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サステナビリティレポート 2007 Sustainability Report 持続可能な社会を目指して

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Page 1: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

サステナビリティレポート 2007

Sustainability Report

持続可能な社会を目指して─

サステナビリティレポート

2007

Page 2: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

Fuji Xerox Sustainability R

eport 2007編 集 方 針

■参考にしたガイドライン ● GRI*「サステナビリティレポーティングガイドライン2006」 ● 環境省「環境報告ガイドライン(2007年版)」 ● 経済同友会「第15回企業白書」にある企業評価基準ガイドライン対照表(GRI/環境省)はウェブサイトでご覧ください。* Global Reporting Initiativeの略。企業の「持続可能性報告」の世界的ガイドライン立案を目的に1997年に設立された国際的な組織。

■レポートの記述範囲/対象期間富士ゼロックスおよび関連会社の環境負荷データは、環境会計の集計範囲である国内事業所および海外生産拠点を対象としています。データや報告事項の対象範囲は、当社会計年度である2006年4月から2007年3月までを原則としています。ただし、一部の報告については2007年4月以降について触れているものもあります。

■第三者意見について富士ゼロックスの活動についてジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)共同代表 多田博之氏、東京工業大学特任教授 水尾順一氏から第三者意見をいただきました。

■第三者審査について2007年度版では、株式会社あらたサステナビリティ認証機構に依頼し、「地球環境・将来世代とのかかわり」(P32〜39、41)におけるパフォーマンス部分の第三者審査を実施しています。

■次回の報告書発行予定2008年7月

私たちの活動につきまして、皆様からのご意見・ご感想をお聞かせいただければ幸いです。アンケートへのご協力をよろしくお願いいたします。

サステナビリティレポート2007には、冊子版とウェブ版があります。

■ 冊子版(全54ページ)トップコミットメントとハイライトを大きく取り上げています。また、ステークホルダーごとに関連する主要な活動を報告しています。

■ ウェブ版(全100項目 約250ページ *A4出力換算)冊子版よりも多くの活動を網羅的に詳しく紹介しています。レポートマップやガイドライン対照表(GRI/環境省)など各種ナビゲーションツールを備え、より簡単に必要な情報が得られるようになっています。

http://www.fujixerox.co.jp/sr/ 詳しくは53ページをご覧ください。

富士ゼロックスおよび関連会社は、持続可能な社会の構築に貢献するため、

地球環境問題や社会問題を視野に入れて事業活動を行なっています。

また、富士ゼロックスは社会から何を期待されているのかを常に視野に入れ

その期待に応えられるよう挑戦を続けています。

このレポートでは、持続可能な社会のために富士ゼロックスが取り組まなければならない課題と、

それに取り組む富士ゼロックスの姿をハイライトで報告。

各取り組みに協力いただいているパートナーや、

第三者の方から頂いた当社の活動に対するご意見も併せて紹介しています。

それとともに、ステークホルダーが富士ゼロックスに何を求めているのか、

当社が認識する各ステークホルダーからの期待に応えるための活動について、

重要だと考えているものを報告しています。

Fuji Xerox�

Sustainability Report 2007ウェブ版のご案内本冊子では、ステークホルダーごとの取り組みの中で、富士ゼロックスが特に重要だと考えるものを掲載しています。冊子に掲載されていないそのほかの情報や、より詳しい情報はウェブサイトに掲載しています。

▲ http://www.fujixerox.co.jp/sr/

冊子の内容がどこに載っているのかを調べたいときは・・・

トップページ(トップコミットメント・ハイライト)はここからご覧いただけます。http://www.fujixerox.co.jp/sr/

P.2 編集方針http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/edit/

P.4 ビジョン図http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/top_commitment/communication.html

P.28 お客様とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/user/−商品安全−お客様とのコミュニケーション−お客様に提供しているサービス

P.30 社員とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/employee/−雇用・労働環境−人事制度−多様性と機会−いきいきと働ける職場づくり−能力開発−労働安全衛生−人権への取り組み−労使関係−社員へのモラール・サーベイ

P.32 地球環境・将来世代とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/

−環境マネジメントhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/management/

−商品における取り組み:地球温暖化防止への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/warming.html

−商品における取り組み:天然資源保全への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/resources.html

−商品における取り組み:化学物質リスク低減への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/chemical.html

−商品における取り組み:お客様のオフィスの環境負荷低減  への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/office.html

−事業活動における取り組み:地球温暖化防止への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/business/warming.html −事業活動における取り組み:天然資源保全への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/business/resources.html

−事業活動における取り組み:化学物質リスク低減への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/business/chemical.html

−サイトデータhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/data/

P.42 社会・地域とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/community/−社会の一員としての社会貢献活動−本業を活かした社会貢献活動−社員の社会貢献活動をサポートする仕組み

P.44 取引先とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/customer/−取引先とのかかわり

P.45 株主・投資家とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/stock/−株主とのコミュニケーション−財務情報

P.50 第三者意見http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/opinions/

P.52 第三者審査報告書http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/assurance/

GRIガイドライン対照表http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/guidelines/

環境省ガイドライン対照表http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/guidelines/environment.html

「レポートマップ」をご覧ください。冊子のページ番号を選ぶと、そのページに関連するウェブページへのリンクが一覧できます。

Sustainability Report 2007 53

■本報告書は、VOC(揮発性有機化合物)成分ゼロの100%植物油インキを使用しています。

印刷サービスのグリーン購入に取り組んでいます

Page 3: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

● ビジョン図

知の創造と活用を通じて持続可能な社会づくりに貢献します 04

理念・共有価値 06

ビジョン 07

● Top Commitment

実直に、高い企業品質の富士ゼロックスをつくります 08

Highlights 11

● ハイライト1

お客様のCSRを支えるドキュメントサービス 1�

● ハイライト2

取引先企業と学びあうCSR 16

● ハイライト3

海を越えて「人を起点とした経営」を実践 �0

富士ゼロックスのCSRを支えるもの �4

Management & Performance �6

● お客様とのかかわり �8● 社員とのかかわり 30● 地球環境・将来世代とのかかわり 3�● 社会・地域とのかかわり 4�● 取引先とのかかわり 44● 株主・投資家とのかかわり 45● マネジメント 46● 事業活動について 48

● 第三者意見 50● 第三者審査報告書 5�● ウェブ版のご案内 53

Contents

Sustainability Report 2007 3

Page 4: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

Mission Statement

Highlight 1

知の創造と活用を通じて持続可能な社会づくりに貢献します

企業は社会に有用な価値を提供するために存在します。

富士ゼロックスは「私たちが目指すもの」に定めた三つの理念、

すなわち、「知の創造と活用をすすめる環境の構築」、

「世界の相互信頼と文化の発展への貢献」、

「一人ひとりの成長の実感と喜びの実現」を目指して、

経済価値、社会価値、人間価値を統合した高い企業品質を追求します。

知の創造と活用をすすめる環境の構築

企業品質

経済価値

社会価値

人間価値

私たちが目指すもの

お客様のCSRを支えるドキュメントサービス

Highlight 2

取引先企業と学びあうCSR

Highlight 3

海を越えて「人を起点とした経営」を実践

世界の相互信頼と文化の発展への貢献

一人ひとりの成長の実感と喜びの実現

持続可能な社会

持続可能な地球環境

Sustainable

Society

Sustainable

Environment

Sustainability

Fuji Xerox4

Page 5: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

Mission Statement

Highlight 1

知の創造と活用を通じて持続可能な社会づくりに貢献します

企業は社会に有用な価値を提供するために存在します。

富士ゼロックスは「私たちが目指すもの」に定めた三つの理念、

すなわち、「知の創造と活用をすすめる環境の構築」、

「世界の相互信頼と文化の発展への貢献」、

「一人ひとりの成長の実感と喜びの実現」を目指して、

経済価値、社会価値、人間価値を統合した高い企業品質を追求します。

知の創造と活用をすすめる環境の構築

企業品質

経済価値

社会価値

人間価値

私たちが目指すもの

お客様のCSRを支えるドキュメントサービス

Highlight 2

取引先企業と学びあうCSR

Highlight 3

海を越えて「人を起点とした経営」を実践

世界の相互信頼と文化の発展への貢献

一人ひとりの成長の実感と喜びの実現

持続可能な社会

持続可能な地球環境

Sustainable

Society

Sustainable

Environment

Sustainability

Sustainability Report 2007 5

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理念・共有価値

「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

連会社とそこに勤務するすべての従業員が共通して目指

すものです。

「知の創造と活用をすすめる環境の構築」という、当

社の事業領域を通して「世界の相互信頼と文化の発展へ

の貢献」を実現するとともに、それに取り組む従業員が

「一人ひとりの成長の実感と喜びの実現」をすることが、

私たちの存在目的であることを表現しています。

富士ゼロックスは、1992年に「よい会社構想」を発

表し、経営の根幹に据えています。当社は、目指すべき

よい会社を「強い」「やさしい」「おもしろい」会社と定

義しています。お客様に満足いただける卓越した商品・

サービスをお届けし、株主にも継続的に報いることがで

きる「強い」会社。環境、倫理、社会貢献などを含め、地

域社会や国際社会に対して「やさしい」会社。従業員が

仕事や人生を「おもしろい」と感じる会社。このような「強

い」「やさしい」「おもしろい」をバランスよく兼ね備え

た会社を目指しています。

ビジョン

「私たちが大切にすること」は、会社の、また社会の

一員として一人ひとりが、ビジネスに臨む個人の姿勢・あ

りようを10の価値で表しています。この10の価値は、

すべて富士ゼロックスの従業員らしさを象徴するもので

す。これらのマインドを持ちながら、「私たちが目指すも

の」を実現することを目指しています。

富士ゼロックスの代々の経営者は、企業は経済価値、

社会価値、人間価値などの有用な価値を社会に提供す

るために存在するという考え方を持ち、「強い」「やさし

い」「おもしろい」会社を目指す「よい会社構想」や幅

広い価値提供を自社の使命として定めた「私たちが目指

すもの」などを経営の中心に据えてきました。

「企業品質」とは、このような姿を実現するために企業

が備えるべき「品質」です。時として矛盾しがちな経済価値、

社会価値、人間価値を統合するという強い意志を共有し、

矛盾を克服する新たな知識を生み出すことができる品格や

能力を備えることが「企業品質」の本質であると考え、

それを高めるチャレンジを続けていきます。

私たちが大切にすること

私たちが大切にすること

私たちが目指すもの

私たちが目指すもの

知の創造と活用をすすめる環境の構築

世界の相互信頼と文化の発展への貢献

一人ひとりの成長の実感と喜びの実現

お客様の満足

強 い

おもしろいやさしい

冒険心

楽しむ心

多様性の尊重

連 携 プロフェッショナリズム

環 境

科学的思考

高い倫理観

信頼と思いやり

富士ゼロックスおよび関連会社の全従業員が共有する理念(私たちが目指すもの)と価値(私たちが大切にすること)を紹介します。これらは当社のあらゆる企業活動や一人ひとりの判断や行動の基軸となっています。

理念・共有価値を受けて、どのような企業でありたいかを示す経営ビジョンである「よい会社構想」を定めています。また、「私たちが目指すもの」を実現するための経営思想として「企業品質」を位置付けています。

● お客様、株主への貢献

● 環境への配慮● 地域社会や国際社会への貢献

● 創造性を発揮できる職場

● 社員の成長の実感

よい会社構想

私たちが目指す経営のあり方

企業品質

株 主

将来世代

地 域 取引先

従業員

お客様

企 業

経済価値

社会価値

人間価値

Fuji Xerox6

Page 7: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

理念・共有価値

「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

連会社とそこに勤務するすべての従業員が共通して目指

すものです。

「知の創造と活用をすすめる環境の構築」という、当

社の事業領域を通して「世界の相互信頼と文化の発展へ

の貢献」を実現するとともに、それに取り組む従業員が

「一人ひとりの成長の実感と喜びの実現」をすることが、

私たちの存在目的であることを表現しています。

富士ゼロックスは、1992年に「よい会社構想」を発

表し、経営の根幹に据えています。当社は、目指すべき

よい会社を「強い」「やさしい」「おもしろい」会社と定

義しています。お客様に満足いただける卓越した商品・

サービスをお届けし、株主にも継続的に報いることがで

きる「強い」会社。環境、倫理、社会貢献などを含め、地

域社会や国際社会に対して「やさしい」会社。従業員が

仕事や人生を「おもしろい」と感じる会社。このような「強

い」「やさしい」「おもしろい」をバランスよく兼ね備え

た会社を目指しています。

ビジョン

「私たちが大切にすること」は、会社の、また社会の

一員として一人ひとりが、ビジネスに臨む個人の姿勢・あ

りようを10の価値で表しています。この10の価値は、

すべて富士ゼロックスの従業員らしさを象徴するもので

す。これらのマインドを持ちながら、「私たちが目指すも

の」を実現することを目指しています。

富士ゼロックスの代々の経営者は、企業は経済価値、

社会価値、人間価値などの有用な価値を社会に提供す

るために存在するという考え方を持ち、「強い」「やさし

い」「おもしろい」会社を目指す「よい会社構想」や幅

広い価値提供を自社の使命として定めた「私たちが目指

すもの」などを経営の中心に据えてきました。

「企業品質」とは、このような姿を実現するために企業

が備えるべき「品質」です。時として矛盾しがちな経済価値、

社会価値、人間価値を統合するという強い意志を共有し、

矛盾を克服する新たな知識を生み出すことができる品格や

能力を備えることが「企業品質」の本質であると考え、

それを高めるチャレンジを続けていきます。

私たちが大切にすること

私たちが大切にすること

私たちが目指すもの

私たちが目指すもの

知の創造と活用をすすめる環境の構築

世界の相互信頼と文化の発展への貢献

一人ひとりの成長の実感と喜びの実現

お客様の満足

強 い

おもしろいやさしい

冒険心

楽しむ心

多様性の尊重

連 携 プロフェッショナリズム

環 境

科学的思考

高い倫理観

信頼と思いやり

富士ゼロックスおよび関連会社の全従業員が共有する理念(私たちが目指すもの)と価値(私たちが大切にすること)を紹介します。これらは当社のあらゆる企業活動や一人ひとりの判断や行動の基軸となっています。

理念・共有価値を受けて、どのような企業でありたいかを示す経営ビジョンである「よい会社構想」を定めています。また、「私たちが目指すもの」を実現するための経営思想として「企業品質」を位置付けています。

● お客様、株主への貢献

● 環境への配慮● 地域社会や国際社会への貢献

● 創造性を発揮できる職場

● 社員の成長の実感

よい会社構想

私たちが目指す経営のあり方

企業品質

株 主

将来世代

地 域 取引先

従業員

お客様

企 業

経済価値

社会価値

人間価値

Sustainability Report 2007 7

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実直に、高い企業品質の

富士ゼロックスをつくります

Top commitment

Fuji Xerox8

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2007年6月に富士ゼロックスの社長に就任しまし

た山本忠人です。当社のサステナビリティレポート

2007をご高覧賜りまして誠にありがとうございます。

私は富士ゼロックスに入社して以来39年間、技

術畑を中心に歩んでまいりました。エンジニアは、

お客様の驚きが満足に変わる一瞬のために懸命に

知恵を絞ります。そのために、私はお客様の業務

の現場を知り、お客様がまだお気づきではない課

題の解決方法を考え、望まれる商品を合理的な価

格で安定して提供することに専心してまいりました。

こうした地道な努力を愚直に継続することが、本

当のお客様の満足につながるのだと、私はそのよ

うに考えております。

富士ゼロックスは、1970年代にTQC(統合品質

管理)活動を導入したときから、「我々の品質はお

客様の満足」を合言葉に全社が一丸となって品質

の向上に努めてまいりました。

その一方で、1992年に「よい会社構想」を宣言し

ました。これは、富士ゼロックスの企業としてのビ

ジョンであり、強い・やさしい・おもしろいの三要

素をバランスよく備える会社を目指そうというもの

です。

そして、2007年3月、TQC活動、よい会社構想な

ど、従来からの考え方をもとにして、「企業品質」

と呼ぶ新しい経営指針をまとめました。その意味

するところは、「品質」を「お客様の満足」にとどま

らず「社会のニーズに合致すること」に拡大して考

える視点にあります。これは富士ゼロックスの関係

者が将来に引き継ぐべき基本的な価値観ですので、

私も「企業品質」の考え方に基づき、富士ゼロック

スの健全なる成長を牽引する所存です。

富士ゼロックスの事業拠点は、シンガポールを

拠点とするアジア・パシフィック・オペレーション

の開始(1991年)、中国での生産開始(1995年)

