富士通が創出するスマートハウスサービス - fujitsu...approach to smart house...

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FUJITSU. 64, 6, p. 638-643 11, 2013638 あらまし スマートハウスは,大手ハウスメーカーなどが中心となり,安心で豊かな生活を実現 する家として開発が進んできたが,20113月の東日本大震災をきっかけに電力不足が 深刻な課題となり,災害時のエネルギーの自給自足や省エネ,節エネを支援するために HEMSから導入が拡大している。現在は,「省エネ・創エネ・蓄エネ」の実現に向けて家 電メーカーや設備メーカーの機器の開発も進み,日本におけるスマートハウス市場は, 2020年には4兆円規模にも達すると予想する調査会社もある。 本稿では,富士通が創出するスマートハウスサービス,つまり家庭内と社会・地域を ICTでつなぎ,人々の生活の質(QOL)の向上を目指すサービス,および生活の付加価値 を高めるスマートハウスを実現するソリューションについて述べる。 Abstract Major house builders had been playing the central role in developing smart houses as residences that offer safe, secure and afuent lives. However, since the Great East Japan Earthquake, power shortages have become a serious problem and more and more entities have been introducing home energy management systems (HEMSs) as a way to be self-sufcient in terms of energy and save energy in the event of a disaster. Also, consumer electronics makers and housing equipment makers have been proceeding with the development of new appliances in order to realize energy saving, energy creation and energy storage solutions for the home. One research company predicts that the market size of Japanese smart houses will reach 4 000 billion yen by 2020. This paper describes the solutions that can realize Fujitsus Smart House Services which connect homes with society and communities via information and communications technology (ICT), and also create services that increase residentsquality of life. 玉井久嗣   山田顕諭    富士通が創出するスマートハウスサービス Approach to Smart House Services

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Page 1: 富士通が創出するスマートハウスサービス - Fujitsu...Approach to Smart House Services FUJITSU. 64, 6( 11, 2013) 639 富士通が創出するスマートハウスサービス

FUJITSU. 64, 6, p. 638-643 (11, 2013)638

あ ら ま し

スマートハウスは,大手ハウスメーカーなどが中心となり,安心で豊かな生活を実現

する家として開発が進んできたが,2011年3月の東日本大震災をきっかけに電力不足が深刻な課題となり,災害時のエネルギーの自給自足や省エネ,節エネを支援するために

HEMSから導入が拡大している。現在は,「省エネ・創エネ・蓄エネ」の実現に向けて家電メーカーや設備メーカーの機器の開発も進み,日本におけるスマートハウス市場は,

2020年には4兆円規模にも達すると予想する調査会社もある。本稿では,富士通が創出するスマートハウスサービス,つまり家庭内と社会・地域を

ICTでつなぎ,人々の生活の質(QOL)の向上を目指すサービス,および生活の付加価値を高めるスマートハウスを実現するソリューションについて述べる。

Abstract

Major house builders had been playing the central role in developing smart houses as residences that offer safe, secure and affluent lives. However, since the Great East Japan Earthquake, power shortages have become a serious problem and more and more entities have been introducing home energy management systems (HEMSs) as a way to be self-sufficient in terms of energy and save energy in the event of a disaster. Also, consumer electronics makers and housing equipment makers have been proceeding with the development of new appliances in order to realize energy saving, energy creation and energy storage solutions for the home. One research company predicts that the market size of Japanese smart houses will reach 4 000 billion yen by 2020. This paper describes the solutions that can realize Fujitsu’s Smart House Services which connect homes with society and communities via information and communications technology (ICT), and also create services that increase residents’ quality of life.

