square - 第18 回...

20
18 回 北海道臨床工学会 The 18 th Congress of Hokkaido Association for Clinical Engineering Technologists プログラム・抄録集 (社)北海道臨床工学技士会

Upload: others

Post on 26-Jan-2020

7 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

第 18回 北海道臨床工学会

The 18th Congress of Hokkaido Association

for Clinical Engineering Technologists

プログラム・抄録集

(社)北海道臨床工学技士会

第 18 回 北海道臨床工学会プログラム

会期 : 平成 19 年 12 月 2 日(日曜日)

会場 : 札幌コンベンションセンター 札幌市白石区東札幌 6条 1 丁目 1-1

第一会場 中ホール(A)

開会式 9:30~9:40 (社)北海道臨床工学技士会 会長 真下 泰

【一般講演】

血液浄化Ⅰ 9:45~10:33

座長 阿部 正道 (苫小牧日翔病院)

O-1 水系における内部濾過の検討

釧路泌尿器科クリニック 小半 恭央

O-2 回路内排液機能の検討

市立稚内病院 臨床工学科 森久保 訓

O-3 カーボスターL B液剤の寒冷地における輸送、保管試験

特定医療法人 北楡会 札幌北楡病院 臨床工学技術部 永田 祐子

O-4 抜針事故防止を目的とした透析患者監視システム

北海道工業大学大学院 工学研究科 応用電子工学専攻 小田 翔太

O-5 メディキット社製透析用留置針 ハッピーキャス ZO の性能評価

NTT 東日本札幌病院 臨床工学室 桑田 大輔

O-6 血液浄化領域で使用される血液ガス分析装置の性能評価

NTT東日本札幌病院 臨床工学室 佐藤 健太

【特別講演】 共催:中外製薬株式会社 11:00~12:00

司会 NTT東日本札幌病院 腎臓内科部長 深澤 佐和子 先生

『 CKD(慢性腎臓病)の基本的な考え方 』 ~臨床の現場に与えるインパクト~

講師 聖マリアンナ大学病院腎臓・高血圧内科教授 木村 健二郎 先生

【ランチョンセミナーⅠ】 共催:鳥居薬品株式会社 12:15~13:15

司会 札幌北楡病院 副院長 久木田 和丘 先生

『 医療機器安全管理責任について 』

講師: 亀田総合病院 医療技術部 ME室長 高倉 照彦 先生

【一般講演】

循環器 13:35~14:07

座長 佐々木 信一 (愛心メモリアル病院)

O-7 人工心肺使用時におけるマンニトールの使用方法の検討

旭川医科大学病院 臨床工学室 宗万 孝次

O-8 8Fr Short IAB の臨床使用経験

北海道社会保険病院 ME部 山際 誠一

O-9 致死性急性肺血栓塞栓症による院外心肺停止症例に対する PCPS の有効性

札幌医科大学附属病院 臨床工学室 加藤 優

O-10 体外循環トラブルシミュレーショントレーニングに参加して

NTT東日本札幌病院 臨床工学室 櫻田 克己

血液浄化Ⅱ 14:10~14:50

座長 宮本 和之 (恵み野病院)

O-11 ブラッドアクセス留置用カテーテルへの閉鎖システム導入の検討

市立旭川病院 臨床工学室 堂野 隆史

O-12 ハンディエコーiLooK-25 の使用経験

仁友会泌尿器科内科クリニック 支倉 裕

O-13 光を用いた内シャント透視デバイスに関する基礎的研究

北海道工業大学 工学部 医療福祉工学科 高橋 香菜子

O-14 録音再生機能付電子聴診器を用いたシャント管理の試み

JA 北海道厚生連 遠軽厚生病院 臨床工学技術部門 伊藤 和也

O-15 クリアランスギャップ(CL-Gap)法を用いたブラッドアクセス管理の検討

NTT東日本札幌病院 臨床工学室 佐々木 雅敏

呼吸・手術室業務・その他 14:55~15:49

座長 宗万 孝次 (旭川医科大学付属病院)

O-16 人工呼吸療法における二相性陽圧換気の有効性

札幌医科大学附属病院 臨床工学室 加藤 優

O-17 イワキ社製人工呼吸器ハミングV専用回路の滅菌について~低温オートクレーブ滅菌

の形状変化を経験して~

JA北海道厚生連 旭川厚生病院 臨床工学技術部門 白瀬 昌宏

O-18 待機中人工呼吸器回路の微生物学的清浄度に関する報告

JA 北海道厚生連 札幌厚生病院 臨床工学技術部門 橋本 佳苗

O-19 切断指肢再接合術後における高気圧酸素治療の治療効果

札幌医科大学附属病院 臨床工学室 田村 秀朗

O-20 当院におけるペースメーカー業務への取り組み

国立病院機構 帯広病院 臨床工学科 吉田 仁美

O-21 当院の腹腔鏡下手術装置における光学機器の故障の検討

日鋼記念病院 臨床工学室 石田 稔

O-22 ポータブル吸引器の性能維持のための試み

JA 北海道厚生連 札幌厚生病院 臨床工学技術部門 高橋 大樹

閉会式 15:55 ~16:00 (社)北海道臨床工学技士会 副会長 室橋 高男

第二会場 中ホール(B)

【一般講演】

ME 管理 9:45~10:41

座長 成田 孝行 (旭川厚生病院)

O-23 複数台におけるシリンジポンプの流量誤差に関する研究

北海道工業大学 工学部 医療福祉工学科 山城 州古

O-24 高流量対応輸液・輸血加温装置の流量・温度変化

市立札幌病院 臨床工学科 竹浪 延幸

O-25 衝撃検知センサーを使用したME機器の管理

JA 北海道厚生連 札幌厚生病院 臨床工学技術部門 完戸 陽介

O-26 漏れ電流測定回路の製作と基礎評価

学校法人西野学園 札幌医療科学専門学校 臨床工学技士科 須藤 徹

O-27 医療機器管理用データベースを用いた機器の稼動率

北海道工業大学大学院 工学研究科 応用電子工学専攻 菅野 将也

O-28 医療機器の電源コードに着目した院内感染対策

旭川赤十字病院 救急部 臨床工学課 細矢 泰孝

O-29 e-learning システムの導入と基礎評価

学校法人西野学園 札幌医療科学専門学校 臨床工学技士科 横山 徹

ランチョンセミナーⅡ 共催:旭化成クラレメディカル株式会社 12:15~13:15

ビデオランチョン 司会 岡山大学病院 集中治療部 片山 浩 先生

テーマ:『急性血液浄化療法におけるメディエーター制御の方向性』

第 1演題 『CRRTによるサイトカイン除去とHMGB-1制御』

講師: 和歌山県立医科大学 集中治療部 救命救急センター

中 敏夫 先生

第2演題 『敗血症性ショックに対する血液浄化法のアプローチ』

講師: 札幌医科大学 救急集中治療部

今泉 均 先生

コメンテーター:旭化成クラレメディカル(株)アフェレーシス事業部 東日本営業部 学術担当

平田 憲子 先生

【一般演題】

血液浄化 Ⅲ 13:35~14:15

座長 大澤 貞利 (釧路泌尿器科クリニック)

O-30 エバブレン EK 使用による貧血改善の報告

小清水赤十字病院 片桐 亜紀

O-31 PAD3000 を使用した透析患者の下肢 SPP 測定について

JA 北海道厚生連 遠軽厚生病院 臨床工学技術部門 三上 和香

O-32 透析液製造工程から分離した細菌の同定ならびに熱感受性に関する検討

北海道工業大学大学院 工学研究科 応用電子工学専攻 塚本 和幸

O-33 生菌数測定法の比較

JA 北海道厚生連 倶知安厚生病院 笠島 良

O-34 バイオプローラにおける細菌検出精度の評価

特定医療法人北楡会 札幌北楡病院 臨床工学技術部 清信 一貴

血液浄化Ⅳ 14:15~15:03

座長 脇田 邦彦 (旭川赤十字病院)

O-35 臨床実習中に経験したアナフィラキシー様ショックの1症例

北海道ハイテクノロジー専門学校 臨床工学技士学科 金田 尚之

O-36 メシル酸ナファモスタット使用におけるアナフィラキシーショックの経験

医療法人 札幌中央病院 臨床工学科 楢山 佳祐

O-37 自己免疫性肝炎劇症型に対する血液浄化療法の経験

医療法人 渓仁会 手稲渓仁会病院 臨床工学部 那須 敏裕

O-38 CH(D)F における回路交換の要因の検討

手稲渓仁会病院 臨床工学部 千葉 二三夫

O-39 新しい血液浄化装置(JUN-55X)の性能評価

医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 臨床工学部 山内 貴司

O-40 カネカメディックス社製血漿浄化装置MA-03の使用経験

市立札幌病院 臨床工学科 金野 敦

血液浄化Ⅴ 15:05~15:45

座長 上村 恵一 (札幌北クリニック)

O-41 当院における在宅透析支援

特定医療法人 北楡会 札幌北楡病院 臨床工学技術部 山野下 賢

O-42 在宅血液透析における臨床工学技士の役割

社会福祉法人 函館厚生院 函館五稜郭病院 臨床工学科 小黒 功太朗

O-43 透析患者用、止血パッド(アクセル)の使用経験

市立旭川病院 臨床工学室 山口 和也

O-44 トラブルシューティング活用についての検討

仁友会 北彩都病院 臨床工学科 鈴木 精司

O-45 過去5年間における道内・道外の公的・民間病院の基本給と技士手当等の比較

学校法人 西野学園 札幌医療科学専門学校 臨床工学技士科 福嶋 満男

展示会場 107・108 会議室 9:45~15:30

【参加企業】

旭化成クラレメディカル株式会社 日本シャーウッド株式会社

株式会社ムトウテクノス

ニプロ株式会社

株式会社 JIMRO

東レ・メディカル株式会社

味の素ファルマ株式会社

メディキット株式会社

株式会社 トップ

泉工医科工業株式会社 順不同

ドリンクコーナー 107・108 会議室 9:45~15:30

【協賛企業】

キリンファーマ株式会社

ガンブロ株式会社

ノアインターナショナル株式会社 順不同

本プログラム・抄録集の著作権は(社)北海道臨床工学技士会にあります。

無断で転載、引用することは固くお断り致します。

(社)北海道臨床工学技士会

                    第18回北海道臨床工学会 日程表

  第一会場 第二会場 機器展示会場 応接室1 応接室2

中ホールA 中ホールB 107・108会議室 応接室1 応接室28:30

9:30 開会式 9:30~9:40

血液浄化Ⅰ ME管理Ⅰ

9:45~10:33 9:45~10:41

NO1 ~NO6 No.23~29

座長 阿部 正道 座長 成田 孝行

11:00

特別講演

11:00 ~12:00

30 講師 木村 健二郎 先生

司会 深澤 佐和子 先生

12:00 共催 中外製薬(株)

9:45~15:30  機器展示ランチョンセミナーⅠ ランチョンセミナーⅡ (ビデオ)

30 12:15~13:15 12:15~13:15

講師  高倉 照彦 先生 講師 中 敏夫 先生 ドリンクコーナー司会 久木田 和丘 先生 講師 今泉 均 先生

13:00 共催 鳥居薬品(株) 司会 片山 浩 先生

共催 旭化成クラレメディカル(株)

30

循環器 血液浄化Ⅲ

13:35~14:07 13:35~14:15

14:00 NO7~NO10 NO30~NO34

座長 佐々木 信一 座長 大澤 貞利

血液浄化Ⅱ 血液浄化Ⅳ

30 14:10~14:50 14:15~15:03

NO11~NO15 NO35~NO40

座長 宮本 和之 座長 脇田 邦彦

15:00 呼吸・手術室業務・その他

14:55~15:49 血液浄化Ⅴ

NO16~NO22 15:05~15:45

30 NO41~NO45

座長 宗万 孝次 座長 上村 恵一

閉会式 15:55 ~16:00

16:00

17:00

9:00~17:00特別講演演者控え室

9:00~17:00大会事務局

15:30~17:00展示物撤去作業

パーテーション撤去作業

会場

O-01 水系における内部濾過の検討 O-02 回路内排液機能の検討

1釧路泌尿器科クリニック 1市立稚内病院 臨床工学科

小半 恭央1、山本 英博1、斉藤 辰巳1、柏木 政信1、伊藤 正峰1、大澤 貞利1

森久保 訓1、淡路谷 真伊1、川俣 一史1、田中 宰1、池田 納1

【目的】透水性能の高いダイアライザを用いた血液透析(HD)では、血液および透析液の流路抵抗に伴う圧力損失により、ダイアライザ内部で正濾過と逆濾過が同時に生じる内部濾過現象がみられる。正確な内部濾過量を測定することは困難だが、内部濾過量を把握することは重要である。水系における圧力測定からの内部濾過量推定法を検討した。 【方法】血液側と透析液側の入口・出口の4点の圧力を測定し、血液と透析液の圧力損失を図式化すると、それぞれの圧力損失を示す直線が交差し、正濾過領域と逆濾過領域の三角形ができる。この三角形面積とUFRから正濾過量と逆濾過量を求めた。ダイアライザはAPS-15SA(APS)、PES-150Sα(PES)、H12-4000(H12)、FDY-150GW(FDY)、EK-16(EK)を使用した。血液側試験液はヘマトクリットが30%に相当する粘度のキサンタンガム水溶液を用い、透析液流量500ml/min、血液流量200ml/min、限外濾過流量10ml/min/m2の条件下で30分間の透析実験を行った。 【結果】各ダイアライザで内部濾過量に違いがみられた。実験開始後30分での逆濾過量はAPS:32.1ml/min、PES:21.8ml/min、H12:6.0ml/min、FDY:12.5ml/min、EK:13.5ml/minであった。 【結論】血液側と透析液側の入口・出口の4点の圧力を測定することにより、除水を行っているHD中にも内部濾過量の推定が可能である。

