中小企業のための 一般事業主行動計画 策 ... ·...

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厚生労働省委託事業 中小企業のための 一般事業主行動計画 定・ 認定取得マニュアル 中小企業のための 一般事業主行動計画 策定・認定取得マニュアル ─ 次世代育成支援対策推進法に 基づく「行動計画」策定・認定 取得を目指しませんか─ 認定マーク(愛称くるみん) 全国中小企業団体中央会

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Page 1: 中小企業のための 一般事業主行動計画 策 ... · 「次世代育成支援対策推進法」は、次世代の社 会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環

厚生労働省委託事業

中小企業のための一般事業主行動計画

策定・認定取得マニュアル

中小企業のための一般事業主行動計画

策定・認定取得マニュアル─次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」策定・認定取得を目指しませんか─

平成21年3月

認定マーク(愛称くるみん)

認定マーク(愛称くるみん)

全国中小企業団体中央会全国中小企業団体中央会

中小企業のための一般事業主行動計画策定・認定取得マニュアル

全国中小企業団体中央会

03-221(策定認定所定マニュアル表紙A案)

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は じ め に

 少子化が急速に進行する中で、平成17年4月に「次世代育成支援対策推進法」が全面施行され、

従業員300人以下の中小企業にも、一般事業主行動計画(以下「行動計画」という)を策定する

努力義務が課され、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援する雇用環境の整備が求められる

こととなりました。

 また、同法では、行動計画を策定・実施し、計画に定めた目標を達成したこと等、一定の要件を

満たした企業は、「子育てサポート企業」としての厚生労働大臣の認定を受けることができること

となっており、平成19年4月から認定が開始されました。

 さらに、平成19年12月に「ワーク・ライフ・バランス憲章」及び「子どもと家族を応援する

日本・重点戦略」が策定され、これに基づき、これまで従業員301人以上の大企業に義務化して

きた行動計画の策定義務を従業員101人以上の中小企業に課すとともに、新たに、従業員101人

以上の企業に行動計画そのものの公表等の義務を課す同法の一部を改正する法律が平成20年12

月3日に公布されました。

 このように、行動計画の策定・届出や認定取得が進む一方で、中小企業においては、厳しい経営

環境に加え、大企業に比べて経営上の制約や課題が多いことなどから、その取組みが遅れています。

 このため、本会では、委員会を設置し、16年度に「中小企業のための行動計画策定マニュアル」、

17年度に「中小企業のための行動計画策定ハンドブック」、18年度に「子育てサポート企業認定

取得応援マニュアル」、19年度には「子育て支援認定中小企業事例集」を作成したのに続き、本年

度は、さらに中小企業の一般事業主行動計画の策定及び認定取得を支援するため「中小企業のため

の一般事業主行動計画策定・認定取得マニュアル」を作成しました。

 本マニュアルが、行動計画を策定し、認定を受けようとする中小企業の多くの方々の参考になれ

ば幸甚に存じます。

 最後に、本マニュアルの作成にあたり、示唆に富む貴重なご意見と多大な御協力をいただきまし

た日本大学法学部教授谷田部光一氏をはじめ、本事例集作成委員会委員の方々に深く感謝申し上げ

ます。

 平成21年3月

全国中小企業団体中央会

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はじめに

Ⅰ.求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」 1.次世代育成支援対策推進法とは…………………………………………………………………………1

   (1)一般事業主行動計画 ………………………………………………………………………………1

   (2)認定制度 ……………………………………………………………………………………………3

     【コラム】~次世代育成支援対策推進法が改正されます~ ……………………………………4

 2.企業における「次世代育成支援」「仕事と生活の調和」の必要性 …………………………………5

 3.「次世代育成支援」「仕事と生活の調和」に取り組む企業の考え方…………………………………6

 4.中小企業における行動計画策定の効果・メリット……………………………………………………8

Ⅱ.行動計画はこのように策定しましょう 1.行動計画策定の手順 ……………………………………………………………………………………9

 2.取組みのスケジュール………………………………………………………………………………… 10

 3.策定にあたっての事前準備…………………………………………………………………………… 11

   (1)自社の現状を把握しましょう ………………………………………………………………… 11

   (2)従業員ニーズを把握しましょう ……………………………………………………………… 14

   (3)関連情報を収集しましょう …………………………………………………………………… 14

   (4)体制づくりをしましょう ……………………………………………………………………… 14

   (5)自社の方針を決定しましょう ………………………………………………………………… 14

 4.行動計画の「目標」「計画期間」「目標達成のための対策」の設定……………………………… 15

   (1)行動計画に掲げる「目標」はこのように定めましょう …………………………………… 15

   (2)行動計画の「計画期間」はこのように定めましょう ……………………………………… 18

   (3)行動計画の「目標達成のための対策」「実施期間」を定めましょう……………………… 18

 5.行動計画の届出………………………………………………………………………………………… 19

 6.行動計画の公表および従業員への周知……………………………………………………………… 20

 7.行動計画の実施・達成………………………………………………………………………………… 20

 8.次期行動計画の策定…………………………………………………………………………………… 21

Ⅲ.認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう 1.認定制度………………………………………………………………………………………………… 22

 2.認定マークの活用……………………………………………………………………………………… 22

 3.認定基準………………………………………………………………………………………………… 22

 4.認定を受けたことによる効果・メリットの発生…………………………………………………… 30

 5.認定の手続き…………………………………………………………………………………………… 31

Ⅳ.認定企業事例(10事例)   (キャッチフレーズ) 1.株式会社みつば(神奈川県)   ~育児支援施策は社会的責任の一環~ …………………… 32

 2.株式会社第一印刷所(新潟県)  ~社員全員が働きやすい職場環境を目指す~ …………… 37

目 次目 次

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目 次

 3.株式会社アドバ(愛知県)    ~全社員の力を最大限に生かす一環として~ …………… 42

 4.株式会社新学社(京都府)    ~社員の本音をひき出すためのアンケートは重要~ …… 47

 5.株式会社天彦産業(大阪府)   ~社員第一主義の経営方針~ ……………………………… 51

 6.有限会社シーエスピー(和歌山県)~認定を受けて社内に優秀な人材が定着~……………… 55

 7.オタフクソース株式会社(広島県)~トップの構想を明文化~………………………………… 60

 8.社会福祉法人福祉の里(青森県) ~安心して職場復帰できるような職場環境を確立~ …… 65

 9.片山キッズクリニック(兵庫県) ~子育てする親を応援する小児科~ ……………………… 71

 10.医療法人和敬会(宮崎県)    ~先輩が後輩を大切にし、子育てを応援する~ ……… 75

Ⅴ.行動計画の届け出及び認定申請書 1.「一般事業主行動計画策定・変更届」:様式第一号………………………………………………… 80

 2.「基準適合一般事業主認定申請書」:様式第二号…………………………………………………… 82

Ⅵ.国等の支援制度を活用しましょう 国等の助成金制度一覧……………………………………………………………………………………… 86

Ⅶ.相談・お問い合わせ先 1.次世代育成支援対策推進センター一覧……………………………………………………………… 90

 2.都道府県労働局雇用均等室一覧……………………………………………………………………… 92

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1

 「次世代育成支援対策推進法」は、次世代の社

会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環

境を整備するために国、地方公共団体、企業、国

民が担う責務を明らかにし、2015年(平成27

年)までの10年間に集中的かつ計画的に取り組

んでいくことを目的に、2005年(平成17年)

