平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度...

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平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1 白書のポイント 1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に 耳を傾けつつ、復旧・復興への足取りを記述。 農畜産物の個別品目に係る記述については、品目間のバランスに配慮しつつ、 各品目の生産等の動向や経営の状況、課題が明確となるよう記述。 「現場主義」に基づき全国各地で展開されている取組事例を紹介。 分かりやすく親しみやすい白書を目指す。 2 各章のポイント 2 第1章 東日本大震災からの復興~復興への歩み~ 地震・津波、原発事故による農業分野への被害状況を踏まえ、被災地域にお ける農地等の復旧状況や農業の復旧・復興に向けた取組、農畜産物の安全確保 の取組、被災地産品の活用の取組、諸外国における日本産食品の輸入規制の緩 和・撤廃等の状況を明らかにする。 第2章 食料の安定供給の確保に向けた取組 世界の食料需給や我が国の食料自給率の動向を明らかにするとともに、高齢 化等に伴う食料消費構造の変化を分析する。また、食品産業における取組、食 の安全と消費者の信頼の確保に向けた取組、食育の推進に向けた取組の状況を 明らかにするととともに、EPA/FTA 交渉等の現状を整理する。 第3章 持続的な農業の発展に向けた取組 農業構造の変化の状況や、人と農地の問題を解決する取組、農業生産基盤の 整備・保全、農業の高付加価値化・農林水産物の輸出促進等の取組の状況を明 らかにする。また、主要農畜産物の生産動向、新需要の創出等に向けた研究・ 技術開発、環境保全に向けた取組、農業関連団体の取組の状況を明らかにする。 第4章 地域資源を活かした農村の振興・活性化 農村の現状や農村を取り巻く課題、耕作放棄地の解消に向けた取組、深刻化 する鳥獣被害への取組状況を明らかにする。また、農業の持つ多面的機能の発 揮に向けた取組、都市と農山漁村の共生・対流の取組、農業と教育・福祉・観 光等との連携の取組、再生可能エネルギー導入の取組、都市農業の保全と振興 の取組の状況を明らかにする。 第1章 東日本大震災からの復興 ~復興への歩み~ 第2章 食料の安定供給の確保に向けた取組 第3章 持続的な農業の発展に向けた取組 第4章 地域資源を活かした農村の振興・活性化

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Page 1: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

平成 24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)

1白書のポイント 1 ○ 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

耳を傾けつつ、復旧・復興への足取りを記述。

○ 農畜産物の個別品目に係る記述については、品目間のバランスに配慮しつつ、

各品目の生産等の動向や経営の状況、課題が明確となるよう記述。

○ 「現場主義」に基づき全国各地で展開されている取組事例を紹介。

○ 分かりやすく親しみやすい白書を目指す。

2各章のポイント 2 第1章 東日本大震災からの復興~復興への歩み~

地震・津波、原発事故による農業分野への被害状況を踏まえ、被災地域にお

ける農地等の復旧状況や農業の復旧・復興に向けた取組、農畜産物の安全確保

の取組、被災地産品の活用の取組、諸外国における日本産食品の輸入規制の緩

和・撤廃等の状況を明らかにする。 第2章 食料の安定供給の確保に向けた取組

世界の食料需給や我が国の食料自給率の動向を明らかにするとともに、高齢

化等に伴う食料消費構造の変化を分析する。また、食品産業における取組、食

の安全と消費者の信頼の確保に向けた取組、食育の推進に向けた取組の状況を

明らかにするととともに、EPA/FTA 交渉等の現状を整理する。

第3章 持続的な農業の発展に向けた取組

農業構造の変化の状況や、人と農地の問題を解決する取組、農業生産基盤の

整備・保全、農業の高付加価値化・農林水産物の輸出促進等の取組の状況を明

らかにする。また、主要農畜産物の生産動向、新需要の創出等に向けた研究・

技術開発、環境保全に向けた取組、農業関連団体の取組の状況を明らかにする。 第4章 地域資源を活かした農村の振興・活性化

農村の現状や農村を取り巻く課題、耕作放棄地の解消に向けた取組、深刻化

する鳥獣被害への取組状況を明らかにする。また、農業の持つ多面的機能の発

揮に向けた取組、都市と農山漁村の共生・対流の取組、農業と教育・福祉・観

光等との連携の取組、再生可能エネルギー導入の取組、都市農業の保全と振興

の取組の状況を明らかにする。

第1章 東日本大震災からの復興 ~復興への歩み~

第2章 食料の安定供給の確保に向けた取組

第3章 持続的な農業の発展に向けた取組

第4章 地域資源を活かした農村の振興・活性化

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タイプライターテキスト
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資料4
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長方形
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「平成24年度 食料・農業・農村の動向」

(食料・農業・農村白書)

骨子(案)

平 成 2 5 年 3 月

Page 3: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

1 地震・津波による被害と復旧・復興に向けた取組

2 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧・復興に 向けた取組

目次

1 世界の食料需給と総合的な食料安全保障の確立

2 我が国の食料自給率の動向

3 食料消費の動向と食育の推進

4 食品産業の動向

5 食の安全と消費者の信頼の確保に向けた取組

1 農業の構造改革の推進

2 人と農地の問題を解決する取組

3 農業生産基盤の整備・保全

4 主要農畜産物の生産等の動向

5 農業の高付加価値化等の推進

6 研究・技術開発の推進

7 環境保全を重視した農業生産の推進

8 農業を支える農業関連団体

・・・・・・・・・・・・・4

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

・・・・・・・・・・・・・・8

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

1 農村の現状と農村を取り巻く課題

2 農業の持つ多面的機能の発揮

3 地域資源を活かした農村の振興

4 都市農業の保全と振興

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

・・・・・・・・・・・・1

・・・・2

第1章 東日本大震災からの復興 ~復興への歩み~

第2章 食料の安定供給の確保に向けた取組

第3章 農業の持続的発展に向けた取組

第4章 地域資源を活かした農村の振興・活性化

Page 4: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

仙台東地区における大区画化の概要

第1章 東日本大震災からの復興 ~復興への歩み~

1

1 地震・津波による被害と復旧・復興に向けた取組

○ 東日本大震災では、農林水産業全体で2兆3,841億円(うち農業関係9,049億円)の被害が発生。

○ 津波被災農地21,480haについては、「農業・農村の復興マスタープラン」に基づき、平成26年度ま

でのおおむね3年間で営農再開が可能となることを目指し、農地復旧や除塩等を実施。

○ 平成24年度春の作付けまでに8,190ha(38%)の農地で営農再開が可能となり、マスタープランの

目標をおおむね達成。加えて、平成25年度の営農再開に向けて、5,280haの農地で復旧工事を

実施中。

○ 農林水産省は、平成23年度から農地・農業用施設等の直轄特定災害復旧事業等を開始。 平成

24年度においては、福島県南相馬市で農業用施設の直轄特定災害復旧事業を開始。

○ 復旧の先の復興を見据えた取組として、岩手県、宮城県、福島県においては、復興交付金等を活用し、農地の大区画化等を9,400haで実施中(計画策定中を含む)(平成25年1月現在)。

資料:農林水産省作成

直轄災害復旧事業等の実施地区

東日本大震災からの農業の復旧状況(平成24年12月末現在)

資料:農林水産省作成 注:1) 6県は、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県。

2) 農業経営体については、平成24(2012)年3月現在。 3) 経営を再開した4,090経営体には農業生産過程の対象作業又はその準備を一部でも再開した経営体を含む。

資料:農林水産省作成

仙台市

名取市

事業実施エリア

大区画化ほ場

土地利用の整序化

転作の団地化

仙台東地区(宮城県)

ほ場整備事業区域(案)

整備後のほ場

整備前のほ場

項目

農地

6県の津波被災農地→21,480ha

マスタープランにおける営農再開可能面積

農業経営体

6県の津波被害のあった農業経営体→10,200経営体

0 40 80 100(%)

4,090経営体経営再開 40%

20 60

24年度 25年度 26年度 その他8,310ha 5,610ha 4,990ha 2,570ha

8,190ha営農再開可能

38%

5,280ha工事実施中

63%

迫川上流・荒砥沢ダム

迫川上流仙台東

亘理山元

白河矢吹(羽鳥ダム)

阿武隈川上流(西郷ダム)

芳賀台地

宮城県

福島県

栃木県

名取川

定川

亘理・山元農地海岸

河南

凡 例

直轄特定災害復旧事業実施地区(津波被災地域)

直轄災害復旧事業実施地区

代行海岸保全施設災害復旧事業実施地区

南相馬

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先端的農業技術の大規模実証研究の例

○ 農林水産省は、宮城県南部沿岸地域において、土地利用型営農、施設園芸、果樹等の生産・加

工等に係る先端的な農林水産技術を駆使した大規模実証研究を産学官連携により実施。

○ 宮城県山元町においては、平成23年度に、いちご等の太陽光利用型植物工場を設置。 平成24

年度には、いちごの局所温度管理技術(いちごの成長点を最適温度に保つことで果実を早く大

きくするとともに、施設内の暖房費を削減する技術)等を実証。

いちごの栽培棚の様子

○ 農畜産物については、放射性物質の低減対策と検査により安全を確保。

○ 米については、放射性セシウム濃度が基準値以下の米のみを出荷するため、作付制限、吸収抑

制対策及び収穫後検査の組合せにより安全を確保。なお、福島県は全袋で検査を実施。

○ 畜産物については牧草中の放射性物質低減対策(除染)の推進等が重要であり、3万9千haの

除染対象草地のうち、平成24年度末までに1万7千haの除染が実施される見込み。

○ これらの取組の結果、平成24年度における農畜産物中の放射性物質の基準値である100ベクレ

ル/kgの超過率は平成23年度末までと比べて大幅に低下。

資料:厚生労働省資料を基に農林水産省で作成 *1:平成24(2012)年4月施行の基準値の超過率。一般食品100ベクレル/kg、茶(浸出液)10ベクレル/kg、原

