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地域性を考慮した化学物質対策のあり方について 平成18年度報告書 ─ 平成19年4月 化学物質対策検討会 (東京都環境局)

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地域性を考慮した化学物質対策のあり方について

─ 平成18年度報告書 ─

平成19年4月

化学物質対策検討会

(東京都環境局)

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はじめに

都内におけるベンゼンなどの主な有害大気汚染物質の大気中の濃度は、年々減少傾

向にあり、環境基準が定められた 4物質及び指針値が定められた 7物質についての年平均値は、都内で常時監視を実施している測定局のいずれについても、それらの値を

下回る状況になっている。 これは、大気汚染防止法に基づく自動車排出ガス規制の強化や有害大気汚染物質の

事業者による自主管理の促進、化学物質排出把握管理促進法に基づく PRTR制度並びに環境確保条例に基づく化学物質適正管理制度を通じての化学物質の排出削減の取

組などが、功を奏してきた結果と言える。 しかしながら、PRTR制度や化学物質適正管理制度に基づく事業者からの化学物質

の大気への排出量を区市町村別に見ると、地域によって排出量が大きく異なっている。

すなわち、個々の事業場からの排出は軽微であっても、工場集積地域等では全体とし

ての環境リスクは相対的に大きくなっている。 有害化学物質の種類は様々であることから、低濃度の長期曝露による影響や、複数

の化学物質の相互作用による環境リスクについても考慮する必要がある。したがって、

予防原則に立った場合、どの地域に居住する都民も、将来にわたって健康で安全な環

境を享受できるよう、地域ごとの特性に応じたきめの細かい化学物質対策を実施し、

効果的に地域の環境リスクを低減することが重要である。 以上の観点から、地域性を考慮した化学物質対策のあり方を検討するため、平成

18 年 7 月に、都において、専門家で構成される化学物質対策検討会が設置された。化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

場から、「地域性」をキーワードに、専門家による検討を進めてきた。 本報告書は、平成 19年度から都において実施する「リスクコミュニケーション推

進地域モデル事業」の推進などに資するため、平成 18 年度における検討内容について、一定のとりまとめを行ったものである。

平成 19年 4月

化学物質対策検討会 座長 中杉 修身

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化学物質対策検討会委員名簿

(五十音順、敬称略)

氏 名 所 属 専門分野

○ 内山 巌雄 京都大学大学院工学研究科 教授 公衆衛生

亀屋 隆志 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 准教授

環境安全工学

崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー

NPO 法人新宿環境活動ネット 代表理事

環境コミュニケーショ

ン 環境教育・環境活動

佐々木 裕子 東京都環境科学研究所 分析研究部長

環境調査分析

◎ 中杉 修身 上智大学 地球環境学研究科 教授 化学物質のリスク評価

東野 晴行 独立行政法人 産業技術総合研究所 化学物質リスク管理研究センター 環境暴露モデリングチーム長

化学物質の暴露評価モ

デル

(臨時委員) 内田 信夫

日本航空電子工業株式会社 生産・環境推進部 環境シニアエキスパート

昭島市環境配慮事業者

ネットワーク 幹事

◎:座長、○:座長代理

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目 次

1. 都におけるこれまでの化学物質対策...........................................................................2

(1) 都における化学物質対策の経緯とその概要 ..........................................................2 (2) 都におけるリスクコミュニケーションの関連施策................................................7

2. 地域性を考慮した化学物質対策の必要性....................................................................8

(1) 都内全体での化学物質の大気中濃度と排出量の状況 ............................................8 (2) 地域による化学物質の大気中濃度と排出量の差異..............................................10

3. 地域性を考慮した化学物質対策の考え方..................................................................14

(1) 地域性を考慮したリスク評価の考え方................................................................14 (2) 地域連携によるリスク管理とリスクコミュニケーション ...................................16

4. 地域連携による環境リスク低減の進め方(モデル地域での取組に向けて).............19

(1) リスクコミュニケーションを進めるための動機付け ..........................................19 (2) リスクコミュニケーションを進めていく手順例 .................................................20

5. モデル事業を開始するに当たって ............................................................................23

(1) モデル地域の選定に当たっての考え方................................................................23 (2) モデル事業の展開についての考え方 ...................................................................23

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1. 都におけるこれまでの化学物質対策

(1) 都における化学物質対策の経緯とその概要

物質の種類及び施策の手段の両方の観点から都の化学物質対策の全体像を示すと、表 1

のようになる。

表1 都における化学物質対策の全体像の概念図

(大気・公共用水域への排出削減対策)

重金属等の

無機化合物

揮発性有機化合物 (VOC)

農薬

ダイオ キシン類

内分泌か

く乱化学

物質

濃度規制

制 排出防止設備 の設置義務

PRTR 制度

排出量等

の把握・

報告を通

じての排

出削減の

促進

化学物質

適正管理

制度

その他の施策

ア 環境確保条例に基づく有害ガス及び有害物質の規制

都では、大気や公共用水域などへの有害化学物質の排出防止対策として、昭和 45 年か

ら旧東京都公害防止条例で有害ガス及び有害物質の規制基準を定め、工場及び指定作業場

に対して濃度規制を行うとともに、炭化水素系物質の貯蔵施設に対して蒸発防止設備の設

置などを義務付けてきた。 これらの規定は、平成 12 年に同条例を全面改正した都民の健康と安全を確保する環境

に関する条例(略称で「環境確保条例」。)に移行するとともに、新たに、有害ガス取扱施

設及び有害物質取扱施設に対する構造基準を設けた。 ① 濃度規制の対象の有害ガス 人の健康に障害を及ぼす物質のうち気体状又は微粒子状物質(ばい煙を除く。)であ

る 42種類の化学物質を「有害ガス」と規定しており、その種類ごとに排出口における

物質の 種類 施策

の手段

ダイオキ

シン類対

策特措法 環境確保

条例に基

づく規制

水濁法 大防法

環境確保 条例の 取扱範囲

化学物質排出把握管理促進法 化学物質排出把握管理促進法

取組方針子ども

ガイド

ライン

(鉛) (殺虫剤)

自主的取組の促進

水濁法

都の独自の VOC対策

(光化学オキシダント対策)

取組方針

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濃度による規制基準値を設定している。 ② 濃度規制の対象の有害物質 人の健康に障害を及ぼす物質のうち水質又は土壌を汚染する原因となる 26 項目の

