日本におけるフェアトレードの在り方...4...

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1 日本におけるフェアトレードの在り方 本来のフェアトレードとは桜美林大学 LA 学群4年 国際協力専攻 牧田 東一ゼミ 学籍番号 210d0528 下里夢美

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日本におけるフェアトレードの在り方

―本来のフェアトレードとは―

桜美林大学 LA 学群4年 国際協力専攻 牧田 東一ゼミ

学籍番号 210d0528 下里夢美

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目次

はじめに ...................................................................................................................... 3 第一章 フェアトレードについて............................................. 4

第一節 フェアトレードとは何か ..................................................................................... 4 1.フェアトレードの定義 .............................................................................................................4 2.フェアトレードの基準 .............................................................................................................5 3.フェアトレード商品 ................................................................................................................8 4.フェアトレードの認知度........................................................................................................10

第二節 フェアトレードの広がり ................................................................................... 10 1.フェアトレードの歴史 ...........................................................................................................10 2.欧米諸国におけるフェアトレードの現状................................................................................ 11 3.政府によるフェアトレード .....................................................................................................12

第二章 日本におけるフェアトレードの展望 .................................. 12 第一節 日本のフェアトレードの始まり .......................................................................... 13

1.日本のフェアトレードの歴史.................................................................................................13 2.日本のフェアトレードの現状.................................................................................................14

第二節 NPO・NGOのフェアトレード ........................................................................... 15 フェアトレード団体の事業ジレンマ............................................................................................15

第三節 企業のフェアトレード...................................................................................... 19 企業の社会的責任(CSR)としてのフェアトレード.......................................................................19

第四節 若年層とフェアトレード ................................................................................... 20 1.学生団体によるフェアトレード ..............................................................................................20 2.若年層をターゲットにしたフェアトレード ................................................................................20

第五節 地方とフェアトレード ...................................................................................... 21 1.フェアトレードタウン .............................................................................................................21 2.フェアトレードシティ.............................................................................................................22

第三章 多様化するフェアトレードの在り方................................... 23 第一節 日本に混在するさまざまなフェアトレード ......................................................... 23

フェアトレードの分類1 .............................................................................................................23 フェアトレードの分類2 .............................................................................................................23

第二節 フェアトレードの自立...................................................................................... 26 フェアトレードの本来の在り方...................................................................................... 27 第四節 消費者にできること ........................................................................................ 28

1.フェアトレード商品を選ぶ......................................................................................................29 2.フェアトレードについて知る・学ぶ ..........................................................................................29 3.フェアトレード商品にきりかえるように要請する。......................................................................29

おわりに~世界がフェアトレードの概念から卒業するには~ ......................................... 29

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参考資料 .............................................................. 30

はじめに

世界貿易システムは先進国側に利益がでるよう有利にはたらくシステムである。グローバル化の恩恵を

受けることができず経済的に弱い立場の途上国の生産者は、ときに不平等な貿易システムによって先進

国の大企業に搾取されてしまうのだ。近年、日本でも消費者の耳にとどくようになったフェアトレード(公正

貿易)。すでにフェアトレードの広まった欧米諸国と比べると日本は依然としてその認知度が低いといわれ

ている。 一般社団法人フェアトレードタウン・ジャパンによる「フェアトレードと倫理的消費」に関する意識調査の

結果によると、日本のフェアトレード認知度は 25.7 パーセントと極めて低い数値である[FTTJ HP 2013,

11.23]。認知度としては先進国で も低く、国際的課題であるフェアトレードが、かつて ODA 世界一の

援助大国と言われた日本で、なぜこんなにも普及していないのだろうか。 筆者がフェアトレードに出会ったのは、主に西アジアの貧困に目を向け、現地パートナーと協力し支援

活動を行う日本のNPO(特定非営利活動法人)「シャプラニール=市民による海外協力の会」の、現地事

務所を訪問した時である。シャプラニール=市民による海外協力の会、通称:シャプラニールは、1974 年

にバングラデシュとネパールの女性たちが作った手工芸品の生産と販売活動を始めたことをきっかけに

その活動を拡大し、日本で 初にフェアトレードに取り組んだ団体として有名である。2010 年には、シャ

プラニール初の消費材である石鹸の開発を行い、ネパールとバングラデシュのフェアトレードのナチュラ

ル石鹸としてブランド化した。シャプラニールのフェアトレード部門「クラフトリンク」のようにその地域の伝統

民芸品や特産物を日本人の消費者向けに加工して、日本に独自の輸入ルートを開発し、それをフェアト

レードとしてブランディング・販売している団体や NPO 法人は今日本で急速に増えている。そのような国

際協力団体は、それぞれ独自のフェアトレードの概念を用い、商品販売のためのインターネットページや

カタログの制作、フェアトレードをテーマにしたキャンペーン・イベントなどを主催し、国際活動の視点から

認知度・普及率の向上を担ってきた。 しかし筆者はある一つの疑問を抱いた。フェアトレードとはもともと、企業が行う貿易搾取を見直すもの

であり、途上国の労働者に平等な賃金を支払うために広まった概念である。つまりNPO・NGOのような国

際協力活動をする団体が、わざわざ独自の販売ルートにフェアトレードという名前を付け、今までにな

かった貿易構造を作り出すことは、本来の貿易搾取をなくすためのフェアトレード活動とは別物である可

能性がある。さらに本来フェアトレードにすることで割り増しする値段が、国際協力団体が仲介することで

さらに高くなることや、団体の名前を掲げブランディングして利益をあげることはビジネスとなんら変わりは

ないのではないか、という疑念が生まれてくる。そうした疑問点を抱えるなかで本来のフェアトレードの概

念や日本のフェアトレードはどうあるべきで、今後どのように展望していくのだろうか、と筆者は考えた。 フェアトレードは貿易でもあり生産者の生活向上支援という意味での国際協力でもある。フェアトレード

販売における雇用は農作業よりも多くの雇用を生み出すことができ、フェアトレードであることの倫理観へ

の共感やメリット、貢献度などの消費者への理解が今後の展望に重要である。少なからず、独自のルート

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ることのない雇用が増加したことも事実である。フェアトレード商品を選択することは、途上国の生産者へ

の搾取を取り除き、生産者、消費者にとっても持続可能な自立支援への、一番身近で手軽な国際協力と

なり得るだろう。そのようなことを踏まえ、欧米諸国に比べフェアトレードの認知度の低い今後の国内フェ

アトレードの展望には、混乱しているフェアトレードの在り方をきちんと模索し、自分がどのような概念に共

感して、どんな商品を消費していくのか、考えなければならない時代がやってきたのである。 筆者は日本におけるフェアトレードの普及とその展望について焦点をあて、第一章で一般的なフェアト

レードの仕組みや概念について、第二章で国際協力活動としてのフェアトレードについて、第三・四章で

は、日本に普及するべきフェアトレードの在り方を、現在普及しているフェアトレードについて分析しなが

ら、模索していく。

第一章 フェアトレードについて

フェアトレードとは南と北のフェアな貿易のことである。しかしその基準や定義は、フェアトレードを掲げ

る団体や NGO、企業などによってさまざまである。第一章では世界でどのようにして「フェアレード」という

概念が生まれたのか、国際団体の定める一般的なフェアトレードの特徴についてフェアトレード商品の認

証ラベル機関である FLO(Fairtrade International/国際フェアトレードラベル機構)とフェアトレードを扱

う団体に認証を行う、IFAT(International Federation for Alternative Trade/国際オルタナティブ・ト

レード組織連盟)の 2 種類の世界的組織のフェアトレードの考え方を中心に下記に記していく。 第一節 フェアトレードとは何か

1.フェアトレードの定義 フェアトレードとは日本語に直訳すると「公正な貿易」となる。フェアトレードが消費者に浸透してきたとい

うことは、「不公正な貿易」(アンフェアトレード)の体制が、グローバル化が進み自由貿易が拡大してきた

現在の世界市場の中で明るみに出てきたということである。今日の貿易体制では、“一次産品の生産者は

主に途上国の人々であり、消費するのは我々先進国の人々”という構造ができており、両者は圧倒的な資

本の格差や不公正な労働条件・取引価格で結ばれているため、アンフェアな市場が構成されている。池

上によると、途上国の生産者に対して、公正な価格を支払い、なおかつそのような取引を通じて経済的に

も社会的にも、生産者が自立できるようにするための取り組みがフェアトレードである[池上 2004:8]。 また、フェアトレード商品にラベル認証をする組織FLO(フェアトレードラベル機構)、フェアトレード活動

を行っている団体が参加する組織IFAT(国際オルタナティブ・トレード組織連盟)、全部で 6000 店近い数

の小売店 「第 3 世界ショップ」を擁するNEWS!(ヨーロッパ・ワールド・ショップ・ネットワーク)1、輸入団体

が加盟して合わせて一億ユーロを超える売り上げを持つEFTA(ヨーロッパフェアトレード協会)2といった、

4 つの国際的フェアトレード組織があり、それら 4 団体の各種連携をはかっている、1998 年に設立された

1 NEWS!: ヨーロッパ 13 か国、15 のワールドショップ組織が参加する包括的なネットワーク。このネット

ワークの元に、3000 店舗のワールドショップが参加しており、スタッフやボランティアに関わる人々は、公

正な条件の下で取り引きされた製品を販売し、貿易の公正性を訴えている。 2 EFTA: ヨーロッパ 9 カ国の 11 団体から構成されている。11 の団体はすべて主要なフェアトレード輸入

業者。協会の目的は構成メンバーであるここのフェアトレード団体を業務の面から支援し、さらに彼らがお

互いに協力・協働できるように環境づくりをしている[ウィルズ:2008]。

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国際的フェアトレード・ネットワークFINEがある。FINEはFLO、IFAT、NEWS! の4つの頭文字をとった

国際機関で、2004 年にブリュッセルにアドボカシー活動を行うオフィスを設立し、各機関の協力体制を促

進することやアドボカシー活動をヨーロッパ全体に広げるべく活動している。 EFTA はフェアトレードの定義を以下のように定めている。

「フェアトレードは対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目指

す貿易パートナーシップである。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者に対し、より良い貿易

条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより、フェアトレードは持続可能な発展に貢献する。フェ

アトレード団体は(消費者に支持されることによって)、生産者の支援、啓発活動、および従来の国際

貿易のルールと慣行を変える運動に積極的に取り組む事を約束する[FLO HP 2013,11.23]。 また、ディビット・ランサムは著書『フェア・トレードとは何か』の「はじめに」の部分でフェアトレードとは新

しい考え方ではなく、グローバリゼーションの過程と並行して展開してきたものであると述べている。以下

はランサムによるフェアトレードに共通する原則をまとめたものである。

ディビット・ランサムによるフェアトレードに共通する原則 ・民主的な組織 ・承認された労働組合 ・児童労働の否定 ・まともな労働条件 ・環境の持続的維持 ・生産コストを保証する価格 ・状況改善のための社会的割増金(ソーシャル・プレミアム) ・長期にわたる関係

[ランサム 2004:35‐36]

このようなことを、定義・原則として 1970 年代以降、多くの援助団体およびその関連団体は、手工芸品

をはじめとするフェアトレード事業に共同で取り組み、欧米諸国ではさまざまな広がりをみせている。自分

たちの消費するものが“フェアトレード”であるという意義が、先進国民のなかで問われてはじめてきたので

ある。 2.フェアトレードの基準

しかし現在フェアトレードは世界規模で発展しているが、定義や基準については、「何をフェアとする

か」という価値判断的な問題が背景にあるため、未だに議論の的となっている。また、その呼称についても

「オルタナティブ・トレード」や「草の根貿易」などの別の呼称もあり、フェアトレードである基準や公正な価

格についての指標も支援する団体や企業ごとにさまざまである。ここでは、フェアトレードの認証組織であ

る、FLO と IFAT について紹介することとする。 フェアトレード商品に対してラベル認証を行っているフェアトレードラベル認証組織FLOは、国際フェア

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トレード認証ラベル3のライセンス業務、およびフェアトレードの普及啓発活動を行う非営利組織である

