ディジタル信号処理 試験解説 2010年実施分
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2010年度試験問題解説あくまでも参考程度に
問1,4,5,6は2013、2012年度の解答参照
問2
• 線形位相特性(直線位相特性とも)
• 全ての周波数帯における遅延が等しいこと
これを周波数-位相の関係で描画すると
右図のようになるので「線形」位相特性と
呼ばれる.線形位相特性を持ったFIRフィ
ルタは全ての周波数帯において時間遅れが同じなので位相歪みが生じない.
• 位相歪み
• 同じ周波数成分を持った信号でも異なる周波数帯の時間遅れが異なることによって波形が歪んでしまうこと(講義資料No.11 28枚目参照)
位相
周波数
問2
• 直線位相FIRフィルタの具体例
• 偶対称か奇対称ならばどんな関数でもよい
• 例:𝐻 𝑧 = 1 + 2𝑧−1 + 3𝑧−2 + 2𝑧−3 + 𝑧−4
• 𝑧−𝑘 = 𝑒−𝑗𝑘𝜔として
• H 𝜔 = 1 + 2𝑒−𝑗𝜔 + 3𝑒−𝑗2𝜔 + 2𝑒−𝑗3𝜔 + 𝑒−𝑗4𝜔
= 𝑒−𝑗2𝜔(𝑒𝑗2𝜔 + 2𝑒𝑗𝜔 + 3 + 2𝑒−𝑗𝜔 + 𝑒−𝑗2𝜔)
= 𝑒−𝑗2𝜔((𝑒𝑗2𝜔+𝑒−𝑗2𝜔) + (2𝑒𝑗𝜔 + 2𝑒−𝑗𝜔) + 3)
= 𝑒−𝑗2𝜔(cos 2𝜔 + cos𝜔 + 3)
以上より位相特性は𝜃 𝜔 = −2𝜔となりこのフィルタは直線位相特性を満たす
振幅特性位相特性
問3
JPEGの原理の手順
1. 色情報の圧縮(RGB系から YUV系に)
2. 画像を8*8のブロックに分解→離散コサイン変換
3. 量子化
4. 符号化
問3
• 1,色情報の圧縮
• 輝度信号と色差信号を用いて表す.
• 人間の目は輝度には敏感であるが色信号の変化は知覚しにくい→色信号を適当に間引く
• YUV4:2:2→色信号を2*1にする
• YUV4:2:0→色信号を2*2にする
輝度
色差
色差
圧縮その1
問3
• 2,離散コサイン変換(ここでは圧縮していない)
• 離散コサイン変換は実数変換であるのでDFTではなくこちらが用いられる
• 8x8に分解した画像を変換
DCT
問3
• 3,量子化
• 量子化テーブルで割って商を記録しておく
• 高周波成分は人間の目には知覚しにくいので量子化テーブルを大きくとってカットする
÷
=
量子化テーブル
圧縮その2
問3
• 4,符号化
• 一次元にする際に右図のようなジグザグ走査を行うことにより高周波成分の0を連続して記述できるのでランレングス符号化などで圧縮しやすくなる
• データを復元するときは先ほどの量子化テーブルを掛けて元に戻す
圧縮その3