「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 ......2020/04/15  ·...

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2020 年4月 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 <金融庁公表物> 「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施につ いて(令和2年度)」(2020 年3月 27 日公表)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.1 ➣平成 31 年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項・・ P.3 ➣令和2年度 有価証券報告書レビューの実施について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.40 ➣令和2年度 法令改正関係審査の留意事項等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.43 ➣法令改正関係審査(令和2年3月期以降版)調査票・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.61 2020 年3月 31 日付の公表物> ●企業会計基準委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.62 ➣企業会計基準第 29 号「収益認識に関する会計基準」等 2020 年3月 31 企業会計基準委員会) ➣企業会計基準第 31 号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」 2020 年3月 31 企業会計基準委員会) ➣企業会計基準第 24 号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」 2020 年3月 31 企業会計基準委員会) ➣実務対応報告第 39 号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適 用に関する取扱い」(2020 年3月 31 企業会計基準委員会) ●日本公認会計協会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.62 ➣監査・保証実務委員会報告第 82 号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱 い」(2020 年3月 17 日最終改正 2020 年3月 31 日公表 日本公認会計士協会) ➣監査・保証実務委員会実務指針第 85 号「監査報告書の文例」(2020 年3月 17 日最終改正 2020 年3月 31 日公表 日本公認会計士協会) 2020 年3月 31 日付の公表物の有価証券報告書作成の手引きへの影響> 有価証券報告書作成の手引き(2020 年版) (1)<連結財務諸表を作成している会社用>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.63 (2)<連結財務諸表を作成していない会社用>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.74

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Page 1: 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 ......2020/04/15  · 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 <金融庁公表物>

2020年4月

「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料

<金融庁公表物>

「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施につ

いて(令和2年度)」(2020 年3月 27 日公表)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.1

➣平成 31年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項・・ P.3

➣令和2年度 有価証券報告書レビューの実施について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.40

➣令和2年度 法令改正関係審査の留意事項等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.43

➣法令改正関係審査(令和2年3月期以降版)調査票・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.61

<2020年3月 31日付の公表物>

●企業会計基準委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.62

➣企業会計基準第 29号「収益認識に関する会計基準」等

(2020年3月 31日 企業会計基準委員会)

➣企業会計基準第 31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」

(2020年3月 31日 企業会計基準委員会)

➣企業会計基準第 24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」

(2020年3月 31日 企業会計基準委員会)

➣実務対応報告第 39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適

用に関する取扱い」(2020年3月 31日 企業会計基準委員会)

●日本公認会計協会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.62

➣監査・保証実務委員会報告第 82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱

い」(2020年3月 17日最終改正 2020年3月 31日公表 日本公認会計士協会)

➣監査・保証実務委員会実務指針第 85 号「監査報告書の文例」(2020年3月 17 日最終改正

2020年3月 31日公表 日本公認会計士協会)

<2020年3月 31日付の公表物の有価証券報告書作成の手引きへの影響>

有価証券報告書作成の手引き(2020 年版)

➣(1)<連結財務諸表を作成している会社用>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.63

➣(2)<連結財務諸表を作成していない会社用>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P.74

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本書のご利用にあたって

以下の会計基準等の公表、委員会報告等の改正に伴い、有価証券報告書作成の手引き(2020年版)の記

載例の一部を更新する必要が生じましたので、本「セミナー資料」においてこれらの影響を反映した記載例

に変更しております。

なお、変更箇所は網掛けを施しております。

企業会計基準委員会

・企業会計基準第 29号「収益認識に関する会計基準」等(2020 年3月 31日 企業会計基準委員会)

・企業会計基準第 31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(2020 年3月 31日 企業会計基準

委員会)

・企業会計基準第 24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(2020年3

月 31日 企業会計基準委員会)

・実務対応報告第 39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する

取扱い」(2020年3月 31日 企業会計基準委員会)

日本公認会計士協会

・監査・保証実務委員会報告第 82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(2020

年3月 17日最終改正 2020年3月 31日公表 日本公認会計士協会)

・監査・保証実務委員会実務指針第 85号「監査報告書の文例」(2020年3月 17日最終改正 2020年3

月 31日公表 日本公認会計士協会)

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令和2年3⽉27⽇⾦融庁

有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和2年度)

 令和2年3⽉期以降の事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項は以下のとおりです。 (1) 新たに適⽤となる開⽰制度に係る留意すべき事項

令和2年3⽉期に適⽤される開⽰制度の改正のうち、主なものは以下のとおりです。・ 平成31年1⽉に施⾏された「企業内容等の開⽰に関する内閣府令の⼀部を改正する内閣府令」による改正

(「経営⽅針・経営戦略等」、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」及び「監査の状況」)

(2) 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項平成31年度の有価証券報告書レビューの審査結果及びそれを踏まえた留意すべき事項は 別紙1のとおりです。

 令和2年3⽉期以降の事業年度に係る有価証券報告書のレビューについては、以下の内容で実施します。なお、過去の有価証券報告書レビューにおいて、フォローアップが必要と認められた会社についても、別途審査を実施します。( 別紙2参照)

(1) 法令改正関係審査平成31年1⽉に施⾏された「企業内容等の開⽰に関する内閣府令の⼀部を改正する内閣府令」による改正につい

て、記載内容を審査します (「経営⽅針・経営戦略等」、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」及び「監査の状況」が対象)。このため、有価証券報告書提出会社は、別添の「 調査票」に回答していただき、有価証券報告書の提出とあわせて、所管の財務局等にご提出ください。なお、具体的な提出⽅法等については、所管の財務局等から別途ご連絡いたします。(令和2年3⽉期以降の事業年度に係る法令改正関係審査の留意すべき事項等は 別紙3参照)

(2) 重点テーマ審査今回(令和2年3⽉期以降)の重点テーマは、以下のとおりです。審査対象となる会社には、所管の財務局等から

別途ご連絡いたします。〔重点テーマ〕

・ セグメント情報・ IFRS15「顧客との契約から⽣じる収益」(※)(※)主に指定国際会計基準を任意適⽤する会社が対象

(3) 情報等活⽤審査上記に該当しない場合であっても、適時開⽰や報道、⼀般投資家等から提供された情報等を勘案して審査を実施し

ます。 (参考)開⽰義務違反等に関する⾦融庁の情報受付窓⼝(ディスクロージャー・ホットライン)

お問い合わせ先

企画市場局企業開⽰課開⽰業務室⾦融庁 Tel 03-3506-6000(代表)(内線2428、3842)

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平成31年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項

令和2年3月27日金融庁企画市場局

別紙1

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目 次

記述情報の充実にむけた金融庁の取組

役員の報酬等

株式等の保有状況

税効果会計

関連当事者取引

ストック・オプション等

ESOP等

過年度の審査結果のフォローアップ

・・・ P6~P28

・・・ P29~P37

・・・ P3~P5

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「平成31年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項」の公表

金融庁は、上場会社等から提出された有価証券報告書の記載内容について、深度ある審査を行うため、各財務局、福岡財務支局及び沖縄総合事務局と連携して、「法令改正関係審査」、「重点テーマ審査」及び「情報等活用審査」を柱とした有価証券報告書レビューを実施している。

平成31年度の有価証券報告書レビューに関して、現在(令和2年3月27日時点)までの実施状況を踏まえ、複数の会社に共通して記載内容が不十分であると認められた事項に関し、記載に当たっての留意すべき事項等を取りまとめた。

なお、記載内容が不十分であると認められた事項には、会計監査の対象となる財務諸表等に関わるものも含まれている。そのため、留意すべき事項等については、有価証券報告書提出会社のみならず、監査を実施する公認会計士又は監査法人においても、十分に留意いただきたい。

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記述情報の充実に向けて

平成31年度の審査対象である「役員の報酬等」や「株式等の保有状況」については記述情報が含まれており、提出会社の実情に合わせて一定の自由な記載が可能となっている。

一方で、法令が求める最低限の記載水準を満たすことのみを目的として、ルールへの形式的な対応にとどまる開示も見られ、投資家等が必要とする十分な情報が得られない事例も見受けられる。

そこで、今般、記述情報の記載ぶりに改善の余地があると考えられる提出会社に、翌年度からの改善・充実に向けた検討を求める通知を発出した。(全提出会社の3割程度(※))

投資家等との建設的な対話を促進し、企業価値の向上につながるよう、提出会社には、記述情報のより一層の充実を期待する。

ルールへの形式的な対応

投資家等の期待

投資家等との建設的な対話の促進、企業価値の向上

通知をした会社の記載水準のイメージ

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(※)3月31日期~9月期決算会社までの割合。以降の決算会社については、今後、引き続き審査を実施。

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(参考)平成31年度有価証券報告書レビューの概要

平成31年3月31日以降を決算期末とする有価証券報告書の提出会社を対象

((1)はすべての提出会社を対象。(2)(3)は対象会社を選定の上、質問票を送付。)

(1) 法令改正関係審査

平成31年1月に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」による改正について、記載内容を審査

(2) 重点テーマ審査

以下のテーマに着目して審査

・ 関連当事者に関する開示・ ストック・オプション等に関する会計処理及び開示・ 従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する会計処理及び開示

(3) 情報等活用審査

適時開示や報道、提供された情報等を勘案し審査

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法令改正関係審査

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記述情報の充実にむけた金融庁の取組

平成31年3月期から適用されている役員報酬と政策保有株式の開示については、記載の充実が図られているものの、特に政策保有株式の開示については投資家が期待する開示と大きく乖離

役員報酬についての開示の好事例を公表(令和元年11月29日)

政策保有株式については、投資家がどのような開示を期待しているかをまとめた開示のポイントを公表(令和元年11月29日)

令和2年3月期から適用となる経営戦略等やリスク情報等の記述情報については、改正内閣府令の適用に先立ち、一部の企業において充実。令和2年3月期からの適用に向けて、このモメンタムを更に拡大させていくことが課題

「記述情報の開示の好事例集」について、本年3月期の有価証券報告書の好事例を反映し更新(令和元年12月20日)

主な課題と今後の取組み

資本市場の機能発揮を通じた、最適な資金フローの実現のために、ソフトローによる取組み(スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コード)に加え、ハードローによる取組み(企業情報の開示の充実)も併せて行うことにより、投資家の適切な投資判断と投資家と企業との建設的な対話を促していく。

有価証券報告書における記述情報の充実

① 記述情報の開示に関する原則 (平成31年3月19日公表)

経営方針・経営戦略等 、経営成績等の分析 、リスク情報を中心に 、有価証券報告書における開示の考え方等を整理

② 記述情報の開示の好事例集 (平成31年3月19日公表)

投資家・アナリスト及び企業からなる勉強会を開催し、記述情報の開示の好事例を収集し公表

2.上記改正の効果を高めるための取組み

主な改正内容① 平成31年3月期から適用建設的な対話促進に向けたガバナンス情報の拡充 政策保有株式の保有方針や保有の合理性の検証方法、個別開示の対象銘柄数の拡大(30銘柄から60銘柄)等

役員報酬について、報酬プログラムの説明やプログラムに基づく報酬実績等に関する開示を拡充

② 令和2年3月期から適用 「記述情報」の充実経営方針・経営戦略、経営成績等の分析において、経営者目線の議論や資本コストの議論の適切な反映 等

監査役会等の活動状況等の開示の拡充

1.内閣府令の改正(平成31年1月31日公布・施行)

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金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告に基づく開示府令改正の概要(平成31年1月31日公布・施行)

経営方針・経営戦略等について、市場の状況、競争優位性、主要製品・サービス、顧客基盤等に関する経営者の認識の説明を求める

事業等のリスクについて、顕在化する可能性の程度や時期、リスクの事業へ与える影響の内容、リスクへの対応策の説明を求める

会計上の見積りや見積りに用いた仮定について、不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響等に関する経営者の認識の記載を求める 等

役員の報酬について、報酬プログラムの説明(業績連動報酬に関する情報や役職ごとの方針等)、プログラムに基づく報酬実績等の記載を求める

政策保有株式について、保有の合理性の検証方法等について開示を求めるとともに、個別開示の対象となる銘柄数を現状の30銘柄から60銘柄に拡大する 等

監査役会等の活動状況(監査役会の開催頻度、主な検討事項、個々の監査役の出席状況等)、監査法人による継続監査期間等の開示を求める 等

主な改正内容

適用時期

① 平成31年3月期から適用(上記「Ⅱ建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供」欄に記載の項目等)② 令和2年3月期から適用(①以外)

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平成31年度法令改正関係審査の対象

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審査内容と審査結果(役員の報酬等)

平成31年1月に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」による改正が行われたことから、改正後の内閣府令(改正開示府令)に基づき適切な記載がなされているかどうかについて審査を行った。

審査内容

審査結果

改正開示府令により、• 「報酬の決定・支給の方法やこれらに関する考え方を具体的に分かりやすく記載」• 「実績と報酬プログラムが整合的か等を確認出来るようにするため、当期の報酬額を決定した理由やKPIの目標と達成状況を記載」

• 「報酬決定プロセスの客観性・透明性のチェックを可能とするため、算定方法の決定権者や取締役会・報酬委員会の報酬決定に関する具体的活動等を記載」

すること等が求められているところ、以下のような事例が確認された。

(ア) 業績連動報酬の額の決定方法に具体性がないほか、指標の目標や実績等の記載がない。

(イ) 役員報酬の算定方法の決定権者やその権限や裁量の範囲に具体性がない。(ウ) 報酬額の決定過程における取締役会等の活動内容の記載がない、あるいは、具体性

がない。

役員の報酬等

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留意すべき事項(役員の報酬等)

留意すべき事項

役員の報酬等については、提出会社ごとに様々な組織形態や報酬制度があることから、その開示の仕方についても各社の工夫が求められる。ただし、提出会社の役員の報酬等の状況は、投資家等がコーポレート・ガバナンスを評価する観点等から関心が高い事項であることから(注) 、各提出会社は開示府令の趣旨に照らして充実した開示を検討されたい。(注)スライド17 コーポレートガバナンス・コード、投資家と企業の対話ガイドライン 参照

今後、各提出会社における記載充実に向けた検討に資するよう、次スライド以降において、以下の資料を掲載する。

改正開示府令のポイント 「役員報酬」の好開示例 改善の余地があると考えられる開示例 その他、参考となる情報

※ なお、好事例の記載をそのまま引用するのではなく、あくまでも各社の状況に応じて記載を検討することに留意する必要がある。

役員の報酬等

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【報酬プログラム】○ 報酬の決定・支給の方法やこれらに関する考え方を具体的に分かりやすく記載

固定報酬、短期の業績連動報酬(賞与)、中長期の業績連動報酬(ストックオプション等)それぞれの算定方法

固定報酬と短期・中長期の業績連動報酬の支給割合

役職ごとの支給額についての考え方

役員報酬の算定方法にKPI等の指標が関連付けられている場合には、その指標と指標の選定理由、業績連動報酬への反映方法

報酬総額等を決議した株主総会の年月日及び決議内容 等

【報酬実績】

○ 実績と報酬プログラムが整合的か等を確認できるようにするため、以下を記載

当期の報酬額に決定した理由、当期のKPIの目標と実際の達成度

固定報酬と業績連動報酬の支給割合の実績、支給された報酬の状況 等

【報酬決定の枠組み】○ 報酬決定プロセスの客観性・透明性のチェックを可能とするため、以下を記載

算定方法の決定権者、その権限や裁量の範囲

報酬委員会がある場合にはその位置付け・構成メンバー

取締役会・報酬委員会の報酬決定に関する具体的活動内容 等

改正開示府令のポイント (平成31年3月期以降適用)

役員報酬に係る改正開示府令のポイント

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役員の報酬等

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b. 業務執行を担う取締役の報酬の構成割合当社連結業績(単年度・中長期)、当社株主総利回りの伸長等に応じ、業績連動報酬の比率が高くなる設計とし、継続的かつ中長期的な企業価値向上を意識づける制度としています。また、株主の皆様との価値共有の観点から、報酬の一部として、株式(新株予約権)を付与しています。

報酬の種類

給与方式・固定/変動

業績連動指標

報酬の内容

業務執行を担う

(執行役員兼務)取締役

取締役会長

社外取締役

監査役

基本報酬 現金・固定 - ・役位に応じて決定した額を、毎月支給しています。 〇 〇 〇 〇…

業績連動賞与

(中長期)

現金・変動

連結当期純利益(中長期)

・ガバナンス・指名・報酬委員会で審議上、取締役会で決議されるフォーミュラに基づき、中長期の連結当期純利益に応じて 支給額を決定しています。・当該事業年度以降の3事業年度の連結当期純利益(当社の所有者に帰属するもの)の平均値が、株主資本コストの平均値を上回る場合には、中長期の業績に連動して支給額を変動させる一方、株主資本コストの平均値を下回る場合は不支給とすることとしています。また、支給総額には上限を設けて運用しています。

〇 - - -

中長期株価連動型株

式報酬

株式(新株予約権)・

変動

株価/株式成長率(中長期)

・株主の皆様との価値共有、並びに中長期的な企業価値向上及び株価上昇に対するインセンティブ付与の観点から、支給しています。・新株予約権は、割当から3年間は行使不可とし、当該3年間を業績評価期間とします。評価期間中の当社株式成長率(当社株主総利 回り(Total Shareholder Return、以下「TSR」という)を、同期間中の東証株価指数(以下「TOPIX」という)の成長率で除して算出する)に応じて、権利行使可能となる新株予約権の数を変動させる仕組みとしています。・ストックオプション行使により取得した株式を含め、在任中は株式を保有することを基本方針とし、役位に応じて定めている基本報酬の300%程度に相当する価値の株式数を超えるまでは売却を制限しています。

〇 - - -

④ 取締役及び監査役の報酬等の決定方針等

・当社役員報酬制度の基本的な考え方

当社では、コーポレート・ガバナンスに関する基本方針に基づき、継続的な企業価値向上につな

がるよう、また、業務執行・経営監督の機能に応じて、それぞれが適切に発揮されるよう、役員報酬

制度を定めています。当社の役員報酬制度の基本的な考え方は以下のとおりです。

・報酬水準の考え方

当社役員が担うべき機能・役割、当社業績水準等に応じた報酬水準とする。また、当社

が目指す業績水準を踏まえ、経営層の報酬として、業績の達成状況等に応じて、グローバ

ルベースで競争力を有する報酬水準を実現することで、次世代の経営を担う人材の成長意

欲を喚起し、組織の活力向上を図る。

・報酬構成の考え方

業務執行を担う取締役の報酬については、業績との連動を強化し、単年度の業績のみな

らず、中長期的な企業価値に連動する報酬を採用することや、現金報酬のほか、株主価値

との連動性をより強化した株式報酬(株価条件付)を設けることで、より中長期的な企業

価値向上を意識づける報酬構成とする。経営の監督機能を担う取締役会長及び社外取締役、並び

に監査を担う監査役については、それぞれ適切にその役割を担うため、独立性を確保する必要

があることから、固定の月例報酬のみを支給し、業績により変動する報酬は支給しない。

・報酬ガバナンスについて

役員報酬の決定方針、報酬水準・構成の妥当性及びその運用状況等については、取締役

会の諮問機関であり、社外役員が過半数を占めるガバナンス・指名・報酬委員会(注)に

おいて、継続的に審議・モニタリングしていくこととする。

(注)ガバナンス・指名・報酬委員会の概要については、(1)[コーポレート・ガバナンス

の概要]④ a.をご参照ください。

【コーポレートガバナンスの状況等】 ※ 一部抜粋

・・

・・

⑤ 役員報酬制度(令和元年度以降)

a. 報酬の内容

1.取締役報酬枠については、以下①~④のとおり、令和元年6月21日定時株主総会において決議しています。① 基本報酬、積立型退任時報酬及び加算報酬を対象として、年額15億円以内(うち、社外取

