令和元年度 富山県scm推進フォーラム...
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令和2年3月3日
富山県SCM推進フォーラム事務局
山藤正徳
富山県建築設計監理協同組合
理 事 原 英高
令和元年度
富山県SCM推進フォーラム成果報告
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富山県の森林状況
人工林 天然林
(平成30年度版「富山県森林・林業白書による」)
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スギの人工林は、富山県の人工林面積の約93%、4万6千ヘクタールを占めています。
赤い部分がスギ人工林
富山県の森林植生
(平成30年度版「富山県森林・林業白書による」) 3
9齢級(樹齢
41年以上)に育
ったスギが全体
の8割以上あっ
て、木材として
の利用適期を迎
えています。
富山県の森林資源
(平成30年度版「富山県森林・林業白書による」) 4
表2.製材用素材需要量の推移表1.用途別利用量
(農林水産省及び県森林政策課調)
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県内素材生産量:9.7万㎥(H30年度)製材用素材需要量:27.5万㎥(H28年度)
県産材は、節や根曲りなどの癖がある。
富山県の用途別利用量と素材需要量
◎住宅分野において建築主は、木材の産地に拘りが少ない◎公共建築の木造率は3割程度に留まる
⇒川下のニーズに応じて川上と川中が連携し合う関係性の構築が不十分・県内木造公共建築物の木造率は、上昇しており、マッチングの余地がある
表4.木造公共建築物の着工床面積と木造率
(国土交通省及び県建築住宅課調))
表3.新設住宅着工戸数と木造率
(国土交通省及び県建築住宅課調))
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富山県の住宅・建築物の着工数
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とやま県産材の流通
プレカット工場
<建物概要>
木造平屋建
235.60m2
用途:国産柱倉庫
柱 135×135南砺市産杉 集成
土台 135×135南砺市産桧 無垢
小屋 トラス組
梁・母屋 他南砺市産杉 無垢
県内取組事例
①南砺市木造倉庫1社(グループ連携)でのSCM完結型
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<流通図>
森林組合A
共販所
製材所 集成材加工
プレカット工場
素材生産者A
森林組合B
森林組合C
素材生産者B
森林組合D
製材所A
製材所B
製材所C
製材所D
製材所E
集成材加工
メーカーA
プレカットA 施工会社5、6m材
4m材
ラミナ材 集成材
構造材、下地材等
素材生産
フォーラムコーディネーターによって、調整
・共販では、川上側から集荷されやすいものを調達。・共販で入手しにくいものは、川上のメンバーから、調達。
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県内取組事例①南砺市木造倉庫1社(グループ連携)でのSCM完結型
②新築庁舎◎施設概要
名称:庁舎新築事業
所在地:富山県富山市
構造:木造2階建 在来軸組工法
延べ床面積:630㎡程度
◎経緯
令和元年8月20日、新庁舎の設計者選定のための公募型プロポーザル
が実施される(富山県)。鈴木一級建築士事務所が、選ばれる。
◎木材調達検討会
令和元年11月11日 第1回庁舎新築事業木材調達検討会
テーマ:木材利用についての情報共有
(設計事務所や富山県、木材研究所、とやま県産材需給情報センター(県木連、県森連))
令和元年12月16日 第2回庁舎新築事業木材調達検討会
テーマ:木材の性能とボリュームの確認
(設計事務所や富山県、木材研究所、とやま県産材需給情報センター(県木連、県森連))10
県内取組
発注者・設計事務所
木工事関連業者
<木工事における問題点>
・原木調達が間に合わない
・特殊寸法になることが多い
・納期に間に合わない
工事請負業者
<入札>
必要な木材の使用量、製品仕様が、決まってから発注
<結果>
・県産材を使いにくい
・国産材、外材が使われる
◇今までの体制コーディネートやマッチングする組織が無い場合
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②新築庁舎
県内取組
<改善点>
・県産材の利用促進、安定供給
・納期に間に合う調達
基本設計段階から主たる材料の寸法統一、調達可能性を協議する
◇これからの体制
製材品 原木
ラミナ―集成材無垢材
発注者・設計事務所、
とやま県産材需給情報センター(県木連、県森連)
※川上、川中、川下のメンバー
・どのような製品をどれくらい使用するか?
