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16ITSシンポジウム2018 基調講演 講演資料 2018/12/13 モビリティサービスによる 社会変革

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第16回ITSシンポジウム2018 基調講演

講演資料

2018/12/13

モビリティサービスによる社会変革

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2Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights reserved.

目次

1 自動車業界を取り巻く変化:既存の交通システムの抱える課題

2 次世代モビリティサービスと自動運転普及のシナリオ

3 公共交通を取り巻く変化:欧州をはじめとしたMaaSのグローバル動向

4 モビリティサービスによる社会革新に向けた提言

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自動車業界は4つの大きな変化の中にある。

自動車業界を取り巻く変化

川上・サポート産業コンポーネント 完成車

川下産業

「作り方」「作る側」の変化モジュール化、材料変化、

接合・成型手法の変化(一体化成型、複雑成型等)、

新規手法出現(3Dプリンタ等)等

「使い方」「使う側」の変化

カーシェアリング、ライドシェアリング、マルチモーダル連携、ラストワンマイル輸送、等

「パワートレイン」の変化電動化

(狭義の)自動車産業

「人・社会と車のインターフェイス」の変化

自動運転、コネクティッド、次世代HMI等

乗り物(ハードウェア)としての「クルマ」の進化

12

3

4

ビジネスモデルの変化収益(コスト)構造の変化自動車会社にとってのインパクト

互いに影響を及ぼし合って

進展

互いに影響を及ぼし合って

進展

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自動運転や次世代モビリティサービスについては、自動車起点の視点だけでなく、ユーザー・インフラ起点からの発想も必要。

自動車業界を取り巻く変化 ビジネスモデルの変化:自動運転・次世代モビリティサービスの普及

自動車 次世代モビリティサービス次世代自動車システム

自動車業界が

考える視点

コンベンショナル自動車

ADAS搭載車 自動運転車

?行政・デベロッパ・サービ

サーの考える視点

次世代モビリティサービス

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自動運転と次世代モビリティサービスの普及に向けては、社会、産業、都市、ユーザーの各視点からの考察が必要。

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件

出所:ADL

自動運転・次世代モビリティサービスの普及

都市視点

産業視点

ユーザー視点

社会視点

社会ニーズ構造

産業構造

既存モビリティ市場構造

自動車ユースケース

ユーザー受容性

人口規模

各国政府方針

人口密度

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社会ニーズの観点からは、高齢化、労働力不足、過疎化等の課題が顕在化している日本においてモビリティサービスの革新が最も求められている。

出所:ADL分析

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 社会視点 社会ニーズ構造

貧困(二極化)対策

高齢化

過疎化

雇用対策

財政再建

労働力不足

失業対策

交通渋滞

大気汚染

CO2削減

交通事故

各国の社会ニーズ

社会ニーズ基点での

各国の特徴まとめ

(自動運転・次世代モビリティサービス導入に向けた)各国における課題の大きさ

Low

Low

HighM→H

Middle

High

MiddleL→M

Low

M→L

MiddleL→M

Low LowLow

Low LowLowMiddleMiddle

Low

MiddleLow

MiddleHigh

HighHigh

MiddleMiddle

Low

Middle(主に東欧・ロシア)/Low

Low Low LowLow Low Low

Middle

MiddleLow

Middle

MiddleLow

Middle/LowMiddleLow

「高齢化」、「労働力不足」、「過疎化」が自動運転・NMSに対する社会ニーズとして大きい→「公共性」を伴ったソリューション発想が必要

日本と比較してクリティカルな課題は存在しない→よりミクロな事業者やユーザーニーズが普及に向けたドライバーとして強く影響

全般的に自動運転・次世代モビリティサービスにより解決を要する社会ニーズは大きくない→自動運転や次世代モビリティサービスによる交通システム革新の必然性が他地域に比べ希薄

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モビリティサービスの提供可能価値を政府・自治体(公共)/事業者/エンドユーザーのそれぞれに対しての価値として検討する必要あり。

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 社会視点社会ニーズ構造:日本国内におけるモビリティサービスとしての提供可能価値

モビリティ(MaaS)としての

提供可能価値

政府・自治体にとっての価値

(ToG)

事業者にとっての価値(ToB)

エンドユーザーにとっての価値

(ToC)

行政コストの削減

産業振興

老人介護・医療費削減

インフラ投資(公共工事)の削減

公共交通サービスの赤字削減

PLの改善

資産(BS)価値の向上

マクロ

ミクロ

オペレーションコスト削減

売上拡大(集客)

不動産価値向上

×

関連業種

(直接/間接)

自家用車利用用途からの代替

他の交通手段からの代替

新たな移動の創出

× シーン

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日本は自動運転の技術開発や移動困難者対策には注力しているが、他国が重点的に進めているシェアリングビジネスへの規制緩和や専用レーン整備などの対策では遅れている。

出所:各国公開情報よりADLまとめ

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 社会視点 各国政府方針

ADAS/自動運転

カーシェア

都市交通インフラ整備

交通規制(専用車線整備、乗入規制レーン)

移動困難者対策

トラック隊列走行や駐車場、過疎地専用レーンなど、限定空間における商用車からの導入を計画してい

年間400億円をかけたプロジェクト

を計画中で、法整備やロードマップ作製も急速に進展中

年間約約1000億円で研究開発が

進んでいる。トラックの隊列走行に関する研究が先行

環境改善のために、3-5年以内に幹線道路での実用化を計画中

車庫証明の義務化により既に駐車場が十分設けられており、政府にとってのメリットが相対的に多くなく、乗捨てに関する規制緩和に留まる

交通弱者対策や都市部における駐車場不足の緩和などを目的に、資金的支援や駐車場の優遇措置を

行っている

路上駐車車両の低減を目的に、路上駐車方のカーシェアを自治体等

が導入を進める市場は限定的

鉄道やBRTなどの大規模輸送インフラを主として計画されている

バス優先レーンや可変レーン、歩行者/自転車レーンなどは存在するが、専用レーンの導入は限定的

HOV / HOTレーンやバス専用レーン(バス無料レーン)などを積極的に導入している。また、都市部では自転車専用レーンも積極

的に増加させている

BRT専用レーンや自転車専用レー

ン、またトラック等大型車課金などが導入されている

(その他、交通量調整のためのナンバー偶奇規制実施例も有り)

バス/BRT専用レーンが一部の都市で導入がされ始めている

移動困難者対策としてコンパクトシティが挙げられており、重要視され

ている

Smart City Challengeの中でも重要なテーマの一つとなっているが、基本方針として政府は最低ラインのみを提供するスタンスで、

あまり積極的ではない

低床トラムなどの公共交通機関と徒歩で暮らせる街づくりが既に進展しており、欧州プロジェクトのCIVITASなどでも移動困難者にフォーカスしたも

のは少ない

急速な高齢化に伴い、高齢者フレンドリーな街づくり(静安区など)などの事例もあるが、バス無料等のみに限られており、交通インフラ整備まで

進んでいない

ライドシェア

他国ほど交通渋滞が深刻でなく、個タクの営業ハードルが高いため、タクシーが少ない過疎地などに限

交通渋滞低減や交通弱者対策などのために、多くの地域で許可されて

いる

個タクの営業ハードルが高いため、短距離走行での利益獲得が認めら

れている地域は少ない

タクシーでも相乗りが行われていたため、渋滞低減効果は高くなく、’16年8月に許可はしたが積極的では

ない(鉄道等、更に高い輸送効率を積極的に導入する計画か)

