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TB3146計算機能付きアナログ / デジタル コンバータ
注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジナルの英語版をご参照願います。
はじめに
Microchip社の新しいMCUファミリが備える計算機能付きアナログ / デジタル コンバータ (ADC2) モジュールはオーバーサンプリング、平均化、ローパスフィルタ等の後処理を可能にする計算機能を内蔵しています。 本書では ADC2 モジュールの機能、設定方法、動作モードについて説明します。
ADC2モ ジュールのブロック図図 1 のブロック図に、アナログ入力信号をデジタル形式に変換するプロセスを示します。 このプロセスは複数のブロック (ADC 正極性チャンネル選択、正極性および負極性参照電圧源、ADC クロック源、変換結果、自動変換トリガ ) により構成されます。複数のアナログ入力チャンネルが 1 つのサンプル / ホールド回路に多重化されています。サンプル / ホールド回路の出力はコンバータに接続され、コンバータはアナログ入力の 2 進数表現を生成します。ADC モジュールが計算機能を使って動作する場合、変換結果は後処理のために計算機能ブロック ( 図 2) へ渡されます。後処理の結果は、誤差計算機能としきい値比較機能を使って評価します。
図 1: ADC のブロック図
Authors: Elvin Hayes Gentiles Kristine Angelica SumagueMicrochip Technology Inc.
AN0
ANa
ANb
ANz
Temp Indicator
DAC Ouput
FVR
ADPCH
ADCSample Circuit
ADGOWrite to bit ADGO Q1Q4
AVSS
Trigger Select
Trigger Sources
. . .
ADACT
Q2
Set bit ADIF
enable
complete
start
sampled Input
ADON
VSS
ADC_clk ADCClockSelect
FOSCDivider
FOSC/n FOSC
FRC
10-bit Result
ADRESH ADRESL
ADFRM
16
10
VREF-
VSS
FVR
VREF+
VDD
VREF- VREF+
ADCS
ADC CLOCK SOURCE
AUTO CONVERSION TRIGGER
....
ADPREF
POSITIVE VOLTAGE
REFERENCE SOURCE
NEGATIVE VOLTAGE
REFERENCE SOURCE
ADNREF
ADC POSITIVECHANNEL
SELECTION
ADC CONVERSION RESULT
FIGURE 2
2016 Microchip Technology Inc. DS90003146A_JP - p. 1
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TB3146
図 2: ADC 計算機能のブロック図
チャンネル信号源の選択
ADC 正極性チャンネル選択レジスタ (ADPCH) は、サンプル / ホールド回路に接続するチャンネルを指定します。チャンネルの信号源には外部アナログ入力だけでなく、周辺モジュールの出力や内部参照電圧も選択できます。選択可能な信号源の一覧は製品データシートに記載されています。
参照電圧源
参照電圧は ADC の入力電圧レンジを設定します。参照電圧は外部電圧源 (VREF+/- ピン )、VDD、FVR、VSSから供給できます。正極性および負極性参照電圧の選択には、ADC 参照電圧選択レジスタ (ADREF) の ADC正極性参照電圧選択ビット (ADPREF) と ADC 負極性参照電圧選択ビット (ADNREF) を使います。
変換クロック源
変換クロックは、メインオシレータ (2 のべき乗値 (2、4、8、...128) で分周 ) または専用内部 RC クロックから供給できます。変換クロック源の制御には、ADC 制御レジスタ 0 (ADCON0) の ADC クロック選択ビット(ADCS)とADCクロック選択レジスタ(ADCLK)のADC変換クロック選択ビット (ADCCS) を使います。ADCSビットをクリアすると、変換クロックは FOSC から供給され、ADCCS の値に従って分周されます ( 式 1 参照 )。 ADCS ビットをセットすると、変換クロックは専用 RC オシレータ FRC から供給されます。
式 1: ADCCS 値の計算方法
1
0
ADRES
Average/Filter ADPREV
ADSTPT
ErrorCalculation
ThresholdLogic
ADUTHR ADLTHR
ADPSIS
ADCALC
ADTMD
SetInterrupt
FlagADERRADFLTR
Note: 1 つの ADC モジュールに対して常に 1 つのチャンネルだけを選択して変換できます。
Note: 一部のデバイスは ADNREF ビットを備えていません。詳細はデバイスのデータシートを参照してください。
CLKconversionFOSC
2 ADCCS 1+ --------------------------------------=
CLKconversionFOSC
2 ADCCS 1+ --------------------------------------=
400000 40000002 ADCCS 1+ --------------------------------------=
2 ADCCS 1+ 4000000400000---------------------=
2 ADCCS 1+ 10=
ADCCS 1+ 5=
ADCCS = 4ADCCS = 0b000100
例 :システムのクロック周波数は 4 MHz です。400 kHz の変換クロックが必要な場合、ADC 変換クロック選択ビットADCCSの値は以下により求まります。
DS90003146A_JP - p. 2 2016 Microchip Technology Inc.
