「魅せます!いわきの農業・農村」 - iwaki · 2020. 11. 12. · - 3 - 第2節...

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(平成 28 年度~平成 32 年度) 「魅せます!いわきの農業・農村」 ~食のおいしさを求め、人がつながる農業・農村の創生~ 平成 28 年 1 月 いわき市

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(平成 28年度~平成 32年度)

「魅せます!いわきの農業・農村」

~食のおいしさを求め、人がつながる農業・農村の創生~

平成 28年 1月

いわき市

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魅せます!いわきの農業・農村

~食のおいしさを求め、人がつながる農業・農村の創生~

いわき市は、平成 23 年度より「新いわき市農業・農村振興基

本計画」に基づき、『力強い農業経営の確立と笑顔あふれる農業・

農村の創造』を基本理念として、本市農業の持続的発展、農業・

農村の振興に向けた各種施策の推進を図ってきたところであり

ます。

また、平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災、それに伴

う東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故に起因する風評の払

拭に向け、農業者、関係機関・団体などの皆様と連携し、いわき

産農産物の各種PRキャンペーン等を実施するとともに、消費者

の皆様ご自身に安全・安心を判断していただけるよう、放射性物質検査結果などの判断

材料を提供する「いわき見える化プロジェクト」を展開してきたところであります。

しかしながら、本市の農業を取り巻く環境は、震災以前からの課題である農業者の減

少・高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加に加え、原発事故の風評による農産物の価

格低迷や生産量減少など多くの課題を抱えており、さらには、急激な社会経済情勢の変

化も相まって、大変に厳しい状況となってきております。

このことから、その課題や状況に的確に対応していくため、本市農政の新たな指針と

なる「いわき市農業・農村振興基本計画(平成 28 年度~平成 32 年度)」を策定いたし

ました。

この計画は、『魅せます!いわきの農業・農村〜食のおいしさを求め、人がつながる

農業・農村の創生~』を基本理念に掲げ、3つの施策の柱のもと、6つの基本項目に分

類し、62 の振興すべき施策をとりまとめたものであり、さらに、喫緊の課題解決のため、

相乗効果が見込まれる施策を戦略的に体系化し、重点戦略として位置づけたものであり

ます。

本市におきましては、震災後、復興や風評払拭に向けた取組みを通じて、行政はもと

より、農業関係者や料理人、さらには消費者などとの間で、新たな人のつながりを築い

てきたところであります。今後は、これまでのつながりをさらに広げ、あらゆる人々と

連携しながら、さらに多くの人がつながる魅力あふれる農業・農村を創り上げ、次世代

へつないでいきたいと考えております。

今後とも、市民の皆様が将来に希望の持てるまちづくり、そして「明るく元気ないわ

き市」の創造に向け、全力で取り組んで参りますので、皆様には、なお一層のご支援と

ご協力をお願い申し上げます。

結びに、本計画の策定にあたり、ご尽力いただきました策定委員の皆様をはじめ、関

係機関・団体の皆様に対し、心からお礼を申し上げます。

平成28年1月

いわき市長 清 水 敏 男

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目 次

第1章 計画の基本的な考え方

第1節 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

第2節 計画の期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第3節 計画の性格 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

第4節 計画の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

第2章 本市の特性と農業・農村の現状

第1節 本市の特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

第2節 本市における農業・農村の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

第3節 本市農業・農村の問題点・特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

第3章 本市農業・農村の目指す姿

第1節 基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

第2節 振興施策の柱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

第3節 基本項目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

第4章 本市農業・農村の振興施策

第1節 振興施策の体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

第2節 具体的な振興施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

1 『人』~担い手の育成・確保~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30

2 『農地』~農地と水の確保~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

3 『経営』~経営力の強化~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

4 『生産』~いわきらしい生産振興~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

5 『流通・消費』~安全性の確保とブランド化・6次産業化~ ・・・・・・・40

6 『農村』~環境と共生した活力ある地域づくり~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・44

第5章 重点戦略

第1節 重点戦略の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48

第2節 取組むべき戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

重点戦略1 「いわき産農産物の付加価値化」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

重点戦略2 「需要に対応した農産物の生産量の確保」 ・・・・・・・・・・・・・・・51

重点戦略3 「担い手の育成・確保」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53

第6章 計画の推進体制と進行管理

第1節 計画の推進体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56

第2節 関係者の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57

第3節 計画の進行管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

第4節 数値目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

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第1章

計画の基本的な考え方

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第1章 計画の基本的な考え方

第1節 計画策定の趣旨

これまで、本市農業は、平成23年度を初年度とし平成27年度を目標年度とする

「力強い農業経営の確立と笑顔あふれる農業・農村の創造」を基本理念とした「新い

わき市農業・農村振興基本計画」に基づき、本市農業・農村の振興を図ってまいりま

した。

平成23年3月11日に発生した東日本大震災、それに伴う沿岸部の津波により多

くの尊い人命を失うとともに、農地、農業用施設などが甚大な被害をうけました。

このことに加え、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放出された大量の

放射性物質による農用地等の汚染や、農産物の出荷制限などの被害に加え、その風評

により、消費者の買い控えや市場の取引価格の下落等が見られ、さらに震災以前から

課題となっていた農家数の減少や農業者の高齢化の進行、後継者不足、耕作放棄地の

増加なども相まって、非常に厳しい状況に置かれております。

また、我が国を取り巻く社会経済情勢については、地球温暖化などの地球環境問題

に併せ、環太平洋パートーナーシップ(TPP)協定、東アジア地域包括的経済連携

(RCEP)、自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)等の経済連携に向け

た動きなどにより、さらに変化していくものと考えられます。

このような中、県においては、平成25年3月に、東日本大震災及び原子力災害か

らの復興と、以前よりも豊かで魅力ある農林水産業・農山漁村の創造を目標とした「福

島県農林水産業振興計画 ふくしま農林水産業新生プラン」を策定しました。さらに

は、国においても、平成27年3月に、農業や食品産業の成長産業化を促進する産業

政策と、多面的機能の維持・発揮を促進する地域政策を車の両輪とした「強い農業」

と「美しく活力ある農村」の創出を目標とした新たな「食料・農業・農村基本計画」

を策定するなど、農業の振興に向けた様々な農業政策が講じられているところです。

こうした本市農業・農村の情勢と国・県の計画などを踏まえ、複雑化する課題解決

を図り、農業・農村の振興施策を総合的、計画的に進めることが一層必要となってい

ることから、今後の本市農業・農村の目指すべき姿とその実現方策を明確にするため

に、平成32年度を目標年度とした本市農政の新たな指針となる「いわき市農業・農

村振興基本計画(平成28年度~平成32年度)」を策定するものです。

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第2節 計画の期間

計画の期間は、平成 28 年度(2016 年)を初年度とし、平成 32 年度(2020 年)を

目標年度とする5ヵ年の計画とします。

また、この計画は、農業・農村を取り巻く情勢等、大きく変化があった場合は、計

画の見直しについて弾力的に対応していくものとします。 目標年度

現 状 平成 32年度

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第3節 計画の性格

本計画は、いわき市総合計画基本計画に掲げた「農業の振興」を基本として、本市

農業・農村の振興に向けた基本理念の実現を目指し、今後の農業施策を総合的に推進

していくための計画として、また、農業者、関係機関・団体、そして市民等が連携を

図って農業振興を推進していく際の指針とします。

◎他計画との関係図

※計画名については、平成 27年 12月現在

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第4節 計画の構成

全6章立てで構成する。

第1章 計画の基本的な考え方

第2章 本市の特性と農業・農村の現状

第3章 本市農業・農村の目指す姿

第4章 本市農業の振興施策

第5章 重点戦略

第6章 計画の推進体制と進行管理

本市農業の目指す姿を実現するための方策を明確にする

第 3 章

本市農業・農村の目指す姿

現状・課題を把握し、本市農業の目指す姿を明確にする

第1章

計画の

基本的な

考え方

第 2 章

本市の特性と

農業・農村の

現状

第 4 章

農業・農村

の振興施策

第 5 章

重点戦略

第 6 章

計画の推進体制

と進行管理

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第2章

本市の特性と農業・農村の現状

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資料:「気象庁 HP(2014 年小名浜測候所月別平均)」

第2章 本市の特性と農業・農村の現状

第1節 本市の特性

本市は、福島県の東南端に位置し、南は茨城県、東は太平洋に接しており、

人口約 32 万 4000 人(H27.4.1 現在)、市の広さは、1,232.02 ㎢(東京 23

区の約 2 倍の広さ)で、地形は、西方の阿武隈高地(標高 500~700m)か

ら東方へゆるやかに低くなり、東側には夏井川や鮫川などの下流域を中心に、

比較的排水が良好な土壌である細粒質の灰褐色土の平野となだらかな丘陵

地が広がっています。

また、年間の日照時間も長く、寒暖の差が比較的少ない温暖で過ごしやす

い気候に恵まれています。

また、交通についても、常磐自動車道、磐越自動車道の高速道路や国道6

号、49 号等の幹線道路などの道路網及びJR常磐線、磐越東線の鉄道網に

より、首都圏や仙台市、郡山市などの地方都市と結ばれており、特に大消費

地である首都圏まで約 200 ㎞と近い立地環境にあります。

0

50

100

150

200

250

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

いわき

年合計 2061.5h

東京

年合計 1921.5h

月別合計日照時間(h)

