title 價値の類型と個性(三・完) 經濟論叢 (1923), …...論 叢 偵 値 の 類 型...

21
Title 價値の類型と個性(三・完) Author(s) 恒藤, 恭 Citation 經濟論叢 (1923), 16(6): 940-958 Issue Date 1923-06-01 URL https://doi.org/10.14989/128035 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

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Title 價値の類型と個性(三・完)

Author(s) 恒藤, 恭

Citation 經濟論叢 (1923), 16(6): 940-958

Issue Date 1923-06-01

URL https://doi.org/10.14989/128035

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Kyoto University

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騨弥㎜

…叢

の本質及長

日本纒濟史

の特性

対症

卿肚會改造

哲學及び連帯

思想

の類

型と個

仏㎜

の産業

に封

る投資

:

税法

の新改正

を論ず

…説

姻年齢

の統計

的研究

・・

縷叩

東京市の水面人口及所帯

・・

炭鑛勢働者の生計状態

本誌第十六巻総目鎌

'法學博

・法

'文學博士

・没

本庄

榮治

田庄太

.・法學博士

法學博士

・経済學士

・法學博士

・渋墨博士

朝 駈 一..一 、臨.L.

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偵値

の類型ぐ」個性

(三・完)

ε個

燈剛十⊥ハ巻

(第⊥ハ號

二)

九四[○

(三

・完

緒言

ソクラ

の便値思想

プラトー

ンの債値思想

ン}の償値思想

緩き

、大

き(以上前々號所載)

プラトーンの慣値思想ミカントの其れごの比較

リッカートの歴史思想

ラスクの債値思想

綾巻(以上前號所載)

ラス〃に於けろ實在の世界こ偵値の世界この措造平行性の主張

†二

純粋便値こ顕在慣値

十一昌

便値の認識

十四

偵値の個性の成立優件

十五

慣値類型及び偵値見.本の劃立ご偵値典型及び便値個性の対立

(以上本

號所載)

.

ラメ

クの贋値

思想

ついて、特

に注

目を要す

るのは、彼

が、

「償値

通性

εし

ては

、贋値

は、

理論的贋値、倫

理的儂値

、美的

償値

なご

の種

別を有

るに反

し、便値

一回性

の形態

におけ

る贋値

、終極

おいては、理論的

、倫理的、美的等

の、個

々の類型的償値

に謝

し、何等

かの目的

論的

關係

に立た

しめら

べきも

のである

にもせ

よ、

これら

の形

式的

慣値

に見ら

るやうな

、種別

的特

定性

を超

越す

る」

嬉、説

いてみ

る黙

であるQ即ち

スク

の見解

から

すれば馬儂値共

通性叉

は普

遍的

償値

ご、債値

個性

叉は個性的儂値

εの野立は、種

別的

に特定

る償旗、帥ち

理論

的、倫

理的

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美的等の債値の世界以外の他の世界において初

めて、見出

されるピころの劃立である。言ひ換

るざ、贋櫨個性

の世界が、至艦

ごして、理論的、倫理的、美的等

の債値

の世界に樹立するものご

思惟

されてるるわけである。私は、斯

かるラスクの見解を、その儘承認し得ないご考

へるもので

あって、償値共通性ご償値個性εの対立を、種別的無規定性の彼岸から、種別的被規定性

の世界し

に置換す

るこごによって、債値の世界

の構造をよb明確ならしめたいε、思ふのである。

・フスクが、實在の世界の構造

εの劃照によ

って、償値の世界の構造を理解しやうεしてみる事

は、前

に述

べπ所である、すなはち

ラスクに從

へば、償値共通性の世界は自然的實在の世界

ご類

似した構造を有

って居り、償億個性の世界は、歴史的實在

の世界ξ類似した構造を有

って居

る、

あだかも自然の世界においては、その頂黙に、最も普遍的なる自然その者の概念が立ち、その下

方には、相識的

に普遍的なる自然法則の概念が立ち、最低層

には、特殊なる自然現象の概念が立

つのに封慈して、債値共通性の世界においては、その頂黙に、最も普遍的なる債値その者

の概念・

が立ち、その下方には、相劉的

に普遍的な

る種別的慣笹の概念が、すなはち理論的、倫理的、美

的等

の概念が立ち、最底層には、それら

の種別的償値の概念の単なる見本た

る意義をも

つにすぎ

ない巴ころの、個髄的僧位

の概念が立

つものこ、考

へられるわけである。そして、最も普遍的な

る債値其者

の概念及び相劃的に普遍的なる各個の種別的償値

の概念の本質及び意義を明かにする

便値の類型ミ個性(三・完)

第十六巻

(第六競

五三)

九四一

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債値の類型ざ個性(三・完V

第十六巻

〔第六號

五四)