【はじめに】患者様の安全の観点から回路内を生食で満たして透析療法を終了する生食置換返血が普及されている中、終了後生食が回路内に残ることでの液漏れや、廃棄物自体が重くなると言う問題点もあった。この度、当院透析センターにて使用している日機装社製透析監視装置の更新に伴って回路内排液機能の利用が可能になり、その有用性の比較検討を行ったので報告する。 【対象】当院にて使用している日機装社製透析監視装置全34台のうちDCS-27 16台の回路内排液機能が使用可能な装置。 【概要】回路内排液の手順は、1.動脈回路のチューブ先端と静脈回路のチューブの先端を接続。2.静脈チャンバーのレベル調整チューブについているシリンジとクランプを外し、チューブが開放となり、血液回路内に滞留している生食は、血液ポンプにてダイアライザーに送られ、加圧ポンプによりダイアライザーの膜を通して透析液回路側に吸い出されて排液される。 【長所と短所】長所は返血後の回路内残液が排液され、ゴミが軽減出来る。液漏れの可能性を減少出来る。短所は操作上の手技が増える。排液に一定の時間がかかる。 【比較】回路内排液機能使用前後のダイアライザー、回路の重量を計測した所、生食返血後の残液の約90%が排液されている結果となった。排液時の生食返血後の廃棄物の重量が、人工透析装置34台中16台実施したことにより年間約12%のゴミの重量が軽減された。 【まとめ】回路内排液機能の使用により回路内の残液を殆ど排液可能。透析後の廃棄物が軽くなり、運搬時にゴミ搬送スタッフへの負担が軽減され、液漏れの可能性も低下。感染対策上も有利で、かつゴミ処理による費用で重量計算であればコストを抑える事が出来る。

O-03 カーボスターL B液剤の寒冷地における輸送、保管試験 O-04 抜針事故防止を目的とした透析患者監視システム

1特定医療法人 北楡会 札幌北楡病院 臨床工学技術部 1北海道工業大学大学院 工学研究科 応用電子工学専攻、2北海道工業大学 工学部 医療福祉工学科

永田 祐子1、山本 千亜希1、那須野 優美1、四十万 千枝1、小塚 麻紀1、松原 憲幸1、山野下 賢1、月安 啓一郎1、安藤 誠1、宮岸 勇樹1、富岡 佑介1、住田 知規1、鶴谷 敬之1、清信 一貴1、土濃塚弘樹1

小田 翔太1、有澤 準二2、菅原 俊継2、黒田 聡2、木村 主幸2

【目的】2007年7月に味の素ファルマより発売された酢酸フリー透析液カーボスターはB液剤の重炭酸濃度が従来の製品より濃いため、低温での輸送、保管時に結晶析出が懸念された。そこで、2007 年 1月、実際の輸送経路で当院まで流通し、保管したときの B 液剤の変化を検討した。 【試験検体】カーボスターL(7.6L、11.6L、200mL)キンダリーAF-2号(7.56L、11.56L)、AK-ソリタ・FL(200mL)、メイロン(200mLバッグ)、重曹濃度はそれぞれ8.2%、7.0%、6.4%、8.4%(W/V%)であった。 【輸送・保管経路】静岡配送センターより3ヶ所の倉庫を2週間かけ移送し、当院透析室に隣接した保管室で3ヶ月保管した。 【結果】輸送時の最低室温は6.3℃、最低液温は8.4℃であり、保管時の液温は23~25℃であった。保管期間中いずれの検体も結晶の析出は認められず、炭酸水素ナトリウム含量の変化も100.3±1.5%とほぼ変わりなかった。 【考察】従来の透析液にはpH調整剤として微量の酢酸が含まれている。この酢酸が血管拡張作用を有するnitric oxide(NO)産生亢進、心筋収縮抑制の起因となっており、これらは透析低血圧症との関連性が高いことが知られている。また、代謝性アシドーシスは慢性腎不全患者のタンパク・アミノ酸代謝及び骨代謝に悪影響を及ぼすため、K/DOQIガイドラインでは、代謝性アシドーシス是正効果の指標である透析前血中HCO3濃度を22mEq/L以上に維持すべきであると推奨している。カーボスターは酢酸を全く含まず、代謝性アシドーシス是正効果に優れた透析液であり、慢性腎不全患者の QOL 向上が期待される。今回の当院での保管試験においては、結晶の析出、炭酸水素ナトリウム含量の変化はみられなかったことにより、試験時より低温時や長期間の低液温下では注意が必要であると考えられるが、冬季の北海道でも十分安全に使用することが可能であると推測される。

【はじめに】透析業務中の重大な事故の1つとして抜針事故がある。静脈側で抜針となれば大量出血となり容態急変を引き起こす。中でも痴呆患者の場合は自己抜針を起こす可能性が高いため、透析スタッフによる行動観察が必要である。しかしこれは透析スタッフにとっては重い負担となる。我々はより安全性を向上させる目的で自動的な監視を行うプログラムの開発を試みてきた。今回は、Webカメラを用いて行動観察が必要な患者様を自動で監視し、警告を行うシステムの構築を行ったので報告する。 【方法】穿刺部の逆側の腕である対肢には、抜針事故防止のために血液回路を掴む事ができないように腕固定用ホルダー等が着けられている。しかし口で外して素手にしてしまうことで自己抜針が起きる。事前に口で外す行動を阻止できれば抜針事故には至らないと考えられる。そこで Web カメラで患者様を撮影し顔と対肢の位置がどこにあるかを捉え、顔と対肢が重なって動かなくなった際に警告を行う。透析患者監視システムの作成には Microsoft Visual Studio.NET C++を用いた。 【結果】Webカメラを用いて自動的に患者様を監視し、顔と対肢の位置関係により危険かどうかの判断ができた。顔と対肢が僅かな時間重なっただけでは危険とは判断せず、顔と対肢が重なり長時間動かなくなった場合には危険と判断し警告を行うことができた。 【まとめ】Web カメラにより自己抜針を起こす患者様を自動で監視し、警告を行うシステムの構築を行った。自動で監視を行うため幾分か患者様の安全性が向上すると考えられる。今後は、対肢に着けられている腕固定用ホルダー等が外された場合に警告するなど、自己抜針をさらに防止できるようにする予定である。

O-05 メディキット社製透析用留置針 ハッピーキャスZOの性能評価

O-06 血液浄化領域で使用される血液ガス分析装置の性能評価

1NTT東日本札幌病院 臨床工学室 1NTT東日本札幌病院 臨床工学室

桑田 大輔1、佐藤 健太1、石川 健1、佐々木 雅敏1、杉本 親紀1、櫻田 克己1、高橋 秀一1

佐藤 健太1、石川 健1、桑田 大輔1、佐々木 雅敏1、杉本 親紀1、櫻田 克巳1、高橋 秀一1

【目的】医療現場にもリスクマネージメントの概念が定着し、感染対策の一環として誤刺事故防止の目的にて安全機構付透析用留置針が多数発売されています。今回、新たに開発されたメディキット社製ハッピーキャスZOの臨床現場における有用性を検討する機会を得たので報告します。 【対象及び方法】メディキット社製クランプキャスとハッピーキャスZOをそれぞれ用いて透析を施行し、穿刺者及び患者にアンケートを行いました。アンケートの内容として患者には穿刺時の痛みと外針を押込む時の痛みを5段階で評価、穿刺者は穿刺のスムーズさ、外針の滑り具合、安全機構の操作性、安全機構の安全性を5段階で評価しました。また Transonic 社製透析モニターHD02を用いて血流量の測定を行い、それぞれの針における設定血液流量に対する追従性を検討しました。

【目的】安全な透析治療を患者に提供するために臨床工学技士が行う血液浄化業務の1つとして血液ガス分析装置や電解質分析装置による透析液濃度測定は必要不可欠です。今回当院の機種更改に伴いラジオメーター社製ABL77、バイエル社製バイエル348、テクノメディカ社製GASTAT-602、テクノメディカ社製STAX-3の4機種の性能評価及びランニングコストを比較する機会を得ましたので報告します。 【対象及び方法】ABL77・バイエル348・GASTAT-602・STAX-3の4機種を用いて扶桑薬品社製サブラット-BSを機種毎に50回測定し、濃度測定精度、測定時間及び2点校正時間を比較検討しました。ランニングコストについては各社の消耗品の販売価格をもとに減価償却期限である7年間のランニングコストを積算し1ヶ月単位に換算し評価しました。また、検定には Student-t 検定を用い危険率5%未満を有意差ありとしました。 【結果】測定精度は Na で全ての機種間において有意差が認められABL77<GASTAT-602<バイエル348<STAX-3の順で誤差が大きくなりました。KにおいてはGASTAT-602<ABL77=バイエル348<STAX-3 の順で誤差が大きくなり、ABL77とバイエル348間以外の機種間で有意差が認められました。ランニングコストではGASTAT-602が121,376円と最も高く次いでABL77,バイエル348,STAX-3の順となりました。測定時間はSTAX-3が38.8秒と最も早く、次いでバイエル348,ABL77,GASTAT-602の順となりました。校正時間ではSTAX-3が46秒と最も早く次いでABL77 GASTAT-602,バイエル348の順となりました。 【結語】ランニングコストが高い機種がやはり精度が高いという結果となりましたが、各施設において透析装置の台数やサンプル数、業務時間配分など異なるためそれぞれの施設に適した血液ガス分析装置や電解質分析装置の選択が必要と考えられました。今後は故障頻度や修理内容について検討を重ねていこうと思います。

O-07 人工心肺使用時におけるマンニトールの使用方法の検討 O-08 8Fr Short IAB の臨床使用経験

1旭川医科大学病院 臨床工学室、2旭川医科大学病院 手術部 1北海道社会保険病院 ME部

宗万 孝次1、天内 雅人2、本吉 宣也2、南谷 克明1、与坂 定義1、菅原 時人1、平田 哲1

山際 誠一1、吉田 大地1、大沢 卓爾1、原田 祐輔1、平田 和也1、多羽田 雅樹1、寺島 斉1

【目的】人工心肺を用いた手術では、血液希釈による膠質浸透圧低下や血液の異物接触による血管透過性亢進等による間質浮腫が増大すると言われている。当院では、血清浸透圧維持のため人工心肺充填液中にマンニトールを用いているが、さらに血清浸透圧維持の目的のため人工心肺中にマンニトールの投与を実施している。今回、その方法が人工心肺中の水分バランスに影響があるかどうか検討した。 【対象】2006年2月から2007年3月までの予定・緊急を問わず体外循環を実施した成人症例30例を対象とし、人工心肺中にマンニトールを投与しなかった群をC群、マンニトールを投与した群をM群とした。充填液には4ml/kgの量を使用し、人工心肺中は心筋保護液を投与する度にマンニトールを静脈リザーバー内に投与した。 【結果】水分バランスでは有意にM群でマイナス傾向となった。 【結語】M 群で C 群より水分バランスは有意にマイナス傾向になった。その他特に問題となることがなかったため、間質浮腫軽減のため人工心肺中のマンニトール投与は有用であると思われた。