● 玉井久嗣   ● 山田顕諭   

富士通が創出するスマートハウスサービス

Approach to Smart House Services

Page 2: 富士通が創出するスマートハウスサービス - Fujitsu...Approach to Smart House Services FUJITSU. 64, 6( 11, 2013) 639 富士通が創出するスマートハウスサービス

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富士通が創出するスマートハウスサービス

連製品のリリースが相次いだためである。スマートハウスには,これまでハウスメーカー以外にも,家電メーカー・住設機器メーカー・通信メーカー・自動車メーカーなど多種多様な業界のプレーヤーが参入している。国内におけるスマートハウス関連市場規模は2011年見込で1兆2443億円,2020年で3兆4755億円の規模と予測されている。(1)

しかし,差別化を図るため各社バラバラに独自の仕様を開発してきた結果,同じメーカーの機器で統一しないと機器間の接続が難しくなり,カスタマイズの結果として一部の富裕層向けの高コストな家となるなど,スマートハウスの本格的な普及には妨げがあった。これらの状況は,2012年2月にエコーネットコンソーシアムが規定した通信プロトコル「ECHONET Lite」を,経済産業省がHEMS関連機器間のデータ通信手順を定めた標準プロトコルに認定したことから状況は変わりつつある。

2013年5月にはJSCAスマートハウス・ビル標準・事業促進検討会においてスマートメーターからHEMSに電力など使用情報を提供するBルート(注)

の運用ガイドラインも示され,ECHONET Lite通信用スマートメーターが本格普及する道筋ができた。東京電力は,スマートメーターを2018年度までに約1700万台,2023年度までに全戸(2700万台)導入という目標を設定している。また,関西電力も2023年度全戸導入完了予定となっており,スマートハウス関連機器および関連サービスのマーケットは更に拡大していく可能性も大きい。このような市場の動きの中,今後,スマートハウス推進において中核的機能を担っていくのは,やはりHEMSと考えられる。スマートハウス情報活用基盤整備フォーラム(eSHIPS)では,スマートハウスとは,「家電や住設機器,創エネ機器(太陽光発電器,燃料電池),蓄エネ機器(定置用蓄電池,電気自動車含む)などを賢く需要マネジメントする機器とそれをつなぐシステム基盤」であると定義しているが,HEMSは,これら住宅内の機器をネットワークで結び,賢くエネルギーをマネジメント制御するものであり,いわば我が家の「司令塔」のような役割を担っているためである。

(注) スマートメーターから建物内のHEMSまでの経路のこと。

ま え が き

当初スマートハウスは,地球温暖化を防止し,低炭素社会の実現に向けて大手ハウスメーカーが中心となりHEMS(Home Energy Management System)などの新製品が開発・発売されてきた。しかし,2011年3月の東日本大震災をきっかけに電力不足が深刻な課題となり,昨今の省エネ・節電ニーズに加えて再生可能エネルギーを活用した「電力の自給自足率の向上」を実現するスマートハウスに注目が集まっている。そこでは太陽光や蓄電池などの機器に加えて空調や照明などの制御が可能な家電機器,今後普及が進むと期待されるスマートメーターや電気自動車(EV)がスマートハウスと接続され,HEMS機器によって高度な連携が可能となってくる。スマートハウスでは,単にエネルギーの見える化だけではなく様々なサービス,例えばホームセキュリティやホームヘルスケア,見守りサービスなどに対応すべく,家電機器の遠隔制御やモニタリングなどを実現するためには,ホームネットワークの基盤ソフトウェアおよびハードウェアの開発が必要となってくる。基盤技術に関しては,1997年に設立されたエコーネットコンソーシアムがエコーネット規格を確立してきた。エコーネット規格は,異なるメーカーの家電機器を接続し,住宅の新築・既築を問わずにネットワークで容易に様々なサービスの提供を実現するための共通の通信規格であり,国際標準規格としても承認されている。本稿では,住宅と人と機器をつなぐホームネットワークの実現により,富士通が創出するスマートハウスサービス,つまり人々の生活の質(QOL:Quality of Life)の向上を目指すサービス,および生活の付加価値を高めるスマートハウスを実現するソリューションについて述べる。

スマートハウス市場の動向

2011年はスマートハウス元年と呼ばれている。当初,スマートハウスは地球温暖化防止や低炭素社会の実現に寄与するという点が着目されてきた。しかし,東日本大震災以降,災害時に創エネ・蓄エネによりエネルギーを自給自足できるという機能が注目され,各社から急速にスマートハウス関