化学物質を「有害物質」と規定しており、その項目、新設・既設の設置区分、工場・

指定作業場の事業場の種類、水域区分ごとに、濃度による規制基準値を設定している。 ③ 有害ガス取扱施設の構造基準等の遵守 印刷業やクリーニング業など有害ガスを排出する工場及び指定作業場の設置者には、

有害ガス取扱施設の構造を基準に適合させるとともに、使用及び管理の方法について

基準の遵守を義務付けている。 ④ 炭化水素系物質の排出防止 ガソリンスタンドなど炭化水素系物質を貯蔵する場合などに、蒸発防止設備(ベー

パーリターン設備など)を設けることを義務付けている。 ⑤ 有害物質取扱施設の地下浸透防止の構造基準等の遵守 めっき業など有害物質を取り扱う工場及び指定作業場の設置者には、地下浸透防止

のため、有害物質取扱施設の構造を基準に適合させるとともに、使用及び管理の方法

について基準の遵守を義務付けている。 イ 化学物質の排出量等の把握及び報告を通じた適正管理及び排出削減の促進

平成 11 年に、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する

法律(略称で「化学物質排出把握管理促進法」。以下「化管法」という。)が制定され、平

成 13年 4月から、同法に基づく PRTR制度(環境汚染物質排出移動登録制度)が施行された。これにより、同法上の対象物質を取り扱う事業者に対し、事業活動に伴う化学物質

の排出量及び移動量の把握及び届出が義務付けられた。 一方、都は、平成 13年 10月から、環境確保条例に基づく独自の化学物質適正管理制度

を開始した。この制度は、人の健康への障害があるなど、性状及び使用状況等から特に適

正な管理が必要とされる化学物質を対象として、環境への排出の抑制や有害性の少ない代

替物質への転換などを図るため、事業者に対して、使用量や排出量などを自ら把握し報告

することを求めるものである。 対象の化学物質は、化管法に基づく PRTR制度においては、人や生態系に対して有害性

があり、かつ、環境中に広く存在するものとして 354種類が指定されている。これに対し、環境確保条例に基づく化学物質適正管理制度においては、同条例に基づく濃度規制におい

て対象としている有害ガス及び有害物質の 58種類に限っている。 これらの制度の相違点について、表 2に示す。

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表2 化学物質管理対策の二つの制度の相違点

PRTR制度 化学物質適正管理制度 全体合計

対象物質 の着眼点

人や生態系への有害性(オゾ

ン層破壊性を含む。)があり、

環境中に広く存在する物質と

して指定されたもの 354種類

人の健康に障害を及ぼす物質

のうち、性状及び使用状況等

から特に適正な管理が必要と

される物質として指定したも

ので、規制基準による濃度規

制の対象物質にもなっている

もの 58種類

計 370種類 (重複 42種類)

対象の 事業所

・ 年間取扱量 1 トン以上※1の製造業等 23業種(平成 14年度までは 5トン以上)

・ 従業員数 21人以上

・ 年間取扱量 100kg 以上の工場及び指定作

業場

把握及び 報告内容

2項目 ・ 環境への排出量 ・ 事業所外(廃棄物・下

水道)への移動量

5項目 ・ 使用量 ・ 製造量 ・ 製品としての出荷量 ・ 環境への排出量 ・ 事業所外(廃棄物・下

水道)への移動量

報告件数※2 1,487件 3,038件 環境への 排出量※2

合計 3,347トン (前年度比 436トン減少)

合計 5,898トン (前年度比 796トン減少)

計 6,791トン (重複 2,454トン)

※1 354 種類の第一種指定化学物質のうち、ベンゼンなど、発がん性があると評価されている 12 種類の特定第一種指定化学物質については、年間取扱量 0.5 トン以上の事業所がPRTR制度の対象である。

※2 報告件数及び環境への排出量は、平成 17年度の結果を示す。 環境確保条例に基づく化学物質適正管理制度においては、化管法よりも対象事業者を小

規模の事業者に範囲を拡大しているとともに、法にはない使用量、製造量及び製品として

の出荷量の把握及び報告も義務付けている。 したがって、都においては、同制度の対象事業者(適正管理化学物質取扱事業者)にお

ける化学物質の排出削減等の取組の分析が、環境への排出量の減少だけでなく、排出率(使

用量に対する環境への排出量の比率)などの指標を用いても可能となっている。排出率の値は、

排出ガス処理装置の導入を行うことなどによって小さくなることから、これも事業者によ

る化学物質の排出削減努力の指標の一つとなる。 また、都独自の化学物質適正管理制度の特徴として、適正管理化学物質取扱事業者に対

して化学物質管理方法書の作成を義務付けていることがあげられる。化学物質管理方法書

は、都が示す化学物質適正管理指針に基づき、事業所ごとに作成する、化学物質を適正に

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管理するための方法書である。適正管理化学物質取扱事業者のうち従業員数が 21人以上の事業所については、化学物質管理方法書の提出も義務付けている。 ウ 揮発性有機化合物の排出削減の自主的な取組の促進

化学物質適正管理制度に基づき事業者から報告された環境への排出量のうち、99%が揮

発性有機化合物(VOC)である。VOC は、多くの物質がそれ自身に有害性があるだけでなく、浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの生成の原因物質にもなっている。化学物質

適正管理制度で対象としている VOCは 35種類であるが、工業などにおいて使用されている代表的な VOCだけでも約 200種類はあると言われている。このため、平成 17年度からは、条例の制度等に加えて、様々な VOC対策を実施している。 図 1に、平成 12年度における都内での蒸発系固定発生源からの VOC排出量の内訳を示

す。

※ 図中、「大防法」とは、大気汚染

防止法に基づく濃度規制の対象施設

から排出されたと推計される量、「中

小」とは、同法の規制対象以外で自

主的取組が求められる工場及び事業

場からの推計排出量、「屋外」とは、

屋外塗装の工事により排出されたと

推計される量をいう。

図1 都内における蒸発系固定発生源からの VOC排出量の内訳

平成 16年に大気汚染防止法が改正され、VOCの排出抑制を図るため、規制と事業者が

行う自主的取組とを適切に組み合わせて施策等を実施する規定が設けられた。しかしなが

ら、都内においては、同法に基づく規制対象の事業所は、平成 19年 3月末現在で 19事業所だけである。このため、都においては、事業者による自主的取組を促進するための各種