[FLO HP 2013,11.23]。FLOはFairtrade Labelling Organization Internationalだが、現在は

Fairtrade International と呼ばれており、21 か国で行われるフェアトレード認証の取り組みを包括的

に運営している。 また、FLO は 2 つの組織から構成されている。1 つは、FLO e.V. というさまざまな関係者が関与する

組織(マルチステークホルダ)で、フェアトレードラベルの基準設定・見直し、生産者への支援を任務とし

ている。もう 1 つは FLO Cert と呼ばれる国際認証機関で、FLO e.V が設定した基準が遵守されてい

るかの調査・モニタリングを任務している[ウィルズ 2008:21]。FLO が定める国際的な基準は以下の通り

である。

FLO によって制定される国際フェアトレード基準 ① 生産者へのフェアトレード価格を保証する ② 生産者の社会的な発展を保証する ③ 生産者の経済的な発展を保証する ④ 生産者の労働環境と労働条件を保証する ⑤ 生産地の環境保全を保証する

[フェアトレード・ラベル・ジャパン HP 2013,11.23]

次に、国際組織の定めるフェアトレードの定義をもつことで有名な団体に、フェアトレード団体に対して

認証を行っている IFAT がある。IFAT はフェアトレード団体の国際的なネットワークで、現在、約 70 か国、

300 団体が所属している。1989 年の 5 月にアフリカ、オーストラリア、アジア、ヨーロッパ、日本、アメリカ、

北アメリカ、南アメリカのオルタナティブ団体により設立され、共同してフォーラムを開き、情報の公開を行

い、共通課題の解決とフェアトレードを促進していく北のフェアトレード組織と、南の生産者の橋渡しを

行っている。 また、生産者、輸出業者、輸入業者、小売業者がメンバーになっており、メンバーは「貿易によって、社

会的に追いやられた人々の生活を改善することができる。しかもそれは地球環境を犠牲にせずに到達す

ることができる」との考えを共有している[ウィルズ 2008:19]。IFAT のフェアトレード基準は以下の通り。

IFAT のフェアトレード基準 ① 経済的に立場の弱い生産者に仕事の機会を提供する ② 生産者や消費者に対し事業の透明性を保つ ③ 継続的なパートナーシップを築き、生産者の資質の向上を目指す ④ フェアトレードの目標と活動について広報や啓発を行う ⑤ 生産者に仕事の公正な対価を払う ⑥ 性別にかかわりなく平等な機会を提供する

3国際フェアトレード認証ラベル:国際フェアトレード認証ラベルは、その原料が生産されてから、輸出入、

加工、製造工程を経て「フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの全過程で、国際フェアトレード

ラベル機構(FLO)が定めた国際フェアトレード基準が守られている事を証明するラベルである。

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⑦ 安全で健康的な労働条件を守る ⑧ 子供の権利を守る ⑨ 環境に配慮し、持続的に生産できる原料や適性技術を用いる

[フェアトレード・カンパニー株式会社 HP 2012,12.3]

このように、フェアトレードに関する定義はいくつかあるが、共通して生産者の生活改善、貧困削減、環

境保全、また継続的な自立支援へのアプローチを盛り込んでいる。ただし、IFAT のみ「⑧子供の権利を

守る」、という基準が設けられており、貿易搾取の被害者である子供に焦点をあてることは、なくてはならな

い基準であると筆者は考える。 日本でフェアトレードを根付かせるためには、一般企業の参入が効果的である。そのため一般企業が

参入しやすいようなフェアトレード環境を構築するために、フェアトレードであることを示す FLO や IFAT の発行するフェアトレード認証ラベルを与えることで、消費者により信憑性のあるフェアトレードの基準を

満たした商品を提供することができる(一般企業でラベル認証している企業をあげる)。消費者が“フェアト

レード商品だと判断できるモノ”にアクセスしやすい環境を作り、フェアトレードの社会的認知度を上げるこ

とによって、途上国において、過酷な労働や生活環境にいる人々に貢献しようという意識を日本人にもた

らすという効果が期待される。以下は FLO と IFAT のそれぞれの団体が発行する認証ラベルである。

FLO 認証ラベル IFAT 認証ラベル

ラベル認証にはフェアトレードのマーケットを拡大させるためのさまざまな利点がある。一般のスーパー

や小売店、レストラン、喫茶店などがフェアトレード商品を扱うことによりマーケットが拡大し、より多くの生

産者がフェアトレードに参加することができる。また、認定者リストにはいることにより、生産者は世界中に

取引先ができ、一つの取引先に依存しない安定した経営をすることができるなどの利点がある。消費者側

にとってもラベルの保証により、安心してフェアトレード商品を購入することができ、身近な店でフェアト

レード商品にアクセスしやすくなるというメリットがある。2013 年には、これまで認証ラベルのなかった衣料

品も含めて直接商品に付けられるフェアトレード新認証制度(SFTMS)も試験的に始まった。日本のフェ

アトレード団体でIFATに加盟しているのは、フェアトレード・カンパニー(ピープル・ツリー /グローバル・

ヴィレッジ)、ネパリ・バザーロ4、ぐらするーつ5の 3 団体であり、FLOに関しては、日本のカウンターパート

7

4 ネパリ・バザーロ:ネパールのハンディクラフト、食品の輸入企画、開発を行い、継続的に輸入を続ける

ことによって、厳しい生活を余議なくされている人々の就業の場の拡大を目指し、ベルギーレルネーヨのト

レード部門として活動している[ネパリ・バザーロ HP 2013, 10.31]。 5 ぐらするーつ:1995 年に「草の根貿易ネットワーク」を前身として、草の根貿易・フェアトレードを行う国

際団体で主要な約 10 団体が集まり、ネットワークとアンテナショップを設立し、活動する有限会社[日本の

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がフェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)である。 しかし FLO や IFAT におけるそうした取り組みに関しては、フェアトレードラベルを認証する際に、認可

料を払わねばならないことから、本来価格の高いフェアトレード商品の値段がさらに割増されてしまうとい

う問題を抱えている。小規模で活動する団体の多い日本ではかなりの負担となってしまうため、フェアト

レードラベルを利用しない団体も多く存在する。また、FLO と他の団体との方向性の隔たりや、非営利組

織が努力して開拓したフェアトレード市場に、イメージ戦略を狙う企業を優先してラベル導入することで、

企業による市場進出が促進され一層非営利のフェアトレード団体の活動を困難にさせている。 ランサムは、著書『フェア・トレードとは何か』のなかで、フェアトレードとは形骸化したりブランド化するも

のではなく、「製品」ではなく「生産者」とフェアトレードの道のりをともにすることが重要であり、当事者の声

を聞き、自立支援を水平な関係性のもとで築いていけるかどうかが、フェアトレードにかかわるものに問わ

れていると述べている。つまり、フェアトレード団体が行うフェアトレード活動は、生産者に対するより丁寧

な支援がなされることから、フェアトレードの在り方や、価値に訴えることができるのである。フェアトレード

は単なる貿易ではなく、NGO や多くのフェアトレード団体が市民と一体となって進化していく消費者運動

でもある。企業のフェアトレードに対する取り組みは生産者の立場になり支援するかたちでのフェアトレー

ドではなく、イメージ戦略や利益の追求になってしまいがちであることから、拡大する NGO やフェアトレー

ド団体が企業のイメージ戦略のような営利主義に隠されてしまってはならないのである。そのような点から、

フェアトレード団体へのラベル認証の問題は今後の課題である。 3.フェアトレード商品

フェアトレードといえば、バナナやチョコレート、カカオをイメージする日本人が多いが、フェアトレード商

品は約 3000 品目ともいわれ、大きく分けて食品、クラフト類、衣料品、その他に分かれる。

フェアトレード商品(表 1) 食品 コーヒー、紅茶、ココア、カレー、スパイス、バナナ、オリーブオイ

ル、砂糖、蜂蜜、チョコレート、ビスケット・クッキー、ドライフルー

ツ、ジャム、ナッツ、ワイン、ハーブ クラフト バッグ、バスケット、小物入れ、縫いぐるみ、人形、ジュエリー、ア

クセサリー類(ネックレス、イヤリング等)、スプーン、フォーク、

箸、風呂敷、インセンス(お香)、日傘、サンダル、ルームシュー

ズ、カップ、たけ籠、敷物、タオル、カード類、民芸品類、等 衣料品 アパレル品(ジャケット、ドレス、ブラウス、スカート、パンツ、セー

ター、カーディガン等)、キャミソール、マフラー、スカーフ、T

シャツ、手袋、ハット、ベルト、服飾用小物類、等 その他 運動ボール、切手、キャンドル・ローソク、石鹸、洗剤、等

[出所:国際協力のレッスン Lesson 11 フェアトレード商品 長坂:206]

フェアトレード商品を販売する組織には、大きく分け二つのパターンがある。NPO・NGO のように、フェ

アトレード団体自身が現地のパートナー団体と直接取引しているパターンと、企業のように FLO が認証し

鈴木隆二 2008,211]。

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た生産者から輸入することでフェアトレード商品として販売するパターンである。 また、フェアトレード商品を販売する小売店については、フェアトレード商品の専門販売ショップがあり、

欧米では「ワールドショップ」と呼ばれている。フェアトレード団体から仕入れて販売する小売店である。

フェアトレード専門ショップもあれば、数品目のみ扱う健康食品店やクラフト店などもある。フェアトレード団

体直営店もある。次いで、スーパーマーケットなど小売販売網をもつ企業がフェアトレード商品を扱うケー

スで、これら企業の取り扱いはFLOの認証商品が中心となっている。そのほかにコーヒー専門店やカフェ

レストランなどが、フェアトレードコーヒーを扱ったり、ケータリング会社が取り扱ったり、企業が社内販売し

ようとして取り扱うケース、さらに、政府・行政など公的機関が、組織内使用やショップで取り扱うケースな

ど広がっている[長坂 2008:206-207]。以下はフェアトレードの欧米での普及プロセスを 2006 年までまと

めたものである。

1980 年代:フェアトレード商品はフェアトレード専門店のみの販売に限られていた。 1990 年代:認証団体であるフェアトレード財団が設立され、スーパーでも売られるようになった。 1997 年代:フェアトレードコーヒーを自治体や公共施設やレストランで提供するよう、キャンペーンが始ま

り、多くの政治家の指示のもとに、議員食堂のコーヒーなどがフェアトレード商品に切り替えら

れた 。コーヒーから始まり、紅茶、砂糖、チョコレート、ココア、ビスケット、バナナへと、その範

囲は拡大されていった。 1998 年:「職場でフェアトレードキャンペーン」が開始され、多くの企業で社内用のコーヒーがフェアトレー

ドコーヒーになった。 1999 年:社内の自動販売機にフェアトレード・マークのコーヒー、紅茶、ホットチョコレートを採用する企業

が増えていった。 2000 年:英生協が自社ブランそのフェアトレード・チョコレートを開発し、1000 に上る店舗で販売を開始、

さらに、フェアトレードバナナの販売を開始した。この成功によって、他の多くのスーパーもこの

動きに続いていった。また、コスタ・コーヒーなどのコーヒーチェーンがフェアトレードコーヒーをメ

ニューの中に入れるようになり、英スターバックスもメニューの中にフェアトレードコーヒーを取り

入れた。 2001 年:運輸など、多くの労働組合が、社内のコーヒーや紅茶にはフェアトレード商品を扱うよう決議して

いった。 2002 年:大手スーパーマーケットのセインズベリーが自社ブランドのフェアトレードコーヒー(豆と粉)を導

入し、それを追うようにして、生協 1000 店もコーヒー豆を売り出した。 2004 年:生協での成功を受けて、イギリス 大のスーパーのテスコが、フェアトレード・チョコレートの販売

