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The Factory of the Future インダストリー 4.0 将来への課題

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The Factory of the Futureインダストリー 4.0将来への課題

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はじめに

経営環境変化がいっそう激しくなる中、安定した企業経営のためには何が必要でしょう

か? 顧客ニーズはますます多様化し、ライフサイクルは短期化し、顧客が求めるリード

タイムはいっそうシビアになっていきます。柔軟性、迅速性、生産性はこれまで通り

重要なテーマですが、それだけでは十分ではありません。

ここで鍵となるのがインダストリー 4.0です。サプライチェーンと生産プロセスをデジタル

によって統合することを意味している言葉であり、2011年にドイツが策定したハイテク

戦略の中で初めて使用した言葉です。本資料の「フューチャーファクトリー」は、基幹

業務システムと生産システムが完全に統合された状態を指します。さらに、それらを取り

巻く、顧客、販売チャネル、サプライヤー、OEM、研究開発部門なども統合することで、

デジタル空間の中で生産プロセス全体をシミュレーションすることが可能になります。

製品の設計段階であっても、生産能力に関するあらゆる状況が確認できたり、生産プロ

セスのリアルタイムでの進捗管理や品質管理も可能となります。さらには、生産拠点の

「集中化」から「現地化」へのシフトも促進します。

生産プロセスにおける製造装置や機器はPLCと呼ばれるコンピュータによって制御され

ています。「フューチャーファクトリー」では、これらのシステムがクラウド上で有機的に

接続され統合管理されることでサイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical Systems,

CPS)が構成されます。CPSは、物理的な世界との独立した動作も連係した動作も可能

です。生産に関する要件をパラメータとして入力すれば、CPS上で自律的に生産プロセス

を管理することが可能となるのです。

「フューチャーファクトリー」の波は確実に広がります。多くの製造業が、基幹情報システム

と生産プロセスの分断を克服し、製品設計と生産や物流のプロセス連携をいかに効率的

に行うかといった課題に直面しているからです。

© 2017 KPMG Consulting Co., Ltd., a company established under the Japan Company Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.

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The Factory of the Future | Part 1

* KPMG AG Wirtschaftsprüfungsgesellschaftは、KPMG Rechtsanwaltsgesellschaft mbH(KPMG Law)の関連企業です。Rechtsdienstleistungsgesetz(ドイツ法務サービス法令)の趣旨に含まれる法務コンサルタント・サービスは、独立した契約上の関係の一部として、KPMG Rechtsanwaltsgesellschaft mbHにより行われます。

Harald v. Heynitzパートナードイツ製造セクター責任者

「The Factory of the Future」は2つのパートから構成されています。

パート1ではインダストリー 4.0の動向や必要性、企業にもたらすインパクトを解説してい

ます。また、これから取り組む企業には、KPMGの考えるリファレンス・アーキテクチャを

紹介しています。同モデルを利用することで、自社のサプライチェーンをデジタル化し、

より付加価値の高いネットワークに変貌させることが可能です。

パート2では、インダストリー 4.0における製造業の役割やビジネスモデル、導入や運用

のためにKPMGがサポートできることについて説明します。インダストリー 4.0を推進する

上でのポイント、経営層の役割についても触れます。

KPMGには、ICT、会計、税務、物流の専門家がおり、インダストリー 4.0に取り組む

企業を、一般的課題から企業固有の課題に至るまで全面的にサポートします。ぜひKPMG

の専門性をご活用ください。

Michael Bremickerパートナーコンサルティング

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The Factory of the Futureインダストリー 4.0将来への課題

インダストリー 4.0 将来への課題

製造業の新しいドライバー .........................................................................................8

 1 求められる能力 .............................................................................................. 12

 2 変革をもたらしている要因と企業の対応 .......................................................... 16

問題解決のカギとなる、KPMGのカスタマー・トゥ・カスタマープロセス .................. 19

 1 KPMGのカスタマー・トゥ・カスタマープロセスの概要 .................................... 19

 2 プロセスの組織化 ..........................................................................................22

まとめ - インダストリー 4.0を成功に導くために .......................................................28

パート1

目次

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The Factory of the Future | Part 1

The Factory of the Futureインダストリー 4.0将来に向けたソリューション

インダストリー 4.0 将来に向けたソリューション

KPMGのコンサルティングアプローチ-統合的なサポートの提供 ............................31

 1 デジタル化の実現 ..........................................................................................33

 2 組織と業務オペレーションの再設計 ...............................................................36

 3 人材:有能な従業員の確保 ............................................................................39

 4 設備、調達拠点のインダストリー 4.0への適合 ...............................................43

 5 バリューチェーンの再構成 ..............................................................................47

 6 ビジネス・モデルの調整と新しい収益モデルの開発 ........................................50

 7 インダストリー 4.0における税対応 .................................................................53

 8 サイバー・セキュリティ...................................................................................57

 9 複雑な法的要件への準拠 ...............................................................................59

最高責任者レベルの課題 ........................................................................................64

 1 CEOの課題 ...................................................................................................64

 2 COOの課題 ...................................................................................................64

 3 CFOの課題 ...................................................................................................64

 4 CIOの課題 .....................................................................................................65

 5 CHROの課題 ................................................................................................65

 6 CLOの課題 ....................................................................................................65

パート2

e (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.

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The Factory of the Future | Part 1

パート1インダストリー 4.0将来への課題インダストリー 4.0は流行ではありません。産業革命そのものです。本章では、インダストリー 4.0とは何か、

なぜインダストリー 4.0に移行する必要があるのか? インダストリー3.0から4.0への移行にはどのような能力が

必要なのか解説します。

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サイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical

Systems, CPS)とは?

サイバーフィジカルシステム(CPS)とは、物理的な

機器や装置がセンサー等を通じてクラウドにリアル

タイムに接続され、物理的な生産システムをIT上に

仮想的に再現させるテクノロジーです。

仮想システムには物理的システムの特性が反映されて

おり、かつ物理システムから独立して動作させることが

可能です。さらに、両システムがシームレスに連携する

ことで、生産プロセスは新たな段階に入ることになり

ます。なお、生産領域でこの用語が用いられる場合、

サイバーフィジカルプロダクションシステム(Cyber-

Physical Production Systems, CPPS)と呼ばれます。

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製造業の新しいドライバー

技術進化と技術集約がカギとなるコンセプト

技術進化とは、先進的テクノロジーから刺激を受けてイノベー

ションが起きることです。蒸気機関、滑車、プラスチックなどが

その代表であり、これまでの産業革命をもたらしました。

技術集約とは、従来は別々のものであった産業やテクノロジー、

メディア、ソリューションが結合することで、新たな効率性や付加

価値が生まれることです。たとえば、スマートフォンは、通信、

サービス、インフラストラクチャなどのテクノロジーの結合によって

生まれました。どちらも産業革命の牽引役となります。

物理的な世界と仮想的な世界との結合

「第3次産業革命」を引き起こした要因のひとつは情報技術でした

が、第4次産業革命は、情報技術と生産プロセスの統合という

「生産のデジタル化」が牽引します。生産プロセス全体において

物理と仮想の世界が結合し、その基礎が形作られます。これから

の製造業は、自社の生産・物流プロセスをCSPで統合することで、

自律的でリアルタイムなプロセスを実現することが可能になるの

です。

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サイバーフィジカルシステム(CPS)

機械システム 電機機械システム 自動化システム

機械化 電機化 デジタル化

サイバーフィジカルシステム(CPS)

情報技術および情報処理、数値制御コンピュータ数値制御

物理プロセスと相互連携された組込み情報機器

情報技術および情報処理

電子機器 電子機器 電子機器電子機器

機械装置 機械装置機械装置機械装置

複雑性

変化をもたらすテクノロジーの進歩

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The Factory of the Future | Part 1

インダストリー 4.0を推進するテクノロジーは、インターネットや

クラウド・コンピューティングです。製造装置がセンサー経由で

インターネットやクラウドに接続され、物理的操作が人間によって

行われて実際の製品が製造されます。この生産プロセスで生成

される、製品、顧客、注文、所要量計画、生産、物流、品質

情報といったすべてのデータは、サイバーフィジカルシステム(CPS)

内に伝達され管理されます。

集中管理から知的な分散システムへ

一般的に、統合システムといっても企業の一部の業務しか管理

できていません。しかし、サイバーフィジカルプロダクションシス

テム(Cyber-Physical Production Systems, CPPS)は製造装置

や倉庫システム、生産計画から構成され、自律的なデータの

やりとり、プロセス管理、安全性やエネルギー効率等の相互監視

までも管理します。これは、従来の硬直した集中生産管理シス

テムから、知的な分散システムへの移行を意味します。

出所:KPMG 2016 図1:産業ライフサイクル

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業界、企業、テクノロジーの垣根を外す

業界や企業、さらにはテクノロジー間にあった垣根も変化しつつ

あります。部門間をまたがる協業や、これまで競合関係にあった

企業が協力するケースも増えています。

将来の生産プロセスの特徴は柔軟性が飛躍的に向上する点に

あります。仕様が全く異なる製品が同じ生産プロセスから作り

出されるのです。また、高品質なサービスとの統合も重要なポイ

ントであり、モノからコトへのシフトも加速すると考えられます。

リアルタイムデータを用いて、より良い意思決定を

インダストリー 4.0のビジョンは、デジタル化、自動化、ネット

ワーク化です。ネットワーク化の対象は、製造業が有するすべての

機能、領域、セグメントであり、そこから生成されるすべての

データをリアルタイムで利用できるようになります。最高の透明性

と、意思決定が実現されます。その実現のためには、データの

連携や処理、ITインフラ投資、自社と他社のバリューチェーンの

連携を、効率的で標準化されたインターフェイスで行うことが

ポイントとなります。

先頭を走っている自動車業界

ネットワーク化がどれだけ迅速に進むかは、技術イノベーション

のサイクル(例:ムーアの法則、ギルダーの法則)、テクノロジーの

受容度、投資に対する意欲に左右されます。実際、インダストリー

4.0の実装も業界によって速度の違いが見られます。この分野で

先頭を走っているのは自動車業界です。投資サイクルが短く、工場

への投資が大きく、生産単位が明らかに大きい業界です。自動車

メーカーがインダストリー 4.0に移行すれば、サプライヤーやサー

ビス・プロバイダは、自動車メーカーのシステムと統合が可能な

システムに移行しなければなりません。すべての部品、モジュール、

コンポーネントにおいて自動車メーカーに追随することは、サプ

ライヤーにとって生き残りの条件だからです。インダストリー 4.0

への移行が切実となっている自動車業界において、同業界に

依存している企業においてもインダストリー 4.0への対応が必須

となっています。このように、最終的な製品が、人、機械、関連

する環境を包括しているシステムを、KPMGは「コネクテッド・

エコシステム」と呼びます。

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スマート・イノベーション– 研究開発– オープン・イノベーション/クラウド・ソーシング– バーチャル・リアリティ/付加製造/ラピッドプロトタイピング

スマート・ディストリビューション/スマート・モビリティ– ディストリビューション・ロジスティクス、プロセッシング、パッケージング、オーダーピッキング – プロキュアメント・ロジスティクス – セールス・ロジスティクス – ディスポーザル・ロジスティクス

コネクテッド・サプライチェーン– 電子署名によりサポートされるサプライチェーンの仮想マッピング(デジタル・プロダクト・メモリ)

顧客「フューチャーファクトリー」

スマート・ビルディング(ビルディング・オートメーション)– スマート・エネルギー・インフラストラクチャ/スマート・メータリング

– ビルディング・セーフティ/ビルディング・モニタリング

– 不動産:コスト・センターからプロフィット・センターへ

スマート・ガバメント/eガバメント– 税金/税関/関税/手数料 – 条件/許諾/輸出ライセンス – 排出管理/基準値 – 法律/条例

顧客

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The Factory of the Future | Part 1

出所:KPMG 2016 図2:「コネクテッド・エコシステム」における「フューチャーファクトリー」

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理論と技術– 材料および生産のスキル– プロセスのスキル(「顧客から顧客まで」)

– 電気工学– ソフトウェア工学– 情報および通信テクノロジー

ハードウェア– 製造装置およびプラント・エンジニアリング

– オートメーション・テクノロジー– 電子機械工学– マイクロシステム・テクノロジー– 電子工学– ITインフラストラクチャ– ITセキュリティ

ソフトウェア– システム統合– カスタマイズ(プロセス・マッピング)– システムの保守、サービス、今後の開発– トレーニングおよび専門家の継続的な育成– ドキュメンテ―ション

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1 求められる能力

幅広い分野の能力が必要

インダストリー 4.0を実現するためには、これまで接続されて

いなかった異なるテクノロジーや、アプリケーションの接続が必要

です。必要とされるテクノロジーやサービス、求められるスキル

や技術も広範になります。

インダストリー 4.0の実態は処理の統合です。最初に情報テクノ

ロジー(Information Technology, IT)とテレコミュニケーション・

テクノロジーが結合され、ICTとなります。その後、ICTがセンサー、

アクチュエータ、データ処理のネットワークと結合されIoTとなり

ます。業界固有のハードウェアやテクノロジーが、ITサービスと

統合されることにより、有機的に統合された生産プロセスへと

変化し、顧客志向のプロセスを生成します。

出所:KPMG 2016 図3:インダストリー 4.0のスキルプロファイル

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The Factory of the Future | Part 1

