〜より良い支援体制をめざして〜...3 のぞみの園のぞみの園...

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1 のぞみの園 のぞみの園 のぞみの園 22 平成21年(20091231日発行 調調生活支援部 第2課 支援区分 寮 名 自立支援 グループ くろまつ寮 ひのき寮 こばと寮 しらかば寮 はまゆう寮 もみじ寮 第三次寮再編に伴う新寮体制 生活支援部 第1課 支援区分 寮  名 医療的配慮 グループ あかしあ寮 やまぶき寮 ひなげし寮 高齢者 グループ もくれん寮 なでしこ寮 特別支援 グループ あじさい寮 かわせみ寮 自活体験 グループ こまくさ寮 こすもす寮

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1 のぞみの園のぞみの園のぞみの園

第 22 号

平成21年(2009)

12月31日発行

 

平成十九年九月に実施した

第二次再編から二年が経過す

るなかで、六十歳以上の方が

百六十九人(平成二十一年三

月三十一日現在)と入所利用

者の四割以上を占め、障害程

度区分の平均も五・〇(平成

十九年度)から五・二(平成

二十一年十二月一日現在)と

なり、より支援度が増してい

ます。

 

加齢による重度化は障害程

度区分でも示しているとお

り、生活場面で様々な変化と

なって現れ、重介護を要する

方、あるいは日常から医療的

管理を必要とする方も増えて

来ました。

 

再編案を策定する前段で、

実態調査等による現状の詳細

な把握と評価を行うために第

三次寮再編ワーキンググルー

プを設置し、その報告を踏ま

えて、平成二十一年一月末に

第三次寮再編検討委員会を設

置して具体案の策定に向けた

検討を開始しました。再編案

の検討にあたっては、将来を

見据えた効果的・効率的な支

援体制の再構築を各委員の共

通認識として協議を進めまし

た。

 

そして平成二十一年七月、

検討の結果を第三次寮再編成

方針(案)として取りまとめ、

所要の手続きを経て、法人と

して第三次寮再編成方針を決

定致しました。

 

その骨子は、第一次寮再編

時の支援区分(医療的配慮・

高齢者・特別支援・自活体験・

自立支援)を踏襲してはいま

すが、各支援区分の拡充や施

設設備の改善を図ることを通

して将来に備える等の考え方

を基調としています。

 

具体的には、医療的配慮グ

ループに、利用者の状態に合

わせた段階的なサービスを提

供できる系統的な体制を整備

することを目的として、従来

のあかしあ寮とやまぶき寮に

加えて、ひなげし寮を既存寮

に設置し、体制の拡充を図り

ました。これにより、診療所

と直結した環境を生かした療

養介護的支援を提供する寮と

してあかしあ寮を位置付け、

やまぶき寮とひなげし寮につ

いては、重介護支援を提供す

る寮として、利用者の医療的

 

自閉症を有する人や、寮内

で相対的に若年とされる行動

障害を持つ利用者を対象とし

た特別支援は、旧来のあじさ

い寮に加えて、かわせみ寮を

既存寮に設置し、体制の拡充

を図りました。

 

入所利用者の縮減への対応

として二か寮を閉寮し、十九

か寮体制から十七か寮体制に

なりました。

 

個別ニーズに基づく受け皿

を拡充し、現状に見合った環

境を整えたことで、より効果

的な支援を提供できる体制の

整備が完了しました。特段の

戸惑いもなく、平成二十一年

十二月一日より新たな支援体

制の基での暮らしが始まって

います。

支援の濃淡を基準として区

分しました。

 

高齢者支援については、

旧来のもくれん寮の立地は

診療所から遠く、坂道がき

ついなどの不向きな面が

あったため、診療所近くの

比較的平坦な場所にある既

存寮へ移設し、併せて隣接

の既存寮になでしこ寮を設

置して体制の拡充を図り、

六十五歳以上の健やかに老

いた利用者を基本的な対象

者として再編成を行いまし

た。これにより、今後は、

更なる高齢化への対策とし

て、寮舎の一体化や器械浴

槽の設置等の改修が可能と

なる条件整備も図ることが

できました。

〜より良い支援体制をめざして〜

生活支援部第1課長 浅 田 明 彦

第三次寮再編

生活支援部 第2課支援区分 寮 名

自立支援 グループ

くろまつ寮ひ の き 寮す ぎ 寮こ ば と 寮う め 寮しらかば寮はまゆう寮も み じ 寮

第三次寮再編に伴う新寮体制生活支援部 第1課

支援区分 寮  名医療的配慮 グループ

あかしあ寮やまぶき寮ひなげし寮

高齢者 グループ

もくれん寮なでしこ寮

特別支援 グループ

あじさい寮かわせみ寮

自活体験 グループ

こまくさ寮こすもす寮

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2NEWS LETTER

 

