北海道ササ分布図 概説1 ササ属 sasa 1)チシマザサ節 macrochlamys...
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北海道ササ分布図 概説
誌名誌名 北海道ササ分布図
著者著者豊岡, 洪佐藤, 明石塚, 森吉
掲載ページ掲載ページ p. 1-36
発行年月発行年月 1983年
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat
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農林水産技術会議事務局
大型別粋研究
バイオマス変換計画
北海道ササ分布図Distrlbution Map of the Sasa Group in Rokkaido
概 説
Explanatory Note
1983
林業試験場北海道支場
Hokkaido Branch
Forestry and Forest Products Research Insもitute
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北海道ササ分布図概説
豊岡 洪
佐藤 明
石塚 森吉
1.はじめに
北海道全域を総括したササ分布図作成の構想は,昭和51年から行われた国:有林野事業特別会計
技術開発試験「ササ生地における林木の更新技術の体系化」において具体化され,これには林業技
術開発推進北海道ブロック協議会内に設けられた叶サ地の取り扱いに関する研究会こが中心にな 1> 13)って調査が行われた。この調査結果のうち,一部地域と全道の分布と概況については,すでに報告
されているが,北海道全域のササ分布図については,まだ未完成のままとなっていた。
昭和56年より始まった,農林水産技術会議における大型別枠研究「生物資源の効率的利用技術の
開発に関する総合研究(バイオマス変換計画)」では,ササ類が北海道の林野に未利用資源として
大面積に生育し,再生力が比較的大きく,保続的な利用が期待できる可能性が大きいなどのことか
ら,飼料等への変換資源として有望視されるようになった。
このためには,目標となる主なササについて,再生産能力を維持・向上させる技術の確立と,資源
賦存量および再生力と環境保全とも考慮した利用可能量をできうる限り確実に把握することが重要
な課題であり,ササ分布図は欠くことのできない基礎資料として,その完成が強く求められていた。
このような背景から,バイオマス変換計画の資源評価系のなかで,ササ分布域の確定がまだ未調
整であった一部地域について調査を進めた結果,昭和57年度に一応の完成をみたので,北海道を5
地域に分けて印池することになった。
ササ分布図の完成にあたり「ササ地の取り扱いに関する研究会」を構成する,当時の札幌,旭川,
北見,帯広,函館の各営林局,北海道林務部,道立林業試験場,王子林木育種研究所,:三井物産林
業KK北海道支店などの各機関をはじめとし,調査にご協力をいただいた道内各営林署,各高宮署
および各大学演習林の関係各位に厚く謝意を表する。さらに,分布図作成にあたりご助言とご協力
をいただいた,バイオマス変換計画,資源評価系チームリーダー林業試験場経営部長,紙野伸二氏,
林産資源変換系チームリーダー同造林部長,蜂屋欣二氏,同土じょう部土じょう肥料科長,脇 孝
介氏,および同北海道支場長,原田 洗氏,同育林部長,早稲田 収氏,同育林部造林第二研究室
長,鮫島惇一郎氏,かつて北海道支場在任中,ご指導,ご協力をいただいた同東北支場長,伊藤
敵氏,同浅川実験林樹芸研究室長,林 敬太氏,同調査部主任研究官,森田健次郎氏に厚く謝意を
表する。また,ササ分類の貴重な成果の引用を許された,北海道大学大学院環境科学研究科教授,
伊藤浩司氏に厚くお礼を申し上げる。(ササ分布図の作成にあたっては,農林水産技術会議,大型別
枠研究「バイオマス変換計画」の研究費によった)。
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2.作成方法
ササ類の分布は,1976年と1977年の2か年間に璽って,ササ研究会を構成する各機関によって基
本的な調査が行われた。調査の結果は,道内の営林署,林務署,国立大学演習林,会社がそれぞれ
所管する国有林,道有林,社有林については,1/5万の管内図または経営図に,市町村有林,私有
林は1/20万の管内図に記載し,林業試験場北海道支場に送られ,ここにおいて当時の札幌,函館,
旭川,北見,帯広の各営林局発行の地域施業計画区図,1/20万,全12葉に縮少して作図した。1978
年以降,林業試験場北海道支藩において,この基本図について,とくに調査洩れの個所,種間の接
点あるいは疑問と思えるところを重点に,できる限りの補足調査を行った。今回,これらの結果
をもとに,縮尺1/20万で西部,中央部,南部,北部,東部の各地域ごとのササ分布図を編集した。
また,それぞれのササが混生している個所については,例えばチシマザサとクマイザサの混生地
であれば,チシマザサークマイザサと記載したが,混生地のなかには両者の中間的な形態を示す個
体群が生育している地域もあり,これらも含めて混生地として表わすこととした。
調査におけるササ類の1群落単位としては1個林班約50ha程度を基準にしたが,精度を高めるた
めに図示できる場合は,2~5haの単位で記載した。
3.北海道内のササ類
北海道に産するササについて,今日までに報告されているものを総合すると,3属5節43種11変
種に達している。しかも,これらのなかには相互の識別にいろいろ問題を含んでいるものもあると
いわれており,分類体系が確立していない植物群の1つにあげられている。
このことは,分類の基準となる花(生殖器官)の開花が30年~60年に一度といわれるように稀で
あること,さらに通常用いられている識別のポイントが稗の高さ,枝分れの位置,あるいは葉の性
質,植物体の各部分の毛の有無と状態等の不安定な栄養器宮の形態的特徴であり,これが調査時期
や自生地の環境のちがいによって変異が著しく,識別が容易でないことが原因とされている。しか
し,北海道に産するササ類については,伊藤によって以下に示したように整理分類されているので, のこの文献にもとづいて記すこととする。
◎ ササの分類
1 ササ属 Sasa
1)チシマザサ節 Macrochlamys
北海道にはチシマザサ,オクヤマザサ,エゾミヤマザサの3種がある。本節のタイプ種は,チシ
マザサである。
○種への検索
A1.品評は通常無毛,まれに有毛(長軟論型)。 葉鞘は通常無毛である。
B1.民間は無毛。葉は革質,無毛で,下面の中肋や側脈に光沢がある。 (1)チシマザサ
B、.節間には逆行する微細毛が多少生えているが,時に無毛,葉は洋紙質状一革質で,下面有毛,
中肋や側脈に光沢がない。 (2)オクヤマザサ
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A,.稗鞘はいつも有毛。葉鞘は有毛,あるいは無毛。
B、.稗鞘には逆行の短毛または微細毛が密生してビロード状。節間と葉鞘には細毛が密生する。
(3)エゾミヤマザサ
α)チシマザサ(総称)
Sα5αん半裂eπsεε(RuPR.)MAKINo et S猛IB訂A
