札幌魅力発信用デジタルサイネージシステム 「(仮...

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札幌魅力発信用デジタルサイネージシステム 「(仮称)Sapporo Window」 基本設計業務に関する調査報告書 最終版 平成 29 年 3 月 31 日 平成29年3月 丸善雄松堂株式会社 札幌支店

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札幌魅力発信用デジタルサイネージシステム

「(仮称)Sapporo Window」

基本設計業務に関する調査報告書

最終版

平成 29 年 3 月 31 日

平成29年3月

丸善雄松堂株式会社 札幌支店

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1. 概要

1.1. 本書の位置付け

本書は、平成 30 年度に札幌市民交流プラザ(中央区北 1 西 1)内に開設を予定して

いる「札幌市図書・情報館」(以下、「図書・情報館」という。)に設置する札幌魅力発

信用デジタルサイネージシステム「(仮称)Sapporo Window」(以下、「Sapporo Window」

という。)に係る基本設計業務における調査報告を取りまとめたものである。

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2. 「コンセプトに係る基本設計」における調査報告

<業務内容>

1 札幌の魅力発信という役割を担うため、札幌市民及び札幌を訪れる人で当館を

利用する人々を想定し、札幌の魅力とは何かを検討、決定した上で、対象者に

アプローチするための仕組み、方策を検討する。

2 札幌市や札幌に拠点を置く企業、団体等との連携施策等、本システムを広く遡

及するためのプロモーションの仕組み及びコンテンツレベルでの連携を検討す

る。

3 本サービスの継続的な成長、コンテンツの更新性及び利用促進を促すための仕

組みを検討する。

2.1. 図書・情報館の利用者

2.1.1. 図書・情報館としてのコンセプトにおいて想定されている利用者

【コンセプト】

■「市民の仕事やくらしに関する課題の解決に役立つ情報」と「札幌の魅力」を発

信する「都心の知的空間」

【図書・情報館の役割】

■市民交流複合施設に整備予定の課題解決型の都心にふさわしい図書館

■「市民の仕事やくらしに役立つ情報」を提供するとともに、「札幌・北海道の魅

力」を発信する「都心の知的空間」

■利用対象は、都心に集うビジネスパーソンや市民、観光客

■【1F】市民や来訪者が札幌の魅力(歴史、文化、自然など)を楽しみながら知る

ことができるデジタルコンテンツを展示

■【1F】札幌の魅力に関するセミナーのほか、関連する団体・企業等と各種イベン

トを共催

■【2F】ビジネスパーソンや市民が抱える仕事やくらし(医療・福祉・教育など)

に関する課題を解決するために役立つ資料や情報を提供

■【2F】「調べものに集中できる静かな空間」と「複数人で会話しながら仕事がで

きるコワーキングスペース」を両立し、幅広い使用目的に対応

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2.1.2. 図書・情報館が入居する札幌市民交流プラザの利用者の想定

【札幌市民交流プラザに入居する他施設】

■札幌文化芸術交流センター

オープンスタジオ、ワークスタジオ、プロジェクトルームを備え、市民や文化

芸術団体の交流、活動の場として利用されるほか、開放的な吹き抜けの空間とな

るクリエイティブモールでは、アーティスト、文化芸術団体、学生等による作品

発表や PR 展示などのイベントも開催される。

■札幌文化芸術劇場

北海道初となる多面舞台を備える 2,300 席の劇場となり、オペラ、バレエ、ミ

ュージカルなどの規模の大きな国内外の本格的な舞台や、ポップス、歌謡コンサ

ートなど、様々なジャンルの公演が開催される。

■放送局、オフィス等の民間企業

民間企業を始めとするオフィスや、公共の地下駐車場を備え、都心にけるビジ

ネス、生活の拠点としても利用される。

2.1.3. 札幌における国際化の状況

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2.1.4. 考察

① 図書・情報館としての本来の利用者である「札幌市民」及び、「札幌を訪れる

人々」はメインのターゲットとなるが、魅力を発信するというコンセプトにお

いて、文化芸術の拠点となる札幌市民交流プラザを利用される人々についても、

親和性の高さからアプローチが可能と考えられる。

② 札幌の都心にあり、新たなまちづくりで注目を集め、オフィスや駐車場の整備

に伴い多くの人々が交流する立地上の利点を活かし、都心周辺を利用する人々

全体へのアプローチも利用促進につながると考えらえる。

③ 国内における施策となるが、国内有数の国際的な都市、観光都市である札幌に

おいては、市民及び訪問者についても外国人の割合が高いことから、日本人及

び外国人の双方をターゲットとして考える必要がある。

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2.2. 札幌の魅力

2.2.1. 札幌市民及び札幌居住経験者から見た札幌の魅力

【札幌市まちづくり戦略ビジョンで実施されたアンケートより/平成 23 年 6 月】

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■札幌市民のアンケート結果

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■道外の札幌居住経験者のアンケート結果

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2.2.2. 札幌市から見た魅力

【札幌市のポジショニング】

※魅力につながりそうな内容を抜粋

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2.2.3. 札幌市のまちづくりの観点から見た魅力

【札幌市の観光まちづくりの基本方針における施策】

※施策の中より、魅力につながりそうな取り組みを抜粋

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2.2.4. 考察

① アンケートの結果から、札幌に現在も居住して生活されている人々と、元々は

札幌に暮らしていたが現在は道外で生活されている人々では、生活環境及び、

日常生活における価値観の違い等により、感じ取る魅力そのものが異なってい

ることから、「札幌の魅力発信」においては、「札幌に暮らす人々から見える魅

力」、「札幌の外から見える魅力」の 2つの観点から発信する魅力を絞り込むこ

とで、多くの人々にアプローチが可能と考えられる。

② 魅力の絞り込みについては、多くの人々に認知・イメージされている「札幌ら

しい魅力」を取り上げることで訴求力を向上し、さらに、「新しい発見」、「魅

力への気づき」を促進するため、魅力としてのポテンシャルが高いが、多くの

人々へ情報が広がっていない魅力についても採用することにより、コンテンツ

の価値を高める。

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2.3. アプローチするための仕組み

2.3.1. ディスプレイを活用した情報発信の事例

【SHIBUYA HIKARIE ShinQs】

デジタルサイネージの役割

■カラーや季節の変化、その時々の商品や売出し情報の発信により、通行者の興味を引き、

施設内の店舗への来店のきっかけを作る。

■時刻や天気予報などの通行者の日常にとって必要な情報を配信する。

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【SHIBUYA HIKARIE Urbancore】

デジタルサイネージの役割

■館内情報だけでなく、グリーティングメッセージ、ロゴモーション、時刻のグラフィック、

ショートムービー、その時見える星座情報、時報、天気、ニュースなど、移り変わる情報

を見ることにより、利用者に新しい発見やその場を体感できる空間づくりを実現する。

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【鴨川シーワールド】

デジタルサイネージの役割

■利用者が描いた魚を 先端の 3D・CG 映像を用いてディスプレイに表示する参加型ツー

ルとして、サンゴ礁の多様な生態系について楽しい学びを提供する。

■利用者が描いた魚は、ディスプレイへの表示に留まらず、フルカラー3D プリンターとの

連動によるデジタルファブリケーションによるモノづくりにも繋げている。

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【NSRI 23Cells】

デジタルサイネージの役割

■東京 23 区の都市開発データを、人間の営みと成長の記録と捉え、無機質な数字が並ぶデ

ータを可視化することにより、23 区を 23 個の躍動する細胞とその集合体としての生命と

して表現する。

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【日本科学未来館 Geo-Prism】

デジタルサイネージの役割

■地球を表現する球体型のデジタルサイネージ「ジオ・コスモス」を複数のカメラで撮影し、

ライブ映像と CG 等を用いた AR 技術により、利用者の小型サイネージ上に、海洋循環の

シミュレーション結果等の様々なデータを表示することによりデータを可視化する。

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【東京都美術館 生誕 300 年記念「若冲展」】

デジタルサイネージの役割

■デジタルの特性を活かし、アート作品に動きを持たせたり、センサーと連動することによ

り利用者の動きに合わせて作品を動かす演出を行う。

【KITTE 東京「Time-blossoming Flowers」】

デジタルサイネージの役割

■広いフロアにおける環境映像として、季節、時間(時報)と連動して、作品中の花を動か

す演出を行う。

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【ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg) 「グラフィックデザインの死角」】

