日本人の意識変化の35年の軌跡(2) - nhk...04-08 1899-1903 1898 ~ 生 2008年...

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2 MAY 2009 調査では「国民が投票すること(選挙)」,「国 民のデモや陳情,請願(デモなど)」,そして「国 民の意見や希望(世論)」が,それぞれ国政に どの程度の影響を及ぼしていると考えているか を,下記の選択肢の中から選んでもらっている (《》の中は略称。以下同)。 ○選挙,デモなど 1. 非常に大きな影響を及ぼしている《強い》 2. かなり影響を及ぼしている《やや強い》 3. 少しは影響を及ぼしている《やや弱い》 4. まったく影響を及ぼしていない《弱い》 ○世論 1. 十分反映している《強い》 2. かなり反映している《やや強い》 3. 少しは反映している《やや弱い》 4. まったく反映していない《弱い》 その結果,この 5 年間では「世論」について は変化がないのに対し,「選挙」と「デモなど」 については《強い》,あるいは《やや強い》と考 える人が,それぞれ 41%から48%へ,23%か ら27% へと増加した (図 1) こうした変化があったものの,人びとが最も 有効性を感じているのは「選挙」であり,つい で「デモなど」であり,「世論」が最も少ないと いう関係は 35 年間まったく変わっていない。 社会や政治,経済,そして生活などについて の人びとの意見や態度が長期的にどのように変 化するのかを追跡することを目的に,NHKで は 1973 年から 5 年ごとに「日本人の意識」調査 を行っている。 昨年の 6月に第 8 回を実施したことにより35 年間におよぶ日本人の意識の変化および不変を とらえることが可能となった。その結果の中か ら,男女関係,家庭像,夫婦・親子関係など については本誌 4 月号で報告した。今回は,政 治,ナショナリズム,天皇感情,宗教,そして 基本的価値観などについて報告する。 調査は各回とも全国の16 歳以上の国民を対 象として5,400人(初回は5,436人)を層化無作 為2 段抽出し,「個人面接法」で実施したが, 質問構成などの詳細と単純集計結果は,4月号 を参照していただきたい。 政治意識 政治意識に変化の兆し 政治意識の領域で,2003年からの5年間の 動きで最も特徴的なものは,国民の行動が国 の政治に及ぼしている影響が強いと考える人が 増えていることである。 日本人の意識変化の 35年の軌跡( 2) ~第 8 回「日本人の意識・2008」調査から~ 世論調査部(社会調査) 河野 啓/高橋幸市/原 美和子

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  • 2  MAY 2009

    調査では「国民が投票すること(選挙)」,「国民のデモや陳情,請願(デモなど)」,そして「国民の意見や希望(世論)」が,それぞれ国政にどの程度の影響を及ぼしていると考えているかを,下記の選択肢の中から選んでもらっている

    (《》の中は略称。以下同)。○選挙,デモなど

    1. 非常に大きな影響を及ぼしている《強い》2. かなり影響を及ぼしている《やや強い》3. 少しは影響を及ぼしている《やや弱い》4. まったく影響を及ぼしていない《弱い》

    ○世論1. 十分反映している《強い》2. かなり反映している《やや強い》3. 少しは反映している《やや弱い》4. まったく反映していない《弱い》その結果,この5年間では「世論」について

    は変化がないのに対し,「選挙」と「デモなど」については《強い》,あるいは《やや強い》と考える人が,それぞれ 41%から48%へ,23%から27%へと増加した(図1)。

    こうした変化があったものの,人びとが最も有効性を感じているのは「選挙」であり,ついで「デモなど」であり,「世論」が最も少ないという関係は35年間まったく変わっていない。

    社会や政治,経済,そして生活などについての人びとの意見や態度が長期的にどのように変化するのかを追跡することを目的に,NHKでは1973年から5年ごとに「日本人の意識」調査を行っている。

    昨年の6月に第8回を実施したことにより35年間におよぶ日本人の意識の変化および不変をとらえることが可能となった。その結果の中から,男女関係,家庭像,夫婦・親子関係などについては本誌4月号で報告した。今回は,政治,ナショナリズム,天皇感情,宗教,そして基本的価値観などについて報告する。

    調査は各回とも全国の16歳以上の国民を対象として5,400人(初回は5,436人)を層化無作為2 段抽出し,「個人面接法」で実施したが,質問構成などの詳細と単純集計結果は,4月号を参照していただきたい。

    Ⅲ 政治意識

    政治意識に変化の兆し政治意識の領域で,2003年からの5年間の

    動きで最も特徴的なものは,国民の行動が国の政治に及ぼしている影響が強いと考える人が増えていることである。

    日本人の意識変化の35年の軌跡(2)~第 8 回「日本人の意識・2008」調査から~

    世論調査部(社会調査) 河野 啓/高橋幸市/原 美和子  

  • 3MAY 2009

    そして,2008年の結果では,最も高い「選挙」でも有効性を感じている人は半数に満たず,「世論」については,「少しは反映している」という人が58%,「まったく反映していない」という人が28%で,合わせて86%もの人が,国民世論の政治的有効性を弱いと感じている。

    調査では,「最近の1年間に行った政治活動」についても訊ねているが,最近の5年間では増えた項目はなく,「署名運動に協力した」は22%から19%へ,「陳情や抗議,請願した」は2%から1%へと減少し,「デモに参加した」は1%で変わらない。増えているのは「特に何もしなかった」という人だけである。

    つまり,行動面は活性化したわけではなく,有効だという感覚だけが上昇しているわけである。とすれば,他人の行動を評価して,有効と感じている人が増えた可能性が高いが,現実の現象としては今のところ見当たらない。「選挙」については,2005年9月の第44回衆

    院選では自民党が大勝したが,2007年7月の第21回参院選では民主党が第一党になり,「ねじれ国会」を生み出した。その影響は,国政の数多くの場面に現れている。「選挙」に関する有効性感の上昇には,こうしたことが影響していると考えられる。

    若い世代で上昇各回答について次のように得点化すると,政

    治的有効性感覚を場の違いを超えて総合的にみることができる。そして,点数の高い人は私たちの行動が国の政治に対して影響を及ぼしていると考える傾向が強いことを示す。《強い》 ・・・・・・・・・3点《やや強い》 ・・・・・・・2《やや弱い》 ・・・・・・・1《弱い》 ・・・・・・・・・0  (「わからない,無回答」も0点)個人個人の得点の合計を有効人数で割った

    結果(平均得点)を示せば,図2のようになる。1998年から2003年にかけてはほとんど変わ

    らず,2008年にかけては少し回復している。つまり,国民の行動が国政に影響を及ぼしていると考える人が増えていることを示している。

    この平均得点を生年別に示すと図3のようになり,線がほぼ重なっていることから,有効性を感じているかいないかは生まれ年によってほぼ決まっている。つまり,成長期に“有効”あるいは

    “有効でない”と判断すると,その判断が一生の間変わらないのである。

    そして,線が並行して下がっていることから,各世代とも,時代の推移とともに有効性感覚の強い人が減少してきたこともわかる。

    図 1 政治的有効性感覚(〈強い〉,全体)〈強い〉=《強い》+《やや強い》

    図 2 政治的有効性感覚スコア(平均得点,全体)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

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    70 世論デモなど選挙

    2008年2003200320031988198319781973 

    (%)

    6661

    5350 50

    41 414847

    21

    43

    21

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    11

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    世論デモなど選挙

    世論デモなど選挙

    2008年2003199819931988198319781973

    (%)

    0

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    70 世論デモなど選挙

    2008年2003200320031988198319781973 

    (%)60

    0

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    2008年2003199819931988198319781973

    (点)4.41 4.29

    3.94 3.77 3.733.24 3.31

    3.51

  • 4  MAY 2009

    また,1973年の第1回の調査結果では,若い世代と高年世代が低い「山」型となっている。最も得点が高いのは1924〜28年に生まれた(初の完全普通選挙となった衆議院選挙が行われた1946年の時点では18〜22歳の)人びとである。その後は,この世代を頂点としたまま,徐々に右肩上がりの形になった。つまり若い世代ほど有効性感覚が低いという特徴が現れてきたのである。

    さらに,各線の左端方向に注目すると,もう1つの特徴があることがわかる。すなわち,1993 年までは左端から2 番目,つまり調査の時点では20〜24歳の人で最も低く,その左,調査の時点では16〜19歳の人の方が得点が高い。これは,世代的な特徴というより年齢による影響が強く現れていたと考えられる。

    ところが,この形が2003年には崩れ,2008年には1974〜78年生まれを底とする「U字」型になった。若い世代では,国民の行動が国の政治に影響を及ぼしていると考える人が,その前の世代より多いことになる。

    先にみた国民全体での平均得点の変化は,以上のような世代の特徴とその交代,および時代の影響との複合作用によるものであった。

    相変わらず低い権利に関する知識「憲法によって,義務ではなく,国民の権利

    ときめられている」と思うものを以下の6つの中からいくつでも選んでもらっている。

    ア.思っていることを世間に発表する《表現の自由》

    イ.税金を納めるウ.目上の人に従うエ.道路の右側を歩くオ.人間らしい暮らしをする《生存権》カ.労働組合をつくる《団結権》

    末尾に略称を付した3つが正解だが,最近の5年間では正解率に変化はない(図4)。

    35年間でみれば,《生存権》については70%から77%へと知っている人が増えたが,《表現の自由》と《団結権》はそれぞれ 49%から

    図 3 政治的有効性感覚スコア(平均得点,生年別)

