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SmartLab 全自動多目的水平型 X 線回折装置 取扱説明書

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  • SmartLab 全自動多目的水平型X 線回折装置 取扱説明書

  • この度は、弊社製品をご購入いただき誠にありがとうございます。

    本書は、装置の正しい使い方や使用上の注意について記載しております。

    装置の機能を十分にご活用いただくために、ご使用の前には本書を最後ま

    でお読み下さい。

    本書が必要となったとき、すぐ利用できるように、必ず取り出しやすい場

    所に保管して下さい。

    ご 注 意

    1. この取扱説明書は、内容の全体もしくは、部分にかかわらず、書面の許可なしで第三者への開示、コピー、複製をすることは禁止されております。

    2. 取扱説明書は、装置1台に付き1セット付属が原則となっております。 3. 取扱説明書の乱丁、落丁はお取り替えいたしますので、最寄りの支店、営業所まで

    ご連絡ください。 4. この取扱説明書を運用した結果の影響については、いっさい責任を負いかねますの

    でご了承ください。 5. この取扱説明書に記載されている事柄は、将来予告なしに変更することがあります。

  • 安全に関する重要事項

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 1

    X線回折装置を安全にご利用いただくために

    安全に関する重要事項

    X線回折装置および付属する装置をご使用の前に、この「安全に関する重要事項」と、別章の「安全に関する注意

    事項」をよく読んで理解し、本書の指示を必ず守ってください。本書に示した安全に関する重要事項・注意事項は、

    本装置の管理、操作、保守、サービスを行うすべての人や他の人々への危害や損害を未然に防止するために必要な

    事柄です。

    X線回析装置1) は強いX線を発生します。X線は人体に有害で、被ばくすると大きな障害(放射線障害2) )を引

    き起こす可能性があります。X線管球の窓には、人体に付着したり吸入したりすると有害な金属ベリリウムを使用

    しています。また、装置内部には感電のおそれがある高電圧部があります。本装置を適切な方法で取扱わないと死

    亡事故を起こす可能性があります。

    本装置のご使用や設置・保守作業にかかわる安全を確保するためには、危険の要素をあらかじめ知っておく必要が

    あります。弊社にとって、潜在的なすべての危険性を予想することは困難ですが、本書には知り得る限りの危険性

    を記載してあります。危険性に関する警告は、表 1 の 3 段階に区分して表示し、本装置の本体に貼り付けた警告

    表示ラベル、および取扱説明書に記載してあります。

    この説明書はいつでも読み返すことができるように、取り出しやすい場所に保管してください。

    表 1 危険性の定義

    シンボル 危険のレベル 定 義

    DANGER

    危険

    (DANGER)

    取扱いを誤った場合に、使用者が死亡または重傷を負う危険の状態が生じる

    ことが想定され、かつ危険発生時の警告の緊急性(切迫の度合)が高い限定

    的な場合(高度な危険を含む)。

    Indicates an imminently hazardous situation which, if not avoided, will result in death or serious injury. This signal word is to be limited to the most extreme situations.

    WARNING

    警告

    (WARNING)

    取扱いを誤った場合に、使用者が死亡または重傷を負う危険の状態が生じる

    ことが想定される場合。

    Indicates a potentially hazardous situation which, if not avoided, could result in death or serious injury.

    CAUTION

    注意

    (CAUTION)

    取扱いを誤った場合に、使用者が軽傷を負うかまたは物的損害だけが発生す

    る危険の状態が生じることが想定される場合。

    Indicates a potentially hazardous situation which, if not avoided, may result in minor or moderate injury. It may also be used to alert against unsafe practices.

    ここで言う重傷とは、後遺症、入院、あるいは長期治療のための通院をともなう失明、けが、やけど(高温または

    低温)、感電、骨折、中毒などを意味します。

    軽症とは、入院や長期治療のための通院をともなわないけが、やけど、感電などを意味します。

    物的損害とは、装置の損傷や、関連施設または取得データへの損傷を意味します。

    表 2 図記号の意味

    禁止(してはいけないこ

    と)事項を示します。

    強制(必ず守ること)事

    項を示します。

    注意(危険・警告を

    含む)事項を示しま

    す。

    1) - 2) 用語解説参照

  • 安全に関する重要事項

    2 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

    WARNING

    本装置を、弊社の書面による事前の許可なしに改造しないでください。また、本書に説明の

    ない修理や弊社の認定していない部品の取付け、取外し等をしないでください。

    これらの改造や、部品交換をすることは、安全に関して重大な影響を及ぼすおそれがありま

    す。決して、行わないでください。

    WARNING

    本装置はX線回折法1) を用いて分析する装置です。この分析以外の目的には使用しないでく

    ださい。

    1) 用語解説参照

  • X線回折装置の使用にかかわる法的規制

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 3

    X線回折装置の使用にかかわる法的規制

    ▒ X線回折装置、X線装置の使用に関する法律を遵守してください X線回析装置の使用に際しては、装置を設置する国や地域の法令の規制を受けます。法令を必ず守って、安全な作

    業・操作・管理をしてください。

    装置管理者1) は、X線作業の安全保持のために必要な事項について、操作担当者 2)、保守担当者 3)に教育を行っ

    てください。

    ▒ 日本国内の法的規制 1. 本装置を設置する 30 日前までに、所轄の労働基準監督署に「計画の届出」*をしなければならない。

    (労働安全衛生法 第 88 条、労働安全衛生規則 第 85 条)

    2. 防X線カバーを付けないで装置を使用する場合は、

    装置を「放射線装置室 4)」に設置し、「管理区域 5)」を設定し、X線作業主任者免許 6) を受けた者のうち

    から、「管理区域」ごとにX線作業主任者を選任しなければならない。 (電離放射線障害防止規則 第 15 条、第 3 条、第 46 条)

    3. 防X線カバーが付いている装置を使用する場合は、

    「管理区域」を設定し、X線作業主任者免許を受けた者のうちから、「管理区域」ごとにX線作業主任者を選

    任しなければならない。

    (電離放射線障害防止規則 第 3 条、第 46 条)

    4. 作業者の健康診断や、「管理区域」の境界におけるX線の線量当量率測定など、関連する法規を参照してく

    ださい。 (関連法令:労働安全衛生法、労働安全衛生規則、電離放射線障害防止規則)

    * 詳細については案内書を用意しておりますので弊社の営業部門にお問い合わせください。

    ▒ 輸出する場合の法的規制 製品の構成内容によっては外国為替および外国貿易法の安全保障輸出管理の規制品に該当する場合があります。予

    備品、付属品を含め、本製品を輸出する場合、または日本国外に持ち出す際は、日本国政府(経済産業省)への輸

    出許可申請等、必要な手続きをとってください。

    弊社の書面による許諾なしに改造されている製品を日本国外に輸出する場合、弊社は自主判定書を発行できない場

    合があります。

    1) - 6) 用語解説参照

  • 安全に関する注意事項

    4 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

    安全に関する注意事項

    WARNING

    警告

    取扱いを誤った場合に、使用者が死亡または重傷を負う危険の状態が生

    じることが想定される事柄

    ● 改造をしない

    本装置を、弊社の書面による許諾なしに改造した場合、安全に関して重大な影響を及ぼすおそれがあります。決して、改造しないでください。書面による許諾なしに改造した場合の装

    置は、保証対象外になります。

    ● X線シャッターが開いているときはX線の通路に近づかない

    X線シャッター本体ランプが点灯しているときはX線シャッターが開いており、X線が照射されています。X線シャッター本体ランプが点灯しているときに、手など身体の各部位をX

    線の通路においたり、近づけたりすると、X線を被ばくするおそれがあります。被ばくする

    と放射線障害を起こします。

    ● X線シャッターが開いているときは試料の取付け・交換・取外しをしない

    X線シャッター本体ランプが点灯しているとき、試料の取付け・交換・取外しをすると、X線を被ばくするおそれがあります。被ばくすると放射線障害を起こします。

    ● X線シャッターが開いているときは光学素子の取付け・取外しをしない

    X線シャッター本体ランプが点灯しているとき、スリット、モノクロメータ、吸収板などのX線光素子や部品の取付け・取外しをすると、X線を被ばくするおそれがあります。被ばく

