五感を刺激する商業地デザインと来街者のアクティビティ · 2....

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J8)KD・KD'LM+N4BB4O/,P1.2251Q7

J8)KD・FRMS)*+N4BB4O/,TU1IB/.V7

FW*FD・X<Y+-./,6.,TU/5HU/,0I6I7

クローズド オープン・セミオープン

パサージュ・ショワズール(CHS) ムフタール(MFT)

パサージュ・ジェフロワ(JFR)

柳橋商店街(柳橋) 箱崎きんしゃい通り(箱崎)

市場型

← →空間スケール 大

クローズド オープン・セミオープン

ビュッシ(BUC-①) ビュッシ(BUC-②) シェルシュ・ミディ(MID)

サンタンドレ・デザール(SDA-①) サンタンドレ・デザール(SDA-②)

新天町商店街(新天町) 西新中央商店街(西新) 大名紺屋町通り(大名) 天神西通り(西通り)

歩行者天国型

歩車一体型 歩車分離型商業地分類

パサージュ型

パリ商業地

国内商業地

1. はじめに

1-1. 研究の背景

 日本の都市空間においては、戦後の都市近代化に伴い、

かつての濃密で相互扶助的な界隈性や雑多な都市環境

が破壊され都市の魅力を失いつつある。都市の魅力を取

り戻すため、近年、特に商業地を対象とした様々な研究

や社会実験が日本各地で行われている1)~4)。本研究では、

海外の商業地に視点を当て空間的特性を明らかにすると

共に、国内商業地との比較によって、相互の類似点や差

異の解明を図る。それにより、国内商業地が持つ日本固

有の商業地デザイン特性の解明を行う。

1-2. 研究の目的

 魅力ある商業地では、歩行時に断続的に変化する街路

風景や色彩、あるいは人やモノに囲まれているという視

覚的な感覚はもちろんのこと、路上で食べ歩く商品の味、

店先から醸し出す様々なにおい、人々の談笑する声や食

器が触れ合う音、商品を手に取り触れることのできる触

感といった『五感』に働きかける様々な刺激や仕掛け、

空間が存在し、それらによって得られる体験から、人々

は街歩きに楽しさを覚えると考えられる(写真 1・2)。

 また、店舗のファサードや業種、交通形態といった「店

舗・街路環境」、あるいはショーウィンドやあふれ出し

等の人の行動を誘発する「行動誘発要素」、それにより

生み出される人々の「アクティビティ」は相互に関係性

を持ち、商業地をより魅力あるものへと形成させている

事が感じとれる。本研究では、この 3つの観点に着目し、

国内外の商業地が持つ商業地デザインの特性を解明する

事を研究の目的とする。

1-3. 研究の方法と対象地

 研究のフローを図 1に示す。海外の調査都市として、

人口 217 万人を擁し欧州における政治、経済、文化的拠

点であるフランス国パリ市を選んだ。パリ商業地では

オープン・カフェ等、日本と異なった街路空間の利用が

なされている。まず、パリ及び国内商業地において市民

の日常的な舞台として賑わいある商業地を把握し、街路

断面構成、空間スケール、業種構成に着目して商業地の

分類を行った。それにより、12 の商業地と各商業地に

おいて 1階部分に位置する店舗を調査対象とした(表 1・

図 2)。「店舗・街路環境」、「行動誘発要素」、「アクティ

ビティ」の 3点を基に調査を行い、それぞれの観点から

国内外商業地が持つ特性を比較する(* 1)(図 3)。また、

3つの視点相互間の関係性を解明することで、国内外商

業地が持つ商業地デザイン特性の類似点や差異について

考察を行う。なお、本稿における各対象商業地の名称表

記は表 1 に従う事とする(*2)。

佐藤 敦

五感を刺激する商業地デザインと来街者のアクティビティ

-国内外の商業地比較からみる類似と差異-

写真1.商品を眺める 写真 2. カフェで食事をする 図 2. 研究の対象地(パリ商業地)

図 1. 研究のフロー

図 3. 店舗ファサードと行動   誘発要素のカテゴリー表 1. 商業地の分類と研究の対象地

11-1

特性#関係性&解明

パリ商業地

国内商業地

商業地,分類

対象地,選定

調査#比較分析

店舗・街路環境

行動誘発要素

アクティビティ

要素間,関係性

考察

*パリ・国内商業地の特性比較

11-2

パリ商業地

国内商業地

テーブル/イス/ベンチ

オープンカフェや路上テラスに設置されたもの

休憩や店員との会話を目的に設置されたもの

実用性 ⇒ デザイン性

商品を外部環境から守るため オープン・カフェを覆うため 店舗のデザイン要素として

国内商業地

パリ商業地

テント/庇

2. 店舗・街路環境と行動誘発要素でみる特性分析

2-1. ファサードタイプ別にみる国内外比較(表 2)