締役に対する基本報酬を対象として、年額1.8億円以内)② 業績連動賞与(短期)を対象として、当該事業年度の連結当期純利益(当社の所有者に帰

属するもの)の0.06%の範囲内(年額)③ 業績連動賞与(中長期)を対象として、当該事業年度以降の3事業年度の連結当期純利益

(当社の所有者に帰属するもの)の平均値の0.06%の範囲内(年額)④ 中長期株価連動型株式報酬を対象として、年額6億円以内(但し、年間の株式数の上限は

400,000株とする。)2.監査役報酬枠については、年額 2.5億円以内とすることを、令和元年6月21日定時株主総会において決議しています。

(注)

(4)【役員の報酬等】

「役員報酬」の好開示例三菱商事株式会社(1/2) 有価証券報告書(平成31年3月期) P86-89

▪ 取締役及び監査役の報酬等の決定方針について、基本的な考え方に加え、報酬ガバナンスについても記載

▪ 報酬の種類毎に業績連動指標、報酬の内容及び支給対象者を分かりやすく記載

▪ 取締役報酬枠の株主総会決議の内容を具体的に記載

役員の報酬等

金融庁が公表している「記述情報の開示の好事例集」(令和元年11月29日更新)で上記以外の好開示例も参照可。 1214

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定性評価を含む個人業績評価に基づいて支給額を決定する加算報酬については、業務執行を担う

取締役に対して、毎年、取締役会から委任を受けた社長が、当該事業年度の各役員の業績評価を行

い、その結果を反映して、個人別支給額を決定しています。社長自身の業績評価は、ガバナンス・

指名・報酬委員会の下部機関であり、同委員会の委員長である取締役会長及び委員である社外取締

役をメンバーとする社長業績評価委員会において決定しています。

業績評価結果については、客観性・公正性・透明性を担保する観点から、取締役会に報告しております。

監査役の報酬の総額及び個人別支給額については、令和元年6月21日開催の平成30年度定時株主総会で決

議された監査役報酬枠の範囲内で、監査役の協議を経て決定しています。

(注)業績連動賞与(短期)、業績連動賞与(中長期)及び中長期株価連動型株式報酬に

ついて、その算定式の内容は以下のとおりです。

A. 業績連動賞与

1. 業績連動賞与(短期)

令和元年度に係る業績連動賞与(短期)の算定式の内容は以下のとおりです。

(1) 支給対象

法人税法第34条第1項第3号に定める「業務執行役員」である執行役員を兼務する取締役

(以下「対象取締役」という。)を対象とします。

執行役員を兼務しない取締役会長、社外取締役及び監査役は支給対象外とします。

(2) 総支給額の上限

i) 6億円、ii)下記(3)で定める個別支給額の最大支給額合計のいずれか少ない額を 上

限とします。

(3) 個別支給額

各役位における具体的な算定フォーミュラは以下のとおりとなります。(千円未満四捨五

入)但し、令和元年度に係る株主資本コスト(4,400億円)を下回る場合には支給額を0と

します。

社長 {令和元年度連結当期純利益(当社の所有者に帰属)- 4,400億円}×0.025%

+0.35(億円)

常務執行役員 {令和元年度連結当期純利益(当社の所有者に帰属)-4,400億円}

×0.0075%+0.105(億円)

【コーポレートガバナンスの状況等】 ※ 一部抜粋

・・・

⑥ 報酬ガバナンス(取締役会及びガバナンス・指名・報酬委員会の関与)

a. 令和元年度以降の役員報酬制度の改定

当社は、ガバナンス・指名・報酬委員会等における継続的な審議を経て、令和元年5月17日開催の取締

役会 にて、令和元年度以降の役員報酬制度を見直すことを決議しました(具体的な役員報酬制度の内容

については、前項の役員報酬制度(令和元年度以降)をご参照ください)。今般の役員報酬制度の改定

に係る具体的 な審議プロセスは、以下のとおりです。

<平成30年10月開催 ガバナンス・指名・報酬委員会>

・役員報酬に関する課題(報酬水準・構成の在り方、固定・変動報酬比率等)を整理。

・今後の役員報酬見直しに当たっての基本的な考え方について審議。

<平成30年11月開催 定例取締役会>

・ガバナンス・指名・報酬委員会での検討状況を報告。

<平成31年2月開催 独立社外役員会議※>

・見直しに当たっての基本的な考え方について確認。

・見直し後の報酬水準・構成、当社における報酬ガバナンスの在り方について審議。

<平成31年3月開催 ガバナンス・指名・報酬委員会>

・見直し後の具体的な報酬水準・構成について確認。

・変動報酬に関し、それぞれの構成割合及び算定フォーミュラ(条件)の具体案について審議。

・見直し後の役員報酬に関する開示案について審議。

<平成31年4月開催 定例取締役会>

・ガバナンス・指名・報酬委員会での検討状況を報告。

<令和元年5月開催 定例取締役会>

・役員報酬の見直しについて、取締役会で決議。

※取締役会以外の場での独立社外役員の自由な意見交換を目的に、四半期に1回程度開催している会議

((2)[役員の状況]②社外取締役及び社外監査役の状況 d.をご参照ください)。

(4)【役員の報酬等】 ※ 一部抜粋

b. 役員報酬の審議・決定プロセス

取締役の報酬の決定方針や、報酬額(実支給額)の決定に当たっては、取締役会及びガバナンス・指

名・報 酬委員会における審議・決定プロセスを経ることとしています。

報酬額(実支給額)の決定に際し、加算報酬を除く、取締役の各報酬の支給総額及び個人別支給額は、令

和元年6月21日開催の平成30年度定時株主総会で決議された各報酬の報酬枠の範囲内で、取締役会の決議に

より決定しています。

13

▪ 役員報酬制度の改定について、ガバナンス・指名・報酬委員会の議論の内容を具体的に記載

▪ 役員報酬の決定プロセスについて具体的に記載

▪ 業績連動報酬の算定方式について具体的に記載

役員の報酬等「役員報酬」の好開示例三菱商事株式会社(2/2) 有価証券報告書(平成31年3月期) P90-91

金融庁が公表している「記述情報の開示の好事例集」(令和元年11月29日更新)で上記以外の好開示例も参照可。15

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14

改善の余地があると考えられる開示例

(4)【役員の報酬等】※一部加工①役員報酬等の額の決定に関する方針の内容2.取締役の報酬限度額は、●年●月●日開催の定時株主総会決議により、年額XX円の範囲内で決定します。この他に、●年●月●日開催の第●回定時株主総会において、取締役(社外取締役を除く)に対して業績連動報酬を支給することが決議されています。

(4)【役員の報酬等】※一部加工①役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項取締役に関しては、経営者として有能な人材を登用・確保することを目的に、企業価値向上への貢献に対する意欲に直結する報酬体系としております。その算定方法については、東京証券取引所第一部上場で同規模企業の平均的な水準をベースに、ステークホルダーへの説明責任を果たせるよう公正性、合理性及び客観性を確保するよう制度化しております。そのような制度のもと、代表取締役及び業務執行取締役などの役職ごとに固定報酬の額を定めており、当社を取り巻く経営環境など経済情勢の変化により、加算または減算を行うこととしております。さらに、業績の状況及び業績への貢献度に応じたインセンティブと位置付ける業績連動型報酬制を導入しております。この制度は、一般株主の視点からROEを意識し、経営方針の実践を通じた業績及び株主価値の向上に向けて、取締役に対するインセンティブを充足するものと考えております。

開示例1(A社)

<改善の余地があると考えられるポイント>〇 業績連動報酬の額の決定方法に具体性がない。〇 役員報酬の算定方法にKPI等の指標が関連付けられている場合に、その指標と指標の選定理由、業績連動報酬への反映方法がない。

[改善の方向性]業績連動報酬の金額がどのように計算されるのかを計算式や目標とする指標を示して説明するなど、会社の業績等との連動が分かるよう具体的に記載。

[改善の方向性]業績連動報酬に係る指標やその選定理由、業績連動報酬の額の決定方法、当該指標の目標と実績を明示し、業績連動報酬が取締役に対するインセンティブとしてどのように機能しているかを具体的に説明。

役員の報酬等

開示例2(B社)

16

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15

改善の余地があると考えられる開示例

(4)【役員の報酬等】※一部加工① 役員報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項当社の役員の報酬等の決定に関する方針は、客観性および透明性を確保するため、社外取締役が半数以上を占める報酬委員会において審議し、その答申を踏まえ取締役会で決定することとしております。

(4)【役員の報酬等】※一部加工① 役員報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項取締役に対する報酬限度額は、●年●月●日開催の第●回定時株主総会において、取締役(監査等委員である取締役を除く)に対して年額●円以内、監査等委員である取締役に対して年額●円以内と決議されており、この範囲にて固定報酬の額及び取締役会及び監査等委員会にてそれぞれ決定いたします。

開示例4(D社)

開示例3(C社)

<改善の余地があると考えられるポイント>〇 役員報酬の算定方法の決定権者、その権限の内容や裁量の範囲に具体性がない。〇 当事業年度の役員報酬の決定過程における取締役会及び委員会等の活動内容に具体性がない。

[改善の方向性]取締役会での協議により役員報酬の額や算定方法を決定している場合は、当事業年度における取締役会の活動内容を具体的に記載。(開示例4関連)一方で、取締役会の決議によって決定の全部又は一部を実質的に特定の取締役に再一任している場合は、その旨を記載。(パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.61)

[改善の方向性]議事の詳細な内容までは記載を要しないが、当事業年度における役員の報酬を決定する過程で、報酬委員会や取締役会において、いつ、どのような内容の審議を行って決定したのか、具体的に活動内容を記載。

役員の報酬等

17

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No. コメントの概要 金融庁の考え方

61 第二号様式記載上の注意(57)cの

規定により、役員の報酬等の額又は

その算定方法の決定に関する方針の

「決定権限を有する者の氏名又は名

称」を記載するに当たり、取締役会

の決議によって決定の全部又は一部

を取締役に再一任している場合には、

その旨を記載すべきである。

報酬決定プロセスの客観性・透明性のチェックを可能とす

るため、算定方法の決定権者、その権限や裁量の範囲等の情

報の開示を求めるべきとのDWG報告の趣旨を踏まえれば、

ご指摘のとおり、取締役会の決議によって決定の全部又は一

部を取締役に再一任している場合には、その旨を記載すべき

と考えられます。

パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(平成31年1月31日公表)(抜粋)

報酬の決定を再一任している場合の留意事項

16

役員の報酬等

役員報酬について、取締役会の決議によって決定の全部又は一部を取締役(例えば、代表取締役社長等)に再一任している場合には、その旨を記載するべきとされていることに留意されたい。

18

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参 考

投資家と企業の対話ガイドライン

【原則3-1.情報開示の充実】上場会社は、法令に基づく開示を適切に行うことに加え、会社の意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレートガバナンスを実現するとの観点から、(本コードの各原則において開示を求めている事項のほか、)以下の事項について開示し、主体的な情報発信を行うべきである。(ⅰ)~(ⅱ)(略)(ⅲ)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

【原則4-2.取締役会の役割・責務(2)】取締役会は、経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、経営陣からの健全な企業家精神に基づく提案を歓迎しつつ、説明責任の確保に向けて、そうした提案について独立した客観的な立場において多角的かつ十分な検討を行うとともに、承認した提案が実行される際には、経営陣幹部の迅速・果断な意思決定を支援すべきである。また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。

【補充原則】4-2① 取締役会は、経営陣の報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティブとして機能するよう、客観性・透明性ある

手続に従い、報酬制度を設計し、具体的な報酬額を決定すべきである。その際、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。

コーポレートガバナンス・コード

【経営陣の報酬決定】3-5 . 経営陣の報酬制度を、持続的な成長と 長期的な企業価値の向上に向けた健全なインセティブとして機能するよう設計

し、適切に具体的な報酬額を決定するための客観性・透明性ある手続が確立されているか。こうした手続を実効的なものとするために、独立した報酬委員会が活用されているか。また 、報酬制度や具体的な報酬額の適切性が、分かりやすく説明されているか。

17

役員の報酬等

19

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審査内容と審査結果(株式等の保有状況)

平成31年1月に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」による改正が行われたことから、改正後の内閣府令(改正開示府令)に基づき適切な記載がなされているかどうかについて審査を行った。

審査内容

審査結果

改正開示府令により、• 「純投資目的である投資株式と純投資目的以外の投資株式の区分の基準や考え方を記載」、

• 「政策保有株式の保有方針及び保有の合理性を検証する方法を記載」、• 「個別の保有株式について具体的な保有効果を記載」

すること等が求められているところ、以下のような事例が確認された。

(ア) 純投資目的である投資株式と純投資目的以外の投資株式の区分の基準や考え方の記載がない。

(イ) 純投資目的以外の投資株式の保有方針に具体性がない。(ウ) 純投資目的以外の投資株式の保有の合理性に具体性がない。(エ) 純投資目的以外の投資株式が増加した理由について記載がない。

株式等の保有状況

1820

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留意すべき事項(株式等の保有状況)

留意すべき事項

政策保有株式については、その保有意義・効果について様々な見方がある中、資本コストをかけリスクをとって保有する以上、政策保有に関する方針、目的や効果は具体的かつ十分に説明されるべきであるとされ(注)、平成31年の開示府令改正により詳細な説明が求められている。(注)平成30年6月金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告P.14

保有方針や保有の合理性を検証する方法が抽象的な記載にとどまる場合、投資家が提出会社と建設的な対話を行うことが困難となることを踏まえ、各提出会社は開示府令の趣旨を踏まえて具体的かつ充実した開示を検討されたい。今後、各提出会社における記載充実に向けた検討に資するよう、次スライド以降において、以下の資料を掲載する。

投資家が期待する好開示のポイント 参考となる開示例 改善の余地があると考えられる開示例 その他、参考となる情報

※ なお、参考となる開示例をそのまま引用するのではなく、あくまでも各社の状況に応じて記載を検討することに留意する必要がある。

株式等の保有状況

1921

Page 24: 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 ......2020/04/15  · 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 <金融庁公表物>

主な記載項目 投資家が期待する好開示のポイント(例)

保有方針

• 保有先企業のノウハウ・ライセンスの利用等、経営戦略上、どのように活用するかについて具体的に記載 「経営戦略を勘案し保有効果を検討している」という記載では不十分

• 保有の上限を設定し記載 株主資本をどのように活用できているかという観点が重要であり、保有残高の規模は総資

産ではなく株主資本に対する割合で検証することが望ましい

• 売却の方針等がある場合は当該方針を記載

• 売却の判断に関する指標があれば当該指標を記載

保有の合理性の検証方法

• 時価(含み益)や配当金による検証だけではなく、事業投資と同様、事業の収益獲得への貢献度合いについて具体的に記載

(例)・営業取引規模が過去○年平均と比較し○%以上増加等・ROEやRORA等が○%増加等

(※)時価(含み益)や配当金による検証だけでは純投資の評価と同じであり、政策保有株式の評価としては別途の検証が求められる点に留意が必要

取締役会等における検証の内容

• 保有方針に沿った検証結果の内容を具体的に記載

「保有目的に照らして取締役会において保有の適否を検証」という記載では具体性に欠ける

• 取締役会での議論を記載するにあたり、具体的な開催日時や議題等を記載

① 政策保有株式全体

政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)(1/2)(令和元年11月29日公表)

20

株式等の保有状況

22

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主な記載項目 投資家が期待する好開示のポイント(例)

保有目的

• 保有方針に沿って、経営戦略上、どのように活用するかを関連する事業や取引と関連付けて具体的に記載 単なる財務報告のセグメント単位や、「事業取引」・「金融取引」といった大括りでの説

明、「企業間取引の維持・強化のため」・「地域発展への貢献」という記載は抽象的で不十分

• 株式を相互持合いしている場合、その理由を具体的に記載

定量的な保有効果

• 前頁「①政策保有株式全体」の「保有の合理性の検証方法」で定めた指標に対する実績値とその評価について記載

(※)時価(含み益)や配当金による検証だけでは純投資の評価と同じであり、政策保有株式の評価としては別途の検証が求められる点に留意が必要

(定量的な保有効果の記載が困難な場合) どのような点で定量的な測定が困難だったかを具体的に記載 経営戦略上、どのように活用するかを具体的に記載

(※)仮に営業機密について言及する場合でも、どのような点が営業機密となるか等について記載

増加の理由

• 「配当再投資による取得」や「取引先持株会による取得」といった取得プロセスに関する記載に留まらず、保有先企業のノウハウやライセンスの利用等、経営戦略上、どのように活用するかを具体的に記載 「取引関係の強化」といった記載では不十分

発行者による当社株式の保有の有無

(相互持合いの有無)

• 上場持株会社の株式を政策保有している場合には、当社株式の保有相手方がその持株会社の傘下会社であったとしても、実質的に相互保有の関係にあるとみなし、参考情報として脚注等でその保有の有無を記載

② 個別銘柄

21

株式等の保有状況政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)(2/2)(令和元年11月29日公表)

23

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(2018年3月末基準の個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容)

保有意義については、検証対象の大半が、発行会社グループの中長期的な経済的利益を増大する目的で保有しており、その妥当性を確認しました。経済合理性については、検証対象全体を合計した総合取引RORAが目標値を上回っており、個社別には約8割の取引先企業が目標値を上回っております。目標値を下回る約2割については採算改善を目指しますが、一定期間内に改善されない場合には売却を検討します。なお、採算については、「取引先企業グループベースで目標値を上回っているか否か」で判定を行なっ

ております。

(純投資目的である投資株式)専ら株式の価値の変動又は株式に係る配当によって利益を受けることを目的とする投資株式を「純投資

目的である投資株式」と考えております。

当社の連結子会社の中で、投資株式の最大保有会社に該当する株式会社三菱UFJ銀行について、その株式等の保有状況は以下のとおりです。(ⅰ)保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検

証の内容

(保有方針)株式保有リスクの抑制や資本の効率性、国際金融規制への対応等の観点から、取引先企業との十分な対話

を経た上で、政策投資を目的として保有する投資株式の残高削減を基本方針とします。政策投資を目的として保有する投資株式については、成長性、収益性、取引関係強化等の観点から、保有

意義・経済合理性を検証し、保有の妥当性が認められない場合には、取引先企業の十分な理解を得た上で、売却を進めます。また、妥当性が認められる場合にも、残高削減の基本方針に則し、市場環境や経営・財務戦略等を考慮し、売却することがあります。

(保有の合理性を検証する方法)政策投資を目的として保有する全ての投資株式について、個社別に中長期的な視点から成長性、収益性、

取引関係強化等の保有意義及び経済合理性(リスク・リターン)を確認しています。なお、経済合理性の検証は、MUFGの株主資本利益率(ROE)目標を基準とした総合取引RORAを目

標値として実施します。

・・

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 有価証券報告書(平成31年3月期) P122

4【コーポレート・ガバナンスの状況等】※一部抜粋

(5)【株式の保有状況】

① 投資株式の区分の基準及び考え方

(純投資目的以外の目的である投資株式)政策投資や業務戦略等を目的とする投資株式を「純投資目的以外の目的である投資株式」と考えており

ます。中でも政策投資を目的として保有する投資株式が大半を占めており、取引先企業との総合的な取引維持・拡大を通じた発行会社グループの中長期的な経済的利益の増大を目的としております。

