「ふるさと南丹の明日の地域と景観づくり」...- 1 - はじめに...

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南丹ふるさと資源ネットワークプラン ~亀岡市・南丹市・京丹波町の地域資源を活かした景観づくり~ 「ふるさと南丹の明日の地域と景観づくり」 平成 20 年3月

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南丹ふるさと資源ネットワークプラン

~亀岡市・南丹市・京丹波町の地域資源を活かした景観づくり~

「ふるさと南丹の明日の地域と景観づくり」

平成 20 年3月

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目 次

「ふるさと南丹の明日の地域づくり・景観づくり」

0.はじめに ------------------------------------------------------------- 1

1.京都府の景観への取組 ------------------------------------------------- 2

1-1.本計画の位置づけ ---------------------------------------------------------- 2

1-2.上位・関連計画の概要 ------------------------------------------------------ 3

2.南丹地域の現況 ------------------------------------------------------- 4

2-1.南丹地域の広域的な特徴 ---------------------------------------------------- 4

2-2.南丹地域の概況 ------------------------------------------------------------ 5

2-3・南丹地域の資源とネットワーク ---------------------------------------------- 15

2-4.南丹地域らしい景観について ------------------------------------------------ 16

2-5.南丹地域の文化的景観について ---------------------------------------------- 21

3.地域の将来像 --------------------------------------------------------- 22

3-1.目指すべき景観の姿 -------------------------------------------------------- 22

3-2.南丹地域の将来像 ---------------------------------------------------------- 24

3-3.地域づくり・景観づくりの体系 ---------------------------------------------- 25

4.地域づくり・景観づくりの方向性 --------------------------------------- 26

4-1.美しい風景を大切にするふるさとづくり -------------------------------------- 26

4-2.人の心、つながりを大切にするふるさとづくり -------------------------------- 28

4-3.地域一体で南丹地域を盛り上げるふるさとづくり ------------------------------ 32

5.まとめ --------------------------------------------------------------- 37

5-1.総括 ---------------------------------------------------------------------- 37

5-2.今後の取組について -------------------------------------------------------- 38

6.用語解説 ------------------------------------------------------------- 39

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はじめに ~景観は地域の生活や文化を映し出す鏡~

はじめに 都に近く、長く京都の歴史を支えてきた南丹地域では、丹波の国府や国分寺がおかれ、古くから

丹波国の政治・文化の中心として栄えてきました。そのため、南丹地域には今も城下町や街道沿い

のまちなみ、古くから伝わる社寺や材木、米、薪、炭など都の生活を支えた豊かな自然や田園風景

が残されています。

日本の近代化、とりわけ戦後の復興やその後の高度経済成長は、私たちに物の豊かさと便利な社

会生活をもたらしましたが、一方で身近な景観を一変させ、古くからの景観が失われつつあります。

そのような中、国においては「美しい国づくり政策大綱(国土交通省)」や「観光立国行動計画(観

光立国関係閣僚会議)」により、美しい自然を有する日本では優れた「景観」が大きな魅力であり、

景観形成についての施策が必要であることが示され、「景観緑三法」が制度措置されました。

京都府においても、平成17年12月に「京の景観形成推進プラン」を策定するとともに、平成

19年4月に「京都府景観条例」を制定し、府民や市町村への支援と啓発施策等を行い、法律と条

例を両輪とした景観行政を推進することとしました。

南丹地域においては、農林業の担い手不足による南丹地域らしい美しい里山や田園等の荒廃や、

建築物の近代化や生活スタイルの変化に伴う古くからのまちなみの変化、JR山陰本線複線化や亀

岡駅周辺地域の整備による新しい景観の創造・育成など、多くの課題を抱えています。

その一方で地域活動・住民活動によるまちづくりの気運が高まっていることから、これらの活動

と協働することにより、南丹地域の歴史や多様な個性を活かした住民主体の景観づくりを進める本

プランを策定するものです。

《景観形成への取組の意義》

地域の暮らしやなりわいが景観を守ります。

地域に息づく暮らしやなりわいそのものが景観であり、暮らしやなりわいを守る取組が

農地や山、まちなみの美しさを守ることにつながります。

地域への愛着や誇りの醸成につながります。

景観は地域の自然や歴史・文化、産業等が目に見える形で現れる人間の「顔」にあたる

部分であり、地域に住む人々が中心となって、自ら景観づくりに取り組むことは、ふるさ

と南丹への愛着や誇りの醸成につながります。

地域の魅力・個性の創出につながります。

南丹地域の特色ある自然や歴史・文化、産業等を活かした景観づくりに取り組むことは、

南丹地域固有の魅力や個性の創出につながります。

地域の活性化につながります。

自分たちの住む地域の景観を良くしていくための話し合いや地域美化活動に参加するこ

とで、地域力の再生や地域活性化につながります。

観光の活性化や交流人口の拡大につながります。

人口減少時代を迎える中で、地域の振興・活性化のためには、交流人口の拡大を図って

いくことが不可欠であり、良好な景観形成は、地域固有の資源を活かし、観光の活性化や

交流人口の拡大を生むための有効な手立てとなります。

中心市街地の活性化に寄与します。

大規模小売店舗の郊外への立地や消費活動の変化により買い物客が減少し、賑わいが失

われつつある中心市街地があります。中心市街地の景観づくりを進め魅力を高めることで、

中心市街地への回帰を促し活性化に寄与します。

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京都府の景観への取組

1-1.本計画の位置づけ 本計画と上位・関連計画との関係は以下のとおりです。

なお、景観行政にあたっては、地域特性に応じてきめこまやかな取組を進めていくことが必要で

あり、「現地・現場主義」のもと広域振興局等を単位に、関係団体からなる連絡会等を設置し、景観

に関する総合的なマネジメントを行う視点を踏まえ、地域活性化や観光振興にもつながる計画づく

りと施策を実行することとなっています。

新京都府総合計画の将来像

(平成 13 年策定)

『南丹地域づくりの提案書』5つの

実践プラン(平成 17 年策定)

