なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか - 暗黙契約仮説のアプローチ -

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なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか - 暗黙契約仮説のアプローチ -. 一橋大学大学院商学研究科 岑 鏈瓊(シン レンホウ).     問題意識. 20 年以上経過したが、いまだに国有企業改革は中国経済改革のボートルネックとなっている。 中国の農村改革は割りに早い段階で急速に推進されたと対照的に、なぜ国有企業改革はそんなに漸進的プロセスをとらざるを得ないのか。 中国伝統的国有企業における企業と従業員との間の暗黙契約関係から説明を試みる。.         既存説明. 「社会主義イデオロギー」説。 政治体制改革の遅れによる既得権益者への妥協。 「金融制度改革の遅れ」。 - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

なぜ中国国有企業改革は漸進的なぜ中国国有企業改革は漸進的なのかなのか

- -暗黙契約仮説のアプローチ暗黙契約仮説のアプローチ--

一橋大学大学院商学研究科一橋大学大学院商学研究科岑 鏈瓊(シン レンホウ)岑 鏈瓊(シン レンホウ)

Page 2: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

    問題意識    問題意識

• 2020 年以上経過したが、いまだに国有企業改革は年以上経過したが、いまだに国有企業改革は中国経済改革のボートルネックとなっている。中国経済改革のボートルネックとなっている。

• 中国の農村改革は割りに早い段階で急速に推進さ中国の農村改革は割りに早い段階で急速に推進されたと対照的に、なぜ国有企業改革はそんなに漸れたと対照的に、なぜ国有企業改革はそんなに漸進的プロセスをとらざるを得ないのか。進的プロセスをとらざるを得ないのか。

• 中国伝統的国有企業における企業と従業員との間中国伝統的国有企業における企業と従業員との間の暗黙契約関係から説明を試みる。の暗黙契約関係から説明を試みる。

        

Page 3: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

        既存説明        既存説明

•「社会主義イデオロギー」説。「社会主義イデオロギー」説。•政治体制改革の遅れによる既得権益者へ政治体制改革の遅れによる既得権益者へ

の妥協。の妥協。•「金融制度改革の遅れ」。「金融制度改革の遅れ」。•「経済改革そのものが漸進的」。「経済改革そのものが漸進的」。

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   国有企業改革の目標   国有企業改革の目標

•市場経済の主体としての競争力がある企市場経済の主体としての競争力がある企業への変身。業への変身。

•政府と企業の分業体制の確立。政府と企業の分業体制の確立。•余剰人員の処理。余剰人員の処理。•経営者の育成。経営者の育成。

Page 5: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

 国有企業の実態(成長と衰 国有企業の実態(成長と衰退)退)•全要素生産性の上昇と全体規模の拡大:全要素生産性の上昇と全体規模の拡大: 生産高は 生産高は 19781978 年の年の 33 ,, 289.2289.2 億元から億元から1616 ,, 168.4168.4 億元に(約億元に(約 44 倍)。倍)。

•国民経済に占める国有経済のシェアの低下:国民経済に占める国有経済のシェアの低下:     19781978 年の約年の約 8080 %から%から 19931993 年の年の46.9%46.9% を経て、を経て、 200200 2年の2年の 15.6%15.6% に。に。

•赤字企業の増加:赤字企業の増加: 8080 年代の年代の 2020 %から%から199199 8年の8年の 47.847.8 %に。%に。

Page 6: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

    国有工業企業の発展    国有工業企業の発展単位:国有工業生産の成長率(%)は固定価格で計算したもので、指数は成長率で換算したものである。単位:国有工業生産の成長率(%)は固定価格で計算したもので、指数は成長率で換算したものである。 19781978 年を年を

100100 とする。とする。  

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年成長率78=100指数( )

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   国有工業企業従業員の変化   国有工業企業従業員の変化                                    単位(万人、%)単位(万人、%)

010002000300040005000

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20.030.040.050.060.070.080.0

職工数割合

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 国有工業企業生産高割合の変化 国有工業企業生産高割合の変化                                        単位(%)単位(%)

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2002

国有国有・支配

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   国有企業概念の変遷   国有企業概念の変遷

• 国営企業から国営企業から 19921992 年の憲法改正で国有企業に。年の憲法改正で国有企業に。

• 「企業のすべての資産を国家が所有し、しかも『中華人「企業のすべての資産を国家が所有し、しかも『中華人民共和国企業法人登録条例』に基づいて非公司制企業と民共和国企業法人登録条例』に基づいて非公司制企業として登録された経済組織である」(狭義の定義)。して登録された経済組織である」(狭義の定義)。

