施設栽培における雪害の状況報告 山梨県の果樹農家を中心に...
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施設栽培における雪害の状況報告 ～山梨県の果樹農家を中心に～
東京農業大学3年 菅沼祐介 東京農業大学4年 早川紘平
2014/3/11
自己紹介• 菅沼祐介（22）
• 東京農業大学 食料環境政策学科3年
• 出身：東京都
• 二年次に農大で学術系サークルFNP（Freedom Nodai Project）設立。 学祭にてフードロスについて研究発表
• 趣味は自分で釣った魚を料理してお酒を飲むこと
• 将来の夢は農家レストランを経営すること
自己紹介• 早川紘平（22）
• 東京農業大学 国際農業開発学科4年 （4年次休学中、4月より復学予定）
• 出身：富士山
• 一年間休学して富士山の登山ガイド、2ヶ月沖縄の離島を放浪
• 日本の砂糖政策について卒論執筆予定
• 日本の農業に一生を賭ける！学生委員会/SOLA元代表、田畑と森と海でつながる学生団体いろりメンバー
雪害
• メディア報道はソチオリンピックなどが優先
• 農業の雪害については被害額しか報道されない→現地取材がされていない
• 直接連絡を取った山梨の農村に苦しんでいる方々がいる
• 農業に関心のある仲間たちの多くも「シェア」で終わり
• 今、ぼくたちが動き出さなければ誰がやる
問題意識
20140217 大雪農業への影響について 12014年2月14日大雪の農業への影響
2014年2月14日大雪の農業への影響
2014-02-17
FB農業者倶楽部独自調査
https://www.facebook.com/farmerclub2
https://www.facebook.com/groups/farmerclub/
野間 英樹
20140217 大雪農業への影響について 2経過報告
➢ FB農業者倶楽部は、宮崎県の上水 広志さん発案により「農業を商いとしている人による農業者のための情報交換コミニティー」です。2012年より運用されており、現在1400名以上が参加してます。（非公開グループです）
➢ 大雪の被害状況をFacebookグループ内で収集したところ、甚大な被害が出ていることが判明し、また、各機関においても情報収集に手間がかかることが予想されるためご報告することとなりました。
➢ 現在は、公開ページでも情報収集及び拡散を行っております。
➢ 集約した情報を一旦ご報告する次第です。
https://www.facebook.com/farmerclub2
20140217 大雪農業への影響について 3地域的な広がり
➢ 被害の大きいエリア
● 山梨県を中心に群馬県全域、埼玉県、東京都の西部地域、栃木県の一部、および長野県南部で特に大きな被害が出ていると考えられます。
● 大阪等他のエリアでも一部被害が出ている模様
前橋牛舎、ハウス倒壊
入間市ハウス倒壊
渋川ガラス・ビニルハウス壊滅
山梨市鶏舎・ハウス倒壊
甲州市ハウス倒壊果樹被害
南佐久郡ハウス倒壊
中央市ハウス倒壊
桐生・みどりハウス半壊
宇都宮ハウス半壊
三重県伊勢市ハウス全滅
児玉郡上里町ハウス倒壊
大分県臼杵市一部ハウス倒壊
20140217 大雪農業への影響について 4被害の状況（類型化）
➢ 施設等の被害
● ビニルハウス・ガラスハウスの倒壊・半壊
● 雪除去のため、ビニルハウスのサイドカット
● 畜産設備の倒壊・半壊
➢ 生産作物等の被害
● 果樹の倒壊（時間の問題と言われている）
● 被害ハウス内の野菜、いちご等に対する雪の影響
➢ 物流ストップによる二次被害
● 燃料不足
● 飼料不足
● 出荷できない
➢ 問題の大きな被害
● 施設等の復旧（一時費用）
➔ 数千万円の費用が見込まれる農業経営者も多数
● 果樹等の復旧
➔ 被害状況によるが元の品質の生産に戻るのに3－7年かかるとも言われている
● 地域全体が被災
➔ 地域内全体で同様の被害が発生している地域が多数見受けられる
山梨県内の施設栽培の8割が壊滅状態という未確認情報あり