シェアリング

日本 米国 欧州 中国政府の注力方針

移動困難者対策としてコンパクトシティが挙げられており、面的な交通網の整備/再編が計画されている

新たな交通インフラ網の親切よりも、BRTやライドシェア等によるインフ

ラ補完が主

新たな交通インフラというよりも、マルチモーダルのシームレス化など

が計画されている

積極的に推進規制緩和程度(or他国ほ

ど注力していない)あまり取組んでいない

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日本では100万人以上の大都市に2割以上の人口が住むのに対して、米国では数万

人規模の自治体に住む人口が多数。また日欧では数十万人規模の中規模都市に住む人口が8割近くを占める。

出所:ADL分析

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 都市視点 人口規模

各国における人口分布 (都市数比率/人口カバー率)小規模都市に分散 大都市に集中

米国人口カバー率が2番目

に高い都市群の人口規模人口カバー率は高くないが、都市数が多い都市の人口規模

人口カバー率が最も高い都市群の人口規模

日本ドイツイギリス フランス

欧州

0.03%/11.5%ロサンゼルス、ニューヨーク、サンディエゴなど

0.8%/25.0%サンフランシスコ、ミルウォーキー、ホノルルなど

99.2%/63.5%ハノーバー、ニュートン、カス、ブラッドレー、レンアウェイなど

0.7%/22.5%東京23区、横浜、大阪、名古屋、札幌、神戸、京都、福岡、川崎、さいたま、広島、仙台

71.4%/75.6%八王子、千葉、船橋、相模原、新潟、浜松、岡山、川口、熊本、北九州など

28.0%/1.9%江南、可児、室蘭、芦屋、高砂、南魚沼など

1.2%/10.5%ベルリン、ハンブルグ、ミュンヘン、ハノーバー、ケルン

75.9%/81.1%フランクフルト、シュトゥットガルト、ドレスデン、ブレーメンなど

22.9%/8.3%コトブス、ホーフなど

4.8%/8.7%ロンドン、バーミンガム

71.5%/84.9%マンチェスター、リーズ、リヴァプール、シェフィールド、ブリストルなど

27.7%/13.3%イースト・ロージアン、ダートフォード、カノックチェイス、ウスターなど

1.2%/9.2%パリ、リヨン、リース、マルセイユ

58.8%/78.0%ボルドー、ナント、トゥールーズ、ナンテール、クレテイユ、モンペリエなど

39.3%/12.7%モルスアイム、ルドン、ボーヌ、サン・ロー、ランニオンなど

数百万人規模

数十万人規模

数万人規模

都市の人口規模

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日本が過密型大都市や周辺ベットタウンなど比較的人口密度の高い地域に住む人口が多いのに対して、欧米は人口密度の低い地方や郊外型の都市に住む人口が大半。

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 都市視点 人口密度

出所:ADL分析

6.0%

22.7%

57.6%

27.8%

18.8%

9.5%

34.4%8.2%

12.8%21.8%

10.7% 12.8%6.7%

5.5%15.8%6.0% 6.8%

5.9%

1.9%

⑥郊外・地方住宅地型

⑤大陸系地方都市型

⑦過疎地型3.5%

④地方中核都市型

①過密型大都市

日本

4.7%

②大陸系大都市

米国

③ベットタウン型

欧州(英国)

10万人以下

10~30万人

30~100万人

100万人以上

人口規模

10000人/㎢以上

5000~10000人/

2000~5000人/

1000~2000人/

~1000人/㎢

人口密度

N/A N/A N/A

N/A

N/A

N/A

①過密大都市型

②大陸系大都市型

③ベットタウン型

⑤大陸系地方都市型

④地方中核都市型

⑥郊外・地方住宅地型

⑦過疎地型

各国における都市類型のパターン 各国における都市類型ごとの人口分布

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日本では大都市部の非通勤用途が2割強を占めるのに対して、米国では通勤用途が全体の7割強を占め、大都市部での非通勤用途は全体の5%に満たない。

出所:各国政府統計を基にADL分析

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 ユーザー視点 自動車ユースケース

22%

1,778(30.8%)

6%

セグメントC:シニア層

777(13.5%)

19%

8%

セグメントD:週末利用主体

24%

①過密型大都市

24%

8%

7%

15%②大陸系大都市

6%

7%7%

13%

23%

9%

7%

20%

8%

433(7.5%)

16%

2,776(48.2%)

28%

セグメントB:日常家事主体

17%

24%

5%

セグメントA:通勤主体

⑤大陸系地方都市型

8%

26%

10%

14%

20%

⑦過疎地型

⑥郊外・地方住宅地型

④地方中核都市型

③ベットタウン型

保有台数(万台)(保有率)

日本

6%

11%

60%

11%

セグメントC:シニア層

9%

セグメントD:週

5%9%

1,496(11.5%)

60%

6%

4%

9%

6%

5%

5%

セグメントB:日常家事主体

11%

4%

セグメントA:通勤主体

59%

5%

60%

5%

10%

10%5%

1,481(11.4%)

4%

9,609(73.7%)

5%

448(3.4%)

6%

5%3%

米国

全体の2割強

全体の5%弱

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日本においては大都市部ほど自家用車からカーシェアリングへの移行ニーズが強く、年代別に見ると高齢者ほど移行ニーズが強い。

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 ユーザー視点 自家用車代替の可能性

出所:ADL

居住地域別カーシェアリングへの移行意向

Question: If there were appropriate car sharing and new mobility services, would you consider to get rid of your own car?

45%

44%

68%

60%

62%

82%

56%

57%

46%

53%

46%

Answered with “Maybe” or Yes, sorted by size of the city10K – 50K inhabitants

1 - 5 million inhabitants

36%

57%

36%

53%

52%

85%

44%

51%

45%

53%

47%

250K - 1million inhabitants

49%

88%

48%

33%

63%

53%

46%

45%

45%

49%

65%

50K – 250K inhabitants

59%

USA 48%

Average

UK 64%

Sweden

France

49%South-Korea

78%

68%

54%

Germany

China

Italy

Japan 49%

Spain

Over 5 million inhabitants

13%

48%

57%

44%

45%

38%

20%

38%

36%

43%

40%

年齢別カーシェアリングへの移行意向

Question: : If there were appropriate car sharing and new mobility services, would you consider to get rid of your own car? Answers “Yes” and “Maybe” sorted in age groupsUnder 30 years

51%

57%

47%

40%

30%

54%

51%

49%

50%

73%

46%

52%

49%

51%

50%

30-44 years

47%

48%

47%

37%

55%

50%

81%

48%

47%

30%

44%

32%

Over 60 years

40%

48%

84%

48%

51%

46%

37%

41%

49%

51%

49%

45-60 years

30%

70%

84%

39%

46%

43%

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日本では、輸送機械(自動車)産業が最大の投資余力を持つのに対して、米国ではGoogleやAppleなどのICT産業が最大の投資余力を持つ。