①「これであんしん!危機に強く安心安全な南

丹地域」プラン

②「きらきら光る!よいとこ自慢の観光振興」

プラン

③「耕せ!農の力、育め!森の元気」プラン

④「ずっと住みたい!ふるさと発展基盤づくり」

プラン

⑤「みんなが主役!私たちの地域づくり」

プラン

南丹ふるさと資源ネットワークプラン

~地域資源を活かした景観づくり~

注)青文字は本計画にかかわりの強い事項

① いきいきと生きがいを持って暮らせる社会づくり

② 明るく健やかな健康福祉社会の確立

③ 人と自然が共生し、文化がいきづく京都府づくり

④ たくましい地域経済と安定して働ける社会の確立

⑤ 生活と産業を支える基盤の整備

「人・間中心」の京都づくり

5つのビジョン(平成 17 年策定)

①学びと育みの京都

②健やか長寿の京都

③活力の京都

④環境・文化創造の京都

⑤安心・安全の京都

京の景観形成推進プランの施策の

基本方向(平成 17 年策定)

①広域的及び特徴的景観形成の推進

②府民意識の醸成と啓発

③参加と協働による景観まちづくりの促進

④景観まちづくりの担い手支援

⑤総合的推進体制の確立

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1-2.上位・関連計画の概要 (1)新京都府総合計画(平成 13 年 1 月)

京都府における 上位の計画です。

「基本計画③ 人と自然が共生し、文化がいきづく京都府づくり」では、歴史と文化の香り高い健

全で恵み豊かな環境の保全・創造や多様な文化の出会いと新たな文化の創造、「⑤ 生活と産業を支

える基盤の整備」では、個性をいかした地域づくりと住環境の整備など景観に関する広域的な方針

が示されています。

(2)「人・間中心」の京都づくり5つのビジョン(平成 17 年3月) 新京都府総合計画の実現を着実なものにするための中期ビジョンとして、策定後の内外の情勢の

変化を踏まえ、今後取り組むべき課題や重点目標を取りまとめています。

「4 環境・文化創造の京都」では、地域固有の景観を活かしたまちづくり、伝統や文化を活かし

た景観づくりなど、京都の歴史や多様な地域個性を活かし、環境と文化の共生による新しい文化創

造に向けた地域づくりに関する重点目標が示されています。

(3)京の景観形成推進プラン(平成 17 年 12 月) 京都府における景観形成の基本となる計画であり、景観形成にあたっての基本的視点や重点施策

などが示されています。

景観形成に当たっての基本的視点は、「①先人の営みを育て将来に引き継ぐ視座」「②総合的空間

として景観を捉える視座」「③生活・生業・交流に景観を活かし維持・創造する視座」をもって取り

組むこととしています。重点施策は、農地や施設を維持・保全するための集落共同作業や、都市住

民も参加した活動を促進するための支援、自然公園区域の拡大・新規指定と適切な保護・利用施策

の推進、景観資源の発掘、景観情報の収集・蓄積・発信、景観に関する学習の支援、景観まちづく

りアドバイザー(仮称)の派遣などがあげられています。

(4)『南丹地域づくりの提案書(南丹地域振興計画)』(平成 17 年 3 月) 『南丹地域づくりの提案書(南丹地域振興計画)』は、再編・設置された南丹広域振興局がその強