また、業務戦略を目的として保有する投資株式については、総合金融グループ形成、資本・業務提携関係の維持・拡大を目的としております。

② 株式会社三菱UFJ銀行における株式の保有状況

政策保有株式の保有の合理性を検証する方法において、経済的合理性の判断において使用している指標(株主資本利益率(ROE)目標を基準とした総合取引RORA)について具体的に記載

政策保有株式の保有の合理性に関する当期の検証結果について具体的に記載し、基準値を下回った場合の対応策について記載

残高削減の方針を明確に記載

株式等の保有状況株式等の保有状況:参考となる開示例

金融庁が公表している「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」(平成31年11月29日更新)で上記以外の参考になる開示例も掲載。 2224

Page 27: 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 ......2020/04/15  · 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 <金融庁公表物>

改善の余地があると考えられる開示例

<改善の余地があると考えられるポイント>○ 保有方針及び保有の合理性を検証する方法、個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容が十分に記載されていない。

○ 保有目的及び効果について、戦略・事業内容及びセグメントと関連付けがなされていない。○ 保有の定量的な効果を記載できない場合において、その旨と保有の合理性を検証した方法が具体的に記載されていない。

○ 株式数の増加理由の具体性がない。

開示例1(A社)

(5)【株式の保有状況】※一部加工②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式イ.保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容

当社は、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式について、毎年、取締役会において一定の基準により見直しをおこなう。また、意義の乏しい銘柄については、株価の動向等を勘案し縮減する。

(中略)

[改善の方向性]・保有方針及び保有の合理性を検証する方法について、具体的にどのような基準で取締役会等で議論をしているかを記載。・どのような場合に保有の意義が乏しいと判断するのか、具体的な判断基準を記載

ハ.特定投資株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式特定投資株式

銘柄

当事業年度 前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由

当社の株式の保有の有無

株式数(株) 株式数(株)貸借対照表計上額

(百万円)貸借対照表計上額

(百万円)

○○ホールディングスxxx, xxx xxx, xxx 取引先として良好な関係を長期的に維持する為

(注)有

xxx, xxx xxx, xxx ●●フィナンシャル・グループ

xxx, xxx xxx, xxx 取引銀行として関係の強化を図る為 (注) 有

xxx, xxx xxx, xxx

[改善の方向性] 抽象的な表現ではなく、経営戦略上、どのように活用するかを関連する事業や取引と関連付けて記載

(注)当社は、取引関係の維持・強化等総合的な観点から、当社グループの持続的な成長および中長期的な企業価値向上に資すると判断した会社の株式を純投資目的以外の目的である投資株式としており、毎年、取締役会において一定の基準により見直しをおこなっている。精査の結果、すべての株式について保有の妥当性があることを確認している。

[改善の方向性] 保有の定量的な効果を記載できない場合、その旨と、どのような点で定量的な測定が困難だったのか、経営戦略上どのように活用するかを、具体的に記載

[改善の方向性] 保有方針に沿った検証結果の内容や取締役会等の開催状況や議題等を記載することで、個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等の議論を具体的に記載 23

株式等の保有状況

25

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開示例2(B社)

改善の余地があると考えられる開示例

24

銘柄

当事業年度 前事業年度保有目的、定量的な保有効果及び株式数が増加した理由

当社の株式の保有の有無

株式数(株) 株式数(株)貸借対照表計上額

(百万円)貸借対照表計上額

(百万円)

○○ホールディングス

xxx, xxx xxx, xxx 保有目的は企業グループ間取引の維持強化のためであります。定量的な保有効果は、測定が困難なため、記載しておりません。保有の合理性については、取締役会において当社の事業戦略及び取引上の関係などを総合的に勘案し、その投資価値を検証しております。

無xxx, xxx xxx, xxx

(5)【株式の保有状況】※一部加工②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式a. 保有方針及び保有の合理性を検証する方法並びに個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容

当社は、取引関係の維持強化を目的に、政策保有株式として取引先の株式を保有しておりますが、当社の事業戦略及び取引上の関係などを総合的に勘案し、その投資価値を判断することを基本方針としております。当社の取締役会では、毎年1回、個別の政策保有株式の投資価値を検証しており、当事業年度においては、この検証の結果、すべての保有株式について保有の妥当性があることを確認しております。なお、今後の状況に応じて、当社の事業戦略や取引上の関係から継続保有の意味合いが薄れてきたと判断される銘柄に関しては、株価や市場動向を踏まえ、売却等の縮減を進めることとしております。

(中略)

c. 特定投資株式及びみなし保有株式の銘柄ごとの株式数、貸借対照表計上額等に関する情報特定投資株式特定投資株式

[改善の方向性]・定量的な効果の測定が困難な場合、どのような点で測定困難だったのか、また、そのような状況にあって、どのように保有の合理性を検証したか(経営戦略上の活用方法等)を具体的に記載・なお、定量的な保有効果について秘密保持の観点から記載が困難な場合は、どのような点が秘密保持の対象になるか等を記載

[改善の方向性]・投資価値の検証方法について、事業の収益獲得への貢献度合い等、具体的にどのような基準を使って取締役会で議論しているかを記載・どのような場合に継続保有の意味合いが薄れてきたと判断しているのか、具体的な判断基準を記載

[改善の方向性]抽象的な表現ではなく、経営戦略上、どのように活用するかを関連する事業や取引と関連付けて記載

株式等の保有状況

26

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No. コメントの概要 金融庁の考え方

72 第二号様式記載上の注意(58)bについて、個別銘柄毎にその検証の内容を記載しなければならないものではないという理解でよいか。

ご理解のとおりです。必ずしも個別の銘柄ごとに保有の適否を含む検証の結果を

開示することを求めるものではありませんが、単に、「検証の結果、全ての銘柄の保有が適当と認められた」といった、一般的・抽象的な記載ではなく、例えば、・ 保有の適否を検証する上で、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを含め、どのような点に着眼し、どのような基準を設定したか

・ 設定した基準を踏まえ、どのような内容の議論を経て個別銘柄の保有の適否を検証したか

・ 議論の結果、保有の適否について、どのような結論が得られたか

等について、具体的な記載が行われることが望ましいものと考えられます。

(参考)企業内容等の開示に関する内閣府令 第二号様式記載上の注意(抄)

(58) 株式の保有状況提出会社が上場会社等である場合には、提出会社の株式の保有状況について、次のとおり記載すること。

a [略]b 保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式(法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株券に係る株式に限ることができる。以下bにおいて同じ。)について、提出会社の保有方針及び保有の合理性を検証する方法を記載すること。また、保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式について、個別銘柄の保有の適否に関する取締役会等における検証の内容を記載すること。

c~f [略]

参 考パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(平成31年1月31日公表)(抜粋)

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株式等の保有状況

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【政策保有株式の適否の検証等】

4-1• 政策保有株式について、 それぞれの銘柄の保有目的や、保有銘柄の異動を含む保有状況が、分かりやすく説明されてい

るか。• 個別銘柄の保有適否について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に

精査し、取締役会において検証を行った上、適切な意思決定が行われているか。そうした検証の内容について分かりやすく開示・説明されているか。

• 政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な基準が策定され、分かりやすく開示されているか。また、策定した基準に基づいて、適切に議決権行使が行われているか。

4-2• 政策保有に関する方針の開示において、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方を明確化し、そうした方針・考えに沿っ

て 適切な対応がなされているか 。

投資家と企業の対話ガイドライン

【原則1-3.資本政策の基本的な方針】上場会社は、資本政策の動向が株主の利益に重要な影響を与え得ることを踏まえ、資本政策の基本的な方針について説明を行うべきである。

【原則1-4.政策保有株式】上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである。また、毎年、取締役会で、個別の政策保有株式について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、そうした検証の内容について開示すべきである。上場会社は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための具体的な基準を策定・開示し、その基準に沿った対応を行うべきである。

コーポレートガバナンス・コード

参 考

26

株式等の保有状況

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審査内容と審査結果(税効果会計)

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表を踏まえて「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(財務諸表等規則)等の改正が行われたことから、改正後の財務諸表等規則等に基づき適切な記載がなされているかどうかについて審査を行った。

審査内容

審査結果

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表を踏まえた財務諸表等規則等の改正により、税効果関係の注記では、重要性の判断の上、 「繰越欠損金に係る評価制引当額と将来減算一時差異等の合計に係る評価制引当額の区分掲記」

「評価性引当額の変動」 「繰越期限別の繰越欠損金に係る所定の事項」 「繰越欠損金に係る繰延税金資産を回収することが可能と判断した主な理由」について注記することが求められているが、一定の重要性があると考えられる場合にも、これらの必要な事項の記載がない事例が確認された。

税効果会計

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留意すべき事項(税効果会計)

留意すべき事項

税効果関係の注記について、以下の点に留意されたい。 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳に繰越欠損金を記載している場合であって、当該繰越欠損金が重要であるときは、評価性引当額の記載に当たっては、繰越欠損金に係る評価性引当額と将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額に区分して記載すること(連結財務諸表規則第15条の5第1項第1号、財務諸表等規則第8条の12第1項第1号)

評価性引当額に重要な変動が生じた場合には、その主な内容を記載すること(連結財務諸表規則第15条の5第2項2号、財務諸表等規則第8条の12第2項2号)

繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳に繰越欠損金を記載し、当該繰越欠損金に重要性がある場合、繰越期限別の繰越欠損金に係る次に掲げる事項を記載すること。 (連結財務諸表規則第15条の5第3項第1号、財務諸表等規則第8条の12第3項第1号)・繰越欠損金に納税主体ごとの法定実効税率を乗じた額・繰越欠損金に係る評価性引当額・繰越欠損金に係る繰延税金資産の額

繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を計上している場合には、当該繰延税金資産を回収することが可能と判断した主な理由を記載すること。(連結財務諸表規則第15条の5第3項第2号、財務諸表等規則第8条の12第3項第2号)

税効果会計

2830

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重点テーマ審査

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重点テーマ審査(関連当事者取引)

関連当事者に関する開示が適切になされているかについて確認するため、以下の事項について質問するとともに、必要に応じて根拠資料の提出を求めて審査を行った。

• 関連当事者の範囲に関する検討結果• 関連当事者との取引を識別するための内部統制及び当該手続の実施結果• 関連当事者情報の開示対象を決定するための重要性の判定過程及び結果

審査内容

審査結果

関連当事者に関する開示について、以下のような適切ではないと考えられる事例が確認された。

• 関連当事者との取引の開示に関する重要性の判断基準を超える取引があるものの、質的に重要性がないと判断したか又は残高のみで重要性を判断し、注記されていない事例

• 一般の取引と同様であることが明白ではないものの、関連当事者との取引が注記されていない事例

• ストック・オプションの権利行使による株式の発行について、開示対象との認識が漏れていた事例

• 提出会社の役員等が代表者を務めている会社との取引について、調査票等に当該質問項目がなく、関連当事者との取引の識別の網羅性の確保に懸念がある事例

なお、関連当事者に関する開示に直接関係するものではないが、取締役の利益相反取引について、取締役会の承認漏れ又は承認証跡がない事例が確認された。

関連当事者

3032

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重点テーマ審査(関連当事者取引)

留意すべき事項

関連当事者に関する開示について、以下の点に留意されたい。

関連当事者の開示に関する重要性の判断基準を超える取引がある場合には、関連当事者との取引は開示をする必要があること(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第15項、第16項、第17項、第18項)

一般の取引と同様であることが明白な取引とは、一般競争入札による取引、預金利息、配当金の受取り、公募増資等をいい、第三者との取引と同等な条件であっても関連当事者との取引に関する開示は省略できないこと(関連当事者の開示に関する会計基準第9項、第28項、第32項)

資本取引については、開示対象の取引に含まれること(関連当事者の開示に関する会計基準第28項)

提出会社の役員等が他の法人の代表者として会社と取引を行うような場合は、関連当事者取引に該当し、関連当事者が法人の場合の取引の判断基準により、開示が必要になる場合があること(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第16項、第33項)

関連当事者

3133

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重点テーマ審査(ストック・オプション)

ストック・オプション等に関する会計処理及び開示が適切になされているかについて確認するため、以下の事項について質問するとともに、必要に応じて根拠資料の提出を求めて審査を行った。

• 実施した会計処理及び開示• 有価証券報告書における他の項目の記載内容等と整合していない場合には、その理由

審査内容

審査結果

ストック・オプション

ストック・オプション等に関する会計処理及び開示について、以下のような適切ではないと考えられる事例が確認された。

• ストック・オプションと業務執行や労働サービスとの対応関係の認定の考え方が適切ではないため、権利確定日以前の各会計期間における費用計上額を合理的な方法に基づいて算定していない事例

• 従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与した取引について、従来採用していた会計処理を継続しているにもかかわらず、注記を記載していない事例

• ストック・オプション等関係注記の単価情報(権利行使価格、行使時平均株価、付与日における公正な評価単価)において、異なる単位(個、株)が混在しており、不明瞭な開示となっている事例

3234

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重点テーマ審査(ストック・オプション)

留意すべき事項

ストック・オプション等に関する会計処理及び開示について、以下の点に留意されたい。

各会計期間における費用計上額は、ストック・オプションの公正な評価額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額として算定することとされていること(ストック・オプション等に関する会計基準第5項)

実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」の適用日より前に従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与した取引について、従来採用していた会計処理を継続する場合には、権利確定条件付き有償新株予約権の概要及びその変動状況並びに採用している会計処理の概要を注記する必要があること(実務対応報告第36号第10項(3))

ストック・オプション

3335

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重点テーマ審査(ESOP※)

従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する会計処理及び開示が適切になされているかについて確認するため、以下の事項について質問するとともに、必要に応じて根拠資料の提出を求めて審査を行った。

• 実施した会計処理及び開示• 有価証券報告書における他の項目の記載内容等と整合していない場合には、その理由

審査内容

審査結果

ESOP

従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する会計処理及び開示について、以下のような適切ではないと考えられる事例が確認された。

• 1株当たり情報に関する注記及び連結株主資本等変動計算書注記において、自己株式として計上された信託に残存する自社の株式に関連する注記等を記載していない事例

• 株式等の状況において、役員・従業員株式所有制度の内容の開示を記載していない事例

34

※従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引

36

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重点テーマ審査(ESOP※)

留意すべき事項

ESOP

従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引を行っている場合には、「経理の状況」において、以下の注記を記載する必要があることに留意されたい(実務対応報告第30号「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」第16項、第17項、第18項) 。

(追加情報)• 取引の概要• 自己株式として計上された信託に残存する自社の株式について、純資産の部に自己株式として表示している旨、帳簿価額及び株式数

• 従業員持株会に信託を通じて自社の株式を交付する取引において、総額法の適用により計上された借入金の帳簿価額

(1株当たり情報に関する注記)• 自己株式として計上された信託に残存する自社の株式を控除する自己株式に含めている旨

• 期末及び期中平均の自己株式の数

(連結株主資本等変動計算書又は個別株主資本等変動計算書注記)• 当期首及び当期末の自己株式数に含まれる信託が保有する自社の株式数• 当期に増加又は減少した自己株式数に含まれる信託が取得又は売却、交付した自社の株式数

• 配当金の総額に含まれる信託が保有する自社の株式に対する配当金額35

※従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引

37

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過年度の審査結果のフォローアップ

• 過去の有価証券報告書レビューにおいて識別された事項のうち、フォローアップが必要と認められた事例について、その改善状況を確認するための質問を行うとともに、必要に応じて根拠資料の提出を求めて審査を行った。

• フォローアップ審査の対象となった主な項目は以下の通りである。固定資産の減損繰延税金資産の回収可能性関係会社株式の評価

• 会計処理を行う際に用いられた業績予測が合理的な仮定に基づいているか否かに関する質問を中心として審査を行った。

審査内容

審査結果

過年度フォローアップ

• 会計上の見積り項目の会計処理を行う際に用いられた業績予測について、策定方法を改善することにより、予測値と実績値の乖離が小さくなった事例等、一定の改善が認められる事例が確認された。

• 一方で、現時点において必ずしも合理性を欠くものではないが、将来の大幅な損益改善を見込んでおり、その達成状況によっては当該業績予測を適切に修正する必要があると考えられる事例が引き続き確認された。

3638

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過年度の審査結果のフォローアップ

留意すべき事項

過年度フォローアップ

会計上の見積り項目の会計処理に用いる業績予測は、合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積る必要がある(固定資産の減損に係る会計基準二4.(1)等)。その際、以下の通り、事業計画等の前提となった数値を必要に応じて修正する点に留意されたい。

企業は、取締役会等の承認を得た中長期計画の前提となった数値を、経営環境などの企業の外部要因に関する情報や企業が用いている内部の情報と整合的に修正…(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第36項(1))

適切な権限を有する機関の承認を得た業績予測の前提となった数値を、経営環境等の企業の外部要因に関する情報や企業が用いている内部の情報と整合的に修正…(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針第32項)

予測値と実績値の著しい乖離が発生している場合には、予測値と実績値の乖離要因が、業績予測の策定プロセスの問題に起因するものではないか確認することが望まれる。

3739

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令和2年度 有価証券報告書レビューの実施について

金融庁は、上場会社等から提出された有価証券報告書の記載内容について、より

深度ある審査を行うため、各財務局、福岡財務支局及び沖縄総合事務局(以下「財

務局等」という。)と連携して、有価証券報告書レビューを実施しています。

令和2年度の有価証券報告書レビューについては、以下の内容で実施します。

なお、過去の有価証券報告書レビューにおいて、フォローアップが必要と認めら

れた会社についても、別途審査を実施します。

1.審査対象会社

(1) 法令改正関係審査

令和2年3月 31 日以降を決算期末とする有価証券報告書の提出会社を対象

として、平成 31 年1月に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の

一部を改正する内閣府令」による改正(以下、「開示府令改正」という。)につ

いて、適切な記載がなされているかを審査します。

(「経営方針・経営戦略等」、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経

営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」及び「監査の状況」が対象。)

(2)重点テーマ審査

以下のテーマに着目し、令和2年3月 31 日以降を決算期末とする有価証券

報告書の提出会社の中から審査対象会社を選定します。

〔重点テーマ〕

・ セグメント情報(注1)

・ 顧客との契約から生じる収益(注2)

(注1)主に「セグメント情報等の開示に関する会計基準(企業会計基準第 17 号)」及び「セグメ

ント情報等の開示に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第 20号)」の適用状況

を審査します。(指定国際会計基準を適用する会社に関しては、IFRS8号「事業セグメント」

の適用状況を審査します。)