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自動変換トリガ源
自動変換トリガを使うと、モジュールはソフトウェアによる制御を必要とせずにサンプリング / 変換シーケンスを自動的に実行できます。選択したトリガ源で立ち上がりエッジが発生すると、ADGO ビットがセットされます。利用可能な自動変換トリガ源はデバイスのデータシートに記載されています。アプリケーションでは、これらの自動変換トリガ源を使って ADC のサンプリング周期を設定できます。自動変換トリガ源の選択には、ADC自動変換トリガ制御レジスタ (ADACT)を使います。
計算モード
ベーシックモード
ADC2 のベーシックモードはレガシーの ADC 動作を模倣します。このモードでは、アキュムレータ ロジックは動作しません。つまり、A/D アキュムレータ レジスタ(ADACC)とA/D繰り返しカウント レジスタ(ADCNT)の値は動作に全く影響しません。ADC2 のベーシックモードを選択するには、A/D 制御レジスタ 2 (ADCON2)の A/D 動作モード選択ビット (ADMD) を 0 (ADMD =000) に設定します。モジュールの自動トリガ機能により、入力のサンプリングをソフトウェア内で、または他の周辺モジュールおよび外部信号源によって、容易にトリガできます。変換結果をしきい値設定点と比較する事で、PIR1 レジスタのアナログ / デジタル変換割り込みフラグビット (ADTIF) をトリガする事ができます。
図 3 に、サンプル数の異なるベーシックモード ADCの結果を示します。
図 3: ベーシックモード
00.511.522.533.544.5
0100200300400500600700800900
2.73
10.9
3
19.1
3
27.3
2
35.5
2
43.7
2
51.9
1
60.1
1
68.3
1
76.5
0
84.7
0
92.9
0
101.
09
109.
29
117.
49
125.
68
133.
88
142.
08
150.
27
158.
47
166.
67
174.
86
183.
06
191.
26
199.