など、この15年で急激に拡大しました。国籍、文

化、経験の異なる人間が互いに理解を深め、敬

意を払うことで、事業運営におけるものの見方も、

グローバルな観点に成長したように思います。

私は、企業の社会に対する責任(CSR)は、す

べての役員・従業員が社会との接点を豊かにし、ス

テークホルダーと対話することで、その信頼と満足

を高める活動と考えています。見栄えに流されない

よう、社会が求める本質は何か、現在の富士ゼロッ

クスが確実に約束できるのはどこまでか、将来にわ

たって続ける覚悟ができているか、といった点を真

剣に考えてから活動するよう、社長として注意深く

進めていきたいと存じます。

また、これまで富士ゼロックスが皆様にお約束し

たことは、私が責任を持って引き継いで実現してま

いります。2006年のサステナビリティレポートでは、

前社長の有馬利男が三つの挑戦課題を宣言いたし

ました。これらにどのような進展があり、どのよう

な課題が生まれたか、本年の「ハイライト」記事は、

そうした観点で報告申し上げます。

第一の挑戦課題「社会からの期待に応えられる

有益なドキュメントサービスの創造」につきまし

ては、お客様の食品トレーサビリティ・システムの

構築支援を題材に、富士ゼロックスのドキュメント

サービスがお客様のCSR活動にどのように役立っ

ているか、現状と課題を報告いたします。

当社のビジネスはBtoBが基本ですので、お客様

のCSR促進を積極的にお手伝いすることで社会へ

の価値提供に寄与することが可能です。すなわち、

お客様の先にある社会のニーズを理解し、それをお

客様に提案し、一緒にシステムを構築させていただ

くことで、我々の本業でのCSRは成り立っています。

ハイライト1では、食の安全を題材に、社会の情

報基盤を変革しようという富士ゼロックスのビジネ

スの方向性をご覧ください。

二番目の挑戦課題「社会性に配慮したグローバ

モノづくりの精神とCSR

私が大切に思うこと

ドキュメントサービスを通じてお客様のCSRに貢献

取引先様と学びあうCSR調達

Sustainability Report 2007 �

Page 10: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

ル事業の展開」につきましては、CSR調達を導入

する上で、どのような問題につきあたり、何を学ん

だかを報告します。

企業はいま、グローバルなビジネス競争に打ち勝

つため、技術開発、コストダウン、品質向上、製品安

全の困難な課題に必死に取り組んでいます。環境、

人権・労働、企業倫理の対応が後回しになる局面も

ないとは言い切れません。まだCSRに取り組む余

裕はないとの声も聞こえてきます。

しかし、私はCSR調達への対応は、商品の品質

の一部と考えています。その対応を確実にすれば、

品質(Q)、コスト(C)、納期(D)に必ず良い影響

が生まれます。そうした価値観を取引先様と共有し、

責任の範囲を広げていくことで、我々のビジネスの

あり方がよりいっそう社会の期待に沿うものになる

と信じております。

ハイライト2では、取引先様との連携をいっそう強

化して社会への責任に応えようとする富士ゼロック

スの姿勢をご理解ください。

第三の挑戦課題「社員の“おもしろい”と思う心

を沸き立たせる環境の実現」につきましては、富

士ゼロックスコリア(韓国)を例に取り上げ、現地

社員の主体的な活動によって、富士ゼロックスの

企業品質が具現化されていく様子を報告します。

富士ゼロックスコリアは1997年のアジア通貨危

機の影響などで業績・財務が悪化し、従業員の雇

用確保も厳しい状況に至りました。その後、経営

陣と従業員との信頼関係が築かれ、順調な回復を

みせています。こうした動きは、労使紛争が頻発

する韓国の社会でも高い評価を受けています。何

よりも現地の役員・従業員の主体的な活動によっ

て富士ゼロックスの「人を起点とする経営」が実践

されたことに、私は大きな喜びと誇りを感じており

ます。

ハイライト3では、経営の理念をグローバルに共

有することで現地の役員・従業員の主体的な活動

につながった経緯にご注目ください。

富士ゼロックスのビジネスはこれからますますグ

ローバルに広がっていきます。当然商品に求められ

る品質やそれを支える経営もグローバルな対応を

求められます。

そこで私は、次の三つの施策に取り組むことに

よって、社会から信頼を獲得し、富士ゼロックスが

逞しいグローバル企業に成長することを、皆様に約

束いたします。

一つ目は、CSRの精神に基づいたモノづくりを推

進します。高品質で安全な商品を提供するのはもと

より、自社における環境負荷低減を強化し、併せて、

お客様や社会における環境負荷低減にも積極的に

取り組みます。また、サプライチェーン全体を視野

に入れてQCDの強化に加え人権、労働環境、リス

ク管理を取引先様と一緒に推進してまいります。

二つ目は、当社が創業以来マーケティングの思想

としている“モノ”ではなく“効用”の提供、すなわ

ちソリューション・サービスにおいて、トレーサビリ

ティの保証や内部統制の強化など、お客様のCSR

に役立つ価値提供を強化してまいります。

三つ目は、国内外を問わず、オール富士ゼロック

スで働く従業員がCSRの理解を深め、高い企業品

質に向けて、やりがいを持って、いきいきと働ける

環境をつくってまいります。

いずれのテーマも、一朝一夕に成果が生まれる

ものではありません。私も、コンプライアンスや商

品安全などの基本をしっかり押さえ、時間をかけて

じっくり取り組む所存です。2007年はその基礎を固

める期間と考えております。我々の活動の進め方に

つきまして、皆様のご意見をお聞きする機会を数多

く設けますので、忌憚のないご指摘をお寄せくださ

れば幸いに存じます。

富士ゼロックス株式会社 代表取締役社長

海を越えて「人を起点とした経営」を実践

グローバルで通用する品質の確立を目指して

Fuji Xerox10

Page 11: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

Highlights

Highlight 1

お客様のCSRを支えるドキュメントサービス

P12~15

富士ゼロックスらしさとは何でしょうか。

富士ゼロックスは社会に対し、どのような価値を提供できるのでしょうか。

これらのテーマについて改めて自分たちに問いかけ、

その思いをステークホルダーの皆様に分かりやすく伝えるため、

私たちの取り組みをハイライトとしてまとめました。

持続可能な社会の実現を目指して取り組む

私たちの挑戦をご紹介します。

Highlight 2

取引先企業と学びあうCSR

P16~19

Highlight 3

海を越えて「人を起点とした経営」を実践

P20~23

Sustainability Report 2007 11

Page 12: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

お客様の

CSRを支える

ドキュメントサービス

食品の安全性を求める消費者の声。ザ・ドキュメントカンパニーを標榜する富士ゼロックスは、どのような価値を提供するのか。食品トレーサビリティ・システムの実現に貢献する富士ゼロックスの挑戦を追う。

食品の安全性について消費者の眼

が厳しさを増している。産地偽装、アレ

ルギー物質表示漏れ、BSE(牛海綿状

脳症)、残留農薬などの問題に社会の

関心は高まるばかりだ。

政府は2005年3月、食品安全行政

の指針となる「食料・農業・農村基本計

画」を閣議決定した。その計画には、食

品トレーサビリティ・システムの導入拡

大を通じて消費者の信頼を確保する国

の方針が明記された。食品トレーサビ

リティ・システムとは、生産、加工、流通、

販売等の各段階で食品が流通した経路

や所在等の情報を活用して、食品の生

産・製造過程の追跡を可能にする仕組

みをいう。

食品を製造・販売する企業において

は、どこで生産された原材料を使用し、

誰によって加工されて、どのような流通

経路をたどったか、商品の生い立ちを

正確に把握して消費者に情報開示でき

ることが、社会に対する責任であり、事

業を維持継続する上での必須条件にな

りつつある。

Highlight 1

食の安全への関心の高まり

ハイライト1

国民生活にとって重要な食品トレーサ

ビリティ・システムではあるが、その実現・

普及にはまだ解決すべき課題が多い。

第一に、食品の生産、加工では中小・

零細の事業者が多く、高額なシステム

の新規導入は難しい。第二に、少量多

食品トレーサビリティ・システムが抱える課題

Fuji Xerox1�

Page 13: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックスは2005年4月、営業

本部にトレーサビリティプロジェクトを立

ち上げた。「富士ゼロックスの強みであ

る電子と紙の融合・・・この技術は食品を

代表とする各種のトレーサビリティ・シ

ステムに役立つと確信していました」同

プロジェクトの田中義昭は語る。

富士ゼロックスの主力商品にデジタ

ル複合機「ApeosPort」がある。この商

品は、紙文書をデジタル化して情報シス

テムに取り込む機能に優れている。「ト

富士ゼロックスができること

レーサビリティ・システムでは、基本情

報のほか、第三者機関の証明書などい

ろいろな書類の伝達が必要です。しか

も、生産や加工の現場で、コピー感覚で

誰でも処理できる簡便さが求められま

す。当社のApeosPortは、入力する情

報媒体の種類を選ばず、しかも画面で操

作方法を図示できるので、まさにうって

つけの道具です。これを社会の安心・安

全に利用しない手はないと考えました」

と田中はプロジェクトの狙いを説明する。

品目を扱うため、確認・記入・連絡等

に多くの工数を必要とするシステムで

は負担が大きい。第三に、現状では各

社各様の情報システムが乱立していて、

情報を連携・共有できる環境にない。

それが証拠に、食品トレーサビリ

ティ・システムに取り組んでいる企業

からは、「新たなシステム構築にコスト

と手間がかかり過ぎて経営を圧迫す

る」「相互運用性(互換性)のないシス

テムが複数運用されて効率的でない」

といった指摘がある。つまり、食品の

安全性を守るには、生産者や販売者が

①合理的な費用で ②簡単に利用でき

る ③相互運用性の高いシステムを提

供することが不可欠なのである。

「富士ゼロックスの強みである電子と紙の融合がトレーサビリティ・システムに役立つと確信していました」と田中

Sustainability Report 2007 13

Page 14: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

導入前

導入後

情報入力の簡便性 データベースの相互運用性 データの一元管理

情報入力が困難

@FAX

POST〒 .xls

書類・データの散乱

簡単に情報入力 新たな投資の抑制 検索時間の短縮

A社 B社 C社

仮想データベース

A社 B社 C社

システム連携にコストがかかる

Apeos

仮想データベース

PC スキャナ

原料規格書 配合

規格書検査証明書

■ 「Apeos」と「eBASE」導入による課題の解消

ApeosPortを活用することによっ

て、生産や加工の現場でデータを間違

いなく簡単に入力できる環境は整った。

次の課題は、データを正確かつ効率的

に伝達し、関係者全員で最新のデータ

を共有する方法である。前工程のデー

タに自工程のデータを加え、ファクスや

電子メールで後工程に伝達する方法で

は、効率が悪く、転記ミス等の原因にな

る。ならば、関係者全員がデータの保

管場所(データベース)を共有して、各

自が最小限のデータを入力・更新する

方法が最善と考えた。

しかし、各社各様の情報システムが

乱立する状況では、生産者や加工業

者に膨大な設備投資を求めることに

なる。そこで、富士ゼロックスが白羽

の矢をたてたのが、eBASE株式会社

の情報データベース商品「eBASE」

である。このデータベースは、データ

連携する情報システムの種類にほと

んど制限がないため、利用企業の既

存システムを残したまま、ほかの利

用企業と一種の仮想データベースを

共有するのに等しい環境が実現可能

である。つまり、冒頭に指摘した相互

運用性(互換性)の課題を解決するこ

とができる。しかも、文字・数値デー

企業の壁を超えてデータを共有する

タと外部資料を紐づけして一元管理

できる、紐づけたデータがキーワー

ド検索で簡単に確認できるといった

トレーサビリティ機能も備えている。

こうしたトレーサビリティ・システム

は、お客様への説明責任を果たすだ

けでなく、災害対策や個人情報保護

などのセキュリティ対策としても効果

が期待できる。「一つのシステムで他

社とつながることにより、消費者に誠

実に向き合う企業が増えるのではな

いでしょうか。日本の社会が良い方向

に変わると思うと、仕事にも張り合い

があります」田中は誇らしげに話す。

Fuji Xerox14

Page 15: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

Highlight 1

現状では、取引先から集まるトレー

サビリティ情報(各種の証明書等)の

多くは、ファクスで届いたり、電子メー

ルに添付されていたりと、形式が統一

していない。これらの情報を業務に利

用するには、一つのフォーマットに加工

しなければならない。従来の方法では、

その作業の負担と転記ミスの誘発と

いう課題が残る。

ApeosPort/eBASEを利用して、取

引先から流通経路情報を収集・管理す

るシステムをいち早く導入したのがイ

オン株式会社様だ。「これまでは、必要

な情報を膨大な書類の中から探すこ

とに大変な時間と手間がかかっていま

した。システムの導入によって情報の

収集と管理は大幅に改善しました」と

食品商品本部 柴田哲也氏は語る。しか

し、同社の問題意識はすでに次の段階

に向けられている。「イオン様の取引先

もっと先につなげる責任

の先には、さらに多くの個人事業者が存

在します。そこには、コストなどの面で

Apeos/eBASE連携システムを導入で

きない取引先もたくさんあります。そう

した個人事業者でも利用できる普段着

の仕組みを構築するまでシステムの提

案を続けなければ、富士ゼロックスも責

任を果たせません」と営業本部 グロー

バルサービス営業部 サービスアカウ

ント第一センター長の乙おとめ

咩健二は語る。

使用が規制されている化学物質の

管理や資源のリサイクルなど、安心・

安全を求める社会の声はさまざまな

領域に急速に広がっている。それらの

領域でも、食品トレーサビリティ・シ

ステムとほぼ同様の課題を抱えてい

る。「チェックシートに手書きで回答し

て、近所のコンビニや街角に設置した

ApeosPortに読み込ませるだけで済

むような『開かれたシステム』を考えて

います。官・民・学が連携して研究を

深め、海外の国々にも採用してもらえ

る世界標準の成果につながると素晴

らしいですね」と田中は自身の夢を語

る。社会の期待に応えようと一所懸命

に考え抜くことで、富士ゼロックス自身

ビジネスと社会は共存する

も強く鍛えられる。「富士ゼロックスは、

一社のサプライチェーンにとどまるこ

となく、農家で取れた食材が店頭に加

工食品として並ぶまでを対象とした活

動をグローバルに展開します。業界全

体の取引構造や情報の流れを知ること

で、従来にない新しいビジネスを創造

できると考えています」と乙おとめ

咩は話す。

コストや手間を抑え、誰もがApeos/

eBASE連携システムを利用できる

環境を提供することで社会の安心と

安全に貢献する、つまり究極のユビ

キタス社会の実現に「手段」を提供す

ることが富士ゼロックスの目標であ

る。この難しい課題に挑戦する富士ゼ

ロックスの社員たちの顔は、誰もが生

き生きと輝いている。

お客様の満足の先に、お客様のス

安心社会・安全社会のために

テークホルダーの笑顔が見える。富士

ゼロックスのドキュメントサービスは、

トレーサビリティ・システムの実現を

通じて、お客様のCSRを支えている。

富士ゼロックスの挑戦に終わりはない。

[第三者のご意見]本システムは、販売者が消費者により良い商品を安心

して使ってもらうというサービス活動の一環でさらにその向上を目指したものと言える。すなわち、取引先から来る電子データや紙データなど多様な情報を一元管理して蓄積・処理し、販売者・消費者に迅速性・互換性などの利便を提供するシステムとして活躍している。現在、このような活動はもはやCSRの範疇を越えて商品を売る上で不可欠な活動となりつつある。本システムのように多様な入力情報をデジタルデータに変換して情報の一元管理を実現するドキュメントサービスには、今後ますますの高度化と低廉化が求められる。第一は、取引先の個人

事業者がさらに使いやすく、また、経済的なシステムとすることである。ユビキタス社会における電子タグ(RFID)をどのように組み込んでいくかも重要な課題である。安全安心な社会を実現する上で、ITによるトレーサビリティシステムの重要性はますます大きくなっている。しかし、技術だけでは社会の安全安心を実現できないことも事実である。社会を構成するのは個々の人間である。人間の行動や心理状態にまで至る情報をベースにしたシステム設計が重要となる。このためには、個々の人間の個々の環境における生体情報の把握やデータベース化、それに基づいたサービスシステムの構築がIT業界全体が挑戦する課題であり、富士ゼロックス社への期待も高い。

東京大学名誉教授NPO法人WIN 理事長板生 清 氏

Sustainability Report 2007 15

Page 16: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

取引先企業と

  

学びあうCSR

グローバルなサプライチェーンで必須条件となりつつあるCSR調達。だが、CSR調達に万能の処方箋は存在しない。導入まで2年間、試行錯誤した富士ゼロックスの活動を紹介する。

商品の原料調達からお客様が利用を

終えて再生・廃棄されるまでには複雑

な経路をたどる。この経路を“サプライ

チェーン”と呼ぶ。

グローバルな市場でビジネスを

展開する多国籍企業では、サプライ

チェーン全体にわたって環境、人権・

労働、企業倫理等の配慮と改善に努め

Highlight 2

グローバル経営に求められるCSRサプライチェーンマネジメント

る経営行動が拡大している。それに伴

い、多国籍企業と取引する企業は、自

社は当然のこととして、取引先企業に

対しても同様の配慮と改善を求めるこ

とになる。こうして企業間を連鎖する

一連の活動を“CSR調達”と呼ぶ。

富士ゼロックスは、1999年にグリー

ン調達ガイドラインを制定し、国内外の

取引

取引先企業

n次取引先

生産事業所

バイヤーとしての富士ゼロックス

サプライヤーとしての富士ゼロックス

関連生産子会社

取引

米国ゼロックス

コーポレーション富士ゼロックス

OEM先

■ サプライチェーンにおける富士ゼロックスの位置付け

ハイライト2

Fuji Xerox16

Page 17: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

EICCをベースに富士ゼロックス独自の質問項目を加えたセルフチェックリスト

2007.7.19

導入準備で試行錯誤を繰り返す

CSR調達の導入準備は、生産本部の

中央調達部と本社のCSR部が共同事

務局となって進めた。他社および国際

NGOの動向に詳しいコンサルタントに

も参加してもらった。基本とする行動規

準は、2004年にDELL、ヒューレット・

パッカード、IBMの3社を中心に策定さ

れたElectronic Industry Code of

Conduct(EICC)を採用した。同時に、

先行する日本企業を数社訪問して導

入・運用の実務を教示してもらった。サ

プライヤー行動規範を決め、説明会を

開き、監査体制を用意すればよい、と事

務局は短期決戦を考えていた。

しかし、2006年4月、当時開発・生

産を担当していた専務取締役の山本

(現社長)に導入計画を説明したとこ

ろ事態が一変した。山本からは、品質

改善、コストダウン、環境対応など、取

引先企業への要求事項を整理し直し、

CSR調達もその中に組み込んで、取

引先企業との相互協力のもとで全体の

改善が進むように計画を抜本的に練り

直すように指示が出された。現在でも、

さまざまな部門から取引先企業に依頼

が集中しており、さらにCSR調達を追

加すると取引先企業の対応力の限界を

超えて、形だけの取り組みになってしま

う、というのがその理由だ。

山本の指示は明確であった。しかし、

調達プロセスの中に、本格的にCSR

を取り込んでいる他社例はわずかで

あった。当時、資材調達の現場は、EU

のRoHS指令(有害化学物質の使用

禁止)への対応準備に四苦八苦してお

り、CSR調達は時期尚早なのかと事務

局は自信を失いかけた。「CSR調達は

関係業務全般の見直しを伴うので、関

係者の理解と協力を得るのが大変です。

でも、当社の将来にとって重要な活動で

すので、推進部門がくじけてはいけない

と心を奮い立たせました」当時のCSR

部長芳澤宏明(現営業本部関西支社長)