なお、開示府令改正により令和2年度から記述情報の充実が求められる経営方針・経営戦略

等について、セグメントごとに説明されることが望ましいとされているところ、財務情報と記

述情報の関連性、整合性にも留意してください。

(注2)主に指定国際会計基準を任意適用する会社を対象に、IFRS15 号「顧客との契約から生じる

収益」の適用状況を審査。会計処理や連結財務諸表の表示に加え、注記についても審査対象と

します。

なお、「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い(実務対

応報告第 18 号)」により、日本基準を適用している提出会社が、連結決算手続上、IFRS に準

拠して作成された財務諸表を利用して連結財務諸表を作成している場合には、当該連結財務諸

表に含まれる在外子会社等の財務諸表も審査の対象になる可能性があることに留意してくだ

別紙2

40

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さい。

(3) 情報等活用審査

適時開示や報道、提供された情報等を勘案し、審査対象会社を選定します。

2.レビューの実施方法

(1) 法令改正関係審査

① 調査票の提出依頼

財務局等から審査対象会社に対し、法令改正等により有価証券報告書の記載

内容が変更又は追加された重要な事項についての調査票の記入・財務局等への

提出を順次依頼します。

② 回答の審査

審査対象会社から提出を受けた調査票に基づき、法令等に照らして、開示の

適正性を審査します。調査票の記載内容に不明点や疑問点がある場合には、別

途質問を行います。

(2) 重点テーマ審査及び情報等活用審査

① 質問状の送付

審査対象会社に対し、テーマ等についての個別の質問状を財務局等から順次

送付します。なお、質問内容には、以下のような観点も反映します。

法令や会計基準への形式的な準拠性のみでなく、投資者にとって十分に明

瞭で理解し得る記載となっているか

重点テーマ以外の関連する事項について、確認すべき点はないか

有価証券報告書以外の開示書類(四半期報告書、内部統制報告書等)への

影響はないか

② 回答の審査

財務局等より送付した質問状は、2週間程度の期日内に回答を受け、法令等

及び一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に照らして、会計処理・開示

の適正性等を審査します。回答内容に不明点や疑問点が残った場合には、追加

で質問を行います。

(注)なお、本レビューにおける審査の終了をもって、有価証券報告書の開示の正確

性が保証されるものではない点に留意してください。

また、証券取引等監視委員会と情報の共有を行う場合があります。

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有価証券報告書レビュー(概要)

○ 有価証券報告書レビュー(以下「有報レビュー」という。)は、有価証券報告

書の記載内容の適正性を確保するための審査の枠組みであり、従来から、金融庁

及び財務局等が連携して実施しています。

○ 有報レビューは、具体的には、法令改正関係審査、重点テーマ審査及び情報等

活用審査の3つを柱としています。

(1)法令改正関係審査

法令改正事項について行うもの。全ての有価証券報告書提出会社が対象

となる。

(2)重点テーマ審査

特定のテーマに着目し、審査対象を抽出した上で、より深度ある審査を

行うもの。審査対象となる会社には、所管の財務局等から個別の質問事項

を送付する。

(3)情報等活用審査

上記に該当しない場合であっても、適時開示や報道、提供された情報等

を勘案して行うもの。審査対象となる会社には、所管の財務局等から個別

の質問事項を送付する。

審査対象会社

有価証券報告書

財務局等

(金融庁) 有報レビュー

・質問、指導(注)

有価証券報告書

提出会社

・法令改正関係審査

・重点テーマ審査

・情報等活用審査

(注)必要な場合、金融商品取引法第 26 条に規定される報告徴取権限等が行使されることがあります。

(参考)

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令和2年度 法令改正関係審査の留意事項等

別紙3

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令和2年度 法令改正関係審査の対象

令和2年度の法令改正関係審査では、平成31年1月の開示府令改正により記載の充実が求められている「経営方針・経営戦略等」、「事業等のリスク」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(以下、MD&A)」、「監査の状況」を審査対象とする。

これらの項目は主に記述情報からなるため、各提出会社がそれぞれの置かれた状況等に応じて、ルールへの形式的な対応にとどまらない充実した開示が期待される。

そこで、各提出会社における記載充実に向けた検討に資するよう、スライド4以降において好開示例の一部を掲載することにした。掲載している好開示例を含む「記述情報の開示の好事例集」等の参考資料は以下の金融庁ホームページにまとめて公表しているため、合わせて参考にされたい。

・企業情報の開示に関する情報(記述情報の充実)URL:https://www.fsa.go.jp/policy/kaiji/kaiji.html

また、平成31年度より開示府令改正の内容を早期適用している提出会社があり、積極的な開示の充実への取組が評価されるが、一部の早期適用会社では開示府令の趣旨に照らして改善の余地がある記載も見受けられる。

そこで、早期適用会社において確認されている事項と留意すべきポイントをスライド16、及び、スライド17に示している。早期適用会社に限らず、各提出会社は、開示府令改正に関連する開示を検討するにあたり留意されたい。

※ なお、過去の有価証券報告書レビューにおいて、フォローアップが必要と認められた会社についても、別途審査予定。

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経営方針・経営戦略等について、市場の状況、競争優位性、主要製品・サービス、顧客基盤等に関する経営者の認識の説明を求める

事業等のリスクについて、顕在化する可能性の程度や時期、リスクの事業へ与える影響の内容、リスクへの対応策の説明を求める

会計上の見積りや見積りに用いた仮定について、不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響等に関する経営者の認識の記載を求める 等

役員の報酬について、報酬プログラムの説明(業績連動報酬に関する情報や役職ごとの方針等)、プログラムに基づく報酬実績等の記載を求める

政策保有株式について、保有の合理性の検証方法等について開示を求めるとともに、個別開示の対象となる銘柄数を現状の30銘柄から60銘柄に拡大する 等

監査役会等の活動状況(監査役会の開催頻度、主な検討事項、個々の監査役の出席状況等)、監査法人による継続監査期間等の開示を求める 等

主な改正内容

適用時期

① 平成31年3月期から適用(上記「Ⅱ建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供」欄に記載の項目等)② 令和2年3月期から適用(①以外)

令和2年度 法令改正関係審査の対象

令和2年度 法令改正関係審査の対象

金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告に基づく開示府令改正の概要(平成31年1月31日公布・施行)

令和2年度 法令改正関係審査の対象

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(2) 会社の対処すべき課題

今後の自動車市場は、短期的な循環局面はあるものの、中期的には、新興国を中心とした自動車普及進展も

あり、緩やかな拡大に戻ると期待されます。一方で、環境問題など社会課題への対応や、電動化、自動運転、

コネクティッド、シェアリングなどの技術革新の急速な進行などにより、自動車産業は100年に一度の大変革の

時代を迎えています。

このような経営環境の中、トヨタは、これまで培ってきた車両品質や販売・サービスネットワークのリアル

の世界と、技術革新に対応するバーチャルの世界の総合力で、人々の移動に関わるあらゆるサービスを提供す

る「モビリティカンパニー」にモデルチェンジしていきます。その実現に向け、新たな価値を創造する「未来

への挑戦」と、1年1年着実に真の競争力を強化する「年輪的成長」を方針に掲げ、次の分野の取り組みを加

速させていきます。

①電動化

環境問題への対応には、クルマの電動化の推進が必要不可欠です。トヨタは、「エコカーは普及してこそ

環境への貢献」との考えのもと、国や地域ごとのエネルギーやインフラ整備の状況、さらにはエコカーの特

徴に応じて、お客様の用途に合わせた最適なクルマを提供することを目指しています。

電動車の主力であるハイブリッド車は、従来のトヨタハイブリッドシステムを燃費、コスト、走りの面で

さらに磨きをかけるだけでなく、加速性能を高めたスポーツ型など、様々なタイプを開発していきます。ま

た、多くのステークホルダーと思いを共有し、協調して電動車の普及に取り組むため、ハイブリッド車開発

で培った車両電動化関連の技術について、特許実施権の無償提供などを決定しました。電気自動車は、2020年

以降、中国を皮切りに導入を加速し、2020年代前半には全世界で10車種以上に拡大していきます。燃料電池車

は、2020年代に乗用車・商用車の商品ラインアップを拡充するとともに、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) など

幅広いステークホルダーとの連携により、燃料電池技術を様々な分野に展開していきます。さらに、電動車

普及のキーファクターである車載用電池では、競争力のある電池の実現に向けた取り組みを強化・加速させ

るため、パナソニック㈱と合弁会社の設立に合意しました。

低炭素で持続可能な社会の実現に向け、「2030年に電動車販売550万台以上」というチャレンジ目標を掲げ、

今後も技術開発を加速させていきます。

②自動運転

トヨタは、交通事故死傷者ゼロを目指し、1990年代から自動運転技術の研究開発に取り組んできました。そ

の開発理念、「Mobility Teammate Concept (モビリティ・チームメイト・コンセプト) 」は、人とクルマが見

守り、助け合う、気持ちが通った仲間のような関係を築くというものです。

自動運転に必要不可欠な人工知能技術の研究・開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート㈱では、

一昨年設立したファンドと共に、ベンチャー企業支援に関するグローバルプログラムを立ち上げました。加

えて、自動運転開発用のテスト施設を米国ミシガン州に開設し、新型の自動運転実験車「TRI-P4」を公

表するなど、自動運転システム開発の加速に取り組んでいます。さらに、トヨタ・リサーチ・インスティ

テュート・アドバンスト・デベロップメント㈱が本格稼働し、実用化に向けたソフトウェアの先行開発を開

始しました。また、自動運転技術の研究成果を広くお客様に利用いただくため、予防安全技術パッケージの

導入を進めており、昨年には、全世界での累計出荷台数1,000万台を突破しました。

すべての人に、安全、便利かつ楽しいモビリティを提供することを究極の目標に、自動運転技術の開発・

普及に取り組んでいきます。

1.「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の開示例

トヨタ自動車株式会社有価証券報告書(2019年3月期) P12-13

▪ 経営者が認識している経営環境及び経営課題を端的に記載

▪ 経営者が各課題に対して、どのように対応し、中長期的に企業価値を向上するかについて端的に記載

▪ 統合報告書のCEOメッセージと同様の内容が記載

▪ ②自動運転や④仲間づくりでは、対象となる会社を明示して具体的に記載

・・・

③MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)

トヨタは、お客様に様々なモビリティの選択肢を提供できるよう、MaaSビジネスを推進しています。

Grab Holdings Inc.とモビリティサービス領域での協業深化に合意し、当社が開発した配車サービス車両向け

トータルケアサービスの提供を開始しました。また、Uber Technologies, Inc.と自動運転技術を活用したライド

シェアサービスの開発促進に向けた協業拡大に合意しました。さらに、ソフトバンク㈱と新しいモビリティ

サービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、共同出資会社MONET Technologies㈱を設立しました。

また、クルマが所有から利活用にシフトしていく中で、お客様にもっと気楽に楽しくクルマとお付き合いい

ただくため、愛車サブスクリプションサービス「KINTO」を開始しました。車両代のほか、税金、保険、

メンテナンスなどの手続をパッケージ化した月額定額サービスを提供することにより、人とクルマの新しい関

係を提案していきます。

さらに、日本国内では、販売店と共にお客様の求めるあらゆるニーズに対応するため、トヨタブランド全販

売店での全車種併売化をはじめとする販売ネットワークの変革に取り組んでいます。その上で、それぞれの地

域に根差した、新しいモビリティサービスの開発・提供を行うことにより、「地域に欠かせない存在」を目指

していきます。

④仲間づくり

トヨタの「仲間づくり戦略」は、3つの柱からなります。

第1の柱は、同じルーツを持つグループ内での連携強化です。「ホーム&アウェイ」の視点で、グループ内

の事業を見直し、より競争力のある「ホーム」の会社に集約する。あるいは、各社の強みを出し合って、新た

な「ホーム」をつくる。そして、競争力のある製品を、グループ以外の会社も含めて、積極的に販売していく

ことによって、仲間を増やし、「デファクトスタンダード」にしていくことが重要と考えています。この考え

に基づき、当社と㈱デンソー両社の主要な電子部品事業を㈱デンソーへ、当社のアフリカ市場における営業業

務を豊田通商㈱へ、そして、当社のバン事業をトヨタ車体㈱へ、それぞれ集約を進めています。

第2の柱は、他の自動車メーカーとのアライアンス強化です。これは、資本による規模の拡大が目的ではな

く、開発、生産技術、販売網など、お互いの強みをリスペクトし、「もっといいクルマ」づくりに向けた競争

力強化を目的としています。本年3月にはスズキ㈱と、当社グループが持つ強みである電動化技術とスズキ㈱

が持つ強みである小型車技術を持ち寄り、生産領域での協業や電動車の普及など、新たなフィールドで共に

チャレンジしていくことに合意しました。

第3の柱は、モビリティサービスを提供する新しい仲間とのアライアンスの強化です。コネクティッドカー

の情報基盤である「モビリティサービス・プラットフォーム」を介してソフトバンク㈱やGrab Holdings Inc.、

Uber Technologies, Inc.といったあらゆるサービス事業者とオープンに連携し、新たなモビリティサービスの創

出を目指していきます。

【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ※ 一部抜粋

446

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1.「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の開示例

CYBERDYNE株式会社(1/2)有価証券報告書(2019年3月期) P18,20

【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ※ 一部抜粋

・・・

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、研究開発型企業として革新的製品の研究開発や臨床・実証研究及び各種認証取得

を推進し、その製品の上市やサービス展開によって収益を確保することにより、持続的な成長を図っ

てまいります。

当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。

当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守

契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上されるため、翌会計年度以降にわたる継続的な

収益計上が見込まれます。

当社グループは、恒常的な業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台

数を取締役会へ報告しております。

最近5年間のHAL®等の稼働台数の推移は、本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による

経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (5) 経営上の重要な非財務指標」に記載のとおりです。

(4) 経営環境

当社グループは、革新的サイバニクス技術を駆使して、『人』+『サイバー・フィジカル空間』の

融合、すなわち、人とテクノロジーが一緒になって支え合うテクノピア・サポートの未来社会

「Society5.0/5.1」の実現、サイバニクス産業の創出による社会変革・産業変革を目指しています。

当社グループは、IoH(Internet of Humans)/IoT、ロボット、AIによるサイバニクス技術で医療、福

祉、生活・職場、生産を繋ぎ、社会が直面する課題解決を実現するサイバニクス産業の創出を事業と

しています。

HAL®を中心とした当社グループの製品について、医療機器として販売するためには、各国又は

地域における法規制に基づき、一定の治験・審査等を経た上で当局の承認を得ることが必要になります。

当社医療用デバイスの主な潜在マーケット(患者数)及び、当連結会計年度末時点における医療機

器承認状況は下図のとおりです

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

③ 日本国内でのサイバニクス治療の適用拡大

世界の医療機器市場の9%(※1)を占める日本国内においては、HAL®医療用下肢タイプ(

両脚モデル)について、2015年11月に神経・筋難病疾患に対する「新医療機器」として厚生労

働省より日本における製造販売承認を取得し、2016年9月からロボット治療として世界で初め

て公的医療保険による治療が開始されています。

当社グループは、引き続き、神経・筋難病疾患に対する中核医療拠点の形成を進めるととも

に、サイバニクス治療の脳卒中や脊髄疾患など他の疾患への適用拡大に向けて臨床試験や治験

を加速してまいります。脳卒中については、HAL®医療用下肢タイプ(単脚モデル)を用い

て、医療機器承認のための医師主導治験が2016年9月より進行しています。

④ 米国でのサイバニクス治療の普及拡大

HAL®医療用下肢タイプは、2017年12月にFDA(米国食品医薬品局)より脊髄損傷に対する医療

機器としての市販承認を取得し、世界の医療機器市場の39%(※1)を占める米国内でも流通・

販売させることが可能となりました。2018年3月からフロリダ州ジャクソンビルのBROOKS

CYBERNIC TREATMENT CENTERにおいてHAL®医療用下肢タイプを活用した治療が開始されており

ます。

当社グループは、米国全域でサイバニクス治療の普及拡大を推進するとともに、民間保険の適

用に努めてまいります。また、脳卒中に対する臨床試験を開始して、サイバニクス治療の脳卒中

への適用拡大に取り組んでまいります。

▪ 「(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」において、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の設定理由を具体的に記載

▪ 「(4) 経営環境」において、潜在マーケット(患者数)について記載

▪ 「(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題 ③日本国内でのサイバニクス治療の適用の拡大」において、現時点における医療機器承認・保険適用のロードマップを図表を用いて記載

547

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1.「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の開示例

CYBERDYNE株式会社(2/2)有価証券報告書(2019年3月期) P20-21

【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ※ 一部抜粋

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

⑤ 欧州主要各国でのサイバニクス治療の普及拡大

HAL®医療用下肢タイプは、2013年6月にロボット治療機器として、EU市場へ医療機器を輸出

するために必要なMDD(欧州医療機器指令)について、第三者認証機関より適合認証を取得して

おります(適用疾患:脳卒中、脊髄損傷、神経・筋難病疾患など)。これにより、HAL®医療

用下肢タイプは、CEマーキングを表示することによって、EUの国別の規制を受けることなく、世

界の医療機器市場の27%(※1)を占めるEU域内で自由に流通・販売させることができます。

現在、EU最大の医療機器市場であるドイツにおいて、HAL®医療用下肢タイプを活用した治

療費の全額が公的労災保険に収載されていますが、公的医療保険への適用拡大を目指し、各種手

続きを進めております。また、ポーランドの医療機関では2017年7月より民間の保険適用による

治療が開始されており、他の主要各国においても民間保険適用によるサイバニクス治療の普及に

努めてまいります。

⑥ 介護福祉ロボット事業の推進

現在、日本は超高齢社会となり、65歳以上の高齢者が2017年10月1日現在約3,515万人(総人

口の27.7%)、介護保険制度における要介護者又は要支援者は2015年度末で約606.8万人(※2

)となっており、年々増加傾向にあります。また、介護従事者は、2025年には、約250万人が必

要とされると予測され(※3)、介護離職ゼロに向けた取り組みが喫緊の課題となっています。

当社グループは、介護が必要な方の体に装着して立ち座りや歩行など自立を支援するHAL®

腰タイプ自立支援用に介助者の腰の負担を軽減するHAL®腰タイプ介護支援用の機能を統合し

た新モデルの普及を進めてまいります。

⑦ 製品ラインナップの早期拡充

当社グループは「Society 5.0/5.1」及び「重介護ゼロ®社会」の実現を目指して、1)患者の身

体機能改善・機能再生を目的とした医療用、2)高齢者や体に障がいのある方の自立動作支援を

目的とした福祉用、3)空港・建設・物流現場などの重作業の負荷軽減を目的とした作業支援用

の各分野を対象とするHAL®、及びAIを搭載した搬送ロボットや清掃ロボットの製品化を実現

し、更なる高機能化を推進しております。また、病気を未然に防ぐための、手のひらサイズの動

脈硬化度・心電計であるバイタルセンサーは、2018年12月に医療機器承認を取得、一般販売に向

けて準備を進めております。当社グループは、製品ラインナップの早期拡充に向けて、新製品の

開発を推進するとともに、現場ユーザーと協力して実運用フィールドからのフィードバックを図

り、更なる高機能化に取り組んでまいります。

⑧ 営業・開発・経営管理体制の強化及び人材の育成

当社グループは、グローバル展開に対応するための営業・開発・経営管理体制の強化及び次世

代の人材育成を進める必要があります。当社グループは、今後の事業拡大に合わせて、充分な体

制を維持強化すべく、高度で幅広い専門知識や経験を有する次世代の人材の育成を進めてまいり

ます。

出典

※1.Espicom“Worldwide Medical Market Forecasts to 2019”

※2.内閣府「平成30年度版 高齢社会白書」

※3.厚生労働省「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」

▪ 各事業上及び財務上の課題とその対処方針について具体的に記載

▪ 「(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題 ⑦製品のラインナップの早期拡充」では、製品群の開発や事業展開の流れを、図表を用いながら分かりやすく記載

648

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▪ グループのリスク管理体制について、図表を用いて分かりやすく記載

▪ <リスク管理区分>や<拠点統制リスクの設定プロセスイメージ>において、「影響度」と「発生可能性」に基づいてリスクの重要性を判定するなど、図表を用いて分かりやすく具体的に記載

