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BioNic Cop. 1 活性汚泥における諸問題とその対処 非糸状細菌由来と糸状細菌由来

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BioNic Cop. 1

活性汚泥における諸問題とその対処

非糸状細菌由来と糸状細菌由来

非糸状細菌由来の問題:ピンフロック・分散増殖・脱窒・ ズーグレアによる粘性バルキング・毒物混入によるショック・発泡などが上げられる。

糸状細菌由来の問題:沈降性不良や発泡の原因は低溶存酸素・栄養分欠乏・嫌気的腐敗とそれによる有機酸などの発生・低負荷汚泥・油分混入・低pHが上げられる。

低pHはカビの増殖原因で糸状菌の問題とは異なる。

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BioNic Cop. 2

運転状況と糸状菌の種類

運転状況 糸状菌の種類

低DO/低MCRT(汚泥滞留時間) Spahecrotilus natans,Type1701 H.Hydrossis

低DO/高MCRT Microthrix parvicella

低負荷 Microthrix parvicella、Nocardia app,H.hydrossis

                                type021N,0041,0675,0092,0581,0961,0803,1851

栄養塩の欠乏 Thiothrix spp.type021N,0041,0675,0411

低いPH(6.5以下) Fungi,Norcardia spp.

泡、高温 Nocardia spp,M.parvicella

高MCRT Microthrix parvicella,Nocardia spp,types

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BioNic Cop. 3

良質な汚泥と質の悪い汚泥

良質の汚泥とは、バイオポリマーといくつかの糸状細菌を 骨格として含み、厚密で程よいサイズと形を持ったバクテ リアフロック。

質の良くない汚泥とは、フロック形成能が低下している   汚泥で、処理水のTSSや濁度を上昇させたり、発泡の原  因になる。

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ピンフロックその症状及び原因

症状:通常フロックの直径が150マイクロメ-タ-以下と定義。フロックの沈降が早すぎて、処理水の濁りが取りきれないのが特徴。

原因その1.低汚泥負荷:有機物に対してMLSSが高すぎる場合。不適当な余剰汚泥の引抜が原因。(汚泥滞留時間が長く、汚泥が古い)又工場の停止やマシンが休転したときも起こる。停止期間が数時間から1-2日では活性汚泥の生物相は大きく変化しないが、停止期間が数日間以上の場合は低負荷汚泥によるピンフロックを引き起こす要因となる。

原因その2.毒物混入によるショックによりフロックが破壊。殺菌剤、強酸、強アルカリ、界面活性剤、硫化物、難分解性物質の混入など。

原因その3.急激な負荷変動:急激に増加した有機物により、バクテリアが対数増殖期に入る為で、高濃度有機物の流入で有れば酸素消費量は上昇し、曝気槽の溶存酸素と栄養分は低下するはずである。

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BioNic Cop. 5

ピンフロックその対策

低汚泥負荷の場合:MLSSの濃度が上昇傾向もしくは有機物の負荷が下降傾向になっているのが原因なのでMLSS濃度を減らす為に余剰汚泥の引抜を増加させる。

工場が数日間停止する場合は、曝気槽に澱粉、糖蜜、ストックしている廃液などの栄養分を添加する

毒物流入による場合は、システムを回復するのに時間が掛かるので、別な活性汚泥又は微生物製剤をシーディング剤として加える。

有機物の増加によるショックの場合は、システムの回復を早める為に無機凝集剤やカチオン系ポリマー及び排水基質に適合した微生物製剤を加える事が有効である。

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BioNic Cop. 6

ピンフロック(定義:フロックの直径が150マイクロメーター以下)

(1)毒物混入によるショックによる場合

毒物混入によるショックにより、フロックが解体して小さなピンフロックになり、フロックの固形分除去の能力が失われ、処理水のTSSが上昇する現象。

pHの異常によるショックの他、殺菌剤や過剰のポリマーの混入により発生する事がある。硫化物による毒性ショックは、pHに依存し、pHが7以下の場合硫化水素が1mg/Lでも毒性が有るが、pHが8の場合は100mg/L異常にならないと毒性を表さない。

