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PMDAが行う安全性情報の収集・評価 添付文書の改訂と リスクコミュニケーション 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 安全第二部 鷹見 明奈 平成28101049回日本薬剤師会学術大会 1

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PMDAが行う安全性情報の収集・評価

添付文書の改訂とリスクコミュニケーション

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構安全第二部 鷹見 明奈

平成28年10月10日第49回日本薬剤師会学術大会

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Page 2: PMDAが行う安全性情報の収集・評価 添付文書の改訂と リスクコミュニケーション · pmdaが行う安全性情報の収集・評価 添付文書の改訂と

本日の内容

添付文書の改訂医薬品の添付文書がどのように作成され、改訂されるかを知る。

リスクコミュニケーション医療現場・行政・企業とのリスクコミュニケーションツールとその活用方法を知る。

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医薬品の開発から市販後までのかかわり

臨床開発 非臨床試験 臨床試験(治験)

承認申請 承認 市販

相談業務

承認審査業務

信頼性保証業務

GMP/QMS/GCTP等の調査業務

薬事戦略相談 対面助言(治験相談)

審査 再審査・再評価

GLP 調査 GCP 調査 GPSP 調査

GMP/QMS/GCTP調査

基準作成調査業務

厚生労働省にて

保険適用

安全対策

健康被害救済

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医薬品の開発から市販後まで

承認審査

治験【ヒトによる臨床試験】

第Ⅰ相:少数の健康人で実施(ヒトの吸収・排泄、ヒトにおける体内動態と毒性のチェック)

ヒトを対象とした有効性と安全性の評価

第Ⅱ相:少数の対象患者で実施(有効性の探索と至適用法・用量の設定)

第Ⅲ相:多数の対象患者で実施(総合的な有効性・安全性の検証)

承認申請資料の作成

医薬品発売後の安全性や使用方法についての情報収集・必要な措置の実施

副作用情報の収集・評価・対策の実施 再審査

基礎研究・

非臨床試験【動物試験等】

市販後

品質の評価 安全性の評価 有効性の評価

急性、慢性、発がん性、催奇形性等の毒性のチェック(毒性試験)

目的とする効果が得られそうか、特定臓器に蓄積しないか、至適用量のおおよその目安などを得る目的で、吸収・排泄などの体内動態をチェック(非臨床薬物動態試験)

有効期間等の設定(長期安定性試験など)

目的とする薬効以外の薬理作用のチェック(安全性薬理試験)

候補物質の合成方法等を確立

目的とする薬効が生体内でいかなる反応を生じさせるのかのチェック(薬効薬理試験)

医薬品候補物質のスクリーニング

最適な剤型の設計

一定の品質を確保するための規格及び試験方法などの確立

厚生労働省・PMDAによる承認審査

・GLP・各種ガイドライン

動物等を対象とした有効性と安全性の評価

主な規制・制度

・GCP・治験薬GMP・各種ガイドライン

・治験相談

・施行規則

・GPSP・GVP市販直後調査

・承認条件・GMP

承認申請

承認 厚生労働大臣による承認

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医薬品のライフサイクルと情報量

非臨床データ

臨床データ

治験開始 申請承認・発売

市販前 市販後

未知の副作用

市販直後期間(6か月)

1回/2週(2か月間)

1回/1月(4か月間)

納入前

これ以降も新たな副作用の発見のためのモニターが重要です。

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市販後における安全性情報収集の仕組み

○副作用・感染症等報告制度薬機法に基づき、①製薬企業や②医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者に対し、

医薬品等による副作用・感染症が疑われる症例について、厚生労働大臣への報告を義務づけた制度。また、製薬企業に対しては、外国で販売の中止、回収等の措置が実施された場合等についても、厚生労働大臣への報告を義務付け。

○再評価制度医学薬学の進歩

に応じ、有効性、安全性、品質を国が再度見直す制度。

○市販直後調査制度新医薬品について、販売開

始直後6ヶ月間、医療機関に対して適正な使用を繰り返し促すとともに、重篤な副作用等を可能な限り迅速に把握し、必要な安全対策を講じる制度。薬事法に基づき、製薬企業に対し実施を義務付け。