 Openは国内外商業地共に「市場型」、「歩行者天国型」

で高い割合を占めており類似している。空間スケール

が小さい事、車交通が無い事が Openの存在に大きく影

響を与えている。一方、パリ「パサージュ型」の CHS、

JFRでは Openの占有率が特に低く、断面構成が類似し

た国内「市場型クローズド」、「歩行者天国型クローズド」

の柳橋 (97.1%)、新天町 (59.0%) で高い割合を占めてい

る事と比較すると大きな違いがみられる。これは、業種

構成の違いによる影響が考えられる。

 Allはパリ全商業地において高い割合で分布し、特に

服飾業の多い MID(67.3%) で顕著である。国内では空間

スケールが大きい事、車交通がある事が Allの存在に影

響を与え、「歩車一体型」、「歩車分離型」の大名 (33.3%)、

西通り (42.1%) で多くみられる。

 Half、Closeには際立った特性は見られないが、Half

はショーウィンドに所狭しと並べられた商品やポスター

によって、店内への視線透過率が低い JFR(25.0%) や西

通り (42.1%) に、Closeは店内を前面街路から独立させ

た服飾業や飲食店が多い大名 (33.3%) に分布している。

2-2. 業種タイプ別にみる国内外比較(表 2)

 食品業は国内外商業地共に「市場型」の MFT(46.2%)、

柳橋 (97.1%)、箱崎 (53.1%) で高い割合を占め、業種の

偏りが類似している。国内では商業地の空間スケールが

大きくなるに従い分布にばらつきがみられるのに対し、

パリでは空間スケールが最も小さな「パサージュ型」で

特にばらつきが大きく、分布特性に違いがみられる。

2-3. 行動誘発要素別にみる国内外比較(表 3・図 4)