化された権限や機能を活かし、また、「新京都府総合計画」策定以降に新たに発生した地域課題等も

踏まえながら、新京都府総合計画の実現に向けて、地域とともに取り組むために策定したものです。

「温こ知しんによる ほんものの豊かさを感じられる地域づくり」を南丹地域のビジョンとし、

それを達成するため5つの実践プランを定めています。特に本プランに関わりのあるプランは下記

のとおりです。

②「きらきら光る!よいとこ自慢の観光振興」プラン

多様な観光資源を活かし地域の様々な主体が協働しながら、地域資源を発掘・創造・活用するこ

とによって、広域観光の推進、新たな魅力と活力を生み出すため、広域観光の推進母体づくりや担

い手づくり、観光新商品の開発支援、情報発信などの事業を展開します。

③「耕せ!農の力、育め!森の元気」プラン

農林業の振興や森林の保全整備を環境に配慮し、都市農村交流による地域の活性化を図るため、

南丹農業の特色を活かした活力と交流、豊かな森林・環境を未来に引き継ぐ事業を展開します。

④「ずっと住みたい!ふるさと発展基盤づくり」プラン

地域の安心安全などを支える発展基盤の整備を進め、若者にとって魅力があり、高齢者にも優し

い地域をつくっていくため、道や水などの多様な連携による地域づくりや南丹らしい地域を結ぶネ

ットワークの創造、人に優しい地域づくりなどの施策を展開します。

⑤「みんなが主役!私たちの地域づくり」プラン

豊かな地域資源を活用し、住民自らの手による取組を中心に「住みやすい、住み続けたい」地域

づくりを進めるため、伝統文化等の担い手・後継者の育成支援、文化活動を盛んにする取組の推進

などの施策を展開します。

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南丹地域の現況 ~南丹地域とは~

2-1.南丹地域の広域的な特徴

南丹地域は亀岡市、南丹市、京丹波町の2市1町による地域で、京都府のほぼ中央に位置してお

り、東は京都市と滋賀県高島市に、西は福知山市、兵庫県篠山市及び大阪府豊能郡に、南は京都市、

大阪府高槻市及び茨木市に、北は綾部市及び福井県大飯郡にそれぞれ接しています。

北部地域は、東部に急峻な山間地域が連なり、いわゆる「京都の屋根」を形成しています。西部

にかけては高原地域となっており、片波川源流域や芦生原生林など緑豊かな自然環境に恵まれてい

ます。南部地域は、桂川流域に沿って平坦地が開けており、亀岡盆地をはじめとする恵まれた耕作

地が広がっています。

JR山陰本線(嵯峨野線)や京都縦貫自動車道が南北に走り、近年の整備によって京阪神など大

都市圏が一層身近になり、住宅地の開発や企業誘致が進展してきています。

また、JR山陰本線の複線化事業が 2010(平成 22)年の完成を目指して進められていますが、

今後、これに伴うJR亀岡駅舎の改築(平成 20 年4月供用開始)によって、駅の南側と北側とが

つながり、地域の活性化が期待されています。さらに、京都縦貫自動車道丹波綾部道路など、これ

からの南丹地域のまちづくりに大きな可能性をもたらす基盤の整備も進んでいます。

位置図

南丹市

京丹波町

亀岡市

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2-2.南丹地域の概況

(1)地勢・気候 南丹地域の面積は、1,144.28 km2(東西 約 46 km、南北 約 51 km)と広大で、京都府全体

面積の 24.8%を占めています。南丹地域の 82.8%は森林であり、丹波高原とそれに連なる丹波山

地の中に、亀岡盆地、園部盆地、神吉盆地、須知盆地など、数多くの小盆地や谷がつくられていま

す。南丹市の北部、南部に 600m 級の山地が見られ、丹波高原とそれに連なる丹波山地は 400m

級の山地で、河川周辺に盆地が形成されています。特に亀岡市の亀岡盆地は規模が大きくなってい

ます。

地勢的にみると、観音峠から南丹市美山町にかけては、京都府の分水嶺となっており、東部及び

南部は桂川を経て大阪湾に、北部及び西部は由良川流域で日本海に注いでいます。

植生は、北部にある芦生原生林や洞谷の自然林などの自然林が見られ、京都府自然 200 選に選ば

れた社寺林や七色の木、オニバスなどが特筆すべきものとしてあげられます。

大都市圏に近い南部では、住宅地の開発や企業・大学などの誘致が進んでいますが、身近に自然

を感じることのできるぜいたくさも兼ね備えています。また、北部では日本の原風景ともいえる美

しい農山村の景観が残されており、身近な桃源郷といえる地域です。

気候は、分水嶺を境に日本海側と太平洋側の気候が混在しており、北部地域はやや冷涼で、特に

冬季には山間部を中心に積雪の多い日本海側の気候が顕著となっています。南部地域は比較的温暖

な気候ですが、秋から冬にかけては桂川流域の平地部では濃霧が発生しやすく日照時間は短くなっ

ています。

特筆すべき植生図

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航空写真

A-A’断面図

B-B’断面図

B-B’断面 A-A’断面

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南丹地域の総人口・世帯数の推移

100,000

110,000

120,000

130,000

140,000

150,000

160,000

1950年1955年1960年1965年1970年1975年1980年1985年1990年1995年2000年2005年

総人口

(人

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

世帯数

(世帯

総人口 世帯数

(2)人口・世帯数 南丹地域の人口は、1950(昭和 25)年から 1970(昭和 45)年までは減少傾向でしたが、亀

岡市で 1968(昭和 43)年に東・西つつじヶ丘団地が完成したことから、その後は増加傾向とな

りました。しかし、2005(平成 17)年の国勢調査からは再び減少に転じています。また、南丹

市、京丹波町では人口減少が続いており、過疎化が課題となっています。世帯数は、いずれの市町

においても増加傾向となっており、1 世帯あたりの人口が減少していることから核家族化が進んで

います。

1990(平成 2)年から 2005(平成 17)年までの人口の増減率は、亀岡市 10.22%、南丹市

0.12%、京丹波町-9.64%で南丹地域では 4.94%となっており、京都府全体と比較して人口の増

加率は高くなっています。

年齢 3 区分別人口を見ると、京丹波町、南丹市を中心に高齢化が進んでいます。2005(平成1

7)年の南丹地域の高齢化率(65 歳以上の人口の割合)は 21.2%と、京都府平均の 20.0%を上

回っています。

総人口の推移

世帯数の推移

1 世帯あたり人口の推移

単位:人1950年 1955年 1960年 1965年 1970年 1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年

京都府 1,832,026 1,933,886 1,993,403 2,102,808 2,250,087 2,424,856 2,527,330 2,586,574 2,602,460 2,629,592 2,644,391 2,647,660南丹地域 116,487 115,053 111,546 106,725 106,530 115,974 127,312 133,003 140,672 149,024 150,101 147,625亀岡市 43,198 42,537 42,355 43,335 47,151 58,184 69,410 76,207 85,283 92,398 94,555 93,996南丹市 47,641 46,952 45,262 41,863 39,318 38,409 38,225 37,709 36,693 37,841 37,617 36,736京丹波町 25,648 25,564 23,929 21,527 20,061 19,381 19,677 19,087 18,696 18,785 17,929 16,893

単位:世帯1950年 1955年 1960年 1965年 1970年 1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年

京都府 412,765 425,828 472,970 540,023 634,760 739,481 828,369 860,309 902,420 966,598 1,026,724 1,079,041南丹地域 23,260 23,306 23,593 24,002 25,692 29,938 34,422 36,413 40,184 45,672 48,726 50,612亀岡市 8,576 8,670 8,757 9,493 11,118 15,089 18,998 21,017 24,277 28,198 30,625 32,455南丹市 9,573 9,493 9,708 9,546 9,600 9,805 10,154 10,160 10,556 11,759 12,364 12,433京丹波町 5,111 5,143 5,128 4,963 4,974 5,044 5,270 5,236 5,351 5,715 5,737 5,724

単位:人/世帯1950年 1955年 1960年 1965年 1970年 1975年 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年

京都府 4.44 4.54 4.21 3.89 3.54 3.28 3.05 3.01 2.88 2.72 2.58 2.45南丹地域 5.01 4.94 4.73 4.45 4.15 3.87 3.70 3.65 3.50 3.26 3.08 2.92亀岡市 5.04 4.91 4.84 4.56 4.24 3.86 3.65 3.63 3.51 3.28 3.09 2.90南丹市 4.98 4.95 4.66 4.39 4.10 3.92 3.76 3.71 3.48 3.22 3.04 2.95京丹波町 5.02 4.97 4.67 4.34 4.03 3.84 3.73 3.65 3.49 3.29 3.13 2.95