○感染症定期報告制度 ※生物由来製品(血液製剤等)のみ薬機法に基づき、製薬企業に対し、生物由来製品の感染症に関する情報を収集・評

価し、定期的(半年毎)に厚生労働大臣に報告することを義務づけた制度。

開発・承認申請 承認

○再審査制度承認段階では十分に

得られない情報(小児、高齢者又は長期使用の成績等)を製薬企業が収集し、承認後一定期間(通常8年)後に国が有効性等を再確認する制度。

6~10年後 必要に応じ随時

○承認条件に基づく調査等の実施例:全例調査、販売にあたっての制限 等

販売開始

6ヶ月間

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副作用報告の法律上の義務規定

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)

(副作用等の報告)第六十八条の十 第1項

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造販売業者又は外国特例承認取得者は、その製造販売をし、又は承認を受けた医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品について、当該品目の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生その他の医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の有効性及び安全性に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知ったときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。(← 企業報告)

第六十八条の十 第2項薬局開設者、病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師、登録販売者、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品、医療機器又は再生医療等製品について、当該品目の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害若しくは死亡の発生又は当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生に関する事項を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。(← 医薬関係者からの報告)

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医薬品副作用・感染症報告数の年次推移

平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度

医薬品 185件 198件 160件 100件 87件

報告件数

使用上の注意の改訂

36741

4141338247

4927651103

5231 4147 5420 6180 6129

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度

企業報告(国内) 医療機関報告

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医薬品・医療機器等安全性情報報告制度

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すべての医薬関係者に報告する義務があります。

報告対象となる情報– 医薬品又は医療機器の使用による副作用、感染症または不具合の発生

について、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止する観点から報告の必要があると判断した情報(症例)。

– 医薬品又は医療機器との因果関係が必ずしも明確でない場合であっても報告の対象となり得る。

– 感染症に関する報告について、重篤度にかかわらずすべての症例が報告対象。

報告用紙はPMDAのHPで入手できます。– 報告は、郵送、FAX 、メールなどでお願いします。

報告期限は定められていません。– 保健衛生上の危害の発生又は拡大防止の観点から、

報告の必要性を認めた場合は、適宜速やかに報告してください。

医療機関報告制度の概要

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PMDAによる詳細調査

PMDAにおいて副作用報告を行った医療機関等に対し照会等の調査を開始平成22年7月29日 薬食発0729第2号

厚生労働省医薬食品局長通知

以下の場合は詳細調査を実施• 企業への連絡「なし」• 企業への連絡「あり」であるが

PMDAにおいて追加情報が必要又は早急な情報収集が必要

詳細調査患者背景因子、症例経過、併用薬、検査値、副作用と判断した理由等

重篤な副作用

非重篤な副作用

• 報告内容の確認

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医療機関への詳細調査件数

詳細調査の件数

613663

862

10671100

0

200

400

600

800

1000

1200

H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度

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副作用報告等の流れ

PMDA企業

副作用等情報の受理

・データ収集・分析・評価

・専門家による評価・企業ヒアリング

安全対策の実行

整理・調査結果

検討内容の伝達・意見交換

専門家との協議

広く情報提供

添付文書の改訂指示・製品改善指導・回収指示等

医学的な意義等の判断が困難な事例

副作用等情報の収集・確認

分析

安全対策の検討

海外規制情報・文献情報等

ヒアリング

必要に応じ安全対策の更なる検討

安全対策措置の実施

安全対策の企画・立案

国民に重大な被害を与える可能性のある案件は即時対応

薬事・食品衛生審議会

厚生労働省

全ての情報の共有データベースチームで確認(毎日)

報告・打合せ(随時)

定期的打合せ(毎週)

概ね5週毎に取り纏め報告

インターネットを介して広報

医薬関係者

報告

医薬関係者

報告

患者

報告

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安全性情報の評価

副作用報告データベース

諸外国の状況

使用実態

使用患者数

etc…個々の副作用報告の評価

医学的・薬学的観点・患者背景・臨床症状・医薬品の作用機序・時間的な関連 等

文献情報

データベースの評価

統計的観点・集積件数・シグナル指標値

製造販売後臨床試験

製造販売後調査

副作用報告

個別の副作用報告

その他の情報(類薬の情報も含む)