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最初に必要なスキル

インダストリー 4.0に必要なスキルは生産技術と物流管理です。

生産技術においては、ハードウェアやテクノロジーのスキル、周辺

の物理システムに関するアプリケーション知識なども必要です。

また、構造分析、プロセス分析、データ分析、評価、設計、

複雑なシステム管理を行うためにソフトウェアやアルゴリズムの

スキルも必要です。ソフトウェアはデータや情報の管理とともに、

生産プロセスのリアルタイムでの状態把握にも使用されます。

これら、インダストリー 4.0に必要な技術要素の多くは既に利用

可能です。たとえば、インターネットに接続可能なセンサーや

アクチュエータ、クラウド・コンピューティング、ヒューマン・

マシン・インターフェイスとしてのタブレット、統合ソフトウェア・

ソリューション、業界向けネットワークインフラなどです。ただし、

これらの重大な課題は、世界標準がまだ存在していない場合が

多いことです。

リファレンス・アーキテクチャの必要性

インダストリー 4.0は、多くの要件をシステムインテグレータや

ユーザーに求めます。しかし、すべての人がすべての能力を身に

つけることは不可能であり必要はありません。必要なスキルや

能力を持つ他者とパートナーシップを結ぶことが重要となります。

しかし、企業はどのように自社の組織やプロセスをインダストリー

4.0にマップすればよいのでしょうか? どうすれば他の企業に

対する競争力を持つことができるでしょうか? システム間の

整合性、ひいてはグローバル対応のためには、国際的な標準や

規格に基づいたテクノロジー、システム、プロセスも必要となり

ます。そうしないと市場に受け入れられずいつかは排除されます。

したがって、お手本となるようなリファレンス・アーキテクチャが

必要となります。

インダストリー 4.0ワーキンググループ

インダストリー 4.0ワーキンググループは、ドイツ

連邦教育科学省(German Federal Ministry of

Education and Research, BMBF)の科学産業調査

組合(Science and Industry Research Union)に

より、第4次産業革命に踏み出すための要件調査を

目的として設立されました。ワーキンググループは、

市場開発、製品計画、開発、生産、物流管理プロ

セス(KPMGのカスタマー・トゥ・カスタマープロ

セス)の統合、および物理的世界と仮想的世界の

統合を推進しています。また、標準化や構造化、共通

ソフトウェアやリファレンス・アーキテクチャの開発、

技術交流、ビジネスモデルと組織モデルの融合など

も推進しています。最終的なレポートは2013年の

Hannover Messeにおいてメルケル首相へ提出されま

した。インダストリー 4.0プラットフォームはBitkom、

VDMA、ZVEIがサポートし、ワーキンググループの

業務を継続しています。なお、アメリカ主導の産業用

インターネット・コンソーシアム(Industrial Internet

Consortium, IIC)でも同様の取組みが行われてい

ます。

The Factory of the Future | Part 1

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パイロット・プラント 標準化戦略/認定戦略

顧客 顧客

理想的で最適なリファレンス・アーキテクチャ 評価

14

リファレンス・アーキテクチャから標準化されたシステムへ

リファレンス・アーキテクチャには様々な要件が求められます。

生産設備と生産プロセスを統合できるよう、オブジェクトとサー

ビス、ヒトと機器、製造業とユーザーに加え、現実と仮想の世界

の境界を克服する必要があります。さらに、研究開発に用いる

ため、いつでも元通りの標準プロセス、ルール、コンセプトに

ロールバックできることも必要となります。そして何より重要なのは、

アーキテクチャの基本構造、インターフェイス、データフォーマット

の整備です。これらが整備されて初めて、関係者にとって利用

可能な状態になります。

インダストリー 4.0ワーキンググループ(13ページを参照)により

開発されたリファレンス・アーキテクチャは、パイロット・プラント

を構築する際に利用できます。利用例を記したドキュメントや実装

の際に必要な能力や要件が明記されています。これには、標準化

と標準化戦略、および品質管理や認定のための重要な点が含まれ

ます。

出所:KPMG 2016 図4:カスタマー・トゥ・カスタマープロセスのデータ証跡

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The Factory of the Future | Part 1

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集積による地理的優位性

ドイツには、機械、電気、電子、自動車製造など、各領域の

世界的なリーダー企業が存在しており、高い産業集積を構成して

います。お互いの技術力、科学力、調査力、応用力などを有機的

につなぎあわせ、ドイツの国際的地位の向上に貢献するような

成果を出しています。ドイツの製造業はソリューション指向が強く、

汎用的アプリケーションから専用システムまで、あらゆる課題に

対応するソリューションが短期間に開発され供給されることで

知られています。将来的には、人材育成、研究開発、サービス

などの分野を巻き込んで、これら産業集積はさらに拡張を遂げる

と考えられます。

関連する市場関係者のプロファイリング

以下の4つのグループが、インダストリー 4.0への取組みを開始

しています。

1. グローバルのテクノロジー企業:Siemens、General Electric、

三菱電機などは、様々な製造装置や自動化技術を有しており、

スマートファクトリーを実現するために、自社の製品ポートフォ

リオの充実に努めています。

2. グローバルの大手IT企業:Cisco、IBM、SAPなどの企業は

ICT領域から拡大し、スマートファクトリー領域へ進出しつつ

あります。

3. ニッチプレイヤー:特化されたソリューションベンダー、ジョ

イントベンチャー、FA専業メーカー、ハードウェア・ソフト

ウェアメーカー、通信事業者、およびシステム・インテグレータ

などです。DMG森精機、Wittenstein、Bosch、Rockwell、

オムロン、Schneider、Stäubli、安川電機、Krones、PSI、

Software AGなどの企業が含まれます。

産業集積

産業集積とは、地理的に接近した特定の地域内に多数

の企業が立地し、各企業が受発注取引や情報交流、

連携等の企業間関係を生じている状態のことを指し

ます。製造業、サプライヤー、サービス・プロバイダ、

顧客、調査機関、大学、および商業組合や商工会議所

といった関係者が含まれます。産業集積は多くの場合、

特定の地域内で、戦略的提携、物流面での近さ、

地域に根差した技術や技能、労働力、専門家、科学

技術、自然環境、特化されたインフラストラクチャと

いった恩恵を受けるために形成されています。この

ことによって、産業集積では、技術的イノベーション

の加速、ビジネス環境やコスト面の改善、生産者と

顧客の関係強化、およびスタートアップ企業の育成、

新規投資の促進が進みます。さらに、産業集積の規模

が大きくなると、より多くの企業、投資家、サービス・

プロバイダ、サプライヤー、および労働力や専門知識

を引き寄せるようになります。企業が垂直統合から

離れて、ユニット化やアウトソーシングを推進している

今日において、産業集積の役割はさらに重要になって

います。

優れたクラスタの例として、「it's OWL」テクノロジー・

ネットワーク、インテリジェントでエネルギー効率の

高いマイクロシステム用の「micro TEC Südwest」

テクノロジー、エネルギー効率の高い情報通信テク

ノロジーを開発するための最先端の「Cool Silicon」、

およびビジネス・プロセス管理用のビジネス・ソフト

ウェアを開発する「Software-Cluster」が挙げられます。

The Factory of the Future | Part 1

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4. プラントエンジニアリング企業やゼネコン:Ferchau、EDAG、

Altran Group/IndustrieHansaなど。当初は、これらの産業が

インダストリー 4.0の産業集積を産み出すのではないかと期待

されていました。しかし、実際は製造業や自動車産業がこう

した産業集積を生成しています。

注:ここで言及した関係者は例として挙げたもので、すべての

関係者を紹介したものではありません。

インダストリー 4.0に参入することによる成長機会

インダストリー 4.0は、生産プロセスにおける企業のバリュー

チェーン全体の将来ビジョンであり、データの記録、保存、配信

のための様々なデジタル・テクノロジーが利用されています。

たとえば、調査や開発部門と生産プラントとの間、販売会社、

サプライヤー、OEM、顧客との間でのデータ交換などです。

現時点で、インダストリー 4.0はコンセプトに近く、どこかから

購入できるような製品ではありません。これは「インダストリー

4.0」という用語の定義が概念的であり、一方で、顧客が大きな

期待をし過ぎているからです。また、インダストリー 4.0には、

製造プロセス向けの各種ソフトウェア(例:CAD、バーチャル・

シミュレーション・ツール、ERP、MES、PLM)、制御管理機器

(例:SCADA、DCS、PLC)、およびデバイス(例:Ethernet、

ロボット工学、RFID、モーターとドライブ、リレー、スイッチ、

センサー)などの製品が必要です。これらの製品には、情報通信

テクノロジー(ICT)と、自動化テクノロジーについての専門的な

技術が必要です。加えて、生産プロセス全体の計画からシミュレー

ションにいたる、デジタル・テクノロジーをベースとした生産プロ

セスやサービスの多くの事例があります。

2 変革をもたらしている要因と企業の対応

コアビジネスの変革とソリューション指向の新たなる展開

「フューチャーファクトリー」は、知的に、統合的に、柔軟かつ

効率的な方法で生産を行います。従来は、個別に動作していた

アプリケーションが、ネットワーク・ソリューションとして統合され、

自己組織化と柔軟な意思決定をリアルタイムで行うことが可能と

なります。さらに、デジタライゼーションの進化によって中核的

ビジネスの変革や、ソリューション指向のアプローチに対する

新しい理解が生まれる可能性があります。この変革は、顧客ニーズ

の増大によって促進されます。製造業に求められることは、顧客

からのニーズをより動的、明確、迅速に満たすことです。

データ活用によるインテリジェンス化

テクノロジー化、自動化、デジタル化はいずれも、製造業界に

おけるすべての生産プロセスに影響を及ぼします。そして、イン

ダストリー 4.0におけるネットワーク化は、データに基づく生産、

自律的なCPPS、統合されたインテリジェンスを持つ「フューチャー

ファクトリー」を実現します。センサーや制御機器を通じて幅広い

データに迅速にアクセスできるようになり、バリューチェーンや

サプライチェーンのどの段階においても、リアルタイムで変更や

再調整が行えるようになります。データ解析ツールも強力になって

いるため、これら膨大な量のデータ処理も容易に可能となって

おり、より短時間で的確な意思決定が行えるようになります。

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変化に伴う推進力 変化に対する反応

ライフサイクルの短縮

バリエーションの増大

国際的な競合や

競合比較の可視化

インテリジェンスと

イノベーション

柔軟性と速度

効率性と品質

ビジネスモデルの見直しと課題解決型のアプローチ

17

The Factory of the Future | Part 1

出所:KPMG 2016 図5:変化を起こす推進力

付加製造(Additive Manufacturing)技術により、複雑な形の

製品であっても、実際に製造することなく、要求品質や正確な

コスト計算を把握することが可能になります。

顧客指向に向けた、新たな柔軟性と迅速性

「フューチャーファクトリー」は高い透明性と柔軟性を兼ね備えて

います。段取り処理などを含む生産プロセスが正確に計算可能な

ため、生産能力の空き状況の把握、正確な測定、確実な利用を

可能にします。ただし、こうした新しい機能の恩恵を受けるには

新世代の製造装置が必要です。将来の工場は、多機能な製造

装置、カスタマイズ可能でインテリジェントな製造装置が使用

されます。これによって垂直統合のすべての要件が満たされ、

あらかじめ定義された生産およびプロセス技法に応じて、材料

や部品を独自に選択するようになります。

これらが実現すると、同じプラントで、異なるシリーズや製品を

製造できるようになります。言い換えれば、製造業者は迅速に個々

の顧客の要件を満たし、イノベーションを市場に迅速に送り出せる

ようになります。

効率性や品質が顧客や従業員にもたらすベネフィット

CPPSは、製造設備の稼働率を向上し、停止時間を減少させて

生産の流れを最適化します。さらに、顧客別にカスタマイズされた

製品など、極めて小ロットの製造も高効率で生産できます。また、

生産およびビジネスのワークフローについて、より正確な情報が

得られるようになり、最適化は次の段階に進みます。

原材料や製造設備の効率的稼働は、開発段階であらかじめ設計

され、CPPSとの統合が一般的となります。CAD、生産計画、

生産組織、生産データの生成、必要資材のフロー、関連する生産

プロセスなどとも連携します。この「サイマルテニアス・エンジ

ニアリング(同時並行エンジニアリング)」により、製品の設計

および生産計画の作業の流れがより迅速となるだけでなく、より

正確で信頼性が高い製品を、迅速に市場へ送り出せるように

なります。

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18

実現性の高い総合的品質管理が可能になります。生産は24時間

行われ、品質や生産効率性の最適化も同時に行われます。その

結果、稼働率100%という目標も可能になってきました。機械の

故障も過去の話となり、設備や装置から得られたデータを分析

することで、予防的な保守の実施やメンテナンスが計画的に行え、

計画外のシステム停止が防げるようになり、生産プロセスを昼夜

休みなく、最大能力で実行できるようになります。「フューチャー

ファクトリー」は、より迅速な生産サイクル、より高いスループット

を、少ない在庫と低いコストで実現し、競合上の優位を確固たる

ものとします。

CPPSは、従業員に利益をもたらします。機械や機器は相互に

連携動作するだけではなく、最終的に技術者とも連携して動作

するため、ディスプレイ、ユーザー・インターフェイス、および

ビジュアライゼーションツールによって、オペレータが一元的に

関連データにアクセス可能になります。さらに、これらの機器に

よって要員が物理的に困難または危険な作業から解放されるよう

になるとともに、不正な改変が自律的に予防されます。これらに

よって、生産と要員の効率性と安全性がさらに向上します。

ビジネスモデルとソリューション指向アプローチを通じて、潜在

能力を最大限に発揮

インダストリー 4.0の潜在的な能力を活用するには、企業にも

多様な能力が求められます。自社の業界において、どのような

規制、市場、テクノロジー、さらには競合上の要因が存在するかを

初期段階で理解している企業は、早期にビジネス・モデルを適応

でき、自社の継続的な成長を確実にします。そのためには、イン

ダストリー 4.0における2つの要件を満たすことが重要です。

まず、すべての領域にわたってビジネス・モデルの見直しが必要

です。次に、企業の成功要因(どこで価値が生み出されるのか?