    すると放射線障害を起こします。

    ● セーフティーリリースキーは、使用する資格のある担当者1) が、X線光学系を手動で調整するときのみ使用する

    セーフティーリリースキーを使うと、X線を発生させた状態で、防X線カバーの扉を開けてX線シャッターを開閉することができます。不用意にX線シャッターを開けるとX線を被ば

    くするおそれがあります。被ばくすると放射線障害を起こします。

    セーフティーリリースキーは装置の管理者2) が装置とは別の場所に保管してください。

    1) X線作業主任者免許を受けた者、またはX線作業主任者の指示・管理の下で装置を使用する者で、装置の管理者からX線作業の安全

    保持のために必要な事項について教育を受けた者。 2) 用語解説参照

  • 安全に関する注意事項

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 5

    WARNING

    警告 取扱いを誤った場合に、使用者が死亡または重傷を負う危険の状態が生じることが想定される事柄

    ● X線シャッターの取外し・分解・取付けをしない

    X線シャッターの取外し、分解、機能の変更、部品の交換、部品の追加等を行った場合、また、X線シャッターを正しく取り付けていない場合は、X線を被ばくするおそれがあります。

    被ばくすると放射線障害を起こします。

    X線シャッターの改造・取外し・取付けは、決して行わないでください。

    X線シャッターの修理や保守作業は弊社サービス部門へ連絡してください。

    ● 防X線カバーの取外し・分解・取付けをしない

    防X線カバーの取外し、分解、機能の変更、部品の交換、部品の追加等を行った場合、また、防X線カバーを正しく取り付けていない場合は、X線を被ばくするおそれがあります。被ば

    くすると放射線障害を起こします。

    防X線カバーの改造・取外し・取付けは、決して行わないでください。

    防X線カバーの修理や保守作業は弊社サービス部門へ連絡してください。

    ● X線シャッター本体ランプを分解しない

    X線シャッター本体ランプを分解したり、専用のランプ以外を取付けないでください。X線シャッターの開閉状態を正しく表示しないときがあり、X線を被ばくするおそれがあります。

    被ばくすると放射線障害を起こします。

    ● X線警告灯を分解しない

    X線警告灯を分解したり、専用のランプ以外を取付けないでください。X線の発生状態を正しく表示しないときがあり、X線を被ばくするおそれがあります。被ばくすると放射線障害

    を起こします。

    ● 接続検出器を分解・修理・変更しない

    接続検出器を分解したり、機能を変更したりすると、ゴニオメータなどのX線光学系が接続されていない場合、X線シャッターが開くときがあり、X線を被ばくするおそれがあります。

    被ばくすると放射線障害を起こします。

    ● 防X線カバーが付いていない装置は、使用する資格のある担当者1) 以外は操作しない

    防X線カバーがない場合、X線の発生やX線シャッターの開閉に関する安全機能がないので、不用意に扱うとX線を被ばくするおそれがあります。被ばくすると放射線障害を起こします。

    関連する法令に基づく防護対策が必要です。弊社の営業部門に相談してください。

    1) X線作業主任者免許を受けた者、またはX線作業主任者の指示・管理の下で装置を使用する者で、装置の管理者からX線作業の安全

    保持のために必要な事項について教育を受けた者。

  • 安全に関する注意事項

    WARNING

    警告 取扱いを誤った場合に、使用者が死亡または重傷を負う危険の状態が生じることが想定される事柄

    ● 高電圧ケーブルを装置から取外さない

    X線発生中は高電圧トランスから高電圧ケーブルを経由してX線管球に高電圧が供給されています。X線発生を停止した後もX線の高電圧トランス内と高電圧ケーブルに高電圧の電荷

    が充電されています。

    高電圧ケーブルを装置から取外すと感電するおそれがあります。

    保守作業で、高電圧ケーブルを装置から取外す前に弊社サービス部門へ連絡してください。

    ● 高電圧ケーブルヘッドに触れない

    装置の電源を切っても高圧ケーブルヘッドは帯電している場合があります。X線管球の交換作業等のとき、高電圧ケーブルのヘッドには直接触れないでください。感電するおそれがあ

    ります。

    ● ベリリウムには触れない

    X線管球、X線検出器、試料高温装置などのX線の通路の窓にはベリリウムが使用されています。ベリリウムの粉末や蒸気を吸引すると重症や死にいたる危険性があります。

    ベリリウムには触れないでください。

    ベリリウムを廃棄する場合は法令に従ってください。

    ● 火災の危険性(EMOボタンを押し、装置電源を切る)

    万一、装置から煙が発生したり、異臭がするときは、EMOボタンを押して装置に供給している電源を切ってください。

    6 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

  • 安全に関する注意事項

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 7

    CAUTION

    注意 取扱いを誤った場合に、使用者が軽傷を負うかまたは物的損害だけが発生する危険の状態が生じることが想定される事柄

    ● X線を停止した直後にX線管球の交換をしない

    X線発生装置の使用を終了してX線の発生を停止した直後はX線管球が高温になっています。高温状態のX線管球に触れると火傷をします。X線発生を停止した後、30 分以上X線管球を自然冷却して管球が室温になってから交換作業をしてください。

    ● X線を停止した直後に回転対陰極や電子銃の交換をしない

    組立式X線管球1) が付いているX線発生装置の使用を終了してX線の発生を停止した直後は、X線管球が高温になっています。高温状態の回転対陰極や電子銃に触れると火傷をしま

    す。X線発生を停止した後、3 時間以上X線管球を自然冷却して管球が室温になってから交換作業をしてください。

    ● 高温の炉体には触れない

    ● 高温の気体や液体には触れない

    試料高温装置など、試料の温度を高温にするための加熱炉が付いているアタッチメントを使用する場合、炉体やその周辺が高温のときは炉体や周辺の部品に触ると火傷をします。

    試料の温度を高温にするために、高温の気体や液体を使用しているアタッチメントの場合、

    高温の気体や液体および高温状態の部品に触ると火傷をします。

    炉体や部品が室温になってから必要な作業・操作をしてください。

    ● 低温の炉体には触れない

    ● 低温の気体や液体には触れない

    試料極低温装置やクライオスタットなど、試料の温度を低温にするためのアタッチメントをX線回折装置と併用する場合、低温部分に触ると低温障害 2) を起こします。

    ドライアイス、液体窒素、液体ヘリウムなど試料の温度を低温にするための冷媒に触ると低

    温障害を起こします。

    試料や試料周辺が室温になってから必要な作業をしてください。

    ● 定期的に漏えいX線量を測定する

    漏えいX線量が法令で規定されている許容線量を超えた場合は、直ちにX線発生装置の電源を切り、装置に使用禁止等の表示をしてから弊社サービス部門に連絡してください。

    1) - 2) 用語解説参照

  • 安全に関する注意事項

    8 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

    CAUTION

    注意 取扱いを誤った場合に、使用者が軽傷を負うかまたは物的損害だけが発生する危険の状態が生じることが想定される事柄

    ● 高圧ガス容器のバルブを急激に開かない

    ガスフロー形X線検出器や試料の雰囲気をガス置換して使用する装置(容器)へ急激にガスを送ると検出器や容器を破損するおそれがあります。また、破損した破片で怪我をする危険

    性があります。容器のバルブは静かにゆっくり開閉してください。

    高圧ガスの取扱は、関係する法令1) を遵守してください。

    ● 真空リーク弁を急激に開かない

    組立式X線管球の管球内を真空から大気圧にする場合や、試料雰囲気・X線通路容器(真空パス)内を真空から大気圧にする場合、真空リーク弁(リークつまみ)を急激に開かないで

    ください。急な圧力差のために容器内や容器を破損するおそれがあります。また、破損した

    破片で怪我をする危険性があります。リーク弁は静かにゆっくり開閉してください。

    ● 装置の設置環境・設置条件を守る

    装置を設置するときは、取扱説明書に記載している設置環境・設置条件を守ってください。設置環境・設置条件が守られない場合、装置の正常な動作は保証致しません。

    ● 保管

    長期間装置を使用しない場合は、室温 5~40 ℃、湿度 75%以下で、粉塵や腐食性のガスがない環境に保管してください。組立式X線管球は定期的に真空に引いてください。

