がんとコミュニケーション - cancer net(cin/bec) 言語・非言語 による...
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梅田 恵 ㈱緩和ケアパートナーズ
URL: www.kanwacarep.com/
代表取締役・がん看護専門看護師
がんとコミュニケーション
CNJ
認定乳がん体験者コーディネーター養成講座
目的・背景
情報のつなぎにはコミュニケーションが重要
効果的なコミュニケーションは…
よい情報が入手できる
よい情報を伝えることができる
自身の体験を伝えることができる
心の癒しを受け、提供することができる
人々との交流を促すことができる
コミュニケーションについて考える機会とする
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自己紹介 がん看護専門看護師
大学病院での緩和ケアチームに携わる
2009年に㈱緩和ケアパートナーズを設立
役に立つがん看護・緩和ケアの普及をめざし!!
患者・家族の相談
看護実践や教育についてのコンサルテーション
看護師の活動支援
CNJ『がん情報ステーション東京』で相談担当
がん看護・緩和ケアに関する看護師教育
ナグモクリニックの薬物療法科の非常勤看護師
病院のがん看護・緩和ケアのコンサルテーション
自己紹介 がん看護専門看護師
大学病院での緩和ケアチームに携わる
2009年に㈱緩和ケアパートナーズを設立
役に立つがん看護・緩和ケアの普及をめざし!!
患者・家族の相談
看護実践や教育についてのコンサルテーション
看護師の活動支援
CNJ『がん情報ステーション東京』で相談担当
がん看護・緩和ケアに関する看護師教育
ナグモクリニックの薬物療法科の非常勤看護師
病院のがん看護・緩和ケアのコンサルテーション
*注 講義収録時の2011年時点で、全国の専門看護師が451名、と梅田先生が
紹介されていますが、現在795名となっています
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内容
コミュニケーションとは
コミュニケーションのスキル
がん体験者の心の状態
内容
コミュニケーションとは
コミュニケーションのスキル
がん体験者の心の状態
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コミュニケーションとは
語源:communicare(ラテン語) 意味:社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を
伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介
として行われる。
言語・非言語
による
メッセージのやりとり
日本のがん医療の現状
Supplier (医療者)
Consumer (患者)
Supplier(医療者)とConsumer(患者)の情報の非対象性の問題 情報量の差に、消費者は正しい選択ができない
↓ 両者の言葉を翻訳、解説し、コミュニケーションを助ける機能が必要
CNJ (CIN/BEC)
言語・非言語 による
メッセージのやりとり
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コミュニケーションの種類
≪言語的コミュニケーション≫
•書き言葉
•話し言葉
≪非言語的コミュニケーション≫ •表情 身振り・タッチング 視線 •声の大きさ・調子 •相手との対し方・距離の取り方・姿勢 •服装・髪型
コミュニケーションに 対する思い込み
意識的なもの
言語的なものが中心
言葉の意味は、発信者・受信者間で同じ
コミュニケーションは一方向の活動
情報を多く与え過ぎることはない
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医療で多く使われる コミュニケーション
何も話さなくても、多くを伝えている
⇒非言語的なメッセージが重要
(Mehrabian,1971)
コミュニケーションに 影響を及ぼす要因
年齢 性別 身体状態 理解力 経済状態 関係性 対処能力 悲嘆状況 属する文化
トレーニングの不足 自信のなさ 体験が異なることの不安 対象の反応への不安 感情表出への抵抗 他人についての理解不足 自身の悲しみの体験
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内容
コミュニケーションとは
コミュニケーションのスキル
がん体験者の心の状態
良く聴く(傾聴)
意識を集中し、 と を傾けて聴く
hear(聞く)
(臼井, 1997)
体験者が「話を続けてみたい」と思ってもらえ
るような態度・反応を示す
listen (聴く)
視線を合わせる
うなづき、あいづち
非審判的・許容的雰囲気
開かれた質問を用いる
言いたいことを探索し、理解する
患者の言うことを自分の言葉で反復する
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共感 他人の意見や感情などにそのとおりだと感じることまた、その気持ち
(大辞泉)
気持ちに寄り添うことにより、対象は癒される。
共感していることを、しっかり示すことが大切
「共感」=「同調」
共感していることの示し方
•見てとった感覚あるいは感情を伝える 反映
•いだいている感情面での体験を承認し、それが正当なものであることを伝える
正当化
•援助したいということを明確に伝える 個人的な支援
•平等関係と協力関係を示す 協力関係
•敬意をはらっていることを言葉で示す 尊重
(池永, 2004を改変)
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待つ(沈黙) 沈黙するのは・・・
非常に強い感情を抱き、それを言葉にできな
い時