45
Inpu
t Vol
tage
10-B
it D
igita
l Rep
rese
nta
on
Time (ms)
ADC2 BASIC MODE (73 samples)
ADRES Input Voltage
00.511.522.533.544.5
0100200300400500600700800900
2.73 30.05 57.38 84.70 112.02 139.34 166.67 193.99
Inpu
t Vol
tage
10-B
it D
igita
l Rep
rese
nta
on
Time (ms)
ADC2 BASIC MODE (8 samples)
ADRES Input Voltage
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積算モード
ADC2 の積算モードを選択するには、A/D 制御レジスタ 2 (ADCON2) の A/D 動作モード選択ビット (ADMD)を 1 (ADMD = 001) に設定します。このモードでは、10ビットADRESレジスタ内のアナログ入力信号のデジタル表現を 16 ビット ADACC レジスタへ積算します。サンプルごとに ADCNT レジスタがインクリメントする事で、積算したサンプルの数が示されます。ADCNT 値は 255 個のサンプルで飽和し、0 へロールオーバーしません。ADACC レジスタには 10 ビットのADRES 値が積算されるため、ADACC は 64 個以上の
サンプルを積算した後にオーバーフローする可能性があります。オーバーフローが発生すると、ADC しきい値レジスタ(ADSTAT)のADCアキュムレータ オーバーフロー ビット (ADAOV) がセットされます。ADCON2レジスタの ADC 積算計算右シフト選択ビット(ADCRS) の値を変更する事で、積算値を最大で 6 回まで右シフトできます。これは、積算値を 2 のべき乗値(2ADCRS) によって除算するという事を意味します。シフトした積算値は ADFLTR レジスタに保存されます。表 1 に、積算モードのデータ例を示します。
平均化モード
ADC2 の平均化モードを選択するには、ADCON2 レジスタの ADMD ビットを 2 (ADMD = 010) に設定します。このモードでは、積算モードと同様に、ADACCレジスタでデータサンプルを積算し、ADCNT レジスタがサンプルごとにインクリメントします。しかし、平均化モードは、積算するサンプルの数を A/D 繰り返し設定レジスタ (ADRPT) で指定するという点で、積算モードと異なります。ADCNT と ADRPT の値が一致した時、ADC フィルタレジスタ (ADFLTR) 内の値は入力信号の平均値 ( つまり ADACC 値を ADRPT 値で割り算した値 ) になります。入力電圧の平均値は、ADPRT の値が式 2 の値に一致した時に正しく計算できます。ADCNT の値が ADRPT の値を超えると、ADCNTレジスタとADACCレジスタは自動的にリセットし、再びデータサンプルを積算します。
表 2 に、平均化モードのデータ例を示します。 この例では ADRCS が 2 であるため、ADRPT は 4 です。つまり、平均値を求めるために 4 個のサンプルを積算します。5 個目のサンプルでアキュムレータは自動的にクリアされます ( 図 4 参照 )。このモードは、各データを定義した時間間隔でサンプリングする必要がある場合に使います。このモードは、ADCON2 レジスタの ADMD ビットを 2 に設定する事により選択します。
式 2: 収集するサンプルの数
表 1: 積算モードの例ADCNT ADCRS VINPUT 10 ビット ADRES 16 ビット ADACC 16 ビット ADFLTR
1 3 2.5V 514 514 642 3 2.5V 514 1028 1283 3 2.5V 514 1542 1924 3 2.5V 514 2056 2575 3 2.5V 514 2570 3216 3 2.5V 514 3084 3857 3 2.5V 514 3598 4498 3 2.5V 514 4112 514
ADRPT 2ADCRS=
DS90003146A_JP - p. 4 2016 Microchip Technology Inc.
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図 4: ADC2 平均化モード
バースト平均化モード
バースト平均化モードは、平均化モードと同様に入力信号を平均化しますが、各トリガ後にサンプリングを短い周期で繰り返すという点で異なります (図5参照 )。つまり、1 回の変換中にサンプルが ADRPT で設定された数まで積算され、ADCNT が ADRPT の設定値に一致した時点で入力信号の平均値が得られます。バースト平均化モードを選択するには、ADCON2 レジスタのADMD ビットを 3 (ADMD = 011) に設定します。表 3に、バースト平均化モードの例を示します。
表 2: 平均化モードの例SAMPLE ADCNT ADCRS ADRPT ADRES ADACC ADFLTR
0 1 2 4 518 518 1291 2 2 4 518 1036 2592 3 2 4 516 1552 3883 4 2 4 517 2069 5174 1 2 4 518 518 1295 2 2 4 517 1035 2586 3 2 4 517 1552 3887 4 2 4 518 2070 5178 1 2 4 517 517 1299 2 2 4 516 1033 258
129
259
388
517
129
258
388
517
513
514
515
516
517
518
519
0
100
200
300
400
500
600
2.73 5.46 8.20 10.93 2.73 5.46 8.20 10.93