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 産業視点 産業構造

北米 欧州

小売

185

中間流通

93

75

71

資源・エネルギー

機械・電気製品

45

食料・生活用品

51

183

広告・情報通信サービス

医薬・バイオ

運輸サービス

公共サービス

輸送機械

金融

11

20

38

15

29

素材・素材加工品

外食・中食

法人サービス 8

4

26

28

36

49

建設・不動産

11

資源・エネルギー

10

191

食料・生活用品

機械・電気製品

104広告・情報通信

サービス

公共サービス

小売

67

素材・素材加工品

医薬・バイオ 67

29

輸送機械

運輸サービス

4法人サービス

11金融

2外食・中食出所:SPEEDA をもとにADL推計 *各国の営業利益額上位100社を産業別に分類

日本

(十億ドル)

素材・素材加工品

金融 74

35

運輸サービス

輸送機械

資源・エネルギー

36広告・情報通信

サービス

機械・電気製品

56

3

13

公共サービス 13

11

食料・生活用品 8

建設・不動産 10

医薬・バイオ 6

小売 6

法人サービス 4

中間流通 3

輸送機械産業の資金力が国内産業の中で最も高く、自動車業界を中心として新しいモビリティ開発が進む。

GoogleやAppleに代表される広告・情報通信サービスや、Walmartなどの小売業を中心に新サービスを開発する。

最も資金力のある小売業や輸送機械を中心に、流通インフラを基盤とした新サービスが発足する。

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タクシー、レンタカー、路線バス等の既存モビリティサービスの中で、各国の市場規模が相対的に弱いところで次世代モビリティサービスが普及し始めている。

出所:各種公開情報を基にADL推計

自動運転とモビリティサービス普及に向けた前提要件 産業視点 既存モビリティ市場構造

日本 米国 欧州

タクシー

レンタカー

路線バス

*英、独、仏、西の4か国合計

1.6兆円 7,700億円 1.6兆円*

6,500億円 2.9兆円 1.4兆円

7,000億円 3.3兆円 約1兆円

vs ライドシェア

vs カーシェア

vs (相乗り型)ライドシェア

vs 次世代ラストワンマイルサービ

ス?

地域差あり(次頁)

既存モビリティサービスの市場規模

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目次

1 自動車業界を取り巻く変化:既存の交通システムの抱える課題

2 次世代モビリティサービスと自動運転普及のシナリオ

3 公共交通を取り巻く変化:欧州をはじめとしたMaaSのグローバル動向

4 モビリティサービスによる社会革新に向けた提言

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モビリティサービスの市場構造 モビリティサービスの分類

出所:ADL

既存 新型

モビリティサービスの

分類

事業者(法人)が資産保有

個人が資産保有

長期(月/年)

中期(日・時間)

短期(時間・分)

カーリース

レンタカー

ステーションベース型カーシェアリング

PtoP型カーシェアリング

乗捨不可

乗捨可

フリーフローティング型カーシェアリング

オンデマンド型オンデマンド型カーシェアリング

サイト固定

車両のみ

車両+運転

自家用車個人で使用

貸出

相乗型マッチングサービス

タクシー配車プラットフォーム

タクシー

相乗りタクシー

個タク

ライドシェアリング

事業者(法人)が資産保有

個人が資産保有

流し

予約型相乗り乗車

個人乗車

相乗り乗車

個人乗車

流し

予約型

日本で主流

欧州で主流

DiDi型

Uber型

BlaBlaCar型

カーシェアリング

ライドシェアリング

モビリティサービスの中で、今後市場拡大が期待されるカーシェアリングとライドシェアリングについて考察。

特徴

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人件費が高い国ほどカーシェアリング中心で、人件費が低い新興国の方がライドシェア中心。

モビリティサービスの市場構造 各国のモビリティサービスVBの比率

出所:「Venture Scanner」他各種二次情報よりADL作成

8%22% 17% 18%

13% 15%25%

46%

58%43%

33%18%

13%13%

17%

10%

8% 13%

8%

9%

15%15%

25%

15%

8%9%

17%

18% 27%

17% 12%

8%

9%43%

8% 9%

17% 18%

8%8%

8%17%

8% 9% 8% 12%

0%10%

0%0% 8%

アメリカ

12

0%

インド

410%

中国

40

3%

213

イギリスフランス カナダ

0%

23

4%

ドイツ オーストラリア

111212(設立数)

Individualized Insurance

Enhanced Auto Ownership

Smart Parking Technology

Car Sharing

Smart City and Mobility

Public Transit Enhancement

Ride Hailing and Scheduling

カーシェア中心 ライドシェア中心カーシェア・ライドシェア

が拮抗

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日本におけるカーシェアリング市場は2010年以降急速に拡大しつつあり、16年3月時点で車両数約2万台弱、会員数約85万人規模まで拡大し、車両ベースでは単一国としては最大規模の市場となっている。(但し人口当たり普及率は欧州の半分以下)

モビリティサービスの市場構造 カーシェリング市場 市場規模推移・各国比較

出所:交通エコロジー・モビリティ協会

19,717

6,477

3,915

1,26556351023711886684221

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

11,000

12,000

13,000

14,000

15,000

16,000

17,000

18,000

19,000

20,000

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

500,000

550,000

600,000

650,000

700,000

750,000

800,000

850,000

20102009 20112012 2015

8,831

12,373

16,418

車両台数(台):棒グラフ

会員数(人):折れ線グラフ

200620052002 20042003 20072008 20132014 2016

日本におけるカーシェアリング市場規模推移 他国との比較

19,717

0

5,000

10,000

15,000

20,000

0

100,000200,000

300,000400,000

500,000600,000

700,000800,000

900,0001,000,000

1,100,0001,200,000

1,300,000

アメリカイギリス カナダ

3,000

17,179

4,1742,900

会員数(人):折れ線グラフ

16,100

車両台数(台):棒グラフ

日本 ドイツ スイス

(調査時期) 16/3 16/1 16/8 13/12 14/1 14/1

人口当たり普及率

0.66% 1.56% 1.58% 0.26% 0.39% 0.64%

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駐車場料金が最大のコスト要因であるが、駐車場代がかからない前提でも人口密度が5000人/㎢以下の地域では損益分岐点に達しない。

モビリティサービスの市場構造 カーシェリング市場 カーシェアリング事業の収益構造

出所:各種公開情報を基にADL試算

カーシェアリング事業の収益構造

(利益率:1%)

17%

労務費 0%

燃料費 15%

売上高

利益

車両維持費

車両償却費

駐車場代

18%

本社管理費

1%

5%

43%

100% 駐車場代

0円5000円

10000円

15000円

20000円

30000円

40000円

50000円

車両稼働率

20% 52% 47% 42% 37% 32% 22% 11% 1%

17.5% 48% 43% 37% 31% 25% 13% 2% -10%

15% 43% 36% 30% 23% 16% 2% -11% -25%

12.5% 36% 28% 19% 11% 3% -13% -30% -46%

10% 25% 14% 4% -6% -16% -37% -57% -77%

7.50% 6% -7% -21% -35% -48% -75% -103% -130%

5% -31% -51% -71% -92% -112% -153% -194% -235%

(感度分析)

“都心部では稼働率20%でも収支トントン”

駐車場代がかからなければ、損益分岐となる稼働率は6%程度

東京都と同等の普及率(会員数/人口)になったとしても、人口密度が5000人/㎢以下の地域では

損益分岐ラインに達しない

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カーシェアリングサービスの発展形態として最もポテンシャルがあるのは自動運転技術を用いた「オンデマンド」型。