0

5

10

15

20

25

30

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

いわき

年平均 13.5℃

東京

年平均 16.4℃(℃)

月別平均気温

0

50

100

150

200

250

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月

いわき

年合計 1414.5㎜

東京

年合計 1538.2㎜

月別合計降水量(㎜)

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第2節 本市における農業・農村の現状

1.農家数の推移

平成 22 年の農家数は、7,823 戸となっており、平成 17 年と比較する

と 742 戸減少(8.7%減)、平成2年と比較すると 3,184 戸減少(28.9%

減)しており、年々減少しています。

また、第1種及び第2種兼業農家についても年々減少傾向にあるもの

の、自給的農家や専業農家については年々増加傾向にあります。

特に、専業農家については、平成 17年と比較すると 167戸増加(21.0%)

しています。

なお、中核的農家数については、年々減少傾向にありましたが、平成

17 年からは 49 戸増加(19.2%増)しています。

資料:「農林業センサス」(農林業を営んでいるすべての農家等を対象に5年毎に行われている調査) ※専業農家:世帯員のうちに兼業従事者が一人もいない農家をいう。

※第 1種兼業:世帯員のうちに兼業従事者が一人以上いる農家をいい、自営農業を主とする農家をいう。

※第 2種兼業:世帯員のうちに兼業従事者が一人以上いる農家をいい、自営農業を従とする農家をいう。

※自給的農家:経営耕地面積が 30a未満でかつ農産物販売金額が 50万円未満の世帯。

※中核的農家:16歳以上 60歳未満の男子世帯員で、自家農業従事日数が 150日以上の者のいる農家をいう。

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

2058 2118 2507 2563

7293 6534 5995 4902 3958

816814

460359

338

646

563682

797964

887 374 314 255 304

自給的農家 第2種兼業農家 第1種兼業農家 専業農家 中核的農家

農家数

(戸)

11,0079,969 9,255

8,565 7,823

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2.農家人口の推移

平成 22 年の農家人口は、21,309 人となっており、平成 17 年と比較す

ると 5,269 人減少(19.8%減)、平成2年と比較すると 30,746 人減少

(59.1%減)しており、20 年間で半数以下まで減少しています。

また、65 歳以上が占める割合については、平成2年では 19.9%、平成

17 年では 30.4%に対し、平成 22 年では 33.3%となっており、高齢化が

進んでいます。

資料:「農林業センサス」(農林業を営んでいるすべての農家等を対象に5年毎に行われている調査)

注) 平成 2年までは、15歳以下で区分

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

10046 7549 5900 3008 2127

31647

2692124755

1548112095

10362

1105911615

80897087

65歳以上

15~64歳

14歳以下

農家人口

(人)52,055

45,529 42,270

26,578

21,309

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3.農業就農人口の推移

平成 22 年の農業就農人口は、7,285 人となっており、平成 17 年と比

較すると 1,632 人減少(18.3%減)、平成2年と比較すると 6,789 人減少

(48.2%減)しており、20 年間で約半数まで減少しています。

なお、女性就農者は、平成 17 年と比較すると 1,123 人減少(22.3%減)、

平成2年と比較すると 5,162 人減少(56.9%減)しており、特に著しく

減少しています。

また、65 歳以上が占める割合については、平成2年では 38.4%、平成

17 年では 64.9%に対し、平成 22 年では 69.1%となっており、農業就業

者の高齢化及び後継者不足が進んでいます。

資料:「農林業センサス」(農林業を営んでいるすべての農家等を対象に5年毎に行われている調査) ※農業就業人口:15歳以上の世帯員のうち、自営農業のみに従事した者及び自営農業以外の仕事に従事していても、

年間労働従事日数からみて自営労働従事日数の方が多い者をいう。

注) 平成 2年は、16~29歳で区分

農業就農人口

(人)

5,040

3,368

6,292

4,531

3,8774,302

7,527

3,917

9,079

4,995

14,074 12,058 10,594 8,917 7,285

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4.新規就農者の確保状況

新規就農者については、毎年確保しているものの、少人数にとどまっ

ています。

平成 22年度 平成 23年度 平成 24年度 平成 25年度 平成 26年度

新規就農者数 6 4 10 5 6

資料:「農業委員会調べ」 ※農地法第 3条の許可取得者

5.認定農業者の推移

経営感覚に優れた効率的かつ安定的な農業者を育成し、これらの農業

経営が地域の農業生産の大部分を担うような農業構造を確立するため制

定された認定農業者制度の適用を受けた農業者は、平成 22 年度以降、ほ

ぼ横ばい状態で推移しています。

資料:「農政課調べ」(各年度 3 月末現在) ※認定農業者:市が策定した「農業経営基盤の強化の促進に関する基本構想」に沿って、経営意欲ある農業

者が、経営規模の拡大や生産方式の合理化等に関する農業経営改善計画を作成し、市が認定

した農業者。

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6.経営耕地面積の推移

平成 22 年の経営耕地面積は、6,210ha となっており、平成 17 年と比

較すると 144ha 減少(2.3%減)、平成2年と比較すると 2,081ha 減少

(25.1%減)しており、20 年間で約4分の1減少していますが、農家1

戸あたりの経営耕地面積は、平成 22 年で 0.79ha となっており、平成 17

年の 0.74ha、平成2年の 0.75ha と比較すると若干増加傾向にあること

から、担い手等への農地集積が進んでいるものと考えられます。

資料:「農林業センサス」(農林業を営んでいるすべての農家等を対象に5年毎に行われている調査)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年

6369 6014 57274981 4798

17491420

12601281 1331

173143

11092 81

田 畑 樹園地

経営耕地面積

(ha)

6,2106,354

7,0977,5778,291

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7.農業粗生産額の推移

平成 25 年の農業粗生産額は、114.4 億円となっており、平成2年と比

較すると総額で78.8億円減少(40.8%減)し、水稲で31.2億円減少(39.6%

減)、野菜で 15.7 億円減少(31.7%減)、畜産 19.0 億円減少(42.8%減)、

果実で 2.6 億円減少(50.0%減)しており、長期的には減少傾向にありま

す。

しかし、震災発生直後の平成 23 年と比較すると 22.5 億円増加(24.5%

増)しており、さらには、震災前の平成 17 年と比較すると 1.7 億円増加

(1.5%増)しており、回復傾向にあります。

資料:「福島農林水産統計年報」 ※農業粗生産額:農産物別生産数量に農産物別農家庭先販売価格を乗じて算出した額である。 ※平成 23・24年度の花きについては、その他に分類

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第3節 本市農業・農村の問題点・特徴

本計画を策定するにあたって、生産者、関係機関・団体、市場関係者等

からなる「新たないわき市農業・農村振興基本計画策定委員会」、庁内横断

的な関係課の課長職で構成される「同幹事会」及び係長職で構成される「同

プロジェクトチーム会議」の3階層の会議により審議を行ってきました。

その中で、現状等に基づく意見交換による問題点等の整理を行ってきま

した。その内容については、次のとおりです。

1.本市の農業・農村における問題点

【人に関すること】

○震災後、出荷者数の減少や離農者の増加などの傾向が見られ、全体的に

見た場合、(特に兼業農家の)生産意欲が減退している。

○担い手不足

・担い手の高齢化が進む(認定農業者 60~70 代が多い)

・新たな担い手がいない。後継者が不足のため、生産規模・量が減少

○主力となる定年層の農業者の中で、収益性を高めるためのノウハウを有

している者が少ない。

○新規就農者の定着が良くない

○農業を初めようとしても、初期投資や軌道に乗るまでの生活資金等いろ

いろな問題がある。

【農地に関すること】

○ほ場整備率が低い。(県平均より低い)

※整備の機運が上がらない。

・受益者負担金がネックである。

・地域での合意形成が難しい。

・10a 区画で整備済ほ場が多い(10a 整備率約 80%)

※補助事業導入の場合、時間がかかるが、市単独で大規模な整備を行

う体力がない。

○兼業農家が多いため、集積をするための整備がすすんでいない。

○中山間地をはじめとする未整備地や地理・地形的条件の悪い農地の

今後の保全に不安がある

○担い手のみでは、農地・集落の維持管理をできない状況になってきて

いる。

○耕作放棄地が増加している。

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【経営に関すること】

○農業粗生産額をどうやって回復させるか。

○TPP や人口減少等による今後の農業への不安。

○収益性が低く、儲かる農業が実現されていない。

○集積・集約が進まないため、作業効率が悪い。

【生産に関すること】

○日照時間が長く、温暖な気候のため、いろいろな野菜を生産できるが

故、多品目になり産地化が進まない。

○「エコファーマー・特別栽培・有機農業の作業手間」>「価格経済性」

【流通・消費に関すること】

○風評などにより地産地消が進まない。

・地元米を敬遠する者がいる。

・以前より他産地米が入ってきている。

・地元での買い控えが多い。

・学校給食等で利用できる規格の揃った物量が足りない。

・市場にいわき産のものが集まってこない。

(トマト、いちごなどはいわき産もあるが、他産地の方が多い)

