xrd x線反射率測定(xrr)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1...

35
201812131 BRUKER WEBINAR XRD ウェブセミナーシリーズ X 線反射率測定 (XRR) の原理・ データの見方から解析のノウハウ 2018 12 13 ( ) ブルカージャパン株式会社 X 線事業部 アプリケーション部 XRD アプリケーション www.bruker.com/JP/XRD

Upload: others

Post on 18-Mar-2021

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 1BRUKER WEBINAR

【XRDウェブセミナーシリーズ】

X線反射率測定(XRR)の原理・データの見方から解析のノウハウ

2018年12月13日(木)ブルカージャパン株式会社 X線事業部

アプリケーション部 XRDアプリケーション森 岡 仁

www.bruker.com/JP/XRD

Page 2: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 2BRUKER WEBINAR

ようこそ!Bruker XRD Webinarへ

森 岡 仁ブルカージャパン株式会社 X線事業部アプリケーション部XRDアプリケーション 兼アプリケーション統括マネージャー

[email protected]

発表内容

• X線反射率測定の原理

• 測定時の注意点

• 代表的な光学系設定

• サンプルサイズ

• 測定結果の見方

• 膜厚による効果

• 密度による効果

• ラフネスによる効果

• 解析のノウハウ

• まとめ

Page 3: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 3BRUKER WEBINAR

X線反射率測定とは?X-ray Reflectivity, X-ray Reflectometry, XRR

• 光学的な全反射現象を利用した、極表面に敏感なX線散乱技術

• 非破壊分析法

• 深さ方向構造を、nmオーダー(10-9m)で定量

• 結晶質・非晶質に関わらず解析可能

• XRRで得られる情報は?

• 層膜厚(単相膜・多層膜): 0.1 ~ 1000 nm

• 密度差の検出: < 1~2%

• 表面および”埋もれた”界面のラフネス: < 3~5 nm

Page 4: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 4BRUKER WEBINAR

X線反射率測定

入射X線 反射線

スキャン方向

基板薄膜

θ θ

• 測定モードは粉末 XRDと同じ ”θ-2θ”スキャン

• 測定範囲は通常2θ < 10o

• すれすれ入射

Page 5: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 5BRUKER WEBINAR

X線反射率測定X線が表面すれすれに入射されると?

n0=1@大気

n1=1-δ-iβ

θi θf=θi

すれすれ入射の場合 入射角が大きい場合

n0=1@大気

n1=1-δ-iβ

θi θf=θiθt

Snellの法則 (=屈折の法則)

𝜃t=0 となる全反射条件の時、

入射角θi=θcと定義すると

X線に対する物質の屈折率nは、1からほんのわずかに小さい

* 屈折に寄与しない虚数項を無視

2C

CC

C

C n

22

22

1

sincos12

21)1(cos

1cos

** 全反射臨界角度近傍では、

sinθ≈θ

θt=0o

ti nn coscos 10

δ≈10-5 β≈10-6

Page 6: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 6BRUKER WEBINAR

X線反射率測定δ と β

• X線に対する物質の(複素)屈折率nは以下の式で与えられます

• ここで、k=2π/λ,ρ0は電子密度,r0は古典電子半径 (=2.82×10-6

nm),NAはアボガドロ数,Aは原子量,Zは原子番号,ρは密度です。f’とf’’は原子散乱因子の異常分散項を示します

• 一般的に、δを屈折率の分散項、βを吸収項と呼びます

i

fA

NrifZ

A

Nr

iffZA

Nr

k

rn

AA

A

1

''2

'2

1

'''2

1

21

0

2

0

2

0

2

2

00

密度

ρ (g/cm3)

δ

(×10-6)

β

(×10-7)

全反射臨界角度

θc (deg)

