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【消費増税による産業活動への影響~前回増税時(平成9年)との比較~】
26年4月に消費税率が5%から8%へ引き上げられて以降、約1年を迎えようとしてお
り、増税による日本の産業活動への影響が引き続き注目される。
26年7~9月期の産業活動分析トピックス「対個人サービスが足を引っ張った増税後
の全産業活動」では、リーマンショック後の底である21年1~3月期と比較しながら、増
税後の産業活動への影響を考察した。リーマンショックと消費増税では、経済ショックが
海外に端を発するものと、国内要因によって生じたものとの違いがあり、産業活動への
影響もそれによって異なることが確認されている。
そこで本稿では、消費増税による産業活動への影響に焦点をあて、前回の消費増税
時(9年)と今回(26年)を比較しながら、増税後の26年4月以降の産業活動について考
察したい。
最初に、全産業活動指数を用いて、消費増税の影響を受けた9年4~6月期、26年4
~6月期と、リーマンショック後のボトムである21年1~3月期の3時点について、それぞ
れの動向を確認すると、消費増税時では、内需型ビジネスである第3次産業活動の低
下が相対的に大きく、消費増税による経済ショックは、「内生ショック型」であることが改め
て確認される(第Ⅰ-3-10図)。
第Ⅰ-3-10図 全産業活動指数の推移(前期比、伸び率寄与度)
~消費増税時(9年、26年)とリーマンショック後(21年)の3時点比較~
▲ 2.07
▲ 2.03
▲ 2.51▲ 2.4
▲ 6.3
▲ 3.4
Ⅲ
8年
Ⅳ
┘Ⅰ
└Ⅱ
9Ⅲ
年
Ⅳ
┘Ⅲ
20年
Ⅳ
┘Ⅰ
└Ⅱ
21Ⅲ
年
Ⅳ
┘Ⅲ
25年
Ⅳ
┘Ⅰ
└Ⅱ
26Ⅲ
年
Ⅳ
┘
▲ 7
▲ 6
▲ 5
▲ 4
▲ 3
▲ 2
▲ 1
0
1
2
3
4
5(%、%ポイント)
公務等活動指数第3次産業活動指数鉱工業生産指数建設業活動指数全産業活動指数
前回の消費増税時
(9年4月:3%→5%)
リーマンショック後
(ボトム:21年1~3月期)
今回の消費増税時
(26年4月:5%→8%)
(注)1. 8~9年は7年=100、20年以降は17年=100、いずれも季節調整済指数をもとに算出。
2.上記グラフに掲載する全産業活動指数(四半期)には、それに対応する「農林水産業生産指
数」の数値が存在しないため、除いて計算している。
資料:「全産業活動指数」から作成。
産業活動分析(平成26年10~12月期(年間回顧))
- 105 -
一方、同じ消費増税による「内生ショック」を受けた9年4~6月期と26年4~6月期の
動きを比較すると、26年4~6月期における鉱工業生産の低下幅が相対的に大きく、翌
期も鉱工業生産が足を引っ張ることによって、回復の勢いが前回より弱いことがわかる。
26年10~12月期に入り、ようやく前期比がプラスに転じた(第Ⅰ-3-11図)。
第Ⅰ-3-11図 全産業活動指数の推移(前期比、伸び率寄与度)
~前回の消費増税時(9年)と今回(26年)の2時点比較~
▲ 0.69▲ 0.35
0.29
▲ 2.07▲ 2.51
▲ 2.4
▲ 3.4Ⅲ
8年
Ⅳ
┘Ⅰ
└Ⅱ
9Ⅲ
年
Ⅳ
┘Ⅲ
25年
Ⅳ
┘Ⅰ
└Ⅱ
26Ⅲ
年
Ⅳ
┘
▲ 4
▲ 3
▲ 2
▲ 1
0
1
2
3(%、%ポイント)
公務等活動指数
第3次産業活動指数
鉱工業生産指数
建設業活動指数
全産業活動指数
前回の消費増税時
(9年4月:3%→5%)今回の消費増税時
(26年4月:5%→8%)
(注)1. 8~9年は7年=100、20年以降は17年=100、いずれも季節調整済指数をもとに算出。
2.上記グラフに掲載する全産業活動指数(四半期)には、それに対応する「農林水産業生産指
数」の数値が存在しないため、除いて計算している。
資料:「全産業活動指数」から作成。
なお、前回増税時(9年)と今回(26年)の製造工業の稼働率接続指数を比較すると、
9年平均は 113.5、26年平均は 101.6 となっている。つまり、26年の増税直後は、生産
の低下とともに稼働率も相対的に下がっていたことを考慮すると、26年の増税直後の鉱
工業生産の低下は「供給制約」というより、「需要制約」であったと考えられる。
そこで、以下では前回増税時に比べてどのような向け先、あるいは財分類の出荷が
低迷しているのかについて確認してみたい。
増税前(前年)の年間平均を100とした鉱工業出荷指数によって、前回増税時(9年)