デジタルサイネージの役割

■感覚的で抽象的な工程を経て制作されるグラフィックデザインを徹底的に解析し、配色、

レイアウト等の構成をデータ化して別の視点から可視化する。

【ソニーショールーム #itsaSony】

デジタルサイネージの役割

■利用者が撮影したソニー製品の写真を、SNS に投稿することにより、ランダムにディス

プレイに表示する。

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【日産ショールーム】

デジタルサイネージの役割

■これまでの日産の歴史を 1 つ 1 つの記事として紹介し、関連する記事同士は視覚化された

リンクにより結びつける。

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2.3.2. 考察

① 調査した事例などから、デジタルサイネージの利用方法は、「直接的な情報の

発信」と「間接的な情報の発信」の大きく 2つに分けられると考えられる。

前者は、設置施設における利用者の導線上に設置されていることが多く、利用

者に対して明確な情報を伝える役割を担う。

一方後者は、サイネージ自体がコンテンツであったり、コンテンツを観賞する

ツールとして設置されていたり、施設の環境を構成する要素の 1つとして設置

されているなど、利用者がその空間で過ごす時間を演出している。

② 直接的な情報発信については、文字情報、写真等にて、具体的な情報を発信す

るため、利用者に多くの情報を伝えることができ、さらには利用者の次の行動

へ影響を及ぼすことができる反面、利用者が主体的・能動的にデジタルサイネ

ージを利用する必要があり、それぞれが異なる情報を求めることから他者が利

用している間は利用が制限されてしまうことがある。

また、利用状況については、実際にデジタルサイネージの設置・利用状況を調

査した際、多くの場所で利用されていない状況が見られた。

特に通路等の人の通りが激しい場所や、デジタルサイネージ以外に利用者の目

を引く展示や設備等がある場所においては、立ち止まって利用するシーンは見

られなかった。

③ 間接的な情報発信については、情報というよりはコンテンツを発信することと

なるため、利用されるかどうかはコンテンツの内容次第となっている。

デジタル技術の進化が激しい昨今においては、様々なデジタル技術や各種セン

サーとの連動など、デジタルの特性を活かしたアート作品が登場しており、そ

のようなデジタルアート作品を表現する場としてデジタルサイネージが利用

されることが増えている。

コンテンツの観賞という意味合いが強くなるため、明確な情報を伝えることは

できないが、コンテンツの価値を高めることにより、利用頻度を向上させるこ

とができると考えられる。

④ 図書・情報館の利用者は、仕事、生活、観光など様々な目的を持って利用され

ることから、直接的な情報発信を行うためには、多種多様な膨大な情報を常に

更新し続ける必要があり、また、利用者に合わせた情報発信のためには、多言

語による情報発信が必要となる。

一方、間接的な情報発信を考えた場合、図書・情報館を構成する環境の一部と

しての導入が考えられ、札幌市民交流プラザのコンセプトでもある文化芸術と

いうテーマとの親和性もあるデジタルアートによる利用促進も可能性として

考えられる。

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⑤ 調査結果及び、実用性、将来性、必然性を踏まえ、図書・情報館に導入するデ

ジタルサイネージの利用方法については、「間接的な情報発信」が望ましいと

考えられる。

発信する情報については、空間コンセプトとの親和性を考慮し、デジタルアー

ト作品が良いと考えられるが、「都心にふさわしい知的空間」というコンセプ

トも踏まえ、札幌に関連するデータを可視化(ビジュアライゼーション)する

手法としてデジタルアートを用いて、データとともに作品が変化する映像型の

コンテンツとすることが 良と考えられる。

⑥ 可視化するデータについては札幌に関連するものとするが、利用者に対して新

しい魅力の発見や、魅力の深堀等の次の行動への繋がりを促進するため、可能

な限りオープンデータを使用する。

⑦ デジタルサイネージで発信するコンテンツは、間接的な情報となるため、コン

テンツを解説するパネル等を併設することで利用者の理解を深め、次の行動へ

繋げるための道しるべとなる情報を提供することが可能となる。

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2.4. 札幌市や札幌に拠点を置く企業、団体等との連携

2.4.1. コンテンツに関する連携の可能性

デジタルサイネージの利用におけるコンテンツを構成する要素は下記となる。

① 可視化するデータ

② デジタルアートの素材

③ サイネージシステム

④ 映像コンテンツ

⑤ コンテンツの解説

上記の構成要素のうち、「③サイネージシステム」及び「⑤コンテンツの解説」につ

いてはデジタルサイネージの導入業務を受ける事業者が開発し、「④映像コンテンツ」

については開発したサイネージシステム内で生成されることから、それ以外の「①可

視化するデータ」、「②デジタルアートの素材」が連携する可能性を持つ。

2.4.2. 可視化するデータの連携

データについては、「2.3.2 考察」で触れているが、可能な限りオープンデータの

利用が望ましいことから、札幌に関連するデータを所有するコンテンツホルダーとの

連携が必要となる。

本業務の時点では、詳細な仕様設計は業務対象外となることから、連携候補として

考えられる連携先を挙げる。

※下記以外の連携先も含め、詳細な仕様設計段階で連携先を選定する。

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① 札幌市/オープンデータ

本業務時点で全 87 種類のデータがオープンデータとして提供されている。

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② 北海道/オープンデータ

本業務時点で全 274 種類のデータがオープンデータとして提供されている。

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③ HOPPA(一般社団法人北海道デジタル出版推進協会)

18 会員が発行する出版物に関連する編集元のデータ等、各事業の推進において

収集されるデータや、HOPPA の連携先が保有するデータの活用等

【HOPPA の事業内容】

■北海道の地域研究資料、文化・歴史資料、道内出版社・雑誌社の刊行物や地元

作家・研究者らの作品、自然や歴史資産を対象とする写真集等の電子化事業

■成果物の図書館等の公共機関や一般電子書店等への販売及び販売支援事業

■北海道内で活動する様々な団体と連携して創出するデジタルコンテンツ推進

事業

■各事業に附帯又は関連する事業

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2.4.3. デジタルアートの素材に関する連携

素材となるデータについては、「札幌らしさ」、「札幌の魅力」に関係性の強い画像や

映像、理論、条件等が必要となるため、札幌に拠点を置く組織との連携は重要と考え

られる。

本業務の時点では、詳細な仕様設計は業務対象外となることから、連携候補として

考えられる連携先を挙げる。

※下記以外の連携先も含め、詳細な仕様設計段階で連携先を選定する。

① 札幌市

図書館が所蔵するアーカイブデータを始め、札幌に関連する様々な素材となり

得るデータを保有している。

また、札幌に関連する組織との繋がりも多いことから、保有しているデータの

利用だけに留まらず、組織間連携による素材の調達など、様々な形での連携が

可能と考えられる。

② HTB(北海道テレビ放送)

