「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

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「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」. 小林正弥 2012/ 1 /21 平和への大結集・千葉 憲法講座. 最新原発事故( 2010 年 1 月 20-21 日). 柏崎刈羽原発:制御棒1本の動作が不良 ( 毎日新聞 1 月 21 日 ( 土 ) 高濃度汚染水2リットル漏れる … 福島第一原発( 読売新聞 1 月 21 日 ( 土 ) 中部電力:4報告書、152カ所データ誤記載 浜岡原発安全性評価など ( 毎日新聞 1 月 21 日 ( 土 )10 時 30 分) - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

小林正弥2012/ 1 /21     平和への大結集・千葉 憲法講座

Page 2: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

最新原発事故( 2010 年 1 月 20-21 日) 柏崎刈羽原発:制御棒1本の動作が不良 (毎日

新聞 1 月 21 日 ( 土 ) 高濃度汚染水2リットル漏れる…福島第一原発

(読売新聞 1 月 21 日 ( 土 ) 中部電力:4報告書、152カ所データ誤記載 

浜岡原発安全性評価など (毎日新聞 1 月 21 日( 土 )10 時 30 分)

もんじゅ制御棒に不具合=動作試験で一時動かず―保安院、 1 カ月後に公表(2012年1月20日)

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東海第2原発の最新事故 東海第2原発で火災 放射性物質漏洩なし

( 2011.7.6 ) 漏れた水は22・4トン 東海第2原発

( 2011.10.26 ) 東海第2原発:廃棄物処理建屋で白煙 セラミック

フィルターの予熱器部分から(毎日新聞 - 2012/01/13 )

日本原子力発電(原電)は十九日、東海第二原発(東海村)の原子炉圧力容器内で燃料集合体を覆っている金属製カバーの台座に六十六カ所のひび割れが定期検査で見つかったと発表した。個数や状態が原電の安全基準値内にとどまっており、問題ないとしている。( 2012 年 1 月 20 日)

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千葉県の被災状況 県内被害状況 浦安の液状化現象:ライフラインの途絶 放射性物質の土壌汚染マップ: http://savechild.net/archives/9426.html

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土壌汚染マップ 土壌汚染マップ:」http://matome.naver.jp/odai/

2131468288290995401 群馬大の早川由紀夫教授が半径約200 km の汚

染マップ作成 出典 livedoor.r.blogimg.jp 福島県東部の汚染が激しい 福島県東部では、かなり深刻な汚染である事が分

かります。また、北は岩手、南は東京都、千葉県まで汚染範囲。

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文科省モニタリング(毎日新聞、 2011年 9月 29 日)  千葉県では柏、流山、我孫子、松戸市にまたがる

10平方キロほ どの一帯で、セシウム134と137を合わせると、福島県内の比較的汚染が少ない地域に匹敵する1平方メートルあたり6万~10万ベクレルが測定された。

柏市は、周辺よりも放射線量が高い「ホットスポット」と指摘されており、土壌のセシウム沈着量でも確認された。…これらの地域では、事故後に放射性物質を含む雲が風で運ばれ、雨が降った際に地表に沈着したとみられる。

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首都圏にも危険性首都圏 3000万人避難の最悪シナリオ( 3月末ー4月初め): 4つの原発の冷却機能が回復せず、核燃料の全面的メルトダウンが進んだ場合(田坂広志)

葛飾区など東京東部も。世田谷区の高放射線量→ラジウムと判明船橋 ふなばしアンデルセン公園→毎時1.55

マイクロシーベルト横浜市ストロンチウム検出

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汚染作物香取市、旭市などの青果、出荷停止 にもかかわらず、市場で流通:ホウレンソウ、サ

ンチュ 福島などの汚染牛肉の県内流通

チェック体制は充分か?風評被害

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巨大地震発生確率 「M9巨大地震」発生確率30%…政府“地震本部”が算出

( 2011.11.25 )  衝撃的な予測結果が出た。政府の地震調査研究推進本部

(地震本部)が、東日本大震災の震源域に近い三陸沖から房総沖の日本海溝寄りのスポットで、今後30年以内にマグニチュード(M)9級の地震が30%の確率で発生すると公表した。50年以内では発生確率は40%にまで上昇するという。首都圏でのM9級の大地震の発生がより現実味を帯びてきた。…予測範囲をM6・7からM7・6の地震にまで拡大すると、三陸沖北部と茨城県沖では、それぞれ90%の高確率で地震が起きるという試算も出た。

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太平洋岸、特に千葉・茨城誘発地震の危険性 東海・東南海・南海地震の三連動型巨大地震と誘

発性直下型地震のリスク:太平洋岸

琉球大学・木村政昭名誉教授がいまいちばん警戒が必要なのは、千葉と茨城で起きる直下型地震だという。

「茨城や千葉は以前から、近いうちに M6 を超える地震が起きるのではないかと予想されていました。こうしたエリアでは、かなり危険性が強まっているといえるでしょう」

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房総沖地震の可能性今回の大地震の震源域の南にある房総半島沖を震源とした大地震が起こる可能性がある。東京大学地震研究所の大木聖子助教「今回の地震は同じプレート内で起こっているんです。最初の震源地から北へ、南へとドミノ倒しのように広がったんです。房総沖はいま、その倒れてきたドミノを頑張って支えている状態で、いつ倒れてもおかしくない。だから房総沖に大きな地震が起こっても不思議ではないんです」、同旨、京都大学名誉教授の川崎一朗氏。※ 女性セブン 2011 年 3月 31日・ 4月 7日号

