spm による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpspm...

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SPM による毛髪損傷評価の試み 高知工科大学 知能機械システム工学科 学籍番号 1010197 提出者 将太 指導教員 竹内 彰敏 助教授

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Page 1: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

SPM による毛髪損傷評価の試み

高知工科大学

知能機械システム工学科学籍番号 1010197提出者 原 将太

指導教員 竹内 彰敏 助教授

i

目次

1緒言 -1-

2これまでの毛髪評価方法と SPM -3-

21 電子顕微鏡helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-3-

22 ESCAhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-4-

23 動摩擦係数コーミングフォースhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-4-

24 引っ張り特性helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-5-

25 ねじれ特性helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-6-

26 曲げ特性helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-6-

3実験装置ならびに試験片 -8-

31 実験に必要とするものhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-8-

32 SPM とはhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-10-

33 AFMhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-11-

331 AFM の原理helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-11-

332 AFM の測定モードhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-12-

34 LFM helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-13-

341 LFM の原理helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-13-

342 LFM の装置構成helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-13-

35 カンチレバーhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-14-

351 カンチレバーとはhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-14-

352 SiN マイクロカンチレバーの作成プロセスhelliphelliphelliphellip-15-

36 毛髪helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-16-

361 毛髪の構造と性質helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-16-

362 毛根の構造helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-17-

363 毛髪の成長サイクルhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-18-

364 毛髪の成分helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-19-

365 ブリーチのしくみhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-20-

366 ブリーチ剤の成分helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-21-

4実験方法 -22-

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41 操作方法helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-23-

42 SPM 測定設定条件helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-24-

421 SPM 測定パラメータhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-24-

422 本研究 SPM 設定helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-26-

43 粗さパラメータhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-27-

5実験結果 -28-

51 AFM 測定画像helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-28-

52 20μm四方測定結果helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-30-

53 5μm 四方測定結果helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-31-

54 LFM 電圧平均helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-32-

6結言 -33-

7今後の課題 -33-

参考文献 -34-

付録 A -35-

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及びRkr の変化helliphelliphelliphelliphellip-35-

A-2 年齢による毛髪損傷の差helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-39-

付録 B 日常生活における毛髪 -41-

付録 C もう一つの櫛どうりの良さ測定法 -45-

付録 D 原子間力顕微鏡への期待 -47-

付録 E これまでの研究データ -49-

付録 F LFM 信号 -55-

付録 G 発表用前刷り -57-

付録に用いた参考文献 -59-

1

1 緒言

本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしかし今日で

はそのように考える事もほとんどなくファッションおしゃれの一部

として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているそのため人は皆

トリートメントなどを用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている

一方ではブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法

は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として

電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察ESCA(X 線光電子分光分析装

置) による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の

観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定

毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応

力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)

毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法につ

いては総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこ

れらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが

多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない2)

毛髪の表面損傷に関しては大きな視点で見れば毛髪表面全体の損

傷であるしかしその損傷の元となるものはキューティクル 1 枚 1 枚

の表面損傷つまり微細構造の変化でありそれらの集まりが毛髪表面

全体の損傷となっていると言えるよってキューティクル表面の損傷を

評価する事が毛髪表面全体の損傷評価に繋がると考えた

キューティクルのような微小な物の表面損傷を評価するにはSPM(走

査型プローブ顕微鏡)が適していると考える

その理由としてSPM の一種である AFM(原子間力顕微鏡)はSEM

と同様毛髪表面状態の観察が可能で更に SEM よりも分解能が高い

為より細かな形状まで観察する事ができる

またAFM と同時測定が可能な LFM(摩擦顕微鏡)によりこれま

2

での毛髪損傷状態を定量化する目的に使用されていた摩擦力の測定がで

きる

その他に AFM により観測した表面形状を SPM のコンピュータによ

り表面粗さ解析ができ微細構造の変化を粗さパラメータによる数値と

して表示することができる

これらの表面形状摩擦力粗さパラメータを用いる事により微細

構造の変化を定量的に評価できるのではないかと考えた

よって本研究では損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での構造の変化を

SPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み微小領域を評

価領域とし全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする

SPM において毛髪の損傷を評価しその損傷度合いを見た目ではなく

確かな数値として定量的に示す事ができればブリーチ剤等による損傷

の具合ブリーチ剤などの効き具合等が人それぞれに分かるようになる

のではと考える人それぞれに損傷具合が分かるという事は人それぞ

れの毛髪に対するケアーができ今後の毛髪損傷回復技術の発展にも微

力ながら役立つのではないかと考える

3

2これまでの毛髪評価方法

21 電子顕微鏡

毛髪表面状態の観察をするために用いられる

SEM を使用し毛髪表面状態の観察する事が多い

SEM とはセットした試料に大量の電子ビームを浴びせ試料から発

生する2次電子をセンサーによって読み取りその量の大小を画面に白

黒の濃淡で試料の表面形状を表示する仕組みとなっている

また毛髪が液体や気体(空気中の水分を含む)中で反応する際の寸法

変化を測定するのにも適している

顕微鏡法と呼ばれる手法により毛髪の直径を測定する事が可能で直径

D が明らかになる事により半径 r断面積 A体積 V表面積 Su が以

下の式によって計算できる

A=07854D2V=07854D2LSu=DπL

この顕微鏡法により測定した様々な相対湿度での人毛の長さ直径断

面積体積の変化を計算した表 21 を下に示す

表 21 人毛の寸法変化と相対湿度(RH)

  

表21 より相対湿度 RH が増加するにつれ長さよりも直径の増加率が

大きくそれに伴い断面積体積が増加していることが分かるつまり

毛髪は水分を吸収することによって長くなるのではなく太くなるとい

うことである

RH 吸収() 直径の増加率() 長さの増加率() 断面積の増加率() 体積の増加率()

0 0 0 0 010 23 056 47 5740 51 129 105 12260 69 153 143 16390 106 172 223 246

100 139 186 297 321

4

櫛どうりを良くする性質櫛どうりを悪くする性質

硬さ 曲率直径 静電気

摩擦

22 ESCA

ESCA とは Electron Spectroscopy for Chemical Analysis の略で固体

表面の数nm(数十原子層)の表面分析法である

真空中で固体表面にX線を照射するとX線によってエネルギーをも

らった表面原子から電子が飛び出すこの電子はX線などの光の照射

によって発生するので光電子と呼ばれておりこの光電子は元素に

固有のエネルギー値を有しているのでそのエネルギー分布を測定する

ことによって組成を調べることができる表面から深いところで発生し

た光電子は表面に出てくるまでに吸収されるためこの方法による分

析深さは平均的な表面層の数十原子層(3~5nm)の領域になる

毛髪においては数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性及び元素の

結合状態の変化を観察し損傷を推定する事が可能である

元素の結合状態を観察することから ESCA は化学的な毛髪評価方

法に近いと考えられる

23 動摩擦係数コーミングフォース

毛髪の櫛どうり性を評価する為の方法である

櫛どうりやすさに関係する毛髪の性質は摩擦係数毛髪の硬さ静

電気曲率半径直径長さなどが挙げられる

ブリーチ処理によって櫛どうりは悪くなるがブリーチ処理による曲

率の変化硬さ直径帯電性の変化はほとんど無いことから表22

からも分かるようにその最大の要因は摩擦の増加である

表22 櫛どうりに関わる性質

毛髪の摩擦係数測定にはドラム回転法が用いられており測定対象は

毛髪 1 本で毛髪の両端に等しい錘をつけ円筒(ドラム)上にかけ一

方の錘をねじり秤の上に置き円筒の回転により生ずる摩擦力を測定す

るという手法である

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 2: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

i

目次

1緒言 -1-

2これまでの毛髪評価方法と SPM -3-

21 電子顕微鏡helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-3-

22 ESCAhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-4-

23 動摩擦係数コーミングフォースhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-4-

24 引っ張り特性helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-5-

25 ねじれ特性helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-6-

26 曲げ特性helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-6-

3実験装置ならびに試験片 -8-

31 実験に必要とするものhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-8-

32 SPM とはhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-10-

33 AFMhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-11-

331 AFM の原理helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-11-

332 AFM の測定モードhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-12-

34 LFM helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-13-

341 LFM の原理helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-13-

342 LFM の装置構成helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-13-

35 カンチレバーhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-14-

351 カンチレバーとはhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-14-

352 SiN マイクロカンチレバーの作成プロセスhelliphelliphelliphellip-15-

36 毛髪helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-16-

361 毛髪の構造と性質helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-16-

362 毛根の構造helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-17-

363 毛髪の成長サイクルhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-18-

364 毛髪の成分helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-19-

365 ブリーチのしくみhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-20-

366 ブリーチ剤の成分helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-21-

4実験方法 -22-

ii

41 操作方法helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-23-

42 SPM 測定設定条件helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-24-

421 SPM 測定パラメータhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-24-

422 本研究 SPM 設定helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-26-

43 粗さパラメータhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-27-

5実験結果 -28-

51 AFM 測定画像helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-28-

52 20μm四方測定結果helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-30-

53 5μm 四方測定結果helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-31-

54 LFM 電圧平均helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-32-

6結言 -33-

7今後の課題 -33-

参考文献 -34-

付録 A -35-

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及びRkr の変化helliphelliphelliphelliphellip-35-

A-2 年齢による毛髪損傷の差helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-39-

付録 B 日常生活における毛髪 -41-

付録 C もう一つの櫛どうりの良さ測定法 -45-

付録 D 原子間力顕微鏡への期待 -47-

付録 E これまでの研究データ -49-

付録 F LFM 信号 -55-

付録 G 発表用前刷り -57-

付録に用いた参考文献 -59-

1

1 緒言

本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしかし今日で

はそのように考える事もほとんどなくファッションおしゃれの一部

として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているそのため人は皆

トリートメントなどを用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている

一方ではブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法

は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として

電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察ESCA(X 線光電子分光分析装

置) による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の

観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定

毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応

力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)

毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法につ

いては総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこ

れらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが

多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない2)

毛髪の表面損傷に関しては大きな視点で見れば毛髪表面全体の損

傷であるしかしその損傷の元となるものはキューティクル 1 枚 1 枚

の表面損傷つまり微細構造の変化でありそれらの集まりが毛髪表面

全体の損傷となっていると言えるよってキューティクル表面の損傷を

評価する事が毛髪表面全体の損傷評価に繋がると考えた

キューティクルのような微小な物の表面損傷を評価するにはSPM(走

査型プローブ顕微鏡)が適していると考える

その理由としてSPM の一種である AFM(原子間力顕微鏡)はSEM

と同様毛髪表面状態の観察が可能で更に SEM よりも分解能が高い

為より細かな形状まで観察する事ができる

またAFM と同時測定が可能な LFM(摩擦顕微鏡)によりこれま

2

での毛髪損傷状態を定量化する目的に使用されていた摩擦力の測定がで

きる

その他に AFM により観測した表面形状を SPM のコンピュータによ

り表面粗さ解析ができ微細構造の変化を粗さパラメータによる数値と

して表示することができる

これらの表面形状摩擦力粗さパラメータを用いる事により微細

構造の変化を定量的に評価できるのではないかと考えた

よって本研究では損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での構造の変化を

SPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み微小領域を評

価領域とし全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする

SPM において毛髪の損傷を評価しその損傷度合いを見た目ではなく

確かな数値として定量的に示す事ができればブリーチ剤等による損傷

の具合ブリーチ剤などの効き具合等が人それぞれに分かるようになる

のではと考える人それぞれに損傷具合が分かるという事は人それぞ

れの毛髪に対するケアーができ今後の毛髪損傷回復技術の発展にも微

力ながら役立つのではないかと考える

3

2これまでの毛髪評価方法

21 電子顕微鏡

毛髪表面状態の観察をするために用いられる

SEM を使用し毛髪表面状態の観察する事が多い

SEM とはセットした試料に大量の電子ビームを浴びせ試料から発

生する2次電子をセンサーによって読み取りその量の大小を画面に白

黒の濃淡で試料の表面形状を表示する仕組みとなっている

また毛髪が液体や気体(空気中の水分を含む)中で反応する際の寸法

変化を測定するのにも適している

顕微鏡法と呼ばれる手法により毛髪の直径を測定する事が可能で直径

D が明らかになる事により半径 r断面積 A体積 V表面積 Su が以

下の式によって計算できる

A=07854D2V=07854D2LSu=DπL

この顕微鏡法により測定した様々な相対湿度での人毛の長さ直径断

面積体積の変化を計算した表 21 を下に示す

表 21 人毛の寸法変化と相対湿度(RH)

  

表21 より相対湿度 RH が増加するにつれ長さよりも直径の増加率が

大きくそれに伴い断面積体積が増加していることが分かるつまり

毛髪は水分を吸収することによって長くなるのではなく太くなるとい

うことである

RH 吸収() 直径の増加率() 長さの増加率() 断面積の増加率() 体積の増加率()