 テントは国内外商業地共に、屋根やアーケードによっ

て空間が外部環境から守られた商業地にはみられない。

また、テントはその設置目的により性格が大きく異なる。

まず、路上にあふれ出した商品を日差しや風雨から守る

目的で設置されたテントは国内外共に「市場型(オープ

ン)」、「歩行者天国型(オープン)」の MFT、BUC- ①、箱

崎、西新で多い。そして、パリ商業地ではオープン・カ

フェが多い MFTや BUC- ①②で、テラスで食事する来街

者を覆う目的で設置されたテントが多い。さらに、パリ

商業地では空間スケールが大きくなるに従い、実用的な

目的以上に店舗自身のデザイン要素として設置されたテ

ントが多くなり、服飾業の多い MIDでは顕著である。

 ショーウィンドはパリ全商業地において高い割合で分

布している。国内商業地では Allの分布傾向と比例する。

 あふれ出しは国内商業地に高い割合で分布している。

アーケード等によって空間が閉じた国内「市場型クロー

ズド」、「歩行者天国型クローズド」の柳橋 (82.4%)、新

天町 (71.5%) で高い割合を占めている特性は、パリ「パ

サージュ型」の CHS(31.0%)、JFR(35.7%) と類似している。

 ショーケースは生鮮食品の鮮度を保つ目的で設置さ

れたものが多く、「市場型(オープン)」の MFT(26.2%)、

柳橋 (44.1%) で高い割合を占めている。MFTでは、サン

ドウィッチやパニーニ、パンといった路上で気軽に食べ

られる商品をショーケースに並べ、店頭販売されている。

 テーブルやイス、ベンチは国内外商業地で性格が大き

く異なる。パリ商業地では、オープン・カフェや路上テ

ラスのある飲食店が多い CHS、MFT、BUC- ①②で来街者

の滞留を目的に設置されている。一方、国内商業地の箱

崎では来街者が休憩し、店員と日常的な会話を楽しむな

表 2. 店舗・街路環境の国内外比較

表 3. 行動誘発要素の国内外比較

33 97.1% 17 53.1% 23 59.0% 32 60.4% 4 14.8% 2 10.5%1 2.9% 4 12.5% 9 23.1% 10 18.9% 9 33.3% 8 42.1%0 0.0% 6 18.8% 5 12.8% 2 3.8% 5 18.5% 8 42.1%0 0.0% 5 15.6% 2 5.1% 9 17.0% 9 33.3% 1 5.3%34 100.0% 32 100.0% 39 100.0% 53 100.0% 27 100.0% 19 100.0%31 91.2% 17 53.1% 3 7.7% 21 39.6% 2 7.4% 1 5.3%0 0.0% 0 0.0% 5 12.8% 7 13.2% 7 25.9% 4 21.1%1 2.9% 1 3.1% 15 38.5% 4 7.5% 11 40.7% 3 15.8%0 0.0% 5 15.6% 3 7.7% 3 5.7% 5 18.5% 1 5.3%2 5.9% 4 12.5% 7 17.9% 4 7.5% 1 3.7% 5 26.3%0 0.0% 1 3.1% 3 7.7% 2 3.8% 1 3.7% 0 0.0%0 0.0% 2 6.3% 2 5.1% 6 11.3% 0 0.0% 3 15.8%0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 6 11.3% 0 0.0% 1 5.3%0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 5.3%0 0.0% 2 6.3% 1 2.6% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%34 100.0% 32 100.0% 39 100.0% 53 100.0% 27 100.0% 19 100.0%

歩車一体型歩行者天国型

クローズド オープン

5.30 4.35 6.722.00 0.68 4.553.00 3.80 5.30 7.00 4.00 7.60(歩道片側3.0)

2.90 2.30 5.101.00 1.60 2.004.90 5.10 6.10 5.40 10.20 15.70

160.80.34 0.19 0.120.26 0.23 0.22

138.6 178.8 155.8 141.8129.3

西通り

歩車分離型

箱崎 新天町 西新 大名

市場型クローズド オープン

柳橋

0 0.0% 17 53.1% 2 5.1% 39 73.6% 2 7.4% 2 10.5%0 0.0% 2 6.3% 9 23.1% 3 5.7% 8 29.6% 7 36.8%28 82.4% 15 46.9% 28 71.8% 22 41.5% 7 25.9% 3 15.8%15 44.1% 2 6.3% 4 10.3% 4 7.5% 1 3.7% 1 5.3%1 2.9% 5 15.6% 1 2.6% 0 0.0% 0 0.0% 1 5.3%2 5.9% 9 28.1% 15 38.5% 15 28.3% 14 51.9% 8 42.1%2 5.9% 4 12.5% 1 2.6% 13 24.5% 6 22.2% 2 10.5%

歩車分離型クローズド オープン クローズド オープン

西通り

市場型 歩行者天国型

柳橋 箱崎 新天町 西新

27

大名

歩車一体型

34 32 39 53 19

Open 3 5.2% 0 0.0% 28 43.1% 10 37.0% 10 34.5% 4 16.0% 1 4.0% 0 0.0%All 38 65.5% 16 57.1% 29 44.6% 12 44.4% 7 24.1% 14 56.0% 14 56.0% 33 67.3%Half 7 12.1% 7 25.0% 6 9.2% 5 18.5% 6 20.7% 6 24.0% 5 20.0% 14 28.6%Close 10 17.2% 5 17.9% 2 3.1% 0 0.0% 6 20.7% 1 4.0% 5 20.0% 2 4.1%

合計店舗数 58 100.0% 28 100.0% 65 100.0% 27 100.0% 29 100.0% 25 100.0% 25 100.0% 49 100.0%食品 1 1.7% 1 3.6% 30 46.2% 6 22.2% 8 27.6% 5 20.0% 1 4.0% 2 4.1%飲食店 9 15.5% 1 3.6% 9 13.8% 8 29.6% 8 27.6% 5 20.0% 6 24.0% 3 6.1%服飾 21 36.2% 5 17.9% 13 20.0% 9 33.3% 5 17.2% 8 32.0% 9 36.0% 36 73.5%サービス 2 3.4% 4 14.3% 2 3.1% 1 3.7% 0 0.0% 3 12.0% 2 8.0% 1 2.0%物販 6 10.3% 10 35.7% 2 3.1% 2 7.4% 2 6.9% 1 4.0% 4 16.0% 3 6.1%雑貨 6 10.3% 4 14.3% 3 4.6% 0 0.0% 2 6.9% 1 4.0% 1 4.0% 0 0.0%

