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本日おはなしさせていただく内容は、新gTLDという、新しいトップレベルドメインをつく ろうという動きで、現在ICANN コミュニティ内で最もホットな話題です。 1

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新gTLD申請に向けての事前準備

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Page 1: UrbanBrain: New gTLD Program: Getting Ready

本日おはなしさせていただく内容は、新gTLDという、新しいトップレベルドメインをつくろうという動きで、現在ICANN  コミュニティ内で最もホットな話題です。        

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2008年に導入が決定されてから、度重なる延期がありましたが、ついに今年中に新gTLDの募集が行われることになります。    本日は「新gTLD申請 の準備」についてプレゼンさせていただく中で、事業者からみたICANNカルタヘナ会議全体の内容も含めて報告させていただこうと思います。      

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このスライドは、昨年10月にICANNにより公開された新gTLDのタイムラインです。AGBというのは、Applicant  Guidebookの事を指し、新gTLD募集要項の意味です。    この時点で、ICANN理事会は、12月に開催されたカルタヘナ会議でAGBを承認し、本年5月30から申請の受付開始をめざしていましたが、再度延期されることになりました。  

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これは、現在集まっている情報から、弊社にて予想したタイムラインとなります。    AGBの承認が3月のサンフランシスコ会議で行われ、そのご4ヶ月間のコミュニケーション活動を経て、8月ごろに申請の受付が開始される見込みです。    今回報告させて頂く「New gTLD Program: Getting Ready」というセッションでは、タイムラインの話題以外に、新gTLD申請にあたって考慮すべきことが議論されました。

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例えば、スタンダード申請とコミュニティ申請のどちらを申請すべきなのかということ、またASCII  の申請だけではなくて日本語や中国語のIDNの申請も追加すべきなのか。さらに、IDNの申請を進めることで、どのような難点があるのかを検討しなければなりません。      ブランドTLDの場合、申請者は何を準備すればよいのか、また新gTLDプログラムの導入はブランドマネジメントにどのような影響をもたらすのかを考えなければなりません。  

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まず最初に議題としてあがった「戦略的パートナーシップ」についてご報告させて頂きます。    申請者自身が、専門業者が本当にICANNによる技術的要項を満たし、レジストリを運営できるのかどうか見極める必要があります。特に日本の場合は、gTLDレジストリとしての実績を持つ企業は存在しません。どのようなシステムが、最終的に誰の手によってどのようなネットワーク構成で提供されるのかについては、しっかり調査する必要があるといえます。    

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ほとんどの申請者は、複数のレジストリ機能について専門業者にアウトソースすることを選択すると考えられます。    例えば、EPPやWhoisなどの技術的要件、レジストリ・アドミンやAnycastなどのDNSによる名前解決などがあげられます。    特に、商標の検証作業やIPクレームサービスについては委託する可能性が最も高いといえるでしょう。  

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バックエンドのパートナーを選択するうえで、いくつかの主要な要因があります。  ひとつはスケーラビリティ。サービスを提供するプロバイダーがどこまで御社の要求にあうシステムを構築できるか、そこが重要なポイントとなってきます。      そして、最も重要視したいのが過去のgTLD  運営経験とシステム構築の実績があるかないかという点。    gTLD  の運営はccTLDよりも更に厳しいガイドラインが設定されている事を認識する必要があります。    

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次はドットブランドの申請について説明します。    新gTLDはブランド所有者にとってそのブランドの認知度を上げるビッグチャンスです。    このセクションのプレゼンターであったWinterfeldt  氏曰く、ブランド所有者は新gTLDの申請準備を早急に開始するべきだとのことです。    また、今回のような新gTLDの申請チャンスは、今後数年間行われないことが予想され、このチャンスを逃すと次回は相当先になるであろうと発言されていました。    新gTLDの申請準備において、申請をするかしないかの判断は、ブランドマネジメント戦略に大きく影響を及ぼすことを認識するべきであるとの見解を述べていました。  

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それでは実際に、企業は新gTLDの申請をするかしないかという判断はどのように意思決定すべきでしょうか。      Winterfeldt  氏は、意思決定を行う上で、各主要部署を巻き込んで意見交換をすべきだと提案しています。    つまり、意思決定を行うためには、知的財産部やマーケティングまたはウェブ コミュニケーション事業部のみに限って行うべきではないということです。    なぜならば、新gTLDを申請し運営する事は企業にとって重大な意思決定であり、長期的計画と予算の組み立てが必要だからであると述べていました。  