を開始した。また、イギリスのユースホステル協会は国内のネットワークで提供するコーヒー、紅

茶をすべてフェアトレードの物に切り替えた。 2005 年:第二のスパーチェーンのアスダとソマーフィールドがフェアトレード・チョコレートの販売を開始し

た。 2006 年:マークス&スペンサーはコーヒーと紅茶はフェアトレード商品のみを扱う旨を決定した。

[長坂 2008:74-75]

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ちなみに、日本国内でフェア・トレード商品の卸しや委託販売を行っている店舗や団体は、以下の通り

である。

フェアトレード商品取り扱い店舗・団体(表・2) ・NGO ボランティア・グループ「コープクン・マーク」 フェア・トレード・ショップ「めでタイの店」 ・第 3 世界ショップ / 株式会社 プレス・オールターナティブ ・フェアトレードショップ・サマサマ ・LOOB ・ICAN ・(有)フェアトレーディング ・ピース ウィンズ・ジャパン ・アイデアイースト ・アジアン雑貨とフェアトレードのお店 セランビー

[国際協力 Developing World HP 2013,12.17]

4.フェアトレードの認知度 なぜ日本の消費者に上手くフェアトレードが伝わらないのであろうか。FTTJ の調査によると、フェアト

レードを見聞きしたことがあると回答した人は 50.3%と、半数を超えたが、見聞きしたことがあっても株式

や金融、スポーツに関わる言葉だと誤認している人が半数近くおり、「貧困」ないし「環境」と結びつけるこ

とができた人、つまりフェアトレードの意味を知っていた人の割合(=認知率)は 25.7%であった[FTTJ HP 2013,1.31]。一方フェアトレードの先進国ともいえる、イギリス、アイルランド、スイス、オランダ、オー

ストリア、フィンランドでの認知度は、2011 年 8 月の時点で、80%以上を超えている[FLO HP 2013,1.31]。

こうした日本におけるフェアトレードの調査は、日本のフェアトレード情報ネットワークを担う団体によっ

て調査されてきた。主な団体は、チョコを選べば、世界が変わる「チョコレボ実行委員会」、フェアトレード

の情報提供サイト「フェアトレード・リソース・センター(FTRC)」、フェアトレードのポータルサイト「フェアト

レードスタイル」、関西のフェアトレード情報ネットワーク「フェアトレード・さまさま/フェアトレードひょうごネッ

ト」、地球を超えたネットワークへ「フェアトレード学生ネットワーク(FTSN)」などがあり、それぞれの団体が

情報発信し現状について調査することで、日本におけるフェアトレードのさらなる普及を目指し、日本の

フェアトレードの認知度は少しずつ上がってきていると言えよう。 第二節 フェアトレードの広がり 第二節では、ヨーロッパを中心に発展したフェアトレードの経緯について明らかにしていく。

1.フェアトレードの歴史 「フェアトレード」という言葉を 初に用いたのは、FTO TWIN という団体の創設時の代表であるマイ

ケル・バラッド・ブラウンである。1985 年 2 月に、多くの途上国の企業が参加した「貿易と技術に関する会

議」が開催され、ブラウンはその会議で「私たちの世界はアンフェアに満ちており、フェアな貿易を求める

べき時がきた」と発言した。この時から、「オルタナティブ・トレード」を求める運動が本格的に始まったとさ

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れている。 ブラウンによるとアンフェアなトレードを改善する動きは 1940 年代にアメリカでオルタナティブ・トレード

(もう一つの貿易の形)組織(ATO)のチャリティ活動の中から始まったとされている。第一世界のチャリティ

団体が集まって、飢餓や戦争、天災などの被災者を救済するための資金を集めること以外に何かをしよう

というところからオルタナティブ・トレードは始まった[ブラウン 1998:291]。その後、フェアトレード運動は、

ヨーロッパを中心に 1960 年代から本格的に広まりを見せることとなる。1964 年にイギリスの Oxfam が、

第三世界の民芸品などをイギリス国内の店舗で販売したことを始めに、市民活動としての第三世界の団

体と接触することによってオルタナティブ組織とのつながりが作り上げられた。1969 年に開店したこの第 3世界ショップは、その後、「ワールドショップ」と呼ばれた。1989 年には国際フェアトレード連盟 IFAT が作

られフェアトレードへの関心はますます広がりをみせた。 フェアトレードの歴史はこのような過程で70年以上も続いてきたが、はじめはチャリティとして成立し、そ

の後 FLO 認証ラベルにより、フェアトレード商品を国際的に統一することにより、フェアトレードの市場は

急速に拡大し、今やグローバルな運動として世界に定着していっているのである。 2.欧米諸国におけるフェアトレードの現状

欧米でのフェアトレードの状況は、日本と比べるとその普及率は非常に高く近年目覚ましい発展を遂げ

ている。経済的な点においては比較的小規模なフェアトレードであるが、その支持基盤は大きく欧米諸国

での運動によって拡大してきている。現在、世界の 58 カ国以上の開発途上国で 600 万以上の生産

者・家族がフェアトレード生産の恩恵を受けている。これら生産者からフェアトレード商品を先進国(欧州)

に輸入しているフェアトレード NGO は約 200 団体である [長坂 2008:77]。 また、ウィルズによるとその恩恵は零細企業や生産組合の生産者、零細・中小企業の労働者、茶農園

やプランテーションの労働者といった直接生産に関わる人々だけではなく、彼らの家族や地域にも及ん

でいるという。現在ヨーロッパに約 3000 店舗のワールドショップ、約 5 万 5000 店舗のスーパーマーケット、

7 万 9000 店舗以上のフェアトレード直売店をもつとされている。これはヨーロッパだけでも 1000 人以上の

スタッフと 10 万人以上のボランティアがフェアトレードに関わったとされている。主としてワールドショップ

などのフェアトレード専門店はこれらボランティアに依存している。2005 年にはフェアトレードによる販売

額の合計が 100 万ユーロ(約 1400 億円)を超えており、21 世紀に入ってからは、フェアトレードの成長率

は 1 年間で 20~30%を超えている[ウィルズ 2008:15]。 欧米ではフェトレードのキャンペーンがいろいろ行われてきている。フェアトレードキャンペーンは国境

を越えて各国に波及し、例えばフランス、イギリス、アイルランド、ドイツで実地されている「フェアトレード週

間」や NWES!が実地している国際キャンペーンが挙げられる。オックスファムが 2002 年に始めた国際

キャンペーン「貿易をフェアに」では 2000 万人の著名を集めた[長坂 2008:121]。 長坂によると、英国などでフェアトレード市場が拡大したのには、政治家たちの理解も大きく貢献してい

る。英国ではブレア首相自身もフェアトレードを推奨する発言を行なっている。また、EU(欧州連合)議会

の議員たちもフェアトレードに対して強い関心をもってきている。EU 議会のロビーなどでフェアトレードの

紹介レセプションを開催し、そこで欧州委員会でフェアトレード政策を策定するための署名運動を行なう

などしている。また、フェアトレード促進キャンペーンに対して EU から補助金も供与されている[長坂

2008:81]。 また、ヨーロッパのフェアトレード事業で共通しているのが、第一にラベルを導入している国でフェアト

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レードが盛んなこと、第二に食品の構成比が高いことがあげられる。 3.政府によるフェアトレード

貿易の構造を改善し政府による取り組みが強化されれば、貿易搾取は改善されるはずである。フェアト

レードの普及しているヨーロッパの政府の対応について紹介する。 長坂によると日本でフェアトレードを普及させるためには政治家による国際問題への関心とまたそれに

基づいたフェアトレードの理解が今後重要であり、EU(ヨーロッパ連合)はフェアトレードを全面的に支持

し決議と行動をとっている。欧州においては公共機関へのフェアトレード・キャンペーンが活発化しており、

公共機関によるフェアトレードの取り組みは近年ますます広がりを見せている。以下は EU による具体的

な政策措置である。

EU によるフェアトレード対策 ① フェアトレードが持続可能な貿易対策のモデルであり、均衡ある南北問題を可能にするものであるこ

との調査研究、そしてそのインパクト(影響)に関する調査を行う。 ② フェアトレード商品の取り引きに対しては、VAT(付加価値税)を引き下げ、輸入関税を撤廃する。 ③ EU 公共機関での公共入札や購買政策にフェアトレード基準を導入・統合する。 ④ 支援プロジェクト政策として、人材育成のための技術支援や能力構築、エンパワーメント支援、女性

地位向上プログラムの支援から、マーケティング支援、第 3 世界ショップへの支援、フェアトレード団

体の活動支援、等を行う ⑤ すべての EU 関係機関は内部の職員等へのサービスには、フェアトレード商品を使用するようにす

る。 ⑥ EU の CSR 制作の仲に、多角的ステークホルダーの一つとしてフェアトレード団体を含むようにする。 ⑦ 企業が社会的関心と責任を果たす上で、フェアトレードは効果的手段であることを企業に強調してい

く。 ⑧ フェアトレード行動基準を明確にガイドラインとして明示するように検討する。 ⑨ フェアトレードのメリットについての消費者への教育プログラムを行う[長坂 2008:107‐109]

また、政府の支援策として、ODA(政府開発援助)をフェアトレードに拠出していくことが一層必要である。

多くの先進国は ODA 予算の概ね 10~20 パーセントを NGO に供与しているのに対し、日本は 2~3パーセントに過ぎない。NGO の活動は小規模ではあるが、「顏の見える」援助でありより丁寧な支援をし

ていることから、コミュニティに現実に貢献しうるプロジェクトが実行できるからである[長坂 2008:111]。 そのことを踏まえて次に第二章では、日本におけるフェアトレードの現状を NGO とフェアトレードの関

わりについて論じながら展開していきたい。

第二章 日本におけるフェアトレードの展望

日本のフェアトレード団体の特徴としてあげられるのが民芸品を加工した衣料品やアクセサリーなどの、

ファッションの分野に力を入れている団体が多いということである。第二章ではカタログやネットカタログを

持ち現地の伝統民芸品を中心に独自にフェアトレードを発展させてきた国際協力 NGO 団体や、衣料品

を中心にフェアトレード商品を扱う企業などに焦点を当てながら、日本におけるフェアトレードの展望の可

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能性を模索していく。 第一節 日本のフェアトレードの始まり

1.日本のフェアトレードの歴史 すでにフェアトレードの広がりを見せる欧米諸国と比較して日本のフェアトレードの認知度や市場は、と

もに先進国内で も低く、またその歴史も浅い。しかし欧米ほどフェアトレードが大きな動きになってはい

ないが、いくつかの団体がその中で活動を続けて実績を作ってきた。 日本のフェアトレードは「はじめに」で紹介した特定非営利活動法人「シャプラニール=市民による海外

協力の会」の活動が 初である。1972 年に HBC(Help Bangladesh Committee)という名称で開発協

力を目標に設立されたシャプラニールは現地のジュートを利用した、女性を対象にしたジュート製品生産

組合プロジェクトを始めた。その後シャプラニールから端を発し、日本に初めてフェアトレード運動がお

こったのは 1980 年代に入ってからである。また、曹洞宗僧侶たちが作った教育 NGO であるシャンティ国

際ボランティア会は、1985 年にタイの難民キャンプ支援の一環としてクラフト・エイドの活動を始め、これ

がもう一つの日本のフェアトレードの源流であるといわれる[長坂 2008:75]。 フェアトレードという言葉を使ってフェアトレード団体として初めてNGO活動を始めたのは 1986 年にプ