の対策を実施している。 また、図 1に示すとおり、蒸発系固定発生源の VOC排出量の約 3割を屋外塗装が占め

ることから、低 VOC塗料の使用促進にも力を入れている。 都におけるこれらの主な VOC対策を表 3に示す。

中小

屋外

大防法

中小

中小

中小

中小

その他 4,020 4%

金属表面処理3,9504%

給油 10,90012%

クリーニング11,06012%

印刷 20,54022%

塗装 43,61046%

中小

平成12年度

94,080 トン/年

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表3 都における主なVOC対策

対策の分類 対策メニュー

排出規制 大気汚染防止法及び環境確保条例に基づく濃度規制 環境確保条例に基づく炭化水素系物質の蒸発防止設備設置の義務付け

自主的取組への

技術支援

環境確保条例に基づく化学物質適正管理制度における化学物質管理方法書の活用による事業者への計画的排出削減の誘導

東京都 VOC対策ガイド(工場内編)の発行と周知 中小事業者への VOC対策アドバイザーの無料派遣

低 VOC 製品の使用促進

東京都 VOC対策ガイド(屋外塗装編)の発行と周知 低 VOC塗装セミナーの開催 公共性の高い事業での低 VOC 製品の率先使用の要請と公表によるさらなる普及促進

対策の効果把握

PRTR制度と化学物質適正管理制度による排出量等の把握 都内全体の VOC排出量とその内訳の把握(5年に 1度) 大気汚染防止法に基づく有害大気汚染物質の常時監視及び都独自の VOC連続測定による大気中の VOC濃度の測定

エ その他の化学物質対策に関する取組

都では、化学物質対策に係る施策の体系化を図り、内分泌かく乱化学物質等の化学物質

問題に適切に対処するため、以下の方針を策定し、庁内関係各局と連携して全庁的に対策

を推進するとともに、有害化学物質による環境汚染の未然防止に取り組んでいる。

「東京都有害化学物質対策基本方針」(平成 8年 1月策定) 「東京都の内分泌かく乱化学物質問題に対する当面の取組について ―東京都環境ホルモン取組方針―」(平成 10年 7月策定)

「東京都ダイオキシン類対策取組方針」(平成 12年 3月改定) 「化学物質の子どもガイドライン ─ 鉛ガイドライン(塗料編)─」(平成 14年 7月策定)

「 〃 (殺虫剤樹木散布編)」(平成 16年 3月策定)

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(2) 都におけるリスクコミュニケーションの関連施策

ア リスクコミュニケーションあり方検討委員会における検討

平成 13年度から、化管法に基づく PRTR制度や環境確保条例に基づく化学物質適正管

理制度が開始され、公表される事業者からの化学物質の排出量等のデータにより、環境へ

排出される化学物質に関する情報を関係者が共有化できる状況になってきた。 このことから、東京都におけるリスクコミュニケーションのあり方や化学物質情報の都

民への提供のあり方を検討するため、都は、平成 13 年 7 月に、専門家で構成される「リスクコミュニケーションあり方検討委員会」を設置した。 本検討委員会は、6回の会合を経て、平成 15年 3月に報告書をとりまとめている。この

中で、大規模事業者については、平成 14年度から開始したリスクコミュニケーションパイロット事業のさらなる拡大などを求めるとともに、中小事業者に対する都の取組について

は、環境報告書やサイトレポート(事業所単位の環境報告書)の簡易版である「ミニ環境

報告書」の作成支援などを提言している。 イ リスクコミュニケーションパイロット事業

平成 14 年度から 3 年間、都は、上記の検討委員会での検討に平行して、既に環境報告

書やサイトレポートを作成していた先進的な企業に働きかけ、環境報告書などを地域住民

に対して説明する地域説明会にまで発展させるパイロット事業を進めてきた。本事業にお

いては、国立環境研究所と共同して、地域説明会への参加者に対するアンケートを実施し、

その内容の解析を行った。 本事業などの成果については、平成 14 年度から毎年、リスクコミュニケーション事例

報告会を開催して、他の事業者への情報提供をしている。 ウ リスクコミュニケーション事例報告会

リスクコミュニケーションパイロット事業については、平成 16 年度で終了となった。

しかし、リスクコミュニケーションに関心があるが実施方法がわからない事業者に対して、

先進的事業者から情報提供や工夫等を紹介してもらい、リスクコミュニケーションのさら

なる普及を図るため、都は、その後も継続して、リスクコミュニケーション事例報告会を

毎年開催している。 以上述べてきた都における化学物質対策については、東京都環境局のホームページにお

ける「東京都の有害化学物質対策」のサイトにおいて、それらの詳細が掲載されている。 URL: http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/chem/

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2. 地域性を考慮した化学物質対策の必要性

(1) 都内全体での化学物質の大気中濃度と排出量の状況

大気汚染防止法に基づく有害大気汚染物質の常時監視の結果によると、図 2に示すとお

り、環境基準が設定されている 4物質とも、都内全体での年平均値は、近年減少傾向にある。 また、化管法に基づく PRTR制度及び条例に基づく化学物質適正管理制度による都内全

体での環境への排出量の推移についてみても、図 3に示すように、排出量は順調に減少している。

ベンゼンの年平均濃度 トリクロロエチレンの年平均濃度

テトラクロロエチレンの年平均濃度 ジクロロメタンの年平均濃度

図2 都内における有害大気汚染物質の年平均濃度の推移

0

2

4

6

8

10

9 10 11 12 13 14 15 16 17年度

μg/m3

一般局

自排局

0

2

4

6

8

10

9 10 11 12 13 14 15 16 17年度

μg/m3

一般局

自排局

0

1

2

3

4

9 10 11 12 13 14 15 16 17年度

μg/m3

一般局

自排局

0

2

4

6

8

10

9 10 11 12 13 14 15 16 17年度

μg/m3

一般局

自排局

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(1) 化管法によるPRTR制度に基づく環境への排出量の推移

(2) 条例による化学物質適正管理制度に基づく環境への排出量の推移

図3 都内における化学物質の環境への排出量の推移

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

13 14 15 16 17

年度

環境への排出量 (トン/年)