気持ちや考えを整理している時 など
すぐに沈黙を破る必要はない
「相手の言葉を黙って待つ」
沈黙が続くようであれば、しばらく待ったうえ
でタイミングを見計らい、言葉や沈黙の意味を
明確に する
内容
コミュニケーションとは
コミュニケーションのスキル
がん体験者の心の状態
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治療中がん患者での精神医学的有病率
Derogatis et al,JAMA,1983
適応障害
32%
うつ病
6%
器質性
精神障害4%
人格障害
アルコール3%
不安障害
2%
なし
53%
がん患者意識調査 (日本医療政策機構、2009)
がんの治療にかかった費用の負担が大きい(71%)
がんの治療を通しての悩み
1位「落ち込みや不安、恐怖などの精神的なこと」(64%)
2位「痛み・副作用、後遺症などの身体的苦痛」(60%)
3位「これからの生き方生きる意味に関すること」(52%)
がんの診断や治療方針の決定過程、受けた治療
「不満足」(25% )
理由:精神面に対するサポートが不十分
情報が少ない
郵送調査、インターネット調査により有効回答数1618件 http://ganseisaku.net/impact/reports/gan_ishiki_2009/20100226_CPIC_PR_vol_1.pdf
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がんと向き合った7,885人の声 静岡がんセンターが中心となり、厚生労働省の「がんの社会学」合同研究班が、平成15年に行った全国調査の概要をまとめたものです。 この全国調査の結果をもとに、合同研究班では、がんの種類別、あるいは「こころのケア」など悩みや負担の種類別にQ&A集を作成しています。
http://www.scchr.jp/cancerqa.html
からダウンロードできます。また、よくある相談についてはWEB上でQ&Aが公開されています。
- がん患者の悩み -
出典:がん体験者の悩みや負担等に関する実態調査報告書
「がんと向き合った7885人の声」より。「がんの社会学」に関する
合同研究班、厚生労働省がん研究助成金事業
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悪い知らせを伝えられる際に多くの患者が望むコミュニケーション
質問に対して返答がある
わかりやすく伝達される
今後の治療方針についても話しがある
病気の状態について説明がある
最期まで診療にあたることを伝えられる
正直に説明される
要点が明確に話される
希望が持てることについても伝えられる
今後の日常生活、仕事についても話し合われる
患者と同様、家族へも配慮がある。
(Fujimori, 2007)
529名のがん患者を対象に行った質問紙調査の結果
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がん患者が書いた闘病記81冊の分析
『勇気づけられたこと』と『勇気づけた他者の言動』をペアで、61冊中112記録単位を抽出
著者は男性29名、女性32名
年齢は30代~70代
がん種
乳がん12冊、肺がん9冊、
子宮がん8冊、大腸がん8冊、
前立腺がん5冊、血液がん5冊
がん患者が勇気づけられた他者の言動
兵頭静恵他:がん患者が勇気づけられた他者の言動~闘病記からの分析~;がん看護16(1),85‐90,2011
がん患者が勇気づけられた他者の言動【結果】
カテゴリ サブカテゴリ
勇気づけた他者(告知前後/治療開始後)
がん患者
配偶者 配偶者以外の家族
知人
友人 勤務先 看護師
メディア
宗教家
私も応援していますよという姿勢
一緒に闘おう 8 4 2
思いやりに満ちた励まし 8 4
期待以上の看病 2 1
妻の笑顔 3
頻回の来訪や電話 1 2
勤務先の支援 2
宗教の加護 2
つらい体験の共有や共感
同じ苦しみを体験した人との出会い 13 3
つらい気持ちの傾聴 2 5 2
手術痕を見せる 5
プラス思考の生き方の提示
前向きな考え方の提示 3 1 1 2 3 1
幼い子や孫とのふれあい 9
これからすべきことの提示 1 6
歌詞のメッセージ 2
治癒する可能性の示唆
がんを克服した人との出会い 9 3
新しい治療情報の提供 2
合計 30 15 17 25 2 7 13 3
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サポートグループの評価
2001~2002年にサポートグループに参加した40名のうち36名から回答
78%が女性/平均年齢は54(±11.4)歳/がん種はさまざま/36%が再発・転移あり
プログラムの特徴:教育よりも集団精神療法的アプローチ
※120分のセッションを5週連続行う
川名紀子他:がん患者のための集団精神療法的プログラム「がんと共にゆったり生きる会」効果の測定(第1報);聖路加健康科学誌11,9‐12,2003
怒り/敵意は減少
不安緊張、疲労は減少傾向
活気は上昇傾向
抑うつ、混乱は変化なし
結果
まとめ(1)
やったほうがいいこと(DO)
• 自己紹介
• 関心を寄せる
• 質問するときは、なぜ、その質問をするのか説明する
• 抵抗のあるようなことを聞くときは、前置きをする
• 情報の提供をするときはそのリソーズを明確に伝える
• 理解できないことは、理解できないことを伝える
• 専門家への相談
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まとめ(2)
やってはいけないこと(DO NOT)
• 自分の考え・経験の押しつけ
• 自分の心の状態が落ち着かないときの対応
• 対応がスムーズでないと感じているのに、対応を続ける
• 話している言葉の遮り
• 理解しているふり
• 安易な励まし
• 華美な服装や化粧