    図 4 権利についての知識(全体)

    0102030405060708090100

    2008年

    2003年

    1993年

    1983年

    1973年

    (%)

    2008年2003年

    1993年1983年1973年

    女性

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

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    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    0

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    3

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    5

    2

    2008年2003年1993年

    1983年

    1973年

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

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    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    2008年2003年

    1993年1983年1973年

    (点)

    (%)

    70

    49

    39

    70

    46

    36

    77

    44

    29

    76

    43

    27

    75

    39

    26

    76

    37

    23

    76

    36

    20

    77

    35

    22

    0

    20

    40

    60

    80

    《団結権》《表現の自由》《生存権》

    2008年2003199819931988198319781973

  • 5MAY 2009

    35%へ,39%から22%へと知っている人が減少している。

    正しいものだけを選んだ人(正解の3つを選び,不正解のものは選んでいない人)は,1973年には18%と,この時点でもかなり少なかったが,2008年には9%と,国民の10人に1人しか正解を知らない状態となっている。

    憲法で決められた重要な権利を意識する必要がなく,知らないことによる支障もない世の中であれば,それはそれで幸せなことかもしれない。しかし,例えば昨年秋からの世界的金融危機の中での「派遣切り」や「解雇」などの問題は,まさしく生存にかかわり,また,団結権にもかかわる問題である。

    経済状況により変わる政治課題調査では7つの課題の中から1つを選んでも

    らっているが,国民の多くは《福祉の向上》か《経済の発展》を,日本の政治が取り組むべき重要な課題と考えている(図5)。

    しかし,この2つの課題のどちらが優先されるかは経済状況に大きく影響されており,不況時は

    《経済の発展》を望む人が増え,それ以外の時は

    《福祉の向上》という人が増える。高度経済成長末期の1973年の政府予算は,

    経済政策だけでなく福祉関係の予算を拡充し,「福祉元年」と位置づけられた。

    この「日本人の意識」調査の結果でも《福祉の向上》が約半数で最も多かったが,73年調査の後の年末には「第一次オイルショック」が発生,戦後初のマイナス成長となり高度経済成長も終焉した。そのため,78年には《経済の発展》を挙げる人がほぼ倍増し,《福祉の向上》は大きく減少した。そして,86年末からの「バブル景気」の中で,88年には《福祉の向上》が増える。

    そのバブルが崩壊し,“失われた10年”といわれる「平成不況」となるが,93年には《福祉の向上》は変わらず,《経済の発展》が増加した。「平成不況」後半期の98年には《経済の発展》を最重要課題と考える人が21%から27%も増加し,ほぼ半数の48%に達する。

    そして,戦後最長の好景気となった「いざなみ景気」は,統計の上では2002年からはじまったとされるが,当初は足取りが弱く,2003年の結果では依然として《経済の発展》が48%とかなり多かった。しかし,2008年には《経済の発展》は25%へと大きく減少し,《福祉の向上》が再び増加して28%となり最も多くなった

    (2008年調査は,アメリカに端を発した世界的な金融危機より前に行われた)。

    そのほかの課題としては,1990年代には減少していた《秩序の維持》が2000年代に入って再び増加している。

    男女年層別にみると,1970年代後半から80年代前半には男性の高年層で《秩序の維持》を挙げる人も多かったが,その後は,多くの年層で男女とも《経済の発展》や《福祉の向上》を挙げる人が多い。

    図 5 政治課題(全体)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70 世論デモなど選挙

    2008年2003200320031988198319781973 

    (%)

    66

    49

    11

    21

    3227

    19

    37

    12

    37

    21

    48

    14

    28

    25

    48

    18

    62

    5350 50

    41 414847

    21

    43

    21

    32

    19

    31

    17

    28

    1622

    11

    23

    10

    27

    11

    0

    20

    40

    60

    世論デモなど選挙

    世論デモなど選挙

    2008年2003200320031988198319781973

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60《友好の促進》《文化の向上》《参加の増大》

    《権利の擁護》《秩序の維持》《福祉の向上》《経済の発展》

    2008年2003199819931988198319781973《経済の発展》:日本の経済を発展させる《福祉の向上》:国民の福祉を向上させる《秩序の維持》:国内の治安や秩序を維持する《権利の擁護》:国民の権利を守る《参加の増大》:国民が政治に参加する機会をふやす《文化の向上》:学問や文化の向上をはかる《友好の促進》:外国との友好を深める

    《墓参り》:年に1,2回程度は墓参りをしている《お守り・おふだ》:お守りやおふだなど,魔よけや縁起ものを自分の身のまわりにおいている《祈願》:この1,2年の間に,身の安全や商売繁盛,入試合格などを,祈願しにいったことがある《おみくじ・占い》:この1,2年の間に,おみくじを引いたり,易や占いをしてもらったことがある《お祈り》:おりにふれ,お祈りやお勤めをしている《礼拝・布教》:ふだんから,礼拝,お勤め,修行,布教など宗教的なおこないをしている《聖書・経典》:聖書・経典など宗教関係の本を,おりにふれ読んでいる《していない》:宗教とか信仰とかに関係していると思われることがらは,何もおこなっていない

  • 6  MAY 2009

    減少した支持なし層と増加した民主党支持層人びとが支持する政党は,時々の課題や政

    策に応じて変化するものであり,5年間隔の調査では詳細な動きは捉えきれない。したがって,この「日本人の意識」調査では大きな流れとして人びとの政党支持感を把握することになる。

    そこで,35年という長期のスパンでみれば,半数を超えていた支持なし層が,はじめて減少したことが注目される(図6)。

    政党支持率の変化は,大まかに次の4つに区分できる。○支持なし層と自民党支持層が増加した時期

    (1973 〜 88 年): 支持なし層は主に若い人びとで増加し,自民党支持者は 50 代を中心に増加○自民党支持層が減少し,自民党以外の政党支持層と支持なし層とが増加した時期(1988 〜93 年): 自民党が多くの年層で支持者を大きく減らし,自民党以外の政党は 20 代と 50 代より高年層で支持者を増やし,また,支持なし層は主に 30 代で増加○支持なし層だけが増加した時期(1993 〜2003 年): 自民党は 20 代,40 代後半,50 代前半などで支持者を減らし,支持なし層はほとんどすべての年層で増加○民主党支持層が増加し,支持なし層がはじめて減少した時期(2003 〜 08 年): 民主党が 10

    代を除くすべての年層で支持者を増やし,支持なし層は 10 〜 30 代を中心に減少

    第1回調査を実施した1973年には20%の支持率があった社会党は,93年には8%にまで落ち込んだ。その後,94年からは政権の一翼を担ったり,96年には社会民主党と党名を変更したりしたが,現在は1%の支持率である。その一方で,この間に多くの新党が誕生したが,10%以上の支持者を集めた政党はなかった。35年という長い歴史の中で,自民党と社会党以外の政党では,民主党が15%と,今回はじめて2桁の支持を得たのである。

    88年から93年にかけて,自民党以外の政党が支持者を増やしたが,それは一時的なものに止まり,93年から98年,さらにその後も支持者は減少し,支持なし層が増えた。今回の民主党についても同じような結果になる可能性もあるが,政治的有効性感覚がはじめて上昇したことなどを考え合わせれば,政党への支持感が拡大し,今後は支持なし層が増えないことも考えられる。

    Ⅳ 基本的価値観

    さらに拡大した「なごやか」志向「あなたの生活目標は?」といきなり聞かれて

    も戸惑う人が多いかもしれない。しかし,明確に意識されているかいないかは別にして,日々の生活を送っているからには,何らかの目標があるはずである。

    この調査では,人びとの生活目標を把握するために,2つの基本軸を設定した。その1つは現在の生活に焦点をあてているのか,それとも未来の生活に焦点をあてているのか,という現在中心⇔未来中心の軸である。もう1つは,自己の生活に力点を置いているのか,それとも他

    図 6 支持政党(全体)

    49

    3438

    41 39 41

    5257

    46

    26

    23

    15

    25

    14

    5

    24

    208

    28

    27

    38

    20

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    25

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    2531

    32

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    21

    3227

    19

    37

    12

    37

    21

    48

    14

    28

    25

    48

    18

    (%)

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60 《友好の促進》《文化の向上》《参加の増大》

    《権利の擁護》《秩序の維持》《福祉の向上》《経済の発展》

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60支持なし層自民党以外の政党支持層自民党支持層

    2008年2003199819931988198319781973

    (民主党支持層)

  • 7MAY 2009

    者ないし社会との関連に力点を置いているのか,という自己本位⇔社会本位の軸である(図7)。そして,その組み合わせからなる下記の4つの選択肢の中から1つを選んでもらっている1)。

