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肝胆膵がん がんとゲノム異常 神奈川県立がんセンター消化器内科肝胆膵 上野

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肝胆膵がんがんとゲノム異常

神奈川県立がんセンター消化器内科肝胆膵 上野 誠

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肝胆膵領域での現状

• 遺伝子変異の頻度は限定的?

• 病理組織診断は行われているか?

• 確立した標準化学療法がある。

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病理組織が必要

• 現在のがんゲノム検査では、病理組織を用いて行うこ

とが標準であるが、病理組織採取は容易ではない。ま

たがんゲノム検査に必要な組織量は通常病理診断より

も多い。

• 肝細胞癌は、CTなどの画像診断のみで行うことも

多く、病理組織採取をあまり行っていない。

• 胆道癌、膵癌は、ほとんどの症例で病理組織採取

を行うが、超音波内視鏡下穿刺吸引や内視鏡的胆

管生検で採取出来る腫瘍量は限られている。

• 手術検体は、肝胆膵がんいずれもで病理組織とし

て利用可能であるが、3年以内であることが望まし

い。

• 血液でのがんゲノム診断は、研究として開始されてい

るが、保険承認の予定はない。病理組織より感度は下

がるが、様々な時期で検査可能。

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胆道癌のがんゲノム医療

• 各部位の胆道癌でターゲット

が異なる。頻度は少ない。

• 肝内胆管癌

• FGFR2融合遺伝子

• IDH1/2

• BRAF V600E

• EML4-ALK

• 胆嚢癌、肝外胆管癌

• HER2 (ERBB2)

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ASCO GI 2019 IN サンフランシスコから

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膵癌のがんゲノム医療

• 多くの遺伝子異常は、KRAS, TP53, SMAD4

• 治療適応とはならない。

• 1-2%にBRCA、MMR遺伝子異常などが出現。

• BRCA・・PARP阻害剤、プラチナ製剤

(FOLFIRINOX)

• MMR遺伝子異常・・Pembrolizimab

• 治療につながる遺伝子異常は合計して

も10%程度

• 家族歴は重要(乳癌、卵巣癌、大腸癌)

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肝細胞癌のがんゲノム医療

• 組織採取の頻度が少ないことから、あま

りデータとして報告されているものはな

い。

• 局所治療を行った部位からの採取が、が

んゲノム医療を行えるのかどうか分かっ

ていない部分も多い。

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MSI-HIGH腫瘍

• ペムブロリズマブが保険承認。

• 全例検査をするのか?

• 組織量が限られる中では、

がんゲノム検査>MSI PCR検査

• MSI-High症例は、肝胆膵領域では1-2%と言わ

れる。

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がん腫瘍遺伝子変異量

• MMR遺伝子異常だけでなく、がんの

腫瘍遺伝子変異量は重要。

• 免疫チェックポイント阻害剤が有効

な可能性がある。

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まとめ

• 肝胆膵領域では、確立した化学療法があり、現時点では、その治療が優先。

• ただし、がんゲノム検査に2週間から1ヶ月を要することを考慮し、早め早めに

ゲノム検査の準備をしていくことは重要。

• 頻度は限られているが、肝胆膵癌領域でも、がんゲノム医療は始まっている。