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日本における化学物質管理政策の状況
2018年6月23日第12回日中韓化学物質管理政策対話
新田 晃
環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課化学物質審査室 室長
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<目次>
① 化学物質審査規制法(化審法)の概要
② 新規化学物質の審査・既存化学物質等のリスク評価
③ 化審法の改正 審査特例制度における排出係数 特定新規化学物質の判定基準
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① 化学物質審査規制法(化審法)の概要
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人の健康への影響
急性毒性
長期毒性
労働環境 消費者環境経由
生活環境(動植物を含む)への影響
廃棄物処理法等
排出 廃棄
労働安全衛生法
農薬取締法
家庭用品規制法
医薬品医療機器法
建築基準法(
シックハウス等)
食品衛生法
曝露
有害性
家庭用品品質表示法
農薬取締法
毒 劇 法
水質汚濁防止法
大気汚染防止法
オゾン層破壊性
○我が国における化学物質規制では、暴露経路やライフサイクルの段階に応じて様々な法律により管理が行われている。
○化審法は、環境を経由した人への長期毒性や生活環境・生態系への影響への評価を対象としている。
危機管理
化学兵器禁止法
使用製造
オゾン層保護法
農薬取締法
温室効果
フロン排出抑制法
水銀汚染防止法
化学物質審査規制法
(化審法)
化学物質排出把握管理促進法
(化管法)
我が国の化学物質規制における化審法の位置づけ
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特例制度
新規化学物質
製造・輸入可
特定一般化学物質(未施行)※公示前は特定新規化学物質
・製造・輸入の許可制(事実上禁止)・政令指定製品の輸入禁止・政令指定用途以外での使用の禁止
・物質及び政令指定製品(物質使用製品)の取扱基準適合・表示義務・回収等措置命令
人又は生活環境動植物への著しい長期毒性あり
通常新規審査制度
<要件1>・難分解性・高蓄積性・人または高次捕食動物への長期毒性あり
第一種特定化学物質(31物質)
・製造・輸入実績数量、用途等の届出
・取扱事業者に対する①情報伝達の努力義務、②取り扱いの方法に係る国による指導・助言、③取り扱い状況の国による報告徴収
一般化学物質(約28,000物質)※公示前は新規化学物質
・製造・輸入実績数量、用途等の届出
NO
低蓄積性
優先評価化学物質(201物質)
・製造・輸入実績数量、詳細用途等の届出
・取扱事業者に対する①情報伝達の努力義務、②取り扱いの方法に係る国による指導・助言、③取り扱い状況の国による報告徴収
<要件2>・難分解性・人への長期毒性の疑いand/or動植物への毒性あり
<要件3>・要件1、2のいずれにも該当しない
YESYES
NO
事業者が①分解性、②蓄積性、③人、生態毒性のデータを提出
国による審査
製造輸入数量1t/年以下(個社)
中間物・閉鎖系用途・輸出専用品
低懸念高分子化合物製造輸入数量10t/年以下(個社)
事業者が①分解性、②蓄積性のデータを提出
国による審査
国による事前確認
毒性と環境排出量を合わせた観点からリスクが高い
環境排出量10t/年以下(全国)
環境排出量1t/年以下(全国)
国による事前確認
国による事前確認
国による事前確認
※製造輸入量から環境排出量に改正
※製造輸入量から環境排出量に改正
※新たに定義
※物質数は平成29年10月時点
化審法の新規化学物質の事前審査制度の概要
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優先評価化学物質(208物質)
第二種特定化学物質(23物質)
・製造・輸入(予定および実績)数量、用途等の届出・必要に応じて予定数量の変更命令・物質及び政令指定製品の取扱技術指針の公表・政令指定製品の表示義務
有害性情報、取扱状況の報告要求
有害性調査指示
相当広範な地域で人又は生活環境動植物へのリスクあり
リスク評価結果を踏まえ必要な場合
一般化学物質等(約28,000物質)(既存化学物質/新規審査済み化学物質/特定一般(新規)化学物質等)
事業者による製造・輸入数量(1トン/年以上)用途等の届出
国によるスクリーニング評価
毒性と環境排出量を合わせた観点からリスクが高い
国によるリスク評価
監視化学物質(38物質)
人又は高次捕食動物への長期毒性あり
取扱状況の報告要求
有害性調査指示
・製造・輸入実績数量、詳細用途等の届出・取扱事業者に対する情報伝達の努力義務
必要な場合
必要な場合