4月1日から施行されています。

 この法律において、企業は、「一般事業主行

動計画」を策定することとなっており、従業員

300人以下を雇用する企業は 、この一般事業主

行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届

け出ることが努力義務とされています(従業員

301人以上の企業は義務)。

 ※  ただし、平成23年4月1日からは、101

人以上の中小企業に行動計画の策定・公表が

義務づけられることになっています(詳しく

は、【コラム】「~次世代育成支援対策推進法

が改正されます~」をご覧下さい。)。

 また、平成19年4月1日から認定制度が開始

され、行動計画を達成するなど、一定の要件(認

定基準)を満たした企業は、申請を行うことによ

り厚生労働大臣の認定を受けることができ、「認

定マーク(愛称:くるみん)」を活用することが

できます。

1 一般事業主行動計画

「一般事業主行動計画」(以下「行動計画」)とは

 企業が、従業員の仕事と家庭の両立を図るため

の雇用環境や、子育てをしていない従業員も含め

た多様な労働条件の整備などの取組みを行うため

に、以下の3つの事項が含まれている行動計画の

ことをいいます。

1.次世代育成支援対策推進法とは

1 計画期間1回の計画期間は、2~5年とし、2015年3月31日までの期間を

いくつかに区切ることを目安とする。

2 目  標関係法令で定められている最低基準を上回っており、現状から一歩で

も二歩でも進んだものであれば、各企業で自由に設定できる。

3目的達成のための対策

とその実施時期

目標を達成するために、いつまでにどのようなことに取り組むかを具

体的に記述する。

 行動計画の策定については、企業にとって負担の重いことを無理強いするものではありません。企

業は、自社の実情に応じて、従業員のニーズを踏まえたうえで、費用対効果=従業員の満足度が最

も高まるような計画を策定しましょう。

ポイント

求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」ⅠⅠ

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2

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

<行動計画例> 株式会社第一印刷所

「一般事業主行動計画」

育児応援・働きやすい環境プログラム 当社では次世代育成支援対策推進法に基づき以下の行動計画を作成しました。職員の皆さんが仕事と子育ての両立の実現と、子育てをしていない職員の皆さんも含めた全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、4つの目標を掲げました。社内全体での取組みですので、各種調査等へのご協力をお願いします。

1.計画期間 平成17年4月1日から平成20年3月31日までの3年間

2.内  容

目標1  子どもが生まれる男性職員が出産予定日の前後2週間以内に3日以内取得できる特別休暇(出産休暇)を導入し、取得率を30%以上にする。

【対策】● 平成17年4月~:制度の詳細を検討する。● 平成18年1月~: 管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓

発の実施

目標2 計画期間内に育児休業の取得状況を次の水準以上にする。     男性職員:期間中1人以上取得する。     女性職員:取得率を70%以上取得する。

【対策】● 平成17年4月~: 取得を容易にするため育児休業期間のうち3日間は有給扱いと

する等の育児休業規程を検討する。● 平成17年9月~: 管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓

発の実施

目標3  平成18年1月までに、3歳から小学校に入学するまでの子を持つ職員が、希望する場合に利用できる勤務時間短縮等の措置に準ずる措置を導入する。(短時間勤務の制度、所定外労働をさせない制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ制度、フレックスタイム制のうちいずれか1つ以上)

【対策】● 平成17年4月~:職員の具体的なニーズの調査、制度の詳細を検討する。● 平成18年1月~: 管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓

発の実施

目標4  年次有給休暇の取得促進策として、マイホリデー(結婚記念日、本人・子供・配偶者の誕生日)における休暇の取得を呼びかけ、年次有給休暇を持つ職員のうち、マイホリデーに年次有給休暇を取得した職員数を計画期間内に30%以上にする。

【対策】● 平成17年4月~:部署別に取得状況を公開し、促進を図る。

平成17年3月12日作成 株式会社 第一印刷所

求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」

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3

求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」

2 認定制度

「認定」とは

 行動計画を策定し、その計画で立てた目標を達

成するなど、一定の要件(認定基準)を満たす場

合には、申請を行うことにより、厚生労働大臣(実

際には厚生労働大臣から委任された都道府県労働

局長)の「認定」を受けることができます。

「認定」を受けると「認定マーク」が活用できる

 この認定を受けた事業主は、「認定マーク」(愛

称くるみん)を広告や商品、名刺や封筒などにつ

けることを認められ、「次世代育成支援対策に取

り組んでいる企業」であることを対外的にアピー

ルすることができます。

 なお、認定を受けていないのにこのマークを利

用したり、紛らわしいマークを利用した場合には、

罰則が科せられます。

➡ ➡

行動計画を策定するのであれば、認定を受けて「認定マーク」を活用し、企業の内外にアピールし

たほうが、中小企業にとってのメリットは大きいといえます。

ポイント

次世代認定マーク(愛称くるみん)

●認定を受けるには

 認定の仕組みや手続きについては、P22をご覧下さい。

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求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

【コラム】

~次世代育成支援対策推進法が改正されます~

 わが国における急速な少子化の進行等の現状にかんがみ、次代の社会を担うすべての子どもが

健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図ることが喫緊の課題となっています。

 このような状況を踏まえ、地域や職場における、総合的な次世代育成支援対策を推進するため、

児童福祉法等の一部を改正する法律が、平成20年12月3日に法律第85号として公布され、次

世代育成支援対策推進法の一部が改正されました。

 改正法のポイント等については以下のとおりとなっています。

1.行動計画の公表及び従業員への周知の義務化(平成21年4月1日施行)

 仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等について事業主が策定する一般事業主行

動計画の公表・従業員への周知が、従業員101人以上の企業は義務(※101人以上300人以下

企業は、平成23年3月31日までは努力義務)、100人以下の企業は努力義務となります。

現 行 平成21年4月1日以降 平成23年4月1日以降

301人以上企業

規定なし

義  務 義  務

101人以上300人以下企業努力義務

義  務

100人以下企業 努力義務

※ 義務及び努力義務の規定はそれぞれ上欄に掲げる日以降に策定または変更した行動計画につい

て適用されます。なお、平成21年3月31日までに策定または変更した行動計画については義

務ではありませんが、自ら公表、周知することを妨げるものではありません。

2.行動計画の届出義務企業の拡大(従業員101人以上企業へ) (平成23年4月1日施行)