症状:顕微鏡観察では、フロック解体により、鞭毛虫類が異常発生する現象が見られる。これは液相中に遊離細菌が過剰になり、狂食状対となった為である。また酸素消費速度が低くなり、その為溶存酸素が上昇し,処理水のBOD・TSSが上昇する。

対策その1.硫化物由来の場合は鉄イオンなどで沈殿させるか、酸化剤を加えるか、曝気を強くし汚泥を酸化させる。

対策その2.返送汚泥率を上げ、微生物量を増やす。

対策その3.排水基質に適合した微生物製剤を添加しバクテリアを増やす。(製剤1Kg当たりMLSS乾燥重量で約1トンに相当する)

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BioNic Cop. 7

ピンフロック(2)低汚泥負荷による場合

原因その1.流入有機物濃度に対してMLSSが高すぎる場合。これは余剰汚泥の引抜量が不適切(少ない場合)

原因その2.工場が停止した時

対策その1.MLSS濃度が高い場合は、汚泥引抜量を増やす。

対策その2.工場停止期間中に、澱粉・糖密・又はストックしている廃液など、すぐに利用出来る栄養分を添加する。

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ピンフロック(3)有機物多量混入による場合

原因その1.流入有機物濃度が設計値より多い場合。

原因その2.流入油分濃度が高い場合。

対策その1.排水基質に適合した微生物製剤を添加する。

対策その2.カチオン系凝集剤を加える。(無機系凝集剤の方が高分子系凝集剤より活性汚泥に対して粘性が出にくいので、無機系凝集剤の方が良い)

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BioNic Cop. 9

分散増殖その症状及び原因

症状:フロックを形成するはずのバクテリアが、対数増殖期に入った結果引き起こされ、フロック形成菌が異常増殖する事により、質の良くない弱いフロック形成が起こり、フロックが分散し沈降しない現象が起こる。処理水の濁度が非常に高くなる。

観察:顕微鏡観察でフロックが細かく分散。

測定:酸素消費速度が遅い。

原因その1.高濃度の有機物の流入による高汚泥負荷。

原因その2.毒物混入によるショックからの回復時で活発な微生物群が少ない。

原因その3.低MLSS濃度。

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BioNic Cop. 10

分散汚泥その対策

システムの回復を早める為に、出来るだけ有機物の流入量を通常のレベルに戻す。

余剰汚泥の引抜量を減らす事により、MLSS濃度を増加させる。

排水微生物製剤を添加し、微生物量を早期に増加させる。

フロック形成菌を含んでいる微生物製剤(Mycropolymer)は、汚泥負荷を下げ、微生物の成長速度を通常の状対に導き、フロック形成を促進させる。

無機凝集剤のような沈降促進剤を添加し、分散した汚泥フロックを抑える。

酸素供給量を減らす。

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BioNic Cop. 11

硝化その症状と原因と対策

症状:1Lのメスシリンダーに曝気槽の汚泥を採取し、静置させる。

  汚泥中に小さな気泡が抱き込まれて、汚泥が一旦沈んでも浮上したり、沈んでも汚泥中から小さな気泡が出たり、汚泥界面が上部に分かれたりする。

  ひどい場合は、沈殿槽全体に汚泥が浮上する。

処理水のCOD及びBOD値は10ppm以下

亜硝酸イオンを測定すると0.5ppm以上有る。

原因その1.曝気量が多く酸素が汚泥に抱き込まれている場合。

原因その2.微生物製剤の添加により酸素吸収効率が増加し、過曝気になっている場合。対策その1.溶存酸素量を測定し、酸素濃度を0.5-1ppmに調整する。

対策その2.溶存酸素濃度を下げる為、ブロワーを間歇運転にする。

対策その3.返送率を上げて、曝気槽内の汚泥濃度を増やす。

   