【はじめに】第17回北海道臨床工学技士会 学術大会において、8Fr Short IABの有用性の検討を発表した。今回は8Fr Short IABを臨床使用したので報告する。 【目的】8Fr Short IABの臨床使用における安全性を検討する。 【対象】2006年10月~2007年11月までに当院で8Fr Short IABを使用した18症例(AMI 12例、UAP 3例、OPCAB Backup 1例、術後LOS 2 例)。男性 13 名、年齢 66.6 ±9.1 歳、身長163.3±7.4cm、体重66.7±8.5kg、体表面積1.72±0.14m2、駆動時間60.7±44.6時間(最長 163.5時間)。 【方法】IAB: ZEON Medical社製8Fr Short IAB (バルーン容量 35cc, バルーン長 162mm, バルーン径 17.1mm)、駆動装置: DataScope社製 System98を臨床使用し、以下の項目で評価した。(1)IABの挿入操作性はDr.へのアンケートで評価した。(2)応答性、先端モニタリング感度は駆動装置のモニタリングで評価した。(3)留置安定性は留置後に透視装置での確認と、翌日以降の胸部レントゲンで評価した。(4)バルーン耐久性は使用後に電子顕微鏡で観察し評価した。 【結果】(1)アンケートの結果、以前使用していたIABと操作性は変わりない結果であった。(2)応答性に関しては高心拍数においても問題なく追従し、モニタリングでは先端圧の鈍り等なく、使用することができた。(3)留置安定性に関してもIABの下降なく良好であった。(4)電子顕微鏡での観察の結果、表面に一部白化部位のあるものが1本あったが耐久性に問題なかった。 【結語】8Fr Short IABは臨床使用において安全に使用することができた。

O-09 致死性急性肺血栓塞栓症による院外心肺停止症例に対するPCPSの有効性

O-10 体外循環トラブルシミュレーショントレーニングに参加して

1札幌医科大学附属病院 臨床工学室、2高度救命救急センター 1NTT東日本札幌病院 臨床工学室

加藤 優1、田村 秀朗1、千原 伸也1、大江 祥1、長谷川 武生1、河江 忠明1、森 和久2、浅井 康文2

櫻田 克己1、佐藤 健太1、石川 健1、桑田 大輔1、佐々木 雅敏1、杉本 親紀1、高橋 秀一1

【目的】致死性急性肺血栓塞栓症(PTE)における PCPS の適応を含めた有効性について文献的考察を踏まえて報告する。 【対象】対象は2003年1月から2007年11月までの約5年間にPTEを発症後,心肺停止に陥りPCPSを導入された30例とした。 【方法】対象とした症例について、PCPS導入までの経過時間,PCPS時間,離脱率,生存率についてretorospectiveに検討を行う。 【結果】導入までの経過時間は平均で 78±21min(range:46-88),PCPS にて呼吸循環補助を行った時間は 88±36hr(range:37-123),離脱率は68%,生存率は45%,社会復帰率31%であった。 【考察】従来,PTEは本邦では発症頻度が低いとされてきたが,最近の報告では食生活や生活習慣の変化等により欧米の頻度に近づきつつあるようである。我々が経験した症例のほとんどは急性および慢性的に形成された血栓による急性呼吸循環不全により,心肺停止となる致死性の PTE であった。このような広範囲にわたる肺動脈内血栓が存在しショック状態となる広範囲型急性肺塞栓症では,血行動態,酸素化をまず維持するためにPCPSが良い適応であると考える。また外科的治療がなされるような症例においても,術前の循環動態の安定度と救命率は強く相関しているため,PTE-CPAのような重症呼吸循環不全に陥った症例に対して,やはり呼吸循環の両方を補助できうるPCPSは極めて有効であり,蘇生手段及び自己心拍再開後の心肺補助としてよい適応であると考える。 今後,PCPS離脱後の下大静脈フィルター挿入の明確な挿入基準が待たれるところである。 【結語】PTEにおける心肺停止症例に対しPCPSを用い良好な治療成績を上げることができた。また,PTE-CPAのような重症呼吸循環不全に対しては両循環の補助が可能なPCPSは極めて有効である。

【はじめに】体外循環操作は生命に関わる操作であり安全な運用が求められる。しかしトラブル時の的確な対処を十分に学ぶ機会が少なく、通常業務にて習得するには限界がある。今回、日本メドトロニックの協力の下開催されている、PILOTシミュレーションプログラムに参加する機会を得たので報告する。 【方法】手術室を模したシミュレーションルームが日本メドトロニック社屋内に設置され、受講者は5名、3時間の構成であった。シミュレーションルーム内には、体外循環装置に模擬回路がセットされ、横2つのモニターにはバイタルと血液ガスの情報が表示されていた。指導者側は執刀医、麻酔医、ナビゲーター等の役割をもち、受講者側は2名1組で体外循環の操作と補佐を担当し、臨床で想定されるトラブルに対する対処を行った。 【結果】トラブルには体外循環装置本体、人工肺等の物品、薬剤や患者自身の問題、病院設備などのシナリオがあった。トラブルに対する手順を理解していても思うように動けず、迅速かつ冷静な対処が出来なかった。トラブル遭遇時に平常心を維持することの難しさを感じた。 【考察】体外循環中のトラブル対処を臨床で経験することは稀だが、確実に対処しなければならなく、シミュレーションが効果的なのは明確である。簡易的にバケツ等を人体に見立てることもあるが、生体情報の時間的変化に対する分析や執刀医、麻酔医との連携なども重要である。警報音や執刀医の声など臨床に近い空間を再現することで緊迫感や臨場感が生まれ、戸惑いや焦りによって生じるパニックから誘発される二次的トラブルの訓練にも効果があると思われた。 【結語】臨床に近い環境下でトラブル対処を体験することで、体外循環の安全意識向上や考え判断する能力の訓練に有意義であると考えられた。またレベルセンサーや気泡検出器等の安全装置の設置が、二次的トラブル誘発を防ぐ手段になると考えられる。

O-11 ブラッドアクセス留置用カテーテルへの閉鎖システム導入の検討

O-12 ハンディエコーiLooK-25の使用経験

1市立旭川病院 臨床工学室 1仁友会泌尿器科内科クリニック、2仁友会北彩都病院

堂野 隆史1、山口 和也1、澤崎 史明1、窪田 將司1、河田 修一1、鷹橋 浩1、黒田 廣1

支倉 裕1、川合 孝幸1、江幡 俊明1、小西 康智1、水永 光博1、安済 勉1、石川 幸広2、井関 竹男2、石田 裕則2、井上 宏紀2

【はじめに】 近年、輸液ラインは閉鎖システム用いた感染管理の重要性が示されている。ブラッドアクセス留置用カテーテル(以下、FDL)は、接続時やヘパリンロック時に開放し消毒を行うなど、多数回の操作が加えられるために、接続部からの細菌感染の可能性が高くなる。今回、FDLに閉鎖システムを導入し、閉鎖式コネクターを接続した場合の透析回路内圧におよぼす影響と、操作管理方法について検討した。 【対象および方法】 1.透析回路内圧試験 日本シャーウッド社製セイフアクセスシステム(以下、セイフアクセス)、JMS社製プラネクタ、テルモ社製シュアプラグの3社を対象とした。模擬回路に45%グリセリン水溶液を使用して、各社のコネクターを透析回路の動脈側、静脈側それぞれ単独で接続し、脱血圧と送血圧を血流量 300ml まで測定した。また,動静脈の両方にコネクターとFDLを接続した場合の各圧も同様に比較した。 2.操作管理の検討 2007年6月~2007年10月までにFDLにて透析を行った、14名の患者にセイフアクセスを使用し、操作管理方法について検討した。 【結果】 シュアプラグは、3 社の中で送脱血圧が一番高い値を示し、血流量130mL で送血圧が 350mmHg を超え、透析には使用不可能の値であった。一方、セイフアクセス、プラネクタを使用した場合は、FDL単独使用よりもわずかな圧上昇が見られた。 システム導入により、消毒方法をイソジンからアルコール綿に変更し消毒が簡素化された。長期間使用によるプラグ表面に血液漏れ等の問題はなかった。また、プラグ内の血栓は目視において発生しなかった。 【結論】 FDLに閉鎖システムは問題なく使用することが可能であり、感染のリスクを軽減できる可能性が示唆された。

【目的】今回我々は SonSite 社製,携帯型超音波診断装置 iLooK-25(以下iLooK-25)の使用機会を得てシャントの状態を視覚的に把握する事で、情報の共有化・シャント管理への活用が可能か検討したので報告する。 【方法】iLooK-25を使用し、HD施行前やHD中に、シャント情報が必要と考えられる患者に対して、4週間にわたり延べ30名にベッドサイドでのシャントエコーモニタリングを施行した。 【結果】触診・聴診だけでは確認が困難だった狭窄部位などの確認することができ、穿刺部位の再検討が可能となった。血管内情報を画像解析する事で、針先位置の調整などに有効であった。 【考察】緊急時やシャント経過観察において、継続的に使用する事でシャント病変の早期発見、穿刺時の補助などシャント管理の 1 手段として有効であると思われる。しかしプローブの圧迫により容易に血管は変形するので、特に狭窄症例などは習熟が必要であると思われた。 【まとめ】iLooK-25の使用する事により臨床工学技士が今まで以上にシャントに係わりを持つことができ、シャント管理に対しての意識付けに繋がった。

O-13 光を用いた内シャント透視デバイスに関する基礎的研究 O-14 録音再生機能付電子聴診器を用いたシャント管理の試み

1北海道工業大学 工学部 医療福祉工学科、2北海道工業大学大学院工学研究科 応用電子工学専攻、3KKR札幌医療センター 斗南病院

1JA北海道厚生連 遠軽厚生病院 臨床工学技術部門

高橋 香菜子1、小野寺 佑介1、田中 義範2、北間 正崇1、齊藤 高志3

伊藤 和也1、大塚 剛史1、三上 和香1、伊藤 善教1、渡部 貴之1、岡田 功1

【目的】維持透析患者のバスキュラーアクセスには外科的に造設される内シャントが広く用いられている.内シャントは非常にデリケートで狭窄や閉塞が起こりやすいため,シャント管理は重要である.臨床におけるシャントの管理はシャント音聴取やスリル確認,発赤の有無等により日常観察を行い,異常発見時には侵襲的な血管造影検査などを行うことが主流となっている.これに対し本研究では非侵襲的かつ場所を選ぶことなく簡易な手法によりシャント像の取得が可能な装置の実現を目指す.これによりシャント血管の把握と血管異常の早期発見が期待される.今回はこの手法について基礎的検討を試みたので報告する. 【方法】前腕部横から入射した光は生体の高散乱特性により深部から表面に向かって伝播する.つまり生体の表面で観測すると深部からの透過照明となり,生体表面付近の血管像を観測することが可能となる.この光成分を CCD カメラで捉えるというシステム構成により,前腕静脈の血管像取得を行った.光源として生体透過性の高い近赤外領域の発光ダイオード(LED)を 14 個一列に配置し,前腕を挟むように当てる事で広範囲な血管像取得を行った.また,皮膚表面での反射光や照射光量のばらつきを補正するため,最適なフィルタを構築し適用を試みた. 【結果と考察】後方散乱光を用いた前腕静脈の血管像取得のため,LED および CCD カメラを用いたシステムを構築し基礎的検討を行った.結果として前腕を挟むように光源を配置することで,広範囲な血管像を取得する事ができた.またフィルタの適用により,反射光などによる外乱を抑制し,良好なイメージングを実現した.しかし光源の角度や配置により取得画像が変化するため,より画像取得に最適な光源配置や光の入射角度などの検討が必要である.今後はこれらを踏まえた上で,血管の走行の個人差を考慮し複数名に対し計測を行う予定である.