・製造・輸入の許可制(事実上禁止)・政令指定製品の輸入禁止・政令指定用途以外での使用の禁止・物質及び政令指定製品(物質使用製品)の取扱基準適合・表示義務・回収等措置命令
第一種特定化学物質(33物質)
リスク評価結果を踏まえ必要な場合
難分解・高蓄積性ありで、人又は高次捕食動物への長期毒性が不明な場合
※物質数は平成30年5月時点
一般化学物質等のスクリーニング評価・リスク評価
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② 新規化学物質の審査・既存化学物質等のリスク評価
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新規化学物質の審査における試験項目
10t以上
分解度試験 ○
濃縮度試験 ○1)
哺乳類28日間反復投与毒性試験 ○1)
細菌復帰突然変異試験 ○1)
哺乳類培養細胞染色体異常試験 ○1)
藻類成長阻害試験 ○1)
ミジンコ急性遊泳阻害試験 ○1)
魚類急性毒性試験 ○1)
1) 良分解性物質については分解度試験以外の試験結果は不要。
○ 通常新規化学物質の審査において事業者より提出される試験
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平成29年度の審査状況について
事業者より提出された分解性・蓄積性・人毒性・生態毒性をもとに、薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、化学物質審議会審査部会、中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会において審議される。
日時 審議件数
平成29年 4月21日 22
5月26日 21
6月23日 26
7月28日 29
9月22日 38
10月27日 31
11月24日 23
12月22日 20
平成30年 1月19日 30
3月23日 44
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審議件数判定件数
第1号 第2号 第3号 第4号 第5号 第6号
284件 0件 10件 6件 34件 167件 0件
通常新規化学物質の審議及び判定件数(平成29年度実績)
① 第2条第2項各号のいずれかに該当するもの(第一種特定化学物質)・・・第1号② 分解度試験で難分解性であり、濃縮度試験又はPow測定試験で高濃縮性でな
いと判断された場合・・・第2号~第5号第2号:人健康毒性 有、生態毒性 無第3号:人健康毒性 無、生態毒性 有第4号:人健康毒性 有、生態毒性 有第5号:人健康毒性 無、生態毒性 無
③ 分解度試験で良分解性と判断された場合・・・第5号④ 第1号から第4号までに該当するか明らかでないもの・・・第6号
低生産量新規化学物質(全国10トン/年以下)の審議及び判定件数(平成29年度実績)
※高分子フロースキームに基づく通常新規物質や、分解度試験のみを実施した通常新規物質も含む。
審議件数 判定件数
121件 121件
※高分子フロースキームに基づく低生産量新規物質も含む。
新規化学物質の判定(法第4条)
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○ 新規化学物質の届出を行い、通常の事前審査を受けると、製造・輸入が可能になる【通常新規】
○ 通常の届出によらず、事前の申出・確認により製造・輸入できる場合がある。(特例制度、届出免除制度)。 【低生産量新規、少量新規、低懸念高分子、中間物等】
○ 我が国の化学産業が少量多品種の形態に移行をする中、化学物質による環境汚染の防止を前提に、少量多品種産業にも配慮した合理的な制度設計としている。それぞれの手続により、国に提出する有害性等の情報は異なる。
手続きの種類 条項 手続届出時に提出すべき有害性デー
タその他提出資料
数量上限
数量調整
受付頻度平成28年度実績件数
通常新規法第3条第1項
届出→判定
分解性・蓄積性・人健康・生態影響
用途・予定数量等 なし なし 10回/年度 284件
少量新規法第3条
第1項第5号申出→確認
- 用途・予定数量等全国
1t以下あり 4回/年度 35,781件
低生産量新規法第5条第1項
届出→判定申出→確認
分解性・蓄積性
(人健康・生態影響の有害性データもあれば届出時に
提出)
用途・予定数量等全国10t以
下あり
届出:10回/年度申出:随時
(継続は1回/年度)1,773件
低懸念高分子化合物
法第3条第1項第6号
申出→確認
-分子量・物理化学的安定性試験データ等
なし なし 随時 45件
中間物等法第3条
第1項第4号申出→確認
-
取扱方法・施設設備状況を示す図面等
なし なし 随時 132件
少量中間物等
(簡素化)1社
1t以下なし 随時 189件
新規化学物質の事前審査及び事前確認