と今回(26年)の推移を比較すると、今回は増税開始月の26年4月から低下幅が大きく、
その後も8月まで低下トレンドを示すなど、前回より鉱工業出荷の落ち込みが激しいこと
がわかる(第Ⅰ-3-12図)。
産業活動分析(平成26年10~12月期(年間回顧))
- 106 -
第Ⅰ-3-12図 鉱工業出荷(季節調整済)の推移
~前回増税時(9年)と今回(26年)の比較~
90
92
94
96
98
100
102
104
106
108
110
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
(8年平均、
25年平均=100)
今回の消費増税時(25年1~12月平均=100)
前回の消費増税時(8年1~12月平均=100)
増税時(4月)
資料:「鉱工業指数」から作成。
鉱工業出荷の推移を国内・外にわけて確認する。まず、消費増税の影響を受けやす
い「内需=鉱工業・国内向け出荷」について、同様の方法で前回増税時と比較すると、
今回は増税前3か月の駆け込み時においては、前回の増加の勢いを上回ったものの、
増税後の26年5月以降は出荷全体の動きと同様に落ち込み、26年6月には前年の水
準を下回った。秋口になってようやく盛り返しが感じられている(第Ⅰ-3-13図)。
第Ⅰ-3-13図 鉱工業・国内向け出荷(季節調整済)の推移
~前回増税時(9年)と今回(26年)の比較~
90
92
94
96
98
100
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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
(8年平均、
25年平均=100)
今回の消費増税時(25年1~12月平均=100)
前回の消費増税時(8年1~12月平均=100)
増税時(4月)
資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
前回より落ち込みが激しい
国内向け出荷も前回より落ち込んでいる
産業活動分析(平成26年10~12月期(年間回顧))
- 107 -
次に、「外需=鉱工業・輸出向け出荷」について、前回増税時と今回の推移を比較す
ると、前回は増税される前年の10月以降、上下動を繰り返しながらも上昇トレンドを示し
ており、輸出が活況であったことが伺える。一方、今回は消費増税前後において、前回
増税時のような輸出の盛り上がりがみられず、ほぼ横ばい圏内の動きにとどまった(第Ⅰ
-3-14図)。
第Ⅰ-3-14図 鉱工業・輸出向け出荷(季節調整済)の推移
~前回増税時(9年)と今回(26年)の比較~
80
85
90
95
100
105
110
115
120
125
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
(8年平均、
25年平均=100)
今回の消費増税時(25年1~12月平均=100)
前回の消費増税時(8年1~12月平均=100)
増税時(4月)
資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
第Ⅰ-3-15図 鉱工業出荷(季節調整済)における
前回増税時(9年)との乖離とその内訳の推移
▲ 3.94▲ 3.71
▲ 4.42▲ 6.42
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
▲ 12
▲ 10
▲ 8
▲ 6
▲ 4
▲ 2
0
2
4
(今回増税時の指数-
前回増税時の指数差、
ポイント)
鉱工業 国内向け
鉱工業 輸出向け
鉱工業 出荷
4月以降、
消費税率UP
(注)1.第Ⅰ-3-12図に示した鉱工業出荷指数の動きが見せた前回増税時との乖離について、その内訳
となる「国内向け出荷」と「輸出向け出荷」それぞれの影響度を月次で示している。
2.「国内向け出荷」と「輸出向け出荷」の影響度は、前回増税時との指数水準の乖離幅に、22年基準ウ
エイトを乗じることで簡易的に算出している。
資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
前回は増税前から 輸出に盛り上がりがみられた
産業活動分析(平成26年10~12月期(年間回顧))
- 108 -
前頁の第Ⅰ-3-15図に示すとおり、「国内向け出荷」、「輸出向け出荷」それぞれの
前回増税時との乖離が、鉱工業出荷全体にどのような影響を与えているかについて確
認すると、「輸出向け出荷」の乖離は、円安が進行していたにもかかわらず26年の年間
