地上からの作業を全く必要としない - ユビキタスプロバイダ...
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P&Z工法とは、西ドイツのPolensky & Zöllner社が開発
したプレストレストコンクリート橋の架設工法で、次ペー
ジ下図のように橋梁上部工上に設けた移動架設桁(以下、
送り桁という)から型枠装置を懸垂し、橋脚の両側に上部
工を順次張出し分割施工する工法です。また逆に、送り桁
を上部工の橋面下に配置して型枠装置を支持し、張出し架
設することも可能です。ヨーロッパ各地でも、1965年に
西ドイツのジークタル橋でこの工法が初めて採用されて以
来、すでに数々の施工実績をあげています。そして、我が
国でも月夜野大橋、利根川橋、子不知高架橋、月山橋、鳴
瀬川橋りょう、はまゆう大橋、吉峰高架橋、長良川橋、各
務原大橋においてP&Z工法が採用されています。この工
法は、地上からの作業を全く必要とせず、また適用支間が
40m~150mであり長大橋にも対応できることから、多
径間連続橋梁、高い橋脚をもつ橋梁、海上・河川・渓谷に
架かる橋梁、側径間部に支保工を設けることができない橋
梁などに特に威力を発揮します。
1977年、P&Z工法を導入し、さらにこの工法の普及と
技術の向上をめざして、1980年にP&Z協会を設立しま
した。
地上からの作業を全く必要としない張出し架設工法、それがP&Z工法です。
特 長Feature
適用支間が40m~150mであり長大橋にも対応できます。
プレテンション単純桁
従来の移動型支保工
従来のカンチレバー工法
PC橋の工法別適用支間*仮支柱が必要
支間(m)
押 出 し 工 法P & Z 工 法
ポストテンション単純桁
0 50 100 150 200 250
型わく装置
吊り鋼材
❶ 地上からの作業を必要としないので、河川・海上・渓谷・
市街地などで桁下の使用条件に制約がある場合や、橋脚
が高い場合に橋梁上部工を安全確実かつ経済的に施工す
ることができます。
❷ 従来の移動支保工の長所に加えて張出し分割施工するこ
とによって適用支間が40mから150mとなり、長大橋に
も対応することができます。
❸ 1ブロックの長さを10m程度にでき、橋脚両側の1対のブ
ロックを、標準11~12日 ( 稼働率を考慮 )で施工するた
め施工速度が速く、工期が短縮できます。
❹ 施工が機械化・電動化されるために省力化でき、各作業
がサイクル化されるために熟練労働者をそれほど必要とし
ません。
❺ 地上支保工を用いずに側径間部の施工をすることもでき
ます。
❻ 柱頭部を地上支保工や揚重機なしで施工できます。
❼ 変断面の橋梁にも対応できます。
❽ 緩和曲線を含む曲線橋の施工も容易です。最小曲線半径
350mの施工実績があります。
❾ 同一の装置で支間の異なる橋梁にも容易に対応でき
ます。
10 張出し架設時、柱頭部に大きなアンバランスモーメントが
生じないようにできるので、連続桁形式の場合、橋脚と上
部工間の仮固定工が小規模ですみます。またラーメン形
式の場合にも橋脚に大きなモーメントを伝えないように容
易に調整できます。
吊り枠
型枠 型枠
型枠装置
橋脚部通過時の位置
補助支柱
中間支柱
吊り枠
架 台
吊り枠
送り桁送り桁トロリーホイスト
装置断面図 型枠装置断面図
System
装置の径間移動
■装置の径間移動 ■張出し部の施工
架台(R1・R2・R3)で送
り桁を支持し、前方型枠
(SV)と後方型枠(SH)を
柱頭部へ移動します。
架台R1を柱頭部へ移動して
送り桁を支持し、補助支柱
(HP)を撤去します。
架台R2を柱頭部へ移動し、架台R1・R2・R3で送り桁を支持し、所定位置まで送り桁を前進させます。前方型枠(SV)と後方型枠(SH)を第1ブロック◇1、◇1́施工位置へ移動します。
前方型枠(SV)を移動し、
柱頭部ブロックを施工しま
す。(柱頭部をブラケット支
保工等で先行施工する場
合もあります。)
架台の盛り替えを行って、
送り桁を前進させます。そ
して次の橋脚に補助支柱
(HP)を設置します。
張出し部の施工
施工方法
第1ブロック◇1、◇1́ を施工します。
第2ブロックにプレストレスを導入後
架台R3と中間支柱で送り桁を支持
し、架台R1、R2を第3ブロック直前
に盛り替えます。
上記のステップを繰り返して、既設の上
部工と連続させます。
型枠装置を移動させ、第2ブロック◇2、
◇2́ を施工します。
第1ブロックにプレストレスを導入
後、架台R3と中間支柱で送り桁を支
持して架台R1、R2を第2ブロックの
直前に盛り替えます。
1ブロックの標準施工期間は11~12日間。P&Z工法は実にシステマティック。施工速度、安全性でも定評があります。
SH SV
R3 R2 R1
SH SV
HPR3 R2 R1
SH SV
R3 R2 R1
SH SV
R3 R2 R1
SH SV
R3 R2 R1◇1 ◇1