当法人は、平成十五年に定

めた地域移行の基本方針に則

り、地域移行の推進に取り組

んでいます。これまでの地域

移行の実績(移行者数)につ

いては、平成十五年度〇人、

平成十六年度五人、平成十七

年度六人、平成十八年度十四

人、平成十九年度十九人、平

成二十年度二十四人、平成

二十一年度十人(平成二十一

年十二月一日現在)、合計

地域移行の推進とフォローアップ

七十八人となっています。さ

らに、平成二十一年度末まで

に移行を予定している者を加

えると、八十五人程度の状況

となっています。

 

移行先は、グループホー

ム・ケアホームが二十七名、

グループホーム・ケアホーム

への入居を前提とした施設入

所が十二名(うち二名がケア

ホームへ移行)、出身地域の

入所施設が三十三名、通勤寮

が一名、在宅が五名となって

います。

 

平成二十年度までは、グラ

フにも現れているように、移

行者数は毎年増加となってい

ますが、本年度以降、業務目

標に掲げられている「年間

十五~二十人の地域移行者」

を継続して実現していくこと

は、年々厳しいものとなるこ

とが予想されます。目標を達

成して行くためには、保護者

から地域移行への同意を得る

ことが重要課題となります。

同意を得るための具体的取組

みとしては、保護者に対し

て、個別的に地域移行につい

ての説明を行うとともに、地

域移行課で年六回発行してい

る「地域移行通信」の配布や、

移行した人たちの生活の様子

を撮影したビデオの視聴等を

通して、地域移行されたご本

人からの感想や生活の様子を

紹介し、来園の機会が少ない

保護者の方に対しても地域移

行に対する具体的イメージを

感じていただけるよう取り組

んでいます。

 

また、地域移行後の利用者

への対応として、本人の生活

の様子や健康面について確認

し、事業所からのご意見を伺

う機会として、定期的に電話

連絡をするとともに、時期を

決めてフォローアップ訪問を

実施しています。その期間に

ついては、最初の一か月は一

週間に一度、その後は三か月

後・半年後・一年後を目途に

電話連絡を行い、また、移行

一年後、三年後にフォロー

アップ訪問を実施していま

す。

 

当法人の入所利用者の出身

地は北海道から九州まで全国

に及んでいるため、事業所や

ご自宅へのフォローアップ訪

問の実施にあたっては、地域

移行課の職員だけで対応する

ことは難しい状況です。その

ため、生活支援部と連携し、

入所当時の在籍寮の職員や、

本人をよく知る職員を派遣す

るフォローアップ体制をとっ

ています。

 

本年度は、平成二十年度に

移行した利用者と健康面等で

フォローアップが必要な利用

者を合わせた三十二名に対し

フォローアップ訪問を実施

し、同時に本人および事業所

へのアンケート調査を実施し

ました。

 

アンケート調査の集計結果

については、本人からの主な

回答として、「のぞみの園に

戻りたいですか?」の問いに

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3 のぞみの園のぞみの園のぞみの園

対し、意思表示できる方全員

が戻りたくないと回答しまし

た。その理由としては、「こっ

ち(移行先)がいい」「友達・

家族がいる」といったことが

上げられていました。

 

今の暮らしはどうですか?

の問いに対しては、回答不能

の方を除き、意思表示のあっ

たすべての方が、「大変よい」

「概ねよい」との回答でした。

 

これから何がしたいか?の

問いには、日中活動以外に「旅

行」「買い物」「家族と会いた

い」といった回答が多数あり、

ほとんどの方が地域移行後の

現在の生活に満足している様

子がうかがえる結果となって

います。

 