○ロットが確保できない。

・兼業農家が多く毎日同規格の品物の確保ができない。

・何でも作れるが故に多品目栽培になっており、ロットが揃わない。

○ブランド力が足りない。競争力が弱い。

・一定程度の品質になるとどの産地も同じで差別化できるポイントが

ない。

○ロットが揃わない→産地化・ブランド化が進まない→

プライスリーダーになれない・価格が上がらない→儲からないの悪循環

【農村に関すること】

○震災以降、農作物のイノシシ被害が激増している。

○集落形成が難しくなってきている。

・特に中山間地域は厳しい

・高齢化が進んでいるため。

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2.本市農業・農村の特徴

【人に関すること】

○営農意欲のある農業者が多い。

※トマトなどは生産量が伸びている。

○やる気のある・意識の高い若手農業者が多い。

※10~20 年後、地域農業を牽引できる者がいる。

【農地に関すること】

○農地が余っている状態(耕作放棄地等)のため、以前より集積しや

すい状況になってきている。

○兼業農家が多い。

※農地・集落の保全・維持に貢献

【経営に関すること】

○経営・ビジネス感覚をもった生産者が多くなってきている。

【生産に関すること】

○日照時間が長く、温暖な気候

・いろいろな野菜を生産できる。

・施設栽培に適している。

【消費・流通に関すること】

○生産地でもあり、消費地でもある立地環境にあり、生産者と消費者

の距離が近い。

○物流に係るコストが高騰し続けているため、物流コストが低い地元

産物が有利。

○首都圏での販路拡大の成功事例がある。

○復興事業等により得た販路拡大や PR 活動のノウハウは強み

※さまざまな仕掛けが作りやすい関係性も構築された。

【農村に関すること】

○広域な市域のため、沿岸地域(平野部)や山間地域(山間部)など様々

な自然環境を有している。

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第3章

本市農業・農村の目指す姿

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第3章 本市農業・農村の目指す姿

第1節 基本理念

農業・農村はわれわれ市民にとって食料の安定供給の場となっているほか、

国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承

等の多面的機能を有し、その更なる発揮が求められています。

本市においては、日照時間が長く、年間を通して寒暖差の少ない温暖な気

候条件を有し、広い市域における様々な営農環境を活かして、多種多様な農

産物が生産されてきました。

しかし、農業従事者の減少・高齢化や農産物の価格低迷、農村の活力低下

などに加え、原発事故による風評の影響が根強く残り、本市の農業・農村が

非常に厳しい状況に置かれており、こうした状況は、農業者だけの問題では

なく、日常生活の基礎となる「食」の恩恵を受ける市民一人ひとりの生活に

も影響を及ぼします。

そのため、本市の目指す姿として、本市農業を将来にわたって持続できる

ように、次世代を担う新規就農者や地域農業の中心となる担い手を確保する

ことに併せて、おいしさや安全・安心など消費者等のニーズに対応した農産

物を生産することにより、農業者だけでなく、消費者等にも魅力のある農業

を創り上げます。

また、豊かな地域資源を活かして、都市部と農村の共生・交流により、活

力ある農村を創り、次世代に受け継いでいきます。

そこで、市民一人ひとりに農業・農村のもつ価値や魅力などを再認識して

いただくため、農業者だけではなく、消費者をはじめ食に携わるあらゆる人

に、その魅力を訴求しながら、震災後、行政のみならず、農業関係者や料理

人、さらには消費者などとの間で、復興や風評払拭に向けた取組みを通じて

培ってきた新たな人のつながりの輪をさらに広げ、あらゆる人のつながりに

より、本市農業・農村の目指す姿の実現に向け、各種施策を進めていきます。

以上のことを踏まえ、

を基本理念に掲げ、本計画を策定し、本市農業・農村の振興を図ります。

魅せます!いわきの農業・農村

~食のおいしさを求め、人がつながる農業・農村の創生~

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第2節 振興施策の柱

基本理念のもと次の3つを施策の柱に位置付け、農業振興に係る施策

展開を図ります。

◎持続的発展のための土台づくり

本市農業の持続的発展に向け、農業生産の根幹となる人材(担い手)