日用品・総合小売業 1 1.7% 0 0.0% 4 6.2% 1 3.7% 1 3.4% 2 8.0% 0 0.0% 2 4.1%娯楽 1 1.7% 2 7.1% 0 0.0% 0 0.0% 2 6.9% 0 0.0% 1 4.0% 0 0.0%医療 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%その他 11 19.0% 1 3.6% 2 3.1% 0 0.0% 1 3.4% 0 0.0% 1 4.0% 2 4.1%

合計店舗数 58 100.0% 28 100.0% 65 100.0% 27 100.0% 29 100.0% 25 100.0% 25 100.0% 49 100.0%

歩車一体型 歩車分離型

シェルシュ・ミディ

街路形態 パサージュ型 市場型 歩行者天国型

1.512.89 3.91 1.67 2.8110.50(歩道片側2.8)

流動係数(人/m・分) 6.97 1.95 2.09

5.00 5.92平均街路幅員(m) 3.80 4.20 7.50 11.40 6.90 12.30 8.50

5.59 4.90 5.51平均階数(階) 2.93 2.00 4.68 5.59 5.03 6.16平均間口(m) 6.29 9.06 4.67 6.84

65.8 121.7 223.7

6.080.21 0.22合計店舗数/街路長さ 0.31 0.20 0.30 0.21 0.25 0.38

138.6 218.5 130.5 117.5

ファサードタイプ

業種タイプ

街路長さ(m) 185.2

ビュッシ①サンタンドレ・デザール①

ビュッシ②サンタンドレ・デザール②

パサージュ・ショワズール

パサージュ・ジェフロワ

ムフタール

テント/庇 1 1.7% 1 3.6% 48 73.8% 18 66.7% 5 17.2% 16 64.0% 3 12.0% 18 36.7%ショーウィンド 26 44.8% 18 64.3% 22 33.8% 11 40.7% 10 34.5% 16 64.0% 10 40.0% 44 89.8%ワゴン/あふれ出し 18 31.0% 10 35.7% 22 33.8% 5 18.5% 1 3.4% 2 8.0% 3 12.0% 0 0.0%ショーケース/陳列棚 2 3.4% 1 3.6% 17 26.2% 6 22.2% 2 6.9% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%テーブル/イス 9 15.5% 0 0.0% 10 15.4% 9 33.3% 2 6.9% 3 12.0% 1 4.0% 2 4.1%立看板 26 44.8% 11 39.3% 13 20.0% 2 7.4% 2 6.9% 0 0.0% 1 4.0% 0 0.0%のぼり 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

合計店舗数

街路形態 パサージュ型 市場型 歩行者天国型 歩車一体型 歩車分離型

シェルシュ・ミディ

パサージュ・ショワズール

パサージュ・ジェフロワ

ムフタール

49

行動誘発要素

58 28 65 27 29 25 25

ビュッシ①サンタンドレ・デザール①

ビュッシ②サンタンドレ・デザール②

図 4. 行動誘発要素の性格

11-3

表 6. アクティビティの国内外比較

10 17.9% 6 19.4% 12 18.8% 14 21.2% 12 29.3% 14 22.6%8 14.3% 2 6.5% 23 35.9% 4 6.1% 3 7.3% 5 8.1%15 26.8% 8 25.8% 12 18.8% 8 12.1% 7 17.1% 9 14.5%15 26.8% 8 25.8% 9 14.1% 19 28.8% 4 9.8% 9 14.5%2 3.6% 1 3.2% 3 4.7% 10 15.2% 5 12.2% 6 9.7%3 5.4% 3 9.7% 0 0.0% 1 1.5% 4 9.8% 3 4.8%2 3.6% 1 3.2% 5 7.8% 5 7.6% 1 2.4% 11 17.7%1 1.8% 2 6.5% 0 0.0% 4 6.1% 4 9.8% 3 4.8%0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 1.5% 1 2.4% 2 3.2%

66 41 6256 31 64

柳橋 箱崎 新天町 西新 大名 西通り

市場型 歩行者天国型歩車一体型 歩車分離型

クローズド オープン クローズド オープン商品探索型 26 40.0% 35 43.8% 28 27.5% 13 18.3% 31 38.3% 5 20.0% 24 40.0% 32 60.4%商品物色型 14 21.5% 10 12.5% 9 8.8% 6 8.5% 2 2.5% 2 8.0% 1 1.7% 0 0.0%営業活動型 4 6.2% 4 5.0% 5 4.9% 5 7.0% 4 4.9% 0 0.0% 2 3.3% 2 3.8%店舗交流型 1 1.5% 1 1.3% 9 8.8% 5 7.0% 2 2.5% 3 12.0% 0 0.0% 1 1.9%

