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1 / 42 2013 年度 AOP 中間研究報告書 2014 3 17 くさび形弾性体の波動伝播に関する研究 振動板型船舶推進機構の開発における SPH 法の有効性検証 流石雅 山梨大学工学部機械システム工学科 4 堀井宏祐 山梨大学工学部情報メカトロニクス工学科 助教 1.緒言 本研究では振動板型船舶推進機構において,振動板の形状と推進力の関係を検証するた めに,Smoothed Particle Hydrodynamics (SPH) 法を用いて,弾性平板の波動伝播モデル の構築を試みる. 現在,船舶推進機構として一般的に利用されているのがスクリュープロペラ型推進機構 である.この機構は,翼断面が大きければ推進力が増大するという特徴がある.しかし, 従来のスクリュープロペラ型推進機構において,キャビテーション( 空洞化現象 )と水中ノ イズの問題が深刻であった.一方,水棲生物の遊泳を見ると,自由自在に推進しているの がわかる.この点に着目し,水棲生物の遊泳を推進機構に取り入れようとする研究が近年 数多く行われている.特に,アカエイやヒラメ,イカなどの柔軟なヒレの波動運動による 推進を対象とした研究も数多く行われている.⁽¹⁾⁽⁾⁽¹⁶前段でも述べたが,柔軟なヒレの動きを推進機構に適用しようという研究は数多くある. それらは大きく 2 つに分類できる. 1 つは強制駆動型推進機構,もう 1 つは振動板型推進機 構である.強制駆動型とは,ヒレの骨 1 1 本にアクチュエータを搭載した機構で,これ によりヒレの接合部に位相差を与えることができ,容易に推進力を生成することができる. この機構を搭載したモデルに「イカロボット」があり,すでに遊泳の様子が確認され,多 くの実績を挙げている.しかし,この機構は複雑で,アクチュエータを多数使用している ため故障率が高くなるという欠点がある.それとは対照的に,振動板型推進機構は少数の アクチュエータで推進力が得られるという利点がある.また,機構が単純なため故障があ まり起こらない.現状での課題は,強制駆動型推進機構ほどの推進力がまだ得られていな いことである. 振動板型船舶推進機構における振動板の形状を検証する研究には,実機を用いてのアプ ローチと数値解析によるアプローチの 2 種類がある.実機を用いた研究では,Krylov ら⁽²⁾が,駆動端が自由端に比べて厚みのあるくさび形状の振動板を作成し,これによる推進 機構を開発した.この研究によって,くさび形状の振動板は,厚みのある駆動端から曲げ 波を伝播させることで,自由端に向けて位相速度が低下し,振幅が増大するという特徴を 持つことが明らかになった.解析によるアプローチでは,吉田ら⁽⁾が有限要素法を用いて

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2013 年度 AOP 中間研究報告書

2014 年 3 月 17 日

くさび形弾性体の波動伝播に関する研究

― 振動板型船舶推進機構の開発における SPH 法の有効性検証 ―

流石雅 山梨大学工学部機械システム工学科 4 年

堀井宏祐 山梨大学工学部情報メカトロニクス工学科 助教

1.緒言

本研究では振動板型船舶推進機構において,振動板の形状と推進力の関係を検証するた

めに,Smoothed Particle Hydrodynamics (SPH) 法を用いて,弾性平板の波動伝播モデル

の構築を試みる.

現在,船舶推進機構として一般的に利用されているのがスクリュープロペラ型推進機構

である.この機構は,翼断面が大きければ推進力が増大するという特徴がある.しかし,

従来のスクリュープロペラ型推進機構において,キャビテーション( 空洞化現象 )と水中ノ

イズの問題が深刻であった.一方,水棲生物の遊泳を見ると,自由自在に推進しているの

がわかる.この点に着目し,水棲生物の遊泳を推進機構に取り入れようとする研究が近年

数多く行われている.特に,アカエイやヒラメ,イカなどの柔軟なヒレの波動運動による

推進を対象とした研究も数多く行われている.⁽¹⁾⁽⁷⁾⁽¹⁶⁾

前段でも述べたが,柔軟なヒレの動きを推進機構に適用しようという研究は数多くある.

それらは大きく 2 つに分類できる.1 つは強制駆動型推進機構,もう 1 つは振動板型推進機

構である.強制駆動型とは,ヒレの骨 1 本 1 本にアクチュエータを搭載した機構で,これ

によりヒレの接合部に位相差を与えることができ,容易に推進力を生成することができる.

この機構を搭載したモデルに「イカロボット」があり,すでに遊泳の様子が確認され,多

くの実績を挙げている.しかし,この機構は複雑で,アクチュエータを多数使用している

ため故障率が高くなるという欠点がある.それとは対照的に,振動板型推進機構は少数の

アクチュエータで推進力が得られるという利点がある.また,機構が単純なため故障があ

まり起こらない.現状での課題は,強制駆動型推進機構ほどの推進力がまだ得られていな

いことである.

振動板型船舶推進機構における振動板の形状を検証する研究には,実機を用いてのアプ

ローチと数値解析によるアプローチの 2 種類がある.実機を用いた研究では,Krylov ら⁽²⁾

⁽⁵⁾が,駆動端が自由端に比べて厚みのあるくさび形状の振動板を作成し,これによる推進

機構を開発した.この研究によって,くさび形状の振動板は,厚みのある駆動端から曲げ

波を伝播させることで,自由端に向けて位相速度が低下し,振幅が増大するという特徴を

持つことが明らかになった.解析によるアプローチでは,吉田ら⁽⁶⁾が有限要素法を用いて

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振動板形状の検証を行っているが,薄い振動板を流体‐構造連成解析にかけると,流体力

の影響が顕著に現れるためメッシュの形状が維持できず,計算が破綻するという報告を受

けている.

本論では,先行研究における有限要素法のメッシュ破綻の問題をカバーするため,粒子

法の一種である SPH 法を用いた数値解析を試みる.まず SPH 法の有効性を検証するため,

振動板上に生成される曲げ波の伝播速度による有限要素法との比較を行う.次に,SPH 法

が流体‐構造連成解析に適用可能かを検証する.さらに,ポリウレタンを振動板に適用す

ることを想定した場合,流体‐構造連成解析が可能であるかを検証する.振動板形状の検

証については,数種類のくさび形状の振動板を用意し,それに振動を与えることで振動板

上に生成される曲げ波が推進力を得られる波形であるかを確認する.なお,SPH 解析モデ

ルと有限要素解析モデルは Altair RADIOSS を用いて構築する.

2.研究背景

波動運動を利用した水棲生物の遊泳を模倣した船舶推進機構に関する研究を進めるにあ

たって,これまでに行われてきた推進機構に関する研究について記載する.

2.1 スクリュープロペラ型船舶推進機構

現在,船舶推進機構として一般的に利用されているのが,スクリュープロペラを用いた推

進機構である.このスクリュープロペラの翼断面に着目すると,飛行機の翼と同じように進

行方向に対して上方に膨らんだ形状になっている.船舶においては,この翼面積が大きいほ

ど,大きな推進力を得ることができる.しかし,従来のスクリュープロペラ型推進機構にお

いて,キャビテーション(空洞化現象)と水中ノイズの問題が深刻であった.また,キャビテ

ーションに伴う気泡の破裂(エロージョン)はプロペラ翼の疲労破壊をもたらし,その使用可

能寿命を短くする恐れがある.

Fig. 1 & 2 Picture of the screw propeller propulsion

(Quote from MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES, http://www.mhi.co.jp/)

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2.2 水棲生物の遊泳を模倣した船舶推進機構

スクリュープロペラ型船舶推進機構の問題を解決するため,水棲生物の遊泳を推進機構

に適用しようとする研究が1960年代から始まった.参考にしたものは,アカエイやヒラメ,

イカといった柔軟なヒレを波動運動させて推進力を得ている水棲生物であった.魚体その

ものの形状を模したモデルや,水棲生物の遊泳を再現した推進機構を搭載する船舶モデル

など数多くの実機が構築され,それに関する研究が行われてきた.それらの研究は,主に

強制駆動型と振動板型の 2 種類の船舶推進機構に分けられる.

2.3 強制駆動型船舶推進機構

強制駆動型船舶推進機構は,ヒレの骨 1 本 1本にアクチュエータを搭載した機構である.

これにより,魚体の遊泳を忠実に再現できるだけでなく,容易に各アクチュエータに任意

の位相差を与えることができるため,思いのままの推進力を得ることができる.しかし,

数多くのアクチュエータを用いて推進するため,構造および制御が複雑になってしまう.

