technical report no.hrm-1006-1 nsst hirohata report 面内方 …

基板フィルムなどは 厚み方向と面内方向で熱的性質が異なる異方性のものが数多く存在し 基板フィルムなどは厚み方向と面内方向で熱的性質が異なる異方性のものが数多く存在し ます。異方性試料の場合、通常の厚み方向の熱拡散率だけではなく、当社では、ラ とI n - P l a n e を用いた様々な試料の面内方向の熱拡散率測定が可能です。 ラメラ法 In-Plane法 対象試料 熱拡散率の小さい樹脂や金属、膜厚が1mm以上の金属 厚み方向の熱拡散率10mm 2 /s以上の薄膜 試料形状 専用ホルダーにセットした状態で10mm角程度必要。 加工による損失や、試料厚みにより必要試料量は変わります ので、お気軽にご相談下さい。 φ27~30mm×膜厚1mm以下 測定装置 NETZSCH製 LFA447Nanoflash NETZSCH製 LFA457Microflash 測定温度範囲 25~300℃(※) 室温~300℃(※) ※温度を上げても揮発分がなく試料が変形しない温度まで 測定雰囲気 大気 アルゴン(Ar) 注意点 測定光が漏れない様に試料同士を押さえつける必要が あるため 壊れ易い試料は要相談 異方性試料の場合、解析に厚み方向の熱 拡散率値が必要 I n - P l a n e IR検出器 IR検出器 照射位置と検出位置を変える事で 面内方向の熱拡散率を評価 試料加工 試料加工により、測定方向を変える事で 面内方向の熱拡散率を評価 あるため壊れ易い試料は要相談 拡散率値が必要 IR検出器 面内方向へ熱が伝わる 厚み方向 面内方向 面内方向 9 0 ° 光/レーザーパルス 光/レーザーパルス No.HRM-1006-1 Technical Report お問合せはこちら 技術のお問合せ先:瀬戸内事業所 材料営業部 TEL:079-236-0041 FAX:079-236-1501

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Page 1: Technical Report No.HRM-1006-1 NSST HIROHATA report 面内方 …

1.概要1.概要

基板やフィルムなどは 厚み方向と面内方向で熱的性質が異なる異方性のものが数多く存在し

面内方向の熱拡散率測定面内方向の熱拡散率測定

No.M-1006NSST HIROHATA report

基板やフィルムなどは、厚み方向と面内方向で熱的性質が異なる異方性のものが数多く存在し

ます。異方性試料の場合、通常の厚み方向の熱拡散率だけではなく、面内方向の熱拡散率及び

熱伝導率の評価も重要となります。

当社では、ラメラ法とIn-Plane法を用いた様々な試料の面内方向の熱拡散率測定が可能です。

2.試料および測定条件2.試料および測定条件

グラファイトの結晶構造図グラファイトの結晶構造図

2.試料および測定条件2.試料および測定条件

ラメラ法 In-Plane法

対象試料 熱拡散率の小さい樹脂や金属、膜厚が1mm以上の金属 厚み方向の熱拡散率10mm2/s以上の薄膜

試料形状 専用ホルダーにセットした状態で10mm角程度必要。加工による損失や、試料厚みにより必要試料量は変わりますので、お気軽にご相談下さい。

φ27~30mm×膜厚1mm以下

測定装置 NETZSCH製 LFA447Nanoflash NETZSCH製 LFA457Microflash

測定温度範囲 25~300℃(※) 室温~300℃(※)

※温度を上げても揮発分がなく試料が変形しない温度まで

測定雰囲気 大気 アルゴン(Ar)

注意点 測定光が漏れない様に試料同士を押さえつける必要があるため 壊れ易い試料は要相談

異方性試料の場合、解析に厚み方向の熱拡散率値が必要

In-Plane法イメージ図

IR検出器

IR検出器

照射位置と検出位置を変える事で面内方向の熱拡散率を評価

面内方

試料加工

ラメラ法イメージ図

試料加工により、測定方向を変える事で面内方向の熱拡散率を評価

あるため、壊れ易い試料は要相談 拡散率値が必要

IR検出器

底部

蓋部

面内方向へ熱が伝わる

面内方向厚み方向

方向

面内方向

面内方向 90°回転

材料営業部 TEL079-236-0041 FAX079-236-1501

光/レーザーパルス

光/レーザーパルス

ホルダーにセットし測定

No.HRM-1006-1Technical Report

お問合せはこちら

技術のお問合せ先:瀬戸内事業所 材料営業部 TEL:079-236-0041 FAX:079-236-1501

Page 2: Technical Report No.HRM-1006-1 NSST HIROHATA report 面内方 …

3.分析事例(ラメラ法)3.分析事例(ラメラ法)