O変種と品種への検索
aコ.口峡は無毛。
b、.葉は長楕円形一披針形。
c、.葉は基部円く,先端はやや急に細まって,次第に鋭く尖る。
d1.節には毛がない。・………………・・…・……………………………………・………チシマザサ
Sα3αた窃γ記eπε∫8 (RuPR.)MAKINo et SHIBATA var.ん初γ記eπs∫5 f・んπγゴZeπ5ゴ5
c2.葉は基部鈍角にしまり,先端は次第に細くなっていく。・・…………・・…ナガバネマガリダケ
var.ん窃γ記eηsゴεf.鎚。ん昭αゴ(MAKINo)S. SuzuKI
b2.葉は幅の広い長楕円形,または卵状長楕円形。………………・・………………・・…エゾネマガリ
var.9ゴ9α漉eαTATEWAKI
② オクヤマザサ(総称)
Sα3α ceγπ㎎ MAKINO
O変種と品種への検索
c、.葉の下面軟毛散生。
d1.稗に褐色の紋様の紋様がない。………・……・…・…・…・…………・……・……オクヤマザサ
Sα5αceγη鋭αMAKINO var. cem㍑αf. ceγη質α
d2.稗に褐色の雲紋様の紋様がある。……・……・…………・…・……………・…シャコタンチク
f.πeb配osα (MAKI翼。 et SHIBATA)TATEwAKI
c2.葉裏無毛,またはほとんど無毛。……・……・…・…………・……・…………・…・コンスイザサ
var.π読んoeη3ガ3 (NAKAI)S. SUZUKI
(3)エゾミヤマザサ(総称)
Sα5αεα置ewα読αηαMAKI翼0
2)クマザサ節 Sasa(=Eusasa)
北海道にはチマキザサ,クマイザサ,ヤピコザサ,クマザサ,オオバザサおよびミヤマザサの6
種が産する。本節のタイプ種はクマザサである。
○種への検索(※印は北海道には産せず)
A1. 程鞘は無毛。
二葉は下堀毛。 (4)チマキザサ B,.葉は下面聴毛を生ずる。 (5)クマイザサ
A,.稗鞘は有毛。
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B1,晶晶はビロード状毛を生じるか,あるいは細毛を生じ,毛は逆行する。葉鞘には細毛があって,
毛は短かく開出する。
C、.桿鞘は逆行する短毛,あるいは微細毛を密生する。
D、.葉は下面軟毛を生じる。 (6)ヤピコザサ
D、.葉は下面無毛。 ※フゲシザサ
B、.稗鞘は開出する長軟毛を生じるか,あるいは逆行する微細毛を混じている。葉鞘は無毛。
C1.稗鞘は開出する長二毛を生じている。
Dl.葉は下面無毛。 (7)クマザサ
D、.葉は下面軟毛を生じる。 (8>オオバザサ
C・.桿鞘は開出長江毛と逆行する微細毛とを混生する。
D1.葉は下面豊崎を生じる。 (9>ミヤマザサ
D2.葉は下面無毛。 ※クテガワザサ
(4)チマキザサ(総称)
Sα3αρα伽α置α(MAKINO)NAKAI
O変種と品種への検索
a1.葉は纒広く卵形一長楕円形,あるいは長楕円形一楕円形。
b,.葉鞘は無毛。
c1.節間には砂紋状紋様なし。
d瓦.節闇は無毛。
el.節には毛がない。・…………・……●…’………’……●……’………….●….…●チマキザサ
Sα3αPαZ鵬α置α(MARLIAc)NAKAI var. Pα」ηαεαf.ρα1彿αεα
d2.節間は有毛。・……・…………・…・・…………….………’…’……’……………・ノトチマキ
f.〃05ん読αwα㎜ (KOIDZ.)S. SUZUKI
a、.葉は幅広く,長楕円一披針形から線形一長楕円形まで。
d1.虚円には逆行する細毛が生えている。…・…………・…・…………・……・・…・ルベシベザサ
var.π薩ノ∫盟αゴ(TATEwAKI, ex NAKA王)S. SuzuKI
d2.節間は無毛。
e1.節は無毛。…・………・…・・…・…………・…・・…………・……・…・・……………・イガザサ
f.ん解。紘wαηα(MAK工照》S. SuzuKI
(5)クマイザサ(総称)
Sα5α5eηαηeη3ゴ3 (FR. et SAV.) REHDER
O変種と品種への検索
a艮.葉は長楕円形一披針形。
b1.節間は無毛。
c1.節は無毛。………………・…・・……………・・………………・・…・・……………・…クマイザサ
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Sα3α5θηαηeπ3ゴ5 (FR. et SA肌)RE}{D£Rvar.5e㎜ηεπsピεf.5eηαηeπ3お
c2.節は有毛で,日出する長:軟毛あるいは短軟毛を生じている。………………フシゲクマイザサ
f.んおP認泓α (TAT鷺w.)S. S UZUKI
b,.節間は有毛で,逆行する微細毛を生じている。…・……………・・…・………・……・ソウウンザサ
f.γ日田α7ぢ3 (NAKAI)S. S UUKI
a,.葉は卵形一長楕円形。
b1.葉は緑色。
c、.節は無毛か逆行する短毛を生じている。
d,.三間には逆行する微細毛が生えている。…………・……・・…………・…・…・…ミナカミザサ
var.んαγαε (NAKAI)S. S UZUKI f.ん2アαガ
dム 節間には毛が生えていない。……………・…・・…………・…・…………・……・曜日カチマキ
f.蟹yeオ5駕eπ3ガ3 (KOmZ.)S. S UZUKI
c、.節は有毛で,開出する長話毛を生じているが,雨間は無毛。………………・・……クニミザサ
var・sπ6coγdα琵ρん二y〃α (K:o王DZ.) S. S UZUKI
(6>ヤピコザサ(総称)
Sαεα:yαん∫んoeπ5ど3 MAKINO
O変種と品種への検索
a1.葉は長楕円形一披針形。
b1.二間,二二,葉鞘は密に細毛あるか,さらにビロード状に短毛あるいは微細毛を密生している。
’………………’6….…………….●……’…ヤピコザサ
Sα3α:ソαん錦oeη3∫εMAKINO var.:ソαん誘oeπ説5
b、.節間と桿鞘は細毛を薄く被る。葉鞘は薄く鼠毛を被るか,または無毛。
_・………・……・……………・・………シコタンザサ
var.(1eραゆeγαオα (TAKEDA)S. SUZUKI
a,.葉は卵形一長楕円形。
b1.節には長三毛が生えている。
c夏,稗鞘と葉鞘には短二毛が密生している。___…・…・…・・………………・・………・オゼザサ
var.03εα㎜ (MAKIN◎S. S uzuKI
c、.稗鞘は基部のみ細毛を薄く生じる。葉鞘は微細毛を生じるか,時にやや無毛。
・………一・……・・………・…………エゾウスバザサ
f.初飢δγ03α (K:o王DZ)S. SUZUKI
b2.節には逆行する微細毛が生じるか,またはやや無毛。
c、.葉鞘と節間は無毛。葉の基部の形は通例やや心形から裁形まで。
……・…………・・…・……………・・………イワテザサ
var.γo置πηdゼ35加Lα (MAK脳。 et UcHIDA)S. SuzuKI
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(7)クマザサ(総称)
Sα3αveεεc胱(CAR翫1巳RE)R.E麗DER
O変種と品種への検索
a、.富盛には全面にわたって戸出長丘毛を生じる。
b、.葉は長楕円状披針形一卵状長楕円形,基部円いかあるいは鋭角にとじる。葉の上部は先端にむ