札幌市民交流プラザ(高層棟)に入居することから、連携しやすい環境にある

と考えられ、番組作りを通して所有する様々な情報、データに連携の可能性が

考えられる。

③ 朝日新聞北海道支社

HTB と同様に、札幌市民交流プラザ(高層棟)に入居することから、連携しや

すい環境にあると考えられ、新聞等の編集を通して所有する様々な情報、デー

タに連携の可能性が考えられる。

④ 北海道新聞

札幌、北海道を拠点とする新聞社のため、地域に強いネットワークを保有して

いると考えられ、新聞等の編集を通して所有する様々な情報、データに連携の

可能性が考えられる。

⑤ HOPPA(一般社団法人北海道デジタル出版推進協会)

「2.4.2 ③HOPPA」を参照

出版コンテンツの編集を通して所有する様々な情報、データに連携の可能性が

考えられる。

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2.4.4. プロモーションに関する連携の可能性

「Sapporo Window」をターゲットとなる利用者に対して、広く遡及するためのプロ

モーションとして考えられる施策は下記となる。

① 周辺施設におけるポスター、チラシ等での告知

② Web サイトにおける告知

③ 各種メディアへの掲載

④ 利用者の手による SNS 等での情報の拡散

⑤ タイアップによるイベント等での告知

プロモーション施策においては、親和性のある利用者にアプローチすることが も

効果的と考えられるため、同様のコンセプトをもつ施設やサービス、イベント等との

連携は効果が望めることから、いずれの施策についても、外部組織との連携の可能性

は考えられる。

施策のうち、「①ポスター、チラシ等での告知」、「②Web サイトにおける告知」、「③

各種メディアへの掲載」については、図書・情報館としての公式な施策として展開す

る他、関係性のある組織との連携施策も展開する。

「④SNS 等での情報の拡散」については、図書・情報館として直接的に拡散する方法

ではなく、利用者が自らの手により情報を発信したくなる状況、環境を準備する施策

として展開する。

データビジュアライゼーション及びデジタルアートによりコンテンツを表現するた

め、著名なアーティストの起用等、コンテンツの特性をアピールポイントとして利用

者の心理に訴えかける。

「⑤タイアップによる告知」については、文化芸術を推進する札幌市ならではのイ

ベント等が多く開催されていることから、コンテンツとの親和性が特に高いイベント

等に対してアプローチすることにより、タイアップによる相乗効果を狙う。

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2.5. サービスの継続的な成長

発信する情報を映像コンテンツによる間接的な情報とすることにより、映像コンテ

ンツを構成するオープンデータや表現に使用する素材データ等を、時間の経過や環境

の変化に伴って更新していくことにより、その時々に応じて映像コンテンツを成長さ

せることが可能と考えられる。

また、追々、映像コンテンツの他に、別のコンテンツも制作して追加することによ

り、発信する情報を拡大することができサービス自体の成長にも繋がる。

上記のようなサービスの成長を促すためには、そのための仕組みや運用作業が必要

になることから、詳細については各種要素を設計した上で導入を検討する。

2.6. コンテンツの更新の仕組み

「2.4.1 コンテンツに関する連携の可能性」で挙げている通り、デジタルサイネー

ジの利用におけるコンテンツを構成する要素は下記となる。

① 可視化するデータ

② デジタルアートの素材

③ サイネージシステム

④ 映像コンテンツ

⑤ コンテンツの解説

データについては更新しないことも可能であるが、更新しない場合は映像コンテン

ツの動きがパターン化されてしまうことで不規則性が弱まり、利用者が飽きやすくな

ることが懸念されることから、データの更新は必要と考えられる。

データの更新方法については、具体的に利用するデータが決まり、提供元との調整

を実施しなければ明確にできないが、「Sapporo Window」を安定して稼働させるために、

下記をデータ更新に対する方針とする。

① データ連携はシステムにより自動化し、ネットワーク経由で連携する

② 更新頻度は時間単位、日次などある程度リアルタイムに近い頻度とする

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2.7. サービスの利用を促進させる仕組み

発信する情報をデータビジュアライゼーション及びデジタルアートを用いた映像コ

ンテンツとすることにより、利用者に対しては「利用(操作)する」というアプロー

チではなく、「観賞(観る)する」というアプローチが主となる。

利用者に観賞を促す方法としては下記が考えられる。

① 「Sapporo Window」の認知により、利用する機会を創出する

② 設置場所、設置方法の工夫により、目に留まる機会を創出する

③ 映像コンテンツの価値の向上により、欲求・満足度も向上させる

上記①及び③についてはプロモーション施策にて対応し、②については機器構成や

設置において対応する。

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3. 「ハード設計に係る基本設計」における調査報告

<業務内容>

1 (物的要件の検討)

都心の知的空間にふさわしく、システム及びコンテンツの魅力を 大限に発揮

することができるハードウェア環境を検討する。(クライアント PC、Web サーバ

ー、ディスプレイ、ネットワーク機器、センサー、筐体等の構成と仕様)

2 (運用要件の検討)

同種の仕組みの稼働実績を踏まえ、利用者が安心して、安全・快適に利用する

ことができる構成、配置を検討する。(大きさ、形状、電源設備、ネットワーク

設備等)

3 各種センサーや認識技術を活用し、本システム周囲にいる利用者の動きに応じ

た演出の検討、及び実現可能性についての技術的調査を行う。

4 時間による演出、催事イベントと連動した演出等、リアル空間とデジタル空間

との連動についての仕組み及び施策を検討する。

5 本システムを通じて出会った情報及びコンテンツを、その場を離れても楽しむ

(活用)ことが出来るように、利用者が保有するスマートフォン等にコンテン

ツをダウンロードできる仕組み及び施策を検討する。

3.1. 物的要件及び運用要件の検討

3.1.1. 設置場所について

「Sapporo Window」を設置する図書・情報館 1F のフロアイメージは下記となる。

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また、フロアの構成は下記となる。

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上記のフロアイメージ及び構成において、「Sapporo Window」の魅力を 大限に発揮

する場所としては、下記の理由により、入口に対して反対側となる「壁」(外壁側)で

あると考えられる。

① フロア全体(ソファ、カウンター等)から見やすい

② 入口及び外側の施設(クリエイティブモール、アートセンター等)を利用する

人の導線上から見える位置となる

また、壁面の設置位置については、現状の空きスペースを利用する形で設置が可能

な案として、下記 2案に対して検討を実施した。

【利便性の観点からの検討】

A 案については、利用者の目線でコンテンツを表示することが可能であり、インタラ

クティブなコンテンツを発信する場合は、利用者の操作が可能となるため効果が望め

るが、本業務においては直接的な情報発信ではなく、間接的な情報発信が良いと判断

していることからメリットは小さくなる。

また、フロア全体及び、外側の施設を利用する人の導線上から見えにくい位置とな

ることから、魅力を 大限に発揮するまでには至らないと考えられる。

一方、B 案については、間接的な情報発信である場合は操作が不要となることから、

高い位置(利用者の手が届かない位置)に設置しても問題はなく、フロア全体から見

える位置となることから、魅力を 大限に発揮することに繋がると考えられる。

また、A案に比べると、空いているスペースが広いことから、マルチディスプレイ等

のディスプレイ構成を採用することにより、サイネージの画面サイズを大きくするこ

とが可能であり、迫力あるコンテンツの表現が可能となるメリットも大きいと考えら

れる。

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【保守性の観点からの検討】

A 案、B案ともに壁面(外壁)への設置という点では、基本的な本体工事、サイネー

ジ設置工事に大きな差はないと考えられる。

一方、設置する高さの違いについては、作業者の手が届きやすい高さにある A 案の

方が、昇降機の利用及び、利用するためのスペースの確保が必須となる B 案に比べる

と作業は容易となる。

【採用案】

本業務における一番の評価ポイントとしては、「魅力を 大限に発揮する」点である

と考えられるため、保守における作業頻度を考慮すると、常時、コンテンツを発信し

続けることに対する影響が大きいと判断し、利便性において優位となる B 案の採用が

望ましいと考えられる。

3.1.2. 設置方法について

「Sapporo Window」を設置する方法として、「ふかし壁」の導入可否が 1つの大きな

判断基準となる。

ふかし壁を設置するメリットは下記となる。

① ディスプレイ設置時の導入条件となる「足場の確保」もしくは「昇降機の利用」

に対して対応が可能となる。

② ディスプレイの背面からの作業が可能となるため、導入時にディスプレイの固

定化が可能となり、マルチディスプレイ構成の場合に、ズレ・隙間、メンテナ

ンス時の移動による破損等のリスクを軽減することが可能となる。

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③ ディスプレイと再生機等の各種機器との物理的な距離を短くすることが可能