【はじめに】シャント管理の基本は「見る・聞く・触る」と考えるが、特に「聞く」に関して通常スタッフの聴診により主観的に行われる。そこで今回我々はシャント音を客観的に判断するべく、録音再生機能付電子聴診器を試用する機会を得てシャント音を収集・保存・分析し、その有用性を検証したので報告する。 【対象】当院透析室で安定維持透析を行っている患者57名に対し、透析開始前のシャント音の録音を行った。その中から症例1(シャント良好例)・症例2(シャント低血流例)・症例3(シャント狭窄例)の3症例を対象とした。 【方法】吻合部近位を#1としてシャントに沿って4ヶ所から6ヶ所まで、1ヶ所に対し8秒間録音。シャント音波形・周波数解析を表示し検証した。 【結果】症例 1 では、シャント音波形は振幅が大きく連続的な波形であり、周波数解析では低周波数成分が多い。症例 2 では、シャント音波形において振幅は症例 1 に比べると小さいが連続的な波形であり、周波数解析においても症例 1 に比べると低周波数成分が若干少ない。症例 3 では、シャント音波形において振幅は大きいが時間幅は短く断続的な波形であり、周波数解析では高周波数成分が観察された。 【考察】当院透析室スタッフはすべて個人所有の聴診器を使用しているため、症例2のように症例1と比べ音量差が少ない場合、各聴診器の性能差によってその差がさらに狭まり「よい音」と判断してしまう可能性がある。また症例 3 のような狭窄音の場合、記録上では言葉で音を表現するため、擬音語を使用したりするなど画一的な表現となってしまい、音本来のニュアンスが伝わりにくいものとなってしまう。録音再生機能付電子聴診器を使用したシャント音波形・周波数解析表示とシャント音の保存を行うことにより、全スタッフがシャント音やその記録に対し能力や経験に左右されることなく客観的な判断・情報共有ができ、シャント管理において大変有用であると考えられた。

O-15 クリアランスギャップ(CL-Gap)法を用いたブラッドアクセス管理の検討

O-16 人工呼吸療法における二相性陽圧換気の有効性

1NTT東日本札幌病院 臨床工学室 1札幌医科大学附属病院 臨床工学室、2救急集中治療部

佐々木 雅敏1、佐藤 健太1、石川 健1、桑田 大輔1、杉本 親紀1、櫻田 克己1、高橋 秀一1

加藤 優1、田村 英朗1、千原 伸也1、大江 祥1、長谷川 武生1、河江 忠明1、今泉 均2、浅井 康文2

【目的】CL-Gap法を用いたブラッドアクセス管理を検討する。 【CL-Gap】CL-Gapとは、採血データにより得られたKt/V実測値をもとに推定される有効クリアランス値(eCL)と、ダイアライザ側のクリアランス理論値(tCL)との較差を算出する方法である。1.有効クリアランス値:eCL K=V/t×Kt/V (shinzato 式) K:クリアランス(ml/min) t:透析時間(min) V:体液量(ml) (体液量:Watoson PE式+体重増加量)2.クリアランス理論値:tCL総括物質移動係数を用いて透析施行条件下で CL 値を推定する。CL-Gap=tCL-eCL/tCL×100[%]安定した透析治療が行われている場合、tCLとeCL はほぼ一致し、CL-Gap 値はほぼゼロとなるが、シャント部再循環、実血流量の低下等、Kt/V低下因子の影響が加わると、eCLが低下し、CL-Gap値の上昇が予想される。 【方法】当院外来維持透析患者を対象として、採血データからCL-Gapを算出する。また、TRANSONIC社製血液透析モニターHD02を用いて、血流量を測定し、CL-Gapの正常範囲内(±10%以内)と10%以上のギャップが見られる場合において、設定血流量と測定血流量の差を比較し、本会にて報告する。

【概要】二相性陽圧換気が有効について報告する。 【症例】70歳男性。既往歴:糖尿病性網膜症,糖尿病性腎症,ネフローゼ症候群および陳旧性心筋梗塞。2007年7月冠動脈造影上3枝病変認め,同年8月,off-pump CABG×4施行。術翌日に抜管し一般病棟転科。術後4日目に呼吸状態悪化し,ICUにて呼吸循環管理となる。 呼吸条件として当初はSIMVをBaseとしたHigh PEEPにて管理するも,ARDS様混在性Complianceを保った肺野条件であること,自尿が乏しい事による Hypercapnia を許容する事ができないため,術後 5日目よりBi-Levelを主体としたAPRVにて管理を行った。術後6日目からは腹臥位とAPRV とを併用し,術後12日目には呼吸状態改善し,術後13日目には抜管,一般病棟転科となった。 【考察】従来の呼吸管理によって Hypercapnia を許容できない症例に対し,二相性陽圧換気を用い有効に呼吸管理が行え,早期に重篤な呼吸不全より脱する事ができた。それらの要因には次のような事が考えられる。 まず平均気道内圧を等しくした CPPV の肺酸素化効率よりも,APRVは長時間の高圧相がhigh CPAPとして機能し、肺酸素化を改善する。さらに,短時間の低圧相により炭酸ガス呼出が優位に促される。また,高圧相圧を等しく設定する事により Bilevel 単独に比べて平均気道内圧が高くなり肺酸素化効率は高くなると考える。ただしAPRVは Bilevel に比し,十分に長い低圧相をもたないため,高圧相に合併する気道系、循環器系の抑制効果に対し不明な点がある。 その点からも今後は二相性陽圧換気において, BilevelおよびAPRV双方の利点を生かした呼吸療法が望まれる。 【結語】二相性陽圧換気は従来の換気様式や Hypercapnia を許容できない症例に対し,有効な呼吸様式である。

O-17 イワキ社製人工呼吸器ハミングV専用回路の滅菌について~低温オートクレーブ滅菌時の形状変化を経験して~

O-18 待機中人工呼吸器回路の微生物学的清浄度に関する報告

1JA北海道厚生連 旭川厚生病院 臨床工学技術部門 1JA北海道厚生連 札幌厚生病院 臨床工学技術部門

白瀬 昌宏1、落合 諭輔1、谷 亜由美1、丸山 雅和1、松田 訓弘1、成田 孝行1

橋本 佳苗1、室橋 高男1、高橋 大樹1、完戸 陽介1、森久保 忍1、石川 俊行1

【目的】当院においてイワキ社製人工呼吸器ハミング V 専用呼吸回路を 121℃の高圧蒸気滅菌で施行時に呼吸回路に変形、変色が現れた。ハミング V 専用呼吸回路と高圧蒸気滅菌に対する検証、ハミング V 専用呼吸回路を含めたリユーザブル呼吸回路の長期的な使用について検討を行ったので報告する。 【方法】ハミング V 専用呼吸回路を添付文章に記載されている滅菌温度121℃の設定で、滅菌時間20分、乾燥25分で施行し、滅菌前後での径の変化、色の変化を検証する。また、高圧蒸気滅菌で下限温度の115℃の設定で同様に検証する。 【結果】呼吸回路自体の径状変化は認められなかったが、ジョイント部の形状変化が確認でき、加温加湿チャンバーと呼吸回路が接続できない状態となった。回路の変色は115℃の滅菌前後ではやや茶褐色がみとめられ、121℃滅菌前後では白濁を認めた。 【考察】121℃以下の滅菌温度でも変色が確認された事で、呼吸回路の変化は高圧蒸気滅菌の工程に耐えられない材質よる影響が高いと思われた。メーカーの見解は、耐熱保障している呼吸回路の変色を確認した為、高圧蒸気滅菌を推奨することはできないと判断している。呼吸回路の変形、変色の原因は解明されず、回答は得られていないため今後の検討課題とする。当院ではリユーザブルの呼吸回路では耐用限度を超えた取り扱いを現状実施しており、経時劣化によるリークによるトラブルが考えられる為、使用年数、使用回数の設定をすることが必要であると考える。 また、ディスポーザブルの呼吸回路は組み立てられていることから、誤接続防止にもつながり、リユーザブルの呼吸回路に比べ安全性が高いと考えられた。 【結語】ハミング V 専用呼吸回路は高圧蒸気滅菌に適さない結果となり、今後も滅菌方法は EOG 滅菌を選択せざるをえないと考える。また、安全面からみてディスポーザブル呼吸回路を使用するのは望ましいと思われる。

【緒言】JA札幌厚生病院では、人工呼吸器使用後に臨床工学技士が人工呼吸器の使用後点検を実施し、新しい回路を取り付け待機させている。これにより、緊急使用時は回路の誤接続や不潔にする事がなくなり医療安全上、様々なメリットを期待している。しかし、人工呼吸器回路の構成や取り付け方、その後の保管状況によっては、細菌に汚染され感染源になりうると考える。また、使用直前に回路を取り付ける場合でも、緊急性に追われ不潔にする可能性がある。このような事から、あらかじめ人工呼吸器回路を取り付け待機させた際、滅菌綿棒による拭き取り法での細菌汚染検査の結果とその有用性に関して報告する。 【対象】本実験では、1、新品 2、取り付け後3日 3、取り付け後20日 4、取り付け後62日のDAR社製PB840用ディスポーザブル人工呼吸器回路(以下840用回路)を対象とした。 【方法】1、滅菌綿棒にて清潔操作で840回路の各ポイント1)吸気フィルター直後外側 2)吸気フィルター直後内側 3)カテーテルマウント内口元側 4)ウォータトラップ内側 5)呼気フィルター直前内側からサンプルを拭き取り採取した。2、サンプル採取後の綿棒先端をセラムチューブ内のBHI培地に浸けてから密封した。3、37℃設定にした保温器へセラムチューブを保管し増菌した。4、サンプル採取より24時間後と48時間後に目視で細菌汚染の判定をした。 【結果】1、取り付けから3日経過の840回路外側は、陽性であった。2、取り付けから62日経過の840回路内側は、陰性であった。 【まとめ】1、滅菌綿棒とBHI培地を使用し840回路の細菌汚染検査をした。2、当院MEセンター環境下で840回路を清潔に取り付け待機させたなら、62日間まで回路内に細菌が存在しない事が確認できた。3、滅菌綿棒による拭き取り法は細菌汚染の有無を確認でき有用であったが、他の方法や培地でも検討したい。

O-19 切断指肢再接合術後における高気圧酸素治療の治療効果 O-20 当院におけるペースメーカー業務への取り組み

1札幌医科大学附属病院 臨床工学室、2高度救命救急センター 1国立病院機構 帯広病院 臨床工学科 、2循環器内科

田村 秀朗1、加藤 優1、千原 伸也1、大江 祥1、長谷川 武生1、河江 忠明1、成松 英智2、浅井 康文2

吉田 仁美1、谷口 慎吾1、松本 年史1、川南 聡1、尾畑 弘美2

【目的】微小血管外科領域の進歩によりMicroSurgeryによる小径血管吻合も可能になり,指肢欠損修復が積極的になされるようになってきた。それらの症例の増加と共に,微小血管再建後の機能回復目的に高気圧酸素治療(以下HBOT)症例も増加した。今回これらの症例に対しHBOTが治療効果をもたらしているのかを検討したので報告する。 【対象】2002年10月から2007年10月までの5年間に、切断指に対し指肢再接合術を施行され高気圧酸素治療を施行した48例を対象とした。 【方法】高気圧酸素治療施行前後に,再接合後の評価としてisogaiらが提唱する微小血管開存の評価法 4 点ならびに,サーモグラフィーによる評価により治療効果を多角的に評価し検討を行う。 【結果】右手指切断36例68指,左指手切断12例51指。平均HBO施行回数 14±6 回。高気圧酸素治療前後の開存評価比較として有意差は得られなかったものの,治療後の開存評価にて高値を示した症例が多くみられた。 【考察】低酸素環境となった切断指末梢微小血管側では,基本となる細胞活性は拡散による酸素化によってもたらされ,血管造成が行われているはずである。であるとすれば基本的に溶解型酸素を増加する事のできるHBOTは効果的であることは論を持さないと考える。さらに腫脹を来たしている修復された筋組織や神経線維束においては,低酸素環境を打破できる唯一の方法であると我々は考えている。今回, HBOT後の開存評価として有意差を得る事はできなかったものの値としては高値を示したため, 今後術前評価をふまえ,細胞性免疫能と活性酸素消去酵素 (SOD) との関連をも考慮し更なる治療効果の検討を行いたい。 【結語】切断指肢再接合術後における高気圧酸素治療の治療効果として有意差を得る事ができなかったものの,治療早期においては開存評価において高値を示した。

【はじめに】2008年4月から、医療機器販売業者による医療現場の立会いが規制される。当院においても医療機器販売業者によるペースメーカーの植え込み・ペースメーカー外来の立会が行われており、2006年4月からは、臨床工学技士もペースメーカー業務に携わるようになった。以下当院におけるペースメーカー業務への取り組みについて報告する。 【業務内容】 新規ペースメーカー植え込みやジェネレーター交換手術に立会い、患者に使用した物品・植え込み時データなどを自作のデーターベースにより管理し、退院時までのフォローアップを行う。ペースメーカー外来では患者の各データの測定・収集・記録を行い、入院患者のペースメーカーチェック、手術時の電気メス対策も行う。2006年11月から2007年10月の過去1年間で、新規植え込み52件、ジェネレーター交換31件、ペースメーカー外来患者は述べ725人であった。また2007年10月から臨床工学技士全員で各メーカーの講習会へ積極的に参加し、ペースメーカー技術の習得を行っている。 【展望】各メーカーの支店、営業所等がない地方の病院では、医療機器販売業者による緊急対応が困難である場合が多い。しかし臨床工学技士がペースメーカー業務を行うことにより、緊急対応が迅速に出来る。また個人情報が外部に漏洩する危険も少ない。現在のジェネレーターは多機能であり、QOL向上も以前に比べ期待される。臨床工学技士によるフォローアップ体制を確立させる事でより信頼される医療サービスを提供できる。 【結語】ペースメーカー業務は新しい臨床工学技士の業務であり、当院でもまだ経験が浅い。また、ICD、CRTなど様々なデバイスを用いたペーシング療法も行っており、地域・病院の特性上重症症例も多い。今後の課題として各社のプログラマー、ペーシングシステムアナライザーに習熟し、トラブルに確実に対応出来る体制整備が必要と考えられる。