かい次第に細長となり,長い鋭点に終る。冬季辺縁の白いふちどりはほとんど現われない。
c1.葉は長楕円状披針形。……………・・…●●……………’…・……………●…’●…●チュウゴクザサ
Sαεαりe麗。ん訂var.ん‘γ5編α (Koll)z.)S. SuzuKI
a2.桿鞘は基部にのみ長細軟毛か短細論毛を生じる。……………・…・・…………・・……・……ヒダザサ
var.6α3賢慮ゲ5瞬α (KolDz.)S. SuzuKI
(8)オオバザサ(総称)
Sα5α㎜egαZOPんツ〃αMAKINO et UCHIDA
O 変種と品種への検索
a,.葉は長楕円状披針形。
bL.稗鞘は全体有毛。……・………・…・………・…・……・・………………………………・・オオバザサ
Sα3α7πegαZoρんツ〃αMAKINO et UCHIDA var.7πegα’oPんツZ‘α
b2.稗鞘は基部有毛,上半部無毛。…………・・……・……………………………フシゲウスバザサ
var.αγ8‘〃αceα (KolDz.)S. SuzuKI
(9)ミヤマザサ(総称)
Sα5α3eμeη茜γめπαεゴ3 MAKI錘。
O変種と品種への検索
a,.葉は長楕円状披針形,洋紙質または洋紙質状革質。
b}.節は逆行する微細毛または短毛を生じる。・…………………………………………ミヤマザサ
Sαεαseμeπε7∫0ηαZおMAKINO var.3eρオe癬∫・認ゼ3
a,.葉は幅広く,卵状長楕円形,膜質または洋紙質または洋紙質状革質。
b、.葉は厚く洋紙質。節は有毛。葉鞘は最下部を除き無毛。…………・……・・………ホロマンザサ
var. pαπんεπεゴ5 (NAKAI)S. SUZUKI
3)ミヤコザサ節 Crassinodi
北海道にはセンダイザサ,ユカワザサ,アポイザサ,オヌカザサの4種が産する。本節のタイプ
種はミヤコザサである。
O種への検索(※印は北海道には産せず)
Aヨ.心血は無毛。……(このグループのものは北海道に未産)
A,.程鞘は有毛。
B、.稗鞘には逆行する微細毛あり。
C、.葉は厚く革質一膜質,長楕円形で,葉の基部は円いかまたは載形。
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D1.葉は下面有毛。 (10)センダィザサ
D2.葉は下面無毛。 (11>ユカワザサ
C2.葉は薄く膜質,長楕円形から披針形までで,葉の基部は鈍角または鋭角にしまる。※オオクマザサ
B・.稗鞘には上向き,あるいは開出する長毛と,逆行する微毛とが混生してビロード状を呈する。
C1.葉は下面軟毛を生ずる。 働 アポイザサ
C2.葉は下面無毛。 (13>オヌカザサ
B・.稗鞘には逆行または開出する短毛を生ず。 ※ミヤマスズ
(1ωセンダイザサ(総称)
Sα3αεeηdα∫cαMAKINO
O変種と品種への検索
a、.節には逆行する微細毛を生ず。葉鞘は有毛。
b1.葉は長楕円形からやや卵形一長楕円形,基部はやや心形あるいは載形一円形。
…・…………・…・……………………・センダイザサ
Sα3α5e掘∫CαMAKI醤O var.εeη4α∫Cαf.3eπdαガ。α
b,.葉は長楕円形一披針形,基部は円形ないし鈍角にしまる。…………・……6・…エゾミヤコザサ
f.αpoピeπ5お (NAKAI)S. SUZUKI
(11)ユカワザサ(総称)
Sα5ααγ漉αゴMIYABE et TATEwAKI
(12)アポイザサ(総称)
Sα3α5α鵬απゴαηαNAKAI
(13)オヌカザサ
SαεαんどるαcoππcαKOIDzu
H.スズ属 Sasamorpha
北海道に産するスズ属植物はヂダケ唯一種である。
○種と変種への検策
A.稗鞘や葉鞘はいつまでも残る。
B.稗の節は低く,葉身は葉鞘と関節する。
C.葉は概して狭長で,表薗に光沢があり,少し上側に反り気味に稗につく。
D.稗史や節間に毛が少ない。肩毛がない。……………・…・・……・………・…・………………ヂダケ
Sα・α彿・・蜘脚灘α・ceπ・NAKAI var.ゐ…αごゴ・(HACK.)N醐
4.バイオマスで取り扱うササの定義 12> ササ類の分類については,北海道のササ類についてだけをみても,例えば館脇は,ササ属,スズ 7>タケ属,スズササ属の3属と種,変種,品種を含めて40種類に分類してお』り,中井は2属16種,大
8) 4)井は1属16種,北村は2属26種に分類するなど,その分類体系が混沌としているために,調査上の
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問題点の1つであった。
ここではササ類の特徴は,継切や菊間に明瞭に示され,かつ調査を担当する現場段階でも節で代
表することのほうが,これまで林業分野で慣用的に用いられている呼称に近く,調査上の混乱を避
けると共に実用上便利であるため,分布図に示すササについては,節,属名にもとつく,①チシマ
ザサ,②クマイザサ,③ミヤコザサ,④スズ(ダケ)の4グループで表わすこととした。なお,分
類上の対応は表一1に示したとおりである。
表一1 ササの分類とササ分布図の凡例に示したササの名称
属 節 種
(Genus) (Section) (Species)分布図の名称
チシマザサ チシマザサ,オクヤマザサ,エゾチシマザサ
(Macrochiamys) ミヤマザサ
サ サ ク マ ザ サ チマキザサ,クマイザサ,ヤピコクマイ ザサ
(Sasa) 《Sasa(嵩E・sasa》 ザサ,オオバザサ,ミヤマザサ
ミヤコザサ センダイザサ,ユカワザサ,アポミヤコザサ(Crassin・di) イザサ,オヌカザサ
ズズ(ダケ)豪ヂダケ ス ズ
(Sasamorpha)
3)
注)ササの分類は伊藤浩司による。※は変種
5.北海道における分布とその特徴
北海道の森林の林床を特徴づけているササ類は,旺盛な繁殖力と強い適応性によって林野のいた
るところに普遍的に分布する。しかし,その分布域はササの種類によって異なり,本道における水
平分布は図一1に示したようである。
チシマザサは,ササ属のうちで最も北にまで分布し,また,高山の最も高所に達する種で,日本
海側の多雪地帯を主分布域とする。北海道では,西南部に位置する松前半島と渡島半島,ニセコ山
地から積丹半島に至る地域と,さらに,暑寒別岳を中心とする樺戸山地(増毛山地),これに続く天
塩山地の南側の地域に分布し,いずれも日本海側の多雪地帯に代表されている。一方,山岳高地の
多雪地帯の分布域としては,大筆山系(石狩山地),日高山脈,夕張山地および北見山地があり,標
高はいずれも7・・一1,…m肚の高地で,平櫨深積曇でみると図一21、乱たように,15。,。以
上の地帯が主な分布域となっている。
これら,チシマザサが林床に優喫するところでは,松前半島,渡島半島においては裏日本を代表
するブナ林が発達しており,他の地域においては,ダケカンバ林,あるいはダケカンバと針葉樹(エ
ゾマツ,トドマツ)が混生する上部針広混交林が発達するなどの特徴をもっている。
このように,チシマザサが日本海側および山岳高地の多雪地帯を主分布域とするのに対して,太
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与。
図一2 平均最深積雪(cm)
オホーツク海
4網走
△
やてむむ ム
伊・二今..