2.「事業等のリスク」の開示例

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(1/2)有価証券報告書(2019年3月期) P17-18

[方針]

当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影

響を低減していくため、2002年に全社的な視点でリスクマネジメントを統括・推進する役員を置くとと

もに、リスク管理部門及び各部門とグループ会社に「リスクマネジメント推進責任者」を配置し、主体

的・自主的に対応できる体制を整備しています。

また、主な重点リスク項目を定め、その目標の達成度・進捗を点検し、各種施策に結果を反映してい

ます。

毎年、年2回の内部統制推進委員会(注)を実施し、リスク低減に関する施策を討議するとともに、

有効性に対する評価等を行い、その結果は取締役会に報告しています。

なお、当社グループは、多岐にわたるお客様・業界に対し世界中で様々なサービスを提供しており、

各事業により事業環境が大きく異なります。そのため、当社取締役会は事業本部長等へ大幅な権限委譲

を図ることで、お客様との関係や市場環境等に関連するリスクを適切に把握し、迅速に対応することを

可能としています。

2.【事業等のリスク】 ※ 一部抜粋

・・・

[(注) 内部統制推進委員会におけるマネジメント体制

本社、地域統括会社等、個社において事業に関連するリスクを洗い出し、対策を策定します。上位主

体はそれぞれの状況を分析・評価し、適切な管理を実施します。グループ全体の状況については、リス

ク管理部門等が分析・評価・モニタリングを実施し、更に、グループ全体に影響を与えるリスクを「グ

ローバル統制リスク」と位置付けて管理し、総括的なリスクマネジメントの徹底を図っています。

また、地域統括会社等において設定した重点リスクを「拠点統制リスク」と位置付けて、対策の実

施状況及びリスク発生状況等を踏まえ、評価・改善するサイクルを回しています。

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(重要なリスク)

(1)技術革新に関するリスク

当社グループが属する情報サービス産業では、破壊的技術革新のような不連続な技術環境の変化が生じ

ることがあります。当社グループでは、先端技術や基盤技術等の多様な技術動向の調査・研究開発に努め

ていますが、予想を超える革新的な技術の進展への対応が遅れた場合、当社グループの経営成績及び財務

状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)人材確保に関するリスク

当社グループの成長と利益は、デジタル技術等の専門性に基づいて顧客に価値を提供する優秀な人材の

確保・育成に大きく影響されます。こうした優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合、当社

グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)価格低下圧力に関するリスク

景況感や企業収益の悪化等によるお客様のIT投資抑制傾向は、コストへの要求やIT投資効果への評価の厳

格化となって、当社グループの扱うシステムやサービスの販売価格低下圧力につながり、当社グループの

経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(4)競争激化に関するリスク

当社グループの主要な事業領域は、情報サービス産業の中で有力な成長分野であると目されており、製

造業等従来他業種であった企業が参入してきています。また、コンサルティング系企業のグローバルでの

急成長や既存の大手情報サービス企業のグローバルマーケットへの積極参入により、グローバル競争が激

化しています。これからのマーケットには先行き不透明な部分があり、競合会社の積極参入による競争激

化が当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(5)知的財産権に関するリスク

当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセ

ンス等を受けられず、その結果、特定の技術、商品又はサービスを提供できなくなる可能性があります。ま

た、当社グループの事業が他者の知的財産権を侵害したとして、損害賠償請求を受ける可能性があります。

いずれの場合も当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

▪ リスクを(特に重要なリスク)と(重要なリスク)という重要度に区分して記載

▪ 「(2) コンプライアンスに関するリスク」や「(4) システム開発リスク」について、リスクに対する対応策を具体的に記載

2.「事業等のリスク」の開示例

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(2/2)有価証券報告書(2019年3月期) P18-19

[個別のリスク]

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成

績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在における判断によるものです。

(特に重要なリスク)

(1)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは業務遂行の一環として、個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これ

らの情報について、サイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グルー

プの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則

等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)コンプライアンスに関するリスク

当社グループは企業倫理の確立による健全な事業活動を基本方針とする「グローバル・コンプ

ライアンス・ポリシー」を制定し、コンプライアンス推進体制を構築するとともに、役員・社

員への教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。しか

しながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触

する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損

害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす

可能性があります。

(3)システム運用リスク

当社グループが提供するシステムやサービスには、社会的なインフラとなっているものもあり

ます。これらにおいて運用中に障害が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイ

メージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの経営成績及び

財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(4)システム開発リスク

当社グループの主力事業であるシステムインテグレーション事業では、一般に請負契約の形態

で受注を受けてから納期までにシステムを完成し、お客様に提供するという完成責任を負って

います。お客様・業務・技術のいずれかに新規性のある大規模案件を対象に受注時計画の妥当

性審査と納品までのプロジェクト実査を行うなど、不採算案件の抑制に努めていますが、これ

らによっても、当初想定していた見積りからの乖離や、開発段階においてプロジェクト管理等

に問題が発生した場合、想定を超える原価の発生や納期遅延に伴う損害に対する賠償金の支払

い等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

2.【事業等のリスク】 ※ 一部抜粋

・・・

850

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・・・

2.「事業等のリスク」の開示例

ANAホールディングス株式会社 有価証券報告書(2019年3月期) P16-17, 19

▪ 航空機の納入遅延や発着枠の割当て数といった経営戦略に影響を与える外部要因に基づくリスクについて、それぞれのリスクを具体的に記載

▪ 原油価格変動によるリスクでは、リスク内容を具体的に記載するとともに、当該リスクへの対応策についても記載

【事業等のリスク】 ※ 一部抜粋

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響

を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えています。

なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 景気が低迷するリスク

航空産業は、景気動向の影響を受けやすい業界であり、国内外の景気が低迷すると、個人消費の落ち

込みや企業収益の悪化による航空需要の低下を引き起こす可能性があります。なお、国際線(旅客・貨

物)事業については、中国やその他アジア・北米を中心とした海外市場への依存度が高いため、当該地

域の経済状況により、輸送人数・輸送重量の減少及び輸送単価の下落といった影響を受ける可能性があ

ります。

(2) 経営戦略に関わるリスク

①フリート戦略に関わるリスク

当社グループは、航空事業において、経済性の高い機材の導入、機種の統合、ならびに需給適合の

深化を軸としたフリート戦略に則ってボーイング社、エアバス社、ボンバルディア社、三菱航空機㈱

から航空機の導入を進めていますが、納期が財務上その他の理由により遅延した場合、当社グループ

の事業に支障を及ぼす可能性があります。

更に、かかる戦略は以下の要因により奏功せず、また、その所期する効果が減殺される可能性があ

ります。

1)ボーイング社への依存

当社は、上記のフリート戦略に従って導入を計画している機材の多くをボーイング社に対して発注

しています。したがって、ボーイング社が財政上その他の理由により当社又は同社製品の保守管理等

を行う会社との間の契約を履行できない場合には、当社グループのフリート戦略に沿った機材の調達

又は保守管理等ができず、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

2)三菱航空機㈱による機材開発計画の進行遅延等

当社は、三菱航空機㈱が開発中の「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の導入を決定しており、

引き渡し時期は2020年度半ばが予定されていますが、引き渡し時期の遅延が発生した場合には、当社

グループの事業に支障をきたす可能性があります。

②発着枠に関わるリスク

当社グループは、羽田空港・成田空港の発着枠拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、各種投資や

事業運営体制の整備を図っています。2020年度を目途として、羽田空港の年間発着枠については、

44.7万回から48.6万回へ、成田空港の年間発着枠については、30万回から34万回へ増加する見通しと

なっていますが、今後の首都圏における両空港(羽田・成田)の発着枠の割当て数や、時期等が当社

グループの想定と異なった場合においては、当社グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性が

あります。

(中略)

①原油価格が上昇した場合のリスク

原油価格が上昇すると、航空機燃料の価格も上昇するため、当社グループにとって大きな負担とな

ります。このため、航空機燃料の価格変動リスクを抑制し、営業利益の安定化を図ることを目的とし

て原油ならびに航空機燃料のコモディティ・デリバティブを利用して一定期間のうちに計画的、継続

的にヘッジ取引を実施していますが、原油価格が短期間で高騰した場合、自助努力によるコスト削減

や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては価格高騰の影

響を完全には回避できない可能性があります。

②原油価格が急落した場合のリスク

当社グループは原油価格の変動リスクを緩和するためヘッジ取引を実施しており、原油価格が短期

間で急落した場合、燃油サーチャージ収入が減少あるいは消滅する一方で、ヘッジポジションの状況

等によっては燃油費が即座には減少せず、価格下落の効果を享受できない可能性があります。

(中略)

(14)運航リスク

①航空機事故等

当社グループ運航便及びコードシェア便で航空機事故が発生した場合、当社グループに対するお客

様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が低下して当社グループの経営に大き

な影響を及ぼす可能性があります。

また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合においても、同様に航空需要が低下して当

社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。なお、航空機事故が発生した場合、損害賠償や

運航機材の修復・買換え等に多額の費用が発生しますが、これらの直接的費用のすべてが航空保険に

て填補されるわけではありません。

②耐空性改善通報等

航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通

報等が発出され、機体や装備品に対し指示された改善策を施すまで同型式機材の運航が認められない

場合があります。また、法令に基づく耐空性改善通報等が発出されない場合であっても、技術的見地

から安全性が確認できない場合、自主的に同型式機材の運航を見合わせ、点検等の整備を行うことが

あります。このような事態が発生した場合、当社グループの航空機の安全性に関する信用及び経営に

影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループは、ボーイング787型機等、新型機種への集約

を進めていますが、当社グループの主力となる新型機種について設計上想定外の不具合または技術的

な問題が発生した場合には、当社グループの経営により深刻な影響を及ぼす可能性があります。

グループの予測を超えて変動した場合には、当社グループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性が

あります。

(3) 原油価格変動によるリスク

航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油価格に連動する傾向があります。中東産油

国での政情不安、米国でのシェールオイル生産体制、新興国の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、

石油備蓄量または埋蔵量の低下、原油への投機的な投資行動、自然災害等の要因により原油価格が当社951

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(1)業績等の概要

① 業績

(中略)

[国内ユニクロ事業]

国内ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は8,729億円(前期比0.9%増)、営業利益は1,024億円

(同13.9%減)と、増収減益となりました。通期の既存店売上高(Eコマースを含む)は、同1.0%増で

した。上期は暖冬による冬物商品の販売に苦戦し、同0.9%減となりましたが、下期はTシャツ、UT

(グラフィックTシャツ)、UVカットパーカ、感動パンツなどの夏物商品の販売が好調だったことに

より、同3.5%増となりました。また、Eコマース売上高は832億円、同32.0%増、売上構成比は前期の

7.3%から9.5%へ上昇しています。売上総利益率は、暖冬の影響や春夏商品の早期の在庫処分により、

同1.7ポイント低下しましたが、8月末の在庫水準は前年同期末比で大幅に縮小しました。売上高販管費

率は、同0.4ポイント上昇しました。上期は在庫の増加やEコマース販売の拡大により物流費比率が上昇

しましたが、下期はICタグ(RFID)の活用による業務の効率化で、人件費比率や委託費比率が低下しま

した。

[海外ユニクロ事業]

海外ユニクロ事業の当連結会計年度の売上収益は1兆260億円(前期比14.5%増)、営業利益は1,389億

円(同16.8%増)と、大幅な増収増益を達成しました。売上収益は初めて1兆円を超え、売上収益営業利

益率は13.5%と高い水準を継続しています。

地域別では、グレーターチャイナは、売上収益が5,025億円(同14.3%増)、営業利益が890億円(同

20.8%増)と、大幅な増収増益となりました。ユニクロのLifeWearのコンセプトが支持され、No.1アパレ

ルブランドとしてのポジションを確立できたことで、既存店売上高は増収となりました。Eコマース売上

高は同約30%増と好調です。東南アジア・オセアニア地区は、売上収益は約1,700億円の規模となり、売

上収益、営業利益ともに同約20%の増収増益と好調な業績となりました。韓国は、減収減益となりまし

た。米国は、赤字幅が大幅に縮小しました。欧州は、売上収益が1,000億円の規模となり、増収増益とな

りました。特にロシアが引き続き大幅な増収増益を達成しました。

なお、2018年9月にはオランダ初の店舗をアムステルダムに、2019年4月にはデンマーク初の店舗を

コペンハーゲンに、同年9月にはイタリア初の店舗をミラノに、同年10月にはインド初の店舗をニュー

デリーにオープンし、好調なスタートとなっています。

▪ 財務情報におけるセグメント単位に加え、経営方針・経営戦略等の説明に適した単位(所在地別セグメントや、より詳細な事業別セグメント)を記載

【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 ※ 一部抜粋 [グローバルブランド事業]

グローバルブランド事業の当連結会計年度の売上収益は1,499億円(前期比2.9%減)、営業利益は36

億円(前期は41億円の赤字)と、減収増益になりました。増益となった要因は、前連結会計年度にコン

トワー・デ・コトニエ事業などで減損損失を99億円計上したことによります。セオリー事業は安定的に

成長し増収増益となりました。プラステ事業は増収となったものの、出店による経費増で、営業利益は

前期並みになりました。コントワー・デ・コトニエ事業、プリンセス タム・タム事業及びJ Brand事業

は赤字が継続しました。

[サステナビリティ(持続可能性)]

「服のチカラを、社会のチカラに。」というステートメントのもと、服のビジネスを通じて、環境や社

会のサステナビリティに貢献する事業の構築をめざしています。6つの重点領域を中心に、人権・環境

保護や社会貢献などを推進しています。2018年10月には、国連が提唱する人権・労働基準・環境・腐敗

防止の分野で企業が遵守すべき原則「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。また、2019年5

月には、アパレル産業における女性の地位向上に貢献することを目的に国連女性機関(UN Women)との

グローバルパートナーシップを締結しました。

■重点領域1「商品と販売を通じた新たな価値創造」:当社グループのジーンズ研究・開発施設「ジー

ンズイノベーションセンター」にて、ジーンズ加工工程の水使用量を大幅に削減する技術を開発しまし

た。2020年までに、グループ傘下の全ブランドで生産・販売するジーンズにこの技術を導入し、生産を

拡大していきます。

■重点領域2「サプライチェーンの人権・労働環境の尊重」:当社及び生産拠点も含めたサプライ

チェーン全体の人権課題への対応を目的に2018年7月に「人権委員会」を設置しました。また、取引先

工場の従業員から当社のホットラインに通報された、賃金問題、セクシャルハラスメント等の重要案件

については、工場への改善要請や、現地NGOとの協働などを通じて解決を図っています。

■重点領域3「環境への配慮」:2019年2月に、パリ協定の目標に基づく温室効果ガス排出量の長期削

減目標「Science-Based Targets」策定へのコミットメントを表明しました。また、ショッピングバッグ

や商品パッケージについては、使用量の削減及び環境配慮型素材への切り替えを行う方針を2019年7月

に発表し、2020年中を目処に、ショッピングバッグと商品パッケージの85%に当たる約7,800トンの使い

捨てプラスチック削減を全世界のグループ全社でめざしています。

(中略)

■重点領域6「正しい経営」:2018年12月に税務の基本方針、コンプライアンスにおける腐敗防止の取組

みを当社ホームページの正しい経営(ガバナンス)にそれぞれ開示しました。また、2019年8月には、

「指名報酬アドバイザリー委員会」を設立し、取締役及び監査役候補の要件・指名方針、最高経営責任

者(CEO)の要件、サクセッションプランなど、当社のガバナンスに関する重要事項を討議し、取締役会

に助言することとしています。

・・・

3.「MD&Aに共通する事項」の開示例 ②詳細なセグメント単位や非財務指標の分析

株式会社ファーストリテイリング(1/2)有価証券報告書(2019年8月期) P14-15

[ジーユー事業]

ジーユー事業の当連結会計年度の売上収益は2,387億円(前期比12.7%増)、営業利益は281億円(同

139.2%増)と、過去最高の業績を達成しました。通期の既存店売上高は、マストレンドにフォーカスし

た商品構成に転換したこと、マーケティングを強化したことにより増収となりました。特に、オーバー

サイズのスウェット・ニット・Tシャツは数百万点の販売を記録するヒット商品になりました。早期発

注や素材の集約により原価率が改善したことに加え、値引率が低下したことで、売上総利益率が大幅に

改善しました。売上収益営業利益率も11.8%、同6.2ポイントと大幅に改善しています。

1052

Page 55: 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 ......2020/04/15  · 「有価証券報告書記載上の留意点」セミナー資料 <金融庁公表物>

1 FC関連収入とは、フランチャイズ店に対する商品売上高、フランチャイズ店からのロイヤ

リティ収入であり、補正費売上高とは、パンツの裾上げ(補正)の加工賃及び刺繍プリント

による収入等であります。

2 ユニクロ事業とは、「ユニクロ」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

3 ジーユー事業とは、「ジーユー」ブランドのカジュアル衣料品販売事業であります。

4 グローバルブランド事業は、セオリー事業(「Theory(セオリー)」ブランド等の衣料品販

売事業)、プラステ事業(「PLST(プラステ)」ブランド等の衣料品販売事業)、コント

ワー・デ・コトニエ事業(「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」ブラ

ンドの衣料品販売事業)、プリンセス タム・タム事業(「PRINCESSE TAM.TAM(プリンセス

タム・タム)」ブランドの衣料品販売事業)及びJ Brand事業(「J BRAND(ジェイブラン

ド)」ブランドの衣料品販売事業)で構成されております。

5 その他事業とは、不動産賃貸業等であります。

6 国内ユニクロ事業に含まれるEコマース売上高

前連結会計年度 63,063百万円、当連結会計年度 83,228百万円

7 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(注)

(2)販売及び仕入の状況

① 部門別売上状況 ② 単位当たりの売上状況

1 国内・海外ユニクロ事業についてのみ記載しております。

2 売上収益は店舗商品売上高であり、国内ユニクロ事業のEコマース事業・FCに対する商品

供給高・経営管理料及び補正費売上高は含まれておりません。

3 売場面積(平均)は、直営店売場の昨年度期末面積数と今年度期末面積数を平均算出してお

ります。

4 従業員数(平均)は、準社員、アルバイト社員、委託社員及び受入出向社員を含み、執行役

員を除いております。なお、準社員、アルバイト社員は在籍する年間の平均人員により記載

しております。

5 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(注)

【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 ※ 一部抜粋

・・・

3.「MD&Aに共通する事項」の開示例 ②詳細なセグメント単位や非財務指標の分析

株式会社ファーストリテイリング(2/2)有価証券報告書(2019年8月期) P16-17

▪ 財務情報におけるセグメント単位に加え、経営方針・経営戦略等の説明に適した単位(「メンズ」、「ウィメンズ」等、より詳細な単位)で記載

▪ 財務情報に加えて、その理解に有用な指標(1㎡当たり売上収益や1人当たり売上収益)の前期比較情報を記載

部門

前連結会計年度(自 2017年9月1日至 2018年8月31日)

当連結会計年度(自 2018年9月1日

至 2019年8月31日)

売上収益(百万円)

構成比(%)

売上収益(百万円)

構成比(%)