そのため,故障率が高くなってしまう.この推進機構を適用したのが大阪大学,戸田研究

室で開発された船舶モデル「イカロボット」であり,実際に遊泳している様子も確認され

ている.

Fig. 3 Squid Robot of Toda laboratory of Osaka University

(Quote from http://www.naoe.eng.osaka-u.ac.jp/ikarobot/ )

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2.4 弾性平板型船舶推進機構

弾性平板の波動運動を利用した弾性平板型船舶推進機構の研究は,Hertel ら⁽³⁾の

TUB-TUB 号に始まったとされている.また,Botman ら⁽⁴⁾は,弾性平板による船舶推進機

構を搭載した双胴船モデルを構築し,その推進可能性を検証した.国内では,渡辺ら⁽⁹⁾に

よって弾性平板を利用した船舶推進機構の研究がなされている.この研究の中で,弾性平

板の駆動端から自由端に進行波を送り続けると,境界での反射波により平板上に定在波が

発生し,推進力が低下してしまうことが報告されている.その反射波の影響を克服するた

めに,久田ら⁽¹⁴⁾は能動インピーダンス整合を適用し,純粋進行波の生成に成功している.

これにより,厚みが一様な弾性平板においても推進力を得ることができる.しかし,弾性

平板型は強制駆動型に比べて十分な推進力が得られていないのが現状である.次項で弾性

平板型船舶推進機構における課題点およびその解決策について示していく.

Fig. 4 Propulsion mechanism for under water vehicle and fish robot

( Quote from http://www.agnes.aoyama.ac.jp/me/lab/watanabe.html )

2.4.1 弾性平板型船舶推進機構の課題およびその解決方法

弾性平板型船舶推進機構のように進行波を利用する推進機構において推進力を得るには,

2.4節でも示したように定在波の抑制が挙げられる.その他にも推進機構の推進力向上には,

振動板を伝播する波の振幅も大きく関わってくる.波形が一定振幅の場合および振幅増大

の場合に生じる慣性力を図 5 に示す.それぞれの図で①は波のピーク前,②は波のピーク

後の慣性力の平行成分を示している.一定振幅の場合,①=②であるので,慣性力の前向

き成分は後向き成分に打ち消されてしまう.それに対して,振幅増大の場合,①>②とな

るので,より多くの前進方向成分を得られる.

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( a ) Constant amplitude

( b ) Increased amplitude

Fig. 5 Inertial force due to wave motion

2.4.2 くさび形状の振動板型船舶推進機構

厚みが一様な弾性平板型船舶推進機構において,定在波による振幅減少が問題となって

いる.これは境界での反射波によるものである.したがって,駆動開始時の推進力に比べ

て,ある一定時間経過した推進力を比較すると定在波の影響を受けるため,推進力が低下

する.弾性平板型船舶推進機構の推進力を向上させる方法として,振幅を徐々に増加させ

る手法がある.その現象を生み出す振動板形状が「くさび形状」である.くさび形状の振

動板で厚みのある駆動端から薄くなる自由端に向けて進行波を送ると,波の振幅が自由端

に近づくにつれ増加し,位相速度は減少することが確認されている.また,くさび形状の

ようにあるクラスの滑らかな変化では,伝播中に反射波が発生しないことも確認されてい

前進方向 慣性力の

前向き成分

流体の慣性力

② 慣性力の

後向き成分

流体の慣性力

流体の

加速運動

流体の

減速運動

波動の進行方向

互いに消し合う

前進方向 慣性力の

前向き成分

流体の慣性力

慣性力の

後向き成分

流体の慣性力

流体の

加速運動

流体の

減速運動

波動の進行方向

前向きが勝つ

② ①

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る.⁽¹⁰⁾2.4.1 項で示したように,波動の進行方向にしたがって振幅が増大すると,より多

くの前進方向成分が得られる.

3.理論

3.1 駆動理論

有限長の弾性平板において,一端を励振させることで曲げ波を生成できる.ここでは,

梁や弦といったものの波動解法を導く手法を示す.

3.1.1 符号規約・波動解析用基本モデル

本理論を展開するにあたり,定義する符号規約を示す.図 6 にせん断力,図 7 に曲げモ

ーメントの符号規約を示す.これ以降の波動解法の導出はこれらの符号規約に従うことと

する.また,図 8 には,厚さ一定の一様梁 𝑥 = 0 の位置に正弦波状励振力が作用する時の

基本モデルを示す.本論文では,左端を駆動端とする.

Positive Negative

Fig. 6 Sign of shearing stress

Positive Negative

Fig. 7 Sign of bending stress

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Fig. 8 Basic model for wave analysis

3.1.2 梁の運動方程式

梁の横方向変位を 𝑊(𝑥, 𝑡) と表す場合の微小部位の運動方程式は次式のように表せる.

𝜌𝐴𝜕2𝑊(𝑥, 𝑡)

𝜕𝑡2= −

𝜕2

𝜕𝑡2[𝐸𝐼

𝜕2𝑊(𝑥, 𝑡)

𝜕𝑥2] ( 1 )

ここで,𝜌𝐴 は線密度,𝐸𝐼 は剛性率を示す.式( 1 )は進行波解を持つことから波動方程式と

も呼ばれる.この運動の一般解は次式のように表せる.

𝑊(𝑥, 𝑡) = 𝑎𝑒−𝑗(𝜔𝑡−𝑘𝑥) + 𝑏𝑒𝑗(𝜔𝑡+𝑘𝑥) + 𝑎𝑁𝑒𝑗𝜔𝑡−𝑘𝑥 + 𝑏𝑁𝑒

𝑗𝜔𝑡+𝑘𝑥

= 𝑤(𝑥, 𝑡)𝑒𝑗𝜔𝑡 ( 2 )

∵ 𝑤(𝑥, 𝑡) = 𝑎𝑒−𝑗𝑘𝑥 + 𝑏𝑒𝑗𝑘𝑥 + 𝑎𝑁𝑒−𝑘𝑥 + 𝑏𝑁𝑒

𝑘𝑥

ここで,𝑎 は正方向(進行方向)の複素振幅,𝑏 は負方向(後退方向)の複素振幅を示す.また,

𝑎𝑁 は境界付近に存在する進行方向近接波,𝑏𝑁 は境界付近に存在する後退方向近接波であ

る.

波数( Wave Number ) 𝑘 は次式のように表せる.

𝑘 = √𝜌𝐴

𝐸𝐼

4

∙ √𝜔 ( 3 )

また,この 𝑤(𝑥) は,梁のたわみに対し,たわみ角 𝜃(𝑥),曲げモーメント 𝑀(𝑥),せん

断力 𝐹(𝑥) を求めることができる.

𝜃(𝑥) =𝑑𝑤(𝑥)

𝑑𝑥= −𝑗𝑘 ∙ 𝑎𝑒−𝑗𝑘𝑥 + 𝑗𝑘 ∙ 𝑏𝑒𝑗𝑘𝑥 + (−𝑘) ∙ 𝑎𝑁𝑒

−𝑘𝑥 + 𝑘 ∙ 𝑏𝑁𝑒𝑘𝑥 ( 4 )

𝑀(𝑥) = 𝐸𝐼𝑑2𝑤(𝑥)

𝑑𝑥2= 𝐸𝐼(−𝑘2 ∙ 𝑎𝑒−𝑗𝑘𝑥 + (−𝑘2) ∙ 𝑏𝑒𝑗𝑘𝑥 + 𝑘2 ∙ 𝑎𝑁𝑒

−𝑘𝑥 + 𝑘2𝑏𝑁𝑒𝑘𝑥) ( 5 )

𝐹(𝑥) = −𝐸𝐼𝑑3𝑤(𝑥)

𝑑𝑥3

= −𝐸𝐼(𝑗𝑘3 ∙ 𝑎𝑒−𝑗𝑘𝑥 + (−𝑗𝑘3) ∙ 𝑏𝑒𝑗𝑘𝑥 + (−𝑘3) ∙ 𝑎𝑁𝑒−𝑘𝑥 + 𝑘3𝑏𝑁𝑒

𝑘𝑥) ( 6 )

𝑥 = 0 𝑥 = 𝐿

𝐹𝑒𝑗𝜔𝑡

𝑀𝑒𝑗𝜔𝑡

𝑥

𝑤

𝒂

𝒃

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3.1.3 波動振幅ベクトル・伝播行列

本論文では,前進波動ベクトル 𝒂,後退波動ベクトル 𝒃 を次式のように定義する.

𝒂 = { 𝑎𝑎𝑁 } ( 7 )

𝒃 = { 𝑏𝑏𝑁 } ( 8 )

このとき,位置 𝑥 での波動振幅は次式となる.

