低温レーザー干渉計用ローカルコントロールの研究

東京大学宇宙線研究所斎藤陽紀

1重力波研究交流会　 @ 東京大学本郷キャンパス2008/06/06

目次CLIO の課題低温干渉計 (LCGT) の課題解決方法 (Local Control)タンデム干渉計とは？動作実験実験結果CLIO 振り子Noise Spectrumまとめ

重力波研究交流会　 @ 東京大学本郷キャンパス 22008/06/06

CLIO の課題

重力波研究交流会　 @ 東京大学本郷キャンパス 3

CLIO の現状

室温：十分なダンピング効果が得られる

新たなダンピング法が必要

振り子の並進運動を抑えるため、マグネットダンピングを使用

低温：ダンピングとしての効果が弱まる

振り子振動が止まらず、 100m cavity の制御が難しい

2008/06/06

低温干渉計 (LCGT) の課題


20K

10K

レーザー

クライオスタット低周波防振装置

鏡

２段振り子（防振システム）

真空

輻射シールド発熱

伝熱冷却冷凍機へ

アッパーマスと輻射シールドを heat link で接続

鏡内部で生じた熱は heat link を介してシールドに排熱

鏡を低温に維持

Heat link によりシールドの機械的振動が鏡に伝達

2008/06/06

解決方法 (Local Control)


干渉計を選択

揺れが小さいため、高感度の変位センサーが必要

2008/06/06

CLIO での制御対象

0.5Hz の光軸並進運動2Hz の Yaw 運動



20K

10K

レーザー

クライオスタット低周波防振装置

鏡

２段振り子（防振システム）

真空

輻射シールド

干渉計

アッパーマスを用いて干渉計を作成

干渉計をセンサーとしてフィードバック制御

アッパーマスの振動を低減

メイン鏡の振動を抑える

2008/06/06

CLIO では鏡を冷却する冷却前と後では、振り子のアライメントや位置は大きく

変化する



次に示すタンデム干渉計

冷却後に干渉計の調整は必須

低温で動くアクチュエーターは選択肢が限られる

現在の CLIO のタンク等の構造から、現実的な干渉計を考えると・・・

2008/06/06

常温部で調整したい

2 つの干渉計（第 1 干渉計と第2 干渉計）が直列につながった干渉計

Laser

Mirror

BS

BS

Mirror

Mirror

Mirror

PD

第 1 干渉計

第 2 干渉計

タンデム干渉計とは？タンデム干渉

計

低コヒーレンス光源を使用

干渉計の光路長が等しい時しか干渉しない

第 1 干渉計、第 2 干渉計だけで干渉することはない2008/06/06 8重力波研究交流会　 @ 東京大学本郷キャンパス

Laser

Mirror

BS

BS

Mirror

Mirror

Mirror

PD赤い光路 (L2+L3) と青い光路 (L1+L4) の光路長が等しい

第 1 干渉計

第 2 干渉計

タンデム干渉計とは？2 つの干渉計の腕の差

が等しい

L1

L2

L3

L4

4321 LLLL

干渉が起こる

2008/06/06 9重力波研究交流会　 @ 東京大学本郷キャンパス

緑の光路 (L2+L4) とオレンジ色の光路 (L1+L3) は光路長が等しくない

それ以外の光路も光路長が等しくないので、干渉しない

Laser

Mirror

BS

BS

Mirror

Mirror

Mirror

PD

第 1 干渉計

第 2 干渉計

タンデム干渉計とは？他の光路の場合

L1

L2

L3

L4

干渉しない


干渉が起こる光路

コヒレーンス長の長い光源を用いると、第 1 干渉計だけで干渉してしまうので、タンデム干渉計の光源としては不向き

Laser

Mirror

BS

BS

Mirror

Mirror

Mirror

PD

第 1 干渉計

第 2 干渉計

タンデム干渉計とは？

赤の光路と青の光路を通った光のみ

低コヒーレンス光源を使用することの重要性


低コヒーレンス光源Laser

Mirror

BS

BS

Mirror

Mirror

Mirror

PD

第 1 干渉計

第 2 干渉計


白色光源 4μm 以内の光路差で干渉縞が生

じるレーザーポインター（赤）数百 μm くらいの光路差で干渉縞

が生じる

メリット

光源の波長の変動に鈍感散乱光や迷光の影響を受けない


Fringe of Low- Coherence Interferometer

- 15 - 10 - 5 0 5 10 15

Path difference [um]