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化審法のスクリーニング評価・リスク評価
リスク評価(一次)
リスク評価(二次)
第二種特定化学物質
優先評価化学物質の指定
スクリーニング評価
届出化学物質
化審法インベントリー
段階的なリスク評価
約28,000物質
約12,000物質
対象物質:約8,000物質
208物質
既存化学物質 約20,000物質審査済新規化学物質 約8,000物質
1社あたり1トン以上/年について製造輸入実績数量・簡易用途の届出
製造輸入量 全国合計10トン以上/年を対象
有害性クラス・暴露クラスをもとに優先度マトリックスを用いて判定
対象物質:59物質(評価Ⅱ実施済)
人健康影響9物質生態影響18物質
14物質取消済※包含取消8物質は
含まず
5物質取消済 製造輸入数量・詳細用途情報に加えてPRTR情報、モニタリング情報を用いて詳細評価
2物質取扱い情報の求め、追加モニタリング等により暴露情報を精査
長期毒性の有害性調査指示
0物質 有害性情報の精査
評価Ⅰ
評価Ⅲ
評価Ⅱ
0物質(旧制度で23物質)
※平成30年5月時点
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優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱの状況
○優先評価化学物質のリスク評価(一次)評価Ⅱは、平成26年度は3物質、平成27年度は7物質、平成28年度は9物質、平成29年度は7物質※1を実施し、これまでに計26物質(人健康影響9物質、生態影響18物質※2 )を実施済み。
○これまでの評価を踏まえて優先評価化学物質としての指定を取り消すこととされた物質は5物質。※1その他有害性評価に関する議論を2物質実施、※2リスク評価の進捗状況の報告を行った物質も含む
評価書審議日
物質名評価の観点
評価結果(概要)今後の対応
H29.6.25 トリクロロイソシアヌル酸 生態・評価Ⅱの判断の根拠に足る暴露評価結果が得られていない。
・今後、イソシアヌル酸の環境モニタリングによる実測データを収集することとする。
評価Ⅱを継続
H29.11.24デカン-1-オール 生態
・評価Ⅱの判断の根拠に足る暴露評価結果が得られていない。
・今後、デカン-1-オールの環境モニタリングによる実測データを収集することとする。
評価Ⅱを継続
H30.1.18
フェノブカルブ 生態・評価Ⅱの判断の根拠に足る暴露評価結果が得られていない。
・今後、フェノブカルブの環境モニタリングによる実測データを収集することとする。
評価Ⅱ継続
N,N-ジメチルホルムアミド 人健康・ PRTR情報に基づく排出量上位事業者に対してリスク評価の結果を通知し、自主的取組を促し、排出状況の改善を確認したうえで優先の取消を行う。
取組確認後取消
H30.3.23
エチレンオキシド 人健康・ 評価Ⅲに進め、有害性評価値を超過したモニタリング地点周辺で周辺にPRTR届出事業所が確認できない多数地点の状況を確認。・ 他法令に等における対応状況を確認。
評価Ⅲ
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(トリクロロイソシアヌル酸と合算し再評価)
生態・魚類の慢性毒性について検討する。・今後、イソシアヌル酸の環境モニタリングによる実測データを収集することとする。
評価Ⅱ継続
アミンオキシド 生態・不確実性に寄与する要因(物理化学的性状の設定、排出量の設定など)の分析を実施し、不確実性を効果的に適限できる項目から検討する。
評価Ⅱ継続
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③ 化審法の改正
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CO2
H2O
①分解性に関する情報自然環境中で分解され易いか
②蓄積性に関する情報生物の体内に入った場合に蓄積し
易いか
③人健康への影響人に対する毒性があるか
④生態への影響生物に対する毒性があるか
化審法の通常新規審査制度における試験項目
(1)通常新規審査制度 新規の化学物質を製造又は輸入しようとする者は、国に事前に届出をする。 国はその届け出られた新規化学物質の性状(分解性、蓄積性、人健康・生態への毒性を
有するものであるか否か)を審査し、その結果に応じた規制を行う。
(2)審査特例制度 製造・輸入数量が一定以下の新規化学物質については、特例として、上記審査の一部又は
全部が免除され、数量の確認等を経て、製造輸入できる。 同様の審査特例制度は欧米にも存在するが、我が国には独自の国内総量規制が存在する
ため国による確認数量の調整が発生することがある。
審査を要する有害性項目 個社上限 国内総量上限
少量新規制度 なし1トン 1トン
(製造・輸入量) (製造・輸入量)