{𝒂(𝑥)

𝒃(𝑥)} = [

G𝑎(𝑥) 𝚶

𝚶 G𝑏(𝑥)

] ( 9 )

ここで,G𝑎(𝑥),G

𝑏(𝑥)は伝播行列であり,次式で表される.

G𝑎(𝑥) = [𝑒

−𝑗𝑘𝑥 00 𝑒−𝑘𝑥

] ( 10 )

G𝑏(𝑥) = [𝑒

𝑗𝑘𝑥 00 𝑒𝑘𝑥

] ( 11 )

いま,変位 𝑤(𝑥),たわみ角 𝜃(𝑥) をまとめることで一般化変位ベクトルが求まる.

𝒘(𝑥) = { 𝑤(𝑥)

𝜕𝑤(𝑥)𝜕𝑥⁄

} = [1 1−𝑗𝑘 −𝑘

]𝒂(𝑥) + [1 1𝑗𝑘 𝑘

]𝒃(𝑥)

= 𝚿𝑎𝒂(𝑥) + 𝚿𝑏𝒃(𝑥) ( 12 )

3.2 振動板上に生成される曲げ波の伝播速度の導出理論

本論では,SPH 法の有効性を検証するために,振動板上に生成される曲げ波の伝播速度

を用いて SPH 法と有限要素法の比較をする.伝播速度の計測過程において定量的および定

性的検討を行う.また,本論で扱う推進機構は水中で使用するため,導出する伝播速度も

水の付加質量効果を含んだものでなくてはならない.3.2.2 項では,水の付加質量効果を考

慮した伝播速度の導出理論を示す.

3.2.1 理想気体中における伝播速度の導出理論

Euler-Bernoulli 梁の仮定の下で,曲げ波の速度 𝑣𝐵 は周波数依存関数となり,次式のよう

に表せる.

𝑣𝐵(𝜔) = √𝐸𝐼

𝜌𝐴

4

√𝜔 ( 13 )

ここで,𝐸 はヤング率,𝐼 は断面二次モーメント,𝜌 は単位体積質量,𝐴 は梁の断面積,𝜔 は

周波数を示す.

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本論では,長方形断面の梁を使用している.その梁上を伝播する曲げ波の速度を求める.

梁の幅を 𝑏 ,厚さを ℎ で表すと,断面二次モーメント 𝐼 と断面積 𝐴 は次式で表せる.

𝐼 =𝑏ℎ3

12 ( 14 )

𝐴 = 𝑏ℎ ( 15 )

したがって,曲げ波の伝播速度は次式のように変形できる.

𝑣𝐵(𝜔) = √𝐸

𝜌

𝑏ℎ3

12

1

𝑏ℎ

4

∙ √𝜔

= √𝐸

12𝜌

4

∙ √ℎ ∙ √𝜔 ( 16 )

式( 16 )より,長方形断面における梁の曲げ伝播速度は,梁の厚さの平方根に比例する,周

波数の平方根に依存する,という特徴を持つことがわかる.また,式( 16 )の定数項をまと

めると次式のように表せる.

𝑣𝐵(𝜔) = 𝛼√𝜔 ( 17 )

∵ 𝛼 = √𝐸

12𝜌

4

∙ √ℎ

3.2.2 水中における伝播速度の導出理論

式( 16 )は理想気体中における理論式であり,水中では水の付加質量効果を考慮する必要

がある.水中において,弾性平板に単位長さ当たりに水が付加する質量を 𝜌𝑤 とする.式

( 16 )にこの効果を適用すると次式のように表せる.

𝑣𝐵(𝜔) = √𝐸

12(𝜌 + 𝜌𝑤)

4

∙ √ℎ ∙ √𝜔 ( 18 )

理想気体中における伝播速度と同様に,式( 18 )の定数項をまとめる.まとめたものは次式

のように表せる.

𝑣𝐵(𝜔) = 𝛽√𝜔 ( 19 )

∵ 𝛽 = √𝐸

12(𝜌 + 𝜌𝑤)

4

∙ √ℎ

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3.3 SPH 法

本論では,流体と構造の連成解析に Smoothed Particle Hydrodynamics ( SPH ) 法 (以下,

SPH 法)を適用して数値解析を行った.その理論を記述する.

3.3.1 SPH 法の概要

SPH 法は,粒子法の代表的手法のひとつである.この方法において粒子の物理量は,粒

子の位置に Kernel 関数を組み込んで重ね合わせることで表現される.この粒子はランダム

に分布し,時間発展に伴って移動する.SPH 法は宇宙物理学におけるシミュレーションの

ために開発された解析手法であるが,近年では液体の自由表面流れのような非圧縮性流れ

や固体力学の問題にも応用され,その適用性が確認され,適用範囲を広げつつある.

3.3.2 Kernel 近似

SPH 法は,物体を有限個の粒子と呼ばれる要素に分け,その任意の集合を用いて近似を

行うアルゴリズムを持つ.この方法の基礎概念は式( 20 )の Kernel 変換式にある.

𝑓(𝑥) = ∫𝑓(𝑥′) 𝛿(𝑥 − 𝑥′)𝑑𝑥′ ( 20 )

ここで,𝑓 は三次元位置ベクトルの関数,𝑑𝑥′ は体積,𝛿(𝑥 − 𝑥′) はデルタ関数を表す.こ

のデルタ関数をある領域を持った任意の重み関数 𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) に置き換えると,次式のよ

うになる.

𝑓(𝑥) ≈ ∫𝑓(𝑥′)𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟)𝑑𝑥′ ( 21 )

式( 21 )の右辺は,ある物理量 𝑓(𝑥) を重み関数によって平均化した Kernel 評価となる.こ

の平均化を Smoothing と呼ぶ.これは SPH 法における最も重要な概念である.

図 9 に Smoothing 化の概念図を示す.まず,ある物理量において重み関数を用いて重ね

合わせ,次にこれを滑らかに分布させることで得られる.この操作により,粒子の持つ物

理量は連続体の物理量に置き換えられる.つまり,粒子という,単独のモデルから連続体

モデルへと Smoothing 化される.したがって,SPH 法で扱われるモデルは,連続体モデル

となる.ここで注意すべきは,粒子はあくまで Smoothing のための評価位置を示すだけの

存在になることである.

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Fig. 9 Superposition method by Kernel

連続体を粒子場へ離散化したモデルにおいて,ある粒子 𝑖 は,長さ 𝑟 以内に存在する他

の粒子 𝑗 による作用を受ける.この距離 𝑟 のことを影響半径と呼ぶ.上述したように粒子

は,物理量を評価する点であり,有限要素法における節点と積分点の両方の役割を持った

ものに近い.ここで,𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) は影響半径の内部に存在する多くの評価点の重み付けを

行う関数であり,次のような性質を持たなければならない.

a.Kernel 関数の極限がデルタ関数であること

𝑙𝑖𝑚ℎ→0

𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) = 𝛿(𝑥 − 𝑥′) ( 22 )

b.規格化されていること

∫𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) = 1 ( 23 )

c.影響半径の範囲外で 0 になるコンパクト化ができること

𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) = 0 𝑓𝑜𝑟 |𝑥| ≥ 𝑟 ( 24 )

3.3.3 SPH 法の離散化方法

一般の偏微分方程式に含まれる一階の空間微分は,式( 21 )の 𝑓(𝑥) を 𝛻 ∙ 𝑓(𝑥) を用いて

置換することで得られる.

𝛻 ∙ 𝑓(𝑥) ≈ ∫𝛻 ∙ 𝑓(𝑥′)𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟)𝑑𝑥′ ( 25 )

上式右辺の積分中の発散を部分積分すると,

𝛻 ∙ 𝑓(𝑥′)𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) = 𝛻 ∙ (𝑓(𝑥′)𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟)) − 𝑓(𝑥′) ∙ 𝛻𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) ( 26 )

であるから,𝛻 ∙ 𝑓(𝑥) は式( 27 )のように表せる.

𝛻 ∙ 𝑓(𝑥) ≈ ∫𝛻 ∙ (𝑓(𝑥′)𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟))𝑑𝑥′ −∫𝑓(𝑥′) ∙ 𝛻𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟)𝑑𝑥′ ( 27 )

Kernel

𝜑𝑖−1

𝜑𝑖

𝜑𝑖+1

⟨𝜑⟩

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divergence の定理より,式( 27 )の右辺第一項は次式の境界積分に変形可能である.