O-21 当院の腹腔鏡下手術装置における光学機器の故障の検討 O-22 ポータブル吸引器の性能維持のための試み

1日鋼記念病院 臨床工学室、2外科 1JA北海道厚生連 札幌厚生病院 臨床工学技術部門

石田 稔1、岩倉 司1、田野 篤1、常山 一志1、鎌田 豊1、諸澤 卓磨1、太田 和志1、鹿野 秀司1、乙部 伸之1、青木 貴徳2、高田 譲二2、浜田 弘巳2

高橋 大樹1、完戸 陽介1、森久保 忍1、石川 俊行1、橋本 佳苗1、室橋 高男1

【はじめに】近年腹腔鏡下手術装置・器具の保守管理を行っている施設が増加しているが、故障の動向に関する報告は少ない。 【目的】当院の腹腔鏡下手術装置における光学機器おいて1999年から2006 年までの間で修理が必要と判断した60件のうち、修理不能を除いた54件の機器の分類及び故障原因と修理金額から光学機器の故障の動向と検討した。 【方法】期間:1999年1月~2006年12月。対象:腹腔鏡下手術装置における光学機器。機器の分類:CCDカメラ及びカメラヘッド、テレスコープ、光源装置、胆道ファイバ、フレキシブルファイバ、ライトガイド、テレビモニタカラープリンタ、録画装置とした。故障の原因:人因的故障、消耗劣化、その他とした。 【結果】修理件数別ではCCDカメラ及びカメラヘッドが23件(42%)、テレスコープ10件(19%)、胆道ファイバ5件(9%)、フレキシブルファイバ4件(7%)、であり撮影機器が全体の77%を占めた。修理金額別ではCCDカメラ及びカメラヘッドが約188万円(37%)、胆道ファイバ約152万円(30%)、テレスコープ約122万円(25%)、フレキシブルファイバ約8万円(2%)、であり撮影機器が全体の94%を占めた。故障分類別件数では人為的故障は 24 件(45%)、消耗劣化18件(33%)、その他12件(22%)であった。その他の内容としては、初期ロット不良品や修理完了後の故障現象の再現性ありが 8件、故障再現しない 4 件、が挙げられる。故障分類別修理金額では人為的故障が約380万円(76%)、消耗劣化が約120万円(24%)であった。 【結語】機器分類ではCCDカメラ及びカメラヘッド、テレスコープ、胆道ファイバが、故障原因の分類では人為的故障が修理金額の大半を占めるため、故障を起こさせない使用方法の啓蒙が重要と考える。

【目的】気管内挿管や気管切開のように、人為的に気道が確保されている症例において、分泌物の除去というのは必須であるが、その中でも在宅で人工呼吸器を使用している患者にとっては、吸引を患者本人、若しくはその家族が行わなければならないため、特に重要である。そのため、在宅におけるポータブル吸引器はなくてはならないものであるが、当院で経験した患者全員が、ポータブル吸引器に大きな不満を持ち、ストレスと感じているのが現状であった。そこで、このストレスの原因が、ポータブル吸引器そのものにあるのか、又はポータブル吸引器の劣化等によって引き起こされているのかを把握することで、吸引ストレスの軽減と生活の向上につなげられないか検討したので報告する。 【対象】現在、当院で往診している患者が、実際に所有しているポータブル吸引器 2 台と、その同機種同型の新品、及び病院配管を対象とし、それぞれの吸引圧力の時間的変化、最大吸引圧力、吸引流量を測定し、比較を行った。 【結果】吸引圧力の時間的変化においては、全てに大きな違いはなく、最大吸引圧力に関しては病院配管が一番低い結果となった。しかし、病院配管の吸引流量はポータブル吸引器の約 2 倍ある結果となった。 【まとめ】ポータブル吸引器と病院配管には、性能上に多きな違いが見られた。そのため、違いを理解した上で使用することが望ましい。また、吸引圧力のみの確認では性能状態を反映し難いため、点検時には吸引流量も測定することが重要であると考えられた。

O-23 複数台におけるシリンジポンプの流量誤差に関する研究 O-24 高流量対応輸液・輸血加温装置の流量・温度変化

1北海道工業大学 工学部 医療福祉工学科 1市立札幌病院 臨床工学科

山城 州古1、小柳 智康1、菅原 俊継1、黒田 聡1、有澤 準二1、木村 主幸1

竹浪 延幸1、金野 敦1、前中 則武1、奥田 正穂1、進藤 尚樹1、高平 篤法1

【目的】ICUや手術室などで、1人の患者様に複数台の輸液ポンプ及びシリンジポンプを使用している場合が多い。また輸液ポンプとシリンジポンプを1つのルートで併用した場合に流速や薬液の違いにより、「積算量と残量が合わない」などの報告がある。そこで我々は、1台のシリンジポンプで、針先との高さを変えて流量誤差の影響を検討し、次にシリンジポンプ 2 台を併用した場合についても同様に流量誤差の影響を調査した。 【方法】テルモ社製シリンジポンプ TE-331 に延長チューブSF-ET1030Lを取り付け、その先に多連活栓TS-WS3R2を接続した。輸液された薬液は、電子天秤上に置かれた容器に回収し、測定重量として1秒毎にPCに記録され、薬液の比重・蒸発量を考慮し算出したものを積算容量とした。また、点滴スタンドへ固定する高さを針先より 0cm、-20cm、-40cm、-60cm、-80cm と変更し、設定流量 5ml/hで2時間の輸液を行った。模擬薬液はすべての条件で蒸留水を用い、各実験を3回行った。データ解析方法としてJIS規定の全体誤差百分率を用いて比較した。 【結論】1台のシリンジポンプで高さを変更して検証した場合の平均誤差は 0、-20、-40、-60、-80 cm の場合でそれぞれ 0.0000%、-0.2000%、-0.09333%、-0.2400%、-0.2733%となった。また、2台で高さを変更した場合の検証も行った。 【考察】落差が大きくなるにつれて薬液の注入量が減少する傾向が見られた。これは、今回の落差の設定が針先より低い状態での検証であったためと考えられる。しかし、どの場合もメーカ規定の許容誤差範囲内であった。 【結語】今後は針先よりも上部に設置した場合の検証や、2台のシリンジポンプの流速を変えての検証、さらに高流速の輸液ポンプと低流速のシリンジポンプを併用した場合の検証を行う予定である。

【はじめに】現在、輸液・輸血加温装置は多種市販されているが、危機的大量出血に対応できる高流量型の機種は少ない。当院では、現在まで温水循環式加温装置を使用してきた。しかし、感染・衛生面やメンテナンス等から乾熱式加温装置が有用と考え、乾熱式の高流量対応輸液・輸血加温装置を導入した。そこで今回、輸液・輸血回路と留置針による流量変化と、加温回路から留置針までの温度低下について実験的検討を行った。 【方法】装置及び回路は定圧輸液加圧バッグで蒸留水 500ml を加圧後、輸血セット、加温装置専用ハイフローセットを用い、輸液・輸血加温装置メディテンプ3で加温し、患者側へ送られる構成とした。本実験では、留置針(14G・16G・18G・20G・22Gの5種)と、延長チューブ(内径2.0mm・3.2mm、長さ各500mm・1000mmの4種)と延長チューブ無しを接続し、臨床の現場を想定した流量・温度変化を測定した。流量測定にはメスシリンダとストップウォッチを用い、温度測定には連続測定電子体温計Mon-a-therm Model 6510を使用した。【結果】留置針・延長チューブを組合せ、流量を測定し、81~470ml/minの間で差が生じた。血液回路から留置針までの温度低下は設定温度41.0℃に対し、最大で-2.2℃となった。 【結論】輸液・輸血回路と留置針の組合せにより患者送液温が変化するため、温度低下を最小限にする必要がある。実際の輸血には通常5.0℃で冷却保存された照射濃厚赤血球を用いる。そのため、粘度や比熱の関係、装置の性能上10℃以下の輸液・血液は300ml/min以下で送ること等、考慮しなければならない。危機的大量出血時では、可能な限り内径の太い延長チューブと留置針を用い、事前に少しでも照射赤血球濃厚液を温める事で、より高温高流量の輸血が可能になると考える。

O-25 衝撃検知センサーを使用したME機器の管理 O-26 漏れ電流測定回路の製作と基礎評価

1JA北海道厚生連 札幌厚生病院 臨床工学技術部門 1学校法人西野学園 札幌医療科学専門学校 臨床工学技士科

完戸 陽介1、高橋 大樹1、森久保 忍1、石川 俊行1、橋本 佳苗1、室橋 高男1

須藤 徹1、黒田 恭介1、鈴木 卓磨1、比屋定 瑠理1、澤口 裕太1、横山 徹1、阿部 雅幸1

【はじめに】近年ME機器の保守・点検が今まで以上に重要視されている。当院でも1683台のME機器を管理し保守・点検を行っている。その中に含まれる輸液ポンプ86台、シリンジポンプ88台について、平成11年~18年までの間に落下・転倒によるMEセンターへの修理依頼を調査した結果、2機種で合計167件あった。そこで、一定の衝撃を検知することでセンサーが反応する3M 社製衝撃検知センサーショックウォッチ(以下ショックウォッチ)を使用して、落下・転倒を視覚的に発見することでME機器管理の向上につながるか検討したので報告する。 【方法】1.貼り付け位置による信頼度に変化が無いか、輸液ポンプを落下させた実験行った。2.臨床使用上の環境を想定して、衝撃を受けたときの指標になりえるかの実験を行った。3.ME機器の落下・転倒の報告が最も多い部署を対象とし、ショックウォッチを貼り付け経過を観察した。 【結果】1.特定の位置で反応しにくい場所があった。2.20cm、30cmの高さからと点滴棒ごと落下させた場合においてセンサーは赤変した。段差を通過させた場合と点滴棒ごと壁に衝突させた場合、ショックウォッチは変化しなかった。3.平成18年8月1日~11月8日までに、落下・転倒にて修理点検依頼は輸液ポンプ12件、シリンジポンプ2件であった。 【考察】ショックウォッチを使用することで機器への衝撃を容易に判断でき、安全な使用につながるため機器管理の向上につながると思われる。また、コスト面を考慮すると落下・転倒の事例が多い部署などを対象に的を絞って使用することで、より効果が期待されると思われた。 【まとめ】ショックウォッチを使用することで、返却時の点検以外にも患者様や病棟スタッフによりME機器の落下・転倒を視覚的に発見することができ、衝撃に対する注意を促すことで機器の安全な使用につながると思われる。

【目的】平成19年4月,医療機器の安全管理に関する医療法が改正され,9月には(社)日臨工より具体的な保守点検等に関する解説書が発行された(1)。このような体制の確立が急務であり点検の機会が増える。そこで電気的安全性点検について,今回簡易的な漏れ電流測定回路(MD)を製作し,その性能評価を行った。更に医療機器の漏れ電流を測定して製品版MD(BIO-TEK,Model 370)との比較を行ったので報告する。 【方法】JIS T 1002に基づき,ここでは1kΩ,10kΩの抵抗,0.015μFのコンデンサで回路を構成し入力インピーダンス約10MΩのデジタルテスタを接続して製作MDとした。次に製作MDの性能評価として,ファンクションジェネレータにより正弦波(10~1MHz, 4Vp-p)を入力しオシロスコープで入出力電圧を計測して周波数特性を求めた。医療機器の漏れ電流の測定は文献(2)の方法,手順に従った。 【結果】製作MDの周波数特性において,遮断周波数は理論値と実測値が誤差率-1.0%と良好な結果が得られた。次にシリンジポンプ(TERUMO,TE-332S)の外装と接地漏れ電流を計4台の製作MDと製品版で測定したところ,製作MDでは外装と接地漏れ電流ともに正常状態0.1μAに対して,製品版MDでは0.1μAであった。また単一故障状態での各電流値は0μAであり,製品版MDでは0.3μAと0.2μAであった。なお,計4台の製作MDにおける測定値の機器間差は見られなかった。 【結論】安価で簡便なMDを製作及び評価し,シリンジポンプの漏れ電流を測定した結果,今回は製品版とほぼ同等の測定値を得ることができた。今後の課題は,様々な医療機器の漏れ電流を測定し製作MDの有用性を検討すること,また実際に臨床で使用されている機器についても評価することである。 【文献】(1) (社)日臨工,医療機器の保守点検計画と適切な実施に関する解説書(2007/09/20). (2) 厚労省監修,ME機器保守管理マニュアル(南江堂,2006)pp.5-17.