20140217 大雪農業への影響について 5今後必要な対応
➢ 次の雪に備えて
● 雪に不慣れな地域に対し、自助するためのノウハウの広報（確実な手段で）
● 不足する物資の供給
➔ 燃料
➔ 重機
➢ 復旧フェーズに向けて
● 施設撤去費用などにも踏み込んだ支援が必要
● 雪国ではないエリアであることを考慮した復旧支援体制
➔ 従来の雪害対策では対応しきれるレベルではない
きちんと復旧に力を注がないと、
関東、甲州、信州の農業の将来が潰れます
人命救助が優先の時期ではありますが、今すぐ手を打たないと保てない農業の命があります。
できることをそれぞれの立場でお願いいたします。
当グループで協力できること
１．被災地の農業経営者からの情報収集
２．被災地の農業経営者への情報発信
３．全国の農業経営者かの意見聴取
お気軽にご連絡ください。
東京での窓口：野間 英樹
協力者
雪害に関心を 持ってくれる人
雪害に関心を 持ってくれるかもしれない人
支援金基金
東京ボランティアチーム
現地ボランティアチーム
農家さん
行政
政治家
活動の概念図
労働力、傾聴
政策ニーズ情報
ボランティアニーズ情報
政策ニーズ情報
活動内容の提案
ボランティアニーズ情報
参加 参加
寄付
活動資金近況報告
活動報告
SNS（Facebook）を通じて発信
報告書送付、事務所訪問
現地チームの後方支援。効果的な活動の提案や情報発信を行う
・楕円内の黒字はアプローチ できた人、動けた人 ・楕円内の白地はアプローチ できなかった人、作れなかった物 ・赤矢印は作れた仕組み ・黒矢印は作れなかった仕組み
収穫物、写真、手紙など
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• 現地到着後2月20日夜に開設
• イベントページで「毎日開催」なので拡散した2000名近くに情報を見てもらえている。（Facebookページではないのでリーチ数などは未確認）
• 「参加予定」は200名弱。投稿に対して毎回20～50いいね。
• 現地の活動写真やインタビューの様子、東京でのミーティング風景などを掲載
• 僕らの活動に共感した後輩が自分たちでボランティアを立ち上げている。
Facebookイベントページを通じた情報発信『ボランティア募集！山梨の雪害のためにできるこ
と～大学生の現地リポート』
• “大雪の被害に遭った農家のこれからに役立つことが出来ないか̶と、首都圏の大学に通う学生がチームをつくり、除雪の支援と被害を免れた農家がどんな対策を取っていたのか、甲府市内で聞き取り調査を始めた。”
• “参加した東京農大OBの上原幸夫さんは「地域は高齢農家が多く、今後、営農を続けるかどうか迷っている。定期的に自分たちが通うことで営農を継続できるよう、背中を押すことができるはずだ」と協力を買って出る。”
• “大学生を受け入れる農家の山崎さんは「地域は記録的な豪雪で危機的な状況に陥ったが、学生たちに労力や情報提供で協力してもらうことで、もっと強い産地になれる」と支援に感謝する。”
メディア掲載日本農業新聞2014.3.2 全国版
「山梨救え！学生支援チーム活躍～除雪と対策聞き取り調査」
• 農家さん：雨宮一夫さん（75歳）
• 家族：妻（70歳）、息子（45歳、レントゲン技師）３名同居
• 場所：山梨県笛吹市石和町砂原ぶどう、ももの産地
• 経営規模：1.5ha。見学したのはハウス栽培の30aシャインマスカット（7月上旬収穫）と20aピオーネ（5月下旬収穫）
雪害の事例①
笛吹市石和町
• 18歳から農業をやってきて、農業を嫌だと思ったことはないけれども、農家は報われないと何度も思ってきた。先祖から代々受け継いだきた土地だが、経営を続けるのはのはもう無理。ビニールハウスを再建してもあと何年できるかわからないので、今回の被害を機に農業を辞めようとも考えている。
• 息子さんは今のところ農業をつぐ予定はなく、後継者は見つかっていない。やる気があるなら人に畑を使ってもらっても良い。でも息子が何と言うか分からない。