乳50ベクレル/kg。 *2:被覆資材の不適切な保管・使用が原因と考えられる。

2 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響と復旧・復興に向けた取組

2

土地利用型営農技術

そ菜・果樹園芸技術畜産技術

農業・農村型 研究・実証地区開放型研究室

防災・経営診断技術

施設園芸技術(いちご・トマト)

国 研究グループ・協力体制の構築生産法人・漁協

被災地の県・公設試験場

独法・大学・民間企業

委託

先端技術の組合せ・

最適化

技術の実証

普及・実用化推進

先端的農業技術の大規模実証研究のイメージ

資料:農林水産省作成

いちごの成長点を 最適温度に保つ技術

農畜産物の放射性物質検査の概要(17都県分)

平成23年度末までの超過率*1

(%)

平成24年4月1日~平成25年2月28日

3.0

7.7

2.2

4.8

2.3

ほうれんそう*2、あしたば、れんこん、くわい、こまつな*2

うめ、栗、ブルーベリー、ゆず、みかん

0.03

0.3

基準値超過品目

大豆、小豆

1.3

8.6

3.1

0.4

そば

牛肉、豚肉、馬肉

超過率(%)

0.0008

0

0.5

0

5

13

肉・卵(野生鳥獣肉を除く) 137,318 4

1.6

0.4

13

1,023万米

原乳 2,191

837

野菜類 17,508

果実類 4,386

0.003

検査点数(点)

基準値超過点数(点)

84

1,816 0

豆類 4,387 22

0

その他地域特産物 3,286 14

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697 608

29 28

474

406

23

(2011)

24

(2012)

1,201

1,041

▲13.3%

24(2012)

23(2011)

1,955 2,072

94 91

1,262 1,293

23

(2011)

24

(2012)

農産物

林産物

水産物

3,3103,456

4.4%

23(2011)

24(2012)

農地除染対策実証事業の結果(中間取りまとめ)

資料:農林水産省作成

○ 農林水産省は、工事実施レベルにおける農地除染対策実証事業の結果を取りまとめ、施工上

の留意点や施工管理方法等を示した「農地除染対策の技術書」を公表(平成24年8月)。除染し

た農地で試験的に作付けした水稲、野菜の放射性セシウム濃度は全て検出下限値未満。

○ 被災地を応援する取組として、「食べて応援しよう!」のキャッチフレーズの下、被災地産食品の

販売フェアや社内食堂等における積極的な利用の取組等を推進するとともに、各府省庁の食

堂・売店においても被災地産食品を利用・販売。

○ 原発事故に伴い40を超える国・地域が日本産農林水産物・食品の輸入規制を強化。政府一体と

なった働きかけの結果、カナダ等10か国が規制を撤廃するなど、各国で規制緩和・撤廃の動き。

○ 今後、より一層証明書発行のニーズが高まることから、国による証明書発行体制を整備。

○ 輸出回復に向け、被災地の輸出の取組支援とともに、日本産食品の魅力を海外へ発信。

○ これらの取組の結果、直近の輸出額は回復基調。

農地除染対策実証試事業により 除染した農地における試験作付の概要

3

試験作付の状況 農地の除染(表土削り取り)

「食べて応援しよう!」の取組

農林水産省内の食堂・売店

経済産業省内の食堂 防衛省内の食堂

香港ワイン&スピリッツフェアにおいて被災地産品のプロモーションを実施

被災地産品等の輸出回復のための外国語ホームページの開設

主な輸出先国の輸入規制措置緩和の動き 香港 2011年11月 福島県、群馬県、茨城県、栃木県及び千葉県の水産物

について放射性物質検査証明書の添付による輸出再開 2012年3月 福島県、群馬県、茨城県、栃木県及び千葉県の食肉及

び家禽卵について放射性物質検査証明書の添付による輸出再開

EU 2011年12月 長野県産の食品、飼料が放射性物質検査証明書なしで

輸出可能 2012年3月 EU側によるサンプル検査頻度を半減 2012年4月 日本酒、焼酎、ウィスキーの規制解除 2012年11月 放射性物質検査証明書添付が必要な品目を一部品目に

縮小その他酒類等の規制解除、サンプル検査の更なる低減

日本産食品の魅力の海外への発信

農地除染対策実証事業の様子

資料:農林水産省作成

町村名作付面積

(a)作付作物 結果

57水稲(ひとめぼれ、あきたこまち、

まいひめ)

10 野菜類(きゅうり、キャベツ等)

川俣町 64 水稲(あきたこまち、ひとめぼれ)

飯舘村 検出

下限値

未満

作土層の放射性

セシウム濃度

地表1mの

空間線量率

表土削り取り 7~9割減少 6~8割減少

反転耕 6割程度減少 3割程度減少

平成23年及び平成24年の輸出額 震災前及び震災後の比較

資料:総務省「貿易統計」を基に農林水産省で作成 注:平成24(2012)年値は速報値。

(1~3月) (4~12月)

震災前

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

億円

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

億円

震災後

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1 世界の食料需給と総合的な食料安全保障の確立

(1)世界の食料等の需給動向

○ 平成24年6月以降、米国における高温・乾燥等の影響により、とうもろこしと大豆の価格は、平成

20年当時の史上最高値を上回る高騰。

○ 小麦の価格は、とうもろこしの価格に追随し上昇したが、平成24 年における小麦の在庫水準が

平成20年に比べて高い状況にあったことから、平成20年の史上最高値に至らない水準。米の価

格は、タイにおける国の買上げ制度の再導入等により価格が上昇した後、インドによる米の輸出

再開に伴い需要が安価なインド産米等にシフトしたこと等により、横ばいで推移。

○ 平成24年夏以降、米国産とうもろこしの価格上昇を受け、飼料穀物(とうもろこし等)の調達先が

米国から南米等に急速に移行しており、こうした調達先において、脆弱なインフラ等に起因する

輸送遅延等の新たなリスクが顕在化。

第2章 食料の安定供給の確保に向けた取組

4

穀物、大豆の国際価格の推移

穀物、大豆の需給に影響を与えた気象状況 (2012/13年度)

資料:農林水産省作成

米 606ドル/t 過去最高価格 1,038ドル/t 平成20(2008)年5月21日

大豆 14.6ドル/bu 過去最高価格 17.7ドル/bu 平成24(2012)年9月4日

小麦 7.1ドル/bu 過去最高価格 12.8ドル/bu 平成20(2008)年2月27日

とうもろこし7.2ドル/bu 過去最高価格 8.3ドル/bu 平成24(2012)年8月21日

平成25(2013)年3月1日現在

資料:シカゴ商品取引所、タイ国貿易取引委員会資料を基に農林水産省で作成 注:1bu(ブッシェル)は、大豆、小麦は27.2155㎏、とうもろこしは25.4012㎏。

飼料用とうもろこしの調達先割合の推移

資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省で作成 注:平成24(2012)年度は平成25(2013)年1月まで

の速報値により算出。

国 品目 気象状況

米国とうもろこし、大豆

コーンベルトで2012年6月以降の高温・乾燥

ロシア・ウクライナ・カザフスタン

小麦等2012年1~2月の凍害及び春以降の高温・乾燥

小麦

ドイツ、スペイン等で2012年1~2月の降雨不足及び凍害、英国で2012年8月以降の降雨過多

とうもろこし

EU南東部で2012年7月以降の乾燥

豪州 小麦等西豪州で2012年7月以降、低温・乾燥

EU

0

200

400

600

800

1,000

0

5

10

15

20

平成18 19 20

(2008

21

(2009

22

(2010

23

(2011

24

(2012

25

(2013

ドル/tドル/bu

米(右目盛)

大豆

とうもろこし

小麦

平成18年 19 20 21 22 23 24 25

(2006) (2007)(2008) (2009) (2010) (2011) (2012) (2013)

58

86

88

93

98

42

14

12

7

2

0 20 40 60 80 100

24(2012)

23(2011)

22(2010)

21(2009)

平成20年度

(2008)

米国 その他(南米、東欧等)

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4843

40 40 3939

75 7471 69 70

66

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

平成2年度

(1990)

(1995)

12

(2000)

17

(2005)

23

(2011)

% 食料自給率

(生産額ベース)

食料自給率

(供給熱量ベース)

5

我が国の食料自給率の推移

資料:農林水産省「食料需給表」

2 我が国の食料自給率の動向

○ 供給熱量ベースの食料自給率(平成23年度)は、小麦等の生産量が回復した一方、震災発生直

後の一時的な米の消費増が落ち着き、前年度と同率の39%。(なお、飼料自給率は前年度から

1ポイント増加し26%(TDN(注)ベース)。)(注)TDNは、家畜が消化できる養分の総量。

○ 生産額ベースの食料自給率(平成23年度)は、牛肉や野菜の価格が低下し、国内生産額が減少

したため、前年度から4ポイント低下し66%。

品目ごとの食料自給率(供給熱量ベース)の推移

資料:農林水産省「食料需給表」

米100%

小麦15%

砂糖類32%

魚介類72%

その他28%

果実58%大豆25%

野菜90%

畜産物 21% 56%

1人1日当たり供給熱量:2,640kcal

48%2,436kcal

39%

平成23(2011)年度

その他23%

果実33%大豆25%野菜76%

魚介類64%

砂糖類26%

小麦11%

油脂類3%

16% 48%

米97%

平成2(1990)年度

562kcal

396kcal

341kcal

330kcal

198kcal

109kcal

683kcal

366kcal

360kcal

320kcal

229kcal

143kcal

輸入飼料による生産部分

油脂類16%

(2)農産物貿易交渉の動向

○ 我が国は13の国・地域とEPAを締結済み(平成25年2月現在)。豪州、モンゴル、カナダ、コロン

ビア、韓国(交渉中断中)、GCC(交渉延期)とは交渉中。

○ アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けて、RCEP(東アジア地域包括的経済連携:

ASEANと日・中・韓・印・豪・NZの6か国によるEPA/FTA)及び日中韓FTAについて、それぞれ平

成24年11月に交渉立ち上げ。

○ TPP(環太平洋パートナーシップ)協定については、最新の状況を記述。

我が国のEPA/FTAの進捗状況

資料:農林水産省作成 注:1) ASEAN全体とのEPAは、平成20(2008)年12月に日本とシンガポール、ラオス、ベトナム及びミャンマー、

平成21(2009)年1月にブルネイ、2月にマレーシア、6月にタイ、12月にカンボジア、平成22(2010)年7月にフィリピンとの間で発効。

2) 締結された各EPA/FTAにおいては、協定発効以降、協定に従い再協議等を実施。

交渉中

◆:交渉 ☆:署名 ★:発効 △:改定議定書署名 ▲:改定議定書発効

★(10月)

締結

★(9月)

2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

ASEAN全体(注1)

ブルネイ

フィリピン

ベトナム

スイス

インドネシア

タイ

チリ

マレーシア

メキシコ

シンガポール

韓国

GCC

インド

豪州

◆(11月~)

◆(1月~)

◆(2月~)

◆(2月~)

◆(7月~)

◆(6月~)

◆(4月~)

◆(2月~)

◆(5月~)

◆(12月~)

◆(9月~)

◆(1月~)

◆(4月~)

(9月)☆

(12月)☆

☆(3月)

(4月)☆

☆(8月)

☆(6月)

(4月)☆

☆(9月)

(2月)☆

★(9月)

★(4月)

★(11月)☆(1月)

★(7月)

★(11月)

★(7月)

★(7月)

★(12月)

★(12月)

◆(1月~) ☆(12月)

2010年

ペルー ◆(5月~)

2011年

(2月)☆

☆(5月)

2012年

★(8月)

★(3月)

モンゴル (6月~)◆

カナダ (11月~)◆

コロンビア (12月~)◆

2013年△(3月)

▲(9月)

△(9月)▲(4月)

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28.8

23.7

23.5

10

15

20

25

30

0

5

10

15

20

25

30

35

平成2年

(1990)

(1995)

12

(2000)

17

(2005)

24

(2012)

万円/月 %家計消費支出

エンゲル係数(右目盛)

食料費

0

昭和55年

(1980)

平成2年

6

3 食料消費の動向と食育の推進

(1)食料消費をめぐる動き ○ 実質賃金の減少に伴い、消費水準は低下傾向。特に食料の消費水準は大きく低下。

○ 減少傾向にあった我が国のエンゲル係数(家計消費支出に占める食料費の割合)は、平成7年

以降、23%前後で推移。近年、家計消費支出の減少率が、食料費の減少率を上回って推移して

いることから、エンゲル係数は微増傾向。

資料:総務省「家計調査」、厚生労働省「毎月勤労 統計調査」を基に農林水産省で作成

エンゲル係数の推移

資料:総務省「家計調査」

実質賃金指数及び消費水準指数の推移 (平成2年=100)

資料:総務省「国勢調査」

○ 単身や夫婦のみ世帯、65歳以上の高齢者がいる世帯の割合が上昇する傾向。特に単身世帯は

夫婦のみ世帯に比べて高い割合で上昇しており、今後もこのような傾向が続く見通し。

○ 食料支出の割合は、肉類や野菜等が低下し、調理食品や油脂・調味料が上昇傾向で推移。今

後も同様の傾向で推移し、食の外部化は一層進行する見通し。

(2)食料消費構造の変化

家族類型別にみた一般世帯の構成割合の推移

資料:農林水産政策研究所「少子・高齢化の進展と我が国の食料消費構造の展望」(平成22(2010)年8月) 注:平成17(2005)年までは総務省「家計調査」、「全国消費調査」等を基に作成、27(2015)年以降は推計値。

品目別食料支出割合の推移と見通し

7.9

8.2

8.2

8.9

9.7

7.2

8.7

8.0

10.2

11.7

6.2

6.7

7.5

8.3

9.5

3.9

4.1

4.5

4.7

4.2

10.1

10.5

11.1

11.5

11.7

3.0

3.4

3.8

4.0

4.5

4.5

4.3

4.0

3.7

3.1

7.4

7.3

6.7

6.3

6.7

16.6

14.7

12.0

10.9

12.0

7.7

6.9

5.6

4.6

3.8

4.8

4.7

4.8

4.8

4.8

20.8

21.2

22.0

22.1

21.9

0 20 40 60 80 100

37(2025)

27(2015)

17(2005)

12(2000)

平成2(1990)年

穀類 魚介類 外食肉類乳卵類

野菜・海藻果物 油脂・調味料

酒類飲料

調理食品

菓子類

資料:総務省「国勢調査」

65歳以上の高齢者がいる世帯数とその割合の推移

812 1,073

1,505

1,934

22.7 26.4

32.2

37.3

0

10

20

30

40

0

1,000

2,000

3,000

昭和55年

(1980)

平成2年

(1990)

12

(2000)

22

(2010)

%万世帯

65歳以上の者がいる

世帯の割合(右目盛)

65歳以上の者がいる世帯数

94.5

92.9

84.2

70

80

90

100

110

平成2年

(1990)

(1995)

12

(2000)

17

(2005)

24

(2012)

0

消費水準指数(総合)

実質賃金指数

消費水準指数(食料)

指数

19.8

32.437.2

12.5

19.821.2

42.1

27.9 23.3

5.7 8.7

11.4

19.9

11.1

6.90

10

20

30

40

50

12

(2000)

22

(2010)

32

(2020)

42

(2030)

夫婦と子 単身世帯

夫婦のみその他

(三世代同居等)

ひとり親と子

二人以上の世帯

昭和55年

(1980)

平成2年

(1990)

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78.9

94.2

78.6

2.3

5.8

0

1

2

3

4

5

6

7

60

70

80

90

100

平成2年

(1990)

(1995)

12

(2000)

17

(2005)

23

(2011)

兆円 兆円中食産業(右目盛)

食品産業

兆円 兆円

22 23

(2010)(2011)

7

(3)食育の推進

○ 食に関する知識や食を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践することができる人間を育

てる取組として、食育の推進が重要。

○ 日本型食生活の実践等を促進するため、広域的、先進的な食育活動や地域の実情に応じた食

育活動を展開。

【取組事例】

○食の甲子園inやまがた全国大会2012(山形県山形市) おいしい山形の食と文化を考える会、やまがた食育ネットワーク、県農協中央会、山形県等は、官民協働で、食育に取り組む高校生の意識醸成と地域の食文化継承を目的として、本大会を開催。全国の予選を勝ち抜いた高校生が、地域の生産者や料理人から地元食材や食文化を学び、新しい料理のアイデアを競った。

○食育・花育センター等を活用した取組(新潟県新潟市) 新潟市は、平成23年度に食育推進の拠点として食育・花育センターを整備し、地場産食材を使った調理実習や小学生等の農業体験等を実施。今後、体験ほ場や畜舎、宿泊施設等を備えたアグリパーク等が順次開設予定であり、市内の小学生全員が農業体験に取り組むことを目指す。

4 食品産業の動向

○ 食品産業の国内生産額は、食料品価格の下落等により1990年代後半をピークに減少。

○ このような中、中食の市場規模は、世帯構造の変化や食の外部化の進展等により増加傾向で

推移しており、消費者起点に立った国内市場の掘り起こしが重要。

○ また、海外展開する食品産業の3分の2の667法人がアジアに進出するなど、今後成長が見込ま

れるアジア等の海外需要を取り込む動きが加速している状況。

食品産業の国内生産額と 中食産業の市場規模の推移

資料:農林水産省「農業・食料関連産業の経済計算」、 (財)食の安全・安心財団付属機関外食産業総合調査

研究センター調べ 注:1) 中食産業の市場規模は、料理品小売業(弁当給食

を除く)の値。 2) 食品産業とは、食品工業、飲食店、関連流通業。 3) 食品産業の平成22(2010)年度値は速報値。

資料: (株)東洋経済新報社「海外進出企業総覧2012」を基に農林水産省で作成

注:1) 全地域の進出法人数は、977法人。 2) 数値は、平成23(2011)年の実績。 3) 対象国・地域は中国、香港、シンガポール、 台湾、韓国、タイ、マレーシア、フィリピ ン、インドネシア、ベトナム、インド。

食品産業のアジアにおける現地法人数の推移

329 327 357 379 387 404 401

41 48 46 53 57 62 68163 179 174 156 168187 198

0

100

200

300

400

500

600

700

平成

17年

(2005)

18

(2006)

19

(2007)

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

社 飲食店食料品製造業

533 554

653577 588 612

流通・貿易(物流含む)

667

【タイに日本文化の象徴「和食」店を進出】

○ある外食事業者では、和食店をバンコクで店舗展開。人気メニューは「ホッケ定食」で、ホッケは日本から 輸出し、米等のその他の食材は現地で調達。

○店舗展開により、和食文化が浸透することで、バンコク内の大手日系百貨店で日本から輸出されるホッケや 味噌等の販売量が増加。

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5 食の安全と消費者の信頼の確保に向けた取組 (1)食品の安全性向上に向けた取組 ○ 農林水産省では、食品の安全性向上に向けて、科学的原則に基づくリスク管理を実施。