は語る。芳澤は結局、CSR調達の活動

計画を通算4回、会議体に提案し続けた。

取引先企業に、有害化学物資の使用規

制と環境マネジメントシステムの構築

を依頼してきた。この活動に加え、新た

にCSR調達活動の必要性が認識され、

2005年9月、社長を議長とする会議

体でCSR調達の導入が決まった。

Sustainability Report 2007 17

Page 18: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

「お互いの会社が共に価値を高めあうために、一緒に頑張りましょう」とグローバル共栄会の太田会長

勉強会を重ねた結果、海外拠点の

労働争議で生産・出荷が停止する問題

に各社の強い関心が集まった。富士ゼ

ロックスは現在、生産の約80%が中国

拠点に関係している。また、グローバル

共栄会の幹事会社の多くも、同地で生

産活動を行なっている。環境問題は対

応が着々と進んでいるものの、人権・労

働問題の実態がよくわからない。そこ

で、2006年の11月1日から5日間、中

国の深圳市で勉強会を開催した。

当地の労働専門NPO「深圳当代社

会観察研究所」(所長:劉開明)から、背

景となる社会事情、現状の問題点、将

来の課題などについて詳しく説明を聞

くとともに、現地法人数社の総経理(最

高執行責任者)からのヒアリング、先進

的な対応事例の紹介、工場・食堂・寮の

模擬点検、参加者全員による討議など

を集中して行なった。

参加者からは共通して、日本の昭和

30年代、40年代の集団就職の状況に

似ているとの感想が寄せられた。10代

後半の組立工、20代前半のライン組

長からなる中国の生産現場では、職業

訓練だけでなく、従業員の生活指導や

自立支援を厭わない経営幹部の地道

な努力が不可欠である。今回の勉強会

では、会社内に夜間高校を設け、従業

員の地域貢献活動を奨励して、青少年

の育成に努めている米国メーカーの現

地サプライヤーが紹介された。ほかの

事例では、中国出身の総経理が、経営

者・校長先生・父親の立場を使い分けて、

厳しくも愛情を込めて従業員の育成を

図る姿に、参加者は多くの示唆を得た。

いずれの例でも、現地の従業員には経

営情報をできるだけ詳しく伝え、当事

者意識や働きがいを育むことが大切と

感じられた。

この勉強会で、品質の確保には中国

の社会事情に即した従業員のケアが不

可欠であることが痛感された。しかし、

この点は日本ではあまり指摘されな

い。そこで富士ゼロックスは2007年3

月、取引先企業や他社のCSR推進担

当者に呼び掛け、東京・国際連合大学

でCSR特別セミナーを開催した(冒頭

写真)。実態に詳しい専門家による生々

しい説明に400人を超える参加者から

大きな反響があった。「国際社会の中

で企業として目指すべき姿が理解でき

ました」セミナー参加者のアンケート

に関係者は勇気をもらった。

中国・深圳での勉強会

借り物の対応では通用しない。しか

し、独りよがりで考えても始まらない。

そこで事務局は、取引先企業で構成す

るグローバル共栄会の幹事会社9社に

協力をお願いして、2006年6月、第1

回CSR勉強会を開催した。

「富士ゼロックスから言われなくても

自分の会社が生き残るためには絶対に

必要なことです。一緒に考える機会を

いただいたことに感謝したい。品質も

コストも今日勉強したCSRのお話も全

部頑張らなければいけません。そんな

時代になったんです。我々共栄会の幹

グローバル共栄会に助けられる

事会社がまず率先して、会員企業にも

広げていきましょう」CSR調達の構想

を聞いたグローバル共栄会の太田俊明

会長(錦城護謨株式会社 代表取締役)

は出席企業に呼びかけた。富士ゼロッ

クスの事務局メンバーは胸が熱くなる

と同時に、一方的に計画を押し付けよ

うとしていた自分たちの姿勢を反省し

た。CSRと呼ばなくても、それぞれの

企業は日々の経営努力の中で素晴らし

い活動を展開している。それらを教え

学びあい、それぞれに強くなることで、

初めて実のある活動になる。これに全

員が気づいたときに、富士ゼロックスの

CSR調達はスタートした。

Fuji Xerox18

Page 19: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

「CSR経営の輪をつなぐこと、それがCSR調達」と渡辺

Highlight 2

2007年8月、いよいよ富士ゼロッ

クスのCSR調達が正式にスタートす

る。「富士ゼロックスとの勉強会をヒン

トに、グローバル共栄会の中でも自主

的なCSRの推進会をスタートしました。

CSRは、つまるところ、一人ひとりが

相手や社会を思いやることだと思いま

す。この推進会は会社の壁を超えて人

間や経営を学びあう場になるでしょう。

我々も富士ゼロックスに置いていかれ

ないよう頑張らなあかんと思っていま

す」とグローバル共栄会の太田会長は

笑顔で語る。

一方、富士ゼロックスは、最終の導入

準備に向けて生産本部中央調達部に

CSR調達チームを設置した。今までは、

品質改善や原価改善活動を含め、取引

先企業と一緒になって課題解決に取り

組んできた。今後は、新たにCSR調達

活動を加え、取引先企業と富士ゼロッ

クスが共に成長するという意味を込め

て、“サプライヤーエンゲージメント”と

命名した。富士ゼロックスの企業品質

を支える重要な仕組みとなることは間

違いない。

サプライヤー行動規範は、当初の予

定通り、EICCに基づいて作成した。行

動規範の遵守状況を確認するチェック

リストの質問項目は約300項目に及ぶ。

「チェックリストの作成では、人権や労

働の項目にこだわりました。人を起点と

する経営の輪が広がることで、私たち

の仕事が社会にとって意味あるものに

なってくれれば嬉しいです」実務をリー

[第三者のご意見]富士ゼロックスのCSR調達には歴史的意義があ

る。行動規範+監査という「公式」にとどまらない点において画期的であることはもちろんだ。しかし、より強く注目したいのは背景の哲学である。日本企業は人を大切にすると言われ、日本的経営の強みとされる。しかし、一般に念頭に置かれているのは日本の社員である。どれだけの企業が海外の従業員、いわんや途上国の工場、サプライヤーの工場で働く工員に気をかけているだろう。私は富士ゼロックス

の努力に賞賛を惜しまない。あえて注文をつけるとすれば、CSR調達がグローバルな人材力向上に寄与し、ひいては競争上の強みになることを世に広く示してもらいたい。グローバル経営とは、CSRとは何か、日本が再考する契機となるだろう。

独立行政法人経済産業研究所コンサルティングフェロー

藤井 敏彦 氏

いよいよ導入開始

2005年

富士ゼロックス CSR調達の導入決定

グローバル共栄会幹事会社

との勉強会

CSR調達の本格導入

中国・深圳での勉強会

導入計画の

立案・検討

CSR

特別セミナー

取引先企業に

CSR調達

説明会

グローバル共栄会

CSR推進会

の設立

自己診断の開始

2006年 2007年 2008年

取引先企業

専門コンサルタント・現地NGOによる支援体制

■ CSR調達ロードマップ

ドしたCSR部の渡辺美紀は熱く語る。

富士ゼロックスと取引先企業が共に

考え、共に推進するCSR調達は、確実

に進み始めている。

Sustainability Report 2007 1�

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海を越えて

「人を起点とした経営」

       

を実践

企業の理念は国や文化を超えて連帯と活力を生む。経営危機の状態から優良企業として評価されるまでに回復した富士ゼロックスコリア(韓国)の10年間を報告する。

1974年、富士ゼロックスは韓国で、韓

国ガラスの持株会社であった同和産業

株式会社と折半出資して富士ゼロックス

コリアを設立した。翌年から小型複写機

の組み立て生産も開始した。これは富

士ゼロックスとして最初の日本国外で

の生産事業であった。ソウルオリンピッ

ク景気(1988年)、ISO9001認証取得

(1992年)、中高速複写機の独自開発生

産(1997年)と、事業も順調に推移した。

しかし、1997年のアジア通貨危機が飛

び火して、韓国の経済は大混乱に陥った。

1998年、事業パートナーである同和

産業から保有する富士ゼロックスコリア

株式の買い取りを要請された富士ゼロッ

クスは、富士ゼロックスコリアの全株式

を取得し、併せて40億ウォンの増資を行

なった。新生富士ゼロックスコリアの改革

は、新たに日本から会長として赴任した高

杉暢也(現最高顧問)と、同社の経営に精

通している鄭光殷(現会長)、そして当時

営業副本部長であった中野ひろみ(現社

長)が加わって始まった。

1998年、富士ゼロックスコリアは初

の赤字決算を経験した。資金繰りも苦し

かった。労使交渉の場で経営側は、ボー

ナスの支給時期を2カ月延期したいの

で協力してほしいと労働側に申し入れた。

「当時は、労働組合も組合員も猛反発し

ました。しかし、新しい経営陣は、何が悪

くてこのような苦境に堕ちたのか、どの

ように再建しようとしているのか、我々が

納得するまで事実に基づいて説明して

くれました。延期した支払期限もきっち

り守ってくれました。あの出来事が会社

と労働組合との信頼関係を築く契機に

なったと思います」と富士ゼロックスコリ

ア労働組合の金榮萬委員長は振り返る。

Highlight 3ハイライト3

通貨危機と経営不安

Fuji Xerox�0

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「富士ゼロックスコリアを強い・おもしろい・やさしい会社にしていきたい」と熱く語る高杉

社員との信頼をベースに

確かに解決すべき課題は多い。しか

し、従業員のポテンシャルは高い。一人

ひとりが会社の将来を考える気概を持

てば素晴らしい会社になる。従業員を

主人公として韓国の文化と社会に根付

いた「よい会社」をつくろう。高杉と鄭、

そして中野の考えは一致した。

1998年4月の就任あいさつで高杉

は従業員全員に訴えた。「富士ゼロック

スコリアは、韓国のみなさんによる、韓

国のお客様のための、韓国に工場があ

る、韓国の会社です。変えた方が良いも

のはどんどん変えていきましょう。我々

の業績がなぜ低調なのか、ほかのグ

ループ会社や競合会社と比較分析して

改善しましょう。そして、富士ゼロックス

コリアを強い・おもしろい・やさしい会

社にしましょう」。それと同時に、「富士

ゼロックスコリアは韓国企業の事務生

産性の向上に貢献し、21世紀のグロー

バル時代における韓国経済の発展に寄

与する」という企業理念も制定した。

そして、まず行なったのは、社内報や

ビデオメッセージで正確な経営情報を

従業員全員に知らせて、経営の透明性

を高めることだった。それと同時に、経

営陣と現場の従業員が直接対話する機

会をたくさん設け、お互いの気持ちを

正直にぶつけあった。

中野は特に、目標管理や現場・現物・

現実など仕事の基本の徹底を繰り返し

求めた。さらに各階層に応じた従業員

の能力開発教育を充実させた。こうし

て目標や課題を共有することで組織や

仕事に規律と一体感が生まれてきた。

「自分のやった仕事が会社の成長に

直結していると感じられるようになっ

た」と話すのは、営業力強化推進チーム

トレーナー金相勳だ。「経営者が私た

ち社員と同じ目線に立とうとしている、

その姿勢にはとても共感します。経営

の透明性が高まったことで、社員の会

社への信頼感が高まりました」。

一方、商業営業チームの 東洙は、営

「まずは、目標管理や現場・現物・現実など仕事の基本の徹底を繰り返し求めました」と中野

Sustainability Report 2007 �1

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’06

(億ウォン) (%)

(年度)

-150

-100

-50

050

100150

200

250

300

350

’01’00’99’98’97’96’95 ’02 ’03 ’04 ’05

32

2.5

20

-1.1 1.4-15

-111-8.4

24

2.1

595.4

656.5

1019.8

11210.0

151

12.7

324

22.8

346

21.6

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

25

30

35

税引前利益 総資本利益率

■ 総資本利益率の推移

常務の金壽泳が仁川工場に赴任し

たのは2001年。その頃、富士ゼロッ

クスは、中国拠点への生産集中の可

能性を検討し始めていた。「仁川工場

の従業員は、会社の将来に不安を感

じていました。その姿を見て、何とか

しなければと責任を感じました」と金

は当時の心境を語る。金は何度も日

本に足を運んで、製販一体の重要性、

仁川工場での雇用確保の重要性を日

本の経営陣に訴え続けた。金の熱意

は関係者の理解と多くの協力者を生

み、仁川工場は、複写機の周辺機器や

欧米向け輸出商品の生産基地という

新しい任務を担うことになった。

仁川工場の従業員は、精魂を傾け

て仕事に打ち込んだ。新しい目標の実

現に労使が力を合わせた結果、2001

年と2006年との比較で売上は約7

倍、生産台数は約9倍に成長した。ま

た、2001年当時約60人だった地元

採用の生産ラインの要員は、2007年

には約500人に増加した。それまでの

開発・生産、輸出伸張、人材育成の優

れた業績に対して、2007年3月、金は

韓国最大の経済団体である韓国商工

会議所から大統領賞を受賞した。「こ

の表彰は仁川工場を代表して受賞し

リスクをチャンスに変えるリーダーシップ

たもの。地域との共生のためにも、こ

の工場をさらに発展させ、従業員と一

緒に夢を見続けたい」と金は胸を張る。

’06

(スコア)

(年度)

60

70

80

90

100

’01 ’02 ’03 ’04 ’05

71.3 70.474

7881 82

■ 社員の満足度調査結果

業のケーススタディや語学研修など、

基本的な職業能力を強化する社員教

育制度を高く評価している。これらが他

社からも注目され、業界他社の目標と

なっていることについて、「とても誇り

を感じるし、それが仕事への強いモチ

ベーションにもつながっている」と語る。

労働組合と経営陣との信頼関係も日

を増すごとに深まった。富士ゼロックス

コリアは、2001年に労使無紛争を宣言

している。事実、2001年から連続6年

間、労使無紛争で賃金を妥結している。

労使間での対立が絶えない韓国の社会

では、これは異例のことである。従業員

の意欲の向上につれて経営は安定し始

めた。2001年から毎年実施している

従業員の満足度調査のスコアも上昇し、

それに比例して売上も伸びた。

「仁川工場の従業員は、会社の将来に不安を感じていました」と当時の心境を語る金

「富士ゼロックスコリアの社員教育制度が、他社からも注目されていることに、とても誇りを感じます」と

Fuji Xerox��

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Highlight 3

富士ゼロックスコリアは、持続可能

な成長に向けて、従業員の能力開発

や社会との豊かな接点づくりに注力

している。仁川工場では就業前(午前

7:20~8:20)の語学自主講座(英語、

中国語、日本語)を開催し、多くの従

業員が参加している。「富士ゼロック

スコリアの従業員は、しっかりした教

育を受けていることをこの地域の人

は知っています。そういった地域の評

価が、仕事のやりがいにつながってい

ます」と教育担当の朱美宣は語る。こ

れらの活動は着実に成果につながり、

2000年に年2~3%だった離職率も

現在年0.8%に激減した。

また、社内ボランティア団体ハンサ

ラン会の会長であり、マーケティング

部で顧客満足度調査を担当している

張金淑は、「仕事へのやりがい、私生

活の充実が従業員の満足を高め、そ

れがお客様の満足につながってい

ることを実感します。顧客満足度が

6年連続で業界一位(韓国能率協会

2001年度から2006年度調査)なの

地域やお客様に愛される会社に

国際交流基金ソウル日本文化センター所長小林 直人 氏

ユネスコの世界遺産にも指定さ

れた韓国「八万大蔵経」は、1237年

から12年間、1,000名余の彫り手が、

81,258経、5,200万字を経盤に刻印

した文化遺産である。近年、この作品

がデジタル処理され、一字の誤字・脱

字もないことが判明した。この驚くべ

き結果は、一字三拝の精神に由来す

る。一字三拝とは一文字を刻んでは

三度お辞儀をする意味である。最初

は祖国のために、二番目は家族のた

めに、最後は自分のために、切なる願

いを込めて頭をたれる。品質に対する

韓国民族の考え方の源泉は、こうした

匠の精神にある。

経営が足元をしっかり固めれば、集

まった人々が能力を発揮して、良い

会社が実現する。労働条件や報酬も

大切だが、会社が正しい方向に進む

には、一人ひとりの情熱をつきあげ

企業理念は国境を超えて

る「何か」が必要だ。富士ゼロックス

コリアの再生劇は、韓国文化の精神

と富士ゼロックスの企業理念との相

乗効果によって生まれた人々の熱意

の成果である。この10年間の奮闘は、

富士ゼロックスのグローバル展開に

おける好例の一つとして、長く語り継

がれるだろう。

「富士ゼロックスコリアの従業員への地域からの評価が、自分のモチベーションにつながっています」と朱

「仕事へのやりがい、私生活の充実が従業員の満足を高め、それがお客様の満足につながっていることを実感します」と誇らしげに語る張

も、商品やサービスを通じて私達の

熱意がお客様に届いたからだと思い

ます」と嬉しそうに語った。

[第三者のご意見]富士ゼロックスコリアは、三つの点で韓国社会、韓国の企業文化に新しい風を吹き込みました。一つ目はグローバル企業の特長である透明性の高い経営を、二つ目は日本企業の特長である経営者と従業者が同じ目線で語り、ともに目標を達成する労使協調を、そして三つ目は韓国企業以上に地元社会に根ざす姿勢をもたらしました。高杉最高顧問は日系企

業の経営者としてだけではなく、韓国の経営者としても高く評価されています。富士ゼロックスコリアは、これからも韓国社会のために、そしてさらに、東アジアの共生と発展のために尽力していただければと思います。