を通じて出荷全体を押し下げる方向に向っていることがわかる。一方、「国内向け出荷」
の乖離は、増税後の26年5月~8月までは前回との下方乖離を広げる方向にあったが、
9月以降は徐々に乖離幅を縮小させている。
最後に、消費増税による影響をダイレクトに受ける「国内向け出荷」について、どのよう
な財が前回より低下しているのかについて確認したい。
生産財を除く財分類(最終需要財に格付けされる細分類)を対象に、前回増税時と
今回の出荷の前年比を比較すると、今回は「耐久消費財」の前年比のみが前回を下
回っており、鉱工業・国内向け出荷の前年比差はマイナスであるが、最終需要財のうち
「耐久消費財」だけがこの前年比差マイナスに寄与している。その他の財については全
て前年比が上回っていることがわかる(第Ⅰ-3-10表)。
第Ⅰ-3-10表 鉱工業・国内向け出荷(除く生産財)の内訳・財分類
~前回増税時との比較(年単位)~
9年(前年比%)【前回増税時】
26年(前年比%)【今回増税時】
26年-9年前年比差
(%ポイント)
前年比差×22年基準ウエ
イト比率
鉱工業(除く生産財) 2.9 1.6 ▲ 1.3 ▲ 1.3
資本財 4.7 7.7 3.0 0.5
建設財 ▲ 3.4 ▲ 1.9 1.5 0.1
耐久消費財 3.8 ▲ 2.2 ▲ 6.0 ▲ 0.9
非耐久消費財 ▲ 0.6 0.7 1.3 0.2
国内向け出荷
(注)1.上表は、増税前から比べてどのくらい国内向け出荷が落ちているかを確認する意味で、前回増税時(9
年)と今回(26年)の前年比を年単位で確認し、その差分をみることで前回増税時との比較を行っている。 2.9年(前年比)は7年=100、26年(前年比)は17年=100 の原指数を用いて算出。 資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
また、月単位で前回増税時との比較を行うと、増税前3か月は、「資本財」などの国内
出荷が前回からの上方乖離を生み出したものの、増税後の26年5月以降は「耐久消費
財」を中心に出荷の下方乖離が生じ、国内出荷全体を押し下げている。もっとも、26年
10月以降は、再び「資本財」の出荷がみられ始めているほか、「非耐久消費財」の出荷
も回復し始めており、それらが国内出荷全体の盛り返しに作用していることがわかる(第
Ⅰ-3-16図)。
産業活動分析(平成26年10~12月期(年間回顧))
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第Ⅰ-3-16図 鉱工業・国内向け出荷(除く生産財)(季節調整済)における
前回増税時(9年)との乖離とその内訳の推移
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
▲ 10
▲ 8
▲ 6
▲ 4
▲ 2
0
2
4
6
8
(今回増税時の指数-前回
増税時の指数差、ポイント)
非耐久消費財
耐久消費財
建設財
資本財
鉱工業(除く生産財)
4月以降、
消費税率UP
(注)1.前回増税時との乖離について、その内訳となる財分類それぞれの影響度を月次で示している。
2.内訳分類の影響度は、前回増税時との指数水準の乖離幅に、22年基準ウエイトを乗じることで簡易的
に算出している。
資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
前回増税時と比較して国内向け出荷の低迷に最も影響を与えている「耐久消費財」
を用途別にわけて、前回増税時と比較(年単位)すると、「教養・娯楽用」、次いで「乗用
車・二輪車」が前回増税時と比べて低迷を生み出している(第Ⅰ-3-11表)1。
第Ⅰ-3-11表 耐久消費財(国内向け出荷)の内訳・用途分類
~前回増税時との比較(年単位)~
9年(前年比%)【前回増税時】
26年(前年比%)【今回増税時】
26年-9年前年比差
(%ポイント)
前年比差×22年基準ウエ
イト比率
3.8 ▲ 2.2 ▲ 6.0 ▲ 6.0
▲ 1.2 1.1 2.3 0.1
▲ 13.3 ▲ 4.7 8.6 0.3
▲ 2.2 ▲ 13.8 ▲ 11.6 ▲ 0.2
8.9 ▲ 12.1 ▲ 21.0 ▲ 5.2
4.6 ▲ 0.6 ▲ 5.2 ▲ 3.4乗用車・二輪車
国内向け出荷
耐久消費財
家事用
冷暖房用
家具・装備品用
教養・娯楽用
(注)1.上表は、増税前から比べてどのくらい国内向け出荷が落ちているかを確認する意味で、前回増税時(9