九四二

なら

ば、是

れに由

って、そ

れら

の概

の下

に包

され

るごころの

}切

の個別的償値

の本

質及

び意

は、剰す所

なく、完

全に把捉

され能

ふ筈

であ

る。

この場合

に、

々の特殊的償値

が、相

に歴

され合

ふ所

のも

の、及

び普遍的債値

から塵

され

る所

のも

のを、具有す

こεは、.勿

論で

あるけ

れご、斯

かる匠

別の根擦

る所

のも

のは

、個

々の特殊的

償値が、債値

ごし

て具有す

る性質

のう

ちに存す

るものではな

くて

、軍

に、それ等

の償値

の支

盤た

るεころの實在

的要素

の特性

のう

ちに存す

るε、思惟

されるのであ

る。

に反

て、償値個

ごし

て親

れた場合

おけ

る償

値は

償値共通

ざし

ての贋値

ε同様

に、原本的

實在

を支盤

εし

て實

されるも

のでは

あるけれご、債

個性

が、各自濁特

の意義

をも

つのは、

それが飽

くま

でも償値た

る性質

にお

いて具有す

るεころ

の個性的

具象的内容

に因

るのであ

って、債値共

通性

の場

のやう

に、それ

の支離皿た

る質在的

要素

の特殊

の構造

に基

くの

ではな

い。償値

個性は

、各自

かやうな個性的

具象的内容を拉

つ~、相

に關

嚇し

て、統

】的

有機的塗膜

の組成

に参

加す

るのであり

袖斯く

して建

され

る鵠系的系

にお

いて、各個

の債

値個性

は、唯

一回し

か、そ

の實

の機會を有

せす

、そ

の唯

一回の機會

にお

いて、.

の優位個性

の意

は、それぞれ充

分に殿

され、展開

されるのでめ

る。し

かも、かうした償

値個性

の不反覆

性は、歴史的實

における事件

が、時間

の流れの裡

に、唯

一度現

て、そ

の歴史

的要素

εして因

果的

使命を果す

のεは

を異

し、

それ自

身絶傳的

る統

一的

意味

を顕現

ρ

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るεころの、具象的全禮的償値個性

の構成要素を、.一個の連続的系列のうちに置き並

べた場合

に、抜き差しのならぬ孰れかの

一項を成すものたるこごを、意味す

るものに他ならない。軍なる

個別的償値ピ債値共通性蓬が、恒

に相互に他εの論理的關係を指

示し合

ふやうに、債値個性は必

ずや、或は部分的債値

εして、全禮的儂値個性εの論理的關係を指示し、或は全艦的債値

εして、

部分的贋値

個性

εの其

れを指示するのでめる。

文化科學

の考察方法εしての理論的償値關係方法は、それ自身普遍化的概念構成方法εも、個

性化的概念構成方法εも、結合し能ふものであるだ、私は考

へるのであるが、この後の結合

にお

いては、考察の勤象の關係

せしめられる所の償値は、普遍的償値

たるべきではなく、個性的償値

たらねばなら諏ε思

ふ。而して、理論的僧位關係方法の所産たる、文化費在

の世界が、宗激、科

學、道徳、法律、藝術、経済なごの、個

々の特殊的文化賞在

の世界

に別たれ

つ\成立するのは、

勤象

の關係せしめられる横位に、察鍬償値、科學償値、道徳慣旗、法律慣値、藝術横笛、経済償

値なごの種別を存するからに他ならぬ。然

らば、宗敷皮、科學史、道徳皮、法律良、藝術史

、輕

濟皮なごの、個々の歴史的文化費在が、個性化的償傭關係方法の所産εして成立するのは、対象

の關係せしめられる所の、、各個の種別的殿位が、個性的偵値内容を具有するものたるこごを、指

債値の類型

亡個性

(三。完).

第十六巻

(第六號

五五)

九四三

1)こ の臨 に つ い て1土、ヨ鞍に詳 細 に言論述 す ろ こ ミ為 省 略 す る。

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偵値の類型ξ個性(三・完)

第+六巻

(第六號

五六)

九四四

示す

るもの

ご、盲

べきでめ

る。

われわれが、あた

へら

れだ

一定

の威

畳的實

在要

素を機縁

・こして、観

照的態

度を

ごる場合

に、.之

を導

く魏照

的意味

の目標如

に階

って、観照

され

る償値は、必

に、

さまざ

まの異

る種別相を

示す

る、而

して

この観照

的意志

の目標

εす

る所

のも

のが、

一定

の先験的要素

を確實

に包容

居り、

これ

により、

あ陀

へられセ威畳的要素

から澤出

し來

つた内

容を、

一定

の先験的條件

に達

っ.