    ● 装置の移動・移設をしない

    現状の場所から装置を移動や移設する場合は、弊社営業部門にご相談ください。 ご相談なしに移動や移設した場合、移設先での動作保証は致しません。

    また、移動・移設をする場合には、所轄の労働基準監督署に「計画の届出」を提出する必要

    があります。

    ● 廃棄

    X線管球の窓などに使用している金属ベリリウムやX線の遮へい材の鉛は、一般廃棄物と分離してください。これらは、廃棄処理の資格を持っている業者に依頼して処分してください。

    ベリリウムを廃棄する場合は法令に従ってください。

    高圧ガス容器(ボンベ)は廃棄できません。専門業者(付表 1 参照)に容器の引取りを依頼してください。

    1) 用語解説参照

  • 安全に関する注意事項

    ▒ X線に対する安全機能

    X線の遮へい

    1. 封入式X線管球は金属製のチューブシールドに収納されています。このチューブシールドでX線を遮へいし

    ています。(図 1 参照)

    2. 組立式X線管球は管球容器が金属製です。この管球容器でX線を遮へいしています。(図 2 参照)

    3. X線管球からX線を取り出すところには、X線シャッターが取り付けられています。X線シャッターが閉じ

    ているときは、X線シャッターでX線を遮へいしています。(図 1、2 参照)

    4. 通常、X線管球部とX線光学系を防X線カバーの中に設置します。防X線カバーは、X線光学系や試料から

    の散乱X線を遮へいします。X線の利用は、すべてこの防X線カバーの中で行ってください。

    5. 防X線カバーには内部をのぞける、のぞき窓があります。のぞき窓にはX線を遮へいする材料を使用してい

    ます。のぞき窓が破損したときは直ちに装置の電源を遮断して使用を中止してください。のぞき窓の修理は

    弊社サービス部門に連絡してください。窓材は、類似品あるいは普通ガラスとは交換しないでください。

    X 線シャッター本体ランプ

    X 線シャッター

    X 線シャッター

    X 線シャッター本体ランプ

    接続検出器 高電圧ケーブル

    X 線管球

    接続検出器 チューブシールド

    図 1 封入式 X 線管球部の例 図 2 組立式 X 線管球部の例

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 9

  • 安全に関する注意事項

    X 線警告灯

    図 3 防X線カバーの例

    保守用パネル (背面)

    のぞき窓

    防X線カバー

    10 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

  • 安全に関する注意事項

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 11

    X線を安全に使用するための安全機能

    X線の被ばくを防止するために取り付けられている部品等の故障が原因で、作業者がX線を被ばくしないように

    機能する機構を、ここではフェイルセーフ機構1) と呼んでいます。この機構には次の二つがあります。防X線

    カバーが付いている装置にはこの機構が付いています。

    1. X線の発生に関するフェイルセーフ機能

    2. X線シャッターに関するフェイルセーフ機能

    X線の発生に関するフェイルセーフ機構

    この機構は、X線シャッターが正常に取り付けられており2) 、警告灯ランプが正常で、かつ、防X線カバーの

    扉が閉じられているときのみX線を発生できるようにするものです。図 4 を参照してください。機能の詳細を

    以下に示します。

    ■ X線の発生状態を表示するX線警告灯があります(図 3 参照)。この警告灯のランプが断線していると、X

    線を発生することはできません。X線の発生中は警告灯が赤く点灯します。X線の発生が停止すると消灯し

    ます。

    ■ 防X線カバーの背面の保守用パネルが正しく組み付いていない場合はX線を発生することはできません。X

    線の発生中に保守用パネルを開けるとX線の発生が停止します。

    ■ 組立式X線管球には、X線シャッターがX線管球に正しく組み付けられていることを検出するセンサーが付

    いています。X線シャッターが正しく取り付いていない場合、このセンサーが機能して、X線を発生するこ

    とはできません。

    X線シャッターに関するフェイルセーフ機構

    この機構は、X線を照射しても防X線カバーの外部にはX線が漏れない環境が整ったときにのみX線シャッター

    を開くことを可能にするものです。図 4 を参照してください。機能の詳細を以下に示します。

    ■ 防X線カバーの扉が閉じており、かつX線が発生しているときにX線シャッターを開けることができます。

    X線シャッターが開いているときに防X線カバーの扉を開くと、X線シャッターは閉じ、X線の発生が停止

    します。防X線カバーの扉が開いているとX線シャッターは開きません。

    ■ X線シャッターとゴニオメータ等のX線光学系とが接続されていることを検出する接続検出器がX線シャ

    ッターに付いている装置があります(図 2 参照)。X線光学系がX線シャッターに正しく接続されていない

    とX線シャッターは開きません。

    ■ X線シャッターが主シャッターと補助シャッターの 2 重構造になっているものがあります3)。2 重構造のX

    線シャッターでは、補助シャッターが閉じていると主シャッターは開きません。補助シャッターは、X線光

    学系がX線シャッターに正しく接続したときに開きます。

    1) 用語解説参照 2) 3) 装置の取扱説明書を参照してください。

  • 安全に関する注意事項

    1 X線シャッター の取付け状態

    正常

    2 警告灯ランプ の状態

    正常

    4a X線を発生する ( X-ray ON )

    3 防X線カバー の開閉状態

    5 接続検出器 の状態

    正常

    4b X線を発生することが出来ない

    6b X線シャッターを開くことが出来ない

    7b X線は照射されない

    6a X線シャッターを開く

    7a X線が照射される

    異常

    X線が停止状態で警告灯ランプ消灯中

    X線シャッターが閉じた状態でX線シャッター本体ランプ消灯中

    X線が停止状態で警告灯ランプ消灯中

    X線シャッターが閉じた状態で

    X線シャッター本体ランプ消灯中

    X線が発生している。警告灯ランプは点灯している

    X線シャッターが開いている

    X線シャッター本体ランプ点灯中

    異常

    異常

    異常

    フェイルセーフ機構が正常なときの流れ X線・ランプ・

    シャッターの状態 X線・ランプ・

    シャッターの状態

    防X線カバーとX線シャッターが付いている装置で、フェイルセーフ機能が正常に作動しているときの流れ

    1 項, 2 項, 3 項、および 5 項は装置が自動的に判定する( 4a でX線を発生させた以降に防X線カバーの扉を開けるとX線の発生は停止する。扉を閉めると再びX線を発生できる状態になる(扉を閉めて X-ray ON のボタンを押すとX線が発生する)。

    図 4 フェイルセーフ機構が正常な場合の流れ

    12 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

  • 安全に関する注意事項

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 13

    光学系の調整に関する注意事項

    光学系の調整は被ばくする可能性が最も高い作業です。この作業は、弊社サービス部門担当者、または使用する

    資格のある担当者1) だけが行ってください。調整作業では防X線カバーの扉を開けたまま、X線シャッターの

    開閉を行い、X線通路に近づくことがあります。光学系調整作業の安全を確保するために次の注意事項を守って

    ください。

    1. 管理区域を設定してください。(X線装置の使用にかかわる法的規制の項を参照)