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伊豆大地震の危険性  巨大地震“北伊豆”が危ない?東大地震研チームが

分析( 2011.11.30 ) 東京大学地震研究所の研究チームが分析した断層

の調査結果が波紋を広げている。東日本大震災の影響により、全国11カ所の活断層で地震発生率が震災前の10倍以上に上昇しているというのだ。最も活発化したのが70倍の動きを示した「北伊豆断層帯」。かつて、ここを震源とするマグニチュード(M)7・3の内陸直下型地震が起き、大きな被害を出した。再び大地震の危機が迫っているのか。

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原発地図 福島第 2 原発 千葉近辺:茨城・東海村

東海原発(日本原子力発電株式会社):日本初の商業用原子炉( 1965-1998 )、現在は廃炉プロジェクト。

東海第 21978開始、 33 年運行

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東海第 2 原発の事故 2010 年管理区域外への放射性物質の放出 東北地方太平洋沖地震 2011 年 3月 11 日、原子炉が自動停止した。常用の外部電源も停止したことから、非常用ディーゼル発電機3台を起動して運転に必要な電源を確保したが、津波によってディーゼル発電機用海水ポンプが故障したため、残るディーゼル発電機 2 台で原子炉冷却に必要な電源を確保した。その後外部予備電源が回復し、 3月 15日 0時 40分に原子炉水温度が 100℃未満の冷温停止状態となったことを確認した。その間は注水と、水蒸気を逃がすための弁操作の綱渡り的な繰り返しで、冷温停止までにかかった時間も通常の 2倍以上であった。

しかし、高さ 6.1m(想定津波 5.7m)の防波壁に到達した津波の高さは 5.4mで、工事中のため防波壁には穴が開いていた。その穴から入った海水によって、全 3台の海水ポンプが水没( 2 台は水深が低かったため稼動)し、非常用ディーゼル発電機 1 台も停止した。原子炉は冷却し続けられたが、もう少し波が高かったら、全ての電源が潰滅し、福島第一原発と同じ状態になっていたという。日本原電は、「(冷却機能が全て失われた)福島第一の事態になった可能性は否定できない」と述べている。

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続き 2011 年管理区域外への放射性物質の放出 地震があった同日の 2011 年 3月 11 日 21 時 50分頃

( JST)。複合建屋(非管理区域)蓄電池室 2Bにあるドレンファンネルからの溢水。当該サンプ内の廃液が非管理区域へ逆流し、漏洩したものと判断した。その後、放射性物質を含む廃液を放水口から放出した。

また 3月 13日には使用済燃料プールおよびサイトバンカープールの溢水が確認されている。

茨城県が 2007年 10月に出した「津波浸水想定」に基づき、東海第二発電所では対策を実施。冷却用海水ポンプを守るため、従来あった 3.3mの防護壁に加えて、側面にも 2.8mの壁を設けた。津波は 5mと福島第一原発の半分以下だったこともあるが、ポンプや電源は一部浸水したものの、冷却を継続できた。

対策をしていなかったら、福島原発のようになった危険性?

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東海村長の提案( 10 月 11 日) 村上達也村長が細野原発事故担当相、中川正春文科相と会談

(1)30 圏内に約キロ 100万人が居住する (2) 東京から 110 キの首都圏にあるロ -などを理由に、東海第 2 原発の廃炉を求める。原発立地自治体の首長が廃炉に言及するのは異例。

国が新たな原子力規制機関を早期に整備するよう要求。機関の名称も「安全」ではなく「規制」の文言を入れるべきだと求め

一方、現行の国内9電力会社による地域独占体制の解体と発送電分離は不可欠と指摘。日本原子力発電を準国策会社とし、国内全ての原発の運転・管理を行うことを提案した。

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東海村議選  村議選は今回、5人が引退を決め、現職15人

と新人6人が立候補の準備を進めている。 村上村長は昨年10月、細野原発相と面会した際、定期検査中の東海第二発電所の「廃炉」を提案した。12月の定例記者会見では「自分は脱原発のアドバルーンを上げた。候補者も意見を出してもらいたい」と、再稼働の是非が争点になることを望んだ。 しかし、村議会では「原子力を推進する議員有志の会」に15人が加盟し、原発推進派が大勢を占める。村上村長に共感する新人の出馬表明が相次ぐことも予想されたが、新人6人の中で「脱原発」を掲げるのは少数。

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続 村議会の勢力図に大きな変化を与えるような動き

に発展しておらず、立候補予定者が少ないこともあり、原発問題を巡って活発な論議になるかは不透明だ。 村上村長は会見の場で「私は政党を作り、明確に同じ考えを持つ仲間と政治活動をしているわけではない。立候補者にはそれぞれの思いがあり、強引に多数派工作をしていくのは難しい」とも述べた。(読売、 1 月 13 日)

明日、投票。

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自然エネルギー 千葉県:再生可能エネルギー供給量:全国 35位再生可能エネルギー自給率 全国 44位 ただ、風力発電量 全国 11位孫正義:自然エネルギー協議会、全国で 35 県、首

都圏でも栃木・群馬・埼玉・神奈川は参加しているにもかかわらず、千葉県は不参加。(北海道、岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、富山県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、関西広域連合(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県)、奈良県、島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県)

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思考ツールとしての哲学 科学史・科学哲学:実証主義的科学観に対する批判。

科学技術:価値中立的という偏見。経路依存性実際には、科学技術の発展は、時代の価値観・世界観に左右されるし、逆に影響もする。

例:マンハッタン計画 ナチズムとの対抗、その後、原爆投下に対する科学者の反省。

科学倫理:特に最先端の科学で必要これを震災やエネルギー問題について考える。

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公共哲学:理想主義的現実主義 公共性:時空間的拡大当為(べき論)と現実(ある論)哲学的鍵概念:「現実主義的現実主義」(現実肯

定・追認)との「理想主義的理想主義」(空想的)の二項対立に対して、理想を現実の中で可能な限り実現しようという考え方。

原発問題:「原発推進派(産業のためには原発が必要)対 反原発派(原発の危険性)」という構図 感情的対立 →脱原発、縮・超原発(?)