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それでは、セッションにて話されていた予算についてお話ししたいと思います。    申請者と、類似文字列のブランドを所有する非申請者は、明確な戦略を考えた上で、

それぞれが必要な予算を組む必要があります。ブランド所有者は、新gTLDの申請費用の他に、運用開始後の費用についても考慮しなければなりません。    また、新gTLD申請の過程で発生する可能性のある紛争解決のための費用も確保する必要があるといえるでしょう。    さらにブランド所有者は、トップレベルドメインが今後数百単位でつくられることを考

慮し、顧客に対してオンライン上でブランドTLDを認識してもらうための予算も必要となります。    Winterfeldt氏およびその他多くの業界専門家によると、企業は紛争解決の予算として、1件につき5万ドル~10万ドルの予算を組む必要があるとのことです。これは、新gTLD申請者のみではなく、申請しない企業についても必要となります。    さらに同氏は、新gTLD申請者は全ての費用をまかなうために、少なくとも100万ドルの予算を確保する必要があると述べており、他者からは、最低200万ドルは必要であるといった意見も多くあがっているとのことでした。        

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次に、申請において商標保護のポイントが紹介されていました。    新gTLDプログラムにおいては、「申請前」「申請中」「申請後」の商標保護がそれぞれ必要となります。      

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申請期間が始まる前に、ブランドの所有者は自分たちの意見、意思をICANNに伝え、プロセスに密接に関わる事が重要です。    積極的に参加することで、プロセス自体を正確に理解することが可能となります。      そして、ブランド所有者はブランドポートフォリオ、ドメイン名を再評価し、ブランド保護における新しい戦略を立て、更には予算の組み立てを今すぐにでも始めなければ

なりません。      最後に、ブランド所有者は新gTLD  申請プロセスの理解を深め、最新の情報を得るために、業界に精通しているエキスパートとビジネスパートナーシップを持つことが最も重要であると述べていました。      

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次に申請期間中についてですが、第三者からの申請をモニタリングして、申請を発見した場合、即座に異議申し立ての準備をする必要があります。    覚えておきたいのは、ブランド所有者は申請者に対して異議を申立てること以外に、申請期間中のパブリックコメントにおいて、新gTLDプログラムに関する全ての分野について意見を述べることが可能なことです。    すでに方針が固まりつつはありますが、複数の海外のグローバル企業は、1月15日まで募集されていたパブリックコメントにおいて、TM  Clearinghouse(商標DB)を利用した商標保護についてICANNに対し積極的な意見をのべています。    

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申請期間が終了した時点で、企業はどの新しいトップレベルドメインが、マーケティングを行う上や、ブランドを保護する上で登録が必要になるのかを見極め、場合によってはサンライズに参加しなければなりません。    例えば、企業イメージに直接つながるような「.eco」のようなものであるとか、一般名称として「.com」のように取りあつかわれる可能性のあるもの、地名トップレベルドメインなどについては、特に注意した方が良いとえます。    また、新gTLDを一切登録しない場合でも、商標権侵害について社内ガイドラインを設け、URSやUDRP、PDDRP・RRDRPなどのプロセスを理解していおくことが必要となります。    企業にとっては好ましくないことだと思われますが、ICANNおよび新しい名前空間については、今後も絶えずモニタリングする必要があるといえます。    

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今回のセッションにて話された「商標権者がするべきこと」についてまとめると、    まず、「新gTLD申請のリスクとベネフィットを理解」し、「部門間協力のもとで申請の是非について協議し判断する」ということです。    更に、申請前、申請中、申請後の商標保護についての戦略化が必要となります。    最も重要なことで、まず最初に企業がおこなうべきことですが、「新gTLDはブランドにとって、インターネットの名前空間を創造しコントロールできる機会である」ことを認識することです。今後、更にインターネット上のマーケットが広がり、変革していくこと

で、グローバル市場において自社トップレベルドメインが大きな意味をもつことになる可能性があります。    

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地理的ドメインの申請については、.ccと,tvの運営に関わっているBart  Mackay氏がプレゼンテーションを行いました。      プレゼンテーションはガイドブックの規定にもとづいたのもではなく、ccTLD運用経験に基づいた地名TLD申請者へのアドバイスが主な内容であり、新gTLDとの密接な関連性は特にありませんでした。    

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内容を簡単に紹介させて頂きます。    まず、皆さんがご存知のように地名TLDの申請には、関連政府、日本の場合は地方自治体の支持をとりつける必要があるということが述べられていました。  

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次に、AGBにて記載されている地名TLDには、「都市名」「首都名」「都道府県名」「ユネスコ地域」の4つのタイプがあり、それぞれ申請に際する要項が異なることが挙げられていました。    