10-B
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igita
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f the
Inpu
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on o
f AD
FLTR
Time (ms)
ADC2 AVERAGE MODE
ADFLTR ADRES
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図 5: ADC2 バースト平均化モード
ローパスフィルタ モードローパスフィルタは、カットオフ周波数より低い周波数の信号を通過させ、それより高い周波数を減衰させます。ローパスフィルタ モードを選択するには、ADCON2レジスタのADMDビットを 4 (ADMD = 100)に設定します。ADCRS レジスタはローパスフィルタの次数を指定します。表 4 のラジアン値から、式 3 を使ってカットオフ周波数 (@ -3dB ゲイン ) が求まります。
表 3: バースト平均化モードの例SAMPLE TRIGGER ADCNT ADCRS ADRPT ADRES ADACC ADFLTR
1-8 1 8 3 8 207 1655 2069-16 2 8 3 8 207 1653 206
17-24 3 8 3 8 206 1653 20625-32 4 8 3 8 207 1653 20633-40 5 8 3 8 207 1652 20641-48 6 8 3 8 207 1653 20649-56 7 8 3 8 206 1654 20657-64 8 8 3 8 206 1652 20665-72 9 8 3 8 206 1655 20673-80 10 8 3 8 207 1654 206
0.94
0.95
0.96
0.97
0.98
0.99
1
1.01
1.02
200
201
202
203
204
205
206
207
208
1-8 9-16 17-24 25-32 33-40 41-48 49-56 57-64 65-72 73-80
Inpu
t Vol
tage
10-B
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gita
l Rep
rese
nta
on
Number of Samples
ADC2 Burst Average Mode
ADFLTR INPUT VOLTAGE
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式 3: ラジアン値に対するカットオフ周波数の関係
図 6 に、サンプリング周期 T = 1/960 Hz とした場合のローパスフィルタのゲインマージンを示します。
図 6: ローパスフィルタのゲインマージン
表 4: フィルタのカットオフ周波数
ADCRSラジアン値
@ -3 dB ゲインゲイン (dB)@ f=1/2T
T (3)
(sec)Fcutoff(3)
(Hz)FNyquist = 1/2T(3)
(Hz)1 0.72 -9.5 1/960 Hz 110.0079 4802 0.284 -16.9 1/960 Hz 43.392 4803 0.134 -23.5 1/960 Hz 20.47369 4804 0.065 -29.8 1/960 Hz 9.931268 4805 0.032 -36 1/960 Hz 4.88924 4806 0.016 -42 1/960 Hz 2.44462 480
Note 1: デバイスによっては一部の値は使えません。2: T = サンプリング周期 (sec)3: T、Fcutoff、FNyquist は例として示した値です。
fcutoff = radian value @ -3 dB gain2T
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時間領域でのローパスフィルタの効果を示すため、例として周波数が 10 Hz、110 Hz、300 Hz の正弦波( ピークツーピーク = 1 V、許容電圧誤差 = 2%) を使います。最初に、例 1 に示すように、予測される最小および最大 ADFLTR 値を計算する必要があります ( 式 4を使用 )。特定の ADCRS 値における ADFLTR の最小値と最大値の差が、ローパスフィルタを適用した入力電圧の等価デジタル表現です。
式 4: ADFLTR のピークツーピーク値
例 1: 入力電圧の ADLFTR値 の計算
入力電圧の ADFLTR 値の計算後に、ローパスフィルタの出力が評価されます。図 7 に 10 Hz、110 Hz、300 Hzでのローパスフィルタ出力を示します。各出力の振幅に対応するADFLTR値を表5に示します。ローパスフィルタ出力の ADFLTR 値は、式 5 を使って求めます。実測した電圧の最大値と最小値の差が ADFLTRVCONV 値に変換されます。この ADFLTRVCONV の値が、ローパスフィルタ出力のデジタル表現値です。
ADFLTRVpk to– pk–1023 Vtolerance
2ADRCS
---------------------------------------------------------
=
ADFLTRVINpk to– pk– ADFLTRVMAX ADFLTRVMIN– 501 10– 491= = =
ADFLTRVMAX1023 98%
21
--------------------------- 501==
ADFLTRVMIN1023 2%
21
------------------------ 10==
DS90003146A_JP - p. 8 2016 Microchip Technology Inc.