0 0 0 0 010 23 056 47 5740 51 129 105 12260 69 153 143 16390 106 172 223 246

100 139 186 297 321

4

櫛どうりを良くする性質櫛どうりを悪くする性質

硬さ 曲率直径 静電気

摩擦

22 ESCA

ESCA とは Electron Spectroscopy for Chemical Analysis の略で固体

表面の数nm(数十原子層)の表面分析法である

真空中で固体表面にX線を照射するとX線によってエネルギーをも

らった表面原子から電子が飛び出すこの電子はX線などの光の照射

によって発生するので光電子と呼ばれておりこの光電子は元素に

固有のエネルギー値を有しているのでそのエネルギー分布を測定する

ことによって組成を調べることができる表面から深いところで発生し

た光電子は表面に出てくるまでに吸収されるためこの方法による分

析深さは平均的な表面層の数十原子層(3~5nm)の領域になる

毛髪においては数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性及び元素の

結合状態の変化を観察し損傷を推定する事が可能である

元素の結合状態を観察することから ESCA は化学的な毛髪評価方

法に近いと考えられる

23 動摩擦係数コーミングフォース

毛髪の櫛どうり性を評価する為の方法である

櫛どうりやすさに関係する毛髪の性質は摩擦係数毛髪の硬さ静

電気曲率半径直径長さなどが挙げられる

ブリーチ処理によって櫛どうりは悪くなるがブリーチ処理による曲

率の変化硬さ直径帯電性の変化はほとんど無いことから表22

からも分かるようにその最大の要因は摩擦の増加である

表22 櫛どうりに関わる性質

毛髪の摩擦係数測定にはドラム回転法が用いられており測定対象は

毛髪 1 本で毛髪の両端に等しい錘をつけ円筒(ドラム)上にかけ一

方の錘をねじり秤の上に置き円筒の回転により生ずる摩擦力を測定す

るという手法である

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 3: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

ii

41 操作方法helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-23-

42 SPM 測定設定条件helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-24-

421 SPM 測定パラメータhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-24-

422 本研究 SPM 設定helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-26-

43 粗さパラメータhelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-27-

5実験結果 -28-

51 AFM 測定画像helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-28-

52 20μm四方測定結果helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-30-

53 5μm 四方測定結果helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-31-

54 LFM 電圧平均helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-32-

6結言 -33-

7今後の課題 -33-

参考文献 -34-

付録 A -35-

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及びRkr の変化helliphelliphelliphelliphellip-35-

A-2 年齢による毛髪損傷の差helliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphelliphellip-39-

付録 B 日常生活における毛髪 -41-

付録 C もう一つの櫛どうりの良さ測定法 -45-

付録 D 原子間力顕微鏡への期待 -47-

付録 E これまでの研究データ -49-

付録 F LFM 信号 -55-

付録 G 発表用前刷り -57-

付録に用いた参考文献 -59-

1

1 緒言

本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしかし今日で

はそのように考える事もほとんどなくファッションおしゃれの一部

として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているそのため人は皆

トリートメントなどを用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている

一方ではブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法

は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として

電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察ESCA(X 線光電子分光分析装

置) による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の

観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定

毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応

力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)

毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法につ

いては総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこ

れらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが

多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない2)

毛髪の表面損傷に関しては大きな視点で見れば毛髪表面全体の損

傷であるしかしその損傷の元となるものはキューティクル 1 枚 1 枚

の表面損傷つまり微細構造の変化でありそれらの集まりが毛髪表面

全体の損傷となっていると言えるよってキューティクル表面の損傷を

評価する事が毛髪表面全体の損傷評価に繋がると考えた

キューティクルのような微小な物の表面損傷を評価するにはSPM(走

査型プローブ顕微鏡)が適していると考える

その理由としてSPM の一種である AFM(原子間力顕微鏡)はSEM

と同様毛髪表面状態の観察が可能で更に SEM よりも分解能が高い

為より細かな形状まで観察する事ができる

またAFM と同時測定が可能な LFM(摩擦顕微鏡)によりこれま

2

での毛髪損傷状態を定量化する目的に使用されていた摩擦力の測定がで

きる

その他に AFM により観測した表面形状を SPM のコンピュータによ

り表面粗さ解析ができ微細構造の変化を粗さパラメータによる数値と

して表示することができる

これらの表面形状摩擦力粗さパラメータを用いる事により微細

構造の変化を定量的に評価できるのではないかと考えた

よって本研究では損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での構造の変化を

SPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み微小領域を評

価領域とし全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする

SPM において毛髪の損傷を評価しその損傷度合いを見た目ではなく

確かな数値として定量的に示す事ができればブリーチ剤等による損傷

の具合ブリーチ剤などの効き具合等が人それぞれに分かるようになる

のではと考える人それぞれに損傷具合が分かるという事は人それぞ

れの毛髪に対するケアーができ今後の毛髪損傷回復技術の発展にも微

力ながら役立つのではないかと考える

3

2これまでの毛髪評価方法

21 電子顕微鏡

毛髪表面状態の観察をするために用いられる

SEM を使用し毛髪表面状態の観察する事が多い

SEM とはセットした試料に大量の電子ビームを浴びせ試料から発

生する2次電子をセンサーによって読み取りその量の大小を画面に白

黒の濃淡で試料の表面形状を表示する仕組みとなっている

また毛髪が液体や気体(空気中の水分を含む)中で反応する際の寸法

変化を測定するのにも適している

顕微鏡法と呼ばれる手法により毛髪の直径を測定する事が可能で直径

D が明らかになる事により半径 r断面積 A体積 V表面積 Su が以

下の式によって計算できる

A=07854D2V=07854D2LSu=DπL

この顕微鏡法により測定した様々な相対湿度での人毛の長さ直径断

面積体積の変化を計算した表 21 を下に示す

表 21 人毛の寸法変化と相対湿度(RH)

  

表21 より相対湿度 RH が増加するにつれ長さよりも直径の増加率が

大きくそれに伴い断面積体積が増加していることが分かるつまり

毛髪は水分を吸収することによって長くなるのではなく太くなるとい

うことである

RH 吸収() 直径の増加率() 長さの増加率() 断面積の増加率() 体積の増加率()

0 0 0 0 010 23 056 47 5740 51 129 105 12260 69 153 143 16390 106 172 223 246

100 139 186 297 321

4

櫛どうりを良くする性質櫛どうりを悪くする性質

硬さ 曲率直径 静電気

摩擦

22 ESCA

ESCA とは Electron Spectroscopy for Chemical Analysis の略で固体

表面の数nm(数十原子層)の表面分析法である

真空中で固体表面にX線を照射するとX線によってエネルギーをも

らった表面原子から電子が飛び出すこの電子はX線などの光の照射

によって発生するので光電子と呼ばれておりこの光電子は元素に

固有のエネルギー値を有しているのでそのエネルギー分布を測定する

ことによって組成を調べることができる表面から深いところで発生し

た光電子は表面に出てくるまでに吸収されるためこの方法による分

析深さは平均的な表面層の数十原子層(3~5nm)の領域になる

毛髪においては数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性及び元素の

結合状態の変化を観察し損傷を推定する事が可能である

元素の結合状態を観察することから ESCA は化学的な毛髪評価方

法に近いと考えられる

23 動摩擦係数コーミングフォース

毛髪の櫛どうり性を評価する為の方法である

櫛どうりやすさに関係する毛髪の性質は摩擦係数毛髪の硬さ静

電気曲率半径直径長さなどが挙げられる

ブリーチ処理によって櫛どうりは悪くなるがブリーチ処理による曲

率の変化硬さ直径帯電性の変化はほとんど無いことから表22

からも分かるようにその最大の要因は摩擦の増加である

表22 櫛どうりに関わる性質

毛髪の摩擦係数測定にはドラム回転法が用いられており測定対象は

毛髪 1 本で毛髪の両端に等しい錘をつけ円筒(ドラム)上にかけ一

方の錘をねじり秤の上に置き円筒の回転により生ずる摩擦力を測定す

るという手法である

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 4: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

1

1 緒言

本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしかし今日で

はそのように考える事もほとんどなくファッションおしゃれの一部

として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているそのため人は皆

トリートメントなどを用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている

一方ではブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法

は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として

電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察ESCA(X 線光電子分光分析装

置) による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の

観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定

毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応

力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)

毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法につ

いては総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこ

れらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが

多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない2)

毛髪の表面損傷に関しては大きな視点で見れば毛髪表面全体の損

傷であるしかしその損傷の元となるものはキューティクル 1 枚 1 枚

の表面損傷つまり微細構造の変化でありそれらの集まりが毛髪表面

全体の損傷となっていると言えるよってキューティクル表面の損傷を

評価する事が毛髪表面全体の損傷評価に繋がると考えた

キューティクルのような微小な物の表面損傷を評価するにはSPM(走

査型プローブ顕微鏡)が適していると考える

その理由としてSPM の一種である AFM(原子間力顕微鏡)はSEM

と同様毛髪表面状態の観察が可能で更に SEM よりも分解能が高い

為より細かな形状まで観察する事ができる

またAFM と同時測定が可能な LFM(摩擦顕微鏡)によりこれま

2

での毛髪損傷状態を定量化する目的に使用されていた摩擦力の測定がで

きる

その他に AFM により観測した表面形状を SPM のコンピュータによ

り表面粗さ解析ができ微細構造の変化を粗さパラメータによる数値と

して表示することができる

これらの表面形状摩擦力粗さパラメータを用いる事により微細

構造の変化を定量的に評価できるのではないかと考えた

よって本研究では損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での構造の変化を

SPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み微小領域を評

価領域とし全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする

SPM において毛髪の損傷を評価しその損傷度合いを見た目ではなく

確かな数値として定量的に示す事ができればブリーチ剤等による損傷

の具合ブリーチ剤などの効き具合等が人それぞれに分かるようになる

のではと考える人それぞれに損傷具合が分かるという事は人それぞ

れの毛髪に対するケアーができ今後の毛髪損傷回復技術の発展にも微

力ながら役立つのではないかと考える

3

2これまでの毛髪評価方法

21 電子顕微鏡

毛髪表面状態の観察をするために用いられる

SEM を使用し毛髪表面状態の観察する事が多い

SEM とはセットした試料に大量の電子ビームを浴びせ試料から発

生する2次電子をセンサーによって読み取りその量の大小を画面に白

黒の濃淡で試料の表面形状を表示する仕組みとなっている

また毛髪が液体や気体(空気中の水分を含む)中で反応する際の寸法

変化を測定するのにも適している

顕微鏡法と呼ばれる手法により毛髪の直径を測定する事が可能で直径

D が明らかになる事により半径 r断面積 A体積 V表面積 Su が以

下の式によって計算できる

A=07854D2V=07854D2LSu=DπL

この顕微鏡法により測定した様々な相対湿度での人毛の長さ直径断

面積体積の変化を計算した表 21 を下に示す

表 21 人毛の寸法変化と相対湿度(RH)

  

表21 より相対湿度 RH が増加するにつれ長さよりも直径の増加率が

大きくそれに伴い断面積体積が増加していることが分かるつまり

毛髪は水分を吸収することによって長くなるのではなく太くなるとい

うことである

RH 吸収() 直径の増加率() 長さの増加率() 断面積の増加率() 体積の増加率()

0 0 0 0 010 23 056 47 5740 51 129 105 12260 69 153 143 16390 106 172 223 246

100 139 186 297 321

4

櫛どうりを良くする性質櫛どうりを悪くする性質

硬さ 曲率直径 静電気

摩擦

22 ESCA

ESCA とは Electron Spectroscopy for Chemical Analysis の略で固体

表面の数nm(数十原子層)の表面分析法である

真空中で固体表面にX線を照射するとX線によってエネルギーをも

らった表面原子から電子が飛び出すこの電子はX線などの光の照射

によって発生するので光電子と呼ばれておりこの光電子は元素に

固有のエネルギー値を有しているのでそのエネルギー分布を測定する

ことによって組成を調べることができる表面から深いところで発生し

た光電子は表面に出てくるまでに吸収されるためこの方法による分

析深さは平均的な表面層の数十原子層(3~5nm)の領域になる

毛髪においては数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性及び元素の

結合状態の変化を観察し損傷を推定する事が可能である

元素の結合状態を観察することから ESCA は化学的な毛髪評価方

法に近いと考えられる

23 動摩擦係数コーミングフォース

毛髪の櫛どうり性を評価する為の方法である

櫛どうりやすさに関係する毛髪の性質は摩擦係数毛髪の硬さ静

電気曲率半径直径長さなどが挙げられる

ブリーチ処理によって櫛どうりは悪くなるがブリーチ処理による曲

率の変化硬さ直径帯電性の変化はほとんど無いことから表22

からも分かるようにその最大の要因は摩擦の増加である

表22 櫛どうりに関わる性質

毛髪の摩擦係数測定にはドラム回転法が用いられており測定対象は

毛髪 1 本で毛髪の両端に等しい錘をつけ円筒(ドラム)上にかけ一

方の錘をねじり秤の上に置き円筒の回転により生ずる摩擦力を測定す

るという手法である

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 5: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

2

での毛髪損傷状態を定量化する目的に使用されていた摩擦力の測定がで

きる

その他に AFM により観測した表面形状を SPM のコンピュータによ

り表面粗さ解析ができ微細構造の変化を粗さパラメータによる数値と

して表示することができる

これらの表面形状摩擦力粗さパラメータを用いる事により微細

構造の変化を定量的に評価できるのではないかと考えた

よって本研究では損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での構造の変化を

SPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み微小領域を評

価領域とし全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする

SPM において毛髪の損傷を評価しその損傷度合いを見た目ではなく

確かな数値として定量的に示す事ができればブリーチ剤等による損傷

の具合ブリーチ剤などの効き具合等が人それぞれに分かるようになる

のではと考える人それぞれに損傷具合が分かるという事は人それぞ

れの毛髪に対するケアーができ今後の毛髪損傷回復技術の発展にも微

力ながら役立つのではないかと考える

3

2これまでの毛髪評価方法

21 電子顕微鏡

毛髪表面状態の観察をするために用いられる

SEM を使用し毛髪表面状態の観察する事が多い

SEM とはセットした試料に大量の電子ビームを浴びせ試料から発

生する2次電子をセンサーによって読み取りその量の大小を画面に白

黒の濃淡で試料の表面形状を表示する仕組みとなっている

また毛髪が液体や気体(空気中の水分を含む)中で反応する際の寸法

変化を測定するのにも適している

顕微鏡法と呼ばれる手法により毛髪の直径を測定する事が可能で直径

D が明らかになる事により半径 r断面積 A体積 V表面積 Su が以

下の式によって計算できる

A=07854D2V=07854D2LSu=DπL

この顕微鏡法により測定した様々な相対湿度での人毛の長さ直径断

面積体積の変化を計算した表 21 を下に示す

表 21 人毛の寸法変化と相対湿度(RH)