O-27 医療機器管理用データベースを用いた機器の稼動率 O-28 医療機器の電源コードに着目した院内感染対策

1北海道工業大学大学院 工学研究科 応用電子工学専攻、2北海道工業大学 工学部 医療福祉工学科

1旭川赤十字病院 救急部 臨床工学課、2検査部、3救急部

菅野 将也1、有澤 準二2、菅原 俊継2、黒田 聡2、木村 主幸2 細矢 泰孝1、太田 真也1、貝沼 宏樹1、佐藤 あゆみ1、陶山 真一1、奥山 幸典1、飛島 和幸1、脇田 邦彦1、見田 登1、山口 香織2、中山 優2、射場 浩一2、住田 臣造3

【はじめに】近年、医療機器事故の防止と効率的運用のため医療機器管理の重要性が叫ばれている。機器の稼働(使用)状況を見る指標として稼働率があるが、これを調べることで機器が適正に使用されているかの目安となり、機器の入れ替えや増設時の判断資料とされている。我々は今までに医療機器管理用データベース(以下DB)とRFID(Radio Frequency Identification)を用いて機器の管理・貸出を行うシステムの構築を行ってきた。今回はそこから得られた情報を基に機器稼働率の算出・表示を行うシステムの構築を行ったので報告する。 【方法】稼働率の計算方法として、機器の総貸出し時間を総使用時間とし、その時間を購入してからの期間で割る方法を用いた。RFIDを用いてデータベースへの機器貸出・返却情報の入出力を行い、返却時に使用時間を算出し、この時間を返却時ごとに加算していくことで総使用時間を算出した。DBには機器毎の総使用時間や購入日が記録されており、機器情報参照の際にはDBに記録された情報を用いて稼働率を随時算出し、表示するようになっている。これらの処理を行うアプリケーションはMicrosoft Visual Studio.NET C#を用いて作成した。 【結果】RFIDを用いた貸出情報を基に医療機器の稼働率を算出するシステムを構築した。DBに記録された情報を用いることで容易に機器毎の稼働率の算出が可能となった。ただし、今回の稼働率は、厳密に稼動時間を測定しておらず、見かけ上の値である。今後はアクティブタグやIPセンサ等を用いて機器の実際の稼働時間と位置情報を同時に取得できるシステムの構築等を行うことで、より現実的な医療機器管理システムを構築していきたいと考えている。

【はじめに】医療機器中央管理では機器を清潔に保つことは我々の重要な業務である。医療機器が媒介となる院内感染のリスクも常に考えなければならない。機器の電源コードの多くは床を這う状態になっていることが多く極めて不潔である。今回我々は医療機器の電源コードに着目した院内感染対策について検討を行った。 【方法】病棟で長期間使用していた輸注ポンプの電源コード及び、自動血圧計の床を這っていたエアーチューブを30cmにわたって綿棒でサンプリングし、羊血液寒天培地に塗布して孵卵器で24時間培養試験を行った。さらに病棟から返却された輸注ポンプの電源コードをハイプロックスとミルトンにそれぞれ5分間浸け置き後、乾燥させて同様の方法でサンプリングして培養を行った。また浸け置きではなくハイプロックスとミルトンを浸した紙ガーゼで清拭した場合の消毒効果も検討した。 【結果】病棟で長期間使用されたコード類からは、多数の表皮ブドウ球菌、バチルスのコロニーが認められた。ハイプロックスとミルトンでの5分間の浸け置き消毒及び、清拭したコードからは細菌は検出されなかった。今回の検討では浸け置きをせずに清拭するだけでも一定の消毒効果が認められた。 【考察】病棟でスタッフが輸注ポンプを使用する際は、必ず電源コードをコンセントに挿してからルート確保のために穿刺業務を行うことが多い。消毒されていない不潔な電源コードに触れ、雑菌が付着した手で患者の皮膚を触ることで皮膚に雑菌が付着し、院内感染リスクを高める可能性が考えられる。 【結語】体力や免疫力が低下している症例は病原性の弱い常在菌であっても日和見感染を起こしてしまうリスクが高い。院内感染予防の観点からみて医療機器本体だけではなく電源コード類も消毒を行い、院内感染対策を行うべきである。

O-29 e-learningシステムの導入と基礎評価 O-30 エバブレンEK使用による貧血改善の報告

1学校法人西野学園 札幌医療科学専門学校 臨床工学技士科 1小清水赤十字病院

横山 徹1、澤口 裕太1、福嶋 満男1、菅原 直行1、阿部 雅幸1 片桐 亜紀1、入澤 嘉世1、石川 一史1

【目的】基礎学力の低下が叫ばれる中,教育,指導をする上で学習の効果や理解度,習熟度を教員と学生の相互が把握することが求められる。今回,Internetを用いた学習方法であるe-learningシステムを導入し,その基礎評価について報告する。 【方法】国家試験対策として,過去の問題を難易度により 3 段階にレベル分けし,通常 5 択のものを一問一答式に再編集した。教材はホームページ作成ソフトにより編集し,サーバに科目と詳細項目毎(例:医用電気工学「RLC回路」)にデータベース化した。e-learning管理ソフト(INTERNET NAVIGWARE V8.0,(株)富士通ソフトウェアテクノロジーズ)は,ログイン,テストの受講コース,採点,採点結果のグラフ化,成績管理,レポートやアンケートの集計,質問の受付など一括管理が行える。学生が利用するPC環境は,OSにWindows 2000とWindows Vistaを使用した。なお,テストは,工学分野の基礎レベル問題75問(25×3セット)を80名(OSにより40名毎)に行った。また,使用感想をリアルタイムで回収するアンケートも併せて実施した。 【結果】感想をまとめたところ,旧OSを使用した際には回線通信速度が負荷となり満足度が低かったが,新OSのPCに入れ換えスペックが向上すると劇的に改善された。次に,本システムを用いることでメリットとして,出題が一問一答のためスピーディに取り組めること,採点結果が個人毎にグラフ表示されるため不得意項目が一目瞭然であること,理解度の確認に適していることなどが挙げられた。一方デメリットとしては,単調化すること,外部からのセキュリティ対策のため学内LANのみの使用であることなどが挙げられた。 【結語】以上,本システムは,学生の習熟状況を把握するために有用であった。今後,アンケートに多数あった要望である解説を簡便なものから作成する。更に,特化した内容を精査し学力向上と学生指導に利用していく。

【目的】度重なる診療報酬の改正に伴い、透析治療の質の維持はますます困難をきたしている。昨年にはエリスロポエチン製剤(以下EPO)も包括化され、当院においても、コスト面と患者の QOL の両面を維持することが課題の一つとなっている。こうした動きの中で今回、貧血改善効果が期待されているクラレメディカル社製エバブレンEKシリーズ(以下EK)を使用し、評価を行う機会を得たので報告する。 【対象】当院慢性維持透析患者60名より、設定した選択条件を満たした12名を対象患者とし12週間使用した。 【方法】原則として EPO 投与量および鉄剤は変更しないものとし、開始時と12週間後のHb、Hct、フェリチン、網状赤血球数、TSATを用い、全体の推移および貧血改善効果のあった症例について検討した。但し、当院にて設定したプロトコール値より逸脱した場合についてはEPO投与量および鉄剤投与量を適宜増減した。 【結果】 全体の平均を元に評価した結果では、有意差は見られなかった。しかし、12症例中3症例において貧血改善が見られた。また、12症例中1症例においてHct値がプロトコール上限値より逸脱したため、EPO投与量を減量したが、貧血悪化は見られなかった。 【考察】貧血改善のメカニズムは明確にはなっていないが、EVAL膜の特性として抗血栓性や生体適合性に優れた膜であるため、貧血改善に何らかの形で関わっているのではないかという可能性が示唆された。

O-31 PAD3000を使用した透析患者の下肢SPP測定について O-32 透析液製造工程から分離した細菌の同定ならびに熱感受性に関する検討

1JA北海道厚生連 遠軽厚生病院 臨床工学技術部門 1北海道工業大学大学院 工学研究科 応用電子工学専攻、2北海道工業大学 工学部 医療福祉工学科、3札幌社会保険総合病院 ME部

三上 和香1、大塚 剛史1、伊藤 善教1、伊藤 和也1、渡部 貴之1、岡田 功1

塚本 和幸1、東 俊輔2、尾崎 萌美2、真下 泰3、黒田 聡2、菅原俊継2、有澤 準二2、木村 主幸2

【はじめに】CLI(重症下肢虚血)は透析患者のQOLや生命予後に重大な影響を与える。CLIの一般的なスクリーニング法としてABIがあるが検出に限界がある。今回我々はABI以外のCLIスクリーニング法のひとつであるSPP(皮膚灌流圧)の測定機会を得られたので報告する。 【測定機器の使用と特徴】今回使用したカネカメディックス社製PAD3000はレーザードプラを使用した皮膚灌流圧測定機器である。近年、下肢バイパス判定要素として心臓血管外科領域、アンプタ部位決定要素として整形外科領域、下肢 PPI 前後の血流判定要素として循環器科領域等で注目を集め使用され始めている。 【対象】当院の慢性維持透析患者のうち40名79肢についてSPPの測定を行った。 【方法】PAD3000 を使用し、患者状態の安定している透析開始後 30分から 2 時間までの時間帯で、安静臥床にて測定した。測定部位は足底とした。CLI 発症リスクである DM、透析歴、年齢について検討し、さらに複数のリスクがある場合についても検討した。また、下肢潰瘍に対する治療成績から40mmHgをカットオフ値とした。 【結果】1)透析患者のSPPは40mmHg以下が8肢(両肢が40mmHg以下の3名を含む)と高確率だった。2)DM 群と非DM群のSPP 比較はDM群にSPPの低い患者が多かった。3)透析歴5年以上と透析歴5年未満でのSPP比較は透析歴5年以上の群にSPPの低い患者が多かった。4)年齢が65歳以上と65歳未満でのSPP比較は65歳以上にSPPの低い患者が多かった。5)以上、複数のリスクが重なる場合の SPP比較はリスクが重なる程、SPPが低かった。 【まとめ】今回、透析患者に SPP の測定を行った。その結果、10%の患者がCLIを疑われた。透析患者にとってCLIは命を落とす危険がある重要な疾患であり、透析室スタッフとして下肢観察の関わりは極めて重要と考えた。

【目的】近年, 透析療法の多様化,特に透析膜の大孔径化により透析液内に混入した細菌やエンドトキシンが体内に侵入する可能性が危惧されている.このような背景から透析液の清浄化が重要視され,透析液ならびに透析用水の微生物汚染評価が行われるようになった.しかし,この様な検査で出現する微生物の発生機序については解明されていないのが現状である.そこで本研究では発生機序を解明する第一歩として当研究室で分離,保管している透析液由来細菌について同定を行い,菌種から発生機序を考察した. 【方法】我々は昨年,札幌社会保険総合病院の水処理装置より透析用水を採水し,微生物汚染について調査した.採取部位は原水,活性炭処理後,ROモジュール後,ROタンク後,供給水の5箇所から採取し,試料とした.R2A寒天培地にて14日間培養を行い,出現した細菌をコロニーの性状別に仮分類し保存しておりこれらの菌を用いた.同定にはグラム染色,オキシダーゼテスト,細菌同定検査キットAPI 20NEを用いた.使用方法はメーカーの指示のもと行った. また,熱に対する感受性実験では 80℃の環境を作り 0,10,30,60 分の間隔で殺菌効果を検討した.被検微生物は今回,最も多く分離されたSphingomonas paucimobilisを使用した. 【結果と考察】7菌種の細菌を同定した.採取部位により異なる菌種の細菌を分離したが RO タンク後と供給水から Sphingomonas paucimobilis, 活性炭処理後と供給水から Brevundimonas vesicularisのように同じ菌種が複数の部位から分離された.同定した細菌は水,土壌に生息する環境細菌であった.病原性はあまりないが,何らかの機序で水処理装置内に入り込む可能性が示唆された.今後,このメカニズムについて検討して行く予定である.分離菌の熱感受性実験では 80℃,10 分で殺菌効果が確認された.よって,現在行われている熱水消毒は有用と考えられた.しかし,今回はバイオフィルムなどを考慮していない為,更なる検討する必要がある.