:十勝川
釧路
太平洋
.フ5
知床岬
野。 蓼
’ 布
岬
平洋側の少雪乾燥地帯には,ミヤコザサ,スズが主として分布する。函館市付近と函館市から東方
の海岸線に幅狭く分布し,さらに,苫小牧市以東の胆振地域と日高地域にかけての低山部,十勝東
部,十勝西部および根釧地域の平野部から丘陵地帯にかけて広く分布する。
このようなササ類の分布を冬季間の気候,とりわけ積雷量と対応させてみると,図一2に示した
年最深積雷にみられるように,ミヤコザサ節の分布は函館市付近では年最深積雪50cmで示されるミ
ヤコザサ線と一致するようであるが,この南西部を除く日高から十勝,根釧の各地域にかけては,
最深積雪50cmを越えても分布することが知られ,最深積雪75cmの等深線を領域境界とみることのほう
が適合度が高いようである。一方,スズ属の分布は最深積雪100c搬以上にまで分布することが知られる。
・ヤ・ザサ,スズの分布については,鈴呆,三者によれば,欄東諌北地加ま,ミヤ。ザサ
節とチマキザサ節(クマザサ節)の分布域は,狭い移行帯を介して接していて,年最深積雪50cmの
線とほぼ一致した分布の境界線が存在する。スズ属はさらに積雷の多い地方にまで分布し,年最深
積雪75cmの線と一致するといわれている。そして,この2つの分布の境界線に対しては,前者をミ
ヤコザサ線,後者をスズダケ線と名づけられている。
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このことは冬の寒さと乾燥の被害に対して,積雪による保護作用が,ササ類の生活亀維持してい
リエ く上での支配要因と考えられている。本州の東北地方に比較して寒さが厳しい北海道での越冬には,
積雪による保護が一層必要であり,また,雪質の違いも保護作用になんらカ・の影響をおよぼしてい
るものと考えられる。このようなことがミヤコザサ節およびスズタケ属の分布の上限が,それぞれ
最深積雪75cm,100 cm線付近にある原因ではないカ・と推定される。
また,太平洋側を生育地とするミヤコザサとスズについては,ミヤコザサは季節風にさらされると
ころに,スズはこれを避ける風下側や谷筋に生育し,垂直的にみればミヤコザサは尾根筋に,スズ
は谷筋に生育するなど,生育地を異にしている。そして,このミヤコザサ,スズの分布域には,ミ
ズナラ,ハルニレ,カツラ,ハリギリ,イタや類に代表される冷温帯広葉樹林が分布するのが大き
な特徴となっている。
クマイザサ(チマキザサ)の分布は,以上のミヤコザサ線を境にして,その上部域に位置する。
また,ミヤコザサを全く欠く日本海側にお』いては,クマイザサとチシマザサの出現する標高が異な
っていて,一般にクマイザサはチシマザサの下部域に広く分布する。すなわち,クマイザサはミヤ
コザサとチシマザサにはさまれた中間域を生育地とするといえる。また,これらのササが接する境
界付近では,チシマザサとクマイザサ,クマイザサとミヤコザサなどが混生する個所もみられ,こ
のなかにはクマイザサとミヤコザサの中間的な形態を示す個体群の出現をみることがある。
このクマイザサの分布域には,北海道を代表する針広混交林が発達し,森林三業の主たる対象地
となっている。
垂直分布も水平分布に対応して,太平洋側の地域であれば,標高が高くなるにしたがって,ミヤ
コザサ,スズ,クマイザサ,チシマザサの順序で,それぞれのササが特徴的に出現する。この配列
を日高山地に例を求めて模式的に示すと図一3のとおりである。
もっとも低い山域に分布するミヤコザサは,標高200m~300mのところを中心に生育している。
分布の上限は日高山脈の南,北の両端では300m~400mまでであるが,中央部よりやや北に位置す
る厚賀,三内付近になると,600m~700mの高さまで分布域を広げている。スズはミヤコザサと,
ほぼ同標高付近を生育圏としているが,上部限界は700m~800mでありミヤコザサに比較して高い。
2000
標
高1000
ε
0
芽室岳
八月岳
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クマイザサ
ピ
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登 似。 岳
ミヤコザサ
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七宝
厚 静 浦 様門 振 賀 内 河 船瀬 内
図一3 日高山地における標高とササの分窃模式図
太
洋
11
-
このスズの分布の上限は,クマイザサと接することが普通であるが,日高山地の南部では直接チシ
マザサと分布域を接しているところもみられる。
クマイザサは,ミヤコザサ,スズの上部域である標高500m付近から出現し,標高1,000m位まで
を主な生育圏としている。そしてチシマザサとは日高南部では標高700m~800m(ところによって
は500m付近)で,日高中部から北部にかけては標高1,200m~1,3001n付近で分布域を分けている。
この日高山脈を中心とする,太平洋側のササ垂直分布パターンに対して,ミヤコザサを欠く日本
海側の垂直分布は,海岸線近くに平野部が発達する山すその長い山地では,主として標高300m~
600mがクマイザサの分布の中心であり,この上限域ではチシマザサと混生しつつ,標高が高くな
るにしたがってチシマザサの純群落に推移する。しかし,山地が海岸線で落ちこんでいる急崖な地
形では,しばしばクマイザサを欠くこともある。このようなところでは,チシマザサが標高100m
~150m付近から出現している。
北海道の中央部山岳地帯では,クマイザサとチシマザサの出現する標高の違いが明らかで,クマ
イザサは標高700m~1,100mを上限に生育し,それ以上の高さにはチシマザサが分布する。チシマ
ザサの分布域は,大雪山系(石狩山地)では,亜高山帯土部森林を代表するダケカンバ林から,高
山帯下部のハイマツ林が生立する標高1,600m~1,700mにおよぶことがあるが,分布の中心的な高
度は標高1,200m~1,300mで’ある。
このようなササ類の分布の様相は,それぞれのササのもつ越冬芽の位置などの生活型,生育:地で
の輝輝や残雪輔,あるいは地形,土壌などの諸条件に強く翅されていることが知躍ぞ隅。
6.地域別分布とその概括
ササ分布図は,図一4に示したように北海道を5地域に区分して表わしている。各地域ごとのサ
サ分布の概況は次のとおりである。
1)西部地域
西部地域には黒松内低地帯より以南の渡島半島(松前半島,亀田半島),北東側に位置する積丹半
島,ニセコ山地,定山渓から室蘭市を結ぶ無意根山(1,461m),ホロホロ山(1,322m),オロフレ
山(1,23hn)に代表される山地までが包含される(三一5)。
行政区では,国有林野は函館営林支局の全域と,北海道営林局(直轄)管内の一部地域(札幌,
余市,定山渓,白老,苫小牧の各営林署)が含まれる。支庁では渡島,桧山,後志の各支庁の全域
と,胆振支庁と石狩支庁の一部地域が含まれる。
狭長な半島部に位置するため,気候は対島海流の影響を受けることが多く,北海道としては比較
的温暖な地域に属している。渡島脊梁山脈の東側太平洋に面する地域は,表日本の気候型に属し積
雪量は少ない。西側日本海に面する地域は,裏日本の気候型を示し,冬は季節風の影響で積雪量は
多い。積雪深は羊蹄山麓の倶知安では平年180cm,最深230 Cm,さらに山岳部のニセコ山地では最
深300cm以上に達する。
水平的な森林植生は,冷温帯林の北限地帯と亜寒帯林の一部地域を含み,垂直的にはおおむね標
12
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0 10 20 30 40 50km
図一5 ササ分布図西部地域
高500日前後を境として,冷温帯
林,亜寒帯林に分けることができ
る。このうち黒松内低:地帯以南の
渡島半島では,針葉樹は冷温帯林
の構成種であるアスナロと亜寒帯
性のトドマツ,エゾマツが分布し,
広葉樹としてはブナの生育がみら
れる。これより北東部においては,
トドマツ,エゾマツの針葉樹類と,
ブナを欠いたミズナラ,シナノキ,
ハルニレ,カツラ,イタヤカエデ
の広葉樹類が混生する針広混交林
域となるが,標高500m~600mを
境にしてその上部では,亜寒帯性
落葉広葉樹を代表するダケカンバ
が優占分布する特徴がある。
ササの分布は,全域にわたって
チシマザサ,クマイザサが主であ
るが,函館市付近では僅かにミヤ
コザサの出現がみられる。