   

細かな気泡が浮上

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BioNic Cop. 12

硝化・脱窒その症状と原因と対策

症状:窒素ガスが発生し、沈殿槽の表面に汚泥の固まりが浮く現象

  汚泥中に小さな気泡が抱き込まれて、汚泥が一旦沈んでも浮上する。

  ひどい場合は、沈殿槽全体に汚泥が浮上する。

原因その1.多量の窒素分の存在により硝化菌が生育する場合。

原因その2.窒素源を多く加えている場合。対策その1.流入総窒素量を測定し、

   BOD:N=100:5以下になるよう調整する。

対策その2.汚泥日令を下げて硝化菌の

          生育を抑制する。

対策その3.返送率を上げる。

対策その4.沈殿槽汚泥表面をスプレーして沈降させる。

対策その5.スカムスキマーを設置し、浮上汚泥を余剰

          汚泥槽に送り、除去する。

    Confidential(Presenter:BioNic) 18

脱膣作用

脱膣は嫌気的になった場所で窒素ガスを生じ汚泥を浮上させる.これらの現場では亜硝酸イオンが検出され,低いORP値を示す。

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BioNic Cop. 13

粘性バルキングズーグレア粘性バルキングと栄養分欠乏型粘性バルキング

粘性バルキングは、バクテリアによりフロック内に蓄積され沈殿を促進すべき多糖類が、過剰に分泌され、脱水及び発泡の問題が起こる現象。

ズーグレア粘性バルキング

症状:Zoogloea ramigera はフロック形成菌としてよく知られており、澱粉や酢酸などの高濃度の可溶性有機物の存在下で、過剰の菌体外多糖類を生産する。個々のバクテリアの細胞は解離したままで、それぞれ多糖類スライムの中に閉じ込められる。これがズーグレア型粘性バルキングで沈降せずまた汚泥脱水も出来ない。

栄養分欠乏型粘性バルキング

フロック形成菌は、窒素分や燐分が不足している時、過剰の多糖類を細胞外に分泌し、汚泥内に蓄積する。この種のバルキングは、曝気槽又は沈殿槽で深刻な発泡現象を起こす。

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BioNic Cop. 14

粘性バルキングの同定

粘性バルキングは、墨汁染色による顕微鏡観察で同定できる。墨汁の

ブラックカーボン粒子は、多糖類粒子に入ってこないので染色出来ない。

アンスロン試験(墨汁による染色方法)

ズーグレア粘性バルキングの多糖類はアミノ糖(グルコサミン・ガラクトサミン)の形で存在しているので墨汁で染色されない。

栄養分欠乏型粘性バルキングの場合は墨汁で染色され、その量は通常の活性汚泥の多糖類10-20%以上存在する。

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BioNic Cop. 15

粘性バルキング原因と対策

ズーグレア粘性バルキング

原因:有機酸などの高濃度の易分解性有機物の存在が原因で、排水が嫌気的な調整槽又は初沈槽で長時間保持される結果、嫌気性菌などにより有機酸が生産されるのが一般的原因

対策その1.MLSS濃度を上げて汚泥負荷を下げる方法が有効。(この場合、一度粘性を帯びた汚泥を多く引抜き、活性力のある微生物製剤で良好な汚泥を形成させる)

対策その2.分注型曝気にし、曝気槽にある多量の有機物を分散させ、負荷を下げる方法。(原水を数箇所に分けて曝気槽に流入させる方法・返送汚泥は曝気槽入り口側)

対策その3.完全混合型曝気法は、有機物を曝気槽全体に混合希釈し、負荷を下げる方法。(原水と返送汚泥を分散させて曝気槽に流入させる方法)