亀岡市で東・西つつじヶ

丘団地が完成

亀岡市の人口増加によって

南丹地域の人口は増加

人口減少に転じる

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資料:国勢調査

資料:国勢調査

老年人口割合の推移

27.6

31.8

20.0

12.6 14.717.4

18.5 21.2

16.013.1 16.8

14.111.8

10.2

24.621.4

18.5

21.825.5

29.2

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

1990年 1995年 2000年 2005年

京都府 南丹地域 亀岡市

南丹市 京丹波町

人口の増減率(1990年から2005年)

1.74

4.94

10.22

0.12

-9.64

-15.00

-10.00

-5.00

0.00

5.00

10.00

15.00

京都府 南丹地域 亀岡市 南丹市 京丹波町

大幅に減少

大幅に増加

いずれの地域においても高

齢化が進んでいる

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(3)交通 京都縦貫自動車道は、1988(昭和 63)年に老ノ坂亀岡道路(10.3km)と亀岡道路(5.3 km)

が、1996(平成8)年に八木園部道路(15.7 km)がそれぞれ供用開始され、京都市中心部から

京丹波町までを縦断しています。管内には9箇所インターチェンジが設置され、4車線化について

は現在、園部インターチェンジまで開通し、さらに府北中部の活性化、府域の均衡ある発展を図る

ため延伸工事(丹波 IC~綾部安国寺 IC)が進められています。

主要国道については、亀岡市から船井郡方面にかけては国道9号及び国道 27 号が、南丹市美山

町方面については国道 162 号が縦貫しています。これらの主要国道に、国道 173 号、国道 372

号、国道 423 号、国道 477 号等の国道及びその他の主要地方道が結ばれています。

JR山陰本線(嵯峨野線)は、1989(平成元)年3月に嵯峨嵐山~馬堀間の複線化、1990(平

成2)年3月に京都~園部間の電化、1996(平成8)年3月に園部~天橋立間の電化がそれぞれ

完成し、輸送力が一段と増加されています。さらに、京都~園部間の完全複線化工事が、2010(平

成 22)年の完成を目指して進められています。

交通網図

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(4)産業 1)産業別就業人口構成

京丹波町、南丹市を中心に第1次産業の割合が高く、農林業が地域の重要な産業となっています

が、全国的な傾向と同じく、南丹地域でも第1次産業の割合は年々減少傾向にあり、第3次産業の

割合が増加しています。

南丹地域の第 1 次産業就業者割合は、1960(昭和 35)年には 54.5%と約半数を占めていまし

たが、2005(平成 17)年には 8.4%に減少し 1960(昭和 35)年の1/6となっています。反

対に第3次産業就業者割合は 28.5%から 62.7%と約 2 倍に増加しています。第 2 次産業就業者

割合は、1990(平成 2)年までは増加していましたが、その後は減少しています。

資料:国勢調査

産業別就業人口構成(2005年)

2.7

8.4

4.9

12.7

18.2

25.0

28.8

29.2

27.4

29.9

72.3

62.7

65.9

59.9

51.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

京都府

南丹地域

亀岡市

南丹市

京丹波町

第1次産業 第2次産業 第3次産業

南丹地域の産業別就業人口構成の推移

54.5

38.1

18.6

10.3

7.9

8.4

17.0

26.1

33.3

35.6

32.7

28.8

28.5

35.8

48.1

54.1

59.4

62.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1960年

1970年

1980年

1990年

2000年

2005年

第1次産業 第2次産業 第3次産業

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2)農業

南丹地域の農業は、京都府の総合的な食料基地として、かつ府内林業の中心地として、社会・経

済活動の増進、地域文化の伝承、緑の環境保全といった府民生活にとって基本的で多面的な役割を

果たしています。地域食料自給率は全国平均の 1 . 5 倍に当たる 61%を確保しており、今後とも生

産振興を軸としつつ、二・三次産業化も視野に入れた地域づくりが期待されます。

しかしながら、農業就業人口の減少が続く中で、就業人口の3割超を占める 75 歳以上の従事者

の引退が迫っています。また、多くが中山間地域に立地していることから、担い手の高齢化や後継

者の減少等が進行し、生産・生活・環境面での活力の低下が心配されています。

南丹地域は、米、畜産、野菜を中心に、農業産出額が 150 億円前後で推移する府内有数の食料基

地です。特にブランド京野菜をはじめ、小豆や黒大豆の生産拡大に取り組んでおり、ブランド京野

菜は府全体の出荷額の 36%を、黒大豆や小豆は府全体の生産量の 29%を占めています(2005

年度)が、伸び悩んでいる状況にあります。

注) 1世帯複数経営は、「1」とカウントしています。

資料:農業センサス(農林水産省)

資料:農業センサス(農林水産省)

南丹地域の年齢階層別農業経営者数(2005年)

16 117

557

1,661 1,787

2,352

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

15~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上

経営体数

部門別農業粗生産額の推移(南丹地域)

53.9%

50.6%

39.5%

31.6%

30.7%

40.1%

10.4%

13.7%

16.1%

1.7%

2.2%

1.2%

3.1%

2.8%

2.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1985年

1995年

2004年

米・麦 畜産 野菜 穀類・豆類 その他

70 歳以上が 3 割を超える

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3)林業

南丹地域の林業は、森林面積が約 944 km2(管内全体の 82.8%)に及ぶ林業地域で、うち私有

林が 86.2%を占めています。林業経営体数(2005 年世界農林業センサス)は1,294 経営体(内

家族経営 960 経営体)で京都府全体の39%を占めており、経営規模は全般的に小規模です。

林産物では、マツタケや丹波くり、シイタケなど、府内を代表する産物を誇っていますが、 盛

期からは大きく減少しています。

注)2005 年農林業センサス結果をもとに作成

資料:農業センサス(農林水産省)

