ま も 的 が と チ 今 大 利 う 定 ら 化 は 6号 2010年 12月15日発行 … · 意...

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50 宿 宿 http://blog.livedoor.jp/illustnavi/?p=42 23 10 12 23 10 12 13 15 20 30 23 17 21 FAX E - [email protected] 22 10 23 宿 宿 宿 宿 6号 2010年 12月15日発行 (年 4 回発行) 発行者 筑波大学菅平高原実験センター 386-2204 長野県上田市菅平高原 1278-294 Tel 0268-74-2002 Fax 0268-74-2016 ホームページ http://www.sugadaira.tsukuba.ac.jp/ 編集 池田 雅子 [email protected] 2010 筑波大学菅平高原実験センター 宿 宿 宿 41 宿 44 54 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 宿 姿 姿 宿 図1大明神宿舎平面図(S=1/100図2大明神宿舎断面図 S=1/100柿渋塗装後の大明神宿舎 柿渋塗り作業中のナチュラリスト受講生 柿渋塗り作業を終えて 柿渋を塗る前の大明神宿舎

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Page 1: ま も 的 が と チ 今 大 利 う 定 ら 化 は 6号 2010年 12月15日発行 … · 意 味 で 、 大 明 神 宿 舎 は 筑 波 大 学 菅 平 高 原 実 セ ー 大

現在の文化財保護制度のなかに

は、文化財の登録制度(登録有形文

化財)があります。この制度はたて

られてから50年以上が経過して一

定の評価を得た建物が、優遇措置を

うけながら、緩やかな規制のもとに

利活用をはかることのできる制度で

大明神宿舎にはうってつけです。

今後菅平高原実験センターでは、「ナ

チュラリスト養成講座」の拠点施設

として、大明神宿舎を活用する構想

があるそうです。文化財の中で先進

的な考え方を学ぶ新しいものと古い

ものを両輪とした知の創造の場が生

まれそうです。

図1図2

製図

梅干野

成央助教

額縁h

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do

or.jp

/illustn

avi/?

p=

42

今年2月に開催し

ご好評頂きました

「大明神の滝ツアー」

を来年も企画いた

しました。

ご参加お待ち

致しております。

日時

何れかの日時からお選び下さい。

平成23年2月3日(木)

10時から12時

平成23年2月5日(土)

★10時から12時★13時から15時

定員

各コースとも20名

参加費

保険代金

30円

応募期間

平成23年1月17日から1月21日

お申し込み、お問い合わせ

住所・参加者全員の氏名・年齢・電話

番号・ファックス番号を記入して

電話・FAX・電子メールでお申し込み

ください。

電話

・0268―74―2002

ファックス・

0268―74―2002

E-

メール

ikimono@

sugadaira.tsuku

ba.ac.jp

(担当・池田)

後日、詳細をお送りいたします。

平成22年10月23日にナチュ

ラリスト講座受講者によって

信州大学工学部梅干野先生の

ご指導のもと、大明神宿舎の外

壁を守るための柿渋塗り作業

が行われました。

作業に入る前に梅干野先生

から「山岳建築および大明神宿

舎の文化的価値」についての講

義を受けました。

柿渋塗りは初

めてという受講

者がほとんどで

はじめは、おそ

るおそるの作業で

でした。しかし

梅干野先生の

講義を聴いて、文化財的価値を

持つ建造物の保全を担う作業

であることを理解し、やりがい

を持って受講生とセンタース

タッフが一丸となって作業を

すすめることが出来ました。

菅平の風雪に耐え、多くの学

生の学びの場であり心のより

ナチュラリスト養成講座受講生による

大明神宿舎の柿渋塗り作業

どころであった大明神宿舎が新な学

びの場としての第一歩を歩みだし

た日でした。

(柿渋とは)

渋柿の青い

し、しぼった

果汁を発酵・

熟成させた赤

褐色の液体で

す。殺菌、防

腐作用があり

平安時代より

塗料や染料、

民間薬として

用いられたそ

うです。

柿渋染めなど

で、ご存知の

方も多いので

はないでしょ

うか?(池田)

第 6号 2010年 12月15日発行 (年 4 回発行)

発行者 筑波大学菅平高原実験センター 〒386-2204 長野県上田市菅平高原 1278-294 Tel 0268-74-2002

Fax 0268-74-2016 ホームページ http://www.sugadaira.tsukuba.ac.jp/

編集 池田 雅子 ([email protected] ) Ⓒ 2010 筑波大学菅平高原実験センター

筑波大学菅平高原実験センターの広

い敷地のなかには、そこでの学問的な

営みを支える幾つかの建物がたってい

ます。主には大明神宿舎、宿泊棟、教

育研究棟A棟、研究棟B棟が、これに

あてはまるでしょう。大明神宿舎は昭

和41年(一九六六)に、宿泊棟と教育

研究棟A棟は昭和44年(一九六九)に

教育研究棟B棟は昭和54年(一九七九)

