「働き方の哲学」 ·...

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80 81 書評 私たちは学校での教育課程を経て、社会人となります。そして多くの人は 会社員として働きながら、社会人生活の中で様々なことを経験して、働くこ とについての理解を深めていくものだと思います。学生であるうちに理解で きていることもあれば、働くなかで気づきを得て理解を深めることもあるし、 気づいてはいるが十分に理解していないこともあるでしょう。 この『働き方の哲学』は、働くことに関連する73の基本概念・キーワード を絵事典としてまとめた本となっています。本の構成は以下のように6部に グループ化されています。 Part1.仕事・キャリアについて Part2.主体性・成長について Part3.知識・能力について Part4.働く意味について Part5.会社の中で働くことについて Part6.心の健康について 評者はPart2「主体性・成長について」のリスクと失敗の2項目、Part4「働 く意味について」の「目標と目的」の4項目と「目的と手段」という項が印 象深く感じました。ローリスクハイリターンという普通は成立しないだろう という組み合わせが「ありえる」という視点は大変興味深く感じました。そ んなはずはないと思われる方はぜひ本書をお読みいただければ謎が解けるこ とと思います。また失敗についての捉え方も普段からそうお考えになってい る人もいらっしゃると思いますが評者は少し忘れていた視点でこの点も刺激 を受けました。そのほかにも本書の各所で紹介されている先達の言葉にも印 象的なものが多く刺激を受けます。 「働き方の哲学」 著者:村山 昇 出版:株式会社ディスカバー・ トゥエンティワン 発行:2018年3月25日 あらためてこの本を通読して、自分の働き方や考え方、心の持ち方や出来 事に対する向き合い方を見直すことができる本だと感じています。また知ら ない・言語化できていなかったことを知ることもあると思います。内容も事 典の体裁をとっているので項目ごとにまとめられているため、必要と思う部 分だけを拾い読みすることもできますし、通読して働くことに対する全体的 な理解を深めることもできます。また、この本は、すでに働いている社会人 の方にもおすすめですが、生徒・学生のみなさんが自分のキャリア形成を考 えていく際にも参考になると思います。 起業教育研究会 企画委員 大阪商業大学 経済学部 准教授 柴田 孝

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Page 1: 「働き方の哲学」 · きていることもあれば、働くなかで気づきを得て理解を深めることもあるし、 気づいてはいるが十分に理解していないこともあるでしょう。

80 81書評

 私たちは学校での教育課程を経て、社会人となります。そして多くの人は会社員として働きながら、社会人生活の中で様々なことを経験して、働くことについての理解を深めていくものだと思います。学生であるうちに理解できていることもあれば、働くなかで気づきを得て理解を深めることもあるし、気づいてはいるが十分に理解していないこともあるでしょう。 この『働き方の哲学』は、働くことに関連する73の基本概念・キーワードを絵事典としてまとめた本となっています。本の構成は以下のように6部にグループ化されています。

 Part1.仕事・キャリアについて Part2.主体性・成長について Part3.知識・能力について Part4.働く意味について Part5.会社の中で働くことについて Part6.心の健康について

 評者はPart2「主体性・成長について」のリスクと失敗の2項目、Part4「働く意味について」の「目標と目的」の4項目と「目的と手段」という項が印象深く感じました。ローリスクハイリターンという普通は成立しないだろうという組み合わせが「ありえる」という視点は大変興味深く感じました。そんなはずはないと思われる方はぜひ本書をお読みいただければ謎が解けることと思います。また失敗についての捉え方も普段からそうお考えになっている人もいらっしゃると思いますが評者は少し忘れていた視点でこの点も刺激を受けました。そのほかにも本書の各所で紹介されている先達の言葉にも印象的なものが多く刺激を受けます。

「働き方の哲学」

著者:村山 昇出版:株式会社ディスカバー・   トゥエンティワン発行:2018年3月25日

 あらためてこの本を通読して、自分の働き方や考え方、心の持ち方や出来事に対する向き合い方を見直すことができる本だと感じています。また知らない・言語化できていなかったことを知ることもあると思います。内容も事典の体裁をとっているので項目ごとにまとめられているため、必要と思う部分だけを拾い読みすることもできますし、通読して働くことに対する全体的な理解を深めることもできます。また、この本は、すでに働いている社会人の方にもおすすめですが、生徒・学生のみなさんが自分のキャリア形成を考えていく際にも参考になると思います。

起業教育研究会 企画委員大阪商業大学 経済学部 准教授

柴田 孝