その他

エチルベンゼン

テトラクロロエチレン

ふっ化水素及びその水溶性塩

ほう素及びその化合物

トリクロロエチレン

キシレン

ジクロロメタン

トルエン

注: 平成13・14年度は、年間取扱量5トン以上が対象。

5,479

4,282 3,976

3,782 3,347

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

14 15 16 17

年度

環境への排出量 (トン/年)

その他

メチルエチルケトン

酢酸ブチル

テトラクロロエチレン

メタノール

トリクロロエチレン

キシレン

ジクロロメタン

酢酸エチル

イソプロピルアルコール

トルエン

7,967 7,661

6,694 5,898

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(2) 地域による化学物質の大気中濃度と排出量の差異

大気汚染防止法に基づく有害大気汚染物質の常時監視の結果について測定局別にみる

と、物質によっては、地域による差異が見られる。例えば、図 4 に示すように、ベンゼンでは、大気中のベンゼン濃度に与える寄与が、自動車等の移動発生源からの排出によるも

のが大きいと考えられることから、一般環境大気測定局の間で大きな差異は見られないが、

トリクロロエチレンは、測定局周辺の地域における排出量にほぼ対応する形で、濃度の測

定結果に地域差が見られる。

(1) ベンゼンの大気環境濃度(折れ線グラフ)※と排出量(棒グラフ)

図4 地域別の化学物質の大気環境濃度と大気への排出量(平成17年度データ)

※ 各折れ線グラフの表題は、それぞれの一般環境大気測定局

の名称を示す(バックグラウンドとして測定している「檜原」は

「大気測定所」。)。

港区白金

01

2345

67

4月

6月

8月

10月

12月

2月

江戸川区春江町

大田区東糀谷

01234567

4月

6月

8月

10月

12月

2月

世田谷区世田谷

国設東京新宿

0

12

3

4

56

7

4月

6月

8月

10月

12月

2月

檜原

0123

4567

4月

6月

8月

10月

12月

2月

足立区西新井

01

23

45

67

4月

6月

8月

10月

12月

2月

小金井市本町

0

12

34

56

7

4月

6月

8月

10月

12月

2月

東大和市奈良橋

0

1

234

5

6

7

4月

6月

8月

10月

12月

2月

0

1

2

3

4

5

6

7

4月

6月

8月

10月

12月

2月

八王子大楽寺町

八王子片倉町

200

〔Kg〕

400600800

0

1

2

3

4

5

6

7

4月

6月

8月

10月

12月

2月

都内平均

01234567

4月

6月

8月

10月

12月

2月

01234567

4月

6月

8月

10月

12月

2月

01234567

4月

6月

8月

10月

12月

2月

〔μg/m3〕各局平均値 環境基準値(年平均)

01234567

4月

6月

8月

10月

12月

2月

練馬区石神井台

01234567

4月

6月

8月

10月

12月

2月

・固定発生源からのベンゼンの排出量には地域的な偏りが見られるが、大気環境濃度には大きな地域差は見られない。・自動車等の移動発生源から排出されるベンゼンが、環境濃度に大きく寄与しているためと考えられる。

板橋区氷川町

各測定局の年平均値 環境基準値(年平均) 3μg/m3

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(2) トリクロロエチレンの大気環境濃度(折れ線グラフ)※と排出量(棒グラフ)

図4 地域別の化学物質の大気環境濃度と大気への排出量(平成17年度データ)

※ 各折れ線グラフの表題は、それぞれの一般環境大気測定局

の名称を示す(バックグラウンドとして測定している「檜原」は

「大気測定所」。)。

港区白金

江戸川区春江町

大田区東糀谷

世田谷区世田谷

国設東京新宿

檜原

足立区西新井練馬区石神井台

小金井市本町

東大和市奈良橋

八王子大楽寺町

20000

〔Kg〕

400006000080000

都内平均

〔μg/m3〕

各局平均値 環境基準値(年平均) 200μg/m3

0

4

8

12

16

20

4月

6月

8月

10月

12月

2月

0

4

8

12

16

20

4月

6月

8月

10月

12月

2月

0

4

8

12

16

20

4月

6月

8月

10月

12月

2月

0

4

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16

20

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0

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0

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12

16

20

4月

6月

8月

10月

12月

2月

板橋区氷川町

八王子片倉町

・固定発生源からのトリクロロエチレンの排出量にほぼ対応する形で、大気環境濃度に地域差が見られる。・トリクロロエチレンは、めっき・金属製品製造業などの業種に多く使用されており、それらからの排出が、近傍の環境濃度に影響を与えていると考えられる。

各測定局の年平均値 環境基準値(年平均) 200μg/m3

Page 16: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

12

図 5は、化管法に基づく PRTR制度と条例による化学物質適正管理制度の両者から得ら

れる環境への排出量のデータを合わせ、区市町村別に排出量の大きい順で並べて、大気・

公共用水域などの排出先別に棒グラフを区分けしたものである。なお、42種類の化学物質については、両者の制度で同じものを指定していることから、年間取扱量 1 トン以上の事業者のデータについてはダブルカウントとならないよう考慮している。 この図からわかるように、化学物質の環境への排出量は、地域によって大きく異なる。 また、環境への排出量の大半は、大気への排出である。図 6は、大気への排出量につい

て、物質別に区分けして示したものである。化学物質の種類やその排出量の構成について

も、地域によって大きく異なることがわかる。したがって、地域によって様々に異なる化

学物質の性質や曝露濃度などを考慮した地域の化学物質対策が必要である。 さらに、事業所の従業員数の規模別に区分けしたものを図 7に示す。最も排出量の大き

い A市については従業員数が 301人以上の事業所からの排出量が大半であるが、多くの区市については、従業員数が 300人以下の中小事業者からの排出量が多くの割合を占めていることがわかる。 以上のように、都内全体をみると化学物質の大気中の濃度や排出量は減少傾向にあるが、

工業団地や住工混在地域などが存在することにより、地域によって排出される化学物質の

種類や排出量が大きく異なることから、化学物質による環境リスクが偏在する。したがっ

て、どの地域に居住する都民も、将来にわたって健康で安全な環境を享受できるよう、地

域ごとの特性に応じたきめの細かい化学物質対策を実施し、効果的に地域の環境リスクを

低減することが必要である。

図5 区市町村別・排出先別の環境への排出量

(平成17年度におけるPRTR制度と化学物質適正管理制度のデータを合算したもの)