• 30aのシャインマスカットのハウスは屋根が倒壊。20aのピオーネのハウスは一部屋根が倒壊し、ブドウの幹が折れた。それぞれ30a、20aの大きさの連結型ハウス。
• ハウスが倒壊したのは15日午前10時ごろ。雪は14日夕方から。
• シャインマスカットはハウスのビニールが破れた。今は養分転換期にあり、根や幹の貯蔵養分で生きていた時期から、土から栄養を吸えるようになる時期で芽も出ている。養分転換期以降に芽と葉が霜にやられてしまったらダメ。今ハウスに穴が空いたブドウ農家はおしまい。
• ・停電は無かったがハウスを暖めるボイラー用灯油が不足した。（山梨県の備蓄が不足した。また農道が積雪でタンクローリー車が通れなかったのでハウス内の備蓄が不足した。
雪害の状況
• 雪が降った時はボイラーを焚いて室温を20℃以上に。最低限の室温は7～8℃。7～8℃から20℃にするには20~30aのハウスで２～３時間かかる。加温するのは今回に限った対応ではなく、雪が降る時には当たり前。だが、加温していても倒壊した農家がいた。
• 折れたブドウの木は収穫量が戻るまでに治療するより、植え直した方が早い。元の状態に戻るまで苗を植えてから4～5年かかる。「一房は努力の塊」。
• ハウス再建にあたって農業の素人に手伝えることもある。砂原地区ではビニールハウスはほとんどの農家は設計図などを参考に自分で作っている。素人でも、解体したり建てたりする時の、ネジの締めはずし、パイプ運び、ビニールはがしやビニール張りはできる。
雪害への対応
• ビニールハウスが倒壊した農家さん、倒壊しなかった農家さんがいる。何が違うのか。
雪害の事例②
協力者
雪害に関心を 持ってくれる人
雪害に関心を 持ってくれるかもしれない人
支援金基金
東京ボランティアチーム
現地ボランティアチーム
農家さん
行政
政治家
活動の概念図
労働力、傾聴
政策ニーズ情報
ボランティアニーズ情報
政策ニーズ情報
活動内容の提案
ボランティアニーズ情報
参加 参加
寄付
活動資金近況報告
活動報告
SNS（Facebook）を通じて発信
報告書送付、事務所訪問
現地チームの後方支援。効果的な活動の提案や情報発信を行う
・楕円内の黒字はアプローチ できた所、動けた人 ・楕円内の白地はアプローチ できなかった所、作れなかった物 ・赤矢印は作れた仕組み ・黒矢印は作れなかった仕組み
収穫物、写真、手紙など
• 雪害（短期的課題）のために農村に行ったが、農家さんたちからは別の、僕たちへの期待感を感じた。若い人がきてくれたので、将来に希望を持てる、と
• 農村には若い人がいない現状（長期的課題）があり、雪害を受けた山梨も同じ。雪害（危機）によって長期的課題が顕在化した。
農村で活動して気づいたこと
動き出して思ったこと• 最初に手を挙げる勇気
• 生み出せる価値が未知数でも意外と人は協力してくれる。善意ってすごい
• 価値観が異なる人とチームを組めるのか？でもボランティアだからこそ組めるのかも知れない
• 現地の方に信頼されるためには何をすればいいのか
• 東京都高円寺駅周辺で、4月に東日本大震災と雪害の農家さんの応援消費のイベントに参加。お手伝いした農家さんの農産物や加工品を販売（仮）
• 僕たちを現地につないでくれたネットワークを引き継ぐため、現地の山梨で活動する団体や学生と話し合う
今後の活動
• 人手が足りない⇒参加者を募る際にFacebookなど仲間内だけの拡散にとどまった。新しい拡散先を探さなかった。
• 情報の拡散力⇒FacebookなどSNSと新聞に限られた
• 団体としてのハコが無い⇒責任者の不在、メンバーが固定的でない
• 現地活動のルールがない⇒ボランティアの活動経験が不足していた
• 素早い行動は出来たが、大きな影響力がなかった（現地ボランティアの参加者人数、FB上でのいいね数が伸びなかった）
• 現地の学生を巻き込めなかった⇒現地の学生のニーズを把握しきれず
今後への課題
最後に…
–山崎将さん（36） 5日間お世話になった農家さん
“雪害によって地域はもっと強くなれる”
ご清聴ありがとうございました。