O-33 生菌数測定法の比較 O-34 バイオプローラにおける細菌検出精度の評価

1JA北海道厚生連 倶知安厚生病院 1特定医療法人北楡会 札幌北楡病院 臨床工学技術部、2特定医療法人北楡会 札幌北楡病院 外科

笠島 良1、篠原 知里1、大宝 洋晶1、竹内 勝訓1、長澤 英幸1、志茂山 俊雄1

清信 一貴1、宮岸 勇樹1、鶴谷 敬之1、土濃塚 広樹1、古井 秀典2、久木田 和丘2、米川 元樹2、川村 明夫2

【目的】当院において透析液水質管理の指標としてエンドトキシンの測定を施行している。しかし、ISOの透析液清浄化に関する基準案が微生物汚染の範囲まで論議され、生菌数測定も測定項目に取り上げられている。そこで今回当院のRO水及び透析液の生菌数を把握すると共に、各種生菌数測定法の操作性・有用性について比較したので報告する。 【方法】RO水と透析液を日本臨床工学技士会の透析液清浄化ガイドラインVer1.05 に従い採取した。その試料をR2A寒天乾燥培地、シートチェック-R2A、37mm クオリティモニター、Milliflex に添付または濾過させ、培養後に生菌数を目視にてカウントし比較した。また、ET値についても和光純薬工業社製トキシノメーターにより測定した。 【結果】以下R2A寒天乾燥培地、シートチェック-R2A、37mmクオリティモニター、Milliflex、の順に結果を示す。RO水においては、24 CFU/mL、24CFU/mL、 9.9CFU/mL 、7.87CFU/mLであった。フィルター後RO水においては0CFU/mL、0CFU/mL、0.3CFU/mL 、0.20CFU/mL であった。透析液についてはすべての測定方法でコロニーの形成は認められなかった。ET値は、RO水においては3.10 EU/Lで、フィルター後RO水、透析液では検出限界以下であった。 【結論】各種生菌数測定法の特徴を理解し、目的に合わせた測定方法を選択する必要がある。

【目的】現在、透析液やRO水中の細菌検出法としては培養法を用いているが、従来の培養法では結果がでるまでに数日間を要したり検出されない細菌があるのが現状である。今回われわれは、メンブランフィルター法で補足した細菌を蛍光染色試薬で染め細菌を検出するパナソニック社製バイオプローラを使用し従来の培養法との細菌検出精度を比較検討した。 【方法】試料溶液として原水、活性炭濾過機後、RO 水、B 原液、末端透析液をサンプリングしバイオプローラで染色した細菌と R2A 培地で7日間培養した細菌のコロニー数のカウントを行い検出された細菌数の違いを比較した。 【結果】バイオプローラでの細菌測定平均(n=3)は活性炭濾過機後で生菌数 355.3cell/ml 死菌数 69.0cell/ml、RO 水で生菌数2.3cell/ml死菌数7.7cell/ml、B原液で生菌数1028.0cell/ml死菌数54.0cell/ml、末端透析液で生菌数2.7cell/ml死菌数4.0cell/mlであった。またR2A培地(n=3)ではRO水からはコロニー数が平均2cfu/ml検出されたが他のポイントからは検出されなかった。 【考察】バイオプローラで細菌数を多く検出できたのは、R2A培地では発育できない細菌を1cellレベルで生菌と死菌を検出できるためだと思われる。また、B液は高値であったが末端透析液では低値を示していた。これは、供給装置後に設置しているETCFにより細菌が除去されたものと考えられた。 【結語】R2A培地では検出できない細菌をバイオプローラでは多数検出できることができた。また10分程度で迅速に生菌と死菌を測定することができることからリアルタイムな水質管理が可能だと考えられた。

O-35 臨床実習中に経験したアナフィラキシー様ショックの1症例 O-36 メシル酸ナファモスタット使用におけるアナフィラキシーショックの経験

1北海道ハイテクノロジー専門学校 臨床工学技士学科、2NTT東日本札幌病院 臨床工学室

1医療法人 札幌中央病院 臨床工学科、2泌尿器科

金田 尚之1、茶木 雅美1、佐藤 健太2、石川 健2、桑田 大輔2、佐々木 雅敏2、杉本 親紀2、桜田 克己2、高橋 秀一2

楢山 佳祐1、毛利 尚弘1、長嶋 耕平1、森本 誠二1、清水 啓介1、山名 正和1、山本 浩幸1、続 多香子2

【はじめに】現在、血液浄化領域において多種多様なダイアライザが発売され使用されている中、臨床実習中にダイアライザによるアナフィラキシー様ショックを呈した症例を経験したので報告します。 【症例】78歳、男性、肺炎とうっ血性心不全にてNTT札幌病院入院、平成19年6月7日より透析導入となりました。透析条件は透析時間3時間、血液流量150ml/min、ダイアライザ旭化成クラレメディカル社製APS-15MD、抗凝固剤はヘパリンナトリウムにて透析開始。内服薬はディオバン、ノルバスク、カルデナリン、ラシックスを内服しておりACE阻害剤は服用しておりませんでした。透析施行回数4回目の平成19年6月16日、透析開始2時間目に急激な血圧低下を呈し、下肢挙上、生理食塩水及び酸素投与施行、医師の指示により総除水量の変更を行い透析終了。6月19日 5回目の透析施行時には透析開始直後30分以内に急激な血圧低下を呈したためダイアライザによるアナフィラキシーを考慮し 6 回目以降、陽性荷電膜であるFB-150Uβに変更し透析施行。ダイアライザ変更後血圧低下は認められませんでした。 【結語】私達は、今回の症例を経験したことによって、学校では学ぶことの出来ない臨床現場だからこそ学ぶことの出来る貴重な経験をすることができました。その経験を経て断片的な知識だけではなく、様々な経験を積み重ねていく中でより一層知識や技術を高めていき、今後、臨床現場で働いていく臨床工学技士として患者様のために、より良い治療に繋げられるように努力をしていきたいと考えます。

【はじめに】手術後や出血傾向を有する患者の血液浄化の際、抗凝固剤の一つとしてメシル酸ナファモスタット(以下、フサン)は欠かせないが、反面重大な副作用も報告されている。今回、当院でフサンを使用した血液浄化症例におけるフサンの副作用の経験についてまとめたので報告する。 【対象及び方法】平成15年1月から平成19年10月までの当院での血液浄化において、フサン使用症例を対象とし、副作用の発現頻度を求めた。また、副作用出現時の透析室スタッフの対処について検討した。 【結果】全血液浄化件数30738件中、フサン使用症例は257件あり、フサンの副作用によると思われるショック症状を発現した症例は 3例であった。発現率は1.17%であった。3例とも2回目のフサン使用時で透析開始直後に発症しており、主な症状は身体のしびれ、掻痒感、発熱、呼吸困難、心悸亢進、血圧低下に続き、意識レベルの低下を伴った。これらの症状を認めた時点で直ちにフサンの投与を中止し、医師への報告と同時に患者の呼吸・血圧の維持を行った。課題としては、医師への報告と指示内容を伝達する者と患者の処置を行う者との間でコミュニケーションが取れていなかったケースが挙げられた。 【考察】フサン使用による血液浄化を行う際には、ショック症状の発現に備え、迅速に救急処置を取れるよう事前に準備をするとともに、ベッドサイドにて十分な観察を行う必要がある。ショック症状を発現した場合は、的確に患者の状態を医師に報告し、看護師と連携して迅速な対処を行わなければならない。そのためには、各々の役割を明確にし、透析室スタッフ全員が情報を共有することが重要である。 【結語】フサン使用におけるアナフィラキシーショックを3例経験した。その対処について検討したことで今後の治療に活かすことが出来ると考えられた。

O-37 自己免疫性肝炎劇症型に対する血液浄化療法の経験 O-38 新しい血液浄化装置(JUN-55X)の性能評価

1医療法人 渓仁会 手稲渓仁会病院 臨床工学部、2消化器病センター、3麻酔科集中治療室

1医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院 臨床工学部

那須 敏裕1、山内 貴司1、猫宮 伸佳1、菅原 誠一1、根本 貴史1、小林 暦光1、千葉 直樹1、渡部 悟1、千葉 二三夫1、古川 博一1、姜 貞憲2、横山 健3、片山 勝之3

山内 貴司1、那須 敏裕1、千葉 二三夫1、猫宮 伸佳1、鈴木 学1、齋藤 大貴1、佐藤 友則1、石田 絢也1、今野 裕嗣1、菅原 誠一1、根本 貴史1、小林 暦光1、千葉 直樹1、渡部 悟1、古川 博一1

【はじめに】自己免疫性肝炎(AIH)とは、中年女性に好発し(男女比1:7)早期に肝硬変の進展傾向を示す自己免疫性機序の関与した慢性活動性肝炎をいう。本邦では劇症肝炎の成因の9.2%(厚労省全国集計1998-2000)と言われている。今回AIHの劇症型に対する血液浄化療法を経験したので報告する。 【症例】36歳男性。主訴、濃縮尿・倦怠感で近医受診。その後PT19%まで低下し、重症急性肝炎成因不明型であり脳合併症のリスクが高いと判断され当院転入となった。搬送時、軽度の羽ばたき振戦および失算を認めたため、FH(subacute type)と診断され、ICU入室し治療開始となった。前医での経過と肝炎ウィルス(-)、抗核抗体(+)、IgG 2g/dl以上であったことからAIHの劇症型と診断した。 【方法】当院搬送直後より脳症2度ありPE(40E)+HDF(16L)施行。第4病日夜間より脳症3度に進行が認められたため翌日よりHigh flow CHDF(HF-CHDF)を追加したが、脳症憎悪あり治療条件を QB 100→150ml/min、QD 150→200ml/minにアップさせた。 【結果】浄化回数は合計PE7回、HDF11回、HF-CHDF3日間施行した。第7病日より体動出始め、第8病日には意識状態改善。ICU退室時は脳症0~1度まで改善し、第16病日移植手術のため他院転院となった。 【結語】本症例は AIH には珍しい男性例で、かつ劇症化の経過を辿った非常に稀な症例であるといえる。このような症例に対してDrやNsとディスカッションし浄化量を増加することで脳症を改善させ、合併症を最小限に抑えたことで、移植までのbridge useとして血液浄化療法が重要な役割を果たしたと考える。今後も他部門との連携を密にとり、より良い治療をほどこせるよう努力していきたい。

【はじめに】近年、血液浄化療法の中でも集中治療における持続的血液浄化法(CBP)は欠かせない治療法の一つである。今回、新しい血液浄化用装置JUN-55X(55X)を評価する機会を得たので報告する。【対象および評価方法】比較対象装置としてPlasautoiQ21(iQ21)・ACH-10・KM-8900(KM)を使用し、除水精度・血液回路充填量・操作性・機能性について評価した。なお、除水精度は CHDF モード・血流量100ml/min・補液流量 300ml/hr・透析液流量 300ml/hr・除水速度100ml/hrの設定で2時間施行、時間ごとの除水量を測定しその誤差を評価した。 【結果】除水誤差は55X:0.51±0.44%・iQ21:0.55±0.24%・ACH-10:1.60±0.38%・KM:6.73±6.0%で55Xが最小であった。回路充填量は、標準回路において55X:66ml、小児用:44ml・iQ21:75.5ml、小児用:37.2ml・ACH-10:76.5ml、小児用:57.9ml・KM:85ml、小児用:44mlで成人用では、55X・小児用ではiQ21が低充填量であった。さらに、操作性では 55X が最もコンパクトであったため、ベッドサイド等での操作が容易であった。また機能性では、55X・iQ21がアラーム発生時のメッセージが充実していた。なおプライミング機能は、iQ21・ACH-10・KMはオートプライミング・プライミング補助機能が備わっていたが、55Xはプライミング機能がなく、落差式プライミングとなっていた。 【考察・まとめ】 55Xは容量チャンバー方式を採用しているため、除水誤差は少なく、またアラーム発生時に原因個所が表示されることにより対応が迅速に行え、集中治療領域においては有用と考えられた。今後、セットアップ時間の短縮を図るためにプライミング補助機能の採用や、最大置換量の増大等、装置の更なる改良を望みたい。