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

800000

900000

1000000

A市B区C区D区E区F区G市H区 I市 J区K区L区M区N市O市P区Q区R町S市T市U市V市W区X区Y区Z市

AA区

AB市

AC市

AD市

AE区

AF市

AG市

AH区

AI区

AJ市

AK市

AL市

AM市

AN市

AO区

AP市

AQ区

AR市

AS市

AT市

AU市

AV区

AW区

AX町

AY町

AZ市

BA町

BB村

BC村

BD町

環境への排出量 (kg/年) 埋立処分量

土壌への排出量

公共用水域への排出量

大気への排出量

Page 17: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

13

図6 区市町村別・物質別の大気への排出量

(平成17年度におけるPRTR制度と化学物質適正管理制度のデータを合算したもの)

図7 区市町村別・従業員規模別の大気への排出量

(平成17年度におけるPRTR制度と化学物質適正管理制度のデータを合算したもの)

平成17年度における都内の大気への排出量(区市町村別・物質別)

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

800000

900000

1000000A市B区C区D区E区F区G市H区 I市 J区K区L区M区N市O市P区Q区R町S市T市U市V市W区X区Y区Z市

AA区

AB市

AC市

AD市

AE区

AF市

AG市

AH区AI区

AJ市

AK市

AL市

AM市

AN市

AO区

AP市

AQ区

AR市

AS市

AT市

AU市

AV区

AW区

AX町

AY町

AZ市

BA町

BB村

BC村

BD町

大気への排出量 (kg/年)

その他

メチルエチルケトン

酢酸ブチル

テトラクロロエチレン

メタノール

トリクロロエチレン

キシレン

ジクロロメタン

酢酸エチル

イソプロピルアルコール

トルエン

法のPRTR制度及び条例の化学物質適正管理制度の両方で得られる合計の排出量

都内の大気への排出量の物質別割合

酢酸ブチル,219041kg , 4%

メチルエチルケトン,199373kg , 3%

その他, 664963kg ,11%

トルエン, 1202278kg, 18%

イソプロピルアルコール, 903513kg ,

14%

酢酸エチル,669543kg , 11%

ジクロロメタン,611889kg , 10%

テトラクロロエチレン,231689kg , 4%

メタノール, 374354kg, 6%

トリクロロエチレン,554899kg , 9%

キシレン, 592985kg ,10%

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

700000

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1000000

A市B区C区D区E区F区G市H区 I市 J区K区L区M区N市O市P区Q区R町S市T市U市V市W区X区Y区Z市

AA区

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AM市

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AZ市

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BB村

BC村

BD町

大気への排出量 (kg/日)

301人以上

101人以上300人以下

21人以上100人以下

20人以下

従業員数

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3. 地域性を考慮した化学物質対策の考え方

(1) 地域性を考慮したリスク評価の考え方

ア 大気由来の環境リスクを中心とした評価

前章で述べたように、化学物質の排出量や種類が地域によって大きく異なることから、

都内全体での排出量の低減とともに、地域の特性に応じた環境リスクの低減策も検討する

必要がある。 その際、工業団地や住工混在地域などを念頭に環境リスクの低減策を考える必要がある

ことから、以下で言う「地域」は、区全体・市全体という広い範囲ではなく、例えば、工

業団地とその周辺、町丁目レベルでの住工混在地域など、比較的限られた範囲を考えるこ

ととする。 ところで、一般的には、化学物質の環境リスクとは、化学物質が環境を経由して、人の

健康や生態系に悪い影響を及ぼす可能性を意味する。 地域における化学物質のリスク管理を考える場合、飲食物の摂取、化学物質を使用した

製品等による皮膚接触、移動発生源からの経路による呼吸による曝露については、それぞ

れが広域的に流通したり移動したりするものを取り扱うことから、地域内だけで対策が講

じられるようなリスク管理を行うことは極めて難しい。そのため、地域性を考慮した環境

リスクについては、特に、地域内の固定発生源から排出された化学物質による大気からの

曝露に着目してリスク評価を行うことが重要である。 ただし、地域においてリスクコミュニケーションを行う際は、大気由来のほかに水系や

土壌などからの経路での曝露の環境リスクもあることを関係者相互で確認し、その上で、

地域の化学物質に関する取組としては、大気由来の環境リスクを中心に取り上げていくと

いう認識の共有化を図ることが必要である。また、地域によっては、化学物質の有害性に

起因する人への健康影響としての環境リスクだけではなく、生態系への影響や臭気などに

よる感覚的な影響などを考慮する場合もあり得る。 さらに、地域における環境配慮活動としては、化学物質対策だけでなく、廃棄物の排出

削減対策、温暖化対策、環境配慮商品の購入、地下水の保全対策など、幅広く取り上げる

ことが望ましい。

図8 人の健康に影響を及ぼすおそれのある化学物質の曝露経路

(太字は、地域性を考慮した化学物質対策で特に注目すべき経路)

人への健康影響 呼 吸 大気

食物摂取 飲食物・水

皮膚接触 化学物質を使用した製品等

固定発生源 移動発生源 固定発生源 土壌

Page 19: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

15

イ 環境リスクの相対的な比較による評価

環境リスクは、有害性と曝露量の両面を考慮したものである。 化管法第一種指定化学物質の中でも生産量・排出量の多い物質など、約 150種類の個別

物質の環境リスクについては、経済産業省において、平成 13年度から、化学物質総合評価管理プログラム等の一環として、文献精査による有害性評価と PRTRデータを用いた広域的な曝露評価に基づく初期リスク評価が行われており、平成 19年 3月末現在で、57物質が公表されている。しかし、地域レベルの曝露やリスクの分布と差の解析なども含めた詳

細リスク評価については、検討されているものが 30物質であり、このうちこれまでに公表されたものは 12物質にとどまっている。さらに、複数の化学物質による相加的又は相乗的な環境リスクの評価については、研究がかなり遅れているのが現状である。 したがって、多種多様な化学物質の複合的な有害性と地域レベルの曝露とを組み合わせ

た「地域性を考慮した環境リスクの評価」については、現段階では不確実性が大きいため、

絶対値としての評価が困難な状況にある。 しかしながら、地域性という観点からみると、地域内で着目すべき個々の化学物質の環

境リスクの比較、地域内やその周辺の相対的な環境リスクの分布の把握、具体的な排出削

減対策を実施した前後の環境リスクの比較など、「相対的なリスク評価」については可能で

あると考えられる。 ウ 現段階で可能な地域におけるリスク評価のアプローチ

地域性を考慮した環境リスクの評価を行う手法として、現段階で可能なアプローチは次

の 2つに分類される。 ① 環境モニタリングデータの活用 ② 排出量等のデータとソフトを使用した地図等による濃度分布表示の活用 環境モニタリングデータについては、対象とする地域の近傍に有害大気汚染物質の常時