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図 7: サンプリング周波数 = 960 Hz でのローパスフィルタ出力
式 5: ADFLTR への電圧変換
表 5: ローパスフィルタ出力電圧入力周波数 最大値 最小値 差
VACTUAL ADFLTR VACTUAL ADFLTR VDIFF ADFLTRVCONV10 Hz 0.974609 499 0.019531 10 0.955078 489110 Hz 0.835938 428 0.158203 81 0.677734 347300 Hz 0.685547 351 0.308594 158 0.376953 193
ADFLTRV CONV210 ADCRS– VDIFF
VIN------------------------------------------------------------=
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式 6 に、各入力周波数のゲイン (dB) の計算値を示します。
式 6: ゲイン (dB)
式 6 から、ADCRS = 1の場合、サンプリング周波数 =960 Hz でのカットオフ周波数は約 110 Hz である事がわかります。これは図 6 と一致します。 表 6 に、ADC2 モジュールの各動作モードをまとめて示します。
dB Gain 20xADFLTRV CONVADFLTRINPUT------------------------------------------------
log=
10 Hz dB Gain 20x 489491--------- 1.17 dB–=log=
110 Hz dB Gain 20x 347491--------- 3.02 dB–=log=
300 Hz dB Gain 20x 193491--------- 8.11 dB–=log=
表 6: ADC2計 算モードのまとめ
モード ADMDビットクリア条件 トリガ完了後の値 ADTIF 割り込み時の値
ADACC/ADCNT ADACC ADCNT ADAOV ADFLTR ADCNT
ベーシック 0 ADACLR = 1 不変 不変 n/a n/a カウント
積算 1 ADACLR = 1S+ADACCまたは
(S2-S1) + ADACC
ADCNT+1 (255 は超えない )
ADACCオーバー
フロー
ADACC/2ADCRS カウント
平均化 2
ADACLR = 1 または
ADGO セット時にADCNT ≥ ADRPT
または
再トリガ
S+ADACCまたは
(S2-S1) + ADACC
ADCNT+1 (255 は超えない )
ADACCオーバー
フロー
ADACC/2ADCRS カウント
バースト
平均化3
ADACLR = 1 または
ADGO のセットまたは
再トリガ
各反復は平均化モードと
同じ
全サンプルを合計して終
了
各反復は平均化モードと
同じ
ADCNT = ADRPT で終了
ADACCオーバー
フロー
ADACC/2ADCRS ADRPT
ローパス
フィルタ4 ADACLR = 1
S + ADACC - ADACC2ADCRS
または(S2 - S1) + ADACC -
ADACC2ADCRS
ADCNT+1 (255 は超えない )
ADACCオーバー
フロー
フィルタ処理
した値カウント
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しきい値との比較
ADC2 モジュールの後処理結果は、しきい値と比較できます。しきい値は、ADCしきい値レジスタ(ADCON3)の ADC 誤差計算モード選択ビット (ADCALC) で設定します。誤差計算には ADC 結果レジスタ (ADRES)、ADC 前回結果レジスタ (ADPREV)、ADC しきい値設定点 レジスタ (ADSTPT)、ADC フィルタレジスタ(ADFLTR) を使います。これらのレジスタは、選択された誤差計算モードとサンプル変換モードに基づいて計算されます ( 表 7 参照 )。
ダブル サンプリング モードは、ADCON1 レジスタのダブルサンプル イネーブルビット (ADDSEN) をセットすると有効になります。このビットをセットした場合、モジュールがしきい値誤差の計算を開始する前に2 回の変換が必要です。
表 7: 誤差計算モード