て綜合す

る場合

には、客観

的意味

そな

へだ

債値表象

が成り

つのであ

る。

に反し

て、観

照的

意識

が、斯

かる條件を

具備す

るこεなくし

て働

く場合

には、

に主観的意味

をそな

へた償値表

が成り

つに過

ぎな

い。更

にわれ

われは、斯

かる債値表象を

、理會

の豊

象こし、

これに向

って僧

値制断

を加

へるこεにより

、客観

的意味

もし

くは主観的意味

そな

へた便値

的概念を構成

るの

でめる。そ

の際、償値

判断が

、主観的

に安當

る主張

ざし

て、定

立され

てる

るか、客観的

に愛當

る主

張εし

て、定

され

てるるかε

いふこ

εは、判断

の封

象た

る儂疽

その者

の安當性

が、主観

的陀

るか、客観的

だる

かの標準

を、

それ自ら

提示す

るものではな

いが、

対象

る償笹

の側

から見

れば、主観的

妥當性

を有す

るにす

ぎな

い償値

は、斯

かる償値

こし

て理會

され

,、〕εを要求

し、客

観的愛當性

を有す

る贋値

は、また斯

かる性質

にお

いて、理會

され

こだを要

求す

る。例

へば、肉

的官能的

欲望を満

足す

る諸

慣値

は、前

の種

に臆す

るも

のであ

り、そ

に關

ては

、客観的

,

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當性を主張す

な判断の形式は、最初

から許され得ない。之に反して、理論的償笹踊係方法におい

て目標蓬されるεころの償値に關しては、両様の剣断

の形式

が、論理的には可能であるが、

この

種の債値

の眞正の意味は、客観的袋當性を主張す

る判断の形式によってのみ、把捉

され能ふ蓬、

吉日はざるを得ない。

贋値観照的意識に拓いて、それを指導するざころの先天的要素は、軍なる贋値普遍性を表明す

るものこしての債値

の概念ではなく、謂は~概念以前

の形象でみり、

一切の贋喧表象の成立をし

.て可能ならしめるざころの根源である。之を概念的に表白して、假りに純粋償値嬉呼ぶならば、

純粋償値は、あらゆる個々の償値

の根源εして、最も普遍的なる意義を有す

るご同時に、最も豊

富なる内容を包賊するものピ言はねばなら阻。そして、斯かる源泉より、多種多様な

る個別的内

容を汲み來りながら、戚畳的要素を支盤

εして實

呪され谷εころの、

一切の債値表象は、観照的

態度の立場

においてのみ把捉され能ふ・こころの、微妙な

る渾

一的内容を提示しつ、、われわれの

意識

に展開し來るのである。かの純粋債値

に射して、斯かる債値表象によ

って把捉

されるεころ

の償値を、假りに顕在債値

ξ名づけるこεεする。

あπ

へられた任意

の顕在債値について、私たちは、

一般に、それは償値(叉は反債値)であるご

判断するのみならす、親照的意識の働きを支配する`ころの意志の方向如何を顧慮して、

(例

慣値の類型ご個性(三・完)

第十六巻

(第六號

五七)

九四五

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慣疽の類型ミ個性(三・完)

第十六巻

(第六號

五八)

九四六

)それは道徳

償値

(又は反

道徳

償値

)であ

ごか、叉

はそれは藝

術償値

(叉は反藝術便値

)で.あむ

蓬か

いふやう

に、判断

を下す。

この場

に、或

は儂値

(又は反

債値

いひ、或

以道徳

償値

(又は

反道徳償値

)εか、藝

術債値

(叉は反藝

償値

)