∫𝛻 ∙ (𝑓(𝑥′)𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟))𝑑𝑥′ = ∫ 𝑓(𝑥′)𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟) ∙ �̂�𝑑𝑆𝑆

( 28 )

𝑊(𝑥 − 𝑥′, ℎ) = 0 であるから,式( 27 )は,次式にて表すことができる.

𝛻 ∙ 𝑓(𝑥) ≈ −∫𝑓(𝑥′) ∙ 𝛻𝑊(𝑥 − 𝑥′, 𝑟)𝑑𝑥′ ( 29 )

ここで,評価する物質量を持つ主体として,連続体を十分細かくした物質素片である粒

子を考え,次式のような操作を行う.

∫𝜙(𝑥′)𝑑𝑥′ = ∫(𝜙(𝑥′)

𝜌)𝜌𝑑𝑥′ ( 30 )

𝜌𝑑𝑥′ は物質素片より作られる体積だと仮定する.したがって,左辺の積分は内挿点(粒子)

における要素成分の有限個の値を合計して近似できる.

∫𝜙(𝑥′)𝑑𝑥′ =∑𝜙(𝑥𝐽)

𝜌𝐽

𝑁

𝐽=1

𝑚𝐽 ( 31 )

ここで,上付きの指数は内挿点 𝑗 での数値であり,内挿点の個数である 𝑁 個の和を考え

る.この関係式を用いて,式( 21 )を変形すると,以下のように離散化される.

𝑓(𝑥) ≈∑𝑚𝐽

𝜌𝐽𝑓(𝑥𝐽)𝑊(𝑥 − 𝑥𝐽, 𝑟)

𝑁

𝐽=1

( 32 )

また,微分形は式( 29 )を変形することで以下のように離散化される.

𝛻 ∙ 𝑓(𝑥) ≈ −∑𝑚𝐽

𝜌𝐽𝑓(𝑥𝐽) ∙ 𝛻𝑊(𝑥 − 𝑥𝐽, 𝑟)

𝑁

𝐽=1

( 33 )

式( 32 ),( 33 )を「SPH 法の離散化」と呼ぶことが多い.ここで 𝑚,𝜌 はそれぞれ質量,密

度を表す.

3.3.4 Kernel 関数

SPH 法では重み関数を Kernel 近似に従い,ある影響半径 ℎ の内部にある複数の粒子位置

の物質量を中心位置の評価点に内挿する.よって,この手法における精度は重み関数の精

度に大きく依存する.今回の解析では,Kernel 関数として式( 34 )で示される Spline 関数を

使用する.

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𝑊 =

{

𝐶

ℎ𝐷[1 −

3

2𝑧2 +

3

4𝑧3] 𝑧 < 1

𝐶

4ℎ𝐷[2 − 𝑧]3 1 ≤ 𝑧 ≤ 1

0 𝑧 ≥ 2

( 34 )

ここで 𝑧 は次式のような代表長さである.

𝑧 =|𝑥 − 𝑥′|

𝑟 ( 35 )

𝐷 は問題の次元を表し,定数 𝐶 は次のように与えられる.

𝐶 =

{

2

3 𝐷 = 1

10

7𝜋 𝐷 = 2

1

𝜋 𝐷 = 3

( 36 )

4.数値解析

先行研究では,有限要素法を用いた振動板形状の検証が行われてきたが,流体‐構造連

成解析におけるメッシュの変形による計算の破綻が問題となっていた.そこで,メッシュ

の変形を考慮しない SPH 法を導入し,この問題を解決しようと試みた.この SPH 法を本研

究の数値解析アプローチの手法として導入する前に,解析精度や流体‐構造連成解析に適

用可能かを検証する必要がある.本章では,まず有限要素法の流体‐構造連成解析に適用

可能な仮想的材料を選定し,その材料特性を用いた SPH 法と有限要素法の比較を行った.

次に,ポリウレタンを振動板に適用することを想定した場合の比較を試みた.ここで扱う

ポリウレタンは硬度約 80 度とした.有限要素法での流体‐構造連成解析は実行不可能なの

で,SPH 法のみの検証をした.具体的には,理想気体中の有限要素法と SPH 法の解析結果

を比較し,SPH 法において流体力の影響が確認できるかを検証した.さらに,SPH 法の有

効性検証後,振動板の最適形状を検証した.今回は,くさび形振動板における曲げ波がKrylov

らによって検証された,駆動端から薄くなる自由端に向けて進行波を送ると,波の振幅が

自由端に近づくにつれ増加し,また位相速度は減少することに従うかを確認した.

なお,SPH 解析モデルと有限要素解析モデルは Altair RADIOSS を用いて構築した.

4.1 SPH 法の有効性検証(仮想的材料による検証)

SPH 法の特徴として,自由表面流れや大変形を伴う解析を可能とすることが挙げられる.

しかし,SPH 法を適用する事例によっては解析精度について十分に検討されていないのが

14 / 42

現状である.本論では,SPH 法の有効性検証として,振動板上に生成される曲げ波の伝播

速度を用いた.伝播速度の計測およびその過程で得られる近似曲線より定性的評価,その

近似曲線から得られる定数より定量的評価を行い,これを SPH 法の有効性検証とした.

先行研究において,有限要素法を利用して,振動板型船舶推進機構の振動板形状に関す

る数値解析が行われてきた.しかし,水中で柔軟性のある薄い振動板に振動を与えると振

動板への流体力の影響が増大し,メッシュが潰れ,計算が破綻することが報告されている.

そのため,流体‐構造連成解析の実行には仮想的に材料密度を大きく取るような手法でし

か振動板形状の検証が行われなかった.SPH 法の有効性を検証するにあたって,理論値と

の比較は勿論,他の解析手法との比較が重要になると考えた.そこで,まずは材料密度お

よびヤング率を調整した仮想的材料による SPH 法の有効性検証を試みた.

4.1.1 振動板モデル

SPH 法の有効性を検証するために使用した振動板モデルを図 10 に示す.また,4.2 節で

のポリウレタンを用いた SPH 法の検証にもこの振動板モデルを適用した.寸法は体長

400mm,幅 5.0mm,厚さ 3.6mm である.また,左端を駆動端とする.

Fig. 10 Structure of Uniform-beam

4.1.2 仮想的材料の特性

振動板モデルに適用した仮想的材料の特性について記述する.その材料特性を表 1 に示

す.現実にある材料で有限要素法を用いて,流体‐構造連成解析が実行可能となるものは

なかった.そこで,仮想的に材料特性を調整し,有限要素法でも流体‐構造連成解析が可

能となる条件を作り出し,SPH 法との比較を試みた.

Table 1 Property of temporary material

Material law Linear elastic body

Young’s modulus [ GPa ] 1.0

Density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 105

Poisson’s ratio 0.35

波動進行方向 3.6

mm

400mm 5.0mm

駆動端

15 / 42

4.1.3 流体‐構造連成解析

流体‐構造連成解析とは,流体力が構造の変形をもたらし,同時に変位・変形する構造

が流れ場に影響を及ぼすことを考慮する解析のことである.本論では,構造と流体が相互

に作用することを考慮して強連成を利用した.有限要素法では,構造の支配方程式と流体

の支配方程式を別々に解き,ひとつの計算ステップ内で反復計算を行う分離型反復解法(漸

近的強連成)を適用した.SPH 法には,両方の支配方程式を完全に連立して計算を行う一体

型解法(強連成)を適用した.

4.1.4 流体モデル

本解析では,流体モデルとして水を想定している.両解析で使用する流体モデルは表 2

の設定に基づく.それ以外の設定は各解析手法で異なるので,詳細は各解析手法の項で記

述することとする.

Table 2 Property of water

Governing equation Navier-Stokes equation

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 103

Eddy viscosity 1.0 × 10−4

4.1.5 理想気体中における伝播速度の理論値

SPH 法の有効性検証において,理想気体中の振動板上に生成される伝播速度の理論値を

算出しておく必要がある.長方形断面を持つ梁の曲げ伝播速度 𝑣𝐵(𝜔) は次式で表せる.

𝑣𝐵(𝜔) = √𝐸

12𝜌

4

∙ √ℎ ∙ √𝜔 ( 37 )

ここで,𝐸 はヤング率,𝜌 は密度,ℎ は梁の厚さ,𝜔 は周波数を示す.式( 37 )より,伝播

速度は周波数の平方根に依存していることがわかる.定数項をまとめると次式のようにな

る.

𝑣𝐵(𝜔) = 𝛼√𝜔 ( 38 )

∵ 𝛼 = √𝐸

12𝜌

4

∙ √ℎ

仮想的モデルに適用した数値を式( 37 )に代入すると,以下の式が得られる.この定数を

𝛼1 とし,仮想的材料を使用した定量的比較の対象とした.