コスト上の最適なポジションはどこか? 別の収益モデルや新しい

販売構造は存在するか?)を定義し、そのコアプロセスとスキルを

適合させ、新しい応用分野と収益モデルへ移行する必要があり

ます。また、企業自身の立ち位置も再定義する必要があります。

企業はより顧客(サービス・プロバイダ)と密接な関係になるべき

なのか、それとも仲介者や中間サービス・プロバイダとして働く

べきなのか? といった立ち位置です。

新たなビジネスモデルを完全にシミュレートすることで、財務的

な要件を導き出すことも可能です。さらに、データ解析の結果と

して、欠けているまたは十分に開発されていない能力も明らかに

なります。これは、適切な提携パートナーや買収対象企業を識別

する材料になります。また、ビジネスモデルの見直しは、企業自身

の製品やサービスのポートフォリオの根本的な修正、新しい製品

やサービスの開発や獲得を伴う場合もあります。ここで、構造化

されたイノベーション管理プロセスが役に立ちます。こうしたプロ

セスによって、ビジネスを成功にもたらす作業が正しく進むことが

担保されます。最後に、第4次産業革命の法規制も忘れることは

できません。予見可能なリスクを回避し、利用可能な税控除を

活用するため、企業の税務および法務部門の関与が必要です。

製造セクターの企業にとって、インダストリー 3.0から4.0への

移行は、数値の差が示すよりも大きな変化を表します。インダス

トリー 4.0はパラダイムシフトであり、包括的な変化を意味します。

そして、KPMGは「フューチャーファクトリー」に向けて、カス

タマー・トゥ・カスタマープロセスを開発しました。

このプロセスは、新しいテクノロジーや生産プロセス、新しい運用

と組織の構造を持つ、シームレスで完全に統合されたバリュー

チェーンです。企業全体が、より顧客ニーズや自社製品、プロセス、

市場に対して同期する必要があります。次の章では、将来のバリュー

チェーンにおける各リンク、および企業に課せられる必要条件に

ついて解説します。

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The Factory of the Future | Part 1

問題解決のカギとなる、KPMGのカスタマー・トゥ・カスタマープロセス

インダストリー 4.0の導入を望む企業は、最高の効率性を達成する

ため、先々発生すると予想される様々な問題をあらかじめ解決して

おく必要があります。そのためには、顧客の要望を理解、予測し、

自社の中核的能力やネットワーク経由で利用できるサプライヤー

や開発パートナーなどの持つ能力とリンクすることが重要です。

能力がリンクされた後で、関与するすべての企業でITを整合させる

必要があります。社内外の能力を企業戦略へ組み込み、ITの設計

について戦略的、概念的、組織的な枠組みを定義して、プロセス、

従業員の能力、および実際のITサポートについて明確にすることが

重要です。これらの前提が整えられることで、インダストリー 4.0

の導入はより現実的なものとなります。

1 KPMGのカスタマー・トゥ・カスタマープロセスの概要

コンセプトの実現

全プロセスが完全に統合されると、企業の組織構造、従業員の

プロファイルや業務内容など、すべての情報が、顧客満足度を

高めるために集約されるようになります。組織のリソースや作業

プロセスは、顧客の潜在的な要件から製品の供給を通じ、最終的

には顧客満足度を満たすまで、クライアントの全体観から設計

される必要があります。KPMGのカスタマー・トゥ・カスタマー

プロセスは、業務オペレーションの中のサブプロセスや、システム

を統合するためのインターフェイスなどに一致するように描かれる

必要があります。

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PLM

PD

PC

RM

ビジネス・プロセス

市場戦略/製品戦略

業務オペレーションの例 (作業プロセスとスキルの構造)

顧客の獲得

製品戦略 製品設計 機能グループの設計– 材料マスターデータの作成– 部品リストの作成

予測– 製品の予測– 反応の予測– 顧客接点の予測

顧客の注文処理– 注文の記録– 契約の確認– 請求– 委託販売の決済– 顧客の注文の監視

計画計画(販売および運用計画

(S&OP)、サプライヤーの責任)

調達発注から倉庫管理まで

製品のアイディア

市場分析

顧客

製品開発

顧客の維持顧客の期待

顧客契約/物流契約入札プロセス

プロトタイプ/プロセス設計

作業スケジュールの作成

プロセスの実現

生産計画– 注文の作成– 詳細な計画と承認– 注文の監視

生産– 材料の供給– 製品の製造– 運用データの記録

配送– 配送プロセス– 輸送のスケジュールと計画– 配送受領証の返送

顧客

生産/サプライチェーン アフター・セールス

発送/物流

20

出所:KPMG 2016

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PLM

PD

PC

RM

ビジネス・プロセス

市場戦略/製品戦略

業務オペレーションの例 (作業プロセスとスキルの構造)

顧客の獲得

製品戦略 製品設計 機能グループの設計– 材料マスターデータの作成– 部品リストの作成

予測– 製品の予測– 反応の予測– 顧客接点の予測

顧客の注文処理– 注文の記録– 契約の確認– 請求– 委託販売の決済– 顧客の注文の監視

計画計画(販売および運用計画

(S&OP)、サプライヤーの責任)

調達発注から倉庫管理まで

製品のアイディア

市場分析

顧客

製品開発

顧客の維持顧客の期待

顧客契約/物流契約入札プロセス

プロトタイプ/プロセス設計

作業スケジュールの作成

プロセスの実現

生産計画– 注文の作成– 詳細な計画と承認– 注文の監視

生産– 材料の供給– 製品の製造– 運用データの記録

配送– 配送プロセス– 輸送のスケジュールと計画– 配送受領証の返送

顧客

生産/サプライチェーン アフター・セールス

発送/物流

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The Factory of the Future | Part 1

図6:KPMGのカスタマー・トゥ・カスタマープロセス

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PLM

PD

PC

RM

経営管理– 戦略開発の持続可能性の管理– 社外および社内の関係の管理– 法的な問題やコンプライアンスの管理

財務と管理会計– コントロール– 社内監査– コントロール方法の開発

ビジネス・プロセス

市場戦略/製品戦略 顧客の獲得 顧客の維持

顧客 顧客製品戦略 製品設計 機能グループの設計

プロトタイプ/プロセス設計

プロセスの実現

計画予測 調達 顧客の注文処理

人材人的資本の開発と管理

品質管理プロセス管理

品質管理プロセス管理

情報テクノロジーITの管理

 – 会計、レポート、税金、および通関業務の開発– 企業資金の管理

戦略的な購買およびSCM– サプライチェーンの管理– 購買の管理– 一般的なサービス、グループ・セキュリティ、および不動産管理

ビジネス・プロセス

生産計画 生産 配送

22

出所:KPMG 2016(Michael Bremicker)

2 プロセスの組織化

製品のライフサイクルに沿ったモジュール構造

KPMGの「フューチャーファクトリー」モデルでは、業務オペレー

ションの組織的リソースはモジュールに分割されます。これらの

モジュールは物理およびデジタルのカスタマー・トゥ・カスタマー

プロセスに沿ったビジネス・プロセスに基づいています。

ビジネス・プロセスは次の3つに分けられます。

– CRM(Customer Relationship Management)– 顧客との

関係の管理(マーケティングおよび販売プロセス)

– PLM(Product Lifecycle Management)– 製品のライフサイ

クル管理(製品作成プロセス)

– PDP(Product Delivery Process)– 製品配送プロセス(製品

供給プロセス)

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PLM

PD

PC

RM

経営管理– 戦略開発の持続可能性の管理– 社外および社内の関係の管理– 法的な問題やコンプライアンスの管理

財務と管理会計– コントロール– 社内監査– コントロール方法の開発

ビジネス・プロセス

市場戦略/製品戦略 顧客の獲得 顧客の維持

顧客 顧客製品戦略 製品設計 機能グループの設計

プロトタイプ/プロセス設計

プロセスの実現

計画予測 調達 顧客の注文処理

人材人的資本の開発と管理

品質管理プロセス管理

品質管理プロセス管理

情報テクノロジーITの管理

 – 会計、レポート、税金、および通関業務の開発– 企業資金の管理

戦略的な購買およびSCM– サプライチェーンの管理– 購買の管理– 一般的なサービス、グループ・セキュリティ、および不動産管理

ビジネス・プロセス

生産計画 生産 配送

23

The Factory of the Future | Part 1

図7:プロセス・マップ

ビジネス・プロセスは集中管理された支援プロセスによりサポート

されます。

– 経営管理

– 財務と管理会計

– 戦略的な購買およびSCM

– 人材(Human Resources, HR)

– 品質管理

– 情報テクノロジー(Information Technology, IT)

– その他

堅固な製品やプロセス設計のためには、モジュール化された構造

と一貫性のある情報フローが必要です。将来的にビジネス・プロ

セスが統合されると、経営管理から情報テクノロジーに及ぶ

モジュールの融合が一層推し進められ、最終的には境界がなく

なります。

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市場戦略/製品戦略 顧客の獲得 顧客の維持顧客の期待

顧客契約/物流契約入札プロセス

出所:KPMG 2016 図8:CRM - 顧客との関係の管理(マーケティングおよび販売プロセス)

マーケティングや販売プロセスを通じて顧客との関係が変化

インダストリー 4.0では「バッチ・サイズ 1」の実現が可能となり、

顧客の要求を完全に満たすことができます。将来的には、顧客の

ビジネスモデルを理解し、顧客の市場や顧客のニーズを識別し、

潜在的なニーズまでも見出すことが重要になるでしょう。また、

最適化されたマーケティングや販売プロセスを展開するため、

製品とサービスはますます複雑になり、それらを関係者に理解して

もらうことも重要になります。

市場戦略は、企業の基本的事業ドメインを定義するものです。

ここでは、顧客のベネフィット、顧客が購入を決定する判断基準、

それらを経済的に提供するための自社のリソースの検討が必要

です。

製品戦略は、顧客のニーズや期待を、その具現化に向けて自社の

中核的能力へ結びつけるための活動です。製品の設計データや

仕様は、技術面と組織面の両方の用語で定義し、全社からアク

セスできる場所に格納し、製品に関する情報の一元管理を実現

します。

デジタル化された「カスタマー・トゥ・カスタマープロセス」の

基盤が構築されると、すべての情報やノウハウにアクセスする

ことも可能となります。企業はそれらを用いて顧客との関係を

再構築し、顧客の維持を図ることが可能になります。標準化が

なされた製品は、製品の提案の自動化が進みます。販売担当者は、

顧客の要求に応じて、映像や3Dモデルを用いて製品のプレゼン

テーションをすることが可能であり、これまで詳細な説明が必要

であった製品も比較的容易に提案することが可能となります。

製品創造プロセスは、すべての製造工程に及ぶ

製品創造プロセスには、製品戦略、製品開発、生産プロセス開発

が含まれます。これらは、企業の製品戦略から導き出されます。

また、製品のライフサイクル全体にわたる、製品計画、製品ポート

フォリオ管理、マーケティングや販売に関連する定義、必要な技術

や材料もここに含まれます。

企業が、市場や顧客のニーズを製品の仕様に落とし込み、自社

の製品ポートフォリオもそれに応じて組み換えることは大変重要で

す。製品のライフサイクルが短くなり、製品の計画や開発と並行

して生産を進める必要がある今日、この能力がますます重要と

なっています。

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The Factory of the Future | Part 1