メンズ 341,392 16.0 343,243 15.0ウィメンズ 403,407 18.9 409,105 17.9

キッズ・ベビー 67,202 3.2 66,303 2.9

グッズ・その他 22,938 1.1 22,947 1.0

国内ユニクロ商品売上合計

834,941 39.2 841,600 36.7

FC関連収入・補正費売上高

29,836 1.4 31,357 1.4

国内ユニクロ事業合計

864,778 40.6 872,957 38.1

海外ユニクロ事業 896,321 42.1 1,026,032 44.8

ユニクロ事業合計 1,761,099 82.7 1,898,990 82.9

ジーユー事業 211,831 9.9 238,741 10.4

グローバルブランド事業

154,464 7.3 149,939 6.5

その他事業 2,664 0.1 2,877 0.1合計 2,130,060 100.0 2,290,548 100.0

摘要当連結会計年度

(自 2018年9月1日至 2019年8月31日)

前期比(%)

売上収益 1,784,404百万円 107.0

1㎡当たり売上収益売場面積(平均) 2,275,204㎡ 104.5

1㎡当たり期間売上収益 784千円 102.3

1人当たり売上収益従業員数(平均) 105,588人 105.2

1人当たり期間売上収益 16,899千円 101.6

1153

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(注1)キャンセル前予約受付ベース、各連結会計年度期首からの累計数値

(注2)従来は「スタディサプリ」有料会員数のうち、高校生向けサービスのみを開示していましたが、

2019年3月期より、「スタディサプリ」の有料会員数の合計を開示しています。なお、有料会員

数とは、小学生、中学生及び高校生向け講座並びに「スタディサプリEnglish」の有料会員数の

合算値です。これに伴い、同会員数の2018年3月期の数値もあわせて遡及開示しています。

(注3)出所:国土交通省「住宅着工統計」

(注4)出所:厚生労働省

(注5)各四半期の各月末の平均値

(各事業分野の概況)

・販促領域

住宅分野:

当分野は住宅の売買、賃貸、リフォームに関する情報誌及び情報オンラインプラットフォーム「

SUUMO」を中心に、関連する事業を運営しています。当連結会計年度においては、継続的なオン

ラインプラットフォームの改修やユーザー集客の推進に加えて、クライアントの業務及び経営を

支援するソリューションの提供に注力しました。

当連結会計年度における売上収益は1,041億円(前連結会計年度比6.1%増)となり、当第4四半期の

売上収益は281億円(前年同期比13.5%増)となりました。なお、前第3四半期に当分野に属する子

会社を譲渡しており、その影響を控除した際の当連結会計年度の売上収益の前連結会計年度比は9.9

%増(注)となりました。

(1) 経営成績等の分析 ※ 一部抜粋

ⅱ セグメント業績の概況

②メディア&ソリューション事業

(業績の概況)

当報告セグメントは販促領域及び人材領域の2つの事業領域で構成されています。

当連結会計年度における売上収益は7,214億円(前連結会計年度比6.1%増)となりました。これは主

に、販促領域の住宅分野及び美容分野並びに人材領域の国内人材募集分野が増収になったことによる

ものです。当第4四半期の売上収益は1,937億円(前年同期比6.9%増)となりました。

当連結会計年度におけるセグメント利益(セグメントEBITDA)は1,724億円(前連結会計年度比

10.4%増)となりました。これは販促領域及び人材領域が増益となり、特に販促領域の増益が寄与し

たことによるものです。当第4四半期のセグメント利益は322億円(前年同期比16.2%増)となりま

した。また、当連結会計年度から新たな経営体制に移行したことに伴い、連結グループ内取引に関する

費用、具体的には経営指導料や管理機能に係る業務委託費の配賦方針に変更があり、この変更がセグ

メント利益を押し上げました。この影響を控除した際の当連結会計年度及び当第4四半期のセグメン

ト利益の前連結会計年度比及び前年同期比は、それぞれ6.3%増及び10.1%増、販促領域11.3%増及

び15.1%増、人材領域4.2%増及び6.6%増(注)となりました。

(注)影響額は管理会計上の数値を用いて算出

当報告セグメントの業績及び関連データ等は、以下のとおりです。

【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 ※ 一部抜粋

3.「MD&Aに共通する事項」の開示例 ②詳細なセグメント単位や非財務指標の分析

株式会社リクルートホールディングス 有価証券報告書(2019年3月期) P30-31

(単位:十億円)

・・・

前第4

四半期

当第4

四半期増減

増減率

(%)

前連結

会計年度

当連結

会計年度増減

増減率

(%)

売上収益(合計) 181.2 193.7 12.4 6.9 679.9 721.4 41.4 6.1

販促領域 96.4 105.2 8.7 9.0 378.5 400.4 21.9 5.8

住宅分野 24.7 28.1 3.3 13.5 98.1 104.1 6.0 6.1

結婚分野 13.1 13.0 △0.1 △1.2 55.4 54.9 △0.5 △0.9

旅行分野 14.2 14.9 0.7 5.1 58.8 61.6 2.7 4.7

飲食分野 9.7 10.0 0.3 3.4 37.3 38.8 1.4 4.0

美容分野 16.8 18.7 1.8 11.1 63.8 72.0 8.2 12.9

その他 17.8 20.3 2.5 14.5 64.8 68.7 3.9 6.0

人材領域 83.0 86.6 3.6 4.3 294.4 316.8 22.4 7.6

国内人材募集分野 76.8 78.2 1.3 1.8 270.6 283.9 13.3 4.9

その他 6.1 8.3 2.2 36.7 23.7 32.8 9.0 38.3

全社/消去(メディア&

ソリューション事業)1.7 1.9 0.1 9.8 7.0 4.1 △2.8△41.2

セ グ メ ン ト 利 益

(セグメントEBITDA)(合計)

27.8 32.2 4.4 16.2 156.1 172.4 16.2 10.4

販促領域 15.5 18.8 3.3 21.4 95.2 109.8 14.5 15.3

人材領域 16.4 17.9 1.4 9.1 74.5 79.2 4.7 6.3

全社/消去(メディア&

ソリューション事業)△4.1 △4.5 △0.3 - △13.6 △16.6 △2.9 -

2018年

3月期

2019年

3月期

(単位) 1Q末 2Q末 3Q末 4Q末 1Q末 2Q末 3Q末 4Q末

事業データ

「HotPepperグルメ」

ネット予約人数累計(注1)万人 1,448 2,828 5,275 7,121 1,905 3,718 6,577 8,850

「HotPepper Beauty」

ネット予約件数累計(注1)万件 1,824 3,795 5,758 7,823 2,272 4,719 7,163 9,699

「Airレジ」登録アカウント数 万 29.2 30.5 31.8 33.3 34.9 36.4 38.1 40.2

「スタディサプリ」

有料会員数(注2)万人 40.4 44.4 45.4 47.6 55.9 58.6 59.8 61.4

市場環境指標

新設住宅着工戸数(注3) 戸 249,916 246,924 244,511 205,045 245,040 246,378 245,907 215,611

有効求人倍率(注4、5) 倍 1.49 1.52 1.57 1.59 1.60 1.63 1.63 1.63

▪ 財務情報におけるセグメント単位に加え、経営方針・経営戦略等の説明に適した単位(「住宅分野」、「結婚分野」等の単位)で記載

▪ 財務情報に加えて、その理解に有用な指標(「ネット予約人数累計」、「ネット予約件数累計」、「新設住宅着工戸数」等)を時系列に記載 1254

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6.「監査の状況」の開示例 ①監査役等の活動状況

味の素株式会社 有価証券報告書(2019年3月期) P60-61

3.監査役の主な活動

監査役は、取締役会に出席し、議事運営、決議内容等を監査し、必要により意見表明を行っています。取

締役会への監査役の出席率は98%でした(社外監査役96%、社内常勤監査役100%)。その他、主に常勤監

査役が、経営会議、企業行動委員会等の社内の重要な会議または委員会に出席しています。

監査役全員による取締役社長・コーポレート担当の取締役専務執行役員との会談を四半期毎に開催し、監

査報告や監査所見に基づく提言を行っています。また、1年間の部門監査やグループ会社往査を踏まえ、年

度末に常勤監査役と管掌役員との面談を実施し、必要に応じた提言を行っています。その他、必要に応じ取

締役・執行役員及び各部門担当者より報告を受け意見交換を行っています。

土岐監査役は、取締役会の任意委員会であるコーポレート・ガバナンス委員会の委員に就任し、当事業年

度は5回出席しました。

監査役会は、当事業年度は主として1)ガバナンス状況、2)グローバルなリスクへの対応とグループ会社

管理、3)「働き方改革」その他人財への取組み、4)棚卸資産管理、のモニタリングおよび5)会計監査人の

評価・選任、を重点監査項目として取組みました。

1)ガバナンス状況:

グローバルガバナンスに関する規程等の運用状況を月次ベースで確認し社内決裁の内容の共有を行い、課題

ある場合には改善に向けた提言を行いました。

2)グローバルなリスクへの対応とグループ会社管理:

社外監査役も含め分担し、国内外グループ会社の中から重要性及びリスク・アプローチに基づき国内グルー

プ会社5社、海外グループ会社15社を対象に往査を実施しました。

国内グループ会社15社の常勤監査役16名との会議・面談を年4回実施した他、日常的情報共有をグループ会

社監査役と行いました。特に、同会議では社内外の講師による「棚卸資産管理強化」や「グループのコンプラ

イアンスとリスク」の講演を実施し、重点リスクについての理解を深め、情報・意見の交換を行いました。

従来の内部通報制度に加え外部窓口やサプライヤーホットラインの新設による窓口複線化の実施状況のモニ

タリングを行うとともに、2018年5月に新設した監査役ホットラインにおいてはグループの役員に関する通報

に直接監査役が対応しました。

3)「働き方改革」その他人財への取組み:

部門監査時のヒアリングや企業行動委員会等の報告を通じ取組み状況および課題への対応を把握するととも

に、グループ常勤監査役会議において国内グループ各社での展開状況を共有・確認の上、経営陣に必要な提言

を行いました。

4)棚卸資産管理:

財務・経理部主催の海外経理担当者会議におけるグループ棚卸資産管理強化の取組みにつき詳細報告を受け

状況を把握するとともに、グループ常勤監査役会議において本年度共通テーマとしてモニタリングを継続しま

した。また、年度末には複数の工場にて会計監査人の実施する棚卸実査に常勤監査役およびスタッフが立会い、

網羅性を強化した棚卸実査が適切に実施されていることを確認しました。

5)会計監査人の評価・選任:

「会計監査人の選任および再任の基準」に基づき、会計監査人を評価し再任の相当性について検討・議論を

重ねるとともに、中期的な選任方針についても議論を進めました。

▪ 監査役会の開催回数と監査役の出席回数の記載に加え、1回あたりの所要時間も記載

▪ 主な決議内容と報告内容を具体的に記載

▪ 取締役会への監査役の出席率を社内と社外に区分して記載

▪ 監査役会の重点監査項目を具体的に記載

① 監査役監査の状況

1.組織・人員

当社の監査役は5名であり、常勤監査役2名と社外監査役3名から構成されています。当社監査役

会は、最低1名は財務及び会計に関して相当程度の知見を有するものを含めることとしており、

また社外監査役候補者については、法律もしくは会計に関する高度な専門性または企業経営に

関する高い見識を有することを基軸に3名を選定することとしています。現在、監査役会議長は

富樫洋一郎常勤監査役が務めており、田中靜夫常勤監査役及び天野秀樹監査役を財務・会計に

関する相当程度の知見を有する監査役として選任しています。田中靜夫常勤監査役は、1980年に

当社に入社して以降、財務・会計業務に携わり、2002年に財務部財務グループ長、2008年に監査

部長を歴任し、2012年に現職に就任しました。天野秀樹監査役は、1980年に公認会計士登録して

以来、企業会計に長年携わり、2011年には有限責任あずさ監査法人副理事長(監査統括)、2015

年には同法人エグゼクティブ・シニアパートナーを歴任し、2018年に現職に就任しました。

監査役の職務を遂行する組織として監査役室を設置し、2019年3月末時点で適正な知識、能力、

経験を有する専任スタッフを7名配置し、監査役の職務遂行のサポートを行っています。当該監

査役スタッフの人事異動、業績評価等に関しては監査役の同意を得るものとし、取締役からの

独立性を高め、監査役の指示の実効性を確保しています。

2.監査役会の活動状況

監査役会は、取締役会開催に先立ち月次で開催される他、必要に応じて随時開催されます。

当事業年度は合計17回開催し、1回あたりの所要時間は約2時間でした。監査役の出席率は98%で

した(土岐敦司氏および村上洋氏の社外監査役2名はそれぞれ17回中16回出席。その他3名の監査

役は全て出席)。年間を通じ次のような決議、報告、審議・協議がなされました。

決議 9件:監査役監査方針・監査計画・職務分担、監査役選任議案の株主総会への提出の請求、

会計監査人の評価および再任・不再任、監査報告書案等

報告44件:取締役会議題事前確認、監査役月次活動状況報告および社内決裁内容確認、監査役

ホットライン通報報告等

審議・協議11件:監査役活動年間レビューおよび監査役会の実効性評価、会計監査人の評価

および再任・不再任、監査報告書案等

また、監査役会を補完し、各監査役間の監査活動その他の情報共有を図るため監査役連絡会

を毎月1回開催しています(当事業年度12回実施)。

【コーポレート・ガバナンスの状況等】 ※ 一部抜粋

(3)【監査の状況】

1355

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6.「監査の状況」の開示例 ②会計監査人に関する開示

三井物産株式会社 有価証券報告書(2019年3月期) P88-89

④監査報酬の内容等

(c)監査報酬の決定方針

監査報酬の決定にあたっては、監査計画の内容や従前の会計年度における職務執行状況等を踏

まえ、監査品質の維持・向上と監査の効率的な実施の両立の観点から、監査手続の工程確認や

会計監査人と執行業務部門との役割分担、個別案件の論点整理を実施し、監査時間の透明化を

進め、報酬額を最適化する方針としております。

加えて、四半期毎に予実管理及び増減理由の分析、効率化の検討およびその進捗の確認を実施

し、適時に会計監査人と協議しております。

上記方針に沿って監査報酬の妥当性を確認し、監査役会の同意を得て最終決定しております。

(d)監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由

監査役会は、会計監査人の評価の中で監査報酬決定プロセスについても確認を行なっておりま

す。その状況も踏まえ取締役、社内関係部署及び会計監査人からの必要な資料の入手や報告の

聴取を通じて、会計監査人の監査計画の内容、従前の事業年度における職務執行状況や報酬見

積りの算出根拠などを確認し、検討した結果、会計監査人の報酬等につき、会社法第399条第1

項の同意を行っています。

⑤監査役監査、内部監査部監査及び会計監査人監査との連携並びに内部統制部門との関係

・監査役会は、内部監査部及び会計監査人との三様監査連絡会を開催し、各監査方針・監査計

画・監査重点項目等について期初に意見交換を行うほか、監査状況等について適宜報告を行い、

効率的かつ実効性の高い各監査のための情報交換を行っています。

・常勤監査役は、効率的な監査の遂行のため内部監査部と都度情報交換を行うほか、内部監査部

の定例内部監査の講評会に原則として全て出席しています。内部監査部長は、内部監査の計画

及び実績を定期的に監査役会に報告します。監査役は、必要に応じ、内部監査部及びその他内

部統制を所管する部署に対して、内部統制システムの状況及びリスク評価等について報告を求

め、また、監査への種々協力を求めます。

・監査役会は、期末において会計監査人より会計監査及び内部統制監査の手続及び結果の概要に

つき報告を受け、意見交換を行うほか、期中において会計監査人との月例連絡会議を開催し、

会計監査人の監査計画・重点監査項目・監査状況等の報告を受け、情報交換を図るとともに、

有効かつ効率的な会計監査及び内部統制監査の遂行について協議します。

③会計監査の状況

・監査法人の名称

有限責任監査法人トーマツ

(中略)

・継続監査期間

46年間

業務執行社員のローテーションに関しては適切に実施されており、原則として連続して7会計期間を超

えて監査業務に関与しておりません。

なお、筆頭業務執行社員については連続して5会計期間を超えて監査業務に関与しておりません。

(中略)

・会計監査人の選定方針と理由

当社は会計監査人の再任、解任、不再任および選任の決定の方針を次のとおりとしています。

(a)会計監査人の任期は1年とし、再任を妨げない。

(b)会計監査人の解任、不再任および選任は、監査役会において、これを株主総会の付議議案とする旨決

議する。再任および選任のための会計監査人の選定については、会計監査人が独立の立場を保持し、かつ、

適正な監査を持続的に実施できる体制を構築していることを評価・確認のうえ監査役会にて決議する。

(c)当社都合の場合の他、会計監査人が、会社法、公認会計士法等の法令に違反または抵触した場合、

公序良俗に反する行為があった場合、及び、監査契約に違反した場合、会計監査人の解任または不再

任を株主総会の付議議案とすることが妥当かどうかを監査役会にて検討する。

(d)監査役会は、会計監査人が会社法第340条第1項各号に定める項目に該当する場合は、監査役の全員

の同意に基づき会計監査人を解任することができる。

監査役会は第100期事業年度の会計監査について下記の項目・プロセスについて評価を実施しその妥当

性を確認し、第101期事業年度における会計監査人の再任決議を行いました。

・監査役会による会計監査人の評価

監査役会は会計監査人の評価を以下の項目で実施しております。

・会計監査人としての相当性

・監査チームの期初・期中・期末の監査対応

・監査報酬決定プロセス

また監査役会は上記3項目の評価を以下のプロセスを通じて実施しております。

・会計監査人による自己評価の確認および会計監査人のマネジメント、監査責任者及び補助者等から

のヒアリング

・業務執行部門(経理部、内部監査部等)の会計監査人評価の確認および業務執行部門の責任者、担当

者等からのヒアリング

再任決議にあたり、更なる監査品質向上に向けて、当社事業の多様化・複雑化による高度な会計論点、

監査論点への対応力の必要性に鑑み監査責任者及び補助者の長期的なサクセッションプランの適時な

意見交換の実施について会計監査人と摺り合わせを行っております。

【コーポレート・ガバナンスの状況等】 ※ 一部抜粋

(3)【監査の状況】

▪ 監査法人の再編に関係なく、実質的な継続監査期間を記載

▪ 継続監査期間について、業務執行社員のローテーションの考え方も含めて記載

▪ 会計監査人の選定方針を具体的に記載

▪ 会計監査人の評価事項、再任に至った理由を具体的に記載

▪ 監査報酬の決定方針、監査役会が会計監査人の報酬等に同意した理由を具体的に記載 1456

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6.「監査の状況」の開示例 ②会計監査人に関する開示

アクシアル リテイリング株式会社 有価証券報告書(2019年3月期) P65-66

g 提出会社の監査役及び監査役会が提出会社の監査公認会計士等又は会計監査人の評価を行った場合

に関する事項

当社の監査役会は、会計監査人の選定・評価に関する基準を定めており、当該評価基準に基づき、

会計監査人が独立の立場を保持し、かつ、適正な監査を実施しているかを監視及び検証するととも

に、会計監査人からその職務の執行状況について報告を受け、必要に応じて説明を求め評価いたし

ました。また、会計監査人から「職務の遂行が適正に行われることを確保するための体制」(会社

計算規則第131条各号に掲げる事項)を「監査に関する品質管理基準」(2005年10月28日企業会計審

議会)等に従って整備している旨の通知を受け、必要に応じて説明を求めました。

この結果、当社の会計監査人による会計監査は、有効に機能し適切に行われており、その体制に

ついても整備・運用が行われていると判断いたしました。

なお、会計監査人の選定・評価に関する基準の内容は次のとおりであります。

(会計監査人選定・評価基準)