ま え が き

スマートハウス市場の動向

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富士通が創出するスマートハウスサービス

化し,かつ創エネ機器や蓄エネ機器など多様化が進んでいる。また,スマートフォンなどのデバイスが普及し,ネットワークサービスをいつでもどこでも利用できる環境が整備されつつある。その一方で生活スタイルは多様化し,生活者のニーズは千差万別になっている。このような状況で住まう人のQOLを高めていくためのICTの役割は,家を情報装備し,その情報から新たな価値を創造・提供していくことである。家を情報装備するためには,機器やセンサーをつなぎ,その使い方や状態を情報化して管理するホームネットワーク基盤が必要となる。ここで収集される情報は多様化した生活スタイルやニーズを推し量るための情報であり,QOLを高めるための鍵になる。富士通は,ホームネットワーク基盤整備を推進,鍵となる情報を活用するための技術を開発,それを活用するビジネスパートナーとの連携,および住まう人への新しい価値を提供することを目指し,スマートハウス事業に取り組んでいる。その最初の取組みを次章で説明する。

クラウド型HEMSサービス

富士通は三井物産株式会社様(以下,三井物産)と共同でスマートコミュニティ事業を開発・運営することに合意し,2012年12月12日,両社合弁による新会社「フューチャーシティソリューションズ株式会社」を設立した。フューチャーシティソリューションズでは,まず,富士通の開発するクラウド型のエネルギーマネジメントソリューションを三井物産が開拓した事業チャネルを通じて全国の住宅に提供することでHEMSの事業化を行うことから開始した。その上で,本ソリューションから得られたデータを収集・蓄積することで医療や福祉,行政などの新しい住民サービスの創出に活用し,将来的には地域エネルギーマネジメントサービス事業の実現につなげていくことを目指している。このようなコンセプトのもとに,フューチャーシティソリューションズではクラウド型HEMSサービス「Enetune-Home」を提供する。● Enetune-Homeの提供目的

Enetune-Homeは,初期提供サービスとして,住宅における電力量情報の見える化を中心に提供

クラウド型HEMSサービス

更に今後,HEMSの担う役割はこれらのエネルギーの需給調整機能だけにとどまらないと考えられる。住宅市場では,少子高齢化の影響により新築需要が縮小傾向にあり,既に総住宅数が総世帯数を逆転する「家余り」の時代へと突入している。住宅供給の「量」を増やすことを重視し,スクラップ&ビルドで成長してきた「量の充足(フロー重視型社会)」を求める社会が終わり,長期優良住宅制度,フラット35Sなど政策的後押しもあるが,社会は「質の充足(ストック重視型社会)」を求める方向へと大転換を遂げている。これからは今の家を手入れして長く住まう,住まいの「質」がより重要となってくる。そのような中で,HEMSは,住まう人のライフスタイルに合わせ,住まう人の暮らしの経済性や,安心安全・快適性をコントロールする役割も担っていくことが期待される。なぜなら,HEMSは家に関わるあらゆる機器・デバイスをコントロールできる可能性があるためである。経済産業省はHEMS相互接続を優先する重点8機器に,スマートメーター Bルート・太陽光発電・蓄電池・燃料電池・EV/PHV(プラグインハイブリッド自動車)・エアコン・照明機器・給湯器を設定しているが,HEMSの連携可能性はこれだけではない。HEMSは,これら以外にも防犯カメラ・温湿照度センサー・地震センサー・ドア電気施錠・電動ブラインド・体重計/体脂肪計など,今後,家に関わるあらゆる機器・デバイスとつながる可能性を秘めており,QOLの向上を高めていく中核機器として存在感を増していくと考えられる。今後,HEMSを起点に生活の安心安全・快適性・健康・防犯・見守りに関わるサービスなど住まいに関わる様々なサービス市場が広がっていくであろう。