 一般事業主行動計画の策定・届出の義務づけ範囲が従業員301人以上企業から従業員101人

以上企業に拡大されます。

現  行 平成23年4月1日以降

301人以上企業 義  務 義  務

101人以上300人以下企業努力義務

義  務

100人以下企業 努力義務

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5

求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」

 日本の少子化が急速に進行しています。合計特

殊出生率は、平成17年に1.26と過去最低を更

新し、18年・19年と出生率は前年を上回っては

いますが、出生数は減少傾向にあります。これを

放置しておけば、我が国の経済社会に深刻な影響

を与えることが懸念されています(図表1)。少

子化の原因の1つとして、仕事と子育てとの両立

に対する負担感が指摘されています。

 また、平成17年・19年は、死亡数が出生数を

上回り、総人口も横這いを続けており、我が国の

人口は減少局面にあるといわれています(図表2)。

 近年は、共働き世帯が増加しており、最近は片

働き世帯の数を上回っています。このため、男女

ともに仕事と子育ての両立を図る必要があります。

 仕事と子育ての両立を進めるには、保育所の整

備など行政の取組みも大切ですが、それぞれの企

業においても、「仕事と生活の調和(ワーク・ラ

イフ・バランス)」を実現する“雇用環境”や“多

様な働き方”の整備に取り組むことが求められて

います。

2.企業における「次世代育成支援」「仕事と生活の調和」の必要性

図表1 出生数及び合計特殊出生率の年次推移

注:1.1947~1972年は沖縄県を含まない。  2. 「合計特殊出生率」とは、15歳から49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢

別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する。(出典) 厚生労働省「人口動態統計」

0

50

100

150

200

250

300

昭和22 30 40 50 60 平成2 7 12 19

出生数合計特殊出生率

4.32

1.58

2.14

1.57

合計特殊出生率

第1次ベビーブーム(昭和22~24年)最高の出生数

2,696,638人

昭和41年ひのえうま1,360,974人

第2次ベビーブーム(昭和46~49年)

2,091,983人

0

0.5

1

1.5

2

2.5

3

3.5

4

4.5

5

1.34

平成19年1,089,745人1.57ショック

(平成元年)1,246,802人

平成17年最低の出生数

1,062,530人

・ ・ ・

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6

求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

 国際競争がますます激化し、労働力人口の減少

が予想されるなかで、中小企業が自社の優位性や

競争力を維持・発展させていくためには、よい人

材の採用・定着や、従業員の労働意欲・生産性の

向上など、人材活用の充実強化が不可欠となって

います。このため、従業員の働きやすい職場環境を、

自社の実情に沿った形でいかに整備していくかが、

これからの経営の大きな課題となっています。

 従業員の働きやすい職場づくりをすることは、

企業にとっては「人材」を確保するための重要な

「人事戦略」であり、「人材投資」でもあります。

とりわけ、中小企業がこれに対応することは重要

であり、中長期的に経営のプラス効果をもたらす

ことが期待できます。

 「次世代支援」「仕事と生活の調和(ワーク・

ライフ・バランス)」に取り組む企業においては、

その考え方を明確にしておくことが必要です。

3.「次世代育成支援」「仕事と生活の調和」に取り組む企業の考え方

図表2 総人口の年次推移

(出典) 総務省「平成19年10月1日現在推計人口」

127,771

127,486

1,154

982

127,694

1,124

1,015

127,787

1,111

1,029

127,770

1,093

1,084

127,768

1,063

1,084

126,000

126,500

127,000

127,500

128,000

14年 15年 16年 17年 18年 19年0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

総人口出生数(日本人)死亡数(日本人)

総人口(千人) 出生数・死亡数(千人)

1,090

1,108

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求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」

★「次世代支援」「仕事と生活の調和」に取り組む企業の考え方(10事例企業)★

株式会社みつば(神奈川県) 当社では、次世代を担う子ども達の育成を支援することが事業の本筋としており、育児支援施策を社内全体で実施することは、社会的責任の一環でもあり、ひいては、地域密着型経営につながると考えている。こうした施策に取り組むことにより、社員自身に会社を好きになってもらうことが何よりも大事であるとし、社員の仕事と生活の質を高められると考えている。

株式会社第一印刷所(新潟県) 当社は、「朗らかに稼ごうや」「至誠守約」「和」の社是のもと、顧客満足と同時に社員満足の向上を追求している。次世代育成支援の取組みについては、仕事と子育ての両立と同時に、子育て中でない社員を含めた全員が働きやすい環境づくりを目指す。

株式会社アドバ(愛知県) 当社では、経営者の「人が生き生きと働くことを応援したい」という方針のもと、社員には常に安心感と達成感を味わって仕事をしてもらいたい。そして全ての社員がその持っている能力を最大限に発揮してもらいたいとの観点から、今回の行動計画策定を機会に、育児休暇等を利用する社員の利用勝手を考え、従来からの取り決めを進化させたものを制度化した。

株式会社新学社(京都府) 当社では、社員満足と顧客満足は一体であるという前提で、仕事と家庭の両立を支援し、育児・介護などに関する社内制度を安心して利用できる職場環境を整備することを目指す。

株式会社天彦産業(大阪府) 当社では、仕事と家庭の両立については、「社員にはまず家族を大事にしなさい」「家族を愛して、また家族に愛されてこそ、仕事に対するヤル気が生まれてくる。そして、そのヤル気がやがて会社の利益を生む」と社員第一主義の人事方針を取っている。

有限会社シーエスピー(和歌山県) 当社では、授乳服の販売を行っていることから、育児経験のある女性を積極的に採用し、その社員が働きやすい職場づくりに取り組んできた。女性が出産・育児休暇取得後も継続勤務ができるよう、妊娠から職場復帰まで支援を行うとともに、独身者等を含めた全社員の働き方を見直すことを目指す。

オタフクソース株式会社(広島県) 当社では、創業者より代々の経営者が、「社員が子を生み、育てること」「家族を大切にすること」を常々表明している。行動計画の策定にあたっては、子どもを産むときだけでなく、育てることにも重視し、当社なりに育児のあり方を検討し、それを反映するよう心がけている。

社会福祉法人福祉の里(青森県) 当法人は、若い女性職員が多数を占めていることもあり、理事長としても「せっかく技術を身に付け、入所者や利用者とのコミュニケーションも優れてきた職員を出産や育児という理由だけで失うことは大きな痛手になる」との考えから、出産・育児期を迎えても気兼ねなく休業ができ、安心して職場復帰できるような職場環境を目指す。

片山キッズクリニック(兵庫県) 当院では、「働きながら子育てをする人をサポートしたい」という院長の考えから、院内に併設する保育施設を正規職員だけでなく、短時間労働の職員にも利用できるような支援制度等を確立し、職員全員が安心して働ける環境づくりを目指している。

医療法人和敬会(宮崎県) 当法人では、職員の8割が女性であり、先輩達も仕事と育児を両立させることに大変苦労をした者も多い。そうした経験から「安心して育児休業を取得し、また職場復帰後も元気に仕事をして、人間としても伸びてもらいたい」という考えから、子育て支援は、先輩職員が後輩職員を大切にし、応援するという意識の風土が根付くチャンスと捉えている。