𝑣𝐵(𝜔) = 0.3224√𝜔 ( 39 )

16 / 42

4.1.6 曲げ波の伝播速度による比較(有限要素法)

SPH 法の有効性を検証するため,伝播速度による理論値との比較を行った.本論では SPH

法を用いるが,他の解析手法と比較して解析精度について検証した.比較する解析手法は,

代表的解析手法として確立している有限要素法とした.有限要素法において作成した振動

板モデルの駆動端に 12~20Hz まで 2Hz 刻みの強制変位を与え,各周波数での曲げ波の伝

播速度を計測した.この駆動周波数は,ヒレを有する水棲生物の遊泳時のヒレを振る周波

数領域を取っている.曲げ波の伝播速度は,振動板の駆動端側で生成された波動が自由端

側に到達するまでの区間で測定した.振動板上に 80mm 間隔で測定点を設けた.モデル上

に設けた測定点の位置を図 11 に示す.例として,駆動端を 20Hz で加振した時の振動板上

に生成された曲げ波の様子を図 12 に示し,その測定手順を説明する.

A) 測定する周波数の正弦波状振動を振動板の駆動端に与える.

B) 曲げ波は左端(駆動端)から右端 (自由端)に伝播する.

C) 最初に生成される波の頂点(正)の極値が Point1 から Point6 まで伝播するのに要する時

間を計測する.

D) 各 Point のいずれかで自由端側の反射波が観測された場合,それ以前の Point で伝播に

要する時間を計測する.

E) Point1 から Point6 までの距離に対して,得られた時間で伝播速度を算出する.

F) 上記操作を各駆動周波数で実行する.

Fig. 11 Position of measurement point

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

17 / 42

Fig. 12 Transverse displacement at each measurement point

4.1.6.1 有限要素モデル

振動板および流体領域を有限要素モデルで構築した.振動板の解析モデルはほぼ大きさ

一定の要素で構成されている.要素数は 1280 である.振動板の有限要素モデルを図 13 に

示す.また,流体モデルは,全体領域100mm× 500mmで,21632 個の要素で構成されてい

る.解析時間のコストを抑えるため,変化の大きい構造体周りの要素を細かくし,構造体

から離れるにつれて要素のサイズを拡大した.要素のサイズは最大で10mm ,最小で5.0mm

とした.拡大率は 1.2 倍とした.流体領域の有限要素モデルを図 14 に示す.

Fig. 13 Finite element model of beam

-0.0025

-0.002

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0.002

0.0025

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

Point1 Point2 Point3 Point4 Point5

18 / 42

Fig.14 Finite element model of water

4.1.6.2 有限要素法を用いた理想気体中における伝播速度

有限要素法で先の手順に沿って,振動板上に生成される曲げ波の伝播速度を測定した.

12~20Hz の駆動周波数で,振動板上に曲げ波を生成した際の波動の伝播速度を図 15 に示

す.また,比較のため理想気体中における伝播速度の理論曲線も同グラフ内に示す.曲げ

波の伝播速度理論式( 38 )より,数式中の 𝛼 は定数であることがわかる.よって,式( 38 )

は √𝜔 のみが変数となり,有限要素法での測定により得られた値に対して最小自乗近似す

ることで定数 𝛼2 = 0.3322 を得た.

図 15 より,有限要素法での測定値がほぼ理論値に近い値を示していることがわかる.ま

た,伝播速度の理論式中の定数 𝛼1 = 0.3224 との相対誤差は 3.0%となった.

19 / 42

Fig. 15 Propagation velocity with temporary material in ideal gas by FEM

4.1.6.3 有限要素法による流体‐構造連成解析

有限要素法では,構造の支配方程式と流体の支配方程式を別々に解く分離型反復解法を

適用した.静止流体中で駆動端に 12~20Hz の駆動周波数を与え,振動板に生成される曲げ

波の伝播速度を測定した.図 16 に水中での伝播速度の測定値と理想気体中での伝播速度の

測定値を示す.

図 16 より,理想気体中と水中の伝播速度の測定値にほとんど差が見られない結果となっ

てしまった.この結果だけでは,流体力が働いているのかという判断ができない.そこで,

ある周波数の曲げ波に着目し,理想気体中と水中でどのような変化が出ているか確認した.

20Hz について取り上げ,理想気体中の曲げ波,水中の曲げ波をそれぞれ図 17,18 に示す.

両グラフを比較すると,理想気体中の曲げ波に比べて,水中の曲げ波は多少振幅に変化し

ている様子が現れているのが見て取れる.しかし,本検証結果から顕著な流体力の影響は

確認できなかった.なお,図 17,18 は,流体力の影響を確認するため,Point1~Point4 の

曲げ波のピーク近辺を主に示している.

0

1

2

3

4

12 14 16 18 20

Pro

pag

atio

n v

elo

city

[ m

/s ]

Frequency [ Hz ]

Theoretical curve

FEM(Ideal gas)

20 / 42

Fig. 16 Propagation velocity with temporary material in ideal gas & water by FEM

Fig. 17 View of flexural wave of 20Hz in ideal gas by FEM

0

1

2

3

4

12 14 16 18 20

Pro

pag

atio

n v

elo

city

[ m

/s ]

Frequency [ Hz ]

FEM(Ideal gas)

FEM(Water)

-0.002

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0.002

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1Point2Point3Point4Point5Point6

21 / 42

Fig. 18 View of flexural wave of 20Hz in water by FEM

4.1.7 SPH 粒子を用いた連続体モデルの構築に関する検証

SPH 法を用いての数値解析の前に,振動板モデルおよび流体モデル構築時に影響半径を

調整した.伝播速度の理論値に従い,かつ,水中での挙動を再現できるような設定を施し

た.ここでは,その変更において検証したことについて記述する.SPH 法の理論でも記述

したが,SPH 粒子を用いてのモデリング時に重要になるのが影響半径の考慮である. 連続

体を粒子場へ離散化したモデルにおいて,ある粒子 𝑖 は,長さ 𝑟 以内に存在する他の粒子

𝑗 による作用を受ける.この距離 𝑟 が影響半径である.この重ね合わせによって連続体と

してモデルが形成される.本項では,この距離が解析精度にどのような影響を与えるかを

検証した.

4.1.7.1 SPH 粒子を用いた振動板モデル

振動板において,粒子の飛散を抑えるため粒子配置位置からモデルの境界を遥かに越え

て影響半径を取った.その SPH 粒子配置設定を表 3 に示す.この設定を仮に Setting 1 とす

る.また,材料特性は有限要素法との比較を想定しているため,材料密度1.0 × 105 kg m3⁄ ,

ヤング率 1.0GPa,ポアソン比 0.35 とした.駆動端に 20Hz の強制変位を与えて加振した.

理想気体中での曲げ波の伝播の様子を図 19 に示す.

理想気体中の伝播速度は 6.250m/s となり,理論値( 3.614m/s )の 1.7 倍の数値となってし

まった.この測定値において,定数の算出をすると 0.5575 となり,理想気体中の伝播速度

の理論式の定数 𝛼1 = 0.3224 との相対誤差は 73%となった.

-0.002

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0.002

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1Point2Point3Point4Point5Point6

22 / 42

Table 3 SPH Particle placement Setting 1 of structure

Pitch [ m ] 7.0 × 10−4

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 105

SPH particle number [ piece ] 18158

Radius of influence [ m ] 2.0 × 10−3

Fig. 19 View of flexural wave of 20Hz by SPH method (Setting1)

Setting1 の粒子配置設定では,理論値との比較ができるほどの解析精度を得られないこと

が判明した.そこで,振動板の影響半径を粒子の配置位置からモデルの境界に接近するよ

うに設定した.その時の振動板を構成する SPH 粒子配置設定を表 4 に示す.この設定を仮

に Setting 2 とする.駆動端に 20Hz の強制変位を与えて加振した.理想気体中での曲げ波

の伝播の様子を図 20 に示す.

理想気体中の伝播速度は 3.485m/s となり,理論値( 3.614m/s )に近い数値となった.こ

の測定値において,定数の算出をすると 0.3109 となり,理想気体中の伝播速度の理論式の

定数 𝛼1 = 0.3224 との相対誤差は-3.6%となった.また,有限要素法に比べて時間経過に伴

う振幅の減少がこのクラスの振動板の長さにおいてあまり見られないことから,理想気体

中の挙動として確かな結果だといえる.