レスオルターナティブが開いた「第 3 世界ショップ」である。1989 年にオルター・トレード・ジャパン(ATJ)6

が設立され、生協内でフェアトレードを広げていった。 その販売部門として1995年にフェアトレード・カン

パニー株式会社が設立された。フェアトレード・カンパニー株式会社の設立したピープル・ツリー7などの

ネット販売・ショップ販売組織によって日本におけるフェアトレード市場は拡大した。一般メディアなどへの

露出が、フェアトレードという言葉や考え方を一般に普及させる上で大きな働きをした。 1992 年にはネパリ・バザーロが、1995 年にはグラスルーツが設立され、それぞれ生産者団体との関係

を大事にしながら、事業の拡大を続けていった。以下の表 3 は日本のフェアトレード活動を推進する組織、

特定非営利活動法人パルシック 8のホームページより筆者が抜粋したものである。下記の表はフェアト

レード運動が実際に始まった 1980 年代からの年表である。

日本におけるフェアトレードの推移(表 3) 1986 年 第 3 世界ショップが日本で 初にフェアトレード事業を始める。当初はヨーロッパのフェアトレー

ド商品を輸入することから。

6 オルター・トレード・ジャパン(ATJ):1989 年、生協や産直団体、市民団体により設立。バナナや砂糖、

エビ、コーヒー、オリーブオイルなど主に南の国々で生産される食べ物を交易することで、南の生産者と

北の消費者が出会い支え合う、そして「現状とは違う」、つまり「オルタナティブ」な社会のしくみをともに作

り出すことを目指している[オルター・トレード・ジャパン(ATJ)HP 2012,12.4]。 7ピープル・ツリー:英国人のサフィア・ミニー (Safia Minney)が 日本で設立したフェアトレード・ファッ

ション・ブランド。2010 年現在、インド、バングラデシュ、ネパール、ペルー、ケニアなど、 15 ヶ国の生産

者 50 団体と提携している。小規模農家や手工芸職人に継続的に仕事をつくりだし、製品がつくられる背

景の透明性を保ち農薬や化学肥料に頼らない自然農法や、生産地で採れる自然素材と伝統技術、手仕

事を活かした生産によって、持続可能な社会の実現を目指している[ピープル・ツリーHP 2012,12.

4]。 8 パルシック:1973 年に南と北の人々が台頭・平等に生きることのできるオルタナティブな(今のようでもな

い、もう一つの)社会をつくることを目指す運動団体として設立された、アジア太平洋資料センター

(Pacific Asia Resource Center 通称 PARC)から派生し、民際協力とフェアトレードを担う組織として

2008 年に独立した団体である。

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1989 年 オルタトレードジャパン設立。 1991 年 グローバルヴィレッジ、環境保護と国際協力の民間団体として結成。1995 年 1 月にフェアトレー

ドの輸入販売の事業部門を独立させ、「フェアトレードカンパニー株式会社」を設立。 1992 年 ネパリ・バザーロ(ネパリ・バザーロと市民団体ベルダレルネーヨ)活動開始。 1993 年 4月に日本 初のラベル商品が発売される。11月にトランスフェアジャパン発足。2004年2月、

法人化にともない、名称をフェアトレード・ラベル・ジャパンに。 1995 年 「ぐらするーつ」が設立される。 1997 年 10 月、ジェトロ池袋展示場にて、フェアトレードをもっと多くの方々に知ってもらうための「草の根

貿易商談会」が開催される(共催:ぐらするーつ、ミプロ) [パルシック HP 2014,1.14]

2.日本のフェアトレードの現状

日本におけるフェアトレード認知度は、25.7 パーセントと「はじめに」で述べたとおり、欧米諸国に比べ

依然として低い結果となっている。 日本でフェアトレードラベル認証の普及が始まったのは 1993 年で、海外に比べるとまだまだ市場は小

さいものの、2002 年後半ごろから、身近なコーヒーショップやスーパーなどでもフェアトレード認証製品が

販売されるようになり、2008 年まで毎年 30~50%の成長率で拡大してきた。その後、スターバックコー

ヒー、タリーズコーヒー、イオン、無印など有名企業が 2003 年から徐々にフェアトレードラベルに参加して

いる。2010 年以降には、コットン製品やチョコレート、バナナなど新しい産品カテゴリーにも商品が広がっ

たことに加え、それまでフェアトレード認証製品というと小売製品がメインだったが、業務用製品へも展開

が広がり、外食市場にも急速に広がりを見せた。 2012 年、日本国内のフェアトレード認証製品の市場規模は 72 億 8,800 万円へ拡大、前年対比

117.4%と伸長している。また、学校教育でフェアトレードが題材として取り上げられることが増え、若年層

を中心にフェアトレードの認知度や共感が確実に広がりをみせている。そして国内でフェアトレード認証

製品・原料の輸入や製造・販売に携わる企業・団体数も、2012 年 3 月末時点で 151 にまで増加している

[FLO HP 2013,12]。 しかし、日本一人当たりにすると、フェアトレード商品の消費価格は一人 17 円と、先進国内で も低い

金額となっており、日本のフェアトレード商品一人当たり売上高は首位アイルランドの 200 分の1、米国の

20 分の1となっている[フェアトレード・ショップ わかちあいプロジェクト HP 2012,12.3]。 日本はすでにフェアトレードの広がるヨーロッパ諸国、とくにイギリスと比べるとフェアトレード商品販売

数はイギリスの 600 分の 1 にも満たないのが現状である。また、日本のフェアトレードの特徴をヨーロッパと

比較すると、日本のフェアトレード事業には NPO・NGO と呼ばれる非営利法人が多いことが現状である。

NPO が事業を行う場合、国際 NGO が活動現地で小規模で取り組んでいるケースが多い。 また、政府の支援策として ODA(政府間援助)をフェアトレードに提供していくことが一層必要であると

長坂は述べている。日本は ODA 予算のうち NGO に拠出している比率が、先進国中で異常に小さい国

になっている。ほとんどの先進国は ODA の予算の概ね 10~20%を NGO に供与している。これに対し

て日本は、2~3 パーセントにすぎない。日本では、草の根技術協力事業から、2002 年に東ティモール、

2005 年にメキシコ、2007 年にスリランカの、フェアトレードコーヒーに関わる団体に対し 3 年プロジェクト

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の ODA が供与された。今後もフェアトレード・プロジェクトに対して、さらに積極的に ODA 予算を提供す

るようにしていく必要がある[長坂 2008:111-112]。 第二節 NPO・NGOのフェアトレード

フェアトレード団体の事業ジレンマ NPO・NGO などの非営利セクターのフェアトレード運動は近年活発化し、フェアトレードの認知度に大

きく貢献してきた。非営利セクターのフェアトレードにはフェアトレードの発足の仕方として以下の 3 パター

ンがあると筆者は考える。①アンフェアな貿易のもとに行われていた搾取のある貿易体制を改善するため

のアドボカシー活動として、フェアトレード運動を行うパターン、②もともと援助事業を行っていた支援先で、

新しくフェアトレード事業を始めるパターン、③フェアトレード商品を開発するためにまったく新しい援助事

業をはじめるパターン、である。実際にはこれら 3 つのパターンが複雑に混同して、時にはアンフェアな貿

易を行う企業に圧力をかけ、時にはフェアトレードをキャンペーンのような形で推進する事業が行われて

いるケースがある。ここで、非営利セクターの行うフェアレード事業には、特に②と③において大きく矛盾

を抱えてしまう可能性がある。これには三つの理由がある。 ひとつは素材、技術、値段の 3 つのクオリティバランスのとれたフェアトレード商品の開発をブランディン

グに取り入れることで、消費者がフェアトレードの付加価値に気付かずに購入してしまう、というケースがあ

る。手に取った商品がフェアトレードであるという当たり前が浸透することが、理想的なフェアトレードの形

ではあるが、フェアトレードの根本を改善するとともに、付加価値に訴える消費者運動であると考えるなら

ば、NPO・NGO の新たにつくりだしたフェアトレード商品は、フェアトレードであることの意味が消費者に

届くような販売の仕方を考慮しなければならないと筆者は考える。 二つ目は、フェアトレードを運営する際のコスト負担が必要であるということである。商品を輸入する際

に、NPO・NGO などが仲介することでフェアトレード商品そのものが高くなってしまう可能性がある。もとも

とアンフェアな貿易体制下で取引されていた商品の値段を改正することと、新しく事業の一貫で“フェアト

レード商品”として生み出された値段の割増しは、本来の「フェアトレードであることのプレミアム」とは違っ

た意味と価値を持つことになる。 そして三つ目は、「フェアトレード」と「フェアトレード運動」の相違点である。本来①の事業のように、アン

フェアな貿易・アンフェアトレードに視点をあて、貿易体制を改善することが、「フェアトレード運動」の目的

である。しかし非営利セクターが独自のフェアトレード商品を生み出すことで、新しいフェアトレード商品と

ともに、新しいフェアトレードの概念が生み出されてしまったのである。 以上 3 つのフェアトレード事業のジレンマを挙げたが、非営利セクターのフェアトレード事業は、企業の

フェアトレードよりもより丁寧な支援ができるなどのメリットがあるはずである。現地の駐在員が村人と共同

してフェアトレード商品の開発を行い、労働に見合う賃金がきちんと支払われているか管理し、支援する

日本側にきちんとした情報提供を与える役割を担っているからである。 また、特定非営利活動法人日本フェアトレード委員会9によるとフェアトレード商品に関わる団体と現地

の生産者の関係について以下のように述べている。

9特定非営利活動法人日本フェアトレード委員会:地球に暮らすすべての人々が手を取り合って、

温かいパートナーシップで協力しあう「顔の見える貿易」を目指し、誰かが損をしたり、誰かだ

けが不利益にならないようにするための「公正な貿易」を推進している。

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一般的に言われている企画開発とフェアトレードにおける企画開発とは根本的に異なる点があるという。

一般の企画開発が市場のニーズと販売側の意向のみで行われるのに対し、フェアトレードにおける企画

開発とは、フェアトレードの概念に則して行い、生産側の技術力や原材料の供給方、生産量、伝統技術

の使用など生産側の意向を も重視しなくてはならない。特に販売側の企画をそのまま押し付ける下請

け的作業にならないように気を配り、売れる物なら何でも作るというような考えを現地側が持たないように

することが重要である。 マーケット側からの要望は、現地の技術向上につながる物でなくてはならず、何

故その商品を、どうしてそのような方法で作成するのかを伝えていく必要がある。 それによりお互いの価

値観を学びあい、生産側の企画生産力の向上につなげ、そこからはじめて自立への道が開けるのである。

お互いが対等であるためには、高い信頼関係が商品の開発においても必要となる[日本フェアトレード委

員会 オンラインフェアトレードショップ オルメンティア HP 2014,1.12]。 このようなことを踏まえて、実際に非営利セクターがどのようにフェアトレード事業をおこなっているのか、