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8

求められる企業の「次世代育成支援」と「仕事と生活の調和」

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

 図表3は、中小企業が行動計画を策定するメ

リットとしてどのようなものを考えているかを示

したものです。中小企業が行動計画策定のメリッ

トとして考えているのは、「人材の定着」「社員の

モチベーションの向上」「企業のイメージアップ」

「女性の活用」「人材の採用」などであり、先進

企業の事例調査も、このようなプラス効果が報告

されています。

4.中小企業における行動計画策定の効果・メリット

図表3 中小企業が考える行動計画策定のメリット

(出典) 全国中小企業団体中央会「中小企業における次世代育成支援に関するアンケート調査」(平成18年9月)

社員の意欲や満足度

の向上

社会貢献企業として

のイメージの向上

仕事の進め方、時間管

理の改善につながる

特にメリットはない

子育て支援に関する

助成金等を受けるの

に有利

生産性の向上

人材の定着

人材の採用に有利

女性の活用に役立つ

その他

無回答

40.9

3.2

42.5

22.2

10.3

34.0

4.7

27.3

17.3

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

%

1.62.5

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9

1.行動計画策定の手順

行動計画は、次のフロー図に示したような段階を経て策定しましょう➡

★「行動計画策定」から「認定」までのフロー図★

完成

計画届出と実施

行動計画策定

事前準備段階

策定段階

届出と実施段階

方針の確認

自社の現状把握

ニーズの把握

自社の方針、経営者の意向を明確にする 【認定】を希望するかどうか方針を決める

自社の両立支援の関連制度の状況や過去数年間の退職者数の状況などの確認

同業他社や同規模企業と比べた自社の両立支援レベルの確認

目標の達成

計画の実施

行動計画を策定した旨の届出

行動計画を策定し、公表するとともに、行動計画の内容を従業員に周知する

目標達成のための対策の設定

目標の設定 計画期間の設定

育児をしている従業員、していない従業員の双方に対して、働き方に対するニーズをアンケート、ヒアリングなどで確認

認定の申請新たな計画の策定・実施へ

行動計画はこのように策定しましょう行動計画はこのように策定しましょうⅡⅡ

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10

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

2.取組みのスケジュール

★計画策定の取組みスケジュール例★

平成21年

平成21年 7月1日

平成23年 7月1日

平成21年4月 ・現状の把握(制度利用者や関係者の意見収集等)   ・全従業員アンケートの実施 → アンケートのまとめ   ・検討委員会発足に向けたメンバーの選出5月 ・第1回検討委員会

   <行動計画詳細原案の作成>6月 ・第2回検討委員会(行動計画案の議論)   ・第3回検討委員会(行動計画最終案のまとめ)

次期(2回目)の行動計画を策定・2回目以降の行動計画は、1回目と同様に従業員のニーズ を聞いたうえで必要なことから実施するよう目標を立てる。 策定後すみやかに届け出る。

認定申請1回目の計画期間終了後、認定を希望する場合は都道府県労働局に申請する

行動計画を策定した旨の届出、都道府県労働局へ届出

1回目の行動計画の目標達成

●社内外への周知   ↓●行動計画の具体的実施   ↓●定期的な実施状況の点検

行動計画はこのように策定しましょう

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行動計画はこのように策定しましょう

1 自社の現状を把握しましょう

 行動計画は、自社の実情を踏まえ「現状よりも

少しでもよい労働環境にすること」が大切です。

そのためには、現状を把握することが必要です。

自社の現状を把握するには、例えば次のような方

法が考えられます。これらの中から、自社に合っ

た方法を選んでみてください。

3.策定にあたっての事前準備

● 自社の育児支援制度の利用状況を確認する 一定期間(例えば、過去5年程度)をさかのぼって、あなたの会社の両立支援関係制度の利用状況を把握しましょう。

例えば、・妊娠・出産を機に退職する社員がどれくらいいるか。・妊娠中の社員の通院のための時間の確保・利用がされているか。・育児休業、育児のための勤務時間の短縮等の措置、子の看護休暇などの、各種制度の利用状況はどうなっているか。平均的な利用時間はどのくらいか。休業者が行っていた業務はどのように処理されているか。・育児・介護などを理由とした退職者はどれくらいいるか。

● 厚生労働省が定めた「両立指標」を活用して、両立支援レベルの他社との比較をする あなたの会社で行われている両立支援策が、同じ業種・地域・規模の他社と比べてどの程度のレベルにあるかを確認するには、厚生労働省が定めた「両立指標」を活用すると便利です。61の設問に答えることによって「仕事と家庭の両立のしやすさ」を客観的に評価できます。

次のホームページにアクセスしてください。グラフ等により、自社の自立支援レベルがわかります。

『ファミリー・フレンドリーサイト』http://www.familyfriendly.jp

● 「行動計画策定指針」を活用して、自社の課題を確認する 自社の課題を詳しく確認したいときは、次のページの届出様式に沿って、「自分の会社はどの程度できているか」を○×△でチェックするのもよいでしょう。「従業員が意欲を持って働くために、何が必要か」がわかります。 なお、行動計画の策定を都道府県労働局に届け出る様式(一般事業主行動計画策定・変更届)は国が作成した「行動計画策定指針」に沿って作成されています。

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行動計画はこのように策定しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

★届出様式に沿ってチェックしてみましょう★

行動計画策定 指針の事項

次 世 代 育 成 支 援 対 策 の 内 容 と し て 定 め た 事 項

ア 妊娠中や出産後の女性労働者の健康の確保について、労働者に対する制度の周知や情報提供及び相談体制の整備の実施

イ 子どもが生まれる際の父親の 休暇の取得の促進

ウ 育児・介護休業法の育児休業 制度を上回る期間、回数等の休業制度の実施

エ 育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備として次のいずれか一つ以上の措置の実施

(ア) 男性の育児休業取得を 促進するための措置の実施(イ) 労働者の育児休業中における待遇及び育児休業後の労働条件に関す

る事項についての周知(ウ) 育児休業期間中の代替 要員の確保や業務内容、業務体制の見直し

(エ) 育児休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上のための情報提供

(オ) 育児休業後における原 職又は原職相当職への復帰のための業務内容や業務体制の見直し

オ 子どもを育てる労働者が利用できる次のいずれか一つ以上の措置の実施

(ア) 短時間勤務制度

(イ) フレックスタイム制度

(ウ) 始業・終業時刻を繰上 げ又は繰下げる制度

(エ) 所定労働時間を超えて 労働させない制度

カ 子どもを育てる労働者が利用 できる事業所内託児施設の設置及び運営

キ 子どもを育てる労働者が子育てのためのサービスを利用する際に要する費用の援助の措置の実施

ク 労働者が子どもの看護のため の休暇を取得できる制度の導入

ケ 希望する労働者に対する勤務 地、担当業務の限定制度の実施

コ 子育てを行う労働者の社宅への入居に関する配慮、子育てのために必要な費用の貸付けの実施など子育てをしながら働く労働者に配慮した措置の実施

サ 育児・介護休業法に基づく育児休業や時間外労働・深夜業の制限、雇用保険法に基づく育児休業給付、労働基準法に基づく産前産後休業など諸制度の周知

シ 出産や子育てによる退職者に ついての再雇用制度の実施

(1)子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇

   