4)工業

南丹地域の工業は、年間製造品出荷額等が 2,533 億円(工業統計:平成 17年・従業員 4 人以

上)で、亀岡市、南丹市園部町、京丹波町(旧丹波町)を中心に昭和 50 年代後半から企業誘致に

積極的に取り組んでおり、近年では南丹市八木町に大規模工場が立地しています。

また、新たな産業拠点である「京都新光悦村」(南丹市園部町)への企業立地が進んでいます。

資料:工業統計調査

単位:経営体家族経営 家族経営以外 合計

京都府 2,605 706 3,311南丹地域 960 334 1,294山城地域 844 167 1,011中丹地域 562 146 708丹後地域 239 59 298南丹/府 36.9% 47.3% 39.1%

資料:京都府の農林業

林業経営体数(2005年)

960 844562

239

334

167

146

59

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

南丹地域 山城地域 中丹地域 丹後地域

家族経営 家族経営以外

南丹地域の事業所数・従業者数の推移

445 394 624 359 584

10,044

10,324

10,635

10,105

10,814

0

100

200

300

400

500

600

700

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年

事業所数

(事業所

9,600

9,800

10,000

10,200

10,400

10,600

10,800

11,000

従業者数

(人

事業所数 従業者数

南丹地域の製造品出荷額等の推移

22,83922,995

23,883

24,623

25,331

21,500

22,000

22,500

23,000

23,500

24,000

24,500

25,000

25,500

26,000

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年

製造品出荷額

(千万円

京都府内では林業経営体数

が も多い

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5)商業

南丹地域の卸売・小売業の年間販売額は、1,588 億円(商業統計:平成 16 年)で、うち小売業

が 1,175 億円を占めています。

管内には亀岡市内を中心に大規模小売店舗 16 店舗が立地するなど商業集積が進展している一方

で、既存商店街等では高齢化・後継者難などの課題を抱えています。

資料:商業統計調査

南丹地域の事業所数・従業者数の推移

1,6581,971 1,925 1,819 1,827 1,666

10,01410,212

9,131

9,3248,034 9,971

1,500

1,550

1,600

1,650

1,700

1,7501,800

1,850

1,900

1,950

2,000

1991年1994年1997年1999年2002年2004年

事業所数

(店

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

従業者数

(人

事業所数 従業者数

南丹地域の年間商品販売額の推移

18,695 18,561 18,99920,145

17,00915,878

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

1991年 1994年 1997年 1999年 2002年 2004年

年間商品販売額

(千万円

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(5)観光 南丹地域の観光は、四季を通じて豊かな自然環境や貴重な文化遺産、全国的に知られる保津川下

り、瑠璃渓高原(るり渓温泉)など観光資源に恵まれており、管内各市町が連携して大阪や名古屋

等の大都市圏への観光誘客に取り組んでいます。近年では「田舎の原風景」として、美山のかやぶ

きの里、山村体験ツアー等が注目されています。観光客数は 1999(平成 11)年の 270 万人から

2006(平成 18)年には 377 万人と約 1.4 倍に増加しています。

観光客は季節的には夏(8月)、晩秋(10・11 月)に集中しています。自然探勝やアウトドア、

イベント等にともなう観光が中心で、大半が京阪神近郊からの日帰り客となっています。 近の観

光ニーズは「観る観光」から、自然学習、農村体験、地域の文化・産業などを学び、参加・体験す

る観光へと変化しています。

2006(平成 18)年の南丹地域の観光消費額は年間約 78 億円です。観光客1人当たりの消費額

は 2,074 円で、京都市を除く府域の消費額(1,914 円)を上回っているものの、京都市(13,166

円)に比べると低い金額になっています。

南丹広域振興局の取組として広域観光振興事業を推進しており、ホームページ等による観光旬情

報の発信や異業種交流による観光新商品の開発支援、観光ツアーの企画・実施等を通じて、観光振

興の気運づくりを進めています。

資料:京都府観光入込客数調査報告書

月別観光客数(2005年)(月平均100とした場合)

50% 44%69%

111%127%

90% 99%

173%

102%

138% 147%

51%

0%

50%

100%

150%

200%

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

南丹地域の観光入込客数の推移

63 65 65 63 59 56 73 64

114 118 122 145 166 153 159 155

93 106 95 95 100 103163 159

0

100

200

300

400

500

1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年

観光入込客数

(万人

亀岡市 南丹市 京丹波町

(270) (289) (283) (303) (325) (312)

(395) (377)

南丹地域の観光消費額の推移

4,636 4,637 4,588 4,069 3,827 3,811 4,057 3,902

1,414 1,534 1,468 1,940 2,111 1,940 1,962 1,934

1,581 1,790 1,568 1,446 1,407 1,269 1,862 1,986

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年

消費額

(百万円

亀岡市 南丹市 京丹波町

(7,631) (7,962) (7,623) (7,455) (7,345) (7,020) (7,881) (7,821)

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2-3.南丹地域の資源とネットワーク

南丹地域には多くの社寺や田園・盆地が点在しています。また、駅周辺や河川周辺、街道沿いで

集落を形成している場所には、歴史的なまちなみがみられます。これら多くの南丹地域の資源をネ

ットワークしているのが、山陰道、篠山街道や若狭街道などの街道です。その他、近畿自然歩道が

南丹らしい景観を形成している自然景観をつないでいます。

また、河川では運上など、河川を交通・運搬の手段として使用していたことが伺える歴史的な資

源が残っています。

地域資源図

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2-4.南丹地域らしい景観について

(1)南丹地域らしい景観とは 南丹地域の共通する景観として、緑豊かな山林景観や農山村から都市へと清らかに流れる河川景

観といった自然景観があげられます。

また、盆地に抱かれた農村景観や長い歴史に育まれた城下町などのまちなみ景観、人や物が行き

交い往時の賑わいを感じさせる宿場町などの街道沿いの景観など、人の営みがつくりだした景観が

あげられます。

これらの特色ある景観の中でも、かやぶきの里に代表される農村集落や畦木のある水田など、地

域の風土に根ざして形成され、その地域の人々がどのような生活を営んできたのかを理解するため

に欠かすことのできない文化的景観も、南丹地域らしい景観と言えます。

【南丹地域の代表的な地域景観】

篠山街道

地域景観のイメージ(山林:山の景)