-0.0025

-0.002

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0.002

0.0025

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

23 / 42

Table 4 SPH particle placement Setting 2 of structure

Pitch [ m ] 7.0 × 10−4

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 105

SPH particle number [ piece ] 18158

Radius of influence [ m ] 8.0 × 10−4

Fig. 20 View of flexural wave of 20Hz by SPH method (Setting 2)

影響半径を振動板モデルの境界から少し超えるように設定した場合の理想気体中での伝

播速度の測定も実行した.変更後の振動板モデルの SPH 粒子配置設定を表 5 に示す.この

設定を仮に Setting 3 とする.この設定で駆動周波数 20Hz を駆動端に与えた.理想気体中

での曲げ波の伝播の様子を図 21 に示す.

図 21 より,理想気体中の伝播速度は 6.250m/s となり,影響半径 2.0 × 10−3m における

設定( Setting 1 )での伝播速度( 6.250m/s )と変わらない結果となってしまった.以上の検証

より,振動板の材料特性および SPH 粒子配置設定は表 3 の Setting 2 に従うこととした.

Table 5 SPH particle placement Setting 3 of structure

Pitch [ m ] 7.0 × 10−4

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 105

SPH particle number [ piece ] 18158

Radius of influence [ m ] 9.0 × 10−4

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

24 / 42

Fig. 21 View of flexural wave of 20Hz by SPH method (Setting 3)

4.1.7.2 SPH 粒子を用いた流体モデル

次に,流体粒子の影響半径の変更による解析結果の違いを検証した.これまでの解析結

果から判断して,モデルを構成する影響半径は,モデル内に収める必要があることを確認

した.では,流体粒子においてもそれがいえるかを検証するため,表 6 に示す SPH 粒子配

置設定で流体‐構造連成解析を実行した.この設定を仮に Setting 4 とする.振動板モデル

の SPH 粒子配置設定は前項において Setting 2 の数値を適用することで有効な解析結果を得

られることを検証した.したがって,振動板モデルの SPH 粒子配置設定は表 3 の数値を適

用した.静止流体中で駆動端に駆動周波数 20Hz を与えた.水中での曲げ波の伝播の様子を

図 22 に示す.また,振動板の挙動および流体粒子の様子を図 23 に示す.

図 23 より,振動板の挙動によって流体粒子が飛散している様子が見て取れる.これは,

流体側の影響半径が振動板側の粒子を広範囲に巻き込んでいないことが原因だと考えられ

る.結果として流体粒子と振動板粒子の間に生じる影響半径による結合力が弱くなり,振

動板粒子と流体粒子が切り離されてしまったと考えられる.測定した伝播速度は 3.902m/s

となり,理想気体中の理論値の伝播速度( 3.614m/s )を超えるような数値となってしまい,

流体力の影響を確認できる結果とはならなかった.

-0.0025

-0.002

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0.002

0.0025

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

25 / 42

Table 6 SPH particle placement Setting 4 of water

Pitch [ m ] 2.0 × 10−3

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 103

SPH particle number [ piece ] 35056

Radius of influence [ m ] 3.6 × 10−3

Fig. 22 View of flexural wave of 20Hz by SPH method (Setting 4)

Fig. 23 Movement of beam behavior and water particles (Setting 4)

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

Particle of water Particle of structure

26 / 42

前検証結果から,流体側の影響半径が振動板を飲み込むように設定すれば流体粒子が飛

散しない流体‐構造連成解析ができるのではないかと考えた.そこで,流体粒子の影響半

径が振動板粒子を飲み込むように設定した.表 7 に示す SPH 粒子配置設定で流体‐構造連

成解析を実行した.この設定を仮に Setting 5 とする.静止流体中で駆動端に 20Hz の強制

変位を与えた.水中での曲げ波の伝播の様子を図 24 に示す.また,振動板の挙動および流

体粒子の様子を図 25 に示す.

図 25 より,流体粒子の飛散が解消されていることがわかる.よって,流体粒子における

影響半径は,振動板モデルを含むように設定することで流体中の連成解析を再現できるこ

とが確認できた.図 24 からも伝播速度の測定値が 2.222m/s となっているので,流体力の

影響がはっきり現れていることが見て取れる.また,各 Point における振幅の減少も確認で

きる. 振動板上に生成される伝播速度を測定することに関して,有限要素法と比較して SPH

法では各 Point のピークが取りやすい波形が得られた.これにより,今後の研究課題で自由

端側に与える制御力の算出が正確に行うことができる.

Table 7 SPH particle placement Setting 5 of water

Pitch [ m ] 2.0 × 10−3

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 103

SPH particle number [ piece ] 35056

Radius of influence [ m ] 6.0 × 10−3

Fig. 24 View of flexural wave of 20Hz by SPH method (Setting 5)

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

27 / 42

Fig. 25 Movement of beam behavior and water particles (Setting 5)

4.1.8 曲げ波の伝播速度による比較(SPH 法)

SPH 法の有効性を検証するため,伝播速度による理論値との比較を行った.SPH 法にお

いて作成した解析モデルの駆動端に 12~20Hz まで 2Hz 刻みの強制変位を与え,各周波数

での曲げ波の伝播速度を計測した.測定手順は有限要素法と同様なので省略する.

4.1.8.1 SPH 粒子モデル

4.1.7 項の検証より,SPH 粒子による振動板モデルおよび流体モデルを構築した.振動板

モデルの SPH 粒子配置設定を表 8 に示し,振動板の SPH 粒子モデルを図 26 に示す.また,

流体モデルの SPH 粒子配置設定を表 9 に示し,流体領域の SPH 粒子モデルを図 27 に示す.

Table 8 SPH particle placement setting of structure

Pitch [ m ] 7.0 × 10−4

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 105

SPH particle number [ piece ] 18158

Radius of influence [ m ] 8.0 × 10−4

Table 9 SPH particle placement setting of water

Pitch [ m ] 2.0 × 10−3

Material Density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 103

SPH Particle Number [ piece ] 35056

Radius of Influence [ m ] 6.0 × 10−3

28 / 42

Fig. 26 SPH particle model of beam

Fig.27 SPH particle model of water

4.1.8.2 SPH 法を用いた理想気体中における伝播速度

有限要素法同様,SPH 法を利用して理想気体中における伝播速度を測定した.周波数ご

との伝播速度の測定値を図 28 に示す.また,比較のため理想気体中における理論曲線も同

グラフ内に示す.SPH 法での測定により得られた値に対して最小自乗近似することで定数

𝛼3 = 0.3433 を得た.図 28 より,16,20Hz 間では,有効な数値を得られたが,それ以外

の低周波領域で差が出てしまったことが読み取れる.理想気体中の伝播速度の理論式の定

数 𝛼1 = 0.3224 と定数 𝛼3 の相対誤差は 6.5%となった.また,理想気体中の伝播速度の理

論式の定数 𝛼1 と有限要素法で得られた定数 𝛼2 = 0.3322 との相対誤差が 3.0%だったこ

とから,現段階の設定ではまだ有限要素の方が解析精度がよいといえる.SPH 法における

理想気体中での伝播速度の解析精度は今後の研究課題となる.

29 / 42

Fig. 28 Propagation velocity with temporary material in ideal gas by SPH method

4.1.8.3 SPH 法による流体‐構造連成解析

SPH 法では,構造および流体の支配方程式を完全に連立して計算を行う一体型解法を適

用した. 静止流体中で,駆動端に 12~20Hz の駆動周波数を与え,振動板に生成される曲

げ波の伝播速度を測定した.図 29 に流体‐構造連成解析で得られた測定値と理想気体中で

の伝播速度の測定値を示す.

図 29 より,理想気体中の伝播速度と比較して水中の伝播速度が約 40%減少するという結

果が得られた.これは流体力の影響が顕著に現れていると考えられる.また,有限要素法

同様,ある周波数の曲げ波に着目し,理想気体中と水中でどのような変化が出ているか確

認した.20Hz について取り上げ,理想気体中の曲げ波,水中の曲げ波をそれぞれ図 30,31

に示す.図 30 より,理想気体中において各 Point の振幅のピーク位置にほとんど変化がな

いことが見て取れる.これは,理想気体中の振動板挙動としては確かな結果だといえる.

有限要素法において,振幅が減少していたのはメッシュの変形が計算結果に影響している

のだと考えられる.図 31 より,水中での曲げ波は理想気体中の挙動と比べて伝播速度の減

少および各 Point における振幅の減少が確認できる.

以上の検証より,SPH 法は,仮想的材料の適用時,理想気体中の解析精度は 16~20Hz

の駆動周波数領域において良好で,水中において流体力の影響を視認できるほどよく表現

しているといえる.