    2. 調整作業中は、X線の管電圧、管電流を低く設定しX線強度を弱くしてください。

    3. 作業者の被ばくを防止するために、X線防護用前掛け・放射線防護用手袋を着け、遮へいのためのつい立を

    設置してください。

    4. 調整作業中、X線を被ばくしないために、手など身体の各部位をX線の通路に置かないでください。また、

    X線が照射されているときはX線の通路に近づかないでください。

    5. セーフティーリリースキーは装置の管理者が保管・管理してください。

    6. セーフティーリリースキーは装置から外して(抜いて)装置とは別の場所に保管してください。

    7. 複数の人が共同で作業をするときは、お互いに注意しあって連絡をひんぱんにしてください。

    8. 光学系を動かすときは、可動部分による巻き込みや機械的に挟まれないように注意してください。

    9. 被ばくの危険性を感じたときは、迷わず、直ちにその場から離れてください。

    試料の取付け・交換に関する注意事項

    X線回折装置の日常操作の中で、試料の取付けや交換はX線経路に最も近づく作業です。X線を被ばくしないよ

    うに以下の注意事項を守ってください。

    1. 防X線カバーの覗き窓からX線シャッター本体ランプが消灯していることを必ず確認してから試料の取付け

    や交換作業をしてください。

    2. X線シャッター本体ランプが点灯しているときはX線が放射されているので試料の取付け・交換はしないで

    ください。

    3. 試料の取付け・交換作業は、防X線カバーのドアリリース機能を用いて安全に行うことが出来ます。ドアリ

    リース機能の詳細な操作方法はX線発生装置の取扱説明書を参照してください。

    4. X線シャッターが付いていない装置は、必ずX線の発生を停止してから試料の取付け・交換をしてください。

    5. 防X線カバーが付いていない装置は、必ずX線の発生を停止してから試料の取付け・交換をしてください。

    6. X線シャッター本体ランプが点灯している場合は、いかなる理由であっても試料の取付け・交換をしないで

    ください。

    1) X線作業主任者免許を受けた者、またはX線作業主任者の指示・管理の下で装置を使用する者で、装置の管理者からX線作業の安全

    保持のために必要な事項について教育を受けた者。

  • 安全に関する注意事項

    14 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

    X線の安全管理

    漏えいX線の測定

    X線回析装置付近の放射線の測定は放射線障害を防止するために必要な基本的事項です。定期的に測定し結果を

    記録し保存してください。

    漏えいX線量が法令で規定されている許容線量を超えた場合は、直ちにX線発生装置の電源を切り、装置に使用

    禁止等の表示を行い弊社サービス部門に連絡してください。

    放射線の測定はX線管球の最大管電圧時の最大負荷で実施してください。

    放射線の測定作業は防護服等を着用してください。

    定期的な測定以外に次の場合にも測定してください。

    ■ 装置を設置したとき。

    ■ 装置を移設したとき。

    ■ 防X線カバーを修理、あるいは組み付けしなおしたとき。

    ■ X線管球を修理あるいは交換したとき。

    ■ X線シャッターを修理あるいは交換したとき。

    ■ 光学系を交換、改造、修理を行ったとき。

    ■ X線の被ばく、またはその疑いがあったとき。

    個人線量計

    個人線量計は、放射線被ばくの発見や、漏えい放射線、散乱放射線による被ばくついて吸収線量の評価に有効で

    す。X線回析装置を使用する場合は、装置管理者等が指示した個人線量計1)(フィルムバッチ、ルクセルバッチ

    等)を着用してください。

    1) 用語解説参照

  • 安全に関する注意事項

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 15

    ▒ 電気的危険性に対する注意事項

    高電圧に対する注意事項

    X線を発生中は高電圧トランスから高電圧ケーブルを経由してX線管球に数 kV~数百 kV の高電圧が供給され

    ます。X線の発生を停止した後もX線の高電圧トランス内と高電圧ケーブルは帯電しており高電圧になっていま

    す。高電圧ケーブルを装置から取り外すと感電します。

    感電による事故を防止するために高電圧ケーブルの抜き差し、高電圧ケーブルヘッドの清掃と絶縁グリスの交換

    は弊社サービス部門へ連絡してください。

    X線管球の交換作業をするときは高電圧ケーブルヘッドに直接触れないでください。

    以下作業は弊社サービス部門担当者または使用する資格のある担当者1) が行います。

    1. X線発生装置の電源と壁電源スイッチを切

    り、装置への給電経路を二重に遮断する。

    2. 高電圧ケーブルと高電圧トランス内に高電

    圧の電荷が充電されているので電源を遮断

    した後、必ず 30 分以上経過してから作業を

    開始する。

    3. 高圧ケーブルヘッドの清掃などで直接手に

    触れる場合は、ヘッド接点をアースに接地し

    て高電圧の電荷を完全に放電させた後に作

    業を行う。

    1) X線作業主任者免許を受けた者、またはX線作業主任者の指示・管理の下で装置を使用する者で、装置の管理者からX線作業の安全

    保持のために必要な事項について教育を受けた者。

    ヘッド接

    高電圧ケーブルヘッド(高圧トランス側

    高電圧ケーブルヘッド(X線管球側)

    ヘッド接点

  • 安全に関する注意事項

    16 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

    装置内部の電源に対する注意事項

    X線発生装置の内部には充電部や帯電部があります。これらの部分に触れると感電するおそれがあります。メン

    テナンス作業などでX線発生装置の内部に触れる前に弊社サービス部門へ連絡してください。

    接地線に対する注意事項

    X線回析装置の接地線は必ず保護導体1)に接続した状態で使用してください。

    1. X線回析装置の内部および外部の接地端子と保護導体(保護接地端子)の接続を未接続にすることは危険な

    状態です。

    2. X線回析装置が通電状態の場合に接地線を外すことは絶対に行わないでください。

    ▒ 火災の危険性 万一、装置から煙が発生する、異臭がするときはEMOボタンを押して装置に供給している電源を切ってください。

    1) 用語解説参照

  • 安全に関する注意事項

    ▒ 材料および物質による危険性に対する注意事項

    ベリリウムに対する注意事項

    X線管球の窓、試料の雰囲気を変えるアタッチメントの窓、X線検出器の窓には金属ベリリウムが使用されてい

    ます。ベリリウムやその腐食物・化合物の粉末や蒸気が人体にふれ、または体内に入ると有害です。重症や死に

    いたる危険性があります。以下のことを守ってください。

    1. 金属ベリリウムに身体の一部を触れないでください。誤って素手で触れたり皮膚に付着した場合は、すぐに

    石鹸で洗い流して医師の診断を受けてください。

    2. 金属ベリリウム部分に次のことを行わないでください。

    ■ 水で濡らす(取扱い中に万一水で濡れた場合には、吸水性の良い紙などで吸い取る)