εかいふのは

、そ

の下

に包囁

さる

邸き

一切

の債値

見本

に共

なる標

徴を把持す

るε

ころ

の普

遍的

慣値概

念にす

ぎす、乱削に暴

した純梓償値

の表象

ごは、全

く異な

るものた

るこεは盲

ふまでも

い。

この種

の普遍

的償値

概念

により、

顕在贋値

の世界

を考察す

るごきは、宗敏

、藝

術・道徳

、経済

法律

、科學

なご

の種

々の贋値種

の各 個

にっき、それ

ぞれ普

遍的

便値

の世界

、叉は慣値

の類型

界が成

立す

る。斯

る債値

の世界

おいて、最

の普遍的

横位

よb出獲

て、漸次

に特殊性

む償誼

の層

に降

って行

ζき、普

遍的贋値

の見

からしては理會

され得

い要素

に逢

着す

みけ

れご,それらの要素は、非

債値

的要素

たるの

であ

るから、債値考察

の立場

においては、

之を不問

に付

しても

、毫

も妨

げな

いεされ

るの

であ

る。

して見

れば、斯

かる償値

の世界

の本質を

理脅す

には、最高

の普遍

的儂値概

念を、考察

の凱象

注す

れば、足

る可き筈であ

って、

それ以外

の考

は、.第

一義的

に問題

εされるこざを須

みな

いわけであ

る。

十三

さきに私

は、.實

在的存

の世界

に閲

『それ

について論理的構造

が問題

εされる

ピニろ

の世

9

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界は、既

に何等

かの程度

において、思惟

によ

って規定

され

π対象

の世

ご、思惟

されなければな

漁』

ご育

つπが、同様

の事柄

は、

便値的劃象

の世

篤關

しても

安當す

るご思

ふ。

顯在傾値

その

の世界は、全

然個性的な

る債値内

の展開

され

る世界

であ

るけれご、債値

の普

遍性

び個性を

論理的見地

から

問題

εす

る場

には

、思惟

の規定

に服

し得

るもの

ざし

ての慣値

の個性

が、.考察

対象

ごされなけ

れば

なら

臓。

から若

しも

、顯

債値

つき、私

たちは、普遍的

償値

概念

にみち

びかれ

るこころ

の償値劉蹴を

か、下

し能

漁も

のである

ピす

るなら

ば、個性

的債疽

の世界

の論

理的構造

を問題

こす

こεは

、恐ら(意味

をな

さ漁仕業た

るであら

う。

存在利断

ε慣値判

εを比較

すれば

.後者

一般

にその確實性

おいて、遙

かに前者

に劣

`され

るのが、通常で

ある。し

かしな

がら

ウイ

ソデ

ルバソドが鋭く洞察

したやう

に、

あら

ゆる

劉断は

、根本

にお

いて償値判断

である

ε

いふ事柄

の意味

を、省察

るなら

ば、存

在判断

にせよ、

贋値劉断

にせよ、

それが現實

に行はれ

るも

εし

ては

、す

べて藁

の把捉

を目

ざす努

いて

成功

ε失敗

・しの

いつれ

かに了

る可能性

を有す

るのみならす.

假令成、功

する

も、そ

の成

は、到底完全

たり能

はす、殆

んご無

の完全性

叉は不完全性

の階

段を示

ε、育

べきで

ある。1

顯在償値の個性的内容を把捉せむεす

る判断が、その普遍的内容の把捉に向けられる

割衛

に比し

て、

はり困難

であb、より

小な

る確費

を示す

のである

こしても、慨

に、存在

剣断

偵値の類型ε個性(三・完)-

第+六巻

(第六號

五九)

九四七

1)前 號 ド44頁 参 照.

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,

7

.

慣値の類型ε個性〔三・完)

第十六燈

(第六號

六9

九四八

に比すればより人なる障碍を克服しなければなち

灘普遍的贋値判断

に謝し、客窺簡要當性に向

て努力す

る権利が、ゆるざれるならば、同様の権利が、個性的償値割断に謝して、許され得ない

理嵐は、之を腰見し能はぬであらう。

この黙

については、自然科學的認識に謝して、歴史科學的

認識が立

つε同様

の地位を、個性的償値認識は、普遍的儂値認識に射して有するご、言

ふべきで

ある。

一般

に、贋値

の認識は、存在の認識

に比して、

一層困難

であり、確實性を敏くεいふ事情

の外に、馴断もしくは概念の構成要素だる言語が、領値的内容を表出す

るεいふ目的から見

て、

實在的内容

の場合に比拘るε、遙かに不便であり、不適當であるε

いふ事實が、個性的傾値認識

を阻礙するこごも亦、明かでめる。しかも、これらの困難及び障碍にも拘らす、慣値

の.個性的内

容の理論的把捉は、原理的には可能であり、成

る程度の成功の可能性を有す

るものε考

へられる

のである。

ラスクが、贋櫨共通性の世界に饗し、贋値

一回性の世界を樹立せしめるのも、右に述

べたやう

な意味

においての、個性的償値認識の可能性を、前提するものであるご思ふが、個性的債値認識

ば、種別的認識

の彼岸

において成立す

るεいふラスクの見解は、前述

の如く、之を承認する.」ご

を得な

い。

この黙

に關

しては、私の知る限りでは、ラスクは詳細なる論述をあた

へてるないが、

假りに一フスクの立場に立って、彼の謂はゆる債値

一回性の概念の内容的特性を表

明するやうな名

9

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.