ADCALC誤差計算
適用ADDSEN=0シングルサンプル モード
ADDSEN=1CVD ダブルサンプル モード (1)
000 ADRES-ADPREV ADRES-ADPREV 計測ごとの一次微分 (2)CVD では実際の CVD 結果 (2)
001 ADRES-ADSTPT (ADRES-ADPREV)-ADFLTR 実際の結果と設定点の差
010 ADRES-ADFLTR (ADRES-ADPREV)-ADFLTR 実際の結果と平均化 / フィルタ処理値の差
011 予約済み100 ADPREV-ADFLTR ADPREV-ADFLTR フィルタ処理値の
負の一次微分 (3)
101 ADFLTR-ADSTPT ADFLTR-ADSTPT 平均化 / フィルタ処理値と設定点の差
110 予約済み111 予約済み
Note 1: ADPSIS = 0の場合、(ADRES-ADPREV) の値は (S2-S1) と同じです。2: ADPSIS = 0の場合3: ADPSIS = 1の場合
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計算結果は ADERR に保存され、選択した上側または下側しきい値と比較できます。これら 2 つのしきい値は、ADC 上側しきい値 (ADUTH) レジスタと ADC 下側しきい値 (ADLTH)レジスタで設定できます。 表 8に示す比較に基づき、結果が「真」である場合に割り込みがトリガされます。 このしきい値比較は、ADCON3 レジスタのしきい値割り込みモード選択ビット (ADTMD) で選択します。
連続モード再トリガ
連続モード再トリガは、ADCON0 レジスタの A/D 連続動作イネーブルビット (ADCONT) をセット(ADCONT = 1) する事で有効にできます。連続モードを有効にすると、しきい値との比較を実行した後に自動的にサンプリングを再トリガできます。このモードでは、ADCON0 レジスタの A/D 変換ステータスビット (ADGO) は、選択された ADTMD に基づくしきい値条件が成立し、かつ ADCON3 レジスタの割り込み時A/D 停止ビット (ADSOI) もセットされるまで、セットされたままです。
スリープモード
スリープ中も ADC2 モジュールを動作させるには、ADC クロック源に専用 RC オシレータ (FRC) を使う必要があります。FRC を使う場合、ADC は変換開始前に通常より 1 命令サイクル長く待機します。これによりSLEEP命令の実行が可能となります。ADC 割り込みが有効である場合、変換が完了するとデバイスは復帰します。ADC 割り込みが無効である場合、デバイスはスリープのままです (ADC イネーブルビット (ADON) はセットされたまま )。クロック源が FRC に設定されている場合、スリープ中に外部トリガが発生すると ADC モジュールは変換を実行し、変換完了時に ADC 割り込みフラグビット(ADIF) をセットします。FRC 以外のクロック源が選択されている場合、スリープ中に外部トリガが発生するとトリガは記録されますが、デバイスがスリープを終了するまで変換は始まりません。
まとめ
本書では、PIC® マイクロコントローラ上での計算機能付きアナログ/デジタル コンバータ(ADC2)モジュールの動作と、モジュールが内蔵する計算機能および後処理機能について説明しました。
表 8: しきい値割り込みモードADTMD 割り込み条件 コンパレータ出力
ADERRADUTH000 割り込みなし001 誤差 < 下側しきい値 真 —010 誤差 ≥ 下側しきい値 偽 —011 誤差は 2 つのしきい値の内側 偽 AND 偽100 誤差は 2 つのしきい値の外側 真 OR 真101 誤差 ≤ 上側しきい値 — 偽110 誤差 > 上側しきい値 — 真111 全データに割り込む — —
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FilterLab、Hampshire、HI-TECH C、Linear Active Thermistor、MTP、SEEVAL、Embedded Control Solutions Company は、米国における Microchip Technology Incorporated の登録商標です。
Silicon Storage Technologyは、その他の国におけるMicrochipTechnology Incorporated の登録商標です。