製品戦略 製品設計 プロトタイプ/プロセス設計

作業スケジュールの作成

プロセスの実現機能グループの設計– 材料マスターデータの作成– 部品リストの作成

製品設計では、製品コンセプトをコンピュータ上で仮想的に描き

ます。製品デザインは、製品戦略と製品開発間をつなぐプロセス

となります。

機能グループの設計では、部品表が生成されます。ここでは

サプライヤーの関与が必要となります。部品表は、調達、製造、

保管、販売などすべての処理で必要となり、注文データ、資材

在庫データ、請求書データ、生産計画や管理データがリアル

タイムに生成されます。

プロトタイプ/プロセス設計では、試作品やその生産手順の

バーチャルシミュレーションが行われます。生産手順をシミュレー

ションすることで、作業場と作業用機器を、作業の流れに沿って

理想的に一体化させたり、作業時間や労働コストなど、個別の

パラメータの最適化を図るようなシミュレーションが可能となり

ます。

プロセスの実現では、製品と生産システムは、データに基づいて

常に最適化されます。

製品提供プロセス(Product Provision Process, PPP)

「フューチャーファクトリー」では、企業内の生産プロセスと企業を

超えた生産プロセスの両者があり、データがリアルタイムで相互

供給されるため、顧客の要求と利用可能な生産能力との調整が

促進されます。

現在とは異なる形態の提携や協業が行われます。

出所:KPMG 2016 図9:PLM - 製品のライフサイクル管理(製品作成プロセス)

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計画

計画(販売および運用計画(S&OP)、

サプライヤーの責任)

調達発注から

倉庫管理まで

予測– 製品の予測– 反応の予測– 顧客接点の予測

顧客の注文処理– 注文の記録– 契約の確認– 請求– 委託販売の決済– 顧客の注文の監視

配送– 配送プロセス– 輸送のスケジュール と計画– 配送受領証の返送

生産計画– 注文の作成– 詳細な計画と承認– 注文の監視

生産– 材料の供給– 製品の製造– 運用データの記録

出所:KPMG 2016 図10:PDP - 製品配送プロセス(製品供給プロセス)

注文リードタイムのさらなる短縮のため、正確な予測に基づいて

原材料と生産能力(人員、材料、機器)を管理する必要があります。

予測を行う上で最も重要な情報は顧客に関するものであり、主に

販売部門により提供されます。ただし、必ずしも正確なデータが

提供されるとは限りません。

予測は、週ごとのローリング計画、販売およびマーケティングに

より作成される販売計画、および6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月といった

販売見込みなどが使用されます。統計的な履歴データではなく、

実際の企業活動から得られたデータが使用されるようになります。

そして、このデータは部品表のレベルまで分解されます。

一貫したデジタル化、自動化、ネットワーク化、およびビッグ

データの活用によって、数ヵ月や数年にわたるローリング計画が

可能となります。これらの計画を通じて、市場における重要なイノ

ベーション、トレンド、競合環境における動向なども知ることが

できるようになります。そうした情報を活用し、企業は次世代の

製品やサービス開発に生かすことができるようになります。

予測に続いて行われる製品提供プロセス(Product Provision

Process, PPP)、販売およびマーケティングによって生成された

生産計画に付随するものです。PPPのパラメータに基づいて、

生産プロセスが設計されます。販売計画が、生産計画や作業

手順に完全に落とし込まれることを意味します。同時に、社内外

のソーシング構造も変化します。

その後、スケジューリングや調達が行われます。どのような原材料

をどこでどう加工するのか、ベンダに対してどのように注文する

のか、などを検討します。さらに、物流管理プロセスの設計も、

製品をスケジュール通りに顧客に提供するために重要です。こう

した情報は、製品DNAを使用して正確に計算できます。

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The Factory of the Future | Part 1

27

すべてのプロセスは、顧客の注文処理から始まります。製品DNA

も、この時点で既に作成されています。上流工程でのすべての注文、

物流管理、および処理手順もここに含まれます。これらのデータ

は生産プロセスにリアルタイムに伝達され、初期段階においても

完全に情報がマップされます。これにより、製品コンフィグレータ

を使用して、すべてのマスターおよびトランザクション・データを

持つ完全な資料を生成できます。これらは、明確に定義された

標準モジュール、選択可能な機能、および対応するアルゴリズムを

基盤としています。自社で製造される生産コンポーネントの場合、

個別の部品リストと、関連する作業および組立スケジュールも

追加として生成が可能です。

ローリングの製品販売計画は、将来の生産計画を直接コント

ロールします。また、次のような手順も自動化が可能です。顧客

データを、製品コンフィグレータで生成された製品データと組み

合わせることで、生産管理を自動化できます。この処理は、デジ

タル生産設計と呼ばれます。この処理によって、請求、および

顧客の注文を監視するための基盤も生成されます。

あらかじめ定義されたコンポーネントをいつ、どの拠点で処理する

必要があるか、およびベンダ側に対してどの注文処理を開始する

必要があるかも、デジタル製品DNAを使用して正確に計算可能

です。材料供給のために関連する(社内)物流管理プロセスも

正確にマップできます。これは、顧客へ製品を遅延なく配送する

ために不可欠な条件です。

製品の生産が開始されても、製品DNAの透明性は維持されます。

顧客データ、製品コンフィグレータで生成された製品データと

組み合わせることにより、デジタルでの生産管理(デジタル生産

設計)が可能になります。

最後の配送により、システムは完結します。製品DNAが、パッ

ケージング管理、顧客への配送、顧客との連絡まで理解してい

ます。たとえば、配送の遅延、予測配送時刻、および地理的な

配送の調整についても、リアルタイムで顧客への通知が行われます。

配送が完了すると、製品供給元の企業へ配達証明がデジタル

形式で返送されます。

製品DNA

インダストリー 4.0において、製造中の製品には

「メモリ」が存在します。このメモリには、注文情報、

生産情報、組立に関する情報などが記録されています。

製品DNAを有する製品は、工場内を半自律的に移動

します。製造装置はこのメモリを読み込み、必要な

処理を行います。さらに、各種製品のDNAに保存

されているデータを、経済活動全体にわたって集約、

評価することで、生産プロセスの継続的な最適化を

図ることが可能です。コンピュータ能力の増大、

高解像度の視覚化、データの利用可能性の急速な

増大により、製品DNAはさらに重要性を増していく

でしょう。

ローリング計画vs予算指向計画

ローリング計画では、毎週、予算を実態に合わせて

見直します。定期的に予測が更新され何度も調整を

受けることになるため、定義済みの予算よりも正確な

ものとなります。

The Factory of the Future | Part 1

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大幅なコスト削減が可能に

生産プロセスにおけるデータにリアルタイムにアクセスすることで、

多くの問題が解決できます。たとえば、注文状況と工場の稼働率を

リアルタイムに比較したり、原材料在庫もいつでもチェックでき

ます。必要に応じて補充発注をかけることも可能です。販売計画

を生産管理や購買業務まで連携させることは、優れたサプライ

チェーンを構築する上で欠かせません。企業にとって、原材料

在庫の削減、物流コスト削減、リードタイム短縮、欠品率低下

など、様々な利点があります。

また、こうしたデータを活用することで、生産プロセスの最適な

組み換えも容易になります。プロセスオーナーと呼ばれる人間が

データを分析することで、運用手順、組織、および計画と管理

のプロセスを定義します。

まとめ - インダストリー 4.0を成功に導くために

インダストリー 4.0の導入における重要なポイントは、優れた

プロセスの設計とそれを支える人材です。戦略立案や投資計画を

考える際、こうした点を考慮する必要があります。インダストリー

4.0で必要とされるテクノロジーの多くは既に利用可能なものが

多いですが、一部の分野では国際標準化を待つ必要があります。

また、個別のシステムを一元的に接続する複雑性や必要な経費に

ついて考慮されていないケースも多く見られます。また、「フュー

チャーファクトリー」実現に向けて最も重要なことは、投資家、

経営者、労働者が、このビジョンについて共感し、協力し、協働

することです。そのためには、変化に挑み、新しいチャレンジを

リードしていく、強力なリーダーが必要となります。

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The Factory of the Futureインダストリー 4.0将来に向けたソリューション

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The Factory of the Future | Part 2

パート2インダストリー 4.0将来に向けたソリューションKPMGのコンサルティングアプローチ-統合的なサポートの提供

インダストリー 4.0への移行は突然起きるものではありません。最初は、企業が直面している、最も重要な

課題を個別に対応することから始まると予想されます。ここでは、KPMGの経験から主要な取組みについて

解説し、企業が課題を克服するためにKPMGがどのようなサポートを提供可能か、そして結果として顧客の

要件と株主の要求の両方がどのように満たされるかについて紹介します。

個々の企業は、どの機能を、どの様なタイミングで新世代の生産テクノロジーへ移行させるかを計画し、ただちに

実行へ移す必要があります。こうした取組みに必要となる最高責任者レベルの役割については、このドキュメント

の最後に記載します。

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インダストリー 4.0 将来に向けたソリューション

KPMGのコンサルティングアプローチ-統合的なサポートの提供 ............................31

 1 デジタル化の実現 ..........................................................................................33

 2 組織と業務オペレーションの再設計 ...............................................................36

 3 人材:有能な従業員の確保 ............................................................................39

 4 設備、調達拠点のインダストリー 4.0への適合 ...............................................43

 5 バリューチェーンの再構成 ..............................................................................47

 6 ビジネス・モデルの調整と新しい収益モデルの開発 ........................................50

 7 インダストリー 4.0における税対応 .................................................................53

 8 サイバー・セキュリティ...................................................................................57

 9 複雑な法的要件への準拠 ...............................................................................59

最高責任者レベルの課題 ........................................................................................64

 1 CEOの課題 ...................................................................................................64

 2 COOの課題 ...................................................................................................64

 3 CFOの課題 ...................................................................................................64

 4 CIOの課題 .....................................................................................................65

 5 CHROの課題 ................................................................................................65

 6 CLOの課題 ....................................................................................................65

目次 パート2

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Page 33: The Factory of the Future...7 The Factory of the Future | Part 1 パート1 インダストリー4.0 将来への課題 インダストリー 4.0は流行ではありません。産業革命そのものです。本章では、インダストリー

生産計画製品戦略からモジュール化された製品設計まで

製品開発仮想エンジニアリング、統合されたシミュレーション・モデル、明確なデジタル署名(プロダクトDNA)の作成 生産拠点および生産計画

生産および組立プロセス、製造に必要な資源(作業スペース、機械、人材、投資)バリューストリームの設計(原材料調達フロー)

生産受注番号(部品リスト、デジタル処理、物流)、製品登録、人間と機械の連携動作

物流社内:自動化、生産ワークフローの統合

社外:「顧客、供給元をつなぐ物流プラットフォーム」の活用。運転資本の最適化、輸送および供給のセキュリティと、事業継続性を阻害するすべての要因およびコンプライアンス(各種法令・規制の遵守)を考慮

33

The Factory of the Future | Part 2

1 デジタル化の実現

システムの不連続性(システムがシームレスにデジタル連携していない状態)は、製品DNAにリスクをもたらす

カスタマー・トゥ・カスタマープロセスの準備作業についての説明

(20~ 21ページ)で述べたように、生産自動化の基礎となるのは、

すべての業務プロセスに対して一貫性を保ちつつ、シームレスな

デジタル化を実現することです。このためには、テクノロジー、

生産プロセス、および運用業務オペレーションと組織構造のすべて

に対して適切な対応が求められます。

出所:KPMG 2016 図11:デジタル化の要諦

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KPMGのコンサルティング手法

KPMGは、高速で変化し続けるソリューションを的確に反映するためのサポートを行います。KPMGのコンサルタントは、

企業の要求に基づいたビジネス・プロセスの最適化、およびITの効果的な利活用を主目的として、サービスを提供します。

– 情報テクノロジーの進化に合わせたIT戦略の見直し

– ビジネスに対するIT投資の最適化

– IT関連法規制やセキュリティ要件の検討

– ITライフサイクルにおけるセキュリティ・モデルの開発、実装および、運用の定着化

– ITシステムに対する実装、管理、セキュリティ、および運用に関するガイドライン作成

– アーキテクチャ設計、ロードマップ定義、およびメタデータ・モデル開発サポート

ハードウェアおよびソフトウェア環境におけるパラダイムシフト

企業間のネットワーク化と、付加価値ネットワークの統合に加えて、

インダストリー 4.0の技術的仕様と実装に対する統一規格も必要

です。「フューチャーファクトリー」では、ビシネス管理ソフトウェア

と生産管理情報技術との境界はますます曖昧になります。その

結果、柔軟な生産の調整や拡張を実現する組織を分散化できる

ようになります。

長期間未使用となっている社内データ

当初の「ビッグデータ」アプリケーションは、インターネットや

ソーシャル・メディアから収集された外部顧客(消費者)データ

に特化したものでした。これらのアプリケーションによりもたら

された評価は、企業に対して知識および競合との優位点を示した

ものの、社内に蓄積されたデータは未活用のままでした。多くの

製造業は、自社のITシステムへ多大な投資を行い、その結果と

して最適化された処理をリアルタイムで行うことが可能になりま

したが、時間とコストの削減に加えてビジネスリスク低減の観点

からも、このようなソフトウェアの導入が強く求められています。

目的は、データからビジネス上の優位点につながるような示唆を

抽出することです。データ主導の組織は、マーケティング、サプ

ライチェーン、財務のリスクを制限し、適切な製品・サービスを、

適切な顧客に提供できるようになります。

リスク対策に重要な従業員の訓練

既存のITネットワークと同様に、高度に管理された生産システム

はハッカーの攻撃、システムのエラー、その他のリスクに対して

脆弱ですが、インダストリー 4.0の進展につれ、さらに新しい

リスクが登場することも確実です。工場や製品、そして特にその中

に含まれるデータは、誤使用や不正アクセスから保護されなけ

ればなりません。保護の手段として最も重要なのは、IT部門

担当者やその他従業員に対してさらに訓練を行い、最新のセキュ

リティ・ソフトウェアへ投資を継続することです。

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The Factory of the Future | Part 2