中間領域 滞留型 8 12.3% 4 5.0% 24 23.5% 20 28.2% 11 13.6% 7 28.0% 5 8.3% 7 13.2%街路交流型 3 4.6% 3 3.8% 5 4.9% 4 5.6% 8 9.9% 3 12.0% 5 8.3% 2 3.8%歩行移動型 8 12.3% 23 28.8% 21 20.6% 15 21.1% 16 19.8% 5 20.0% 18 30.0% 5 9.4%乗物移動型 0 0.0% 0 0.0% 1 1.0% 2 2.8% 5 6.2% 0 0.0% 4 6.7% 2 3.8%その他 1 1.5% 0 0.0% 0 0.0% 1 1.4% 2 2.5% 0 0.0% 1 1.7% 2 3.8%

パサージュ・ショワズール

パサージュ・ジェフロワ

ムフタール ビュッシ①サンタンドレ・デザール①

ビュッシ②サンタンドレ・デザール②

シェルシュ・ミディ

街路形態 パサージュ型 市場型 歩行者天国型 歩車一体型 歩車分離型

5371 81 25 60合計 65 80 102

店舗・商業空間

街路空間

図 5. ムフタールの行動誘発要素とアクティビティ

ど店員と来街者の交流を深める目的で設置されている。

 立看板は、パリ商業地では飲食店のメニューなど

文字情報の多い看板が多く CHS(44.8%)、JFR(39.3%)、

MFT(20.0%) にみられる。国内商業地ではそれと共に、

店舗の名称や業種、入り口の存在を大文字で描いたもの

も混在し、柳橋以外の商業地で多く存在している。 

 のぼりは国内商業地のみに存在している。

3. アクティビティでみる特性分析

3-1. 商業地の音・におい環境の国内外比較(表 4)

 商業地の音環境を比較すると、音の最大値平均が

70.0dBを超える商業地はパリ商業地に比べ国内商業地

の方が多く、来街者が認識する音の大きさが大きい。音

の種類では、店舗や通りから流れる BGMがパリ商業地に

比べ国内商業地で特に多い。また、国内外問わず商業地

における最も特徴的な音の種類は、来街者同士、あるい

は店員と来街者による会話や声である(*1・3)。

 商業地のにおい環境を比較すると、生鮮食品によるに

おいは国内商業地に多く、パリ商業地ではパンやサンド

ウィッチ等の調理済み食べ物によるにおいが多い。国内

商業地では空間スケールが大きくなるに従い、化粧品等、

食品以外のにおいが多くなるが、これは業種の分布特性

に比例する。空間が閉じたパリ「パサージュ型」、国内「歩

行者天国型クローズド」の商業地では歩行時にすれ違う

人々が付けた香水等の香りが漂う。

3-2. アクティビティ別にみる国内外比較(表 5・6・図 5)

 アクティビティ調査により得られた結果を行為の性格

から分類を行った(表 5)。国内外商業地を大きく比較

すると、パリ商業地では全体的に「商品探索型」、「滞

留型」、「歩行移動型」が多い。ファサード Allが多い事

や、ショーウィンド、あふれ出しの存在が「商品探索型」

〔CHS(40.0%)、JFR(43.8%)、MID(60.4%)〕に、オープン・

カフェや路上テラスの存在が「滞留型」〔MFT(23.5%)、

BUC- ① (28.2%)〕に、気軽に食べ歩けるパンやサン

ドウィッチを販売する店舗の存在が「歩行移動型」

〔MFT(20.6%)、BUC- ① (21.1%)〕に強く影響を与えている。

 国内商業地では全体的に「商品探索型」、「営業活動

型」、「店舗交流型」が多い。「商品探索型」では空間ス

ケールが小さな商業地ではあふれ出し〔柳橋 (17.9%)、

箱崎 (19.4%)〕、大きな商業地ではショーウィンドや立

看板〔大名 (29.3%)、西通り (22.6%)〕へと注視対象が

移る。ファサード Openが多い事が、店員と来街者の交

流を通じて商品を購入する「店舗交流型」〔柳橋 (26.8%)、

箱崎 (25.8%)、西新 (28.8%)〕に強く影響を与えている。

 一方、「商品物色型」は国内外商業地共に空間が閉じ

た商業地に多い〔CHS(21.5%)、新天町 (35.9%)〕。これは、

あふれ出し等の行動誘発要素が多様に存在する事、他者

の動線や視線を気にすることなく商品の選定が行えると

いう商業地の空間特性が影響していると考えられる。

4.クルジンスキーの類似性測度を用いた関連分析(図6・7)