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哲学と民主主義 正義についての哲学的議論:実質的価値に関わる。

しかし、哲学的な合意は存在しない。→民主主義的決定との関係→哲学的熟議民主主義 民主主義の質的向上

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科学技術と公共性 科学:価値・世界観が関係→人文社会科学の洞察

も入れる必要実質的価値のアプローチ:主流派科学 対 対抗的科学、市民科学の潮流 エコロジー問題などで文明論的科学技術批判(理想主義的理想主義?)

プロセス的アプローチ:多様な考え方→公共性(公開性、公益性)を実現するための対話

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科学技術と民主主義 科学技術は専門家にしかわからないという想定ー

現実主義的現実主義に強力。人々が決めるべきことではなく、専門家に任せるべき。

専門家の間で決着のつかない問題に対してどうするか?

他方、知識・情報のない人々の民主主義的決定→衆愚政の危険

社会学:リスク社会論(ベック、ギデンズなど)→熟議民主主義の試み

Page 25: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

コンセンサス会議佐々木毅・金泰昌編『公共哲学8 科学技術と公共性』(東京大学出版会、 2002 年)。

コンセンサス会議:デンマーク  1986 年から テクノロジー委員会→3日間などの市民パネル(専門家の説明、市民パネルと専門家の議論、市民パネルの議論とレポートの公表):エキスパートと市民

科学の公共的了解、STS( Science,Technology and Society)学会

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日本での試み 日本:遺伝子治療( 1998 )、インターネットテ

クノロジー(1999)、遺伝子組み換え農作物(農水省)、「市民が考える脳死・臓器移植」(ディープダイアローグ)、北海道 GMコンセンサス会議、ナノトライなど

小林伝司: 2種類の専門家(ピュア・サイエンス、臨床の専門家)、素人、公共性を媒介する第 3者の必要性

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熟議民主主義

• 篠原一『市民の政治学ーー討議デモクラシーとは何か』(岩波新書)

• 討議制意見調査(フィシュキン)、計画細胞(ドイツ)、市民陪審制(アメリカ)など。197

0年代、特に 1990 年代から。• 日本 教育:文部科学省(リアル熟議)

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哲学的熟議民主主義熟議民主主義+哲学=対話型講義 原発問題をめぐる熟議型講義 0616  科学未来館のスタッフ:賛成派と反対派の

プレゼン対話型講義+市民の熟議=熟議型講義議論の公表

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エネルギー問題の熟議民主主義核分裂エネルギーの問題性代替的エネルギーの問題:自然、火力・石油、今後の原発やエネルギー政策は?:サンデルの提示した 2 つのシナリオ:原発維持か、安全性のための生活様式の変化か?

「あなたは自然エネルギーのために、一日110円を払いますか?」(未来館、未来設計会議、 2011-7 ー 16 )

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原発を巡るエネルギー論争1:量量的に不足するか?短期的問題:揚水発電、火力発電の最大稼働、自家発電など。夏場も節電でしのげるのでは?

今年の夏を越えたので、決着。節電をすれば、大丈夫:総括が必要。

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原発論争2:コスト 原発のコストは実際に安いか? :推進側の主張 モデル  反対派の主張 実際にかかった費用から

→客観的検証の必要性(中間整理) 現在、議論が進展中。エネルギー・環境会議「コスト等検証委員会」賠償費などの算入について、意見対立

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政府が根拠にしているコスト計算

水力 一般水力 揚水 火力 原子力 原子力+揚水

発電単価(円 /kWh )

7.26 3.98 53.14 9.90 10.68 12.23

一般水力 石油火力 LNG 火力 石炭火力 原子力

発電単価(円 /kWh )

11.9 10.7 6.2 5.7 5.3

有価証券報告書を基に計算したコスト

出典:電気事業連合会 ; モデル試算による各電源の発電コスト比較

出典:再生可能エネルギーの政治経済学(大島堅一)

原子力発電は高コスト?(未来館プレゼン)

Page 33: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

コスト等検証委員会の試算  これまでは計算に含まれていなかった廃炉や事故の損

害賠償費用などが新たに発電コストに加えられたため、原発の1キロワット時あたりの発電コストは 8.9円~ 9.5円( 70%稼動時)と試算された。これは 2004 年の試算の 5.9円のほぼ倍にあたるもので、これまで原発が他の電源種よりも安いとされてきた根拠が崩れた格好だ。その一方で、再生可能エネルギーについては現状では太陽光が 30.1円~ 45.8円、風力が 9.9円~ 17.3円と原発や既存の火力発電よりも高いコストが算出されたが、同時に 2030 年頃から技術革新によって再生可能エネルギーの発電コストは急速に下がるとの試算も発表された。…大島氏は、「ところどころ異論はあるが、概ね必要なコストは含むことができた。フェアな議論ができたと思う」と、委員会の結論に一定の評価を与えた。

Page 34: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

野田政権の方針減原発は維持 文科省:副読本 原発記述ほぼ一掃、放射能教育

のみに。経済発展、来夏までには原発再稼働 もんじゅ、再起動、核燃料サイクル維持?昨年末の「収束」宣言:時期尚早 原則 40 年で廃炉、ただ 60 年まで可能:危険性

Page 35: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

図解:原発をめぐる中庸?•  理想主義(的理想主義)•  反原発             中庸(本来)•              現実主義的理想主義•             脱原発•               理想主義的現実主義•               減原発        

      •                     現実主義?