富士通の考えるスマートハウス

富士通は,新たな社会のビジョン「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」を提唱し,今後のビジネス・社会にICTがどのように貢献していくのかについての考え方を「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめている。その中で「ICTの新たな役割」を,複雑さの解消を促しソーシャルイノベーションやビジネスイノベーションをもたらすものと捉えている。スマートハウス分野では,家電機器はより高度

富士通の考えるスマートハウス

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富士通が創出するスマートハウスサービス

する。住宅全体や分電盤の回路(接続単位:居間・エアコン・PVなど)ごとの電力情報を電力測定器内蔵分電盤から,インターネット(VPN)経由で収集し,センターに蓄積し,その蓄積した電力量情報を加工・集計,概算電気料金計算を行い,見える化用の情報を生成する。生成した見える化用情報をパソコン・タブレット端末などのブラウザ上でグラフィカルに表示することで省エネをアシストするサービスを提供する。フューチャーシティソリューションズのビジネスは,ハウスビルダーや工務店にサービスを販売していく形態となるため,その管理機能を含めて提供する。● Enetune-Homeシステム概要サービスを実現するシステム構成概要を図-1に示す。サービス提供に当たり,以下の機器ならびにサービスを組み合わせて生活者に提供することを前提としている。・ECHONET Liteに対応した電力測定装置・インターネット回線接続サービス・VPN接続装置・VPNサービス・表示デバイスインターネット回線接続サービスに関しては,制約はなくオープンで利用できる。表示アプリケーションはHTML5準拠で開発されており,パソコン・タブレット端末などで閲覧可能である。

ECHONET Liteに対応した電力測定装置・VPN機器・VPNサービスに関しては,フューチャーシ

ティソリューションズと検討を行い,当初の推奨機器・サービスとして以下の接続検証を行った。・ニフティ株式会社「パーソナルL2クラウド」サービス

・河村電器産業株式会社「enステーションEcoEye」シリーズフューチャーシティソリューションズのサービスは,上記機器・サービスの組合せで提供される。● Enetune-Homeの特徴

Enetune-Homeの特徴について3点述べる。一つ目はクラウド型サービスとして提供することである。当初は電力情報の見える化サービスの提供となるが,将来的にはこれらの情報の活用や他情報との組合せにより新しい住民サービスの創出を目指している。これらのサービスはネットワークサービスとして提供することでより利便性が高まることから,その拡張性をにらみクラウド型サービスとして提供する。二つ目は上述のシステム概要で記載したように,

ECHONET Liteに対応することにより,特定の機器に依存しないサービス構成となっている点である。実際には接続機器と動作検証を行い,問題がないことを確認した上でのサービス提供となるが,様々な事業者への提供を考えた場合,オープンに連携していく仕組みは有効である。三つ目は当初提供する見える化サービスである。

図-2に示すように分電盤の回路ごとの電力情報が採取できるため,居室単位や家電単位のきめ細か

図-1 システム構成概要

インターネット

住宅

ルータ

PV

家電機器

計測機能付分電盤(河村電器製)

サービスアダプタ

ブラウザ(タブレット,PC,スマートフォンなど)

クラウドセンター(富士通)

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富士通が創出するスマートハウスサービス

(5) 太陽光の発電状況のグラフ太陽光発電設備が分電盤に接続されている場合,年/月/日ごとの売電額(従量計算部分のみ)をグラフ表示する。(6) 分電盤の分岐回路ごとのグループ化分電盤の回路ごとに宅内エリア/機器/表示名を設定する。(7) 分電盤回路のグループ単位での表示分電盤回路をグループ化し,グループ単位で年/月/日ごとの電力情報をグラフ表示する。(8) ランキング表示収集・蓄積した情報を基にランキングを表示する。

今後の展開

最後に富士通が展開するスマートハウス事業の今後の展開について述べる。まずは,クラウド型HEMSサービスを開発し,家庭内エネルギーの見える化,レコメンドによる省エネルギーの推進を進める。本サービスは,HEMSサービスを提供していない/商品化していない中堅の工務店やビルダーに対して,開発や運用費用の大幅削減を実現するものでもある。一方で