モビリティサービスの市場構造 カーシェリング市場 発展可能性

出所:ADL

普及ポテンシャル 背景要因

「乗り捨て可能」型(フリーフローティング型)

「オンデマンド」型(自動運転化)

PtoP化

◑EV化

• 乗り捨て型サービス導入により、ドイツ並みに普及率が上昇するとすれば、日本においても人口密度1000人/㎢程度の地域までサービスエリアを拡大できる可能性あり

• 自動運転技術を用いてオンデマンド型が可能になるとすれば、サービス商圏の拡大が可能→人口密度の低い地方部でも事業性成立の可能性あり

• 欧州を中心に都心部への乗り入れ規制が引き金となり、EVを用いたカーシェアリングが普及(事業性の観点から見ても、EVへの補助金を含めると、運営コストの面で割安になる場合も出現)

• 特に海外において「投資用マンション」と同じ感覚で、個人の資産形成の一つの手段として定着しうるなら、新たな金融商品の一つとして成立する可能性あり

車両小型化(LSV活用)

• 都心部でのサービス拡大には有効だが、サービスエリア拡大には有効でない

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Uberのアクティブユーザーの多い国において、サービスを展開している都市の人口密度は3,000人/㎢以下の都市が7割近い。

モビリティサービスの市場構造 ライドシェリング市場 Uber普及国の都市人口分布

出所:Uber web site等を基にADL分析

41.8%27.5%

65.4%

12.5%25.0% 20.0%

52.9% 50.0%

18.9%

50.6%

45.0%

19.2%

37.5%

46.7%

17.6%

50.0%

34.1%

92.9%

7.6%

27.5%15.4%

50.0%

75.0%

33.3% 29.4%

47.0%

7.1%

26

ベトナムコロンビア その他メキシコ ブラジル インドネシア フィリピン

170

1,001人km2~3,000人/km2

~1,000人/km2

3,001人/km2~

中国

100%1628

米国インド イギリス

40 13215 17 224

Uberの参入都市の人口密度分布

普及 普及 苦戦 普及 普及 苦戦 普及 普及 普及 普及 苦戦

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22Copyright © Arthur D. Little 2018 . All rights reserved.

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

1.1

1.2

1.3

1.4

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 11,000 12,000 13,000 14,000

佐賀

福岡

高知

総人口/

タクシー台数(千人/

台)

総人口(千人)

奈良

兵庫

大阪

島根

鳥取

和歌山

神奈川

東京

千葉

青森北海道

茨城

山形

秋田

福島

宮城

岩手

京都

滋賀

三重

愛知

静岡

岐阜

大分 熊本

長崎

長野新潟

山梨

沖縄

鹿児島

宮崎山口

広島

岡山

福井

石川

富山

愛媛香川徳島

埼玉群馬

栃木

日本で言えば、対人口比でみると、特に三大都市圏の周辺県や北信越・南東北で人口当たりのタクシー台数が少ない。

モビリティサービスの市場構造 ライドシェリング市場 人口当たりタクシー台数@日本

出所:全国ハイヤー・タクシー連合会、「人口推計」(総務省)

(全国平均:0.56)

人口比タクシー少

四国

九州

沖縄

関東

東北

北海道

中国

近畿

中部

北信越

これら地域でライドシェア等による利便性向上の潜在需要が強い可能性あり

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Uber登録ドライバーの半数以上は、週の勤務時間が30時間/未満の「パートタイムドライバー」。

モビリティサービスの市場構造 ライドシェリング市場 ドライバーの勤務状況

出所:UBER The driver roadmap

52%

12%

18%

18%

UberXフルタイムドライバー 過去にタクシードライバーの経験無し 週の勤務時間が30時間以上

UberXフルタイムドライバー 過去にタクシードライバーの経験有り 週の勤務時間が30時間以上

UberBlackフルタイムドライバー 内55%は週の勤務時間が30時間以上

UberX パートタイムドライバー 過去にタクシードライバーの経験無し 週の勤務時間30時間未満

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Amazonが黒字転換を果たした創業7年以上を経過しても、Uberは未だ単年度赤字が続いている。

出所:Speeda、PrivCoに基づきADL作成

モビリティサービスの市場構造 ライドシェリング市場 Uberの財務状況

107,00688,988

74,45261,09348,077

34,20424,50919,166

14,83510,711

8,4906,9215,264

3,9333,1222,7621,6406101480

50,000

100,000

150,000

-40

-30

-20

-10

0

10

2016

135,987

20152013200620052004 20122008 2011201020092007 20141998 20011997 1999 20022000 2003

16

1996

EBITDAマージン率

売上

売上(百万USD) 利益率(%)

創業7年後に黒字転換

Amazon.com

-150

-100

-50

0

50

0

6,000

4,000

1,0002,000

5,000

3,000

82

2009 2010

16

5,600

104

2012 2014

495

2013 201620152011

1,500

EBITDAマージン率

売上

売上(百万USD) 利益率(%)

Uber Technologies

(注)Uberに関し、2014年以前はEBITマージン率を利用

創業8年経つがいまだ赤字EBITマージン率

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収益拡大の方策として、Uberは各国のニーズに合わせたきめ細かなサービスメニューの拡大を図っている。

出所:Uber web site等を基にADL分析

モビリティサービスの市場構造 ライドシェリング市場 Uberのサービスメニュー

主要国におけるUberサービスメニューの展開状況

タクシー配車サービス UberTAXI等標準車配車サービス UberBlack等

環境配慮型車両配車サービス UberGreen等社会的弱者配慮車両配車サービス UberAssist

飲酒時代行サービス UberAngel英語対応ドライバーサービス UberEnglish大荷物対応車両サービス UberBag

相乗りサービス UberPool等通勤特化型相乗りサービス(ルート固定) UberHOP通勤特化型相乗りサービス(ルート非固定) UberCommute

定額制相乗りサービス UberPlusバイク輸送サービス UberMOTO

ヘリコプター輸送サービス UberCOPTER宅配便サービス UberRush

フードデリバリーサービス UberEATS

ドイツ

イギリス

フランス

日本

韓国

サウジアラビア

台湾

ポーランド

ロシア

ブラジル

マレーシア

メキシコ

コロンビア

中国

南アフリカ

タイ

インドネシア

フィリピン

ベトナム

インド

オーストラリア

シンガポール

米国

カナダ

✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓

✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓ ✓

✓✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓

✓ ✓✓

✓ ✓

✓ ✓ ✓ ✓

1人あたりGDP高 低

非英語圏の中南米向け

渋滞が深刻な新興国

主として先進国向け

主として先進国向け

導入期のサービス

主として先進国向け

※期間限定などのパイロットサービスも含む

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カーシェアリング、タクシー、ライドシェアリングともに自動運転化することで、ユーザー視点では同じサービス=Mobiity On Demand(MoD)となる。

出所:ADL

モビリティサービスの市場構造 まとめ(各モビリティサービスの発展シナリオ)

現状

ビジネスモデル変更

無人

(搭乗者無)

有人

(搭乗者有)

自動運転

タクシーカーシェアリング 都市バスライドシェアリング

ステーションベース

フリーフローティング(乗り捨て型)

PtoP型

オンデマンド型

自動運転車型シェアリング

車両小型化

(LSV活用)

流し・ステーションベース

配車PF(APP)導入

無人(ロボット)タクシー

路線バス1:1型

相乗り型

無人(ライド)シェアリング

コミュニティバス

自動運転バス

ユーザー視点では同じサービス= Mobility On Demand (MOD)