           •                中庸(野田政権)?•               原発推進•               現実主義(的現実主義)

Page 36: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

問い 1.原発は、①反原発(即時なくすべき)、②脱

原発(段階的廃止)、③減原発(やめるかどうかは検討)、④原発維持・推進(安全性確保は前提)

2.再稼働を認めるかどうか?3.東海村長の提案 ①東海第 2 原発の廃炉? 再稼働?

4.原子力規制機関の設置 5.自由化、送発電分離など:今後の電力体制

(地域独占、送発電分離など)は、どうするか?6.公共的会社(機関)に原発を。電気の公共

性?

Page 37: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

問い(続):原発と自然エネルギー自然エネルギーはどこまで推進すべきか? 千葉県として、エネルギーの自給自足(永続地帯)を目指すべきかどうか?

このための財源はどうするか? 県民税を増税すべきか?

Page 38: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

問い1・2 もしかすると、電力は量的にも足りるかもしれな

いし、コストでも原発は安くないかもしれないーーこれなら脱原発は当然

仮に、量的にも厳しいし、経済的・コスト的には原発の方が他の発電方式より安いと仮定してみよう。ーー道徳的ジレンマの出現。

この場合、原発を推進するのは正義に適うか?仮に不正義でも、すぐに止められるか? 理想主義的現実主義 再稼働を認めるか?

Page 39: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

問い 3:特に危険な原発は? 浜岡、東海第 2 :再開? 廃炉?太平洋岸再開しなくとも、使用済み核燃料棒がある限り、危険。対策の必要性。

核燃料サイクル:高速増殖炉もんじゅ、 6カ所村再処理工場

Page 40: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

問い 5:原発の運営体制自由化、地域独占打破、総括原価方式廃止送発電分離

Page 41: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

問い 6:原発、電気の「公共性」民間会社に任せてよいか? コスト面を重視して

安全性を軽視する危険性。 公共的会社(機関)に原発を。電気の公共性?

Page 42: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

原発は正義か?:実質的価値問題環境正義=環境保全+社会的公正:環境人種主義批判(有害廃棄物処理場がアフリカ系などマイノリティー地域に)

エコロジカルな正義論へ功利主義的:経済成長 対 環境破綻リスク リバタリアニズム:電力自由化論ロールズ的:分配問題(=環境正義)コミュニタリアニズム的:共通善としての環境保

Page 43: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

暴走する原発のジレンマ暴走する路面電車:5人 対 1人、橋の上の人

を突き落とす?暴走する原発:メルト・ダウン、カタストロ

フィー 対 ベント、汚染水放出、海水注入(廃炉)

一億人の便益 対 十万人の犠牲?

Page 44: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

また事故が起きれば多くの人が家を失う福島第一原発から 30 km圏内の人口: 14.1万人

避難所への入所者数: 5,612人(6月9日現在)

1億人の便利のために10万人に犠牲を強いるようなことが、

現代の民主主義国家で許されていいのだろうか(科学未来館の反対派プレゼンより引用)

Page 45: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

内容:正義とは? 正義:福利型(結果としての幸福)、自由型(義務としての自由)→美徳型(目的としての美徳、善)

功利主義批判:帰結主義義務論批判:①リバタリアニズム(市場原理主義、自由原理主義) 自己所有権

②リベラリズム ロールズ、無知のヴェール、他者への無関心、合理的選択、正義の2原理(基本的自由・格差原理)、福祉国家

Page 46: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

コミュニタリアニズム善(倫理性、精神性)と共(共通性):共通善アリストテレス:目的論、美徳テイラー、マッキンタイア、ウォルツァーエツィオーニ:コミュニタリアン・ネットワーク特定の共同体の多数派主義ではない。特定の共同体を超えた、共通善の探求 原理と実例(判断)との往復運動(弁証法)

Page 47: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

功利主義功利主義の問題量的に計算できるか? 予測困難、不確定性少数者を犠牲にする危険性

Page 48: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

功利主義の問題 科学技術の推進→経済発展→人々の「幸福・福利」の総和の増大

そもそも、数量化困難。コスト計算が無理。(政府のエネルギー・環境会議の検討における意見対立)

原発事故:危険性はゼロではない。 事故の際のコスト:将来予測(確率計算)困難 原発周辺の人々に多大の犠牲:少数者の犠牲功利主義的に肯定できないのでは? 原発のみならず、科学技術全般について。

Page 49: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

子ども、原発作業員の被曝限度 本来:1ミリシーベルト 20 ミリシーベルトまで認める→小佐古東大教授辞任

→ 1 ミリシーベルトを目標に。

作業員:本来、 100 ミリシーベルト 福島原発  250 ミリシーベルトに 500 ミリシーベルトへの再引き上げを検討。 11 月に戻す方針を発表( 14 日)。ただし、新規

作業員にも一定の条件下では 250シーベルトを認める。

Page 50: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

原発をめぐる政官財学(報)癒着 電力体制:国策を遂行する私企業!国家=公=官(通商産業省・保安院)、私企業(+業界団体、財界)、政治家、原発学者(原子力村)の癒着構造。 

