uav.自動追尾光波測距儀を活用した 三次元測量・...
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「UAV.自動追尾光波測距儀を活用した三次元測量・設計・管理システム」
株式会社 伊藤建設
1. 課題と導入経緯
1.平成29年10月23日の台風21号災害
2. i-Construction対応
3.働き方改革の推進
4. AI・IoT導入促進補助金(新潟県)の活用
河川災害が多く発生し、上流部の状況を把握したくても現地へ入れないところもあった。この時UAVがあれば、現場確認等が迅速に対応できた。
国土交通省が推奨している「i-Construction」対応の必要性を認識して検討していたところだった。
社内で、上記課題を検討していたところに、新潟県の支援事業が実施され、導入に向けて踏み出す大きなきっかけとなった。
国による働き方改革が推進される中、建設業においては技術職員の負担軽減は大きな課題であり、IoT推進による省力化については、その有効な手立てと考えていた。
※平成27年国勢調査における人口に占める65歳以上の割合
○ 新潟県平均 29.9%(全国平均:26.6%)
○ 糸魚川市全域 37.0%
○ 青海地区 38.5%
2. 導入したシステムと作業手順
①Inspire2(UAV) DJI社
②PhotoScan(写真処理ソフトウェア) Agisoft社
③SITE-Scope(点群処理ソフトウエア) (株)建設システム
④SITEC3D(3次元設計ソフト) (株)建設システム
⑤パソコン(3次元点群データ解析・設計専用) デル(株)
⑥Focus35(自動追尾光波測距儀) (株)ニコン・トリンブル
(1) UAVは多少の風でも飛行できる大きな機種を選択
(2) コスト面からレーザスキャナによる計測を採用せず、画像から計測する方法を採用・ レーザースキャンタイプ 約 4,000万円・ 画像処理タイプ 約 62万円
光波測距儀は、コスト面からレーザスキャナを採用せず、画像から計測する方法を採用・ レーザースキャンタイプ 約 1,300万円・ 画像処理タイプ 約 400万円
◆導入システム◆
◆作業手順◆
② UAVにより地形の写真を撮影
④写真処理ソフトウェアPhotoScanで点群データを地形の3次元データに変換処理
⑤点群処理ソフトウェアSITE-Scopeで、3次元データから地形図を作成
③基準点(対空標識等)やUAVで撮影できない箇所は、自動追尾光波測距儀で計測
①自動追尾光波測距儀で、基準点より対空標識等を設置
⑥点群処理ソフトウェアSITE-Scopeで、中心線を設定し、地形図から縦横断を抽出
⑦デキスパートで、出来形図を作成
⑥三次元設計ソフトウェアSITEC3Dで、計画データを入力し、3次元の設計データを作成する。(このデータがICT施工に活用される。)
※別の方法として(今回実施)
3. 教育・訓練
FOCUS35 (自動追尾光波測距儀) 講習状況
INSPIRE2 (UAV) 講習状況
PHOTOSCAN(写真処理ソフトウェア)講習状況 SITE-SCOPE(点群処理ソフトウエア)講習状況
4.活用例
青海川台風災害状況 発注者より受領
今回の試行現場(完成後導入のため、完成後の出来形確認のみ)
対象工事 29災河第761号二級河川青海川29年災河川災害復旧工事
① 対空標識等設置状況
② UAVによる自動撮影状況
◆実際の作業状況◆
Agisoft PhotoScan(写真処理ソフトウェア)
④写真処理写真処理ソフトウェアで点群データを地形の3次元データに変換処理
SITE-Scope(点群処理ソフトウエア)
⑤ 点群処理ソフトウェアで地形図を作成
SITE-Scope(点群処理ソフトウエア)
⑥地形図から各測点の横断を抽出
⑦ 2次元横断図面での出来形確認
5.運用方法
1.工事受注後の起工測量を、本システムで行う。UAV、Focus35、専用パソコン使用。UAV及びFocus35は、現場で稼動。設計専用パソコンは本社に設置。標準の座標系との正確な関連付けが必要な場合は、基準点の座標測定は専門業者に依頼して行う。
2.設計図書に基づいてデキスパートの3次元設計ソフトで計画図を作成する。(技術者全員のパソコンで対応可能)
3.Focus35で、現場の基準点、丁張を設置して工事を施工する。
4.出来形測量をUAV及びFocus35で行う。
5.デキスパートで出来形管理、完成図の作成を行う。
6.導入した結果
1.作業の効率化対象工事 29災河第761号
二級河川青海川29年災河川災害復旧工事工事概要 堆積土砂掘削・運土・処理 18,300m3対象作業 完成後の出来形測量
単純に60%の労力削減となった!
・通常の測量(光波測距儀使用)測 量 図面作成等 合計
技術員 15人 5人 20人
・本システム測 量 図面作成等 合計
技術員 5人 3人 8人
2.頻発する災害時には大きな力を発揮対象災害の発生時に、本システムの導入がなされていれば、迅速な対応が可能であった。迅速に対応することで社会貢献度が増し、会社の信用も高まり、受注力・収益力の向上につながる。
3.取得データ対象範囲全体の地形データが取得国交省推進のICT化に必要なデータ
7. 今後の課題・展望1.活用範囲工事の種類・内容・環境条件により、システムの利用範囲が限られるが、部分的活用も含めて最大限の利用を心掛ける。
2.災害対応頻発する自然災害時の迅速な対応 (災害時応援協定)
3.災害予防・新規事業の開拓これまでであれば、多くの人的資源の投入が必要で取り組めなかった災害発生が懸念される地域での災害予防的な調査、新規事業(地すべり対策事業など)の開拓に向けた調査活動が比較的容易となることから、災害予防などへの活用が期待される。
4.ICT建機による施工今回のシステム導入により「ICT活用工事」における5つの施工プロセスの内、自社保有としては「ICT建機による施工」だけが未導入となるが、レンタル機械での対応が可能であるだけではなく、今後の展開として自社機械の導入を視野に入れたシステムの活用を図っていく。
5.安全管理への応用国道8号の法面防災やその他の道路、砂防・治山工事における法面上部状況確認は、目視や踏査では多くの時間と労力を必要とし見落としも多くなる。受注工事でのUAVによる観察と測定で全体を把握し、必要な場合に踏査を行うことで、迅速で正確な現状把握と対策を講ずることが可能となる。
ご静聴ありがとうございました。