また、移行先事業所へのア

ンケートで、「知的障害者の

地域移行についてどう考えま

すか」の問いに対して、九割

近くの事業所から本人にとっ

て大切なことだと思うとの回

答がありました。その中で、

本人が円滑に地域移行するた

めに引き渡し資料の充実を求

めるご意見をいただきまし

た。これにつきましては、円

滑に移管できるよう改善し対

応させていただきました。今

後も定期的なフォローアップ

を継続し、地域移行された方

も、これから地域移行をされ

る方も、安心して地域での生

活を送ることができるよう支

援していきたいと思います。

 

現在、当法人における地域

移行への取組みは、地域支援

部を基点として、総合施設の

各部所が連携して行っていま

すが、アンケート結果にも現

れているように、これからも

すべての利用者が「地域移行

してよかった」と思えるよう、

各部所と一致協同し、地域移

行への取組みを推進していき

ます。

 

最後に、「本人がどんなに

重い障害を持っていても、地

域の中で(故郷で)その人ら

しいあたりまえの生活を送

る」ということを念頭にお

き、本人や家族の不安を取り

除き、よりよい地域移行の実

現にむけて丁寧に取り組んで

いきたいと思います。

(地域支援部

地域移行係長

 小島

 秀樹)

Q のぞみの園に戻りたいですか?

18100%

00%

18100%

■はい■いいえ

Q 今の暮らしはどうですか?

1657%7

25%

00%

00%

518%

1657%7

25%

■大変良い■概ね良い■普通■困っていることがある■回答不能

Q これから何がしたいか?

822%

1130%

514%

514%

617%

13%

1130%

■旅行■買い物■日中活動■家族と会いたい■散歩■よくわからない

Q 知的障害者の地域移行についてどう考えますか?

1657%

311%1

3%829%

1657%

■大切なことだと思う■本人にとっては良い■何とも言えない■反対ではないが厳しいと 思う■回答なし

Q のぞみの園からの本人資料等に関する要望についてお聞かせ下さい。

1558%

14%

1038% 15

58%

1038%

■特に問題ない。参考に なった■医療面の詳細資料が欲し かった■本人への具体的な対応に ついての詳細が欲しかっ た■日中活動についての詳細 が欲しかった■その他

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4NEWS LETTER

 

標記のセミナーが京都府研

修として、平成二十一年十二

月十四日から十六日の三日間

の日程で行われました。以下、

その概要を報告致します。

 

一日目は、大阪府立砂川厚

生福祉センター企画調整課主

査児玉理恵子氏、社会福祉法

人世光福祉会ベテスダの家所

長中西昌哉氏、NPO法人そ

れいゆライフサポートセンタ

ー西部地域センターディレク

ター水野敦之氏の講義があり

ました。

 

児玉氏の講義は、「行動援

護を理解する~制度の成り立

ちと支援の実際~」というテ

ーマで、行動援護を理解する

(具体的なサービス内容と対

象者・判定基準の理解)、行

動援護の制度的課題(必要な

人へ必要な支援を必要な時

に)という基本的なことから、

アセスメント↓個別支援計画

↓行動援護↓カンファレンス

↓アセスメント…と実践的な

内容となっていました。

 

中西氏の講義は、「行動援

護の基本Ⅰ」というテーマで、

自閉症のキャップハンディの

演習を中心に進められまし

た。聞き慣れない外国語で話

し掛けられ、言葉の意味が理

解できずに困っている人、他

の受講生の真似をして身体を

動かしている人と反応は様々

でした。次に自閉症の一般的

な特性を実感する事を目的と

した疑似体験を行う事で自閉

症に対する理解を深め、あわ

せて自閉症支援のポイントに

ついてお話しいただきました。

 

水野氏の講義は、「行動理

解の基礎」というテーマで、

自閉症の理解と支援に関し

て、自閉症の特性についての

解説シートを用いて詳しく話

されました。自閉症の特徴的

な行動である、かんしゃく(他

害・自傷)・こだわり・パニ

ックなどは、環境要因(行動

を引き起こす様々な状況・刺

激・複雑でわかりにくい情報

等)と、本人の特性(全体よ

りも細部が気になる・感覚の

特異性・行動の見通しがもて

ない等)が相互に影響を与え

ているという話でした。

 

二日目は滋賀県社会福祉事

業団企画事業部主査松田裕次

郎氏による「行動援護の技術

Ⅰ~アセスメントの実際~」・

「同Ⅱ~サービス改善プラン

~」の講義と演習がありまし

た。

 