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安全対策の流れ 添付文書改訂の場合

国内副作用・感染症報告(約57,000件/年)

【副作用等情報】

研究報告(約1200件/年)

措置報告(約1200件/年)

評価

副作用データベース

1-2週

外国副作用・感染症報告(約345,000件/年)

改訂のきっかけとなる情報入手後からの期間(目安)

未知・重篤等を

直ちに精査

DBからの

シグナル

PMDAで安全対策の要否を検討し、対策

を要する可能性がある場合、企業に照会

PMDAで企業見解も踏まえ

措置の要否と措置内容を検討

添付文書改訂案につき専門協議

厚生労働省に安全対策措置案を通知

添付文書改訂指示通知

2日-

2週目

緊急に対応すべきもの 迅速に対応すべきもの

イエローレターブルーレター(迅速な安全性情報)

添付文書改訂(約100件/年)

6-

10週目

7-

11週目

8-

12週目

(数年に一度)(1~2件/年)

各種情報提供

・医薬品医療機器安全性情報

毎月発行

・PMDAのHPへの掲載

・PMDAメディナビにより広く

国民に向けメール配信

直ちに評価

2-

6週目

注)情報入手後の期間は、典型的な改訂例における目安期間であり、これによらない場合もある

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安全対策の実施 副作用報告から検討する場合

• 因果関係が疑われる死亡症例(特に未知の副作用、市販直後調査中の場合等)

• 因果関係が疑われる未知・重篤の副作用症例が集積

• 因果関係が強く疑われないものの、因果関係を否定できない重篤な副作用が複数集積

• 既知の副作用の報告数に傾向の変化(死亡症例の増加、同一副作用名等での報告の増加 等)

• 注目すべき副作用(海外措置がある場合、審査段階から注目されている等)

• 適正使用でない副作用報告が多く認められる

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評価中のリスク等の情報の公開

1. 使用上の注意の改訂等に繋がりうる注目しているリスク情報副作用報告の一定の集積、市販直後調査等において示唆されるリスク情報で、厚生労働省及びPMDAにおいて、医薬品との関連性を評価中であるが、使用上の注意の改訂等につながるものとして注目しているものについて、医薬品名及び副作用名等

2. 外国規制当局や学会等が注目し、厚生労働省及びPMDAが評価を始めたリスク情報研究論文等の結果に基づき、外国規制当局や学会等が注目しており、我が国で使用されている医薬品にも関連するリスク情報として、厚生労働省及びPMDAにおいて評価を始めたものについて、概要等

医薬品の安全性情報の提供について(平成23年7月15日 薬食発0715第3号 厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)

今般、安全対策の一層の充実を図る観点から、下記の情報については、使用上の注意の改訂等の安全対策措置に繋がりうる事前情報として、随時、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のHP(https://www.pmda.go.jp)に掲載し、情報配信サービス(PMDAメディナビ)により情報提供することとした。

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評価中のリスク等の公表

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使用上の注意の改訂情報

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調査結果概要の公表

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調査結果概要の公表(日本語)

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調査結果概要の公表(英語)

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医薬品のリスクコミュニケーションとは

専門外の人でもわかる情報提供

医療現場での医薬品等の適正な使用

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薬局における医薬品安全性情報の入手・伝達・活用状況等に関する調査

6.1%

18.8%

31.4%

25.7%

15.3%

2.7%

重篤副作用疾患別

対応マニュアル

(n=3842)1.9%

11.8%

23.1%

30.9%

30.7%

1.7%

RMP

(n=3842)

3.5%

14.0%

28.1%

27.2%

24.1%

3.1%患者向医薬品

ガイド(n=3842)知っている

(内容をよく理解している)

知っている

(内容をある程度理解している)

知っている

(内容を見たことがある)

知っている

(聞いたことがある)

知らない

(聞いたことがない)