○ 平成24年度には、平成15年度から平成22年度に実施し公表してきた、農畜水産物・食品中の有

害化学物質の含有実態調査(点数34万4千点)の結果を一冊のデータ集として取りまとめ、広く

配布。

○ このほか、有害微生物の含有実態調査等の結果を基に、牛肉、鶏肉に加え、鶏卵の生産農場

への食中毒菌の侵入やまん延を防ぐ対策を取りまとめたハンドブックを公表。

(2)動植物防疫の取組

衛生管理の徹底による

家畜伝染病の発生予防の取組例

資料:農林水産省作成

バリケードを用いた衛生管理区域の設定

外来者用更衣室の整頓

国際空港等における旅客に対する水際対策の例

消毒マットを用いた靴底消毒 検疫探知犬による手荷物検査

動物検疫に関する質問票

日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)、ロシア語について作成

資料:農林水産省作成 8

○ 家畜伝染病や植物の病害虫が我が国に侵入することを防ぐとともに、国内におけるそれらの発

生予防、まん延防止のため、動植物防疫を実施。

○ 家畜伝染病の海外からの侵入を水際で防止するため、空港・港湾において全ての入国者に対す

る靴底消毒や検疫探知犬を活用した手荷物検査、口蹄疫・アフリカ豚コレラ発生国・地域からの

全ての直行便においてアナウンスによる質問、一部の直行便において質問票の配布等を実施。

有害化学物質含有実態調査結果データ集における調査点数と調査結果の活用

資料:農林水産省作成

これまでに実施された国内外のリスク評価やリスク管理措置の検討において基礎データとして活用

我が国で生産された農畜水産物・加工食品のほとんどの安全性が高いことを確認

消費量が多い、又は有害化学物質の濃度が高かった/高い可能性のある農産物54種類、畜産物6種類、水産物30種類、加工食品38種類について、有害化学物質(かび毒、重金属等)、残留農薬の含有実態を調査(点数34万4千点)

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9

○ 農林水産省では、JAS法、米トレーサビリティ法に基づく立入検査等を行い、不適正表示に対す

る指示・公表、米・米加工品の産地情報の伝達等違反に対する指導を実施。また、地方レベル

の食品表示監視協議会において、不適正な食品表示に関する情報共有、意見交換を実施。

○ なお、現在、消費者庁において、食品表示に関係する3法(食品衛生法、JAS法、健康増進法)

の表示に関する規定の統合等を内容とした法案を検討中。

(3)消費者の信頼確保に向けた取組

食品表示に係る各機関の連携

資料:農林水産省作成

食品表示監視協議会(地方レベル)

関係する都道府県の機関 国の出先機関

農林水産省の出先機関厚生労働省の出先機関公正取引委員会の出先機関(オブザーバー)

景品表示法担当

食品衛生法担当

JAS法担当

消費生活センター等

米トレサ法担当

県警

必要に応じた事業者の処分等関係機関で情報共有、意見交換不適正な食品表示情報

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2831

35

40

45

2123

2630

35

2226

0

10

20

30

40

50

(1995)

12

(2000)

17

(2005)

22

(2010)

5ha以上

10ha以上 20ha以上

平成2年

(1990)

2,902

4,986

5,272

8,700

12,511

0.4

1.5 1.6

2.5

4.2

0

1

2

3

4

5

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

(1995)

12

(2000)

17

(2005)

22

(2010)

法人 %農地面積全体に占める

法人の農地利用面積の割合

(右目盛)

法人経営体数

平成2年

(1990)

65 79 119

16

21

32

0

5

10

15

20

25

30

35

0

100

200

300

400

500

平成2年

(1990)

12

(2000)

22

(2010)

398 380 368

万ha %

20ha以上の

経営体が

耕作する

面積

20ha以上の

経営体が

耕作する

面積の割合

(右目盛)

20ha未満の

経営体が

耕作する

面積

10

(単位:法人、万ha、%)

20ha未満

20ha以上

合計

9,706 2,805 12,511

(78) (22) (100)

3.8 15.5 19.3

(20) (80) (100)

経営体数

農地面積

資料:農林水産省「農業経営構造の変化」

資料:農林水産省「農業経営構造の変化」

経営耕地面積規模別の農地集積 割合の推移(家族経営体)

法人経営体の経営耕地面積 規模別経営体数、農地面積

(平成22年)

資料:農林水産省「農業経営構造の変化」 注:法人経営は、農家以外の農業事業体の

うち販売目的のもので、平成2(1990)年までは会社のみであり、平成7(1995)年からは農事組合法人、農協、特例民法法人等を含む。

法人経営体数等の推移

○ 全体の家族経営体数が減少する中、家族経営体の大規模化が進展しており、5ha以上層が耕

作する農地面積の割合は、家族経営全体の45%。

○ 法人経営体数は、この10年で2倍以上に増加しており、農地面積全体に占める割合も上昇。

○ 平成22年において、法人経営体のうち経営耕地面積が20ha以上の法人は、経営体数でみると

法人経営全体の22%、農地面積でみると80%。

○ 集落営農(任意組織)は、新設がある一方で法人化による減少もあり、近年1万2千前後で推移。

第3章 農業の持続的な発展に向けた取組

1 農業の構造改革の推進

(1)農業構造の変化

土地利用型農業における20ha以上の経営体が

耕作する面積の割合の推移

農地の権利移動面積の推移

資料:農林水産省「農業経営構造の変化」 注:農林水産省「農林業センサス」、「耕地及び

作付面積統計」に基づく試算。

資料:農林水産省「農業経営構造の変化」 注:「利用権設定(純増分)」は、農業経営基盤強化促

促進法利用権設定面積から利用権の更新及び利用権の解約等を差し引いたもの。

○ 昭和50年の農用地利用増進事業の創設以降、利用権(賃借権等)設定による農地流動化を推進

しており、平成5年の認定農業者制度の創設、平成6年の認定農業者に対するスーパーL資金

の創設により、利用権(賃借権等) 設定による農地流動化が加速。

○ その結果、20ha以上の経営体が耕作する面積の割合は、平成22年には、土地利用型農業の農

地面積全体の32%。

0

2

4

6

8

10

12

14

利用権

設定

(純増分)

所有権

移転

農用地利用増進

事業の創設

認定農業者に対する

スーパーL資金の創設

経営安定対策の

導入決定

万ha

昭和45年

(1970)

17

(2005)

認定農業者制度の

創設

平成5年

(1993)

22

(2010)

50

(1975)

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0.1 2.5 5.99.8

25.5

52.5

81.5

01

3 6

14

30

46

0

10

20

30

40

50

0

20

40

60

80

100

120

15~19歳

20~29

30~39

40~49

50~59

60~69

70歳以上

万人 %基幹的農業従事者数

基幹的農業従事者数全体に

占める割合(右目盛)

基幹的農業従事者

合計数 178万人

11

○ 耕作放棄地面積は、高齢者のリタイア等に伴い、急激に拡大。

○ 特に、土地持ち非農家の所有する農地の耕作放棄地が急増しており、全体の半分。

農家等区分別耕作放棄地面積の推移

資料:農林水産省「農林業センサス」 注:昭和60(1985)年以前は、販売農家、自給的農家の区分がない。

○ 基幹的農業従事者の高齢化が進行しており、平成24年では70歳以上層が46%、30代以下は

5%という著しくアンバランスな状況。

○ 平成23年の新規就農者数は、前年に比べて7%増加し5万8千人。このうち39歳以下の新規就

農者数は、前年に比べて8%増加し1万4千人。

(2)構造改革の大きな節目の到来

年齢階層別の基幹的農業従事者数(平成24年) 新規就農者数の推移

資料:農林水産省「農業構造動態調査(概数値)」(組替集計)

資料:農林水産省「新規就農者調査」 注:1) 平成22(2010)年の「新規就農者」のうち

「新規参入者」は、東日本大震災の影響で調査不能となった岩手県、宮城県及び福島県の全域並びに青森県の一部地域を除いて集計。

2) 平成23(2011)年の調査結果は、東日本大震災の影響で調査不能となった福島県の一部を除いて集計。

81.073.5

60.066.8

54.6 58.166.3

59.1 45.6 51.8

41.4 43.9

14.7 14.3 14.4 15.0 13.2 14.2

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

19

(2007)

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

千人新規就農者(全体)

新規就農者(40歳以上)

新規就農者(39歳以下)

平成18年

(2006)

3.2 3.1 3.8 6.6 8.3 13.3 16.2

18.2

(46%) 9.9 9.2 9.7 3.8 4.1

5.6

7.9

9.0

(23%)

11.3 12.0

15.4

14.4

12.4

(31%)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

昭和50年

(1975)

55

(1980)

60

(1985)

平成2年

(1990)

(1995)

12

(2000)

17

(2005)

22

(2010)

万ha

13.1 12.3 13.5

21.724.4

34.3

38.6 39.6

自給的農家

所有

土地持ち

非農家

所有

販売農家

所有総農家所有

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12

3 農業生産基盤の整備・保全

○ 全国的に農業水利施設の老朽化が進行。既に標準耐用年数を超過した基幹的水利施設は全体

の約2割。国土強靱化を図るため、老朽化した農業水利施設の長寿命化・耐震化対策や集中豪

雨対策を推進していくことが重要。

○ 全国の水田250万haのうち、30a程度以上に区画整備済みの水田は約6割、大区画整備済みの

水田は約1割。これら整備済水田のうち、約3分の1は排水が良好でない状況。担い手の農地集

積の加速化や農業の高付加価値化等を図るため、水田の大区画化・汎用化等を推進していくこと

が重要。

既に標準耐用年数を 超過した施設

3.1兆円(全体の17%)

さらに今後10年のうちに標準耐用年数を超過する施設を加えると

5.6兆円 (全体の31%)

水田の整備状況(平成22年)

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」、 「農業基盤情報基礎調査」 注:1) 区画整備済とは、30a程度以上に区画整理された田(大区

画は1ha程度以上)。 2) 排水良好とは、地下水位が70cm以深かつ湛水排除時間が4

時間以下の田。

基幹的水利施設の老朽化状況(平成21年)