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地名に関連するセッションでは、あまり掘り下げた議論は行われませんでしたので、弊社として、地方自治体が特に気をつけるべき点についてご紹介させて頂きます。    地名TLDを申請する上で重要なポイントとしては、    1.  地名TLDにおける地方自治体の関与度  2.  ICANN、事業者、自治体間の柔軟な契約  3.  管理・監督体制  4.  コミュニティにあわせたポリシーの策定  5.  申請が通る事業者を選択すること  

があげられます。  

まず最初に考えなければならないことは、地名TLDにどこまで関与するべきか?ということです。    しっかりとした登録および利用規約を策定しなければ、地名ブランドに悪影響を及ぼす可能性があります。一方で、ポリシー策定の全てに関わるには、専門のスタッフが

必要になる場合もあるでしょう。    次に、事業者の変更をいつでも行えるよう柔軟な契約体系を結んでおくことが重要

となります。ICANNに提出する支持書に盛り込むことによって、万が一の対策とすることが必要です。    また、事業者に対して、自治体による管理監督の体制を明確にしておき、事業者の運営状態、規定の徹底性についてなど、定期的なチェックを行うことが重要です。    最も注意してほしい点は、地名TLDはスタンダードと比べて特に優先されないという  こと。例えば自治体の支持書を得た形で.kyotoを申請した場合でも、ドメイン名を全  世界に解放するポリシーを制定し、京都を代表する複数の市民団体から反対が  あった場合は、コミュニティTLDとしてICANNに認められないでしょう。コミュニティTLD  として認められない場合は、もし他の類似文字列による申請者がいれば、最終的に  オークションにてレジストリが決定されることになります。    最後に、当たり前のことですが、申請が通る事業者を選択することが必要となります。日本でgTLDを運営した経験を持つ事業者はいない訳ですから、どれだけ立派な書類をそろえても、委託する事業者がICANNによる技術的要件を満たしていない場合は、申請自体が却下されてしまうことを認識しなければなりません。      

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次に、スペインのカタローニャ地方専用のトップレベルドメインである.CATを運営しているCORE社のAmadeu  Abril氏からコミュニティTLD  についての説明がありました。    主なポイントは、「コミュニティ向けのトップレベルドメインは、必ずしもICANNの規定におけるコミュニティTLDではない」ということでした。      

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AGBに記載されているコミュニティの定義は、「“A gTLD that is operated for

The benefit of a clearly Delineated Community.」で、日本語に訳すと「明

確な境界線のあるコミュニティに利益をもたらすために運営されるgTLD」となります。  

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仮にコミュニティTLDとして自己申告し、新gTLDの申請を行った場合でも、スタンダードTLDと比べて優先的に審査を通過できる保証はありません。    先ほど地名TLDのセッションで少し触れさせて頂きましたが、最終的にICANNが定めている16点満点の基準の内で、14点以上を獲得しなければ、コミュニティTLDとしては認められないのです。    ICANN会議の他のセッションでは、「現在の新gTLDの基準では、.CATは絶対にコミュニティとして認められないはずだ!」との意見が出され、担当者が言葉につまる場面もありました。それほど、コミュニティTLDとして認められるためには高いハードルが設定されていると言えます。      

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最後に国際化TLDについてのプレゼンを紹介紹介したいと思います。主に、当セッションでは、「全ての新gTLD申請者は、日本語や中国語、アラビア語などによるIDNにおける申請についても検討するべきだ」との内容で議論が進められました。    

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パネリストは、IDNについて、「申請する場合としない場合のリスクについて、それぞれ理解することが必要である」とのべ、これらのポイントについてそれぞれ説明していました。        

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最後に、このセッションのメイン司会者であるJothan  Frakes氏の発言に注目したいと思います。    Flakes氏は、「The biggest challenge is when you don’t know what you don’t know」とおっしゃっていました。 訳すると、「新gTLD申請の上で起こりうる最も大きな間違いは、知っていないということを自覚できないこと。」です。 世界のインターネット運用上でもっとも基本的な「ドメイン名システム」は、ICANNとその関係者により運営されています。 限られた情報の中で、新gTLD申請について、業界の裏側まで知りうることは困難であるといえるでしょう。 特に日本ではgTLDレジストリ運営経験のある事業者が皆無なので、一事業社の情報だけに偏ってしまうことは特に避けなければなりません。 新gTLDの申請を考えている団体は、本当に業界を理解している専門家からできるだけ多くの情報を集めることをお勧め致します。  

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