0

1

2

3

4

12 14 16 18 20

Pro

pag

atio

n v

elo

city

[ m

/s ]

Frequency [ Hz ]

Theoretical curve

SPH metod(Ideal gas)

30 / 42

Fig. 29 Propagation velocity with temporary material in ideal gas & water by SPH method

Fig. 30 View of flexural wave of 20Hz in ideal gas by SPH method

0

1

2

3

4

12 14 16 18 20

Pro

pag

atio

n v

elo

city

[ m

/s ]

Frequency [ Hz ]

SPH method(Ideal gas)

SPH method(Water)

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

31 / 42

Fig. 31 View of flexural wave of 20Hz in water by SPH method

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1

Point2

Point3

Point4

Point5

Point6

32 / 42

4.2 SPH 法の有効性検証(ポリウレタンの適用を想定した検証)

4.1 節において,有限要素法で流体‐構造連成解析が実行可能な仮想的材料を適用して,

SPH 法との比較を行った.本節では,ポリウレタンの適用を想定した場合にも SPH 法の有

効性が確認できるかを検証しようと試みた.振動板に適用する材料は硬度約 80 度のポリウ

レタンとした.ポリウレタンは緩衝材としての適用が多いが,ダイビング用の足ヒレなど

にも使われている.推進機構に適用する材料として実際にヒレを構成する材料を利用する

ことが適切だと判断した.また,本研究で検証するような厚みの振動板でも曲げ波を確認

することができた.

検証方法として,まず理想気体中において数値解析可能な有限要素法と SPH 法より,解

析精度にどの程度差ができるかを検証した.次に有限要素法において,ポリウレタンを用

いた流体‐構造連成解析は実行できないので,SPH 法で流体‐構造連成可能かを確認した.

4.2.1 ポリウレタンの材料特性

本節で振動板に適用するポリウレタンの材料特性を表 10 に示す.

Table 10 Property of Polyurethane

Young’s modulus [ MPa ] 120

Density [ kg m3⁄ ] 1.3 × 103

Poisson’s ratio 0.35

4.2.2 理想気体中における伝播速度の理論値

4.1 節においても理想気体中における伝播速度の理論値を算出したが,本節ではポリウレ

タンを使用しているためこの数値を再計算する必要がある.式( 37 ) に今回適用するポリウ

レタンの材料特性の各数値を代入することで式( 40 )を得た.この定数を 𝛼4 とし,定量的

比較の対象とする.

𝑣𝐵(𝜔) = 0.5619√𝜔 ( 40 )

4.2.3 理想気体中における有限要素法と SPH 法の伝播速度による比較

振動板モデルの形状は 4.1 節で使用したものを本検証でも適用した.また,材料特性を本

項以降の検証で使用するポリウレタンに変更した.有限要素法における要素数は仮想的材

料適用時と同様の設定とした.SPH 法における粒子配置設定も仮想的材料適用時と同様の

設定とした.伝播速度の測定方法は 4.1 節で示した通りなので省略する.有限要素法と SPH

法それぞれにおいて,理想気体中における伝播速度を測定した.周波数ごとの伝播速度の

測定値を図 32に示す.また,比較のため理想気体中における理論曲線も同グラフ内に示す.

有限要素法と SPH 法での測定により,得られた値に対して最小自乗近似することでそれぞ

れ定数 𝛼5 = 0.6226 および 𝛼6 = 0.9462 を得た.

33 / 42

定数 α4 = 0.5619 および定数 𝛼5 より,有限要素法の測定値と理論値の相対誤差は 11%

となった.図 32 のマーカーの位置と理論曲線を比較すると,12Hz と 20Hz では,理論値に

近い良好な測定値を取ることができた.また,定数 α4 および定数 𝛼6 より, SPH 法の測

定値と理論値の相対誤差は 68%となった.これは,ポリウレタンの粒子間隔( Pitch )と影響

半径の設定を仮想的材料で適用したものと同一の数値とした点に問題があると考えられる.

そもそも,影響半径は材料密度と密接に関係があるため,同一の粒子間隔,影響半径で材

料を変更すれば解析精度にも影響が出てしまうといえる.仮想的材料の材料密度

1.0 × 105 kg m3⁄ で与えられる粒子間の結合力とポリウレタンの材料密度1.3 × 103 kg m3⁄ で

与えられる粒子間の結合力とでは,仮想的材料の方が力強く結合していることが考えられ

る.対策としては,ポリウレタンなどの軽い材料を適用する場合は粒子間隔を小さく設定

する必要がある.

伝播速度の定数に関して,理論値と有限要素法の測定値との相対誤差 11%となった.そ

れに対して,理論値と SPH 法の測定値との相対誤差は 68%となってしまった.ポリウレタ

ンを適用しても,現段階の設定ではまだ有限要素の方が解析精度がよいといえる.ポリウ

レタンを適用しての SPH 法による理想気体中での伝播速度の解析精度に関しては,今後の

研究課題として検証していきたい事例の 1 つである.

Fig. 32 Propagation velocity with Polyurethane in ideal gas by FEM &SPH method

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

12 14 16 18 20

Pro

pag

atio

n v

elo

city

[ m

/s ]

Frequency [ Hz ]

Theoretical curve

FEM(Ideal gas)

SPH method(Ideal gas)

34 / 42

4.2.4 水中での SPH 法による伝播速度測定値

ポリウレタンのような密度が低い材料を有限要素モデルに適用し,流体‐構造連成解析

を実行すると,数 Time Step 進んだ後境界面での情報のやり取りが途絶え,エラーが発生す

る.詳しい原因は解析ソルバー上に表示されないが,おそらくメッシュの大変形による計

算破綻が生じたのだと考えられる.本項では,ポリウレタンを用いて SPH 法による流体‐

構造連成解析が可能であるか検証した.また,流体‐構造連成可能だとしたら,理想気体

中と比べて流体力の影響が確認できるか検証した.なお,流体領域に充填される粒子配置

設定は仮想的材料適用時と同様の設定とした.

SPH法における流体‐構造連成解析は所望のTime Stepまで計算可能なことが明らかにな

った.さらに,静止流体中で駆動端に 12~20Hz の駆動周波数を与え,振動板に生成される

曲げ波の伝播速度を測定した.図 33 に流体‐構造連成解析で得られた測定値と理想気体中

での伝播速度の測定値を示す.図 33 より,水中での伝播速度は理想気体中での伝播速度に

比べて 80%近く減少したことが読み取れる.しかし,この結果だけでは流体力の影響が正

確に現れているという証拠にはならない.次項では,3.2.2 項の式( 18 )で取り上げた水の付

加質量を各周波数で算出し,前節で測定した仮想的材料における水の付加質量と比べてど

のような変化があるかを確認した.

Fig. 33 Propagation velocity with Polyurethane in ideal gas & water by SPH method

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

12 14 16 18 20

Pro

pag

atio

n v

elo

city

[ m

/s ]

Frequency [ Hz ]

SPH method(Ideal gas)

SPH method(Water)

35 / 42

4.2.5 水の付加質量の算出

前項において,ポリウレタンを用いて SPH 法による流体‐構造連成解析が可能であるこ

とを検証した.本項では,その解析結果が妥当であるかを確かめるため,水の付加質量を

式( 18 )より算出した.式( 18 )を以下のように変形することで水の付加質量を導出した.仮

想的材料を適用した水中での伝播速度と,ポリウレタンを適用した水中での伝播速度をそ

れぞれ式( 41 )に代入する.各周波数で水の付加質量を算出し,表 11 にまとめた.この付加

質量をそれぞれの材料密度で比を取ると,表 12 のような数値が得られた.表 12 より,ポ

リウレタンの方が仮想的材料よりも 10 倍以上の比を示していることがわかる.これは,材

料密度が低い構造物の方が水の付加質量効果をよく受けることを意味する.しかし,この

結果からは周波数の増加によって付加質量も増加するとは一概にいえない.梁などの構造

体にかかる水の付加質量は固有モードによって変化する⁽¹¹⁾ことも要因の一つと考えられ

る.