・製材の歩留りを高めてコストを抑えるための木取に配慮
した設計
・JAS材をどこに利用するか 等
フォーラム
◆新規の建築事業の情報を収集し
仕事をとっていく組織にする
コーディネート、マッチングする組織がある場合
会員、設監協を加える
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②新築庁舎
県内取組
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とやま県産材のSC 設計・組合
川 伐 素材生産者 ①物件情報の伝達
基本計画
上 採 需
給 ②木材情報の伝達
製 原 木
※原木での在庫は困難情 基本設計
報
材 無垢材 ③部材リスト化 セ ②木材情報の伝達
川 工 ラミナ材 ン ③ 実施設計
程 タ
ストック ストック ー ②木材情報の伝達
④構造材の在庫 ⑤ラミナ材の在庫
⑥特記仕様書
中 乾燥工程 乾燥工程
加
③ 集成材加工
工 構造材 ③部材リスト化
工 下地・羽柄 建
造作材
程 設
プレカット加工 ③部材リスト化 会 工事監理
川 社
建 建て方
下 設
工 内外装造作工事
程
① 物件情報を早い段階で素材生産者に伝達する。
② 設計における木材情報を需給情報センターに伝達する。
③ 材料の断面を標準化・リスト化し製材所と設計事務所が共有する。
④ 小断面材(母屋、束、成210以下の梁など)のストックを持つ
⑤ ラミナー材のストックを製材所と集成材加工事業所で持つ。(横連携で需要に応える)
⑥ 富山県産材木材の構造材における特記仕様書の制定(県営繕課との協議必要)
川
下
SCMのフローチャートと取組み内容
素材生産者 基本計画
工事監理
とやま県産材需給情報センター
①物件情報の伝達
⑥特記仕様書
とやま県産材のSC
①物件情報を早い段階で素材生産者に伝達する。
②設計における木材情報を需給情報センターに伝達する。
③材料の断面を標準化・リスト化し製材所と設計事務所が共有する。
④小断面材(母屋、束、H210以下の梁など)のストックを持つ。
⑤ラミナ材のストックを製材所と集成材加工事業所で持つ。(横連携で需要に応える)
⑥富山県産材木材の構造材における特記仕様書の制定(県営繕課との協議必要)
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SCMのフローチャートと取組み内容の説明
1. 公共建築物木造化の推進と県産材の利活用を推進する
2. マーケットインの流通体制をつくり、素材の価値を高める
3. 川下の需要の変化に対応できる供給能力を高める
4. とやまのスギを生かせる実情にあった建築仕様書をつくる
5. 県産材のSCM体制を活用できるプラットフォームを充実する
6. 実証事例で実績を積み重ねる
とやま型・県産材SCの取組み内容
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• 当面は、公共建築に対象を絞る。
• 公共施設建設の企画段階からの積極的な情報収集・情
報提供に努め、基本設計時点で木造化の方針を取り付
け、木材調達に関してはとやま県産材需給情報センター
が中心となったSCMの体制を盛り込むように要請する。
1. 公共建築物木造化の推進と県産材の利活用を推進する
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• とやま県産材需給情報センターが中心となって、特殊
材を含めた立木情報の共有、伐採計画の共有、四半期
に一度はお互いの生産計画を共有するなど、できるだ
け具体的で有効な情報交換を行う体制を作る。
• 森林資源等に関する全ての情報を集約し活用する新し
いITネットワークが、円滑に運用されるように支援協力
を検討する。
2.マーケットインの流通体制をつくり、素材の価値を高める
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• 原木でのストックは、品質の低下に繋がるが、小断面の
製材品や集成材用のラミナ材であれば在庫が可能であ
る。製材品は、工場間の情報の共有化、高度化による
横連携で在庫体制を作り、ラミナ材は集成材工場での
在庫受け入れなどの縦連携で実現する。
• 増加する大径木の活用として、歩留まり向上の観点か
ら、角材(芯材)とラミナ材(辺材)の生産を進める。
3.川下の需要の変化に対応できる供給能力を高める
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20202020
• 富山県産スギ材でつくる建物の建築特記仕様書を
木材研究所の協力を得て作成する。
• JAS材を前提とした富山県産構造材の製材品や集成材
品別の断面や強度の規格リストをSCで作り運用する。
4.とやまのスギを生かせる実情にあった建築仕様書をつくる
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<参考>富山県版木材特記仕様書(H26年版)抜粋
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「木を活かす建築推進協議会」
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• 設計者に対する情報提供のプラットフォーム(構造計画、
資材調達方法、工事費の概算検討)としてとやま県産材
需給情報センターの機能の充実を図る。
• とやま県産材需給情報センターが工事費の積算協力
体制を構築する。
5.県産材のSCM体制を活用できるプラットフォームを充実する
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• 令和2年度は、南砺市木造倉庫の事例を参考にして富
山SCMの各事業者が、有峰庁舎の設計・建築工事の各
工程に参画し実績を重ねる。
• 令和3年度には、有峰庁舎の建築が完成しそこで得た
知見を県産材SCの構成員で共有化し次のプロジェクト
に生かしSCの充実をはかる。
6.実証事例で実績を積み重ねる
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県森連県素生組
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とやま県産材需給情報センターの役割
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とやま県産材需給情報センターの機能充実と新しいSCM体制
<今までの体制> <新しい体制>
ご静聴ありがとうございました。
終
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