低生産量新規制度分解性・蓄積性 10トン 10トン(毒性は不要) (製造・輸入量) (製造・輸入量)
新規化学物質の審査制度(現行制度)
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用途別の「排出係数」を活用し、安全性の確保を前提に、より合理的な規制体系に見直す。 具体的には、審査特例制度の国内総量規制について、製造・輸入数量から、環境排出量
(製造・輸入数量に用途別の排出係数を乗じた数量)に変更する。 平成31年1月1日施行。
用途を考慮した排出係数を活用することで、数量調整が減少し、製造・輸入数量は増加。 数量調整による不確かさが解消され、事業者の予見可能性が向上。
<期待される効果>
変更後:国内総量規制(環境排出量)
●新規化学物質A→1トン(予定数量・製造)→333kg (数量確認後・製造)
●新規化学物質A→1トン(予定数量・製造)→333kg(数量確認後・製造)
●新規化学物質A→1トン(予定数量・製造)→333kg (数量確認後・製造)
●新規化学物質A→ 1トン(予定数量・製造)→用途:電気電子材料→1トン(数量確認後・製造)
●新規化学物質A→ 1トン(予定数量・製造)→用途:電気電子材料→1トン(数量確認後・製造)
●新規化学物質A→ 1トン(予定数量・製造)→用途:電気電子材料→1トン(数量確認後・製造)
変更前:国内総量規制(製造・輸入数量)
製造・輸入数量
環境排出量
・電気電子材料の排出係数0.0012を用いると、製造量1トンで環境排出量は1.2キロになり、3社の合計排出量は3.6キロになるため、数量調整の必要はない。
審査特例制度の見直し
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特例制度に関する排出係数(案)用途番号(#)
用 途 分 類審査特例制度に係る排出係数
計製造段階~使用段階
長期使用段階
廃棄段階
101 中間物 0.004 0.004 0 0
102塗料用・ワニス用・コーティング剤用・インキ用・複写用・殺生物剤用溶剤
0.9 0.9 0 0.001
103 接着剤用・粘着剤用・シーリング材用溶剤 0.9 0.9 0 0.0007
104 金属洗浄用溶剤 0.8 0.8 0 0.001
105 クリーニング洗浄用溶剤 0.8 0.8 0 0.002
106 その他の洗浄用溶剤 0.8 0.8 0 0.002
107 工業用溶剤 0.4 0.4 0 0.006
108 エアゾール用溶剤、物理発泡剤 1 1 0 0
109 その他の溶剤 1 1 0 0
110 化学プロセス調節剤 0.02 0.008 0 0.01
111 着色剤(染料、顔料、色素、色材) 0.01 0.002 0.00004 0.01
112 水系洗浄剤1 0.07 0.06 0 0.009
113 水系洗浄剤2 1 1 0 0
114 ワックス(床用、自動車用、皮革用等) 1 1 0 0
115 塗料、コーティング剤 0.01 0.01 0 0.004
116 インキ、複写用薬剤(トナー等) 0.1 0.01 0 0.0917
特例制度に関する排出係数(案)用途番号(#)
用 途 分 類審査特例制度に係る排出係数
計製造段階~使用段階
長期使用段階
廃棄段階
117 船底塗料用防汚剤、漁網用防汚剤 0.9 0.005 0.9 0.0009
118殺生物剤1[成形品に含まれ出荷されるもの] 0.04 0.03 0.0007 0.008
119殺生物剤2[工程内使用で成形品に含まれないもの]《工業用途》
0.2 0.2 0 0.009
120殺生物剤3《家庭用・業務用の用途》
0.4 0.4 0 0.01
121 火薬類、化学発泡剤、固形燃料 0.02 0.02 0 0
122 芳香剤、消臭剤 1 1 0 0
123 接着剤、粘着剤、シーリング材 0.02 0.01 0 0.01
124 レジスト材料、写真材料、印刷版材料 0.05 0.04 0 0.01
125 合成繊維、繊維処理剤 0.2 0.1 0.09 0.03
126 紙・パルプ薬品 0.1 0.01 0 0.09
127 プラスチック、プラスチック添加剤、プラスチック加工助剤 0.03 0.009 0.003 0.01
128 合成ゴム、ゴム用添加剤、ゴム用加工助剤 0.06 0.005 0.04 0.02
129 皮革処理剤 0.02 0.01 0 0.01
130 ガラス、ほうろう、セメント 0.03 0.01 0 0.02
131 陶磁器、耐火物、ファインセラミックス 0.1 0.04 0 0.06
132 研削砥石、研磨剤、摩擦材、固体潤滑剤 0.1 0.07 0 0.07
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特例制度に関する排出係数(案)用途番号(#)
用 途 分 類
審査特例制度に係る排出係数
計製造段階~使用段階
長期使用段階
廃棄段階
