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◆編 集◆千葉市ボランティアセンター 〒260-8618 千葉市中央区千葉寺町1208-2 TEL 043(209)8850 FAX 043(312)2886URLhttp://www.chiba-shakyo.jp/vc令和元年12月号 56
現在、小中学校を中心に、総合的な学習の時間等で福祉教育やボランティア学習が行われており、「障害の疑似体験」についても様々な取り組みがみられます。一方で「疑似体験」の取り上げ方や展開によっては、子どもたちにかえって「貧困な福祉観」を植え付けてしまう、という指摘もあります。 千葉市社会福祉協議会では、学校等で多様な福祉教育プログラムを実践している「点字と手話の勉強会『てとてん』」と「千葉県網膜色素変性症協会(JRPSちば)」を講師に、教員向け「千葉市福祉教育講座」を開催しました。 講座では、実際に視覚障害のある当事者と接する福祉教育プログラムを参加者に体験していただきました。内容の一部をご紹介します。【プログラム】
「障害の疑似体験」見直してみませんか~千葉市福祉教育講座を開催しました~
時 間 内 容10分 はじめに~「てとてん」のガイドヘルプの授業について~
20分講義「視覚障害と生活」①見えないこと 見えにくいこと(ロービジョン)②日常生活で工夫していること、趣味
20分 講義・体験「ガイドヘルプの基礎」
40分 体験「館内でガイドヘルプ体験」クイズ「視覚障害あるあるクイズ」
20分 体験「ブラインド体験」視覚以外の感覚を活用した「できる・わかる」の体験
30分
講義「視覚障害の現場から」①盲導犬クイズ②外出時に不便なこと…買い物、トイレ③外出時に危険なこと…ホーム、横断歩道
10分 講義「視覚情報を補うもの」 点字、点字ブロック、音声案内、音サイン、音声パソコン、スマホアプリ
15分 講義「その他の授業」 点字体験、車椅子体験、シニアサイン
5分 まとめ・ふりかえり
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「てとてん」は長年、学校等で福祉体験授業を実践してきました。以前は、子ども同士で目隠しをしてガイドヘルプ体験を行っていましたが、子どもからは「真っ暗で怖かった」「こんな怖い思いをしている視覚障害のある方は気の毒なので助けたい」といった感想が多かったそうです。当事者の方が日常生活の工夫や楽しい話をしても、体験によって、子どもたちには障害のネガティブな部分ばかりが印象に残ってしまうのです。これでは「障害者は気の毒な人」という「貧困な福祉観」を作り出してしまうことになります。 そこで、子ども同士ではなく、視覚障害のある当事者の方をガイドし、交流を重視するプログラムに変えたところ、「目が不自由でも色々なことができるのだと思った」という感想が増えたそうです。 現在では、「JRPSちば」の協力を得て、多くの当事者の方がゲストティーチャーとしてプログラムに協力してくださっています。
①見えないこと 見えにくいこと(ロービジョン) 「視覚障害のある方はみんな全く見えなくて、真っ暗な中で過ごしていて、点字を使って文字を読んでいる」と思っていませんか?目隠しをして歩行体験をすると、当然視界は真っ暗で何も見えませんが、視覚障害のある方が全員そのような状態で生活しているわけではありません。実際に当事者の方に聞いてみると、見え方は、「明るさは分かる」「濃い影が分かる」「見える範囲が狭い(視野狭窄)」など、人によって様々です。また、点字を使っている方は視覚障害のある方の10%程だと言われています。②日常生活で工夫していること、趣味 授業では、子どもたちから、日常生活の率直な疑問が出てきます。 「どうやって料理をするの?」「お掃除は?」… 視覚障害があると何もできないと思われがちですが、実際は時間はかかっても、工夫しながら料理も洗濯も掃除も自分でしている、というお話をしていただきました。 また、短距離走、テニス等のスポーツや、ピアノ、ガーデニング、読書、野球観戦など、皆さん多彩な趣味を持って楽しんでいるそうです。
視覚障害のある方への声かけの仕方、ガイドヘルプの基礎的な立ち位置、歩き方等の説明の後、実際に視覚障害のあるゲストティーチャーをガイドして室内や館内を歩いてみました。参加者同士で体験するよりも、実践的でリアリティのある体験になりました。
盲導犬ユーザーの方からの「盲導犬クイズ」や、入店拒否等の実体験のお話、視覚障害のある方が外出先で不便なこと、危険なこと等について、お話をうかがいました。
はじめに 「てとてん」のガイドヘルプ体験の授業について