年)と今回(26年)の前年比を年単位で確認し、その差分をみることで前回増税時との比較を行っている。 2.9年(前年比)は7年=100、26年(前年比)は17年=100 の原指数を用いて算出。 資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
1 用途分類のうち、「教養・娯楽用」に含まれる主な品目例示としては、テレビや通信機器などが挙げられ、「乗
用車・二輪車」には普通乗用車、小型乗用車などが挙げられる。
産業活動分析(平成26年10~12月期(年間回顧))
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また月次で比較すると、「耐久消費財」の国内出荷は、国内出荷全体の動き(前掲第
Ⅰ-3-13図)と異なり、前回も増税以降、盛り返すことなく下降トレンドを示したが、そ
の傾きは今回の方が大きく、勢いも足元まで止まらない。26年9月以降は「乗用車・二
輪車」の出荷では下方乖離が縮小してきているが、依然として「教養・娯楽用」の下方乖
離が大きく、前年水準(25年水準)を下回っている(第Ⅰ-3-17図、第Ⅰ-3-18図)。
80
85
90
95
100
105
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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
(8年平均、
25年平均=100)「耐久消費財」 国内向け出荷(季節調整済)
前回増税時との比較
今回の消費増税時(25年1~12月平均=100)
前回の消費増税時(8年1~12月平均=100)
4月以降、
消費税率UP
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
▲ 25
▲ 20
▲ 15
▲ 10
▲ 5
0
5
10
15
(今回増税時の指数-
前回増税時の指数
差、ポイント)
「耐久消費財」 国内向け出荷(季節調整済)における
前回増税時との乖離とその内訳
乗用車・二輪車 教養・娯楽用
家具・装備品用 冷暖房用
家事用 耐久消費財
4月以降、
消費税率UP
(注)第Ⅰ-3-18図は、前回増税時との乖離について、その内訳となる用途分類それぞれの影響度を月
次で示している。算出方法は、前掲の第Ⅰ-3-16図と同じ。
資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
一方、26年10月以降、国内出荷の持ち直しに作用している「資本財」について、前
回増税時との比較を月次でみると、26年前半は、主に「製造設備用」の上方乖離が大
きかった。26年10月以降は、「電力用」、「輸送用」を中心に出荷の上方乖離がみられ
ており、それらが足元における国内出荷の持ち直しに寄与しているとみられる(第Ⅰ-3
-19図、第Ⅰ-3-20図)。
80
85
90
95
100
105
110
115
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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
(8年平均、
25年平均=100)
「資本財」 国内向け出荷(季節調整済)
前回増税時との比較
今回の消費増税時(25年1~12月平均=100)
前回の消費増税時(8年1~12月平均=100)
4月以降、消費税率UP
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
8年 9年
25年 26年
▲ 20
▲ 15
▲ 10
▲ 5
0
5
10
15
20
(今回増税時の指数-
前回増税時の指数差、
ポイント)
「資本財」 国内向け出荷(季節調整済)における
前回増税時との乖離とその内訳
その他 事務用輸送用 建設用農業用 通信・放送用電力用 製造設備用資本財
4月以降、
消費税率UP
産業活動分析 URL:http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/index.html
第Ⅰ-3-17図 第Ⅰ-3-18図
第Ⅰ-3-20図 第Ⅰ-3-19図
(注)第Ⅰ-3-20図については、第Ⅰ-3-18図の注書きを参照。
資料:「鉱工業出荷内訳表」(試算値)から作成。
産業活動分析(平成26年10~12月期(年間回顧))
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