   いずれの場合も酸素要求量が低くなり、フロックが成長しやすくなる。

対策その4.有機酸発生源を取り除くか又は最小限にする。

栄養分欠乏型粘性バルキング

有機物分解の量に見合った十分な窒素分と燐分が供給されない場合に起こる。

対策:曝気槽出口のNH4-N及びPO4の値を1-2mg/Lにするように栄養塩を添加する。

発泡汚泥を減らす為汚泥引抜を多くし、微生物製剤で良好な汚泥を形成させる。

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BioNic Cop. 16

発泡現象

症状:ヤングスラッジは、白い綿状の石鹸のような泡を生ずる傾向がある。

      オールドスラッジは、暗褐色の粘り気のある泡を発生する傾向にある。

      通常の活性汚泥は、明褐色の砕けやすい泡を持ち、水をスプレーする

      事により、この泡はよく制御できる。それ以外の泡は写真のように曝気

      槽を被い、沈殿槽に移動し、スカム層を形成する場合がある。

原因:粘性バルキング、毒物混入によるショック。曝気槽中での長時間滞留により、脱窒現象により発泡を起こす場合がある。界面活性剤の流入や糸状細菌による発泡現象がある。

対策:原因を突き止めそれぞれの対策を行う

消泡剤の使用(油脂分ベースは避ける)

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BioNic Cop. 17

嫌気的腐敗(硫化物・有機酸の流入)の雰囲気で発生する糸状菌

type021N・Thiothrix ⅠandⅡ・NostocodiaⅠ,Ⅱ,Ⅲ type0914・type0411・Type0961・type0581・type0092 ・Beggiatoa

Type021N Thiothrix Ⅰ Thiothrix Ⅱ

Type0961 Type0092 Beggitoa

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嫌気的腐敗(硫化物・有機酸の流入)の雰囲気で発生する糸状菌(続)

type021N・Thiothrix ⅠandⅡ・NostocodiaⅠ,Ⅱ,Ⅲ type0914・type0411・Type0961・type0581・type0092 ・Beggiatoa