用環境の整備

その他

(概要を記載すること)

ア 所定外労働の削減のための措 置の実施

イ 年次有給休暇の取得の促進の ための措置の実施

ウ 短時間正社員制度の導入の促 進

エ 在宅勤務等の場所・時間にと らわれない働き方の導入

オ 職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識の是正のための情報提供・研修の実施

 

雇用環境の整備に関する事項

その他

その他

(概要を記載すること)

(1) 託児室・授乳コーナーや乳幼児と一緒に利用できるトイレの設置等の整備や商店街の空き店舗等を活用した託児施設等各種の子育て支援サービスの場の提供

(2) 地域において子どもの健全育 成のための活動等を行うNPO等への労働者の参加を支援するなど、子ど も・子育てに関する地域貢献活動の実施

(3) 子どもが保護者である労働者 の働いているところを実際に見ることができる「子ども参観日」の実施

(4) 労働者が子どもとの交流の時間を確保し、家庭の教育力の向上を図るため、企業内において家庭教育講座等を地域の教育委員会等と連携して開設する等の取組の実施

(5) 若年者に対するインターンシップ等の就業体験機会の提供、トライアル雇用等を通じた雇入れ又は職業訓練の推進

1以外の次世代育成支援対策に

関する事項

(概要を記載すること)

対応できているものに○をつけましょう

(2)働き方の見直しに

   

資する多様な労働

   

条件の整備

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行動計画はこのように策定しましょう

★自社の実情に合った行動計画を策定するために「うちの会社のレベルをチェック」★

● あなたの会社のレベルチェックをする 『うちの会社のレベルチェック』で、自社の「仕

事と家庭の両立レベル」が確認できます。ぜひ試

してみてください。

あなたの会社では、子どもがいる従業員(正社員?)は…?

未就学児のいる従業員に対する短時間勤務の制度がありますか?

社内に女性の管理職はいますか?

人材の定着が悪くて困っている

会社全体で平均した有給休暇の取得率はどのくらい?

会社全体として、残業が多い傾向がある

あなたの会社は、育児をしている人が働きやすい雰囲気がありますか?

これまでに男性の育児休業取得者がいますか?

出産した女性の多くは育児休業を取得しますか?

育児休業についての社内規定がありますか?

YES

少ないほう

5割未満

いる

いない

ある ない

いる いない

あるない

取得しない取得する

多いほう

NO YES あまりない あると思う

5割以上

NO

START

LEVEL-1 LEVEL-2 LEVEL-3 LEVEL-4仕事と家庭を両立できる制度を整備しましょう

仕事と家庭の両立を支援する制度の周知と従業員の理解を高めましょう

従業員の多様なニーズを把握し、多様な働き方ができる制度の導入を検討しましょう

従業員にとって働きやすい環境の整備を今後も継続・発展させましょう

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行動計画はこのように策定しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

2 従業員ニーズを把握しましょう

 従業員のニーズを把握するには、自己申告やア

ンケート、対象者を集めたヒアリングやグルー

プ・インタビューなどを行うことが有効です。ま

た、日頃のコミュニケーションの中にも大切なこ

とはたくさんあるでしょう。

3 関連情報を収集しましょう

 行動計画を策定するには、同業種の他社との比

較や先進企業の取組み状況が大変参考になりま

す。情報収集には、「両立支援のひろば(http://

www.ryouritsushien.jp/)」や、組合・業界団体

を通じて関連情報を収集することがよいでしょう。

 また、法令、人事労務、助成制度の関連情報に

ついて、行政・専門家等へ確認しておくことも重

要です。

4 体制づくりをしましょう

 体制は企業の実情に合わせて整備しましょう。

 よりよい制度を導入するため、経営者、管理職、

従業員、人事労務担当者などから構成される検討

のためのチーム(委員会)を立ち上げるとよいで

しょう。

 人数や検討回数にこだわる必要はありませんが、

従業員の代表を含めることをおすすめします。従

業員の理解と関心を高めることが大切です。

5 自社の方針を決定しましょう

 行動計画の策定にあたっては、経営者が明確に

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)

を人事戦略の1つとして位置付けることが不可欠

です。まずは、経営者が自社の取組み方針を明確

にしましょう。

 また、認定を希望するかどうかにより、行動計

画の目標が異なってくることがあります。行動計

画を策定する場合は、認定を希望するかどうかを、

事前に明確にしておきましょう。

 よい計画を策定するには、無理のない方法で、従業員の率直な意見を収集できるような方

法を取り入れることが重要です。

ポイント

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行動計画はこのように策定しましょう

1.現状から一歩でも二歩でも前に進むために行動計画を策定する旨を確認しましょう。

2.従業員により労働意欲をもってもらうためにはどうすべきかを確認しましょう。

3.認定を希望するかどうかを確認しましょう。

ポイント

1.従業員のニーズを踏まえたもの

2.自社の実情に合ったもの

3.現状より少しでも労働環境をよくするもの

4.進捗を客観的に把握できるように数値で表せるもの

5.関係法令で定められている最低基準を上回るもの

ポイント

4.行動計画の「目標」「計画期間」「目標達成のための対策」の設定

目標は、大別すると次の3つのパターンになります。

1 制度の導入や改正新たな制度を導入したり、実施する。また、既存の制度をより

よいものに変更する

2 現行制度の利用状況の改善制度を周知したり、管理者意識を高めるための研修などを通じ

て制度の利用改善を図る

3 働き方の現状の改善 働き方の現状の改善

1 行動計画に掲げる「目標」はこのように定めましょう

 行動計画の目標としては、国が「行動計画策定

指針」に基づき作成したP12の行動計画に盛り

込む目標例の「1.雇用環境の整備に関する項目」

「2.1.以外の次世代育成支援対策に関する事項」

に例示してあるような項目を、自社の実情に合わ

せて自由に設定できます。目標は1つでもよいし、

複数設定することもできます。また例示以外の項

目を目標に掲げても構いません。

 ただし、認定を希望する場合は、「1.雇用環

境の整備に関する項目」にあるような項目を少な

くとも1つ、行動計画の目標に盛り込まなければ

なりません。

 行動計画は、2015年3月31日までの長期に

わたり、計画期間を定めて繰り返し策定・実施す

るものです。“最初は何から取り組み始めるか”“最

終的な目標は何にするのか”を念頭におき、以下

の点に留意して“できること”を目標に選びましょ

う。

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行動計画はこのように策定しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