最初に、行動援護(移動支

援)の実際場面を記録したD

VDを視聴し、利用者の状況

を六つの場面に分けて、その

行動から受ける印象を基にア

セスメント票1に記入すると

いう演習が行われました。

 

その後に講師から解説があ

り、再度DVDを視聴し、利

用者の言いたいであろう気持

ち・その根拠となる行動・関

連する行動特性は何か、とい

う三項目をアセスメント票2

に書き込みました。

 

さらにDVDを視聴して、

サービス提供者が支援計画の

作成・実際のサービス提供を

行う上で要点となる、利用者

本人が持つ困難さや活用でき

る本人の能力をシートに記入

しました。そして、七~八人

でのグループ演習に移り、そ

れぞれに配置されたインスト

ラクターを交えて、行動支援

計画シートの完成を目指しま

した。その内容について指名

されたグループの発表があ

り、講師陣の講評を経て、改

善された行動援護のDVDを

再視聴しました。

 

三日目は社会福祉法人オー

プンスペースれがーとサービ

スセンターれがーと副所長小

澤竜也氏による「事例分析」

の講義と演習がありました。

 

演習は、グループごとに設

定された条件で最善な方法を

協議し、ロールプレイという

形で発表されました。

 

最後に総括として、行動援

護従業者研修受講者の事前・

事後におけるチェックリスト

の答え合わせとインストラク

ター各氏の講評を頂き、三日

間にわたるセミナーを終了し

ました。

 

なお、今年度の中央セミナ

ーは、福岡・宮城でも開催し

ます。三月二日から四日の宮

城県研修は現在参加募集中で

す。ぜひご参加ください。

(生活支援部

第一課主幹

 齊藤

 正)

本年度第1回

行動援護従業者養成研修中央セミナー

開催される!

行動援護従業者養成研修中央セミナー行動援護従業者養成研修中央セミナー

 行動援護事業の普及・推進のため「広げよう社会参加の支援~行動援護で出かけてみよう~」というリーフレットを作成しましたのでご活用ください。(お問い合わせ先:027-320-1455 企画研究部・村岡)

行動援護事業の普及・推進のためリーフレットを作成しました行動援護事業の普及・推進のためリーフレットを作成しました行動援護事業の普及・推進のためリーフレットを作成しました

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5 のぞみの園のぞみの園のぞみの園

 

当法人では、全国の障害者

支援施設や障害関係事業所を

始め各方面からさまざまなお

問い合わせをいただいていま

す。

 

今回は、平成二十一年度

(十一月末まで)において全

国から寄せられた援助・助言

の概況についてご紹介いたし

ます。なお、援助・助言を行っ

た件数は九十七件でした。

 

援助・助言の内訳では、個

別支援計画に関するものが全

体の五分の一を超えました。

個別支援計画は、障害者自立

支援法に基づく新事業体系移

行への課題のひとつであり、

施設や事業所から「のぞみの

園版個別支援計画書」様式の

送付依頼に対して、様式の内

容等について援助・助言を行

うとともに資料の提供を行っ

たものです。新事業体系移行

に関しては、のぞみの園の利

用契約書・重要事項説明書や

事業運営に関する問い合わせ

もありました。

 

また、当法人が中心となっ

て研究し、知的障害者の医療

アクセス改善等に関するもの

として編集・発行した「群馬県

知的障害者の医療を考える会」

の小冊子について、問い合わ

せ及び送付希望が十件ありま

した。その他、地域生活移行の

状況や手法に関するもの、障

害の重度化した利用者や恒常

的な医療的ケアを必要とする

利用者への診療体制等に関す

るもの、高齢知的障害者の支

援に関するもの、日中活動支

援等に関するものなどでした。

 

次に、本年度における援助・

助言の具体的内容の一部をご

紹介いたします。

・G県の障害者支援施設の職

員研修会において、「個別

支援計画の基本的考え方」

について講師として、職員

を派遣しました。

・H道の知的障害者支援施設

等を対象とした職員研修会

については、六月に一回目、

十二月に二回目と、同じ

テーマを深め、進展させる

という意図で「個別支援計

画と地域での相談支援に係

るケアマネジメント及び自

立支援協議会」について講

師として、職員を派遣しま

した。

・O県の社会福祉協議会等か

ら、「罪を犯した知的障害

者への支援」について講師

派遣の依頼があり、講演を

行いました。

・S県の社会福祉事業団の障

害者支援施設から、「医療

的ケアを要する利用者への

支援内容、高齢知的障害者

の介護の実際等について」

の見学依頼があり、関係部

所において見学および支援

内容等の説明を行いました。

 