R1R2R3◇1 ◇1
型わく装置
吊りわく送り桁
架台
R1R2R3
仮固定中間支柱
既設上部工
R1R2R3◇2◇2
R1R2R3
R1R2R3
実 績Achievements
P&Z工法はドイツをはじめヨーロッパ各地で使用されてお
り、橋脚の高い渓谷、河川、市街地でのPC橋梁の架設工法
としてすばらしい成果が得られています。我が国では利根川
本流を渡河する月夜野大橋で初めて採用され、木曽川に架か
る各務原大橋まで9橋の施工実績があります。
ヨーロッパから生まれたP&Z工法。我が国では9つのPC橋梁で採用されました。
月夜野大橋 昭和57年度土木学会田中賞受賞
鳴瀬川橋りょう 平成11年度土木学会田中賞受賞
長良川橋 平成21年度PC技術協会賞施工技術部門受賞
各務原大橋
月山橋
はまゆう大橋 平成16年度土木学会田中賞受賞
橋 名 建 設 地 橋長 × 有効幅員 径 間 長 最高橋脚高 施 工 年 各務原大橋 岐 阜 県 594.0m×13.5m [email protected]+55.9 約 23m 2010 ~ 13
長良川橋 岐 阜 県 343.0m×25.0m [email protected]+59.5 約 17m 2006 ~ 09
吉峰高架橋 福 井 県 443.5m×10.3m [email protected][email protected]+45.0+30.1 約 24m 2005 ~ 07
はまゆう大橋 静 岡 県 790.0m×11.5m [email protected]+61.3 約 20m 2001 ~ 03
鳴瀬川橋梁 宮 城 県 488.92m×単線 [email protected]+71.3 約 13m 1997 ~ 99
月山橋 山 形 県 474.0m×10.0m [email protected]+68.3 約 74m 1996 ~ 98
子不知高架橋 新 潟 県 422.5m×10.75m [email protected]+43.0 約 29m 1986 ~ 87
利根川橋 群 馬 県 560.0m×9.0m [email protected][email protected]+43.0 約 34m 1982 ~ 84
月夜野大橋 群 馬 県 306.8m×9.75m [email protected]+68.4 約 33m 1981 ~ 82橋ノリグラペ・ンサ ス イ ス 865.0m×10.0m [email protected]+55.0 約 40m 1981 ~ 83 (San Pelleprino) 952.0m×10.0m [email protected]+12.0
サヴィオ橋 イタリア 1.871.45m×11.3m [email protected]+2@110.0+95.0+110.0+85.0 約 70m 1976 ~ 79 (Savio) [email protected][email protected][email protected]+55.0ドナーグラーベン橋 オーストリア 461.4m×13.4m 58.8+3@69.0+68.95+68.65+58.0 約 81m 1976 ~ 79 (Donnergraden) 452.15m×13.4m 57.45+5@67.45+57.45 グミュント橋 オーストリア 562.0m×5.5m(上下) 53.7+7@65.0+53.7 約 50m 1974 ~ 76 (Gmünd) ケールブラント橋 西ドイツ 1048.0m×8.0m 34.0+7@42.0+2@50.0+60.0+8@70.0 約 70m 1972 ~ 73 (Köhlbrand) ジークタル橋 西ドイツ 1050.0m×6.0m(上下) 63.0+75.0+90.0+4@105.0+96.0 約 105m 1965 ~ 69 (Siegtal) +90.0+81.0+71.0+64.0
P&Z 工法の施工実績
橋 梁 名 各務原大橋発 注 者 岐阜県各務原市施 工 場 ~町屋中上市原務各県阜岐 所 川島小網町地内構 造 形 続連間径01CP 式 フィンバック橋橋 長 L=594.0m最 大 支 間 60m有 効 幅 員 13.5m工 期 2010年7月2日~2013年3月25日使 用 機 械 大型 P&Z装置
橋 梁 名 鳴瀬川橋りょう社会式株道鉄客旅本日東 者 注 発
施 工 場 所 宮城県桃生郡構 造 形 式 6径間連続PRCフィンバック橋橋 長 488.92m最 大 支 間 85.0m有 効 幅 員 5.2m工 期 1997年7月~1999年6月使 用 機 械 中型 P&Z装置
橋 梁 名 長良川橋発 注 者 国土交通省中部地整施 工 場 所 岐阜県美濃市志摩から笠神地内構 造 形 式 PC4 径間連続橋(内・外回り線 2連)橋 長 L=343.0m最 大 支 間 111m有 効 幅 員 25.0m工 期 2006年3月17日~2009年3月13日使 用 機 械 大型 P&Z装置