  

表21 より相対湿度 RH が増加するにつれ長さよりも直径の増加率が

大きくそれに伴い断面積体積が増加していることが分かるつまり

毛髪は水分を吸収することによって長くなるのではなく太くなるとい

うことである

RH 吸収() 直径の増加率() 長さの増加率() 断面積の増加率() 体積の増加率()

0 0 0 0 010 23 056 47 5740 51 129 105 12260 69 153 143 16390 106 172 223 246

100 139 186 297 321

4

櫛どうりを良くする性質櫛どうりを悪くする性質

硬さ 曲率直径 静電気

摩擦

22 ESCA

ESCA とは Electron Spectroscopy for Chemical Analysis の略で固体

表面の数nm(数十原子層)の表面分析法である

真空中で固体表面にX線を照射するとX線によってエネルギーをも

らった表面原子から電子が飛び出すこの電子はX線などの光の照射

によって発生するので光電子と呼ばれておりこの光電子は元素に

固有のエネルギー値を有しているのでそのエネルギー分布を測定する

ことによって組成を調べることができる表面から深いところで発生し

た光電子は表面に出てくるまでに吸収されるためこの方法による分

析深さは平均的な表面層の数十原子層(3~5nm)の領域になる

毛髪においては数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性及び元素の

結合状態の変化を観察し損傷を推定する事が可能である

元素の結合状態を観察することから ESCA は化学的な毛髪評価方

法に近いと考えられる

23 動摩擦係数コーミングフォース

毛髪の櫛どうり性を評価する為の方法である

櫛どうりやすさに関係する毛髪の性質は摩擦係数毛髪の硬さ静

電気曲率半径直径長さなどが挙げられる

ブリーチ処理によって櫛どうりは悪くなるがブリーチ処理による曲

率の変化硬さ直径帯電性の変化はほとんど無いことから表22

からも分かるようにその最大の要因は摩擦の増加である

表22 櫛どうりに関わる性質

毛髪の摩擦係数測定にはドラム回転法が用いられており測定対象は

毛髪 1 本で毛髪の両端に等しい錘をつけ円筒(ドラム)上にかけ一

方の錘をねじり秤の上に置き円筒の回転により生ずる摩擦力を測定す

るという手法である

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 6: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

3

2これまでの毛髪評価方法

21 電子顕微鏡

毛髪表面状態の観察をするために用いられる

SEM を使用し毛髪表面状態の観察する事が多い

SEM とはセットした試料に大量の電子ビームを浴びせ試料から発

生する2次電子をセンサーによって読み取りその量の大小を画面に白

黒の濃淡で試料の表面形状を表示する仕組みとなっている

また毛髪が液体や気体(空気中の水分を含む)中で反応する際の寸法

変化を測定するのにも適している

顕微鏡法と呼ばれる手法により毛髪の直径を測定する事が可能で直径

D が明らかになる事により半径 r断面積 A体積 V表面積 Su が以

下の式によって計算できる

A=07854D2V=07854D2LSu=DπL

この顕微鏡法により測定した様々な相対湿度での人毛の長さ直径断

面積体積の変化を計算した表 21 を下に示す

表 21 人毛の寸法変化と相対湿度(RH)

  

表21 より相対湿度 RH が増加するにつれ長さよりも直径の増加率が

大きくそれに伴い断面積体積が増加していることが分かるつまり

毛髪は水分を吸収することによって長くなるのではなく太くなるとい

うことである

RH 吸収() 直径の増加率() 長さの増加率() 断面積の増加率() 体積の増加率()

0 0 0 0 010 23 056 47 5740 51 129 105 12260 69 153 143 16390 106 172 223 246

100 139 186 297 321

4

櫛どうりを良くする性質櫛どうりを悪くする性質

硬さ 曲率直径 静電気

摩擦

22 ESCA

ESCA とは Electron Spectroscopy for Chemical Analysis の略で固体

表面の数nm(数十原子層)の表面分析法である

真空中で固体表面にX線を照射するとX線によってエネルギーをも

らった表面原子から電子が飛び出すこの電子はX線などの光の照射

によって発生するので光電子と呼ばれておりこの光電子は元素に

固有のエネルギー値を有しているのでそのエネルギー分布を測定する

ことによって組成を調べることができる表面から深いところで発生し

た光電子は表面に出てくるまでに吸収されるためこの方法による分

析深さは平均的な表面層の数十原子層(3~5nm)の領域になる

毛髪においては数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性及び元素の

結合状態の変化を観察し損傷を推定する事が可能である

元素の結合状態を観察することから ESCA は化学的な毛髪評価方

法に近いと考えられる

23 動摩擦係数コーミングフォース

毛髪の櫛どうり性を評価する為の方法である

櫛どうりやすさに関係する毛髪の性質は摩擦係数毛髪の硬さ静

電気曲率半径直径長さなどが挙げられる

ブリーチ処理によって櫛どうりは悪くなるがブリーチ処理による曲

率の変化硬さ直径帯電性の変化はほとんど無いことから表22

からも分かるようにその最大の要因は摩擦の増加である

表22 櫛どうりに関わる性質

毛髪の摩擦係数測定にはドラム回転法が用いられており測定対象は

毛髪 1 本で毛髪の両端に等しい錘をつけ円筒(ドラム)上にかけ一

方の錘をねじり秤の上に置き円筒の回転により生ずる摩擦力を測定す

るという手法である

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 7: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

4

櫛どうりを良くする性質櫛どうりを悪くする性質

硬さ 曲率直径 静電気

摩擦

22 ESCA

ESCA とは Electron Spectroscopy for Chemical Analysis の略で固体

表面の数nm(数十原子層)の表面分析法である

真空中で固体表面にX線を照射するとX線によってエネルギーをも

らった表面原子から電子が飛び出すこの電子はX線などの光の照射

によって発生するので光電子と呼ばれておりこの光電子は元素に

固有のエネルギー値を有しているのでそのエネルギー分布を測定する

ことによって組成を調べることができる表面から深いところで発生し

た光電子は表面に出てくるまでに吸収されるためこの方法による分

析深さは平均的な表面層の数十原子層(3~5nm)の領域になる

毛髪においては数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性及び元素の

結合状態の変化を観察し損傷を推定する事が可能である

元素の結合状態を観察することから ESCA は化学的な毛髪評価方

法に近いと考えられる

23 動摩擦係数コーミングフォース

毛髪の櫛どうり性を評価する為の方法である

櫛どうりやすさに関係する毛髪の性質は摩擦係数毛髪の硬さ静

電気曲率半径直径長さなどが挙げられる

ブリーチ処理によって櫛どうりは悪くなるがブリーチ処理による曲

率の変化硬さ直径帯電性の変化はほとんど無いことから表22

からも分かるようにその最大の要因は摩擦の増加である

表22 櫛どうりに関わる性質

毛髪の摩擦係数測定にはドラム回転法が用いられており測定対象は

毛髪 1 本で毛髪の両端に等しい錘をつけ円筒(ドラム)上にかけ一

方の錘をねじり秤の上に置き円筒の回転により生ずる摩擦力を測定す

るという手法である

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 8: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

5

20伸長にかかる力(g)

未処理毛 脱色毛

湿潤時 1667 701 58乾燥時(55RH) 3671 3380 8

この円筒を櫛とみなし円筒の材質を変えることにより様々な櫛によ

る櫛どうりの良し悪しが明らかとなる

また櫛どうりのよさ(ヘアケア)を考えた場合毛髪表面の摩擦係

数は大きなファクターとなり毛髪の湿潤状態における摩擦係数は乾燥

状態の摩擦係数よりも大きい(表 23-a)また特に摩擦を考えた場

合毛髪には方向性がある逆方向の摩擦係数は順方向の摩擦係数よ

りも大きくなりこの傾向は乾燥状態よりも顕著である(表 23-b)3)

表23-a 摩擦面材質(櫛の材質)と毛髪の摩擦係数 表23-b 毛髪の方向と摩擦係数

24 引っ張り特性

人毛の引っ張り特性を評価する一般的な方法は荷重-伸長法である

すなわち既知の長さ(通常 5cm)の毛髪を一定速度(025cmmin が適

当)で水中緩衝液中あるいは一定湿度(約 60RH)でインストロン

テスターのような自動装置によって延伸する方法である

引っ張り特性は表面特性とは異なり毛髪全体の特性であり毛小皮

に関係の無い毛皮質の特性であるScott は一定条件下で毛小皮を削り落

とした毛髪の引っ張り特性を調べ毛小皮が特性に寄与していないと結

論しているすなわち毛髪の引っ張り特性を左右するのは毛髪の構

造において大部分を占める毛皮質である

ブリーチ等毛皮質に影響を与える処理を施した場合毛髪の引っ張り

特性は表 24 の様に低下する

表 24 未処理毛脱色毛の引っ張り特性の変化

また応力緩和とは毛髪を一定の長さに延伸し処理しそして延伸

された長さに保ち時間による応力の減衰を追跡する方法であるこれ

動摩擦係数 μk

順方向 逆方向乾燥毛 012 014湿潤毛 019 025

動摩擦係数 μk

硬質ゴム ナイロン アルミニウム乾燥毛 019 014 012湿潤毛 038 022 018

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 9: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

6

も人毛の引っ張り特性を測定する方法の一つである

25 ねじれ特性

毛髪は普通コーミングブラッシングセットする際にねじられて

いる

ねじりに対する抵抗はねじり剛性率といわれ1cm 当り 1 回転のねじ

りを生ずるのに必要なトルクで表される

ねじり剛性及びねじり係数を求めるには幾つか方法があるが全てね

じり振子法に基づいており1 本の毛髪の端に小さな振子をつるし自由

回転させる方法である

ねじり係数 Et は振動時間(P)(通常 10~20 回の振動をとる)毛髪

の長さ(L)毛髪の半径(r)振子の慣性モーメント(I)により計算できる

パーマ処理毛と未処理毛のねじり特性についての Bogaty の結果を表

25 に要約してあるが処理毛の剛性率は低相対湿度で未処理毛より大

きくそして 90以上の相対湿度でより小さくなることが分かる

表 25 Bogaty のデータによるウェーブ毛と未処理毛のねじり係数

Etねじり係数

Et=8πILr4P

26 曲げ特性

毛髪の曲げ係数を測定する為種々の方法が考えられているなかで

も平衡繊維法は他の方法よりもばらつきが少なく最も扱い易い試験法

である

測定対象は毛髪 1 本で毛髪両端に小さな同じ荷重を与える毛髪を

細いワイヤーフックにつるし垂直に垂れた 2 本の毛髪間の距離 d を測

RH 未処理毛 ウェーブ毛()Et10-10dyncm2 Et10-10dyncm2

41 119 12558 106 11365 089 09981 073 07693 042 040

100 022 014

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 10: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

7

定しその距離が毛髪の硬さの指数硬さ係数 G となり下記の式より計

算できる4)   G=Td28

T はそれぞれ毛髪両端にかかる力でdyn(gtimes9806cmsec2)と表され

るまた曲げ弾性係数 EBもdより計算できる

EB=πTd22A2 A毛髪の断面積

これら電子顕微鏡動摩擦係数コーミングフォース引っ張り特

性ねじれ特性曲げ特性といった物理的手法による毛髪評価方法は

評価対象が毛髪 5cm~1 本といった大きな視点による毛髪の評価であ

り物理的手法による毛髪評価方法において評価領域がキューティクル

1 枚といった様なミクロな範囲の毛髪評価が可能なのはSEM による

表面構造観察だけであるが観察だけでは微小な領域を数値により定量

的に評価することはできない

また毛髪表面の硬さ摩擦等の変化に直接関わっているのは毛髪

表面に存在するキューティクルであるそれを考慮するとそのキュー

ティクル表面を数値によって定量的に評価することにより毛髪の表面構

造の変化すなわち損傷を評価することに繋がると考える

このことからもキューティクル 1 枚の範囲(ミクロな範囲)の表面

構造の変化を評価する意義があると考える

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 11: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

8

3 実験装置ならびに試験片

31 実験に必要とするもの

SPM

型番NV2000

特徴カンチレバー真上より光学顕微鏡観察ができる為サンプルの位

置決めやカンチレバーの調整を素早く正確に行う事ができる

ユニットの交換により AC-AFM 等の各種測定が行える

光学リニア補正機構によるデータ補正により歪みの少ない測定

結果が得られる

ホストコンピュータにワークステーションを使用する事で多彩

な画像解析やデータ処理が行える

光学リニア補正原理

ピエゾスキャナは非直線的な印加電圧変位特性を示し1

辺が 10μmを超える走査範囲の際は SPM 像が歪むそこで

XY 方向の変位を小型の光学式変位センサで検出し圧電体の

XY 走査をフィードバック制御して歪みを補正しているもので

ある

カンチレバー(2ch-SPM 用探針)仕様長さ 100μm幅 20μm厚さ

08μm探針形状 ピラミダル(四角錐)探針長 29μmばね

定数 037Nm先端径 20nm以下

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 12: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