「」

稠的規定を加

へるεすれば、慣値

一回性εしての贋値を、歴史的傾値

ビ呼び得られるであらうε

・償値

の内容の普遍性叉は個性のいつれか

一方を表明す

るものεして肉普遍的慣値叉は個性的債

直の概念を構成するεいふこεは、專ら形式的に、債値を問題

εする見地から、試みられる分類

覚る以上、斯かる勇類方法に、債値の内容

の種別的特定性を問題εする見地からの分類方法を、

混用するこどは、憂欝でな

いε思ふ。すなはち、普遍的債値ε個性的償値

εの対立の思想は、種

別的に規定

されだ各個の客観的償値の世界の考察においても、能く維持

され得

るものであり、且

つ斯くするこεによって初

めて、この思想.の理論的意義は、

一層十分に螢揮され得るのである。

善徳、宗激、藝術、科學、法徳、経済、激育、技術等

の諸

々の償値の世界にお

い̀て、吾々は、そ

れぞれ慣値類型ビ、償櫨個性`の対立するこ`を獲見し、實在的野象を、前者に關係せしめるこ

εにより・

普遍化的文化科學概念を構成する異

に、

之を

後誉

關係せしめるこごにより、

雁皮的丈比科學概念を構成するのである。他の語を以

て言

ひ表はすならば、廣義

における道徳債

値、藝術債櫨等

の世界のうちに、吾々は、狭義

に於ける道欝

値、藝術儂値響

、消蟹

、内

藝術史

償値等

εを匠別すみ

のであり、前

の種類

の償値

に關

して、

理論的考察

に礎

事す

るも

のが、

道徳哲學

、藝

術哲學等

であるεす

れば、後

の種

の贋値

ついては、そ

の理論的考察

を任

εす

慣値の類型ざ個性(三・完)

第十六巻

(第六號

六こ

九四九

1)践 で歴 史 的 慣値 幽 ・ふ 概 念 な考 へ ろの に,慣 値 の 理論 に 泌 け る歴 史 主 義 芝 に全 く

異 な.ゐ見 地1二 立 脚 す る もの で あ ろ。 一cf.Lask,Rechtsphilosophie,S.12-13.

邦 舞,20-21頁

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償値の類響

(三・完).

+六巻

(第六號

二)

九五Q

`して、道

徳的歴史哲學、藝術

的歴史哲學

が成

立す

べきであるご、考

へら

れるのである。

そして、或

る人

物叉は或

る事件

が、輩

に政

治償

こか、宗激償値

ざか、経

済債値

かの、

いつれ

かの

一つに關保

せし

められ

て、その個性を考察

され得

るば

かりで

なく、こ個叉は

それ

以上

の償値

に關係

せし

めあ

れるこ.蓬によb、

一層完全

に、

一層深

く、

の個性を考察

されるやう

に、或

る対

の慣値

は、敬

治、宗激

、経済

の種

別的

憤値

の、

いつれか

一つから、そ

の個性

を把捉

され

ご同時

に、

これら

の観照

二個叉

はそれ以上

を綜合す

るεころ

の見地

から

=暦完全

に、

層深

く、

の個性を把捉

され得

るのである。

て脛

験的

にあた

へられ陀或

る諭象

の個性的償値

が㍗

それに關

て立てら

れ得

一切

の僧位親

、能

ふ限り洩

れな

く綜合す

の見地

ら把捉

され得

εす

るならば、

その謝象

の歴史

的債値

「般

が認識

されたも

`、言

べきであら

かの

ヘーゲ

ルの歴夏

哲學

の如

きは

、斯

る意

おける歴史的贋値

一般

の膳…系的認一識を

、目

εす

るも

のではなから

か。

十四

直観

の世界

におけ

る無

に多様

る異質

的内

の麟

の流

れの裡から

、任意

に、

この内

容又は

かの内容を

、それぞれ

】個

の対象

εし

て措

した場

に、

それら

の若干

の劃象

いつれを取

って

ても内相

互に別異な

る個性的内

容を

、観

し得

るこεは、

明かであ

るけれ

ご、斯

かる意味

にお

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る個性

は、未

だ以

て個性

の論

理的意義

に叶

へるものεは、吉

ひ得な

い。成

る対

象が、十

分なる

意味

おいて、個性

を有す

るε、

みε

められ

た能

ふた

めには

、絶

傭性

ご、不可身

的統

】性

ε、凋

立性

εを、併

せ具

へな

ければなら

諏。先

づ減

る劃象は

、それ

の包容す

る諸要素

が、統

一的原

理に

って内面

に綜合

せら

れ、不可

分的杢膿

を構

成す

るε

いふ

のでなけ

れば

、個性

有り

ごされ

るこ

ξを得

い。

しかも、斯

かる内

面的構造

の儘

に、或

る対象

が、絶

に孤立

て存

在す

るも

ε、

思惟

される場合

には、己れ

みつからを

、輩

に己れ

みつから

嬉し

て、保持す

のみであ

って、己れ.

みつ

から

の個性を

顯現し

つ、、己

れみつ

から

を保持す

るもの

蓬言

ふこざは能

きな

い。

そのた

めに

は、他

の諸

謝象

ごの關係

おいて

.縄備的

り、濁

立射

たる

のでな

ければ

なら

諏。絶儒性

の前階

.