なお、見学者の多くが直

接支援されている職員で

あったため、居室・トイレ・

浴室等の環境整備面、寮に

おける食事等の介護場面

などの見学を交えながら、

家族との関係・地域医療と

の連携等、支援に係る具体

的な質問について担当職

員が説明しました。

 

その他、「援助・助言」業

務の一環として、障害福祉関

係者以外にも知的障害者のこ

とをよく理解してもらうこと

は大変重要ですので、例えば

警察学校からの講師派遣の依

頼などにも、積極的に対応し

ています。

 

この、警察学校への講師派

遣については、知的障害者に

対する、より一層の理解と支

援技術の習得や知識の向上へ

の寄与を目的として、施設職

員・地域で活動する支援員・知

的障害者(児)の保護者や学生

等を対象に実施している「出

前講座」の一つとして、毎年実

施しています。また、講座を

受講した学生には、知的障害

者に対する理解をさらに深め

てもらうために、施設見学及

び生活寮における利用者との

交流を実施しています。

 

当法人では、ホームページ

においてもさまざまな情報発

信も行っています。お尋ねに

なりたいことがございました

ら、まずは電話・メール等で

お問いわせいただければと

思っています。どうぞ、お気

軽にご利用ください。

お問い合わせ先:

事業調整部 

サービス調整室

電 

話:

 

027

320

1562

Fax:

 

027

320

1460

E-mail

[email protected]

(事業調整部

サービス調整係長

 吉澤晃)

障害者支援施設への援助・助言

問い合わせ者の地域と所属高崎市内 群馬県内※ 群馬県外 合計

障害者支援施設 1 6 59 66高齢者施設等 1 1都 道 府 県 1 1政令指定都市・中核市 1 1市 町 村 3 2 5相 談 機 関 1 6 7居宅支援事業者 1 1 2そ の 他 2 8 4 14合 計 7 15 75 97

単位:件

地域別(件数)

■北海道・東北■関東■中部■近畿■中国■四国■九州・沖縄

四国5中国0

九州・沖縄5

関東42

北海道・東北17

中部14

近畿14

問い合わせ内容(パーセント)

■制度 (自立支援法以外)■自立支援法■事業運営■支援方法■健康・医療■調査・研究■講演・講師派遣

調査・研究2%

制度(自立支援法以外)2%自立支援法 8%

事業運営40%

支援方法15%

健康・医療12%

講演・  講師派遣21%

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6NEWS LETTER

 

知的障害を伴う自閉症の人

によく見られます。独語はど

こかで聞いた言葉をそのまま

反復するものです。場合に

よっては、気持ちを切り替え

るために見られることもあ

り、どのような状況で独語が

多いかを見分ける必要があり

ます。

 

オウム返しは「エコラリア」

と呼ばれ、相手が言ったこと

をそのまま繰り返すことを指

します。

①独語、オウム返し

 二回目となる今回も、前回に引き続き「発達障害の定義・診断」

についてです。前回に紹介した「ウィングの三つ組」のうち、㈡コミュ

ニケーションの質的障害、㈢想像性の障害とそれに基づく行動の障

害について概説します。

 

コミュニケーションとして

我々が使う「言葉」は、自分

の考え、気持ちなどを相手に

伝える道具です。自閉症の人

はこの道具を使うことはでき

るけど、「使い方」に問題が

あると言えます。

㈡コミュニケーションの質

的障害

 

これらは言葉の機能として

自分の思いなどを相手に伝え

るための道具となっていない

ことがわかります。

②立場によって言葉を

 使い分けられない

 

例えば敬語の使い方が誤っ

ている例などです。目上の人

に「お前は…」と言ってみた

り、おかえりとただいまを言

い換えられないなどです。い

ずれも言葉をパターン的に記

憶していることが原因となっ

ています。

③ペダントリー

 

年齢にそぐわない難しい言

い回しをすることを指しま

す。また、パターン的な表現、

細部にこだわった話しぶりが

目立つことがあります。文頭

に必ず「いわゆる」と付けて

話す、図書館と話すと「いや、

図書室です」と訂正すること

などが挙げられます。これら

は主にアスペルガー障害でみ

られます。

④理解している言葉の

 偏り

 