9

毛髪(サンプル)20 代男性20 代女性30 代女性

超音波洗浄機

ブリーチ剤

成分エデト酸塩パラベン香料ステアリルアルコールポリ

エチレングリコールラウリル硫酸塩

試料台

両面テープ

カッター

ピンセット

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

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学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

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httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

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[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 13: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

10

32 SPM とは

SPM とは Scanning Probe Microscope の略で走査型プローブ顕微鏡

であるSPM は最初トンネル電流を検出する走査型トンネル顕微

鏡(Scanning Tunneling Microscope以下「STM」という)とし

て 1981 年に Binig らによって発明されたこの装置は大気中で原

子を観察できる画期的なものでノーベル賞を受賞した

しかしSTM は検出する物理量がトンネル電流のため観察する試

料には良好な導電体が要求される一般には導電体である試料でも表

面は絶縁体の酸化膜に覆われている場合が多くこの制限は意外に厳

しい導電性が良くない場合は表面に金や白金のコーティングを施

すが本来の表面状態を損うおそれがある

STM のこのような欠点を解消するためAFM が考案されたAFM

は観察したい試料とプローブとの間に働く力を検出する装置である

このため原理的には試料材質の制限はなく適用分野は飛躍的に

増大し現在 SPM の主流になっているその仕組みは物理量(例

えば力電流磁気など)を検出するプローブ(探針)を観察し

たい表面に極めて近接させたときその物理量が表面との距離によ

り鋭敏に変化することを利用し面像化する装置である本研究に用

いた AFMLFM はその一種である5)

これまでに AFM によって観測された毛髪画像を下に示す(図

31(a)(b) )6)

図 31(a)10 台女性 AFM 像 図 31(b)40 代男性 AFM 像

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 14: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

11

フォトディテクター

33 AFM

331 AFM の原理

AFM とは Atomic Force Microscopeの略で原子間力顕微鏡である

その仕組みは探針として非常にたわみやすいカンチレバーを用い

ているカンチレバーには先端半径約 20nm 以下の探針がありこ

れが試料表面と接触する反対側にはレーザーが当たっており反

射光をフォトディテクターで検出する機構となっている

この状態で資料を走査すると資料の凹凸に応じてカンチレバーのた

わみが増減し反射光の位置が変化するこれを一定に保つ為に資

料側のZ微動を上下させその上下量を画像化している

下にその図を示す(図 32)

図 32 AFM の原理

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 15: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

12

332 AFM の測定モード

コンタクトモード

短針と試料面に10-8N 以下の力で押し付けて探針から試料間の

斥力を測定する

しかし装置の設定荷重が0N(ゼロニュートン)であっても大

気中測定では探針が試料に触れているだけで試料には荷重がかかっ

ていると言われているその荷重をメニスカスフォースといい

10-7N 程度の力がかかっているとされている測定環境(湿度

温度)等により大気中の水蒸気が試料表面に吸着し試料表面に

形成されたコンタミ層の厚さが変化しそれに伴いメニスカスフォ

ースも変化するので10-7N というのはあくまでもおおよその値

とされている

メニスカスフォースはおおよその値と言われているだけで装置

が認識することはできない為である

よって実際に試料にかかる荷重というのはメニスカスフォースに

装置により設定した荷重が加わったものと考えるのが良いとされて

いる

ノンコンタクトモード

探針を試料から50nm 程度離して探針から試料間の引力を検出す

る引力の検出にはAC 検出方式を用いており非接触の為柔

らかい試料の検出に適している(AC 検出方式カンチレバーを共

振周波数付近で振動させ引力による振幅の変化を検出する)

サイクリックコンタクトモード

ノンコンタクトモードと同様に探針を試料間に接触する程度に近接

させ試料表面との間歇的な接触による振幅の変化量を検出する柔

らかい試料探針との相互作用が大きい試料の測定に適している

なお本研究の測定はコンタクトモードで装置設定荷重は5n

Nにて行った

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 16: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

13

34 LFM

341 LFM の原理

LFM(Lateral Force Microscopy)又は FFM(Frictional Force

Microscopy)は摩擦顕微鏡と呼ばれているLFMではプローブの横

方向(Lateral)にかかる力を映像化しており摩擦力の違いをとらえ

ると共に段差エッジを強調した画像が得ることが出来る

LFM は試料表面の凹凸に応じてカンチレバーが動きその動きに従

ってカンチレバーに当てられたレーザー光が反射してフォトディテクタ

ーに入る光量が変わり電流値の変化としてとらえられるAFM プロー

ブが横方向の力を受けカンチレバーがねじれるのでフォトディテク

ターに入るレーザー光の光量が相対的に左右で差が出てくるそれを

LFM 信号として映像化している実際4 分割されたフォトディテク

ターに入る信号は同時に検知されているので試料表面の凹凸像と LFM

像も同時に得ることができる

LFMは摩擦力顕微鏡と言われているが実際のところ「LFM

がいかなる物理量を測定しているのか」という問題を理論的観点から解

決する必要があると考えている

342 LFM の装置構成 (図 33)

試料を発振機により Y 方向に振動させるこの時のカンチレバーのね

じれ振動はAFM の4分割ディテクターで横方向の変位として検出する

カンチレバーのねじれ振動信号はマルチモジュレーションコントローラ

(ロックイン検出器)により振幅 A または AsinθAcosθのデータ

に変換されるXY スキャナにより資料面内を走査する事により摩擦

力分布を得ることができる表面形状(AFM 像)はディテクターの縦方

向変位の DC 成分を利用して同時測定する7)

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 17: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

14

図 33 LFM 装置構成

35 カンチレバー

351 カンチレバーとは

SPM において測定する際に走査させる部分でAFM や LFM に用

いるカンチレバーとしては Albrecht らにより提案された窒化シリコ

ン(SiN)製のマイクロカンチレバーが広く使われている短冊形状

のカンチレバーの自由先端には四角すい形状の探針が形成されてい

実際の AFMLFM 測定に関しては四角すい形状の探針の先端が

試料に接するように配置し使用される

カンチレバー材料として求められる事

データの再現性を考える際に再現性を落とす原因として測定中の

摩擦による探針形状の変化が挙げられる接触面積や探針の変形状

態が変化するため探針の磨耗の度合いによりレバー部のねじれが

変化するこの為にカンチレバーの探針は磨耗の少ない材料である

ことが望ましいまた今後の探針材料として有望視されている DLC

(Diamond Like Carbon)はSiN と同等かまたはそれ以上の

良好な磨耗特性を持つため期待されているDLC 探針を持つカンチ

レバーを作製するには膜質の安定化の他プロセス上の課題を解

決する必要があるとされている8)

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 18: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

15

Si

SiN

Si

ガラス

SiN

Si

ガラス

SiN

(図 34-a)

(図 34-d)(図 34-c)

(図 34-b)

352 SiN マイクロカンチレバーの作製プロセス

シリコンウェーハ上に短針の型(凹部)を形成する(下図 34-a)

この型にカンチレバーの材料となる SiN を堆積しフォトリソグラフ

ィーによりカンチレバーのレバー形状を形成する(下図 34-b)

一方でカンチレバーの支持部となるガラスを加工しカンチレバーが

形成してあるシリコンウェーハと接合する(下図 34-c)

最後に探針の型であるシリコンウェーハを溶かしSiN 製のカンチレ

バーをガラスの支持部に転写して完成する(下図 34-d)

このような作製法はシリコンウェーハを型材として微細な三次元構造物

を作成することからマイクロキャスティング法と呼ばれている

図34 マイクロキャスティング法によるSiNマイクロカンチレバーの作製プロセス

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 19: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

16

36 毛髪

361 毛髪の構造と性質

毛髪はφ50~120μm でケラチン蛋白の死んだ単細胞からな

っており損傷に対する自己修復機能は無く正常な人間では約8~1

0万本存在する成長速度は約11ヶ月である

毛髪の構造は図 35 のように大きく分けて三つの部分からなり

最外側をうろこ状あるいは屋根瓦状に覆っている毛小皮(キューティ

クル)その内側に毛髪の大部分を占める毛皮質(コルテックス)そし

て中心部には毛髄質(メデュラ)からなる毛髪の断面の形状はほと

んどの場合真円ではなく楕円形をしている

図 35 毛髪の構造

毛小皮

毛小皮は動物の毛髪内部の毛皮質を囲む化学的抵抗性の強い

層である上記にもあるように毛小皮は板状になったうろこ状の細

胞からなり厚さ約 05~10μm長さ約 45μmで各々の毛小皮

細胞は厚さ 50~250Åの薄い細胞外膜(上表皮エピキューティ

クル)に囲まれている一般に人毛の毛小皮は 5~10 層ありま

れには 20 層のものもあるまた毛小皮細胞の内部は 3 つの主要

な層に分かれており外側からシスチン含量の多いA-層外小

皮(exocuticle)内小皮(endcuticle)である

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 20: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

17図 36 毛根の構造

毛皮質

毛皮質は人毛繊維の大部分を占めており皮質細胞と細胞間結合物

質から構成されている皮質細胞の大きさは一般に約 1~6μm

長さ約 100μmであるまた皮質細胞はマイクロフィラメント

と呼ばれる紡錐型をした繊維状構造をしたものや核の残渣色素

顆粒から構成されている

毛髄質

人毛の毛髄質は一般に毛髪全体の数にすぎない毛髄質はまっ

たく存在しないか毛軸に沿って連続的または不連続に存在する

毛髄質細胞には隙間があり脱水和の過程で収縮し毛髪に沿っ

て一連の空洞を残す毛髄質は人毛繊維の化学的および機械的性質

にほとんど寄与しないと考えられている9)

362 毛根の構造

皮膚表面の下部は毛根でありそれは毛包の中に包まれている毛包の

基部には毛乳頭がある毛乳頭は新しい毛髪を生み出すための栄養を

運ぶ血流によってそれらを与えられている毛乳頭は毛髪成長のために

は非常に重要な構造であるなぜならそれは男性ホルモンつまりアン

ドロゲンの受容体を内に含んでいるからであるアンドロゲンは毛髪成

長を規制し頭髪においてアンドロゲンはこの種の脱毛を遺伝的にこ

うむりやすい個々人において毛包が次第に小さくなり毛髪がより細く

なるような変化を引き起こすのである(図 36)10)

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 21: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

18

363 毛髪の成長サイクル

毛包は繰り返すサイクルをもって成長する一つのサイクルは3つの

局面に分けられる

1)活動期 anagen---成長局面

2)移行期 catagen---移行の局面

3)休止期 telogen---休止の局面

それぞれの毛髪は近くに生えている他の毛髪とは独立にこれらの局面

を通過する

活動期---成長局面

どんな時期でも全ての毛髪の約 85が成長局面にある活動期

もしくは成長局面は 2 年から 6 年と差がある毛髪は 1 年間に約 10cm

成長しそしてどんな個々の毛髪も1メートル以上の長さに成長する事

はないようである

移行期---移行の局面

活動期の終わりになると毛髪は一週間から二週間続く移行期に入る

移行期の間に毛包は通常の長さの約16まで短くなる下の部分は

破壊されて毛乳頭は毛包からはなれて下部に残る

休止期---休止の局面

休止期は移行期に続いてやってきて通常それは5~6週間続くこ

の時期の間毛髪は成長せず毛乳頭が休止期にとどまっている間毛

髪は毛包にくっついたままである全ての毛髪の約 10~15がどんな

時期でも休止期のもとにある

休止期の終わりには毛包は再び活動期に入る毛乳頭と毛包の基部

はいっしょになり新しい毛髪が形成され始めるもし古い毛髪がまだ

抜け落ちていなかったならば新しい毛髪が古い毛髪を押し出すそし

て成長サイクルが再び全般にわたって繰り返される

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 22: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

19

364 毛髪の成分

毛髪の構成成分はほとんどがケラチンというたんぱく質でできている

たんぱく質は下図37に見るとおり約20種類のアミノ酸でできている

その中で特に含有率の多いシスチンというアミノ酸がケラチンをつくり

あげているということがわかるその他はメラニン色素水分脂質

微量元素などがある また毛髪主成分のケラチンタンパク質は20

種類のアミノ酸がポリペプチド結合した高分子化合物である

シスチンは硫黄(S)を含んでいるのが特徴で毛を焼くといやな臭い

がするのはシスチンが分解して生じた硫黄酸化物の臭いである

アラニン 38

アスパラギン酸 39

グルタミン酸 136

グリシン 41

イソロイシン 48

ロイシン 64

メチオニン 07

シスチン 147

フェニルアラニン 24

プロリン 43

セリン 106

スレオニン 85

トリプトファン 10

チロジン 22

ヴァリン 55

アルギニン 89

ヒスチジン 12

リチン 19

水分 10~15 メラニン色素 脂質微量元素

図 37 毛髪の成分 11)

ケラチン蛋白の成分

酸性

塩基性

中性

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 23: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

20

365 ブリーチのしくみ (図 38)

一般にブリーチ剤はアルカリ性酸化染毛剤を指しこのタイプの染毛剤

はほとんどがパラフェニレンジアミンのような酸化染料(染料中間体)

やアルカリを配合した 1 剤と過酸化水素水を配合した 2 剤がひとつのパ

ッケージに入っておりこの 2 つを混ぜ合わせ毛髪に塗布し使用する

アンモニア等のアルカリ剤はまず毛髪を軟らかく膨らませ過酸化水

素の分解を促進させる過酸化水素の分解によって発生した酸素が毛

髪の中にあるメラニン色素を酸化分解する

毛皮質(コルテックス)内部に存在するメラニン色素はもともと分子

量が大きく黒色から暗褐色であるが分解されると分子量が小さくなり

茶褐色に脱色されるこれがブリーチ作用であるアルカリ性酸化染毛

剤はこのブリーチ作用の強さを調節する事により元の髪よりも明るい色

に変える事が出来る

図 38 ブリーチ作用

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 24: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