にたてられました。このうち、最も古

くにたてられた大明神宿舎は、筑波大

学菅平高原実験センターの歴史を伝え

る重要な建物であるといえます。また、

宿舎という建物の類型に着目すれば、

大明神宿舎の価値はこれにとどまりま

せん。これまで、菅平高原には、合宿

や研修目的として、たくさんの人が訪

れてきました。これらの人を受け入れ

てきた建物こそ宿舎であったといえま

す。すなわち、菅平高原の発展の背景

には、菅平高原を訪れる人が一時的に

滞在することのできる、宿舎の存在が

大きかったといえます。しかしながら、

菅平高原を歩いてみますと、こうした

歴史を物語る古い宿舎をほとんど確認

することができません。その意味で、

大明神宿舎は、筑波大学菅平高原実セ

大明神宿舎の建築的価値

信州大学工学部建築学科

助教

梅干野

成央

ンターの歴史はもとより、菅平高原の

歴史をも伝える重要な建物であるとい

えます。

では、大明神宿舎の建物のつくりを

見てみましょう。

木造平屋建ての構造で、屋根はトタ

ン葺き、外壁は下見板張りです。間取

りは片廊下型で、廊下の南側に宿泊室

が四室、廊下の北側にトイレ、廊下の

突き当たりに食堂と厨房と風呂が配さ

れています。出窓の下部には収納スペ

ースが設けられていて、宿舎としての

合理性に富んでいます。こうした大明

神宿舎の特徴は、宿舎としての合理性

に加え大部分が出窓で構成された立ち

姿にも見られます。出窓は、とても透

明感があり周囲の自然を映し出しま

す。その立ち姿は、周囲の自然と一体

となって、透明な景観を形づくってい

ます。

こうした価値を持つ大明神宿舎は、筑

波大学菅平高原実験センター、さらに

は、菅平高原を代表する文化財として

位置づけることが出来るでしょう。↓

図1大明神宿舎平面図(S=1/100)

図2大明神宿舎断面図

(S=1/100)

冬の大明神滝ツアー

募集 柿渋塗装後の大明神宿舎

柿渋塗り作業中のナチュラリスト受講生 柿渋塗り作業を終えて

柿渋を塗る前の大明神宿舎

Page 2: ま も 的 が と チ 今 大 利 う 定 ら 化 は 6号 2010年 12月15日発行 … · 意 味 で 、 大 明 神 宿 舎 は 筑 波 大 学 菅 平 高 原 実 セ ー 大

10月2日(土)に筑波大学菅平高原

実験センターにおいて「いまさら聞けな

い生物多様性って何?秋編」を開催しま

した。春の一般公開に続いて「草原の多

様性・菌類の多様性・大明神の滝まで

お・さ・ん・ぽ」の3コースを用意いた

しました。

その中の「大明神の滝まで、お・さ・

ん・ぽコース」からの一コマを佐久間技

術補佐員の報告でお伝えします。

―視線の先は?―

「滝の前で記念撮影

をして帰途につき再び

草原に戻ってくると、

アザミの花におびただ

しい数のガガンボが、

群がっていました。

他の餌が乏しくなって

来たせいでしょうか?近づいても皆ほと

んど逃げるそぶりも見せず、一心に吸蜜

していました。その様子を観察・撮影す

るために、ガガン

ボの周りにさらに

参加者の皆さんが

群がる、という面

白い光景が見られ

ました.

。」

(佐久間技術補佐員)

季節の

便り

冬も間近なある日の午後、筑波大学

生命科学

研究科大

学院博士

後期1年

清水将太

君が見つ

けてきて

くれました。

隠れてる

アケビコノハ

を探してね。

小学館の図鑑NEO・昆虫

小学館・日本産幼虫図鑑

学研・原色日本蛾類図鑑(下)保育社・

ススタタッッフフ紹紹介介

事務係長

樫山

茂樹

私は信州佐久の生まれ

で、高校を卒業してから27

年ほど信州から離れており

ましたが8年ほど前に信州

に舞い戻り、今年4月から

菅平高原実験センターにお

世話になっております。私

は自然が大好きで、休日に

はあちこちと車で出かけ、

自然を満喫しています。山

登りも始め、高山での景色

のすばらしさを知りまし

た。信州の自然のすばらし

さは格別だと感じていま

す。最近、その美しい自然、

風景や草花や動物を写真に

残したいと思いカメラ撮影

を始めました。まだ初心者

ですが、見る人が感動する

ような写真が

撮れたらいい

なあと思いつ

つ、被写体を

探し求めてい

る今日この頃

です。

編編集集後後記記

第6号は「大明神宿舎」と

「C

O

P

10」のニュースで

いつもと違う紙面でのお届け

となりましたが如何でしたで

しょうか?「アケビコノハ」

は見つかりましたか?