O-39 CH(D)Fにおける回路交換の要因の検討 O-40 カネカメディックス社製血漿浄化装置MA-03の使用経験

1手稲渓仁会病院 臨床工学部 1市立札幌病院 臨床工学科

千葉 二三夫1、山内 貴司1、鈴木 学1、猫宮 伸佳1、那須 敏裕1、渡部 悟1、古川 博一1

金野 敦1、竹浪 延幸1、前中 則武1、奥田 正穂1、進藤 尚樹1、高平 篤法1

【はじめに】CH(D)Fにおける回路交換の要因として装置側では回路やフィルターの目詰まりなどがある。今回、装置側での要因について検証したので報告する。 【対象】2005年10月から2007年7月に当院ICUで施行したCH(D)F125例中、回路やフィルターが原因で交換を要した117例、計426回の回路交換を対象。【方法】血液浄化装置にはACH-10を用い専用回路と、フィルターにはPAN膜、PS膜、CTA 膜を使用し回路交換の要因として回路側(C 群)、フィルター側(F 群)、回路+フィルター側(CF群)に分類し検討した。 【結果】回路交換の要因として 426 回中、C 群:234 回(54.9%)、F群:120回(28.2%)、CF群:72例(16.9%)とC群による回路交換が多かった。また各々の一回平均稼動時間は、C群:21.8時間(±15.4)、F群:26.1時間(±16.3)、CF群:25.7時間(±15.4)でC群がF群と比較して有意に(P<0.016)短くなっていた。また、回路側の凝血部位として回路側が要因となった234回中Aチャンバー:48回(20.5%)、V チャンバー:101 回(43.2%)、A+V チャンバー:85 回(36.3%)と Vチャンバーによる凝血が多かった。 【考察・まとめ】CH(D)Fの回路寿命を延長させるためにはフィルターよりも回路の工夫が必要と考えられた。

【はじめに】現在、難治性コレステロール血症の疾患に対し、LDL吸着療法が行われ、専用装置が市販されている。当院では昨年より専用装置カネカメディックス社製MA-03(以下MA-03)を導入した。今回、本装置の操作性・安全性について報告する。【対象】MA-03を使用した83回の治療についてガイダンス機能が操作性・安全性に及ぼす効果を検討した。 【結果】MA-03は起動時よりガイダンス機能が働き、ディスプレーに回路構成や手順が表示され、回路組み・洗浄・プライミングが約30分で行うことができた。治療中は各圧力・治療工程がモニターされ、状況が容易に把握できる。また、脱血不良や回路異常等はアラームにより表示されるため83回の治療から回収までトラブルが無く安全に施行できた。 【考察】本装置は回路装着時よりガイダンス機能が表示され、誤接続等をアラーム表示するため、治療前準備の回路組み・洗浄・プライミング工程に要する時間は約30分と短時間で、操作者の経験年数に関わらず誤接続等の危険性は少ないと考えられ、準備においては有用な機能であると考えられた。また、治療においても現在の状況をモニターにより簡単に把握することができ、ガイダンス機能は脱血不良・回路圧異常等の各警報に対し的確な対処方法を表示する。これにより83回の治療では安全な治療が可能になり、トラブルが起きても適切な対処ができたと考える。 【まとめ】ガイダンス機能は操作技術レベルを平均化し、操作者による治療の較差を少なくする。ガイダンス機能は各工程の操作性・安全性の確保に有用である。トラブル時のガイダンス機能の信頼性に対し、更なる検討が必要であると考えられる。

O-41 当院における在宅透析支援 O-42 在宅血液透析における臨床工学技士の役割

1特定医療法人 北楡会 札幌北楡病院 臨床工学技術部 1社会福祉法人 函館厚生院 函館五稜郭病院 臨床工学科、2腎・透析科

山野下 賢1、住田 知規1、山本 千亜希1、永田 祐子1、松原 憲幸1、月安 啓一郎1、安藤 誠1、宮岸 勇樹1、富岡 佑介1、那須野 優美1、四十万 千枝1、鶴谷 敬之1、清信 一貴1、小塚 麻紀1、土濃塚 広樹1

小黒 功太朗1、小原 雄也1、釣谷 みちえ1、若狭 亮介1、野田 沙耶花1、江口 洋幸1、瀧本 房壽1、雲母 公貴1、岸 則和1、長谷川浩一2、小原 史生2、鈴木 勝雄2

【はじめに】在宅血液透析が1998年に保険適用を受け維持透析患者の選択肢が1つ増えた。しかし現在、北海道で在宅透析を行っている症例は5例ほどに留まっている。その背景には患者側の要因もあるが支援施設不足も大きな要因と考える。今回我々は 2007年8月より在宅透析1例を開始した。当院での支援方法・経験を報告する。【対象】札幌在住の男性、53才、透析期間34年、施設透析時間は6時間/回、3回/週であった。介助者は妻であり、透析施設で看護師として働いていた経歴がある。 【訓練期間】事前訓練期間として約 2 ヶ月間確保し、透析の準備、自己穿刺、透析開始、返血等を指導した。介助者には、開始の介助、返血、トラブル時の対処などを指導した。その後 1 ヶ月間の観察期間を設け、実施の有無を確認し在宅透析開始となった。【透析機器】東レ社製個人用透析装置(TR-3000S)東レ社製個人用RO装置(TW-36P)を自宅2階に設置した。 【物品管理】透析液、ダイアライザー、生理食塩水、抗凝固剤は 2回/月の配送とした。その他の物品は1回/月の外来受診時に渡し、医療廃棄物の回収も行う事とした。水質管理はエンドトキシンを 2ヶ月毎の定期訪問時に測定した。RO装置の点検記録は透析毎に記録させ、異常があれば随時連絡するよう指導した。 【在宅透析開始】週 4 回(6hr‐6hr‐6hr‐4hr)で維持透析を行っている。 【トラブル】開始から1週間後及び3ヶ月後に発生し、電話にて対応を指導した。対応後、CEが患者宅に行き詳細を確認した。 【今後の展望】2度のトラブル対処に出動したが、この経験で当初抱いていた在宅透析支援への不安は軽減・緩和した。現在、当院では在宅透析の対応時間をCEが勤務している時間に限定している。在宅透析のメリット、特に社会復帰に関しては24時間対応が望まれるなど、他にも課題はあるが、多くの患者が在宅透析という選択肢を利用できるよう支援を続けていきたい。

【はじめに】現在、日本国内で25万人を超える患者が透析を受けているが、その中で自宅にて透析を行う在宅血液透析(Home Hemodialysis 以下:HHD)患者は 120 人程度と言われている。当院において平成19年2月より、透析施行日時の自由度及びQOLの向上による社会復帰を目的とし、道南医療圏初となる HHD をスタートするに至った。その取り組み内容及び経過を報告する。 【対象患者】年齢:38歳 性別:女性 透析歴:10年 職業:看護師 原疾患:SLE 介助者:母親(63歳) 【経過】平成16年4月よりHHDプロジェクトを立ち上げる。対象患者決定後、基本的手技及び異常時対処法を習得してもらうため、マニュアル及びチェックリストを作成し、それに基づいた指導ならびに合否判定試験を段階的にステップアップ形式で繰り返し行った。また介助者に対しても援助業務を中心とした指導を行い、最終的に別室にて患者本人と介助者のみで安全に透析を施行できるかを確認した。また並行して自宅設備の調査、透析周辺装置や消耗物品の調査・選定、医療廃棄物の処理法や緊急時の連絡体制等の各方面での整備を重ね、平成19年2月よりHHDへ本格的に移行した。現在10ヶ月が経過したが大事に至るトラブルは発生しておらず、患者は社会復帰を果たし順調に経過している。 【CEの主な関連業務】1.血液回路を新設計。2.機器操作関連の患者教育。3. マニュアル及びチェックリストの作成。4.使用装置、各種必要物品の選定及び配送方法の検討。5.HHD導入後の24時間トラブル対応。 【まとめ】HHDは患者主体の医療であり、導入に際しての重要課題は介助者となる家族の同意、本人の自己管理能力、そして HHD への意欲であると考えられた。今後も慢性腎不全患者の治療法の選択肢にHHDを追加する事で、積極的に社会復帰を目指す患者の支援を継続していく考えである。

O-43 透析患者用、止血パッド(アクセル)の使用経験 O-44 トラブルシューティング活用についての検討

1市立旭川病院 臨床工学室 1仁友会 北彩都病院 臨床工学科、2内科、3泌尿器科、4仁友会泌尿器科内科クリニック

山口 和也1、澤崎 史明1、堂野 隆史1、窪田 將司 1、河田 修一1、鷹橋 浩1、黒田 廣1

鈴木 精司1、両瀬 靖範1、山本 勝仁1、中谷 隆浩1、小西 康智4、石川 幸広1、井関 竹男1、石田 真理2、石田 裕則3

【諸言】慢性維持透析患者において、透析終了後の止血時間遷延は、少なからず患者のQOLを低下させる原因の1つであると考えられる。今回我々は、止血時間の短縮を目的とした止血パッド(以下アクセル)の使用機会を得たので報告する。 【検討商品】アクセルは天然海藻を原材料に加工された不織布で、その主成分はアルギン酸カルシウムからできている。 【対象と方法】当院維持透析患者で止血に10分以上の時間を費やす患者の中から、4名を選出した。アクセル使用により、従来の止血所要時間の6割での止血可否を判定し、最大4割までの止血時間短縮を試みた。止血の判定は止血終了から翌日にかけて再出血のない場合を止血可とした。また、アクセルの安全性についても検討した。 【結果】全例で従来の止血所要時間の40%時間短縮を計ることが出来た。アクセル使用中に発赤、掻痒感等は全例で確認されず安全に使用できた。 【結語】アクセルは簡便に使用でき、止血時間短縮に有用であった。

【目的】透析装置、供給装置の異常発生時に、経験年数の浅い、すべての技士が対応出来るように、トラブルシューティングを作成しているが、トラブルシューティングへの理解度の確認とさらなる向上を目指す為、活用方法について検討した。 【方法】当院、臨床工学技士12名、平均経験年数12.5±11.3年に、作成した透析装置、供給装置のトラブルシューティングを利用し、理解度テストと活用方法についてアンケート調査を行なった。 【結果】理解度テストはトラブルシューティング作成時には理解度が高かったが、作成からの日数と経過とともに、保管場所、記憶が薄れる傾向にあった。アンケート結果はその必要性と重要性については認識しているが、十分活用されていない結果だった。 【考察・結語】トラブルシューティング等の重要性は認識しているが、供給室機器のトラブル発生率が少なく、それのみでは理解度が低下する傾向であった。透析装置では、トラブル発生時に対処するタイミング(凝固による回路、ダイアライザー交換等)の判断が難しい等が上げられた、その為、定期的に勉強会を行い、継続してスタッフの理解度を向上させる必要があると考える。

O-45 過去5年間における道内・道外の公的・民間病院の基本給と技士手当等の比較

1学校法人 西野学園 札幌医療科学専門学校 臨床工学技士科

福嶋 満男1、澤口 裕太1、横山 徹1、菅原 直行1、阿部 雅幸1

【目的】本学園に臨床工学技士科が設立されてから19年経過し、昨年度で16年目の卒業生638名を送り出してきた。毎年、新卒者対象に就職求人票が道内外から来るが、病院の就職担当者から新卒者の基本給について問われることがある。ここで、過去5年間おける道内・道外の公的・民間病院の基本給と技士手当等をまとめたので報告する。 【方法】平成14年度から18年度までの過去5年間で道内・道外の公的・民間病院の初任給に関して基本給と技士手当に分け、各々の病院の平均を出して比較した。また、参考までに各年度の基本給最高・最低額、技士手当最高・最低額を載せた。 【結果】道内の公的病院の基本給平均は17万円前後で、道外は17.5万円前後で推移している。道内の民間病院の基本給平均は17.2万円前後、道外は18万円前後で推移している。道内の公的病院の技士手当平均は0.5万円前後、道外は1.5万円前後で推移している。道内の民間病院の技士手当平均は1.3万円前後、道外は1.7万円前後で推移している。 【考察】道内の基本給は公的病院と民間病院で比較すると、民間病院の方が0.2万円程高く、道外の基本給も民間病院の方が0.5万円程高い。道内外の公的病院の基本給差は0.5万円、民間病院の基本給差は0.8万円でいずれも道外の方が高い。これは、国、都道府県、市・町立病院などは規定で定められているため数年経過しても民間ほど変動は少ないものと考えられる。 【結語】総合して道内外の基本給が17万円台で、最高額は21.9万円、最低額は14.4万円と開きがあり、技士手当も最高額は4.5万円、最低額0.3万円と開きがある。今後、これらにおける解決策として病院全体が臨床工学技士に対する対価を上げることや、国として臨床工学技士業務に保険点数を導入することで、病院内における技士の価値が高まると同時に基本給や技士手当などが上がることが期待される。

(社)北海道臨床工学技士会 第18回北海道臨床工学会 抄録集