例:九州電力のやらせメール問題、保安院の中部電力、四国電力へのやらせ依頼ーー体質

政財官学癒着による事故:不正義そのもの 保安院の独立をはじめ改革の必要性。

Page 51: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

やらせメール問題 九州電力 報告書( 14 日):佐賀県の示唆を認め

ず。 第 3者委員会は県の関与を指摘。枝野経産相「つまみ食い」「公益企業のガバナンスとしてありうるのか」社長続投について、「理解不能」

(東電会長も続投)再提出へ

Page 52: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

リバタリアニズム 電力体制:電力会社の地域独占打破や送発電分離

による自由化。エネルギー:市場で決定 原発:民間企業が運用すべき。

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原発と分配的正義 原発の便益と事故のダメージ:便益は多くの人が共有するのに、事故の被害は立地場所の人々が特に受ける。

原発が必要と仮定すると、原発をどこに建てるべきか?

使用済み燃料はどこで処理すべきか? そもそも、そうすべきではないのか?(将来世代の問題などと関連)

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電力の分配的正義 どこまでの格差が許されるか?ロールズ的議論:もっとも惨めな人にとっての便益?:空間的な分配的不正義では?

計画停電の分配的正義:少ない地域と、多い地域、誰が計画停電を決定するのか? 電力会社?

計画停電中のナイターは許されるか?:プロ野球の開幕問題 セリーグ 対 文部科学省、節電担当大臣

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分配的正義をめぐる問い 福島では災害の影響が大きすぎることがわかった

ので、遠くの孤島に原発を作ることにしました。これには賛成しますか?

あなたの街(千葉)に原発を建設することに賛成しますか?

あなたの孫の代に核廃棄物が深刻な被害を発生させる危険性があります。原発稼働を継続することに賛成しますか?

5世代先、10世代先ならどうですか?

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将来世代と正義:時間的展開将来世代に致命的な被害を及ぼす危険性:使用済み核燃料(ないし再処理する高レベル放射性廃棄物)。そもそも、核廃棄物は出すべきではないのではないか?: 100万年! 地下埋蔵!

世代間正義:核廃棄物の存在は将来世代に危険をもたらすために不正義、核燃料サイクルを道徳的にどのように評価するか?( Behnam Taebi の擁護論)

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モンゴル政府:核処分場建設計画を断念 日本に伝達 モンゴル政府は、日米両国とともに進めてきたモ

ンゴルに原子力発電所の使用済み核燃料の一時保管・処分場を建設する計画を断念することを決め、9月下旬に日本政府など関係者に伝えたことが 10月14日、わかった。モンゴル国内で反対運動が高まり、計画継続は不可能と判断したとみられる。同様の計画は、02年にオーストラリアでも世論の反発で失敗に終わっており、改めて国際的な処分場建設の難しさが浮き彫りになった。(毎日新聞)

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リベラリズム巨大な格差や自由・権利などの人間の尊厳が冒さ

れないようにする必要。 原発作業員の尊厳:被曝限度の引き上げ もっとも惨めな立場の人にとって、利益があるか

どうか? 被害者にとって、原発による経済発展や生活水準

の向上という便益が被害を上回るかどうか?空間的分配的正義に適うかどうか?:立地をめぐ

るジレンマ 時間的分配的正義に適うかどうか?:将来世代ロールズ自身は否定。(あまりに空想的)

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超世代的コミュニタリアニズム地域を超えたコミュニティの共通前 デ・シャリット:将来世代をコミュニティの構成員として考えた場合の共通善:将来世代への不正義、時間的不正義。ただし、2-3世代まで。 (超世代的コミュニティの限定)ーー原発許容論に。

遠い将来世代まで超世代的コミュニティの構成員として考えることによって、将来世代への不正義をやめさせる。

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東電賠償スキーム政府案(原子力損害賠償支援機構法):「機構」、原子力事業者の負担金、交付国債、東電に資本も注入、東電が長期返済・東電の存続が前提。             (東京新聞)

2011年 6月 15日 朝刊

 「原子力損害賠償支援機構法案」が十四日に閣議決定されたものの、東京電力にとって福島第一原発事故に絡む損害賠償の資金繰りは「綱渡りの状況」(同社幹部)だ。法案成立が見通せない中、賠償支払いが本格化する今秋をにらんで東電、政府関係者らの緊張が続きそうだ。 (花井勝規)

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東電賠償問題 東電純資産 約2.5兆円、賠償10兆円? 東電救済スキーム?:リストラ不十分? 株主な

どが守られている 株式 100%減資、社債、借入金債務カットなし

国の賠償責任。  電気料金値上げ:国民に押しつけ? 国民負担の最

小化? 枝野発言:銀行 東電・政府:石油使用を名目にして、値上げの検討→これでいいのか?

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一時国有化案会社更生法申請、倒産→法的手続きとすべきで

は? 自己資本減資による国民負担軽減 一時国有化すべきでは? 管財人による債務整理、

金融機関の債権放棄、原子力は東電。火力などは発送電分離、民間売却(竹中案)

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電力自由化:リバタリアニズムリバタリアニズム 電力価格:国際的に高い→低下のため。自由化により低下傾向

1995 :発電事業者の参入可能に。配電:小売自由化、平成 17 年から契約電力 50キロワット以上OK 。

既存の電力会社の送電線を用いる必要。使用料高。 発送電分離:経産省は一時追求( 90 年代終わりか

ら 00初)するが、電力会社の反対などで断念。

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自由化の問題点 EU : 1990 年代から 日本:部分的自由化

アメリカの大停電問題( 2003 )石油中心に戻る危険性:環境問題 原子力のコスト削減、安全性低下

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原発をめぐる公私問題 原発はそもそも民間会社や市場に任せるべき問題

か? :浜岡原発停止で政府の要請を拒絶したら?、株主総会で原発撤退を決定したら?