Type0411 Type0581

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BioNic Cop. 19

嫌気的腐敗型糸状細菌の対策

対策その1.調整槽を曝気する。

対策その2.滞留時間を少なくする。

対策その3.返送汚泥から臭気がする場合は、返送率を上げる。

対策その4.曝気槽後段でDOを上げる。

対策その5.イオウ細菌を酸化させる為に、過酸化水素、塩化鉄、塩素を加える。水酸化マグネシウムや塩化鉄は硫化物の沈殿剤。

対策その6.硫化物の場合はpHを8以上にあげると硫化水素をH2SからHS-に変え臭気を低減出来る。

対策その7.有機酸が排水中に存在している場合は、曝気槽に分注型曝気の流入方式を導入して希釈する方法が有効。多段型曝気方式やセレクターはこの種の問題を悪化させる。

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BioNic Cop. 20

硫化物を好む糸状菌

硫酸還元菌は、硫酸根を硫化水素に変換する。

硫化物を好む糸状細菌は、 type021N・Thiothrix ⅠandⅡ・Beggiatoa が知られており、硫

下物の濃度が1-2mg/Lで増殖し、下記の箇所で発生しやすい。排水管

未曝気の調整槽

未曝気の受入槽

初沈槽

DOが低い曝気槽

後沈殿槽

未曝気のセレクタ-

汚泥濃縮槽

汚泥混合タンク

脱水ろ過液の貯留タンク

嫌気的腐敗は、硫化水素又は有機酸の臭気、各槽前後のpHの低下などで確

認出来る。

硫化物と有機酸は、定性的な簡易テストや、特定物質の濃度を測定する高度

な分析方法で、検査室で測定可能である。

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有機酸を好む糸状菌

排水処理の中で、嫌気的腐敗が初沈槽又は後沈槽で起こる場合がある。嫌気的状

対は、揮発性有機酸と硫化物を発生させる。揮発性有機酸は、1-5の炭素原子を分

子構造に含むもので、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロニック酸、バレリック酸である。

高濃度の有機酸を好む糸状菌は、

type021N・Thiothrix ⅠandⅡ・NostocodiaⅠ,Ⅱ,Ⅲ type0914・type0411・Type0961・

type0581・type0092 で、有機酸の種類により異なった糸状菌が増殖する。type021N,ThithrixⅠとⅡ

は、酢酸、プロピオン酸、酪酸など簡単な分子構造のものを好み、type0092と

0581は、より直鎖の有機酸を好む傾向にある。

対策:有機酸を処理するには分注型曝気法か完全混合型曝気法で対応するしか方法

    は無い。

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BioNic Cop. 22

低汚泥負荷の雰囲気で発生する糸状菌

Type0041・type1851・type0675・type0803

Type0041 Type1851 type0675

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BioNic Cop. 23

低汚泥負荷型糸状菌

原因その1.:汚泥負荷が低すぎる場合。通常は0.5以下の事を言う。

原因その2.完全混合曝気型の曝気槽はBOD負荷が曝気槽内で希釈されるので低汚泥負荷型バルキングが起こりやすい。

原因その3.曝気槽の水温が上昇するとバクテリアの量が増える。これは汚泥負荷が相対的に低下する事を意味する。曝気槽の水温が上昇した時は、汚泥負荷を下げないようにMLSSを低くする必要が有る。

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BioNic Cop. 24

低汚泥負荷型糸状細菌の対策

対策その1.余剰汚泥の引抜量を増やす。

対策その2.分注型曝気方式又は完全混合型曝気方式の場合は、曝

  気槽の前段で負荷が上がるようま多段式曝気方式に変更する。

  この方式は、曝気槽前段で負荷を上げ、フロックへの食物の吸着性を向上させる事により、後段でもフロック内部で低負荷にならず、糸状菌の増殖を防ぐ。

対策その3.セレクターの利用。セレクターとは、流入水と返送汚泥を短時間の間、通常は30分から2-3時間混合させる曝気槽前段の槽の事。これはフロック形成菌が好む環境を一時的に作り出す事により、低負荷型糸状菌の繁殖を制御する方法。セレクターでの短時間処理の間に、フロック形成菌は食物をフロック内に吸着させるので、活性汚泥槽に放流されても飢餓状態になるには暫く時間がかあkる。この方式は良好なフロック形成と沈降性を得るのに有効な方法。セレクター方式には、曝気、未曝気、嫌気の3方法がある。出来るのであれば、曝気型セレクターが処理システム中で良質の活性汚泥を作る転から最適であるが、いつも100%成功するとは限らない。

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BioNic Cop. 25

低溶存酸素雰囲気で発生する糸状菌

Sphaerotilus natans・type1701・Haliscomenobacter hydrossis

Type1701 Haliscomenobacter hydrossisSphaerotilus natans

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BioNic Cop. 26

低溶存酸素雰囲気で発生する糸状菌

原因.一般的に低溶存酸素の定義は1.0mg/L以下である。実際的に 溶   存酸素細菌が増殖するのは、汚泥負荷に依存している。汚泥フロッ

   クの内部が好気的に保てるように、溶存酸素をフロック内に浸透さ   せなければならない。しかし汚泥負荷が高くなると、酸素が急速に

     消費されるので、フろっくの内部を好気的に保つ事が難しくなる。

     こうなるとフロックの成長が阻害され、低酸素型糸状細菌が増殖す

     る。

対策:汚泥負荷は0.5以下に操作し、曝気槽での溶存酸素は1-2mg/L      にする事が必要である。それより高い汚泥負荷の場合は、さらに

    高い溶存酸素が必要である。

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BioNic Cop. 27

油脂分を好む糸状菌

3種類の糸状細菌、Nocardia属、M.paravicella,type1863が発泡の原因となる。

  Nocardia属 M.parvicella

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BioNic Cop. 28

油脂分を好む糸状菌(続)

症状:Nocardia属とM.paravicellaの発生は、高汚泥齢と温度に関係が有る。Nocardia属は、比較的高い温度の曝気槽を好み、M.paravicellaは低温の