Peter Heidkampパートナー、コンサルティング、 テクノロジー&ビジネス・サービス責任者

「デジタルへの転換は、顧客の行動、製品、サービスに対する変化と、あらゆる部門におけるビジネスおよび運用モデル

の変化をもたらしています。この転換は新しいテクノロジーとそのネットワーク化によって推進されるものです。従来型

の産業は、この変化に対応しなければなりません。インダストリー 4.0は1つの挑戦としてだけではなく、ビジネスの

新しい可能性や、顧客との関係の最適化の機会の1つとしても捉えられます。企業は、デジタル、ネットワークの活用

方法を早期、かつ包括的に習得すれば、世界中の競合に対抗することができるでしょう。しかし、そのための時間は

限られています。テクノロジーの構造転換は急速に進行中で、国際的な競合は休むことなく続いているからです」

Marc Ennemannパートナー、コンサルティング テレコミュニケーション責任者

「強力なネットワーク・インフラストラクチャと、それによって生まれる接続性は、デジタルへの変換の前提条件であり、

かつ触媒です。企業は、自社のビジネス・モデルに疑問を呈し、自社のプロセスをデジタル化へ適合させなければなり

ません。自社のデジタル習熟度を分析することにより、成長とプロセス改善の対象を絞ることが可能となります。現代の

製造プロセスの周囲にデジタル・エコシステムが誕生し、そこに、各種のスキルを持った市場関係者が集結しつつあり

ます。通信事業者は、このシステムに不可欠な存在です。デジタル化の進行に伴い、業種間の競合はますます激しくなる

でしょう。自社のデジタル習熟度を正しく評価した企業のみが、的確な方向へビジネス・モデルを改善することができ

ます。このような状況下においては、自社が社外からどのように受け取られているかを把握するために「デジタル化

対応状況チェック」を行うことが有効です。従業員に対する調査を実施し、デジタル化対応状況のベンチマークを行う

ことで、適切な実装手法を選択できます。いずれにしても、テクノロジー、テレコミュニケーション、従来の産業を組み

合わせた新しい構造が出現しつつあります」

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市場分析 製品開発 発送/物流

製品のアイディア 生産/サプライチェーン アフター・セールス

顧客 顧客

2 組織と業務オペレーションの再設計

カスタマー・トゥ・カスタマープロセスの作成

すべての業務プロセスにおいてICTと自動化テクノロジーを統合

するには、企業内の業務機能とビジネス・プロセスを再評価する

必要があります。この目標に向けて、デジタル化、自動化、ネット

ワーク化の観点から、現在の状態と課題を識別することが必要

です。組織の再編成は、ERPシステムによりサポートされた業務

プロセスに基づいて実行します。

出所:KPMG 2016 図12:カスタマー・トゥ・カスタマープロセスのフロー

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The Factory of the Future | Part 2

企業内の機能配置は、あらゆるレベルにおいてプロセスに合わ

せて設計する必要があります。作業タスク、スキル、責任範囲は、

顧客の要求を最優先として包括的に満たせるよう、必要なリソース

を確保して調整することが重要です。製品とプロセスの設計は、

製品DNAを基盤とする情報の一貫したフローが保証される場合

のみ、実現可能なものになります。このため、該当するプロセス

の所有者は変更を受け入れ、変革を推進しなければなりません。

業務プロセスについての十分な分析や、組織や計画および管理

プロセスを目標と総合的に比較することにより、変更の必要性が

明らかになります。データの統合、トレーニング、および「コミッ

ショニング(実現性の保証)」はこれらと並行して行うべきです。

自動化には組織化が必要

インダストリー 4.0テクノロジーの実装は、多くの場合複雑で、

長年にわたって成長してきた組織やプロセスでは特にその傾向が

顕著にみられます。そのため、実装に対して組織やプロセスに

及ぼす影響の把握が難しくなっています。さらに、バリューチェーン

やネットワークは多くの場合、企業の枠を越えて編成されては

いません。しかし、体系的知識と業務プロセスのノウハウを活用

することで、それを視覚化することが可能です。

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KPMGのコンサルティング手法

KPMGにおけるビジネス組織の再構成アプローチは、販売、購買、物流管理、生産、研究開発といったバリューチェーン

を構成するすべての領域から、コンプライアンス、リスクマネジメント、税務業務の最適化を行うための個別の組織

モデルやソリューション開発といった領域まで網羅します。

企業の組織および業務オペレーションの構造を全体的かつ持続性のある形で最適化するため、KPMGはますます変化

の激しくなる市場に対応するためのバリューチェーンの開発を支援します。独自の方法論を活用し、サプライチェーンの

全体にわたってリードタイムとスループットを最適化し、在庫削減など継続的な改善プロセスの定着化をサポートします。

また、自社製造か購入かの判断プロセスや、生産ネットワーク全体での効率向上にとどまらず、複雑な製品の立ち上げや

生産プロセスの効率的かつ効果的な計画と管理の実現についてもサポートします。KPMGは、企業の製品が世界の競合

に対抗しうる差別化要因を見いだせるよう支援します。

構造化され、かつ高い実績、信頼性に裏付けられた手法により、業務プロセスの非効率的な部分の識別や、新しい業務

プロセスの開発と移行をサポートすることで、企業の革新的なサービス、製品とビジネス・モデルの統合を可能とします。

Michael Bremickerパートナー、コンサルティング

「デジタル化戦略において重要となるのは、適切なプロセスと組織の設計、および有能な従業員の確保です。この戦略

は、企業自身のイノベーションおよび投資計画と連携をとりつつ進めることが肝要です。第4次産業革命が企業で成功

するかどうかには、企業家、経営者、労働者が新しいテーマを受け入れて、協力に向けた準備体制が整っているかどうか

にも依存します。KPMGは、必要な手法の定義、開発、導入のすべての段階において、企業の価値創造を支援します」

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ITに関する知識、業務に対する深い理解、生産、物流など、複数領域の知識を有するエキスパート

計画、コントロール、分析を優先

複雑性の管理、問題解決、学習能力、および

高い柔軟性といった高い能力

短期的で予測性の低い作業に対応する能力

39

The Factory of the Future | Part 2

3 人材:有能な従業員の確保

高度な生産システムには、多分野にわたる専門家が必要

より高い生産性を低いコストで実現するという目標のためには、

要求の多様性の拡大、それに伴う製品バリエーション数の増大と、

製品の複雑化によって引き起こされる課題を克服しなければなり

ません。これによって、生産プロセスはより複雑さが増し、従業員

においては、基本的な知識と利用システムの構造と操作に関する

専門知識の双方がますます求められるようになります。

出所:KPMG 2016 図13:将来の従業員

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STEM専門家の不足

現在のところ企業の大多数は、高度な生産システムの導入に

関して外部の専門家の知識に依存しています。「フューチャー

ファクトリー」の実現にあたり、プロセス、組織、生産、ITの必要

な知識を持つ従業員の重要性が高まっています。産業部門の企業

の多くにSTEM(Science:科学、Technology:テクノロジー、

Engineering:工学、Math:数学)分野の専門家が欠けている

ことは現在でも問題視されていますが、将来の製造業においては

ITの膨大な知識と、業務プロセス、製品、物流への深い見識を

合わせ持ち、生産に関連するプロセスを計画・実装できる専門家

が必要となるでしょう。製造業において、多分野にわたる知識と

才能を持つエキスパートの存在は稀ですが、この種の専門家の

必要性は、「フューチャーファクトリー」ヘ向けた準備フェーズに

ある現在、既に高まりをみせています。

将来は、人間を介在しない大規模な生産プロセスが多く実現する

ことが予想されますが、この構想の普及は、高度に標準化された

生産を行う限られた領域に限定されるでしょう。過去の経験から、

自動化テクノロジーは人手に置き換わるだけではなく、新しい役割

や職能も生み出すことが明らかになっています。「フューチャー

ファクトリー」では、従業員が不要になるわけではなく、生産から

研究開発まで含め、すべての作業レベルで別の課題への対応を

迫られることになるでしょう。一部の業務は新しい変化により置き

換えられる可能性もありますが、同時に新しいスキルが求められる

ようになるでしょう。生産工場のデジタル化と、CPPSの導入との

組み合わせは、過去の技術的な変化に対応するとともに、計画、

管理に加えて、工場のサービスおよび保守の分野において必要

となるスキルに同様の影響を及ぼすと考えられます。

人間と機械とのより高度な連携

これらは、以下の2つの変化をもたらします。

– 現地における技術スキル要件と自己組織化(自発的秩序形成)

要件の高度化

– センサー、RFIDチップ、アクチュエータ、モバイル・デバイス

を使用した、人間と機械との連携の高度化

IT担当者(設計者、エンジニア)、物流管理のエキスパート、マーケ

ティングエキスパートの業務の増加が予想されます。教育および

トレーニングのシステムに加え、労働力市場もこれらの要件に

対する適合が求められます。業務の変化に伴い、一般的には能力

の必要条件も増大することになりますが、これらの影響を主に

受けるのは、中間管理職と技術エキスパートです。ここでの課題は、

適切な人材戦略の設計、必要なエキスパートの人数、高度な生産

を実現するために必要な能力の把握、といったスキルモデルに

基づいた人材プロファイルを明確に定義することにあります。

人材への要件の概要が明確になった後に、適切な教育プログラム

を作成する準備が整います。教育プログラムの目標は、可能な

限り広範に複数領域にわたる経験を有する従業員を育成すると

ともに、現在の業務および生産プロセスについて深く理解させる

ことです。

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The Factory of the Future | Part 2

KPMGのコンサルティング手法

「フューチャーファクトリー」を成功させるためには、自社の従業員の参画が必要不可欠です。労働者から寄せられる

意見、心配、懸念を収集し、インダストリー 4.0に適合した人事戦略について検討を行います。

イノベーションの過程にある今日においても、労働環境の変化にはめまぐるしいものがあります。これは、特に技術を

リードする企業に当てはまります。ただし、プロセスの自動化、機械との高度な相互連携により、大部分の従業員にとって

作業環境は根本から変化し、スキルに対する新しい要件、職業上の安全性、データ保護、および作業時間に対する

柔軟なルールが必要となります。これらの変化がすべて法令で定められるものではありませんが、多くの場合は従業員の

側に根本的な意識改革が必要となります。したがって、変革のプロセスにおいては、情報、教育、トレーニング、および

継続的な専門家育成プログラム(意識改革)を伴う必要がある一方で、一般的な法的条件(雇用関連法など)に準拠し、

各種の調整を行わなければなりません。

「フューチャーファクトリー」では、生産システムが多くの作業を担うことになりますが、すべての作業が生産システムに

よって実施されるわけではありません。手作業の割合は減少しますが、調整や管理業務が増加し、それに応じて追加

スキルの習得が必要となるでしょう。戦略的な人材管理の一部として、スキル・トランスファー、不足している技術を

補うためのトレーニング・コース設計、および継続的な専門家育成のためのロードマップの作成が必要になります。 »

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* 法務サービスは、KPMG法律事務所(www.kpmg-law.de)により提供されます。

そのため、KPMGはCHROサービス(Chief Human Resources Officer-related Services、最高人事責任者向けサービス)