1 監査品質並びに品質管理

(1) 監査業務の実施体制

(2) 品質管理システムの監視体制

(3) 品質管理の責任体制

(4) 品質管理の評価に対する体制

2 独立性及び職業倫理

3 総合的能力(職業的専門家としての専門性)

4 監査実施の有効性及び効率性

▪ 継続監査期間について、調査可能な範囲の継続監査期間を記載し、継続監査期間がその期間を超える可能性がある旨を記載

③ 会計監査の状況

a 監査法人の名称

有限責任監査法人トーマツ

b 提出会社の財務書類について連続して監査関連業務を行っている場合におけるその期間

31年間

(注)上記記載の期間は、調査が著しく困難であったため、当社が株式上場した以後の期間について調

査した結果について記載したものであり、継続監査期間はこの期間を超える可能性があります。

c 業務を執行した公認会計士の氏名

指定有限責任社員 業務執行社員 安藤 武 (継続監査年数 4年)

指定有限責任社員 業務執行社員 神代 勲 (継続監査年数 6年)

(中略)

e 当該監査公認会計士等を選定した理由

当社は、有限責任監査法人トーマツより同法人の体制等について説明を受け、同法人の独立性、品

質管理体制、専門性の有無、当社グループが行っている事業分野への理解度及び監査報酬等を総合的

に勘案し、監査役会が定める「会計監査人選定・評価基準」に準じて評価した結果、当該監査法人を

会計監査人並びに監査公認会計士等として選定することが妥当であると判断いたしました。

なお、当社の監査公認会計士等と会計監査人は同一の者でありますが、会社法施行規則第126条第5

号又は第6号に掲げる事項(会計監査人が受けた業務停止処分等に関する事項)に該当する事実はあ

りません。

(会計監査人の解任又は不再任の決定の方針)

監査役会は、会計監査人の職務の執行に支障がある場合等、その必要があると判断した場合は、株

主総会に提出する会計監査人の解任又は不再任に関する議案の内容を決定いたします。

また、会計監査人が会社法第340条第1項各号に定める項目に該当すると認められる場合は、監査役

全員の同意に基づき、会計監査人を解任いたします。この場合、監査役会が選定した監査役は、解任

後最初に招集される株主総会において、会計監査人を解任した旨とその理由を報告いたします。

さらに、取締役会が、会計監査人の職務の執行に支障がある場合等、その必要があると判断した場

合は、会計監査人の解任又は不再任を株主総会の会議の目的とすることを監査役会に請求し、監査役

会はその適否を判断したうえで、株主総会に提出する議案の内容を決定いたします。

f 最近2連結会計年度等において監査公認会計士等の異動があった場合に関する事項

監査公認会計士等の異動はなく、該当事項はありません。

【コーポレート・ガバナンスの状況等】 ※ 一部抜粋

(3)【監査の状況】

1557

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令和2年度 開示府令改正のポイント等

記載項目 早期適用会社で発見されている事項と留意すべきポイント

第2【事業の状況】1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

経営方針・経営戦略等

経営方針や経営戦略が抽象的な記載内容に留まっている事例が確認されている。経営方針、経営戦略等は会社の経営環境(例えば、企業構造、事業を行う市場の状況、競合他社との競争優位性、主要製品・サービスの内容、顧客基盤、販売網等)についての経営者の認識の説明を含め、主な事業の内容と関連付けて記載する必要がある。

第2【事業の状況】2【事業等のリスク】

事業等のリスク一般的なリスクが羅列されているのみの事例が確認されている。事業に関する具体的なリスクの内容や、リスクが顕在化した場合における経営成績等に与える影響、リスクへの対応策等、具体的な記載が必要である。

第2【事業の状況】3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況単に計数情報をそのまま記述しただけの記載や業績の前期比較等の説明に留まる事例が確認されている。経営方針や経営戦略に関連付けて経営者の視点から成果を振り返るような記載が求められる。

1658

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令和2年度 開示府令改正のポイント等

記載項目 早期適用会社で発見されている事項と留意すべきポイント

第2【事業の状況】3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(つづき)

会計上の見積り

経営者が重要と考える会計上の見積りについて、当該見積りの仮定の不確実性の内容や、その変動により経営成績等に生じる影響等についての具体的な記載が、「第5 経理の状況」の記載内容と合わせても十分ではないと考えられる事例が確認されている。法令に従い、必要十分な記載が求められる。

第4【提出会社の状況】4【コーポートガバナンスの状況等】(3)【監査の状況】

監査役会等の活動状況

監査役会等の活動状況において、監査役会等での主な検討事項や常勤監査役の活動が十分に記載されていない事例が確認されている。財務諸表利用者が監査役会等の活動状況を十分に理解出来るよう、具体的な記載が求められる。※ 監査役会等での主な検討事項には、通常、外部監査人と協議した「監査上の主要な検討事項」についても記載することになると考えられる。

継続監査期間

提出会社の監査公認会計士等が監査法人である場合であって、かつ、提出会社の財務書類について連続して監査関連業務を行っている場合には、その期間(継続監査期間)を記載する必要があるが、その記載がない事例や過去に監査法人において合併等があった場合に当該合併等の前の期間を含めて算定していない事例が確認されている。該当する会社は継続監査期間の記載が必要であることを確認するとともに、継続監査期間の考え方について留意されたい(平成31年1月31日公表 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.36参照)。

1759

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No. コメントの概要 金融庁の考え方

36 継続監査期間について、算定に関する考え方を示して欲しい。

また、どの時点まで遡って継続監査期間を計算する必要があるか示して欲しい。証拠資料の散逸等のため遡って調べられる期間が限られる場合には、調査可能であった最長年数と実際の年数がそれ以上である可能性があることを記載した上で(例えば「10年以上」)、その翌年度以降に年数を加算する方法によるなど、実務上可能な範囲という理解で良いか。

ご指摘の継続監査期間については、例えば、以下のとおり整理することが考えられます。① 提出会社が有価証券届出書提出前から継続して同一の監査法人による監査を受けている場合、有価証券届出書提出前の監査期間も含めて算定する。

②-ⅰ 過去に提出会社において合併、会社分割、株式交換及び株式移転があった場合であって、会計上の取得企業の監査公認会計士等が提出会社の監査を継続して行っているときは、当該合併、会社分割、株式交換及び株式移転前の監査期間も含めて算定する。

②-ⅱ 過去に提出会社において合併、会社分割、株式交換及び株式移転があった場合であって、会計上の被取得企業の監査公認会計士等が提出会社の監査を行っているときは、当該合併、会社分割、株式交換及び株式移転前の監査期間は含めないものとして算定する。

③-ⅰ 過去に監査法人において合併があった場合、当該合併前の監査法人による監査期間も含めて算定する。

③-ⅱ 提出会社の監査業務を執行していた公認会計士が異なる監査法人に異動した場合において、当該公認会計士が異動後の監査法人においても継続して提出会社の監査業務を執行するとき又は当該公認会計士の異動前の監査法人と異動後の監査法人が同一のネットワークに属するとき等、同一の監査法人が提出会社の監査業務を継続して執行していると考えられる場合には、当該公認会計士の異動前の監査法人の監査期間も含めて算定する。

継続監査期間の算定に当たっては、上記の整理も踏まえ、基本的には、可能な範囲で遡って調査すれば足り、その調査が著しく困難な場合には、調査が可能であった期間を記載した上で、調査が著しく困難であったため、継続監査期間がその期間を超える可能性がある旨を注記することが考えられます。また、継続監査期間の記載方法については、「●年間」と記載する方法の

ほか、「●年以降」といった記載も考えられます。

参考(継続監査期間の考え方)

パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(平成31年1月31日公表)(抜粋)

1860

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【 別 添 】

Ⅰ.基本情報

Ⅱ.調査内容

該当ページ P.○~P.○

該当ページ P.○~P.○

該当ページ P.○~P.○

該当ページ P.○~P.○

該当ページ P.○~P.○

該当ページ P.○~P.○

1=記載している。2=記載していない。

電話番号

(a) 当連結会計年度末(連結財務諸表を作成していない場合には当事業年度末)現在における連結会社(連結財務諸表を作成していない場合には提出会社。以下同じ。)の経営方針・経営戦略等の内容を記載し、記載に当たっては、連結会社の経営環境(例えば、企業構造、事業を行う市場の状況、競合他社との競争優位性、主要製品・サービスの内容、顧客基盤、販売網等)についての経営者の認識の説明を含め、主な事業の内容と関連付けて記載していますか。

【第2号様式記載上の注意(30)a参照】1の場合の記載箇所

(a) 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社(連結財務諸表を作成していない場合には提出会社。以下同じ。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(経営成績等。以下同じ。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク(連結会社の経営成績等の状況の異常な変動、特定の取引先・製品・技術等への依存、特有の法的規制・取引慣行・経営方針、重要な訴訟事件等の発生、役員・大株主・関係会社等に関する重要事項等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項をいう。)について、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容、当該リスクへの対応策を記載するなど、具体的に記載し、記載に当たっては、リスクの重要性や経営方針・経営戦略等との関連性の程度を考慮して、分かりやすく記載していますか。

【第2号様式記載上の注意(31)a参照】 1の場合の記載箇所

B.事業等のリスク

1=記載している。2=記載していない。

A.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

法令改正関係審査(令和2年3月期以降版) 調査票

記載に当たっては、網掛け部分については該当事項を記入し、「⇒」の部分については選択肢を選んでください。

会社名 代表者名

「該当ページ」欄については、有価証券報告書における記載箇所のページ(EDINET上のPDFファイルのページ)を記入してください。

EDINETコード 担当部署名

本店所在地担当者名

C.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

1=記載している。2=記載していない。

(a) 経営成績等の状況に関して、事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとに、経営者の視点による認識及び分析・検討内容(例えば、経営成績に重要な影響を与える要因についての分析)を、経営方針・経営戦略等のほか、有価証券報告書に記載した他の項目の内容と関連付けて記載していますか。

【第2号様式記載上の注意(32)a(e)参照】

1の場合の記載箇所

D.監査の状況

※ 回答内容を「2」としている項目については、自発的な訂正報告書の提出が必要となる場合がございますので、有価証券報告書の記載内容を再度ご確認ください。

備考

(b) 連結財務諸表(連結財務諸表を作成していない場合には財務諸表)の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて、当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響など、「第5 経理の状況」に記載した会計方針を補足する情報を記載していますか。

【第2号様式記載上の注意(32)a(g)参照】

1=記載している。2=記載していない。(3の場合を除く)3=記載すべき事項の全部又は一部を「第5 経理の状況」の注記において記載しているため、その旨を記載することによって、当該注記において記載した事項の記載を省略している。

1の場合の記載箇所

1の場合の記載箇所

1=記載している。2=記載していない。(3の場合を除く)3=提出会社の監査公認会計士等が監査法人ではない、又は、提出会社の財務書類について連続して監査関連業務が行われていない。

(a) 当事業年度における提出会社の監査役及び監査役会(監査等委員会設置会社にあっては提出会社の監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては提出会社の監査委員会をいう。)の活動状況(開催頻度、主な検討事項、個々の監査役の出席状況及び常勤の監査役の活動等)を記載していますか。

【第2号様式記載上の注意(56)a(b)参照】

(b) 提出会社の監査公認会計士等が監査法人である場合であって、かつ、提出会社の財務書類について連続して監査関連業務(公認会計士法第24 条の3第3項に規定する監査関連業務をいう。)を行っている場合におけるその期間(継続監査期間)を記載していますか。

【第2号様式記載上の注意(56)d(a)ⅱ参照】

1=記載している。2=記載していない。

1の場合の記載箇所

1 ページ

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㈱プロネクサス

■ 2020年3月 31日付の公表物

● 2020年3月 31日に以下の会計基準等が企業会計基準委員会から正式に公表されました。

会計基準等

(2020年3月 31日公表) 公開草案

・「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29号

2020年3月 31日)

・「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基

準適用指針第 30号 2020年3月 31日)

・「四半期財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第

12号 2020年3月 31日)

・「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」(企業

会計基準適用指針第 14号 2020年3月 31日)

・「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会

計基準適用指針第 19号 2020年3月 31日)

・「収益認識に関する会計基準(案)」(企業会計基準公

開草案第 66号 2019年 10月 30日)

・「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(企業

会計基準適用指針公開草案第 66号 2019年 10月 30日)

・「四半期財務諸表に関する会計基準(案)」(企業会計

基準公開草案第 67号 2019年 10月 30日)

・「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針(案)」

(企業会計基準適用指針公開草案第 67号 2019年 10月

30日)

・「金融商品の時価等の開示に関する適用指針(案)」

(企業会計基準適用指針公開草案第 68号 2019年 10月

30日)

・「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(企業会計

基準第 31号 2020年3月 31日)

・「会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)」(企

業会計基準公開草案第 68号 2019年 10月 30日)

・「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関す

る会計基準」(企業会計基準第 24号 2020年3月 31

日)

・「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関す

る会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第 69号

2019年 10月 30日)

・「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税

効果会計の適用に関する取扱い」(実務対応報告第 39号

2020年3月 31日)

・「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税

効果会計の適用に関する取扱い(案)」(実務対応報告

公開草案第 58号 2020年2月 13日)

● 2020年3月 31日に以下の委員会報告等の改正が日本公認会計士協会から正式に公表されました。

委員会報告等

(2020年3月 17日最終改正、2020 年3月 31 日公表) 公開草案

・「監査・保証実務委員会報告第 82号『財務報告に係る

内部統制の監査に関する実務上の取扱い』の改正につい

て」(2020年3月 17日最終改正、2020年3月 31日公

表)

・「監査・保証実務委員会報告第 82号『財務報告に係る

内部統制の監査に関する実務上の取扱い』の改正につい

て」(公開草案)(2020年1月 31日)

・「監査・保証実務委員会実務指針第 85号『監査報告書

の文例』の改正について」(2020年3月 17日最終改

正、2020年3月 31日公表)

・「監査・保証実務委員会実務指針第 85号『監査報告書

の文例』の改正について」(公開草案)(2020年1月

31日)

62

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㈱プロネクサス

■ 2020年3月 31日付の公表物の有価証券報告書作成の手引きへの影響

(※ 変更箇所は太字、アミ掛けで示しています。)

(1)< 連結財務諸表を作成している会社用> 第一部【企業情報】

第5【経理の状況】 1【連結財務諸表等】

(1)【連結財務諸表】 【注記事項】 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)

<手引書 P.446>

<別 冊 P.317>

<変更後> 参考事例

「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」第3項に基づいている場合

4.会計方針に関する事項

(9)その他連結財務諸表作成のための重要な事項

ロ 連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用

当社及び一部の国内連結子会社は、「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号)において

創設されたグループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行

われた項目については、「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取

扱い」(実務対応報告第39号 2020年3月31日)第3項の取扱いにより、「税効果会計に係る会計基準の適

用指針」(企業会計基準適用指針第28号 2018年2月16日)第44項の定めを適用せず、繰延税金資産及び繰

延税金負債の額について、改正前の税法の規定に基づいております。

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㈱プロネクサス

編注:「未適用の会計基準等に関する注記」の記載について

企業会計基準委員会から2020年3月31日付で公表された「企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上

の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」」において、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に対しても未適

用の会計基準等に関する注記に関する定めが適用されることとなります(第22-2項、第28-3項)。

また、2020年3月31日付で、企業会計基準委員会から「企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計

基準」」が公表されていますが、「改正企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に

関する会計基準」の公表」の「公表にあたって」においても、「企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関す

る会計基準」の公表」の「公表にあたって」においても、以下の「編注」の内容が記載されているため、「改正企業会計

基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」」、「「企業会計基準第31号「会計

上の見積りの開示に関する会計基準」」とも、2020年3月期の「未適用の会計基準等の注記」の対象と考えられるた

め、事例を新設しております。

加えて、2020年3月期における「未適用の会計基準等の注記」には専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に対

しても未適用の会計基準等に関する注記に関する定めが適用されるため、従来の事例を見直しております。

編注:

(「企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の公表」の「公表にあたって」を抜粋)

なお、改正企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」

(以下「改正企業会計基準第24号」という。)の公表に伴い、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に

対しても未適用の会計基準等に関する注記に関する定めが適用されることとなります。改正企業会計基準第

24号の原則的な適用時期は、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る

連結財務諸表及び個別財務諸表からとしていますが、本改正の趣旨を鑑み、本会計基準の公表後、適用まで

の間は、改正企業会計基準第24号第22-2項(未適用の会計基準等に関する注記)を類推適用し、次の事項

を注記することが適切と考えられます。

(1) 本会計基準の名称及び概要

(2) 適用予定日に関する記述

(参照)

会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(2020年3月31日 企業会計基準委員会 企業会計

基準第24号)

会計基準

会計上の取扱い

未適用の会計基準等に関する注記

22-2. 既に公表されているものの、未だ適用されていない新しい会計基準等がある場合には、次の事項を注記する。

なお、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に関しては、(3)の事項の注記を要しない。また、連結財務諸表

で注記を行っている場合は、個別財務諸表での注記を要しない。

(1) 新しい会計基準等の名称及び概要

(2) 適用予定日(早期適用する場合には早期適用予定日)に関する記述

(3) 新しい会計基準等の適用による影響に関する記述 結論の背景

経緯

28-3. 前項に加え、2020年改正会計基準では、第12項の未適用の会計基準等に関する注記に関する定めを第22-2項に移動した。未適用の会計基準等に関する注記に関する定めは、これまで会計方針の変更の取扱いの一部として定められていたため、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に対しては適用されないと解されていた。しかし、この定めを独立した項目に移動することで、未適用の会計基準等に関する注記に関する定めは、既に公表されているものの、未だ適用されていない新しい会計基準等全般に適用されることを明確化することを意図している。なお、この移動に伴い、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に関して未適用の会計基準等に関する注記を行う場合の取扱いを明確化した。

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㈱プロネクサス

【注記事項】 (未適用の会計基準等)

<手引書 P.482>

<別 冊 P.251>

<変更後> 参考事例

「収益認識に関する会計基準」等について記載する場合

(未適用の会計基準等) ・「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会) ・「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第 30号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会)

・「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第 19 号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会)

(1) 概要

国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)は、共同して収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行い、2014年5月に「顧客との契約から生じる収益」(IASBにおいてはIFRS第15号、FASBにおいてはTopic606)を公表しており、IFRS第15号は2018年1月1日以後開始する事業年度から、Topic606は2017年12月15日より後に開始する事業年度から適用される状況を踏まえ、企業会計基準委員会において、収益認識に関する包括的な会計基準が開発され、適用指針と合わせて公表されたものです。 企業会計基準委員会の収益認識に関する会計基準の開発にあたっての基本的な方針として、IFRS第15号と整

合性を図る便益の1つである財務諸表間の比較可能性の観点から、IFRS第15号の基本的な原則を取り入れることを出発点とし、会計基準を定めることとされ、また、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮すべき項目がある場合には、比較可能性を損なわせない範囲で代替的な取扱いを追加することとされております。

(2) 適用予定日

2022年3月期の期首から適用します。

(3) 当該会計基準等の適用による影響 「収益認識に関する会計基準」等の適用による連結財務諸表に与える影響額については、現時点で評価中で

あります。

<手引書 P.482>

<別 冊 P.311>

<変更後> 参考事例

「時価の算定に関する会計基準」等について記載する場合

(未適用の会計基準等) ・「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第 30号 2019年7月4日 企業会計基準委員会) ・「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2019年7月4日 企業会計基準委員会) ・「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第 10号 2019年7月4日 企業会計基準委員会) ・「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第 31号 2019年7月4日 企業会計基準委員会)