𝑣𝐵(𝜔) = √𝐸

12(𝜌 + 𝜌𝑤)

4

∙ √ℎ ∙ √𝜔 ( 18 )

𝑣𝐵

4 =𝐸

12(𝜌 + 𝜌𝑤)∙ ℎ2 ∙ 𝜔2

12𝑣𝐵4 (𝜌 + 𝜌𝑤) = 𝐸 ∙ ℎ

2 ∙ 𝜔2

𝜌𝑤 =

𝐸 ∙ ℎ2 ∙ 𝜔2 − 12𝑣𝐵4 ∙ 𝜌

12𝑣𝐵4 ( 41 )

Table 11 Additional mass of water

Temporary material Polyurethane

12Hz 4.119 × 105 kg m3⁄ 9.411 × 104 kg m3⁄

14Hz 5.345 × 105 kg m3⁄ 1.084 × 105 kg m3⁄

16Hz 5.478 × 105 kg m3⁄ 9.409 × 104 kg m3⁄

18Hz 6.036 × 105 kg m3⁄ 1.284 × 105 kg m3⁄

20Hz 5.996 × 105 kg m3⁄ 1.216 × 105 kg m3⁄

Table 12 Additional mass of water to density of material ratio

Temporary material Polyurethane

12Hz 4.119 72.39

14Hz 5.345 83.25

16Hz 5.478 72.37

18Hz 6.036 96.03

20Hz 5.996 93.55

36 / 42

4.3 くさび形振動板の有効性検証

前節で,SPH 法が流体‐構造連成解析に適用可能性があることを示した.ここでは,振

動板の最適形状を導くための指針を得る.第 2 章において,振動板を伝播する波動の振幅

が増大することで推進力の向上につながり,その形状が「くさび形状」であることを示し

た.SPH 法を用いた流体‐構造連成解析においてもくさび形振動板による波動の振幅増大

を確認できるか検証した.

4.3.1 くさび形振動板モデル

くさび形振動板の駆動端の厚みの変化による曲げ波への影響を見るために,図 34( a ),

( b )に示すモデルを構築した.駆動端の厚みを 10mm,自由端の厚みをそれぞれ 3.6mm と

1.8mm とした.ここでは,自由端の厚み 3.6mm をくさび形振動板 1,厚み 1.8mm をくさび

形振動板 2 とした.各モデルにおける SPH 粒子配置に関する設定については,それぞれ表

13,14 に示す.

( a ) Wedge-beam 1

( b ) Wedge-beam 2

Fig. 34 Structure of Wedge-beam model

400mm

3.6

mm

10

mm

400mm

1.8

mm

10

mm

駆動端

駆動端

37 / 42

Table 13 SPH particle placement setting of wedge-beam1

Pitch [ m ] 7.0 × 10−4

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 105

SPH particle number [ piece ] 46265

Radius of influence [ m ] 8.0 × 10−4

Table 14 SPH particle placement setting of wedge-beam2

Pitch [ m ] 7.0 × 10−4

Material density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 105

SPH particle number [ piece ] 39587

Radius of influence [ m ] 8.0 × 10−4

4.3.2 流体モデル

振動板形状が変わったことで流体領域内の粒子数にも変化が出た.各くさび形振動板モ

デルにおける流体モデルの粒子配置設定を表 15 および 16 に示す.

Table 15 SPH particle placement setting of water with wedge-beam1

Pitch [ m ] 2.0 × 10−3

Material Density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 103

SPH Particle Number [ piece ] 33887

Radius of Influence [ m ] 6.0 × 10−3

Table 16 SPH particle placement setting of water with wedge-beam2

Pitch [ m ] 2.0 × 10−3

Material Density [ kg m3⁄ ] 1.0 × 103

SPH Particle Number [ piece ] 34251

Radius of Influence [ m ] 6.0 × 10−3

4.3.3 波動増幅特性の検証

波動の増幅特性を検証するには,くさび形振動板上に生成される曲げ波の様子を見れば

よい.静止流体中で,駆動端(厚みのある方)を 20Hz で加振した.比較のため,厚さ一定の

振動板を 20Hz で加振した時の波形を図 35 に示しておく.図 36,37 にそれぞれくさび形

振動板 1,くさび形振動板 2 の駆動状況を示す.

図 35 より,厚さ一様な振動板の Point1~Point3 の波形に着目すると,振幅のピークが下

がっていることが見て取れる.これは,先行研究において問題となっていた一様振動板に

おける振幅減少が再現されていると考えられる.図 36 より,くさび形振動板 1 の Point1~

38 / 42

Point3 の波形に着目すると,一様振動板とは異なり,振幅のピークが僅かに増加している

のが見て取れる.この結果から,くさび形振動板において波動増幅特性を確認することが

できた.

図 37 より,くさび形振動板 2 の Point1~Point3 の波形に着目すると,振幅のピークが減

少していることが見て取れる.これは,粒子の初期配置に問題があると考えられる.図 38

に Point1~Point4 区間の初期粒子配置を示す.この図より,測定点の位置における流体粒

子が振動板から離れ,隙間ができていることが見て取れる.この配置のまま流体‐構造連

成解析を実行すると,図 39 に示すような挙動が生じた.振動板からの曲げ波により振動板

粒子と流体粒子が衝突し,粒子が跳ね上がる.流体粒子の影響半径は振動板を含むため,

跳ね上がった粒子が引き寄せられ再び振動板粒子に衝突していると考えられる.その結果,

流体粒子の衝突による振幅減少が生じたのだと推察できる.よって,粒子配置時に隙間が

多いようなモデルでは波動増幅特性を確認することができない.

この現象を防ぐ対策として,振動板および流体領域の粒子間隔を狭くすることが考えら

れる.これにより,初期粒子配置時に生じる隙間の発生を抑えることができるだろう.し

かし,徒に粒子間隔を下げることは計算コストを考慮する上で好ましくない.そこで,流

体領域においては,振動板周りの流体粒子の間隔を小さくし,それ以外の流体領域の粒子

間隔を大きめに設定することで解析時間の短縮につながると考えられる.この件に関して

は,今後の研究課題とする.

Fig. 35 View of flexural wave of 20Hz with uniform-beam in water by SPH method

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1Point2Point3Point4Point5Point6

39 / 42

Fig. 36 View of flexural wave of 20Hz with wedge-beam 1 in water by SPH method

Fig. 37 View of flexural wave of 20Hz with wedge-beam 2 in water by SPH method

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0.002

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1Point2Point3Point4Point5Point6

-0.0015

-0.001

-0.0005

0

0.0005

0.001

0.0015

0.002

0.0025

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

Dis

pla

cem

ent

[ m

]

Time [ s ]

Point1Point2Point3Point4Point5Point6

40 / 42

Fig. 38 Initial placement of SPH particles of wedge-beam2

Fig. 39 Movement of wedge-beam2 behavior and water particles

5.結言

本研究では,振動板型船舶推進機構の開発に SPH 法が有効であるかを検証した.検証方

法としては,振動板上に生成される曲げ波の伝播速度を測定することで理論値との比較お

よび流体力の影響を確認した.得られた成果を以下にまとめる.

1. 振動板モデルにおいて仮想的に材料密度とヤング率を調整し,有限要素法でも流体‐構

造連成解析が実行可能な条件を作り出した.これにより,有限要素法と SPH 法で測定し

た伝播速度を比較することができた.仮想的材料適用時,有限要素法による理想気体中

の伝播速度は理論値に近い数値を得られたが,水中の伝播速度も理論値に近い数値とな

った.そこで,ある周波数に着目し,曲げ波の伝播の様子から理想気体中での測定値と

Point1 Point2 Point3 Point4

41 / 42

水中での測定値を比較した.しかし,両波形の比較より流体力の影響はほとんど確認で

きなかった.SPH 法による理想気体中の伝播速度は高周波数においては良好な数値を得

ることができた.水中の伝播速度は理想気体中と比べて 40%近く減少した.曲げ波の伝

播の様子からも振幅の現象を確認することができ,流体力の影響をよく再現している結

果となった.

2. ポリウレタンの適用を想定した場合の SPH 法の有効性を検証した.有限要素法による理

想気体中の伝播速度は理論値に近い数値を得た.しかし,先行研究の報告にもあったよ

うに流体‐構造連成解析の実行はできなかった.SPH 法による理想気体中の伝播速度は

理論値の約 2 倍の数値となった.水中の伝播速度は理想気体中の伝播速度と比べて 80%

近く減少した.ポリウレタンを適用しても流体力の影響を確認することができた.解析

精度については今後の研究課題となる.

3. 推進力を向上させる方法として振幅を増大させる方法がある.その現象を生み出す振動

板形状が「くさび形状」である.くさび形振動板を SPH 粒子モデルで構築し,流体‐構

造連成解析を実行すると,曲げ波が伝播に従って,振幅が増大する様子を一部分におい

て確認することができた.

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謝辞

本研究を遂行するにあたり,アルテアエンジニアリング株式会社・依知川様,木原様ほ

か,HyperWorks 技術サポートの皆様から,丁寧かつ熱心なサポートを賜りました.ここ

に感謝の意を表します.