Sustainability Report 2007 �3

Page 24: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックス 相談役最高顧問

小林 陽太郎

富士ゼロックスの

CSRを支えるもの

私の手元に、京都市が市制100周年を記念

して市内の老舗を調査した出版物があります。

それによれば、老舗の当主たちが、何世紀に

もわたって家業が続いた理由として最も多く

あげた言葉は「革新」でした。老舗と聞けば、

伝統を守り続けるイメージが強く、「革新」

とはおよそ縁遠い印象があるかもしれません。

しかし、時代とともに変化する社会や文化の

中で、同じことを繰り返していては何百年も生

き残れるはずがありません。老舗の当主たち

は、正直に社会の評価を受け、覚悟を決めて

自らを変えてきたのだと思います。そうした自

己改革の姿勢がどこまで徹底するかによって

企業の寿命は決まるのだと思います。

CSRは、企業が社会との相互作用を通じて

持続可能な社会の実現に貢献するための基

本的コンセプトです。欧米での取り組みや格

付け機関の評価もおおいに参考にすべきです

が、まずは社会との関係について自分達が立

脚する現実を正しく理解し、社内外の英知を

集め、バランスのよい成長を築く意思を共有

することが大切でしょう。

企業の自己改革も同様で、ひと握りの天才や

英雄によって実現できるものではありません。見

識を備えたリーダーシップ、社会との豊かな接

点をもった従業員、そして互いを尊重するコミュ

ニケーションが連動して初めて成り立ちます。

社会も企業も自分達で変革をつくる気概を持っ

老舗と革新 意思の共有

Fuji Xerox�4

Page 25: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

て事にあたらないと何も変えられません。それだ

けに、一人ひとりが思う存分に能力を発揮でき

る企業文化が社会の共感を生むのだと思います。

私は、一人ひとりがおもしろいと感じて仕

事に打ち込む状況をつくることが何よりも大切

と考えます。おもしろいということはやりがい

があるということでもあります。自分がおもし

ろくない仕事の成果が社会にとって魅力的で

あるわけがありません。ですから私は、「おも

しろい」が富士ゼロックスのCSRの命綱と考

えています。

こうした仕事のおもしろさの源泉は、よ

い仲間と試行錯誤する知的な刺激や挑戦の

もたらす爽快さにあると思います。それに

は、挑戦や失敗を許す上位職の度量も必要で

す。我々は若い頃当時の経営者達に随分思い

切って仕事を任せてもらいました。残念なが

ら、最近は仕事や職場のストレスだけが増え

て、仕事のおもしろさを語り合う機会や、若い

人に挑戦の機会を与えることも減ったように

感じます。それは我々年配者に「任せる」勇

気が少なくなったからでしょうか。

心に余裕がなくなり、ほかから支えられてい

る自分が見えなくなったときに自分も仕事も孤

立します。社内外の信頼が万事の基盤であるこ

とを心にとめて仕事に励んでほしいと思います。

社内外の信頼を得るうえで大切なのは、役

員や従業員の一人ひとりが企業の内向きの発

想に閉じこもらず、社会との接点を豊かにし

て外部の視点を仕事や職場に持ち込むことで

あると思います。そして現状に甘んじることな

く、望ましい会社の在り方を自由闊達に議論

することが大切です。

富士ゼロックスは早くから、私生活との調和

を支える人事制度や社会貢献活動の支援に注

力してきました。これらは、高感度な人材を増

やし、社会のニーズを先取りする革新力につな

がると考えて導入しました。短期的には職場の

生産性を下げたり、ほかの従業員の負担を増す

こともあるかもしれません。しかし、それを含め

て実現の知恵を出し合うことで、結果的に職場

の連帯感を強め、会社の基盤を確かなものにす

るのだと、私はそのように信じています。

最近では、日本でも随分CSRの理解が深

まり、ワークライフバランス(仕事と私生活の

調和)や処遇格差の解消といった話題が新聞

紙上を賑わすようになりました。また、富士ゼ

ロックスが生産の多くを行なっている中国でも、

環境対策や人権・労務の改善を目的にCSRを

促進する動きが活発になりました。

社会の事情はそれぞれに異なりますが、人

を起点に経営するという考え方は、企業が社

会に対する責任を果たすうえで普遍の原則だ

と思います。これまで富士ゼロックスが挑戦し

てきたのは、従業員一人ひとりの能力を活かし、

豊かなイノベーションを社会に還元する、常に

高い目標に挑戦する企業であり続ける、という

ことです。これは、社会に対するミッションを

基盤とする米国ゼロックスコーポレーションの

創業精神と高い品質を追求する富士フイルム

の経営姿勢から受け継いだ富士ゼロックスの

大切な財産であり、DNAでもあります。これか

らも、いろいろな人材が当社の事業を支えてく

れると思いますが、この高い志はいつまでも守

り抜いてほしいと願っています。

挑戦がおもしろさを生む

社会との接点

革新の基盤は人と人の信頼

Sustainability Report 2007 �5

Page 26: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

地球

環境

お客様とのかかわり● お客様に提供する価値● お客様満足度向上を目指して● ボイス・オブ・カストマー(VOC) システムの構築● お客様相談センター● 商品安全

マネジメント● コーポレート・ガバナンス● リスクマネジメント/ 倫理・コンプライアンス● 情報公開・情報セキュリティ

P28~29 P46~47

社会・地域とのかかわり● 富士ゼロックスの社会貢献の特徴● 本業を活かした社会貢献活動● 社員の社会貢献を支える仕組み

P42~43

社員とのかかわり● 社員への モラール・サーベイ● 人事制度の改定● 多様な人材の 採用と登用● ワークライフ バランス● 社員のキャリア 開発

取引先とのかかわり● 取引先との関係の強化● CSR調達への取り組み● 環境保全活動の支援

株主・投資家とのかかわり● 株主との関係● 主要業績

P32~41

P44

P45P30~31

地球環境・将来世代とのかかわり● 環境方針● 環境経営推進体制● 環境中期計画● 2006年度全社環境経営目標と実績● 環境負荷の全容● 環境コミュニケーション

▼ 地球温暖化防止への取り組み● 地球温暖化防止への考え方● 商品のライフステージ別に CO2排出量を分析● 製造・販売における取り組み● お客様使用時における取り組み● 物流における取り組み

▼ 天然資源保全への取り組み● 天然資源保全への考え方● 資源循環システム● 2006年度の取り組み● 国際資源循環システム● 環境に配慮した紙への取り組み

▼ 化学物質リスク低減への取り組み● 化学物質リスク低減への考え方● 2006年度の取り組み

富士ゼロックス

将来世代

社員 株主・投資家

お客様

取引先

地域社会

Management &Performance

社会からの信頼に応えるためには、

ステークホルダーからの期待や要望を真摯に受け止め、

何に取り組むのか、富士ゼロックスとしての姿勢を示し、

実践していく必要があります。

ここでは、富士ゼロックスの考え方と、

各ステークホルダーへの取り組みの中から、

より期待が高いと考えられるものを報告しています。

詳細な情報は、

http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/に掲載しています。

(ウェブ版のご案内は 53ページをご覧ください。)

Fuji Xerox�6

Page 27: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

地球

環境

お客様とのかかわり● お客様に提供する価値● お客様満足度向上を目指して● ボイス・オブ・カストマー(VOC) システムの構築● お客様相談センター● 商品安全

マネジメント● コーポレート・ガバナンス● リスクマネジメント/ 倫理・コンプライアンス● 情報公開・情報セキュリティ

P28~29 P46~47

社会・地域とのかかわり● 富士ゼロックスの社会貢献の特徴● 本業を活かした社会貢献活動● 社員の社会貢献を支える仕組み

P42~43

社員とのかかわり● 社員への モラール・サーベイ● 人事制度の改定● 多様な人材の 採用と登用● ワークライフ バランス● 社員のキャリア 開発

取引先とのかかわり● 取引先との関係の強化● CSR調達への取り組み● 環境保全活動の支援

株主・投資家とのかかわり● 株主との関係● 主要業績

P32~41

P44

P45P30~31

地球環境・将来世代とのかかわり● 環境方針● 環境経営推進体制● 環境中期計画● 2006年度全社環境経営目標と実績● 環境負荷の全容● 環境コミュニケーション

▼ 地球温暖化防止への取り組み● 地球温暖化防止への考え方● 商品のライフステージ別に CO2排出量を分析● 製造・販売における取り組み● お客様使用時における取り組み● 物流における取り組み

▼ 天然資源保全への取り組み● 天然資源保全への考え方● 資源循環システム● 2006年度の取り組み● 国際資源循環システム● 環境に配慮した紙への取り組み

▼ 化学物質リスク低減への取り組み● 化学物質リスク低減への考え方● 2006年度の取り組み

富士ゼロックス

将来世代

社員 株主・投資家

お客様

取引先

地域社会

Management &Performance

社会からの信頼に応えるためには、

ステークホルダーからの期待や要望を真摯に受け止め、

何に取り組むのか、富士ゼロックスとしての姿勢を示し、

実践していく必要があります。

ここでは、富士ゼロックスの考え方と、

各ステークホルダーへの取り組みの中から、

より期待が高いと考えられるものを報告しています。

詳細な情報は、

http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/に掲載しています。

(ウェブ版のご案内は 53ページをご覧ください。)

Sustainability Report 2007 �7

Page 28: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックスは創業以来、ドキュメン

トは「知」をカタチにしたものととらえ、ド

キュメントを通じて「知の創造と活用を

すすめる環境」を構築することで、お客様

やその先にある社会の発展に貢献する

ことを目指してきました。

近年、社会ではさまざまな領域におい

て、ステークホルダーに対する「説明責

任」、「透明性」、さらには「ディスクロー

ジャー」を求められる傾向が顕在化して

います。また、相次ぐ不祥事等により、適

正な企業運営を担保する文書や記録の

管理が差し迫った課題となっています。

富士ゼロックスは、企業内に混在する紙

情報と電子情報を一元管理する技術な

ど、これまで培ってきたドキュメントにか

かわる技術やノウハウを基盤として、お

客様企業の信頼や信用の向上に貢献で

きる事業の創造に取り組んでいます。

2006年度は、次のような取り組みを

進めました。

お客様に提供する価値お客様に提供する価値

お客様とのかかわり

● 紙や電子で存在する安全情報を一

元管理し、情報公開ニーズに応えるト

レーサビリティ・システムの開発● 業務を可視化し、業務に関連する

証憑類を一元管理するソフトウエア

「Apeos PEMaster」を中心とした

内部統制強化支援サービス&ソリュー

ションの充実● ファクスの誤送信を防止し、送受信記

録とイメージを保管することで情報

漏洩リスクに対応するソフトウエアの

開発

2007年度は、ドキュメントにかかわる

サービスメニューをさらに拡大し、事業

を通してお客様のCSR推進にお役立ち

するとともに、そのことを通じて社会に

貢献することを目指します。

F トレーサビリティ・システムについて詳しくは12ページのハイライト1をご参照ください。

富士ゼロックスおよび関連会社で

お客様満足度向上を目指してお客様満足度向上を目指して

体質強化戦略(内部統制)

CSR

プラットフォーム

経営課題 有事対応事業継続

成長戦略

業務の有効性と効率性

セキュリティ

説明責任 ディスクロージャー 透明性

e-RMTM 業務プロセスと証憑(エビデンス)文書記録管理の統合 アナログとデジタルの融合

ERM(統合リスクマネジメント)

個人情報保護・情報漏洩防止

財務報告の信頼性 法令遵守 品質 環境…

■ 富士ゼロックスが提唱する情報管理コンセプト(e-RM)の構成概念

は、お客様の満足(C S:C u s t o m e r

Sat isfact ion)がすべての活動の原点

であると考え、2001年に「富士ゼロック

スおよび関連会社CS行動指針」を制定。

この行動指針に沿って、お客様満足の向

上に取り組んでいます。

お客様の声を企業活動に反映する仕

組みとして、「ボイス・オブ・カストマー

(VOC)」や「お客様相談センター」を設

けています。さらに、商品・サービスにつ

いてのアンケート調査や、社外の調査機

関によるお客様満足度調査も行ない、お

客様満足の向上を目指しています。

富士ゼロックス CS行動指針

1.「お客様の言葉」に耳を傾けることが、私たちの仕事の始まりです

2.「お客様の目線」で考えることが、 私たちの仕事の基本です

3.「お客様の期待」に応えることが、 私たちの仕事の責任です

4.「お客様の感動」を得られたときが、 私たちの仕事の喜びです

5.「お客様の評価」こそが、 私たちの仕事のものさしです

富士ゼロックスのCS行動指針では、「お客様の満足を追い求めることが私たちの仕事の目的」であると定めています。お客様から寄せられたご意見・ご要望やクレームはボイス・オブ・カストマー(VOC)と呼ぶ全社情報システムで役員・従業員が共有します。このVOCには年間約30万件

(2006年)の声が入力されています。

VOCシステムとは、全国の営業担当

者やサービスエンジニア/事務スタッフ

が入力した「お客様の声」を、社内各組織

ボイス・オブ・カストマー(VOC)システムの構築ボイス・オブ・カストマー

(VOC)システムの構築

Fuji Xerox�8

Page 29: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

全無響電波暗室(国際認証センター内)

ベルギー政府の国際試験所認定を取得

’03 ’04 ’05 ’06

(件)

(年度)

ご意見・ご要望・その他営業情報 受付案内質問・問い合わせ

苦情・クレーム

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

■ 問い合わせ内容の推移

で情報共有し、全社で活用するための仕

組みです。

2006年度は、約30万件のお客様の

声をデータベース化しました。さらに新

商品開発に体系的に役立てることができ

るシステムを構築。2007年度は、VOC

入力件数を増加させるとともに、お客様

の声をさまざまな分野で有効に活かして

いけるよう、分析に力を入れていきます。

お客様相談センターは、会社全体に

対するご意見・ご質問、商品購入につい

てのご相談など、幅広いご意見・お問い

合わせを、電話(フリーダイヤル)や電子

メールでお伺いする窓口です。

お客様相談センターに寄せられたご意

見・ご要望は、それぞれ社内の該当部門

に伝達し、問題の解決・状況の改善に向

けての提案を行なっています。2006年

度の問い合わせ件数は約43,000件で

した。うち、苦情・クレームは約2%を占

お客様相談センターお客様相談センター

め、その約半数が、サポート窓口の体制・

仕組みに関するものでした。その結果を

受けて、相談員の適切な配置、勉強会の

実施、相談員支援システムの充実を図り

ました。

今後は、各商品のコールセンター、営

業担当者など他の当社窓口との連携強

化を図るとともに、商品知識だけではな

くお客様への対応マナーの教育を充実

させていきます。

当社は、2002年のモノクロレーザー

プリンター発火事故を契機に、「体制・方

針」、「プロセス」、「人材・技術」、「意識」

商品安全商品安全

の四つの側面から、全社的商品安全マネ

ジメント体制の再構築を推進。事故の再

発防止と、万が一事故が起こった際の対

応体制の確立に力を入れてきました。

「第2次商品安全改革」の初年度にあ

たる2006年度は、事故の未然防止を最

重要課題に設定。組み立てや保守作業ミ

スに起因する事故をゼロにするという目

標を掲げ、開発段階で事故低減施策を導

入する「未然防止設計」を拡大しました。

2007年度は、生産段階を中心とした商

品安全強化に取り組むとともに、未然防

止技術のさらなる向上を目指します。また、

2007年5月の消費生活用製品安全法の

改正に伴い、全商品で同法の規程に対応で

きる体制を整備していきます。

詳しくは、http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/user/をご覧ください。

オフィス環境のデジタル化が進む中、電気・電子機器から放出される電磁波がほかの機器を誤動作させたり、人体に影響を与えないことが世界的に求められます。当社海老名事業所の「国際認証センター」は、これまでにEMC*、騒音・無線に関するベルギー経済省国際試験所認定(BELAC)を取得していましたが、2007年2月には、電気的・機械的安全性評価試験、レーザーの安全性試験、排出化学物質試験分野においても認証を取得。電気・電子機器に要求されるすべての安全関連項目テストを一カ所で実施できる体制を確立しました。このようなBELAC NBN EN ISO/

IEC17025認証施設は国内初です。今後も、グローバルに商品を供給する

メーカーとして、商品の品質・安全性をよりいっそう高める取り組みを続けていきます。* Electro magnetic compatibilityの略語。 電磁環境両立性。

Sustainability Report 2007 ��

Page 30: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

会社や仕事に対する社員の意識や価

値観をとらえ、経営目標や施策に反映さ

せることを目的として、全社員を対象に

アンケートによる意識調査「モラール・

サーベイ」を毎年一回実施しています。

2006年度は、2004年度から始まっ

た経営改革プログラム(VO6)の完遂に

向けて各施策を展開している中での調

査となりました。「仕事のやりがい」、「職

場の働きがい」、「上司のマネジメント

への支持」、「人事制度・運営への支持」、

「経営・組織運営への支持」の5つの設

問で構成される「コア・モラール」の全

社平均スコアは、2005年度と比べ横ば

い、もしくは改善傾向となり、社員の意識

に前向きな変化がうかがえます。

社員へのモラール・サーベイ社員へのモラール・サーベイ

’06’05’04’03’02

(スコア/ 5点満点)

(年度)2.5

2.7

2.9

3.1

3.3

3.5

3.7

仕事のやりがい職場の働きがい

上司のマネジメントへの支持人事制度・運営への支持

経営・組織運営への支持平均

■ コア・モラール年度推移(富士ゼロックス単独)

今後は、導入された施策・制度が、十

分な効果を引き出せるように適切な制

度運営を続け、社員の高いモラールにつ

なげていきます。

各組織においては、「モラール・サーベ

イ」結果が正しく認識され、適切な課題解

決が行なわれていくことが重要です。そ

の一方で、調査結果のみにとらわれず、

日常の社内コミュニケーションの促進に

よって、「モラール・サーベイ」スコアに

表れない社員の声を認識することにも注

力していく必要があると考えています。

社員の創造力を組織全体の力として

活かし、会社全体のイノベーションを生

み出すための、人にかかわる基盤の強化

人事制度の改定人事制度の改定

を目的として、2006年度より新しい人

事制度を導入しました。

新制度では次の5つの変革ポイントを

掲げています。

コア・モラールとは「仕事」、「職場」、「上司」、「人事」、「会社」、に関する全20設問のうち、特に、社員モラールを把握する上で中核となる「仕事のやりがい」、「職場の働きがい」、「上司のマネジメントへの支持」、「人事制度・運営への支持」、「経営・組織運営への支持」の5設問です。

社員とのかかわり富士ゼロックスのミッション・ステートメントでは、「一人ひとりの成長の実感と喜びの実現」を目指すことを宣言しています。経営・仕事・職場・上司・人事に対する社員全員の評価を経営が調査・分析し、それを各部門にフィードバックして問題点を改善する活動(モラール・サーベイ)を

1978年から続けています。

5つの変革ポイント

1.役割基軸の徹底と最適任用

2.組織目標の達成と社員の成長につながる評価

3.役割基軸の報酬構造への見直し

4.マネジメント力の強化

5.人事制度の運営チェック機能の強化

今後は、新制度の狙いを実現するため

に社員一人ひとりが新制度を正しく理解

すると同時に、マネジャーが主体となっ

て運用の徹底を図ることができるよう、

社員に対して人事制度に関する情報を

継続的に発信していきます。

多様な個性を持つ社員が互いの強み

を活かし合うことが会社の活力につなが

ると考え、「自ら考え、最後までやり抜く

力」を重視した上で、個人が持つさまざ

まなバックグラウンドを尊重し、個性に着

目した採用・人材活用を行なっています。

● 男女の機会均等富士ゼロックスは、採用においても入

多様な人材の採用と登用多様な人材の採用と登用

Fuji Xerox30

Page 31: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

社後の待遇においても男女の区別を設け

ておらず、性別による制度上の差、不平等

はありません。しかし、2006年度の女性

管理職比率は1.4%強にとどまっていま

す。一概に管理職比率だけで女性の活躍

を計ることはできませんが、一定の目安

にはなると考えています。社員が性別に

かかわらず活躍し、キャリアを形成できる

環境を整えていくことが今後の課題です。

2006年度は現状の把握と課題を抽出し

ている段階ですが、2007年度以降は女

性を含めた多様な人材の活性化について、

経営としての方針を定め、施策に反映さ

せていく予定です。

● 障がい者雇用の取り組み富士ゼロックスは、「ノーマライゼー

ション」の趣旨に賛同し、障がいのある人

も、障がいのない人と同じように働き、自

己実現できる職場環境・組織風土の実現

を目指し、障がい者の雇用の促進と、働

きやすい環境づくりに取り組んでいます。

2006年度は、富士ゼロックスおよび

関連会社のメンバーで構成する「障がい

者雇用推進タスク」で、課題の抽出とそ

れに基づく施策を検討。検討結果に基

づき、「2008年度に、富士ゼロックスお

よび国内の販売会社、関連会社の各社

が、法定雇用率1.8%を達成する」とい

う目標に向け、各社で具体的な施策をス

タートさせました。2006年3月の富士ゼ

ロックス単体の障がい者雇用数は185人

(うち重度は61人)、障がい者雇用率は

1.75%、国内の販売会社・関連会社全

体で1.57%となりました。法定雇用率を

達成している企業は46社中18社にとど

まっています。

2008年度に各社が法定雇用率を達

成するという目標に向けて今後は、現場

での職務開発や社員への啓発教育を継

続し、より働きやすい環境を整えるとと

もに、積極的な採用活動を行ないます。

環境・企業文化づくりに早くから取り組

み、その後も継続して育児・介護関連制

度の充実に努めています。2006年度は、

出産した女性社員の98%、そして4人の

男性社員が育児休職を取得しました。

また、2007年3月には、「仕事と家庭の

両立」に関する基本理念と次期行動計画を

策定。2007年4月に、これらの活動が認め

られ、次世代育成支援対策推進法に基づく

事業主であるとの認定を受けました。

今後は、次期行動計画に沿って取り組

みを進めていく予定です。

富士ゼロックスは、社員一人ひとりが、

自りつ(自立、自律)的に能力を伸ばし、成

長を実感できるキャリアを形成する能力

(キャリアコンピテンシー)を開発できる

よう、さまざまな施策を行なっています。

● コンピテンシー開発プログラム2006年度は、新しい人事制度導入

に伴い人材開発体系を見直しました。全

社員が必須とされる共通コンピテン

シー12項目と、専門コンピテンシー約

1,000項目を設け、それぞれ年一回ア

セスメントを実施しています。社員のコ

ンピテンシー開発は会社全体の組織力

の向上につながるため、さまざまな教育

プログラムを拡充し、社員のコンピテン

シーの開発に力を入れていきます。

社員のキャリア開発社員のキャリア開発

多様な個性を持った社員が、仕事と家

庭との両立など、それぞれのワークライ

フバランスを確保し、多様な働き方を選

択できるよう、さまざまな支援制度を整

備しています。

● 育児・介護の支援富士ゼロックスは、1988年の育児休

職制度導入、1990年の家族介護休職制

度導入など、仕事と家庭を両立しやすい

ワークライフバランスワークライフバランス

’06’05’04’03’02’01

(%)