であるため、フルハイビジョンを超える解像度(4K 等)のコンテンツも再生が

可能となる。

④ ディスプレイと各種機器を結ぶ配線等を、ふかし壁の後ろ側に設置することが

可能なため、美観を損ないにくい。

ふかし壁の設置については、図書・情報館の監理設計者と調整した結果、下記が前

提条件となることから対応ができないことが判明した。

① ディスプレイ及び各種機器(ラック含む)を設置するための「ふかし壁」の施

工は不可とする

② 壁のボードと LGS の間に 2.3mm の鉄板を施工するが、ボルトではなく、ビス止

めで取付金物を設置する。

※構造的には建築本体工事にて検証済み

※鉄板以外の機材を壁に組み込むことは不可

③ ディスプレイの設置及びメンテナンスは、背面からではなく前面から実施する。

※壁及び補強が仕上がった状態にて引き渡される

ふかし壁を設置しない場合、設置方法としては建物の壁に直接設置する方法となる。

① ディスプレイの取り付け金具を目隠しするための額縁を設置する

② 再生機等の各種機器を設置する場所を確保する

③ ディスプレイと各種機器を結ぶ配線を目隠しするためのカバーを設置する

④ ディスプレイ前面からの作業が可能な方法にて設置する

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また、ふかし壁を設置しない場合、再生機等の各種機器を格納するスペースがなく

なってしまうことから、機器を設置するためのスペースを別途確保する必要があり、

下記、3案に対して検討を実施した。

① ディスプレイの下方付近に設置する

② 職員のみが入れる物置スペースに設置する

③ カウンター後方のコピー機付近に設置する

案①については、フロア内に設置することとなることから、利用者に対して機器が

見えないような意匠を施した囲い(箱)を用意する必要があるが、ディスプレイとの

距離が短くなることから、映像データの増幅等の対応は不要となり、利用する機器の

数も抑えられる。

案②については、利用者からは見えない物置スペースへの設置になるため、意匠な

どは気にせずに機器を設置することができるが、ディスプレイとの距離が長くなるこ

とから、映像データの増幅が必要となり、増幅用の機器構成が必須となる。

また、機器を設置した場所からディスプレイを見ることができないため、設置及び

メンテナンス作業時に手間がかかる。

案③については、案②と同様の対応内容となるが、機器を設置した場所からディス

プレイを見ることができるため、作業は効率的に実施できる。

各案を検討した結果、フロアに設置する案①については、空間の雰囲気を壊してし

まう可能性があり、スペースも無駄になってしまうことから採用は見送った。

案②、案③についてはディスプレイを直接見ることが可能な案③の方にややメリッ

トがあるが、利用者の目に留まるかどうかも踏まえると、設置に関する条件はほぼ同

じであるため、フロアの利用方法・操作利便性等を踏まえ実施設計段階で決定する。

3.1.3. 工事区分

「Sapporo Window」の設置(導入)に関しては、下記の切り分けに応じて、各事業

者が作業を担当する。

① 本体工事(建築工事)については、図書・情報館(建築本体工事)にて実施す

る。

・電源/ネットワーク(LAN)の 1次側配線

・ディスプレイから各機器収納ラックまでの配線用配管

・壁の補強(鉄板の施工等)

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② デジタルサイネージに関する工事については、ハード設置・稼働調整業務受託

者が実施する。

・ディスプレイ本体、取付金物の設置

・2次側配線

・周辺機器設置

・ディスプレイの額縁造作

3.1.4. 機器構成の選定

「Sapporo Window」を構成する各機器については、費用面、保守面、コンテンツ内

容等により、 終的な導入段階において入手可能な機器を選定する必要があるため、

本業務においては機器を特定することはせず、方針のみを決定する。

① ディスプレイ

他の事例やデジタル技術の普及状況を踏まえ、フルハイビジョン以上の解像度

を持つ機器を利用する。

また、サイネージとしての画面サイズを大きくするため、大型ディスプレイ、

もしくはマルチディスプレイ構成を導入する。

マルチディスプレイ構成の場合は、接続面の無駄な領域を 小限とするため、

ベゼルの薄い機器を選定する。

(参考情報) NEC 社 MultiSync LCD-UN551VS ベゼル 0.9mm

② 予備ディスプレイ

マルチディスプレイ構成の場合に、機器の故障などにより、交換までの間に表

示されない領域が出てしまう時間を短縮するため、あらかじめ交換用として予

備のディスプレイを用意しておく。

また、経年劣化による明るさや発色のレベルを合わせるため、予備ディスプレ

イについてもある程度、電源を入れておく運用も検討する。

③ 再生機(クライアント PC)