自分の興味がある事柄につ

いては驚くほど知っているに

も関わらず、日常的によく用

いられる言葉は意外に知らな

い場合があります。

⑤音節・音韻への過度

 の注意

 

定型発達者は、ある言葉の

意味を知ってしまうと、その

意味に束縛されてしまい、そ

れにそぐわない情報はなかな

か受け取れません。自閉症で

は、この部分に影響を受けな

いため、意味による拘束はな

いが音韻にとらわれてしまう

ことがあります。

⑥行間を読み取ること

 の困難、慣用表現や

 比喩がわからない

 

会話は言葉を省略されるこ

とのほうが多く、私たちは文

脈の中から意味を類推するこ

とで会話を続け、楽しみます。

自閉症の人たちは、言外の意

味が汲み取れず言葉どおりの

解釈になりがちなことがよく

みられます。また、慣用表現

を身につけることも苦手で

す。例えばお母さんから「そ

んなこともできないようじゃ

あ、赤ちゃんだね」と言われ

ると本気になって「赤ちゃん

じゃない!小学生だ!」と返

す、学校の先生に「今日はまっ

すぐ帰りましょう」と言われ、

「家にはまっすぐ帰れません、

○○の角を左に曲がって…」

と延々と説明する、などがあ

ります。このようなやりとり

がしばしばあると、周囲から

は「冗談のわからない奴」な

どと言われ、時にからかわれ

てしまうこともあります。

⑦話し言葉以外でのコ

 ミュニケーション

 (アイコンタクト、

 ジェスチャー)の使

 用の困難さ

 

コミュニケーションは話し

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7 のぞみの園のぞみの園のぞみの園

載連

言葉だけでなく、非言語的な

方法で相手に意思を伝えるこ

とも多いものです。言葉が通

じない外国人に対して、身振

り手振りを交えて自分の思い

や考えを伝えようとすること

を想像すると理解できると思

います。自閉症の人はこの話

し言葉以外のコミュニケー

ションツールを使うことが苦

手です。

 

視線の使い方では、目を合

わせない以外にも、過度に顔

を近づける、横目で見るなど

の奇妙さが目立つことがあり

ます。また、相手の視線の意

味を理解することも苦手で

す。ウインクの意味がわから

ず不思議そうな様子を見せた

りします。握手やハイタッチ

などの意味も理解できず、わ

からないまま周囲の状況に流

されてやっているということ

も少なくないようです。

①考えや気持ちの修正

 が困難

 

想像性とは、目の前にはな

い事象(結果、いきさつなど)

を直感的に扱う部分のことで

す。私たちは、未体験の事柄

に対して、今までの経験や知

識を生かしてその原理を素早

く抽出し、どう応用できるか

をその都度考え対応するよう

試みます。自閉症の人は、こ

の想像性の発達に問題がある

ため、生活上様々な困難を生

じています。

 

自閉症の人は、一度始めた

手順を変更することが困難で

す。判断に迷うと、一からや

りなおしたりします。テスト

でも書いた答案を全て消して

㈢想像性の障害と

それに基づく行動の障害

しまい、結果的に時間切れと

なってしまうことがありま

す。何とか適応できているよ

うに見えても内心不安だらけ

の場合もあり、家庭内でイラ

イラが爆発することも珍しく

ありません。

②見通しのもてなさと

 それに基づく不安

 

めったにないスケジュール

が近づいてくるだけで落ち着

かなくなり、日常のことがで

きなくなることがあります。

時間割や旅行先の変更などは

著しい不安を掻か

き立てられパ

ニックになることもありま

す。逆に、いつもどおりに決

まっている事柄には安心して

取り組めるのも特徴です。

③物事の因果関係を予

 測しにくい

 

例えば、ガラスのコップを

落とすと割れてしまう、と

いったことを理解することも

苦手な自閉症の人がいます。

逆に、結果を自分の思い込み

で解釈していることもあり、

そうならないとイライラする

こともあります。

④応用が利かず、行動

 がこだわりとなって

 現れる

 

自閉症では、一度習得した

スキルを応用できず、あらゆ

る場面において習得したとお

りに実行しようとします。こ

れを過度の一般化と呼んでい

ます。「外では帽子をかぶる」

ということを教えられると、

どこへ行くにも帽子をかぶら

ないと気が済まない、などが

例として挙げられます。

⑤ルールや規則に過度

 に忠実

 