(年度)1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

■ 障がい者雇用率(富士ゼロックス単独)

詳しくは、http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/employee/をご覧ください。

Sustainability Report 2007 31

Page 32: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士フイルムグループ全体を対象とした

「富士フイルムグループ グリーン・ポリ

シー」、富士ゼロックスおよび関連会社の共

通する価値観「私たちが大切にすること」

の一つ「環境」を受け、持続可能な社会に

向けてのビジョンである「エコロジー&セー

フティビジョン」を制定しています。ビジョ

ンの具体化のための方針は「エコロジー

&セーフティ基本方針」に示し、世界トップ

レベルの環境経営の実現を目指します。

富士ゼロックスおよび関連会社全体

で環境経営を効果的に推進するため

環境方針環境方針

環境経営推進体制環境経営推進体制

地球環境・将来世代とのかかわり

意志

具体化

富士ゼロックスおよび関連会社 エコロジー&セーフティ基本方針

富士ゼロックスおよび関連会社は、環境保全と安全確保は企業の存立基盤であるとの認識に基づき、全従業員をあげて、環境負荷の低減およびお客様・市民・従業員の生命・財産の保護に対する万全の配慮を払った事業活動を営むとともに、その維持向上に最善を尽くす。

本方針は、国内外の富士ゼロックス/関連会社全体が展開するすべての事業活動に適用する。

富士ゼロックスおよび関連会社 エコロジー&セーフティビジョン

富士ゼロックスおよび関連会社は、環境との調和を最大限に尊重した活動を事業のあらゆる側面で展開し、安全で環境にやさしい商品・サービスおよび情報を提供することにより、お客様や社会の環境保全活動に貢献することにおいて世界のトップレベルを実現する。

富士ゼロックスおよび関連会社

「私たちが大切にすること」〈環境〉

富士フイルムグループ

グリーン・ポリシー〈高い環境品質〉

■ 環境方針

に、PDCAサイクルに沿って環境マネジ

メントを実施しています。環境に対する

最高意思決定機関は、社長を議長とする

「CSR会議」です。同会議での決定事

項は全社に展開され、関連各部門が実

行します。各部門の活動の成果は環境パ

フォーマンス・データベースに蓄積して

評価し、これに基づき戦略や計画を見直

しています。

2006年度には、CSR会議の下にあっ

た、従来の「環境連絡会」を環境に関連す

る部門の長をメンバーとする「環境委員

会」に刷新。これによって、これまで個別

の組織でしか対応できていなかった課題

に対しても、全社横断的に取り組む体制

が整備されました。

「エコロジー&セーフティビジョン」の

実現を目指し、2001年に環境経営の指

標として環境効率(売上高÷CO 2排出

量)を採用。「2010年度に環境効率を

2000年度の2倍にする」という全社環

境目標を掲げ、取り組みを進めています。

取り組み重点項目である「温暖化防止」

「天然資源の保全」「化学物質リスクの

低減」の3つについて、2006年度までは

「環境技術」「グリーン商品」「資源循環」

「サービス・ソリューション」「物流」「事

業活動系」の6つの観点から、環境負荷

低減に取り組んできました。2007年度

からは、3つの重点項目に沿って、新しく

全社共通の「環境個別計画」を策定し、こ

れをもとに環境負荷の低減に努めます。

環境中期計画環境中期計画

■ 環境経営推進体制図

経営執行会議

実行部門

CSR会議

環境委員会

環境管理部会

技術会議・環境技術 の開発

・原則毎月開催・CSR活動全般につい ての全社的意思決定

実施結果のレビュー(4半期ごとに実施)

リサイクル推進委員会

富士ゼロックスのエコロジー&セーフティ基本方針では、全従業員をあげて、環境負荷の低減およびお客様 ・ 市民 ・ 従業員の生命 ・ 身体 ・ 財産の保護への配慮とその維持向上に最善を尽くすことを定めています。多くの商品ラインナップで省エネ商品の開発を進め、8年連続で省エネ大賞

(経済産業省主催)を受賞しています。

Fuji Xerox3�

Page 33: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

2006年度は「温暖化防止」において、

総合的な環境効率を0.95倍(2000年

度比)にするという目標を掲げ、取り組み

を進めましたが、結果は0.94倍となり、

2006年度全社環境経営目標と実績2006年度全社環境経営目標と実績

目標をやや下回りました。目標値を環境

効率(売上高÷CO2排出量)で設定してい

ることから、商品単価の低下という、環境

負荷以外の要素に大きな影響を受けた

ことも一因となっています。商品の環境

効率は目標を達成しましたが、事業活動

系、物流については未達成となりました。

「天然資源の保全」については個別計画

を推進し、それぞれの目標を達成しまし

た。「化学物質リスクの低減」については、

2010年の目標達成の目処がつきました。

2007年度は、新しい中期計画に沿っ

て目標を再設定します。

重点項目 2006年度目標 2006年度実績 評価 2007年度目標

温暖化防止(FP.35~P.37)

環境効率目標(2000年度比):0.95倍 0.94倍 × 0.96倍

事業活動系(製造・販売)環境効率(2000年度比):1.23倍

1.17倍 × 1.19倍

物流環境効率(2000年度比): 1.50倍 1.32倍 × 1.62倍

商品の環境効率*1:モノクロ機 1.71倍        カラー機 3.72倍

モノクロ機 1.80倍カラー機 4.13倍

○モノクロ機 1.77倍カラー機 4.00倍

天然資源の保全(FP.38~P.40)

環境配慮型パルプの増配合:93% 99% ○ ─

部品リユースによる新品部品の資源抑制:3,000t以上

3,500t ○ ─

物流における新規投入資源の抑制(環境効率):1.35倍

1.38倍 ○ ─

ゼロ・エミッションの推進(生産事業所): 未達成事業所(2社)の計画策定

2社/2社

富士ゼロックス台湾は ゼロ・エミッションを達成

○ ─

化学物質リスクの低減(FP.41)

JBMIA*2など4団体指定の20物質(PRTR法対象7物質含む)から排出されるVOC*3を2000年度比で30%削減(2010年目標)

VOC排出量:50%削減(国内)

○VOC発生状況チェックの継続(国内)およびVOC排出量の調査と削減計画立案(海外)

■ 環境経営目標と実績

※2006年度のお客さま使用時環境効率、部材購入製造時環境効率を統合*1 商品の環境効率=(複写またはプリント)スピード÷商品のCO2排出量  *2 JBMIA:社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会  *3 VOC:Volatile Organic Compoundsの略で、揮発性有機化合物のこと。製造工程から排出される。

詳しくは、http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/をご覧ください。

Sustainability Report 2007 33

Page 34: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

環境負荷の全容環境負荷の全容

● Kids’ ISOプログラム

社外に向けては、環境保全活動に進ん

で取り組める将来世代の育成を目的と

する環境教育プログラム「Kids’ ISOプ

ログラム」(ArTech(国際芸術技術協力

機構)主催)の支援と社内での実施を行

なっています。今後は、活動の範囲を広げ

ていくとともに、本プログラムのインスト

ラクターの資格取得を社員に推進するな

ど、運営体制の確立を進めていきます。

ダーの方々の知恵を融合させ、新たな取

り組みを生み出すことを目的としていま

す。今後も、積極的な双方向の情報交流

の場をつくっていきたいと考えています。

また、社員が環境問題を自らの問題と

してとらえ主体的に取り組むには、実際

に活動を体験することが有効であると考

え、社員参加型のプログラムを多く実施

しています。今後は、地域密着型の活動

を中心に、より多くの社員の参加を促し、

意識の向上を図っていきます。

● 省エネキャンペーン

社内では「省エネキャンペーン」を実

施。社内や家庭での基本的な省エネ活動

や、期間・時間帯を限定して、全国32カ

所の看板・広告塔を消灯する活動などを

展開しました。

● 海外事業所での活動

海外販売会社では、環境保全活動に

関するワークショップを年に2回開催。

2006年5月には、参加者の発案により、

各社の環境改善の取り組み強化をうたっ

た共同宣言を行ないました。

資源部品・材料106.5kt*1

廃棄大気大気排水大気

排出CO2 113.0ktNOx 61tSOx 4t

排出CO2164.0kt

排出CO258.2kt

排出CO2(電力)

368.0kt

資源循環(リユース)リユース部品

3,500t

資源循環(リサイクル)リサイクル・プラスチック

410t

リサイクル使用済み商品

33.0kt*3

エネルギー電力20,800万kWh化石燃料(原油換算)

8,660kl

エネルギー電力(推定)77,500万kWh*2

エネルギーガソリン 8,720kl軽油 450kl電力7,270万kWh

エネルギー化石燃料(原油換算)

63,000kl

水3,000kt

水3,000kt

大気

排出CO2

884.0kt

リサイクル廃棄物等

18,600t埋立・焼却等

770tリサイクル使用済み梱包資材

使用済み用紙

包装材18,600t

化学物質(PRTR)

3,790t

化学物質(PRTR)

5t

廃棄物等リサイクル

4,280t埋立・焼却等

950t

リサイクル古紙のリサイクル大気大気

回収・分別使用済み商品

36.0kt販売・保守・オフィス 物流研究・開発・生産 お客様の使用資材調達

OUTPUT排出

INPUT投入

■ マテリアルフロー

範囲は富士ゼロックス連結です。(ただし、化学物質は、国内のみ)*1 資源INPUTで、保守交換部品、および消耗品の一部は把握できていません。*2 複写機・プリンターが対象です。年度に生産した機器が5年間稼動したときの総消費電力量(推計)を算出しています。CO2換算係数は0.475を使用しています。*3 複写機、プリンター、消耗品ユニットにおいて、実際に再資源化処理に回された重量です。それ以外の重量は含みません。

環境広告:第46回「消費者のためになった広告コンクール」 経済産業大臣賞作品

環境担当マネジャーによる共同宣言

「Kids’ ISOプログラム」実施校の感謝状授与式

富士ゼロックスは、事業活動における資

源やエネルギーの投入、温室効果ガスや

廃棄物の排出について、商品のライフサ

イクルごとにデータを把握しています。こ

の結果をもとに、新規資源投入量の抑制、

CO2排出量の削減、化学物質の使用量削

減を重点課題として取り組んでいます。

富士ゼロックスは、環境負荷低減に関

する活動や商品情報などを、インター

ネットや展示会、広告など、さまざまな手

段で皆様へお伝えしています。これらの

活動は、単なる「情報公開」ではありませ

ん。当社の取り組みを多くの方に知って

いただくと同時に、そこにステークホル

環境コミュニケーション環境コミュニケーション

Fuji Xerox34

Page 35: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

地球温暖化問題を重点取り組み課

題の一つととらえ、富士ゼロックスおよ

び関連会社の事業活動から排出される

CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガス

の排出削減に取り組んでいます。

排出量は環境効率(売上高÷CO2排出

量)で管理し、部材購入、製造・販売、物

流からお客様使用時までの総排出量に

基づく環境効率を2010年度に2000

年度の2倍にすることを目指しています。

海外でも、日本と同様の基準を適用し、

CO2排出量の削減に取り組んでいます。

富士ゼロックスは、商品の環境負荷を

CO2排出量に換算しライフステージ別

地球温暖化防止への考え方地球温暖化防止への考え方

商品のライフステージ別にCO2排出量を分析商品のライフステージ別にCO2排出量を分析

電力

資源

部材購入

製造・販売

モノづくり

資源循環システムの構築

間接影響領域

物流

環境マネジメントシステムの運用

お客様使用時お客様のオフィスで

省エネ商品の開発

直接影響領域

FP.37

FP.35

FP.38

FP.36

56%

11%

23%

10%

■ 商品のライフステージ別CO2排出量(2006年度)

倍にする目標を掲げましたが、実績は

1.17倍にとどまりました。 CO2の排

出総量(絶対量)は国内全体(生産・

開発・オフィス)が2000年度比7%減

(108kt-CO2)、海外(生産系)は89%

増(37kt-CO2)となりました。

2006年度、生産段階では海外生産事

業所での省エネに力を入れ、これまでの

省エネ活動を包括的・具体的にチェック

するため、中国の3工場で108項目の省

エネ点検を実施。この結果に基づいた改

善を図りました。

今後も生産量の増加が予測される海

外生産事業所からのCO2排出量の削減

に力を入れるなど温室効果ガスの排出

削減に取り組み、2007年度は環境効率

を1.19倍にすることを目標に取り組み

を進めます。

地球温暖化防止への取り組み

’00 ’04 ’05 ’06

(kt-CO2)

(年度)物流お客様使用時部材購入 製造・販売

166.0

1,161.6

1,371.6

1,482.1

1,587.2

159.2

338.9

497.5

143.2

165.3

309.1

754.0

142.8

167.8

356.4

815.1

164.0

171.2

368.0

884.0

0

400

800

1,200

1,600

■ ライフステージ別CO2排出量

に算出しています。その内訳は、部材購

入時の環境負荷が56%と最も大きく、次

に大きいのが23%を占めるお客様使用

時の負荷となっています。これらの間接

影響領域も、当社が管理する領域ととら

え、さまざまな取り組みを進めています。

部材購入においては、新規資源の投入

を減らすため、資源循環システムを構築

し、運用しています。お客様使用時の環

境負荷については、紙・電気使用量がそ

の主な原因となっているため、商品ライ

ンナップ全体での省エネルギー化を進め、

ハード・ソフト面の両方で環境負荷の低

減に努めています。

2006年度は、製造・販売における

CO2排出についての環境効率を1.23

製造・販売における 取り組み製造・販売における 取り組み

※ ライフステージ別CO2排出量削減への取り組みは、該当ページをご参照ください。

Sustainability Report 2007 35

Page 36: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

カラー機

モノクロ機

DocuColor1250CP

1999年省エネ大賞受賞

年 代 最 新

DocuPrint181/211

2002年省エネ大賞受賞

DocuCentre507/607/707

2001年省エネ大賞受賞

DocuPrintC2220

2000年省エネ大賞受賞

DocuPrintC2425/2426

2003年省エネ大賞受賞

DocuCentre Color a450/f450および Centre Ware Flow Service

2004年省エネ大賞受賞

ApeosPort/DocuCentre

C7550 Iシリーズ

2005年省エネ大賞受賞

DocuPrintC3050

2006年省エネ大賞受賞

■ 省エネ大賞受賞機

お客様が商品を使用するときの「電力

消費の改善」と「利便性向上」の両立を

目指し、幅広いラインナップで省エネル

ギー商品の開発に取り組んでいます。

● 省エネルギー商品の開発

プリンターや複合機、カラー・モノク

ロ、高速・低速を問わず、すべてのライン

ナップの新機種に省エネルギー技術を

投入し、消費電力の大きい旧機種と代替

することによって、お客様使用時の電力

消費量をトータルで削減することを目指

しています。

商品の開発にあたっては、電力消費

量や利便性に関する目標等を定めた「グ

リーン目標」を設定し、電力消費量を抑

えながら利便性を高める方法を追求して

います。

● 「省エネ大賞」を8年連続受賞

1999年から8年連続して、経済産業

お客様使用時における取り組みお客様使用時における取り組み

省主催*の「省エネ大賞」をカラー・モ

ノクロ、高速・低速などすべてのライン

ナップで受賞しています。2006年度

は、A3対応カラーレーザープリンター

「DocuPr in t C3050」が「省エネル

ギーセンター会長賞」を受賞しました。

「DocuPrint C3050」は、消費電力

を低減するために、機械内に発生する熱

を自然対流を利用することによって放出、

A3カラープリンターで初めて、機器内部

の温度上昇を防ぐためのファンをなくし、

省エネルギーを実現しました。

「省エネ大賞」の受賞は、設計者のさら

なる省エネルギー化への意識を向上さ

せています。

* 2005年度までは(財)省エネルギーセンター主催

● 2007年度からの 省エネルギー目標

富士ゼロックスは、商品使用時の電

力消費量*を2005年度で1997年度

比50%にすることを目標に掲げてきま

した。目標年度の終了を受け、2006年

度には新たな目標設定のあり方を検討。

2007年度からは、「2010年度に新商

品の省エネ性能を2000年度比3倍にす

る」という新たな目標を掲げて商品の省

エネルギー化に取り組むことを決定しま

した。これまでは、国内の商品を対象とし

ていましたが、海外も含めた富士ゼロッ

クスの全商品を対象としています。

* 市場で使われているオフィスユースの商品1台あたりの消費電力

● サービス・ソリューション分野でも環境負荷を低減

機械本体の省エネルギー化だけでなく、

ソフトウエアを組み合わせ、システム全体

での環境負荷低減を目指しています。

お客様の事業活動における物流や用

紙・消耗品使用などにおける環境負荷低

減効果をCO2排出量に換算して算出。ソ

リューションの導入によるエコ効率*を算

出し、お客様に提示しています。

2006年度はエコ効率が良好なパッ

ケージソフトウエア2商品と11件のソ

リューション商品を開発しました。2007

年度はさらに商品メニューを増やし、お

Fuji Xerox36

Page 37: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックスおよび関連会社は、

モーダルシフトの推進や、輸送ルートの

見直し、積載効率の向上、エコカーの導

入などのCO2削減策に取り組んでいま

す。事務機器業界9社の間で連携をとり、

他社の使用済み商品をリユース・リサイ

クルのために回収して、製造メーカーに

返却するシステムを1999年に構築。業

界として責任を持って物流の効率化を進

めています。

2006年度は、環境効率を1.50倍に

する目標を掲げましたが、実績は1.32

倍にとどまりました。これは、物流におけ

るCO 2排出量の約80%を占める海外

物流において、航空機使用比率が目標

値である50%未満を下回る54.3%と

なったためです。今後は、商品の物流管

理を徹底し、航空機を使用せずにお客様

からのご要望にお応えできる体制を整備

していきます。

物流における取り組み物流における取り組み

● 循環型デリバリーシステムの導入

2006年度から、スターウェイ株式会

社と共同開発した「循環型デリバリーシ

ステム」の導入を開始しました。地方サー

ビス拠点に補修用部品を送る際、段ボー

ル箱のかわりに、繰り返し使える包装箱

を使用するというものです。

使用する「リターナブル包装箱」は富士

ゼロックス独自のもので、● 繰り返し使用できるので、新規資源投

入が抑制される● 箱を折りたたむことにより、1つの箱に

折りたたんだ包装箱を最大9個格納で

き、回収回数を減らすことができる● RFID*を利用したトレーサビリティシ

ステムの導入により、箱の所在を確認

でき、確実・迅速に回収できる

などの特長があります。

このシステムの導入により、2006年

度は資源投入量を59.6t、CO2排出量を

30.0t削減することができました。今後

は国内での利用を拡大するとともに、海

外輸送時の使用も検討していきます。ま

た、他メーカーにも導入を働きかけてい

く予定です。

* RFID:(Radio Frequency IDenti f icat ionの略)ID情報を埋め込んだタグから、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報をやりとりする技術