チシマザサは,日本海側に面す
る松前半島力・ら積丹半島の山地に
かけて広く分布し,ここは北海道
のなかでも屈指のササ資源地域となっている。とくに,ニセコ山地と積丹半島から連なる余市岳
(1,488m),無意根L山(1,461m)および定山渓の山地には,チシマザザのなかでも大型で現存量の
大きい群落が発達する。:太平洋側では,亀田半島にある横倒岳(1,167m),袴腰岳(1,108m)をと
りまく山地,さらに北部にあって那須火山帯に含まれるホロホロ山(1,322m),計理フレ山(1,231
m),鷲別岳(911m)などの山岳部にも分布する。
クマイザサは,一般にチシマザサの下:方に生育域をもっている。主な分布地は,余市,定山渓,
恵庭に至る北東部の山地である。渡島半島では日本海側に面した河川流域の平野部に続く山麓部,
あるいは海岸段丘上の緩斜地形に出現する程度で,分布範囲は狭い。
クマイザサの出現する標高は,渡島半島の日本海側では,標高200mから300mまでで,これより
高所にはチシマザサが分布する。しかし,海岸が急峻な地形では,クマイザサを欠くばあいが多く,
このようなところでは,チシマザサが海岸沿いの断崖上まで生育地を拡げている。太平洋側におい
ては,一般に標高300m~400mまではクマイザサの生育地である。これより高所では局地的にはチ
14
-
シぐザサークマイザサの混生地もみられるが,一般にチシマザサの優旧する地域となっている。内
陸の山地帯に入ると,クマイザサの分布域の標高は高くなり,標高600m付近までが分布域である。
チシマザサは標高800m付近で優占域となるが,尾根沿いなどでは標高600m付近にも純群落の出
現がみられる。
ミヤコザサは函館市の北東部,ウエン川までの海岸沿いの民有林に幅狭く分布し,それより東方
の尻岸内川にかけては,クマイザサとの混生地もみられるが分布域は極めて小さい。また,駒ケ岳
(1,133m)は数度におよぶ火山活動によって,土壌は火山噴出物を母材とする浮石礫からなる未熟
土が発達するために,その山麓においてはほとんどササの分布をみることがない。
2)中央部地域
本地域は北海道の中央部を包含し,西側は石狩低地帯からつづく夕張山地,北に位置する天塩山
地によって,北東側は石狩山地,北見山地によって代表される。この山系は,西~南西に石狩川水
系を,南に十勝川水系を,さらに北に天塩川水系をそれぞれ発達させ,北海道の中央高地として,
これらの河川の分水嶺,源流域となっている(図一6)。
142。 1430
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(留萌)塩ビ
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・冷ζ1帯広
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図一6 ササ分布中央部地域
行政的には,国有林は北海営林局(直轄),旭川営林支局,北見営林支局及び帯広営林支局が,そ
れぞれ所管している。支庁は石狩支庁,空知支庁,上川支庁,留萌支庁,網走支庁,十勝支庁が所
管している。
気候は日本海に面する西側の地域は,海洋性の気候の影響によって比較的温和である。中央内陸
部は大陸的気候要素が強く,寒暖の差が激しく,とくに冬季の寒気は著しい。東部地域は,オホー
i5
-
ツク三二の北見,網走地方と太平洋側の十勝,根釧地方で異なるが,しいていえば表日本型の気候
で,西部に比し夏季低温,降水量も少なく,とくに冬季は乾燥,晴天の日が多い。十勝,根釧地方
では夏季海霧の発生により日照時間が少ない。積恩命は十勝,根釧地方では少ないが,他の地域は
最深積雪100cm以上を記録し,山岳部では200 cm以上に達する。
この地域の低山域の森林帯(水平分布)は冷温帯の吊出混交林である。垂直的分布を大雪山系に
例をとると,標高1,200m~1,500m以上では,ダケカンバ,ミヤマハンノキ,オガラバナなどの低
木林が出現し,この下方の800m~1,200mまでの間は,ダケカンバを主とする上部広葉樹林,ある
いはダケカンバに針葉樹が混生する上部針広混交林が発達する。標高が低くなるにしたがって,順
次トドマツ,エゾマツが優侍する針葉樹林,これらの針葉樹とミズナラ,イタヤカエデ,シナノキ
などの冷温帯性落葉広葉樹を混生する下部針広混交林が,標高に対応して帯状に分布している。な
お』,十勝平野に接した山地お』よび北見地方では,カンパ類,ミズナラ,ドロノキ,キハダ,ヤマハ
ンノキなどからなる山火再生広葉樹林(二次林)が成立するところがみられる。
これら森林帯に分布するササ類は,チシマザサ,クマイザサ,ミヤコザサである。
クマイザサは,石狩低地帯に隣接する夕張山地では,標高500m~600mまでが分布域となってい
るが,空知川流域の富良野地区に至ると,分布域の上限はやや高さを増して標高600m~800m付近
になる。さらに,石狩川上流域の大雪山系の山地では,標高1,000m~1,200mにまで分布域が高く
なっている。
チシマザサは,普通,これより上部に出現し,ダケカンバ帯あるいは高山帯下部のハイマツ林に
まで達している。大雪山地ではチシマザサの分布上限は,標高1,5001n~1,700mであるが,この高
さにおいては稗高も低く矯生化が著しい。
一方,札幌市近郊の羊ケ丘から江別市野幌に連なる丘陵地帯では,クマイザサの生育圏内とみら
れる標高80m~100mにチシマザサの分布がみられ,しかも,クマイザサとの境界が明瞭である。
このことは分布を支配する要因が積雪深,積雪期間などの単一要因だけではないことを示唆するも
のと思われる。
一方,オホーツク海に面する北見地:方の道央域では,夕張山地とともにクマイザサが広大な分布
域を形成しており,なかでも湧別川流域における発達は著しい。これらの分布域は海岸林の林床か
ら北見山地の標高800m~1,000mまで,広範囲に及んでいる。
ミヤコザサは太平洋側の地域に主に分布する。道央域では十勝川の支流,利別川の流域に位置す
る本別,足寄,陸別地方の丘陵上に発達するが,さらに,陸別からの峠を越して網走川の支流,チ
ミケップ川の上流域(津捌町三富)にまで分布域を拡げている。また,分布図の上では道東部地域
との境になっているが,北見市から美幌町に至る丘陵地帯にもクマイザサとの混生地(クマイザサ
との中間的な形態のものとも考えられる)がみられる。しかし,その面積は小さい。分布域は強酸
500mにまで分布し,太平洋側の十勝,釧路,根室地:方の生育圏のなかでは,もっとも高所にまで
出現する。しかし,ミヤコザサ群落は,標高200m~300mの間でもっとも発達がみられる。
3)南部地域
16
-
本地域は,北海道を東西に二分する脊梁山脈としての日高山脈が中心となっている。この西側地
域には胆振地方のほとんどと,日高地方の総てが含まれる。東側の地域には十勝地方の南東部が含
まれる。日高山脈には幌尻岳(2,054m)を最高峰として,標高1,700mを越える山々が連らなり,
北は狩勝峠(646m)付近より南は襟裳岬付近まで,南北140 km,東西30 kmにおよんでいる(図一7)。
142。 143。
札幌。
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灘男L軽一 42。
襟裳岬
図一7 ササ分布図南部地域
行政的には,北海道営林局(直轄),帯広営林支局が所管する国有林と,胆振,日高,十勝,石狩,
空知,上川の各支庁にまたがる。
気候は胆振,日高や,十勝地方の太平洋沿岸に近いところでは,一般には海洋性気候の影響を受
けて比較的温和であるが,夏季は特有の海霧によって日照時無が少ない。冬季は降水量少なく,乾
燥,晴天の日が多い。最深積雪深は100cm以下である。十勝地方の内陸部では,寒暖の差の激しい
大陸性気候を示し,降水量は夏季に多く秋冬に少なく冬季に晴天が続くことが多い。
森林帯は水平的には冷温帯性落葉広葉樹林帯で,ミズナラ,ウダイカンバ,シナノキ,カツラ,
ハリギリ,ヤチダモ,イタヤカエデなどの混生した広葉樹林によって代表される地域である。垂直
分布は日高山脈の東西側でそれぞれ異なった様相を示している。すなわち,西方の日高側において
は,一般に標高500m~700mまでは冷温帯性広葉樹類を主とする下部広葉樹林が分布する。この広
葉樹林は山脈の南部で発達が著しい。山脈の中部~北部地域には,トドマツーエゾマツの針葉樹林
あるいは針広混交林が発達し,標高1,000m~1,200mを上限としてダケカンバ林へと移行している。