自閉症の人は、ルールや決

めごとに対して忠実であり、

それを他人にも押し付けよう

とすることがあります。校則

に違反している人を見ると一

律にとがめてしまう、などで

す。⑥

収集、記憶する遊び

 に固執

 

自閉症の場合、手順を繰り

返したりすることで、安心を

得ている場合が多く自閉症の

子どもの遊び方をみるとブ

ロックを並べたり、ミニカー

を収集したりすることが多く

見られます。

 

次号では、発達障害に対す

る具体的な支援法について解

説します。

(診療所長

 有賀

 道生)

『発達障害の子どもたち』

杉山登志郎著(

講談社現代新書)

『高機能自閉症・アスペルガー

症候群 「その子らしさ」を

生かす子育て』

吉田 

友子著(中央法規)

Page 8: 〜より良い支援体制をめざして〜...3 のぞみの園のぞみの園 上げられていました。家族がいる」といったことがち(移行先)がいい」「友達・た。その理由としては、

本紙は、「水なし印刷」「大豆油インキ」「古紙配合率70%再生紙」を使用しています。

【発 行】  独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園  〒370-0865 群馬県高崎市寺尾町2120番地 2  TEL 027-325-1501(代表) FAX 027-327-7628(代表)  ホームページ http://www.nozomi.go.jp Eメール [email protected]【ニュースレター関係連絡先】  TEL 027-320-1322(企画研究部) FAX 027-320-1368(直通)  Eメール [email protected]

● プログラム ●

 刑務所・少年院等から退所した知的障害者に対して、法務省と厚生労働省は連携し、地域での自立を推進するために刑務所や保護観察所、更生保護施設に担当者を配置し、また全国に地域生活定着支援センターを設置して、出所後直ちに福祉サービスにつなげることが出来るための事業を開始しました。 本セミナーでは、法務省、厚生労働省担当者からの行政説明と全国各地で地域生活を支援している事業所からの実践報告と当法人における実践報告を行います。

福祉セミナー2010国立のぞみの園福祉セミナー2010のご案内福祉セミナー2010福祉セミナー2010主催:独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園

福祉サービスを必要とする罪を犯した知的障害者等の地域生活支援に向けて

開催日 平成22年2月25日(木)~26日(金)会 場 高崎シティーギャラリーコアホール参加費 無料 ①行政説明

 椿 百合子(法務省大臣官房室広報室長) 宇井総一郎(厚生労働省社会・援護局総務課長補佐)②事例報告と課題の検討 森山 秀実(東京実華道場ステップ押上) 中川 英男(滋賀県地域生活定着支援センター) 鈴木 康弘(郡山市・地域生活支援センター) 古川 慎治(国立のぞみの園) 小林 隆裕(国立のぞみの園)③シンポジウム 清水 義悳(特定非営利活動法人全国就労支援事業者機構) 大塚 俊弘(長崎こども・女性・障害者支援センター) 水藤 昌彦(高槻地域生活総合支援センターぷれいすBe) 小野 隆一(国立のぞみの園)

発達障害 ライフステージに基づいた支援と理解

● プログラム ●

 ここ数年、発達障害者支援センターの設置、発達障害者支援法の施行、特別支援教育の推進など、新たな発達障害への制度改革が実施され、医療・教育・福祉の各分野でそれぞれ専門領域を超えて研究の交流が行われています。 本セミナーでは、発達障害児者のライフステージに基づいた理解と支援方法について、問題をどのように捉え、対処されているかについて、各分野でご活躍の先生方からご講演いただき、「支援のあり方」について学びます。

開催日 平成22年3月12日(金)~13日(土)会 場 ホテルメトロポリタン高崎参加費 5000円(1日のみの方は2500円) ①講演

 諏訪 利明(海老名市立わかば学園) 出水 悌二(宮崎県立児湯るぴなす特別支援学校) 阿部 利彦(所沢市教育委員会) 松為 信雄(神奈川県立保健福祉大学)②シンポジウム 安田 淑美(群馬県発達障害者支援センター) 阿部 利彦(所沢市教育委員会) 幸田  栄(横浜市東部地域療育センター) 出水 悌二(宮崎県立児湯るぴなす特別支援学校) 有賀 道生(国立のぞみの園) 生川 善雄(千葉大学大学院)