    ■ 磨く ■ 削る ■ 切る ■ 破壊する

    ■ 薬品で拭く ■ 焼却する ■ 粉末、蒸気にする

    3. 誤って破損した場合には次のようにしてください。

    ■ 素手でさわらない。

    ■ 粉末を吸い込まない。

    ■ 全ての破片を回収し、飛散しないよう密閉した容器に入れ、破損したものは専門の業者に処分を依頼する。

    適切な業者が見つからない場合には、弊社に相談する。

    有害な試料の測定に関する注意事項

    本装置には有害な試料に対する安全機構はありません。有害な試料の取扱に関する専門知識のある担当者以外は

    測定しないでください。以下の注意事項を守ってください。

    1. 放射性物質は測定しないでください。放射線を被ばくするおそれがあります。また、X線検出器が放射線を

    計数することがあります。

    2. 発火や爆発のおそれがある物質を測定しないでください。

    3. 揮発性のある試料や低温で液体になる試料は専用の容器を用意してください。

    4. アスベストや遊離けい酸は、その粉塵を吸引しないでください。

    5. 有害な物質の粉塵や蒸気・ミストを吸引しないでください。また、それらが人体や衣服に触れないようにし

    てください。

    6. 有害な試料が飛散しないようにしてください。

    試料の雰囲気をガスにする場合の注意事項

    本章の「ガスに対する注意事項」を読んで注意事項を守ってください。

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 17

  • 安全に関する注意事項

    18 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

    ▒ 熱的危険性に対する注意事項 使用終了直後のX線管球の交換や試料の温度を高温または低温に保持するアタッチメントを使用の場合には、不適

    切に扱うと火傷や低温障害になるおそれがあります。取扱には以下の注意事項を守ってください。

    火傷の危険性に対する注意事項

    X線管球の交換作業時の注意事項

    X線発生装置使用直後の封入型X線管、および組立式X線管球の電子銃と回転対陰極(ターゲット)の交換作業

    は、それらが高温になっているため火傷のおそれがあります。交換作業では以下の注意事項を守ってください。

    ■ 封入型X線管は、X線発生装置の使用を停止し、装置の電源および壁の電源を切り、30 分以上経過した後

    に作業を行ってください。

    ■ 開放型X線管球は、最初にX線発生装置の使用を停止し、つぎに排気動作を停止します。その後、3 時間以

    上経過してから、装置の電源および壁の電源を切り、X線管球内を大気圧にしてから作業を行ってください。

    高温アタッチメントの取扱に関する注意事項

    試料の温度を上げて高温状態に保持することが出来る高温装置1) を使用する場合は不適切に扱うと火傷のおそ

    れがあります。取扱には以下の注意事項を守ってください。

    ■ 試料の装着や交換は、炉体や炉内部の温度が室温に戻ってから行ってください。

    ■ 高温装置のカバー(大気側の容器)を取り外すときは、炉体や炉内部の温度が室温に戻ってから行ってくだ

    さい。高温の状態でカバーを外すと炉体や部品が破損します。

    ■ 高温の気体または液体で昇温する方式の高温装置を使用する場合は、高温の気体または液体が直接人体また

    は衣服に当たらないようにしてください。

    ■ 適切な保護具を使用してください。

    低温障害の危険性に対する注意事項

    試料の温度を下げて低温状態に保持することが出来る低温装置2) を使用する場合は不適切に扱うと低温障害を

    引き起こすおそれがあります。取扱には以下の注意事項を守ってください。

    1. ドライアイス、液体窒素、液体ヘリウムなど試料の温度を低温にするための冷媒を直接人体または衣服に当

    たらないようにしてください。

    2. 小さな部屋で多量の液体窒素を扱うときには酸欠にならないよう、十分な換気をしてください。 1) 試料高温装置、赤外線加熱高温装置、試料直熱高温装置、試料超高温装置、液晶試料高温装置、試料中低温装置、水蒸気高温装置、

    X線回折-示差走査熱量同時測定装置、など。 2) 試料中低温装置、試料極低温装置、試料低温装置、など。

  • 安全に関する注意事項

    ▒ ガスに対する注意事項 ガスは取扱を誤ると重大な事故になるおそれがあります。ガス容器の設置・運搬・保管・返却・取扱は法令を守っ

    てください。注意深く取扱い、以下の事項を守ってください。

    高圧ガスに関する注意事項

    1. ガス容器は専用の容器(ボンベ)立てに固定し、転倒・転落しないようにしてください。

    2. ガス容器は 40 ℃以下に保ち、通風のよい場所に置き、直射日光を避けてください。

    3. ガス容器の弁は、使用しないときは閉じてください。

    4. ガス容器を油の付いた手や手袋で取扱わないでください。

    5. ガス容器は注意深く取扱ってください。不注意に扱って転倒・転落などをすると容器・設備・配管などの爆

    発・破裂が起こるおそれがあります。

    6. 配管や弁などからガス漏れがないことを石鹸水や検知液で使用前に確認してください。

    7. ガス容器の弁を急激に開かないでください。急な圧力差で、ボンベに接続した容器や配管を破損するおそれ

    があります。

    8. ガス容器を本来の目的以外に使用しないでください。

    9. 作業場所・設置場所は十分に換気してください。

    10.高圧ガスの取扱は、関係する法令(高圧ガス保安法とその関連法令)を遵守してください。

    11.ガスの再充填やガス容器の廃棄は専門の業者(付表 1)に依頼するか弊社の営業部門へ連絡してください。

    可燃性・腐食性・毒性のあるガスに対する注意事項

    可燃性のあるガスや腐食性・毒性のあるガスの取扱は、上記の高圧ガスに関する注意事項を守り、さらに、以下

    の事項を守ってください。

    1. 可燃性のあるガスは、ガス漏れや不適当な取扱によって火災や爆発を引き起こすおそれがあります。ガス漏

    れがないことを確認してから適正に取扱ってください。

    2. 可燃性のあるガスを使用するときは、作業場所の 5 メートル以内は喫煙・火気の使用を禁止し、引火性・発

    火性のものを置かないでください。

    3. 腐食性のあるガスは、装置とその部品および設備を腐食させるおそれがあります。腐食性のあるガスの取扱

    に関する専門知識のある担当者以外は取り扱わないでください。

    4. 毒性のあるガスは、少量のガス漏れでも人命にかかわる重大な事故を引き起こす場合があります。毒性のあ

    るガスの取扱に関する専門知識のある担当者以外は取り扱わないでください。

    5. ガスの排気・放出は法令を遵守して適正に処理してください。

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 19

  • 安全に関する注意事項

    毒性のないガスに対する注意事項

    毒性のないガスでも充満した状態では窒息するおそれがあります。ガスの滞留がないように換気してください。

    20 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

  • 安全に関する注意事項

    ▒ 用語解説 X線回折装置

    X線を試料に照射したときに生じる回折X線の回折角と強度を記録する装置。X線回折装置の基本構成は次

    の4部分である。X線を発生するX線発生部、回折線の回折角度を測るゴニオメータ部、回折線の強度を計

    数する計数部、および、X線発生部・制御部・ゴニオメータ部を制御して回折データを収集する制御・デー

    タ処理部。この他にいろいろな付属装置がある。

    放射線障害

    放射線障害は、電離放射線の生物学的作用により生体の細胞や組織が変化し、細胞の変異、死滅、組織の破

    壊などの現象が生じ、これらが直接あるいは間接の原因となって生じる障害である。障害には吐気、全身倦

    怠、白血球増加、皮膚の色素沈着、脱毛、老化現象、発がん、寿命短縮、悪性貧血、白血病、などがある。

    電離放射線

    原子を電離する粒子や電磁波を電離放射線という。電離放射線には、X線、α線、β線、γ線、電子線、中

    性子線などがある。

    X線回折法

    X線を結晶に照射するとその結晶に特有の回折図形(多数の回折線で構成される回折パターン)が得られる。

    回折図形を解析して結晶の構造を解析したり、結晶相に関する知見を得る方法。試料の形態によって粉末X

    線回折法と単結晶X線回折法がある。

    装置管理者

    装置の管理者(管理団体)は、装置の使用と保守に責任を負う個人または団体であり、装置が本来の仕様と

    動作限界の範囲内で適正に運用され、操作担当者、保守担当者が適切な教育を受けることに対して責任を負

    う。

    操作担当者

    操作担当者は目的の機能を実現するために装置・製品を使用する。操作担当者は、安全保持および装置の適

    正な運用について教育を受けている必要がある。

    保守担当者

    保守担当者は装置・製品を正しく動作させるために必要な所定の作業を行う。具体的な保守作業の内容は装

    置の取扱説明書をご覧ください。保守担当者が実施できる事柄であるかどうかはそれぞれの取扱説明書に記

    載してある。該当しない項目については弊社サービス部門担当者にお任せください。保守担当者は、安全保

    持および装置の適正な運用について教育を受けている必要がある。

    放射線装置室

    X線回折装置を設置する専用の部屋。部屋の入り口に放射線装置室の標識を掲示する。必要のない者を立ち

    入らせてはならない。(電離放射線障害防止規則 第 15 条)

    管理区域(X線管理区域)

    X線の管理区域は、X線による実効線量が 3 ヵ月につき 1.3 mSv を超えるおそれがある区域。管理区域の

    境界は標識で明示する。また、必要のない者を立ち入らせてはならない。(電離放射線障害防止規則 第 3

    条)

