潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3...

13
潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハットの活用~ 1

Upload: others

Post on 20-Jul-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

潜在事故の見える化による事故防止~ヒヤリハットの活用~

平 成 2 6 年 1 1 月

九 州 支 店

1

Page 2: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

2

29

300

重大な事故・災害

軽微な事故・災害

ヒヤリハット

顕在事故・作業員にとって殆ど未経験・他社事故からの対策押し付け・対症療法(モグラたたき)

事故が減らない

一方、ヒヤリハットの対策といえば①終礼、協議会で口頭報告共有②事象、イラスト配布による共有

などがメイン

この宝の山を ”事故防止”に活用できないか

やや遅ればせながら・・の感?!

ハインリッヒの法則

→元請主体、自分のことではない

→自分自身経験、身近に起こって

いるが、「事故」ではないので(潜在事故)、放置して忘れる

Page 3: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

3

1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

4件発生し、あと1件で発注者様から「改善勧告」を受ける非常事態となった。

2.このため、なんとしても事故を1年間発生させない取り組みのひとつとして、九州で

強化したのが、「ヒヤリハットキャンペーン」。その後も、継続し今日に至る。

ヒヤリハットに対する取り組み

(1)概要従来から、終礼や協議会等で出し合い、事故防止に努めているが、さらに自らの危険体験(ヒヤリハット)を広く紹介する(DB化等)ことにより、「一人のヒヤリハット」を「皆のヒヤリハット」にして、事故防止を図る。

(2)期間:H25.2.1~H25.5.31(その後も継続実施)(3)対象ヒヤリハット人身事故、設備事故、交通事故、情報漏えい及び事務所内でのヒヤリハット

発生月日 支店 部門 事故内容

1 11/19 東海 モバイル・鉄塔塗装養生ネットが強風のため飛散(競争参加停止 35日間)

2 12/22九州

(沖縄)電力

・インバータ更改工事における出力断(H21年1月にも沖縄で短絡事故;B級参考 競争参加停止 16 日間)

3 1/9中国

(四国)線路

・電柱建替工事におけるアースオーガによる 地下光ケーブル切断(H20年2月にも近隣で類似事故発生 競争参加停止 22 日間)

4 3/5 関西 交換 ・交換機撤去工事における共通線誤切断(A級故障 競争参加停止 日間)

H23年度 西日本エリアにおける が起こした事故

(4)多くのヒヤリハットを収集する工夫収集ヒヤリハット・分析結果のフィードバック、報告数への表彰(個人・会社)及び安全大会等でのヒヤリハット発表発注者様との連携

Page 4: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

4

①「ヒヤリハット」は、「たまたま事故にならなかった」だけで、「事故」と紙一重(潜在事故)。

またこれらは、「事前の対策なし」。

仮説

ヒヤリ

ハット

事前対

策あり

事前対

策なし

たまたま事

故にならず

(潜在事故)

事故

Page 5: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

5

①「ヒヤリハット」は、「たまたま事故にならなかった」だけで、「事故」と紙一重(潜在事故)。

またこれらは、「事前の対策なし」。

②「事前対策あり」を増やし、「事前対策なし」を減らせば、事故は防ぐことが可能。

仮説

ヒヤリ

ハット

事前対

策あり

事前対

策なし

たまたま事

故にならず

(潜在事故)

事故

Page 6: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

6

①「ヒヤリハット」は、「たまたま事故にならなかった」だけで、「事故」と紙一重(潜在事故)。

またこれらは、「事前の対策なし」。

②「事前対策あり」を増やし、「事前対策なし」を減らせば、事故は防ぐことが可能。

仮説

ヒヤリ

ハット

事前対

策あり

事前対

策なし

たまたま事

故にならず

(潜在事故)

事故

Page 7: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

分類 ヒヤリハット内容何故ヒヤリハットで済んだ

のか私ならこうする(対策提案)

ヒヤリハットの型

複合BOXでの、光ケーブルの接続替えの際に、セクタを間違えて接続した。

事前に局間で対照確認した。

事前に変える表示を付けておく。

設備-誤接続

局へ移動中、脇道から車が飛び出してきて、衝突しそうになった。

もしかしたら、「飛び出してくるのではないか」と、ブレーキを踏む心構えをしていた為、飛び出してきても、急ブレーキを踏まなくても、余裕で止まった。

固定概念をなくし、「もしかしたら」と考えを持つ。

交通-衝突・人身

二重床の床パネルを戻そうとした時にパネルハンガーの片方が外れて床パネルを落としそうになった。

ロック付の改良型パネルハンガーを使用していたために、もう一方は外れなかったため床パネルを落下させずに済んだ。

床パネルを持ち上げる前にしっかり両方のパネルハンガーのロックを確認する。

設備-ケーブル損傷

7

ヒヤリハットを感じたら、作業者自身がまず「事前の対策ありで事故に至らなかったもの」と「注意して事故に至らなかったもの」「事前の対策なしで偶然無事故(潜在事故)」に評価する。また、その対策として「私ならこうする(対策提案)」を考える。

事前の対策ありで事故に至らず

注意(KY・事前の意識)して事故に

至らず

偶然無事故(潜在事故)