’06 ’07 ’08 ’09 ’10

( t)

(年度)0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

375315

1,878

584

施策導入前の投入レベル施策導入後の投入レベルリターナブル包装箱残るダンボール箱

▲1,294t

■ 年度別 包装材投入量計画(累計)

リターナブル包装箱

客様の環境負荷低減に貢献したいと考

えています。

* 生産性向上などのソリューションの効用・価値を分子に、オフィスの環境負荷低減効果(CO2排出量換算)を分母に置いて計算

■ オフィスの環境効率(エコ効率)

スペース使用

機器導入(機器製造)

機器使用(電力消費量)

用紙使用(材料)

その他人の移動、物の移動など

エコ効率

ソリューションの効用・価値(生産性など)

オフィスの環境負荷

富士ゼロックスは、使用済み商品から取り出した部品を再活用し、新規資源の使用を抑制するために使用済み商品の回収を行なっています。2006年はその回収過程である静脈物流のCO2排出抑制を目指してモーダルシフトの導入範囲を拡大しました。静脈物流のモーダルシフト化はトラッ

ク輸送と比べると、トラックから鉄道、鉄道からトラックへのコンテナ詰め替え作業が発生することやトラックとコンテナの積載量の違いなどからコスト効率が悪く、当初は500km超距離圏の約8%をモーダルシフト化するにとどまっていました。そこで、モーダルシフトの対象距離圏を拡大するためには、1コンテナあたりの積載効率を改善することが必要と考え、実際にコンテナに積載されている状況を写真に記録し、収集されたデータをもとに丹念な検証を行ない

ました。結果として積載効率を大幅に高めることができ、現在は輸送距離が200kmを超える距離圏までモーダルシフト路線を拡大しています。これにより、従来8%にとどまっていた使用済み商品の長距離圏輸送のモーダルシフト化を70%以上にまで拡大し、2006年度は約70tのCO2排出の抑制効果がありました。* 貨物輸送において、環境負荷の少ない大量輸送機関である鉄道貨物輸送・内航海運に輸送機関の転換を図ること

静脈物流におけるモーダルシフト*の推進

使用済み商品が積載されるコンテナ

Sustainability Report 2007 37

Page 38: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

1世代活用…回収した商品の部品をリユースし、      同一機種を生産する2世代活用…回収した商品の部品をリユースし、      後継機(2世代目)の商品を生産する3世代活用…回収した商品の部品をリユースし、後継機のさらに      次の世代(3世代目)の商品を生産する

’96 ’99 ’02 ’03 ’04 ’05 ’06

(%)

(年度)

2

98

72

28

47

29

24

22

60

18

63

23

14

31

36

33

93

1

60

20

40

60

80

100

■ 部品リユース生産における多世代活用率

富士ゼロックスは、商品の環境負荷低

減のために、「限りなく『廃棄ゼロ』を目指

し、資源の再活用を推進する」を全社方針

として定め、企画・設計・調達から再資源

化に至るまで、商品ライフサイクルすべ

ての段階を視野に入れた取り組みを、国

内そしてアジア・パシフィック地域で進め

ています。

また、紙の持続可能な供給を目指して、

生態系への配慮を含めた取り組みを推進

しています。

富士ゼロックスの環境保全活動の柱

の一つが、「使用済み商品は廃棄物では

なく、貴重な資源である」という考えが基

本にある資源循環システムの推進です。

資源循環システムは、市場に出した商

品は回収して使い切り、新たな資源の投

入を抑えて、閉じた輪の中で部品を循環

させる「クローズド・ループ・システム」

を中心に、上流の企画段階から下流の再

資源化(リサイクル)までを大きく二つの

考え方で構成しています。

その一つが、部品の再利用を前提とし

て、環境負荷の少ない商品づくりを目指

す「インバース・マニュファクチャリング

(逆製造)」。もう一つが、再使用できな

い部品を分別・再資源化し、再び新資源

として徹底的な活用を目指す「ゼロ・エ

ミッション」です。

この資源循環システムは、アジア・パシ

フィック地域においても展開しています。

天然資源保全への考え方天然資源保全への考え方

資源循環システム資源循環システム

2006年度の取り組み2006年度の取り組み

当社では、全社方針達成のため、

2006年度も商品のライフサイクル各段

階で取り組みを進めました。

企画・設計の段階においては、部品リ

ユースを前提とした商品の企画立案・設

計を推進。その結果、特にカラー機の2

世代への部品リユースが拡大しました。

調達段階でも、取引先と協力してより環

境負荷の少ない商品づくりに取り組んで

います。

天然資源保全への取り組み

ライフサイクル企画

リユース/リサイクル設計

環境影響アセスメント

クローズド・ループ・システム

部品リユース

材料リユース

有害物分別

マテリアルリサイクル

サーマルリサイクル

廃棄ゼロ・汚染ゼロ・不法投棄ゼロ

インバース・マニュファクチャリング

ゼロ・エミッション

クローズド・ループ・システム

■ 資源循環システム

資源循環型カラー複合機の新商品 「DocuCentre C2100」を導入

2006年5月、新品同等の品質を保証したリユース部品使用の資源循環型カラー複合機「DocuCentre C2100」を市場導入しました。当社は、1997年よりリユース部品を使用したカラー機の生産を行なっており、部品リユース率向上に向けた設計や生産技術の開発を進めてきました。「DocuCentre C2100」は、使用済みカラー機の回収量増加に対応した商品企画を行ない、カラー複合機の新商品として市場導入することができ、広くお客様にも受け入れられ、順調に部品リユースの活用量を伸ばすことができました。その結果新規資源投入抑制量や、CO2排出抑制量など大幅に改善することができました。

60%以上の高い リユース率を達成したDocuCentre C2100

Fuji Xerox38

Page 39: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

また、富士ゼロックスは、部品リユー

スを最優先に資源の再活用に取り組ん

でいますが、部品としてリユースできな

かった資源については、まず商品の素材

として使用する材料リユースを目指して

います。それでも利用できない資源は、

当社で最大44部品類に分解・分別し、素

材化できるものは業者によってマテリア

ルリサイクルされます。さらに素材とし

て利用ができなかったものは、熱源とし

てサーマルリサイクルに利用していま

す。このようなリサイクルパートナーとの

ネットワークを含めた再資源化体制によ

り、埋め立てをしない「廃棄ゼロ」を実現

しています。

富士ゼロックスは、海外でも日本と同

じレベルで環境負荷低減に取り組まな

ければならないと考え、2004年12月か

ら国際資源循環システムを展開していま

す。 アジア・パシフィックの9カ国・地域*

からの使用済み商品を販売会社自らが

回収し、富士ゼロックスがタイに設立した

統合リサイクル拠点(Fuji Xerox Eco-

Manufactur ing Co., Ltd.)に移送、

70のカテゴリーに分解・分別の後、リサ

イクルパートナーとの協業により資源と

して活用するというものです。システム

国際資源循環システム国際資源循環システム’97 ’00’99’98 ’01 ’02 ’03 ’04 ’05 ’06

(%)

(年度)

0

20

40

60

80

100

76 7884

88 89 8995 9694 94

■ 使用済み商品回収率

’06

( t)

(年度)’96 ’97 ’98 ’99 ’00 ’01 ’02 ’03 ’04 ’05

400

800

1,2001,400

1,7001,800

2,0002,200

2,400

1,500

2,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

■ 新規資源投入抑制量 (機械本体のみのリユース重量)

基本4原則 1.メーカー責任で回収することにより不法投棄を防止する

2.廃棄物を持ち込まない

3.輸入国に環境インパクトを与えない

4.輸入国にメリットを還元する

この4原則を順守しながら、アジア・パシフィック地域の環境負荷低減を目指していきます。

構築にあたっては、基本方針と基本4原

則を掲げています。

有害物質を含む部品の中で、タイ国内

での処理が難しい場合には、日本へ移送

し、適正な処理を行ないます。また、途中

で不法投棄を防止する取り組みとして、

すべてのプロセスで重量による管理(ト

ラッキングシステム)を行なっています。

* オーストラリア、フィリピン、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ

富士ゼロックスオーストラリア

販売会社富士ゼロックスニュージーランド

富士ゼロックス

富士ゼロックスコリア

富士ゼロックスフィリピン

富士ゼロックス香港

P.T.アストラグラフィア(富士ゼロックス総代理店)

タイ富士ゼロックス

富士ゼロックスアジアパシフィックマレーシアオペレーションズ

富士ゼロックスシンガポール

富士ゼロックスエコマニュファクチャリング(FXEM)

回収段階では、使用済み商品の回収率

を100%に近づけるよう、商品の回収量を

ダイレクトに把握できる「全社情報システ

ム」を活用し、回収の徹底を図っています。

構築のための基本方針

1.当社がメーカーとして工場を管理運営、リスクを回避する

2.一極統合化により一貫したリサイクル品質を保証する

3.各国・地域の環境負荷を低減する

■ 国際資源循環システムの対象領域

回収された部品のリユース率は2005

年度より10%高い67%となり、リユー

ス部品を活用した生産台数は、2006年

度1万4,000台、累計で29万台に達しま

した。技術的機構の違いからモノクロ機

の部品がカラー機へのリユース部品に

活用できず、2005年は生産台数が減少

しましたが、市場動向の影響でここ数年、

カラー機の使用済み商品の回収量が増

加。この結果、2006年度に抑制された

新規資源投入量は2,000トン、CO2排

出抑制量は15,500t-CO2となりました。

Sustainability Report 2007 3�

Page 40: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

● 森林認証品の拡大

日本国内のグリーン購入法でも木材

原料の合法性確保が求められるなど、違

法伐採された木材を使った商品を排除

するグリーン調達・CSR調達の動きが

広がっています。この際に活用されるの

が、第三者機関が木材原料の合法性を

保証する「森林認証制度」です。中でも

「FSC」と呼ばれる認証は、合法性に加

え、環境保全や社会的利益、経済的持続

可能性などを含む厳しい基準を設け、適

切な森林管理が行なわれていることを

認証しています。

富士ゼロックスは2002年度から、FSC

の認証を取得した「認証林パルプ」の使

用を推進しています。認証林パルプを

使った紙についても、その商品が「適切

に管理されている森林」に由来するもの

であることを保証するFSCの「CoC認

証」を取得。2006年度は11種類が認証

を受け、当社および関連会社が販売する

コピー・プリンター用紙の25%(上質系

用紙の70%)が同認証紙となりました。

調達基準の原則

1.法律や規制が遵守されていること

2.持続可能な森林管理がなされていること● 第三者機関により認証を受けた森林であること

● もしくは、管理がされた状態にある森林であること

3.再生パルプは原料古紙の供給元が明らかであること

4.使用する化学物質は安全が確認されていること

5 .紙製造は、無塩素漂白処理で行なっていること

6.生産工場は環境管理システムを保持していること

紙の供給がこれからも持続可能である

ためには、森林と、それらを取り巻く生態

系全体への配慮が不可欠です。

富士ゼロックスは2 0 0 4年1 2月に、

「環境・健康・安全に関する用紙調達規

程」を制定しました。

この規程は、ゼロックス・コーポレー

ション(本社・米国)の規程とあわせ、コ

ピー用紙取引先に対しての原材料調達

に関する世界共通の要求項目を設定し

たものです。紙の供給過程で森林伐採に

よる資源の枯渇を引き起こしたり、生態

系・先住民の生活に破壊的な影響を与

えたりするのを防ぐことが目的です。 各

社が販売・使用する用紙は、この規程に

基づき調達しています。

2006年度には、販売する用紙につい

ては国内外ともにすべてこの基準を満た

したものとなっています。社内で使用する

用紙については、国内では2006年度に

ほぼ対応を完了し、2007年度中には海外

を含むすべての関連会社で基準に準拠し

た用紙への切り替えが完了する予定です。

環境に配慮した紙への取り組み環境に配慮した紙への取り組み

● 環境配慮型パルプ増配合計画

製紙原料としての古紙パルプのリサ

イクル回数は3~5回が限度であり、継

続して紙の需要を満たしていくためには

バージンパルプの投入が不可欠です。富

士ゼロックスは、2002年より環境保全

と森林保護のために、古紙パルプの利

用と並行して、環境に配慮したバージン

パルプ(植林パルプ・認証林パルプ)を

バランスよく利用する「環境配慮型パル

プ増配合計画」に取り組んでいます。こ

れはコピー用紙の原材料を「古紙パル

プ」「第三者森林認証パルプ」「植林木パ

ルプ」「再・未利用材(建築廃材・製材残

材・間伐材など)」および「国内二次林」

とし、これ以外の天然林の使用を全廃す

る計画で、違法伐採された天然木使用を

完全に排除します。当初は2010年まで

に用紙の原料の100%をこれら環境配

慮型パルプとすることを目標としていま

したが、計画より先行して進んでいます。

2006年度の実績は99%、残りの1%も

2008年前半に森林認証が取得できる

見込みであることから、2008年度中に

目標を達成できる見込みです。

■ 古紙パルプおよび環境配慮型パルプの配合状況

古紙パルプ環境配慮型のパルプ(植林・認証林)+古紙パルプ

植林・認証林からのパルプ

’02’01 ’03 ’04 ’05 ’06

(%)

(年度)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

32.3

24.5

18.4

7.3

51.154.5

58.4 58.3 58.555.5

43.5

61.8

76.8

82.8

90.8

99.0

FSC Trademark©1996 Forest Stewardship Council A.C.-FSC-JPN-0022

Fuji Xerox40

Page 41: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

有害化学物質に対する国内外の規制

動向に対応し、事業活動における環境汚

染リスクを管理・削減する施策を自主的

に策定しています。事業所から排出され

る化学物質には、大気汚染物質である

VOC(揮発性有機化合物)や、土壌や水

質を汚染するPCB(ポリ塩化ビフェニ

ル)などがありますが、これらの環境リス

クを限りなくゼロにすることを目標に、以

下の考え方で活動を推進しています。

(1) 地域環境に影響を及ぼす化学物質

大気や水域への排出量を継続的に

削減する活動に加え、事故や災害な

どによる化学物質の漏洩リスクへ

の対応を考え活動します。

(2) 地球規模に影響を及ぼす化学物質

環境中に蓄積し、生態系や人体に悪

影響を及ぼす化学物質は、グローバ

ルに使用ゼロを目指します。

また、部品レベルでの有害化学物質の

含有・使用の削減について、取引先と協

業した活動を行なっています。

● 法規制への対応

化学物質を規制する法律に対応する

ため、体制を整備し、取り組みの強化を

図っています。

RoHS指令*1対応に関しては、1999

年に設計・開発・調達部門を中心とした

「有害物削減検討部会」を設置し、部品

レベルでの有害化学物質の含有・使用

の抑制について、取引先と共同で活動を

行なっています。

2005年度にはRoHS指令に準拠し

た商品づくりの体制整備が完了。2005

年2月には、RoHS指令に対応した新

商品を全世界に向け出荷開始しました。

化学物質リスク低減への考え方化学物質リスク低減への考え方

2006年度の取り組み2006年度の取り組み

RoHS指令への適合を確実にするため、

設計確認、取引先からの有害物質非含有

証明、受け入れ検査、取引先監査を実施

する開発・調達・生産部門にまたがる全

社体制も構築しています。

今後は、2009年度までに、RoHS指

令対象外の地域への商品も含めすべて

の商品を同指令に適合させる予定です。

REACH*2対応については、早急に社

内の対応体制を整備し、取引先の協力の

もと、取り組みを進めていきます。

*1 2006年7月1日以降、EU域内で販売される電子・電子機器を対象とする、鉛、水銀、カドミウム、6価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)の6物質群の使用を制限する化学物質規制。

*2 Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicalsの略であり、EUにおける化学品に関する環境規制。2006年12月13日に可決され、2007年6月より実施された。生産者・輸入者は生産品・輸入品の全化学物質(1トン/年 以上)の、人類・地球環境への影響についての調査やEuropean Chemicals Agencyへの申請・登録が義務付けられる。

● 化学物質による 地球環境への影響の低減

大気汚染対策について、業界の自主的

な取り組みとあわせ、PRTR法指定化学

物質以外にも対象を拡大し、それらから

排出されるVOCについても、2010年度

までに大気への排出量を2000年度比

で30%削減するという目標を掲げて取

り組みました。有機溶剤の燃焼装置を導

入した効果が大きく、排出量は2000年

化学物質リスク低減への取り組み度比50%減となり、目標を上回る成果が

上がりました。

土壌汚染や、地下水汚染についても、

サイトアセスメントを順次実施。2006

年度までに全生産系事業所で完了しまし

た。汚染が発見された事業所については、

調査終了後、対策を打ったり、汚染の経

過観測を継続しています。

化学物質を輸送、貯蔵、保管する施設

が地震や老朽化によって破損し、化学物

質が漏洩するといった事故を未然に防ぐ

ため、地中に埋設されている施設を地上

化しました。地上化が難しい場合は二重

化し、漏洩検知システムを設置するか代

替手段を図るなど、優先順位を設定し、リ

スクの高い順に取り組んでいます。

取扱量 排出量 移動量

’02’01 ’03 ’04 ’05 ’06

( t)

(年度)

309

555

819

1,924

2,637

3,789

18 20 17 16 13 5127 128 76 101 47 34

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

■ PRTR法指定化学物質取扱量・排出量・移動量の推移

RoHS指令対応商品Apeos Port-Ⅱ C7500シリーズ

灯油タンク配管の地上化

Sustainability Report 2007 41

Page 42: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックスは、社会貢献活動に取

り組むことは、社会に対する責任を果た

すとともに、携わった社員一人ひとりの

自己実現や自発性の向上をもたらし、さ

らに組織全体の活性化に結びつくもの

であると考え、社員の社会貢献活動を積

極的に支援しています。

富士ゼロックスの社会貢献の特徴とし

て、会社主導のものだけでなく、社員主

体の自発的な活動が非常に盛んである

ことがあげられます。

また、アジアを中心とした国際交流や、次

世代を担う若者や子供を対象とした教育

富士ゼロックスの社会貢献の特徴富士ゼロックスの社会貢献の特徴

社会・地域とのかかわり

アジアを中心とした国際交流 次世代育成のための支援 地域社会との交流文化の継承

学術・教育 小林節太郎記念基金

主たる目的対象分野

情報塾ジュニア・アチーブメント日本アスペン研究所

国際大学

文化・芸術・スポーツ

アジア ユース オーケストラ全国高校サッカー日米大学ゴルフ

版画コレクションアート・バイ・ゼロックス

福祉拡大教科書

スペシャル・オリンピックス社内販売(福祉作業所製作品)