シリコン Si 2.33 7.57 1.75 0.223

ゲルマニウム Ge 5.33 14.5 4.17 0.309

ガリウムヒ素 GaAs 5.32 14.5 4.2 0.309

ダイヤモンド C 3.52 11.3 16.9 0.272

酸化ケイ素(熱酸化) SiO2 2.00 6.47 0.841 0.206

金 Au 19.4 46.6 45.9 0.553

銅 Cu 8.94 24.3 5.31 0.400

アルミニウム Al 2.70 8.47 1.58 0.236

ポリプロピレン (C3H6)n 0.946 3.46 0.0398 0.151

高密度ポリエチレン (C2H4)n 0.950 3.48 0.0399 0.151

低密度ポリエチレン (C2H4)n 0.910 3.33 0.0382 0.148

ペンタセン C22H14 1.30 4.38 0.0597 0.170

ポリスチレン (C8H8)n 1.05 3.63 0.047 0.154

PET (C10H8O4)n 1.38 4.44 0.105 0.171

ポリ塩化ビニル (CH2CHCl)n 1.39 4.40 1.08 0.170

原子散乱因子の異常分散項の例

http://www.sasakiken.net/scatfac/scatfac.html

Cu Kα線に対する値

全反射臨界角度θcは<1o

Page 7: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 7BRUKER WEBINAR

X線反射率測定X線侵入深さ

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1100

101

102

103

104

105

入射角 (deg)

侵入深さ

(nm

)

侵入深さ曲線 (1/e減衰)

PET

Si

Au

• 全反射角度近傍における物質中へのX線進入深さDは、以下の式で与えられます

入射角度で1oより高い場合は、吸収によるX線進入深さの計算式D=sinθ/μと一致します(左図点線)

全反射臨界角度近傍のみの特異な挙動

2/122222 4222

4

B

BD

θc=0.171o

θc=0.223o

θc=0.553o

* μは線吸収係数(cm-1)

Page 8: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 8BRUKER WEBINAR

X線反射率測定

屈折

反射

反射

• 表面で反射したX線と、基板界面で反射したX線が干渉 Kiessigフリンジ

• 干渉縞周期は膜厚に反比例

Page 9: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 9BRUKER WEBINAR

代表的なXRR測定光学系設定

X線源

入射側光学系多層膜ミラー / モノクロメーター

減衰板

入射スリット 散乱防止スリット

受光スリット

• X線源: 通常はラインビームを使用。微小部分析の場合はポイントビームも利用可

• 入射側光学系: X線の平行度が高いほど、大きい膜厚まで測定可能

• 入射スリット: 0.1mm幅以下、推奨は0.05mm幅

• 散乱防止スリット: 0.05~0.2mm幅

• 受光スリット: 0.05~0.1mm幅

• 検出器: 0次元モード。多次元検出器の1~3素子を受光スリットとして利用することも

検出器

サンプル

Page 10: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 10BRUKER WEBINAR

測定に適したサンプルサンプルサイズ

入射X線 反射線

スキャン方向

基板薄膜

θ θ

• X線の照射幅は、低角入射ほど大きくなります

• 照射幅Wは、入射角θ、スリット幅Xを用いて

• 0.05mmの入射スリットでも、入射角θ=0.1o

の時、約30mmに拡がります 約20mm×20mmのサンプルサイズ

• 奥行方向は、入射X線サイズがそのまま照射

• 反りやうねりがないことが重要です

0 1 2 30

10

20

30

40

50

照射幅

(m

m)

入射角 (deg)

0.2mm0.1mm0.05mm

スリット幅:

sin

XW

Page 11: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 11BRUKER WEBINAR

測定に適したサンプル表面状態

平滑な表面 荒れた表面ラフネスの効果

ラフネス増大• 表面や界面のラフネスが大きくなると、

反射強度が顕著に減衰します

• 目視で鏡面であることが第一前提です

Page 12: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 12BRUKER WEBINAR

2θ=0.5~1.0o

測定・解析の流れ

PLAN – MEASURE – ANALYZE

プランニング 測定

• 解析ソフトウェアを用いて、理想的な構造におけるXRRプロファイルをシミュレーション

• 表面/界面のラフネスは、0.3~1nmを仮定

• ステップ幅や測定範囲などを評価

• サンプル表面位置、入射角を定義して、θ-2θスキャン

Page 13: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 13BRUKER WEBINAR

測定・解析の流れ

PLAN – MEASURE – ANALYZE

解析

Pt

Si

• サンプルモデルの作成・シミュレーション • 実測データとの比較

–測定データ–計算データ

• パラメーターのシミュレーションフィッティングとサンプル構造モデルの見直し

–測定データ–計算データ

Page 14: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 14BRUKER WEBINAR

X線反射率測定結果の見方

全反射臨界角度 θc:密度ρ

膜厚の逆数

勾配:ラフネス

Page 15: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 15BRUKER WEBINAR

X線反射率測定結果の見方膜厚による効果

膜厚の効果単相膜の場合

t

基板

膜密度 𝜌1基板密度 𝜌0

フリンジ周期

1/t

refle

ctivity

[a.u

.]