監視の測定局がある場合は、図 4で示したとおり、その測定局周辺の固定発生源からの化学物質の排出に関してリスク評価を行う際に有効に活用できる。しかし、多くの場合は、

対象とする地域は、測定局からかなり離れたところにある。したがって、特定の地域にお

ける環境リスクの曝露評価を行うためには、その地域内及び周辺における大気中の化学物

質濃度のモニタリングを別途行うことが望ましい。 特定の地域におけるモニタリングによる曝露評価は、リスク評価の精度を高めることが

可能となる。しかし反面、モニタリングにはコストがかかることがデメリットとなる。 そのため、地域内の事業者と協力し合いながら、化学物質の排出量データなどを使用し

て、無料配布されているソフトを利用した地図による曝露濃度の分布表示を行うことが必

要となる。現在、地域で利用可能な大気環境濃度予測モデルのソフトには、(独)産業技術

総合研究所が開発した低煙源工場拡散モデル(METI-LIS)と曝露・リスク評価大気拡散モデル(ADMER)がある。

Page 20: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

16

以上のように、特定の地域における環境リスクの評価については、その地域におけるモ

ニタリング、各種の化学物質の排出量などのデータに基づくモデルシミュレーションが基

本となる。これらの結果について、リスクコミュニケーションの場において地域住民など

に、事業者、専門家、行政などが説明する際には、できるだけ簡略化したり、地図による

表現をしたりするなど、わかりやすく示す工夫に力を入れていくべきである。

(2) 地域連携によるリスク管理とリスクコミュニケーション 前章で示したように、化学物質の大気への排出量は、地域によって大きく異なるととも

に、中小事業者からの排出量が多くの割合を占めている。したがって、排出量が比較的大

きな地域において、多くの中小事業者も巻き込んだ環境リスクの低減の取組が必要である。 これまで、リスクコミュニケーションを伴ったリスク管理の取組は、大規模な事業者に

限られていた。すなわち、多くの中小事業者では、リスクコミュニケーションを単独で実

施することが困難な状況にある。 そのため、地域内の複数の事業者や住民が連携して、環境リスクを低減するために協働

して取組を進める体制づくりをしていくことが重要である。そこで、これから進めるべき

地域連携による新たな体制づくりは、以下の基本的な考え方が必要である。 ① 複数の事業者が連携して取り組むことによる事業者どうしのサポート

複数の事業者がリスクコミュニケーションの場に参加することにより、事業者間の

連携を強化し、排出削減に資する技術情報等の共有化を図る。特に、地域における大

規模事業者は社会的影響力や責任がより大きいものと考えられることから、地域の中

小事業者に対して、可能な限り技術的なサポートをする体制をつくることが望ましい。 このような体制をつくるに当たっては、現在、環境配慮活動を行う事業者のネット

ワークが形成されているところが各地で増えつつあるので、これらの既存のネットワ

ークとの連携などにより体制づくりを進めていくことも考えられる。 ② 地域における環境配慮活動の合意形成

図 9 に示すような関係者で構成される「地域環境協議会」の発足を目指し、その意

見交換の場でリスクコミュニケーションを積極的に行い、事業者や住民等が環境リス

クの低減や地域におけるさまざまな環境配慮活動に向けて、気運を高めるとともに、

関係者が共通の認識をもつ。 また、地域連携においては、特定の地域の事業者や住民だけでなく、環境リスクに

関する解説を行う専門家の協力を得るとともに、パートナーシップ型の環境 NPO も「つなぎ役」として参加することが必要である。

Page 21: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

17

図9 地域ぐるみで環境配慮活動を行うための体制づくりのイメージ

③ 地域住民も行動する環境配慮活動の計画づくり

地域環境協議会の場で意見調整を行いながら、事業者による化学物質の排出削減等

に向けた取組だけでなく、地域の住民も環境配慮の活動に参加するような「地域自主

行動計画」を策定する。 ④ 地域の環境配慮活動におけるPDCAのマネジメントシステムの導入

「地域自主行動計画」に基づく各関係者の取組については、一定期間ごとに、それ

らの成果を「地域環境報告書」として地域環境協議会でとりまとめる。その結果につ

いて、関係者による見直しを行い、必要に応じて、次の自主行動計画につなげていく。

このように、計画策定(Plan)→ 実施(Do)→ 検証(Check)→ 改善(Action)というマネジメントサイクルを通じて、地域における環境配慮活動を継続的に行ってい

くことが重要である。 ⑤ 行政などによる地域の環境配慮活動のアピール

地域における基礎的自治体である区市町村や、国やマスメディアなどとの関係が大

きい都は、様々な機会を通じて、地域における活発な環境配慮活動を対外的にアピー

ルしていくことにより、環境配慮活動を積極的に地域振興に結びつくようにしていく。 このように、環境配慮活動を軸とした地域の活性化を効果的に行っていくためには、

行政においては、環境関係の部門だけでなく、普及啓発や地域振興に関する他の部署

との密接な連携のもとに、地域での活動を進めていく必要がある。 以上で示した地域連携のための新たな体制づくりの基本的な考え方に基づき、地域環境

協議会が設置された場合、本協議会における具体的な検討については、以下の取組例が考

えられる。

地域環境協議会

大規模事業者

中小事業者 中小事業者

行 政

住 民

ネットワーク

共通認識 合意形成

NPO 専門家

協力

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① 地域の環境に関する学習会の実施 ② 地域性を考慮した環境リスクの評価・把握 ③ 地域の固定発生源対策のために特に着目すべき化学物質の把握 ④ 地域の環境リスクを低減させるための方向性の合意 ⑤ 化学物質の環境リスク低減以外での地域における環境配慮活動の方向性の合意 ⑥ 「地域自主行動計画」の策定 ⑦ 「地域自主行動計画」に基づく対策の実施 ⑧ 計画の進捗状況及び目標達成状況の確認 ⑨ 「地域環境報告書」の作成 ⑩ 「地域環境報告会」の開催 ⑪ 新たな目標設定と対策のレベルアップ ⑫ 新たな「地域自主行動計画」に基づく対策の推進 ①~⑫に示す地域環境協議会における取組例は、あくまでも例であって、地域の関係者