の育成・確保、優良農地の確保を図りながら、農業経営の安定・強化の

推進を図ります。

◎安全で特色のある農業づくり

本市の特色を十分に活かした適地適作や施設園芸などによるいわきら

しい農産物の生産振興を推進し、生産量の増大を図りながら、いわき産農

産物の安全性やおいしさなどの魅力の効果的な情報発信などにより、いわ

き産農産物のブランド化や地産地消に向けた取組の推進を図ります。

◎地域資源を活かした農村づくり

生活・生産基盤や地域資源の保全のための地域における共同活動の支援

や、地域の豊かな資源を活用した交流に関する取組みによる活力ある農村

づくりの推進を図ります。

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第3節 基本項目

3つを施策の柱の下に6つの基本項目を位置付け、農業振興に係る施策展

開を図ります。

1.『人』

本市においても、後継者不足や農産物の価格低迷による営農意欲の減

退などにより、農家及び農業従事者が減少しています。

また、地域農業の中心となるべき担い手についても、高齢化が進んで

おり、今後、意欲ある担い手の育成が急務となっています。

このことから、本市農業の持続的発展を目指すため、効果的な就農・

営農支援体制を構築し、次世代の農業を担う新規就農者や地域に根ざし

た定年帰農者など、今後の本市農業を支える農業者の育成・確保を図っ

ていきます。

また、農業者がやりがいを持って意欲的に農業に取り組むことができ

るよう、女性農業者や高齢農業者の活動に対する支援のほか、地域農業

を牽引する効率的で安定的な農業経営体の育成を図っていきます。

2.『農地』

本市においても、高齢化や担い手不足、農産物の価格低迷による営農意

欲の減退等により、耕作放棄地が増加傾向にあり、良好な営農環境の維持

と安全で安心な食料の安定的確保を図るため、土地の有効利用と農業の健

全な発展を目的とする農業振興地域制度の適切な運用を図り、優良農地を

確保していきます。

また、生産性向上による効率的・安定的な農業経営の確立を図るため、

地域のニーズを的確に捉えながら、地域の実情・立地条件に応じた生産基

盤の整備を進めていきます。

さらには、老朽化が著しい農業水利施設等については、農業生産性を維

持するため、計画的に保全を進めていきます。

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3.『経営』

多様な流通・販売ルートの拡大による農業における流通のグローバリゼ

ーションの進展がみられる中、本市農業の持続的な発展に向け、農業経営

の高度化、生産性の高い農業構造の確立が求められていることから、意欲

ある農業者等が将来にわたって農業を継続し、経営発展に取り組むことが

できるよう、経営安定対策を充実させるとともに、経営体の高度化を図る

ため、経営体の法人化に向けた支援をしていきます。

また、情報通信技術(ICT)を有効活用することにより、省力化や生産

コストの低減等を図り、農業経営の更なる効率化を図っていきます。

4.『生産』

本市の長い日照時間を生かした施設栽培や地勢的特徴を活用した適地

適作により、地域間競争において優位性を確保できる特色ある品質の高い

農産物の生産拡大による産地形成の促進を図っていきます。

また、貴重な地域資源でもある昔野菜や多様化する消費者ニーズを踏ま

えた新たな作目・品種の導入など、多様な農産物の生産振興を図っていき

ます。

さらには、農産物の安定供給を図りながら、さらなるおいしさを追求し、

消費者の安全・安心のニーズに対応し、消費者の信頼を獲得する農産物の

生産を推進していきます。

このことに併せて、本市においても、農薬や化学肥料の多用による生態

系や農村環境への影響が懸念される中、新鮮で安全・安心な農産物を提供

するため、農薬や化学肥料の使用を控えた環境負荷の少ない農業の確立が

求められています。

このことから、有機農業の拡大をはじめとするエコファーマーの育成や

家畜排せつ物の堆肥化による堆肥の利用拡大など、今後も環境負荷の低減

を進め、循環型農業に継続的に取り組むなど、環境との調和に配慮した農

業生産を進めていきます。

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5.『流通・消費』

いわき産農産物を積極的かつ継続的に選択いただけるよう、消費者や流

通関係者に対し、安全・安心に関する情報を発信するとともに、いわき産

農産物のおいしさなどの魅力を効果的に伝えながら、付加価値化を図るた

め、情報発信力を強化していきます。

また、流通の高度化や多様化する消費者ニーズに的確に対応するため、

生産力の強化と併せ、販売戦略の強化をしていきます。

さらには、本市は、多様な農産物が生産される生産地でもあり、消費地

でもあることから、農産物直売所への支援や食農教育を推進するなど、地

産地消を強化していきます。

このことに併せて、農産物の価格が低迷し、農業所得の減少、営農意欲

の減退等が見受けられることから、農産物の新たな利活用や商品開発、販

売や生産方法の確立を図るため、関係機関・団体との連携により、他産業

との交流・連携を推進し、農業の高付加価値化を促進していきます。

6.『農村』

本市農村においても、高齢化や人口減少により、農村の多面的機能や活力

が低下し、集落機能の維持・強化が求められていることから、兼業農家も含

め、地域担い手も育成・確保を図っていきます。

また、野生鳥獣の生息分布域の拡大等により増えている農作物被害を軽減

するため、野生鳥獣との共生を図りながら、鳥獣の個体数管理や、電気柵や

侵入防止柵などの設置、緩衝帯の整備などによる被害防止策により、鳥獣被

害の軽減を図っていきます。

なお、農村の場・人材や魅力的な地域資源を活用した都市と農村の共生・

交流により、市民等に対して農業に触れる機会を提供し、市民の農業・農村

に対する理解を深め、活力ある地域づくりを推進していきます。

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第4章

本市農業・農村の振興施策

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第4章 本市農業・農村の振興施策

第1節 振興施策の体系

施策体系図

『魅せます!いわきの農業・農村』

持続的発展のための土台づくり

地域資源を活かした農村づくり

安全で特色のある 農業づくり

1『人』 ~担い手の育成・確保~

2『農地』 ~農地と水の確保~

3『経営』 ~経営力の強化~

4『生産』

~いわきらしい生産振興~

5『流通・消費』

~安全性の確保とブランド化・6次産業化~

6『農村』 ~環境と共生した活力ある地域づくり~

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第2節 具体的な振興施策

【持続的発展のための土台づくり】

基本項目 基本施策 個別施策 重点戦略

1 2 3

1 『人』 担い手の

育成・確保

力強い担い手の育成・確保

意欲ある若手専業農家の育成・支援

認定農業者の育成・支援 認定新規就農者の育成・支援 ○ 女性農業者の活動の支援 集落営農の推進 ○ 農業支援者の活用

多様な担い手の育成・確保

新規就農希望者への支援 ○ 経営継承の促進 関係団体・企業等の農業参入を支援

定年帰農者の支援 技術・ノウハウの伝承

2 『農地』 農地と水の確保

農地の確保と 有効利用

優良農地の確保 ○ 耕作放棄地の発生防止 ○

農業生産基盤の保全・整備

農地の保全・整備 ○ 農業水利施設等の保全・整備 農道の整備

3 『経営』 経営力の強化

経営安定対策 営農資金融資制度等の活用促進 国・県等の制度の有効活用

農業経営の 効率化

担い手への農地の利用集積の推進 人・農地プランの作成・活用 法人化へ向けた支援 ○ 経営の多角化・複合化を推進・支援

農業経営力の向上 情報通信技術(ICT)の活用 生産施設等の整備拡充と近代化 農業団体の再編と育成強化

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【安全で特色のある農業づくり】

基本項目 基本施策 個別施策 重点戦略

1 2 3

4 『生産』 いわきらしい

生産振興

農産物の 生産振興

消費者ニーズと合致した農産物の供給

いわきの気候・地勢的特色を活用した適地適作による生産振興

戦略作目の産地づくり促進 いわき昔野菜の承継・普及拡大 ○ 施設園芸の強化による生産量の 増大

生産性の高い畜産の振興 飼料自給率の向上

環境保全型農業と有機性資源の循環利用の推進

エコファーマーの育成・支援 特別栽培農産物生産の推進

有機農業の推進

有機質の循環と土づくりの推進

『流通・消費』 安全性の確保と

ブランド化・

6次産業化

安全・安心で 安定的な 農産物の流通

放射性物質検査の実施 トレーサビリティの普及・啓発 農業生産工程管理(GAP)の普及・啓発

生産履歴記帳の普及・啓発 中央卸売市場の活性化

地産地消の 推進

市内流通の促進 ○ 食農教育の推進 ○ 農産物直売所等への支援 ○

農林産物の ブランド化

ブランド化の推進 販路の強化 料理人との連携

情報発信の 強化

いわき産農産物の魅力を発信

トップセールス等による PR

各種農業関連情報の受発信

6次産業化等へ向けた連携

6次産業化へ向けた関係機関・団体等との連携強化

生産・加工技術等の改善・強化 ○

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【地域資源を活かした農村づくり】

基本項目 基本施策 個別施策 重点戦略

1 2 3

『農村』 環境と共生した

活力ある地域づ

くり

多面的機能の維持・発揮

多面的機能支払制度の推進 ○ 中山間地域等直接支払制度の推進 ○

鳥獣被害対策の推進

鳥獣による農作物等への被害防止対策の推進

関係機関・団体との連携

都市と農村の 共生・交流

農業体験の推進 市民農園・滞在型市民農園の整備の支援

交流拠点の機能強化

集落の活性化 多様な人材の確保 集落機能の維持・強化

※本表の「重点戦略」欄に○印のついている個別施策については、「第5章重点戦略」において重点

的に取り組む施策です。

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1 『人』 ~担い手の育成・確保~

⑴力強い担い手の育成・確保

①意欲ある若手専業農家の育成・支援

・将来の本市農業の中心を担う若い専業農家を対象に、関係団体等と連携を図

りながら、青年農業者のネットワーク構築、他産業従事者との交流などを実

施し、農業経済のグローバル化や農業技術の高度化等を的確に把握できる、

広い視野と経営感覚を有する意欲ある専業農家を育成・支援します。

②認定農業者の育成・支援

・認定農業者には、今後も継続して、農業経営基盤強化資金(スーパーL 資金)