を提供し、最適な労働力と将来の要件との適合を支援します。また、企業がスキル水準とトレーニングの要件を定義し、

全世界からスキルの保有者やエキスパートを集めるためのサポートも行います。

人事機能の検討は、KPMG 5+1モデル(人事コンサルティング、税務担当者サービス、補償と手当、国際的なエグ

ゼクティブ・サービス、持続性+雇用法と調停)のような革新的、かつ十分な実績に基づいた手法によって実施されます。

このモデルには、人事部門の効率性と効果をレビューするための人事評価方法が含まれます。

また、KPMGの弁護士は雇用関連の法を専門としており、一般的な法の枠組みに準拠する形で、適切な時期にソーシャル・

パートナー(労働委員会や組合)の参画を可能とするよう支援します。

Carsten Wemberパートナー、人事、 アドバイザ

「KPMGのCHROサービスのコンサルタントは、ビジネス、手順、税務、法に関する個別の問題と、複雑な人事の展開

プロジェクトの両方について企業をサポートします。このモデルを活用すると、どのような問題が含まれるか、そして、

最終的に企業がどのような付加価値を得られるかを明確にすることができます」

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処理機器間の連携動作、

顧客要求を満たす製品のための管理データの連携

物流生産拠点内での物流と、

販売および配送のすべての側面を含むサプライチェーン全体の自律的な管理

エラー・メッセージ即時対応

顧客製品利用状況に関する情報を

自動的に提供

43

The Factory of the Future | Part 2

4 設備、物流拠点のインダストリー 4.0への適合

自律的な機械を使用することにより、イノベーションサイクルの短縮、品質向上、コスト削減を達成

ICTテクノロジーが企業のプロセスに浸透するにつれ、製造業界

の技術イノベーションのサイクルも変化します。製品のイノベー

ションサイクルの短期化が生産能力の継続的な調整をもたらし、

新しい原材料の付加価値と処理方法の評価を通して新しい生産

技術も導入されます。新しい技術や機能をソリューションへと

統合する必要があり、そのために必要な能力もまた、開発しな

ければなりません。新製品開発のたびにまったく新しい生産施設

の計画と構築が必要になる可能性もあるため、可能な投資範囲で

効率的な製品供給を実現するには、自社の付加価値ネットワーク

を拡大するとともに、それらに関連する開発作業を継続的に実行

しなければなりません。

出所:KPMG 2016 図14:影響を受ける分野

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柔軟な機器とテクノロジーにより「フューチャーファクトリー」を

実現

投資サイクルがさらに短縮され、柔軟な製造プラットフォーム

への要求がますます高まっていくにつれ、製品ライフサイクル管理

(Product Lifcycle Management、PLM)のローリング(検証と

見直し)が必要になっていきます。投資計画をローリングする

ことで、より精度の高い計画が保証でき、インダストリー 4.0に

より計画の質が高くなるという恩恵を受けることができます。財務

計画を統合することで、P/L、B/S、キャッシュ・フローに加えて、

販売計画、人事計画、投資計画などの詳細計画を互いに関連

付けることが可能となります。これによって計画の質が向上する

とともに、計画にかかるコストを削減できます。

「フューチャーファクトリー」に向けた準備として、付加製造

(Additive Manufacturing, AM)や、イントラロジスティクス

などが注目されるようになります。付加製造は、多種多様な原材料

を使用して多くの種類の製品を迅速に製造するため生産手法として

発展したものです。この最大の利点の1つに、開発者が製品設計に

関する制約がほとんどない形で自由に設計できることがあります

が、この利点を活用するためには、新しい知識とスキルが要求

されます。直接製造(Direct Digital Manufacturing, DDM)を

行うには、製品および生産プロセスのパラメータの大部分が製品

の開発フェーズで定義されている必要があります。唯一の制限は、

製品の外部的な寸法です。付加製造では多くの場合、材料の消費

を抑え、コスト低減を実現します。

製品管理、物流拠点の整備、および梱包を含む物流管理は、

製造業界では一般に自社で行います。ビジネス・モデルによって

は、供給元や外部のサービス・プロバイダにより行われることも

あります(イントラロジスティクス)。多くの物流管理サービス・

プロバイダが、製造業における注文の受け付けや事前組み立てを

提供するだけではなく、供給元として企業のバリューチェーンの

一部を担うようになってきており、その数は増加傾向にあります。

インダストリー 4.0のテクノロジーは、物流管理の範囲に新たな

可能性を生み出し、完全に自動化された倉庫管理や輸送、および

ワークフローにより、「フューチャーファクトリー」における物流

管理の高度化が実現可能です。インダストリー 4.0の構想では、

製品それ自体に顧客までの最適な輸送パスを独自に定義できる

ようになることで、プロダクトDNAに基づいて予約や調整を自動

的に行うことが可能です。

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The Factory of the Future | Part 2

KPMGのコンサルティング手法

KPMGは、企業に最適な手段を識別し、付加製造など普及期に入っている生産テクノロジーを適切に導入できるよう、

包括的なサポートを行います。当該サポートの範囲内において、ビジネス・モデル、サプライおよびバリューチェーン、

さらには法的な対応が必要となる事象などにわたって、広範かつ特定の要件を十分に考慮し、分析を行います。自社

製品において最も重要なことは、3Dプリンタを用いた製造技術の実現性検証、ビジネスとしての投資対効果検証、

デジタルネットワークを用いた設計や輸送に関する検証の観点です。

KPMGは、財務および投資計画について企業を支援するとともに、投資や実施した施策の効果と、財務的影響について

明らかにします。ここでは、投資を可能な限り迅速に回収することが重要なポイントとなります。また、インダストリー4.0

テクノロジーへの投資における企業の財務的な状況、キャッシュ・フロー、業績への影響に関する分析、および計画、

予算、レポートの見直しについてもサポートします。さらに、企業がコアとしているスキル、生産モデル、および特性

(付加価値、製造技術など)に基づいて、継続的な生産戦略開発に対する共同作業も行います。KPMGは生産ネット

ワークやプロセスの最適化、新しいテクノロジーや運用プロセスの導入とともに、企業のバリューチェーンにおける

関連会社とのスムーズなデータ連携の実現(会社間のインターフェイス設計、関連ITシステムの相互連携)をサポートし

ます。

製造企業は、原材料フローと物流管理において、安全性とコンプライアンスに関する要件を満たす必要がありますが、

これらに対するサポートも提供します。 »

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KPMGは、流動性管理、運転資金管理、キャッシュ管理や、投資資金の抑制に関してサービスを提供します。KPMGの

専門家は、柔軟かつ適合性のある物流ネットワークを開発し、ERPシステムと物流プラットフォームへの接続をサポート

しますが、ここでも目標となるのはデータと情報の一貫したフローです。

KPMG Law*は、知的所有権に関連するリスクを識別し、企業の要件に従って知的所有権およびナレッジ・マネジメント

を行うためのサポートをします。さらに、KPMG Law*は税金について効率的なライセンス・モデルの作成、実装支援、

また知的所有権とその管理についてのトレーニングを行います。

Wolfgang Grasslパートナー、コンサルティング

「KPMGは、企業の市場、製品とテクノロジーの構造、生産スキル、付加価値とコストを考慮し、サプライチェーン、生産、

および法務や税金面を統合したプロセスの開発を支援します」

* 法務サービスは、KPMG法律事務所(www.kpmg-law.de)により提供されます。

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外部の調査機関や開発パートナー、および教育機関や事業者組合の取り込み– 研究開発プロジェクトへの教育・トレーニングの組み込み

– インダストリー 4.0に必要とされるレベルへの従業員スキルの引き上げ

社内の統合– 社内プロセスの最適化(特に原材料と支払に関するフロー)

製品の開発プロセスにおけるクライアントの取り込み– クライアント要件の取り込み

製品供給プロセスにおけるクライアントの取り込み– 顧客情報と製品ライフサイクル全体を通したデータの収集・活用による顧客サービスの向上原材料フローのデジタル化における供給元

の取り込み– プロダクトDNAのシステムへの取り込み– 供給元も統合した計画の作成

47

The Factory of the Future | Part 2

5 バリューチェーンの再構成

従来の境界を越えた大規模統合

イノベーションのビジネス化は、多大な研究開発費を必要とします。

企業は自社の研究開発部門を自身の付加価値ネットワークを

超えて拡大し、垂直方向に実装する必要に迫られています。利用

可能な知識範囲が急速に拡大するため、研究開発の分野は複雑

化し、イノベーションと製品のサイクルが非常に短くなりつつあり

ます。協調への圧力が高まる一方で、研究調査におけるデジタル化

とネットワーク化により、ますます多くの機会が存在しています。

その結果、企業はウェブやクラウドソーシングで知識とアイディア

を収集し、そのアイディアをテストして自社のイノベーションプロ

セスへ組み入れることができ、今日では従来の境界を越えた統合

が可能となりました。

出所:KPMG 2016 図15:大規模な統合

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48

エネルギー利用コストの最適化

デジタル統合をさらに推し進める取組みとして、エネルギー効率

の管理(例:ISO規格50001 エネルギー管理システム)などが

存在します。データを活用し、コスト面で最も有利に生産できる

期間をシステムが計算し、それに従って電力会社と自律的に調整

を行います。「スマート・ビルディング」では、ビルのサービス・

テクノロジーとホーム・オートメーションについて、既にデジタル

化とネットワーク化が行われており、エネルギー効率、快適性、

安全性のすべてが向上しています。

経営上の決定の迅速化

行政の高度化として、また税金の電子的な返還といった電子政府

プロジェクトの取組みとして、「フューチャーファクトリー」は行政

の分野にも登場し始めています。データ・ファイルのデジタル化

と行政プロセスの自動化によって、企業は意思決定と承認の

プロセスを迅速化するという利点を得られます。さらに、行政機関

の効率化という観点では、EU、連邦、州、地方自治体当局への

接続が確保されることで、ビジネス拠点としてのドイツの地位が

さらに強化されます。インダストリー 4.0によってすべての団体が、

高品質でより大規模なデジタル・サービスと、拡張されたインター

フェイスを使用して、より透過的に行政当局と通信を行えるように

なります。

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49

The Factory of the Future | Part 2

KPMGのコンサルティング手法

KPMGは、企業のバリューチェーンについての固有の要件やリスクを分析し、企業の組織間にわたるビジネス・シナリオ

を開発して、統合されたプロセスを持つ国際的な組織を編成することにより、ニーズ主導型のバリューチェーンの設計

を支援します。その後、それらのプロセスのパフォーマンスを測定し、効果をレビューしたうえで、持続性がありコンプ

ライアンス要件を満たした仕組みを、経済的に優れた方法で実装するための条件を作成します。さらに、結果として

生み出される手法が企業価値に与える影響も明示します。

バリューチェーン全体における透明性、コンプライアンス、コスト削減は、KPMGが得意とするところです。透明性に

関しては、資本フローに重点を置き、その持続性や戦略的リスクに着目します。コンプライアンスは、構造が標準化

されていないと維持することは困難な一方で、国際的に標準化され最適化されたワークフローと組織構造があれば、

バリューチェーンのコンプライアンスを常にレビューすることが可能です。さらに、コンプライアンスの状況は財務業績の

一部として評価され提示されます。関連するすべての意思決定責任者との間で、企業資産の最適化により、持続可能な

コスト削減を実現できます。

またKPMGは、企業がコンプライアンス要件を可能な限り満たし、移転価格、付加価値税、関税、貿易障壁を透明化

するために、供給とサービスの流れを税金の観点から調整します。

Dr. Marcus Schüllerパートナー、コンサルティング

「KPMGは、経験を積んだコンサルタントや熟練した専門家の国際的なネットワークを活用し、バリューチェーン全体

に沿って、包括的で統合されたコンサルティング手法を追及しています。様々な産業分野にわたり、外部の経費を持続

可能な形で削減し、サプライチェーン組織をより成熟したものとするように、企業の価値を最大化するため継続的に

支援しています。」

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変化の能力 診断-脱構築 構築計画 再構築シナリオ 評価(変更の必要性も含む)

実装フェーズ

50

6 ビジネス・モデルの調整と 新しい収益モデルの開発

高度なデータ解析による新たな可能性の開拓

企業は常に変化に晒されている(必要がある)という認識は、当然

のものと考えられています。そして、デジタル化によってこの変化

はさらに加速しています。従来のビジネス・モデルは変化対応力

が弱く、競合に置いて行かれることになります。このような事態

を回避するには、現在のビジネス・モデルをデジタル変革に合わせ

方向転換する必要があります。また、従来のコアコンピタンスを

用いて将来のビジネス・モデルを創造することも重要です。これは、

製造業界において、変化を促進する要因を見極め、産業の偏りを

認識し、破壊的テクノロジーを識別するということを意味します。

出所:KPMG 2016 図16:情報からイノベーションへ

その後で、関連事項をビジネス・モデルに照らして評価する必要が

あります。こうした継続的な監視プロセスが、製造業界における

すべての企業のコアコンピタンスの一部を形成しますが、源泉と

なるのはそれだけではありません。市場モデルの作成について、

研究調査からも様々な事実が発見されます。データの評価、

たとえばプロセスや機器の監視の一部として行われるものがさらに

重要となり、エンジニアリングやコンピュータ科学の部門間に

わたる理解を促進し、コアコンピタンスをさらに押し上げることに

なるでしょう。

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The Factory of the Future | Part 2

