平成 24 年度 第 1 回視察研修会 関西電力㈱大河内発電所 › docs ›...

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平成 24 年度の第 1 回視察研修会は関西電力株式会社様の協力で 非常に有意義な視察研修となりました。 平成 24 9 21 日(金) 12 00 分~18 00 関西電力() 大河内発電所兵庫県神崎郡神河町長谷字新田 34-1) 【関西電力() 大河内発電所の概要】 大河内発電所は、兵庫県市川水系の一つ、太田川上流に太田ダ ム(上部ダム)、犬見川中流に長谷ダム(下部ダム)を設け、その 高低差 394.7m を利用して最大 128 kW の発電をおこなってい る、純揚水式発電所です。 ダム形式としては、付近の地形や地質を考慮し、太田ダムはロ ックフィル式ダムを、また長谷ダムはコンクリート重力式ダムを それぞれ採用しています。発電所は地表から地下 280m につくら れています。 【見学コース】 ・発電所に到着 2 班に分かれて説明を受ける ・マイクロバスで地下発電所内へ移動 ・発電所内の見学 可変速揚水発電設備 発電電動機、ポンプ水車、管路弁 ・下流の長谷ダム見学 ・記念撮影 今後、太陽光や風力など新エネルギーを利用した発電の普及が見込ま れています。新エネルギーを利用した発電では、天気や風などの気象条 件に応じて、発電する電気の量が刻々と大きく変化します。発電する電 気の量を容易に調整できる揚水発電は、この変動分を調整できるため、 その重要性がますます高まっていくと思われます。 2 4 1 西

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平成 24年度の第 1回視察研修会は関西電力株式会社様の協力で

非常に有意義な視察研修となりました。

平成 24年 9月 21日(金) 12時 00分~18時 00分

関西電力(株) 大河内発電所(兵庫県神崎郡神河町長谷字新田 34-1)

【関西電力(株) 大河内発電所の概要】 大河内発電所は、兵庫県市川水系の一つ、太田川上流に太田ダ

ム(上部ダム)、犬見川中流に長谷ダム(下部ダム)を設け、その

高低差 394.7m を利用して最大 128 万 kW の発電をおこなってい

る、純揚水式発電所です。 ダム形式としては、付近の地形や地質を考慮し、太田ダムはロ

ックフィル式ダムを、また長谷ダムはコンクリート重力式ダムを

それぞれ採用しています。発電所は地表から地下 280m につくら

れています。

【見学コース】 ・発電所に到着 ・2 班に分かれて説明を受ける ・マイクロバスで地下発電所内へ移動 ・発電所内の見学

可変速揚水発電設備 発電電動機、ポンプ水車、管路弁

・下流の長谷ダム見学 ・記念撮影

今後、太陽光や風力など新エネルギーを利用した発電の普及が見込ま

れています。新エネルギーを利用した発電では、天気や風などの気象条

件に応じて、発電する電気の量が刻々と大きく変化します。発電する電

気の量を容易に調整できる揚水発電は、この変動分を調整できるため、

その重要性がますます高まっていくと思われます。

平成 24 年度 第 1 回視察研修会

関西電力㈱大河内発電所

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最初は、関西電力株式会社大阪南支店 総務・広報グループ チーフマネ

ージャー 濱西保弘氏より「今夏の需要状況と節電結果」と題して、節電へ

の協力にたいして非常に感謝している旨のお礼の言葉とともに、次のような

説明をいただきました。

・今夏の最大電力の推移、大阪の気象状況との関連などから節電効果は最大

電力で約 300万 KW(22 年比 11%)が減少している。工場、事業所の節電

もかなり無理をお願いしたが家庭用でも 55万 KWの減少があった。

・今夏の関電管内の需給状況の検証から原子力発電所が稼働しなくても計算

上は供給出来ていたことになる。しかし、この状況では予備率が3%以下

であるため火力発電が1基停止すると供給出来ない状況にあった。需要変

動に対応するためには8%程度の予備率が必ず必要である。

平成 24 年度第 2 回セミナーは 10 月 17 日 午後

2時から大阪 ATC グリーンエコプラザにおいて開

催されました。参加人数は 48 名となり、会員各位

の興味あるテーマであったことが伺えるセミナー

でした。

引き続いて、業種の異なる次の事業者様から節電対策と計画停電対策についての事例発表をして頂

きました。 【商業施設の事例】アジア太平洋トレードセンター株式会社 施設チーム課長の水谷真幸氏 【流通業の事例】大阪よどがわ市民生活協働組合 人事総務部の加藤満氏 【製造業の事例】株式会社太洋工作所 森小路事業所の川畑一成氏 【病院の事例】医療法人大和中央病院 総務課長の堀内洋氏 【計画停電体験事業者の事例】株式会社岡村製作所 環境マネジメント部部長の阿部祐爾氏