    防X線カバーが正常に付いているX線回折装置は、カバーの外面がX線管理区域の境界です。

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 21

  • 安全に関する注意事項

    22 X 線回折装置を安全にご利用いただくために

    X線作業主任者免許 X線装置を使って、工業製品の品質検査や構造物の非破壊検査をする技術者を認定する国家資格。

    組立式X線管球 X線管球内を真空ポンプで排気しながら使用する方式のX線管球。開放式X線管球とも言う。製品には、回

    転対陰極X線管(製品の総称はロータ)や微小焦点X線管球(製品例はマイクロフレックス)がある。他方、

    管球内を真空にして封じたX線管球を封入式X線管球と呼ぶ。組立式X線管球と封入式X線管球の総称とし

    てX線管球と表記する。

    低温障害 低温障害には凍傷や凍瘡などがある。

    高圧ガス保安法 高圧ガスによる災害を防止するために、高圧ガスの製造・販売・貯蔵・移動その他の取扱および消費や高圧

    ガス容器の製造、取扱などについて規定した法律。

    安全機能 装置が偶発的に異常な動作をしたときや、作業者が不用意に装置を扱ったときなどに、事故を防止して正常

    な運転を確保するために必要な機能と、人をX線の被ばくや火傷などの危険から保護するために必要な機能

    との両方を言う。フェイルセーフ機能も安全機能の一つである。

    フェイルセーフ機構 X線の被ばくを防止するために取り付けられている部品等の故障が原因で、人がX線を被ばくしないように

    機能する機構をフェイルセーフ機構と呼ぶ。この機構が働くと、X線を発生できなかったり、発生中のX線

    を停止したり、X線シャッターが開けなかったり、開いているシャッターを閉じたりする。この機能は、弊

    社の防X線カバーが弊社の装置に正常に組み合わされている場合のみ有効である。

    個人線量計 個人の受けた線量当量を測定するため、各個人に装着するように作られた小形の線量計。フィルムバッチ、

    光刺激ルミネッセンス線量計、熱ルミネッセンス線量計、ポケット線量計などがある。

    ルクセルバッチ 光 刺 激 ル ミ ネ ッ セ ン ス 線 量 計 の 一 つ 。 輝 尽 発 光 OSL ; Optically Stimulated Luminescence (Photo-Stimulated Luminescence PSL ともいう)法による個人線量計。長瀬ランダウア株式会社(Nagase Landauer, Ltd.)製の個人線量計の商品名。

    保護導体 感電保護のために、露出導電性部分、外部導電性部分および主接地端子を電気的に接続する導体。

    放射線防護の 3 原則 作業者が電離放射線を受けることをできる限り少なくするには次の三

    つの方法があります。これを放射線防護の 3 原則といいます。 放射線源と人体の間に遮へい物を置く

    X線は物質を透過すると減衰します。減衰量は、原子番号が大きい物質ほど、厚さが厚いほど多くなります。一般には鉛が使われています。

    放射線源と人体との距離を大きくとる

    X線は距離の二乗に反比例して減衰します。被ばくの危険があるときは直ちにその場から離れることが重要です。

    放射線を受ける時間を短くする 放射線を取扱う場合は、できるだけ(1)や(2)の方法で放射線を防護しま

    す。やむをえない場合は放射線を受ける時間を短くし、被ばくする量を最

    小にします。

    被ばくする量は少ないほどよい。法に定められた線量限度を超えて被ばくす

    ることがないようにX線に対する管理をしなければなりません。

    遮へい物を置く

    時間を短くする

    距離を大きくとる

    放射線防護の 3原則

  • 安全に関する注意事項

    付表 1 高圧ガス容器の取扱

    PSPC、PSD のカウンタ、試料高温装置などで使用している高圧ガス容器(ボンベ)は高圧ガス保安法に基づいて

    弊社で管理しています。使用済みの容器、あるいは不要になった容器を処分される場合には、最寄りの営業所にご

    相談ください。

    高圧ガス保安法により高圧ガス容器の一般廃棄は法律で禁じられております。高圧ガス及び、高圧ガス容器の再充填、廃棄等のご相談は下記の会社にてお受け致します。最寄の営業所へご連絡をお願い致します。

    高圧ガス容器の廃棄連絡先

    株式会社 リガク

    東京蛍光サービスステーション 渋谷区千駄ヶ谷4‐14‐4SKビル千駄ヶ谷 03‐3479‐6013

    東京回折サービスステーション 東京都昭島市松原町3-9-12 042-545-8185

    東北営業所 仙台市青葉区大町1-2-16大町佐藤屋ビル2F 022‐264‐0446

    筑波営業所 茨城県つくば市小野崎142-1 0298‐52‐3911

    名古屋営業所 名古屋市東区代官町35‐16第一富士ビル 052‐931‐8441

    大阪サービスステーション 大阪府高槻市赤大路町14‐8 072‐693‐3780

    九州営業所 北九州市小倉北区堺町2‐1‐1丸美小倉駅前ビル 093‐541‐5111

    高圧ガス容器の再充填連絡先

    株式会社 鈴木商館

    岩手事業所 岩手県北上市北工業団地5‐11 0197‐66‐5211

    宮城営業所 宮城郡利府町しらかし台6‐4‐2 022‐356‐5721

    郡山営業所 福島県郡山市喜久田町字松ヶ作16‐59 024‐963‐2550

    高崎営業所 群馬県高崎市八千代町1‐5‐5 027‐326‐3821

    宇都宮営業所 栃木県宇都宮市清原台2‐6‐16iファーストビル 028‐667‐9541

    入間営業所 埼玉県入間市宮寺宮ノ台4010‐4 042‐934‐2101

    東京販売課 埼玉県上尾市平塚73 048‐721‐0685

    千葉営業所 千葉県市原市五井8925 0436‐21‐2161

    日立駐在 茨城県日立市桜川町2‐24‐8鈴木ビル 0294‐35‐3019

    筑波営業所 茨城県つくば市要204 0298‐64‐2231

    鹿島営業所 茨城県鹿島郡神栖町横瀬791‐30 0299‐96‐0811

    柏営業所 千葉県柏市小青田字小船新田30‐4 0471‐33‐1131

    君津営業所 千葉県君津市人見1174 0439‐52‐2751

    京浜営業所 神奈川県川崎市川崎区水江町3‐3 044‐270‐3911

    相模営業所 神奈川県相模原市上溝326‐3 042‐778‐0405

    甲府営業所 山梨県甲府市国母8-31-9 055‐233‐9857

    静岡営業所 静岡県静岡市駿河区宮竹1-14-3 054‐237‐4033

    浜松営業所 静岡県浜松市南区青屋町126-1 053-467-6677

    名古屋営業所 愛知県名古屋市熱田区沢上2‐6‐5 052‐682‐7891

    四日市営業所 三重県四日市市平尾町2370‐28 0593‐27‐0241

    加賀営業所 石川県能美市和気町ウ-16-1 0761‐51‐5731

    大阪営業所 大阪府茨木市五日市1‐10‐30 072‐622‐6181

    堺営業所 大阪府高石市綾園2‐7‐15 072‐262‐0231

    京都営業所 京都府京都市下京区西七条掛越町60 菱ビル 075-313-1310

    福岡営業所 福岡市博多区吉塚8‐1‐7 092‐623‐1621

    北九州出張所 福岡県北九州市小倉北区浅野1‐2‐39 093‐511‐8455

    大分出張所 097‐558‐9683

    宮崎営業所 宮崎県宮崎市太田4‐3‐30 0985‐52‐6008

    高圧ガス容器の再充填、廃棄等に関するお願い

    大分県大分市新貝9-21

    X 線回折装置を安全にご利用いただくために 23

  • ご使用前に SmartLab をご使用になる前に、本取扱説明書を必ず最後までお読みください。また、本取扱説明書の初めに記載

    されている「X線回折装置を安全にご利用いただくために」を必ずお読みください。

    法的規制

    【X 線装置使用に関する法的規制】

    「X 線を使用する装置」を設置・移転・変更、および廃止する場合には、法令に基づき、届け出などの措置を行

    わなければならないとされています。届出に必要な書類、届け先は、お客様の業種などで異なり、次のようにな

    っています。

    1.人事院規則 10-4 の運用別表類が適用される国の機関

    (例:科学警察研究所、防衛施設庁、消防大学校、文部科学省、国土交通省、環境省など) 提出書類 「エックス線装置届(設置・変更・廃止)」

    「エックス線装置検査結果の記録書(設置・変更・廃止)」 「管理区域の説明書」

    提出期限 設置・変更検査終了日、または廃止日から 30 日以内 提出先 所属省庁の本省・本庁の安全担当部門経由人事院事務総長 関係法令 人事院規則 10-4 「職員の保健および安全保持」(昭和 48 年 3 月 1 日)

    人事院規則 10-5 「職員の放射線障害の防止」(昭和 38 年 9 月 25 日)

    2.労働基準法別表第 1 の第 11 項、または第 12 項に該当する場合

    (例:公立大学、公立専門学校など) 提出書類 「建設物/機械など/設置・移転・変更届」

    「放射線装置摘要書」または「放射線装置室等摘要書」 「管理区域の説明書」

    その他お客様でご用意いただく図書類(例:当該建築物の各階の平面図など) 提出期限 工事開始の 30 日前まで 提出先 各都道府県の人事委員会事務局

    3.労働基準法別表第 1 の第 1~第 10 項または同第 13~第 15 項に該当する場合

    (例:民間企業、国立大学法人などの法人化機構、私立大学、私立専門学校など) 提出書類 同上 提出期限 同上 提出先 所轄の労働基準監督署長 関係法令 電離放射線障害防止規則(昭和 47 年労働省令第 41 号)