技術的差異:走行速度のみ

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日本における有力な自動運転のユースケースは以下の3つ。

モビリティサービスの市場構造 自動運転導入のユースケース 日本

• 地方都市+過疎地:(コンパクトシティにおけるマルチモーダルシステムの中での)無人運転型公共交通*

• 地方都市部の通勤需要:通勤用途での自家用車完全自動運転化

• 都市部(中心&周辺):カーシェアリングのオンデマンド化によるサービル範囲拡大

自動運転ユースケース1 自動運転ユースケース2 自動運転ユースケース3

公共交通事業者(電鉄会社等) ドライバー(+自動車メーカー) カーシェアリング事業者

遠隔型 自律型 遠隔型(但し車両は自律型)

運営者

自動運転のタイプ

*無人運転コミュニティバス または 無人LSVオンデマンドタクシー

自動リターン機能

Lv4 遠隔監視型自動運転遠隔監視下での自律走行

Lv3 自動運転車載センサーによる地図生成(SLAM)

Lv4 自律型低速自動運転(無人走行時)低速用センサー(近距離)

無人自動リターン(認識、軌道生成、制御)必要技術

サービス運営者自身が開発自動運転車運用PF開発事業者

自動車メーカーサービス運営者自身が開発

自動運転車運用PF開発事業者

ビジネス要件

ライドシェア規制として、タクシー事業者が相乗りを促すことを禁止。欧米、中国、

ASEAN、インドでは相乗りの規制無。

ジュネーブ道路交通条約ウィーン道路交通条約

自動車基準調和世界フォーラム (WP29)

カーシェア規制として、日本・インドではカーシェア専用駐車場の設定が必要。

欧米、ASEANでは規制無。

提供サービスに関する法規制

1.自社所有車両によるサービス提供3.自動運転車運用PFを利用した

サービス展開OEMによる自動運転車販売ビジネス

1.自社所有車両によるサービス提供2.他者所有車両を利用したサービス提供3.自動運転車運用PFを利用したサービス展開4.自動運転車運用PFを利用した、

他者保有車両を用いたサービス提供

サービスビジネスモデル

車両遠隔制御施設車両走行状態監視

イレギュラー対応時は遠隔操作型

インフラは利用しない(V2Xインフラ整備個所は

ダイナミックマップ利用も可能)

車両遠隔制御施設車両遠隔監視(緊急停止)

車両

インフラ

運営者が保有 エンドユーザー 運営者、エンドユーザー

運用PF開発

車両保有

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NMSによる自家用車置き換えにより車両販売台数は、先進国で1~10%の減少。NMSのAD化によるサービス商圏拡大により販売台数は、先進国で1~12%の減少。

各国ごとの自動運転とモビリティサービス普及シナリオ 総需要へのインパクト

各国の車両販売台数は現在から変化しないと仮定した上で、2030年時点でのNMS/AD販売台数を試算。

NMS+ADに

よる販売減

NMS普及時の販売台数

4,094

53

604

販売台数

5,000 302

665

3,376

AD普

及時の販売台数

4,698

NMSによる販売減

NMSによる販売減

129

販売台数

16,398

AD普

及時の販売台数

5,066

NMS普及時の販売台数

NMS+ADに

よる販売減

28

472

11,304

16,87117,000 2,500

NMS+ADに

よる販売減

NMSによる販売減

31

NMS普及時の販売台数

1,420

238

販売台数

2,262 2,231

3

AD普

及時の販売台数

808

(千台)

日本

NMS/AD普及による販売台数への最大ポテンシャル(2030年時点を想定)

(千台)

米国

(千台)

欧州(イギリス)

大都市部における車両離れと、地方の交通弱者・高齢者対策としたNMS普及

がトレンド。

大部分の都市がNMS事業成立人口密

度以下で、普及は限定的。自家用車のAD化がトレンド。

環境対策として都市部でのEV車両NMSの普及と公共交通機関補完用の長距離

移動NMSの普及がトレンド。

(自家用)自動運転車

(自家用)自動運転車

(自家用)自動運転車

-18%

-4% -11%

販売台数の6%

販売台数の12%

販売台数の1%

販売台数の3% 販売台数

の10%販売台数の1%

AD LSV台数

AD LSV台数

AD LSV台数

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39%56%71%

28%18%

25% 32%26%

2030その他道路

2020高速道路

5%

2025主要幹線、二級道路

21%42%

63%

49%

29%

34%30%29%

2025主要幹線、二級道路

2030その他道路

2020高速道路

3%

30%49%

67%

57%39%

31%

13%12%

2030その他道路

2025二級道路

2%

2020高速+主要幹線道路

2020年から2030年にかけてADAS搭載率は、日欧米において30%→80%に拡大。2030年時点の自家用車販売に占める自動運転機能搭載率は、13%~32%を占める。

各国ごとの自動運転とモビリティサービス普及シナリオ (自家用)自動運転車の普及台数

出所:ADL分析

自家用自動運転車の普及台数

日本 アメリカ EU(イギリス)2020年から2030年にかけ、

ADAS搭載率が33%から70%に拡大。内、自動運転車が2%

から13%を占める。

2020年から2030年にかけ、ADAS搭載率が37%から79%に拡大。内、自動運転車が3%

から30%を占める。

2020年から2030年にかけ、ADAS搭載率が30%から61%に拡大。内、自動運転車が5%

から32%を占める。

走行可

能道路

走行可

能道路

走行可

能道路

70%

33%79%

37%

61%30%

自動運転車

ADAS(ACC)

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目次

1 自動車業界を取り巻く変化:既存の交通システムの抱える課題

2 次世代モビリティサービスと自動運転普及のシナリオ

3 公共交通を取り巻く変化:欧州をはじめとしたMaaSのグローバル動向

4 モビリティサービスによる社会革新に向けた提言

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典型的なサービス例

Mobility as a Serviceとは

Book Book Book

Taxi

Tram

Walk

Walk

WaterTaxi

Bus A

Bus B Metro 1

Metro 2

EUR 2138 min

EUR 1251 min

EUR 1649 min

Segway

19 22 GreenPoints31

A地点からB地点までのEnd-to-Endの移動をサポート

複数の移動の選択肢を提示。

それぞれの選択肢には、異なる交通モード・企業の組み合わせが含まれる(公共/民間)

経路案内・情報提供のみならず、予約や決済なども同一プラットフォーム上で行われる

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典型的なCustomer Journey

Source: Arthur D. Little

Mobility as a Serviceとは

Receiverouting details

Get en-route guidance

12

Choosethe modes

Personalizethe journey

Select thestarting point

Personalizethe modes Plan the trip Select the route

1 3 52 4 6

Visualize the route

Book the journey

Make the payment

Receive onesingle ticket

7 8 9 10 11

Munich main station

Munich main station

Munich main station

Munich

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こういった、複数の交通モードを跨いだ案内・予約・決済を行うプラットフォーム/アプリ (for Mobility as a Service)の構築事例は、欧米を中心に次々と出現

Mobility as a Service:グローバル事例俯瞰

機能

Covered Areaドイツ

(シュツットガルト)

モビリティプラットフォーム

鉄道/バス

タクシー/カーシェア

モード 駐車場 徒歩

自動車経路案内

決済機能 ( 定額)