無回答

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各種の医薬品安全性情報

●DSU( 医薬品安全対策情報 ) ●医薬品・医療機器等安全性情報

緊急かつ重大な注意喚起や使用制限に関する対策が必要な状況にある場合に、安全対策上の措置を実施するにあたって発出されます。(医薬品等の製造販売業者が作成)

厚生労働省において収集された副作用情報をもとに、医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために、医療関係者に対して情報提供されるものです。原則として毎月発出されます。

医薬品を使用する上での新たな注意事項について日本製薬団体連合会が取りまとめた情報です。

●安全性速報(ブルーレター)

緊急安全性情報に準じ、改訂情報よりも迅速な注意喚起や適正使用のための対応の注意喚起が必要な場合に発出されます。(医薬品等の製造販売業者が作成)

●緊急安全性情報(イエローレター)

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各種の医薬品安全性情報

●回収情報 クラスⅠ(医療用医薬品・医療機器)

●使用上の注意の改訂指示通知(医療用医薬品・医療機器)

●承認情報(医療用医薬品・医療機器)

●その他の重要情報

厚生労働省が医薬品等の製造販売業者に対して使用上の注意の改訂を指示するために作成される通知です。

医薬品,医療機器の回収(リコール)情報のうち,クラスⅠ(その製品の使用等が,重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況をいう。)に関する情報です。

新たに承認された医薬品・医療機器の名称及び審査報告書についてお知らせします。

・厚生労働省発表資料・製薬企業からの医薬品の適正使用に関するお知らせ・医薬品に関する評価中のリスク等情報 等

●PMDA医療安全情報

ヒヤリ・ハット事例や副作用・不具合報告の中から、同様の事象が繰り返し報告されている事例などについて、医療従事者に対して安全に使用するために注意すべき点などを、図解等を用いてわかりやすく解説したものです。

これら必要な情報をホームページに掲載

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重篤副作用疾患別対応マニュアル

重篤度等から判断して必要性の高いと考えられる副作用について、患者及び臨床現場の医師、薬剤師等が活用できるよう、治療法、判別法等を包括的にまとめた文書です。

患者・一般の方向け、医療関係者向け、の2部構成となっています。

副作用の初期症状の把握、副作用の発生時の対処、副作用の重症化の防止等に役立てることができます。

厚生労働省が作成し、PMDAのホームページで公開しています。

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重篤副作用疾患別対応マニュアル 患者向け

副作用名

副作用が発生しやすい薬の種類

副作用の自覚症状

副作用の病態・原因・発症メカニズム等

自覚症状や発生のタイミング等、早期発見と早期対応のポイント

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重篤副作用疾患別対応マニュアル 医療従事者向け

早期発見と早期対応のポイント初期症状、副作用の好発時期、患者のリスク因子、推定される原因医薬品等について記載

副作用の判別基準(判別方法)主要な所見、参考となる所見等について記載

副作用の概要自覚症状、他覚症状、臨床検査値、画像検査所見、病理組織所見、発症機序、発生頻度等について記載

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重篤副作用疾患別対応マニュアル 医療従事者向け

判別が必要な疾患と判別方法類似の所見を有する副作用の判別方法等について記載

典型的症例概要

治療方法

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重篤副作用疾患別対応マニュアルの活用例

副作用の初期症状等の把握に

服薬指導時の副作用の自覚症状の説明に

副作用が疑われる症状が発生した場合の重篤化防止に

マニュアル患者向け

このような症状が現れた場合には、ご連絡ください。

○○錠の副作用の可能性がありますね。

確認のために、先生に■■の検査をしてもらうようお願いしてみましょう。

○○錠の重大な副作用である●●は、腎機能障害のある方で

特にリスクが高いのね。そのような患者さんには、□□の兆候がないか確認しておこう。

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患者向医薬品ガイド

医薬品を使用するときに、患者や家族の方などに特に知っていただきたいことを、添付文書を基にわかりやすく記載した文書です。

患者や家族の方などに、医療用医薬品の正しい理解と、重大な副作用の早期発見などに役立てていただくことや、医療関係者に服薬指導の際に利用いただくことができます。

特に患者へ注意喚起すべき適正使用に関する情報等を有する医療用医薬品について作成され、製造販売業者が作成し、PMDA及び厚生労働省が内容を確認しています。

製造販売業者がホームページ等で情報提供しているほか、PMDAのホームページでも公開しています。

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患者向医薬品ガイドの例(ジャヌビア錠)

患者向医薬品ガイドでは・・・添付文書では・・・

重大な副作用について、主な自覚症状をわかりやすく記載副作用の現れる部位別の症状も記載

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患者向医薬品ガイドの活用例

薬の詳しい情報を知りたいわ

患者向医薬品ガイドがわかりやすいですよ!