    1. その日その日を,  自由に楽しく過ごす《快志向》

    2. しっかりと計画をたてて,  豊かな生活を築く《利志向》

    3. 身近な人たちと,  なごやかな毎日を送る《愛志向》

    4. みんなと力を合わせて,  世の中をよくする《正志向》

    その結果,35年前の1973年には《利志向》と《愛志向》とがほぼ並んでいたが,《愛志向》は徐々に増え,現在では最も支持されている。《利志向》は徐々に減り,《快志向》もやや増えたため,1998年以降は《快志向》と《利志向》が並んでいる。また,もともと支持する人が少なかった《正志向》は1980年前後にさらに減り,現在ではわずか6%の人しか支持していない。

    男女年層別にみると,男性では,1973年には10代と60歳以上で《愛志向》や《快志向》の人が多く,20〜50代では《利志向》の人が多かった。また,1970年代には55〜69歳で《正

    志向》を支持する人も多い。その後は《愛志向》が各年層とも増え,2008

    年には20代前半と60歳以上では《快志向》が多く,それ以外の年層では《愛志向》が多い。

    一方,女性では,35年前には20代前半までの若い年層と50代から70代前半まででは《愛志向》が,30,40代では《利志向》が多く,75歳以上では《快志向》が多かった。その後は男性と同様に《愛志向》を支持する人が増え,2008年では,10代を除くすべての年層で最も多くなった(75歳以上では《快志向》も多い)。なお,10代では《快志向》が多い。

    つまり,女性では1980年代まで,男性では2000年初頭まで,ライフステージ(就職→結婚・出産→子どもの自立→定年)に応じて生活の目標も変わっていたが,現在ではステージが変わっても目標が変わることは少なくなり,男女とも幅広いライフステージで《愛志向》という人が多いのである。

    さらに,職業別,学歴別,居住している都市規模別にみても,高校生と無職の人で変わらないだけで,他の層すべてで増えている。「身近な人たちと,なごやかな毎日を送」りたいと

    いう考えが幅広い階層で拡大してきたのである。

    なお,《正志向》については,基本的には,この価値観を目標とした人はライフステージが変わっても,別の目標に変わることはない。つまり,青年期に「みんなと力を合わせて,世の中をよくする」という目標を設定した人は一生の間変わらない。したがって,国民全体での減少は《正志向》を有する人が亡く

    各領域とも左から'73年,'78年,'83年,'88年,'93年,'98年,'03年,'08年

    21%

    33

    20

    31

    22

    32

    25

    29

    23

    29

    25

    26

    24

    26

    24

    24

    14

    31

    13

    35

    9

    35

    7 7

    39 40

    7

    41

    7

    41

    6

    45

    社会本位自己本位 《利志向》《正志向》

    《快志向》《愛志向》

    現在中心

    未来中心

    各領域とも左から'73年,'78年,'83年,'88年,'93年,'98年,'03年,'08年

    21%

    33

    20

    31

    22

    32

    25

    29

    23

    29

    25

    26

    24

    26

    24

    24

    14

    31

    13

    35

    9

    35

    7 7

    39 40

    7

    41

    7

    41

    6

    45

    社会本位自己本位 《利》《正》

    《快》《愛》

    現在中心

    未来中心

    図 7 生活目標(全体)

  • 8  MAY 2009

    49

    3438

    41 39 10

    5257

    5053

    4853 54 53 54 54

    26

    19

    25

    20

    2325

    20

    27

    19

    32

    20

    32

    15

    35

    15

    46

    26

    23

    15

    25

    14

    5

    24

    208

    28

    27

    38

    20

    32

    25

    34

    2531

    32

    11

    21

    3227

    19

    37

    12

    37

    21

    48

    14

    28

    25

    48

    18

    (%)

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60 《友好の促進》《文化の向上》《参加の増大》

    《権利の擁護》《秩序の維持》《福祉の向上》《経済の発展》

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60 支持なしその他

    民主党自民党

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60《全面的つきあい》=なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい《部分的つきあい》=あまり堅苦しくなく話し合えるようなつきあい《形式的つきあい》=会ったときに,あいさつする程度のつきあい

    2008年2003199819931988198319781973

    49

    3438

    41 39 10

    5257

    5955

    52 4540 39 38 39

    34

    2422

    38

    20

    39

    18

    38

    15

    32

    14

    31

    10

    26

    11

    46

    26

    23

    15

    25

    14

    5

    24

    208

    28

    27

    38

    20

    32

    25

    34

    2531

    32

    11

    21

    3227

    19

    37

    12

    37

    21

    48

    14

    28

    25

    48

    18

    (%)

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60 《友好の促進》《文化の向上》《参加の増大》

    《権利の擁護》《秩序の維持》《福祉の向上》《経済の発展》

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60 支持なしその他

    民主党自民党

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60《全面的つきあい》=なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい《部分的つきあい》=仕事が終わってからも,話し合ったり遊んだりするつきあい《形式的つきあい》=仕事に直接関係する範囲のつきあい

    2008年2003199819931988198319781973

    なり,別の目標を持つ人が新たに加わるという世代交代によるものである。ただ,1978年から83年にかけては,《正志向》の人でも他の価値観を目標とするようになり,世代交代とあいまって国民全体で4%の減少となった。

    ここで,設計の元となった2つの軸でみると,まず,自己本位か社会本位かについては(図8の△で表示),1978年には差がやや縮まったが,概ね90年代前半までは自己本位の人がやや多かった。その後は差がない。

    もう1つの現在中心か未来中心かについては(●で表示),1973年には現在中心が若干多かったが,その後は調査のつど差が拡大し,2008年には69%対29%と現在中心の人が圧倒的に多い。

    はじめて増加した 《全面的》な親せきとのつきあい

    1950年代半ばからの高度経済成長期以降,激しい人口移動,その結果としての過疎と過密,新興住宅地や集合住宅の増加など,人びとを取り巻く環境は大きく変化した。その中で,密接な人間関係を望む人が減り,気軽な,あるいはあっさりとした関係を望む人が増えた。この変化は2003年までの30年の間,近隣,職場,親せき

    の3つの場すべてで続いてきたが,最近の5年間では,場によって変化の様相が異なっている。

    まず,近隣との関係についてみると,5年前と変わらず,《部分的なつきあい》を望む人が半

    図 8 社会・自己本位と現在・未来志向(全体)

    ※ % は実数を合計して計算したため,図 7 の合計とは一致しない

    図 9 人間関係・近隣(全体)

    図 10 人間関係・職場(全体)

    図 11 人間関係・親せき(全体)

    (%)

    (%)

    70

    53 5558

    64 6367 65

    69

    51

    48

    29

    50

    48

    33

    51

    48

    32

    52

    46

    35

    54

    45

    3541

    45

    54

    43

    5148

    44

    5246

    49

    39

    70

    46

    36

    77

    44

    29

    76

    43

    27

    75

    39

    26

    76

    37

    23

    76

    36

    20

    77

    35

    22

    0

    20

    40

    60

    80

    《団結権》《表現の自由》《生存権》

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60

    80

    社会本位自己本位

    未来中心現在中心

    2008年2003199819931988198319781973

    51 5145 45 47 46 47

    32

    43

    35

    2220

    36

    17

    37

    16

    41

    13

    44

    10

    40

    9

    40

    8

    (%)

    0

    20

    40

    60<全面的つきあい>= なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい<部分的つきあい>= 気軽に行き来できるようなつきあい<形式的つきあい>= 一応の礼儀を尽くす程度のつきあい

    2008年2003199819931988198319781973

  • 9MAY 2009

    0

    1

    2

    3

    4

    5 2008年2003年1993年

    1983年

    1973年

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    2008年2003年

    1993年1983年1973年

    (点)

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    702008年2003年

    1993年1983年1973年

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    数強で最も多い(図9)。ついで職場については,この5年間で《形

    式的なつきあい》を望む人がさらに増え,《部分的なつきあい》を望む人がはじめて減少した

    (図10)。そして,親せきについては《部分的なつきあい》

    を望む人がはじめて減少した一方で,《全面的つきあい》を望む人がはじめて増加し,10年前の水準に戻った(図11)。

    変化の方向が異なってきたとはいえ,密接な関係を望む人の割合は,職場,親せき,近隣の順で多く,この関係は35年間変わらない。最も機能性・合理性が優先される職場において,人間関係については最も情緒性が重視されている。

    このことは,仕事の相手として,「多少つきあいにくいが,能力のすぐれた人」を選ぶ人が常に少なく(73年=27%,08年=28%),「多少能力は劣るが,人柄のよい人」が一貫して多数であること(73年,08年とも68%)とも符合している。

    なお,人間関係についての考え方は,3つの場とも生まれ年によってほぼ決まっている。そのことを親せきとの関係についてみると,高年の世代ほど《全面的つきあい》が望ましいという人が多く,若い世代ほど少ない(図12)。

    さらに,同一世代で比較すると,幅広い世代で,この意見を支持する人が調査のたびに減少している。つまり,世代交代に加えて,時代の推移とともに密着した関係を望む人は減少してきたわけである。

    ところが,最近の5年間でみると,1969〜73年に生まれた世代で《全面的つきあい》が望ましいという人が24%から36%へと大幅に増えたことなどにより国民全体では3%の増加となった。反対に減少した世代はない。

    最後の「Ⅷ全体の意識変化」で報告するように,2003年までは多くの領域で「伝統志向」の意見が減少してきた。ところが,最近の5年間では,いくつかの領域で「伝統志向」の意見が増加している。