コンテンツ(映像)を再生するために必要となるスペック、ミドルウェア(ソ

フトウェア)を満たす PC を選定する。

また、コンテンツ制作時に、あらかじめ稼働確認を実施可能なように、同スペ

ックの PC を制作用として用意する。

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④ Displey 制御装置及び切替装置

ディスプレイの構成、コンテンツの内容(解像度等)により、適切な機器及び

機器構成を選定する。

また、機器構成に応じて、各機器を格納するためのラックの設置も検討する。

⑤ サウンドシステム

コンテンツ内で音を流す際に利用するスピーカー等を、コンテンツの内容に応

じて選定する。

⑥ ネットワーク機器

ネットワーク(LAN)については、図書・情報館として設置・導入される LAN

を利用するため、本システムの導入においては不要となる。

⑦ Web サーバー

「Sapporo Window」のコンテンツは、再生機となるクライアント PC 上で処理

されるため Web サーバーは使用しないが、利用促進等の施策として必要となる

場合は、機器構成やネットワーク、保守・運用内容等も検討する。

⑧ センサー

「Sapporo Window」のコンテンツとして、外部とのデータ連携の他に、各種セ

ンサー等との連携が必要となる場合は、設置場所や利用シーン、機器構成、保

守・運用内容等も検討する。

⑨ 増幅器

ディスプレイと再生機(Displey 制御装置)の距離が長くなることから、映像

データを増幅するための装置を、ディスプレイ側(受信)、再生機(送信)に

設置する。

⑩ ディスプレイ取付金具

ディスプレイについては、前面からの設置作業及びメンテナンスが必要になる

ことから、前面に引っ張り出して、取り外し、配線等の作業が可能な器具を選

定する。

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3.2. センサー及び認識技術の活用に関する検討

3.2.1. センサーの利用について

「Sapporo Window」の検討にあたり下記のセンサーについて利用を検討した。

「データビジュアライゼーション」及び「デジタルアート」による間接的な映像表

現をコンテンツとすることにより、センサーの利用は必須ではなくなったが、コンテ

ンツの表現において利用する場合には利用方法等を検討した上で導入する。

① 人感センサー

サイネージ周辺の利用者の動きを感知し、動きに合わせてコンテンツを切り替

えたり、動かしたりする

② ジェスチャー認識センサーと空間映像投影技術

空間投影された操作パネルを操作する利用者の指の動きを検知し、操作に応じ

てサイネージを動かす

③ タッチパネルセンサー

サイネージ表面にタッチパネル用のセンサーを張り巡らし、タッチ操作に応じ

て、サイネージを動かす

上記の各センサーは、利用者の動きを検知した上でサイネージを動かすものである

が、その他の用途として、映像コンテンツ内で使用する可視化データを収集するため

の手段としてもセンサーを利用する可能性は考えられるため、導入フェーズにおいて

再度、センサーの利用についても検討する。

3.2.2. 認識技術の利用について

「Sapporo Window」の検討にあたり下記の認識後術について利用を検討した。

「データビジュアライゼーション」及び「デジタルアート」による間接的な映像表

現をコンテンツとすることにより、認識技術の利用は必須ではなくなったが、コンテ

ンツの表現において利用する場合には利用方法等を検討した上で導入する。

① 画像認識技術

利用者が撮影した写真(画像)を画像認識技術で解析し、解析結果に応じてコ

ンテンツを出し分ける

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センサーと同様に、映像コンテンツ内で可視化データを処理する際に認識技術を利

用する可能性は考えられるため、導入フェーズにおいて、再度、認識技術の利用につ

いても検討する。

3.3. 時間、催事イベントとの連動に関する検討

時間については、コンテンツ内に「時報」の要素を取り入れることにより、フロア

の利用者が時間を感じるコンテンツとして表現する。

時報の表現方法については、導入フェーズにて詳細を詰める。

また、時間に応じた変化や、催事イベントとの連動については、関連する情報をコ

ンテンツの表現の中で利用するなどが考えられるため、コンテンツの設計段階にて具

体的な連動の方法、及び機器構成、保守・運用内容等を検討する。

3.4. リアル空間とデジタル空間の連動に関する検討

「Sapporo Window」の検討にあたり下記の施策について検討した。

「データビジュアライゼーション」及び「デジタルアート」による間接的な映像表

現をコンテンツとすることにより、空間同士の連動については必須ではなくなったが、

利用促進等の施策として利用する場合には、利用方法等を検討した上で導入する。

① 各種センサーを利用して利用者の動きに合わせてコンテンツを変化させる

※センサーについては「3.2.1 センサーの利用について」を参照

② 利用者の声の収集

サイネージ利用時の感想を選択式にて利用者が投稿できるようにし、投稿され

た感想をコンテンツに反映し、他の利用者の参考情報として提示する。

③ オープンデータとの連動

「データビジュアライゼーション」において可視化に利用するデータをオープ

ンデータとすることにより、社会における人々の生活を可視化することに繋が

り、間接的ではあるがリアルとデジタルの連動が実現できると考えられる。

利用するオープンデータについては、導入フェーズで具体化する。

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④ アート作品のフロアへの展示

サイネージと親和性のあるフロア(空間)の雰囲気作りの施策として、図書館

が保有する写真や利用者が撮影した写真を「光るパネル」で演出することによ

り、アート作品としてフロアに置くことを検討したが、本業務の範囲を超えて

いることから、本業務とは別に検討を実施することとなった。

3.5. コンテンツのダウンロードに関する検討

「Sapporo Window」の検討にあたり下記の施策について検討した。

「データビジュアライゼーション」及び「デジタルアート」による間接的な映像表

現をコンテンツとすることにより、ダウンロードの仕組みは必須ではなくなったが、

利用促進等の施策として利用する場合には、利用方法等を検討した上で導入する。

① スマートフォンへのダウンロード

サイネージ上で探した情報を、利用者が保有するスマートフォンへダウンロー

ド可能とすることにより、その場を離れても楽しむことが可能となる。

② 電子図書館へのリンク

サイネージ上で探した情報に関連する書籍を紹介し、電子図書館へ誘導するこ

とにより、その場を離れても、情報に接する機会を作る。

※関連の深い書籍の閲覧に繋げる

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4. 「システム開発に係る基本計画の作成」における調査報告

<業務内容>

1 本システムを用いて、情報館として発信するコンテンツのコンセプト及びデザ

インの指針を検討する。(年表、地図等のデザイン、画像、写真、音声、映像、

及び CG 等のコンテンツの表現手段を含めたユーザーインターフェース全般)

2 利用者が快適・直感的にコンテンツを探し、閲覧することができ、管理者が負

荷なくコンテンツを投入することができるシステムの機能構成を検討する。

(画面構成、画面フロー、検索、ナビゲーション、データ・コンテンツ管理等

の機能要件)

当初、「ヒストリーウォール」等による直接的な情報発信を検討していた際には、機

能である「システム」と、発信する情報としての「コンテンツ」を別々の構成として

考えていたが、「データビジュアライゼーション」及び「デジタルアート」による間接

的な映像表現をコンテンツとすることにより、システムとコンテンツが一体化した構

成となった。

そのため、システムについてはコンテンツに含める形で考えることになることから、

本役務の検討結果については、すでに報告している「2.コンセプトに係る基本設計に

おける調査報告」及び「「3.ハード設計に係る基本設計」における調査報告」を参照す

る。

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5. 「コンテンツ制作に係る基本計画の作成」における調査報告

<業務内容>

1 本システムを将来に渡って活用するために、コンセプトに適するコンテンツ候

補及び調達先を調査するとともに、利活用に関して交渉補佐を行う。

2 情報館として発信するコンテンツの他、札幌市民をはじめとする利用者がコン

テンツ作りに参加できる仕組み及び施策を検討する。(ワークショップ、イベン

ト等)

3 利用者にニーズに合わせた情報発信をするため、利用者の声及び利用動向を収

集する仕組み及び施策を検討する。(コミュニケーション機能、利用状況調査等)

4 札幌市図書館の既存サービス及び他組織・団体との連携による「知」のネット

ワークを形成し、知的空間の拡大を図るための仕組み及び施策を検討する。(大

学等の専門・学術機関の監修、及び企業や各種施設等のコンテンツ保有機関と

の連携等)

5 情報館として発信するコンテンツのテーマ、表現方法等、コンテンツ制作に関

する設計から制作完了までのプロセスを検討する。(参加メンバー、役割分担、

制作サイクル等)

5.1. コンテンツ候補及び調達先について

「Sapporo Window」にて利用するコンテンツは、「データビジュアライゼーション」

及び「デジタルアート」による映像コンテンツとなることから、システム内で自動的

に生成するものとなり調達するものではないが、データビジュアライゼーションで可

視化する元となるデータは調達する必要があるため、調達対象のデータは可視化デー

タ(オープンデータ)となる。

可視化データの調達については、すでに報告している「2.4.2 可視化するデータの

連携」を参照する。

5.2. 利用者のコンテンツ作りへの参加について

「Sapporo Window」で利用するコンテンツは、システムと一体化した映像コンテン

ツとなり、各種デジタル技術やデジタルアート、ビジュアライズ技術等のデジタル分

野におけるクリエイティブに関するノウハウを必要とすることから、ワークショップ

やイベントにおいて制作することは難しいと考えられる。

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ただし、活動を活性化するためには、利用者が一緒に参加する要素は重要であるた