詳しい情報が知りたいという患者さんに提供

薬情を作成する際の参考に

副作用の症状を説明する際のわかりやすい表現の参考に

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RMP(医薬品リスク管理計画)

個別の医薬品ごとに、

①安全性検討事項(関連性が明らか又は疑われる副作用や不足情報等の重要な安全性の懸念)

②医薬品安全性監視活動(市販後に実施される調査・試験等の情報収集活動)

③リスク最小化活動(情報提供・使用条件設定等のリスクを低減するための取組み)

をまとめた文書です。

医薬品のリスクの把握や、市販直後調査・使用成績調査等の理解などに役立てることができます。

製造販売業者が作成し、PMDAが内容を確認しています。

製造販売業者がホームページ等で情報提供しているほか、PMDAのホームページでも公開しています。

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RMPを読み解く(1)

【安全性検討事項】重要な特定されたリスクすでに医薬品との関連性がわかっているリスク

重要な潜在的リスク関連性が疑われるが十分確認されていないリスク

重要な不足情報安全性を予測するうえで十分な情報が得られていないリスク

【リスクとした理由】非臨床・臨床データからの情報、製造販売後の状況を踏まえ、必要に応じ関連する資料・文献を引用し、簡潔に記載している。

どのような理由で、どのようなリスク(安全性検討事項)が設定されているかを理解することができます。 36

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RMPを読み解く(2)

各リスクに対し、どのように情報収集とリスク最小化を図るかを理解することができます。

【医薬品安全監視活動の内容】通常:全ての医薬品で共通して実施

• 副作用症例の情報収集(自発報告)• 研究報告、外国措置報告

追加:医薬品の特性等をふまえ、必要に応じて実施

• 市販直後調査(自発報告の収集強化)• 使用成績調査• 特定使用成績調査• 製造販売後臨床試験 など

【リスク最小化活動の内容】通常:全ての医薬品で共通して実施

• 添付文書• 患者向医薬品ガイド

追加:医薬品の特性等をふまえ、必要に応じて実施

• 市販直後調査(確実な情報提供)• 医療関係者への適正使用のための資材配布• 患者への適正使用のための資材配布• 使用条件の設定 など

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RMPの活用例

治験では、高齢者や腎機能障害者でリスクが高いという結果は示されていないけれど、検査値等を確認して対応を検討しよう。

特にSU剤の併用時に低血糖のリスクが高くなるようだから

他の糖尿病薬の併用状況を必ず確認しておこう。症状が現れてないか注意しておこう。

重要な特定されたリスクに対して、追加のリスク最小化活動として

患者向け資材が作成されているようだ。

この資材を用いてそれぞれの症状と予防・対処法について説明しておこ

う。

添付文書には記載されていないものもあるけれど、重要な潜在的なリスク

については念のため注意して観察しておこう。

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リスクコミュニケーションツールの入手方法

(当該医薬品に関連する)

重篤副作用疾患別対応マニュアル

RMP患者向医薬品ガイド

検索結果から一般名を選択すると当該医薬品に関する

様々な情報が確認できます。

審査報告書

過去に発出された安全性情報

添付文書 インタビューフォーム

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より良い市販後安全対策のために

医療従事者、患者、企業、行政の間で正しい情報の共有と理解が必須!!

適切な情報収集–収集すべき情報を–必要な付随情報とともに–時機を得て

適切な情報提供–意義のある情報を–適切な媒体で–ユーザーフレンドリーに

適切な評価–報告事象の適切性–評価に値する十分な情報–適切な評価方法で

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ご清聴ありがとうございました。

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