    4月号で詳述したように,結婚後の姓については「わざわざ一方に合わせる必要はなく,夫と妻は別々の名字のままでよい」が,13%から11%へと今回はじめて減少し,また,30年間増え続けていた「結婚して子どもが生まれても,できるだけ職業をもち続けたほうがよい」と「夫が台所の手伝いや子どものおもりをするのは当然だ」が,この5年で増加が止まった。

    親せきとの人間関係を含め,結婚や家庭をめぐる領域でも,近代的な価値とされる意見がはじめて後退,または停滞したのである。

    図 12 人間関係・親せき(《全面的つきあい》,生年別)

  • 10  MAY 2009

    V ナショナリズム

    日本に対する自信の低下が止まる「日本人の意識」調査では,日本に対する感

    情や誇りなどについて,合わせて6項目の質問を設け,「日本に対する自信」「日本に対する愛着」と定義して,意識の変化を調べている。

    このうち「日本に対する自信」についてたずねているのは,以下の3項目である。① 日本は一流国だ② 日本人は,他の国民に比べて,きわめてすぐれ

    た素質をもっている(以下「すぐれた素質」と略)③ 今でも日本は,外国から見習うべきことが多い

    この3項目について「そう思う」(③については「そうは思わない」)人の割合は,日本がオイルショックから立ち直り,国際的にも経済大国となっていく1970年代後半から80年代前半をピークに,その後減少傾向にあった。それがこの5年では,すべて増加に転じた(図13)。

    とはいえ,最も多い「すぐれた素質」でも57%と,ピークだった83年の71%に遠く及ばない。日本に対する自信は,この35年間でみれば,低い水準であることに変わりはない。

    2008年について,3項目の結果を年層別にみ

    たのが図14である。「すぐれた素質」は50代後半以降では60%を超えているが,20代までは40%以下である。また3つの項目とも,高齢者のほうが高くなっている。「すぐれた素質」について,35年間の変化を

    年層別にみると(図15),この5年では,中年層で50%から55%に増加している。また若年層では90年代に43%から25%へと大きく減少したが,2008年には39%にまで回復している。なおここでは若年層は16〜29歳,中年層は30歳〜59歳,高年層は60歳以上と区分している

    (以下同様)。日本に対する自信の強弱を総合的にとらえ

    るため,さきほどの①から③の項目について,3つすべてに「そう思う」(③は「そうは

    図 13 日本に対する自信(全体)

    図 14 日本に対する自信(年層別,2008 年)

    図 15 日本に対する自信(すぐれた素質,年層 3 区分)

    60

    3741 40

    36

    10

    44

    33

    8

    46

    36

    10

    56

    35

    12

    52

    42

    11

    57

    35

    18

    68

    37

    18

    65

    36

    23

    69

    41

    24

    60

    44

    26

    66

    52

    23

    39

    8

    35

    8

    41

    19

    65

    47

    18

    71

    57

    20

    62

    50

    15

    57

    49

    15

    51

    38

    13

    51

    36

    15

    57

    39

    17

    (%)

    (%)

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    「今でも日本は,外国から見習うべきことが多い」と思わないすぐれた素質=日本人は、他の国民に比べて,きわめてすぐれた素質をもっている日本は一流国だ

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    「今でも日本は,外国から見習うべきことが多い」と思わないすぐれた素質=日本人は,他の国民に比べて,きわめてすぐれた素質をもっている日本は一流国だ

    75~70-65-60-55-50-45-40-35-30-25-20-16-

    (%)

    0

    20

    40

    60

    80

    「今でも日本は、外国から見習うべきことが多い」と思わない

    すぐれた素質=日本人は、他の国民に比べて、きわめてすぐれた素質をもっている

    日本は一流国だ 75~70-65-60-55-50-45-40-35-30-25-20-16-

    50

    60

    41

    19

    65

    47

    18

    71

    57

    20

    62

    50

    15

    57

    49

    15

    51

    38

    13

    51

    36

    15

    57

    39

    4147

    57

    50 49

    38 3639

    17

    5348

    53 54 53 54 54

    26

    19

    25

    20

    2325

    20

    27

    19

    32

    20

    32

    15

    35

    15

    (%)

    0

    20

    40

    60《全面的つきあい》=なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい《部分的つきあい》=あまり堅苦しくなく話し合えるようなつきあい《形式的つきあい》=会ったときに,あいさつする程度のつきあい

    2008年2003199819931988198319781973

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    「今でも日本は,外国から見習うべきことが多い」と思わないすぐれた素質=日本人は,他の国民に比べて,きわめてすぐれた素質をもっている日本は一流国だ

    2008年2003199819931988198319781973

    (%)

    0

    20

    40

    60

    80

    高年層(60歳~)

    中年層(30~59歳)

    若年層(16~29歳)2008年2003199819931988198319781973

    50

    60

    64

    63

    53

    70

    64

    55

    74

    73

    60

    66

    65

    46

    66

    43

    59

    65

    52

    25

    62

    50

    33

    65

    55

    39

    41

    19

    65

    47

    18

    71

    57

    20

    62

    50

    15

    57

    49

    15

    51

    38

    13

    51

    36

    15

    57

    39

    17

    5348

    53 54 53 54 54

    26

    19

    25

    20

    2325

    20

    27

    19

    32

    20

    32

    15

    35

    15

    (%)

    (%)

    0

    20

    40

    60《全面的つきあい》=なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい《部分的つきあい》=あまり堅苦しくなく話し合えるようなつきあい《形式的つきあい》=会ったときに,あいさつする程度のつきあい

    2008年2003199819931988198319781973

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    「今でも日本は,外国から見習うべきことが多い」と思わないすぐれた素質=日本人は,他の国民に比べて,きわめてすぐれた素質をもっている日本は一流国だ

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60

    80

    高年層(60歳~)中年層(30~59歳)若年層(16~29歳)

    2008年2003199819931988198319781973

  • 11MAY 2009

    思わない」)人に3点,2つなら2点,1つなら1点,それ以外は0点を与えてスコア化した

    (図16)。点数が高いほうが,自信が強いということになる。このうち「2点」「3点」の人の割合は,1980年代,1990年代でともに減少している。この時期はそれぞれ,プラザ合意後の急激な円高の中,企業が投資・財テクを積極的に行う一方で,貿易摩擦が深刻化した時期,バブル景気が終わり,金融機関の破綻があいついだ停滞期,いわゆる“失われた10年”に相当する。しかしその後,2003年から2008年には「2点」の人が25%から30%に増え,反対に「0点」が33%から28%に減少していて,日本に対する自信は,総合的にも強まる方向に変わったといえる。

    また,自信が最も強い「3点」の人の割合は2008年には5%で,この10年間変わりはない。年層別でみると,高齢者のほうが高めで,40代前半まではすべて2%以下であるのに対し,75歳以上では,12%である。

    さらにこのスコアを,全体人数で割って,調査ごとの平均点を計算した(図17)。各調査の平均点は,83年で最も高くなっている。

    さらに,この平均点を生まれ年を基準に表したのが図18である。8 本の線は,83 年が他の時代に比べてやや高いなど,調査によって全体的に上下のずれがあるものの,ほとんど重なり合っている。日本に対する自信は,総合的にみた場合,生まれた年によって主に決まっていることがわかる。そして調査によって上下にずれがあるのは,その時代の好景気や不景気,それに政治・社会の変化,国際情勢などを反映しているものと考えられる。また,どの時代も,若い世代ほど点数が低くなっている。

    図 16 日本に対する自信スコア(全体)

    3点(強) 1点2点 0点(弱)

    2008年

    2003年

    1998年

    1993年

    1988年

    1983年

    1978年

    1973年 37 25317%

    37 218 34

    32 1611 41

    35 238 34

    26347

    34365 26

    3338255

    28365 30

    34

    《家庭専念》=結婚したら,家庭を守ることに専念したほうがよい《育児優先》=結婚しても子どもができるまでは,職業をもっていたほうがよい《両 立》=結婚して子どもが生まれても,できるだけ職業をもち続けたほうがよい

    《家庭専念》 《育児優先》 《両 立》

    《DK,NA》その他

    2008年

    2003年

    1998年

    1993年

    1988年

    1983年

    1978年

    1973年 2035% 42

    2730 41

    2929 40

    3324 39

    3718

    4613 38

    493513

    4812 37

    41

    図 18 日本に対する自信スコア(平均得点,生年別)

    図 17 日本に対する自信スコア(平均得点,全体)

    0

    1

    2

    2008年2003199819931988198319781973

    (点)

    1.21 1.301.47

    1.27 1.211.01 1.02 1.13

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    2008年2003年

    1993年1983年1973年

    2008年2003年

    1993年1983年1973年

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    生0

    1

    2

    2008年2003199819931988198319781973

    (点)(点)