東方の十勝側にお』いては,全体に針葉樹林の発達が貧弱であって,かわって広葉樹林や広過混交
林が多く分布する。この広葉樹林は標高600m付近を境にして,ダケカンバを混じえる上部広葉樹
林へと推移し,標高1,700mを上限としてダケカンバ林が発達する。
ササ類は,チシマザサ,クマイザサ,ミヤコザサ,スズが出現する。このうち,ミヤコザサ,ス
ズは,道東の十勝西部,根釧の両地域とならぶ優占分布域である。ミヤコザサは地形が比較的緩や
17
-
かな日高北部の山地に広い生育地が認められ,とくに,日高山系のなかでは,流域が広い鵡川,沙
流用に沿って発達が著しい。この日高北部の分布に対して日高南部では,山裾も短く谷も深いため
に,山地では河岸上の狭い台地に限られて生育地がみられるようになる。
ミヤコザサが出現する標高は,一般に日高南部では400mまでの範囲であるが,日高北部に進む
につれて次第に分布域を高め,日高中部からやや北部に位置する振内,厚賀付近での,標高700m
の出現をヒ㌧クにして,それより北,西側では生育高度が低くなっている。~方,日高山脈の十勝
側においては,ミヤコザサの主な分布域となる標高400m付近までの低山帯は,早くからの開拓に
よってほとんど耕,草地化されているために,現在は山麓のごく一部門,丘陵上に生立するカシワ
林の林床や,耕地防風林のなかに分布がみられるにすぎない。
ススの分布は,ほとんどミヤコザサの分布域と一致するが,生育高度はミヤコザサに比較して高
所にまで出現する。分布の特徴は,最深積雪が50cm以下の沿岸部の丘陵地帯では,季節風が直接
当らない南~南東斜面や,雪のたまりやすい谷下の広葉樹林中に発達した群落がみられる。一方,
積雪深が50cmを越すような山地にお』ける分布は,ミヤコザサが斜面の下方に,スズは斜面上部あ
るいは尾根筋の士壌の浅いところに生育が分かれており,必ずしも気象要因だけで分布域を決める
ことができないようである。
チシマザサの分布は,日高側においては日高中部のペテガリ岳(1,736m)付近までは,一般に標
高1,200m~1,300mの高所から出現が認められるが,これより南下するにしたがって出現する標高
は徐々に下がり,幌別用(浦河町)の上流域では,標高400m~500m付近から生育がみられるように
なる。これに対して冬季季節風の風下側にあたる十勝側では,標高600m~700m付近から生育がみ
られ,高山帯にまでおよんでいる。
クマイザサは,ミヤコザサとチシマザサの中間地帯のおお・むね標高500m~1,200mの間に優占分
布するが,日高南部地域では,中間帯を代表するクマイザサを欠くことがある。このようなところ
では,ミヤコザサあるいはスズの生育地が,チシマザサの生育地と直接に接しているところもある。
4) 北部地域
本地域は日本の最北端に位置する。オホーツク海側の山地は地平山地からっづき,標高500m以
下の低山性丘陵群(宗谷丘陵)で構成される。西側の日本海に面する地域は,天塩山地およびサロ
ベツ原野を経て稚内…市に至る広大な原野を有し,さらに稚内市の西方約60kmの日本海に浮ぶ利尻,礼.
文与島を包含する(図一8)。
行政的には,国有林関係では旭川営林支局が所管し,関係する支庁は,宗谷,留萌,上川,網走の
各支庁である。
日本海に面する留蕩地方の気候は,対馬海流の影響を受けて,この地域のなかでは比較的温和で
降水量も多い。しかし,北部地域は米作の北限を越えた気候下にあって,積雪期はおよそ150日間
に及び,オホーツク海沿岸地域では,流氷の接岸によって冬季の寒さは非常に厳しい。積雪深は平
野部では一般に100cm前後であるが,山地では200 cm以上に達する。
林業地帯の大部分は,トドマツ,エゾマツ,アカエゾマツの針葉樹と,ミズナラ,シナノキ,カ
18
-
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0 10 20 30 40 50km
図一8 ササ分布図北部地域
ツラ,オヒョウ,ヤチダモ,ウダイカンバ,カエデ類の広葉樹からなる針広混交林で構成されてい
るが,天北地区にはカンパ類を主とする山火再生林がみられる。また,最北端に位:置する宗谷岬付
近の丘陵は,山火事跡の広大な未立木地がある。このほか本地域の知駒岳(532m)を含む北海道大
学天塩,中川演習林には,蛇紋岩地帯の代表的なアカエゾマツの純林が発達するなど,地域的な特
徴もみられる。垂直的な配置をみると,トドマツを混じえたシナノキ∴オヒョウ,イタヤカエデ林
は,標高100m~300mの山腹斜面に生じ,この上部にはトドマツ(エゾマツ)を混生したシナノキ・
ミズナラ林もしくはミズナラ林が標高400m付近まで出現する。さらに上部になるとダケカンバ林
となり,標高500m~600m以上の山岳の頂上付近には:ハイマツ林が出現する。
この地域に分布するササ類は,チシマザサとクマイザサであるが,全体的にはオホーツク海側の
丘陵部にはチシマザサが多く,平野部の多い日本海側と天塩山地には,クマイザサが多い傾向が認
められる。
チシマザサの分布は,北見山地および天塩山地の北縁部から続く標高500m以下の宗谷丘陵上に
あり,最北端の宗谷岬先端近くまで広くみられる。
クマイザサは,日本海側の留萌,羽幌地:方に広い優占分布域がある。また天塩川の下流域に広が
るサロベツ原野においても,洪積台地上はクマイザサが多く,原野内でも放水路の両岸を中心にか
なりの生育がみられる。
このクマイザサとチシマザサの分布の境界は,本地域の南部では標高600m~800mで,比較的山
岳部高所で生育地が分かれているが,中央部に位置する上川北部の天塩中川付近の内陸部では,標
高250m~300mでチシマザサに推移している。さらに北部の宗谷丘陵に至ると,チシマザサの出現
19
-
する標高は一層低くなり,河川の開口部ではクマイザサと混生するところもみられるが,おおよそ
標高100m~150m付近でチシマザサに推移している。
利尻島,礼文島では,標高50m~100mの沿岸部からチシマザサの生育領域となっている。僅:かな
面積ではあるが利尻島の西側にはクマイザサの生育もみられる。このクマイザサは土方でチシマザ
サと混生し,標高300m付近にまで達している。
5) 東音β士也域
本地域は,太平洋に面している釧路,根室地域とオホーツク海に面する斜里,網走地域,および
両地域の脊梁にならぶ知床岳(1,255m),硫黄山(1,563m),羅臼岳(1,661m),遠音別岳(1,331
m),海別岳(1,545m)などの火山群によって構成される知床半島と,この延長線上にある雌阿寒
岳(1,499m)に至る山岳部を包含する(図一9)。 ユがゆ ユ らり
1 撫
サロマ湖蕪。・…裂
・ .・・:4 遠’音別岳
槻●糠蝦 (網走〉 誉 斜里岳ミ’一『’
…\” @ず’》,:繭1・
ロ コ
覆鑛灘糠諭(十勝〉∫
、塗 (釧路)
藩
(根室〉
根室
44。
納沙布岬
43。
十勝川
釧路
太 平 洋 0 10 20 30 40 50km
図一9 ササ分布図東部地域
斜里,網走地域は全般に丘陵駐の地形を示している。釧路・根室地域には,この地域を特徴づけ
る根釧原野があり,また釧路から根室に至る海岸線は,標高50m~120mの海岸段丘(根室段丘)
がつづき,これらの段丘は海岸まで迫って海岸線は切立った急崖となっている。知床半島は尾状三
角形に突出した半島で,平地は少なくほとんどが山岳地帯である。半島の北東部は急峻な地形を示
し,海岸部は標高30m-200mの海蝕崖が連続する。これらの海蝕崖は半島の基部に向うにつれて
次第に少なくなり,緩やかな段丘等の海岸沿いの低平地が多くなっている。
行政的には,国有林野関係では網走側は北晃営林支局,釧路,根室側は帯広営林支局が所管する。
支庁関係では,網走,釧路,根室の各支庁および十勝支庁である。
網走地域の気候は,オホーツク海気候の特徴を示し,全般に気温が低く,年降水量は1,000mmを
20
-
越えることはない。沿岸は気温の季節的較差が比較的小さく温和であるが,内陸部は寒暖の差が激
しい。根釧地域は,海霧地帯で6月~9月の期間にかけて110日~120日の海霧発生日数におよび,こ
の地域特有の気象を形成している。冬は偏西季節風の影響によって一般に晴天が続くが,積雪は山
岳部を除けば50cm~100 cm以下で少ない。
森林地帯の大部分は亜寒帯に属し,エゾマツ,トドマツ,部分的にはアカエゾマツからなる針葉
樹林,ミズナラ,カツラ,イタヤカエデ,シナノキ,ホオノキ,ヤチダモ,ケヤマハンノキなどの