環境

本業のリソースを活かした社会貢献活動 端数倶楽部が支援するボランティア活動

Green Road SIX自然観察指導員講習会

e-Nakama里山づくり

Kids’ISOプログラム

■ 富士ゼロックスの社会貢献活動の特徴

活動の支援、地域社会やNPO、他企業との

連携、文化の継承などに重点を置き、富士

ゼロックスの持つリソースやノウハウを活

かした社会貢献活動を行なっています。

今後は、活動状況を社会に対してより

広く発信していきます。

富士ゼロックス 社会貢献活動基本方針

● 会社主導型、社員主体型、会社と社員の協業型。この三つの調和ある活動を目指します。

● 本業における経営リソース(機材、サービス、人材、施設、ノウハウ、ドキュメント関連)を活用します。

● 富士ゼロックスらしさ(先駆性、方法のユニークさ)を追求します。

● 社員の自覚、共感に支えられた内発的な活動を促進します。

● NPOや他企業、地域社会との連携による活動を広げます。

● 学術・教育、芸術・文化・スポーツ、環境、社会福祉を重点分野とします。 富士ゼロックス単独

*2005年度から海外を含む販売会社 + 関連会社*

’02 ’03 ’04 ’05 ’06

(億円)

(年度)

0

2

4

6

8

10

7.196.61

7.576.80

7.56

■ 社会貢献活動支出額(富士ゼロックス連結)

富士ゼロックスの社会貢献活動の理念では、社員の深い共感と自発的なコミットメントをベースに、広く社会を支えるためのさまざまな活動を行ない、富士ゼロックスらしい貢献を継続することを宣言しています。従業員が自主的に活動を行なうボランティア組織「端数倶楽部」の取り組みが国内外の関連会社32社にも広がっています。

Fuji Xerox4�

Page 43: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックスは、事業で培った技術

や経験を活かした社会貢献活動を行なっ

ています。

● 情報塾

富士ゼロックスの研究本部は、情報の

ハンドリングやコミュニケーションへの

応用など日頃の研究成果を、具体的な実

習・演習を通じて次世代を担う中学生に

分かりやすく解説する短期セミナー「情

報塾」を、2001年より年に6回(中学1

年生対象3回、中学2年生対象3回)開催

しています。

講師は富士ゼロックスの社員が担当し、

「ホームページ作成」、「会社経営ゲー

ム」、「即興的図解プレゼンテーション」、

「アイデア創出と特許」など、テーマは

多岐にわたっています。2006年度から

は、中学生向けセミナーに加え、大学生

本業を活かした 社会貢献活動本業を活かした 社会貢献活動

向けセミナーや社会人向けの勉強会も

開始し、合計12回(説明会、体験コース

含む)のセミナーを、延べ113人が受講

しました。

情報塾の運営については、「情報塾修

了者」と大学生、社会人がボランティア

であたり、中学生が世代を超えて広く社

会とかかわる経験の場ともなっています。

2006年度、ボランティアの数は延べ42

人となりました。

富士ゼロックスは、社員の社会貢献活

動への参加を促進するため、活動をサ

ポートするための仕組みを設けています。

● 端数倶楽部

端数倶楽部は、富士ゼロックス社員

によるボランティア団体です。会員は毎

月の給与と各期の賞与の100円未満の

社員の社会貢献を支える仕組み社員の社会貢献を支える仕組み

「端数」と、1口100円単位で任意の額

を拠出。その資金で、社会に有益な貢献

を行なっているボランティア団体・福祉

施設などへの寄付や、ボランティア活動

への参加を行なっています。

端数倶楽部は、国際支援部会、文化教

育部会、社会福祉部会、自然環境部会の

4つの部会で構成されています。これら

の活動は富士ゼロックス本社だけでなく

各関連会社にも広がっており、2007年

3月現在で販売会社26社、関連会社6社

(うち海外2社)で互いに連携した活動

が展開し始めています。

たとえば、生産拠点の一つである富

士ゼロックス深圳(中国)では、2006年

2月にボランティア活動組織「微笑服務

団」が結成されました。活動内容は、工場

近辺の川や浜辺の清掃活動、植林活動な

どで、中国社会および地元住民の富士ゼ

ロックス深圳に対する理解促進、社員の

奉仕意識の向上を目的としています。メ

ンバーはすべて自らが希望した社員であ

り、運営費は富士ゼロックス深圳の役員

や社員の寄付金などで成り立っています。

同じような活動は、富士ゼロックスコリ

アでも「ハンサラン会」として展開。今後

も、富士ゼロックスおよび関連会社すべ

てで展開していくことを目指しています。

第5期修了式での集合写真 盲人マラソン大会には伴走や走路観察などで参加(社会福祉部会)

詳しくは、http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/community/をご覧ください。

Sustainability Report 2007 43

Page 44: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

取引先との関係の強化、パートナー

シップ意識の醸成のために、取引先企業

で構成する「富士ゼロックスグローバル

共栄会」を組織しています(2006年度

末で76企業が参加)。年3回の集まりや、

そのときどきの課題に応じた任意参加の

勉強会を通して富士ゼロックスの経営方

針の共有や、取引先との相互理解・相互

交流に努めています。

2003年度から実施している品質工

学推進活動(2006年度は17社が参加)

では、年1回の研修と1カ月に1度のフォ

ロー会および完結報告会を行ない、各社

の設計開発の効率化・品質/生産性向

上に役立てています。2007年度は、グ

ローバル共栄会の幹事会社とともに、共

栄会内でもCSR調達についての理解を

深め、取引先と富士ゼロックスが協力し

て、CSRの取り組みを進めていくことが

活動の中心となります。

取引先との関係の強化取引先との関係の強化

取引先とのかかわり

社会全体のCSRへの関心の高まりに

伴い、商品の生産過程すべてにおいて、

法令の遵守や、人権、環境への配慮がよ

り強く求められるようになりました。富士

ゼロックスはこのような社会からの要請

に対応するため、取引先企業に対して従

来から行なってきたQCDや環境の管理

に加え、人権・労働、企業倫理、より広範

な環境へ配慮を求める「CSR調達」の取

り組みを開始します。

2006年度は準備段階として、CSR

の理解を深めるための勉強会を、取引

先企業の代表である「グローバル共栄

会幹事会社」9社とともに4回開催しま

した。第3回の勉強会を各社が進出して

いる中国深圳市で開催。現地での課題

や他社の優良事例を共に学びました。ま

た、幹事会社にはCSR調達の展開に必

要な「セルフチェックリスト」の制作にご

協力いただきました。このリストは電子

機械業界の標準であるE ICCに準拠し

たもので、当社が制作した同チェックリ

ストを各社で実施していただき、改善点

や要望など貴重なアドバイスをいただ

きました。

2007年は、CSR調達を開始します。

対象となる取引先企業に、C S R調達

の意義を理解いただくとともに、具体

的な実施依頼事項をご理解いただくた

め、CSR調達説明会および勉強会を日

CSR調達への取り組みCSR調達への取り組み

グローバル共栄会品質工学研修の様子

本、中国、韓国の3カ国で実施する予定

です。

F CSR調達の取り組みについて、詳しくは16ページのハイライト2をご参照ください。

富士ゼロックスはすべての取引先

企業に、2 0 0 7年1 2月末までに環境

マネジメントシステムの第三者認証

( ISO14001もしくはエコステージ)取

得をお願いしています。2006年度の主

要取引先企業の本社および生産拠点(二

次外注先を含む)認証取得率は、約80%

でした。2007年度は未認証の取引先企

業に対し認証を取得するようご協力をお

願いしていきます。

また、3年に1回、取引先企業の国内

および海外生産拠点を訪問し、環境マネ

ジメントの進捗状況を確認しています。

2005年度からは十分な環境マネジメン

トシステムが構築されている取引先企業

に対して「環境パートナー認定証」を発行

しており、2006年度までに約190社の

取引先企業へ交付しました。

2007年度は5月1日時点で約290社

に対して認定が完了。認定が完了してい

る取引先企業は、2006年度までと合わ

せ約480社となります。

環境保全活動の支援環境保全活動の支援

富士ゼロックスの購買取引指針では、購買取引にあたって関連法規を遵守し、社会に貢献する良き市民としての役割を果たすとともに、資源保護や環境保全にも配慮することを宣言しています。化学物質管理と環境マネジメントシステムを取引先に要求する従来のグリーン調達基準に加え、2007年度はCSR調達を本格的に開始します。

詳しくは、http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/customer/をご覧ください。

Fuji Xerox44

Page 45: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

株主・投資家とのかかわり

富士ゼロックスは、1962年2月20日

に富士写真フイルム株式会社と英国ラ

ンク・ゼロックス(Rank Xerox:1997

年10月31日にXerox Limitedへ商号

変更)との合弁会社(出資比率 1:1)とし

て設立されました。英国ランク・ゼロッ

クス(現ゼロックス・リミテッド)は、米国

ゼロックス・コーポレーション(Xerox

Corporat ion)の100%子会社です。

2001年には出資比率が富士写真フイル

ム75%:ゼロックス・リミテッド25%に

変更となり、当社は、富士写真フイルム

の連結子会社となりました。

2006年10月には、富士写真フイルム

株式会社が持株会社としての富士フイ

ルムホールディングス株式会社に移行し

たことに伴い、当社は、富士フイルム株

式会社とともに富士フイルムホールディ

ングスの事業会社となりました。富士

フイルムとは両社のCSR活動の質を高

株主との関係株主との関係

めるためにCSRをテーマとした社員同

士のダイアログを行なうなど、幅広い側

面で企業価値を高めるためのシナジー

を追求しています。

2006年度の売上高は1兆1,633億

円、経常利益は658億円となりました。

対2005年度比で売上高は5%、経常利

益は21%の成長となりました。

主要業績主要業績

富士フイルムホールディングス株式会社 米国ゼロックス・コーポレーション

英国ゼロックス・リミテッド

富士フイルム株式会社 富士ゼロックス株式会社

資本比率75% 資本比率25%

資本比率100%

資本比率100%

■ 富士フイルムホールディングスとの資本関係

富士フイルム株式会社とのダイアログの様子

’04’03’02 ’05 ’06

(億円)

(年度)

10,29211,131

11,633

10,0229,620

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

■ 売上高(連結)

0

100

200

300

400

500

600

700(億円)

(年度)

545 542

658

515464

’04’03’02 ’05 ’06

■ 経常利益(連結)

オフィスプロダクト事業約55%

その他

オフィスサービス事業約6%

プロダクションサービス事業約11%

オフィスプリンター事業約17%

■ 事業別売上高(連結)構成

日本約63%

その他の地域約6%

南北アメリカ約12%

アジア・オセアニア約19%

■ 地域別売上高(連結)構成

富士ゼロックスは業績の向上に努 めるとともに、委 員 会・執行役員制度の導入(1999年)、事業組織別の内部統制構築機能の設置(2007年)など企業運営の健全性と透明化にも注力しています。

詳しくは、http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/stock/をご覧ください。

Sustainability Report 2007 45

Page 46: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックスは、情報の透明性や公

開の度合いを高め、外部の意見を取り入

れながら経営を進めていくことを基本方

針として、コーポレート・ガバナンスの強

化に取り組んでいます。

取締役会については、会社設立当初か

ら社外取締役制度を採用。その機能を経

営基本方針の決定と業務執行の監督機

能に特化させるため、1999年からは併

せて執行役員制度を導入しています。ま

た、取締役会の効率的な運営のため、下

部組織として役員指名報酬委員会を設

置。さらに、常務以上の執行役員で構成

する経営執行会議を置き、日常業務での

意思決定の迅速化を図っています。

監査役会についても、当初から社外監

査役制度を採用。監査役と代表取締役

社長との間に「監査役監査に関する合意

書」を締結し、監査役の権限・地位の独

立性を保証しています。

2005年からは、2008年の金融商

品取引法(通称:日本版SOX法)施行に

コーポレート・ガバナンスコーポレート・ガバナンス 向け、内部統制強化プロジェクトを立ち

上げました。法律への対応だけではなく、

事業全体の総合的なリスクマネジメント

や企業価値の向上につながる活動として、

全社的な取り組みを進めています。

2007年度は、富士ゼロックスだけで

はなく国内外の関連会社においても、さ

らに内部統制を徹底させるための体制

を構築していく予定です。

内部統制の要といえるリスクマネジメ

ントについては、社長が議長を務めるリ

スク&エシックス(R&E)会議が意思決

定を行ない、実際の施策展開などを行な

う補佐機関としてリスクマネジメント委

員会が設置されています。また、各事業

本部にもそれぞれリスクマネジメント推

進会が設けられ、組織単位での活動を行

なっています。

活動は、リスクマネジメント会議が

毎年、社会状況や重要性などを基に策

リスクマネジメント/ 倫理・コンプライアンスリスクマネジメント/ 倫理・コンプライアンス

定する優先課題を中心として進めます。

2006年度は、鳥インフルエンザを起因

とする新型インフルエンザ・パンデミッ

ク*対策および情報セキュリティ対策が

その優先課題となりました。また、地震対

策として、東海地震を想定し、サバイバル

カードを社員に配るなどの対策を行なっ

てきました。2007年からは新たに首都

直下型地震を想定した対策を行なう予

定です。

また、倫理・コンプライアンス体制に

ついても、R&E会議の意思決定に基づ

いて、下部組織の倫理・コンプライアン

ス委員会が施策を進めています。

2004年に策定した「倫理・コンプライ

アンス管理規程」を行動方針として、これ

までに、社員を対象とした企業倫理研修

や法令基礎教育の実施、テーマ別のコン

プライアンスガイドラインの作成、「企業

倫理ヘルプライン」の運営などの活動を

展開してきました。

今後は、国内のみならず海外関連会社

における倫理・コンプライアンス体制の

充実にも、さらに力を入れていきたいと

考えています。

* 病気が世界的、広域的に広がること

株主総会

取締役会

役員指名報酬委員会

社 長

経営執行会議

監査役会 会計監査人

経営監査部

各部門 国内・海外子会社

■ コーポレート・ガバナンス体制図

マネジメント富士ゼロックスは、お客様、社員、取引先、地域社会などのステークホルダーに幅広く貢献することが企業の存在目的であると考え、企業理念「私たちが目指すもの」および「私たちが大切にすること」を達成するために、コーポレート・ガバナンスの強化、充実を図り、事業活動に取り組んでいます。

サバイバルカード

Fuji Xerox46

Page 47: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

富士ゼロックスは、ステークホルダー

に対する経営情報や会社情報の透明性

を確保し、情報公開へのニーズに応える

ため、「情報公開指針」を定めています。

また、社外に対する情報の適切な公開・

開示、顧客・取引先情報などの機密保持

徹底のため、1999年に「会社情報取扱

規程」を制定。それに基づいて、社内文

書の保存や廃棄に関する方針などを規

定した「文書管理規程」を改正し、社内文

書の電子化とその取り扱い方法などを

定めました。

2006年度は、サービス事業の拡大に

伴い、お客様の機密情報に関与する機会

が増加する一方で、情報のデジタルデー

タ化で一度に大量の情報が漏洩する危険

性も高まっている状況を踏まえ、「重大な

事故の低減」と「情報セキュリティガバナン

スのさらなる成熟度向上」に努めました。

まず、情報セキュリティ事故が発生し

た場合には、たとえ軽微なものでも2時

間以内に情報セキュリティ部に報告する

ルールを策定。パソコン等の社外持ち出

情報公開・情報セキュリティ情報公開・情報セキュリティ しによる情報流出を防ぐための規程を作

成するとともに、社内の者が悪意を持っ

て情報を外部に持ち出そうとした場合

の情報流出に対する対策を強化しました。

さらに、こうした問題に関する社員の自

覚と判断力を高めるため、情報セキュリ

ティ教育にもいっそう力を入れました。

2007年度は上記に加え、● お客様から情報を預かる前段階での

安全対策強化● 予防的統制によるさらなる安全性向上● 安全性を向上しつつ業務の利便性も

高める手法の検討● 情報セキュリティスペシャリストの育成

以上について、重点的に取り組んでいき

ます。

情報公開指針

富士ゼロックスは、透明かつ公正な企業であることを強く希求し、企業としての社会的責任を全うするため、社内外からの情報公開ニーズに積極的に応える基本姿勢を堅持する。このため、株主や顧客の利益はもとより、従業員や地域住民の安全や健康あるいは自然環境に対して重大な影響を与えると判断した情報は速やかに公表する。

「会社情報取扱規程」 3つの基本姿勢

1.基本方針

会社情報は、特に指定のある情報を除き、「原則開示可」。

2.情報の取扱いに関する自己責任原則

取扱いの判断を、機微に詳しい部門や情報の作成責任者に委ねる。

3.情報の有効利用と保護の調和

会社の大切な資産である情報の保護を図る一方、過度な保護規制により情報資産の有効活用を阻害しないように留意する。

リスクマネジメント推進会

リスクマネジメント推進会

〈各本部運営会〉

リスクマネジメント推進会

リスクマネジメント推進会

リスクマネジメント委員会

倫理・コンプライアンス

委員会

情報セキュリティ連絡会

リスク&エシックス会議

経営執行会議

社 長

リスクマネジメント推進会

事務局総務部

事務局法務部

事務局情報セキュリティ部

■ リスクマネジメント推進体制(富士ゼロックス)

社 長

取締役会室

取締役会

プロダクションサービス事業本部

グローバルサービス事業本部

オフィスプロダクト事業本部

オフィスプリンティングシステム事業本部

事業本部

研究本部

海外営業本部

サービス技術開発本部

生産本部

品質本部

モノ作り技術本部

開発管理本部

技術開発本部

カストマーサービス本部

営業本部

本社

機能本部経営執行会議

■ 組織構造

オリジナルビデオ教材

詳しくは、http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/corporation/organization/をご覧ください。

Sustainability Report 2007 47

Page 48: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

日本、中国およびアジア・パシフィック地域を販売/

サービスの活動地域としています。欧米など、他の

地域については米国ゼロックス・コーポレーション

およびゼロックス・ヨーロッパが担当しています。

名称 富士ゼロックス株式会社(FujiXeroxCo.,Ltd.)