認定を受けることを目指して「目標」を定めるとよいでしょう

行動計画には、このような「目標」を盛り込むとよいでしょう

 せっかく行動計画を策定するのであるなら、厚

生労働大臣の認定を受けて「認定マーク」を活用し、

「次世代育成支援対策に取り組んでいる企業」と

して内外にアピールしたほうが、中小企業にとっ

ては、メリットがあります。

 認定を受けるには、前述したとおり目標決定に

際して、「行動計画策定指針」の「1.雇用環境

の整備に関する項目」にあるような項目を少なく

とも1つ行動計画の目標に盛り込む必要があり、

また、認定基準(P.22参照)を達成する必要

があります。

 したがって、行動計画を作成する際には、認定

を目指すかどうかの方向性を決めたうえで、目標

を定めることが重要です。

 図表4は、中小企業が実際に行動計画を策定す

る場合、目標としてどのような項目を掲げるかを

聞いたものです。

図表4 計画に盛り込む子育て支援策

(出典)全国中小企業団体中央会「中小企業における次世代育成支援に関するアンケート調査」(平成18年9月)

40.838.6

35.1 33.127.4

24.5 23.2 20.9 18.1

11.1 9.05.7 4.1 3.5 2.6 1.6 3.0

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0%

復職のための業務内容

や体制の見直し

年次有給休暇の

取得推進

始業・終業時刻の

繰上げ・繰下げ

子どもの看護のための

休暇制度

子どもの出生時におけ

る父親の休暇取得推進

出産や子育てによる

退職者の再雇用制度

ノー残業デー等の

導入・拡充

妊娠中・出産後の健康

管理や相談窓口の設置

子育てのために必要な

費用の援助、貸付

法の規定を上回る

育児休業制度

育児休業中の社員の

職業能力の維持・向上

ITを利用した在宅

勤務制度(テレワーク)

事業所内託児施設の

設置・運営

その他

短時間勤務制度

フレックスタイム制度

隔日勤務制度

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行動計画はこのように策定しましょう

● 行動計画に盛り込む目標としては、例えば、以下に掲げるようなものが考えられます。

★行動計画に盛り込む目標例★

~厚生労働省「行動計画策定指針」より作成~

(1)育児をする従業員等の職業生活と家庭生活の両立支援策の整備主に育児をしている従業員を対象とする取組み

● 妊娠中及び出産後の従業員の健康管理や相談窓口の設置● 子どもの出生時における父親の休暇取得の促進● 育児・介護休業法の規定を上回る、より利用しやすい育児休業制度や子どもの看護のための休暇制度の実施● 育児休業中の従業員の職業能力の開発・向上等、育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備● 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、短時間勤務制度の実施など、従業員が育児時間を確保できるようにするための措置の実施

● 育児などによる退職者についての再雇用特別措置等の実施 等

(2)働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備

育児をしていない従業員も含めて対象とする取組み

● ノー残業デー等の導入・拡充や企業内の意識啓発等による所定外労働の削減● 年次有給休暇の取得促進● 短時間勤務や隔日勤務等の制度整備● テレワーク(ITを利用した在宅勤務、直行直帰勤務など)の導入 等

対象を自社の従業員に限定しない、雇用環境の整備以外の取組み

● 託児室・授乳コーナーの設置等による子育てバリアフリーの推進● 子どもが保護者の働いているところを実際に見ることができる「子ども参観日」の実施● 地域における子育て支援活動への従業員の積極的な参加の支援等、子ども・子育てに関する地域貢献活動の実施● 企業内における家庭教育に関する学習機会の提供● インターンシップ(学生の就業体験)やトライアル雇用(ハローワークからの紹介者を短期間、試行的に雇うこと)等を通じた若年者の安定就労・自立した生活の推進 等

1.雇用環境の整備に関する事項

2. 1以外の次世代育成

 

支援対策に関する事項

1. 目標は1つでも、いくつ設定してもよく、上記以外の項目でも構いません。自社の実情に合わせ

て自由に設定できます。

2. 認定を希望する場合は、「1.雇用環境の整備に関する項目」にあるような項目を少なくとも1つ、

行動計画の目標に盛り込む必要があります。

ポイント

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行動計画はこのように策定しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

2 行動計画の「計画期間」はこのように定めましょう

 行動計画は、2015年(平成27年)3月31

日までの長期にわたり繰り返し策定・実施するも

のです。会社の実情を踏まえて計画期間を設定し

ましょう。なお、特に認定を目指す場合には、1

回の計画を2~5年間の範囲とすることが必要で

す。

 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策

定期間は、2005年(平成17年)4月1日から、

2015年(平成27年)3月31日までの10年間

ですから、例えば、2009年7月1日時点で行動

計画を策定する場合には、残りの計画策定期間は

「5年9ヵ月」となります。したがって、この場

合には、計画期間を次の例のように設定すること

も可能です。

(例) 2009年7月1日に行動計画を策定する場合の計画期間

例:残り5年9ヵ月の策定期間を2期間に区分 計画期間を1回目2年間、2回目3年9ヵ月

(例) 計画期間を2009年7月から2011年までの2年間とした場合

目 標 ●子どもの出生時に父親が取得できる休暇制度を導入する。

対 策 2009年7月 従業員の具体的なニーズの調査

           制度の詳細に関する検討開始

    2010年7月 制度の運用を開始し、全従業員に対して周知・啓発を行う。

3 行動計画の「目標達成のための対策」「実施期間」を定めましょう

 目標を定めたら、「いつまでに」「どんなことを

して」目標を達成するか、「対策」を決めなけれ

ばなりません。認定されるためには、2~5年の

期間内に実現可能な目標と対応策を決めることが

肝要です。

 例えば、「子どもの出生時に父親が取得できる

休暇制度を導入する」という目標を立てた場合、

対策と実施時期を次のように定めてはどうでしょ

う。

1.あなたの会社の実情に則して、できることを具体的にあげる。

2.「いつまでに」「どんなことをして実行するか」を目標期間内に割り振る。

ポイント

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行動計画はこのように策定しましょう

 行動計画が完成したら、定められた様式にした

がって、策定したことを都道府県労働局に届け出

る必要があります。

★目標を達成するための対策例★

目標のパターン 考えられる対策例

1 制度の導入・改善

・他社の事例を集める。

・従業員の意見を聞くためのアンケート調査を行う。

・従業員の意見を聞くためのヒアリング調査を行う。

・社内検討会を設置する(対象、内容、制度利用中の処遇等に

 ついての検討)。

・試験的に実施し、 ○○年▽月に本格的に導入する。

・社内報やイントラネットなどを利用して制度の周知を図る。

2 現行制度の運用の改善

・朝礼(または定期的部門ミーティングなど)で制度を周知する。

・社内報に制度利用の事例紹介等の特集を組む。

・周知のためのパンフレットを作成し、従業員に配布する。

・社内のイントラネットで制度を周知する。

・従業員研修会の場で制度を周知するためのセミナーを年○回

 開催する。

・管理職研修会の場で制度を周知するためのセミナーを年○回

 開催する。

・制度普及のためのキャンペーンを計画的に年○回(●週間)行う。

3 働き方の現状の改善

・現状や原因を分析するプロジェクトチームを設置する。

・管理職を対象にした意識改革のための研修を年○回開催する。

・従業員に取組みの方針や内容を周知する。

・業務の進め方を見直して効率化を進める。

・その後の状況をフォローアップする。

5.行動計画の届出

● 策定したことの届出は都道府県労働局雇用均等室へ届出の様式は、

1.最寄りの『都道府県労働局』

2.厚生労働省(労働局)のホームページからダウンロードして入手できます。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/kaisei/dl/01.doc