資料:農林水産省「農業基盤情報基礎調査」 *:基幹的水利施設(受益面積100ha以上の

農業水利施設)の資産価値(再建設費ベース)。

【農業者の自力施工の取組】 農業者自らが、既に区画が整理されている水田のけい畔除去等による区画拡大や暗きょ排水整備等の施工を行い、迅速かつ安価な基盤整備を実施。

けい畔除去による区画拡大

暗きょ排水の整備

排水良好 106万ha

排水良好でない 49万ha

水田面積 250万ha

汎用田

未整備 94万ha(38%)

区画整備済 155万ha(62%)

うち大区画 21万ha(8%)

15

資料:農林水産省調べ 注:1) 集落・地域への説明を終了している市町村については、現時点では人・農地プランを作成する

意向が固まっていない市町村が含まれる。 2) 当該市町村の地域の中に、既に人・農地プランが作成されたところがある市町村の数である。

○ 各地域における人と農地の問題を解決するため、平成24年度から、集落・地域の関係者による

徹底的な話合いを通じて定められた今後の中心となる経営体への農地の集積方法、地域農業

の在り方等を明確にした「人・農地プラン」の作成が進められているところ。

○ 平成25年1月現在、プランの作成を希望している市町村のうち、プランの作成に至っている市町

村の割合は47%(4,143地域)。

人・農地プランの進捗状況(平成25年1月末時点)

2 人と農地の問題を解決する取組

北海道 171(100%) 162(95%) 145(85%) 130(76%) 126(74%)

東北 209(100%) 198(95%) 158(76%) 100(48%) 97(46%)

関東 377(100%) 350(93%) 231(61%) 146(39%) 122(32%)

北陸 79(100%) 79(100%) 72(91%) 52(66%) 51(65%)

東海 116(100%) 109(94%) 92(79%) 68(59%) 58(50%)

近畿 154(100%) 137(89%) 110(71%) 75(49%) 62(40%)

中国四国 195(100%) 195(100%) 160(82%) 91(47%) 88(45%)

九州・沖縄 260(100%) 259(100%) 220(85%) 137(53%) 127(49%)

全国計 1,561(100%) 1,489(95%) 1,118(76%) 799(51%) 731(47%)

地域数 《19,843地域》 《4,143地域》

人・農地プランに関する検討会の開催に至っている市町村数

人・農地プランの作成に至っている市町村数

左の進捗状況人・農地プランを作成しようとしている市町村数

集落・地域への説明を概ね終了している市町村数

集落・地域での農業者の話合いが始まっている市町村数

国営

0.8 県営等

2.3

県営等

1.7

国営

0.8全体

17.9兆円*

(単位:兆円)

Page 16: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

122 113 97

116

22 11 5

6 5 3

127 119 123

130

108 105 103 104

19 14 20

26

0

20

40

60

80

100

120

140

平成20年

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

千円/10a

販売収入等

共済・補助金等

(戸別所得補償以外)

戸別所得補償農業経営費

農業所得

13

(2)小麦・大豆

○ 平成24年の小麦の作付面積は20万9千ha。このうち北海道が6割(11万9千ha)のシェア。北海

道における主な品種は「ホクシン」から高品質な多収品種「きたほなみ」へ移行。

○ パン・中華麺用品種の作付面積は、小麦全体の10%(2万2千ha)まで増加。

○ 大豆の作付面積は、平成21年以降、減少傾向で推移する中、一部の地域では、他作物からの

転換や農地の団地的利用の取組等により増加。一方、大豆の作付面積が大きく減少した県は、

増加した県に比べて新規需要米の作付けが増加する傾向。

小麦品種の作付面積の推移

資料:農林水産省「作物統計」、農林水産省調べ

平成21年産以降の大豆作付面積の増減

資料:農林水産省「作物統計」、農林水産省調べ

4 主要農畜産物の生産等の動向 (1)米

米粉用米の生産量の推移

○ 平成24年産米の作柄は、作況指数 102(北海道は107、東北は103と作柄が良かった一方、九州

では6月の日照不足や台風16号による被害等の影響により97)。

○ 平成23年の稲作部門の農業粗収益は、米価の上昇等により前年に比べて7千円/10a(6%)増

加。これに伴い、農業所得も6千円/10a(30%)増加。

○ 米粉用米の生産量は、平成23年産に4万tまで増加したが、平成24年産は、米粉を使った最終

製品の需要の伸びが鈍化したこと等により、前年産に比べて14%減少し3万5千t。

水田作経営稲作部門の農業粗収益・農業所得の推移

資料:農林水産省「営農類型別経営統計」 資料:農林水産省「新規需要米の取組計画認定状況」

(単位:ha、%)

平成20

年産

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

24

(2012)

作付面積 208,800 208,300 206,900 211,500 209,200

115,700 116,300 116,300 119,200 119,200

ホクシン 103,756 96,373 72,901 545

きたほなみ - 6,888 29,636 106,948

16,882 17,726 20,210 21,550

(8.1) (8.5) (9.8) (10.2)

ゆめちから - - 56 159

春よ恋 6,760 6,500 7,098 7,774

ゆめかおり - 4 43 251

ちくしW2号 - 149 566 767

北海道

パン・中華麺

用(割合)

(単位:ha)

平成21年産

(2009)

(①)

24(2012)(②)

増減

(②-①)

全国 145,400 131,100 ▲14,300 49,949北海道 24,500 27,200 2,700 1,221三重県 3,360 4,120 760 664滋賀県 5,430 5,700 270 825岐阜県 2,690 2,780 90 684兵庫県 2,670 2,700 30 484秋田県 10,100 7,620 ▲2,480 2,000宮城県 11,500 9,040 ▲2,460 2,497栃木県 4,830 2,710 ▲2,120 4,884山形県 7,250 5,640 ▲1,610 2,266新潟県 7,140 5,630 ▲1,510 3,753

大豆作付面積

上位

下位

新規需要米

の作付面積

の増減

(H21~24年)

566

13,041

27,796

40,311

34,521

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

24

(2012)

t

平成20年産

(2008)

Page 17: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

548

1,128 463

933

300

583

286

457

1,441

2,930

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

平成19年度

(2007)

21

(2009)

23

(2011)

ha

その他品目

その他

かんきつ

りんご

うんしゅう

みかん

14

(3)野菜・果樹

果樹の優良品目・品種への累積転換面積の推移

資料:農林水産省調べ 注:転換面積は果樹経営支援対策事業における事

業計画の承認を受けた面積。

○ 露地野菜では、加工・業務用需要に対応して省コスト化・省力化を図るため、各種の新型農業機

械が導入。最近では、ほうれんそう、キャベツ等で機械化一貫体系の開発・実用化が進展。

○ 果樹では、高品質果実の生産供給を通じて、産地の競争力強化と収益力向上を図ることが重要。

このため、消費者ニーズに対応した優良品目・品種への転換が進められており、平成23年度に

おける累積転換面積は2,930ha。

○加工用ほうれんそう収穫機 平成23年実用化 地上部のみ刈り取り、加工用で不要な株元は収穫しない。収穫作業時間を手作業の1/10に短縮。 ○加工・業務用キャベツ収穫機 平成25年実用化予定 高精度の刈り取り機構でキャベツを一斉収穫。機上で選別、調整作業を行い、大型コンテナに直接収容することで、調製・出荷作業を省力化。

優良品種の例

(不知火(デコポン))

てんさいの作付面積に占める 直播栽培の割合の推移

資料:北海道「てん菜・てん菜糖に関する生産状況調査」

(4)さとうきび・てんさい

○ 平成23年産のさとうきびは、台風、干ばつ、病害虫の被害により不作。生産回復や生産性の向

上に向けて、各島・各地域の気象条件等に応じた支援を実施。

○ さとうきび栽培の機械化一貫体系の確立を推進。沖縄県において、さとうきび収穫機を利用した

収穫面積のシェアは、49%まで上昇。

○ てんさい作の省力化を図るため、直播栽培等の導入を推進。てんさいの作付面積に占める直播

栽培の割合は、12%まで上昇。

沖縄県におけるさとうきびの機械収穫面積の推移

資料:沖縄県「さとうきび及び甘しゃ糖生産実績」

(単位:ha、%)

平成11年(1999)

17(2005)

19(2007)

21(2009)

23(2011)

総収穫面積 13,485 12,485 12,659 12,747 12,289

機械収穫面積 4,091 4,392 5,146 5,553 5,999

ハーベスタ 3,901 4,219 4,973 5,353 5,764

その他 191 173 173 200 235

機械収穫率 30.3 35.2 40.7 43.6 48.8

4.5 5.2

7.4

11.2 11.9

0

2

4

6

8

10

12

14

平成15

(2003)

年産

17

(2005)

19

(2007)

21

(2009)

23

(2011)

Page 18: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

425

353

308 269 257 249 243

257 227 219

177 110

51 42 38

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

平成16年

(2004)

18

(2006)

20

(2008)

22

(2010)

23

(2011)

千円/10a 農業経営費

農業所得

農業粗収益

15

畑作経営茶作部門(東海)の農業粗収益・

農業所得の推移

資料:農林水産省「営農類型別経営統計」

(5)茶・花き

○ 平成23年の畑作経営茶作部門(東海)の農業粗収益は、茶の価格低下等を背景として平成16年

と比べて17万円/10a(40%)減少。農業所得も14万円/10a(79%)減少。

○ 茶の消費拡大に向けて、茶のブランド化の推進、新しい茶の楽しみ方の提案、健康食品や化粧

品等の新用途への利用に関する研究開発・普及等の推進が課題。

○ 花きの消費拡大に向けて、生産・流通・小売の各段階における適切な管理による切り花の日持

ち向上や花きを教育や地域活動等に取り入れた「花育(はないく)」等を推進。

2012年フェンロー国際園芸博覧会 (フロリアード2012)が開催

平成24年4月5日から10月7日まで、オランダ王国フェンロー市において「自然と調和する人生」をテーマとして「フロリアード2012」が開催。 同博覧会において、日本政府の出展会場は「金賞」、日本産の花きはオランダ政府代表賞「フロリアード2012で最も美しい花々」を受賞。