    1.21 1.301.47

    1.27 1.211.01 1.02 1.13

    0

    1

    22008年2003年1998年1993年

    1988年1983年1978年1973年

  • 12  MAY 2009

    どの時代も変わらない日本に対する愛着一方,「日本に対する愛着」についてたずね

    ているのは以下の3項目である。① 日本に生まれてよかった② 日本の古い寺や民家をみると,非常に親しみ

    を感じる③ 自分なりに日本のために役にたちたい

    この3項目について「そう思う」と答えた人の割合は,どれも,35年間大きな変化はない(図19)。また①の「日本に生まれてよかった」はどの時代でも90%以上,②も80%以上と,大多数の人が共有する意識となっている。③も70%前後で推移し,愛着心は「日本に対する自信」に比べ高いことがみてとれる。

    このように,日本に対して愛着心を抱く人が多いという傾向は,NHK放送文化研究所が参加しているISSP(International Social Survey Programme)国際比較調査でも同様で,日本に対して「愛着」がある(「とても愛着がある」+

    「まあ愛着がある」)と答えた人の割合は95年で95%,2003年で90%である2)。

    また,2008年の結果について,年層ごとの特徴をみたのが図20である。①と②で,10代が他の年層より低いが,それ以外は,年層による差はみられない。

    「日本に対する自信」「日本に対する愛着心」と大きくかかわる「愛国心」を巡っては,その定義やあるべき姿などについて,近年,さまざまな主張や議論がでている。また教育の場では,2006年に教育基本法が改正され,「伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が新たに盛り込まれた。今回,「日本に対する自信」がわずかではあるが増加に転じた背景については,こうした社会状況なども踏まえ,調査結果をさらに詳しくみていく必要がある。また,新しい教育基本法の下で育つ世代が,新たにこの調査に加わる頃には,どのような「自信」や「愛着心」を形成しているのかについても,長期的な分析視点になるだろう。

    Ⅵ 天皇に対する感情

    平成以降の《好感》《無感情》の揺れ35年間の天皇に対する感情の変化には,以

    下の2つの大きな特徴がある(図21)。① 質問対象が昭和天皇から現在の天皇に変

    わったことによる変化② (平成以降の)《好感》《無感情》の増減

    図 20 日本に対する愛着(年層別,2008 年)

    図 19 日本に対する愛着(全体)

    60

    73

    88

    91 93

    88

    69

    96

    87

    72

    95

    84

    66

    97

    83

    69

    95

    84

    66

    95

    85

    66

    96

    87

    70

    41

    19

    65

    47

    18

    71

    57

    20

    62

    50

    15

    57

    49

    15

    51

    38

    13

    51

    36

    15

    57

    39

    17

    (%)

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    「今でも日本は,外国から見習うべきことが多い」と思わないすぐれた素質=日本人は,他の国民に比べて,きわめてすぐれた素質をもっている日本は一流国だ

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    10

    60

    80

    100

    自分なりに日本のために役にたちたい日本の古い寺や民家をみると,非常に親しみを感じる日本に生まれてよかった

    2008年2003199819931988198319781973

    9198

    95 96 96

    90

    94 97 94 9697 97 95 95

    68

    89 89

    71

    91

    73

    87

    67

    88

    73

    88

    69

    86

    7269

    86

    67

    84

    67

    85

    68

    87

    72

    71

    69

    (%)

    歳0

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    100

    自分なりに日本のために役にたちたい

    日本の古い寺や民家をみると、非常に親しみを感じる

    日本に生まれてよかった

    75~70-65-60-55-50-45-40-35-30-25-20-16-

    自分なりに日本のために役にたちたい日本の古い寺や民家をみると,非常に親しみを感じる日本に生まれてよかった

  • 13MAY 2009

    昭和の時代,つまり点線より左側では,最も多いのは《無感情》で,どの時代も40%を超えている。《無感情》→《尊敬》→《好感》→

    《反感》という順序は変わらず,それぞれの感情の割合も大きな変化はみられない。天皇に対する感情は全体としては比較的安定していたといえる。

    それが平成に入ると,それまで3番目に多かった《好感》が1988年から93年に22%から43%と倍増し,4つの感情の中で最も多くなった。一方,《無感情》は大きく減り,93年以降は《好感》《無感情》が調査のたびに増減を繰り返し,天皇に対する感情は以前に比べ一定しなくなっている。また《尊敬》は,昭和の時代には30%前後,平成に入ると減少して20%前後で推移してきたが,この5年間では20%から25%へと,はじめて増加した。

    93年に《好感》が大きく増加したことは,天皇そのものが変わったことだけでなく,その年の6月に,現在の皇太子の結婚式が行われたことが大きく影響していると考えられる(調査は10月に実施)。

    それ以降も,愛子さまの誕生や,皇太子一家の子育て,といった広く皇室にかかわる折々の出来事が,メディアを通じて伝えられている。

    平成以降の《好感》と《無感情》の揺れは,天皇に対する感情に加え,そのときどきの皇室全体の動向に対する「関心」も反映されているのではないかと思われる。

    男性は《無感情》,女性は《好感》《無感情》天皇に対する感情を,男性と女性に分けて,

    その違いをみてみた(図22)。昭和の時代では,男女差はほとんどない。ところが平成に入ると,男女の違いが明確になる。男性ではどの時代も《無感情》が最も多い。一方女性は,前述した全体の結果(図21)と同じように,平成以降,

    《好感》が《無感情》を上回り,その後はこの2つが増減を繰り返している。男性と比べると感情は一定していない。

    図 22 天皇に対する感情(男女別)

    図 21 天皇に対する感情(全体)

    51

    43

    46

    32

    19

    3

    46

    28

    22

    3

    47

    28

    20

    4

    47

    26

    22

    3

    40

    39

    17

    2

    50

    30

    18

    1

    44

    36

    17

    1

    42 40

    35

    22

    1

    43

    32

    22

    2

    46

    31

    21

    1

    46

    29

    22

    1

    46

    28

    23

    1

    39

    38

    21

    1

    46

    30

    23

    1

    36

    35

    26

    1

    32

    23

    1

    44 4647

    43 44 41 39

    34

    25

    1

    36

    20

    1

    35

    19

    1

    34

    21

    2

    28

    22

    2

    29

    21

    2

    30

    22

    2

    33

    20

    2

    5145 45 47 46 47

    32

    43

    35

    2220

    36

    17

    37

    16

    41

    13

    44

    10

    40

    9

    40

    8

    (%)

    (%) (%)

    0

    20

    40

    60

    <全面的つきあい>= なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい<部分的つきあい>= 気軽に行き来できるようなつきあい<形式的つきあい>= 一応の礼儀を尽くす程度のつきあい

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60

    《反感》=反感をもっている《無感情》=特に何とも感じていない

    《好感》=好感をもっている《尊敬》=尊敬の念をもっている

    2008年2003199819931988198319781973

    平成

    0

    20

    40

    60

    《反感》《無感情》《好感》《尊敬》

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60

    22

    15 17

    21

    17

    25

    1720

    12 12

    1318

    1714

    14

    1519

    20

    15

    29

    41 4138

    32

    42

    2222 23

    4346

    17

    12

    21

    1314

    171720 20

    1815

    33

    2028

    21

    2221

    14

    514849

    2323

    43

    19

    37

    26

    3537

    30

    2322

    1973 1983 1988 1993 1998 2003 2008年19781973 1983 1988 1993 1998 2003 2008年19780

    20

    40

    60(%) 女性

    男性 女性

    《夫唱婦随》《家庭内協力》

    《役割分担》《夫婦自立》

    (%)

    0

    20

    40

    60

    2008年2003199819931988198319781973

    51

    43 44 4647

    43 44 41 39

    34

    25

    1

    36

    20

    1

    35

    19

    1

    34

    21

    2

    28

    22

    2

    29

    21

    2

    30

    22

    2

    33

    20

    2

    5145 45 47 46 47

    32

    43

    35

    2220

    36

    17

    37

    16

    41

    13

    44

    10

    40

    9

    40

    8

    (%)

    0

    20

    40

    60

    <全面的つきあい>= なにかにつけ相談したり,たすけ合えるようなつきあい<部分的つきあい>= 気軽に行き来できるようなつきあい<形式的つきあい>= 一応の礼儀を尽くす程度のつきあい

    2008年2003199819931988198319781973

    0

    20

    40

    60

    《反感》=反感をもっている《無感情》=特に何とも感じていない《好感》=好感をもっている《尊敬》=尊敬の念をもっている

    2008年2003199819931988198319781973

    平成

  • 14  MAY 2009

    年層によって特色づけられる天皇感情天皇に対する感情の動きを年層別にみたの

    が図23である。若年層では,どの時代も,《無感情》が圧倒的に多く,2番目に多い《好感》を大きく引き離している。また,この5年間でみると,《尊敬》が増加している。中年層では昭和の時代は《無感情》が最も多かったのが,

    平成以降は《好感》 と《無感情》が増減を繰り返している。また,中年層でも,《尊敬》がこの5年で増加している。高年層は,73年には《尊敬》が75%と圧倒的多数だったが,平成に入ると,《尊敬》と《好感》の差が一層縮まり,98年以降はどちらも40%前後で推移している。天皇に対する感情は,若年層では《無感情》,中年層では《好感》と《無感情》,高年層では《尊敬》と《好感》が中心になっていることがわかる。

    天皇に対する感情は,平成以降,全体として《好感》《無感情》が高い比重を占め,属性別には,主に女性や中年層でその傾向が強くみられる。また《尊敬》は,この5年間ではじめて増加し,とくに,これまで多くなかった若年層で増加がみられるなど,新しい変化の兆しがある。

