明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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Page 1: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

海面処分場における遮水構造物の遮蔽性能評価に関する研究

地球環境学者 環境マネジメント専攻社会基盤技術論分野 修士課程1年 眞鍋 磨弥(明石工業高等専門学校 建築・都市システム工学専攻 環境地盤研究室)

GRADUATE SCHOOL OF GLOBAL ENVIRONMENTAL STUDIES

ENVIRONMENTAL INFRASTRUCTURE ENGINEERING  MASTER’S THESES 1ST GRADE   MAYA MANABE

(NATIONAL INSTITUTE OF TECHNOLOGY, AKASHI )

Page 2: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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海面処分場有害物質の封じ込めは遮水構造物によって果たされる。

遮水構造物(遮水工)処分場を囲む構造物であり、透水係数の低い材料が用いられている。海面処分場では、埋立護岸の役割も果たす。海面処分場の構造

難透水層

廃棄物層海域 海域

覆土

遮水構造物(遮水工)

Page 3: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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難透水層

廃棄物層海域 海域

覆土

遮水構造物(遮水工)

海面処分場有害物質の封じ込めは遮水構造物によって果たされる。

遮水構造物(遮水工)処分場を囲む構造物であり、透水係数の低い材料が用いられている。海面処分場では、埋立護岸の役割も果たす。海面処分場の構造

有害物質(重金属など)

Page 4: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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難透水層

廃棄物層海域 海域

覆土

遮水構造物の性能基準遮水構造物の性能基準:透水係数と層厚

層厚 透水係数5.0m 以上 1×10-7 m/s 以下

層厚を 1 オーダー小さくする→ 透水係数も 1 オーダー小さくする 

表.遮水構造物の層厚と透水係数

遮水構造物の層厚の変化

Page 5: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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有害物質の漏出

移流…圧力勾配により物質が移動する現象

拡散…濃度勾配により物質が広がる現象

分散…物質の移動速度が一律ではなく分布を持つ現象

有害物質の漏出は、移流・分散・拡散が相まって生じる。

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移流…圧力勾配により物質が移動する現象

遮水構造物 海域廃棄物層

覆土有害物質水の流れ

移流による漏出のイメージ図

有害物質の漏出は、移流・分散・拡散が相まって生じる。有害物質の漏出

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分散…物質の移動速度が一律ではなく分布を持つ現象

分散のイメージ図

有害物質の漏出は、移流・分散・拡散が相まって生じる。有害物質の漏出

拡散・分散の支配方程式 c: 濃度    [g/m3]D: 拡散係数 [m2/s]α: 分散長 [m]L: 直線流路長 [m]Le: 実流路長 [m]Dm: 分 子 拡 散 係 数[m2/s]

拡散・分散係数

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拡散…濃度勾配により物質が移動する現象

拡散のイメージ図

有害物質の漏出は、移流・分散・拡散が相まって生じる。有害物質の漏出

拡散・分散の支配方程式 c: 濃度    [g/m3]D: 拡散係数 [m2/s]α: 分散長 [m]L: 直線流路長 [m]Le: 実流路長 [m]Dm: 分 子 拡 散 係 数[m2/s]

拡散・分散係数

Page 9: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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有害物質の漏出は、移流・分散・拡散が相まって生じる。拡散…濃度勾配により物質が移動する現象

海域海域 廃棄物層廃棄物層 遮水構造物

層厚が大きい場合

拡散による漏出のイメージ図

層厚が小さい場合

有害物質の漏出

有害物質

Page 10: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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有害物質の漏出は、移流・分散・拡散が相まって生じる。拡散…濃度勾配により物質が移動する現象

海域海域 廃棄物層廃棄物層 遮水構造物

層厚が大きい場合

拡散による漏出のイメージ図

層厚が小さい場合

有害物質の漏出

有害物質

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有害物質の漏出は、移流・分散・拡散が相まって生じる。拡散…濃度勾配により物質が移動する現象

海域海域 廃棄物層廃棄物層 遮水構造物

層厚が大きい場合 ?拡散による漏出のイメージ図

層厚が小さい場合

有害物質

有害物質の漏出

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研究目的

→ 拡散・分散を考慮した上で有害物質の遮蔽性能を検討する必要がある。

有害物質に対する遮水工造物の遮蔽性能に関して、拡散・分散現象を考慮した検討を行う。

現在の遮水構造物では拡散・分散による漏出を考慮できていない。

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研究フロー

 鋼製矢板式護岸

簡易な遮水工モデルで有害物質の拡散・分散の影響を確認

実際の遮水構造物を模したモデルでの移流・分散拡散解析

• 層厚・透水係数の違いによる検討• 処分場内外の水位差を考慮した検討

• 漏出箇所の検討

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・廃棄物層の有害物質濃度を 1 と置く・処分場内外の水位差: 2.0m