は、別異性

であ

る。成

る対象

がギ他

の饗象

εは

別異

る内

容を有す

ε認

めら

れる

のは、すで

に、これら

の勤象

が、同

一の意識

の騰

のうち

に掻

され

て、それぞれ別異な

る規

定をあだ

へら

るこ

εを

、意味

るので

るが、進

んで若干

の劃象

が、各

の別異

なぢ内

容を

具有

つ\

れら

の別異

る内

容を統

】的全禮

にま

で綜合す

εころの、有機

的關聯

に参

加す

ざき、各

個の

封象

に固有

る内

の別異

性は、

一個

の包括的

、統

一的な

る至艘内

の構成要素

遣し

て、

それ

凋特な

る意義

を、すなは

絶傳性

を獲

得す

るのであ

る。而

て、

その際

、各

の対象は

、そ

れぞ

れ絶儒

的な

るが故

に、相

の關

にお

いて他を支

持し

つ、、協

して全艦的

關聯

の成立を

可能

債値の頚型ご個性三

・完).

第+六巻

(笙

ハ號

六三)

九五

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債値の類型ミ個性〔三・完)

.

第十六巻

(第六號

六四)

九五二

らし

めるのであり

、斯

る地

ε能

εに基

いて、.全禮

εの關係

にお

いても、侵す可

からざ

る濁

立性を保有す

のであ

る。

かやう

に、数多

の鋤象

が、互ひに粗率

みて、

一個

の連続的系

列の裡

立ち

入り、其

の中

にあ

って、あら

る謝象

、他

の如

何な

る他

の饗象を

以てして

も置

き換

へ得

れな

いやう

な濁

の地

位を、占有す

こεに因

り、

の偶性を獲擁す

る場

には

、それら

の謝象

分岐

εす

る系

列其者

は、それみつ

から全然個

性的

な統

一的

全鵠

を提

示す

るも

のε、言

はねばな

ぬ。

る贋値

が、十

分な

る意味

いて、

その個

の故

に、債直

めりビ

されセ

るた

めには、ひ

ごし

く右に述

べたやうな條

件が、充

されね

ばなら

諏。純

る観

照的

態度

おいて意

され

る個

々の

贋櫨

は、各自

それ

に特

有な

る内容

の鰹

に、自

の個性

の認識

を待

ちまうけて

るるのであ

るが、'そ

れら

の贋値

の個性

が定

されるのは、

より包

括的な

る内容

を有す

る慣値

の膿

の不可峡的構成

ごし

て、

それ等

の債値が探澤

される

こごに塞ぐ

のであ

る。

しかも

この場

に.、

全艦儂直

は、部

分債値

の個性的内

の総

和を以

てしては、蠢

くす

こεの能

きな

い個性

的内容

を有

し、

あだ

かも部

分贋値

が、

全燈

ごの關

において、猫

立性を

有す

るε同様

に、全禮

償疽は、部

分債櫨

の全巻

εの

關係

おいて、凋自

の意義

を表

明す

るのであ

る。

しかも全禮

債櫨

の個性が、強烈

であり、偉

大で

めり、豊富

であれば、

それ

に塵迫

され

て、部

身傾値

の個性は

、微

弱であb、鼻小

であり、貧疎

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ある

ε

いふやうな

の巴は、全

く反射な交互関

係が、両者

の間

に成b

つのでめ

る。

而し

て、或

艦慣値

ぽ、

をの部

分領値を

ゐで、

よb包

括的

る全罷

償値

の構成

分子た

御地

に立

つこピよ

b

、それ自身

の個性及

びそれの部分債値

の個

性を

、確保

され

るごい

つセや

うに、

}の全艘傭値

により包括的な

る全膿

僧疽

に従属す

るので

るが、各種

の衝疽

の世界

において、終

の全艦

を成す

べき所

のものは、純

粋償値

の理念

って、

あらゆ

る顕在

償値

に比し

て、よ

る、よ

り顕著な

る個性

を有す

るも

のε、言は

ねば

なら

瞭。

普遍

的儂値

の世界

おいては、上層

に立

つ贋値

は、下層

に立

つ其

れに比して、よb普遍的、

一り抽象

的であり、從

ってその内

の量

おいては

より盈

しきもの花

るこεを免

れぬに反

して.

個性的

慣値

の世界

においては、上層

の贋値

、下

のそれに比して、より個性的、

より具象的

b、そ

の内

の量

も、より豊

かであら

ねば

なら

澱。而

して、前

の世界

お.いて、上層

の債直

を、

下層

の償値

εの關係

おいて、贋値類型も

くは類型的構値

ご.呼

こε

、す

るなら

ば、.後

の世

おけ

る上層

の債値

、下

の償直

巴の關係

おいて、

僧値

典型

もしくは典型的慣値

ε呼ばれ

べきでめら

ヶ。

かく

て、道徳

、宗激、科學等

さまざま

の文化

の世

界を地盤

εして、そ

の上方

に、

類型的

贋値

ご典型的贋値

ごは

、全然別様な

る論理

的構造

を具有す

る各

の世界を展開す

べく、

れ等

の各個

の贋値

の世

にお

いて、

一切

の類

型的

儂値

一個

の最

の類

型的償値

に頂

し,

一切

預値の類型ζ個性(三・完)

第†六巻

(第六號

六五)