東電:度重なる情報隠し、黒塗り提出。 公共的に運営すべきでは?

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電力の公共性 公共的に運営すべきでは? 批判派も含めた公共的運営。私的利益にとらわれずに、安全管理を重視する運営。

安定的供給のため、送電は公共的一元化。東西周波数の統一へ。分散発電、広域送電。東電は売却により、賠償金。

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公共善としての電力:コミュニタリアニズム 発送電分離:自然エネルギー、新エネルギーの分散型電力を可能に。発展とコストダウン。

新エネルギーのコスト:再生可能エネルギー特別措置法案(電力買い取り)→公共電力などに。

暫定的に原子力も公共的一元化すべき。 「公益事業(送配電事業、原子力事業)と競争事業(発電事業、小売り事業)を峻別する制度環境の整備」(中間整理)

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公共電力案NHK(公共放送)と民放の二元的体制送電網:全国的統一、スマートグリッドのシステムによる安定供給

原子力の管理・運営:市民や批判的学者の意見も尊重して、コストよりも安全性を徹底して重視→コストが明確にわかるようになる。コスト面で困難になる?

新エネルギー、自然エネルギー、燃料電池などは公共的に開発、補助金。

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コミュニティの分配的正義同胞愛(友愛)からみて、耐えられないような不

正義:ロールズと論理は別だが、結論は同じ。生命・安全と経済的対価(交付金など)の取引:道徳的不正義

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コミュニタリアニズム 他のエネルギーに比して、格段に危険:個々人だけで

はなく、その地域、さらには国家や地球というコミュニティ全体への破滅的危険を含む

核兵器への転用可能性、世界的拡散の危険性 核廃棄物の抜本的な処理方法がない→核廃棄物など世代を超えたコミュニティの構成員に深刻な被害を与える危険性→世代間の不正義の疑い

科学技術は、コミュニティの共通善に貢献すべき。科学者・技術者には、科学倫理・技術倫理ないし美徳が求められる。

電力体制:「国家=官」主導に反対、自由化・送発電分離のもとで、公共善としての電力、公共電力案。

→こういったエネルギーに依存することが友愛や正義に適うかどうか、という問題。逆に言えば、これらが克服できれば、不正義ではない。

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正原発論?そもそも、 1人の生命も犠牲にしてはいけないと

いうのなら、絶対安全神話が崩壊した以上、原発は不正義。(絶対安全神話に基づいてこそ、原発は正義に適う)

ただ、戦争についても、必要悪としての戦争を許容する「正戦論」が存在。

この類比を用いれば、必要悪としての「正原発論」が成り立つかもしれない。→どのような条件において、原発は許されるか?

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正戦論アウグスティヌス以来、「正しい戦争」を制約す

る条件  聖戦論との相違開戦法規:自衛戦争など。戦中法規:民間人の殺傷禁止など。

正しい戦争が必要悪としても、 原爆:不正義  無条件の絶対悪

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正原発論の論理稼働開始(建設)理由:コミュニタリアニズム的、

本当に原発建設・稼働が必要かどうか?  共通善と言えるかどうか?

運営(稼働)様態:リベラル的、事故・被害を最小限にするような運営がなされているか? ロールズ的な観点からの不正義がないかどうか?

その上で、さらに絶対的不正義:原爆のための原発

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原発は不正義か? 原発が実はエネルギーの量やコストの点で実は不要なのに、必要としていれば、稼働理由の点で不正義

コスト計算に基づいて、人命を犠牲にする功利主義的な運用がなされていれば、運営様態の点で不正義の原発体制

さらに、核燃料サイクルや原発が核兵器保持のためなら:絶対的不正義。

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稼働(建設)理由エネルギー上、本当に必要か?夏のピーク時に電力不足という議論:今夏の経験

では、節電により凌ぐことができた。短期的:石油。天然ガス。仮に、これでも足りない、あるいはコスト的に非

現実的とした場合は?

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運営(稼働)様態 正義にかなった原発運用体制か?功利主義的運用:友愛に反していて不正義。 「リベラル」な方策:補助金ー生命や安全を犠牲

にする点で疑問。独立した保安院などのチェックーー必要だが、充分か?

コミュニタリアニズム的・共和主義的方策:公共電力とし、その運用に批判的市民・学者が関わることにする。

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核燃料サイクルと核兵器問題 もんじゅ(事故):優秀な核兵器を製造する可能

性の保持という疑い。(通常の原子炉[軽水炉]では、優秀な核兵器は作れないから)

すでにプルトニウムは大量に保持。(長崎型原発4000 個製造可能な量)

高速増殖炉:米仏すら断念。日本のみ固執。その理由は?もし核兵器のための核燃料サイクル

なら、不正義そのもの。保守論壇では、核兵器保持のための原発保持:絶対的不正義

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もんじゅ、検証組織年内にも設置 文科副大臣視察「火消さず支援」

奥村展三副大臣、高速増殖炉「もんじゅ」視察、「夢を持って何とか火を消さないで、文科省としてしっかりバックアップして進めていきたい」と述べた。河瀬敦賀市長は「資源の少ない日本でエネルギーを確保する観点から非常に重要な原型炉と認識している。この火を消さずに将来につなげてほしい」と研究継続を重ねて要請した。( 2011 年 10 月 15 日)