地域景観のイメージ(農村:里の景)

地域景観のイメージ(まちなみ:まちの景)

地域景観のイメージ(河川:水の景)

地域景観のイメージ(道路:みちの景)

文化的景観

京丹波町

亀岡市

歴史的まちなみ景観 (亀岡旧市街)

南丹市

農村景観 (かやぶきの里等)

山林景観 (芦生原生林等)

桂川 至 大阪府・兵庫県

至 京都市内

至 丹後・兵庫・山陰至 北陸地方

農村景観 (近郊部農村風景畔木・彼岸花等)

山林景観 (牛松山等) 山林景観

(るり渓等)

歴史的まちなみ景観(園部城跡等)

河川景観 (由良川・日吉ダム等)

農村景観 (黒大豆・そば等)

河川景観(桂川等)

広域ネットワークのイメージ 地域内ネットワークのイメージ

山林景観 (丹波高原等)

新しいまちなみ景観(駅前地域) 河川景観

(桂川・保津川下り等)

由良川 河川景観

(由良川・琴滝等)

山陰道

街道沿いの景観 (篠山街道)

街道沿いの景観 (山陰道,古山陰道)

歴史的まちなみ景観 (宿場町須知等)

山陰道

街道沿いの景観 (若狭街道)

若狭街道

園部・八木

日吉・美山

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課題

(2)南丹地域の景観の特徴と概要 1)山の景

南丹地域の約 8 割を占め、南丹地域の景観に

おいて特に重要な役割を担っています。南丹

地域のどこからでも見ることのできる高い

山はありませzんが、なだらかな稜線で連続

した山地の他、牛松山や長老ヶ岳のように信仰の対象とし

て地域に親しまれてきた山や、芦生の原生林など特色ある

景観を形成しています。古くから林業が盛んで、豊かな山

林景観が保持され、水源のかん養、洪水や山崩れの防止、

二酸化炭素の吸収などの森林の働きが地域住民の安心で

安全な生活を守っています。

木材価格の低下による林業離れと林業従事

者の高齢化に伴い、山林の維持・保全が困

難になってきています。

そのためには

●山林を支える人材の育成・組織化等、

維持・保全の体制づくりが必要です。

●南丹地域らしい景観を保全・創造して

いくために、自然の保全と育成が重要

です。また、自然利用を進めるための

里山整備とそれに対応した景観づくり

も必要です。

《代表的な景観の写真》

2)里の景

丹波高原とそれに連なる丹波山地の中に、亀岡盆地、園部盆地などの数多くの盆地や谷があり、城下町や村落など独自の生活・経済圏域を形成してきた歴史があります。風土に根

ざした営みが今に残る“かやぶきの里”など日本の原風景ともいえる景観や、特色ある畦木や棚田などの美しい農村景観が広がっています。

農業従事者の高齢化、農村地域の過疎化に伴

い、里山や田園の維持・保全が難しくなってき

ています。

そのためには

●農村景観を維持するため農業を支える

人材の育成や体制づくりが必要です。

●農村景観を目玉とした観光や農業を活

かした都市との交流などの取組が必要

です。

《代表的な景観の写真》

丹波高原

芦生原生林

牛松山

魅力

課題 かやぶきの里

田園風景(黒大豆)

茅干し風景

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3)まちの景

亀山城や園部城の城下町、山陰道や篠山街道

沿いの宿場町に町家や蔵などの歴史的なまち

なみが残っています。また、近年では、JR

亀岡駅舎の改築によって、駅の南側と北側と

がつながり、新しいまちなみが形成されつつあります。

生活スタイルの変化などによって旧市街地の

城下町などをはじめとする歴史的なまちなみ

が失われつつあります。

様々な色彩や巨大な看板などの広告物により、まちなみの

景観が阻害されています。また、新しく整備されつつある

まちなみと既存のまちなみとのかい離が見られます。

そのためには

●歴史的なまちなみの景観を保全するこ

とが必要です。

●広告物の規制・誘導が必要です。

●歴史的なまちなみと新しいまちなみと

が良好な調和を保つようなルールづく

りが必要です。

《代表的な景観の写真》

4)水の景

豊かな自然に育まれた清流や滝のほか、京の

暮らしを支えた水運の面影を今に伝える保津

川下りなどがあります。また、地域住民の暮

らしを支える重要な水資源であるダムの広大

な水辺は地域に潤いを与えています。散策路等が整備され

たダム湖周辺では、地域内外の人々の交流の場としても活

用されています。

洪水に備えて河川の改修などが進んでいます

が、水草の繁茂や河川敷に生い茂る雑草、不法

投棄などによる河川環境・景観の問題がありま

す。

そのためには

●多自然型川づくりなど河川本来の景観

を損なわない取組が必要です。

●河川の美化活動などによる自然環境の

維持・保全が必要です。

《代表的な景観の写真》

課題

魅力

魅力

課題

丹山酒造

亀岡城下町町家

園部城下町町家

日吉ダム

桂川(保津川) 琴滝

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5)みちの景

多くの人や物資・文化が行き交い、宿場町と

して賑わった歴史を感じることのできる古

山陰道、山陰道、篠山街道などの街道が残っ

ています。また、近畿自然歩道のような豊か

な自然資源や地域の歴史資源などを巡る散

策道も整備されています。近年では、高速道路の整備等に

よって、大都市圏からの利便性が高くなっています。

南丹地域へのアクセス道路や地域内の景観

資源を巡る道路に未整備な区間や安心・安

全に通行できない区間があります。また、

景観を無視した看板などの氾濫や不法投棄

によって沿道の景観が損なわれています。その他、景観資

源を巡るための案内板や公共交通網が不足しているほか、

街道沿いの歴史や景観を活かした地域間交流や地域活性化

の取組が求められています。

そのためには

●南丹地域へのアクセスを意識した道づ

くりや景観資源を巡るために安心・安

全に通行できる道路環境の整備が必要

です。

●景観を阻害する看板などの広告物の規

制・誘導、不法投棄への更なる取組が

必要です。

●案内板の整備や公共交通網の充実によ

り点在する地域資源を巡りやすくする

ための取組が必要です。

●地域住民と行政とが協働で歴史や地域

の特性を活かした沿道の景観づくりや

地域間交流、地域活性化を進めていく

ことが必要です。

《代表的な景観の写真》

課題

魅力

篠山街道(亀岡市)