21

366 ブリーチ剤の成分

エデト酸塩(変質防止剤)

皮膚や粘膜目への刺激性ぜんそく発疹などのアレルギーの原因

となる口から入ればカルシウム欠乏症を招き血圧降下腎臓障害を

起こす12)

パラベン(殺菌防腐剤)

皮膚障害等のアレルギーの原因になっている13)

ステアリルアルコール(乳化安定剤)

アルコールの一種(固形)で炭素数18が主であるまた界面活性

の作用は無いが界面活性剤と用いると水にも油ににも親しみやすく

なるので製品の安定性を増す効果が期待できるクリーム乳液やリ

ンスなど幅広い製品に使用されているが皮膚に弱い刺激がある14)

ポリエチレングリコール(溶剤湿潤剤)

皮膚毒性は弱いが飲みくだすと肝臓腎臓障害を起こす発ガン促

進作用がある15)

ラウリル硫酸塩(界面活性剤)

脂肪を除去するため皮膚が乾燥し荒れる 16)

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 25: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

22

4実験方法

3 つの資料をそれぞれ普通の状態(未処理毛)市販のブリーチ剤(毛

髪を脱色させるもの)にてブリーチさせた(ブリーチ処理毛)の 2 種

類を作り計6つの資料にする

6つの毛髪を傷つけない程度の出力で水中において 5 分間超音波洗

浄にかけ洗浄し毛髪表面についたごみや油分を取り除く

サンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載

せ 20μm四方(ある程度毛髪形状を把握できる範囲)を AFM で観測す

るその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μ

m四方(おおよそ毛髪表面に露出しているキューティクルの長さ)の

部分について観測を行う

なお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方双方の画像にフィッティング処理を

施し毛髪の曲率を除いて平面化させ面粗さ解析を行いAFM 像

での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

注意点測定ではミクロ単位での傷が測定される為サンプルに傷

を付けないように毛髪をピンセットで挟む際には測定では測

らない個所を挟む事

超音波洗浄は出力を強くするとそれにより毛髪を傷める恐れ

があるので注意する事

毛髪が水分を吸収する事でキューティクルが開き表面形状

が乾燥時と異なるまた毛髪が水分を吸収する事によって表

面の摩擦も異なってくる為毛髪を超音波洗浄した後は十分

に毛髪を乾燥させる事

室温や湿度によって毛髪の状態が変化するので一定条件の

下に行う事

SPM は精密機械なので取り扱いは慎重におこなう

カンチレバーは特に壊れやすいので特に注意が必要

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 26: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

23

2ch-SPM(AFMampLFM)

1除振台の調整 除振台の四隅が均等に浮いているか確認する

2装置の電源ON コンピュータを除くすべての装置の電源をONにする

3コンピュータの起動 コンピュータの電源をONしConsole Loginが表示されたのを確認しspmと入力する次にシステム管理のプルダウンメニューから2ch-SPMを選択するとソフトウェアが立ち上がる

4サンプルの確認 カンチレバー調整ユニットを引き抜きサンプルをセットする

5カンチレバーの位置調整

カンチレバー調整ユニットを差し込む前後水平調整つまみによりカンチレバー背面にレーザのスポットが当たるようにカンチレバーを移動させる変位出力モニターの値が0mAになるように上下移動つまみを調整するこのときレバーポジションつまみは中間値にしておく

6サンプルの位置決め レバーポジションつまみをゆっくり時計回りに回しカンチレバーを退避させる  ジョグシャトルによりサンプルを上下させ光学顕微鏡のピントを合わせジョイスティックにより位置決めを行う サンプルを少し下げレバーポジションつまみをゆっくり回し変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

7カバーのセット 外乱が問題になる場合には測定カバーユニットを装着する 再度レバーポジションで変位出力モニタの値を-02mAに合わせる

8条件の設定 コンピュータ画面により測定条件を設定する

9アプローチ コンピュータ画面によりサンプルのアプローチを行う

10スキャン コンピュータ画面により測定を開始しデータを取り込む

11サンプルの取り外し コンピュータ画面によりサンプルをリリースしジョグダイヤルによりサンプルを充分下げサンプルを取り外す

12データの解析 取り込んだデータをコンピュータにより解析する

13データの保存 データをハードディスクまたはMO等に保存する

15コンピュータの終了 ソフトをEXITで終了しConsole Loginが表示されたのを確認した後shutと入力し処理が終了したらコンピュータの電源をOFFにする

16装置電源のOFF すべての装置の電源をOFFにする

41 SPM 操作方法

SPM 操作方法を表 41 に示す

表 41 SPM 操作方法 17)

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 27: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

24

42 SPM 測定設定条件

421 SPM 測定パラメータ

測定の際の設定について解説する

Scanner type現在取り付いているスキャナユニット名を表

示する

Area range現在設定されている走査領域を表示するWide

(広範囲走査)と Narrow(狭範囲走査)の2

つがある

XY servoリニア補正を行うか否かを設定表示する

ON 時は 01~100(秒1 ライン)の走査速度で使

用する事

Scan rate1 ライン往復する走査時間を設定表示する

走査速度により1 ラインの長さ(ドット数)が

変化する

001~01(秒1 ライン)未満の場合1 ラインの

ドット数 64

01~100(秒1 ライン)の場合1 ラインのドッ

ト数 512

但し2-chSPM 測定時は 01~100(秒1 ライン)

に設定し 1 ラインのドット数は512 固定である

Scan line走査ライン数(ライン1 画面)を設定表示する

Scan size走査範囲を設定表示する

Scan rotation 走査方向の回転を設定表示する90 度毎

の 回 転 が 可 能 ド ロ ッ プ ダ ウ ン リ ス ト

(090180270)が表示されるので使用する走

査方向を選択する

P-gain走査時のサーボゲイン(比例定数)を設定表示す

微細な箇所を見る場合には感度をよくする為にゲイ

ンを上げる

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 28: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

25

I-gain走査時のサーボゲイン(積分定数)を設定表示する

サンプルにより断面形状がエッヂの部分などで発進す

る事があるのでその際はゲインを下げる

サーボ積分定数を 0 に設定すると自動的にサーボ比

例定数も 0 となりサーボ OFF となる

Input走査時の信号取り込みモードを設定表示するドロ

ップダウンリストより使用する入力信号を選択する

TopographyスキャナのZ 方向の変位を読み込む

通常この変位信号が AFM 像となる

Torsionカンチレバーのねじれ測定モードLFM

測定時に使用する

LFM 測定時には走査方向を 90degに設定しかつ

LFM 用カンチレバーを使用する事

Data acquisition走査時の信号取り込みの方向を設定表示

する通常の測定は行きのデータ

(Forward)でデータを取り込むが帰り

(Reverse)で取り込む事により方向の違い

によるデータの変化を測定できる

LPF取り込みデータのローパスフィルタの ONOFF を設

定表示するマウスにより 10201002001K2KOFF

に設定する

HPF取り込みデータのハイパスフィルタの ONOFF を設

定表示するON にすると約 16Hz のハイパスフ

ィルタが作用する

Spring constantカンチレバーのバネ定数を示す

Load測定サンプルに対するカンチレバーの荷重値を設定

表示する

Thicknessサンプルの厚さを設定表示する

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 29: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

26

422 本研究 SPM 設定

測定は以下の設定条件表 42 にて行った

表 42 本研究 SPM 設定

測定条件 2ch-SPM

ch-1 AFM ch-2 LFMScanner type S100CArea range WideXY servo OnScan rate 10seclineScan line 128Scan size 20000nmScan rotation 90P-gain 30I-gain 35Input Topograp

hyTorsion

Dataacquisition

Forward Forward

LPF Off OffHPF Off OffSpring const 037NmLoad 50nNThickness 05mm

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 30: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

27

SPn山頂 SVn谷底

但し粗さ曲面の X 方向長さを LY 方向長

さを M粗さ曲面を y=f(xy)とする

43 粗さパラメータ

以下の 3 つのパラメータ特性より毛髪の損傷を評価できる可能性があ

ると考え解析を行った

SRq粗さ曲面の二乗平均値

2乗平均により毛髪表面の少しの尖りや凹みも強調されると考えられる

SRRz粗さ曲面の十点平均値

粗さ曲面の上位5点と下位5点の平均間隔の値であり目立った尖

り凹みについて明らかになると考えられる

Rkrクルトシス(尖り度)

振幅分布曲線が尖っているか潰れているか等の特徴をしめすパラメ

ータであるすなわち毛髪表面がざらついているか滑らかであ

るかをしめすパラメータになると考えられる

Rq二乗平均平方根粗

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 31: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

28

図 51-a 30 代女性未処理毛 図 51-b 30 代女性ブリーチ処理毛試料 1

図 51-c 20 代女性未処理毛 図 51-d 20 代女性ブリーチ処理毛試料 2

5実験結果

51 AFM 測定画像

20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し毛髪の曲

率を除いて平面化した AFM 測定画像を図 に示す

図 51‐a30 代女性未処理毛 図 51‐b30 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐c20 代女性未処理毛 図 51‐d20 代女性ブリーチ処理毛

図 51‐e20 代男性未処理毛 図 51‐f20 代男性ブリーチ処理毛

図 51-a と図 51-b を比較するとブリーチの影響が大きく現れ

キューティクル表面が荒れているのがみてとれる

図 51-c と図 51-d を比較すると試料 1 ほどではないがブリーチ

の影響が現れキューティクル表面が荒れているのがみてとれる

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 32: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

29

図 51-e と図 51-f を比較すると一見ブリーチ処理後のキュ

ーティクルの角がガタガタしており試料 1試料2と同様にブリー

チ処理後の方が傷んでいるようにも見えるがキューティクル表

面に注目するとブリーチ処理を施した方がなめらかになってい

るようにみてとれる

以上のような毛髪表面の微細形状の相違つまり損傷具合を評価

する為に 20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティク

ル 1 枚)の各データのパラメータ解析を行った結果を次に示す

図 52-(a)(b)

図 51-e 20 代男性未処理毛 図 51-f 20 代男性ブリーチ処理毛試料 3

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

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[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 33: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

30

SRRz Rkr SRq

5230

34523998

40163789

5429 78

46

52

53

47

42

- 90

10

110

210

310

410

510

610

4

5

6

7

8[nm]

3試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

52 20μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(a) 20μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 51 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

試料 1

観察結果では明らかにブリーチ処理後の方がキューティ

クル表面が荒れていた解析結果ではSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)は比較的対応がとれているもののRkr(クルト

シス)はブリーチ後値が小さくなっており実際の観察結果

と矛盾しているように思われる

試料 2

観察結果では試料 1 ほど明確ではないがブリーチ処理後

の方がキューティクル表面が荒れているのが分かった解

析結果でも SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇して

おり観察結果と比較的対応がとれているように思われる

試料 3

観察結果では試料 12 とは異なりブリーチ処理後のキ

ューティクル表面がなめらかになっていたしかし解析結果

では SRRzRkr 共にブリーチ処理後数値が上昇しており実

際の観察結果と矛盾しているように思われる

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 34: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

31

[nm]

267

408380342

729649

64

43 44

41

72

49

0

10

20

30

40

50

60

70

80

3

4

5

6

7

8

SRRz Rkr SRq試 料 3試 料 2試 料 1

未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

53 5μm 四方 AFM 測定結果

図 52-(b) 5μm 四方 AFM パラメータ解析結果

この結果と図 (a)~(f)の観察結果と対応させてみる

20μm 四方 AFM 測定結果とは異なり試料1~3 の表面観

察による表面粗さの違い

(試料 1 はブリーチ処理後キューティクル表面が非常に荒

れていた試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処理後

キューティクル表面が荒れていた試料 3 は試料 12 とは異

なりブリーチ処理後キューティクル表面が滑らかになって

いるようであった)

が SRRz(粗さ曲面の十点平均値)Rkr(クルトシス)の変化

量に明瞭に現れている他ブリーチにより受けた影響の程度

も定量的に把握できる結果となっている

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 35: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

32

図 53 LFM 電圧平均値

[m V ]

10 07 1069

2472

80 33

15 4310 81

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

試 料 3試 料 2試 料 1未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理 未 処 理 ブ リ ー チ 処 理

54 LFM 電圧平均

また5μm 四方を LFM で測定し平均値をグラフ化させた LFM

電圧平均値を図 53 に示す

LFM は摩擦力を測定していると言われており縦軸の mV が

大きくなるほど摩擦力が大きいとされている

図 53 を見ても分かるように試料 1 はブリーチ後表面の摩擦力

は非常に大きくなり試料 2 は試料 1 ほどではないがブリーチ処

理後の表面の摩擦力が大きくなっているまた試料 3 は試料 1

2 とは異なりブリーチ処理後の表面の摩擦力が小さくなりブリー

チ処理後の表面摩擦力が小さくなっている

すなわちキューティクル表面が滑らかになっている事を示してい

5μm 四方 AFM 測定結果(図 52-(b))同様試料1~3 の表面粗さ

の違いが明瞭に分かる他ブリーチにより受けた影響の程度も定

量的に把握できる結果となっている

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 36: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