 商業地における、「店舗・街路環境」、「行動誘発要素」、

「アクティビティ」要素間の関連性を、クルジンスキー

の類似性測度を用いて分析を行った(式 1)。この時、

式 1 は各要素間の条件確立の平均により両者の類似性を

示す。得られた結果の内、要素間の関連が強いe値≧0.25

空間 アクティビティタイプ 定義 例

商品探索型 あふれ出し等の行動誘発要素に意識を向ける行為 商品を眺める ショーウィンドを眺める 看板を眺める

商品物色型 商品購入に伴い、実際に商品を手に取り選定する行為 商品を手に取り選ぶ

営業活動型 店舗の営業・販売活動に伴う行為 商品の並び替えをする ショーウィンドのディスプレイをする

店舗交流型 商品の販売に伴い店員と客が交流をもつ行為 店員と客が会話する 店員が客に声をかける

中間領域 滞留型 人が一定の場所に留まって行う滞留行為 カフェで食事をする 壁際に立ち食事をする 壁に腰掛ける

街路交流型 街路空間において来街者同士が行う交流行為 立ち話をする 声を掛け合う KISSをする 抱き合う

歩行移動型 歩行に伴う特徴的な行為 食べ歩きをする 地図を見ながら歩く 犬の散歩をする

乗物移動型 乗物による街路の通過とそれに伴う行為 自転車で通過する スケートボードで通過する

その他 上記に分類されない行為 警察官が巡回する 清掃会社が街路を掃除する

店舗・商業空間

街路空間

表 5. アクティビティのカテゴリー

表 4. 商業地の音・におい環境の国内外比較

パラソル立看板

立看板

立看板

袖看板パラソルあふれ出し

商品を眺める店の掃除をする

電話しながら歩く

読書をする

食事をする

食べ歩きをする カフェで食事をする 路上で抱き合う

0 5m

商品を眺める 店員と会話する 壁際で立ち話をする

ショーケース

あふれ出しショーケース

イス

ショーウィンドショーケース

立ち話をする

柳橋 箱崎 新天町 西新 大名 西通り

クローズド オープン クローズド オープン

73.1 68.8 73.3 70.4 71.9 77.2

4.0 5.7 2.8 5.5 6.7 2.9

☆ ◎ ◎ ☆ ◎ ◎

○ ○

◎ ☆ ☆ ○ ○ ○

○ ◎ ☆ ☆

☆ ☆ ☆ ☆ ◎

◎ ○

◎ ◎ ◎

歩車分離型市場型 歩行者天国型

歩車一体型

パサージュ・ショワズール

パサージュ・ジェフロワ

ムフタール ビュッシ①サンタンドレ・デザール①

ビュッシ②サンタンドレ・デザール②

シェルシュ・ミディ

71.6 68.3 70.1 68.8 70.6 65.6 66.1 70.4

5.4 6.0 4.9 6.2 5.3 2.8 4.7 3.8

人の会話や声 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ◎ ○

人の活動に伴う音 ☆ ◎ ◎ ○ ○ ☆

店舗や通りのBGM

交通に伴う音 ○ ◎ ○ ◎ ◎ ☆ ☆ ◎

生鮮食品等 ◎ ☆

調理食品/料理等 ◎ ☆ ☆ ☆ ☆

食品以外の商品等 ○ ☆

歩行者(香水等) ☆ ☆ ○ ◎

排気ガス ☆

街路形態 パサージュ型 市場型 歩行者天国型 歩車一体型   ���������������歩車分離型

においの種類(件数1位☆/2位◎/3位○)

音の種類(件数1位☆/2位◎/3位○)

音最大値平均(dB)

