最新サービスの活用が進む企業のためのフィンテック 資金決...

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PO使宿企画・制作=日本経済新聞社クロスメディア営業局 資金決済の高度化による経営力強化 そのソリューションとは? 最新サービスの活用が進む企業のためのフィンテック 12月1日に都内で開催された「企業のためのフィンテック」(主催:日本経済新聞社クロスメディア営業局、協賛:Tranzax、後援:(独)中小企業基盤整備機構、 全国中小企業団体中央会、ABL協会、日刊建設工業新聞社)では、日本銀行 決済機構局 審議役・FinTechセンター長 河合祐子氏の特別講演『FinTechが描く未来』のほか、 以下のような内容でフィンテックの最新動向やビジネスのヒントになるサービスが紹介された。 基調講演 特別講演 パネルディスカッション プレゼンテーション CCCCCCCCC70 POPOPO調レオパレス21 マーケット開発統括部 戦略企画部長 芦村健人足利銀行 ダイレクト営業室 室長 鈴木 勉 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 准教授 野間幹晴SMBC日興証券 株式調査部 課長 シニアアナリスト 中村真一郎Tranzax 代表取締役社長 小倉隆志帝京大学 経済学部教授 博士(経済学) 宿輪純一鈴木 勉 芦村健人中村真一郎宿輪純一46 調キャッシュコンバージョンサイクルと経営戦略 CCC短縮によって日本企業の競争力が向上 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 准教授 野間幹晴201510 FinTech17 5調SCCC2017FinTechビジョン 経済活動に伴うお金の流れを変える 経済産業省 経済産業政策局 産業資金課長 兼 新規産業室長 福本拓也99 60 114 60 日本の企業金融の活性化を促進 電子記録債権ソリューション 激変する財務サプライチェーンに対応するFinTechとは パネリスト モデレーター 11 10 調調Tranzax 代表取締役社長 小倉隆志協 賛:

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Page 1: 最新サービスの活用が進む企業のためのフィンテック 資金決 …...れに向けた政策指標として、キ達を円滑にする可能性がある。 ... FinTechビジョン

なビジネスを展開するのに

有利だからだ。強い経済に

は強い金融が欠かせない。

POファイナンスなどのス

キームが、強い経済を支え

る礎になるのではないだろ

うか。

 小倉 中小零細企業の資

金繰り安定のために変える

べきなのは、融資の審査で

はなく、お金を貸したら確

実に戻ってくる仕組みづく

りだ。中小零細企業の隅々

までお金が行き渡れば、日

本のデフレも脱却できるの

ではないだろうか。当社は、

本当に使えるフィンテック技

術で企業をサポートしてい

きたい。

 宿輪 受注

の信用で金融

機関が〝低利〞

で融資する仕

組みは、中小

企業の運転資

金の負担を著

しく軽減させ、まさに〝地

に足が付いたフィンテック〞

だ。中小企業への貸し出し

の増加や支援を強化する金

融機関にも不可欠だ。

企画・制作=日本経済新聞社クロスメディア営業局

広 告

資金決済の高度化による経営力強化そのソリューションとは?

最新サービスの活用が進む企業のためのフィンテック

12月1日に都内で開催された「企業のためのフィンテック」(主催:日本経済新聞社クロスメディア営業局、協賛:Tranzax、後援:(独)中小企業基盤整備機構、全国中小企業団体中央会、ABL協会、日刊建設工業新聞社)では、日本銀行 決済機構局 審議役・FinTechセンター長 河合祐子氏の特別講演『FinTechが描く未来』のほか、

以下のような内容でフィンテックの最新動向やビジネスのヒントになるサービスが紹介された。

基調講演特別講演

パネルディスカッション プレゼンテーション

 ││電子記録債権が大企

業や中小零細企業へ与える

インパクトは?