下記の 3 つの種類(伝統民芸品のフェアトレード、消費財のフェアトレード、キャンペーンとしてのフェアト

レード)に分類して記していく。 1.伝統民芸品のフェアトレード

服、靴、帽子などの衣料品や、鞄、財布、小物入れなどをはじめとする、ファッションに関する商品を扱

う NGO 団体が増えている。それぞれの団体は支援先である現地特有の、伝統の素材を用いた刺繍や、

受け継がれてきた文化を生かした商品開発を行っている。 消費者が商品を購入する際には、その商品の価格、品質、デザインを重視する。しかし伝統民芸品を

扱うフェアトレード商品は、商品の質が低くまた生産者の技術を養うための訓練にも時間がかかり、安定し

た納品ができないことがフェアトレードの課題としてあげられている。また、商品の質、価格の面において

も、日本の技術には到底及ばず、フェアトレードを広めるためには、日本の消費者にも魅力的かつ値段

が高くてもフェアトレードであることの倫理観に訴えかけられるような商品開発が必要である。そのような日

本の消費者に好まれる商品と、フェアトレードであると一目見てわかる伝統民芸品が上手にコラボレーショ

ンし、消費者の流行の波に乗ることのできる技術開発が必要である。 日本で 初にフェアトレードを始めた「シャプラニール=市民による海外協力の会」の行うフェアトレード

は、フェアトレード部門「クラフトリンク」がフェアトレード通販カタログを持ち、インターネット販売やイベント

などの際に商品販売を行っており、事務所を訪問した際に訪れたボランティアや来客者にも事務所で販

売を行っている。主に、ジュートワークス、アーロンなどをはじめとするパートナー団体と連携して、バング

ラデシュの伝統的な刺繍、ノクシカタを用いた生活雑貨やジュートの小物、服などの開発・販売を行って

いる。生産者の生活向上のために、適正な賃金の支払いのほか、医療費や教育費の補助、小規模の融

資などさまざまな活動を行っている[クラフトリンク 2012:2]。また、クラフトリンクの活動指針はフェアトレー

ドの概念を捉えるとき重要な観点にふれている。以下は、シャプラニールのクラフトリンクにおける活動指

針である。

① 雇用の創出および生産者の生活向上 経済的・社会的に厳しい状況に置かれている人々を対象とし、継続的な発注を通して安定した雇用

機会を提供すること。

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② パートナー団体との関係性 シャプラニールと同じ目的を共有する団体をパートナーとし、シャプラニールからパートナー団体に

対して、日本の市場の様子や利用者の声など商品開発や品質管理に役立つ情報の提供を行う。 ③ 共生できる社会の実現

クラフトリンクでは、手作りであること、伝統的な文化や技術、それぞれの地域にある自然素材を大切

にし、現地の豊かな文化や伝統を日本の人々へ伝えることが重要だと考えている[小松 2008:145‐

146]。 このように、シャプラニールのクラフトリンクは、現地のパートナー団体と協働し、現地を支援するだけで

なく、現地の文化に学びつつ、フェアトレード事業を行っている。 また、1994 年にフリーアナウンサーの新田恭子によって設立されたセカンドハンドは、フェアトレード

のネットショップ「SooooooS」を持つ団体である。リユースリサイクルショップである、チャリティーショップセ

カンドハンドを設立したことをきっかけに、2000 年には NPO 法人格を取得、2010 年には一般社団法人

を経て、公益社団法人となるまでに事業を大きく拡大した。セカンドハンドの事業のひとつとして始まった

自立支援であるフェアトレードは、セカンドハンドのユースチームを中心に 1996 年に足踏みミシン 35 台

を支援先であるカンボジアのバタンバン州にある、チャナ・ハンディ・クラフト・バタンバンに支援したことか

ら事業はスタートした。セカンドハンドの各店舗やバザーでは、家庭や企業からの提供品の他に、カンボ

ジアで生産されるオーガニックな現地の素材にこだわった商品を扱っている。貧しい暮らしを強いられて

いる家庭の女性が職業訓練を受け、商品の生産にあたり、日本で販売することでその売上高が直接、彼

女たちの生活を支えることにつながっている[セカンドハンド HP 2013,12.17]。

パレスチナの子どもの支援をしている、特定非営利活動法人「パレスチナ子どものキャンペーン」は、パ

レスチナ刺繍ウェブショップ「タトリーズ」での、パレスチナの伝統刺繍をモチーフにしたフェアトレード商品

を扱っている。もともとパレスチナの女性たちの民族衣装は、襟から胸、袖、裾に施された豪華な手刺しゅ

うが特徴で、その見事な刺繍は世界的にも有名である。ガザやレバノンで難民生活を強いられ民族衣装

を着ることのなかった女性たちの機会を取り戻し、現在では刺繍の小物や生活雑貨などが、日本におい

てフェアトレード商品として販売されるまでになったのである。パレスチナでは、たび重なる戦争によって、

一家の働き手である男性を失った家族が多く存在している。そのため、家にいながら、時間的にも自由に

作業が出来る刺しゅうは女性の収入源として重要な役割を果たしているのである[パレスチナ子どものキャ

ンペーン HP 2013,12.17]。 このように、現地のパートナー団体と共同でフェアトレードの販売を行う団体は、日本で消費者の購入

を促すようなデザイン、機能性、品質などを現地の生産者側に伝えることで、売れる商品の共同開発にも

取り組んでいる。現地のオーガニックな材料と、伝統的な素材ならでの商品は、フェアトレードという付加

価値がプラスされることで、より消費者に愛されるブランドとして成長していくのである。これについては、

下記に述べる消費財のフェアトレードについても同じことがいえる。 2.消費財のフェアトレード

フェアトレード商品を消費者に長く愛用してもらい、価値のある特別なものとして、買い求めてもらうこと

はとても大切である。しかし、商品を長く愛用してもらい、それが生活の一部に欠かせない消費財になるこ

とで、フェアトレード商品の普及率はさらに上がっていく。例として、40 年以上もの歴史を持つ認定 NPO

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法人シャプラニールのフェアトレード事業の新しい試みを下記に記す。She with Shaplaneer(シー ウィ

ズ シャプラニール)はバングラデシュとネパールで新しく開発された地方で受け継がれてきたアーユル

ヴェーダを用いた新しいソープブランドである。そもそも日本で日用品としてつかわれる石鹸のシェア率は

0.2 パーセントだが、She with Shaplaneer というフェアトレードブランドであるというブランドの付加価値

で、買い求める人がいるのである。 そのほかにも、パレスチナを支援するJVCの販売するパレスチナオリーブを用いたオリーブオイル、神

奈川県の認定NPO法人WE21 ジャパン10の支援するフィリピンのジンジャーティー販売なども、消費財を

用いた戦略的なフェアトレードであるといえる。 3.キャンペーンとしてのフェアトレード

キャンペーンとしてのフェアトレードと述べるのは、フェアトレードの一つの役割でもある、消費者運動の

なかにある貿易という視点から、フェアトレードは流行やキャンペーンとともに人々に認識されていくプロセ

スがあるためである。本来フェアな貿易であることが当たり前であるはずの世界の貿易システムにフェアト

レードと名付けてキャンペーンのような取り組みをすることに反対するものもいるが、人々にフェアトレード

の生まれた根本を認知してもらい、搾取される生産者がいることを知ることが消費者に求められるべきであ

ると筆者は考える。 世界の子どもを児童労働から守る NGO ACE(エース)は、児童労働に従事する子どもを守り、すべて

の子どもが希望をもって安心に暮らせる社会の実現を目指している。ACE は活動の一つとして、サッカー

ボール産業の児童労働改善の取り組みを行っている。ACE によると、世界には、働かなければならない

ために学校に行けず、けがや病気の危険にさらされている子どもが 2 億 1500 万人おり、インド・パキスタ

ンでは手縫いのサッカーボール生産に多くの子どもが関わっている(パキスタンでは約 1 万 5000 人(ILO推計)の子どもたちがサッカーボールの縫製に携わり、インドでは約 1 万人(パンジャブ州のみ:NLI 推

計)の子どもがサッカーボールや他のスポーツ用品を作っていたとされている)。 支援の発端としては、1990 年代後半に欧米のメディアがサッカーボール産業の児童労働を指摘したこ

とで、スポーツ産業は大きな打撃を受け、この問題に対し、国際機関や NGO、FIFA などのサッカー業界

が児童労働防止に取り組んできたことが始まりである。ACEは『世界中の人に夢を与えるスポーツが、 子

どもの未来を奪ってはいけない!』をキャッチフレーズに、チャリティフットサル大会の開催や、サッカーに

ゆかりのある著名人に Yahoo! チャリティーオークションに協力を募り、オークションの収益とチャリティ大

会の収益をインドやガーナの子どもたちを危険な労働から守るための活動費にしている[ACE HP 2013,12.28]。

また、ACE は設立 15 周年記念のドキュメンタリー映画として「バレンタイン一揆」という映画の上映会を

行った。ガーナのカカオ農場で起きている児童労働という苦い現実を普通の日本の女の子 3 人が目の当

たりし、フェアトレードについて考え行動する、というドキュメンタリー映画であり、フェアトレードを認知して

いなかった多くの同世代の若者にフェアトレードについて考える機会を創出した。ACE のようなチャリ

ティースポーツ大会などで若者がアクションを起こせる場や、身近なドキュメンタリー映画を製作すると

いったキャンペーン性の強い活動は、フェアトレードを認知する機会として非常に効果的であり、幅広い

10 WE21 ジャパン:リユース・リサイクルショップ「WE ショップ」を拠点に資源循環型の社会づくり、世界の

人びととの民際協力、世界的な貧困や環境問題を学ぶ場づくりを行う NPO 法人であり、37 の NPO が連

携して、神奈川県全域で活動を進めている[WE21 ジャパン HP 2014,1.17]。

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切り口でフェアトレードが認知される可能性を秘めているといえよう。 第三節 企業のフェアトレード

企業の社会的責任(CSR)としてのフェアトレード

企業が、社会問題に関心の高い消費者の心をつかみ、付加価値の高い倫理性のあるフェアトレード商

品の普及に貢献しているのは言うまでもない。企業にとっても社会的活動を視野に入れた市場・マーケ

ティングの分析が今後重要である。

企業の CSR(Corporate Social Responsibility)=企業の法的責任、経済的責任、倫理的責任、社

会貢献活動の考え方は日本においては 1970 年代にはじまり、2000 年代に CSR 専門の部署を持つ企

業も増えてくるなど、企業の社会的責任の果たす役割が社会に求められる時代がやってきた。社会責任

としてフェアトレードに関心を持ち始め、ラベル認証の導入によりフェアトレードに取り組む企業が目立っ

たことで、フェアトレードの市場は大幅に拡大してきた。 フェアトレードの国際基準を設定し、基準を順守した製品にラベルを認定することで、消費者に分かり

やすくするラベル運動は、フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)の事務局長である中島によると、「フェア

トレード認証ラベルは自然食品やフェアトレード専門ショップだけでなく、スーパーや百貨店など身近で

一般的な店にもフェアトレード製品を広めるために考え出された」と述べている[中島 2008:132]。そのよう

な点を踏まえると、企業へのフェアトレード商品の取り扱いに関する今後の試みはフェアトレード市場の展

望にとって重要なであるといえる。 現在、FLJ に登録(ライセンシー)されている組織数は 137(2012 年 7 月時点)である。そのほかにフェ

アトレード専門団体とのみ取り引きしている企業もあるものの、フェアトレードを扱っている日本企業数は

欧米に比べてまだそれほど多くはない[長坂 2008:213]。フェアトレードを行う企業の取り扱いパターンに

はおおむね次の取り扱いパターン(社内消費型、FLJ ライセンシー型、プライベートブランド型、生産者

直接取引型)があると長坂はいう。 ・社内消費型

社内の接待用、社員(従業員)用飲料、社員食堂でのフェアトレードメニューの提供、そして社内での

フェアトレード・ショップの開店(フェアトレード団体に依頼して社内でショップを開店してもらう)などである。

※大日本印刷、NTT コミュニケーションズ、沖電気など。 ・FLJ ライセンシー型 FLO の認証品を輸入・加工・卸しを行う企業であり、コーヒーが典型的なものだが、紅茶、バナナなど