広葉樹林,これらの広葉樹と針葉樹が混交する針広混交林がみられる。これらの群落は,地域的に
みると多少の差はあるが,およそ標高600m~800mまでであって,それより上部ではダケカンバ林
へと移行する。
また,本地域の網走,釧路の丘陵には,ミズナラの純林,あるいはミズナラにイタヤカエデ,シ
ナノキなどを混生する落葉広葉樹林が発達する。エゾマツ,トドマツで構成される針葉樹林は,釧
路から厚岸に至る海岸地帯に純林状にみることができるが,山岳部では斜里岳(1,545m)山麓と知
床半島にみられる程度で面積は少ない。しかし,雌阿寒岳,雄阿寒岳(1,371m)の山麓,川湯温泉
付近には,火山噴出物上に発達したアカエゾマツ林が広く出現する。
この地域に分布するササ類は,チシマザサ,クマイザサ,ミヤコザサとスズである。分布は,釧
路,根室地域の太平洋側にはミヤコザサ,同じく局所的にスズが出現し,オホーツク海側の斜里,
網走地域にはクマイザサ,そして両地域の脊陵を形成する知床の山岳部に出現するチシマザサに大
別してみることができる。
すなわち,ミヤコザサの分布は,十勝地域とならぶ道内の代表的優占地域で,海岸沿いの低平地
から山岳部のふもとまでの,主に民有林地のなかに多くの出現をみる。内陸部では,国鉄釧網本線
沿いに北上し,屈斜路湖の東側,川湯,仁伏付近にまでみることができる。網走地域には,十勝側
にある陸別地区と背面する,網走川の上流の津別町本岐地区の道有林地内にも分布がみられる。し
かし,美幌地区および佐呂問湖畔におけるミヤコザサは,あるいはクマイザサの単油漉ともみられ,
両者の中間的な形態を示すと考えられる個体群である。そして,このような生態型を示すものは,
積雪深が変化する地点の,とくにミヤコザサとクマイザサの分布の境界線付近にみることが多い。
添闘i地域におけるクマイザサは,ミヤコザサに比較して分布域が狭く,斜里岳の山麓と阿寒の山
岳部の国有林地が主な生育地である。これに対してオホーツク海の網走地域においては,ササ分布
域のほとんどがクマイザサによって占められ,これから北見,紋別地域にかけては,北海道でも有
数な優占分布地域を形成している。
チシマザサは,知床半島の知床岳から斜里岳に分布をみる。出現する標高は,半島の先端部や河
川の開口部では200m付近からみることができるが,一般には標高400m~600m付近でチシマザサ
に推移する。斜里岳では,標高300m~350mでチシマザサが出現し,標高600m~700mまでクマイ
ザサと混生し,それより上方で純群落を形成している。
ミヤコザサとクマイザサの生育境界線は,知床半島の太平洋側の基部にあたるウエンベツ付近で
は標高100m~150mであるが,西方の釧路,十勝地域に向うにしたがって境界の標高は上り,標津:川
21
-
の上流の中標津町養老牛,虹別地区では標高200m~300m,阿寒町,白糠丘陵では標高400 m~500m
付近に達する。スズはミヤコザサの領域内の白糠地区と厚岸湖岸を中心に,東部地域のなかでは比較
的まとまりのある分布をみることができるが,日高地域に比較して分布面積は狭い。
7.ササ分布面積と資源量: の 北海道においてササ資源の調査がややまとまった形で行なわれたのは,昭和36年の森林資源調査
に始まる。
この調査では,全道で2,014点の標準地について,ササの生立状態と蓄積が調査され,この調査
によって,ササの分布面積は400万ha,資源量は生重量で10,149万tonと推定された。
今回,ササ分布図の作成にともない,この分布図をもとに地域別,所管別,種類別(節,属)の
分布面積と資源量について測定を行なった。分布面積は自動面積計(林電工製,AAC-100 S型)
を用いた測定値によって算出した。また,計算上の基礎となる森林面積は,昭和55年度北海道林業統
計書,北海道営林局事業統計書(直轄)および各営林支局の事業統計書,道有林事業統計書によった。
ササ資源量の算出には,昭和36年の北海道ササ資源調査による,地域別種類別のha当り生重量を
用いた。そこではササの類別は,分類学的な区分ではなく,稗長によって3グループに分けており,
稗の長さ2m以上のものを大型ササ,稗長1~2mのものを中型ササ,稗長1m以下のものを小型サ
サとして,それぞれの生重量が地域別に示されている。今回の計算においては,この稗長による区
分を,以下に示したササ種別に対応させ,これを前述の方法で得た地域ごとのササ種別分布颪積に
乗じて,地域別資源量を求めた。
○大型ササ(群長2m以上):チシマザサ
○中型ササ(稗長:1m~2m):クマイザサ,スズ
○小型ササ(稗長1m以下):ミヤコザサ
なお,ミヤコザサが分布していない桧山支庁ほか5支庁については,昭和36年の調査では,クマ
イザサのなかでも馬長1m以下のものは小型ザサとして, haあたりの重量が示されているが,ここ
ではクマイザサはすべて中型ザサとして計算し,資源量を計上した。また,2種の混生地における
資源量は,それぞれの種別に求められた重量と面積との積の1/2ずつを合計して求めた。重量はす
べて生重量で示した。
1)ササ分布面積
ササ分布面積は,表一2に林野庁所管の国有林,表一3に道有林,表一4に民有林(道有林を除
く)を示し,これらを総括した地域別(支庁別)ササ分布面積は表一5に示した。
本道のササの総分布面積は500万haと推定された。この面積は本道の全森林面積560万haの89
%にあたる。
このうち林野庁所管国有林のササ分布についてみると,ササ分布面積は294万haで,これは国有
林森林面積の95%となる。ササ分布全面積に対しては,そのなかばを越える59%となる。
ササの種類別では,クマイザサの面積がもっとも広く,国有林森林面積の55%を占めている。ク
22
-
表一2 国有林(林野庁)におけるササ分布面積
営林 地域二業 森 林 ササ地 種類別分布瀬積
局名 計画区 面 積 弼 積チシマUサ
クマイ
Uサミヤコ
Uサス
チシマザY1サークマ@ イザサ
クマイザ
TーミヤRザサ
クマイザ
Tースズ
ミヤコザ
Tースズ
無ササ地
ha ha ha ha ha ha ha ha ha ha ha
石 狩 232,842 203,652 85,290 91,745 1,174 992 24,451 一 一 一 29,190
北 比率(%)(87.5) (36.6) (39.4> (0.5) (0.4> (10.5) (12.5>
海道
空 知 190,198 186,877 48,321 133,540 一 i 一 5,016 一 一 一3,321
営林比率(%〉 (98.3> (25.4) (7α2)
i(2.6) (1.7)
局 日 高 256,564 246,731 20,953 166,806 38,337 9,250 6,712 1,646 62 2,965 9,833
(直轄比率(%) (96.2) (8。2) (65.0) (14.9) (3.6) (2,6> (0.6) (+) (1,2) (3.8)
) 計 679,604 637,260 154,56窪39島・9・i
39,511 10,242 36,178 1,6崔6 62 2,965 42,344
二二(%) (93.8) i(22・7) (57.7> 1 (5.8) (L5) (5。3) (0,2> (十) 1(o・4) (6。2)
上川南面
刀刀^173,082 160,461
i92.7)
,2L522闘 121,330
@(70.1>
一z 一17,609
i10.2>
一 … 一P12,621
i7,3)
上淵中部 173,958 166,063 53,761 87,967 一 } 24,335 一 一 7,895
旭比率(%) (95.5) (30.9) (50.6) (14.0) (4,5)
壌 上川北部 167,088 162,713 36,67王 97・4艇i 一 28,558 ㎝ 一 一 4,375冨林
比率(%) (97.4) (22,0> (58,3)1 (17.1> (2,6)
支 宗 谷 183,194 178,260 82,592 5窪,368 1 } 一 41,300 一 … 4,934
局比率(%) (97.3) (45.1> (29,7) (22.5>
E
(2.7>
留 鵜 180,661 179,555 23,199 145,95G 一 一 10,406 1 一Il …
一 1,106
比率(%) (99.4) (12.8) (80.8) (5.8> (0.6)