日本産花きの展示の様子 コンテストを通じて最高得点を獲得した「親王」

(シンビジウム)

(6)畜産物

○ 牛乳・乳製品の消費量は近年堅調に推移する一方、生乳生産量は減少傾向。牛肉、豚肉、鶏肉、

鶏卵の消費量は近年堅調に推移しており、生産量はほぼ横ばいで推移。

○ 近年、特に酪農及び肉用牛において、高齢化による後継者不足等から離農が進行しており、家

畜や畜舎の有効活用を推進するなど、生産基盤の維持・確保を図ることが重要。

○ 畜産経営は、生産費の費用合計に占める飼料費の割合が3割~6割と高く、飼料価格の変動の

影響を受けやすい構造。このため、国産飼料の生産・利用の拡大に取り組むとともに、畜種ごと

の特性に応じた経営安定対策を推進。

資料:農林水産省「畜産物生産費」

生産費の費用合計に占める飼料費割合 (平成23年度)

資料:農林水産省「畜産統計」、「牛乳乳製品統計」 注:1) 飼養戸数は、平成15年=100とした指数。 2) 平成24(2012)年の生乳生産量は概数値。

乳用牛飼養戸数の変化と生乳生産量の推移

455 442 421 398 360 370

385 386 379 393 388 394

840 829 801 791 747 763

91

83 74 66 62

100 96

90 85

82 79

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

平成15年

(2003)

17

(2005)

19

(2007)

21

(2009)

23

(2011)

24

(2012)

北海道 万t

都府県

生乳生産量(

右目盛)

飼養戸数指数

33.2 35.1 45.2

63.5 8.3

32.8 21.0

13.0 50.1 12.1 14.3

2.9

8.5 20.0 19.5 20.6

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

去勢若齢

肥育牛

子牛 牛乳 肥育豚

飼料費

労働費

もと畜・

家畜償却費

その他

874,503

円/頭

529,868

円/頭

759,890

円/頭

31,792

円/頭

Page 19: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

73.2

66.6

11.1

13.1

12.8

15.3

3.0

2.1

2.7

0.2

0 20 40 60 80 100

平成18年度

(2006)

21

(2009)

5千万円未満 1億~3億円

3億~5億円

5億円以上

不明

5千万~1億円3億円以上

16

平成17(2005)年度 平成22(2010)年度

437 564

平成17(2005)年度 平成24(2012)年度

49 109

農家レストラン184(1.1)

農産物直売所1,096(6.4)

観光農園341(2.0)

その他61(0.4)

農業経営体 4,505(26.2)

年間総販売金額1兆7,213

億円

農産物の加工 2,825(16.4)

農産物直売所(農協等)

7,263(42.2)

農産加工場

(農協等)5,445

(31.6)

5 農業の高付加価値化等の推進

【「つや姫」のブランド戦略】

○ 平成23年に品種登録。パッケージデザインについて商標登録。中国、香港、台湾でも「つや姫」、「TSUYAHIME」、シンボルマークを商標登録。

○ 認定生産者が栽培基準に従って生産し、出荷基準に適合したものだけを出荷。種苗の自家増殖も禁止。

○ 平成22年度における農業生産関連事業の年間総販売金額は1兆7,213億円で、農協等による農

産物の直売や加工が全体の7割を占め1兆2,708億円。

○ 農産物直売所は、年間販売金額が1億円以上の割合が平成21年度に20%まで上昇。

○ 長期的なブランド戦略として、育成者権と商標権、品質の一体的管理を実施する等、農産物の

知的財産を保護する動き。

農業生産関連事業の年間総販売金額 (平成22年度)

資料:農林水産省「農業・農村の6次産業化総合調査」(平成24年10月公表)

年間販売金額規模別の農産物直売所の割合の推移

資料:農林水産省「農産物地産地消等実態調査」(組替集計) 注:調査対象は、年間を通じて常設店舗形態の施設で営業し

ている農産物直売所。

(1)農業の高付加価値化等の取組

○ 飼料作物の作付面積は、草地基盤の整備や地域に適した優良品種の導入、水田の有効活用等

の取組推進により、93万haまで増加。

○ 平成23年の収穫量は、気候要因による単収減や原発事故による給与自粛に伴う廃棄等により、

351万TDN(注)tに減少。(注)TDNは、家畜が消化できる養分の総量。

○ 穀物価格の高騰を踏まえ、飼料基盤に立脚した足腰の強い畜産経営の実現を図るため、飼料

基盤の集積や機械の整備等を推進。TMRセンター数は109箇所、飼料生産受託組織数は564組

織まで拡大。

(7)飼料作物等

全国の飼料作物作付面積及び収穫量の推移 TMRセンター、飼料生産受託組織数の推移

(TMRセンターの箇所数)

(飼料生産受託組織の組織数)

資料:農林水産省調べ 注:TMRセンターとは、粗飼料や濃厚飼料をバ

ランス良く混合し、農家に供給する施設。 資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」、 農林水産省調べ

3,693 3,721 3,575 3,571 3,514

91 90 90 91 93 93

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

80

85

90

95

100

105

110

平成17年

(2005)

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

24

(2012)

万ha

作付面積 収穫量(右目盛)

千TDNt

作付面

0=

Page 20: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

(単位:億円、%)

平成23年(2011)

24(2012)

増減率

農林水産物 4,511 4,497 ▲ 0.3

2,652 2,680 1.1

加工食品 1,253 1,305 4.1

畜産品 309 295 ▲ 4.4

穀粉等 187 196 4.8

野菜・果実等 155 133 ▲ 13.8

その他 748 751 0.3

123 118 ▲ 3.9

1,736 1,698 ▲ 2.2

水産物(調製品除く)

1,210 1,197 ▲ 1.1

水産調製品 526 502 ▲ 4.7

林産物

水産物

農産物

17

○ 近年の輸出額は、景気の影響を受けつつも増加傾向で推移してきたが、円高や平成23年3月の

原発事故の影響等により、大きく減少。

○ 平成24年の輸出額は、前年に比べて僅かに減少し4,497億円。品目別では、野菜・果実や畜産

品が減少したものの、農産物全体では僅かに増加。

(2)農林水産物・食品の輸出の動向

品目別の輸出額の推移

2,038 2,168 2,359 2,678 2,883 2,637 2,865 2,652 2,680

88 92 90 104 118

93 106 123 118 1,482

1,748 2,040

2,378 2,077 1,724

1,950 1,736 1,698

平成

16年

(2004)

17

(2005)

18

(2006)

19

(2007)

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

24

(2012)

農産物

林産物 水産物億円

3,6094,008

4,490

5,160 5,078

4,4544,920

4,511 4,497

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省で作成 注:平成24(2012)年は速報値。

農林水産物・食品の輸出額の推移

資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省で作成 注:平成24(2012)年は速報値。

6 研究・技術開発の推進

○ 水稲の登熟期における高温により、米の乳白粒が発生するメカニズムを解明。今後、高温でも品

質が低下しにくい水稲品種を開発。

○ うんしゅうみかんに多く含まれるβ-クリプトキサンチンの血中濃度が高い女性(注)は、低い人に

比べて骨粗しょう症の発症リスクが低いことが判明。 (注)閉経後の女性。

高温に強い水稲品種の開発に向けた研究

資料:(独)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター資料を基に農林水産省で作成

β-クリプトキサンチンの血中濃度と 骨粗しょう症の発症リスクの関係

資料:(独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所資料を基に農林水産省で作成

注:グラフは閉経後の女性の骨粗しょう症の発症リスク。また、グラフ中の縦線は、発症リスクが95%の確率で現れる範囲。

血中のβ-クリプトキサンチンが高濃度のグループの骨粗しょう症の発症リスクは、低濃度のグループを1とした場合0.08であり、92%低い

温暖化に強い水稲品種の開発に期待

α-アミラーゼ遺伝子の働きを抑えることにより、

高温登熟条件下での乳白粒発生が減少

(高温により乳白粒が発生するメカニズム)

0.0

1.0

2.0

3.0

低 中 高

週に3個

以下

毎日

1~3個

毎日

4個以上

血中β-クリプトキサンチンレベルと

うんしゅうみかんの摂取頻度

骨粗しょう症の発症リスク

日本発の機能性食素材

近年の疫学研究から注目されているβ-クリプトキサンチン

毎日摂取することで生活習慣病の

予防に効果が期待できる素材

最大の供給源はうんしゅうみかんβ-クリプトキサンチンHO

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18

開催日 イベント 参加者数

1月13日国際協同組合年キックオフイベント

 約350人

7月18日「第90回国際協同組合デー」記念中央集会

約1,000人

11月17、18日 協同組合フェスティバル 約3,000人

11月28日協同組合フォーラム「災害時における協同組合の役割」

 約500人

農業協同組合(総合農協)の推移

資料:農林水産省「総合農協統計表」 注:1) 組合数は、「総合農協統計表」における 集計組合数。 2) 事業取扱高は全総合農協の合計。

○ 農業協同組合は、農産物の流通や生産資材の供給において重要な役割を果たし、農村地域の

発展に寄与。

○ JAグループは、平成24年10月に開催された第26回JA全国大会において、農業生産の拡大、農

家組合員の所得向上、農を通じた豊かな地域づくりを目指すことを決議。

○ 平成24年は、国連総会の決議に基づく初めての「国際協同組合年」。協同組合の設立や発展の

促進、社会的認知度の向上に向けた様々な取組が全国各地で展開。

8 農業を支える農業関連団体

国際協同組合年に実施された主なイベント (全国実行委員会*の取組)