51

データに基づいた基本的な決定

データの評価により、コントロール、新しい収益源、および実践

的な収益モデルへの手がかりが見つかります。革新的な製品や

サービスを計画し、新しいパフォーマンス・モデルが作成されると

同時に、それらのデータは法的な条件やコンプライアンス要件も

含め、財務要件の初期計算の基盤ともなります。さらに、バリュー

チェーンの構造変更、適切な提携先や買収先の探索、業界に

おけるフットプリントの定義といった重要な決定も可能となり、

新しい付加価値モデルが形成されていきます。

こうしたモデルを実装するために企業に求められるのは、材料や

製造スキルを、時間単位や部品単位、あるいは価値に応じて

支払うというような新しいソリューション・ポートフォリオなど、

特定の製品ではなく新しいソリューションに特化した、将来のため

のコアコンピタンスです(参照元:Fraunhofer IAO)。

研究開発を集約することで知識の移転を促進

テクノロジーの集約と同様に、研究開発の集約も重要です。

解決策への足がかりを提示するため、産業界で既に確立された

研究開発に加え、大学や研究機関、および共同開発プラット

フォームからのスタートアップやスピンオフに期待が寄せられます。

こうした取組みは、アプリケーションの技術移転を可能にします。

製造業界自体、および合弁の製品やサービスに付加価値を生み

出すのは、関連するテクノロジー分野での共同作業そのものです。

保守業務は将来の有望なサービス

顧客が利用している製品から得られる、運用、稼働

状況といった状態データは、将来の保守や新サービス

を開発するために大変有用です。予防保守は、定め

られた期間に最も脆弱な部品をテストして保守の必要

性を検討します。こうした保守には、保守に必要な

部材の在庫量を最小限に抑えるという利点があります。

また、信頼性に基づいた保守を行う場合、差別化

された監視技法により、機械の保守がいつ必要なのか

を認識し、障害発生を予測して、修理と保守のコスト

を可能な限り低く抑えながら、生産性の最大化が図れ

ます。

プラントの保護を目的とした機器や装置の温度、速度、

負荷トルクなどの物理的値の測定は既に広く行われて

いますが、予防的にデータを記録する方法が応用

できるものとして、次のような分野が考えられます。

– 処理時のデータ記録による品質の保証(例:ツール

の監視)

– リモート診断による状況監視

– 最も差異のあるデータ・ソースから得られた運用

データを使用して、技術経験に基づいたベンチ

マークを行い、インテリジェントなコンサルティング・

サービスの基礎データとして使用

– サービス要員のサポートや、トレーニングおよび

認定に関するシステムへの活用

The Factory of the Future | Part 2

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KPMGのコンサルティング手法

KPMGのコンサルティング手法は、顧客への利益、付加価値のあるアーキテクチャ、および収益モデルを基盤としており、

ビジネス・モデルの最適化から変革まで広範囲にわたります。

まず最初に、企業の協力のもと、各種の業務にわたる包括的な観点からビジネス・モデルを分析します。また、法規制、

市場関連、技術、および競合の状況に基づいて、どのようなイノベーションや変革が必要かを定義します。さらに、成功

を確実かつ持続性のあるものとするため、新しい方向性の定着を支援します。また、環境変化、部門の集約、および

破壊的なテクノロジーを促進する要因と、それらがビジネス・モデルへ及ぼす影響を明らかにします。ビジネス・モデル

やアイディアについて、考えられる選択肢を選別し、市場や競合を分析し、さらに顧客や動向の調査に基づいて、次の

段階へ進むための新しい収益ソースの開拓、現行のビジネス・モデルの適合、完全に新しいビジネス・モデルの開発など、

どのような作業でも企業と協働します。

KPMGは企業が新しいビジネス組織、企業プロセス、IT構造を実装する際のサポートも行います。さらに、ビジネス

プロセスに関連するすべてのパフォーマンス指標を継続的に監視するための仕組みづくりも支援します。

Markus Deutschディレクター、コンサルティング

「産業におけるネットワーク化の急速な発展は、企業のビジネス・モデルに新たな概念をもたらしました。これらを構造化

された方法で開発し、ビジネスの基本概念に組み入れることが、KPMGのコアコンピタンスの1つです」

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バリューチェーンの(再)構築における税金の最適化と、知的所有権の割り当て(特に、付加価値が生み出される場所、生産拠点、

機能の移転、およびクラウド・コンピューティングに関して)

税構造最適化の対象領域

国内および国際的な税率の差異

海外出向における所得税

バリューチェーンの(国際的な)再構成による

税リスクの回避

ライセンス支払いへの源泉課税

社内グループの移転価格構造、機能の移転の回避

付加価値税および関税

53

The Factory of the Future | Part 2

7 インダストリー 4.0における税対応

デジタル化により、サービス提供における活動拠点が複雑化し、それに伴い税対応も複雑化する

インダストリー 4.0は、経済や技術的な変化だけでなく、法や

規制の分野にも大きな影響を及ぼします。このため意思決定

責任者は、「フューチャーファクトリー」へ至る過程で税法の問題

を見逃さないようにする必要があります。

出所:KPMG 2016 図17:デジタル化の税対応(付加価値、ライセンス、所得税、関税)

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価値創出の移転

顧客データ、技術、特許などの無形資産(知的所有権、知的財産)

は、企業が成功するための主要な要因です。「フューチャーファク

トリー」においては、その範囲がさらに拡大されます。技術開発

により、企業は膨大な量の複雑なデータ(ビッグデータ)を使用

できるようになりましたが、インダストリー 4.0においては、この

プロセスから自律的な生産要素という付加価値が出現します。

無形の要素の重要性がますます増大するにつれ、国ごとの課税

の相違に基づいた移転も発生します。状況によっては、「フュー

チャーファクトリー」における付加価値は生産の場所から離れ、

研究開発やマーケティングと市場調査の場所へ移転する可能性

があります。この理由から、バリューチェーンを再定義し、移転

価格システムを修正する必要が考えられます。

税金計画の観点からは、 知的財産の法的および経済的な所有権

はどこに存在するか、およびパフォーマンスやサービスに関して、

知的財産が使用される場所はどこかを考慮する必要があります。

価値が生み出される場所での課税

実装済みのプロジェクトを専門的な税の知識なしに再構築または

再編成することは、税に関するリスクを伴います。たとえば、企業

で再構築を行った結果、意図しない出国税や機能の移転などの

状況を招く可能性があります。このような状況に応じて、税源侵食

および利益移転に対するOECDイニシアチブ(OECD initiative

against Base Erosion and Profit Shifting, BEPS)の一部として、

企業の利益に対する課税が、価値の生み出される場所で行われる

ことをどのように保証するかという調査が行われています。この

観点から、知的財産を別の地域へ移転することを困難にし、地域

的な移転の財務上の利点を打ち消すため、国家ベースで導入すべき

特別な手法について議論がなされています。ライセンスの構造は、

「フューチャーファクトリー」とその使用における知的財産の重要性

の増大に直結しています。言い換えれば、知的財産がグループ内

またはグループ外の他者へ移転された場合、その報酬はどのように

支払われるのかということです。

グループ全体や企業間での生産およびプロセス知識の共有も、

同様な方向へ進みつつあります。税対策から、これらの構造を

構成要素として採用し、企業の利益を税対策について最善の形に

まとめることができます。さらに、ライセンス構造から定期的に、

国際的な移転価格や源泉課税に関する疑問が持ち出され、議論の

対象となります。

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The Factory of the Future | Part 2

仮想のチームとサービスにおける所得税、関税、付加価値税の

定義の難しさ

インダストリー 4.0への移行に従って国際的なネットワーク化が

さらに進むと、異なる専門分野や企業に属し、複数の拠点に

わたるチームが共通のデータ・ソースを使用して、より広い範囲

の共同プロジェクトを推進するようになるでしょう。その結果、

企業や活動の拠点を定義することはさらに困難になります。特に、

要員が全世界に分散して仮想的な共同作業を行う場合、所得税を

どこで支払うべきなのか、どの規制やコンプライアンスの要件を

満たす必要があるのかといった疑問が生まれるようになります。

購入と販売のプロセスや、それらに関連する構造の再編成も、

税金と関連します。パフォーマンスの行われる場所における供給

は、関税や付加価値税に適用されます。しかし、サービスが

仮想的に提供され、場合によっては企業が存在さえしていない

国で行われる場合にはどうすればいいのでしょうか?

税務コンサルティングの要件も根本的に変化するでしょう。税務

部門における税金関係の業務はいまだ人手に多く頼っていますが、

ITソリューションによりこのような作業が効率化されるか、完全に

置き換えられるため、税務部門は既に確立されたプロセスの

再調整が必要となるでしょう。電子的な税務監査への動向は既に

明らかになっています。また、税務当局が企業内のデータベースへ

アクセスできるようになり、同時に申告のエラーを回避できる

ようなソリューションも生み出されています。

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KPMGのコンサルティング手法

将来を見据えたKPMGの手法は、国内外の税務コンサルティングの関連分野すべてをカバーしています。コンサルタント

の国際的なKPMGネットワークにより、海外の税法の分野についてすべてのKMPGメンバー企業の特化した知識と

経験へ直接アクセスできます。さらに、付加価値税、関税、移転価格などについて互いに密接に協力し、税金に関する

すべての問題を最適な税計画へ統合します。

KPMGは、税金の構造を最適化するために新しいプロセスを適用します。この目標に向けて、早い段階で企業の構造を

検査し、以前に述べた出国税のような、税金に関する可能性とリスクを識別します。さらに、ドキュメントの義務を

満たすための支援をし、当事者以外での移転価格を識別して、源泉徴収のため必要なプロセスをコンプライアンスの

要件を満たすような形で実装します。これにより、企業の税負担を法に準拠した形で減らすことが可能です。

「フューチャーファクトリー」のリスクを最小化するためには、企業の税金に関するすべてのデータを包括的かつ効率的に

使用することが鍵です。KPMGはビッグデータ解析により、ビジネスにおける付加価値税、収益税、所得税、および

関税法について重要なすべての取引を最短の時間で特定するとともに、ビッグデータが税務当局から過剰にアクセス

されないよう保護します。

今日の税務コンサルティングにとって、ITアプリケーションの使用は不可欠です。KPMGはTaxOneを使用して、独自の

完全に統合されたウェブベースのシステムを、企業の税金管理のために提供します。これにより、税務プロセスが高度

に自動化され、確実に改善されるため、税金のリスクも大幅に減少します。

Brigitte Romaniパートナー、税務

「税務コンサルティングにおいて、企業のデジタル化に関する要件は根本的に変化します。ただし、税務専門家の迅速な

関与により、計画フェーズから税務の可能性を開拓し、リスクを回避して、コストを削減できます」

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ハッキング破壊活動家思想的に行われるハッキング

動機:新しい種類の組織的忠誠-動的で予測不能

影響:公共への影響、世評の損失

組織化された犯罪グローバル化による追跡や告訴の困難化

動機:金銭的な利益影響:情報盗難

ITシステム

社内関係者意図的または不作為

動機:不満、羨望、金銭的な利益

影響:運用の中断、情報盗難、世評の損失

情報機関スパイ活動または妨害工作

動機:政治的な利益、金銭的な利益、軍事的な利益

影響:運用の中断、破壊、情報盗難、世評の損失

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The Factory of the Future | Part 2

8 サイバー・セキュリティ

透明性のマイナス面に関する注意

「フューチャーファクトリー」では、ネットワーク化されたエコシス

テムにより企業に新しい機会が創出される一方で、情報および

サイバー・セキュリティについての新しい課題も発生します。産業

スパイ、情報盗難、競合他社による妨害活動、重要なインフラ

ストラクチャ・プロバイダに対するテロリストの攻撃などは、イン

ダストリー 4.0のインフラストラクチャのオペレータが直面する

課題のごく一部に過ぎません。

出所:KPMG 2016 図18:インダストリー 4.0インフラストラクチャのセキュリティへのリスク

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従来のセキュリティではもはや不十分

従来技術のセキュリティ・ソリューションは現代の攻撃に対応

できず、十分ではありません。個別のインフラストラクチャの

ランドスケープに関するリスクを対象として効果を発揮する

パッケージ化された手法のみが、サイバー・セキュリティへの

対応力とコストを妥当なバランスに抑えることができます。

予防的な手順に加えて、サイバー攻撃の識別と処理を積極的に

行うようカスタマイズされたソリューションも、サイバー・セキュ

リティ・プログラムに含まれます。機器と、そこで処理される

データとが安全に保護され、利用可能であることを保証するため

には、このような手段が不可欠となります。

KPMGのコンサルティング手法

ネットワーク化された製造施設のセキュリティを保護するために適切な保護機構を選択し調整することは、インダスト

リー 4.0の成功に重要な要因です。KPMGの、製造業に関する技術と、製造用施設、ITシステム、およびアプリケー

ションのセキュリティ保護に関する経験を活用して、企業固有の脅威を包括的に抽出し、リスク分析と現在のセキュリ

ティ基準のレビューに基づき、適切な対策を選択して実装します。

さらに、ISO/IEC 27001やISA/IEC 62443などセキュリティ関連のコンプライアンス要件およびセキュリティ規格の

実装においてもサポートします。KPMGの包括的なサイバー・セキュリティ・プログラムには、企業における組織的な

統合モジュール(例:監督、プロセス、認知、トレーニング手法)も含まれており、これらを使用してサイバー・セキュ

リティの持続性と継続的な開発を実現できます。

Uwe Bernd-Striebeckパートナー、サイバー・セキュリティ

「インダストリー 4.0は、サイバー・セキュリティなしでは機能しません。問題は、それが企業の内部に既に組み込まれ

ているかどうかです」

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「フューチャーファクトリー」における法的な課題

知的所有権および知識の管理

データの転送と保管

貿易管理法および輸出規制 責任

雇用関連法 ライセンス・モデル

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The Factory of the Future | Part 2