篠山街道(亀岡市)

保津橋(亀岡市)

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2-5.南丹地域の文化的景観について

(1)文化的景観とは 文化的景観とは、地域に暮らす人々が日常生活や日々のなりわいにおいて、地域独特の気候や

土地の状態を利用して作り出されてきた景観のうち、その地域の人々がどのような生活やなりわ

いを営んできたのかということを理解するために不可欠なものを指します。

具体的には、棚田や段々畑、防風林、ため池など人の手の加わった自然の美しさや、地域の氏

神として祭られている社寺や社寺林など古くから畏敬の思いを込められた聖地としての自然、住

民の生活を守っている里山などがこれに相当します。また、城下町や宿場町などの歴史的なまち

なみ、農村集落など歴史性を持った日々の営みの場などその土地を住む人々が、自らの生活やな

りわいの在り方を自然に刻みつけることにより、長い時間をかけて作り上げた独特の風景も文化

的景観の一つと言えます。しかしながら、こうした文化的景観は、日々の生活に根ざした身近な

景観であるため、日頃その価値にはなかなか気付きにくいものです。

今まで気づかなかった身近な景観、すなわち、文化的景観とは、「わがまち」らしさを再発見す

るキーワードです。

資料:文化庁文化財保護課

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(2)南丹地域の文化的景観とは なだらかな山地に点在する盆地に暮らす人々の営みによって現在まで受け継がれてきた、歴史

的なまちなみや農山村、田園に息づく生活の風景、こうした暮らしを支えた山陰道や篠山街道な

どの諸街道、桂川や由良川などの河川などにも南丹地域の文化的景観が見られます。文化的景観

の例としては、以下のものが挙げられます。

景観 種別

南丹地域らしい文化的景観の例 代表的な景観の写真

●下草や枝打ちなど管理することによって育まれた山林

●薪炭・堆肥など生活の糧を得てきた里山

●牛松山や長老ヶ岳など信仰の対象として地域に親しま

れてきた山

●かやぶきの里に代表される田舎の原風景とも言える農

村集落

●地域に息づく郷土文化・伝統芸能・祭や神社仏閣などの

文化財

●畦木のある水田や棚田

●人々の生活の拠点であった歴史を持つ城下町や宿場町

などの集落

●材木や米、薪、炭など京の暮らしを支えた物資を運んだ

桂川などの河川

●水田や集落が広がる由良川の河岸段丘

●地域住民の水利用を支えた水路やため池

●山陰道や篠山街道、若狭街道など古くから人や物資が行

き交った街道

牛松山

廻り田池 運上(うじょう)

長老ヶ岳の眺望

畦木のある田園 猿田彦神社

かやぶきの里 茅干し風景

亀岡旧城下町 宿場町須知

保津川下り 由良川河岸段丘

篠山街道

若狭街道

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22

地域の将来像 ~南丹地域の目指すべき景観の姿とは~

3-1.目指すべき景観の姿

(1)南丹地域の目指すべき景観の姿 南丹地域に共通する景観には、緑豊かな山林景観や農山村から都市へと清らかに流れる河川の景

観といった自然景観のほか、盆地に抱かれた農村景観や長い歴史に育まれた城下町などのまちなみ

景観、人や物が行き交い往時の賑わいを感じさせる宿場町などの街道沿いの景観などの人の営みが

つくりだした景観があります。

これらの景観は、丹波高原とそれに連なる丹波山地の中に点在する亀岡盆地をはじめとする多く

の盆地や谷の中に存在し個性豊かな盆地景観を育むとともに、そこを貫くように流れる桂川、由良

川に沿って交流や文化を生みだし、魅力ある流域景観を形成してきました。

そのため、南丹地域の目指すべき景観の姿として、自然豊かな山緑に囲まれた個性ある盆地景観

とそれをつなぐ魅力ある流域景観の保全と創造をめざし、「豊かな水緑に育まれた美しき原風景の保

全と創造」と定めます。

【目指すべき景観の姿】

~自然豊かな山緑に囲まれた“個性ある盆地景観”と

それをつなぐ“魅力ある流域景観”の保全と創造をめざして~

『『『豊豊豊かかかななな水水水緑緑緑ににに育育育まままれれれたたた美美美しししききき原原原風風風景景景ののの保保保全全全ととと創創創造造造』』』

目指すべき景観の姿のイメージ図

Page 25: 「ふるさと南丹の明日の地域と景観づくり」...- 1 - はじめに ~景観は地域の生活や文化を映し出す鏡~ はじめに 都に近く、長く京都の歴史を支えてきた南丹地域では、丹波の国府や国分寺がおかれ、古くから

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(2)目指すべき景観の姿の形成に向けて 目指すべき景観の姿である「豊かな水緑に育まれた美しき原風景の保全と創造」は、地域住民の