曝気槽を好む傾向にある。

原因その1.これらの糸状菌は、油脂分の存在下で増殖しやすく、流入水中

の油脂分濃度が高いときに問題が発生する。

原因その2.嫌気的腐敗、低溶存酸素は以上繁殖し、発泡を引き起こす。

原因その3.低溶存酸素の条件下では、不飽和脂肪酸が発生し、糸状細菌

に供給されるのでさらに悪化する事がある。これは嫌気的バクテリアが脂肪酸を分解する過程で不飽和脂肪酸を生成するからである。

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BioNic Cop. 29

油脂分型糸状細菌の対策

対策その1.初沈槽にスキマーを設置し、浮上油分を取り除く。

対策その2.油水分離装置を導入し、排水から油を除去する。

対策その3.嫌気状対をさけ曝気槽で十分な酸素供給を行う。

対策その4.Nocardia属は、一般に中温域では汚泥齢を6-8日以下にすると、制御出来、M.paravicellaは8-10日以下で制御出来る傾向に有る。

対策その5.表面の泡を系外に排出させる。

対策その6.塩素(次亜塩素酸ソーダー)添加。Nocardia属の場合は効果的でない。理由は塩素がすぐに作用しない活性汚泥フロックの内部で増殖するからである。それにNocardia属の殆んどは、曝気槽の表面に存在し、塩素添加している返送汚泥に入らない。M.paravicell対しては、返送汚泥の塩素添加は有効である。

対策その7.高級脂肪酸分解菌(COMPLIT VO)を曝気槽に投入する。

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油脂分を好む糸状菌:Nocardia属

症状:Nocardia属(放線菌)は、細胞壁の成分がC34~C65の高級脂肪酸で有るミコール酸から構成され、粘性が有り、安定で褐色を帯びており曝気槽や沈殿槽の表面に発生する。このミコール酸は、強疎水性である為気液界面に濃縮し、気泡に付着して離れなくなるので安定した気泡になる。汚泥中より泡に多く見られる。

この泡には多量の空気が含まれているのも特徴である。

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油脂分を好む糸状菌(Nocardia属)の対策

対策その1.方線菌の増殖速度(µ=0.2)に対してBacillus属の増殖速度(µ= 1.3)やPseudomonas属の増殖速度(µ= 1.7)の増殖速度は速いのでSRTを短くすれ

ば存在出来なくなる。

対策その2.発泡が曝気槽内だけにとどまっている状対なら、毎日20%ずつ汚泥を引抜き、5日で汚泥が入れ替わるようにする。この場合可能なら沈殿槽の汚泥界面から引き抜くと効率良く放線菌が引き抜ける。

対策その3.スカムを徹底的に系外に排除させる。

対策その4.高級脂肪酸分解菌(COMPLIT VO)を曝気槽に投入する。

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栄養分欠乏型糸状細菌の対策

BOD:N:P=100:5:1になっているか分析する。

処理水のNH4-N及びPO4の値が0.5mg/L以上有るように栄養塩を曝気槽に添加する。

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次亜塩素ソーダー添加による糸状菌対策

返送汚泥に次亜塩素酸ソーダーを添加する。添加量:1-7gCL2/KgMLSS・日

5gCL2/KgMLSS・日以上では添加量が多く活性汚泥に弊害を与える恐れが有る,2gCL2/KgMLSS・日位から添加し顕微鏡で糸状菌の様子を観察しなが

ら添加量を増やすようにする。

Ex:MLSS濃度5000ppmで曝気槽と沈殿槽(合計100m3)の汚泥量は500Kg必要塩素量:次亜塩素酸ソーダーの有効塩素濃度12%として、 1KgのMLSSに2g添加する場合:500KgMLSS x 2gCL2 x 100/12= 8300g比重1として次亜塩素酸ソーダー添加量8.3L/日微生物製剤を処理不調の添加量で1週間添加する。

その後通常の添加量で排水基質に適合した微生物製剤を添加する。