Analog-for-the-Digital Age、Application Maestro、BodyCom、chipKIT、chipKIT ロゴ、CodeGuard、dsPICDEM、dsPICDEM.net、dsPICworks、dsSPEAK、ECAN、ECONOMONITOR、FanSense、HI-TIDE、In-Circuit Serial Programming、ICSP、Mindi、MiWi、MPASM、MPF、MPLAB 認証ロゴ、MPLIB、MPLINK、mTouch、Omniscient Code Generation、PICC、PICC-18、PICDEM、PICDEM.net、PICkit、PICtail、REAL ICE、rfLAB、Select Mode、SQI、Serial Quad I/O、Total Endurance、TSHARC、UniWinDriver、WiperLock、ZENA、Z-Scale は、米国およびその他の国における Microchip Technology Incorporatedの登録商標です。
SQTP は、米国における Microchip Technology Incorporatedのサービスマークです。
GestICとULPPは、その他の国におけるMicrochip TechnologyGermany II GmbH & Co. & KG (Microchip TechnologyIncorporated の子会社 ) の登録商標です。
その他、本書に記載されている商標は各社に帰属します。
©2013, Microchip Technology Incorporated, Printed in theU.S.A., All Rights Reserved.
ISBN: 978-1-5224-0610-5
Microchip 社製デバイスのコード保護機能に関して次の点にご注意ください。• Microchip 社製品は、該当する Microchip 社データシートに記載の仕様を満たしています。
• Microchip 社では、通常の条件ならびに仕様に従って使用した場合、Microchip 社製品のセキュリティ レベルは、現在市場に流通している同種製品の中でも最も高度であると考えています。
• しかし、コード保護機能を解除するための不正かつ違法な方法が存在する事もまた事実です。弊社の理解ではこうした手法は、Microchip 社データシートにある動作仕様書以外の方法で Microchip 社製品を使用する事になります。このような行為は知的所有権の侵害に該当する可能性が非常に高いと言えます。
• Microchip 社は、コードの保全性に懸念を抱くお客様と連携し、対応策に取り組んでいきます。
• Microchip 社を含む全ての半導体メーカーで、自社のコードのセキュリティを完全に保証できる企業はありません。コード保護機能とは、Microchip 社が製品を「解読不能」として保証するものではありません。
コード保護機能は常に進歩しています。Microchip 社では、常に製品のコード保護機能の改善に取り組んでいます。Microchip 社のコード保護機能の侵害は、デジタル ミレニアム著作権法に違反します。そのような行為によってソフトウェアまたはその他の著
Microchip 社では、Chandler および Tempe ( アリゾナ州 )、Gresham( オレゴン州 ) の本部、設計部およびウェハー製造工場そしてカリフォルニア州とインドのデザインセンターが ISO/TS-16949:2009 認証を取得しています。Microchip 社の品質システム プロセスおよび手順は、PIC® MCU および dsPIC® DSC、KEELOQ® コード ホッピング デバイス、シリアル EEPROM、マイクロペリフェラル、不揮発性メモリ、アナログ製品に採用されています。さらに、開発システムの設計と製造に関する Microchip 社の品質システムは ISO 9001:2000 認証を取得しています。
QUALITY MANAGEMENT SYSTEM CERTIFIED BY DNV
== ISO/TS 16949 ==
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DS90003146A_JP - p. 14 2016 Microchip Technology Inc.