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行動計画はこのように策定しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

 届出時には、届出様式(用紙)の該当箇所に○印をつけて提出するだけで足り、行動計画そのも

のを提出する必要はありません。また、行動計画を変更した場合にも、策定時と同様の手続きが必

要です。

ポイント

 平成20年12月3日に法律が改正され、従業員

301人以上の企業が平成21年4月1日以降に行

動計画を策定又は変更した場合には、行動計画の

公表及び従業員への周知が義務となります。(従

業員300人以下企業は努力義務。ただし平成23

年4月1日からは従業員101人以上300人以下

企業は義務となります。)

 行動計画の公表は、①事業主が他の企業におけ

る取組事例を知り、②国民が事業主の取組を知り、

③また就業希望者の企業選択に資する、という効

果があります。また、行動計画の従業員への周知

は、従業員の理解を得ながら企業全体で次世代育

成支援対策の取組を推進することができるという

効果があります。

(1)公表方法について

 公表は、①インターネットの利用、②その他

の適切な方法により行うことが必要です。①の

「インターネットの利用」の例としては、自社

のホームページや仕事と家庭の両立支援に積極

的に取り組んでいる企業の取組などを掲載して

いるサイト「両立支援のひろば」(http://www.

ryouritsushien.jp/)の利用(無料)などが考え

られます(インターネットの利用が不可能な場合

は、事業所に備えつけるなどの方法もあります)。

②の「その他の適切な方法」の例としては、日刊

紙への掲載、県の広報誌への掲載等が考えられま

す。

(2)従業員への周知方法

 周知方法としては、①事業所の見やすい場所へ

の掲示又は備え付け、②書面による労働者への交

付、③電子メールを利用した労働者への送信、④

その他の適切な方法により行うことが必要です。

6.行動計画の公表および従業員への周知

 行動計画が完成し、届出が終わったら、計画の

実行あるのみです。目標の達成を目指し、具体的

な対策への取組みをスタートしましょう。

7.行動計画の実施・達成

 目標を達成するために、進捗状況は、定期的に把握しましょう。また、計画の途中で、実施状況

を都道府県労働局に報告する必要はありません。

ポイント

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21

行動計画はこのように策定しましょう

 1回目の計画期間の満了に近づいたら、同様の

手順を経て2回目の行動計画を策定し、その旨を

都道府県労働局へ届けましょう。

 1回目の計画期間で目標を達成し、一定の要件

(認定基準)を満たしていれば、その時点で「認

定」を受けることが可能です。また、2回目以降

も、行動計画の策定・届出を行い、目標を達成し、

要件(認定基準)を満たせば、2回目の認定を受

けることができます。

8.次期行動計画の策定

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☆次世代認定マーク(愛称くるみん)