• 膜厚 t が大きくなればなるほど、フリンジ周期は緻密になります

• 大きな膜厚のサンプルを測定するには、高い分解能が必要になります

Page 16: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 16BRUKER WEBINAR

X線反射率測定結果の見方密度による効果

基板Siとの密度差単相膜の場合

t

基板

膜密度 𝜌1基板密度 𝜌0

• 基板と膜の密度差が大きくなればなるほど、フリンジ振幅は大きくなります

• 小さな密度差を有するサンプルの測定は相対的に困難になります

Page 17: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 17BRUKER WEBINAR

X線反射率測定結果の見方ラフネスによる効果

ラフネスの効果ラフネス 密度勾配

• XRRはサンプル膜厚方向の平均的な密度を検出します

• XRRは上図に示すような、ラフネスの状態と密度勾配の状態は区別できません AFMやSEMなどの直接観察的な手法と組み合わせ

Page 18: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 18BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ

Page 19: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 19BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ①FFTを用いたモデルフリー膜厚評価

• Bruker製解析ソフトウェア LEPTOS (DIFFRACplus LEPTOS,DIFFRAC.LEPTOS)をはじめ、多くの解析ソフトウェアには、高速フーリエ変換(FFT)を用いた周期分離機能を備えています

• 膜厚干渉フリンジが明瞭に観察されていれば、[FFT]機能によりデータを読み込むと同時に平均的な膜厚を見積もることができます

Page 20: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 20BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ①FFTを用いたモデルフリー膜厚評価

• FFTに波形が表示されない場合は...

• [Experimental]タブをクリックして、測定条件をEdit機能で編集します

• Bragg reflection欄に、XRR測定であることを示す、0 0 0を指定することでFFT機能が有効になります

Page 21: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 21BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ②最表層膜密度の導出

t=100nm

Si基板

高分子膜

膜密度 𝜌1基板密度 𝜌0

ρ1 < ρ0

Si基板の全反射臨界角度 θc

密度ρ0

薄膜の全反射臨界角度 θc

密度ρ1

• 有機膜や高分子膜の場合、基板材料よりも密度が小さくなることが一般的です

• この場合、XRRプロファイルには、最表層の膜密度に対応する全反射臨界角度とSi基板の密度に対応する全反射臨界角度の2つが観察されます

• また、両者の間には、薄膜由来の干渉フリンジも観察されます

Page 22: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 22BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ②最表層膜密度の導出

t

ガラス基板

ZnO膜

膜密度 𝜌1基板密度 𝜌0

• 密度2.0g/cm3を有する ガ ラ ス 基 板 上 のZnO(密度5.66g/cm3)薄膜のXRRプロファイル

• 膜厚が小さくなると、膜の全反射臨界角度ではなく、基板の全反射臨界角度が顕著に

• 全反射臨界角度から膜密度を求める場合は、十分な膜厚が必要

• 逆に膜厚が小さい場合は、基板密度に対する相対密度

Page 23: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 23BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ③解析領域の指定

Shift+左クリック(1回目)

Shift+左クリック(2回目)

• 測定範囲全体をフィッティングしていて、フィッティング結果が向上しない場合、解析範囲を制限する方法が有効です

• Shiftキーと左クリックを行うと、1回目で青線、2回目で赤線が表示され、この2本の線の間がフィッティング領域に定義されます

• 3回目にクリックすると線が消えますので、低角度側から広げていくとフィッティングが改善します 合わない場合は、面内分布の影響?

Page 24: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 24BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ④eXtended Genetic Algorithm: XGA

Ref. A. Ulyanenkov and S. Sobolewski, J. Phys. D: Appl. Phys. 38, A235 (2005).