の共通認識として、基本的な学習会から始めなくてもよいと判断される場合は、環境リス

クの把握や環境配慮活動の方向性についての議論から開始することもあり得る。また、基

本的な学習会などについては、地域環境協議会を発足する以前の取組として開始すること

もあり得る。 いずれにしても、当初の段階から関係者の可能な限りの参加を得て、地域環境協議会と

その取組の具体的な形態や進め方などについて、時間をかけて話し合いや準備を行い、十

分に合意形成を図ることが必要である。 以上述べてきたような地域一体型の取組を進めることにより、特に環境リスクが相対的

に大きい地域において、環境リスクの低減を図っていくことが極めて重要である。

Page 23: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

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4. 地域連携による環境リスク低減の進め方(モデル地域での取組に向けて)

(1) リスクコミュニケーションを進めるための動機付け

前章で述べたような基本的な考え方に基づき地域連携を進めるに当たっては、複数の事

業者や住民に行政が働きかけを行い、地域においてリスクコミュニケーションを進めるた

めの動機付けを行うことが必要となる。都は、平成 19年度より、本検討会での検討などを踏まえて、「リスクコミュニケーション推進地域モデル事業」を実施することとしている。

この事業を進めるに当たっては、モデル事業の候補となる地域において、関係者によって

いかに前向きに取り組むための基盤が形成されるかが成功の鍵を握っていると言っても過

言ではない。 このリスクコミュニケーションの基盤づくりには、以下のように、各関係者がそれぞれ

の役割を担うことが必要である。

地域において、複数の事業者や住民が参加するコミュニケーションの基盤づくりを進めるため、行政が、そのけん引役となる。

環境配慮活動を既に進めている大規模事業者が、地域における取組の先導役となる。 地域の住民や事業者は、化学物質に対する理解だけでなく、地球環境問題など、他の環境リスクの理解を深める。

各参加者は、地域における環境配慮活動の活発な取組が注目を集めることにより、地域振興にも資するようになることを認識していく。

図10 地域におけるコミュニケーションの基盤づくりのイメージ

住民グループ

事業者グループ

行政が仲介役となり、両者

を引き合わせ、協力体制を

築くとともに、環境に対する

意識付けをする。

目標

【環境リスクの低減】

に向けて前進

→ 情報提供の努力

義務のある PRTR 届

出対象事業者などが

先導役となる。

→ 自治会、

NPO等からの

参加を求める。

Page 24: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

20

(2) リスクコミュニケーションを進めていく手順例

リスクコミュニケーションを進めるためには、住民や事業者などの関係者がその必要性

を認識して意見交換をしようとする機運を高めなければならない。そのためには、地域環

境協議会において、まず地域の環境に関する学習会を開催して、共通認識のための取組を

開始することが必要である。

環境 ISOの認証を取得するなど、CSR(企業の社会的責任)への意識が高い大規模事業者が地域に存在する場合は、その事業者が既に実施している周辺住民との懇談会などを踏

まえ、周辺の事業者も参加できる学習会や意見交換の場を形成することができる。 以下に、具体的に、リスクコミュニケーションを進める手順例を示す。この手順例は、

地域環境協議会の中での取組例として示したものであるが、あくまでも一例であり、地域

によっては学習会や初期の意見交換の段階を経た後に地域環境協議会を設立するなど、地

域の特性に応じて適用を変えていく必要があることは言うまでもない。 ① 化学物質などに関する基本的な知識についての共通理解の促進

地域環境協議会において、特定の地域における環境リスクや環境問題に関する学習会の場を設定する。

学習会においては、化学物質に精通した専門家(化学物質アドバイザー等)に、解説者としての協力を求める。この解説者は、現段階では不確実なことについては、

適確に不明であることを説明できる人材でなければならない。 化学物質に関する基本的な知識の習得に当たって、行政などは、わかりやすく解説した資料を作成する。

化学物質の化学的性状、毒性、人体への影響等について、詳細な情報が必要な場合は、「化学物質ファクトシート」や「初期リスク評価書」などを活用する。

地域における環境問題としては、化学物質の環境リスクだけでなく、廃棄物問題、温暖化問題、環境配慮商品の購入、地下水の保全など、幅広く取り上げることが望

ましい。 そのためには、地域の将来を担う子どもたちも参加する形で、地域における課題発見のためのウォーキング・イベントなどを開催するのも一つの方法である。

② 地域における化学物質の排出量データ等を用いた解析

③に示す大気中濃度のモニタリングの実施いかんに関わらず、地域におけるリスクコミュニケーションを進めるためには、ソフトを利用した大気拡散の解析を行い、

地図による大気濃度の分布表示などにより、環境リスクの状況についての理解を深

める必要がある。 そのため、事業者と行政は、協力し合いながら、工場・事業場から排出される化学物質の排出量、排出濃度、排出口の高さ・風量、建物の形状等に関する情報をもと

に、METI-LISを活用した大気拡散のシミュレーションを実施する。

Page 25: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

21

また、モニタリングの対象物質の排出量に関する広域的なデータに基づき、ADMERなどを用いて、当該地域の周辺からの影響による濃度分布を解析する。

この解析は、パソコンを用いて行うものであることから、地域の高校生などが参加して、地域の学校における総合的な学習の一環として実施することも一つの方法で

ある。 ③ モニタリングの実施

地域において、化学物質の大気中濃度のモニタリングが必要との認識に至った場合、測定地点などについての意見を事業者及び住民から求め、測定物質、測定地点、測

定時期などについて、合意形成を図る。 この際、行政などからは、②の大気拡散のシミュレーションに基づき、効果的な測定地点を提案する。

行政などは、合意内容に基づき、モニタリングを実施する。 行政や専門家は、化学物質の大気中濃度のシミュレーションやモニタリングの結果を利用して、化学物質に係る有害性(総合的な毒性、発がん性、オゾン生成能など)