・解析期間: 30 年透水係数 (m/s)

有効間隙率

(%)

縦分散長

(m)

横分散長

(m)

分子拡散係数

(m2/s)遅延係数

遮水工 Parameter 10 0.1 0.01 1.0×10-9 1

粘土層 7.0×10-9 20 0.1 0.01 1.0×10-9 2

廃棄物層 1.0×10-5 100 0.1 0.01 1.0×10-9 1

海域 1.0×10-2 100 0.1 0.01 1.0×10-9 1

表 . 各構成層における解析パラメータ

移流拡散解析

5.0 5.0x

10

10

5.0単位 (m)

海域 廃棄物層13

遮水工粘土 ( 不透水層 )

鋼製矢板式護岸の解析モデル

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鋼製矢板式護岸の透水係数・層厚を変化させる。

層厚 (m)1.0 1.5 0.5

透水係数(m/s)

1×10-11 ① ④ ⑦1×10-10 ② ⑤ ⑧1×10- 9 ③ ⑥ ⑨

表 . ケース場合分け

ケース⑩:層厚 0.5m ,透水係数 1×10-8 m/s

層厚と透水係数のケース分け

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結果0.000.050.100.150.200.250.300.350.400.450.500.550.600.650.700.750.800.850.900.951.00

相対濃度

⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 供用初期

有害物質漏出のコンター図(層厚 0.5m)  1×10-11 m/s 1×10-10 m/s 1×10-9 m/s 1×10-8 m/s

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結果透水係数

(m/s)拡散・分散漏出量

(m3)総和漏出量

(m3) 拡散・分散 / 総和1×10-9 0.650151 65.015136 0.011×10-10 5.185698 13.745210 0.381×10-11 8.469291 10.210265 0.83

増加

表 . 透水係数が変動した時の漏出量の算出値  ( 層厚 0.5m)

層厚(m)

拡散・分散漏出量(m3)

総和漏出量(m3)

拡散・分散 / 総和1.5 3.310498 3.528966 0.941.0 4.846768 5.411227 0.890.5 8.469291 10.210265 0.83

表 . 層厚が変動した時の漏出量の算出値  ( 透水係数 1×10-11)

増加

減少

増加

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結果透水係数

(m/s)拡散・分散漏出量

(m3)総和漏出量

(m3) 拡散・分散 / 総和1×10-9 0.650151 65.015136 0.011×10-10 5.185698 13.745210 0.381×10-11 8.469291 10.210265 0.83

増加

表 . 透水係数が変動した時の漏出量の算出値  ( 層厚 0.5m)

層厚(m)

拡散・分散漏出量(m3)

総和漏出量(m3)

拡散・分散 / 総和1.5 3.310498 3.528966 0.941.0 4.846768 5.411227 0.890.5 8.469291 10.210265 0.83

表 . 層厚が変動した時の漏出量の算出値  ( 透水係数 1×10-11)

増加

減少

増加

拡散・分散が卓越している。

Page 19: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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結果透水係数

(m/s)拡散・分散漏出量

(m3)総和漏出量

(m3) 拡散・分散 / 総和1×10-9 0.650151 65.015136 0.011×10-10 5.185698 13.745210 0.381×10-11 8.469291 10.210265 0.83

増加

表 . 透水係数が変動した時の漏出量の算出値  ( 層厚 0.5m)

層厚(m)

拡散・分散漏出量(m3)

総和漏出量(m3)

拡散・分散 / 総和1.5 3.310498 3.528966 0.941.0 4.846768 5.411227 0.890.5 8.469291 10.210265 0.83

表 . 層厚が変動した時の漏出量の算出値  ( 透水係数 1×10-11)

増加

減少

増加

拡散・分散により増加

Page 20: 明石工業高等専門学校 専攻科 特別研究

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透水係数・層厚の変化

結果層厚一定の下透水係数を小さくする →移流漏出量が減少、拡散・分散漏出量が増加ダルシー則に従った場合層厚・透水係数を小さくする →移流漏出量が一定、拡散・分散漏出量が増加層厚・透水係数を大きくする →移流漏出量が一定、拡散・分散漏出量が減少

移流:抑制可    拡散・分散:抑制困難

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結論・移流・拡散・分散それぞれの有害物質の漏出量を算出し,漏出モードの特徴を示した。

・透水係数、層厚の変化による漏出モードの違いを比較した。

有害物質の移流のみならず、拡散・分散による影響も考慮した遮水工基準に見直すべきであると考えられる。

拡散・分散による有害物質の漏出を過小評価している。