や農業近代化資金などの低利な制度資金や補助事業の活用等の支援を図り、

農業経営の基盤強化を図るとともに、認定農業者へのフォローアップ活動と

して、関係機関・団体等と連携し、認定農業者の農業経営改善計画の達成状

況の把握及び必要な指導並びに再認定の推進を行います。

・「いわき市認定農業者協議会」の活動を推進することにより、認定農業者相

互の交流を深め、作目を越えた情報交換や農業者としての自信と誇りを培い、

地域住民や消費者に愛される農業者の育成を図ります。

③認定新規就農者の育成・支援

・認定新規就農者(青年等就農計画を認定されたもの)には、所得の確保や技

術の習得等が課題となっていることから、青年就農給付金を活用しながら、

開始当初の所得の確保と農業生産技術や農業経営技術について実践的に学ぶ

ことができるよう支援するとともに、青年等就農支援資金などの無利子資金

の貸付制度の活用等の支援を図り、農業機械等の取得に係る初期投資の負担

軽減を図るとともに、農業経営基盤の安定を図りながら、関係機関・団体等

と連携し、青年等就農計画の達成状況の把握及び必要な指導の推進などを段

階的に行い、認定農業者への誘導を図ります。

④女性農業者の活動の支援

・地域農業のリーダーとなりうる女性農業者を育成・支援するとともに、女性

農業者が行う農産物や農産物加工品の販売、農作業体験等の地域資源を活か

した都市と農村の交流を支援します。

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⑤集落営農の推進

・地域農業を継続するため、農地の利用集積や機械・施設の共同利用、農作業

の共同化などによる効率的な生産体制を目指す農作業受託組織や営農グル

ープなどを支援し、集落営農を推進します。

・集落営農を支援できる受託組織などの法人化を推進し、地域を越えた支援体

制を構築する。

⑥農業支援者の活用

・農業協同組合、NPO 法人をはじめとする関係団体を中心とした農業者支援

システムの構築を積極的に支援します。

⑵多様な担い手の育成・確保

①新規就農希望者への支援

・市内外の非農家出身者など幅広い新規就農者の確保を図るため、関係機関・

団体及び福島県農業短期大学校、福島県立磐城農業高等学校などとの連携に

より、就農への意欲向上に関する取組みを行うとともに、新規就農者の就農

相談や農業研修の受入確保、農業経営・技術習得研修会等を実施するなど、

新規就農希望者が円滑に就農できる支援体制の整備を図ります。

・早期の経営安定に向けたメリット措置を受けられる認定新規就農者への誘導

を図ります。

②経営継承の促進

・担い手の優れた技術や農地などの生産基盤を確実に継承していくため、後継

者への経営継承の重要性の理解を深めていきます。

・現在の経営主から農業後継者へ円滑に経営移譲が行われるように、関係機関・

団体と連携し、支援体制の整備を図ります。

③関係団体・企業等の農業参入を支援

・地域との融和を図りながら、農地中間管理事業の活用や貸付可能な耕作放棄

地などの農地に関する情報提供等により、他産業からの農業参入を促進し、

耕作放棄地の活用及び資本力を活用した大規模経営など、新たな担い手とし

ての展開を推進します。

・安全・安心な食料の安定供給に向け、植物工場に関しても、検討を進めます。

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32

④定年帰農者の支援

・中高年層を中心に、自然豊かな農村で農に関わりながら充実した人生を送り

たい等のニーズの高まりが見られることから、意欲ある定年帰農者に対し、

農業技術・経営等の情報を提供し、生産活動に必要な環境づくりを支援しま

す。

・地域の実情に精通し、地域に根ざした定年帰農者が地域の中心経営体へとな

るよう、認定農業者、エコファーマーなどへのステップアップを支援します。

⑤技術・ノウハウの伝承

・高齢農業者等が有する豊富な知識・技術・経験等を意欲ある若い農業者に継

承し、後継者が意欲と誇りを持って農業に従事できる環境整備を推進します。

そのため、高齢農業者が生きがいを持って、継続して参画できる体制づくり

を支援します。

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2 『農地』 ~農地と水の確保 ~

⑴農地の確保と有効利用

①優良農地の確保

・良好な営農環境の維持と安全で安心な食料の安定的確保のため、関係機

関・団体等との連携により、土地の有効利用と農業の健全な発展を目的と

する農業振興地域制度の適正な運用を図り、優良農地を確保します。

②耕作放棄地の発生防止

・優良農地の持続的な保全と耕作放棄地の発生防止を図るため、農地パトロ

ールを実施します。

・いわき市耕作放棄地策協議会と連携して、耕作放棄地を再生・利用する取

組みを促進し、耕作放棄地の解消を図ります。

・再生利用可能な耕作放棄地は農地中間管理事業等を活用し、農地の有効利

用を図ります。

⑵農業生産基盤の保全・整備

①農地の保全・整備

・生産性の向上による効率的・安定的な農業経営の確立を図るため、地域のニ

ーズを的確に捉え、地域の実情・立地条件に応じた農業生産基盤(ほ場区画

の大型化等)の整備について、自然環境や生態系の保全に配慮し、周辺環境

との調和を図りながら推進します。

②農業水利施設等の保全・整備

・自然災害等を未然に防止し、農業生産性の維持・向上を図るため、農業水利

施設についての整備を進めるとともに、老朽化が著しい既存施設に関しては

ストックマネジメントの活用等により計画的な保全を進めます。

③農道の整備

・農産物、生産資材等の流通、加工及び生産体系を有機的に連携し、農作業の

効率化、荷傷み防止による農産物の品質向上を図るとともに、中山間地域に

おける生活環境の改善及び都市部との交流に資することを目的とした農道

の整備を推進します。

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3 『経営』 ~ 経営力の強化 ~

⑴経営安定対策

①営農資金融資制度等の活用促進

・経営規模の拡大や経営の効率化を推進し、農業経営の改善を図るため、本市

独自の営農資金融資制度の継続を図り、農業経営基盤強化資金(スーパーL

資金)や農業近代化資金等の農業制度資金を活用しながら、経営の安定化に

向け、支援します。

②国・県等の制度の有効活用

・国が進める経営所得安定対策をはじめ、国・県等の各種助成制度を積極的に

活用し、総合的な見地に立った農業経営の安定に努めます。

⑵農業経営の効率化

①担い手への農地の利用集積の推進

・農地中間管理機構の行う事業や利用権設定等促進事業等を積極的に活用し、

農地の流動化により、認定農業者等への農地の集積・集約を図り、効率的な

農地の活用を推進します。

・認定農業者をはじめとする担い手と兼業農家・高齢農業者等を結びつけ、農

作業の受委託を推進し、農業機械の共同利用や作業の効率化を図ります。

②人・農地プランの作成・活用

・集落・地域が抱える人と農地の問題を解決するための「未来の設計図」とな

る「人・農地プラン(経営再開マスタープラン)」を作成・活用し、担い手へ

の農地集積・集約を円滑に推進します。

③法人化へ向けた支援

・農業経営の法人化を促進するため、大規模な家族農業経営や集落営農組織等

を中心に、法人化のメリットなどについて、普及啓発を行います。

・関係機関・団体等との連携により、法人化への手続や必要な経営に関する相

談・指導体制を整備し、支援していきます。

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④経営の多角化・複合化を推進・支援

・雇用労働力の有効活用や農業機械等の経営資源の有効利用、価格変動や自然

災害によるリスクの分散等を図るため、経営発展段階に応じて、経営の多角

化や複合化など、経営の革新に果敢にチャレンジする担い手を支援し、ビジ

ネス感覚あふれる企業的な経営体の育成を図ります。

⑤農業経営力の向上

・関係機関・団体等と連携を図り、経営管理・記帳・税務相談会等を開催し、

農業経営力の向上を図ります。

⑥情報通信技術(ICT)の活用

・農業経営に関わるコストの低減、市場ニーズに合わせた収穫・出荷管理、販

売拡大などの実現に向けて、情報通信技術(ICT)の活用を推進します。

・農業に関わる情報を農業者や消費者に提供する仕組みを充実するとともに、

情報化に対応した農業者の育成を進め、情報を活用した付加価値の高い農業

の推進を支援します。

⑦生産施設等の整備拡充と近代化

・周年生産体制の確立と生産性及び品質の向上を図るため、施設化(ガラス室・

ハウス等)を促進するとともに、省力化・分業化・低コスト化を図るため、

集出荷施設や共同育苗施設等の基幹施設の整備を推進します。

⑧農業団体の再編と育成強化

・近年の農業・農村を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、豊かで活力に満ち

た農業を構築するため、土地改良区の統廃合や農業生産法人の経営規模拡大

など、農業関係団体の体質強化を促進します。

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4 『生産』 ~ いわきらしい生産振興 ~

⑴農産物の生産振興

①消費者ニーズと合致した農産物の供給

・多様化する消費者ニーズを的確に捉え、生産者、関係機関・団体等が一体と

なって、消費者・実需者ニーズに合致した農産物の生産を推進します。

②いわきの気候・地勢的特色を活用した適地適作による生産振興

・本市の特徴である温暖多日照の気候条件や広い市域における標高差等を活用

した適地適作により、特色ある農業を推進します。

③戦略作目の産地づくり促進

・地域間競争の優位性を確保し、いわき産農産物の差別化を図るため、生産者

間の連携を強化しながら、本市の重点作目の生産拡大と高品質化に向けた取

組みを促進します。

④いわき昔野菜の承継・普及拡大

・本市における個性ある伝統作物(いわき昔野菜)を貴重な地域資源として、

次世代に承継するとともに、普及拡大に向けた取組や地域活性化に向けた活

用を推進します。

⑤施設園芸の強化による生産量の増大

・本市の長い日照時間や温暖な気候などを活かして、周年生産可能な施設園芸

の強化により、高品質な園芸作物を計画的・経済的に生産量の増加を図りま

す。

⑥生産性の高い畜産の振興

・安全で高品質な畜産物を計画的・経済的に生産するため、家畜の改良増殖や

自給飼料の確保、市営牧野の活用等の省力化を図るなど、コストの低減等に

よる生産性の高い畜産の振興を図ります。

⑦飼料自給率の向上

・転作田や耕作放棄地を活用した自給飼料の生産を促進するとともに、エコフ

ィード及び国産稲わら飼料の活用などの取組みを支援し、飼料自給率の向上

に努めます。

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⑵環境保全型農業と有機性資源の循環利用の推進

①エコファーマーの育成・支援

・農薬の適正な使用を指導するとともに、水稲、野菜、果樹などの生産におい

て、堆肥を使った土づくりと化学肥料・化学農薬の低減を一体的に行うなど

の環境にやさしい農業に取り組むエコファーマーを育成・支援します。

②特別栽培農産物生産の推進

・農業が持つ自然循環機能を維持・増進するため、農薬と化学肥料の使用量を

通常の栽培より 50%以上低減した特別栽培農産物の生産を推進します。

③有機農業の推進

・環境負荷の低減を図るため、JAS 規格に基づき、作物の種類により過去 3

年又は 2 年以上、農薬や化学肥料を原則使用しない農地で農産物を栽培する

有機農業の取組みを支援します。

④有機質の循環と土づくりの推進

・家畜排せつ物の適正処理を継続するため、地域内における畜産農家と耕種農

家の連携を強化し、堆肥の円滑な流通促進を図ります。

・農業残さ・家畜排せつ物などの有機物を堆肥化した有機物堆肥による地力あ

る健全な土づくりを推進するため、堆肥マップを活用し、耕種農家等への幅

広い情報提供を行います。

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「主要な作物等の生産振興(作物別振興方向)」

①水稲

・持続的に発展する水田農業の確立に向け、米の需給・販売状況を踏まえた計画

的な生産と環境と共生する農業を基本として、省力化・低コスト化を図り、高

品質・良食味な米づくり、米粉用・飼料用米などの新規需要に対応した米づく

りなど、多様な需要に応える米づくりを促進します。

②大豆・そば・麦

・土地利用型作物として重要な大豆、そば、麦について、生産性及び品質の向上

を図るとともに、ブランド力の強化に努め、実需者から期待される産地の形成

を促進します。

・加工等について他産業との連携により促進し、農業経営の安定を図ります。

③野菜

・本市の温暖多日照の気候条件を活用し、施設栽培を推進するとともに、省資源・

低コストで省力的な栽培体系の導入により生産力の強化を図ります。

・品質・生産量の向上や計画的な生産・出荷により、価格形成を主導できる販売

力の強化を進め、収益を実感でき、農業者が安心して生産に取り組める野菜産

地の育成を目指します。

④果樹

・低コスト・省力化により生産性を高め、果実生産の拡大を図るとともに、消費

者・実需者ニーズを捉えた品種構成、集出荷体制の整備による市場競争力を強

化し、持続的に展開される産地の育成を目指します。

⑤花き

・生産性と品質の向上、長期生産・出荷体制の整備等を進め、生産の拡大や経営

の安定を図るとともに、需要に即した品目・品種や産地体制の強化を推進し、

農業者が収益を実感できる特色ある産地形成を目指します。

⑥畜産

・担い手の育成・確保及び生産技術の改善による省力化や生産コストの低減を図

り、安全性の高い高品質な畜産物の安定供給と畜産農家の経営力の強化を目指

します。

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⑦特用作物

・こんにゃくなどの特用作物は、古くから地域の主要な作物として作付けが盛ん

であったことから、地域の伝統農作目として産地の維持を目指します。

⑧特用林産物

・きのこや山菜は、複合経営の重要な産品の一つであり、施設整備も進んでいる

ことから、他産業との連携による商品開発を支援し、産地化を推進します。

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5 『流通・消費』 ~ 安全性の確保とブランド化・6次産業化 ~