計 877,983 847,053 217,745 507,100 一 122,208 一 … 一30,930
比率(%) (96。5) (24.8) (57.8) (13.9) (3.5)
網 走1 136,262 122,5艇 12,371 ヨ100,230
一 }9,鱗3i
…T 一 }13,718
北比率(%) (89.9) (9.1) (73.5> (7.3) (10.王)
発営
北 見 298,485 295,565 19,737 267,239 一 一 一 ㎜ 一 2,920
磁器 比率(%) (99.0) (6.6) (89.5) 1 (2.9) (1.0)
局 計 434,747 418,109 32,108 一 18,532 } 一 1一 16,638比率(%) (96,2) (7.4)
36乳46g
(4.3> (3.8)
十勝東部 129,115 120,195 1,298 52,830 58,559 一 2,046 5,462 一 一 8,920
比率(%) (93.1) (1.0> (40.9> (45.4) (1.6) (4。2> (6.9)
帯 十勝西部 293,107 276,434 72,037 181,370 15.7061 一 7,18213gi
一 ㎜16,673
広営
比率(%) (94.3) (24.6) (61.9) (5.3) (2.4> (十) (5.7>
林 根 釧 289,803 263,120 18,540 133,829 107,969 375 724 1,549 ㎜ 1 1鍵 26,683支
比率(%) (90.8) (6.4) (4&2) (37.3) (0.1> (0.2) (0,5) i (+) (9.2)局 i
計 712,025 659,749 91,875 368,029 182,234 375 9,952 7,150 …134 52,276
比率(%) (92.7> (12.9> (5L7> (25.6) (+) (1.4) (1.0> (十) 〈7.3)
函館南部 167,367 162,462 70,366 45,288 一 皿 46,808 } 一 一 4,905
函館
比率(%) (97.1) (42.0) (27.1) (28.0) 1 (2.9>
函館北部 221,664 218,824 155,567 %,磁21 一 } 34,615 } 1一 一 2,840支局 比率(%) (98.7) (70.2) (12.9) (15。6) (1,3)
計 389,031 381,286 225,933 73,930 一 一 81,423 一 一7,745
比率(%) (98.0) (58.1) (19.0) ・ (20.9> (2。0)
全体 否 計 3,093,390 2,943,457 722,225 1,708,62010.6171 268,293 8,796 62 3,099 149,933
比率(%) 1 (95.2> (23.4> (55.2> (7.2) (0.3> (8.7) (0.3>(+) (0.1) (4.8)
注〉森林面積は,昭和55年度,北海道営林局(直轄〉と旭灘,北見,帯広,函館の各支局事業統計書によるものである。 チシマザサークマイザサは両種の混生を示すもので,他のばあいも同じである。
23
-
表一3 道有林(林務署)におけるササ分布面積
種類別分布面積林口署名 森林面積
ササ地
ハ 積チ シマ
Uサ
クマイ
Uサ
ミヤコ
Uサス ズ
チシマザ
TークマCザサ
クマイザ
Tースズ
ミヤコザ
Tースズ
無ササ地
函 館
@比率(%)
haR7,821
haR7,817
i100)
haW,226
i2L8)
haP9,648
i52.0)
ha ha haX,943
i26.3)
ha ha ha
@4i十)
松 前
@比率(%)
48,016 47,915
i99.8)
38,552
i80,3)
… 一 9,363
i19,5)
『 } 101
i0.2)
倶 知 安
@比率(%)
44,770 43,252
i96.6)
14,107
i3L5)
29,145
i65.1>
一 一 一 『 } 1,518
i3.4)
苫小 牧
@比率(%〉
33,457 33,457
i100)
} 24,313
i72.7)
4,717
i14.1)
3,503
i10.5)
一 924
i2.8>
一 『
浦 河
@比率(%)
47,022 46,599
i99.1>
22,317
i47.5)
8,022
i17.1)
14,976
i3L9)
442
i0.9)
99i0.2>
588
i1.3>
155
i0.3)
423i0.9)
当 別
@比率(%)
16,901 王6,376
i96.9)
7,092
i42.0>
9,284
i54.9)
} … 一 一 一 525i3.1)
滝 川
@比率(%)
37,762 36,671
i97.1)
26,702
i70.7)
一 一 一 9,969
i26.4)
『 『 LO91
i2,9)
岩 見 沢
@比率(%)
21,060 20,394
i96,8)
2,510
i1L9)
16,387
i77,8>
一 一 1,497
i7。1)
… 666
i3.2)
ム刀 弗c 明
@比率(%〉
26,980 26,858
i99.5)
12,030
i44.6)
14,828
i55.0)
一 一 一 『 … 122
i0.5)
旭 川
@比率(%〉
38β84 36,246
i94.4)
8,256
i21.5)
27,990
i72.9)
一 一 一 一 2,138
i5.6>
名 寄
@比率(%)
16,201 16,201
i100)
2,955
i王8.2>
13,246
i81.8)
} … 一 一 一 一
美 深
@比率(%〉
64,365 64,365
i100>
26,924
i41.8)
36,579
i56.8>
一 一 862
i1.3)
} … 一
雄 武
@比率(%)
32,637 32,637
i100)
6,935
i21.2)
25,702
i78.8)
} … 一 一 一 …
興 部
@比率(%)
33,597 32,327
i96.2>
1,314
i3.9)
25,480
i75.8)
一 一 5,533
i16.5)
一 『 L270
i3.8)
北 見
@比率(%〉
42,022 41,140
i97.9)
一 31,664
i75.4)
9,476
i22.6)
} 一 一 882i2.1)
浦 幌
@比率(%)
34,866 34,866
i100)
一 一 31,299
i89.8>
3,567
i10.2)
} 一 一 『
池 聞
@比率(%)
30,721 18,488
i60.2)
一 一 18,488
i60.2)
一 『 一 一 12,233
i39・8).
厚 岸
@比率(%)
14,289 10,032
i70.2)
一 一 6,135
i42.9)
3,119
i21.8)
} 一 778
i5.4)
4,257
i29.8)
計比率(%) 620,871 595,641
i95.9)
177,920
i28.7)
280,288
i45.1)
85,091
i13.7)
10,631’
i1.7)
37,266
i6.0)
3,512
i0.6)
933
i0.2>
25,230
i4.1)
注〉森林凹凹は昭和55年度,道川林野事業統計書,北海道林務部によった。
チシマザサークマイザサは両種の混生を示し,他も同じである。
24
-
表一4 民有林(道有林を除く)におけるササ分布面積
種類別分布面積支 庁 名 森林面積
ササ地
ハ 積チ シマ
Uサ
クマイ
Uサ
ミ ヤコ
Uサス ズ
チシマザ
TークマCザサ
クマイザ
TーミヤRザサ
ミヤコザ
Tースズ
無ササ地
渡 島
@比率(%)
haP23,215
haP00,426
i8L5)
ha戟C686
i1。4)
haX0,240
i73.2>
haS,551
i3.7)
ha haP,300
i1.1)
haQ,649
i2.1)
ha haQ2,789
i18.5)
桧 田
@比率(%)
64,028 52,490
i82.0)
7,434
i1L6>
34,390
i53,7)
一 一 10,666
i16.7)
一 一 U,538
i18.0)
後 志
@比率(%)
133,141 127,856
i96.0)
27,969
i21.0)
87,006
i65.3)
… 一 12,881
i9.7)
一 5,285
i4.0)
石 狩
@比率(%)
43,193 37,708
i87.3