今後の展開

な見える化や分析が可能となることが挙げられる。具体的には生活者が分電盤の回路単位でグループ化し,電力情報を確認することを可能としている。例えば部屋ごとの電力情報を日/月/年単位で比較することが可能であり,「昨日は居間の電気がいつもより多かった」など生活者が電気の使い方を気づける仕組みを提供している。● Enetune-Homeの機能以下にEnetune-Homeで提供する機能を紹介する。(1) 電力情報の収集・蓄積機能宅内の分電盤に接続された電力測定装置から各種電力情報を収集し,一定期間蓄積を行う。(2) 電力料金と消費量グラフ表示年間の月別,月間の日別,1日のうちの30分(以下,「年/月/日」)ごとの消費電力,消費電力から算出した概算料金をグラフ表示する。(3) 毎月の料金グラフ

1日から月末までの1か月間分の電気料金を概算計算してグラフ表示する。(4) 電力の最大使用量年/月/日ごとの最大瞬時電流をグラフ表示する。

(分電盤設定)利用者が最大七つのグループの分電盤回路を作成。エアコングループ,子供部屋グループなど,違う視点でのグループ作成を実施。作成したグループでの消費量を直ぐに確認。

(宅内エリア内訳)分電盤の回路ごとの消費量を確認。「分電盤設定」で指定されたグループ単位での消費量ランキング。

図-2 家庭エネルギーの見える化サービス

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富士通が創出するスマートハウスサービス

(1) マイハウス事業家の間取りや設備・家電などのモノの導入から設置・メンテナンスまで管理(2) マイライフサポート事業居住者の日々の生活のスマート化をサポート

(3) ライフプランサポート事業行動の各履歴・資金調達まで視野に入れる家や家族の一生のスマート化をサポート

む  す  び

富士通は,住宅への普及拡大が見込まれるHEMSを基盤にしたホームネットワーク・センサーテクノロジーやクラウドソリューションなどを提供することにより,「人(生活者)」「モノ(家・デバイス)」「空間(価値・サービス)」をICTでつなぐ新たなスマートハウスサービスが実現できると考える。今後も新しいサービスを創出し,人々の生活の質の向上につながる生活インフラのスマート化をICTで実現していく。

参 考 文 献

(1) 富士経済:スマートハウス関連技術・市場の現状と将来展望(2012).2011年11月.

む  す  び

HEMSから得られるエネルギーデータなどの動的データと,住宅性能値や家歴データなどの静的データを組み合わせ分析することで住宅の性能や劣化状況が分かり,今後のリフォームなどの新たなストックサービスにつなげていく。また,今後はECHONET Liteに準拠した家電の普及に合わせ,遠隔地からの家電の遠隔制御など,より一層生活者の利便性向上に向けた機能を提供していく。サービスを考える切り口としては,以下の三つの観点が重要と考える。(1) 経済性限りある資源の需給バランスとサステナブル(持続可能)な社会の実現に向けて,一般家庭での創エネ・蓄エネを実現するための機器を総合的に管理・保守運用できる仕組み(2) 居住性先の震災をきっかけに災害への備えや安心・安全に寄与できる仕組み(3) 社会性少子高齢化や世帯数の減少などに伴う既築住宅重視の観点に向けて住まう人のライフスタイルに合わせて長期に快適に使える家の実現そして,これらの特性を生かした新たな事業を立ち上げ,サービス化を検討していく。

玉井久嗣(たまい ひさつぐ)

スマートシティ・エネルギー推進本部ビジネス推進統括部 所属現在,スマートシティ分野におけるビジネス推進業務に従事。

山田顕諭(やまだ あきつぐ)

(株)富士通総研第一コンサルティング本部金融・地域事業部 所属現在,スマートシティプロジェクトの推進などのコンサルティングに従事。

著 者 紹 介