もんじゅ制御棒に不具合=動作試験で一時動かず―保安院、 1 カ月後に公表(2012年1月20日)

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核兵器のための原発維持?石破茂自民党政調会長(当時)「私は核兵器を持

つべきだとは思っていませんが、原発を維持するということは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという「核の潜在的抑止力」になっていると思っています。逆に言えば、原発をなくすということはその潜在的抑止力をも放棄することになる、という点を問いたい。」 ※ SAPIO2011 年 10 月 5日号

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不正義の疑い:克服の必要性以上が問題ない場合でも、核廃棄物、立地の分配的問題など:不正義の疑い

そこで、少なくとも、稼働理由や運営様態において不正義をなくす必要

友愛に基づいて正義に適うエネルギー体制にする必要。

それでは、どのようなエネルギー体制が友愛正義に適うのか? 熟議の必要性

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未来提言:エコロジカルなコミュニタリアニズムエコロジカル・セルフ(環境の中に存在している自己)という自覚への変化

エコロジカル・コミュニティ:エネルギー分散型、太陽光発電などによる地域コミュニティーの電力供給。

エコロジカル・コミュニタリアニズム:公共善としての環境と電力、公共電力

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エコロジカルな共和主義これまでは、電力は買うもの。→エネルギー自己統治へ

エネルギー自給自足、地産地消:太陽エネルギーなど。

エネルギー自己決定:複数の電力会社の間での選択。

環境の観点からの電力購入:エコロジー的公民的美徳

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地球的コミュニティの可能性 中国も含め、アメリカなど多くの国々からの援助

の申し出。中国などとの険悪な関係からの一転。国際的・地球的友愛の可能性:地球的なコミュニティの可能性はあるか?

他方、汚染水の放出により、地球的公害を作り出したという責任。

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結論1:科学技術と熟議民主主義 リスク社会においては、科学技術も専門家だけに

は任せられず、人々の公共的な議論が必要。そのために、(哲学的)熟議民主主義、哲学的対話が有意義。

専門家と市民とを媒介する学芸対話者(学芸フェロー)が必要。科学コミュニケーターの拡張。

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結論2:友愛正義と原発 原発は、友愛正義に適わないものは廃止されなけ

ればければならない。 絶対的不正義:核兵器への転用。核燃料サイクル。 不正義の疑い稼働理由、運営様態:変更の必要性 理想主義的現実主義:特に危険なものから順に停止、廃炉。

誘発地震の危険性:浜岡・東海をふくめ、太平洋岸。

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超原発への道 原発⇔反原発  →脱原発 →超原発 日本の科学技術力を生かした、代替的エネルギー開発。

自然エネルギーの他、トリウム溶融塩炉や、別の新エネルギーの開発の検討。

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原発輸出と新エネルギー輸出 原発の技術移出→発展途上国では安全性が低いか

ら、事故を起こす危険性 :中国の新幹線事故逆に、福島事故の教訓を学べば、今後、同種の事

故が起こる可能性を減らすことができる。逆に、これに対して科学技術の総力を結集して、

新エネルギー社会を創造→世界に輸出できる。

Page 88: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

9・11と3・11後の公共哲学思想的再建から始める必要性。9・11後:「反テロ」世界戦争→地球的友愛 公共哲学ネットワーク、地球平和公共ネットワー

ク。改憲の危険に対して、「平和への結集」を目指す市民の風

リーマン・ショック:リバタリアニズムの限界3・11後:功利主義の問題性、コミュニタリア

ニズムへの注目→エコロジカル・コミュニタリアニズム

Page 89: 「東海第 2 原発と千葉ーー千葉から廃炉に向けて運動をどうつくるか」

結論3:友愛正義と科学技術 科学技術は友愛に基づいて行使され、正義に適う

ものでなければならない。友愛正義に反する科学技術の発展や行使は、地球人類に危険。

原爆や原発災害は、その教訓。だから、人々の中で友愛や正義の理念が公共哲学

として広がることが必須。その下で、正しい科学技術の発展が可能になる。

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友愛革命と核問題広島・長崎、そして福島の誓い:原爆による被爆、

原発災害による被爆を二度と起こさない。脱(現行)原発の潮流→核兵器廃絶 :オバマ EUからの戦術核撤去の協議開始

友愛や正義に基づく、平和でエコロジカルな世界の建設:友愛世界の新エネルギー(友愛エネルギー、エコロジカルなエネルギー)へ

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広島・長崎、そして福島広島・長崎、そして福島の誓い:原爆による被爆、

原発災害による被爆を二度と起こさない。脱(現行)原発の潮流→核兵器廃絶 :オバマ EUからの戦術核撤去の協議開始

友愛や正義に基づく、平和でエコロジカルな世界の建設:友愛世界の新エネルギー(友愛エネルギー)へ

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正義を実現するための現実的方法 絶対的不正義は即廃止:核燃料サイクル。誘発地震の高い地域の原発:再稼働を阻止。 不正義は可能な限り、速やかに廃止:現在の原発

運用体制→電力体制の大改革。総括原価方式の廃止。電力自由化と、公共電力による原子力。原子力安全庁(委員会)と公共電力への批判的学者・市民の参加。

原子力の正確なコストが明らかになる→もし、他のエネルギーより安価でなければ、自ずと廃止に向かうと思われる。

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続:不正義をなくすための方法 不正義の疑いがあるものは、民主主義を深化させ