予約機能機能凡例

機能

Covered Areaドイツ

機能

Covered Area北アメリカ1

モード

機能

Covered Areaフランス(モンペリエ)

モード

機能

Covered Areaフィンランド(ヘルシンキ)

機能

Covered Areaスウェーデン(ヨーテボリ)

モード 機能

Covered Areaフィンランド(トュルク)

モード

機能

Covered Areaドイツ2

モード

機能

Covered Areaオランダ(ユトレヒト)

モード

機能

Covered Areaドイツ(ハノーバー)

機能

Covered AreaU.A.E.(ドバイ)

モード 機能

Covered Area

1) 69 cities in the US and Canada2) Stuttgart, Munich, Berlin-Brandenburg, Rhine-Ruhr, Greater NurembergSource: Arthur D. Little

モード

モード

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

VASオーストリア(ウィーン)

モード

モード

モード VAS

VAS

VAS

VAS

VAS VAS

VAS

VAS

VAS

VAS

VAS

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欧州では、以前から企業毎の取組みが見られたものの、2014年ITS-ECでのMaaSコンセプト発表を受け取組進展が本格化。標準化への動きは近年になって開始された。

*LVM:フィンランド運輸通信省 Tekes:フィンランド技術庁

MaaSを取り巻く欧州の動き(時系列)

MaaSを取り巻く欧州の動き

欧州レベルでの取組化・標準化

各国でのプロジェクト

進展

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

フィンランド

ドイツ

その他

ITS Finland下シンクタンクでMaaSコンセプト提唱が始まる

ITS European CongressでMaaSコンセプト正式発表

MaaS関係者の協力推進のためMaaS Alliance発足

LVM*とTekes*が合同でMaaS事業者の公募開始

Whim by MaaS Global、Reissuなど、各地でプロジェクト採択・導入が進む

MaaS Global社設立

DBがビジョンに “Door to Door”と明記しマルチモーダルに向けた実証を実施

SMILE Project(墺)

UbiGO(スウェ)

Wien Mobilとして事業展開(墺)

WhimUK展開(英)Qixxit(独)

欧州での横展開に向けて標準化プロジェクト開始

‒ iMoveプロジェクト‒ MaaS4EUプロジェクト‒ MyCorridorプロジェクト

Daimlerがマルチモーダルサービスのmoovelを開発

BMWとDaimlerがモビリティサービス事業統合を発表

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欧州を中心に、MaaSのサービス間の相違を明確化するツールとして、サービスの統合段階によるMaaSのレベル定義がされ始めた。

出所:Jana Sochor, Hans Arby, MariAnne Karlsson, Steven Sarasini (2017):A topological approach to Mobility as a ServiceをもとにADL加筆修正

MaaSサービスの整理:統合レベルによる整理

政策の統合

‒ 例:自家用車の削減、住みやすさの向上、など

サービス提供の統合

‒ 例:定額課金モデル化、サブスクリプション化

予約・決済の統合

‒ 例:検索→予約→決済の一元化

情報の統合

‒ 例:乗換案内

統合なし

Level

Level

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同じMaaSをとっても、国や地域によって前提条件や目的が違う。

Source: Arthur D. Little

MaaSの事例俯瞰

フィンランド

自動車産業なし、通信・ITも凋落

自家用車利用の削減と新たなICT産業の創出が目的

国による違い 都市・地域による違い

日本は… (例)人口減少、産業創生、災害対応など…

東京は… (例)混雑、オリパラ、インバウンド対応など…

ヘルシンキ(首都)

首都の魅力度向上が目的

都市交通を広く統合。定額制(レベル3)も

シンガポール

国土が狭く都市交通設計が肝

都市全体の交通の最適化・効率性向上が目的

セイナヨキ(地方都市)

地方交通のサステイナブルな維持が目的

オンデマンド交通・相乗りタクシーも

ドバイ

公共交通の整備プロジェクトが盛ん

新しい交通システムの創生が目的

商業・他サービスとの連携検討で先行

ユッラス(リゾート地域)

観光客需要への対応が目的

空港・駅も統合し、季節的需要に対応

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(MaaSの統合レベルで議論される)予約・決済統合などのモビリティ内の便利化だけでなく、ユーザー目線/街・社会目線の機能付加など、更なる価値創造への発展可能性がある。

MaaSサービス発展の方向性

赤枠:見逃されがちな領域

MaaS サービス発展の視点

視点 発展の内容(例)

ユーザー目線での進化:

“Total Journey Solution”

街・社会目線での進化:

“Social Solution”

モビリティ内での進化:

“MobilityIntegration”

宿泊・施設連携機能 イベント連携機能 保険サービス機能

街の渋滞緩和機能 異常時の対応機能 観光振興の機能

情報案内の統合(Level 1) 予約・決済の統合(Level 2) 契約の統合(Level 3)

インセンティブで行動変容

遅延発生時の代替配車

移動データ分析による観光振興

ホテル予約・ポーター予約

イベントチケット予約・連動

旅行保険・キャンセル保険

複数モーダルの情報案内

モーダル跨ぎの予約・決済

サブスクリプション化・月額化

政策の統合(Level 4)

地域政策・都市政策との連携

(例)

都市の魅力度向上

都市競争力の強化

都市課題の解決

環境問題の解決

toC

toG

(ユーザー/社会両方の目線で)周辺サービスを連携・組み込んだソリューションを見据える必要がある

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フィンランドでは、複数交通モードの経路比較・予約・決済を単一プラットフォームで実現するサービスのパイロットやサービス提供が複数実施されている。

Source: MaaS Global, Sito, ほか各種公開情報

Case Study – Finland 概要

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MaaS発展の背景として、フィンランドの運輸通信省と技術庁が連携して、他のプレイヤーを巻き込みながら推進してきたことが挙げられる。

Case Study – Finland MaaS発展の背景

FinlandにおけるMaaSの背景

Source: ICoMaaS 2017 Proceedings

181716151413121110

持続可能で人間中心の社会づくりに対するニーズの高まりを背景として、交通政策に対する新しいアプローチの開発を目的に、2010年からフィンランド運輸通信省(LVM)は「Transport revolution」というプログラムを主導

2012年、運輸通信省のシンクタンクにお

いて複数の交通モードのパッケージ化というアイデアが提案され、「MaaS – the Netflix of transportation」として宣伝され始める

‒ アイデアの提案者は、当時ITSFinlandのCEOだったSampo Hietanen氏(現MaaS Global CEO)

ヘルシンキで2014年に開催されたITS欧州会議(ITS European Congress)において、ITS Finland CEOのSampo Hietanen氏がMaaSのコンセプトを欧州に発表

2015 年10 月にフランスのボルドーで開催されたITS 世界会議では、欧州内の産学官20 組織が参加して「European Mobility-as-a-Service Alliance(欧州MaaS 連合)」が結成

‒ フィンランドの組織:運輸通信省、フィンランド技術庁(Tekes)*、ITS Finlandなど

‒ 民間企業:Ericsson、Xeroxなど

2015年初頭、LVMとTekesはMaaS開発に向けたジョイントプログラムを設立

ファーストアクションとして、TekesはMaaSオペレータに対する公募を実施。2015~2016年にかけてフィンランドで8件の事前調査を行い、数件のMaaS関連のパイロットを実施