め、コンテンツ作りのためのワークショップではなく、ビジュアライズやデジタルア

ートに親しむ方向でのワークショップ等を検討するものとし、具体的な施策について

は導入フェーズ以降で検討する。

また、札幌に関連のあるアーティスト等で、「Sapporo Window」のコンセプトに親和

性のあるコンテンツを制作できる方々については、制作される作品を「Sapporo Window」

で表示することができるように、PC 等のコンテンツを再生する機器を切り替えること

が可能な仕組みを導入することで、活動を広げる余地を用意しておく。

5.3. 利用者の声及び利用動向の収集について

当初、「ヒストリーウォール」等による直接的な情報発信を検討していた際には、

「Sapporo Window」のシステム上で声(感想)や利用動向を収集し、集計した上でコ

ンテンツの表示に反映する仕組みを検討していたが、利用者の操作を必要としない映

像コンテンツの発信となったことにより、必須の施策ではなくなった。

しかし、コンテンツの表現において利用する場合には、利用方法等を検討した上で

導入する。

また、利用者が「Sapporo Window」をどのように感じ、受け取っているかを知るこ

とは、将来的な活動の拡大には必要な情報であることから、システムでの収集ではな

く、フロアでのアンケートによる収集等、利用者とのコミュニケーション施策につい

て実施可否を含め導入フェーズで検討する。

5.4. 知的空間の拡大を図るための仕組みについて

当初、「ヒストリーウォール」等による直接的な情報発信を検討していた際には、下

記の組織との連携の可能性について検討を進めてきたが、いずれも何かしらのテーマ

に対する取り組みを進めている組織であり、「札幌の魅力」という広い範囲を対象とす

る場合に偏りが発生してしまう懸念があり、本役務においては直接の交渉は実施して

いない。

導入段階においてはコンテンツの具体的な内容も決まることから、連携先候補とし

て、必要に応じて検討する。

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① 北海道大学 観光学高等研究センター

地域・産学連携により、観光による地域再生や新しい文化の創出などの取り組

みを進めている。

札幌市観光振興計画策定プロジェクト(2010)、「札幌でしかできない 50 のこ

と」繁体字版の発行など

② 札幌市立大学 地域連携研究センター

地域・産学連携により、デザイン、看護等の研究活動の地域への還元等の取り

組みを進めている。

③ 北海道庁 北海道地域づくりアドバイザー紹介制度

地域の課題解決、活性化等の「地域力」を向上させるための取り組みを進めて

いる。

④ 一般財団法人さっぽろ産業振興財団 札幌映像機構

札幌のフィルムコミッション、人材育成等の映像産業振興等について取り組み

を進めている。

一方、「データビジュアライゼーション」及び「デジタルアート」による映像コンテ

ンツの発信となったことにより、連携先としてはプロモーション効果も踏まえ、デジ

タル分野でのクリエイティブに関する実績が豊富なアーティストもしくは組織との連

携を図る。

実際の連携先については導入フェーズで決定する。

【連携先候補】

いずれも国内だけでなく、海外においても十分な実績があり、先進的な作品、取り

組みを進めていることから、プロモーション効果も高いと考えられる。

① ライゾマティクス(Rhizomatiks) ※ヒアリング済み

② チームラボ(teamLab) ※ヒアリング済み

③ ネイキッド(NAKED)

また、コンテンツに関する連携については、すでに報告している「2.4 札幌市や札

幌に拠点を置く企業、団体等との連携」を参照する。

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5.5. コンテンツ制作に関するプロセスについて

コンテンツの制作に関しては、サイネージを設置する図書・情報館はもちろんのこ

と、図書・情報館が入居する札幌市民交流プラザとしての空間に対するコンセプトを

踏まえ、 適な内容のコンテンツを定義していく必要があると考えられる。

導入フェーズにおける具体的な作業の進め方は、下記のようになると考えられる。

また、コンセプトを決める上で重要となる観点として下記が考えられることから、

導入フェーズにおいては、各観点を踏まえたうえで詳細内容を検討する。

① 実用性の観点

その「場」の利用者にアプローチできるか、メリットがあるか

② 耐久性の観点

いつ見ても飽きない要素を持っているか、「場」の変化を取り入れているか

③ 必然性の観点

その「場」にふさわしいか、雰囲気にマッチしているか

5.6. コンテンツ制作に関する体制について

コンテンツを制作するためにはデジタル分野におけるクリエイティブに関するノウ

ハウが必須となるが、作業内容に応じて必要となる知識、スキルは異なってくるため、

あらかじめ必要な知識、スキルを保有するメンバーを集め、制作体制を組んだ上で作

業を進める。

必要となる体制は下記のように考えられる。

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項番 役割 説明

1 コンテンツ制作

リーダー

コンテンツ制作及びデータ調達等に関わる業務全体

を取りまとめて管理する

2 データ調達/渉外

担当

コンテンツで利用するデータの調達及び、版権処理

の実施依頼等の外部組織との交渉を行う

3 制作ディレクター コンテンツ制作に関わるコンセプト定義、デザイン

定義等の業務全体を取りまとめて管理する

4 デザイナー コンテンツをデザインする

5 データ/素材加工

担当

コンテンツで利用できる形へのデータ加工、デザイ

ンに従ってのパーツ制作等を実施する

6 開発担当 データ及びパーツを組み合わせて、コンテンツ(映

像)を動かすためのシステムを開発する

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6. 「導入作業に係る検討」における調査報告

<業務内容>

1 平成 30 年度の開館時に技術的な問題が生じないよう、本システム導入に必要と

なる電源や配管などの 1次設備について、整理し助言する。

2 本システムの導入に至るまでのスケジュール(年次計画)を提案する。

3 利用者の動線、利用方法等の利用シーンを考慮した運用について助言する。

6.1. システム導入に必要となる 1 次設備について

「Sapporo Window」の導入・設置にあたり、各種機器の構成については下記のよう

な構成が想定される。

※9面マルチディスプレイを想定した場合の構成

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上記の構成のうち、1次設備として必要になると考えられる設備は下記のようになる。

① 電源コンセント

ディスプレイ側 : 2P/E 付コンセント(20A 相当 2 系統) 19 口

ラック側 : 2P/E 付コンセント(20A 相当 1 系統) 2 口

② LAN

ラック側 : 1 口

③ 天井内配管

PF28 相当 3 本

壁内配管の場合は、取り出し口はラック配置の下部、

または電源コンセント付近にて取り出し

壁内配管が不可の場合は、たち下げはモール処理

なお、設置場所や設置方法については、すでに報告している「3.1 物的要件及び運

用要件の検討」を参照する。

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6.2. 導入フェーズに関するスケジュールについて

「Sapporo Window」の導入フェーズにおける作業の進め方は下記のようになると考

えられるが、「Sapporo Window」のみを考慮した進め方、スケジュールであることから、

施設(建物)側の進め方、スケジュールと調整した上で FIX させる必要がある。

平成 29 年度(2017.7~2018.3) : コンテンツ制作フェーズ

平成 30 年度(2018.4~2018.10) : 機器調達・環境構築フェーズ

項番 タスク 主な作業内容

(コンテンツ制作)

1 情報ヒアリング ① 基本設計書の内容及び、基本設計以降に変更とな

った要件の確認

2 コンセプト定義 ① コンセプト、トーン&マナーの詳細検討

② コンテンツの方向性、機材構成の検討

3 データ調達 ① コンテンツの方向性に合う調達可能なデータの

調査、及び提供の交渉

② 調達するデータの連携方法の検討

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4 コンテンツ企画 ① コンテンツの表現方法及び、調達データの利用方

法の検討

② コンテンツ制作・開発方法の検討

③ 運用方法及び導入教育方針の検討

5 デザイン開発

① デザインの検討

② モックアップの制作及び、コンテンツの表現イメ

ージの確認

6 コンテンツ

(システム)開発

実機テスト

(プロトタイプ)

① コンテンツを表現するためのシステム設計、開

発、動作検証

② プロトタイプによる実機での動作検証

7 検証/ 終調整

仮運用(教育)