る広範な議論により、段階的縮小。生命と安全の取引は不正義の疑いが強いから、交付金は速やかに廃止し、賠償にあてるべき。

地域主権の尊重:自治体の反対を政府が説得すべきではない。交付金などを止めた上で、人々の意向を聞くべき。直接民主主義。

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脱原発への結集 平和への(大)結集:活憲、イラク派兵は決定的違憲

脱原発への結集:最終的結論が出るには時間がかかり意見も分かれてくるので、可能なところから、停止・再稼働反対・廃炉に。

東海第 2 、浜岡:M9クラスの地震について専門的警告がある以上、首都圏の人は本来、ほとんど賛成するだろうと思われる。→地元、近隣自治体がその危険性を訴える。  →被災地でもある茨城、千葉の運動の重要性

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                               誘発地震の危険に対する原発の停止と対策を求める緊急声明

http://global-public-peace.net/archives/360 そもそも、地震と津波によるこのような原子力災害は、決し

て想像できなかったことではなく、様々な形で識者や市民から警告されていたことであった。それ故、この災害は「天災」ではなく、「人災」と言わなければならない。原発推進者たちはM9.0のこの震災を「想定外」として責任を回避しようとしているが、少なくとも今後はこのクラスの震災を「想定内」として、原発を管理しなければならない。

しかも、地震学者たちは、東日本大震災によって日本列島の下のプレートに地殻変動が起こっていると指摘し、近い未来に、M9ー7クラスの房総沖地震、関東南部地震、北海道沖地震や、東海地震、東南海地震、南海地震が起こりうると科学的に予測し警告を発している。

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声明2 そこで、これらの誘発地震の想定されうる地域において、M9-7

クラスの地震に対する対策が充分になされていない原子力発電所は、すぐに停止し、充分に津波・耐震対策などの安全対策を施す前は稼働してはならない。また、定期点検中の福島原発第4号機で使用済み核燃料プールから爆発が生じたように、現在停止中のものも含めて、全国の原発に対して、緊急の防波堤建設や緊急時電源確保、耐震性改善をはじめ、このような危険に対して早急な対策が施されるべきである。

具体的には、福島原発をはじめ東北大震災で危険性が明確になった東北の女川・東通原発(いずれも停止中)の他、特に、世界でもっとも危険と言われる浜岡原発(運転中)、東海第 2 (停止中)、伊方原発(運転中)などの太平洋岸の原発に対して、即時の稼働中止ないし使用済み燃料棒に対する安全対策が早急に施されるべきである。1次冷却水の放射性物質(放射能)濃度が上昇した敦賀第2原発(運転中)の即時停止はもとより他地域の原発に関しても、地震・津波の危険がある場合はそれに準じた対応が検討されるべきであり、電力需要に応えるための運転再開はなされるべきではない。

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声明3 特に東海第 2 原発は、東日本大震災で冷却機能停止の危機に瀕し(外部用電源停止、津波により非常用ディーゼル発電機用海水ポンプも 3台の内 1 台停止)、使用済み核燃料貯蔵プールなどから溢水した。また、六ヶ所再処理工場も、同様の危機に瀕した(外部電源停止、非常用ディーゼル発電機 2機の内1台停止、核燃料貯蔵プールからの溢水)。さらに 4月 7日の震度 5の余震で東通原発は、停止中の1号機の使用済み燃料プールでやはり深刻な事態(外部電源停止、核燃料貯蔵プールの冷却停止、非常用ディーゼル発電機3機の内、点検中の 2 台を除く 1 台のみ機能したものの、外部電源復旧後に燃料漏れで使用不能となる)に陥った。これらは、福島原発と同様の事態に陥るまで、紙一重の状態であったと言え、東通原発の危機は震度5レベルの余震でも福島原発のような悪夢の事態が起こりうることを例証している。さらに女川原発でも、本震(1号機では外部電源停止、原子炉建屋で20カ所が水漏れ、タービン建屋で火災発生、2号機では原子炉建屋の地下浸水と非常用発電機3台の内2台が起動せず)・ 4月7日の余震(1~3号機の核燃料貯蔵プールの冷却機能が負荷により一時停止、燃料プールなど8カ所で水漏れ)ともに問題が生じている。

そこで、停止中ではあっても、誘発地震や余震に備えて、このような深刻な問題に対して、充分な対策を早急に施すべきである。現状では浜岡 3 号機の再開や 6号機の新設、高速増殖炉もんじゅの運転再開、六ヶ所再処理工場の運転開始が許されないことは言うまでもなく、各地の新規原発の建設も、批判的市民も交えて時間をかけた公共的熟議をすることなしには決して強行すべきではない。

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大震災・核問題と正義――広島・長崎、そして福島からの誓い  (公共哲学シンポ、6月26日)

                                              

 東日本大震災と福島第 1 原発の事故には、サンデルが白熱教室で説明した正義の観点からも、多くの問題が存在している。震災は天災でも、原発事故は基本的には人災であり、私たちはこの災害を「平和と正義」の観点から問わなければならない。日本は広島・長崎の被爆国であるにもかかわらず、チェルノブイリに匹敵する原発災害の被曝国ともなってしまい、汚染水の海への放出などによって諸外国に地球的な公害をもたらしてしまった。

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続このような事態をもたらしたのは誰の責任であり、

どのような考え方の帰結なのだろうか。私たち日本人は、このことを猛省して哲学的な原理を公共的に確立し、被爆・被曝といった悲惨な出来事を二度と今後は起こさないように、戦後に敗戦後の日本人がしたように、再出発を誓わなければならない。それは、友愛公共と正義に基づく、平和でエコロジカルな新日本への再生であり、そのために私たちは知的・精神的・政治的エネルギーの全てを結集しなければならないだろう。