E.g. MaaS関連パイロット事例

‒ Reissu‒ Ylläs Around‒ Tuup‒ Kätevä‒ Whim 等

(*) フィンランド雇用経済省(TEM)傘下の公的投資機関。2018年にフィンランド大使館商務部(Finpro)との合併で、Business Finlandという公的投資機関が設立

MaaS GlobalによるWhimのサービス開始

TekesによるMaaSオペレータの公募

(年)

構想 立上げ 実装

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カーシェアリング事業者レンタカー事業者

MaaS Globalは国内外の企業から出資を受け、Whim提供のためにヘルシンキでは地方交通局・レンタカー事業者・カーシェア事業者等の交通事業者と提携している。

Source: MaaS Global

Case Study – Finland MaaS Global 提携関係

Whim(MaaS Global)地方交通局

レンタカー

鉄道

トラム

バス

自転車シェア

カーシェア

タクシー配車システム事業者

タクシー配車

出資企業

ヘルシンキにおける交通事業者との提携関係

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世界での代表的なMaaSオペレータであるMaaS Globalは、今後の方針として、住宅業界やヘルスケア業界との連携を目指している。

Source: 日経クロストレンド「MaaSの世界戦略 トップランナーは住宅・ヘルスケア連携へ」(2018/10/11)

Case Study – Finland MaaS Global 他産業×モビリティのユースケース提唱・取組

“これからもっとサービス内容を充実していかねばいけません”

– 我々はMaaS構想を時間をかけて練ってきました。今は、MaaSのビジョン

を広げる段階にきています。交通分野のサブスクリプションモデルは、MaaS グローバルが世界で一番初めに開始しました。トップランナーだけにリスクが伴います。

“住宅業界との連携も視野に入れています。

– そもそも住宅と移動手段は近い関係にあるもの。交通費として支払っている出費を家賃に含むアイデアもありますし、賃貸住宅の企業がWhimのサービスを提供することも考えられます。

– マイカーの駐車場に支払わずに済んだお金で、バスケットコートを家に作ることもできるかもしれません(笑)。駐車場は生産性の低いスペースで、もっと付加価値の高い使い方が可能でしょう”

“ヘルスケア業界との連携も考えられます。

– Whimユーザーがどれだけ歩いたかなどを計測し、たくさん歩いた人は料金が安くなるようなこともできるはずです。そして、Whimに加わる新

たな交通サービスという点では、どのようにエアライン業界と連携を取るかも課題といえます”

(Sampo Hietanen氏, MaaS Global CEO)

住宅業界・ヘルスケア業界との連携に向けた方向性

▼MaaS Globalは、MaaSのエコシステムの一部に他業界のサービスとの連携を位置づけている

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DaimlerはDFS部門における柱の一つとして、マルチモーダルプラットフォーム事業のmoovelを位置づけている。

Source: Daimler Financial Services Full-Year Disclosure (Feb. 2018)

Case Study – Germany Daimlerの事業構造

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Daimlerは将来的に有望な自動運転×シェアリングの足掛かりとしてMaaSを位置づけ、外部資源を積極的に活用してエコシステムの形成を進めている。

Source: Daimler Financial Services Full-Year Disclosure (Feb. 2018)

Case Study – Germany Daimlerの事業展開

マルチモーダルプラットフォームへの取組み背景 外部資源活用によるMaaSのエコシステム形成

• Daimlerは、将来的に最も有望なセグメントである自動運転×シェ

アリングへの足掛かりとして、既存交通モードのシェアリングサービスに取り組んでいる

• 代表的なサービスは、カーシェアのCAR2GO (ユーザー数300万人)、タクシー配車サービスのmytaxi(登録ドライバー数12万人)、moovel(ユーザー数370万人)。moovelはCAR2GOやmytaxiの顧客基盤を活用してサービスを展開

• 2010年以降から関連サービスへの投資やM&Aによる外部資源の活用を通じて、MaaSのエコシステム形成を進めている

‒ カーシェア:CAR2GO, TURO

‒ 配車サービス:mytaxi, taxibeat, FLIXBUS, VIA, CLEVER TAXI, chauffeur privé, BLACKLANE, Careem

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Daimler傘下のmoovelは、複数交通モードが利用可能なアプリケーション・プラットフォームとして、主に3種類のプロダクトを展開している。

Source: moovel

Case Study – Germany moovelの概要

moovel app(B2C)

moovel on-demand

(B2B)

moovel transit(B2B)

• 交通サービス利用者向けアプリケーション

• 同一アプリケーション上で、複数交通モードの経路検索・予約・決済が可能

• 利用可能な交通機関は、カーシェア(car2go)、タクシー配車(mytaxi)、鉄道(Deutsche Bahn)、公共交通(SSB/VVS, HVV)

• 交通事業者向けソフトウェアプラットフォーム

• オンデマンド交通サービスの配車や決済等のためのバックエンドのプラットフォームを構築

• moovel transitのアプリ等との組み合わせも可能

• 交通事業者向けアプリケーション

• 複数交通モードの経路検索・予約・決済が可能なホワイトラベルのアプリケーションで、顧客のコーポレートデザインに統合可能

• ドイツ内全都市

(但し、公共交通の利用はStuttgart, Hamburgのみ)

• シュトゥットガルト公共交通機関(SBB)

• カールスルーエ交通公社(KVV)

• シュトゥットガルト公共交通機関(SBB)

• アシャッフェンブルク公的機関(STWAB)

など

プロダクト名 サービス内容 展開先

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moovelは、moovel labという組織において、都市内移動に関係するあらゆるトピックを対象に学際的かつ創造的な研究開発を推進している。

Source: moovel lab

Case Study – Germany 他産業×MaaSのユースケース提唱・取組 moovel

moovel labでは、都市内移動に関係するあらゆるトピックを対象に研究開発を推進

moovel labのミッションステートメントの一例

– 研究室とガレージの間のような場として、学際的かつ創造的なことに取り組む

– 将来のモビリティ・テクノロジーのための新しいアイデアやプロトタイプ、コンテキストを探求する

moovel labにおけるプロジェクトの一例

– オフィス分野との連携

– “The Mobility Printer”, “Handsfree Mobility”:専用のアプリ

やウェブサイトを介することなく、オフィスに設置した機器からカーシェア(car2go)の予約が可能

– ゲーム分野との連携

– “Beat the Traffic X”:撮影した交通流の動画を基にしたオ

ンラインゲームの利用実績を通じて、様々な地点の交通流データを取得

moovelにおける分野横断的な研究開発の取組み

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シンガポールは、高齢化/都市化/都市間競争へ対応すべく、政府が主導となって都市にセンサを張り巡らせデータ活用基盤を作るSmart Nationプロジェクトを推進。

出所:各種公開情報をもとに、ADLまとめ

Case Study – Singapore Smart Nation(1/2)

Smart Nationプロジェクト

「Smart Nation」というビジョンを掲げ、国土の至るところにセンサーを設置することでさまざまなデータを集約・活用し、安全で暮らしやすい国をつくる取り組みを推進

民間企業と連携して「Smart Nation Platform(SNP)」というデータ

活用基盤を作り、リアルタイムに街灯、自動車のスピード、人通り、気象・環境といったさまざまなデータを集約・活用する

高齢化の進展に伴う、都市の成長鈍化や福祉費用の高騰

都市人口の過密化に伴う、生活環境の悪化

世界的都市間競争への対応を通じた人材・資本の確保

背景にある社会課題 取組プロジェクト

シンガポール – Smart Nation (1/2)