食品が中心である。企業にとっての取り扱い理由は、品揃え、高品質、安心・安全である。※トーホー、小

川珈琲、ワタル、ローヤル(バナナ)などの食品が中心である。 ・プライベートブランド型

フェアトレード商品を自社ブランド品として独自生産し、自社小売店網で販売するこのパターンでは生

産者との関係を重視しており、また、フェアトレードに体系的に取り組む姿勢がある。※イオン系列(トップ

バリュー・ミニストップ)が典型例である。 ・生産者直接取引型 フェアトレード商品を生産者と直接かかわり、直接取引をするパターン。※イオン、ミニストップ、ワタル、ゼ

ンショーなど。

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[長坂 2013:213‐214 より筆者が一部抜粋し作成]

このように、フェアトレードに着目しさまざまな形で販売を行う企業の存在が目立ってきた。今後さらにさ

まざまな切り口の元、フェアトレード商品市場は拡大していくことが予想される。 第四節 若年層とフェアトレード

1.学生団体によるフェアトレード NPO・NGO 団体や企業の他に、日本におけるフェアトレードの認知を積極的に向上させてきたのは、

大学生であるといえるだろう。なかでも学生のフェアトレード団体を総括する FTFN(Fair Trade Student Network)は、フェアトレードを知りたい、広めたいと考える学生を中心としたネットワークとして活躍してい

る。2008 年 3 月には、東京・関西・中国・九州に支部を置き、参加関連団体は約 450 団体、メーリングリ

ストへの加盟者は北海道から沖縄まで 300 名に上る。FTSN はミッションとして「途上国の貧困問題や環

境問題を乗り越えるひとつの手段として、また人々がこれらの 問題の根本にある社会・経済構造そのもの

に目を向けるひとつのきっかけとして、フェアトレードを支持し、 日本におけるフェアトレードのさらなる普

及を目指す[FTSN HP 2013, 1.31]というコンセプトを掲げている。以下は、FTSN の目的は次の通りで

ある。

① フェアトレードに関わる活動を行う個人・団体の協働につながる『場』を形成し、ネットワークを構築す

る。 ② フェアトレードに関わる活動を行う個人・団体の意見およびその情報を蓄積し、社会に発信する。 ③ フェアトレードに関わる活動を行う個人・団体の活動のサポートを行う。

[FTSN 事務局 内田 2008:300-302]

FTSN はイベント・キャンペーンの開催、ファッションショーやシンポジウム、キャンペーンを通して、フェ

アトレードの普及活動を行い、情報の蓄積・共有・発信 フェアトレードに関する情報の蓄積、ML などによ

る情報の共有、メルマガなどによる情報の発信などをおこなっている。このような全国的な学生運動が地

域のフェアトレード商品を扱う国際協力 NGO や企業にコミットすることで、さらなるフェアトレードの展望の

余地があるのではないかと筆者は考える。 さらに学生であるということは、中立的な立場を維持している

ことにより、一団体の利益によらないフェアトレードの普及・啓発活動に専念できることも FTSN の特徴で

ある。 また、学生運動の中で発展していくフェアトレードは、国際教育の場で普及していく可能性が十分にあ

るということが考えられる。フェアトレードであるという認知がされることで、高くても倫理感で選ぶということ

ができ、国際協力活動としても広まる可能性がある。 2.若年層をターゲットにしたフェアトレード

フェアトレード商品を購入する世代は、年配の女性が比較的多い。しかし学生団体によるフェアトレード

広報活動が多いことから学生によるフェアトレードの認知はますます広がりをみせるように思われる。今後、

教育の場でフェアトレードを理解し、若年層がフェアトレードを認知しつつ世界の貿易に目を向け、公正

な取引の行われた商品を選ぶような教育の仕組みが必要である。 またフェアトレード商品が若者の流行に乗ることが、フェアトレード商品を手にとってもらう一番の近道に

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なる。そのために、若手デザイナーが商品をデザインし、デザインを発表する場として、フェアトレード活

動を利用するような試みを展開していきたいと筆者は考える。 若者のフェアトレードの参加を促す大きな要因の一つに、ファッション分野のフェアトレードの普及が一

役買っている。オーガニックコットンのレディースファッション、ベビー服や生活雑貨などフェアトレードを通

じて途上国支援をする通販サイトを運営するピープル・ツリーの活動を見てみよう。2001 年 3 月、ロンドン

にピープル・ツリーを設立し日本にフェアトレード商品を逆輸入する形で販売開発をはじめたサファイヤ・

ミニーによると、ピープル・ツリーでは『デザイナーコレクション』のようなファッション性の高いアイテムから

カジュアルウェア、オーガニックコットンの下着やタオル、バスケットや紙製品、さらにコーヒーやチョコレー

トまで幅広い商品を扱っており、そのどれもが毎日の暮らしで使うものに焦点を当てている[ミニー 2008:

186]。日本におけるピープル・ツリーの活動は「ファッションにフェアトレードを持ちこんだ新しい試み」とし

て、新聞や雑誌が次々と取り上げられるようになり、イギリスのハイストリートショップといわれる高級洋服店

にブランドの洋服が並ぶようにもなった。フェアトレード衣料の品質は、世界に認められフェアション分野

におけるフェアトレードは、日本が第一発信国である。 ファッション分野に特化したフェアトレード市場が多い日本では、今後若者向けの商品が販売・開発さ

れていくことによって、若い世代のフェアトレードの普及への可能性は大いに考えられる。 第五節 地方とフェアトレード

1.フェアトレードタウン 2000 年以降フェアトレードタウン・ジャパン(FTTJ)の推進するフェアトレードタウン運動が活発化してき

た。イギリスで始まったこの運動は、従来フェアトレード団体だけで行っていた活動を、まちぐるみで一体と

なって担うことで、フェアトレードの輪を広げ、幅広い人々に認知を広げる役割を果たしているだけでなく、

市民の参加・自発性も促している。イギリスの小さな町、ガースタングを第一号として広がり、現在 23 か国

1200 町以上に上っている(ロンドン・パリ・ローマなども含む)。日本では、2011 年に日本初のフェアト

レードタウン(呼び方としてはフェアトレードシティ)となった熊本以外にも、名古屋、札幌、逗子、宇都宮、

一宮などでフェアトレードタウンを目指す市民活動が展開されている。また、フェアトレードタウン認定の基

準は、FTTJ の定める以下のとおりである。 基準1:推進組織の設立と支持層の拡大

フェアトレードタウン運動が持続的に発展し、支持層が広がるよう、地域内のさまざまなセクターや

分野の人々からなる推進組織が設立されている。 基準2:運動の展開と市民の啓発

地域社会の中でフェアトレードへの関心と理解が高まるよう、さまざまなイベントやキャンペーンを

繰り広げ、フェアトレード運動が新聞・テレビ・ラジオなどのメディアに取り上げられる。 基準3:地域社会への浸透

地元の企業や団体(学校や市民組織)がフェアトレードに賛同し、組織の中でフェアトレード産品

を積極的に利用するとともに、組織内外へのフェアトレードの普及に努めている。 基準4:地域活性化への貢献

地場の生産者や店舗、産業の活性化を含め、地域の経済や社会の活力が増し、絆(きずな)が強

まるよう、地産地消やまちづくり、環境活動、障がい者支援等のコミュニティ活動と連携している。

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基準5:地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供 多様なフェアトレード産品が地元の小売店や飲食店等で提供されている。フェアトレード産品には

FLO(国際フェアトレードラベル機構)ラベル認証産品と WFTO(世界フェアトレード機関)加盟団

体の産品、それに地域の推進組織が適切と認めるフェアトレード団体の産品が含まれる。 基準6:自治体によるフェアトレードの支持と普及

地元議会がフェアトレードを支持する旨の決議を行うとともに、自治体の首長がフェアトレードを支

持する旨を公式に表明し、自治体内へのフェアトレードの普及を図っている。 [FTTJ HP 2011, 5.14]

イギリスなどの基準をアレンジして定められたこの基準は、格差が拡大する一方の日本においてもフェ

アな社会・経済を築こうという私たちの願いを反映したものであると FTTJ は公表しており、このように、ま

ちぐるみという大きな組織が一体になり認知を高め発展していくことは、フェアトレード運動にとって新たな

影響を与えている。 2.フェアトレードシティ

フェアトレードタウンの広まりが進む中、2009 年にはフェアトレードシティが「NGO フェアトレードくまも

と」の運動により、アジアで初めて熊本県熊本市で誕生した。フェアトレードシティ認定には、日本国内で

フェアトレードタウン運動を推進する FTTJ(フェアトレードタウン・ジャパン)が認定を取り行い、FTTJ で

は認定の際、以下の 6 項目の基準を掲げている。

FTTJ の定める6項目の認定基準 1. 推進組織の設立と支持層の拡大 2.運動の展開と市民の啓発 3.地域社会への浸透 4.地域活性化への貢献 5. 地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供 6.自治体によるフェアトレードの支持と普及

[FTTJ HP 2013, 12.1] また、熊本市でのフェアトレードシティの広がりは、市の NPO・NGO が中心となって実現に向けた運動

を開始することから始まり、その後運営委員会や著名運動などさまざまな活動を展開し、2010 年 12 月、

熊本市議会がフェアトレード理念周知に関する決議を全会一致で採択、続いて熊本市長がフェアトレー

ドを支持する意思表明を行ったことで、 難関である「自治体による支持・普及」の基準をクリアしたことで

運動が促進され、日本初・アジア初のフェアトレードシティ実現を果たした[FTTJ HP 2013.12]。 フェア

トレードシティであるということは、市民が一体となってフェアトレードを推進する運動であり、途上国の発

展だけではなく、市民の意識発展の場にもなりえる。フェアトレードタウン=街を超えた、より大きな枠組み

のなかに認識されたのは、フェアトレードの認知率の向上につながり、より一層フェアトレード市場の伸び

ゆく可能性を生み出している。

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第三章 多様化するフェアトレードの在り方

第一章で述べたとおり、世界には様々なフェアトレードの定義があり、フェアトレードを認証するための

認証マークがあるにもかかわらず、小さな NPO・NGO の活動の中のフェアトレードは、独自の概念で販

売を行っているケースがほとんどである。現在たくさんの考え方が日本に交錯しているフェアトレードであ

るが、その多様化するフェアトレードについて、第三章では模索していく。 第一節 日本に混在するさまざまなフェアトレード

フェアトレードの分類1 雇用創出事業

フェアトレード運動は本来アンフェアな貿易をなくすために生まれた、世界の不平等な貿易体制に訴え

る運動である。しかし、近年の NPO・NGO の丁寧な現地生産者の支援や、現地 NGO との親密なパート

ナー関係により、新たなフェアトレード商品が市場に増え、それに伴う雇用の拡大に貢献していることはあ

きらかである。フェアトレード運動を、「雇用創出事業である」、として見るとき、第一章の第二節の欧米諸

国によるフェアトレードの現状でも述べたとおり、長坂によると、現在、世界の 58 カ国以上の開発途上

国で 600 万以上の生産者・家族がフェアトレード生産の恩恵を受けており、この数値は今後も拡大して

いくことだろう。 フェアトレードに関わる生産者は、貿易搾取を受けず、適正なフェアトレード管理基準の元、安定した

収入が得られるようなサポートを受けることができる。今後、欧米諸国に続き日本のフェアトレード商品の

消費率が伸びることで、途上国の生産者の雇用が拡大し、経済が成長し、貧困をなくす、平和の道へと

つながるのである。 倫理創出事業

フェアトレード運動は、単なる貿易ではなく市民の消費者運動として広がりを見せた唯一の貿易の形で

ある。アンフェアな貿易システムの改革を消費者運動として行うことが、本来のフェアトレードである。それ

にともなう先進国側の市民の意思が倫理的に改革されていくことは、貿易体制を覆す新たな第一歩にな

る。つまり、フェアトレードの役割には、生産者の自立支援と、もう一つはフェアトレードの目標を掲げる消

費者の動きがあり、第二章:キャンペーンとしてのフェアトレードでも述べたとおり、本来のアンフェアな貿

易を改善する動きとして、アンフェアな貿易を行う企業の監視や注意などの強化が、今後の世界貿易に

重要な役割を果たすのである。 フェアトレードの分類2

図2.多様化するフェアトレード

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上記の図 2 は日本の多様化するフェアトレードについて簡単な図で表したものである。下記にその説