⑴安全・安心で安定的な農産物の流通

①放射性物質検査の実施

・いわき産農作物に対する不安を解消するため、関係機関・団体と連携のも

と、出荷される農作物の放射性物質を測定し、安全性を確認しながら、出

荷することに併せ、出荷農作物の測定結果・方法等を公表していきます。

・自家消費用作物等についても、放射性物質の簡易検査とその測定結果を公

表します。

②トレーサビリティの普及・啓発

・市内農産物について、生産現場から食卓までの食の安全性を確保するトレー

サビリティシステムの確立に向け、農業者、流通業者、関係機関・団体が一

体となった取り組みを進めます。

③農業生産工程管理(GAP)の普及・啓発

・安全な農産物の生産を基本とした環境に配慮した持続的な農業生産により、

消費者が農産物を信頼して購入できる農業経営を行う農場管理手法である

農業生産工程管理(GAP)について、関係機関・団体等と連携のもと、普

及・啓発に努めます。

・今後、食の国際化に対応していくためにも、グローバル GAP の取得に向け

た調査・研究をしていきます。

④生産履歴記帳の普及・啓発

・農薬安全使用基準に基づく農薬の使用など、適切な生産を行うことにより、

農産物の安全を確保し、消費者や取引先に農産物が適切な生産方法で生産さ

れたことを伝えることで安心を届ける生産履歴記帳について、他産業との連

携促進を図るため、関係機関・団体と連携のもと、普及・啓発に努めます。

⑤中央卸売市場の活性化

・少子高齢化による社会構造の変化や、消費者ニーズの多様化に伴う市場外取

引の拡大等の理由により、中央卸売市場の取扱高は年々減少傾向にあるが、

今後も農産物の市内流通に不可欠な流通の拠点を担うことから、卸売業者等

との連携により、効率的かつ効果的な市場機能の維持・強化に取り組むとと

もに、市場の活性化を通じて、安全・安心な農産物の安定供給と地産地消の

推進を図ります。

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⑵地産地消の推進

①市内流通の促進

・県内有数の人口数があり、多種多様な農産物が生産されている生産地であり

消費地でもある本市は、地産地消に取り組む環境に恵まれていることから、

市民の理解と協力を得ながら、消費者の多様なニーズに対応し、新鮮で安全・

安心な農産物の生産、供給を図り、地産地消を推進します。

②食農教育の推進

・いわき市食育推進計画に基づき、食や農業についての情報を広く提供し、い

わき産農産物を活かした食農教育を推進するとともに、いわき産農産物の学

校給食への利活用に向けた供給体制の構築を図ります。

③農産物直売所等への支援

・農産物の市内流通を促進し、新鮮かつ安全・安心で生産者の顔の見える市内

農産物を提供するため、直売所マップ等を活用して、普及・拡大を図り、直

売活動等を推進します。

・市民に多くのいわき産農産物を提供するため、各種イベントや移動販売等を

通じ、生産者と消費者との連携体制の整備を図ります。

⑶農林産物のブランド化

①ブランド化の推進

・本市の重点作目及び基幹作目のマーケティングを強化し、消費者や流通業

者等に向けて、積極的な情報発信により信頼関係の確立を図り、ブランド

化を推進します。

・消費対象を絞った数量限定のプレミアムブランドの育成に努めます。

・国の地理的表示制度等を活用し、認知度を高める取組みを推進します。

②販路の強化

・中央卸売市場、農産物直売所、学校給食など、既存の販路における地元農

林産物のシェア拡大を図ります。

・農家のリスク低減と所得拡大のため、市場ルートのほか、直売、食品製造

業や外食産業、コンビニ、宅配、観光業などへの販路の拡大を支援します。

・首都圏等での各種イベントを活用し、関東経済圏でのいわき産農林産物の

販売拡大に取り組みます。

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・いわき産農産物の特性(味・品質等)を活かした輸出について、国際動向