資料:2012国際協同組合年全国実行委員会HPを基に農林水産省で作成

*:2012国際協同組合年実行委員会。農業協同組合のほか、国内の各種協同組合の関係者や大学教授等で構成。

770 741 725

9,494 9,579 9,694

4.4 4.2 4.2

2.4 2.1 2.0

組合数

組合員数

販売事業取扱高

生産資材購買事業取扱高

(単位:組合、千人、兆円)

平成20年度(2008)

21(2009)

22(2010)

7 環境保全を重視した農業生産の推進

○ 化学肥料や化学合成農薬の使用低減等の取組を行うエコファーマーの平成24年における認定

件数は、前年に比べて5千件増加し21万6千件。

○ 有機JAS認定ほ場面積は、国内の耕地面積が減少する中で平成24年も増加。

資料:農林水産省調べ 注:各年3月末の数値。

有機JAS認定ほ場の面積の推移

資料:農林水産省「耕地及び作付面積統計」、農林水産省調べ

注:有機JAS認定ほ場面積は各年4月1日、国内の耕地面積は前年7月15日現在の値。「その他」はきのこ栽培における採取場等。

(単位:ha)

田 畑 その他

平成21年(2009)

8,506 2,902 5,596 9 4,628

22(2010)

9,084 2,998 6,076 10 4,609

23(2011)

9,401 3,214 6,169 17 4,593

24(2012)

9,495 3,148 6,331 16 4,561

合計 国内の耕地面積

(千ha)

エコファーマー認定件数の推移(地域別)

0.1

757

1,964 2,116 2,163

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

17

(2005)

22

(2010)

23

(2011)

24

(2012)

百件

北海道

東北

関東

北陸

東海近畿中国四国九州

沖縄平成12年

(2000)

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(単位:万人、%)平成12(2000)年    22(2010)   増減数(率)

都市的地域 9,759 10,077 (78.7) 318 ( 3.3 )平地農業地域 1,306 1,260 (9.8) ▲ 46 ( ▲ 3.5 )中間農業地域 1,177 1,086 (8.5) ▲ 91 ( ▲ 7.7 )山間農業地域 451 384 (3.0) ▲ 67 ( ▲ 14.9 )

計 12,693 12,806 (100.0) 113 ( 0.9 )

(単位:%)

総数農林漁業

建設業 製造業サービス業等

都市的地域 ▲ 3 ▲ 23 ▲ 27 ▲ 21 3平地農業地域 ▲ 8 ▲ 25 ▲ 30 ▲ 18 8中間農業地域 ▲ 13 ▲ 27 ▲ 35 ▲ 21 2山間農業地域 ▲ 20 ▲ 27 ▲ 42 ▲ 29 ▲ 6

19

第4章 地域資源を活かした農村の振興・活性化

○ 耕作放棄地面積は、平成22年では39万6千ha。近年、増加率は鈍化傾向(地域類型別にみても

同様の傾向)。

○ 平成22年における地域類型別の耕作放棄地面積率をみると、山間農業地域(15.8%)、中間農業

地域(14.1%)に加え、都市的地域(13.7%)においても高い割合。

○ 耕作放棄地の解消に向け、国と地方が一体となった各種取組の着実な実施により、平成23年に

再生利用された面積は1万2千haに増加。

資料:農林水産省「農林業センサス」(組替集計) 注:耕作放棄地面積率=耕作放棄地面積/ (経営耕地面積+耕作放棄地面積)×100

耕作放棄地の解消に向けた主な取組

荒廃農地の再生利用に対する支援

改正農地法による遊休農地対策

「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」の交付を通じて、荒廃農地の再生利用に向けた取組や必要な施設の整備等を支援

農業委員会は、毎年1回農地の利用状況を調査し、遊休農地所有者等に対して、自ら耕作するか、誰かに貸し付けるか等を指導

資料:農林水産省作成

(2)耕作放棄地の現状と解消に向けた取組

耕作放棄地面積の推移

資料:農林水産省「農林業センサス」

地域類型別にみた耕作放棄地面積率の推移

1 農村の現状と農村を取り巻く課題 (1)農村の現状

○ 平成22年度における我が国人口の8割は都市的地域に集中。平成12年と比べて、都市的地域

の人口は3%上昇。一方、平地農業地域の人口は4%、中間農業地域は8%、山間農業地域は

15%低下。

○ 農村地域は都市的地域と比べて、農林漁業、建設業、製造業等の就業者の割合が高く、これら

の産業は農村地域の経済や雇用において重要な役割。

○ 平成12年から平成22年における就業者数の増減率をみると、中間・山間農業地域では、農林漁

業の減少と併せ、兼業機会(建設業と製造業)も減少している状況。

資料:総務省「国勢調査」を基に農林水産省で作成

資料:総務省「国勢調査」を基に農林水産省で作成

平成12年から平成22年の間における 農業地域類型別の就業者数の増減率

資料:総務省「国勢調査」を基に農林水産省で作成 注:サービス業等には、不動産、卸・小売業等を含む。

(単位:%)

総数農林漁業

建設業 製造業サービス業

その他

都市的地域 100 1.4 7.1 15.4 44.5 31.6平地農業地域 100 13.2 8.4 19.9 35.5 22.9中間農業地域 100 12.8 9.0 18.2 38.4 21.6山間農業地域 100 14.7 10.1 16.6 38.7 19.9

農業地域類型別の就業者数の割合(平成22年)

農業地域類型別の人口の推移

(単位:ha)

平成21年度(2009)

22(2010)

23(2011)

交付金による解消面積 1,040 1,136 1,180

(単位:ha)

平成22年(2010) 23(2011)

農業委員会による指導面積 6,443 21,620

(単位:ha)平成21年度(2009)

22(2010)

23(2011)

再生利用された面積 6,111 9,685 12,153

(単位:万ha)

平成7年(1995)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

24.4 34.3 38.6 39.6耕作放棄地面積

(単位:%)

平成7年(1995)

12(2000)

17(2005)

22(2010)

6.9 10.3 12.7 13.7

3.3 4.6 5.4 6.0

7.5 10.7 12.9 14.1

8.4 12.4 14.6 15.8山間農業地域

平地農業地域

都市的地域

中間農業地域

Page 23: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

20

0

50

100

150

200

250

平成

19年度

(2007)

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

199

億円

226

185

213

239その他鳥類

その他獣類

カラス

サル

シカ

イノシシ

鳥類

獣類

(3)鳥獣被害の現状と対策

野生鳥獣による農作物被害状況の推移

○ 平成23年度の野生鳥獣による農作物被害額(226億円)は、前年度と比べて13億円減少。 しか

しながら、シカによる被害額(83億円)は、前年度と比べて5億円増加。

○ 鳥獣被害防止に取り組む市町村の数は着実に増加し、鳥獣被害防止特措法に基づく被害防止

計画の作成市町村は1,195まで増加。一方、鳥獣被害対策実施隊の設置市町村数は521にとど

まり、更なる体制強化が重要 。

○ 被害防止計画に基づき、地域ぐるみで行われる鳥獣の捕獲、侵入防止柵の設置、緩衝帯の設

置等の総合的かつ効率的な取組を推進。

被害防止計画の作成及び

鳥獣被害対策実施隊の設置状況

資料:農林水産省調べ

資料:農林水産省調べ

○ 農業・農村は、食料の供給のみならず、国土の保全、水源のかん養、生物多様性の保全、良好

な景観の形成、文化の継承等様々な役割を有しており、その効果は地域住民をはじめ国民全体

が享受。

○ 水田や畑地等の活用をとおして、洪水防止機能、生物多様性保全機能、良好な景観の形成機

能、保健休養機能等の農業の持つ多面的機能の発揮に向けた様々な取組等が展開。

2 農業の持つ多面的機能の発揮

(1)農業・農村の持つ多面的機能

【取組事例】 ○水田の活用を通じて洪水防止に貢献した取組 新潟県は、水田の貯水機能を活かして、洪水を防止する取組(田んぼダム)を実施。具体的には、水田の排水口に水位調節管等を設置し、水路への流出を穏やかにすることにより、多くの雨水を水田に貯留し、急激な増水を防止。

○堆肥の製造と果樹栽培を通じて環境保全に貢献した取組 長野県高山村は、村内の生ごみ、きのこ農家の廃おが粉や家畜ふんを堆肥化して、果樹園を中心とした村内農地に還元する取組を実施。非農家の増加により深刻化していた生ごみの処理問題を解決するとともに、施用農地の土壌の水はけ・水持ちが向上し、ミミズが戻るなど良質な土壌が再生。

○梅園の管理を通じて良好な景観形成に貢献した取組 愛媛県の「農事組合法人ななおれ梅組合」は、周辺の耕作放棄地を借り受け、観賞用梅等の植栽や遊歩道の整備等を通じて、耕作放棄地の解消と美しい集落作りに努めるとともに、梅園を開放して「梅まつり」を開催する等、良好な景観づくりを展開。

田んぼダムの効果

流量のピーク

が遅れる

通常の水田

田んぼダム実施

ピーク時の流量が

減少する

遅い(時間)早い

少ない

多い

(流れる量)

40

724

933

1,1281,195

033 58 87

418521

0

200

400

600

800

1,000

1,200

平成20年

(2008)

4月

21

(2009)

4月

22

(2010)

3月

23

(2011)

4月

24

(2012)

4月

24

(2012)

10月

市町村

被害防止計画

作成市町村数

鳥獣被害対策

実施隊設置

市町村数

Page 24: 平成 24 年度 食料・農業・農村白書の骨子(案)...平成24年度 食料・農業・農村白書の骨子(案) 1白書のポイント1 「東日本大震災からの復興」については、章立てし、被災農家の「生の声」に

