thomas 最新作『黄金』で新境地を開いた彼の8作 …...thomas arslan retrospektive...

2
Thomas Arslan Retrospektive 2016 トーマス・アルスラン監督特集 2016 年 5 月 10 日 [ 火 ]-5 月 14 日 [ 土 ] |5 日間| 会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水) 《上映作品》周縁で Am Rand 1991 兄弟 Geschwister 1996 売人 Dealer 1999 晴れた日 Der schöne Tag 2000 彼方より Aus der Ferne 2006 休暇 Ferien 2007 イン・ザ・シャドウズ Im Schatten 2010 黄金 GOLD 2013 主催 アテネ・フランセ文化センター  協力 THE MATCH FACTORY GmbH  Deutsche Kinemathek - Museum für Film und Fernsehen  Trans-Film-Vertrieb

Upload: others

Post on 13-Jul-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: Thomas 最新作『黄金』で新境地を開いた彼の8作 …...Thomas Arslan Retrospektive 2016 トーマス・アルスラン監督特集 2016年5月10日[火]-5月14日[土]

ThomasArslanRetrospektive 2016トーマス・アルスラン監督特集

2016 年 5月 10 日 [ 火 ]-5 月 14 日 [ 土 ] |5日間|会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水)

ベルリン派の旗手、トーマス・アルスラン。

自らのルーツとベルリンに向き合い、

最新作『黄金』で新境地を開いた彼の8作品を一挙上映。

《上映作品》周縁で Am Rand 1991 兄弟 Geschwister 1996 売人 Dealer 1999 晴れた日 Der schöne Tag 2000 彼方より Aus der Ferne 2006 休暇 Ferien 2007 イン・ザ・シャドウズ Im Schatten 2010 黄金 GOLD 2013

主催 アテネ・フランセ文化センター  協力 THE MATCH FACTORY GmbH  Deutsche Kinemathek - Museum für Film und Fernsehen  Trans-Film-Vertrieb

Page 2: Thomas 最新作『黄金』で新境地を開いた彼の8作 …...Thomas Arslan Retrospektive 2016 トーマス・アルスラン監督特集 2016年5月10日[火]-5月14日[土]

トーマス・アルスラン Thomas Arslan1962 年、ブラウンシュヴァイク(ドイツ)生まれ。小学校時代の 4年間をアンカラ(トルコ)で過ごした後、ドイツに戻る。86 年にベルリンの映画テレビアカデミーに入学し、92 年より映画監督・脚本家として活動。アカデミーの同窓生クリスティアン・ペッツォルトらと作風が類似していたため「ベルリン派」と称された。代表作はトルコ系移民 2世の若者を取り上げた 3部

アルスランは紋切型の予想を裏切ってゆく作家だ。『彼方より』は移民二世が遥かな故郷に向かうと思わせてアイデンティティを探す感傷的まなざしとは無縁だ。ドイツかトルコかの二項対立はすでに乗り越えられていた。だから続く『休暇』で典型的なドイツの家族映画をニュー・ジャーマン・シネマの代表的女優アンゲラ・ヴィンクラー主演で撮ったのは、彼なりに<ドイツ映画>を普遍的レベル

兄弟Geschwister 1996年(82分)監督・脚本・編集:トーマス・アルスラン撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェク出演:タメール・イギット、サヴァシュ・ユルデリ、セルピル・トゥルハン、ヒルデガルト・クーレンベルク

売人Dealer 1999年(74分)監督・脚本:トーマス・アルスラン撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェク 編集:ベッティーナ・ブリックヴェーデ出演:タメール・イギット、イディル・ユネル、ビロル・ユーネル、バキ・ダヴラク

黄金GOLD 2013年(101分)監督・脚本:トーマス・アルスラン撮影:パトリック・オールス 編集:ベッティーナ・ボーラー 音楽:ダイアン・カールソン出演:ニーナ・ホス、マルコ・マンディク、ラルス・ルドルフ

イン・ザ・シャドウズIm Schatten 2010年(85分)監督・脚本:トーマス・アルスラン撮影:ラインホルト・フォアシュナイダー 編集:ベッティーナ・ブリックヴェーデ 音楽:ガイア・イェンゼン出演:ミシェル・マティシェヴィチ カロリーネ・アイヒホルン ウーヴェ・ボーム

休暇Ferien 2007年(91分)監督・脚本:トーマス・アルスラン撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェック出演:アンゲラ・ヴィンクラー カロリーネ・アイヒホルン ウーヴェ・ボーム

彼方よりAus der Ferne 2006年(89分)製作・監督・脚本・撮影:トーマス・アルスラン録音:アンドレアス・ミュッケ=ニージトカ 編集:ベッティーナ・ブリックヴェーデ 製作会社:ピックポケット・フィルムプロドゥクツィオン ZDF:3sat