の観点から、当該地域における環境リスクの評価を行い、測定地点相互及び排出さ

れる化学物質相互で環境リスクを相対的に比較する。 ④ 事業者サイドと住民サイドとの環境配慮活動に向けた対話のための体制づくり

以上までの学習会の段階から、さらに、地域における環境配慮活動に向けて、本格的な意見交換の場に発展させる必要がある。

意見交換の場においては、上記の解説者とは別に、進行役として適切な人材を選任し、会の進行を依頼する。

意見交換の場においては、円滑なコミュニケーションを図るため、「前向きな建設的な意見を可能な限り出す。」、「特定の事業者や個人を誹謗中傷しない。」、「自由な

意見を妨げない。」など、話し合いのための基本ルールづくりを行う。ただし、特

定の事業所からの化学物質の排出に関して話題とすることは意見交換において当

然必要なことである。 行政など、化学物質の大気中濃度のシミュレーションやモニタリングを実施した関係者は、それらの結果などを意見交換会に提示し、化学物質による排出状況や環境

リスクの程度について説明する。 これらの結果などを検討の素材として意見交換を行い、地域環境の概況、注目すべき物質(重点的に削減に取り組む必要がある化学物質)、化学物質の適正な管理方

法、有害性の低い代替物質への転換等について、専門家(化学物質アドバイザー等)

の説明や助言を受けながら対話を進める。

Page 26: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

22

⑤ 環境リスクの低減に向けた取組の展開

地域環境協議会についてマスメディアに取り上げてもらい、“環境意識の高い地域”や“事業者・住民の積極的姿勢”をアピールする。

排出削減対象に掲げる化学物質、排出削減目標(達成時期、削減量、削減率)、具体的方策等について、関係者の合意のもとに決定する。なお、具体的方策等の助言

については、個々の事業者が別途、専門家に聴いて助言を得ることも考えられる。 地域環境協議会で検討を行い合意に至った内容について、行政がサポートしながら、「地域自主行動計画」としてとりまとめ公表する。

Page 27: 地域性を考慮した化学物質対策のあり方について ─ 平成18年度報 … · 化学物質のリスク評価、リスク管理及びリスクコミュニケーションに関わる様々な立

23

5. モデル事業を開始するに当たって

(1) モデル地域の選定に当たっての考え方

都は、本検討会における検討などを踏まえて、前章までに述べた地域連携による新たな

リスクコミュニケーションを実際に進めるため、特定の地域を選定して、「リスクコミュニ

ケーション推進地域モデル事業」を実施することとしている。 このモデル地域の選定に当っては、以下のような考え方に基づくことが必要である。

モデル事業が円滑に進められるよう、既に、大規模な事業者などにより、当該事業者の環境活動に関して地域懇談会などを設けて住民との対話の実績があるところ

や、住民による環境学習や環境配慮の活動などが進められている地域を選定するこ

とが必要である。 可能な限り、化学物質の排出量や各種の有害性(総合的な毒性、発がん性、オゾン生成能など)の重み付けをした環境リスクが、相対的に大きい地域を選定すること

が望ましい。

(2) モデル事業の展開についての考え方 地域連携による新たなリスクコミュニケーションの方法論については、それぞれの地域

の特性に応じて臨機応変に適用していくべきものであるが、どの地域でも共通して取り組

めるような普遍的な事項は存在するものと考えられる。そのため、都は、モデル事業にお

ける実際の取組から、一般化できる方法論を常に抽出・整理していくよう努力すべきであ

る。その意味においても、モデル事業の実施に当たり、地域環境協議会などの経過とその

内容について記録を付けたり、中間段階などにおいて、関係者へのアンケートを実施した

りするなどの対応が必要である。 モデル事業については、取組の成否にかかわらず、都が事業の検証を行うとともに、本

検討会において経過報告を行い、委員からの意見を聴いて、次の展開に役立たせるべきで

ある。 都は、全国の地方公共団体から注目される自治体であることから、「リスクコミュニケ

ーション推進地域モデル事業」が先駆的な事業として評価され、全国的にも拡大していく

よう、この新たな取組に果敢に挑戦していただきたい。

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化学物質対策検討会設置要綱

18環改有第 239号 平成 18年 7月 4日

(名称) 第 1 本検討会の名称は、化学物質対策検討会(以下「検討会」という。)とする。 (設置目的) 第 2 化学物質による環境リスクの適切な評価、地域と連携した化学物質対策の促進及び環境リスクの低減、その他都における化学物質対策の推進に当たり必要な事項について、

専門的な見地から意見を聴くため検討会を設置する。 (検討事項) 第 3 検討会は、次に掲げる事項を検討する。

(1) 化学物質による環境リスクの把握、評価、解析に関すること。 (2) 環境リスク低減のための具体的方策及び地域との連携のあり方に関すること。 (3) その他必要な事項

(構成) 第 4 検討会は、学識経験者等のうちから、環境局長が委嘱する委員 8人以内をもって構成する。

2 環境局長は、必要があると認めるときは、検討会に臨時委員を置くことができる。 3 環境局長は、必要があると認めるときは、検討会に委員以外の者を出席させ、意見を求めることができる。

(任期) 第 5 委員の任期は、就任の日から 2年間とする。 (座長) 第 6 検討会に座長を置き、委員の互選によりこれを定める。 2 座長は、検討会を代表し、会務を統括する。 3 座長に事故があるときは、座長があらかじめ指定する委員がその職務を代理する。 (招集) 第 7 検討会は、環境局長が招集する。 (庶務) 第 8 検討会の庶務は、環境局環境改善部有害化学物質対策課において処理する。 (その他) 第 9 この要綱に定めるもののほか、検討会の運営に関し必要な事項は、別途、座長が定める。

附 則 この要綱は、平成 18年 7月 5日から施行する。

参考資料

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平成18年度の検討経過

第 1回 平成 18年 7月 31日(月) ・ 東京都の化学物質対策の現状について ・ 地域性を考慮した化学物質対策について ・ 今後の検討の進め方について

第 2回 平成 18年 10月 11日(水) ・ 地域性を考慮した環境リスクの評価及び管理について ・ 環境リスクの評価手法について

第 3回 平成 18年 12月 19日(火) ・ 地域における連携と協働の進め方について ・ 平成 18年度報告書の構成について

第 4回 平成 19年 4月 3日(火) ・ 平成 18年度報告書(案)について

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地域性を考慮した化学物質対策のあり方について

─ 平成18年度報告書 ─

化学物質対策検討会 発 行 平成 19年 4月

東京都環境局環境改善部有害化学物質対策課 東京都新宿区西新宿 2-8-1 電話 03(5388)3503