 野間 日本企業の競争優

位性が低下している背景の

一つに、商品などを現金化

するまでにかかる日数を示

すキャッシュコンバージョ

ンサイクル(CCC)の長

さがある。CCCのマイナ

ス化を図れば、日々の事業

でキャッシュが生まれ、中長

期的な企業価値の向上に欠

かせない投資

の原資を生み

出せる。

 中村 企業

がCCCの長

期化に対して

能動的に対応

するか否かで、企業価値の

差が拡大する可能性がある。

低金利の環境もあり、企業

はあまり財務戦略を意識し

てこなかった。だが今後は、

その巧拙が株式市場の評価

軸の一つになるだろう。

 芦村 人手不足が深刻化

している建設業界では、サ

プライヤーの

確保が重要な

経営課題に

なっている。

それには、建

設期間が長期

化しても資金

繰りを安定させる仕組みが

必要だ。サプライチェーン全

体の金融コストを引き下げ

るサプライチェーンファイナ

ンスの導入により、当社では、

これまで70日程度だった支

払いサイトが2日に短縮さ

れた事例もある。

 鈴木 下請け企業が商品

の受注段階で発注書を元に

金融機関から

融資を受けら

れるPOファ

イナンスがあ

る。その注目

点は、従来、融

資の対象とす

ることが難しかった発注段

階の担保見合いとして取り

扱えることだ。

 ││今後、フィンテック

や電子記録債権とどのよう

に付き合うべきか?

 芦村 現在導入している

サプライチェーンファイナン

スからPOファイナンスへ移

行できれば、

資金繰りの強

固なサプライ

チェーンが構

築できる。導

入のメリット

をサプライ

ヤーへ説明し

ていきたい。

 鈴木 サプライチェーン

ファイナンスやPOファイナ

ンスは、企業に寄り添った

スキームだと考えている。

当行のフィンテックへの取り

組みの一環として、これら

スキームの利

用促進を図り

たい。

 野間 中小

企業の中には、

少額の運転資

金などを調達

する際に、高い金利を支払っ

てでも手軽に借りられる

ソーシャルレンディングを活

用する企業も少なくない。

中小企業の資金繰りを大幅

に改善するこ

とができれば、

日本経済に

とって大きな

インパクトが

ある。

 中村 日本

企業がフィンテックのプ

ラットフォーマーとしての

立場を占めるか否かに注目

している。その立場を得れ

ば、情報が蓄積され、新た

レオパレス21マーケット開発統括部戦略企画部長

芦村健人氏足利銀行ダイレクト営業室 室長

鈴木 勉氏一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授

野間幹晴氏SMBC日興証券株式調査部 課長シニアアナリスト

中村真一郎氏Tranzax代表取締役社長

小倉隆志氏

帝京大学経済学部教授 博士(経済学)