を見極めながら、販路開拓に関する検討を図ります。

③料理人との連携

・市内料理店における取扱い拡大及び消費者の食する機会の創出を図るため、

市内料理店において、いわき産農産物を使用したメニューの提供等、連携

した取組みを推進します。

・レストランなどの料理人などの実需者との信頼関係を構築し、いわき農産

物の評価を高めていくことができる仕組みづくりを築きます。

⑷情報発信の強化

①いわき産農産物の魅力を発信

・本市農産物の放射性物質検査に関する情報発信に併せ、おいしさなどの魅

力について、更なる理解の浸透を図るため、生産者・行政のみならず消費

者とも連携を図った第三者視点での情報拡散の取組みとも連携を図りな

がら、積極的な情報発信を行います。

②トップセールス等による PR

・本市の特色ある農産物の認知度を高め、効果的・効率的な PR を図るため、

積極的なトップセールスを行います。

・イベントの開催等において、効果的な普及・宣伝を図ります。

③各種農業関連情報の受発信

・生産者が必要とする気象情報や病害虫の発生状況、国・県等の助成制度を

はじめとする各種制度情報や、消費者が必要とする農産物情報や各種イベ

ント情報など、情報通信技術(ICT)を活用して幅広い情報の受発信を行

います。

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⑸6次産業化へ向けた連携

①6次産業化へ向けた関係機関・団体等との連携強化

・関係機関・団体等と連携を図りながら、生産者が中心となった新たな加工品

の開発等への取組みに対し、事業化へ向けたコーディネートや、国・県をは

じめとする各種助成制度の活用サポート、各種PR活動の支援など、6次産

業化へ向けた取組を推進します。

・農業と林業・水産業・食品製造業などの他産業や教育関係機関等と連携し、

消費者や実需者のニーズに即した新たな加工品等の開発により、重点作目を

中心とした本市の特色ある様々な農産物の新たな付加価値の創出や農業者

の所得向上、地域の活性化に向けた取組みを積極的に支援します

②生産・加工技術等の改善・強化

・いわき産農産物の生産の効率化や加工に必要な製造機械の技術開発を産学

官との連携により推進し、ものづくり技術の農業分野への活用を図ります。

・既存の食品加工施設等の有効利用を図るとともに、農産物直売所等への支援

を通じ、食品加工を促進します。

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6 『農村』 ~ 環境と共生した活力ある地域づくり ~

⑴多面的機能の維持・発揮

①多面的機能支払交付金の活用

・農地、水路、ため池、農道等の農山村地域の資源としての農村環境を保全す

るため、多面的機能支払交付金の活用を推進します。

②中山間地域等直接支払制度の活用

・中山間地域における耕作放棄地の発生防止と多面的機能の確保、景観保全の

ため、中山間地域等直接支払制度の活用を推進します。

⑵鳥獣被害対策の推進

①鳥獣による農作物等への被害防止対策の推進

・いわき市鳥獣被害防止計画に基づき、地域住民の理解と協力を得ながら、農

作物等に被害を与える鳥獣を農地周辺に寄せ付けないよう餌となる誘因物の

除去や緩衝帯の整備などにより生息環境を管理することに併せ、防除効果の

期待できる電気柵の設置に係る助成制度を継続するとともに、効果的・効率

的な捕獲により鳥獣被害の防止対策を図ります。

②関係機関・団体との連携

・地域住民の理解と協力を得ながら、いわき市鳥獣被害防止対策協議会等の関

係機関・団体と連携し、捕獲機材の導入等により、効率的な捕獲体制の整備

等を図ります。

・同協議会と連携し、各種交付金事業を導入し、鳥獣被害の防止・低減を図り

ます。

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⑶都市と農村の共生・交流

①農業体験の推進

・農産物の生産と需要の拡大、農村の活性化につながる本市の農業・農村の特

色を活かした農山漁村体験を推進するため、観光・教育分野などと連携を図

り、豊かな地域資源を活用した地域活性化を目指すための受入組織・体制整

備を推進し、都市と農村の交流を図ります。

・市民の食と生活を支える農業・農村への理解を深めるため、農業に触れる機

会を提供し、農村部における自然環境や伝統技能等をはじめとする特色ある

様々な地域資源を有効活用した農業との接点拡大に向けた取組みを支援し

ます。

②市民農園・滞在型市民農園の整備の支援

・耕作放棄地の解消や都市と農村の交流を図るため、市民農園や滞在型市民農

園の整備を支援します。

③交流拠点の機能強化

・都市との交流の拠点となる農産物直売所、農家レストランや観光農園 等の

取組みを支援します。

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⑷集落機能の活性化

①多様な人材の確保

・地域農業の中心となる担い手はもとより、農家数の過半数以上を占め、地域

農業維持に欠かすことのできない兼業農家への支援を推進します。

・都市との交流などをきっかけとして、地区外住民も含めた地域活性化のため

の各種活動を推進します。

②集落機能の維持・強化

・地域活性化のための各種活動や集落維持などのため、兼業農家も含め、地

域振興の担い手の育成・支援を推進します。

・集落の活性化のため、女性農業者が行う農産物や農産物加工品の販売、農作

業体験等の地域資源を活かした都市と農村の交流を支援します。

・中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金等による集落協定を通じ、

集落機能の維持・強化を図り、自立的で持続可能な農業生産への取り組みを

促進します。

・都市と農村の交流を一過性の取組みに終わらせることなく、交流人口の増加

を移住・定住へと発展させていくための取組みを関係機関・団体等と連携を図

りながら、推進します。

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第5章

重 点 戦 略

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第5章 重点戦略

第1節 重点戦略の考え方

本市農業を取り巻く情勢は、前述のとおり大変厳しいものとなっており、解決す

べき課題も複雑で多様化しています。

このような状況の中で、担い手の確保やニーズに対応した生産量の確保、競争力

の強化など喫緊の課題を解決し、本計画の基本理念を実現するため、諸施策を複合

的に組み合わせることによる相乗効果の最大化を図るべく、施策単体ではなく、戦

略的に体系化した一体的な施策として取り組んでいくこととし、その中でも、推進

することによって、特に波及効果の高い施策を重点戦略として積極的に推進するも

のとします。

重点戦略1.「いわき産農産物の付加価値化」

重点戦略2.「需要に対応した農産物の生産量の確保」

重点戦略3.「担い手の育成・確保」

重点戦略1

「いわき産農産物の

付加価値化」

重点戦略3

「担い手の育成・確保」

重点戦略2

「需要に対応した農産物

の生産量の確保」

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第2節 取組むべき戦略

重点戦略1.「いわき産農産物の付加価値化」

【目標】

農業者や農業関係機関・団体との連携のもと、安全性や品質、新鮮さ、おいしさ

など消費者のニーズへの対応、レシピの提供をはじめとする料理人等との連携によ

る取組みや「いわきライキ」に関する取組みなどによって、農産物の付加価値化を

図ってきました。これに併せて安全性やおいしさなどの魅力、取組み等の情報発信

を行ってきたところですが、風評被害などの影響もあって、震災前と比較すると一

部品目を除き、農産物の価格の低迷を懸念する声があります。

係る状況への対応として、安全・安心の水準を必須の条件として堅持しながらも、

本市の農産品を、強い収益力を持ち、消費者を惹きつける産品へと、1ランク上の

水準に押し上げ、より積極的に市場に展開する必要があると考えます。

このことから、今後、いわき産農産物の価格の向上、また、それによる生産者の

安定経営、所得向上を目標に、いわき産農産物の付加価値をさらに高める方策とし

て、次の3点に重点的に取り組んでいきます。

【取組み方策】

⑴いわき昔野菜の普及拡大

本市の特色ある伝統作物である「いわき昔野菜」は、市内で約 70 種類が発掘さ

れているが、栽培に手間がかかることから、生産量も少なく、栽培農家の数も少

ないうえ、高齢化が進み、いわき昔野菜の種の保存・継承が途絶える危機がある

ため、いわき昔野菜の保存や生産振興をしていきます。

この「いわき昔野菜」には、生産地ならではの特徴的な食べ方も存在すること

から、それらのレシピを活用するなどし、独創性・希少性をアピールし、食材・

料理法に光を当てることにより、地域特産品へと導いていきます。

さらには、地理的表示保護制度の活用などにより、よりプレミアム感を上 乗

せすることにより、地域の貴重なブランド野菜にまで高める取組みをしていきま

す。

・いわき昔野菜にスポットをあて、種の保存や栽培方法はもとより、調理法等

を次世代に継承するなどの保存に向けた取組み

・いわき昔野菜を活用した地域農業の振興

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⑵6次産業化の推進

農産物をそのまま出荷するだけではなく、消費者や小売業者等のニーズに対

応した農産物の加工を行うなど、高付加価値化の具体的手法として6次産業化

の意義はますます大きくなっています。農業者の所得の向上が期待できること

をはじめ、6次産業化がもたらす効果と将来性について、理解の浸透と定着を

図るとともに、6次産業化を推進していくため、生産者や6次化関係団体等へ

の支援をしていきます。

昨今、生産者が中心となって同一敷地内で生産から販売までを一体的に手掛

ける6次化総合施設が事業化されており、注目すべき事例と言えます。これら

をモデルとした生産者を中心とした組織づくり・法人化に対してサポートして

いきます。

・生産加工施設・設備の整備や組織づくり等に関し、きめ細やかなサポート

や情報提供を行うなど6次産業化に参入しやすい環境づくり

・6次化商品のPRイベント等の開催、先進事例研修会や生産者間の情報交換

の実施

⑶農産物直売所の魅力向上

農産物直売所は、消費者にとって新鮮な地元農産物等の魅力のある購入先で

あり、生産者の顔が見える農産物を安心して選ぶことができる店舗であるとと

もに、農産物のおいしさや農業の魅力などを発信するアンテナショップとして

の役割もあります。

よって、それらの役割を重視し、更なる充実と強化を図るため、直売所や関

係団体等が行うPRイベントや先進事例研究など、直売所の魅力向上のための

取組みに対する支援をしていきます。

・農産物直売所に関する情報の発信(直売所マップ、イベント等)

・いわき市農産物直売所連絡協議会における個別の経営診断や販売方法先進

事例の研究など、直売所等の魅力の向上に関する取組みへの支援

【成果指標】

現状(H26) 目標(H32)

①農業と他産業との連携による

加工品等の開発件数 16 件 30 件

②農産物直売所の販売額 2.7 億円/年 3.5 億円/年

※①については、計画期間内(H28~32)における新規開発件数の累計

また、現状(H26)における数値は、H22~26 の累計

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重点戦略2.「需要に対応した農産物の生産量の確保」

【目標】

消費者ニーズに対応した農産物の生産や施設園芸の強化などによって、必要と

される生産量の確保・増大を図ってきたところでありますが、ほとんどの主な農

産物の系統出荷量が震災前の量を下回っており、また、平成 26 年度産米より使

用を再開したものの、学校給食における地場産物使用割合も、震災前の状態には

回復していません。

このような状況下、農業経営の安定継続そして成長・拡大のためには、一定規

模を有する安定的な需要者の信頼を得て、それに堪え得る安定的な供給体制を整

えることが欠かせません。

そのため、農作物の安定供給、生産量の増大のために優良農地の確保を図りな

がら、市場などの需要に対応したマーケットインの生産を振興し、学校給食や市

場取引などさまざまな用途・販路等の需要に合わせた生産量の確保を図ることに

より、地産地消の更なる推進を図るために、より重点的に取り組んでいくべき方

策として、次の2点に取り組んでいきます。

【取組み方策】

⑴農地の有効活用

耕作放棄地の増加を防止し、優良農地を確保していくことと併せ、ほ場整備

などにより、生産性・汎用性の高い生産基盤へと整備し、農作業の機械化・省

力化を図りながら、農産物の生産量増加を図ります。

・ほ場整備など各種土地改良事業による生産基盤の高度利用

・多面的機能支払交付金等の日本型直接支払制度等の活用による耕作放棄地

発生抑止

⑵供給力(生産力)の強化

農産物の生産力及び品質の向上を図るとともに、規格を統一させることによ

り、学校給食、流通市場や加工用など、多様な用途への供給力の強化を図って

いきます。

特に、本市農産物の学校給食への利用促進を図り、品質や規格を統一したも

のを安定供給できる仕組みづくりを推進します。

そのため、生産者や学校教育関係者、関係機関との協議の場を設け、課題解

決に向けて取り組んでいきます。

・学校給食におけるいわき産農産物の利用促進

・JA各生産部会の活動への支援

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【成果指標】

現状(H26) 目標(H32)