① コンテンツ(システム)の実環境への導入

② 導入後の調整、及び運用テスト

③ 操作方法などの運用に関する導入教育

(環境構築)

8 機器構成設計 ① 導入する各種機材の選定

② 機器構成及び環境仕様の設計

③ 各種機材の保守・運用に関する設計

9 機材手配 ① 各種機材の手配

② 各種機材の搬入スケジュールの調整

10 環境構築 ① 各種機材の搬入、及び環境構築

② 各種機材の稼働確認

11 検証/ 終調整

仮運用(教育)

① コンテンツ導入後の調整、及び運用テスト

② 操作方法などの運用に関する導入教育

また、導入フェーズを進めるために必要となる体制は下記が考えられる。

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項番 役割 説明

1 図書・情報館 本業務に関するすべてについて決定権を持ち、要件

及び仕様等の 終決定を行う

2 監理設計者

建築本体工事事業者

図書・情報館の施設の設計、整備を担当する

本業務においては環境構築に関連して設備工事等に

ついて連携する

3 外部オブザーバー 本業務に関連する知見を保有し、必要に応じて支援

を受ける

4 プロジェクト

マネージャー

本業務の遂行に対する責任を有し、コンテンツ制作

パート、環境構築パート等のプロジェクト全体の進

行を管理する

5 事務局(PMO) プロジェクトマネージャーとともに、プロジェクト

全体の進行を管理し、主に事務的な作業及び、プロ

ジェクト外部との各種やり取りを支援する

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6 支援チーム プロジェクトの進行において、技術的な観点及び、

専門的な観点により、各パートのタスクの実行を支

援する。

7 コンテンツ制作

パート

コンセプトの決定から、利用するデータの選定、映

像での表現方法の決定、映像システムの開発等、コ

ンテンツの制作に関わる作業を実施する。

8 環境構築パート

導入の対象となる機器の調達、調達した機器の設定

や設置、ディスプレイの取り付け、配線など、

「Sapporo Window」の各種機器に関わる作業を実施

する。

6.3. 利用シーンを考慮した運用について

「Sapporo Window」の利用シーンとしては、アプローチするターゲットやアプロー

チの方法により、下記のような段階的な利用シーンが考えられる。

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上記の利用シーンを踏まえ、アプローチ施策と照らし合わせたユースケースを下記

のように考える。

上記の利用シーン及びユースケースから「Sapporo Window」を構成する各種機器の

操作等の通常運用以外に必要と考えられる運用としては下記が考えられる。

① 各種プロモーションの展開

② 利用者へのコンテンツの解説

プロモーションに関しては、図書・情報館として「Sapporo Window」のみではなく

全体を包含した施策を検討されると考えられるため本業務では対象外とする。

一方、利用者へのコンテンツの解説については、図書・情報館の職員による対応が

基本となることから、「Sapporo Window」の導入の際に実施する導入教育の中に含める

ものとする。

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7. 「導入後の保守に係る基本計画」における調査報告

<業務内容>

1 本システムを安定的に稼働させるために必要となる保守・運用に関わる要件を

検討する。

2 稼働サイクルに合わせた起動・停止、及び障害発生時の対処・復旧に関する運

用方法を検討する。(運用フロー、運用体制等)

7.1. 保守・運用に関わる要件について

7.1.1. 「Sapporo Window」の保守について

保守については、下記のように大きく 2 つに分けて考えることができ、それぞれの

対象範囲、対応内容により、対応にかかる費用が変わってくる。

① 安定稼働のためのメンテナンス

長期間の安定稼働を実現するため、経年劣化による機能低下及び故障の防止等、

定期的にメンテナンスを行うことで、安心、安全な利用を実現する。

② 障害発生時の復旧対応

機器の故障等により発生する障害において、専門的な知識や対応が必要となる

原因調査、抜本的な復旧対応を、迅速に実施するためにあらかじめ体制等を定

めておく。

いずれも必要な保守対応にはなるが継続的な費用が発生することから、「Sapporo

Window」の将来的な利用計画(リニューアルの予定等)や予算に応じて、優先度によ

る対象範囲の選定を実施する必要がある。

また、保守対応については、発生頻度は少ないが、発生する際には常に重要度、緊

急度が高くなる作業であることから、業務委託先は実績に応じて選定することが望ま

しいと考えられる。

以上を踏まえ、「Sapporo Window」の保守に関する方針を以下に定める。

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① 機材の故障等の障害発生時に迅速な対応を行うため、同等の機材構成、及び機器

の取り扱いに関する保守サポートの実績を有する組織と連携することにより、運

用開始後の安定稼働を図る。

② 長期に渡る運用・保守に耐え得る規模・実績を有する組織と連携することにより、

継続的な稼働を阻害するリスクの軽減を図る。

③ 定期的な保守作業については、図書・情報館の休館日、もしくは閉館時間帯に実

施するものとし、事前に双方にて作業日を調整した上で実施する。

④ 保守の対象範囲及び対応内容については、別途、図書・情報館、並びに保守事業

者の間で保守契約を結び、契約の取り決めに応じて対応を実施する。

7.1.2. 「Sapporo Window」の運用について

運用については、日々の「Sapporo Window」の稼働を支える重要な内容となること

から、長期的な安定稼働を実現するためにも、図書・情報館の職員の方であれば、誰

もが対応できるように考える必要がある。

また、定期的ではないが、将来に渡って「Sapporo Window」を利用していく中では、

当初の利用想定にはない利用の仕方が必要になることも考えられるため、そのような

ケースが発生した場合に備え、問い合わせなどに関する体制・窓口を明確にしておく

必要がある。

以上を踏まえ、「Sapporo Window」の運用に関する方針を以下に定める。

① 専任の担当者によるオペレーションではなく、図書・情報館の職員による兼任で

の対応となることから、他の業務を実施しながらでも可能な範囲及びボリューム

の業務とする。(自動化を基本とする)

② 属人化等による運用リスクを回避するため、専門的な知識がなくとも、マニュア

ル等の情報を参照することにより対応が可能となるように、オペレーション内容

はシンプル化する。

③ 通常の運用・保守業務は、図書・情報館の職員にて対応するが、業務改善及び、

コンテンツの入れ替え等の通常の運用・保守業務以外については、発生頻度が少

なく、発生時期も定義できないことから、都度、依頼ベースによる業務支援とし

て対応するものとする。

④ 図書・情報館の開館当初は、「Sapporo Window」にて再生するコンテンツは 1 種

類となることから、タイムテーブル等によるスケジュール管理、コンテンツ制御

は実施せず、運用業務上でのコンテンツの切り替えは不要となる。

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7.2. 保守・運用に関する計画について

7.2.1. 「Sapporo Window」の保守について

保守対応としては、下記の対応が考えられる。

項番 対象 説明

1 コンテンツ関連 ① 外部とのデータ連携における異常/障害

② コンテンツの再生に関する異常/障害

2 機器関連 ① 色調や明るさ等のディスプレイの定期チェック、

及び調整

② 各種機器の設置の安全性に関する定期チェック、

及び調整

③ 各種機器の故障

④ 事故等による機器の破損(契約範囲内)

しかし、障害の中には、電源やネットワーク、壁面等の「Sapporo Window」の対応

範囲外の設備に起因して発生する障害もあることから、原因調査の結果、「Sapporo

Window」の対象設備外での対応が必要になった場合は、別途、対応方法を検討する必

要がある。

■下記の事象については、「Sapporo Window」の保守対象外とする。

① 施設が導入した設備、環境に付随する異常/障害

② 想定外の利用によって発生した異常/障害

③ 保守契約の対象外となる作業内容

また、保守対応を進めるための体制としては下記が考えられる。

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項番 役割 説明

1 図書・情報館職員

(運用担当)