ヒヤリハットの分類

Page 8: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

8

仮説に基づく具体的な取り組み

☆ 「ヒヤリハット」を感じたら、どちらの「ヒヤリハット」だったか、作業員自ら自問し、

潜在事故に対して、しっかり自覚し、自分なりの対策まで考える習慣を身に着ける。

☆ 協力会社は、これを作業員一人ひとりに定着させるため、「ヒヤリハット」を様々な

機会に収集し、実施すべき事前の対策について、作業員へ意識付けを行う。

また会社として共通的な「ヒヤリハット」の対策を講ずる。

※安全大会(6月)やQC発表会(9月)でその成果を発表する。

☆ は、「ヒヤリハット」は”悪だ”の意識を払しょくするためのキャンペーン、表彰

を行う。また事前対策率の推移を定期的にチェック、協力会社の取組みを支援する。

※年2回開催の社長会等の場において、ヒヤリハット・オープン賞表彰

ヒヤリ

ハット

なぜ?考える習慣

メモ・報告・対話 共有・対策 「事前対策率」チェック

協力会社

各社の

☆ また発注者様にも働きかけて通信建設業界全体の運動として発展させる。

Page 9: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

9

H25及びH26を比較すると、潜在事故率は38.9%から40.6%へ上がった。内容を見ると、交通は24.0%から31.0%へ、人身は42.2%から46.6%へ上がった。設備は39.1%から33.3%へ下がった。この結果を見る限り、取り組みの成果として潜在事故率は下がっておらず、取り組みの継続は必要である。

潜在事故率から見た取り組み結果の検証

47.7%

51.0%

38.0%

47.7%

10.1%

9.9%

38.0%

13.4%

42.2%

39.1%

24.0%

38.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

人身

設備

交通

事前の対策ありで事故に至らず 注意(KY・事前の意識)して事故に至らず 事前の対策なし、偶然無事故

40.4%

45.5%

21.1%

39.8%

13.0%

21.2%

47.9%

19.6%

46.6%

33.3%

31.0%

40.6%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

人身

設備

交通

H25

H26

サンプル数:419

サンプル数:623

Page 10: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

10

人身の潜在事故率は、47%と交通31%や設備33%に比べて高い。ヒヤリハット件数の も多い転倒の潜在事故率は69%と も高く、非常に危険な状態。通路などの確保、整理整頓、段差の除去などが急務。

事故態様別の潜在事故率(人身)

10%

33%

25%

26%

40%

56%

60%

54%

100%

86%

33%

39%

40%

21%

0%

17%

19%

10%

7%

7%

15%

0%

14%

67%

9%

13%

69%

67%

58%

56%

50%

37%

33%

31%

0%

0%

0%

52%

47%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

人身‐転倒

人身‐感電

人身‐第三者事故

人身‐はさまれ・巻き込まれ

人身‐切れ・こすれ

人身‐墜落・転落

人身‐飛来・落下

人身‐激突

人身‐踏み抜き

人身‐熱中症

人身‐崩壊・倒壊

人身‐その他

人身‐計

事前の対策ありで事故に至らず 注意(KY・事前の意識)して事故に至らず 事前の対策なし、偶然無事故

81 91 83

133

2710 1 3 0 0

12 723

020406080100

020406080

100

サンプル数:354

Page 11: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

11

0%25%25%

36%50%

25%0%

12%38%40%

71%56%56%

83%14%

100%100%100%100%100%

63%50%

29%45%

0%0%0%

9%0%

25%50%

40%19%

20%3%

22%22%

0%71%

0%0%0%0%0%

38%50%

29%21%

100%75%75%

55%50%50%50%48%

44%40%

26%22%22%

17%14%

0%0%0%0%0%0%0%

41%33%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

設備‐誤操作

設備‐手順誤り

設備‐電源(供給)断

設備‐養生不良設備‐誤挿入

設備‐データ誤投入設備‐指定無し

設備‐ケーブル損傷設備‐誤接続

設備‐回線誤切断設備‐短絡・地絡

設備‐光心線切断・損傷

設備‐装置破損設備‐誤撤去

設備‐接続不良

設備‐埋設物損傷

設備‐パッケージ誤抜去設備‐設定間違い

設備‐紛失

設備‐盗難

設備‐誤切断

設備‐未施工

設備‐その他

設備‐計

事前の対策ありで事故に至らず 注意(KY・事前の意識)して事故に至らず 事前の対策なし、偶然無事故

設備の潜在事故率は、33%。その中で、装置破損はヒヤリハット件数の多いが、潜在事故率22%で低い。地絡転落も、26%と低い。ケーブル損傷、誤接続は、50%、44%と高く、要注意。

6 9

25

3 1

16

2 2 4

36

2 4 71 4

0 211

5

31

1 1

17

0510152025303540

05

10152025303540

サンプル数:190

事故態様別の潜在事故率(設備)

Page 12: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

12

20%

20%

33%

21%

40%

58%

17%

48%

40%

23%

50%

31%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

交通‐物損

交通‐人身

交通‐その他

交通‐計

事前の対策ありで事故に至らず 注意(KY・事前の意識)して事故に至らず 事前の対策なし、偶然無事故

交通は、31%と低いが、人身23%に比べて、物損は40%と高い。物損事故が多いのも納得できる。

事故態様別の潜在事故率(交通)

40

25

6

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

交通‐人身 交通‐物損 交通‐その他

サンプル数:71

Page 13: 潜在事故の見える化による事故防止 ~ヒヤリハット …3 1.弊社西日本エリアで、平成23年11月から翌年3月にかけて重大事故が立て続けに

したがって、ひとりでも多くの人がこの取り組みに参加することが重要。

13

「たまたま事故にならなかったヒヤリハット(潜在事故)」を減少させることにより事故を防

ぐという本取り組みは、従来の「対症療法的、やらされ感の事故防止」ではなく、協力会

社や作業員自ら行う予防的取り組みである。

まとめ

そして、協力会社・ 一体となって「事故を起こしにくい体質」へ。

この取り組みに終わりはない

こういった取り組みを潜在事故率として指標化し、定着状況を「見える」ようにしたことは

過去になく、事故防止に貢献できるよう、今後も継続していきたい。