講義 視覚障害と生活
体験 ガイドヘルプの基礎・館内体験
講義 視覚障害の現場から
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ゲストティーチャーと目隠しをした参加者が同じテーブルにつき、コップに入った飲み物を飲んだり、お菓子を包み紙から出して食べたりしながら、自己紹介をしました。 視覚以外の聴覚、嗅覚、触覚等から得られる情報を活用して、工夫すれば色々なことができる、という体験をしました。飲食しなくても、物を手渡しする、硬貨を区別する等の体験も可能です。
聴覚に障害のある方は手話で会話すると思っている方も多いですが、手話ができなくても、筆談や空書き、口話、話した言葉を文字に変えてくれるスマホアプリ等、様々な工夫で会話することができます。 シニアサインは、耳の遠い高齢者や、聴覚障害のある方とコミュニケーションを取る方法のひとつです。口を大きく開けてはっきりと話しながら、ジェスチャーを交えて伝えます。 講座では、災害時の避難所の現場を想定して「車に乗って一緒に逃げましょう」「あちらでペットボトルの水を配っているのでもらってきます」等の情報を伝える体験をしました。
千葉市社会福祉協議会では、学校における福祉教育の支援を行っていますが、現場の先生方からは「福祉教育の担当になったが、どんなことをすればよいのか悩んでいる」「他の学校の実践事例を知りたい」というお悩みが寄せられています。そのような声にお応えするために、「福祉教育事例集~福祉教育を進めるポイント~」を作成しました。福祉教育を進める上で大切にしたい視点や、市内の小中学校の実践事例を紹介しています。 千葉市ボランティアセンター及び各区ボランティアセンターで配布していますので、ぜひご活用ください。
体験 ブラインド体験~視覚障害の疑似体験の一例として~
その他の体験授業~シニアサインの授業の紹介~
ゲストティーチャーからのメッセージ 小中学校で授業をしてよかったなと思うのは、視覚障害者と健常者の垣根が低くなることです。授業で子どもたちと初めて会ったときは、宇宙人を見るような雰囲気で、距離を感じます。それが、授業の中で話をしたり、ガイドヘルプ体験で案内をしてもらったり交流する中で、子どもたちがどんどん積極的に関わってくれるようになります。障害者と健常者の垣根が低い世界はとても住みやすい世界だと思います。ぜひ、子どものうちから、実際にふれ合う機会を作っていただきたいです。先生方にとても期待しています。
疑似体験は、あくまで「気づく」きっかけとして実施されるもので、その後の展開が重要です。障害の有無に関わらず誰もが「対等な個人」であることを理解し、「共に生きること」「それぞれ違いがあって当たり前なこと」を伝えることが大切です。 福祉教育プログラムについては、各区ボランティアセンターでご相談・お手伝いしますので、お気軽にお問い合わせください。
「福祉教育事例集」をご活用ください
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千葉市社会福祉協議会では、学校での福祉教育・ボランティア学習を推進するため、福祉教育支援事業を実施しています。次年度の計画の参考にしていただければ幸いです。
★「ふれあいトーク」 「ふれあいトーク」は、視覚障害の方に、「生活上の経験」や「児童・生徒に考えてもらいたいこと」などを学校で講演していただくよう、本会で調整などを行っています。実施を検討されている場合には、学校所在区のボランティアセンターまでご連絡ください。 聴覚障害については「千葉市聴覚障害者協会」において講師派遣を行っています(有料)。こちらも、学校所在区のボランティアセンターまでご相談ください。
※ふれあいトークの講師の送迎については、本会で行います。※お申し込みの際には、開催希望日の1か月前(講師によっては2か月前)を目安として、候補日を複数お伝えください。※講師の都合によっては、ご期待に沿えない場合もございます。あらかじめ、ご了承ください。
◆千葉市社会福祉協議会「福祉教育支援事業」のご案内◆
★「福祉体験用具の貸出し」 ボランティアセンターでは、福祉教育・ボランティア学習を支援するため、さまざまな福祉体験用具の貸出しを行っています。 今年度から、美浜区で貸し出す高齢者疑似体験セットが、「シニアポーズ」に変更になりました。
<視覚障害体験ボードセット> ※千葉市ボランティアセンターのみ グラス(めがね)と、樹木を描いた紙製のマグネットボード・リンゴの形をした5色のマグネットのセットです。 樹木のボードにリンゴの形をした5色の紙製のマグネットを貼り、グラスに6種類のシートを装着することで、白内障や視野狭窄などの状態、視覚障害における色の識別についての疑似体験ができるようになっています。 視覚障害についての学習に活用いただけます。