• 大域的アプローチの一種で、数ある局所解のうち、最適解を探索できる手法: 遺伝学的アルゴリズム

• 従来のGAと比較して、高速化と精度の向上を実現

Page 25: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 25BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ④eXtended Genetic Algorithm: XGA

確認したいパラメーターをクリック

右クリックし、GOFを選択

• サンプルモデルのパラメーターが、どの程度フィッティングの収束に寄与しているかを視覚化できます

• 最適解のほか、複数の局所解が存在し、XGAにより最適化されていることがわかります

最適解

局所解

Page 26: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 26BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ④eXtended Genetic Algorithm: XGA

[Show Additional Parameters]をクリック

• ソフトウェアの初期設定は、パラメーターのレンジを初期値に対して±20%となっています

• 解析の初期段階などで、パラメーターが大きく異なる場合、Fit Optionsでフィッティング範囲を広げることができます

• 数字を入力後、[Localize]ボタンをクリックして、すべてのフィッティングパラメーターのレンジを再定義できます

Page 27: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 27BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ④eXtended Genetic Algorithm: XGA

• 解析の初期段階などで、パラメーターが大きく異なる場合、パラメーターをラフに大きく変化させ、最適値を探しやすくすると有効です

• GAの拡張パラメーター欄において、2つの”蓋然性”を50%前後に設定することで、より早く・大きくパラメーターを変化させることができます

• 収束してきたら、20~25%へ戻し、正確性を向上させることを推奨します

50

50

Page 28: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 28BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ⑤密度プロファイルの分割

• 単相膜のフィッティングが合わない場合、層を複数に分割することが突破口になる場合があります

• フィッティングの結果、ラフネスが大きくなる領域に、薄い低密度層などを仮定することで、より複雑な密度勾配が仮定でき、実測値に近づくことがあります

界面ラフネス:

~0.47nm

表面ラフネス:

~0.21nm

Page 29: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 29BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ⑤密度プロファイルの分割 – ラフネスの考え方

• XRR解析の結果、密度プロファイル(青線)を微分することで確率密度関数(赤線)が得られます

• LEPTOSで採用しているNevot-Croceのラフネスモデルでは、界面z0において密度の連続的に異なる単層膜が連続的に存在しているとし、ガウス関数で仮定しています

Depth (arb. unit)

Den

sity

(ar

b. unit

)

z0

分布関数

確率密度関数

2

2

0

2 2

)(exp

2

1)(

zzzw

z:深さz0:界面(または表面)σ:標準偏差(=ガウス関数を仮定した場合のrmsラフネス)

Page 30: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 30BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ⑤密度プロファイルの分割

• 界面や表面の低密度層などでフィッティングの改善がない場合、主な膜の領域を複数(2~5層)に分ける方法もあります

• これにより、膜中の密度分布をモデル化し、実サンプルへ近づけることができます

Page 31: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 31BRUKER WEBINAR

解析のノウハウ⑥密度プロファイルの抽出

[Depth profile]画面をダブルクリック

• 解析の結果、密度プロファイルが複雑になった場合や、サンプル間の密度プロファイルを比較したい場合、テキストデータとして抽出することができます

• 得られたデータをExcelなどでグラフ化し、比較できます

Page 32: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 32BRUKER WEBINAR

まとめ

• X線反射率測定(XRR)の原理、特に全反射についてその現象を示しました

• X線反射率測定における測定光学系や測定に適したサンプルの情報をまとめました。併せて、測定準備から解析にいたる肝要点を示しました

• 測定結果の見方、ならびに得られるパラメーターの結果に対する影響について、事例とともに示しました

• 単層膜を中心に、解析時のノウハウや解析ソフトウェアの便利な機能をまとめました

• XRRは非破壊でサンプルの深さ方向密度プロファイルを視覚化できる分析手法です。解析後に他の分析手法へサンプルを引き継ぐことができ、異なる分析手法の組み合わせに活用できます

Page 33: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 33BRUKER WEBINAR

ご質問がある場合

• 発表内容についてご質問のある方は、Q&Aパネルに記入いただき、送信ボタンをクリックください

感想をお知らせください

• セミナーから退室されるとアンケートが表示されます

• ぜひ回答にご協力をお願いいたします

Page 34: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 34BRUKER WEBINAR

BRUKER WEBINARS: ウェブセミナー

• https://www.bruker.com/jp/events/webinars.html

Page 35: XRD X線反射率測定(XRR)の原理・ データの見方から解析の ......n 0 =1@大気 n 1 =1-δ-iβ θ i θ f =θ i θ t Snellの法則(=屈折の法則) 𝜃t=0となる全反射条件の時、

2018年12月13日 35BRUKER WEBINAR© Copyright Bruker Corporation. All rights reserved.

Innovation with Integrity

ご清聴ありがとうございました