事例発表では商業施設での入居者・テナントへの計画停電時の影響や復帰の詳

細な周知、節電の取組についての問い合わせ内容への具体的な対応を、流通業で

はデマンドコントロールや自販機の入れ替え、ディーゼル発電機の準備・設置・

撤去など、製造業ではデマンド監視、稼働日の振り替え、その他工場設備の省エ

ネ改善など、病院は計画停電範囲外であるが EA21 による節電活動の内容を、計

画停電を経験された東京の事例では電力需給対策としてのワークカレンダー、や

らざるを得ない状況での工程、設備管理など様々な側面からの有意義な事例をお

聞きすることができました。 休憩をはさんで事例発表者5名によるパネルディスカッションでは、大阪環境

カウンセラー協会副理事長の宇田吉明氏のコーディネートで活発な意見交換が

行われました。 最後に大阪市環境局吉田一環境活動担当課長より大阪市の地下鉄、上下水道、

ごみ焼却場、市庁舎などの今夏の節電状況、事業系一般廃棄物の収集について再

生可能な紙類は平成 25 年 10 月から収集しないことなどの情報提供がありまし

た。

南会長あいさつ

濱西保弘氏

水谷真幸氏

吉田一担当課長

宇田吉明氏

加藤満氏 川畑一成氏 堀内洋氏 阿部祐爾氏

平成 24 年度第 2 回セミナー

節電・計画停電対策とそのふり返り

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当院は旧館時代も含めると 35 年間電気設備の保守管理面での計画停電を行ってきた。 保守管理の面から次の 3 つの有効性がある。 ① 安定した電気供給での予防保全 ② 40 秒以内の自動起動の発電機給電検証(実停電と同じ) ③ 施設職員の停電操作実地検証

このほかに停電作業に当日従事した職員も実停電を体験する事が出来る。本年はこの貴重な経験をふまえ各部署

で問題点を抽出し、この夏の計画停電の備えとしてまとめる事が出来た。 毎年の計画停電に際しては医師、看護師等の他職種のチーム連携や発電機やバッテリーの保守契約会社の停電終

了までの立会いの応援があって成りたっている。停電に際しては患者さんの安全を最優先に行っており、当院の地道

な取組みがこの夏に起こるやもしれぬ計画停電や災害時の対応力向上に寄与できれば幸いである。

医療機関においては、様々な医療機器や設備があり、電力の安定供給は欠かせない環境となっている。 そこで電力の常時安定供給のため受電・変電設備の点

検と災害時などによる緊急停電に対する訓練を実施し、様々な問題点の掌握と対策を講じることを目的に次の手順により実施した。

電力会社との保安規定に基づき毎年実施する停電作業(精密点検)を行ううえで最も重要な作業の一つである。 全病棟など常時必要とする電源の確保の観点から施設

課、器材センタ一、医療安全管理センターの合同チームにより巡回して特に重篤な患者に影響のないように細心の注意をはらい人工呼吸器やモニターなどの電源を確保する。停電当日に勤務する看護師や看護助手いわゆる現場担当のスタッフにも伝え、現場サイドの見地で停電を迎えることが重要である。

エレベーターやパーチカルの搬送設備 を停止する。この時に患者さんの閉じ込めなどの注意は勿論の事、これらの制御系はコンピュータに依存されているため、電源の入り切りも停止マニュアルに沿って行う必要がある。 検査科や薬剤部の機器やシステムに伴うパソコン等の

起動、停止作業は、各現場のスタッフに委ねる事が望ましい。そのことにより停電の重要性や概要も把握できるメリットがある。また、医療機器、パソコンの終了処理作業時にモデムやルータ等の伝送系の電源は特に気をつけることを忘れてはならない. 20 数年に渡り計画停電を毎年行ってきた当院では、停