<視覚障害体験プレートセット> ※花見川区・稲毛区・若葉区・緑区・美浜区 グラス(めがね)と、裏側にマグネットの付いた12枚の紙製プレート(非常口標示板など)のセットです。 グラスに3種類のシートを装着することにより、白内障や視野狭窄などの状態、視覚障害における色の識別についての疑似体験ができるようになっています。 視覚障害についての学習に活用いただけます。
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<時計付き音声電卓>
<鈴入りサッカーボール(ブラインドサッカーボール)>
★福祉体験用具の数量一覧表
※中央区ボランティアセンターは、車椅子のみの貸出しです。また、駐車場は有料となっておりますのでご注意ください。
貸出しを希望される場合は、上記「福祉体験用具の数量一覧表」をご確認の上、各区または千葉市ボランティアセンターにご連絡ください。
★「出張ボランティア・福祉体験講座」 ボランティアセンターの職員が学校にお伺いし、ボランティアに関するお話、高齢者疑似体験や車椅子の体験指導を行っています。お問い合わせは、学校所在区のボランティアセンターにお願いします。
中央区 花見川区 稲毛区 若葉区 緑 区 美浜区 市VC高齢者疑似体験セット 〔シニアポーズ〕 11 11 11 12 〔エルダートライ〕 11 11車椅子 〔自走式〕 4 11 10 10 11 10 15白杖 〔折りたたみ式〕 50 50 49 50 60 40 〔直杖〕 35点字器 60 60 60 59 60 100点字マニュアル 60 60 46 60 60 100視覚障害体験プレートセット 5 5 5 5 5視覚障害体験ボードセット 5マグネットオセロ 6 7 7 7 7 6点字トランプ 7 7 7 7 7 7音声電卓 4 7 7 4 7 6鈴入りサッカーボール 6 7 7 7 7 7体験用点字ブロックセット 1 1妊婦疑似体験教材 1 2 2 2
(令和元年 12月 17日現在)
ボールの中に鈴が入っている、ブラインドサッカー(視覚に障害のある方がプレーできるように考案されたサッカー)用のボールです。 転がると鈴が鳴って、ボールの位置を音で確認できるようになっています。 ブラインドサッカー体験をはじめとした、視覚障害についての学習に活用いただけます。
キーを打つと、音声で「押したキー」や「計算結果」などを読み上げる、時計機能・アラーム機能の付いた10桁の小型音声電卓です。 視覚障害についての学習に活用いただけます。
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中央区ボランティアセンター
稲毛区ボランティアセンター
緑区ボランティアセンター
花見川区ボランティアセンター
若葉区ボランティアセンター
美浜区ボランティアセンター
★区ボランティアセンターは、千葉市社会福祉協議会区事務所が運営しています。
OPEN 月曜日~金曜日 ₈:30~17:30 第₂日曜日 ₉:00~17:00 (いずれも祝日、日曜祝日の翌月曜日、年末年始を除く)
〒260-8511 千葉市中央区中央4-5-1(Qiball〔きぼーる〕15階)TEL 043-221-2177 FAX 043-221-6077
〒263-8550 千葉市稲毛区穴川4-12-4(稲毛保健福祉センター3階)TEL 043-284-6160 FAX 043-290-8318
〒266-8550 千葉市緑区鎌取町226-1(緑保健福祉センター2階)TEL 043-292-8185 FAX 043-293-8284
〒262-8510 千葉市花見川区瑞穂1-1(花見川保健福祉センター3階)TEL 043-275-6438 FAX 043-299-1274
〒264-8550 千葉市若葉区貝塚2-19-1(若葉保健福祉センター3階)TEL 043-233-8181 FAX 043-233-8171
〒261-8581 千葉市美浜区真砂5-15-2(美浜保健福祉センター2階)TEL 043-278-3252 FAX 043-278-5775
〒260-8618 千葉市中央区千葉寺町1208-2 千葉市ハーモニープラザB棟3階 TEL 043-209-8850 FAX 043-312-2886 OPEN 火曜日~土曜日 ₈:30~17:30 (祝日、月曜祝日の翌火曜日、年末年始を除く)
※各区ボランティアセンターとは開館日が 異なりますのでご注意ください。