33

6結言

以上の結果より粗さパラメータにより表面の微細な形状の違

いすなわち損傷を評価する場合20μm 四方においては毛髪全

体の損傷の程度を定量的に評価できないがキューティクル 1 枚

(5μm 四方)の微小領域を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十

点平均値)やRkr(クルトシス)というパラメータを用いる事

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事

が明らかとなった

またLFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性

があると考える

7今後の課題

本研究において SRRz や Rkr というパラメータを用いる事によ

り全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明

らかになったこの結果を用いて今後はその定量性を明らかに

させる事が必要となると考える

例えば1 人の毛髪を用いブリーチの程度を変えその損傷具合

の違いを数値により定量化させるなどサンプルを限定しそ

の毛髪に与える損傷を変化させる事によって毛髪損傷の程度の

定量性が明らかとなると考える

LFM によっても表面の変化を定量的に評価できる可能性がある

事からLFM 測定によって表示される数値の単位mV を N(ニュ

ートン)換算する方法を考える事も今後必要であると考える

毛髪損傷の程度が数値により定量的に評価できるようになる

という事は損傷だけでなく毛髪のケアーにも用いる事が可能と

なり損傷回復技術の一助となり得ると考える

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 37: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

34

参考文献

[1]日本化粧品技術者会誌 No11 p15 (1997)

[2]FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊号 No13 p152 (1994)

[3]トライボロジスト第39巻 1994 年第 6 号 P32

[4]クラーレンスRロビンス毛髪の科学(1982)フレグランスジャ

ーナル社

[5]佐藤 豊 愛知県工業技術センターニュース (1995)11 月号機械電

子部httpwwwairiaichi-iicorjpnewsnews9595113html

[6]朝日新聞科学今未来 (1994 1 6)

[7]セイコー電子工業走査型プローブ顕微鏡セミナー セイコー電子工業

[8]トライボロジスト第 42 巻第 11 号 P1(1997)日本トライボロジー

学会

[9]クラーレンスRロビンス毛髪の科学 (1982) P1~P17フレグ

ランスジャーナル社

[10]ヘアケアについてのページ

httpmemberstripodcojpginji_2haircarehtml

[11]毛髪研究のページ

httphome3highwaynejpconcepmouhatuhtml

[12]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[13]httpprettycoaraorjp~wadashokikenhtml

[14]httprabitthoopsnejp説ステアリルアルコールhtm

[15]httpwww2ubiglobenejp~shcsnkikenbusituhtml

[16]httpwwwpagesannetnejpitensiteihtm

[17]オリンパス NV2000 走査型プローブ顕微鏡取扱説明書 P5-1

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 38: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

35

付録 A

A-1 毛髪表面観察結果と SRRz 及び Rkr の変化

本研究結果より毛髪の損傷評価はキューティクル 1 枚(5μm 四方)

を評価領域としSRRz(粗さ曲面の十点平均値)やRkr(クルトシス)

により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性が明らかとなった

よってその結果をより確かなものにする為10 代男性毛髪7つを光学顕

微鏡にて観察し損傷の度合いにより順位をつけそれぞれについて 20μ

m 四方の AFM 観測を行い5μm 四方において粗さ表面解析を行い SRRz

及び Rkr を測定した本研究の結果が正しいものであれば損傷の程度に

従いSRRz 及びRkr の値が変化するはずである

結果を以下の表 A1 及び図 A1-(a)~(g) 図 A2 にて示す

表 A1 光学顕微鏡による観察結果

光学顕微鏡による毛髪の表面観察においてサンプル a が最も奇麗でサン

プル g が最も損傷していると判断し上記のような順位をつけた

順位 サンプル名 光学顕微鏡による観察結果

1 a 非常にきれい2 b 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい3 c 全体的にキューティクルの端が剥離している4 d キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている5 e キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している6 f キューティクルが剥離し損傷している7 g ひどく損傷している

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 39: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

36

図 A1-(a)~(g)は 20μm 四方 AFM 像であり高さスケールは 16μm である

図 A1-(a) サンプル a20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(b) サンプル b20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(c) サンプル c20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(d) サンプル d20μm 四方 AFM 画像

図 A1-(e) サンプル e20μm 四方 AFM 画像 図 A1-(f) サンプル f20μm 四方 AFM 画像

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 40: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

37

図 A1-(g) サンプル g20μm 四方 AFM 画像

表 A1(光学顕微鏡による観察結果)と図 A1-(a)~(g)を比較すると

それぞれ比較的対応がとれているように思われる

すなわち光学顕微鏡による観察と20μm 四方の AFM による毛髪

表面構造観察は同じような役目(マクロな視点からの毛髪損傷評価)

を果たしていると考えられる

これらの観察結果と次に示すサンプル a~g5μm 四方パラメータ解析

結果(図 A2)によって測定された SRRz 及び Rkr が対応していれば

研究結果と一致する事になる

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 41: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

38

図 A2 サンプル a~g5μm 四方パラメータ解析結果

観察結果ではサンプル a からサンプル g に移るにつれ損傷がひどくな

っていた

一方上記の図 A2 の SRRz 及び Rkr はサンプル b から c にかけて Rkr

が少し減少しているもののその他はすべてサンプル gに向うにつれSRRz

及び Rkr 共に数値が増加しておりキューティクル表面がざらついている

すなわち損傷している事が分かる

これらの結果からも見た目による表面損傷の程度を 5μm 四方すな

わちキューティクル 1 枚の微小領域を評価領域としSRRz 及び Rkr によ

って定量的に評価できる事が明らかであると考える

4109

5824

7991

1565

2531 26253011

567

607

672

400

329

353 3491000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

a b c d e f g

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

700

SRR zRKr

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 42: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

39

A-2 年齢による毛髪損傷の差

研究結果により得られた毛髪損傷評価方法を用い年を重ねるにつれ

損傷のは大きくなるのか検証を行った

男性のサンプルは 10 代 7 人40 代 3人50 代 2 人のサンプルを用い

女性のサンプルは 10 代 3 人30 代 3人40 代 2 人のサンプルを用いそ

れぞれのサンプルについて5μm 四方における SRRz および Rkr を測定

する(表 A1(a)(b))

その後それぞれの年代別に平均値をとり比較を行った結果を図 A3

に示す

表 A1(a) 男性の粗さ解析値及び年代別平均 表 A1(b) 女性の粗さ解析値及び年代別平均

男性

サンプル名

SRR z RKr

10代-1 2625 34910代-2 4109 56710代-3 2531 35310代-4 7991 67210代-5 5824 60710代-6 1565 32910代-7 3011 400

10代平均 3951 46840代-1 4939 48140代-2 5476 36640代-3 2776 975

40代平均 4397 60750代-1 5282 41850代-2 1752 518

50代平均 3517 468

女性

サンプル名

SRR z RKr

10代-A 1961 58410代-B 2409 31310代-C 2801 375

10代平均 239 42430代-A 4975 68430代-B 3123 50530代-C 3824 449

30代平均 3974 54640代-A 6049 37340代-B 3796 432

40代平均 4923 403

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 43: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

40

図 A3 年代別平均

上記のグラフを見る限り年を重ねるにつれ毛髪の損傷がひどくなると

いう事は言えない

その原因としてあげられる事は 3 点ある

それぞれのサンプル数が少なすぎる為正確な平均値とは言えない

同年代であっても付録 A-1 に示したように損傷の違いが生じて

おりその平均をとり年代別の平均として表す事が正しい手法で

あるのか

毛髪にはサイクルがあり毛髪は常に生え変わっているよって

年代に関わらず新しい毛髪が生まれてきているその事を考慮する

と毛髪は年を重ねるにつれ損傷具合がひどくなるという事は考

えられないと思われる

3951

4397

3517

239

3974

4923607

403

546

424468

468

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

5500

10 代 平 均 4 0代 平 均 5 0 代 平 均 1 0 代 平 均 3 0 代 平 均 4 0 代 平 均

[nm]

300

350

400

450

500

550

600

650

SRR zRKr

男 性 女 性

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 44: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

41

付録 B

日常生活における毛髪

髪の汚れ

髪の汚れには大きく分けて外からつく汚れと私たちの身体の中から出

る汚れがある

外からの汚れはほこりで自動車の排気ガスや微細な土ボコリ綿ボコ

リ油煙などいろいろなものがあるヘアスプレーやフォーム剤などの

頭髪化粧品も時間が経って性質が変わってしまうと外因性の汚れの一

種となりうるベタベタしたジェルやフォーム剤は空気中のほこりを髪

の毛にくっけてしまうありがたくない役目もしている

私たちの身体から出る内因性の汚れには皮脂や汗フケなどがある

私たちの皮膚には皮脂線と呼ばれる皮脂を分泌する器官があるが頭

皮にはこの皮脂腺が身体の他の場所よりも多く存在している皮脂の

分泌量も多く髪の毛が密生しているため頭皮はあぶらぽくなりやす

い場所である皮脂の中にはトリグセライドと呼ばれる成分があり特

にこのトリグリセイドが髪の毛のべたつきの原因のひとつになっている

皮脂の分泌には男性ホルモンが関係しており一般的に男性のほうが女

性よりも皮脂量が多くなっているまた新陳代謝の盛んな思春期は皮

脂の分泌量も多くそれだけ髪の毛や頭皮があぶらっぽくなりやすい

もう一つの内因性の汚れは汗で汗を分泌する汗腺にはエクリン汗

腺とアボクリン汗腺があり一般に汗と呼ばれているものはエクリン

汗腺から分泌されるエクリン汗腺は全身にありもちろん頭皮にもた

くさん存在している汗はその99パーセント以上が水分だが頭部

は髪の毛が密生しているので汗が蒸発しにくくむれたような感じにな

っなり汗の成分である塩分が残ったりする

フケも内因性の汚れの一つでこれは身体のあかと同じで皮膚の新

陳代謝によって一番外側の皮膚の細胞がはがれ落ちたものである

皮膚の表面にはわずか 02 ミリくらいの薄い表皮があり表皮の一番

下の基底層と呼ばれる部分ではたえず新しい細胞が作られている細

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 45: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

42

胞は次々と上の層に向かって押し出されやがて寿命を終え一番表面

の角質層からあかとなって身体からはがれ落ちていく頭皮では髪の毛

が密集していて細胞が固まってはがれ落ちることが多く目にとまるく

らいの大きさになったものがフケと呼ばれるものである

皮脂や皮膚の角質層は本来頭皮や髪の毛を保護する役割があり私た

ちの身体にとって必要なものであるが老化したり古くなって変質した

ものはトラブルの原因になるのでとり除く必要がある

髪の毛が汚れていると髪の毛がベタつくだけでなく頭皮のかゆみや

炎症を起こしてしまう光や微生物によって変質した皮脂が頭皮を刺激

して時には抜け毛の原因となることもある

シャンプー

髪の毛が汚れているとべたついてヘアスタイルがくずれやすくなり

頭皮のかゆみや炎症も起こす洗髪の目的は髪の毛や頭皮の汚れを落

とすことにある洗いたての髪の毛は美しくツヤがありヘアスタイル

も作りやすいが髪の毛が汚れてくるとツヤが失われヘアスタイルも

まとまりにくくなるだけでなくいろいろなトラブルや傷みを発生させ

る原因となる

シャンプーの良い条件は適度な洗浄性きめ細かな泡立ち洗髪後の仕

上がり低刺激性シャンプーは頭皮や髪の毛の汚れを落とし清潔に

保つことが基本性能なので適度な洗浄性は良いシャンプーの大切な条

件であるしかし洗浄力の強すぎるシャンプーや頭皮などに対する刺

激の強いシャンプーは良くない髪の毛に必要な皮脂をとりすぎると

髪の毛のパサつきや乾燥性のフケ発生の原因となる

自然の状態の髪の毛には油分が含まれているこの油分は湿り気や柔

軟性を与える外部からの有害物質や細菌の侵入を防ぐ体内からの水

分の放出を防ぐなどの機能があり髪を保護する大切なものであるし

たがって油分がなくなると枝毛抜け毛切れ毛の原因になりツ

ヤや弾力もなくなってしまうそして歳をとるにしたがいはげたり

薄くなっていくことになるところがシャンプーには合成洗剤に使わ

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 46: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

43

れている界面活性剤が含まれており界面活性剤はその強力な洗浄力

で頭皮や毛髪の油分を取りキューティクルを破壊してしまう

キューティクルは数層からなっている非常に薄い膜でその大切な役割

は髪の毛の内部の保護である正常な髪ではきちんとそろっている界

面活性剤入りのシャンプーを使っている人の場合はボロボロになってい

るケースが見られる大切な油分を汚れとして取り除いているためであ

シャンプーには泡立ちを作る増泡剤増粘剤紫外線吸収剤殺菌防

腐剤香料着色剤などが加えられている容器に表示されているアレ

ルギーを起こす可能性のある成分は殺菌防腐剤香料タール色素な

どだがどのような化学物質がどれほど配合されているかは分からない

リンス

リンスは髪毛にはいいが頭皮にはよくないリンスの成分が頭皮の炎

症を起こすことがあるからであるリンスはシャンプー後の髪になめ

らかさを与えしっとりさせるためのものである

カチオン界面活性剤と高級アルコールが形成するゲルのなかに油分を配

合しているカチオン界面活性剤は毛髪に吸着し摩擦を少なくしい

ったん吸着したカチオン界面活性剤や油分は単なる水洗いでは落ちな

いつまり界面活性剤や油分がずっとついたままである

油分は毛髪になめらかさを与える効果が高いシリコーン油が用いられ

ているシリコーンはケイ素を含む高分子化合物化学反応を起こしに

くいため医療品や電線の絶縁剤などに使われてきたしかし胸を豊

かにする手術でシリコーンを埋め込んだあと皮膚や関節が硬くなり痛

みが起きた女性が増えガンや免疫異常を引き起こす恐れも指摘されて

いるアメリカでは食品医薬品局が92年に臨床試験以外の使用は認

めないと決定し製造中止となった

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 47: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