    Ⅶ 宗教意識 《あの世》《奇跡》《お守り・おふだの力》 を信じる人が増加

    宗教に関係すると思われる事柄について,自分が信じているものや行っているものをそれぞれ,8つの選択肢からいくつでも選んでもらった。「信じているもの」では,《仏》《神》が,他を

    大きく引き離して多く,《仏》を信じる人は40%を超えている。《仏》《神》は1970年代にいったん増加した後,減少傾向にあったが,2008年には《仏》が30年ぶりに増加した。この5年で増加したのは《仏》(39%→42%)のほか,《あの世》(11%→15%),《奇跡》(15%→18%),《お守り・おふだの力》(15%→17%)の4つである。このうち《あの世》《奇跡》《お守り・おふだの力》は,過去最高値となった。35年間でみて増加しているのも,この3項目である(図24)。

    2008年の結果について,この3つと《仏》を

    図 23 天皇に対する感情(年層 3 区分)

    37

    75

    12

    011

    70

    18

    10

    1

    68

    17

    131

    61

    22

    14

    1

    46

    38

    12

    1

    42

    39

    17

    1

    44

    38

    16

    0

    41

    36

    20

    1

    35

    25

    2

    40

    31

    25

    2

    45

    27

    26

    2

    47

    25

    2

    24

    50

    33

    14

    1

    47

    39

    12

    1

    45

    39

    14

    1

    45

    36

    16

    1

    1510

    6969

    16

    9

    77

    116

    5 5 5 4

    75

    15

    5

    58

    30

    8

    3

    78

    16

    31

    70

    21

    52

    71

    17

    9

    1

    (%) 若年層

    0

    20

    40

    60

    80

    20082003199819931988198319781973(%)

    中年層

    0

    20

    40

    60

    80

    2008年2003199819931988198319781973(%)

    高年層

    0

    20

    40

    60

    80

    2008年2003199819931988198319781973

    《反感》《無感情》《好感》《尊敬》

  • 15MAY 2009

    信じる人の割合を年層別に示したのが図25である。《奇跡》を信じる人は,10代〜20代前半では

    40%を超えている。《あの世》《お守り・おふだの力》を信じる人は,40代までのほとんどの年

    層で20%を超えている。この3つについてはどれも,年齢が高くなるにつれ信じる人は少なくなっている。また男女差をみると,《お守り・おふだの力》はどの時代も女性のほうが信じる人が多い。

    対照的に,《仏》は年齢が高くなるにつれ信じる人が増え,60歳以上では2人に1人以上である。

    若い世代で増えた《奇跡》《あの世》《奇跡》を信じる人の割合を生まれた年

    を基準に表したのが,図26である。線は同じような曲線を描き,ほとんど重なっている。このため《奇跡》を信じる人の割合は,生まれた年,つまり世代によって決まってくることがわかる。《奇跡》は世代が若くなるにつれ信じる人が多くなっていて,このことが,全体の結果の増加につながっている。

    一方《あの世》についても,調査ごとの結果はほとんど重なっているが,《奇跡》とは異なり,世代が若くなるにつれ,信じる割合が高くなる,という傾向はみられない(図27)。ただこの5年間についてみると,1964〜68年,1969〜73年 生まれ の 世 代(2008年 で30代後半〜40代前半の人)でそれぞれ,信じる割合が増加している。またそれより若い世代も,1974年〜88年生まれの世代(2008年で20歳前半〜30代前半の人)をまとめて比較すると,5年間で増加している。したがって,国民全体でのこの5年間の増加は,若い世代を中心にした変化によるものである。

    このように,信仰・信心については,どの時代でも《仏》や《神》を信じている人が多いが,若い年層を中心に,《奇跡》《あの世》のような,

    図 25 信仰・信心(年層別,2008 年)

    2008 年2003 年1998 年1993 年1988 年1983 年1978 年1973 年

    《信じていない》

    《聖書・経典の教え》

    《易・占い》

    《あの世》

    《お守り・おふだの力》

    《奇跡》

    《神》

    《仏》

    42%

    4233

    33

    24

    30

    13

    14

    7

    6

    6

    710

    18

    17

    15

    《仏》 : 仏 《神》 : 神 《奇跡》 : 奇跡 《お守り・おふだの力》 : お守りやおふだなどの力 《あの世》 : あの世,来世 《易・占い》 : 易や占い 《聖書・経典の教え》 : 聖書や経典などの教え 《信じていない》 : 宗教とか信仰とかに関係していると思われることがらは,何も信じていない

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70《仏》《お守り・おふだの力》《奇跡》

    《あの世》

    75~70-65-60-55-50-45-40-35-30-25-20-16- 歳

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70《仏》《お守り・おふだの力》

    《奇跡》《あの世》

    75~70-65-60-55-50-45-40-35-30-25-20-16- (歳)

    図 24 信仰・信心(複数回答,全体)

  • 16  MAY 2009

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    502008年2003年1998年1993年1988年1983年1978年1973年

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    2008年

    2003年

    1998年

    1993年

    1988年

    1983年

    1978年

    1973年

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    (%)

    0

    10

    20

    30

    40

    50 2008年2003年1998年1993年1988年1983年1978年1973年

    1989-92 

    84-88 

    79-83 

    74-78 

    69-73 

    64-68 

    59-63 

    54-58 

    49-53 

    44-48 

    39-43 

    34-38 

    29-33 

    24-28 

    19-23 

    14-18 

    09-13 

    04-08 

    1899-1903 

    1898~

    2008年2003年1998年1993年1988年1983年1978年1973年

    神秘的,超現実的なものを信じる人が増えていることがわかる。

    現世利益が中心の宗教的行動一方,宗教に関係すると思われる事

    柄について,自分が行っているものを8つの選択肢からいくつでも選んでもらった(図28)。《墓参り》は,どの時代も60%を超

    え,他に比べて圧倒的に多い。《お守り・おふだ》は83年をピークにその後減少傾向にあったが,2003年以降は35%に回復している。《おみくじ・占い》は73年には19%だったのが35年間で徐々に増えて2008年には25%と最高値になった。35年間で増えたのは《墓参り》《お守り・おふだ》《祈願》《おみくじ・占い》で,反対に減少したのは《お祈り》《礼

    図 26 《奇跡》を信じる人の率(生年別)

    図 27 《あの世》を信じる人の率(生年別)

    図 28 宗教的行動(複数回答,全体)

    2008 年2003 年

    1998 年1993 年1988 年

    1983 年1978 年1973 年

    《していない》

    《聖書・経典》

    《礼拝・布教》

    《お祈り》

    《おみくじ・占い》

    《祈願》

    《お守り・おふだ》

    《墓参り》

    62%

    6831

    35

    9

    15

    23

    19

    17

    15

    5

    1211

    30

    25

    12

    《墓参り》:年に1,2回程度は墓参りをしている《お守り・おふだ》:お守りやおふだなど,魔よけや縁起ものを自分の身のまわりにおいている《祈願》:この1,2年の間に,身の安全や商売繁盛,入試合格などを,祈願しにいったことがある《おみくじ・占い》:この1,2年の間に,おみくじを引いたり,易や占いをしてもらったことがある《お祈り》:おりにふれ,お祈りやお勤めをしている《礼拝・布教》:ふだんから,礼拝,お勤め,修行,布教など宗教的なおこないをしている《聖書・経典》:聖書・経典など宗教関係の本を,おりにふれ読んでいる《していない》:宗教とか信仰とかに関係していると思われることがらは,何もおこなっていない

    0 10 20 30 40 50

    2008 年2003 年1998 年1993 年1988 年1983 年1978 年1973 年

    《信じていない》

    《聖書・経典の教え》

    《易・占い》

    《あの世》

    《お守り・お札の力》

    《奇跡》

    《神》

    《仏》

    42%

    4233

    33

    24

    30

    13

    14

    7

    6

    6

    710

    18

    17

    15

    《仏》 : 仏 《神》 : 神 《奇跡》 : 奇跡 《お守り・おふだの力》 : お守りやおふだなどの力 《あの世》 : あの世,来世 《易・占い》 : 易や占い 《聖書や経典などの教え》 : 聖書や経典などの教え 《信じていない》 : 宗教とか信仰とかに関係していると思われることがらは,何も信じていない

    2008 年2003 年1998 年1993 年1988 年1983 年1978 年1973 年

  • 17MAY 2009

    拝・布教》《聖書・経典》《していない》である。全体としてみると,墓参りや占い,利益祈願のような現世利益的な行動のほうが,お祈りや布教活動のような自己修養的な行動に比べてよく行われている。

    なお,この5年間では,増減があったのは《していない》だけである。《していない》は,2008年には9%と35年前に比べ半分近くに減少している。

    身近においても信じているわけではない お守り・おふだ

    お守りやおふだについて,「信仰」と「信心」はどのように関係しているのだろうか。「お守り・おふだなど,魔よけや縁起ものを自分の身のまわりにおいている」かどうかと,「お守りやおふだなどの力を信じている」かどうかがどのくらい一致しているのかをみた。宗教的行動で《お守り・おふだ》を挙げた人のうち,《お守り・おふだの力》を信じている人の割合を2008年の結果について年層別に比べたのが図29である。