• 広義の定義:狭義+国有独資公司+国有聯営企業。広義の定義:狭義+国有独資公司+国有聯営企業。

• 20002000 年から国有支配企業の概念拡張。年から国有支配企業の概念拡張。

• 国有資本参加(支配ではない)を加えて、「国資企業」。国有資本参加(支配ではない)を加えて、「国資企業」。

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国有企業改革の二段階国有企業改革の二段階

•19931993 年まで国有企業改革は所有権が不変で年まで国有企業改革は所有権が不変であるという枠内で国有企業の経営を改善するあるという枠内で国有企業の経営を改善するための改革。「放権譲利」、「経営請負制」。ための改革。「放権譲利」、「経営請負制」。

•19931993 年以降は所有権改革を重点にして、国年以降は所有権改革を重点にして、国有経済戦略大調整という意図をもって、「抓有経済戦略大調整という意図をもって、「抓大放小」「現代企業制度の導入」「企業集団大放小」「現代企業制度の導入」「企業集団化」を実施(実質上の民営化)。化」を実施(実質上の民営化)。

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   国有企業の分類と比較   国有企業の分類と比較伝統的国有企業伝統的国有企業 新型国有企業新型国有企業

設立時期設立時期 19921992 年以前年以前 19921992 年以降年以降

出資者出資者 中央および地方政府・単中央および地方政府・単独独

政府を含む多元政府を含む多元

企業形態企業形態 (狭義の)国有企業(狭義の)国有企業 公司(会社)制公司(会社)制

経営目標経営目標 計画、利潤、雇用計画、利潤、雇用 利潤・利益の最大化利潤・利益の最大化

政府との関係政府との関係 密接。政府からの任意介密接。政府からの任意介入入

政府との間に中間隔離層政府との間に中間隔離層

従業員との関係従業員との関係 安定雇用を提供する暗黙安定雇用を提供する暗黙契約契約

市場メカニズムに基づく市場メカニズムに基づく雇用関係雇用関係

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  伝統的国有企業の特徴  伝統的国有企業の特徴

• 生産単位:工業化資金を提供する「利潤」創出生産単位:工業化資金を提供する「利潤」創出単位。単位。

• 従業員のすべて保障を提供する社会保障単位。従業員のすべて保障を提供する社会保障単位。• 行政・政治単位。行政・政治単位。

• したがって、従業員と企業(政府)との間に一したがって、従業員と企業(政府)との間に一種の暗黙契約が存在していたと考えられる。種の暗黙契約が存在していたと考えられる。

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    伝統的国有企業における    伝統的国有企業における    従業員との暗黙契約    従業員との暗黙契約

従業員

生存賃金+総合福祉

国有企業

職業選択権の放棄+労働提供

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  国有企業リストラの意味  国有企業リストラの意味

•内外競争の激化により、国有企業の競争内外競争の激化により、国有企業の競争力が低下。力が低下。

•過剰人員のリストラや国有企業の破産は過剰人員のリストラや国有企業の破産は現実的問題となった。現実的問題となった。

•リストラ・破産が意味するのは、「暗黙リストラ・破産が意味するのは、「暗黙契約」の解消であり、政府(国有企業)契約」の解消であり、政府(国有企業)の従業員への補償である。の従業員への補償である。

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暗黙契約解消財源の欠乏暗黙契約解消財源の欠乏

• 政府が企業の内部留保をほとんど吸い上げるた政府が企業の内部留保をほとんど吸い上げるために、企業内部には補償金を支払う財源はなかめに、企業内部には補償金を支払う財源はなかった。った。

• 政府は工業化戦略を推進するために、吸い上げ政府は工業化戦略を推進するために、吸い上げた企業利益をほとんどほかのプロジェクトに投た企業利益をほとんどほかのプロジェクトに投下したために、政府にもその財源はなかった。下したために、政府にもその財源はなかった。

• 国有企業改革以来、基本的に上述した傾向は変国有企業改革以来、基本的に上述した傾向は変わらなかった。わらなかった。

• 株式会社制度の導入後、内外資本市場の未発達株式会社制度の導入後、内外資本市場の未発達で国有資産の売却も進まなかった。で国有資産の売却も進まなかった。

Page 16: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

国有企業の残存とモラルハザー国有企業の残存とモラルハザードド•財源不足のために、従業員リストラの代財源不足のために、従業員リストラの代

りに、国有企業残存策が打ち出された。りに、国有企業残存策が打ち出された。財政支援、後に金融機関の支援(たとえ財政支援、後に金融機関の支援(たとえば、「安定団結」融資)。ば、「安定団結」融資)。