44

整髪料

ヘアスタイルを整えセットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本

来の目的であるが同時に毛髪に油分水分を与えて健やかに保つこと

ができればそれにこしたことはないそのための整髪料にはセット力を

高めるためポリビニルピロニドンなどの水溶性高分子化合物が油分と

してエステル油などがまた水分を保つためにグリセリンなどが配合

されている

整髪料には油性整髪料のヘアオイルポマード乳化整髪料のヘアクリ

ーム液体整髪料のヘアリキッドなど多くの種類があるが実際にはヘ

アクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれている女性が主に

使用している整髪料には泡状のムースタイプ霧状のミストタイプなど

がある18)

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 48: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

45

付録 C

もう一つの櫛どうりの良さ測定法

櫛どうりが良いということは毛髪の表面のいろいろな条件によって

決められる

キューティクルがきちんと並んでいて損傷が無ければ健康であるとい

うことで損傷が大きいほど傷んで摩擦抵抗が大きくなるこのような

状態は毛髪表面のキューティクルが粗くなっている

1枚のキューティクルの長さは80~100μ厚さは05~1μ

で毛幹の外周の12~13を包み1枚のキューティクルはさらに

三層に分かれており外側から親油性でアルカリに強い厚さ約 25Åのエ

ピキューティクル(上小皮)中間的な性質のエキソキューティクル(外

小皮)一番内側の親水性でアルカリに溶けやすいエンドキューティクル

(内小皮)に分かれている

外から見える部分は約20前後で水やアルカリを作用させると

内側のエンドキューティクルの方が水やアルカリに親しみやすいのでよ

く膨れバイメタルのように外側に向かってせり出しキューティクル

が開く

残りの80前後は順次重なり合っているこのため毛の横断面を見

ると軟らかい毛は2~3枚普通は4~8枚硬い毛になると20~

25枚も重なっている

この表面のキューティクルが重なり合った蛇の腹のような紋様は指紋

のように一人一人違っているが2cmの間にある紋様の間隔を調べる

と健康な毛髪は細かくて数が多く損傷していると大きなものが多く

て数が少なくなっていたり剥がれてしまい皮質(コルテックス)が

むき出しになっている

この毛表皮が剥離すると皮質の損傷を招き毛髪の状態が悪くなる

櫛どうりは毛髪の損傷だけで決まるのではなく毛髪の横断面の形状

は真円に近いもの楕円形のもの扁平のものなどがありこの横断

面の最小直径を最大直径で割って100倍した数値を毛径指数(トロッ

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 49: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

46

ター係数)と言いこの指数が100であれば毛髪の横断面の形状は真

円であり指数が小さいと楕円から扁平と変化する

日本人の場合の毛径指数は75~85で比較的円形に近くニグロ

の場合は50~60で扁平となっている人種によって毛径指数に特

徴がありホッテントット 40~50エスキモー 77チベット 80欧米

人 62~72 のようになっている

当然櫛どうりは真円に近い直毛の方が良く縮毛球状毛になるに従

って摩擦抵抗が増すため悪くなっていくこの摩擦抵抗を調べるために

はある一定の数の毛髪をモーターで回転させるブラシでブラッシングし

ブラシにかかる力を測定するバネ計りの原理を応用し洗って自然乾

燥した毛髪を一定の回数ブラッシングをし( その時にかかる力timesブラ

ッシング回数 )で出し少ない方が摩擦抵抗が少ないということに

なる一般に抵抗は毛先側が大きくなるまたブラシのブリッスルの

材質によっても抵抗は違ってくる

また毛髪は湿度によって変化するので毛髪中の水分量や空気中の

湿度損傷の程度などによりキューティクルの開き方が変化するので

これらの条件を一定にして測定しなければならないそのほか毛髪の太

さパーマネントや染毛などの化学処理の有無や整髪料や汚れなどの

条件ブラシの材質などによっても変化するのでこれらも一定にしな

ければならない19)

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 50: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

47

付録 D

原子間力顕微鏡への期待

 1986 年に発明されたAFMは1995 年に非接触領域での微弱な引力

測定を超高感度な周波数変調(Frequency Modulation FM)検出法を

用いて超高真空中で行うことにより真の原子分解能を達成した現在

原子の間に働く相互作用そのものである力(原子間力や分子間力)を原

子レベルで計測する事(原子間力分光)と原子間力や分子間力を制御

する方法を開発することが次の課題となってきている平成11年度か

ら発足した特定領域研究「原子分子のナノ力学」の研究目的は(1)原子

間力や分子間力を原子レベルで計測する方法(原子間力分光法)の研究

(2)AFMテコの探針先端の原子を置換したり分子を化学修飾したりして

探針と試料表面の間に働く原子間力や分子間力を制御する方法の研究

(3)上記の二つの方法を用いて原子間力や分子間力の同定や原子や分子の

判別を行う方法の研究(4)上記三つの方法を原子や分子や生体高分子へ

応用する方法の研究等の「力学的方法に基づいた原子分子技術を開拓」

する事である

AFMではまだ個々の原子や分子を動かしたり組み立てたりする事

には成功していないしかしAFMには絶縁体も見える扱える

原子間力が測定できる等のデバイス作製評価上重要な利点があり産

業的にも今後の更なる発展が強く期待されているつまりAFM は「第

二世代」の《原子分解能顕微鏡》であり原子間力が測れる「第二世代」

の《原子分解能計測装置》でもあり将来「次世代」の《原子分子マ

ニピュレータ》に発展する事が期待されている特に特定領域研究の

推進により原子間力や分子間力の分光や制御が可能となれば将来

AFMにより絶縁体も含めた様々な原子や分子の操作組立が再現性良

くかつ定量的に行えるようになる可能性がある

「原子分子の科学と技術の時代」に必要な微細組立方式の実現には

多様な原子や分子を扱う様々な機能を持つ多種類の工具が必要となる

現時点の『原子分子用工具箱』にはほぼ完成された走査型トンネル

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 51: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

48

顕微鏡(STM)と黎明期を脱した原子間力顕微鏡(AFM)が入って

いるが今後の更なる研究開発が必要となっている特定領域研究の

研究目的は原子分子用工具としてのAFMに原子間力や分子間力の

分光や制御の機能を持たせることである20)

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 52: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

49

付録 E

これまでの研究データ

AFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 8487 11090 81720 32920 48800 35060 9 6 -118 1193

2 9259 12080 89700 33630 56060 44220 11 11 -059 8753 8292 10330 67470 30780 36690 40110 7 10 -013 7404 9896 13130 97720 32290 65420 46480 20 26 -065 5875 8546 11420 84490 28310 56180 38260 13 23 -139 13216 8774 11760 116200 73540 42690 46600 14 12 -072 8077 10890 14720 115800 42300 73450 47470 14 22 -086 718

8 7331 9763 78680 31100 47580 37260 9 10 -057 7249 7127 8799 62840 30860 31980 47450 11 8 052 59410 6870 8976 87750 51180 36560 52000 38 24 -017 60611 8568 11900 95200 40070 55140 32570 5 14 -061 92812 7713 10540 87560 36620 50930 42800 34 14 -113 95013 7938 10790 75890 30730 45160 34510 5 7 -121 99414 10460 12970 94050 37470 56580 49820 7 18 -106 820

15 10920 14080 107700 53960 53760 42170 9 12 -047 52516 7612 9884 74330 37180 37150 52810 16 21 -003 47317 6236 8300 67290 21980 45310 46820 18 24 026 56518 11800 15400 104700 36280 68390 48500 22 17 -042 65219 7676 9883 73480 29290 44190 40600 9 11 -059 80520 9655 12860 95570 43600 51970 49370 28 16 004 688

21 11920 15630 112600 41290 71300 56660 13 14 -026 73622 9975 12790 94170 36020 58150 52510 10 23 -015 63423 8111 10780 86850 36630 50220 - 4 15 -078 89524 13800 17870 132900 46910 85990 57100 15 33 -019 50425 10170 13620 101300 45880 55460 49650 9 25 -089 88826 14370 19340 133600 68370 65210 60650 6 15 -094 733

27 10360 13980 160700 99830 60890 66730 17 37 137 135728 12220 16370 117500 39770 77730 53500 20 30 -084 70229 8797 11850 87430 28610 58820 - 2 9 -157 115730 8905 11720 94330 31770 62560 43860 6 8 -061 92831 8066 10920 86880 33950 52920 42780 8 19 -092 96632 8604 11020 7707 36860 40210 53230 29 22 084 124333 7933 10520 10830 63280 45010 56360 67 53 017 517

平均 9312 12275 90453 41311 54196 47352 1530 1845 -048 813

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 53: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

50

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 679 918 7189 1774 5416 1830 9 9 -090 632

2 558 755 6547 1583 4964 2553 11 26 -131 8663 419 597 7250 1959 5291 2725 21 35 -026 4344 876 1187 10590 4558 6031 6492 10 10 -018 4375 866 1302 13490 6959 6528 6209 21 25 -02 6886 740 1087 10337 2314 8051 4152 15 40 -048 4757 786 1042 8490 2686 5804 3313 5 9 -016 3638 687 982 12610 5322 7291 6596 5 18 -046 847

9 466 648 15970 3206 12770 5697 14 20 -049 70310 868 1352 22600 17570 5037 8489 30 20 074 69111 1131 1505 10530 3838 6696 3879 12 11 -079 69112 610 835 12950 7978 4975 6903 18 20 013 61413 560 787 5541 1431 4110 2648 15 35 -121 80014 832 1199 17050 7828 9225 7743 10 12 -085 955

15 1100 1513 11300 4400 6901 4708 7 15 -056 72116 904 1308 16640 11470 5161 5027 21 27 -038 61117 724 1011 11100 2838 8264 4157 9 13 -058 70918 865 1237 11300 5499 5802 4360 10 11 -031 53219 479 651 7634 2590 5044 3117 19 33 -047 60520 644 844 7892 4322 3571 4184 9 13 -001 45521 1243 1754 15970 5710 10260 - 3 16 -053 639

22 831 1160 15290 4466 10820 6797 5 13 -030 49523 604 892 9917 2734 7183 3887 8 17 -036 97224 1042 1413 12660 6660 6003 6299 37 50 -068 62125 696 962 9782 4721 5061 4323 20 24 -014 43026 921 1208 8547 2780 5767 - 5 11 -081 57027 1348 2016 27430 17630 9806 12950 9 10 -009 649

28 1199 1583 14910 5903 9010 - 2 11 -093 80529 414 653 7775 3283 4491 4596 47 33 -149 84130 711 927 6597 2678 3918 4722 5 15 -025 74631 986 1359 11960 2938 9018 - 3 18 -112 76632 1188 1570 15330 7610 7717 6078 7 7 -045 86333 1511 2037 28970 17580 11390 14230 8 13 028 1017

平均 833 1160 12489 5601 6890 5471 1303 1939 -047 674

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 54: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

51

LFM

WIDE(20000nm20000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 1371 2395 30890 23410 7482 26030 353 196 087 8832 287 446 7790 6494 1296 4193 1047 789 045 6583 3380 6164 81030 55090 25930 61390 628 246 130 9344 552 677 6863 3803 3059 4838 323 262 -014 4145 2442 3204 33220 20470 12750 23690 189 193 004 467

6 2443 4099 60080 41710 18370 47460 645 370 044 5717 1083 1983 33550 25580 7972 24870 984 430 683 15198 514 1082 19390 14660 4734 15170 1399 375 172 12799 650 1308 17030 13730 3295 15540 1036 440 187 140810 685 999 14170 10220 3951 11880 663 535 062 53711 2154 2983 37660 23440 14220 24880 184 115 043 535

12 595 1208 20680 16720 3961 18110 1237 456 134 104713 004 009 627 586 042 210 530 363 205 187514 913 1736 29810 24640 5171 23690 903 203 224 145515 2724 4572 7411 5994 14160 49670 423 254 053 60716 700 1129 18460 14820 3636 16530 361 297 092 71417 2383 3714 81470 55750 25720 69470 626 410 056 697

18 004 007 137 072 064 113 474 271 097 69919 472 888 14720 11770 2946 12020 477 255 137 116620 3147 5553 67540 51240 16300 59700 693 252 071 100521 007 012 228 072 156 148 302 645 -074 78722 005 008 117 074 004 102 574 216 118 88123 1360 2450 39260 29740 9513 33450 860 575 240 199524 007 009 097 050 047 080 1850 839 004 249

25 550 1059 32330 29410 2913 22820 1099 823 162 111326 2460 3915 55110 43530 11580 43320 585 325 057 58527 425 571 11710 9485 2226 6812 897 677 055 72128 924 1615 30090 19840 10260 25360 1170 362 097 80429 2307 3420 68000 37070 30930 49760 295 291 066 68530 1578 2468 32390 20460 11930 27070 318 200 048 577

31 1375 2079 30910 20830 10080 27780 1572 1209 059 65332 1644 2874 44420 10560 33850 38180 256 856 -081 98733 007 011 161 082 079 147 1313 454 001 736

平均 1186 1959 28102 19436 9049 23772 73533 42982 099 886

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 55: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

52

ZOOM(5000nm5000nm)

サンプル名

SR a SR q SR y SR p SR v SRR z SR pc SR vc Rsk RKr

1 291 386 3796 2126 1669 2115 71 62 -038 3892 110 138 1225 585 640 1053 196 190 -030 349

3 783 983 7772 4464 3308 6866 73 80 -009 3014 135 1838 2345 1332 1013 1534 51 70 -065 3955 5377 7022 1336 7715 5644 7379 35 45 -005 556 6313 8263 789 3441 445 6478 63 60 013 427 269 340 4841 2325 2516 3014 136 119 -009 3338 147 195 4497 2675 1822 2365 149 154 0 3839 171 270 8372 7221 1151 3202 161 136 -019 385