晴れた日Der schöne Tag 2000年(74分)監督・脚本:トーマス・アルスラン撮影:ミヒャエル・ヴィースヴェク 編集:ベッティーナ・ブリックヴェーデ出演:セルピル・ツルハン、ビルゲ・ビングル、フローリアン・シュテッター、ハンス・ツィッシュラー

5月12日[木]15:00『休暇』(91分)17:00『イン・ザ・シャドウズ』(85分)19:00『黄金』(101分)

5月11日[水]14:40『晴れた日』(74分)16:30『周縁で』『彼方より』(計113分)19:00『休暇』(91分)

5月13日[金]14:20『兄弟』(82分)16:15『売人』(72分)18:00『周縁で』『彼方より』(計113分)20:00-トーク「アルスランにおける移民テーマ」 渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

5月14日[土]13:45『晴れた日』(74 分)15:30『イン・ザ・シャドウズ』(85 分)17:30『黄金』(101 分)19:20-トーク「『黄金』をめぐって」 吉田広明(映画批評家)+渋谷哲也

5月10日[火]17:20『兄弟』(82分)19:10『売人』(72分)

にもたらすためのステップだったのではないか。そして『イン・ザ・シャドウズ』ではニューシネマ美学の到達点を示すとともに、同時代ベルリンを普遍的な犯罪都市に変貌させている。アルスランにとってドイツやベルリンはアイデンティティの参照点ではない。だからこそ真に世界的な映画作家となりえたのだと思う。

渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

料金一般=1回券1200円(3回券=3200円)アテネ・フランセ文化センター会員/学生/シニア=1000円(3回券=2600円)お問い合わせ・会場アテネ・フランセ文化センターJR御茶ノ水駅・水道橋駅から徒歩7分東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4FTEL. 03-3291-4339(13:00-20:00) http://www.athenee.net/culturalcenter

各回入替制|全作品日本語字幕付き|全作品デジタル上映

トルコ人の父とドイツ人の母を持つ3兄弟の日常を描く。対照的な兄エロルと弟アハメド。父と対立する妹レイラ。彼らの日常は、エロルがトルコ軍に徴兵されることで、さらなる緊張を孕んでゆく。

ジャンはベルリンに住む麻薬の売人で、成り上る道を夢見ていた。恋人ジャーレとの間には幼い娘がおり、ジャーレはジャンに堅実な生き方を求める。ある日ボスが殺され、ジャーレは真面目に生きようと決意するが…。

21歳のデニスは、俳優の卵として声優として働いている。『夏物語』(エリック・ロメール)の吹き替えの後、恋人ヤンに別れを告げた彼女は、晴れたベルリンの街を歩き、愛について思いを巡らせる。

2005年から6月にかけてのトルコ横断のドキュメンタリー。首都のアンカラを経てイラン国境のドゥバヤジットへ。都市化された西部地域から紛争の続く東部へと、現在のトルコの断面図が描き出される。周縁でAm Rand 1991年(24分)監督:トーマス・アルスラン

ベルリンの映画アカデミーで制作した、ベルリンの壁跡地のドキュメンタリー。

ベルリンの郊外ウッカーマルクの森に囲まれた閑静な家で、アンナは夫と息子と暮らしている。ある夏の日、彼女の前夫との娘たち一家と彼女の母親が集い、バラバラだった家族の関係が見つめ直される。

アルスラン初のジャンル映画。刑務所を出所したトロヤンは、かつての強盗仲間から仕事の分け前を得ようとし、失敗する。独立を守りたいトロヤンはドーラの手引きによって現金輸送車襲撃を計画するが…。

1898年夏のカナダ。エミリーたちは新聞広告の呼びかけに応じ、北部ドーソンの金鉱へと向かう。その道程は地図も役に立たない過酷な荒野を、疲れた体に鞭打って進み続けるものだった。実話を基にした西部劇。第63回ベルリン国際映画祭コンペ作品。

「主人公エミリーは映画冒頭で金鉱探しのグループに加わり、過去の人生から決定的な一歩を踏み出す。だが当初は単なる計画にすぎない。やがて旅の途上で厳しい身体的苦難を経験することで彼女の中に何かが起こり始める。そうやって初めて本当の経験が得られるのだ。映画館の中でもそれが起こるなら、映画そのものによって何かが経験できるなら最高だと思う。」(トーマス・アルスラン 『黄金』ウェブページより)

作『兄弟』『売人』『晴れた日』。ドキュメンタリー『彼方より』でトルコにカメラを向けた後、2006 年の『休暇』からトルコから離れたテーマで映画を作り続けた。2013 年には西部劇『黄金』を制作、ベルリン国際映画祭をはじめ、世界中の映画祭で上映される。現在は再びヨーロッパを舞台に新作を準備中。

※トークは本特集のチケット半券のご提示でご参加いただけます。