九五三

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償値の類型こ個性(三・完)

第十六巻

(第六號

大六)

九五四、

の典型的儲値は

 個

の最高の典型的慣値に頂察するであらう。更にまた、

これら

の最高級の類

型的債値の若干個数は、

一個の窮極の類型的償値、帥ち普遍的債値

一般の下に共鵬

し、同様に、

最高級の典型的慣値の若干個数は、

一個の窮極の典型的償値、即ち個性的償値

一般

の下に共腐す

るもの`、硯られるであらう。

十五

償伍の個性が、右に述

べ窪やうに、慣値それ自鎧に内在す

る具象的意味

の方面から、問題εさ

れる場合には、道徳積徳、塁間償値、宗激憤櫨、藝術憤値、法律債値、脛濟債値なごの各種

の世

界の内面において、各自に特有な

る幾多の衝値典型に包撮せられる贋値個性の騰系が、観取され

るのでめる。例

へ民、贋値類型ざしての察激憤値

一般は、あらゆる種類

のあらゆる宗激憤億

に共

通なる若干

の普遍的標徴の統

一者を意味す

るにすぎないが、償値典型

εしての崇激憤値

一般は、

あらゆる種類のあらゆる宗敏儂億の個性を産出

して、なほ限り無

き産出力を賊す

るものである。更

に典型的宗敏償匝

一般の内面には、佛激的、基督敷的、回激的等

の名稽を以て呼びえられるεこ

ろの、償値典型が、並び存立す

る。佛敏εいひ、基督激εいひ、回激ごいひ、歴史的實在εして

親られる場合には、時間的事實姓

の世界の因果的關聯の中

に、その存在

ご獲展ごを託す

るもので

あるが、.歴史的に宗藪的貴注を地盤

εして顕現する各種

の宗鍛的償値典型は、實在の世界を超越

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せる個性的贋値の世界の統

一的構成原理だ

る意義を有するものである。更

に例

へば、佛敏的贋値

典型の領域の内面に

わいて、眞盲宗的.澤宗的、日蓮宗的、真宗的等の諸種の優値典型が、匠別

され、それらの贋櫨典型は、それぞれ無撒

の償値個性を包容しつ

、、蜀自の範域を展開するであ

らう。なほ他

の方面に倒置を求

めるならば、緯

董の諸流涙の表現する個性的贋値の如きは、典型

的繧酋贋直

一般の世界の内面において、猫自

の領域を劃しつ\相対峙するものであるα若しも鱈

書の諸流振の意味する所

の贋値

が、債雄類型εして理會されるならば、す

べて或

る流涙の傳統又

は特徴

に適合する縛謁は、何等かの緯藩償値を示す限りは、當然

にその流涙の糟嵩置値を具有す

るものεして、銘を打たれるであらう。之

に反して、縛薔の或る流涙

の精神置も呼ばれるべ.さ所

のものが顕現する典型的償雄は、真正な.る意味

にお

いてその精神を膿現する総謁

の償櫨内容

に非

ざれば、その膿系

の構成分子ごして.之を探撰しないであらう。

贋値の個性は、更

に別個の方面からも問題εされるこごが能きる。すなはち、私把ちは、實在

の世界を地盤εして、自己の活動

によb、償値を實現す

る能

力.をさづけられた、唯

一の主艦た

る、人格者

εの交渉の方面からも、贋値の個性を考察す

るこεを得る、贋値が、同

}の個人の活

動に基く所産εして、思惟される限りにおいて、同

=煙類

の償値の世界の内面における諸贋値は

他の個人

の所産ξして思惟されるεころの諸償値.がら、判然ε識別されるやうな、個性的色彩を

偵値の類型・・個性三・完)

第+六巻

(第六號

六七)

九五五

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便健の類型ε個性(三・完)

第十六粗

〔第六號

大入)

九五六

示すものでめる。しかるに、同

一の個人の活動が、異なる種類

の償値

の世界の成立に寄興するも

のε考

へられる結果

`して、諸種

の債値の世界に亘

って、その中から、或

る個人の所産た

る諸償

値が、抽出され能

ふわけである。而して、斯く描出された諸種類の諸債低が、

一個の人格償惰

見本

εして覗られる場合

には、後者は、贋値類型

こして、前者

に掛立すものであるが、それらの

諸債値が、各自の債値種別に從

って整序せられ

つ渓

一個

の人格僧値の個性的絶儒舶内容を合減

するもの`して、認識

される場合

には、後者は、債姐典型

εして、前者に臨むのである。成る特

定の種類の償値個性

の世界の内部において、或

る個人の人格の所産πる各個の償値は、

この優位.