    お守りやおふだなどを身のまわりにおいている人でも,その力を信じているのは,若年層で42%,中年層で36%,高年層で27%である。

    信じている割合が最も高い若年層でも4割あまりで,最も低い高年層になると,信じているのは4人に1人程度である。お守りや縁起物を身につけたり,飾ったりすることと,その力を信じるということとは話は別のようである。

    Ⅷ 全体の意識変化これまで,領域ごとに35年間の意識変化をみ

    てきたが,総合的にどのような特徴があるのか,みておきたい。まず,いつ,どの領域で,どの程度の大きさで意識変化が生じたのかをみる。次いで,8回の調査結果をもとに数量化Ⅲ類で解析し,この結果を用いた世代区分を行い,世代の違いや世代交代が全体の意識変化にどう影響しているのかをみる。

    1. 意識変化の量「日本人の意識」調査において,すべての回

    の調査で実施した質問は全部で54問ある。これらの質問の選択肢の中から「その他」と「わからない,無回答」,「非該当」などを除いた選択肢は212である。

    意識変化の大きさを把握するために,上記の選択肢について,各調査間の差の絶対値と,73年と2008年の差の絶対値を求め,それを全体および領域ごとに平均し,変化量を算出した

    (表1)。表からは,次のような点が読み取れる。 ① 各 5 年間の変化量の全体平均をみると,大

    きく変化したのは,73 年から78 年にかけての 2.3% と,93 年から 98 年にかけての 2.3%である。双方とも不況の時期と重なっており,景気が意識変化に何らかの影響を与えていることがうかがえる。

    ② 73 年から78 年にかけては,どの領域でもま

    図 29 「お守りやおふだの力」を信じる人の率(年層 3 区分,2008 年)

    回答者の学歴

    1973 年 2008 年

    回答者の学歴

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    大学院まで 大学まで

    大学・大学院卒高専,短大卒 高校卒 中学卒 大学・大学院卒高専,短大卒 高校卒 中学卒

    3

    1

    6 1321

    5864

    73

    3

    5

    175

    25

    75

    39

    77

    50

    712

    7780

    4

    59

    2

    46

    2

    30

    7

    74

    6

    66

    4

    5552

    11

    女の子の場合↓

    男の子の場合↓

    (%) (%)

    42

    34

    42

    36

    27

    36

    27

    (%)

    0

    20

    40

    60

    80

    高年層(371 人)中年層(566 人)若年層(145 人)

    「お守り・おふだなど」を身のまわりにおいている人

    0

    20

    40

    60

    高年層(371 人)

    中年層(566 人)

    若年層(145 人)

    全体(1,082 人)

  • 18  MAY 2009

    んべんなく変化しているが,特に,基本的価値,経済・社会・文化の変化量が他の 5 年間の変化と比べ,目立って多い。高度経済成長から一転して,オイルショックに見舞われ,人びとの価値観に大きな影響を及ぼしたとみられる。それに対し,93 年から98 年にかけては,最も大きく変化した領域は,政治の 3.8%である。戦後政治の大きな特徴だった自社両党による「55 年体制」が崩壊したのは 93年,そのとき誕生した細川内閣も長続きはしなかった。その後,不況が深刻化する中,有効な対策を見出せないまま,この間登場した内閣は 5 つと目まぐるしく変わっている。また,政党は再編を繰り返し,これらは,政治意識全般に大きな影響を及ぼしたとみられる。

    ③ 2003 年から 2008 年の 5 年間の全体平均は,1.8% で,8 回の調査の中では,98 年から2003 年の 5 年間に次いで変化が小さい。しかし,政治は 2.9%となっており,93 年から98 年にかけての変化に次ぐ高さとなっている。

    ④ 35 年間というこの調査の最大スパンでみると,最も大きく変化した領域は,家族・男女関係の11.5%である。各 5 年間において,73年から 2003 年までの 30 年では,家族・男女関係は領域の中で 1 番目または 2 番目の変化量を示しており,常に変化していた。中でも83 年から88 年にかけては 3.0%と目立ってい

    る。女性の地位向上に向けて,76 年から 85年の「国連婦人の10 年」の活動,職場での男女の雇用上の差別を是正していくため「男女雇用機会均等法」が 86 年に施行されたことと関係があろう。しかし,この 5 年においては,変化量は 1.4%と,これまでで最も低い。これまで,大きく変化してきた家族・男女関係についての意識変化の速度が緩まっている。この35年で変化の大きい選択肢を増加,減

    少それぞれ10あげてみた(表2,表3)。まず,増加が大きい選択肢については,最小年が73年,最大年が2003年か2008年のどちらかとなっている。一方,減少が大きい選択肢については,最大年が73年,最小年は2003年か2008年のどちらかとなっている。増加が大きいのが,夫の家事手伝い《するのは当然》,女子の教育《大学まで》,減少が大きいのは,婚前交渉《不可》で,女子の教育《高校まで》となり,家族・男女関係が上位に並んでいる。2003年までは,変化の大きい項目では,右肩あがり,もしくは,右肩さがりの一方向の変化をたどり2003年がピークとなっていたが,2008年では,戻っているものもある。

    以上のように,35年で日本人の意識は大きな変化をみせているが,この5年の変化の様相はこれまでとは異なっていることが今回調査の特徴である。

    表1 変化量の平均(国民全体)

    質問領域 項目数 '73 〜 '78 年 '78 〜 '83 '83 〜 '88 '88 〜 '93 '93 〜 '98 '98 〜 '03 '03 〜 '08 '73 〜 '08

    全体 212 2.3% 1.9% 2.2% 2.0% 2.3% 1.5% 1.8% 6.8%基本的価値 55 2.2 1.4 1.5 1.1 1.0 1.1 1.4 5.0経済・社会・文化 55 2.2 1.6 2.0 1.6 1.5 1.3 1.3 5.7 家族・男女関係 37 2.5 1.9 3.0 2.6 2.8 1.5 1.4 11.5 政治 65 2.5 2.7 2.4 2.8 3.8 1.9 2.9 6.6

    支持政党,支持できそうな政党は政党まとめを使用1 番目,2 番目をたずねる質問は,1番目と2番目を合計した結果を使用関連質問は,全体分母を使用

  • 19MAY 2009

    2. 意識構造と変動の基軸 8回通した調査データについて,共通の質問

    (回答選択肢)を用いて数量化Ⅲ類 3)による分析をした結果,日本人の意識構造を支える基軸は,児島和人氏 4)が 78 年調査の分析で見出した軸であるI軸(横)のとⅡ軸(縦)のの2つの軸がこれまでのように認められた

    (図30)。

    意識の機軸

    I軸の解釈について,簡単にふれておこう。新憲法の制定によって,明治憲法と教育勅語の中に盛り込まれていた伝統的価値体系は破棄され,戦後民主主義の実現とアメリカ文化が日本に急速に浸透していった。戦前の価値体系の象

    徴は,天皇制,家父長制,封建制である。それに対比するのは,国民主権,結社闘争性,男女平等の実現である。この戦前の価値観に対応する意識を「伝統」,戦後のそれを「近代」と呼ぶことにする。「伝統」に対応する回答は,天皇への尊敬,権威主義,伝統的規範,名字は「当然,夫の姓」などで,「近代」に対応する回答は政治的有効性感覚,結社闘争性,平等主義である。

    ただ,この軸上にこれらが対称的にきれいに並んでいるわけではない。軸の片側は「伝統」に当てはまるが,反対側は「近代」の意識であるはずの政治的有効性感覚が逆に並んでいる。つまり,弱まる方向で位置している。そのため,

    「伝統」の反対側は「近代」ではなく「伝統離脱」と名づけた。

    次に,Ⅱ軸の回答をみると,縦軸の下方に,

    表2 増加が大きい10 項目

    表3 減少が大きい10 項目

    質問 選択肢変化量 国民全体の結果

    08年−73年 73 年 78 年 83 年 88 年 93 年 98 年 03 年 08 年第 13 問 夫の家事手伝い 《するのは当然》 33 % 53 60 67 72 77 84 86 86 第 25 問 女子の教育 大学まで 30 22 24 23 31 35 41 48 52 第 12 問 家庭と職業 《両  立》 28 20 27 29 33 37 46 49 48 第 8 問 理想の家庭 《家庭内協力》  27 21 23 29 35 41 45 46 48 第 29 問 婚前交渉について 《愛情で可》 25 19 23 25 31 35 43 44 44 第 3 C 問 地域の環境の満足感 そう思う 20 60 67 70 70 72 74 75 80 第 6 問 生活目標 《愛志向》 15 31 35 35 39 40 41 41 45 第 38 問 有効性感覚(デモなど)《やや弱い》 15 40 44 54 54 54 57 60 55 第 37 問 有効性感覚(選挙) 《やや弱い》 14 23 28 35 37 37 41 42 38 第 22 問 仕事と余暇 《仕事・余暇両立》 14 21 25 28 32 35 35 38 35