現場の担当者として異常/障害を発見した場合に、

速やかにエスカレーションを行った上で、対処マニ

ュアルに基づき 1次対処を実施する

エスカレーション後、暫定対処もしくは正式な対処

方法の実施が決定した場合は、指示に従い対処を実

施する

2 図書・情報館職員

(意思決定担当)

現場の担当者からのエスカレーションに対して、対

象範囲を特定した上で、保守契約に基づき対象とな

る保守事業者へエスカレーションする

エスカレーション後、保守事業者と対処方法につい

て検討した上で、暫定対処もしくは正式な対処方法

の実施が決定した場合は、現場担当者へ指示を出す

3 コンテンツ関連

保守業務受託者

図書・情報館からのエスカレーションがあった場合

に、保守契約に基づき、対処方法の検討及び、対処

方法の指示を出す

また、必要に応じて、オンサイトでの対処を調整・

実施する

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4 設備関連

保守業務受託者

図書・情報館からのエスカレーションがあった場合

に、保守契約に基づき、対処方法の検討及び、対処

方法の指示を出す

また、必要に応じて、オンサイトでの対処を調整・

実施する

7.2.2. 「Sapporo Window」の運用について

運用対応は、あらかじめ実施が決められている通常運用業務と、それ以外の必要に

応じて実施されることの多い運用業務の 2つに分けられる。

通常運用業務は、日々実施することが多く、あらかじめ対応手順も定められること

から、手順書の作成等の事前準備をしっかり実施することで、安定的な稼働を実現す

る。

一方、通常以外の運用業務については、必要に応じて実施する性質上、あらかじめ

対応方法を決めておくことは難しく、都度、状況に合わせて対応を進める必要がある

ことから、問い合わせなどに関する体制・窓口を明確にしておく必要がある。

通常運用業務及びそれ以外の運用業務について、考えられる作業内容は下記となる。

■通常の運用・保守業務

項番 対象 説明

1 コンテンツ関連

(日次)

① コンテンツの再生/停止

② コンテンツの動作状況の確認

2 コンテンツ関連

(任意のタイミング)

① 時刻の設定(時報の誤差調整)

※週次等

3 機器関連

(日次)

① 各種機器の起動/停止

② 各種機器の稼働状況の確認

4 イベント関連

(任意のタイミング)

① セミナー開催時等のコンテンツの切り替え

※セミナーの開催スケジュールに従う

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■通常の運用・保守業務以外

実施内容により対応方法が変わることから、本業務の対象外とし、発生の都度、必

要に応じて実施を検討する。

項番 対象 説明

1 コンテンツ関連 ① コンテンツの入れ替え(リニューアル)

② 複数コンテンツの導入、及びスケジュールによる

コンテンツ制御

2 機器関連 ① 各種機器の構成変更

② 各種機器の経年劣化等による入れ替え

※事故・故障等については保守業務の対象

また、安定的に運用を回すために、日々の業務を実施する図書・情報館の職員に対

する導入教育の実施の他、問い合わせ窓口も明確にしておく。

項番 役割 説明

1 図書・情報館職員

(運用担当)

現場の担当者として、定期的な運用業務全般を実施

する

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2 図書・情報館職員

(意思決定担当)

現場の担当者からのエスカレーションに対して、対

処を検討の上、意思決定を行い指示を出す

3 運用支援業務受託者 不定期での運用支援業務が発生した場合に、対処に

ついて検討し、必要に応じて対処を実施する

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8. 「職員研修、利用者案内等に係る計画作成」における調査報告

<業務内容>

1 本システムを稼働させるためのオペレーションに関する導入研修について検討

する。

2 コンテンツの投入におけるシステム操作に関する導入研修について検討する。

3 利用者への操作説明について検討する。

8.1. 導入研修(導入教育)について

「Sapporo Window」の稼働を安定させ、情報の発信を拡大するため、下記の方を対

象として導入教育を実施する。

① 「Sapporo Window」に表示するコンテンツを操作する者

② 「Sapporo Window」の機器を操作する者

③ セミナーなどのイベントにおいて、「Sapporo Window」を操作する者

④ 「Sapporo Window」の保守を担当する者

⑤ 利用者への応対を担当する者

⑥ 施設の責任者及び、フロアを管理する者

導入教育の内容は、利用する機器や機器の構成、コンテンツの内容や再生方法、利

用シーンやユースケース等に応じて設定する必要があることから、下記の内容が必要

であると考えられる。

項番 教育内容 説明

1 コンテンツの操作 ・コンテンツの再生に関する手順

・コンテンツ稼働環境(OS 等のソフトウェア)の

設定変更に関する手順

2 機器の操作 ・機器の操作、及び設定変更に関する手順

・機器の稼働状況の確認方法

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3 異常/障害時の対応 ・原因調査のための情報収集の手順

・原因の切り分け方法

・保守担当事業者への問い合わせ手順

・暫定対応の手順

・異常/障害発生に関する対応状況の管理方法

4 コンテンツの解説 ・利用者へのコンテンツの内容に関する説明

・利用者へのコンテンツ利用方法の説明

8.2. 導入教育の進め方について

導入教育は、受講する対象者が、実際に運用することができるようになることが目

的となるため、運用で使用する資料や実際の機器等を利用して実施する必要がある。

導入教育で使用する各種資料は下記となる。

項番 資料 説明

1 運用マニュアル 運用に関する条件及びルール、各種操作手順につい

て、「Sapporo Window」稼働後の実運用で利用するマ

ニュアル

① コンテンツ操作マニュアル

② 機器操作マニュアル

2 異常/障害時の

対応マニュアル

異常/障害が発生した場合の対処手順について、

「Sapporo Window」稼働後の実運用で利用するマニ

ュアル

① 異常/障害対処マニュアル

② 保守事業者リスト

③ 異常/障害対応管理台帳

3 利用案内 「Sapporo Window」に関する解説書

① コンテンツ解説書

② 利用者への案内書

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また、「Sapporo Window」の稼働前(導入時)と稼働後では、実施できる内容及び環

境の状態が異なることから、それぞれ下記の要領で実施する。

■「Sapporo Window」稼働前(導入時)

① 環境構築後、コンテンツを導入した後の仮運用期間を利用して、一斉教育として

実施する

② 実際に操作可能な手順については、受講者がオペレーションを実施する

③ 異常/障害については、故意に再現が可能な事象のうち、いくつかの事象に絞り、

実際に再現させた上で受講者がオペレーションを実施する

④ 利用者への案内については、利用シーンを想定した上で受講者同士でシミュレー

ションする

■「Sapporo Window」稼働後(利用中)

① 人員の交代等に合わせ必要に応じて実施する

② 実際に操作可能な手順については、時間外等を利用して受講者がオペレーション

を実施する

③ 異常/障害については、故意に再現が可能な事象については、時間外等を利用し

て、実際に再現させた上で受講者がオペレーションを実施する

再現が難しい場合は、OJT(On-the-Job Training)形式で教育を実施する

④ 利用者への案内については、利用シーンを想定した上で受講者同士でシミュレー

ションを実施するか、OJT(On-the-Job Training)形式で実施する

8.3. コンテンツの投入に関する導入教育について

「Sapporo Window」では、運用においてコンテンツを投入する業務は必須ではない

が、コンテンツの表現や利用促進の施策としてコンテンツの投入を導入する場合には、

保守・運用内容を検討した上で、導入教育も実施する。

また、外部のアーティスト等からの提供により、一時的に通常とは異なるコンテン

ツを利用する場合は、表示するコンテンツ(コンテンツを再生する機器)の切替にて

対応することとなるため、機器の操作に関する導入教育内に含める。