宿輪純一氏

鈴木 勉氏

芦村健人氏

中村真一郎氏

宿輪純一氏

 キャッシュコンバージョンサイ

クル(CCC)とは、商品や製

品を現金化するまでにかかる日

数のこと。主なエレクトロニク

ス企業のCCCを見ると、ソニー

やパナソニックなどはプラスだが、

デルはマイナス46となっている。

同社はパソコンの注文を受けて

顧客から代金を受け取った後に、

サプライヤーにお金を支払う仕

組みによって、CCCをマイナス

にしている。

 同社がCCCのマイナス化を

目指したのは、創業者のマイケ

ル・デルが「早く成長するため

にはCCCをマイナスにする必

要がある」と考えていたからだ。

そうすることで、運転資金の軽

減によって新しい市場に進出す

る際の投資金額を抑制できる。

かつ売り上げの増加とともに

キャッシュが積み上がっていく

ため、資金調達をしなくて済む

ようになった。

キャッシュコンバージョンサイクルと経営戦略

CCC短縮によって日本企業の競争力が向上

一橋大学大学院国際企業戦略研究科 准教授

野間幹晴氏

 経済産業省は2015年10月に

フィンテックに関する研究会を発足。

その後、今後の政策の方向性等を

包括的に検討する「FinTech

検討会合」で議論を行ってきた。そ

の報告書として17年5月に『Fin

Techビジョン』を公表した。ビ

ジョンが示したのは、フィンテック

はあらゆる経済活動の裏にあるお

金の形や流れ、信用・リスクのとら

え方、その担い手の全てを変えて

いくということ。これは人工知能

(AI)等がもたらす第4次産業革

命が金融業界にも起きていること

にとどまらない。あらゆる産業や

経済活動の変革に対応するため、

その裏にあるお金のあり方が変化

を求められていることでもある。

 フィンテックビジネスの最前線は

日々刻々と動いており、商品やサー

ビス、技術は急速に陳腐化し、新

たなプレイヤーが誕生している。ビ

ジョンでは、政府としてこれらの背

景にある大きな流れをユーザーの目

線から捉え、今後の政策を考える

視点と方向性を示すことを試みた。

 具体的には、個人の消費生活を

豊かにし、資産形成を充実する可

能性、企業の生産性を高め資金調

達を円滑にする可能性がある。そ

れに向けた政策指標として、キャッ

シュレス決済比率や企業間の資

金循環速度(サプライチェーン・

キャッシュコンバーションサイクル

(SCCC))、バックオフィス業務

のクラウド化率を提示。これらは

閣議決定された未来投資戦略

2017で具体化された。

 政策対応は、次の4つを軸にし

ていく。まずフィンテックの前提

となるデータ環境を整え、セキュ

リティが完備されたキャッシュレス

社会を実現する。次にお金の流れ

に関わる全ての取引をデジタルで

完結させる。3つ目にフィンテッ

クによる企業の経営力・生産性改

革を促進する。そしてフィンテッ

クによるイノベーションを次々に

生み出す仕組み作りだ。イノベー

ションを生み出すためにどのよう

な法整備や規制改革が必要か。こ

のテーマはフィンテックに限った

話ではない。規制の「サンドボッ

クス」制度の可能性等について、

政府を挙げて検討を始めている。

FinTechビジョン

経済活動に伴うお金の流れを変える

経済産業省 経済産業政策局 産業資金課長兼 新規産業室長

福本拓也氏

 日本の金融の課題は、中小企業

の資金繰りだ。安倍政権による大

規模な金融緩和により、大企業向

けの貸出金利は低下しているもの

の、実は中小企業向けの短期プラ

イムレートは8年間変動していな

い。中小企業向けの貸し出しのピー

クは1995年までさかのぼる。

当時の266兆円に対し2017

年現在は193兆円と、3割も減

少している。超低金利環境下にあ

りながら、中小企業にはお金が回っ

ていないのだ。

 日本企業の99%以上を占める中

小企業にお金が行き届かなければ、

国内景気の本格的な回復は望みに

くい。持続的な成長のために不可

欠な研究開発投資や設備投資、情

報化投資が進まず、その結果、日

本の労働生産性は他国に比べて劣

後してきている。

 この現状を危惧し、政府は中小

企業を振興する施策の一つとして、

下請代金の支払いを原則現金払い、

手形などについては120日以内

から60日以内に短縮化することを

推奨している。これによって中小

企業のキャッシュコンバージョン

サイクル(CCC)は短縮化する。

 しかし、その結果、板挟みにな