明を述べていく。右の矢印は上に向かうほど社会性が高くなり、下に向かうほど事業性が高くなる。 国際協力活動としてのフェアトレード

国際協力としてフェアトレードをとらえるときに、より質のよい安いものを求めてきた消費者たちが、善意

でものを買うということが運動として根付いてきたことが、第二章の「欧米諸国のフェアトレード」からみてと

れ、そうした文化が日本より先に欧米で展望してきたことがうかがえる。しかし、フェアトレードによる売上金

の大部分は、NPO を含む小売業者や中間業者のもとにとどまっていることも事実である。そうした構造は、

公正な貿易をすることで割り増しされた商品を、フェアトレード認証マークをつけることで、さらに割り増しさ

れてしまう。NPO や NGO の仲介を介さない構造を作り、国際協力とブランディングの両方を両立させる

べきである。 企業のCSRとしてのフェアトレード

企業のフェアトレードラベル認証や、その広報力・マーケティング力によってフェアトレードの市場・認知

度は拡大した。ユニクロやスターバックスが一部商品をフェアトレードとして販売し始めたことは有名である。

しかし、一部の商品がフェアトレードとうたわれているだけで、消費者のイメージアップを狙うどころか、そ

のほかの商品はフェアトレードではないのかという疑問を生み出してしまっている。 事業としてのフェアトレード

完全にフェアトレード商品の販売のみを行う団体も存在する。そのような事業を行う団体は、フェアト

レードを専門ブランドとして販売し、日本で通販サイトなどを持つ団体が多く存在する。フェアトレード・ビ

ジネスを行う団体には、THE BODY SHOP11や、ネパリ・バザーロ、「ピープル・ツリー」ブランドのフェ

24

11 THE BODY SHOP :1976 年に英国の女性アニータ・ロディックが、南海岸の町ブライトンで 25 種

類の手作り化粧品を販売するお店を開いたのが始まりです。現在では世界 63 カ国以上、2,800 以上の

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アトレードカンパニー、オルター・トレード・ジャパン、スローウォーターカフェ12などがあげられる。事業が

すべてフェアトレードの売り上げで成り立つ企業は、強い広報力をもち、商品開発やブランディングにか

けてのプロフェッショナルである。ビジネスを通して社会貢献・改革しようとする試みはフェアトレードのまだ

まだ知られていない現状とともに、広められていくべき概念である。こうしたフェアトレードを専門とする企

業も日本に今後増えていくことが予想される。 また NGO のフェアトレード部門を企業化した有限会社について、長坂は、「NGO 型のフェアトレード

団体」は、株式会社あるいは、有限会社として登録されているものがあるという[長坂 2008:87]。オルター・

トレードジャパンや「ピープル・ツリー」ブランドのフェアトレードカンパニー株式会社、ネパリ・バザーロ、ス

ローウォーターカフェは有限会社として運営されている。いずれも、NGO からスタートしたが、フェアトレー

ド・ビジネスに取り組むにあたり、会社法人の形を採用している。長坂によると、これらは究極の CSR 企業

といえる。 国際協力活動団体の事業としてのフェアトレード

国際協力活動の一端として元々の支援業務と並行してフェアトレードを始めたNPOや国際協力団体が、

事業としてフェアトレード商品の販売を運営する試みが新たに注目されている。助成金や寄付金によって

活動している NPO は、フェアトレード販売によって収益を得つつ税金を納めなければならない。よって将

来的にはフェアトレードを扱う部門だけを、株式会社化するというしくみをとることが望ましいフェアトレード

の在り方であると筆者は考える。 パッチワーク 15 周年記念・第一回エンパワメントセミナー「人生を変えた女性たち~フェアトレードの石

けん作りを通して」での講演会でのシャプラニール市民による海外協力の会の、フェアトレード部門菅原

によると、石けんプロジェクトに関わる女性の自立性が年々向上してきたと述べている。「セックスワーカー

だった彼女たちが、誇りとプライドを持って自分たちで学び研究し、商品開発をしている。支援者ではなく

事業パートナーとして接することができるようになったことは嬉しい(菅原の 2013 年 5 月 10 日 講演会よ

り)」。 フェアトレードに関わる生産者が支援される立場ではなく、平等なパートナー関係を構築すること

は、望ましいフェアトレードの形であると筆者は考える。神奈川県の認定 NPO 法人 WE 21 ジャパンは

フィリピンのベンゲットでフェアトレードのジンジャーティーを開発し日本で販売している。数年にわたる取

り組みの中で、現地のパートナー組織 IYAMAN は「WE21 ジャパンは支援者ではなく友達だと思ってい

る」と言及している。 このように国際協力団体の事業としてのフェアトレードは、現地パートナーと共同で商品開発をし、信頼

関係を構築し、同じ目標に向かって事業を進めていくプロセスのなかで、遠い国のパートナーと協力し合

うという、与えるだけの国際協力を超えた、尊重し合う関係の貿易のかたちを生み出すことができるのであ

る。 ブランディングとしてのフェアトレード

途上国の伝統民芸品をモチーフにした商品を開発し、フェアトレードであるということを前提にブランド

店舗を展開している。「バリューズ」と呼ばれる5つの価値観があり、製品開発や事業は、このバリューズの

考えに基づいている。ビジネスを通して社会変革を実現することでさまざまな固定概念に挑み、幅広いお

客さまの支持を得ている[ザ・ボディショップ HP 2014,1.17]。 12 スローウォーターカフェ有限会社(SWC):エクアドルの人々を見習い、森林農法の無農薬コーヒー、

オーガニック・カカオを使ったチョコレート、先住民族による綿織物など約 50 品目の商品をエクアドル国

内の 10 団体と共同企画、日本国内とアジアの一部地域に卸しと小売りを行う有限会社である。

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化し、販売を行う小さな企業家たちが増えている。貿易される商品がフェアトレードであるということは当た

り前のことである、よってフェアトレードということをうたわないのが彼らの特徴である。山口恵理子の設立し

たバングラデシュ産の原料を加工した衣料品を日本で販売するマザーハウスや、筆者が関わる、山下あ

やかのフィリピンの伝統音楽をモチーフにしたアクセサリーを販売するEDAYA13や、ケニアのバラを日本

で販売する萩生田愛の「アフリカの花屋さん」などがこの例である。 EDAYA を創設した山下あやかによると、「創設時には無形文化保存という NGO 的な要素も含む活動

の EDAYA を企業というかたちにするか、NGO にするか迷った、だがフェアトレードであるという言葉は用

いたくなかった」と言及している(山下の 2013 年 3 月 27 日の EDAYA JOURNEY~NGO か?企業か?フェアトレードに臨むスタンス~講演会より)。「アフリカの花屋さん」を創設した萩生田愛は、自社ブランド

について「ケニアのバラはブランドであり、貿易するうえでフェアであることは当たり前であるから、フェアト

レードといことはアピールしていない」と述べている(萩生田の 2013 年 9 月 26 日 イノベーションサロン Z第 28 回事例研究会 ケニアから薔薇 『アフリカの花屋』講演会より)。

先進国に住む人がフェアトレード商品を選ぶことで国際協力するという概念を卒業し、生産者がこだわ

りと誇りをもって商品開発を行ったものを、ブランドとして公正な価格で搾取されることなく自らの力で販売

する。それこそが真の自立であり、公平な立場で貿易をするということである。フェアトレードであることが

当たり前の世界がやってきたとき、より高い販売力が求められる。ブランディングやマーケティングに関し

て経験の浅い非営利セクターは、今後プロのマーケティングや商品宣伝についての知識を学び、市場に

発信していくために、その道のプロのボランティア(プロボノ)にパラレルキャリアとして協力・参加してもらう

ことが必要である。 第二節 フェアトレードの自立 フェアトレードの認知度に貢献しているのは、NPO・NGO などの行う国際協力活動としてのフェアトレー

ドである。彼らは、現地の伝統を生かした素材で商品を開発することにより、現地の生産者の雇用や搾取

のない労働環境を生み出し、フェアトレード商品に国際協力という付加価値をつけることでフェアトレード

を広めている。しかし、フェアトレードが自立し、一人でその貿易ルートを歩いていくためには、いずれ

NPO・NGO の手助けがなく、独自で販売ルートを開拓するための努力をしなければならないだろう。 では、フェアトレードはどのような方法で現地生産者の自立を支援するのであろうか。以下は長坂によ

る生産者の自立支援に関する取り組みをまとめたものである。

生産者の自立支援に関する取り組み 1. 適正な価格での取り引き 2. 環境対応 3. 長期的・安定的計約 4. 前払い 5. 割増金(プレミアム)の支払いと使途 6. 中間業者の排除

13 EDAYA:ものづくりを通して、失われつつある無形文化を次世代へ伝えたいと、フィリピン・北ル ソン

の山岳先住民族の無形文化や伝統楽器に着想を得た、ジュエリーや楽器を扱うブランド[EDAYA HP 2014,1.13]。

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7. 技術指導 8. 組織化(協働組合/NGO) 9. 民主的運営 10. 社会的側面(児童労働など)への対応 11. 情報提供 12. 多角化の追求 13. エンパワーメントの獲得と向上

[長坂 2008:22-33] フェアトレード運動は生産者の自立にどれだけ貢献しているか、有用であるかが問われる活動であり、

フェアトレード活動として支援する支援者の立場ではなく、いずれは自立するためのサポートの役割も問

われるのである。 日本の消費者に好まれる商品と、フェアトレードであると一目見てわかる伝統民芸品が上手にコラボ

レーションし、消費者の流行の波に乗ることのできる技術開発が必要であると、第二章で述べた。そして

将来的には、フェアトレードと公言せずとも、その商品を選びたくなるようなブランディング力が必要であり、

生産者が支援という形ではなく、プロ意識を持って商品開発していくことが大切である。その商品を開発

する過程で、開発に至る背景や苦労が、商品の付加価値となる見込みは、十分にあるのである。 また、フェアトレードが単なる商品として自立するのではなく、フェアトレードであるという背景を失わない