いよいよ冬が訪れますが、

ちょっとポカポカな昼間に枯

葉の下や石をどけてみてくだ

さい。思わぬ発見と出会いが

あるかもしれませんよ。菅平

に冬が訪れ、あたり一面の雪

景色。タイヤを履きかえワイ

パーも冬用に付け替えての通

勤です。冬支度は人間だけで

はありません。見渡せば動物

も植物も冬支度。センターの

実習室には冬を越そうとカメ

ムシが沢山訪れています。

寒い冬。どうぞ、風邪などお

召しにならぬよう、お過ごし

下さい。

(池田)

挿絵

池田まさ子

次号は3月 発

行予定です

10月に名古屋で、国連地球生き物

会議(生物多様性条約会議C

O

P

10)が開かれました。私も開催地の

名古屋国際会議場に行って、当センタ

ー関連事業の広報をしつつ、会議にオ

ブザーバーとして参加してきました。

この会議の元になっているのは、一

九九二年にブラジルのリオ・デ・ジャ

ネイロで開かれた地球サミットです。

そこから環境問題の「双子の条約」が

調印されました。その一つ、気候変動

枠組み条約によって、今では日本でも

二酸化炭素を減らすことが「エコ」の

代名詞のように言われるようになり

ました。そしてもう一つが、地球の生

き物の恵みをいつまでも残そうとす

る生物多様性条約で、その10回目の

会議が今回名古屋で開かれたのです。

主な議題の一つ目は、遺伝資源を公

平に利用する仕組みについてでした。

毎年作られる新薬の60

%が生き物由

来と言われているように、一見何の役

にも立ちそうのない花や虫から、画期

的な薬や健康食品が生まれることが

あります。それが世界が生物多様性

を守ろうとしている理由の一つです。

―C

O

P

10参加レポートー

しかし、原産地から生き物を勝手

に持ち出して巨万の富を築くとい

う植民地時代さながらの海賊行為

「バイオパイラシー」が、何と現

在でも続いているのです。

その富の一部が原産地に還れば、

自然を守る大きな力になります。

この問題に神経を尖らせている途

上国が今回の会議で利益還元の仕

組みづくりを求めたのに対し、先

進国が難色を示したというのが今

回の会議の構図でした。

議題の二つ目は、自然を守る仕

組みについてです。二〇〇二年の

会議で、生き物の絶滅速度を二〇

一〇年までに減らすという「二〇

一〇年目標」が採択されましたが、

残念ながらこの目標が達成できな

かったことが今回の会議で確認さ

されました。そのため、数値目

標を盛り込んだ「ポスト二〇一

〇年目標」の策定が検討されま

したが、これには開発を続けた

い途上国から反対がありまし

た。 ど

ちらの議題でも利害をめぐ

る厳しいやりとりがあり、合意

は無理なのではないかと開催地

ではささやかれていました。実

際、終了前日になっても議論は

まとまりませんでしたが、そこ

から議長国の日本が底力を見せ

ました。水面下で関係国と利害

調整してきた議長案を最終日に

提示し、会議最終日を過ぎた翌

朝3時という土壇場で合意文

書の採択に漕ぎ着けたのでし

た。まず、遺伝資源の入手には

原産国の事前同意が必要なこと

や、当時国間の交渉によって利

益配分を決めることが盛り込ま

れた「名古屋議定書」が採択さ

れました。また二〇一〇年まに

海域の17%を保全することや

品種の維持、開発時に生物多様

性を考慮することなどが盛り込

まれた「愛知目標」も採択され

ました。現在、世界の海の保護

区面積は1

%にも満たないと

見積もられているので、これは

かなり意欲的な目標です。

陸域の場合、例えば日本では国立公

園などの自然公園として指定されて

いるのは国土の14

%で、そのうち森

林伐採などに許可が必要な特別地域

等は国土のわずか9

%なので、目標

達成には実効ある保全地を増やすこ

とが必要です。

今回の会議では、行き届いた会議

場や会場係の「もてなしの心」が参

加者に高く評価されていたと聞きま

すし、実際それは徹夜に近い参加者

の意欲を支える力になったことでし

ょう。対立から融和を引き出す議長

国の手法も成功しました。外交面の

暗いニュースが取りざたされている

昨今ですが、今回の合意は日本が持

つ良い面によって牽引された成果だ

と言えそうです。しかし今回の合意

では細部を詰め切る時間的ゆとりは

なく可能な解釈に幅があります。そ

れだけに、この日本発の合意を実効

力ある生物多様性保全につなげて行

く中で、議長国の日本がどのように

存在感を示せるのか、私達に何がで

きるのかが、一層問われていくでし

ょう。

(田中

健太)

「中部山岳地域環境変動研究

機構」のポスター発表ブース

視線の先には?

アザミに群がるガガンボが!

秋の観察会の一コマ

探してみよう!

アケビコノハ

Ad

ris tyra

nn

us

鱗翅(りんし)目:ガやチョウのグループ

ヤガ科

シタバ亜科

北海道から九州に生息します。

[成虫がみられる時期は5~11月]

[食草]

アケビ、ミツバアケビ、ムベ、メギなどを

食草とします。

ガの一種。翅をたたむと黄色い後翅(こう

し)が前翅(ぜんし)の下に隠れ、林内の

風景と同化します。

(清水将太)

詳しい生態は次号で!

本通信の印刷・配布は、

東郷堂さんにご協力いた

だいています。