    労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号) 労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号) 労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号) 労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号) 地方公務員法(昭和 25 年 12 月 13 日) 労働基準法(昭和 22 年 4 月 7 日)

    なお、詳細については案内書を用意しておりますので、弊社までお問合せください。

  • 【外国為替および外国貿易法】

    本製品は、外国為替および外国貿易法の安全保障輸出管理の規制品(輸出貿易管理令別表第 1)に該当しません

    が、輸出先国、輸出先組織または当局からの指示などにより該当となる場合があります(キャッチオール規制)。

    輸出または日本国外に持ち出す場合は弊社への問合わせ、および必要に応じて日本国政府(経済産業省)への輸

    出許可申請など、必要な手続きをとってください。

    なお、弊社の許諾なしに改造されている製品を日本国外に輸出する場合、弊社は自主判定書を発行できない場合

    があります。

    【電気用品安全法】

    付属(同梱)のケーブル類は SmartLab 以外に使用できません。

    著作権など

    1. 本書の全体または部分にかかわらず、印刷版または電子的形態で、無断で複写・複製・転載することを禁

    止しています。複写などされる場合は、その都度、事前に書面で弊社の許諾を得てください。

    2. 本書の全体または部分にかかわらず、無断で第三者への開示を禁止しています。開示される場合は、その

    都度、事前に書面で弊社の許諾を得てください。

    3. 本書の全体または部分にかかわらず、無断で引用すること、翻訳して無断で引用すること、および無断で

    第三者へ開示することを禁止しています。引用や翻訳などされる場合は、その都度、事前に書面で弊社の

    許諾を得てください。

    4. この取扱説明書は、特にご契約がない限り、原則として製品 1 台につき 1 セット付属します。

    5. この取扱説明書の記載内容は、将来予告なしに変更することがあります。 免 責

    1. 次に起因する事故について、弊社は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

    ・本製品の目的以外の使用

    ・製品寿命

    ・無断改造

    ・お客様による保守不良

    ・天変地異・戦争・暴動・紛争

    ・お客様による本書に反した操作

    ・設置条件違反

    ・消耗品

    2. 株式会社リガクは、本製品の使用者、作業者が本書を運用した結果と結果の影響について、一切の責任を

    負いかねますのでご了承ください。 移 設 本製品を現在設置している場所から移動・移設する場合は弊社に連絡してください。

  • 登録商標、商標 Microsoft、Windows は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標で

    す。

    Pentium は Intel 社の登録商標です。

    その他の会社名、製品名は各社の商標および登録商標です。

    なお、TM™および®マークは省略しています。

  • 目 次

    SmartLab 全自動多目的水平型 X 線回折装置 i

    目 次

    ▒ 概 要...........................................................................................................1

    ▒ 特 長...........................................................................................................3 試料水平配置型のθ-θ型ゴニオメータ ................................................................................... 3 アタッチメント ................................................................................................................ 3 X線発生装置 .................................................................................................................... 3 クロスビームオプティクス(CBO) ....................................................................................... 3 結晶の調整機構(モノクロメータおよびアナライザ) ................................................................. 4 受光アナライザシステム ..................................................................................................... 4 入射光学系システム........................................................................................................... 4 受光光学系システム........................................................................................................... 5 光学系の切換システム ........................................................................................................ 5 光学素子の検出 ................................................................................................................ 5 制御ソフトウェア(SmartLab Guidance)............................................................................. 6 2 スリット型小角散乱光学系 ................................................................................................ 6 薄膜構造をより詳細に解析するインプレーン光学系(2080A202/2080B202) ............................... 6

    ▒ 各部の名称 .....................................................................................................7 本 体 ........................................................................................................................... 7 ゴニオメータ ................................................................................................................... 9 X線管球 ........................................................................................................................11 θsアーム ......................................................................................................................12 θdアーム ......................................................................................................................13 検出器の取付け部 ............................................................................................................14 アタッチメントベースとアタッチメント.................................................................................14

    ▒ ソフトウェアの構成 ........................................................................................15 制御ソフトウェア ............................................................................................................15 データ処理ソフトウェア ....................................................................................................15 データ表示ソフトウェア(オプション).................................................................................15 解析ソフトウェア(オプション) .........................................................................................15

    ▒ SmartLabの起動と停止 .................................................................................17 SmartLabを起動する .......................................................................................................17 SmartLab Guidanceを起動する .........................................................................................17 X線をONにする(スタートアップ)......................................................................................18 X線をOFFにする(シャットダウン).....................................................................................19 SmartLab Guidanceを終了する .........................................................................................20 SmartLabを停止する .......................................................................................................20

    ▒ ドアの開閉 ...................................................................................................21 ドアを開ける ..................................................................................................................21 ドアを閉める ..................................................................................................................22

  • 目 次

    ii SmartLab 全自動多目的水平型 X 線回折装置

    緊急遮断スイッチ(EMO).................................................................................................22 内部照明のON/OFF(LAMP) .............................................................................................22

    ▒ 光学系.........................................................................................................23 CBOユニット(Cuターゲット用)........................................................................................23 入射光学ユニット(標準入射光学ユニット) ...........................................................................28

    入射平行スリットアダプタ(IPS adaptor) .....................................................................28 2 結晶モノクロメータ(オプション)..............................................................................31 4 結晶モノクロメータ(オプション)..............................................................................34 CBO-fユニット(オプション:2220C301).....................................................................36

    入射スリットボックス .......................................................................................................38 標準入射スリットボックス ...........................................................................................38 コリメータホルダー(オプション) ................................................................................40

    受光スリットボックス 1 ....................................................................................................44 標準受光スリットボックス 1.........................................................................................44

    受光光学ユニット 1 ..........................................................................................................47 受光光学素子アダプタ(ROD adaptor) .........................................................................47 2 結晶アナライザ(オプション) ...................................................................................50

    受光光学ユニット 2 ..........................................................................................................52 受光平行スリットアダプタ(RPS adaptor) ....................................................................52

    受光スリットボックス 2 ....................................................................................................55 標準受光スリットボックス 2.........................................................................................55

    アッテネータ ..................................................................................................................57 標準アッテネータ ......................................................................................................57

    ▒ 検出器.........................................................................................................59 カウンタアダプタ ............................................................................................................59 シンチレーションカウンタ .................................................................................................61 Cu用カウンタモノクロメータユニット(DBM unit:2726H112) ...............................................63 D/teX Ultra(オプション:5741A300)...............................................................................66 Cu用カウンタモノクロメータユニット(D/teX Ultra用オプション:2726P101) ............................68 PILATUS(オプション:5742A101) ..................................................................................70

    ▒ アタッチメント .............................................................................................71

    ▒ 試料板.........................................................................................................73 ウェーハ試料板と試料厚調整板 ............................................................................................73

    試料厚調整板の取付け・取外し......................................................................................76 ウェーハ試料板の取付け・取外し ...................................................................................77

    高さ基準試料板 ...............................................................................................................78 透過小角用試料板(オプション:2680J111).........................................................................78

    ▒ 試料ホルダー ................................................................................................79 ガラス試料ホルダー..........................................................................................................79 アルミ試料ホルダー..........................................................................................................79 透過法用試料ホルダー(オプション:2680J111) ...................................................................79

  • 目 次

    SmartLab 全自動多目的水平型 X 線回折装置 iii

    ▒ 付属品.........................................................................................................81

    ▒ 試料の取付け例 .............................................................................................83 ウェーハ状試料 ...............................................................................................................83 バルク試料 .....................................................................................................................84 粉末試料........................................................................................................................84 小角散乱測定用試料(透過型) ............................................................................................84

    ▒ 測定を行う ...................................................................................................85 測定の準備を行う ............................................................................................................85 装置構成を設定する..........................................................................................................85 パッケージ測定の選択方法 .................................................................................................86