3種類の樹脂(板状のPEとPC、フィルム状のPET)を加工し、厚み方向(Z方向)Y方向

No.M-1006NSST HIROHATA report

~結晶性樹脂の測定~

面内方向の熱拡散率測定面内方向の熱拡散率測定

PE :厚み方向と面内方向で異なる熱拡散率が得られました。面内方向内では大きな違いはありませんでした。

PC :全方向で同程度の熱拡散率が得られました。

3種類の樹脂(板状のPEとPC、フィルム状のPET)を加工し、厚み方向(Z方向)および面内方向(X方向、Y方向)の3方向の熱拡散率測定を行いました。(表1)

PE:ポリエチレン PC:ポリカーボネート PET:ポリエチレンテレフタレート Z方向

X方向

種類 測定方向板厚

(mm)

熱拡散率

(mm2/s)

厚み 1.020 0 .196PE

表1 樹脂の熱拡散率測定結果(mm2/s)

全方向で同程度の熱拡散率が得られました。

PET:3方向全て異なる熱拡散率が得られました。面内(X) 1.735 0 .216

面内(Y) 1.684 0 .212

厚み 1.077 0 .107

面内(X) 1.705 0 .103

面内(Y) 1.844 0 .103

厚み 0.100 0 .088

面内(X) 2 242 0 344

PE(板状)

PC(板状)

PET

PEおよびPETは結晶性の樹脂で、特にPETは延伸加工により結晶の方向性が大きく異なる為、面内方向でも熱拡散率に違いが出たと考えられます。

PCは微結晶性ではあるが実質非晶質の為、結晶に方向性が無く 熱拡散率に差が生じなか たと考えられます

表2 等方性グラファイトの熱拡散率測定結果①等方性グラファイトの熱拡散率測定

通常の方法(厚み方向測定)での熱拡散率を標準

~①等方性試料 ②金属薄膜の測定~

面内(X) 2.242 0 .344

面内(Y) 2.145 0 .276

(シート状)

4.分析事例(4.分析事例(InIn--PlanePlane法)法)

性が無く、熱拡散率に差が生じなかったと考えられます。

等方性グラファイト

通常測定法 68.846 mm2/s通常の方法(厚み方向測定)での熱拡散率を標準値として、In-Plane法で面内方向の熱拡散率測定した結果との誤差を確認しました。(表2)

この試料では測定誤差は4.7%でした。

4 0

6.0

8.0

V

Calculation range

厚み:厚み:0.016mm0.016mm

熱拡散率熱拡散率 22//

②金属薄膜(アルミホイル)の熱拡散率測定

市販されているアルミホイルを28mmφに切り出し、照射部と検出部にカーボンスプレーしたものをIn-Plane法

通常測定法 68.846 mm /sIn-Plane測定法 72.109 mm2/s

誤差 4.7%

-100 -50 0 50 100 150 200 250-4.0

-2.0

0.0

2.0

4.0

Sig

nal

/ 熱拡散率:熱拡散率:73.35mm73.35mm22/s/sで面内方向の熱拡散率測定しました。(カーボンスプレ

ーは照射光を熱に変換するために行います)面内方向の熱拡散率は、73.35mm2/sでした。(図1)

アルミホイル照射面 アルミホイル検出面

時間 / ms

材料営業部 TEL079-236-0041 FAX079-236-1501

ラメラ法とIn-Plane法を使い分ける事で、熱拡散率の低い樹脂から高い金属薄膜まで様々な試料の面内方向の熱拡散率評価が行えます!!

図1.金属薄膜(アルミホイル)の面内方向熱拡散率測定結果

No.HRM-1006-2Technical Report

お問合せはこちら

技術のお問合せ先:瀬戸内事業所 材料営業部 TEL:079-236-0041 FAX:079-236-1501