    質問 選択肢変化量 国民全体の結果

    08年−73年 73 年 78 年 83 年 88 年 93 年 98 年 03 年 08 年第 29 問 婚前交渉について 《不 可》 − 36 % 58 50 47 39 32 26 24 23 第 25 問 女子の教育 高校まで − 29 42 34 30 21 18 18 14 13 第 13 問 夫の家事手伝い 《すべきでない》 − 28 38 33 28 22 18 12 10 10 第8問 理想の家庭 《役割分担》  − 24 39 38 29 25 20 17 15 16 第 12 問 家庭と職業 《家庭専念》 − 23 35 30 29 24 18 13 13 12 第3C問 地域の環境の満足感 そうは思わない − 21 37 29 27 26 25 22 21 16 第 17 問 人間関係(職場) 《全面的つきあい》 − 21 59 55 52 45 40 38 38 39 第 40 問 政治課題 《福祉の向上》 − 20 49 32 27 37 37 18 14 28 第 37 問 有効性感覚(選挙) 《強 い》 − 19 40 35 28 23 24 19 18 21 第 36 問 権利についての知識 《団結権》 − 18 39 36 29 27 26 23 20 22

    ■ 最小値 ■ 最大値

  • 20  MAY 2009

    あそび志向│まじめ志向

    ●使用した項目は,8回に共通する質問選択肢で,全22問,81選択肢である。政治的有効性感覚,結社闘争性など,数問でセットとしている質問については,スコア化してまとめている。軸に対して重要な質問の選択肢を線で結んでいる。

    ●集計に用いたサンプルは22の各質問 いずれにも「その他」「無回答」と答え なかった人

    ●相関係数 Ⅰ軸 (横軸) 0.373   Ⅱ軸 (縦軸) 0.291

    政治有効性弱(1,0点)

    政治有効性強(9,8点)

    人間関係スコア低

    人間関係スコア高

    余暇の過ごし方好きなこと

    余暇の過ごし方知識

    婚前交渉無条件で可

    宗教行動無行動

    天皇感情反感

    支持なし

    婚前交渉愛情で可婚前交渉不可

    名字  別姓でよい

    仕事と余暇両立

    家庭と職業両立

    結社・ 闘争性 強

    宗教行動 現世利益

    名字どちらでもよい

    名字当然夫の姓

    天皇感情好感

    天皇感情尊敬

    権利知識ない   天皇感情

    無感情

    政治有効性3,2点

    政治有効性7,6点

    政治課題参加など

    政治課題秩序の維持

    理想の仕事収入

    生活目標 快志向

    理想の仕事 時間

    理想の仕事 失業

    理想の仕事 健康

    理想の仕事 責任生活目標

    正志向

    生活目標愛志向

    生活目標利志向

    理想の仕事 貢献

    理想の仕事専門

    宗教行動墓参り

    宗教行動自己修養

    宗教行動両方

    政治課題経済の発展

    家庭と職業家庭専念

    生活満足感   満足

    生活満足感まとめ家庭と職業人間関係のスコア仕事と余暇まとめ婚前交渉について日本のために役に立ちたい権利知識パタン支持政党まとめ

    生活目標父親のあり方理想の仕事(一番目)女子の教育まとめ結社・闘争性スコア外国から見習うべきことが多い政治的有効性スコア

    名字能率・情緒スコアまとめ余暇の過ごし方(現状一番目)宗教行動パタン日本は一流国だ天皇に帯する感情政治課題

    結社・闘争性弱

    父親のあり方不干渉

    父親のあり方模範

    外国から見習うべきことが多いとは思わない

    父親のあり方忠告

    父親のあり方仲間

    余暇志向

    仕事志向

    生活満足感不満

    自民

    非自民

    女子の教育中高

    女子の教育大学以上

    日本のために役立ちたいとは思わない

    日本のために役立ちたい

    伝統離脱

    まじめ志向

    あそび志向

    伝統志向

    理想の仕事《貢献》《専門》《責任》,余暇の過ごし方《知識》,生活目標《正志向》が並び,上方に婚前交渉《無条件で可》,生活目標《快志向》,理想の仕事《時間》《収入》,政治的有効性ス

    コア《弱》,余暇志向,父親のあり方《不干渉》,宗教行動《無行動》が並ぶ。

    縦軸の下方が未来,他者に傾斜した目標嗜好性が強いのに対し,上方は現在,自己に傾斜し

    内訳第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回2,751 人 2,747 2,875 2,620 2,647 2,531 2,265 2,093

    図 30 日本人の意識構造(数量化Ⅲ類) (1973 年~ 2008 年,8回分,合計 20,529 人)

  • 21MAY 2009

    た遊びと快を求める快楽嗜好である。こうして,この縦軸を「社会的価値」,広い意味での志向と,「私的自由」,広い意味での志向と解釈した。これらからみて,縦軸すなわちⅡ軸は,とした。

    世代の特徴

    世代別の特徴を探るため,これらの軸を用いて意識が同質な年層分類を行った。まず表4には,5歳刻み 5)の生年ごとの各軸の平均値を表示してある。Ⅰ軸,Ⅱ軸のそれぞれの平均値から,類似している生年グループをまとめ6つに分割した。結果的にはおおよそ15年区切りで分割することになり,「戦争世代」から「新人類ジュニア世代」までの6つの世代の切り分けを行った。世代の名称は,綿貫譲冶氏が投票行動で分類した世代区分と一致したので,同じ名称としている6)。

    これらの世代グループは,35年間の8回の調査で,意識はそれぞれどのように変化したのであろうか。各グループごとにⅠ軸,Ⅱ軸上に両軸の平均値を調査年ごとに追い,世代の推移をみたのが図31である。

    この図から次のことがわかる。① 各世代の位置(= 意識)は離れていて,各世

    代の位置の変化は 35 年を経ても,それほど大きくない。大まかには,生まれた時代によって,世代ごとの意識が規定されているのがわかる

    ② 世代間の意識の差は世代が新しくなるほど,小さくなっている

    表4 意識構造の軸上平均得点と世代区分

    図 31 意識構造上の各世代の位置(調査年別)平均得点の推移 数量化Ⅲ類

    生年平均得点

    世代区分名称1軸 Ⅱ軸

    〜 1898 −0.52 0.10

    戦争

    1899 - 1903 −0.53 0.08 1904 - 1908 −0.52 0.09

    09 - 13 −0.50 0.04 14 - 18 −0.45 0.03 19 - 23 −0.38 0.01 24 - 28 −0.34 0.01 29 - 33 −0.24 −0.02

    第1戦後 34 - 38 −0.15 −0.02 39 - 43 −0.06 −0.03 44 - 48 0.05 −0.01

    団塊49 - 53 0.13 −0.01 54 - 58 0.21 −0.02

    新人類 59 - 63 0.24 −0.01 64 - 68 0.28 0.01 69 - 73 0.31 0.04

    団塊ジュニア 74 - 78 0.33 0.06 79 - 83 0.37 0.07 84 - 88 0.35 0.03

    新人類ジュニア89 - 92 0.27 −0.01

    0.2

    -0.6

    -0.2

    -0.4 -0.2 0.2 0.4 0.60.0戦争

    団塊

    団塊ジュニア

    新人類

    新人類ジュニア

    第一戦後73 年

    08 年

    88年03年

    あそび志向│まじめ志向

    0.2

    0.0

    -0.2-0.6 -0.4 -0.2 0.6 0.4 0.20.0

    伝統志向─伝統離脱

    戦争

    団塊

    団塊ジュニア

    新人類

    新人類ジュニア

    第一戦後

    73 年

    08 年

    88年

    03年

    伝統離脱

    まじめ志向

    あそび志向

    伝統志向

  • 22  MAY 2009

    ③ この5 年の変化はの方向に戻っている ①,②については,2003年までの調査結果

    で分析したことが,2008年の新たなデータを加えても確認された。意識変動とのかかわりでいえば,①からは,個々の意識は変化しなくても,世代交代がすすむことによって,全体の意識は,からへと動く。また,②からは,世代間の意識差は新しい世代ほど小さいことから,世代交代がすすめば,全体の意識変化はゆるやかなものとなってくるといえよう。

    伝統志向への回帰

    ③については,今回調査を特徴づけるものといえよう。各世代の調査年ごとの横軸の位置をみると,2003年から2008年にかけては,すべての世代で変化の方向が左を向いている。98年から2003年にかけても同様の変化がみられるが,今回はより大きくへと動いている。さらに,全体の時代ごとの推移(図32)をみると,2003 年まではからの方向へ動いてきたが,2008年ではへと向きが変わっている。

    の方向へ意識が動いているのは,具体的にはどのような意識が変化したため

    かをみるため,I軸への寄与が大きい選択肢を側,側それぞれ20項目ずつ選んだ。そしてその選択肢の5年の変化量を調べ,世代の位置に影響があるものとして,3%以上のものを表示した(表5)。

    まず,側で,全体での変化量が多いのは,天皇に対する感情についての《尊敬》である。世代別にみても,どの世代でも《尊敬》が増加している。次いで,名字について《当然,夫の姓》,政治課題についての《秩序の維持》,生活満足感の《満足》,日本は一流国と《思う》がいずれも全体で3%以上増加している。ここにはないが,政治的有効性感覚《強》あるいは《やや強》も合わせると3%増加となる。他の項目でも,減少している項目より,増加している項目の方が多い。

    逆に,側で