•国有企業のソフトな予算制約体質の継続。国有企業のソフトな予算制約体質の継続。•国有企業経営者及び従業員のモラルハザ国有企業経営者及び従業員のモラルハザ

ード。ード。

Page 17: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

国有企業の経営危機発生国有企業の経営危機発生

• ソフトな予算制約下の企業・従業員のモラルハザソフトな予算制約下の企業・従業員のモラルハザードは国有企業経営を悪化させた。ードは国有企業経営を悪化させた。

• 赤字額の急激な拡大。赤字額の急激な拡大。• 赤字企業数の急増。赤字企業数の急増。

• それが98年の国有企業急進改革の背景となった。それが98年の国有企業急進改革の背景となった。• 一方、非国有経済の発展は、98年以来の急進改一方、非国有経済の発展は、98年以来の急進改

革を可能にした。革を可能にした。

Page 18: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

私企業や経済が発達した地域の証私企業や経済が発達した地域の証明明•国有企業の余剰人員の処理は温州市では国有企業の余剰人員の処理は温州市では

まったく問題ならなかった(まったく問題ならなかった( 19971997 年年 77月月 1010 『中国経済時報』林春霞)。『中国経済時報』林春霞)。

•現地調査で寧波市も同様な現象が見られ現地調査で寧波市も同様な現象が見られる。る。

•よく知られた元東北重工業基地はいまだよく知られた元東北重工業基地はいまだに下崗による地域は貧困化にしている。に下崗による地域は貧困化にしている。

Page 19: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

     19981998 年以降の「下崗」と失年以降の「下崗」と失業の激増業の激増• 「下崗工人」のデータを見ると、全国累計で「下崗工人」のデータを見ると、全国累計で19931993 年年 300300 万人;万人; 19941994 年年 360360 万人;万人;19951995 年年 564564 万人;万人; 19961996 年年 815815 万人;万人;19971997 年年 11521152 万人;万人; 19981998 年年 17141714 万人;万人;19991999 年年 22782278 万人;万人; 20002000 年年 26992699 万人;万人;20012001 年年 66月に月に 28112811 万人。万人。

• その中で、その中で、 19931993 -- 9797 年のデータは都市部の年のデータは都市部の全部「下崗工人」をさすが、全部「下崗工人」をさすが、 19981998 -- 20012001年のあらたに増加部分は国有企業の「下崗工年のあらたに増加部分は国有企業の「下崗工人」のみを計上した。(楊宜勇『中国転軌時人」のみを計上した。(楊宜勇『中国転軌時期的就業問題』)期的就業問題』)

Page 20: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

  国有企業改革の因果関係  国有企業改革の因果関係

Page 21: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

  結論   結論  11   

• 中国国有企業の改革が、所有権改革を明示した後中国国有企業の改革が、所有権改革を明示した後にも進まなかった理由は、伝統的国有企業には政にも進まなかった理由は、伝統的国有企業には政府(企業)と従業員の間に暗黙的契約が存在した府(企業)と従業員の間に暗黙的契約が存在したがゆえに改革するときに、その従業員の貢献に対がゆえに改革するときに、その従業員の貢献に対して補償を果たさなければならないにもかかわらして補償を果たさなければならないにもかかわらず、政府(企業)の資金の欠如などによってそのず、政府(企業)の資金の欠如などによってその支払いは制約されている。改革が進まなかった国支払いは制約されている。改革が進まなかった国有企業は温存され、政府の財政はさらに逼迫され有企業は温存され、政府の財政はさらに逼迫される。一種の悪循環に嵌ってしまった。る。一種の悪循環に嵌ってしまった。

Page 22: なぜ中国国有企業改革は漸進的なのか  - 暗黙契約仮説のアプローチ -

結論2結論2

•政府は「政企分離」を意図したが、実質政府は「政企分離」を意図したが、実質的に政府と国有企業との両者は相互依存的に政府と国有企業との両者は相互依存するという管理思考(支配権の喪失へのするという管理思考(支配権の喪失への恐怖)に脱出できず、市場経済の主体と恐怖)に脱出できず、市場経済の主体としての国有企業経営メカニズムが確立さしての国有企業経営メカニズムが確立されずに国有企業改革を遅らせている。私れずに国有企業改革を遅らせている。私企業と外資系企業の育成によって国有企企業と外資系企業の育成によって国有企業改革は推進されうる。業改革は推進されうる。