典型εしての人格償値εの關係

において初

めて、其個性的意義

を理會

され能

ふのであり、且

つそ

れら.の諸償値が、輩に因果的意義

において、或

ム個人

の人格の所産

花るに止まらす、内面的、必

然的意義

において、残

る個人の人格の謹撰系列の

一分肢εして理會される事も、各個の典型的人

格贋直の思想によ

ってのみ、可能ごされるのである。更

一、幾種類かの贋値

の世界を通親電て↓

真庭

に、或る個人の人格の所産たる諸償値

の存

立を認識した場合に、各個の慣値の世界において

顕現された諸儂直が、その存立の地盤の方面における共通性以上に、内面的必然的關係

によb、、

」個の人格の活動の成果ごして思惟され能

ふのも、ひεしく典型的人格債値の思想"負ふのでみ

る。紫より藪

に謂はゆる典型的人格慣櫨は、純粋なる変當性において存立す

るものであって,個

9

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の精油的及び肉臆的機構のうちに與

へられるものでもなければ、個人が現實

に構成する何等か

の思想的意識内容その者

のうちに奥

へられるものでもな

い。各個の個人の.人格償値の個性的内容

は経験的、事實的には、棺を蓋

うて初

めて定まるのであるけれご、論理的には、者個の個人

の人

格債値の典型的個性が、先づ確固たる存立を有し、それに基

いて、彼

の人格的活動の所産た

る、

一切の個性的償値が、.その絶儲的内容を具有するのである`、思惟されなければなら阻。

に、敬多の個人の活動が、肚會又は團盤

の活動にまで綜合され、統

}されるごきには、後者

の人格償値及びそれの内容を構成する債値個性が思惟しえられる。すなはち成

る耐會叉は團艦

所産

εして認識

される所

o,諸債値は、その肚會叉は團禮

の具有す

る典型的人格償値を表現す

る所

の債値系列のうちに、その構成

分肢εして定置され乃こごによ

って、その個性的意義を把捉

され

能ふのである。この場合

に、償恒普遍性の方面に着眼するならば、肚曾的Xは團騰的人格償櫨

償値類型ごして思惟されるこごも、個人的人格債値

の場合ξ異なる所はな

い。唯個人の人格的活

.

動が、肚雪天は團騰

の構成者εしての活動巴覗られる場合においては、肚會的叉は團磯釣人格償値

、個人の人格僧位

に劃し、債値典型たる地位を獲得するのでみる。すなはち、各個の個人の人

格償値は、成る肚會スは成

る團髄の人格債値の個性的内容の不可敏的構成要素

ごして認識

される

こεにより、初

めてその個性的意義を、十

分に規定されるのであ

って、斯かる椅存關係が、.」個

皿胴.僻耳

使い値の類型ピ個性(一昌・完)

餓躍十占ハ巻

(笛川山ハ聴肋

占八九)

九五七

1)私 が鼓 に泄 會 叉 に圃 盟 の 人 格偵 値 な 想 定 す ろの ば,例 へIfHegelや.Bo5anqueし

な ごに 恥 い て幌 られ みや うな,超 個 人 主 義 的 な形 而 上 學 的見地 に立 脚 す る もの で

に な い。

9

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.叢

侃他の類型ピ個性(三・完)

第十六巻

(第六號

七〇)

九五八

の種

別的儂値

の世界

の内

にお

いての

み成

立す

るご、思惟

され

る事も、勿論可能

でめ

るけれざ、

より多

の種類

の債値

の世

に亘

り成

立す

るこ

εの、認識

され

るに随

って、個人

の人格

慣値

の個

も、肚

曾叉は團禮

の其

れも、

一層鮮

明に観

され能

ふであら

う。同様

の關係

は、或

る肚會叉は

團膿

の個性的人

格償値

ピ、

より包括

的な

る肚會

叉は團禮

の其れ

εの間

おいても、等

しく成b立

つわけである。

而し

て、斯く

の如

く、相互

に包

し、包容

され

つ、債値

の膿系

叉は系列を形成

る所

の.無

の個性的人格

債値

が、悉く

一個

の窮極

の個性的人格僧値

によ

って包容

され、その

構成

分子

ざして、後者

のうち

に、各

の個性

の最

も深

き根

源を見出す

ε

いふやう

に、構想

されπ

場合

には、棘

ε名

づけるのが最も

ふさはし

いε

ころの思想

に、私

たち憶

當面す

るであら

う。

そし

てあら

ゆる人格

償値

の普遍

安當性

の根櫨が

この窮極

の償値

によ

って與

へられ

る巴同時

に、如

る人格

債億

ε雌

も、

この窮極

の領置

の偉

にして豊

富な

る個性

を以

て、

その個性

の至高

の典

εし

て仰望

せ鳳も

のは無

いであらう。

領値

の類型

ε個性

εの問題

ついて、な

ほ多

の考察

さる

べき論黙

の存

るこ

εは、官

ふまで

もな

い。以上

は、唯

この問題

つき、概観

を試

み陀

ε

いふに止

るのであ

乃ゆ

(完

)