ことが倫理創出事業の目的として大切である。フェアトレード委員会福岡によると、フェアトレード・ショップ

のオンラインページで、「南の国々が北の国々に対して企画販売が出来る様になれば、それがいかに小

規模であろうと、南北経済のシステムにとっては大きな変化の兆しと成りえる。 それがフェアトレードの新

たな形となっていく事でしょう。」と述べている。 フェアトレードはオルタナティブ・トレードの一つに過ぎず、

購入側もフェアトレード商品をブランド的イメージで見るのではなく、その背景を理解して購入する必要も

大切である。 フェアトレードの本来の在り方

生産者が自らブランディングする能力を持つことは、搾取される雇用体系に入らず、また先進国からの

支援という支援される立場から離れ、自由に販売すること、すなわち自立するということにつながる。日本

の NPO は、今までの丁寧な支援活動に加え、企業のような広報力やブランディング力を身につけること

でその可能性を後押しする役割を担うことのできる立場にいる。そして企業はフェアトレードの概念が消費

者に普及するにつれ、既存の商品の一部ではなく徐々に公正な値段で取り引きされる商品が増えていく

だろうと筆者は考える。筆者が考えるフェアトレード普及成功の方法を、それぞれの当事者の役割と 4 つ

のステップについて下記に述べていく。 フェアトレードに関わるそれぞれの当事者とは生産者、企業、非営利組織、消費者のことである。生産

者は NGO や国際協力団体からのなんらかの支援、または企業からの雇用を受ける立場、企業とは貿易

をおこなう立場、非営利組織とは NPO・NGO などの非営利組織、消費者とは商品を選ぶ先進国の人々

のことである。そして下記にフェアトレードの概念が広がる様子を図としてまとめた。

図 3.フェアトレード普及の4ステップ

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第一のステップとして、NPO・NGO などの非営利組織が国際協力活動としてフェアトレードを進めるこ

と、そして非営利セクターの献身的な働きかけにより、消費者がフェアトレードに気付き、フェアトレード商

品を選ぶようになる。企業はやがて企業の CSR としてフェアトレードに着目し、大きな企業の広報力・販

売力により、より大きなフェアトレードが徐々に浸透するという第二のステップに移る。さらに第三ステップ

では、フェアトレードが広がりを見せるようになると、日本側の事業という枠を超え、生産者が商品開発に

積極的になり、生産者のフェアトレードがブランド化し、やがてビジネスとして独立し、自律した生産者にな

る。このような過程で非営利セクターのフェアトレードは、生産者が自立できるように後押しするために企

業のフェアトレードよりもより丁寧な支援ができることから、重要な役割を担っている。 このような活動の蓄積により企業は徐々にフェアトレードを取り入れ、アンフェアな市場体制が徐々に解

決されていくきっかけとなるのである。そのためにはやはり消費者がフェアトレードを正しく理解し、活動に

参加することが重要である。今後、学校教育や市民参加の場でフェアトレードについて考えることは、世

界の貧困を改善する第一歩になりえる。 ATO(オルタナティブ・トレード・オーガニゼーション)は生産者と消費者の関係を人間同士の関係とし

てとらえ、世界貿易の全体構造を考える機会とその必要性を提示している。つまり、上記の図のように、

フェアトレード商品を選ぶことや、フェアトレード商品として新しく開発されたものを選ぶことは直接的には、

本来のアンフェアな貿易を改善することにはつながらないが、めぐりめぐってフェアトレードが社会に浸透

し、徐々にフェアトレード商品が、生産者を搾取する企業やこれまでの貿易体制に組み込まれていくプロ

セスを生み出すことが重要である。ATO の「A=オルタナティブ」とは、日本語で「もうひとつの」という意味

をもつ。フェアトレードとはもうひとつの貿易概念を市民に広げていく活動でもある。 第四節 消費者にできること

それでは、実際に商品を買い求める消費者はどのようなことができるのであろうか。消費者にできること

はさまざまである。第一にフェアトレード商品を選ぶこと、第二に手に取ったフェアトレードについて知るこ

と、第三にフェアトレードの背景を理解したうえで、フェアトレード商品に切り替えるよう自社の納入会社や

寄りのスーパーなどに要請することである。以下は筆者の考えた、フェアトレードの消費者運動を行う際

の 3 つのステップである。このようなステップを踏むことで、正しいフェアトレードが広がり、フェアトレードが

28

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一人一人の市民のアクションで認知される可能性を秘めているのである。 図 4. フェアトレード消費者運動 3 つのステップ

1.フェアトレード商品を選ぶ

買い物のときにフェアトレード認証を受けているラベルのある承認を選ぶことや、応援する NPO・NGOのフェアトレード商品購入すること、また、フェアトレード商品は、生産者の顔が見え、熱意の伝わりやすい

商品である。贈り物などのプレゼントや、バレンタインのチョコレートにフェアトレードの物を選び、送り主だ

けではなく、送られた側もフェアトレードについて知ることができる。 2.フェアトレードについて知る・学ぶ

フェアトレード商品を選ぶだけでなく、次にフェアトレードについて理解を深めることが大切である。フェ

アトレードの講座やイベントに参加し、さまざまなフェアトレードについて知る機会をもつことは、日本に混

在するフェトレードの概念を整理し、新たに自分なりの概念をもち、商品選びをすることができるようになる。

日本ではメディアがフェアトレードについて取り上げることが少なく、フェアトレードについて知る機会は限

られて知っているものの、全国さまざまな場所でフェアトレードに関する講演会が開催されており、フェアト

レードタウン・シティの採用により知る機会は徐々に増えつつある。 3.フェアトレード商品にきりかえるように要請する。

第一章の第一節「フェアトレード商品」の項で述べたように、海外ではフェアトレードのコーヒーや紅茶を

企業のレストランで切り替えを推進し、また、スーパーなどで積極的にフェアトレードの商品が取り扱われ

ている。日本でも、スーパーなどのリクエスト用紙に、フェアトレード商品を扱うようお願いすることや、社内

で納入されるコーヒーなどをフェアトレードのものに変えるよう申請するなど、さまざまな方法がある。

おわりに~世界がフェアトレードの概念から卒業するには~

企業が途上国の生産者に対して、 低賃金を支払い莫大な雇用を生み出し、先進国向けの商品を

大量に生産している今日の貿易体制であるが、貿易が平等に行われているのか疑念を感じる機会は少

ない。欧米のマーケットや認知度にはまだまだとどかない日本のフェアトレードであるが、その消費者によ

る取り組みや多様な組織のネットワークは急速に拡大・成長している。フェアトレードに関わる生産者・貿

易業者、小売業者はグローバルな規模で組織化されてきている。やはり現地の生産者の生活を支援しつ

つフェアトレードであるということを認知したうえで、搾取のない労働環境で作られた商品を選ぶことが大

切である。 また、企業がフェアトレード商品をブランドとして日本人向けに開発することは、生産国の固有の伝統文

化を破壊することに繋がるのではないかと感じる。将来的には途上国の生産者が自立するために、伝統

民芸品を生産者側自らが先進国の人向けに独自の開発をし、世界に認められる商品を作ることが本当の

自由貿易となるはずである。 しかし日本はまだまだフェアトレードから卒業するどころか、その概念が正しく浸透されていないことが事

実である。フェアトレードの考え方が広まり、それについて考察する人が増えることで少しずつ社会の仕組

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みは変わってくはずだ。日本の消費者が国際協力として生産者に関わるためには、何かを食べるときや

身につけるときに、生産者のことを思い浮かべるように、自分の暮らしが世界中の人々と「公正な貿易」を

通じて繋がっていることを自覚しなければならない。そうすることで、世界で も立場の弱い人々に収入を

もたらし、持続可能な環境を守ることに繋がっていくのではないかと筆者は考える。このような活動がヨー

ロッパのようにもっと多くの消費者に広まっていくことで日本におけるフェアトレードはますます展望してい

くであろう。 参考資料 〈書籍〉 ウィルズ、キャロル(2008) 『これでわかるフェアトレードハンドブック 世界を幸せにする仕組み』 第一章

合同出版 池上甲一(2004) 『拡大するフェアトレードは農産物貿易を変えるか』 昭和堂 11 内田陽子(2008) 『日本のフェアトレード 世界を変える希望の貿易 第Ⅱ:300-302』 明石書店 小松豊明(2008) 『日本のフェアトレード 世界を変える希望の貿易 第Ⅱ:145‐146』 明石書店 サファイア、ミニー(2008) 『おしゃれなエコが世界を救う―女社長のフェアトレード奮闘記―』 日経BP社 鈴木隆二(2008) 『日本のフェアトレード 世界を変える希望の貿易 第二部:200』 長坂寿久(2008) 『日本のフェアトレード 世界を変える希望の貿易』 明石書店 ブラウン、マイケル(1998) 『フェア・トレード 公正なる貿易を求めて』 新評論 牧田東一(2013.3) 『国際協力のレッスン 地球市民の国際協力入門 長坂寿久 Lesson11 フェアト

レード:200-216』学陽書房 ランサム、ディビット(2004) 『フェア・トレードとは何か』 青士社 渡辺達也(2008) 『フェアトレード学‐私たちが創る新経済秩序』 新評論 〈HP〉 IFAT:The International Fair trade Association(2012, 11.28) http:// www.ifat.net WE21 ジャパン (2013,12.26) www.we21japan.org ACE(エース) (2013,12.28) www.acejapan.org EDAYA JOURNEY (2013, 12.20)http://edaya-journey.com/ FLO:Fair trade Labeling Organization International(2012, 11.28) http://www.fairtrade.net FTTJ 一般社団法人フェアトレードタウン・ジャパン(2013, 12.13) http://www.fairtrade-town-japan.com/ EFTA:European Fair Trade Association(2012,12.4) http://www.eftafairtrade.org/ FTSN:Fair Trade Students Network (2013,12.26) www.ftsnjapan.com Oxfam Japan(2012,12.4)http://oxfam.jp/ オルター・トレード・ジャパン(ATJ) (2012,12.4)http://altertrade.jp/ クラフトリンク(2013,10.26)http://www.rakuten.ne.jp/gold/craftlink/ 国際協力 Developing World (2013, 12.13)www.dwml.net ザ・ボディショップ (2013,12.26) www.the-body-shop.co.jp/shop/ She With Shaplaneer (2013, 10.26)

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JFS ジャパンフォーサステナビリティ(2013, 12.13) http://www.japanfs.org/ja/ http://ameblo.jp/she-with-shaplaneer/ シャプラニール=市民による海外協力の会(2013, 10.26) http://www.shaplaneer.org スターバックス フェアトレード認証コーヒー (2013,12.22) www.starbucks.co.jp/csr/ethicalsourcing/certified_coffee.html セカンドハンド (2013, 12.17) http://2nd-hand.main.jp/ NEWS! : Network of eiropean Workshops (2013,10.31) http://www.oneworld.at/start.asp?b=917 ネパリ・バザーロ(2012,12.4)http://www.yk.rim.or/~ngo/ パルシック (2013,12.22) www.parcic.org ピープルツリーhttp://www.peopletree.co.jp/index.html(2013,12.20) フェアトレード委員会 (2013, 12.13) www.fairtrade-japan.org フェアトレード・カンパニー株式会社 ピープル・ツリー(2013,1.31) フェアトレードショップ わかちあいプロジェクト (2012,12.4)http://www.wakachiai.com/shop/fairtrade.html フェアトレード・ラベル・ジャパン(2012, 10.16)http://www.fairtrade-jp.org/index.html/ マザーハウス(2013,12.20)www.mother-house.jp 〈論文〉 長坂寿久(2006) 『欧州のフェアトレード市場と日本』2008,77‐81 〈講演会〉 ・イノベーションサロン Z 第 28 回事例研究会 ケニアから薔薇 『アフリカの花屋』 (2013,9.26) 萩生田

愛 ・EDAYA JOURNEY~NGO か?企業か?フェアトレードに臨むスタンス~ (2013,3.27) 山下あやか ・パッチワーク 15 周年記念・第一回エンパワメントセミナー「人生を変えた女性たち~フェアトレードの石

けん作りを通して」 (2013,5.10) シャプラニール市民による海外協力の会 菅原伸忠