るのが素材・部品メーカーなどの

大手サプライヤーだ。買掛金支払

いサイト(期間)が短縮化する一方、

大企業間取引の売掛金回収サイト

は120〜180日のケースも多

い。自社のサプライチェーンの中

で支払いが先行すれば、財務体質

の悪化は避けられない。

 今後は、単純な1対1の議論で

はなく、サプライチェーン全体の

資金決済の高度化による経営力の

強化が重要になる。世界で最も低

金利である日本の有利さを生かす

サプライチェーン・ファイナンスを

構築するとともに、資本関係のな

いサプライヤーも含めた財務戦略

を検討することが欠かせない。

 そのソリューションとして期待

されているのが、電子記録債権だ。

あまり報道されていないが、日本

で最も成長している金融分野の一

つであり、現在の市場規模は推計

約14兆円。5年後には約60兆円ま

で成長する見込みだ。電子記録債

権を活用することで、CCCの短縮

日本の企業金融の活性化を促進

電子記録債権ソリューション激変する財務サプライチェーンに対応するFinTechとはパネリスト

モデレーター

 もう一つの事例は、ビール世

界最大手のアンハイザー・ブッ

シュ・インベブ(ABインベブ)

である。同社は2015年11月

にSABミラーを約10兆円で買

収したが、その時の売上高はお

よそ4兆円。買収の際には約8

兆円の資金調達も行った。

 ABインベブのCCCがマイ

ナス170であり、何日後に仕

入債務を支払うのかを表す「仕

入債務回転日数」が約290日

もあったことから、自社の収益

の2・5倍のM&Aや、2倍の

資金調達を実行することができ

たわけだ。

 さらにサプライヤーへの仕入

債務回転日数が長いため、積極

的なM&A戦略も展開できてい

る。その一方で、日系ビールメー

カーの仕入債務回転日数が短

い。つまり日系ビールメーカー

は、間接的にABインベブの買

収資金をサポートしていること

になる。

 日本ではCCCが軽視されて

いるが、それが日本企業の競争

力低下を招いている。CCCに関

する日本の常識が世界の非常識

になっていることを認識してほ

しい。

Tranzax代表取締役社長

小倉隆志氏

協賛:

化や、サプライチェーン全体の信

用コスト(金融費用)の低減を実

現できる。

 いくつか具体的なソリューション

を紹介しよう。最もシンプルな活

用例は、納入企業が発注企業に対

して有する売掛金を電子記録債権

として流動化し、早期の資金化を

図る方法だ。それを支払い代行会

社が買い取ることで、納入企業に

とっては金利負担を軽減できるメ

リットもある。

 次に、発注書を電子債権化する

「POファイナンス」が注目されて

いる。通常、売掛債権を担保に

した融資は納入後でなければでき

ないが、このスキームを利用する

ことで受注時から担保提供でき、

早期に融資を受けることが可能に

なる。受注時に受注額の4〜5割

程度の借り入れを行えるほか、債

務確定時点で全額のファクタリン

グ(売掛金の売却)が可能になる

ため、現金払いより早く資金化で

きる。

 CCCの短縮化に寄与する仕組

みが評価され、現在、経済産業省

の「次世代企業間データ連携実証

プロジェクト」の中で採用されて

いる。これは、企業間での受発注

取引を電子的に行うEDIシステ

ムとPOファイナンスを連携する

ことで、自動的に電子債権を発行

する仕組みを構築するものだ。多

くの金融機関から関心を集め、複

数の銀行や信用金庫がワーキング

グループに参加している。

 売掛金の電子債権化には、売掛

金譲渡契約手続きの事務負担の軽

減や、契約書の印紙税の節約といっ

た利点もある。売掛金を売却した

代金は自社で受け取らず、直接債

務の支払いに充てることも可能だ。

売掛金と買掛金を同時にバランス

シートから落とすことで、自己資

本比率が向上する。またいつ起こ

るか分からない金融危機の発生へ

の抵抗力をつけるうえでも、サプ

ライチェーン全体の運転資金を削

減する意義は大きい。

 現在、電子債権の取扱いを認め

られた機関は日本で5つしかない。

そのうち唯一のITベンダー系企

業が当社であり、独自のサービス

開発に努めている。電子記録債権

がもたらすものは、過去の決算書

をベースにしたアセット中心の金

融ではなく、将来の収入をベース

にしたキャッシュフロー中心の金融

だ。当社の電子記録債権ソリュー

ションを通じて、日本の企業金融

の活性化を促進していきたい。