本社 〒107-0052 東京都港区赤坂九丁目7番3号 ※2007年1月15日に本社移転しました。

電話(03)6271-5111(代表)

代表取締役社長 山本 忠人

創立 1962年(昭和37年)2月20日

富士写真フイルム株式会社と英国ランク・ゼロックス社

(RankXerox:1997年10月31日にXeroxLimitedへ商号変更)との合弁会社

資本金 200億円

株主 富士フイルムホールディングス株式会社(75%)

ゼロックス・リミテッド(25%)

事業所[本社]東京

[研 究 所]神奈川県中井町、パロアルト(米国カリフォルニア州)

[開発・製造事業所]海老名(神奈川県)、岩槻(埼玉県)、竹松(神奈川県)、

川崎(神奈川県)、鈴鹿(三重県)、滑川(富山県)、上海、深圳など

[主要支店・営業所]札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、

福岡、沖縄ほか全国主要都市約300カ所

[海外拠点]韓国、中国(香港、台湾を含む)、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、

シンガポール、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、

アメリカの国、地域

会社概要

販売・サービス活動地域

事業活動について富士ゼロックスは、紙の上の情報だけでなく、電子情報、映像、音声なども含めて、人の思考をカタチにしたものを

“ドキュメント”ととらえています。ビジネスをサポートする上で非常に重要な経営資源である“ドキュメント”をいかに共有化し、創造的で有効に活用できるかを重要と考え、ドキュメントサービスをお客様に提供しプロセス改革を通じて、オフィスの生産性を高めていく活動および経営の質を高めるパートナー企業としての活動を展開しています。

中国

インドネシア

オーストラリア

ニュージーランド

タイミャンマーラオス

マレーシア

シンガポール

日本

韓国台湾

カンボジア

フィリピンベトナム

香港

Fuji Xerox48

Page 49: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

(株)富士ゼロックス総合教育研究所人材開発コンサルティング、教材提供、セミナー運営

富士ゼロックスプリンティングシステムズ販売(株)オフィス向けレーザープリンターの卸販売

富士ゼロックスシステムサービス(株)コピーサービス、文書管理の受託業務

(株)クロスワークス図面管理を中心としたエンジニアリング業務に係る 専門的な文書処理サービス

開発機能】富士ゼロックス情報システム(株)基幹系、ネットワーク、アプリケーションなど各種ソフトウエア開発

富士ゼロックスエンジニアリング(株)複写機やプリンターに関連する個別開発・設計の受託業務

生産機能】鈴鹿富士ゼロックス(株)各種電子部品、複写機/プリンター周辺機器の開発・製造・販売

新潟富士ゼロックス製造(株)レーザープリンター、感光体、トナーカートリッジなどの開発、製造

富士ゼロックスイメージングマテリアルズ(株)乳化重合トナー(EAトナー)の製造

人材サービス機能】富士ゼロックスキャリアネット(株)人材派遣業務

販売機能】富士ゼロックス北海道(株)富士ゼロックス岩手(株)富士ゼロックス宮城(株)富士ゼロックス福島(株)富士ゼロックス茨城(株)富士ゼロックス栃木(株)富士ゼロックス群馬(株)富士ゼロックス埼玉(株)富士ゼロックス千葉(株)富士ゼロックス東京(株)富士ゼロックス多摩(株)富士ゼロックス神奈川(株)富士ゼロックス山梨(株)富士ゼロックス新潟(株)富士ゼロックス北陸(株)富士ゼロックス長野(株)富士ゼロックス岐阜(株)

富士ゼロックス静岡(株)富士ゼロックス愛知(株)富士ゼロックス愛知東(株)富士ゼロックス三重(株)富士ゼロックス京都(株)富士ゼロックス大阪(株)富士ゼロックス兵庫(株)富士ゼロックス奈良(株)富士ゼロックス岡山(株)富士ゼロックス広島(株)富士ゼロックス山口(株)富士ゼロックス四国(株)富士ゼロックス福岡(株)富士ゼロックス北九州(株)富士ゼロックス長崎(株)富士ゼロックス熊本(株)富士ゼロックス鹿児島(株)

販売機能】Fuji Xerox Asia Pacific Pte Ltd. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シンガポール

Fuji Xerox Singapore Pte Ltd. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シンガポール

Fuji Xerox Asia Pacific Pte Ltd. (Malaysia Operations) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マレーシア

Fuji Xerox Asia Pacific Pte Ltd. (IndoChina Operations) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ベトナム

Fuji Xerox Korea Co., Ltd. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・韓国

Fuji Xerox Taiwan Corporation ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・台湾

Thai Fuji Xerox Co., Ltd. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・タイ

Fuji Xerox Philippines, Inc. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フィリピン

Fuji Xerox Australia Pty Limited ・・・・・・・・・・・・・・・・・オーストラリア

Fuji Xerox New Zealand Limited ・・・・・・・・・・・・・・・・ニュージーランド

PT. Astra Graphia Tbk 富士ゼロックス総代理店)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・インドネシア

Fuji Xerox (China) Limited ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中国

Fuji Xerox Industry Development (Shanghai) Co., Ltd. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中国

Fuji Xerox (Hong Kong) Limited ・・・・・・・・・・・・・・・・中国

FX Global, Inc. 研究開発受託等のサービス

Xerox International Partners レーザープリンターや消耗品のOEM販売とサポート

FX Palo Alto Laboratory, Inc.マルチメディア、コミュニケーション技術を中心とした研究受託

FX Global Supply Solutions, Inc.富士ゼロックス商品の欧米におけるサプライ・チェーン・マネジメント

調達・生産機能】Fuji Xerox of Shanghai Limited ・・・・・・・・・・・・・・・・・・中国

Fuji Xerox of Shenzhen Ltd. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中国

Fuji Xerox Far East Ltd. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中国

Fuji Xerox Eco-Manufacturing Co., Ltd. ・・・・・タイ

国内関連会社

関連会社一覧

●事業会社

●機能別関連会社

海外関連会社

●アジア・パシフィック(国・地域)

●米国

サービス運用機能】(株)クロスフォースドキュメント・アウトソーシング・サービスにおける 文書管理サービス・運用代行、および情報システム開発・運用など富士ゼロックスオフィスサプライ(株)

コピー用紙、応用用紙、オフィス家具等の販売とオフィスのデザイン

富士ゼロックスインターフィールド(株) 事務用機械器具、事務用家具、文房具および、複写機、ファクシミリ、プリンター等に使用される消耗品の販売

Sustainability Report 2007 4�

Page 50: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

第三者意見

ジャパン・フォー・サステナビリティ共同代表大阪大学サステナビリティサイエンス機構特任准教授環境省 第3次環境基本計画 指標活用に関する検討委員会 委員、横浜市地球温暖化対策検討部会委員、国連グローバルコンパクト ジャパンネットワーク運営委員会委員長などを務める著書に「よくわかる環境会計」(中央経済社)環境、CSR、サステナビリティに関する論文、講演、公職多数

多田 博之氏

Profile

富士ゼロックスサステナビリティレポート2007は、54

ページに抑制した冊子と豊富な情報量を包含した

WEBとの二段構えになっており、このフレーム自体は

珍しくはないものの、前者に〈理解容易性〉、〈比較可

能性〉の重きを置き、後者に〈網羅性〉、〈専門性〉の役

割を担わせるという使い分け意図が明確であり、紙媒

体から電子版への導線も含め、読者視点の配慮が随所

に散りばめられた、誠実な報告と思います。

理念からトップコミットメント、ハイライトは流れがあ

り、読み応えがあります。ハイライト1、2は、グローバ

ルなサプライチェーンマネジメントという最も今日的

に重要かつ困難なテーマに対するこの会社の決意と実

行成果を示しています。1は本業を通しての貢献、2は

丸投げでなく責任を引き受けるという強い意志、3は地

域特性、多様性への視座であり、登場する13名の社内

外ステークホルダーの顔がよく見え、富士ゼロックスの

CSRを支えるものを語る小林陽太郎相談役最高顧問ま

で、よどみなくつながり、一貫して企業品質を追求する

姿勢が感じ取れます。経営者のビジョンも含め、富士ゼ

ロックスが積み重ねてきたCSR経営の成熟度を具体的

に示す重厚感ある内容となっています。

Management&Performanceからの後半部は、ス

テークホルダー別の記載となっており、読みやすさは

担保されているものの、単調な記述に終始しており、た

とえば株主・投資家とのかかわりなどは、これら重要ス

テークホルダーに対して、サステナビリティのためにど

ういう関係性を構築したいのかが分かりません。平板

な印象を与えるのは、「評価」の観点が全般にやや希

薄な書き方になっているからではないでしょうか。「何

をしたか」ではなく、「何ができて、何ができなかった

のか、できなかったことをどう評価し、是正アクション

を取ろうとしているのか」、PDCAの基本フレーム、原

点を今一度認識し、そこを基軸とした進捗を表現すべき

と思います。

多くの紙数が割かれた環境は、パフォーマンス改善

への多様な取り組みは高いレベルと思いますが、喫緊

の課題である温暖化を見るならば、これは「将来世代と

のかかわり」だけでなく、世代内の地域間公正の問題で

もあるという課題認識が不可欠と考えます。その認識に

立つならば、温暖化防止は環境効率指標だけでは限界

があり、もはや絶対量ベースでの長期スパンのCO2削

減の覚悟を示すべき時ではないでしょうか。また海外

への大幅な生産シフトの中で、化学物質は海外を含め

た連結の情報開示が求められ、水資源、生物多様性へ

の取り組みへの言及があってもよいと思います。

富士ゼロックスが連綿と守り、育ててきた理念、価値、

ビジョン、企業品質、それらの先に広がる、目指すべき

持続可能な社会像は何でしょうか。2030年、2050年、長

い時間軸上での未来像が考察され、描かれ、世界中の

ステークホルダーと共有され、共感と信頼の輪が広がる

ことを期待します。

遠い水平線のかなたでもその島影が見えたとき、個々

のハイライトは物語へと進化し、THEDOCUMENT

COMPANYのサステナビリティは社会のサステナビリ

ティと重なるのだと思います。

Fuji Xerox50

Page 51: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

水尾 順一氏

Profile東京工業大学特任教授、駿河台大学教授・同経済研究所長、経営学博士日本経営教育学会理事、日本経営倫理学会理事・CSRイニシアチブ委員会代表専門は、企業倫理論、コーポレートブランド論著書に『CSRで経営力を高める』(東洋経済新報社)など

富士ゼロックスのサステナビリティレポート2007(以

下、当レポートと称す)は、冊子版によるCSR活動の

エッセンスと、ウエブ版の総合的なレポートにより体系

的な報告書として説明責任を十分に果たしています。

企業でCSRの実務を推進し、大学でその理論構築をし

ながら、“理論と実践の融合”を社会に促進してきた立

場から、以下に第三者意見を申し述べます。

■高く評価できる点:本業を通じた「守りと攻めの

 CSR」への取り組みを知ることができます。

CSRはトップのコミットメント(関与)と、現場のイン

ボルブメント(巻き込み)による相乗作用が成功の秘訣

です。当レポートにあるトップのメッセージから、企業

品質に対する強い信念を知ることができます。さらに、

その思いが食品のトレーサビリティや情報セキュリティ

など、人に安全・安心を提供するCSRのサポート体制

に反映されていることがよく開示されています。安全・

安心への取り組みは、企業として当然すべきこと、すな

わち“当為性”であり、そのことを支援する活動もドキュ

メントカンパニーとして社会から期待される“守りのCS

R”ということができます。

また、取引先企業と学びあうCSRでは、近年重視さ

れているCSR調達への取り組みや、富士ゼロックスコリ

ア(韓国)の“人を起点とした経営”の報告を通じてグ

ローバル展開を進めるCSRを知ることができます。これ

らは、当社の“卓越性”を追及する“攻めのCSR”を具

現化したものであり、当為性とあわせて、事業活動を通

じたCSRがよく開示されています。

■今後の改善に期待する点:国内の販売第一線を

 巻き込んだサプライチェーンのCSRを期待します。

富士ゼロックスは、“モーレツからビューティフルへ

(1970年)”、“ニュー・ワーク・ウエイ(1988年)”、さ

らにはボランティア休職制度の“ソーシャル・サービス

制度(1990年)”など、常に時代を先取りして社会に新

しいライフスタイルやワークスタイルを提案してきまし

た。今回のサステナビリティレポートの中核となってい

る経営思想である「企業品質」からも、その遺伝子を読

み取ることができますが、それが現場第一線でどのよう

に受け継がれ実践されているか、“三歩、先行くCSR”

の活動事例として、具体的に社会に提示することも求め

られます。

さらに言えば、CSRの活動は社員への働きかけと、あ

わせて社員の取り組みに焦点をあてることが極めて重

要です。なぜなら、社員は重要なステークホルダーであ

ると同時に、一方ではこの活動を推進するキーマンとも

なるからです。

このことを前提にしてサステナビリティレポートを開

示するなら、本社を支える国内の営業拠点となる34の

販売会社の取り組みにスポットを当てることが極めて

重要となります。例えば、富士ゼロックス千葉(株)は

2004年度に日本経営品質賞を受賞し、また、富士ゼロッ

クス東京(株)では、“東京DREAM100人委員会”を

結成して主体的な取り組みを進めるなど、国内の販売

会社で「高い企業品質」を目指して斬新かつ秀逸な活

動が展開されています。本社の取り組みに加えて、現場

を重視し、現場を巻き込んだ活動を報告することで、情

報共有と社員の意識高揚、さらにはステークホルダー・

エンゲージメント(参画)の促進にも結びつきます。

そのためには、国内外における富士ゼロックスの関係

会社も含めて“富士ゼロックスリーグの企業品質サポー

ター”を募り、彼ら・彼女たちを核として、サッカーゲー

ム感覚による全社一体型の“強い、やさしい、おもしろ

い”CSR活動の展開を強く期待します。

Sustainability Report 2007 51

Page 52: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

〒107-0052 東京都港区赤坂九丁目7番3号 TEL:03‐6271-5111(代表)

〔お問い合わせ先〕CSR部 TEL:03‐6271-5160 FAX:03‐6271-5167

http://www.fujixerox.co.jp/発行年月:2007年7月 201-232(07-07)

Fuji Xerox5�

Page 53: Sustainability Report - Fuji Xerox...Environment Sustainability Sustainability Report 2007 5 理念・共有価値 「私たちが目指すもの」は、富士ゼロックスおよび関

Fuji Xerox Sustainability R

eport 2007

編 集 方 針

■参考にしたガイドライン ● GRI*「サステナビリティレポーティングガイドライン2006」 ● 環境省「環境報告ガイドライン(2007年版)」 ● 経済同友会「第15回企業白書」にある企業評価基準ガイドライン対照表(GRI/環境省)はウェブサイトでご覧ください。* Global Reporting Initiativeの略。企業の「持続可能性報告」の世界的ガイドライン立案を目的に1997年に設立された国際的な組織。

■レポートの記述範囲/対象期間富士ゼロックスおよび関連会社の環境負荷データは、環境会計の集計範囲である国内事業所および海外生産拠点を対象としています。データや報告事項の対象範囲は、当社会計年度である2006年4月から2007年3月までを原則としています。ただし、一部の報告については2007年4月以降について触れているものもあります。

■第三者意見について富士ゼロックスの活動についてジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)共同代表 多田博之氏、東京工業大学特任教授 水尾順一氏から第三者意見をいただきました。

■第三者審査について2007年度版では、株式会社あらたサステナビリティ認証機構に依頼し、「地球環境・将来世代とのかかわり」(P32〜39、41)におけるパフォーマンス部分の第三者審査を実施しています。

■次回の報告書発行予定2008年7月

私たちの活動につきまして、皆様からのご意見・ご感想をお聞かせいただければ幸いです。アンケートへのご協力をよろしくお願いいたします。

サステナビリティレポート2007には、冊子版とウェブ版があります。

■ 冊子版(全54ページ)トップコミットメントとハイライトを大きく取り上げています。また、ステークホルダーごとに関連する主要な活動を報告しています。

■ ウェブ版(全100項目 約250ページ *A4出力換算)冊子版よりも多くの活動を網羅的に詳しく紹介しています。レポートマップやガイドライン対照表(GRI/環境省)など各種ナビゲーションツールを備え、より簡単に必要な情報が得られるようになっています。

http://www.fujixerox.co.jp/sr/ 詳しくは53ページをご覧ください。

富士ゼロックスおよび関連会社は、持続可能な社会の構築に貢献するため、

地球環境問題や社会問題を視野に入れて事業活動を行なっています。

また、富士ゼロックスは社会から何を期待されているのかを常に視野に入れ

その期待に応えられるよう挑戦を続けています。

このレポートでは、持続可能な社会のために富士ゼロックスが取り組まなければならない課題と、

それに取り組む富士ゼロックスの姿をハイライトで報告。

各取り組みに協力いただいているパートナーや、

第三者の方から頂いた当社の活動に対するご意見も併せて紹介しています。

それとともに、ステークホルダーが富士ゼロックスに何を求めているのか、

当社が認識する各ステークホルダーからの期待に応えるための活動について、

重要だと考えているものを報告しています。

Fuji Xerox�

Sustainability Report 2007ウェブ版のご案内本冊子では、ステークホルダーごとの取り組みの中で、富士ゼロックスが特に重要だと考えるものを掲載しています。冊子に掲載されていないそのほかの情報や、より詳しい情報はウェブサイトに掲載しています。

▲ http://www.fujixerox.co.jp/sr/

冊子の内容がどこに載っているのかを調べたいときは・・・

トップページ(トップコミットメント・ハイライト)はここからご覧いただけます。http://www.fujixerox.co.jp/sr/

P.2 編集方針http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/edit/

P.4 ビジョン図http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/top_commitment/communication.html

P.28 お客様とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/user/−商品安全−お客様とのコミュニケーション−お客様に提供しているサービス

P.30 社員とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/employee/−雇用・労働環境−人事制度−多様性と機会−いきいきと働ける職場づくり−能力開発−労働安全衛生−人権への取り組み−労使関係−社員へのモラール・サーベイ

P.32 地球環境・将来世代とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/

−環境マネジメントhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/management/

−商品における取り組み:地球温暖化防止への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/warming.html

−商品における取り組み:天然資源保全への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/resources.html

−商品における取り組み:化学物質リスク低減への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/chemical.html

−商品における取り組み:お客様のオフィスの環境負荷低減  への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/product/office.html

−事業活動における取り組み:地球温暖化防止への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/business/warming.html −事業活動における取り組み:天然資源保全への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/business/resources.html

−事業活動における取り組み:化学物質リスク低減への取り組みhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/business/chemical.html

−サイトデータhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/environment/data/

P.42 社会・地域とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/community/−社会の一員としての社会貢献活動−本業を活かした社会貢献活動−社員の社会貢献活動をサポートする仕組み

P.44 取引先とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/customer/−取引先とのかかわり

P.45 株主・投資家とのかかわりhttp://www.fujixerox.co.jp/company/sr/stakeholder/stock/−株主とのコミュニケーション−財務情報

P.50 第三者意見http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/opinions/

P.52 第三者審査報告書http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/assurance/

GRIガイドライン対照表http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/guidelines/

環境省ガイドライン対照表http://www.fujixerox.co.jp/company/sr/guidelines/environment.html

「レポートマップ」をご覧ください。冊子のページ番号を選ぶと、そのページに関連するウェブページへのリンクが一覧できます。

Sustainability Report 2007 53

■本報告書は、VOC(揮発性有機化合物)成分ゼロの100%植物油インキを使用しています。

印刷サービスのグリーン購入に取り組んでいます

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サステナビリティレポート 2007

Sustainability Report

持続可能な社会を目指して─

サステナビリティレポート

2007