770795

813844 848

745

886

1,492

2,006

1,300

1,500

1,700

1,900

2,100

600

700

800

900

平成17

年度

(2005)

18

(2006)

19

(2007)

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

農家民宿を行っている農業経営体数(右目盛)万人 経営体

宿泊者数

0 0

28,708 28,757 28,765

26,93727,570

66.5 66.4 66.4 66.2 67.8

40

60

80

100

20,000

22,000

24,000

26,000

28,000

30,000

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

協定

協定数

0

交付面積(右目盛)

万ha

0=

平成19

年度

(2007)

○ 地域の実情に応じ、創意工夫に富んだ様々なグリーン・ツーリズム(農山漁村における滞在型の

余暇活動)の取組が展開。

○ 農家民宿を行っている農業経営体数は、平成17年の1,492軒から平成22年の2,006軒まで増加。

また、農家民宿等への宿泊者数は増加傾向で推移しており、平成23年度は886万人。

3 地域資源を活かした農村の振興 (1)都市と農山漁村の共生・対流

グリーン・ツーリズム施設への宿泊者数及び農家民宿を行っている農業経営体数の推移

資料:農林水産省「農林業センサス」、 農林水産省調べ 注:平成22(2010)年度の宿泊者数は

岩手県、宮城県、福島県を除いた数値。

グリーン・ツーリズムの取組事例 農業地域類型 実施主体 所在 取組概要

平地農業地域農産物直売所「ほたるの郷」

佐賀県

小城市お ぎ し

農産物直売所を開設し、「むらづくり」の核となる直売所を目指した活動を展開。イベント等での出張販売、子どもや保護者への食農教育活動を推進。新たに農家民宿や農家レストランの開業もみられる。

中間農業地域農業法人株式会社秋津野

和歌山県

田辺市た な べし

地域の農業者などが出資し「農業法人株式会社秋津野」を設立。地域の女性約30人で農家レストラン、宿泊施設や市民農園などに取り組む。みかんのオーナー制度や農作業・加工体験も提供。

山間農業地域(株)南信州観光公社

長野県

飯田市い い だし

修学旅行誘致等を行い、農家体験を観光として商品化。農家民泊の食事に統一メニューはなく、その家で収穫した野菜等を提供。本物の農家体験が楽しめる。

○ 「農地・水保全管理支払交付金」により、農地・農業用水等の資源の保全管理や農村環境の向

上に資する活動(共同活動支援)、集落による農地周りの水路・農道等の長寿命化のための補

修・更新等(向上活動支援)を実施。近年における活動組織数と取組面積は、それぞれ2万組織、

143万ha程度で推移。

○ 「中山間地域等直接支払制度」により、中山間地域を中心に農業生産活動の維持、多面的機能

を確保するため、農地の法面管理、景観作物の作付け等様々な活動を実施。平成23年度から

は離島の平地等の条件不利地への支援を充実した結果、協定数、交付面積が増加。

(2)地域資源・環境の保全とコミュニティの強化

資料:農林水産省調べ

農地・水保全管理支払交付金(共同活動支援) の取組状況

資料:農林水産省調べ

中山間地域等直接支払制度の協定数と 交付面積の推移

21

17,122

18,973

19,514 19,658 19,677

116.0

136.1142.5 143.3 143.0

100

110

120

130

140

150

160

15,000

16,000

17,000

18,000

19,000

20,000

平成19

年度

(2007)

20

(2008)

21

(2009)

22

(2010)

23

(2011)

万ha活動組織

0 0

活動

組織数

取組面積(右目盛)

= =

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22

(2)農業と教育・福祉・観光等との連携

○ 農作物等に接することによりもたらされる癒し・やすらぎ、農作業を通じてもたらされる健康の維

持・増進の効果等に着目し、農山漁村を教育・福祉・観光の場として活用する取組が拡大。

【取組事例】 ○松前町ツーリズム推進協議会(北海道)

大学やNPOと連携し、農林漁業等の地域産業や伝統・文化を活かした子どもの教育体験プログラムを開発。また、地域関係者と定期的に勉強会・連絡会を開催し、地域ぐるみで子どもの受入れを推進。

○香川県

香川県は、農業者や農業者団体(JA)、障害者施設と協力しながら、農業分野における障害者の就労を支援。障害者と農業者とのマッチングを実施し、障害者の働く場の確保と農業の人手不足に対応。

○公益財団法人そらぷちキッズキャンプ(北海道) 難病と戦う子どもたちのための医療ケア付きキャンプ場を整備し、豊かな自然環境や基幹産業である農業を活用し、自然療法、レクリエーション療法に取り組む。

○株式会社LASSIC(鳥取県) 農業農村の癒し・やすらぎ機能を活かし、日常生活におけるストレスや強い不安、悩みを抱えた労働者を、田舎暮らしや農業体験を行う中で改善していく事業を実施。

○南三陸町(宮城県) 仮設住宅の入居者等が利用できる農園を開設し、農作業を行うことにより被災者の心のケアを実施。また、農作業の指導に当たっては高齢農業者が活躍。

○ 再生可能エネルギーの導入は、CO2排出削減に向けた取組として、また、原発事故を契機とした

新たなエネルギー供給システム構築の手段として高い関心。

○ 農山漁村に豊富に存在する土地、水、バイオマス等の地域資源を活用した再生可能エネルギー

の導入は、農山漁村に新たな所得を生み出し、地域活性化につながることが期待。

再生可能エネルギーの活用事例

(3)再生可能エネルギーの展開

資料:農林水産省作成

再生可能エネルギー源の種類

実施主体 所在 取組概要

小水力那須野ヶ原土地改良区連合

栃木県

那須塩原な す し お ばら

市し

農業用水路に水車・発電機を5か所設置し、落差を利用して計1,000kWの小水力発電を実施。発電した電気を土地改良施設に供給し、同施設の維持管理費を軽減。

バイオマス 鹿追町しかおいちょう 北海道

鹿追町

家畜ふん尿の適正処理、生ごみや集落排水汚泥等の有効活用を図るため、バイオガスプラント、堆肥化施設を整備。製造されるガスや熱は施設内で活用するほか、畜舎、温室ハウス等で地域利用。

太陽光 JA浜中町はまなかちょう 北海道

浜中町

酪農家105戸に各10kWの太陽光発電設備を設置(計1,050kW)。発電した電気は畜舎内で使用し、酪農家の電力経費を節減。「エコ牛乳」としてアピールし、当該地域のブランドイメージの向上に寄与。

風力 梼原ゆすはらちょう

町高知県梼原町

町が600kWの風車2基を設置。売電益の一部を使い、間伐を行った森林所有者に町独自の交付金を交付。この制度により、山手線の内側の面積に匹敵する約6,000haの間伐が行われ、森林の適正管理に寄与。

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23

3,968

2,6762,904

3,124 3,273

3,596

0

1,000

2,000

3,000

4,000

平成13年度

(2001)

15

(2003)

17

(2005)

19

(2007)

21

(2009)

23

(2011)

か所 都市的地域都市的地域以外

○ 近年、市民農園の開設数は、都市的地域を中心に増加傾向にあり、平成13年度の2,676か所か

ら平成23年度の3,968か所まで約1.5倍に増加。

○ 都市で暮らす人々の中では、「農」のある暮らしを楽しみたいとのニーズが増加。また、地震、水

害等の防災の観点からも都市農地を維持・活用すべきとの意見も増加。このような中、都市及び

その近接地域において、「農」のある暮らしづくりに向けた取組が展開。

4 都市農業の保全と振興

市民農園の開設数の推移

資料:農林水産省調べ 注:「特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律」

及び「市民農園整備促進法」に基づき開設されたものの各年度末現在の数値。

遊水機能の優れた 水田の保全活動

学童の農業体験を通じた食育の推進

高齢者福祉農園の開設

既存施設を利用した学童農園

市民農園・障害者 雇用農園等の整備

防災兼用井戸の整備

農のある暮らしづくりに向けた取組

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「平成25年度 食料・農業・農村施策」の構成(案)

平成25年3月

概説

1 施策の背景

2 施策の重点

3 財政措置

4 立法措置

5 税制上の措置

6 金融措置

7 政策評価

Ⅰ 東日本大震災に関する施策

1 農業・農村の本格的復興に向けた対策

2 農地等の生産基盤の復旧・整備

3 経営の継続・再建

4 東日本大震災農業生産対策交付金による生産手段の回復

5 再生可能エネルギーの導入

6 農山漁村対策

7 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対策

8 東日本大震災復興交付金

Ⅱ 食料自給率向上に向けた施策

1 食料自給率向上に向けた取組

2 主要品目ごとの生産目標の実現に向けた施策

Ⅲ 食料の安定供給の確保に関する施策

1 食の安全と消費者の信頼の確保

2 食育及び地産地消等の推進

3 食品産業の持続的な発展

4 総合的な食料安全保障の確立

5 国際交渉への対応

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Ⅳ 農業の持続的な発展に関する施策

1 攻めの農業の展開

2 国土強靭化・競争力強化に向けた農業生産基盤等の整備・保全

3 担い手・農地総合対策の実施

4 優良農地の確保と有効利用の促進

5 農業の高付加価値化等の推進

6 経営所得安定対策の実施

7 生産振興対策の実施

8 農業災害による損失の補てん

9 農作業安全対策の推進

10 持続可能な農業生産を支える取組の推進

Ⅴ 農村の振興に関する施策

1 農業の多面的機能の維持・向上に向けた対策

2 地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入拡大

3 都市と農村の共生・対流

4 都市農業の保全と振興

5 農村の集落機能の維持と地域資源・環境の保全

Ⅵ 食料・農業・農村に横断的に関係する施策

Ⅶ 団体の再編整備等に関する施策

Ⅷ 食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために

必要な事項