・「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第 19 号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会)

(1) 概要

国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)が、公正価値測定についてほぼ同じ内容の詳細なガイダンス(国際財務報告基準(IFRS)においてはIFRS第13号「公正価値測定」、米国会計基準においてはAccounting Standards CodificationのTopic 820「公正価値測定」)を定めている状況を踏まえ、企業会計基準委員会において、主に金融商品の時価に関するガイダンス及び開示に関して、日本基準を国際的な会計基準との整合性を図る取組みが行われ、「時価の算定に関する会計基準」等が公表されたものです。 企業会計基準委員会の時価の算定に関する会計基準の開発にあたっての基本的な方針として、統一的な算定

方法を用いることにより、国内外の企業間における財務諸表の比較可能性を向上させる観点から、IFRS第13号の定めを基本的にすべて取り入れることとされ、また、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、個別項目に対するその他の取扱いを定めることとされております。

(2) 適用予定日

2022年3月期の期首から適用します。

(3) 当該会計基準等の適用による影響 「時価の算定に関する会計基準」等の適用による連結財務諸表に与える影響額については、現時点で未定で

あります。

65

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㈱プロネクサス

<参考事例の追加>

第一部【企業情報】 第5【経理の状況】

1【連結財務諸表等】 (1)【連結財務諸表】 【注記事項】 (未適用の会計基準等)

参考事例

「会計上の見積りの開示に関する会計基準」について記載する場合

(未適用の会計基準等) 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(企業会計基準第 31号 2020年3月 31日 企業会計基準委員会) (1) 概要

国際会計基準審議会(IASB)が2003年に公表した国際会計基準(IAS)第1号「財務諸表の表示」(以下「IAS 第1号」)第125項において開示が求められている「見積りの不確実性の発生要因」について、財務諸表利用者にとって有用性が高い情報として日本基準においても注記情報として開示を求めることを検討するよう要望が寄せられ、企業会計基準委員会において、会計上の見積りの開示に関する会計基準(以下「本会計基準」)が開発され、公表されたものです。 企業会計基準委員会の本会計基準の開発にあたっての基本的な方針として、個々の注記を拡充するのではな

く、原則(開示目的)を示したうえで、具体的な開示内容は企業が開示目的に照らして判断することとされ、開発にあたっては、IAS第1号第125項の定めを参考とすることとしたものです。

(2) 適用予定日

2021年3月期の年度末から適用します。

参考事例

「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」について記載する場合

(未適用の会計基準等) 「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第 24号 2020年3月 31日 企業会計基準委員会) (1) 概要

「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に係る注記情報の充実について検討することが提言されたことを受け、企業会計基準委員会において、所要の改正を行い、会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準として公表されたものです。 なお、「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に係る注記情

報の充実を図るに際しては、関連する会計基準等の定めが明らかな場合におけるこれまでの実務に影響を及ぼさないために、企業会計原則注解(注1-2)の定めを引き継ぐこととされております。

(2) 適用予定日 2021年3月期の年度末から適用します。

66

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㈱プロネクサス

2【財務諸表等】

(1)【財務諸表】

【注記事項】

(重要な会計方針)

<手引書 P.888>

<別 冊 P.319>

<変更後> 参考事例

「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」第3項に基づいている場合

4.その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項

(〇)連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用

当社は、「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号)において創設されたグループ通算制度

への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目については、「連結

納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(実務対応報告第39号

2020年3月31日)第3項の取扱いにより、「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針

第28号 2018年2月16日)第44項の定めを適用せず、繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、改正前の

税法の規定に基づいております。

<手引書 P. 1170>

<別 冊 P.319>

<変更後> 参考事例

「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」第3項に基づいている場合

9.その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項

(〇)連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用

当社は、「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号)において創設されたグループ通算制度

への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目については、「連結

納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(実務対応報告第39号

2020年3月31日)第3項の取扱いにより、「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針

第28号 2018年2月16日)第44項の定めを適用せず、繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、改正前の

税法の規定に基づいております。

67

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㈱プロネクサス

監査報告書

変更内容

①<財務諸表監査>の「連結財務諸表監査における監査人の責任」の上から3段落目「開示すべき」の文言を削除

2020年3月 17日最終改正(2020年3月 31日公表) 改正案

「内部統制の重要な不備」 「内部統制の開示すべき重要な不備」

②<内部統制監査>の「内部統制監査における監査人の責任」の上から2段落目「財務報告に係る」の文言を追加

2020年3月 17日最終改正(2020年3月 31日公表) 改正案

「一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統

制の監査の基準」

「一般に公正妥当と認められる内部統制の監査の基

準」

<手引書 P.1054、P.1056、P.1058、P.1342、P.1344、P.1346>

<別 冊 P.331、P.333、P.335>

<変更後>

監査役会設置会社かつ上場会社の場合

独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

2020年6月26日

株式会社プロネクサス

取締役会 御中

○○○○監査法人

○○事務所

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられて

いる株式会社プロネクサスの2019年4月1日から2020年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸

借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財

務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式

会社プロネクサス及び連結子会社の2020年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績

及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における

当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職

業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果

たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に

表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために

経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかど

うかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する

必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

68

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㈱プロネクサス

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示が

ないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明すること

にある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決

定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家として

の判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立

案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証

拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の

実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関

連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づ

き、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付

ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意

を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外

事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、

将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかど

うかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や

会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手

する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対

して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重

要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並び

に監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じ

ている場合はその内容について報告を行う。

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社プロネクサスの2020年

3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社プロネクサスが2020年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内

部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告

に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監

査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」

に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立してお

り、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監

査証拠を入手したと判断している。

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係

る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて

合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通

じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

69

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㈱プロネクサス

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施す

る。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適

用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部

統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人

は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任

を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識

別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項につ

いて報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並

びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを

講じている場合はその内容について報告を行う。

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はな

い。

以 上

(注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出

会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

(以下、略)

70

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㈱プロネクサス

<手引書 P.1076、P.1078、P.1080>

<別 冊 P.341、343、345>

監査役会設置会社かつ上場会社の場合であって、「監査上の主要な検討事

項」について当連結会計年度に係る連結財務諸表の監査から適用する場合

参考事例

独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

2020年6月26日

株式会社プロネクサス

取締役会 御中

○○○○監査法人

○○事務所

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げら

れている株式会社プロネクサスの2019年4月1日から2020年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわ

ち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー

計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行っ

た。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、

株式会社プロネクサス及び連結子会社の2020年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の

経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準にお

ける当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国に

おける職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理

上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断してい

る。

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に

重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査

意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

○○○○(監査上の主要な検討事項の見出し及び該当する場合には連結財務諸表の注記事項への参照)

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 監査上の対応

……………………(監査上の主要な検討事項の内容及

び決定理由の内容を記載)…………………………。

…………………(監査上の対応を記載)………………

…………………………………………………………。

71

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㈱プロネクサス

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正

に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するた

めに経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるか

どうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示

する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにあ

る。

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表

示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明

することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利

用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家と

しての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続

を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適

切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評

価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及

び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基

づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどう

か結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の

注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結

財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手し

た監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠している

かどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎と

なる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を

入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監

査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制

の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこ

と、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフ

ガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判

断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表

が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利

益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

72

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㈱プロネクサス

<内部統制監査> 監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社プロネクサスの2020年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社プロネクサスが2020年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。 監査意見の根拠 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統

制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。 内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告

に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があ

る。 内部統制監査における監査人の責任 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかにつ

いて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程

を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。 ・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、

識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、

並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。 利害関係 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はな

い。 以 上

(注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提

出会社)が別途保管しております。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

(以下、略)

73

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㈱プロネクサス

(2)<連結財務諸表を作成していない会社用>

第一部【企業情報】

第5【経理の状況】

1【財務諸表等】

(1)【財務諸表】

【注記事項】

(重要な会計方針)

<手引書 P.402>

<変更後> 参考事例

「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」第3項に基づいている場合

10.その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項

(〇)連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用

当社は、「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号)において創設されたグループ通算制度

への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目については、「連結

納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(実務対応報告第39号

2020年3月31日)第3項の取扱いにより、「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針

第28号 2018年2月16日)第44項の定めを適用せず、繰延税金資産及び繰延税金負債の額について、改正前の

税法の規定に基づいております。

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㈱プロネクサス

編注:「未適用の会計基準等に関する注記」の記載について

企業会計基準委員会から2020年3月31日付で公表された「企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上

の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」」において、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に対しても未適

用の会計基準等に関する注記に関する定めが適用されることとなります(第22-2項、第28-3項)。

また、2020年3月31日付で、企業会計基準委員会から「企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計

基準」」が公表されていますが、「改正企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に

関する会計基準」の公表」の「公表にあたって」においても、「企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関す

る会計基準」の公表」の「公表にあたって」においても、以下の「編注」の内容が記載されているため、「改正企業会計

基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」」、「「企業会計基準第31号「会計

上の見積りの開示に関する会計基準」」とも、2020年3月期の「未適用の会計基準等の注記」の対象と考えられるた

め、事例を新設しております。

加えて、2020年3月期における「未適用の会計基準等の注記」には専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に対

しても未適用の会計基準等に関する注記に関する定めが適用されるため、従来の事例を見直しております。

編注:

(「企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」の公表」の「公表にあたって」を抜粋)

なお、改正企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」

(以下「改正企業会計基準第24号」という。)の公表に伴い、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に

対しても未適用の会計基準等に関する注記に関する定めが適用されることとなります。改正企業会計基準第

24号の原則的な適用時期は、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る

連結財務諸表及び個別財務諸表からとしていますが、本改正の趣旨を鑑み、本会計基準の公表後、適用まで

の間は、改正企業会計基準第24号第22-2項(未適用の会計基準等に関する注記)を類推適用し、次の事項

を注記することが適切と考えられます。

(1) 本会計基準の名称及び概要

(2) 適用予定日に関する記述

(参照)

会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(2020年3月31日 企業会計基準委員会 企業会計

基準第24号)

会計基準

会計上の取扱い

未適用の会計基準等に関する注記

22-2. 既に公表されているものの、未だ適用されていない新しい会計基準等がある場合には、次の事項を注記する。

なお、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に関しては、(3)の事項の注記を要しない。また、連結財務諸表

で注記を行っている場合は、個別財務諸表での注記を要しない。

(1) 新しい会計基準等の名称及び概要

(2) 適用予定日(早期適用する場合には早期適用予定日)に関する記述

(3) 新しい会計基準等の適用による影響に関する記述 結論の背景

経緯

28-3. 前項に加え、2020年改正会計基準では、第12項の未適用の会計基準等に関する注記に関する定めを第22-2項に移動した。未適用の会計基準等に関する注記に関する定めは、これまで会計方針の変更の取扱いの一部として定められていたため、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に対しては適用されないと解されていた。しかし、この定めを独立した項目に移動することで、未適用の会計基準等に関する注記に関する定めは、既に公表されているものの、未だ適用されていない新しい会計基準等全般に適用されることを明確化することを意図している。なお、この移動に伴い、専ら表示及び注記事項を定めた会計基準等に関して未適用の会計基準等に関する注記を行う場合の取扱いを明確化した。

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【注記事項】

(未適用の会計基準等)

<手引書 P.426>

<変更後> 参考事例

「収益認識に関する会計基準」等について記載する場合

(未適用の会計基準等) ・「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第 29号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会) ・「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第 30号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会)

・「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第 19 号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会)

(1) 概要

国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)は、共同して収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行い、2014年5月に「顧客との契約から生じる収益」(IASBにおいてはIFRS第15号、FASBにおいてはTopic606)を公表しており、IFRS第15号は2018年1月1日以後開始する事業年度から、Topic606は2017年12月15日より後に開始する事業年度から適用される状況を踏まえ、企業会計基準委員会において、収益認識に関する包括的な会計基準が開発され、適用指針と合わせて公表されたものです。 企業会計基準委員会の収益認識に関する会計基準の開発にあたっての基本的な方針として、IFRS第15号と整

合性を図る便益の1つである財務諸表間の比較可能性の観点から、IFRS第15号の基本的な原則を取り入れることを出発点とし、会計基準を定めることとされ、また、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮すべき項目がある場合には、比較可能性を損なわせない範囲で代替的な取扱いを追加することとされております。

(2) 適用予定日

2022年3月期の期首から適用します。

(3) 当該会計基準等の適用による影響 「収益認識に関する会計基準」等の適用による財務諸表に与える影響額については、現時点で評価中であり

ます。

参考事例

「時価の算定に関する会計基準」等について記載する場合

(未適用の会計基準等) ・「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第 30号 2019年7月4日 企業会計基準委員会) ・「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2019年7月4日 企業会計基準委員会) ・「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第 10号 2019年7月4日 企業会計基準委員会) ・「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第 31号 2019年7月4日 企業会計基準委員会)

・「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第 19 号 2020 年3月 31 日 企業会計基準委員会)

(1) 概要

国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)が、公正価値測定についてほぼ同じ内容の詳細なガイダンス(国際財務報告基準(IFRS)においてはIFRS第13号「公正価値測定」、米国会計基準においてはAccounting Standards CodificationのTopic 820「公正価値測定」)を定めている状況を踏まえ、企業会計基準委員会において、主に金融商品の時価に関するガイダンス及び開示に関して、日本基準を国際的な会計基準との整合性を図る取組みが行われ、「時価の算定に関する会計基準」等が公表されたものです。 企業会計基準委員会の時価の算定に関する会計基準の開発にあたっての基本的な方針として、統一的な算定

方法を用いることにより、国内外の企業間における財務諸表の比較可能性を向上させる観点から、IFRS第13号の定めを基本的にすべて取り入れることとされ、また、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、個別項目に対するその他の取扱いを定めることとされております。

(2) 適用予定日

2022年3月期の期首から適用します。

(3) 当該会計基準等の適用による影響 「時価の算定に関する会計基準」等の適用による財務諸表に与える影響額については、現時点で未定であり

ます。

76

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㈱プロネクサス

<参考事例の追加>

第一部【企業情報】 第5【経理の状況】

1【財務諸表等】 (1)【財務諸表】 【注記事項】 (未適用の会計基準等)

参考事例

「会計上の見積りの開示に関する会計基準」について記載する場合

(未適用の会計基準等) 「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(企業会計基準第 31号 2020年3月 31日 企業会計基準委員会) (1) 概要

国際会計基準審議会(IASB)が2003年に公表した国際会計基準(IAS)第1号「財務諸表の表示」(以下「IAS 第1号」)第125項において開示が求められている「見積りの不確実性の発生要因」について、財務諸表利用者にとって有用性が高い情報として日本基準においても注記情報として開示を求めることを検討するよう要望が寄せられ、企業会計基準委員会において、会計上の見積りの開示に関する会計基準(以下「本会計基準」)が開発され、公表されたものです。 企業会計基準委員会の本会計基準の開発にあたっての基本的な方針として、個々の注記を拡充するのではな

く、原則(開示目的)を示したうえで、具体的な開示内容は企業が開示目的に照らして判断することとされ、開発にあたっては、IAS第1号第125項の定めを参考とすることとしたものです。

(2) 適用予定日

2021年3月期の年度末から適用します。

参考事例

「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」について記載する場合

(未適用の会計基準等) 「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第 24号 2020年3月 31日 企業会計基準委員会) (1) 概要

「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に係る注記情報の充実について検討することが提言されたことを受け、企業会計基準委員会において、所要の改正を行い、会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準として公表されたものです。 なお、「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に係る注記情

報の充実を図るに際しては、関連する会計基準等の定めが明らかな場合におけるこれまでの実務に影響を及ぼさないために、企業会計原則注解(注1-2)の定めを引き継ぐこととされております。

(2) 適用予定日 2021年3月期の年度末から適用します。

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㈱プロネクサス

監査報告書

変更内容

①<財務諸表監査>の「財務諸表監査における監査人の責任」の上から3段落目「開示すべき」の文言削除

2020年3月 17日最終改正(2020年3月 31日公表) 改正案

「内部統制の重要な不備」 「内部統制の開示すべき重要な不備」

②<内部統制監査>の「内部統制監査における監査人の責任」の上から2段落目「財務報告に係る」の文言追加

2020年3月 17日最終改正(2020年3月 31日公表) 改正案

「一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統

制の監査の基準」

「一般に公正妥当と認められる内部統制の監査の基

準」

<手引書 P.804、P.806、P.808、P.850、P.852、P.854>

<変更後>

監査役会設置会社かつ上場会社の場合

独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

2020年6月26日

株式会社プロネクサス

取締役会 御中

○○○○監査法人

○○事務所

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられて

いる株式会社プロネクサスの2019年4月1日から2020年3月31日までの第108期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対

照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表

について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社

プロネクサスの2020年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フロー

の状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における

当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫

理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査

法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示

することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が

必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評

価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要があ

る場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

78

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㈱プロネクサス

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がな

いかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにあ

る。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影

響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家とし

ての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を

立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監

査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実

施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び

関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、

継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付け

る。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚

起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見

を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の

事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどう

かとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象

を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の

重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並

びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを

講じている場合はその内容について報告を行う。

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社プロネクサスの2020

年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社プロネクサスが2020年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の

内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務

報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制

監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責

任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、

監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を

入手したと判断している。

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に

係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があ

る。

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについ

て合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにあ

る。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を

通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

79

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㈱プロネクサス

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施す

る。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適

用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部

統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人

は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任

を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識

別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項につ

いて報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並

びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを

講じている場合はその内容について報告を行う。

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

(注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出

会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

(以下、略)

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㈱プロネクサス

<手引書 P.824、P.826、P.828>

監査役会設置会社かつ上場会社の場合であって、「監査上の主要な検討事

項」について当事業年度に係る財務諸表の監査から適用する場合

参考事例

独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

2020年6月26日

株式会社プロネクサス

取締役会 御中

○○○○監査法人

○○事務所

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

指定社員

業務執行社員 公認会計士 ○○ ○○ 印

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられ

ている株式会社プロネクサスの2019年4月1日から2020年3月31日までの第108期事業年度の財務諸表、すなわち、貸

借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属

明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会

社プロネクサスの2020年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フ

ローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準におけ

る当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職

業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。

当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要である

と判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成におい

て対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

○○○○(監査上の主要な検討事項の見出し及び該当する場合には財務諸表の注記事項への参照)

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 監査上の対応

……………………(監査上の主要な検討事項の内容及

び決定理由の内容を記載)…………………………。

…………………(監査上の対応を記載)………………

…………………………………………………………。

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㈱プロネクサス

財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表

示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営

者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを

評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要

がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにあ

る。

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示が

ないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明すること

にある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決

定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家と

しての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続

を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切

な監査証拠を入手する。

・ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の

実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及

び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づ

き、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結

論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に

注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外

事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいてい

るが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかど

うかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計

事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制

の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、

並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガー

ドを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事

項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止さ

れている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回

ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社プロネクサスの

2020年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社プロネクサスが2020年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記

の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、

財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

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㈱プロネクサス

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統

制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人

の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、

また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監

査証拠を入手したと判断している。

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告

に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があ

る。

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかにつ

いて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することに

ある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程

を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施す

る。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び

適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内

部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人

は、内部統制報告書の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責

任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、

識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項

について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、

並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガー

ドを講じている場合はその内容について報告を行う。

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

(注)1.上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提

出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

(以下、略)

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