生活や営みの上に成り立つものであり、地域景観を守り育てていくためには、住民主体の活動を進

めていくことが必要です。

南丹地域の特色ある景観を構成する「山の景」、「里の景」、「まちの景」、「水の景」、「みちの景」

において、それぞれの地域活動・住民活動が協働し、ネットワークを形成しながら、今ある景観の

維持・保全の取組や新たな景観の創造を進める景観づくりの大きなうねりを作り出してこそ、目指

すべき景観像は実現します。

また、文化的景観に代表されるように景観には、地域が長い時間をかけて形成した自然や歴史、

文化的特性が現れます。そのため、景観づくりを考えるためには、地域の自然や歴史、文化を見つ

め直すことが不可欠であり、景観づくりのためには、住民と行政が一体となった地域づくりを進め

ていくことが大切です。

【地域景観づくりのイメージ】

■るり渓、芦生原生林

■牛松山、長老ヶ岳

■薪炭林などの里山

など

山の景

■城跡、城下町のまちなみ

■街道沿いのまちなみ

■新しいまちなみ

など

まちの景

■かやぶきの里などの集落

■風土に根ざした農村・田園

■神社仏閣などの文化財

■秋から冬にかけての霧景色

など

里の景

■盆地をつなぐ由良川、

桂川などの河川や保津

川下り

■琴滝などの景勝

■大野ダム、日吉ダム

など

水の景

■山陰道や篠山街道など

の街道

■近畿自然歩道

など

みちの景

■ 美化活動による美しい景観のまちづくり、道づくり、川づくり

■ 田園や山林を活用した自然とふれあいのある景観づくり

■ 歴史的なまちなみと新しいまちなみの調和のとれた景観づくり

■ 景観条例を活用した統一感のある美しい景観づくり

など

新たな景観の創造

地域活動 行 政

保 全 創 造

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3-2.南丹地域の将来像

南丹地域は、丹波高原やそれに連なる山々に点在する盆地景観とその盆地景観を貫いて流れる桂

川(保津川)、由良川の魅力ある流域景観が広がる地域です。

これらの豊かな自然を有する地域の、美しい里山に暮らす人々との出会い、豊かな山々や清流な

どの自然、歴史と文化に彩られた美しい景観とのふれあいが、ほっと落ち着いたやさしい気持ちに

してくれます。

このような良好な景観資源を活かし、目指すべき景観の姿に沿った「ふるさと南丹」として地域

内外の人々に良好な景観を提供するために、南丹地域の将来像を『緑濃き山々と清流に歴史と文化

が息づくふるさと 南丹』とします。

【目 標】 【将来像】

~美しい風景 やさしい心で人々を元気にする~

『『『緑緑緑濃濃濃ききき山山山々々々ととと清清清流流流ににに 歴歴歴

史史史ととと文文文化化化ががが息息息づづづくくくふふふるるるさささととと

南南南丹丹丹』』』

美美美しししいいい風風風景景景ををを大大大切切切にににすすするるるふふふるるるさささとととづづづくくくりりり

人人人ののの心心心、、、つつつななながががりりりををを大大大切切切にににすすするるるふふふるるるさささとととづづづくくくりりり

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●豊かな山林、清流などの地域の根底である自然環境を保全

します

●四季折々の風景、かやぶきの里に代表される農村風景、城

下町の風景、畦木のある田園風景など南丹地域らしい文化

的景観を保全します

●景観や環境に配慮したふるさとの基盤づくりを進めます

●住民と行政との協働による景観づくりを進めます

●地域のネットワークを活かし、景観を守り育てる人々を育

てます

●地域の歴史・文化を継承する人を育てます

●おもてなしの心で人々に接するこころのふるさとづくり

を進めます

●ふるさとの地域資源を活かした観光資源の開発、観光情報

を発信します

●景観や地域資源を活かした交流人口の拡大による地域活

性化を進めます

●交流を支える基盤の整備を図ります

Page 27: 「ふるさと南丹の明日の地域と景観づくり」...- 1 - はじめに ~景観は地域の生活や文化を映し出す鏡~ はじめに 都に近く、長く京都の歴史を支えてきた南丹地域では、丹波の国府や国分寺がおかれ、古くから

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3-3.地域づくり・景観づくりの体系

南丹地域の将来像で掲げた3つの目標を達成するための地域づくり・景観づくりの方向性や住

民・行政の役割・支援、具体的な取組施策を以下のように位置づけます。

【目指すべき景観の姿】

~自然豊かな山緑に囲まれた“個性ある盆地景観”と

それをつなぐ“魅力ある流域景観”の保全と創造をめざして~

『『『豊豊豊かかかななな水水水緑緑緑ににに育育育まままれれれたたた美美美しししききき原原原風風風景景景ののの保保保全全全ととと創創創造造造』』』

<目指すべき景観像づくりに向けての基本的考え方>

「山の景」「里の景」「まちの景」「水の景」「みちの景」において、それぞれの地域活動・

住民活動が協働し、ネットワークを形成しながら、今ある景観の維持・保全の取組や新た

な景観の創造を進める景観づくりの大きなうねりを作り出してこそ、目指すべき景観像は

実現します。

景観には地域が長い時間をかけて形成した自然や歴史、文化的特性が現れることから、

景観づくりのためには、住民と行政が一体となった地域づくりを進めていくことが大切で

す。

【南丹地域の将来像と目標・取組方針】

~美しい風景 やさしい心で人々を元気にする~

『『『緑緑緑濃濃濃ききき山山山々々々ととと清清清流流流ににに歴歴歴史史史ととと文文文化化化ががが息息息づづづくくくふふふるるるさささととと 南南南丹丹丹』』』

美美美しししいいい風風風景景景ををを大大大切切切にににすすするるる

ふふふるるるさささとととづづづくくくりりり

地 域 資 源 、 景 観 の

保 全 と 創 造

ふ る さ と の 美 し い

道づくり、川づくり

人人人ののの心心心、、、つつつなななががが りりりををを大大大切切切

にににすすするるるふふふるるるさささとととづづづくくくりりり

景観を守り育てる人の

ネットワークの構築

歴史・文化等を継承・発展

さ せ る 仕 掛 け づ く り

<将来像>

<

目標>

<

取組の方針>

観光資源の発掘と開発

観光資源の情報発信

地地地 域域域 一一一 体体体 ででで 南南南 丹丹丹 地地地 域域域 ををを

盛盛盛りりり上上上げげげるるるふふふるるるさささとととづづづくくくりりり

住 民 と 行 政 と の

共 通 意 識 の 醸 成

地 域 内 外 の

ア ク セ ス の 拡 充

景 観 を 守 り 育 て る

担 い 手 の 育 成