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Smart Nationプロジェクトでは、モビリティをいち重点領域として、行列モニタリングや歩行者に合わせたルート案内支援、交通最適化など、様々な取組みを行う。

出所:Singapore Smart Nation web page

Case Study – Singapore Smart Nation(2/2)

• タクシー待ち行列の長さ、流れ具合をビデオでモニタリング

• 利用者に待ち時間通知、移動手段の選択支援しタクシー会社に場所を通知

画像解析による行列モニタリング

• スマートな歩行者ナビサービス• 利用者の属性(高齢者か、障害があるか、家族連れか等)に応じて異なるルートを案内

歩行者属性に合わせた最適経路支援

• 銀行などの様々な金融機関が新技術の実証実験を行えるコミュニティを構築

Fintech Initiative

• 政府運営の個人情報データベース• 必要な公共書類を電子ファイルで発行可能

• 今後は会話型コンピューティングを用いたサービス提供を企画

My info/One inbox

• 様々な医療機関における、個人の病歴、治療方法、処方薬などの一元管理プラットフォーム

• 健康関連の情報提供や、イベント情報の共有

Health Hub

• リアルタイム環境情報を提供• 天気(豪雨発生地域)、紫外線指数、大気汚染指数、デング熱発生地域など

One Service

• Step Trackerを受け取った参加者の累積歩行数をカウント

• 運動量に応じた報酬付与も今後検討予定

National Step Challenge

• 高齢者の生活をモニタリングし、異常時に家族に連絡

Tele-health Initiative

• 非接触の決済システム• 公共交通機関、その他店舗での支払いが可能

非接触の決済手段の導入

• 交差点やバス停、公共スペースにAG-Boxes(電源&光ファイバ)設置

• 渋滞情報総合管理で交通最適化

渋滞情報の総合管理による交通最適化

凡例:モビリティ関連

シンガポール – Smart Nation (2/2)

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シンガポールでは、MaaS Labの下、MaaS実証実験アプリのJalanを開発。既存交通だけでなく、電気自動車、eスクーター、自動運転車の連携も志向している点が特徴。

Case Study – Singapore Jalan by Singapore MaaS Lab

シンガポール MaaS Lab – Jalan app

MaaS labのもと、MaaSアプリ Jalanを共同開発

‒ SMRTが開発主体となり、2017よりアプリを提供。現在は子会社のMobilityXが運営する

‒ 現在は実証実験段階で、利用者(参加者)は適宜利用感についてフィードバックを提供する

電車・バスなどの既存交通手段だけでなく、電気自動車・シェアサイクル・自動運転車やe-スクーターなどの新規交通手段も巻き込んだ統合プラットフォームの構築を目指している点が特徴

‒ 連携モード:

路線バス・シャトルバス(SMRT) 電車(MRT) シェアサイクル(oBikes) 電気スクーター(Telepods) 自動運転シャトル(2getthere)

‒ 情報案内だけでなく、予約・決済まで可能とする

クレジットカード登録でバイクシェアやスクーターの利用金額を事前チャージする方式

テストベッドの地域として、NTU lushキャンパス、ジュロンイノベーション地区のグリーンテックパークの2箇所を選定

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目次

1 自動車業界を取り巻く変化:既存の交通システムの抱える課題

2 次世代モビリティサービスと自動運転普及のシナリオ

3 公共交通を取り巻く変化:欧州をはじめとしたMaaSのグローバル動向

4 モビリティサービスによる社会革新に向けた提言

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先進国でも、収入が多い人・世帯ほど移動距離が長い。

モビリティサービスによる社会革新に向けた提言 モビリティの価値

出所:” SUMMARY OF TRAVEL TRENDS: 2009 National Household Travel Survey” (U.S. Department of Transportation),Mobilität in Deutshland 2008”(Bundersministerium für Verkehr, Bau und Stadtentwicklung)

4,815

4,3504,178

3,748

3,3213,171

2,854

2,4352,100

$30000-40000

<$10000

$20000-30000

$60000-70000

$40000-50000

$70000-80000

$10000-20000

$50000-60000

>$80000

世帯収入別年間移動距離@米国

(mile/year)

世帯月収別1日の移動距離@ドイツ

43

67

4954

4540

35

2724

33

0

10

20

30

40

50

60

70

500-900

900-1,500

Km/day

0-500 6,000-7,000

7,000+1,500-2,000

2,000-3,000

3,000-4,000

4000-5,000

5,000-6,000(Euro)

移動=モビリティは、まだまだコモディティではない

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現状のビジネスの延長のみではなく、次世代モビリティサービス事業者等とも協業しつつ、より大局的に自らのビジネス領域を再定義していく必要がある。

出所:ADL

自動運転統合ソリューション提供者

自動運転用モジュールサプライヤー

(SW/HW)

自動運転用キーコンポーネント

メーカー

自動運転 車両供給 環境車

= traditional roles

= new roles

鍵となる考え方:次世代モビリティビジネスのピラミッド構造

各役割はどのようなもので成功要因は何か?

自社はどこに位置するか?

どのようにこのピラミッドに対してインパクトを与えるべきか?

顧客への交通サービス

インターフェイス提供者

交通システム運営プラットフォーム

次世代パワートレインソリューション提供者完成車

メーカー

Tier 1 サプライヤー環境車用

モジュールサプライヤー(電池/HW/SW)

Tier 2以下 サプライヤー環境車用

キーコンポーネントメーカー

モビリティサービスによる社会革新に向けた提言 次世代自動車産業構造

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モビリティは都市やエネルギー等の多様な領域にとってのハブであり、本来であれば、(単にMaaS / Door to Doorではなく)“移動に閉じない価値”が創出しうる。

Source: Arthur D. Little

モビリティサービスによる社会革新に向けた提言 「MaaS」として見据えるべき範囲

EnergyCity

ConsumerService

Mobility

交通

マルチモーダルな連携

自動運転との連携

ユーザーサービス

観光サービス

金融・Fintech活用

エネルギー

マイクログリッド活用

再生可能エネルギー利用

都市

スマートシティ化

都市のメディア化

モビリティを取り巻くイノベーションの展望

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日本が直面する社会課題に対して、モビリティが貢献できる可能性も大きい。(が、当然そのためには多様なプレイヤとの協創こそが重要)

モビリティサービスによる社会革新に向けた提言「MaaS」として見据えるべき範囲 日本が直面する社会課題

首都圏の過密/混雑問題

観光地の潜在回遊機会の損失

地域内のエネルギー管理

ベッドタウンの買い物難民問題

モビリティに関連する社会課題

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社会/規制デザイン社会資本の回し方や公共性

産業デザインPublic Transportation Authority,各交通サービス、ITサービス、等

都市デザイン都心型、郊外型、地方型

要整合

モビリティ・イノベーション

交通モード間だけでなく、社会 / 都市 / 産業までが協調したグランドデザインが必要。

モビリティサービスによる社会革新に向けた提言 まとめ

交通モード

交通モード

交通モード

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Arthur D. Little has been at the forefront of innovation since 1886. We are an acknowledged thought leader in linking strategy, innovation and transformation in technology-intensive and converging industries. We navigate our clients through changing business ecosystems to uncover new growth opportunities. We enable our clients to build innovation capabilities and transform their organizations.

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