装を応用目標においた。

3. 達成状況 ~Results in the Study~

1)基本目標 → 達成

電動シリンダで座面を上下させることができる。

座ったまま手元で操作ができるようにした。

2)応用目標 →動作の安定性を確保

必要な機能を精査した結果、シリンダの

挙動が不安定だったので、これを安定させる

ための機能を追加した。

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4. 解決した課題 ~Resolved Problems~

1)シリンダのバランス

今回、出力や耐荷重の面から5本のシリンダを

実装したが、いす脚部にこれらをバランスよく

配置することは難しく、配置に若干のゆがみが

できてしまった。

→固定具の使用により軽減

2)シリンダの動作不安定

シリンダの動作速度に大きなばらつきがあり、

連続使用が難しかった。

→光センサを利用して使わないとき基準位置に

戻って補正することで解決

5. 今後の技術的課題 ~Assignment~

より起立の手助けとなるよう座面を傾けながら上下をする機能を使いする

→Arduino による制御プログラムの追加

ユーザー機能の実装

→プログラムは完成済み、ハードウエア面において座面を低くする必要あり

6. 今後の展望 ~Perspective~

課題研究開始時に病院訪問を行い起立補助に対するこのアイデアの有用性を確認した

が、製作が終わったので、実際に多くの人に利用してもらい、その場で得られた意見

をフィードバックすることで、より QOL の向上を目指せるようないすを目指してい

きたい。

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課題名 視覚補助システムの開発 -Developed of eyesight assistant system-

発表者氏名 ◎11 笠井琉司 ○3 池田優真 9 大脇彗矢 12 加藤立騎 18 佐藤暢能

22 嶌野雅久 26 田村健人

指導教員 東 隼人 先生

1. 研究動機 (Research Background)

今日、視覚障がい者人口は増加傾向にあると言われている。そこで私たちは、目の不自

由な人がより快適でより安全な生活を送るために何が必要かを考え、既存の白杖では感知

しきれない対象、特に頭部の障害物を感知できるデバイス開発を目指した。

2. 目標 (Purpose)

基本目標:障害物との距離に応じてバイブの強弱を変化させる危険告知システムの構築

応用目標:頭部の傾きによる感知範囲の誤差を考慮した動作の実現

3. 原理 (Principle)

3.1 障害物検知 (Obstacle detection)

歩行時の平均的な歩幅 [平均身長 (170cm)×0.45=76.5cm]を基準にし、超音波距離セ

ンサモジュール (HC-SR04)を用いて障害物を検知する。

3.2 危険度告知 (Signal vibration)

障害物検知の基準をもとに、マイコン (Arduino nano)により障害物との距離に応じて

振動モータを二段階の強さで出力する。

3.3 感知範囲の制御 (Sensing range controller)

加速度センサ (Kionix KXR94-2050)で障害物検知システムの地面水平方向からのず

れを検出し、それによって生じる感知範囲の誤差計算をマイコンで処理をする。その後

処理結果を障害物検知システムに取り付けたサーボモータ (TPPL SG90 9g Micro

Servo)へ送り、水平方向の誤差を適切に修正する。

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Fig.1 システムの外観

4. デバイスの製作 (Designing Devices)

4.1 ウェアリングパーツ (Wearing Parts)

頭部の障害物を検知するためのシステムを搭載するヘッドバンドと、検知した障害物

への接近を知らせるシステム及びマイコンを搭載するアームパーツの構想及び試作品

の製作を行った。また、デバイスの利用者である視覚障がい者にとっての使いやすさを

重視したデザインにした。

4.2 コネクタの開発 (Developed of Connector)

ユニバーサルデザインの視点から、ヘッドバンド側のシステムとアーム側のシステム

を繋げる際に、着用者が視覚に頼らずに接続ができるよう、画期的なコネクタの構想を

行った。

5. 結果 (Result)