電作業用に別ラインの電源を準備しているので比較的にスムーズに停電・復電が行えるが、経験の少ない病院でのトラプルの多くは、この事前準備が不備なため起こる。 計画停電が成功するか否かは、事前準備の良し悪しで決

まると言っても過言ではない。

院内患者の緊急 OP や処置、また 3 次救急を受け入れている当院は患者の治療優先のため、プログラム通りに停電が開始される事はまれである。復電時間は変更出来ないために停電作業時間が短縮され、予定されている作業を次回に変更などを余儀なくされる。指揮にあたる電気主任技術者が最も神経を使う所であり決断力が問われる。

停電中は屋上キュービクルにて精密点検を行 う。変圧器の油量補充や碍子部や端子部の清掃、 充電中は満足な絶縁抵抗も計測できない。また、 各種継電器(DG、UV、OC等)の動作性能点検、断路器(VS、AS、TS 等)の動作・清掃点検を行う。清掃作業ーつとっても、停電作業でのみ可能な充電部を掃除するのであるが使用する化学雑巾の数も想像以上で 1 年間の汚れを物語っている。 発電機については、実際の負荷をかけて自動起動運

転するわけで定期点検の無負荷手動運転とは意味が違う。自動車で例えると定期点検はエンジンのアイドリング状態に過ぎず停電時の発電機運転は実際に道路を走っていることになる。 そのほか、当院施設課では、屋上キュービクルで測

定した絶縁測定結果をもとに、漏電箇所の探求作業を行う。普段では漏電回路を該当トランスから該当分電盤の絞込みまでが限界で漏電箇所まで辿りつけない。この様に停電中に探索処理する事により、安全な受変電設備が構築される。

復電作業での注意事項は、発電機で電力を賄っているブロックの復電時は、発電回路から切離し常用線回路に切り替える時に数秒停電が発生する。 この停電の対応が忘れがちで、多くの電子回路にと

って悪影響を及ぼす。最近の病院施設では多くの機器に電子回路が使用されているので影響は甚大である。

災 害 を 想 定 し 計 画 停 電 を ~大阪警察病院~

〒543-0035 天王寺区北山町10-31 TEL:06-6771-6051

訓練の模様を DVD に納め、販売しております。

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節電のご協力へのお礼と今後の取組み

・大阪市では、関西広域連合と連携して、この夏の節電対策に取り組んでまいりました。

今夏は、計画停電に陥る可能性も想定されましたが、皆さまに日々の節電取組みのご努力をいただ

いたことなどにより、昨夏を大きく上回る節電を達成し、電力需給が逼迫する状況にいたることな

く、節電の対応期間を終えることができました。

皆さまのご協力に、厚くお礼申し上げます。

・大阪市では冬に向けた電力需給見通しや節電対策の検討を進めてまいります。事業者の皆様におかれ

ましても、引き続き、省エネルギーなどの温室効果ガスの排出抑制に向けた取組みに、ご協力をよろ

しくお願いいたします。

・平成 25年 10月 1日から資源可能な紙類の焼却工場への搬入を禁止します

大阪市ではごみの減量とリサイクルを推進するため、平成 25年 10月 1日から焼却工場への資源化

可能な紙類の搬入を禁止します。詳細につきましては別途、関連セミナーの開催をご案内いたしま

すので、ぜひご参加いただきますようお願いします。

見学会・セミナーへのご参加ありがとうござ

いました。多数のご参加を頂きまして盛況のう

ちに終わることが出来ました。ありがとうござ

いました。

社員教育向けに講師無料派遣を行う「出前講座」、

騒音計の無料貸し出しや ISO14001 の内部監査員養

成講座の会員割引など、会員様向けサービスをご利

用下さい。

【編集後記】今回のセミナーは主に会員企業様の経験など貴重な実務上の対策をお聞きすることがで

きました。セミナーの形態は講師の講義を一方的に聞くのではなく、多くの会員様の貴重な経験に基

づく実施可能な対策や考え方を出来る限り会員様で共有して頂けるような、会員様参加型のセミナー

企画として初めてパネルディスカッション方式を企画致しました。今後も、このような会員様参加型

のセミナーを企画致しますので会員相互の情報共有と異業種交流での研鑽の場としてご協力、ご利用

をお願い申し上げます。(I)

*セミナー開催情報などメールで配信を希望される方は事務局業務担当までメールを頂きましたらそ

のメールアドレス宛てに配信致します。