①ほ場整備率 51.5% 57.6%

②多面的機能支払交付金

対象面積 1,509ha 2,562ha

③中山間地域等直接支払制度

対象面積 1,188ha 1,199ha

④学校給食における地場

産物使用割合 ※22.0% 30.0%

⑤中央卸売市場における

いわき産農産物取扱額 952 百万円 1,276 百万円

※④については、現状(H26)における数値は、H27 の数値

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重点戦略3.「担い手の育成・確保」

【目標】

意欲ある若手専業農家の育成をはじめとする、多様な担い手の育成・確保を図

ってきたところであり、そのような中、新たな分野に進出するなど意欲ある若手

農家を中心とした様々な取組が展開されておりますが、担い手の高齢化や後継者

不足の問題は全国的な傾向にあって本市も例外ではなく、また、農産物の価格低

迷による営農意欲の減退なども相まって拍車をかけ、農家及び農業従事者の減少

は深刻な状況にあります。

係る状況に早期に歯止めをかけるため、将来の農業を担う次世代型の農業者の

モデルを提案することによって、本市農業が発展し、本市農業をリードするよう

な経営体の育成を図り、農業者が希望をもって農業に取り組むことができる体制

づくりをしていきます。

特に、新たな就農者の確保及び、農業関係の雇用を創出し、その被雇用者が新

規就農者として独立できるような好循環が生まれるよう、経営体の法人化や営農

組織の育成を図ることが重要であると考え、次の2点に重点的に取り組んでいき

ます。

【取組み方策】

⑴新たな経営体(人材)の確保

いわき農業の魅力を広く発信し、市内外の農家出身者はもとより、非農家出身

者や就農経験の有無を問わず幅広い層から就農を希望する人材を確保し、関係機

関との協力のもと、新規就農者を全面的にサポートできる体制を強化することに

よって、認定新規就農者制度などを活用しながら、新規就農者の地域農業への定

着へと結びつけていきます。

さらに、認定農業者へ誘導しながら、地域農業の中心となる農業者を育成して

いきます。

・農家研修受入先の確保・紹介や県農業短期大学校等を活用した農業研修の充

・市内教育機関と連携した就農への意欲向上に関する取組み

・認定新規就農者制度の活用

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⑵営農組織の育成

経営改革の発展段階や課題に応じ、経営規模や地域実情に即した支援をしてい

きます。

特に、新規就農や地域雇用の受け皿となるなど地域社会の活性化に果たす役割

が期待できる法人化に重点を置いて支援します。

また、市内一円の集落営農を支援できる受託組織などの法人化を推進し、地

域を越えた支援体制を整備していきます。

・集落営農や法人化などの経営形態の高度化への支援

・集落営農を支援できる受託組織の整備

【成果指標】

現状(H26) 目標(H32)

①新規就農者 31 経営体 50 経営体

②認定新規就農者数 0経営体 35 経営体

③認定農業者である法人数 32 経営体 40 経営体

④農業生産法人数 42 法人 50 法人

※①②については、計画期間内(H28~32)に新たになったものの累計

①現状(H26)における数値は、H22~26 の累計

②基準年度における数値は、H26 のもの(H26 に新設された制度)

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第6章

計画の推進体制と進行管理

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第6章 計画の推進体制と進行管理

第1節 計画の推進体制

『いわき市農業・農村振興基本計画』の基本理念を実現させるためには、

農業生産の主体である農業者の自主性を尊重しながら、地域農業の中心と

なる経営体の育成強化をはじめ、生産基盤の整備、生活環境の整備など、

農業・農村の持続的発展・活性化のための施策を総合的に推進していく必

要があります。

そのため、本計画の推進にあたっては、生産者、関係機関・団体、市民

(消費者)、食品関連産業等との連携・協力により、各種施策を推進してい

くこととします。

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第2節 関係者の役割

1 生産者の役割

農業・農村は、市民生活の根幹を成す「食」の安定供給をはじめ、国土

の保全、水源のかん養、自然環境の保全などの多面的機能という非常に重

要な役割を担っていることから、生産者には、「誇り」と「意欲」を持って

農業生産活動に取り組み、消費者ニーズを的確に捉え、農業経営の持続的・

安定的な発展に向け、企画能力や経営感覚の向上に努めるとともに、農村

地域の活性化に中心的な役割を果たすことを期待します。

2 関係機関・団体の役割

農協をはじめとする農業関係団体、産業支援機関、高等教育機関、流通業

者等の各団体・機関には、行政との連携を強化し、農業・農村の振興に主体

的な役割を果たすよう期待します。

また、農業関係団体については、営農指導の強化を図り、販売・流通体制

の充実と生産者・後継者組織の育成に力を発揮し、一層地域に根ざした役割

を充実していくよう期待します。

3 市民、食品関連産業等の役割

市民には、農業・農村の持つ役割を十分に理解し、可能な限りいわき産

農産物を利用し、地産地消の考えを実行するとともに、農業・農村の振興

に積極的に協力するよう期待します。

また、食品関連産業等については、安全・安心、健康等をはじめとして、

消費者の食への関心が高まっていることから、農業との連携により、いわ

き産農林産物を活用した様々な取り組みにより、いわき産農林産物の流

通・消費の拡大が図られるため、生産者と連携を図った新たな取り組みを

期待します。

4 行政等の役割

市は、本市農業・農村の目指すべき姿の実現に向けて、本計画の基本理念

に沿って、国・県と連携を図りながら、重点戦略を中心として、施策・事業

を総合的・計画的に推進するとともに、市民に対し、農業・農村の重要性に

ついて、十分に広報・発信し、市民の理解を深めていきます。

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第3節 計画の進行管理

本計画を着実に推進するため、毎年度の行政評価システムの PDCAサイ

クル(計画 Plan、実行 Do、評価 Check、改善 Action)により、1サイクル

により見つかった改善点を次の年度の事業計画、さらには、次期計画に

つなげ、本計画を継続的に改善させながら、事業展開を図っていきます。

また、その評価(Check)機関として、生産者や関係団体・機関を中心

に進行管理の組織(庁外:いわき市農業・農村振興基本計画審議委員会、

庁内:いわき市農業・農村振興基本計画庁内審議会)を設け、事業の進捗

状況を定期的に確認するとともに、その実施状況の点検と実施した事業の

成果を評価し、次の事業への展開を改善することに併せ、昨今、大筋合意

された環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など農業を取り巻く社会情勢

の変化に対応していくため、国・県の動向や施策展開等を計画に反映させ

ていくなどのフォローアップを行います。

いわき市農業・農村振興基本計画庁内審議会

いわき市農業・農村振興基本計画審議委員会

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第4節 数値目標

1 『人』に係る目標

基準年次 目標年次

備考 平成 26年度

平成 32年度 目標

認定農業者数 243 経営体 268 経営体

50歳未満の認定農業者数 30 経営体 40 経営体

認定農業者である法人数 32 経営体 40 経営体

新規就農者

(農地法3条資格者) ※31経営体 50経営体

(注)累計

※基準年次における数値

は、H22~26の累計

認定新規就農者 ※0経営体 35経営体

(注)累計

※基準年度における数値

は、H26のもの(H26に

新設された制度)

2 『農地』に係る目標

基準年次 目標年次

備考 平成 26年度

平成 32年度

目標

ほ場整備率 51.5% 57.6%

農業振興地域内

農用地区域面積 8,191ha 8,191ha

3 『経営』

基準年次 目標年次

備考 平成 26年度

平成 32年度 目標

農業制度資金等の

貸付件数 15 件/年 21 件/年

認定農業者への集積面積 1,477.6ha 1,629.4ha

農業生産法人 42法人 50法人

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4 『生産』

基準年次 目標年次

備考 平成 26年度

平成 32年度 目標

養液栽培面積 1,994a 2,400a

いちご収穫量 128t/年 220t/年

ねぎ収穫量 661t/年 720t/年

トマト収穫量 4,666t/年 5,000t/年

なし収穫量 553t/年 760t/年

5 『流通・消費』に係る目標

基準年次 目標年次

備考 平成 26年度

平成 32年度 目標

農業生産工程管理(GAP)

に取り組む産地数 12件 17件

いわき市農業情報

センターアクセス数 6,288pv/年 6,590pv/年

見せます!いわき情報局

ホームページアクセス数 124,617pv/年 218,000pv/年

農産物直売所の販売額 2.7 億円/年 3.5 億円/年

学校給食における地場産

物使用割合(6月期) ※22.0% 30.0%

※基準年次における数値

はH27の数値

中央卸売市場における

いわき産農産物取扱額 952百万円 1,276百万円

農業と他産業との連携に

よる加工品等の開発件数 16件 30件

(注)累計

※基準年次における数値

は、H22~26の累計

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6 『農村』

基準年次 目標年次

備考 平成 26年度

平成 32年度 目標

中山間地域等直接支払

制度対象面積 1,188ha 1,199ha

多面的機能支払交付金

対象面積(白地を含む) 1,510ha 2,562ha

農業体験等による

交流人口 29,736 人/年 35,200 人/年

◎備考欄に「(注)累計」とあるものは、毎年度新たに追加されたものの計画期

間内(H28~H32)における累計

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いわき市農業・農村振興基本計画(平成 28年度~平成 32年度)

平成 28年 1月

発行 いわき市 農林水産部 農政課

福島県いわき市平字梅本21番地

TEL:0246(22)7471(直通)

FAX:0246(35)0777