10 240 315 4182 2190 1992 2695 149 131 -037 55811 7477 9151 6671 3463 3208 4105 23 20 -013 49212 224 316 7673 5291 2382 4176 137 83 009 44313 001 001 008 004 004 007 116 85 -003 31014 167 375 11470 10470 999 3905 194 165 -029 33615 8273 106 1148 5336 6146 8721 42 38 -016 412

16 1831 2385 4452 3439 1013 2131 45 61 -006 71417 1445 1744 12710 7353 5361 9347 67 34 001 25818 001 002 031 013 018 018 105 57 -024 39819 09541 1316 308 2551 5292 1374 69 70 -049 42420 7179 1023 1593 6645 9282 1081 49 37 033 61121 002 002 044 018 026 026 89 77 -080 99222 001 002 049 038 011 020 97 68 010 498

23 315 396 3660 2011 1650 3035 115 111 -011 29924 006 007 042 023 019 036 119 122 -004 28325 171 2226 3237 1946 1291 2165 188 168 -001 32826 719 930 7422 4123 3299 6087 127 100 -010 38627 205 268 3185 2021 1164 2539 179 108 -007 39928 324 542 13480 6754 6724 6826 171 115 004 606

29 647 852 7638 3913 3724 5980 71 104 018 48630 284 3772 4302 2291 2012 2995 66 54 -04 39231 755 914 7118 3238 3880 6077 78 65 -004 33132 667 968 11300 6054 5251 8664 117 110 023 51733 002 005 122 060 062 080 192 166 049 636

平均 358 534 5860 3368 2493 3813 10727 9288 -011 443

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 56: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

53

サンプル名

性別 年齢 毛髪の硬さ

ドライヤー使用時間

直射日光にあたるか

ブリーチパーマ

1 女 10歳未満

柔らかい 0~5 あたる なし

2 女 10代 普通 0~5 あたらない なし3 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし4 女 10代 普通 0~5 あたらない なし

5 女 10代 普通 0~5 あたる ブリーチ6 女 10代 柔らかい 0~5 あたる なし7 男 10代 硬い 0~5 あたらない なし8 男 10代 普通 0~5 あたる なし9 男 10代 硬い 0~5 あたる なし10 男 10代 柔らかい 0~5 あたらない なし

11 男 10代 普通 0~5 あたらない なし12 男 10代 硬い 0~5 あたる なし13 男 10代 硬い 0~5 あたる なし14 女 20代 硬い 15~20 あたらない カラーリング15 女 20代 硬い 5~10 あたらない 縮毛矯正16 女 20代 柔らかい 0~5 あたる パーマ17 女 30代 柔らかい 0~5 あたる なし

18 男 30代 普通 0~5 あたらない なし19 女 30代 普通 0~5 あたらない なし20 女 30代 普通 0~5 あたる なし21 男 40代 硬い 0~5 あたらない なし22 男 40代 普通 0~5 あたる なし23 男 40代 普通 0~5 あたらない なし

24 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない なし25 女 40代 硬い 15~20 あたる なし26 女 40代 柔らかい 0~5 あたらない パーマ27 女 40代 柔らかい 6~10 あたる 毛染め28 男 50代 柔らかい 0~5 あたらない なし29 男 50代 普通 0~5 あたる なし30 女 60代 普通 0~5 あたる 毛染め

31 男 70代 硬い 0~5 あたる なし32 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ33 女 70代 普通 0~5 あたる パーマ

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 57: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

54

サンプル名 いたわっているか 整髪料 見た目

1 いない なし 非常にきれい2 いない なし 非常にきれい3 いない なし 毛髪全体がガサガサしている4 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

5 いない ワックス キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい6 いない なし 毛髪全体がガサガサしている7 いない ジェルワックス 全体的にキューティクルの端が剥離している8 いる なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサつき損傷している9 いる なし 所々にガサつきやキューティクルの剥離はあるがきれい10 いない なし ひどく損傷している11 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている

12 いない なし キューティクルが剥離し損傷している13 いない なし 非常にきれい14 いる ワックス キューティクルが剥離し損傷している15 いる なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている16 いない ワックス ひどく損傷している17 いない ムースワックス キューティクルの端が剥離しガタガタになっている

18 いない なし キューティクルが剥離し損傷している19 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている20 いない なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している21 いる ジェル キューティクルの端が剥離しガタガタになっている22 いない なし キューティクルの端が剥離しガタガタになっている23 いない ジェル 表面がざらついているキューティクルの剥離はそれほどない24 いる その他 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

25 いる なし ひどく損傷している26 いる なし キューティクルの端が剥離し少し損傷している27 いない ミスト キューティクルの端が剥離しガタガタになっている28 いない リキッド キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている29 いない なし キューティクルが所々剥離し全体的にややガサついている30 いない なし キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい

31 いない なし 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい32 いない カラースプレー 白髪 キューティクルの端が剥離しているがそれ以外はきれい33 いる なし ひどく損傷している

これらのデータはサンプルにばらつきがありすぎ一貫性が無く本

研究に使用できなかったものである今後の研究の一助となればと思い

付録として掲載したものである

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

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試料2

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SR q SRR z Rsk Rkr

000

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未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

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200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 58: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

55

付録 F

LFM 信号

LFM 測定では一定の荷重値の元でカンチレバーの張り出し方向(X 方

向)と垂直な方向(Y 方向)に試料を走査するこの時試料と探針の間

に働く摩擦力によってカンチレバーがねじれるこのカンチレバーのね

じれ傾き角に比例する信号を LFM 信号あるいは Torsion 信号と呼んで

いるこの LFM 信号を測定する事で摩擦力を測定する事が可能とな

ここで摩擦力の定量化には2つの段階がある第 1 段階は摩擦力の大

きさとカンチレバーの傾く角度の変換(Nrad)である第 2 段階とし

て傾き角と検出信号の変換(Vrad)である

第 1 段階の摩擦力 vs 角度変換はカンチレバーの構造探針形状セ

ンサービームの位置などによって異なる為シュミレーションなどによ

りモデル化が必要である

一方第2段階の信号 vs 角度についてはNV2000 の変位センサーは

臨界角合焦検出方式を用いた ZP センサーを用いているこのためカン

チレバーの Z 方向の変位量と独立にカンチレバーの LFM 方向の傾き

角を検出できる

LFM の校正方法

LFM 信号の校正には図 F1のような曲率半径 Rf の円筒型ミラーが用

いられる

このミラーは例えば光ファイバーのガラス部分を抜き取り洗浄した上

で金属コートをして作成する事が可能である

円筒型ミラーの中心軸をカンチレバーの張り出し方向に一致させてお

きセンサービームを円筒型ミラーの最上部にあわせるこの後 ZP セ

ンサーの出力信号が0V となるようにサーボ動作を行いながら円筒形

ミラーを Y 方向に走査する円筒形ミラーは連続的に Y 方向の角度が変

化していくために走査距離から反射面の角度を見積もる事が可能となる

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 59: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

56

図 F1 校正用円筒型ミラー

例えば図 F1 のような円筒型ミラーで走査距離が 06μm だったとき

に LFM 信号の変化量が 265V だったとすると LFM 信号ゲインは以下

のようにして換算される

円筒型ミラーの曲率半径を Rf走査の距離を Ys とするとそのビーム

位置での角度θは

θ=sin-1(YsRf)=sin-1(06625)=055[degree]=00096[rad]

となるこの時の電圧変動が 265V であるから LFM ゲインにすれば

LFM ゲイン=VLFMθ=482[Vdegree]=276[Vrad]

となる

LFM 信号の角度換算

ここで LFM 信号は現在電圧で表示されており摩擦力見積をするた

めには角度の換算が必要になるこれには LFM ゲインの逆数を用いた

方が便利である

たとえば上述したセンサーゲインでは 1LFM ゲイン=0208[degreeV]

=00036[radV]

になる21)

Ys

θ=Sin- 1(Ys Rf)

円筒型ミラー曲率半径Rf

Y方向

57

付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

58

5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

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付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 60: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

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付録 G

発表用前刷りを次ページに掲載する

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5μm四方測定結果

000

10000

20000

30000

40000

50000

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未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 61: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

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5μm四方測定結果

000

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20000

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40000

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60000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

試料2

[nm

]

SR q SRR z Rsk Rkr

000

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

未処理 処理 未処理 処理

試料1

[nm

]

-100

000

100

200

300

400

500

600

700

800

試料2

SR q SRR z Rsk Rkr

20μm 四方測定結果

図 2 パラメータ解析結果

(d)試料 1 のブリーチ処理(b)試料 1 のブリーチ処理 (c)試料 2 の未処理(a)試料 1 の未処理

800nm 800nm 800nm800nm

SPM による毛髪の損傷評価の試み

1010197 原 将太

1緒言本来人間の毛髪は頭部を保護する為にあるものであるしか

し今日ではそのように考える事もほとんど無くファッションおしゃれの一部として考えられ毛髪の奇麗さが重要視されているその為人は皆トリートメント等を用いて髪の健康に気を遣い髪をいたわっている一方でブリーチやカラーリング等で毛髪を傷つけている

これまで毛髪の損傷について様々な研究がなされており評価方法は物理的手法と化学的手法の 2 つに大別される主な物理的手法として電子顕微鏡による毛髪表面状態の観察

ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)による数十Åの深さの毛髪表面における化学剛性および結合状態の観察動摩擦係数やコーミングフォースによる毛髪の櫛どうり性の測定毛髪の機械的性質の評価法として引っ張り特性ヒステリシス特性応力緩和ねじれ特性曲げ特性などがあげられる

また化学的手法としては損傷毛の Cu 吸着量の定量(Weber 法)毛髪のアミノ酸組成の分析などが知られておりこれらの測定方法については総説1)としてまとめられている

このように今まで多くの毛髪損傷診断技術が報告されているがこれらの評価方法は毛髪表面の状態と毛髪全体の静的弾性に関するものが多く毛髪の微細構造と損傷に関する研究は少ない 2)ここでは損傷に伴う毛髪表面の微小範囲での表面構造の変化を SPM(Scanning Probe Microscope)により解析し新たな評価基準による損傷評価を試みる

2実験装置および方法AFMとは原子間力を利用し試料表面の凹凸画像を検出す

る原子間力顕微鏡であるそのしくみは試料と探針とを nmオーダで近づけると両者の間に原子間力が働き探針試料間距離に応じて薄い板状のカンチレバーがたわむこのカンチレバーのたわみが一定になるように試料側の Z 微動を動かすことにより探針試料間距離を一定に保つことができるその後はXY スキャンにより試料間表面の凹凸像が得られるここでカンチレバーのたわみは光てこ方式と呼ばれる方法で検出しているレンズで絞ったレーザービームをカンチレバー先端に当てその反射光を二分割光検出器で受ける受光部でのレーザービームの動きはカンチレバーの変位の千倍以上に拡大されているのでカンチレバーの動きを高感度で検出できる

実験方法サンプル(毛髪)を傷つけない程度の出力で水中において 5

分間超音波洗浄しサンプルの水気を十分取り約 20 分自然乾燥させた後試料台に載せ 20μm四方を AFM で観測するその後測定画像中のキューティクル 1 枚に注目しその中の 5μm四方の部分について観測を行うなお一連の測定は室温約 26湿度約 20の下で行った

測定後 20μm 四方5μ四方の双方の面の粗さ解析を行い

AFM 像での損傷具合をよく表すパラメータを抽出する

3実験結果および考察

図 1 には 20μm 四方の形状データにフィッティング処理を施し髪の曲率を除いて平面化した AFM 像を示してある試料 1 と試料 2 のブリーチ前後の像の比較から試料 1 の方にブリーチの影響が強く現れキューティクル表面が荒れているのが分かる

この様な面の微細形状の相違(したがって損傷具合)を評価するパラメータを決める為に20μm 四方(測定面全体)と 5μm 四方(キューティクル 1 枚)の各データの粗さパラメータの解析を行った結果を図 2 に示してある

ここで SRq は粗さ曲面の二乗平均平均平方根値SRRz は十点平均粗さRsk は相対性Rkr はクルトシス(ゆがみ度)である

20μm四方のデータでは十点平均粗さが面の状態に比較的対応が取れていると思われるもののクルトシスは試料 1 の場合ブリーチ処理後小さくなり実際の観察結果と矛盾しているように見える

一方5μm四方での十点平均粗さとクルトシスには試料(1)(2)の表面粗さの違いが明瞭に現れている他ブリーチにより受けた表面損傷の程度も定量的に把握できる結果となっている

4結言

SPM(AFM)毛髪の損傷評価を試みた結果粗さパラメータにより表面の微細な形状の違い(損傷)を評価する場合キューティクル 1 枚の微小領域を評価領域とし十点平均粗さやクルトシスを用いる事により全体の損傷の程度を定量的に評価できる可能性がある事が明らかになった

文献1)日本化粧品技術者会誌1115(1997)

2)FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊 13 152 (1994)

図 1 試料 12 の AFM 像

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート

Page 62: SPM による毛髪損傷評価の試み - kochi-tech.ac.jpSPM により解析し新たな評価基準による損傷評価を試み、微小領域を評 価領域とし、全体の損傷を定量的に評価する事を目的とする。SPM

59

付録に用いた参考文献

[18]毛髪と頭皮についてのページ

httpwwwamyhi-honejp~worldikuriron-ahtm

[19]板羽忠徳全理連毛髪相談室相談員

[20]フォースプローブ法による原子分子の力学的分光と制御森田清三

httpwww-e2eleengosaka-uacjpNanoDynamicskaisetu_h12_4html

[21]オリンパス光学(株)NV2000 技術ノート