音最大値標準偏差値

街路断面構成

Half

0.36

歩車分離型

業種タイプ

ファサードタイプAll

0.31

行動誘発要素

アクティビティ

0.62

商品探索 営業活動

0.29 0.29

ショーウィンド 立看板

0.32

商品探索 営業活動

0.37 0.28

医療

0.52

物販

0.25

商品探索 営業活動

0.28 0.26

歩行移動

0.40

街路断面構成

ファサードタイプAll

0.28

歩車一体型

飲食店

0.53

Close

0.34

業種タイプ服飾

0.42

0.29行動誘発要素

ショーウィンド 立看板 立看板

0.54

アクティビティ商品探索 商品探索

0.29 0.37

0.42

街路断面構成

アクティビティ

ファサードタイプ

業種タイプ

行動誘発要素

食品

0.46 0.58 0.33

日用品

店舗交流

0.37

店舗交流

0.44

あふれ出し

0.36

0.45

Open

0.45

テント あふれ出し テント

0.75 0.34

のぼり

0.39

立看板

0.48

店舗交流

Close

0.26

歩行者天国型オープン

0.31

娯楽

街路断面構成

営業活動

0.540.39 0.31

商品物色

0.44

歩行者天国型クローズド

0.30

ショーウィンドあふれ出し

0.41業種タイプ

行動誘発要素

アクティビティ

ファサードタイプ

0.47

営業活動

0.28

立看板

物販 服飾

Open

0.40

街路断面構成

アクティビティ

0.58 0.35

ファサードタイプ

食品

0.75

Open

0.34

0.46

業種タイプ

行動誘発要素

市場型オープン

テント あふれ出し イス

街路断面構成

All

0.27

歩車分離型

0.44

0.63

テント

0.29 0.71

商品探索

Halfファサードタイプ

業種タイプ

行動誘発要素

アクティビティ

ショーウィンド

0.30 0.64

服飾

商品探索

街路断面構成

0.29 0.71

0.64

ショーウィンド

All

0.37

0.30

商品探索 商品探索アクティビティ

ファサードタイプ

歩車一体型

業種タイプ

テント

服飾

0.63

行動誘発要素

街路断面構成

0.35

食品

歩行移動

0.32

あふれ出し

0.55

商品探索

ファサードタイプOpen

0.34

All

0.31

市場型

業種タイプ

アクティビティ

テント ショーケース

0.44

商品探索

行動誘発要素0.51

0.30 0.29

商品探索

0.32

街路断面構成

0.71 0.25 0.34

商品探索

ショーウィンド あふれ出し ショーウィンド

商品物色

0.32 0.63

商品探索

0.30

商品物色 商品探索 商品物色

0.27 0.64 0.28

立看板あふれ出し

0.26

ショーウィンド

0.460.40

あふれ出し

0.34

商品探索 商品物色

0.32 0.63 0.30 0.27

立看板

0.31

商品探索 商品物色

Close

0.32

娯楽 その他服飾

0.63

物販

0.36

雑貨

0.29

ファサードタイプAll

0.48

アクティビティ0.32 0.64

行動誘発要素

0.40

0.28

商品物色商品探索 商品探索 商品探索

0.64

0.61

パサージュ型

業種タイプ

街路断面構成 歩行者天国型

テント

商品探索

0.31

0.72 0.25

乗物移動

ショーウィンド

0.51 0.37

Open

0.34

食品

0.55

ファサードタイプ

アクティビティ商品探索 滞留 滞留

0.30 0.34 0.26

イス

歩行移動

0.32

滞留

0.64 0.25

営業活動

0.55

街路交流

0.27

業種タイプ

0.35

行動誘発要素

飲食店

テント

街路断面構成 市場型クローズド

0.53

ショーケース

食品

0.75

Openファサードタイプ

0.66

商品物色

0.57アクティビティ

行動誘発要素0.58

あふれ出し

業種タイプ

営業活動

0.47

店舗交流

0.44

11-4

を抽出し、親近性構造図の作成を行った(* 4)。ここでは、

商業地タイプに着目し、他の要素との関連について考察

を行う(図 6・7)。

 国内外商業地を比較すると、「市場型」、「歩行者天国型」

では国内外商業地共にファサード Openとの親近性が高

く、特に「市場型」では食品業との関連が類似した傾向

を示している。パリ「市場型」では路上にあふれ出した

商品を外部環境から守る目的で設置されたテントや、気