北米本社2355 West Chandler Blvd.Chandler, AZ 85224-6199Tel:480-792-7200 Fax:480-792-7277技術サポート : http://www.microchip.com/supportURL: www.microchip.com
アトランタDuluth, GA Tel:678-957-9614 Fax:678-957-1455
オースティン (TX)Tel:512-257-3370
ボストンWestborough, MA Tel:774-760-0087 Fax:774-760-0088
シカゴItasca, IL Tel:630-285-0071 Fax:630-285-0075
クリーブランドIndependence, OH Tel:216-447-0464 Fax:216-447-0643ダラスAddison, TX Tel:972-818-7423 Fax:972-818-2924
デトロイトNovi, MI Tel:248-848-4000
ヒューストン (TX) Tel:281-894-5983
インディアナポリスNoblesville, IN Tel:317-773-8323Fax:317-773-5453
ロサンゼルスMission Viejo, CA Tel:949-462-9523 Fax:949-462-9608
ニューヨーク (NY) Tel:631-435-6000
サンノゼ (CA) Tel:408-735-9110
カナダ - トロントTel:905-673-0699 Fax:905-673-6509
アジア / 太平洋アジア太平洋支社Suites 3707-14, 37th FloorTower 6, The GatewayHarbour City, KowloonHong KongTel:852-2943-5100Fax:852-2401-3431オーストラリア - シドニーTel:61-2-9868-6733Fax:61-2-9868-6755
中国 - 北京Tel:86-10-8569-7000 Fax:86-10-8528-2104
中国 - 成都Tel:86-28-8665-5511Fax:86-28-8665-7889
中国 - 重慶Tel:86-23-8980-9588Fax:86-23-8980-9500
中国 - 東莞Tel:86-769-8702-9880
中国 - 杭州Tel:86-571-8792-8115 Fax:86-571-8792-8116
中国 - 香港 SARTel:852-2943-5100 Fax:852-2401-3431
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アジア / 太平洋中国 - 厦門Tel:86-592-2388138 Fax:86-592-2388130
中国 - 珠海Tel:86-756-3210040 Fax:86-756-3210049
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インド - ニューデリーTel:91-11-4160-8631Fax:91-11-4160-8632
インド - プネTel:91-20-3019-1500
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マレーシア - ペナンTel:60-4-227-8870Fax:60-4-227-4068
フィリピン - マニラTel:63-2-634-9065Fax:63-2-634-9069
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台湾 - 新竹Tel:886-3-5778-366Fax:886-3-5770-955
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ヨーロッパ
オーストリア - ヴェルスTel:43-7242-2244-39Fax:43-7242-2244-393デンマーク - コペンハーゲンTel:45-4450-2828 Fax:45-4485-2829
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ドイツ - ミュンヘンTel:49-89-627-144-0 Fax:49-89-627-144-44
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イタリア - ベニスTel:39-049-7625286
オランダ - ドリューネンTel:31-416-690399 Fax:31-416-690340
ポーランド - ワルシャワTel:48-22-3325737
スペイン - マドリッドTel:34-91-708-08-90Fax:34-91-708-08-91
スウェーデン - ストックホルムTel:46-8-5090-4654
イギリス - ウォーキンガムTel:44-118-921-5800Fax:44-118-921-5820
各国の営業所とサービス
01/27/15
http://support.microchip.comhttp://www.microchip.com
TB3146はじめにADC2モジュールのブロック図図1: ADCのブロック図図2: ADC計算機能のブロック図チャンネル信号源の選択参照電圧源変換クロック源式1: ADCCS値の計算方法
自動変換トリガ源
計算モードベーシックモード図3: ベーシックモード
積算モード表1: 積算モードの例
平均化モード式2: 収集するサンプルの数表2: 平均化モードの例図4: ADC2平均化モード
バースト平均化モード表3: バースト平均化モードの例図5: ADC2バースト平均化モード
ローパスフィルタ モード表4: フィルタのカットオフ周波数式3: ラジアン値に対するカットオフ周波数の関係図6: ローパスフィルタのゲインマージン式4: ADFLTRのピークツーピーク値例1: 入力電圧のADLFTR値の計算図7: サンプリング周波数 = 960 Hzでのローパスフィルタ出力表5: ローパスフィルタ出力電圧式5: ADFLTRへの電圧変換式6: ゲイン(dB)表6: ADC2計算モードのまとめ
しきい値との比較表7: 誤差計算モード表8: しきい値割り込みモード
連続モード再トリガスリープモードまとめ商標各国の営業所とサービス