* 法務サービスは、KPMG法律事務所(www.kpmg-law.de)により提供されます。

9 複雑な法的要件への準拠*

法務と技術・ビジネスに関するスキルの結合

インダストリー 4.0への移行を考える企業は、様々なリスクを回避

するために、多くの法的要件や規制を満たす必要があります。

自動化やネットワークのエラーだけでなく、膨大で重要なデータ

の管理についてのトラブルも、企業および企業の継続性にとって

致命的な結果を招く可能性があります。

出所:KPMG 2016 図19:「フューチャーファクトリー」における法的な課題

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インダストリー 4.0には、法務部門4.0が必要

将来の法務の実務家には、優れた専門的技術に加えて、関連する

ビジネス・プロセスについての深い理解が必要です。イノベーション

のペースがますます加速するにつれ、社内の弁護士は複雑な

法的問題への安全かつ単純で実用的なソリューションを提供する

ため、クリエイティブである必要があります。この目標に向けて、

弁護士は他の業務部門(運用部門、税務、人事など)とより密接

に協力し、部門間にまたがるチームで作業を行う必要があります。

法務部門4.0はそれ以外にも、プロジェクトや契約の管理などの

追加作業も行う必要があるでしょう。

思考からシステムへ

今日では大多数の企業において、特許権や技術などの知的所有権

が、エンタープライズの価値の主要な部分を構成しています。知的

財産や技術の保護は企業の成功のためだけではなく、企業経営の

継続性のためにも極めて重要です。デジタル化とネットワーク化

の増大につれ、企業はますます、自社の技術を文書化し、新しい

プロセスで使用できるようにする必要に迫られています。デジタル

化された技術は、コンプライアンスに関してはサード・パーティー

の技術も含めて、技術的および法的にセキュリティを保護する

必要があります。

それに加えて、国ごとに保護のレベルが異なり、機密性データを

保護する責任もそれぞれ異なります。これは従業員の個人データ

と、ライセンス(たとえば3Dプリントファイル、特許、製品の

物理的な設計など)が当てはまります。

誰が機械について責任をとるべきか?

個別のプロセスにおいて人間の関与が減少することから、責任に

関する多くの疑問点が発生します。たとえば、プログラムの欠陥、

ルーティングの誤っているデータ・リンク、データ転送時の障害

などです。障害やエラーに責任を負うのは誰で、システムを監視

する最も妥当な方法はどのようなもので、誰が製品に関する責任

を負うのでしょうか? そして、データのエクスポートや、特定の

技術インフラストラクチャの使用についての責任をどのように規制

すべきでしょうか?

法的なリスクは、関与する企業により事前に識別する必要がある

ため、個別の企業に合致した責任の管理が、将来にはますます

重要となるでしょう。企業自身のリスクの可能性を特定する必要

があり、その後で特定されたリスクを、たとえば契約の設計、社内

での要件、技術的な手法、そして最も重要な手法として全従業員

へのトレーニングによって低減することも重要となるでしょう。

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The Factory of the Future | Part 2

KPMG Rechtsanwaltsgesellschaft mbH(KPMG Law)のコンサルティング手法

社内の弁護士は、第4次産業革命のごく初期の段階から、包括的で重要な準備段階のサポートを提供する必要があり

ます。KPMG Lawは、インダストリー 4.0への移行に関連する複雑な法的課題を企業が克服するための総体的な

ソリューションを作成します。

たとえば新しい市場や販売チャネルにおいて企業の地位を確立、拡大、および安定させるための戦略作成を支援します。

ここで重要なのは、特許権、商標権、設計、著作権、所有権など知的所有権の法的な保護を保証することだけでは

ありません。KPMGは、効果的な技術管理や、法的に問題のないデータ保護組織とデータ・セキュリティを、たとえば

データ転送や外部サービス・プロバイダの関与などについてサポートします。このような分野にて、KPMGの法務コン

サルティングは、戦略的な知的所有権資産の管理においてますます重要性を増しています。知的財産管理の設計と最適

化により、企業の価値を確固としたものとするだけでなく、多くの場合は増大が可能です。

また、KPMG AG Wirtschaftsprüfungsgesellschaftの監査専門家と協力して、知的所有権とテクノロジーに関する法、

およびデータ保護の分野に発生する特定のリスクに関して、すべてのリスク管理およびコンプライアンスのプロジェクト

で、複数の部門間にわたり支援します。また、税務の要件を考慮した国際的ライセンス構造の確立と拡大に関する膨大

な経験を提供します。

これ以外に、KPMG Lawの活動には次のようなものがあります。

– 大規模なITプロジェクトにおける、入札から実装、運用フェーズまでの法務コンサルティングおよび法務管理(例:

RFP、LoL、NDA、プロジェクト、運用、サービス、ソフトウェア開発およびライセンス契約、および条件付捺印証書

による合意)

– 取引および運用の再構造化に関する、複数の部門間にわたるコンサルティング、テクノロジー分野における従来型の

M&A取引(共有および資産取引)に加え、外注プロジェクト(例:BPO、IaaS、SaaS、PaaSや、パブリック、プラ

イベート、およびハイブリッドのクラウド・ソリューション)についてもサポート。 »

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– 複雑なテクノロジー移転プロジェクト、合弁事業、その他テクノロジー中心の取引に関するコンサルティング(移行

サービスの合意や規制要件の実装も含む)

– 知的財産ポートフォリオの再構築

– 論争の回避と解決における法的サポート、および国内外の訴訟や調停の進行における裁判前の代理

KPMGのサポートにより、企業において責任を負う管理主体は組織における各自の義務を満たし、上述のような変化

に関する実質的な責任のリスクを回避できます。

Tobias Fuchsパートナー、KPMG Rechtsanwaltsgesellchaft mbH 実践グループ・テクノロジー、メディア、テレコミュニケーション責任者

「インダストリー 4.0は、ドイツの経済と全世界の繁栄に巨大な機会をもたらします。これが法的な問題のために失敗

することはないでしょう。KPMGはインダストリー 4.0への移行において軋轢による損失が発生しないよう、複数の

部門間にわたる国際的なサポートを行います」

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The Factory of the Future | Part 2

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1 CEOの課題 戦略的な方向性の決定

最高責任者レベルの課題

インダストリー 4.0は経営の課題であるため、経営者レベルで推進する必要があります。これまでに説明した不確定要素にかか

わらず、明確な開発傾向が既に出現し始めています。作業グループおよび標準化委員会は、信頼性の高い一般的なテクノロジーの

条件を作成しています。パイロット・プロジェクトにより、経済的効率を分析するための基準値が生成されています。カスタマー・

トゥ・カスタマープロセスにおける組織および運用の構造の調整も、今日既に実現可能です。ここでは、これらを担当する各役員

に必要な作業を割り当て、可能な行動についての推奨事項を紹介します。

CEOは企業家として、自らが率いる企業が市場から課される要件

を理解しています。CEOはインダストリー 4.0の実現に向けた

検討を開始する役割を果たす必要があります。このためには、

市場開発から製品の定義や製品戦略、さらには柔軟な配送シス

テムまでのすべてにわたって、広範なスキルが要求されます。

中でも重要なのは、「顧客の要件を代弁」し、株主の要求を満たす

ことです。イノベーションのサイクルとサービス提供スピードが

ますます速くなるにつれ、可能な限り最高の柔軟性が必要となり、

そのためにはプロセスに関与するすべての要素の統合が必須に

なります。インダストリー 4.0テクノロジーの開発、企業構造の

再調整、投資計画のドラフト作成、テクノロジーの評価、および

最適化の可能性の実現が、CEOの議題の主要な項目です。

– インダストリー 4.0は企業戦略(インダストリー 4.0戦略)に

統合された要素

– プロジェクト、ロードマップ、スケジュール、マイルストーンを

実装する戦略

– テクノロジーに基づいたカスタマー・トゥ・カスタマープロセス

を実装する戦略

– バリューチェーンの再編成

2 COOの課題 運用を担当

COOは、生産性や効果性の基準に従い、運用に関して企業を

管理します。COOの責任範囲は企業全体にわたり、購買やサプ

ライチェーンも含めた企業の付加価値ネットワークもカバーし

ます。

– 運用の最適化(プロセスやテクノロジーの習熟)

– 製品およびサービス・ポートフォリオの品質および競合力の保証

– 生産性と利益の向上を実現するシステムの開発と実装

– インダストリー 4.0戦略の運用への適用

– インダストリー 4.0に関するプロジェクトの管理

3 CFOの課題 コンプライアンスとデータ評価のリーダー

CFOの課題の筆頭は、コントロール、監督、およびリスクと財務

の管理です。しかし、持続可能な製品ポートフォリオとイノベー

ションの開発も重要な役割です。インダストリー 4.0の結果として、

これに「ビッグデータと分析」およびデジタルの付加価値のコント

ロールが加わります。一貫したデータがリアルタイムで利用可能で、

適切な能力を持つ評価ツールも使用できることから、CFOの意思

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The Factory of the Future | Part 2

決定の基盤が強化されます。他の要点としては、次のものが挙げ

られます。

– 「インダストリー 4.0互換」の製品とサービス・ポートフォリオ、

および必要な生産テクノロジーに対する戦略的投資計画

– 資金需要計画-将来の資金需要(長期)および流動性需要

(短期)の特定

– 生産性向上のためのツール開発

– 統合された継続的な税務計画

– コンプライアンス要件が満たされることの保証

4 CIOの課題 デジタル化の主導役

CIOは、企業のデジタル化を請け負います。ビジネス・プロセスを

すべてデジタルにマップし、ITシステム内で互いにネットワーク化

します。CIOの直面する課題は本質的に、膨大な数の組込み

システムおよびアプリケーションを、企業のすべてのネットワークを

包含するシステムへと転換することです。それ以外には、次の

ような課題があります。

– 外部からの不正なアクセスに対するインダストリー 4.0プラント

の物理的なセキュリティと保護

– ITシステムの可用性と一貫性の確保

– データやサービスへの不正なアクセスに対する保護(ネット

ワークのセキュリティ)

– エネルギー効率およびプラントの他のリスク(例:環境破壊)

5 CHROの課題 トレーナーおよびチーム・マネージャ

インダストリー 4.0についてCHROと重要な関連があるのは、

新しい組織構造、戦略的な要員の(展開)計画、要員の育成と

サポート、および十分な報酬やインセンティブ・システムなどに

合わせた調整された要員および職能戦略など、人事に関する問題

です。さらに、人材の変換プロジェクトに関連する個別のビジネス、

手順、税務、法務の問題にも対処する必要があります。重要な

点は次のとおりです。

– インダストリー 4.0と調整された人事戦略および人事職能戦略

の作成

– 人事組織戦略の作成(インダストリー 4.0に対する適切な人事

プロセスおよび人事用IT環境も含む)

– 会社に欠けているスキルと能力の特定、要件プロファイル

– 必要な知識の移転および育成のロードマップと確保

– 新しいプロセスに関するトレーニングと専門家の継続的な育成

– ターゲットマネジメントのための人事コントロール

– 社内連絡の概念とロールアウト

– 重要なステークホルダーや各種圧力団体の管理

6 CLOの課題 変化のための弁護士*

インダストリー 4.0に関して、法務部門は増大する責任のリスク

と、企業自身の知的所有権を管理する必要があります。さらに、

インダストリー 4.0に伴う供給元や顧客との関係の変化から、

関連する契約関係の法的な構造や内容について、新しい考え方

をする必要が生まれます。それ以外には、次のような作業が含ま

れます。

– 戦略的な知的財産および知識管理システムの実装(知的財産

コンプライアンスも含む)

– 既存の販売構造のレビューと調整

– データ保護およびITセキュリティの概念のレビューと調整

– 調整された責任管理の実装

– 既存の契約上の関係の調整

– 輸出関連法の疑問を考慮した社内組織のレビューと調整

* 法務サービスは、KPMG法律事務所(www.kpmg-law.de)により提供されます。

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本冊子は、KPMG Internationalが2016年に発行した「The Factory of the Future. Industry 4.0 - The Challenges of tomorrow」を翻訳したものです。翻訳と英語原文間に齟齬がある場合には、当該英語原文が優先するものとします。

ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に対応するものではありません。私たちは、的確な情報をタイムリーに提供するよう努めておりますが、情報を受け取られた時点およびそれ以降においての正確さは保証の限りではありません。何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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KPMGコンサルティング株式会社TEL:03-3548-5111(代表電話)kpmg.com/jp/kc

内田 久パートナー[email protected]

千田 尚子シニアマネジャー[email protected]