133 金属製造加工用資材 0.1 0.1 0 0.02
134 表面処理剤 0.1 0.07 0 0.05
135 溶接材料、ろう接材料、溶断材料 0.03 0.01 0 0.02
136作動油、絶縁油、潤滑油剤(エンジン油、軸受油、圧縮機油、グリース等)
0.02 0.009 0 0.007
137 金属加工油、防錆油 0.03 0.02 0 0.007
138 電気・電子材料 0.01 0.006 0 0.007
139 電池材料(一次電池、二次電池) 0.03 0.005 0 0.03
140 水処理剤 0.05 0.03 0 0.02
141 乾燥剤、吸着剤 0.09 0.08 0 0.009
142 熱媒体 0.08 0.07 0 0.01
143 不凍液 0.08 0.07 0 0.007
144 建設資材、建設資材添加物 0.3 0.3 0 0.03
145散布剤、埋立処分前処理薬剤(融雪剤、土壌改良剤、消火剤等)
1 1 0 0
146 分離・精製プロセス剤 0.1 0.1 0 0.009
147 燃料、燃料添加剤 0.004 0.004 0 0
199 輸出用 0.001 0.001 0 019
○そこで、このような毒性が強い化学物質について、不用意に排出されないよう事業者に適切な取扱いを促す措置を講ずる必要がある。
○しかし、このような化学物質であっても、環境への排出量が小さければ、一定の規制措置が課される優先評価化学物質には相当せず、一般化学物質として製造・輸入数量の届出義務が課されているにすぎず、現行の化審法では十分に措置することができない。
○近年、新規化学物質の審査において、人の健康や動植物の生息等に与える毒性が強いため、環境中に排出される場合にはリスクが顕在化する可能性のあるものの、環境への排出量が非常に小さい化学物質が散見されている。
毒性が強い化学物質管理の見直しの必要性
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<イメージ図>
届出事業者
1次川下事業者
2次川下事業者
3次川下事業者
行政+
+
+
【取扱状況の報告】主務大臣は、毒性が強い化学物質の取扱事業者に対し、取扱いの状況報告を求めることができる。
性状等の情報
性状等の情報
【情報伝達努力義務】毒性が強い化学物質に該当する旨の情報伝達の努力義務
性状等の情報
毒性が強い化学物質を取り扱う事業者に注意を促すため、特定新規化学物質として通知し、事業者による情報伝達の努力義務、事業者に対する国による指導及び助言等の権限の創設を行った。※平成30年4月1日施行。
【通知】届出事業者に対する毒性が強い化学物質である旨の通知
【指導及び助言】それぞれの事業の実態に合わせて、毒性が強い化学物質の取扱いの方法について指導及び助言
※例えば、毒性が強い化学物質の取扱事業者は、報告を求められた際に対応できるよう、あらかじめ当該化学物質の出入庫状況や在庫状況に関する記録を文書で、一定期間保存しておく。
※例えば、環境汚染を防止するためにサプライチェーンに沿って、管理手法の改善策などの情報を提供するよう指導・助言する。
毒性が強い化学物質管理の見直し
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特定新規化学物質の判定基準
特定新規化学物質の制度趣旨は、毒性が強いため少量でも一旦環境中に放出されればその周辺において継続的に摂取等される場合には人の健康や生活環境動植物に係る被害を生ずるおそれがあるために、不用意に環境中に放出されないよう、事業者に適切な取扱いを促すもの。
平成30年4月13日に特定新規化学物資の判定基準について公開した。
特定新規化学物質の判定基準
下記のいずれかに該当する場合、特定新規化学物資に相当するものと判断する。• 人健康に係る毒性
①細菌を用いる復帰突然変異試験、②ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験又はマウスリンフォーマTK試験、③28日間反復投与毒性試験、90日間反復投与毒性試験又はほ乳類を用いる反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験、④生殖発生毒性試験より導出した有害性評価値のいずれかが0.0005mg/kg/day以下の場合。
①細菌を用いる復帰突然変異試験及び②ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験またはマウスリンフォーマTK試験について、片方が強い陽性であり、もう一方が陽性異常の場合。
• 生態毒性 藻類成長阻害試験、ミジンコ急性遊泳阻害試験及び魚類急性毒性試験から原則と
して算出されたPNECが3種の慢性毒性試験結果で3×10-4mg/L以下、2種の慢性毒性試験結果及び1種の急性毒性試験結果もしくは1種の慢性毒性試験結果及び2種の急性毒性試験結果で3×10-5mg/L以下の場合。