Laser

Mirror

BS

BS

Mirror

Mirror

Mirror

PD

第 1 干渉計

第 2 干渉計

常温部

低温部さらに、光の取り回しがしやすいように、偏光干渉計にして、 CLIOに入れる　　次のスライド


CLIO へのインストール

常温部第 1 干渉計とレーザー、ＰＤを

置く低温部第 2 干渉計を置くMirrorを中段マスにつけて、その揺れを検出



152008/06/062008/06/06 15重力波研究交流会　 @ 東京大学本郷キャンパス

低温部に置かれる光学系クライオスタットの振動の影響

を受けないように常温部から吊るす

振り子振動しないように、ワイヤーは斜めに張って吊るす

中段マスに付けるミラーは、中段マスの傾きに鈍感になるように、コーナーキューブミラーを用いる



干渉計の調整

吊るす常温部にステージを置いて、低温部の上下と回転ができるようにして、コーナーキューブミラーにビームが当たるようにする

干渉計のアライメントは常温部の 3 つのミラーで調整する



冷却後の干渉計の調整

中段マスとテストマスの間のワイヤーの長さが mm単位で変化する

テストマスを良い位置にするために、中段マスの位置を変える

低温部の干渉計の位置を全体で動かす低温部のミラーや PBS を個々に動

かす必要は無い

動作実験


目的

参照光

測長光

2008/06/06

使用した光源レーザーポインターとして使われ

ている、波長 633nm の半導体レーザーで、 5V電源で光るようなもので、長さ 37mm 、直径 11mm の小さなもの

CLIO での作業をスムーズに行うために、柏で実機を作ってテストをする

動作実験


PBS１

Mirror１

Mirror２

Mirror３

PBS２

CCP

動作実験


Coil-Magnet Actuator

Eddy Current Damping

使用した振り子１段振り子

マグネットダンピング

　マグネットコイル力

ある程度振り子の共振を抑える

振り子の位置制御

2008/06/06

動作実験


PD の出力から DC 成分を除去

その干渉信号を誤差信号として利用

制御回路に通す

コイルドライバー回路を通じて力を加える

制御

2008/06/06

実験結果


-0.03

-0.02

-0.01

0

0.01

0

0.01

0.02

0.03

0.04

0 0.5 1 1.5 2

実験結果

free run

fringe locked

Sig

nal[

V] S

ignal[V]

time[sec]

unlock

lock

2008/06/06

CLIO 振り子


CLIO 振り子


振り子を加工等することなく取り付けるために、 upper mass の下

に corner cube prism を取り付ける予定

Laser から

PD へ

CLIO 振り子


CLIO での制御対象

0.5Hz の光軸並進運動2Hz の Yaw 運動

アッパーマスに corner cube prismを２つ取り付ける（干渉計を２つ作成）

同相成分から光軸並進運動

差動成分から Yaw 運動

の情報を得る

2008/06/06

Laser から

PD へ

Noise Spectrum


現在 CLIO では鏡の揺れを低減させるために、新たなダンピング法が計画されている

現在の CLIO のタンク等の構造から干渉計をタンデム干渉計に選択

Yaw 運動をピックアップするため upper mass に 2 つの corner cube prism を取り付け、干渉計を 2 つ作成す

るローカルコントロールすることで、地面振動による雑音をより抑えられることが期待されている

まとめ


干渉計を変位センサーとするローカルコントロール

2008/06/06

低温レーザー干渉計用 ローカルコントロールの研究

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