    ▒ 定期メンテナンス...........................................................................................87 光学系のメンテナンス .......................................................................................................87 冷却水 ..........................................................................................................................88 冷却水用フィルター..........................................................................................................88 ターゲット(2080A201/2080A202) ................................................................................88 フィラメント(2080A201/2080A202) .............................................................................88 イオンゲージ(真空計)(2080A201/2080A202).................................................................88 ロータリーポンプ(2080A201/2080A202)........................................................................88

    ▒ トラブルシューティング ..................................................................................89

    OPERATEランプの動作について ...........................................................................90

    Cat. No. 2080A201/A202/B201/202 Manual No. MJ11571A01 2010.2(初版)

  • SmartLab 全自動多目的水平型 X 線回折装置 1

    ▒ 概 要 全自動多目的水平型 X 線回折装置 SmartLab(以下、SmartLab)は、試料水平配置のθ-θ型高精度ゴニオメー

    タを搭載した薄膜評価システムです。スリット(選択スリット)を交換するだけで、多結晶試料の測定を簡便に行

    うことができる集中法光学系、多結晶試料の高精度測定や薄膜試料の測定に適している多層膜ミラーを用いた平行

    ビーム光学系、ナノサイズの試料を測定する小角散乱光学系を切り換えて使用することができます。また、入射側

    に 2 結晶または 4 結晶モノクロメータ、受光側に 2 結晶アナライザを搭載した高分解能光学系を、ユニットを交

    換するだけで簡単に組み換えることができます。さらに、インプレーンアームの追加により、各種のインプレーン

    測定が可能になるなど、薄膜評価に必要なさまざまな測定に対応します。

    定性・定量

    粉末プロファイル解析配向度測定

    薄膜・膜厚測定

    膜厚測定逆格子マップ

    ロッキングカーブ

    粒径・空孔径分布

    微小領域

    配向度測定インプレーン測定

    CBOユニット 入射光学系 受光光学系

    SmartLab9kWシステム

    集中法

    平行ビーム

    小角散乱

    微小部

    4結晶モノクロメータ

    2結晶アナライザ

    2結晶アナライザ

    Niフィルタ

    カウンターモノクロメータ

    PSA

    PSA

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    ソーラスリット

    CBO-f ソーラスリット

    インプレーン光学系

    平行ビーム

    PSC

    2結晶モノクロメータ+

    PSC

    PSA

    PSA

    2結晶モノクロメータ+

    ソーラスリット

    D/teX Ultra

    SmartLab の構成と測定例

    本取扱説明書で取り扱う SmartLab は以下の 4 タイプです。

    ・2080A201 ロータタイプ

    ・2080A202 ロータタイプ、インプレーンアーム付

    ・2080B201 封入管タイプ

    ・2080B202 封入管タイプ、インプレーンアーム付

  • 特性 X 線 X 線は、真空中で非常に高速度の電子を作り、それを対陰極(ターゲット)に衝突させて発生させます。電子をターゲットに衝突させて得る X 線のスペクトルは、連続した分布を示す「連続 X 線(白色 X 線)」と、線状のスペクトルを示す「特性 X 線」の 2 種類に分類されます。

    0

    2000

    4000

    0 0.5 1 1.5 2

    波長(Å)

    強度

    特性X線

    連続X線

    αβ

    Cu ターゲットの X 線スペクトル

    特性 X 線の波長は、ターゲットの種類によって異なり、X 線回折には、通常、表に示す数種類の金属の Kα線が用いられます。Kα線には、波長が非常に近接した Kα1 線および Kα2 線が含まれています。定性分析などの目的で行われる通常の粉末試料の測定ではあまり問題にはなりませんが、粉末試料を用いた結晶構造解析のための測定や、薄膜試料を用いた

    より精密な測定では、Kα1 線のみを用いて測定を行うほうが良い結果が得られる場合があります。近年、多層膜ミラーと、Ge や Si のモノクロメータ結晶を入射光学系に導入することにより、Kα1 線のみを用いて測定を行うことができるようになりました。

    表 特性 X 線の波長

    ターゲット 波長(Å)

    元素 原子番号 Kα2 Kα1 Kβ

    Cr 24 2.294 2.290 2.085

    Fe 26 1.940 1.936 1.757

    Co 27 1.793 1.789 1.621

    Cu 29 1.544 1.541 1.392

    Mo 42 0.7135 0.7093 0.6323

    Ag 47 0.5638 0.5594 0.4970

    W 74 0.2138 0.2090 0.1844

  • 試料水平配置型のθ-θ型ゴニオメータ

    SmartLab 全自動多目的水平型 X 線回折装置 3

    ▒ 特 長 試料水平配置型のθ-θ型ゴニオメータ

    θ-θ型ゴニオメータの採用により、試料を水平に保持したまま(試料の方位調整を行った場合には水平でない

    こともあります)、ωスキャン、2θ/ωスキャン、2θスキャンを行うことができます。試料を水平に置くこと

    で、大型ウェーハなどの試料では、自重による歪の影響を最小限にすることができるだけでなく、試料の落下に

    対する危険性も少なくなります。

    また、2 つの主軸には、軸エンコーダを搭載しており、それぞれ 0.0001°の分解能による制御が可能です。

    アタッチメント

    エリアマップ測定を行うための XY アタッチメントや、インプレーン測定や逆格子マップ測定の前に行う試料方

    位調整のための RxRy アタッチメントなどを搭載することができます。各種アタッチメントは、新開発のコネ

    クタの採用により、容易に交換することができます。

    X 線発生装置

    X 線源が移動する試料水平配置型ゴニオメータでありながら、世界最高水準の高強度 X 線発生装置を搭載する

    ことができます。高輝度焦点の採用により、多層膜ミラーと組み合わせて使用した場合は、回転対陰極式 18 kW

    X 線発生装置の 50%の出力で同等の強度(封入管式と比較して約 6~7 倍の強度)が得られます。また、ラン

    ニングコストの削減にもつながります(当社比)。また、封入管式管球(3 kW)も SmartLab ゴニオメータに

    組み合わせて使用できます。主な仕様は、以下のとおりです。

    表 1 X 線発生装置の仕様

    最大出力 最大管電圧 最大管電流 ターゲット金属

    回転対陰極式*1 9 kW 45 kV 200 mA Cu

    封入管式*2 3 kW 60 kV 50 mA Cu

    *1:2080A201/2080A202 *2:2080B201/2080B202

    クロスビームオプティクス(CBO)

    選択スリットを交換するだけで、強度を優先する集中法光学系(Bragg-Brentano 光学系)用のダイレクトビ

    ームと、多層膜ミラーを用いた平行ビームを、簡単に切り換えて測定することができます。集中法光学系は、主

    に粉末試料の定性・定量分析用の測定で使用されます。平行ビーム光学系は、粉末試料のプロファイル解析や配

    向度測定、薄膜試料の測定、逆格子マップ測定およびロッキングカーブ測定などで使用されます。また、選択ス

    リットを交換することによって、ナノ材料評価用の小角散乱光学系、微小領域の分析用の光学系に切り換えるこ

    ともできます。

  • ▒ 特 長

    4 SmartLab 全自動多目的水平型 X 線回折装置

    結晶の調整機構(モノクロメータおよびアナライザ)

    測定に必要な分解能に応じて、結晶の指数や種類を選択することができます。2 結晶モノクロメータ、4 結晶モ

    ノクロメータおよび 2 結晶アナライザには、調整機構が内蔵されているため、制御ソフトウェア(以下、

    「SmartLab Guidance」)により、自動で調整を行うことができます。結晶の調整位置は、ユニットを取り外

    した後も保持されるので、一度調整された結晶は、ユニットを取り付けるだけで(調整を行わずに)、データ測

    定を行うことができます。

    受光アナライザシステム

    受光スリットボックス 2 には、スリット位置の移動機構が搭載されているため、以下の受光アナライザシステ

    ムを、簡単な部品交換および SmartLab Guidance による自動調整で切り換えることができます。

    ・ 受光側の 2 つの可変スリットによるダブルスリットアナライザ

    粉末集中法、小角散乱、反射率測定など

    ・ 平行スリットアナライザ

    平行ビーム光学系を使用した