軽に食事できる商品を並べたショーケースが「商品探索

型」と関連がある。一方、国内「市場型クローズド」で

は、生鮮食料品を中心としたあふれ出しが「商品物色型」、

「営業活動型」、「店舗交流型」と関連している。

 また、「歩車一体型」、「歩車分離型」では国内外商業

地共にファサード Allとの親近性が高く、特にパリ「歩

車一体型」、「歩車分離型」、国内「歩車一体型」では服

飾業やショーウィンドとの関連が類似している。国内外

共にショーウィンドの存在や、パリではデザイン要素と

してのテント、国内では店舗の存在を示した立看板が「商

品探索型」と関連している。また、国内「歩車一体型」

ではファサードを閉じることにより店舗を前面街路から

独立させた飲食店との関連もみられる。

 空間が閉じたパリ「パサージュ型」、国内「歩行者天

国型クローズド」ではファサードとの関係性が大きく異

なるが、業種や行動誘発要素との多様な関連性や、「商

品物色型」との高い親近性が類似した傾向を示している。

 パリ「歩行者天国型」では、オープン・カフェなどの

飲食店に設置されたイスと、それに伴う「滞留型」との

関連が、他の商業地にはない特有の傾向をみせている。

5.結論

 以上により、本研究では次のことを明らかにした。

(1)パリ商業地では、ファサード Allを中心にした空間

構成となっている。ショーウィンドやあふれ出し、オー

プン・カフェの存在や、気軽に食べ歩きができる商品の

販売により、「商品探索型」、「商品物色型」、「滞留型」、「歩

行移動型」といった多様な行為が生み出されている。

(2) 国内商業地では、ファサード Openを中心にした空

間構成となっている。パリ商業地に比べ、あふれ出しや

商業地の音環境は多様であるが、ファサード Openによっ

て形成された店舗と街路が一体化した空間では、来街者

のアクティビティが「商品探索型」、「商品物色型」、「営

業活動型」、「店舗交流型」といった商業空間特有の行為

に偏り、パリ商業地にみられる様な行為の多様性はない。

図 6(上 ). パリ商業地タイプ別親近性構造図 図 7( 下 ). 国内商業地タイプ別親近性構造図

【補注】

(*1) 店舗のファサードは、街路から店内への視線透過率に応じて Open、All、Half、Closeに分類し調査を

行った。また、商業地の音・におい環境調査は各対象商業地 10m間隔毎に調査ポイントを設定し、音の大

きさを騒音計により計測した。また、特徴的な音やにおいについても調査員が調査シートに記録を行った。

アクティビティ調査は、各商業地において歩行者量が多い時間帯で、街路上で行われる単純歩行以外の行

為を 3人の調査員が同時に一定時間(パリ商業地 30 分間、国内商業地 20 分間)観察し、地図上に記述した。

(*2)パリ商業地のビュッシ及びサンタンドレ・デザールには歩行者天国型街路と歩車一体型街路が存在す

る。本稿では、それぞれ歩行者天国型街路を①、歩車一体型街路を②と各商業地名の後に付加して表記する。

(*3) 音やにおいの種類についての順位付けは、それぞれの種類に当てはまる記述件数 /各商業地における

全記述件数による割合によって決定した。

(*4)親近性構造図の作成にあたり、親近性が強いとした e≧ 0.25は数種の数値を設定し分析を行った経験

に基づき決定した。また、親近性構造図の作成方法は次の通りである。

PHASE-1:商業地タイプとファサードタイプの関係が e≧ 0.25の場合、その要素間を結ぶ。

PHASE-2:業種タイプと商業地タイプの関係が e≧ 0.25を満たし、かつファサードタイプとの関係が e≧ 0.25

を満たす場合それぞれを結ぶ。ファサードタイプとの関係が e< 0.25の場合は商業地タイプと直接結ぶ。

PHASE-3:商業地タイプと行動誘発要素、アクティビティとの関係についても PHASE-2 に従う。

PHASE-4:各要素とそれぞれに対する第 1次上位要素との関係性を示す e 値の値を図中に表記する。

【参考文献】

1)佐藤敦、有馬隆文、萩島哲、坂井猛、「店舗の構えの特徴と商店街の魅力に関する研究」、日本建築学会

計画系論文集、第 582号、pp.87-93、2004 年

2)宇野弘蔵、有馬隆文、萩島哲、坂井猛、「来街者の行動を誘発する空間構成に関する研究-商店街におけ

る公と私の中間領域に着目して-」、日本建築学会大会学術講演梗概集 F-1分冊、pp.1165-1166、2004 年

3)山川琴音、有馬隆文、出口敦、「商業地街路における歩行者の視認、認知、評価に関する研究-通常時と

社会実験時におけるアイマーク実験の比較考察-」、日本建築学会第 28回情報システム利用技術シンポジ

ウム論文集、pp.37-42、2005年

4)高木菜央実、「商業地における行動誘発要素と歩行者のアクティビティ」、九州大学卒業論文、 2005年

式 1. クルジンスキーの類似性測度