研究の結果、システムの構築により、基本目標及び応用目標を達成することができた。

またウェアリングパーツの試作品は、様々なパターンで作成し、実験による比較検討を行

うことができた。

6. 展望と将来性 (Future Prospects)

本研究では ,これまでにない新しい試みにより、多くの課題が見受けられた。例として、

センサ個体による精度の向上や、有線接続時のコードの統一などが挙げられる。その課題

を一つずつ解決していくことで実用化への第一歩となると考えている。

Fig.2 デバイスの概要 Fig.3 デバイスの外観

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課題名 2モード電動台車 Two-Mode Electronic Dolly Assist & Trace

発表者氏名 23.杉崎喜一 4.和泉孝明 10.長田隆希 13.兼田一希 15.鎌谷澪

17.齋藤雄大 20.柴原卓哉

指導教員 大熊康弘 教諭

1. 研究動機

現在の倉庫では荷物の仕分けをするときにベルトコンベアーを設置して自動で行わ

れている。しかしこれでは配置替えの際に多額の費用がかかってしまうという問題があ

る。そこで、自動運転可能な電動の台車を使用すれば配置換えにも柔軟に対応できるの

ではないかと考え、カラーセンサーで色を読み取り様々な動きをすることができるライ

ントレース機能付き電動台車を製作することにした。

また、普段台車で重い荷物を運ぶ出すときに大きな力が必要なため、その労力を軽減

するためにアシスト機能を追加することにした。タイトルの 2 モードとはライントレー

ス機能とアシスト機能のことである。前者を基本目標、後者を応用目標と設定した。

2. 原理

(1) ライントレース機能について

床に引いたラインを光センサーで読み取り、線上を走

行する。線上を走れているかは光の反射の強弱によって

判断をする。分岐地点などの判断はカラーセンサーによ

って行う。

(2) カラーセンサーによる色の読み取り方法・応用について

カラーセンサーは地面などに光を当て、反射する光に含まれる、赤、緑、青の割合( RGB

値)によって色を判断する。センサーで読み取った値はマイコンで処理をしてモーター

に指示を送る。

(3) アシスト機能について

アシストは持ち手に押す力が加わっているときに行う。力が加わっていることは歪み

センサーによって判断する。歪みセンサーを押すことによって抵抗値が変化し、その変

化をマイコンで読み取っている。また、安全のために持ち手に力が加わっていないとき

にはアシスト機能を停止するように設計した。

持ち手→

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(4) 台車について

台車は既製品を改造することも考えたが、

様々な機能を追加するにあたって様々な支障

が生じてしまうため、自作をすることにした。

荷物を載せる部分の大きさは一般的な台車と

ほとんど同じ 70cm×50cm である。

駆動モーターには 50W のブラシレスモータ

ーを 2 つ使用して、タイミングベルトを使いタ

イヤと連動させて動かしている。後輪の固定に

はタイミングベルトなどの場所を考慮すると、

市販品では不可能であったため、 3D プリンタ

ーによる自作品を使用した。また、電源は 24V

のリチウムイオンバッテリーを使用している。

すべての制御は Arduino MEGA(マイコン)を使用して行っている。処理は 0.01 秒ごと

に行っており、カーブなどでも細かい動きを可能にしている。

3. 現在の成果

基本目標であるカラーセンサーで色を読み取り、光センサーを用いてライントレース

をすることができた。しかし、応用目標であるひずみセンサーを用いたアシスト機能に

ついては取り付けなどを行うことはできたが、力のかけ具合を読み取ることができず、

あと少しのところで達成することができなかった。

4. 今後の展望

基本目標には荷物の色を読み取り、その色に応じて運搬するということが含まれてい

たが、達成することができなかった。応用目標は、持ち手を取り付けるための部品がで

き次第取り付け、アシスト機能を付加する。

この台車にはさらに多くの機能を取り付けることで、より便利に使うことができると

考えられるので、どのような機能を追加すればよいかを相談し、今後取り付けていきた

いと考えている。