「認定マーク」を付することのできるものは以下の通りとなっております。

❶ 商品又は役務

❷ 商品、役務又は一般事業主の広告

❸ 商品又は役務の取引に用いる書類又は通

❹ 一般事業主の営業所、事務所その他事業場

❺ インターネットを利用した方法により公

衆の閲覧に供する情報

❻ 労働者の募集の用に供する広告又は文書

 行動計画を策定し、その計画で立てた目標を達

成するなど一定の要件(基準)を満たす場合には、

申請を行うことにより、厚生労働大臣(具体的に

は都道府県労働局長)の「認定」を受けることが

できます。

 行動計画を策定するのであれば、認定を受けて、

「認定マーク」を活用し、自社の内外にアピール

したほうが、企業にとってのメリットは大きいと

いえます。

※  認定を受けた際には、希望があれば、都道府

県労働局から認定マークを電子媒体で提供して

もらうことができます。

 認定を受けるためには、次の認定基準の1から

9までのすべての基準を満たす必要があります。

★認定を受けるために必要な9つの認定基準★

1 雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。

2 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。

3 策定した行動計画を実施し、それに定めた目標を達成したこと。

4平成21年4月1日以降に新たに策定・変更した行動計画について、公表及び従業員への周

知を適切に行っていること。

認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょうⅢⅢ 1.認定制度

2.認定マークの活用

3.認定基準

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23

認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

計画期間内に、男性の育児休業等取得者が1名以上いること。

【従業員数が300人以下である事業主】

計画期間内に男性の育児休業取得者がいない場合でも、次のいずれかの基準を満たせば要

件を満たすことになります。

①  計画期間において、子の看護休暇を取得した男性従業員がいること(ただし、1歳に

満たない子のために利用した場合を除く。)。

②  計画期間において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対する短

時間勤務の制度の措置を利用した男性従業員がいること。

③  当該計画の開始前3年以内の期間において、その雇用する男性従業員のうち育児休業

等をしたものが1人以上いること。

6

計画期間内の女性従業員の育児休業等取得率が70%以上であること。

【従業員数が300人以下である事業主】

計画期間内に、育児休業取得率が70%未満である中小企業でも、計画開始前3年間遡り、

計画期間とその開始前の一定期間(最長3年間)を合わせて計算したときに、女性の育児

休業等取得率が70%以上となれば認定基準6を満たしたことになります。

73歳から小学校に入学するまでの子を持つ従業員を対象とする「育児休業の制度または勤

務時間の短縮等の措置に準ずる措置」を講じていること。

8

次の①から③までのいずれかを実施していること。

① 所定外労働の削減のための措置

② 年次有給休暇の取得の促進のための措置

③ その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

9 法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。

1.認定を受けるためには、認定基準を踏まえて、行動計画を策定することが必要です。

2. 認定基準の5から8は、行動計画に目標として必ずしも設定しなくてもよいのですが、認定を受

ける場合には、設定している・いないにかかわらず、達成しなければならない基準です。

3. したがって、これら5から8の基準をはじめから目標として設定するのが、認定を受ける近道と

いえます。

ポイント

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24

認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

➡ 「9つの認定基準」について、詳しくみてみましょう

雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと。

認定基準

1 認定を受けるためには、雇用環境の整備を内容

とする行動計画を策定する必要があります。

 具体的には、行動計画策定指針(P12)に掲載

されている「1.雇用環境の整備に関する事項」の

 「(1)子育てを行う従業員等の職業生活と家庭

生活との両立を支援するための雇用環境の整備」

または

 「(2)働き方の見直しに資する多様な労働条件

の整備」

に該当するもののうち、最低いずれか1つ、計画

に盛り込む必要があります。

 なお、「2 その他の次世代育成支援対策に関

する事項」(例えば、「子ども・子育てに関する地

域貢献活動」や「子育てバリアフリー」など)は、

必ずしも企業内の従業員の雇用環境の整備に関す

る内容とはいえないため、これらの事項だけを内

容とする行動計画を策定しても、認定の対象とは

なりませんので、ご注意ください。

行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。

認定基準

2 認定を受けるためには、計画期間は2年から5

年とすることが必要です。1年という短期の行動

計画や、6年以上にわたる長期の行動計画の場合

は、認定の対象とはなりません。

 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策

定期間は、2005年(平成17年)4月1日から、

2015年(平成27年)3月31日までの10年間

ですから、例えば、2009年7月1日時点で行動

計画を策定する場合には、残りの計画策定期間は

「5年9ヵ月」となります。したがって、この場

合には、計画期間を次の例のように設定すること

も可能です。

1. 雇用環境の整備を内容としていても、法令に違反する事項が定められている行動計画は、適

切ではありませんので、認定はされません。

  (例)● 育児休業期間中(産後期間を除く)の給与について、男子のみを有給とする。

     ●  女性のみを対象とする再雇用制度(男女雇用機会均等法第9条の特例を除く)を

導入する、等

2. 制度導入の措置を講じることを目標とした場合は、当該措置が関係法令を上回る内容となっ

ていない場合、または計画期間の開始時に既に実施しているものである場合は、認定対象と

はなりません。

ポイント

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25

認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

(例) 2009年7月1日に行動計画を策定する場合の計画期間

例:残り5年9ヵ月の策定期間を2期間に区分 計画期間を1回目2年間、2回目3年9ヵ月

策定した行動計画を実施し、それに定めた目標を達成したこと。

認定基準

3 認定を受けるためには、目標として行動計画に

記載した内容を達成していなければなりません。

なお、認定を申請する際には、「行動計画そのもの」

や「目標を達成したことを証明する資料」の添付

が必要です。このため、客観的に達成状況を判断

しやすい数値目標を設けることをお奨めします。

目標例

パターン 目標例目標が達成されたことを証明する

資料の例

1制度導入を目標とし

ている場合

育児休業期間の延長 制度導入前後の就業規則等の写し

ノー残業デーの導入

制度導入を社内に通知した文書の

写し、啓発資料等(制度導入年月

日の分かるもの)

2数値目標を設定して

いる場合

女性労働者の育児休業取得率を

80%以上にする

育児休業等をした女性労働者の氏

名及び育児休業等をした期間が記

録されている書類

男性の育児休業取得者が1名以上

育児休業等をした男性労働者の氏

名及び育児休業等をした期間が記

載されている書類

行動計画期間中に月8時間以上の

所定外労働時間を削減する

行動計画実施前後の従業員1人当

たりの所定外労働時間数(企業の

自己申告)

3

制度の周知や情報提

供を目標としている

場合

両立支援制度について社内に周知

する

周知年月日のわかる社内に周知し

た資料の写し

4意識啓発を目標とし

ている場合各種研修の実施

実施年月日のわかる研修開催につ

いての社内通知、研修の実施結果

の写し等

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認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

平成21年4月1日以降に新たに策定・変更した行動計画について、適切に公表及び従業員への周知をしたこと。

認定基準

4 本基準は、平成21年4月1日以降に新たに策

定又は変更した一般事業主行動計画についての認

定申請の場合に満たすことを求めるものです。

 公表・周知にあたっては行動計画そのものを公

表・周知することが必要です。(行動計画の概要

では義務を果たしたことにはなりません。)また、

公表及び周知は、行動計画を策定又は変更した時

からおおむね3か月以内に行うことが必要です。

 公表及び従業員への周知については次のような

方法が考えられます。

(1)公表方法について

 公表は、①インターネットの利用、②その他

の適切な方法により行うことが必要です。①の

「インターネットの利用」の例としては、自社

のホームページや仕事と家庭の両立支援に積極

的に取り組んでいる企業の取組などを掲載して

いるサイト「両立支援のひろば」(http://www.

ryouritsushien.jp/)の利用などが考えられます。

なお、インターネットの利用が不可能な場合は、

事業所に備えつけるなどの方法もあります。②の

「その他の適切な方法」の例としては、日刊紙へ

の掲載、県の広報誌への掲載等が考えられます。

(2)従業員への周知方法

 周知方法としては、①事業所の見やすい場所へ

の掲示又は備え付け、②書面による労働者への交

付、③電子メールを利用した労働者への送信、④

その他の適切な方法により行うことが必要です。

 なお、計画を変更した場合にも、都道府県労働

局雇用均等室へ届け出るとともに、公表及び従業

員への周知をすることが必要なことに留意してく

ださい。

計画期間内に、男性の育児休業等取得者が1名以上いること。

認定基準

5 認定を受けるためには、計画期間内に男性従業

員が1人以上、育児休業等を取得していることが

必要です。行動計画に目標として記載されていな

くても構いませんが、認定申請時に既に退職して

いる者は含まれません。

 計画期間内に男性の育児休業等(※1)取得

者がいなかった場合でも、以下の基準を満たせ

ば要件を満たすことになります。

 ただし、①と②については平成21年4月1日

以降の認定申請について、適用されます。

①  計画期間において、子の看護休暇(※2)

を取得した男性従業員がいること(ただし、

1歳に満たない子のために利用した場合を除

く)。

②  計画期間において、小学校就学の始期に達

するまでの子を養育する労働者に対する短時

間勤務の制度(※3)の措置を利用した男性

従業員がいること。

③  当該計画の開始前3年以内の期間において、

その雇用する男性従業員のうち育児休業等を

したものが1人以上いること。

 常時雇用する従業員数が300人以下の中小企業については、この基準が緩和されています。☆常時雇用する従業員数が300人以下の場合の特例☆

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認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

※1「育児休業等」

 ここでいう「育児休業等」とは、子が1歳(一

定の場合は1歳6か月)に達するまでの間の休業

(育児・介護休業法第2条第1号に規定されてい

る休業)に加え、子が小学校就学の始期に達する

までの間に育児のためにする休業(育児・介護休

業法第23条第1項又は第24条第1項に規定さ

れている育児休業に準ずる措置)をいいます。

※2「子の看護休暇制度」

 ここでいう「看護休暇」とは、小学校就学の始

期に達するまでの子の看護のために取得する休暇

(育児・介護休業法第16条の2第1項に規定さ

れている休暇)をいいます。

※3「短時間勤務制度」

 ここでいう「短時間勤務制度」とは、3歳に満

たない子を養育する従業員のために講じられてい

る短時間勤務の制度に加え、小学校就学の始期に

達するまでの子を養育する従業員のために講じら

れている短時間勤務の制度(育児・介護休業法第

23条第1項又は第24条第1項に規定されてい

る短時間勤務の制度)をいいます。

計画期間内の女性従業員の育児休業等取得率が70%以上であること。

認定基準

6 認定を受けるためには、計画期間内に女性従業

員の育児休業等取得率が70%以上であることが

必要です。行動計画に目標として記載されていな

くても構いませんが、認定申請時に既に退職して

いる者は含まれません。

 女性の育児休業等取得率については、以下のよ

うに計算してください(小数第1位切り捨て)。

女性の育児休業等取得率

計画期間内に育児休業等をした者の数

計画期間内に出産した者の数

≧70%

●  計画期間内の女性の育児休業等取得率が

70%未満だった場合でも、

 計画開始前3年間さかのぼってみて…

 計画期間とその開始前の一定期間(最長3年間)

を合わせて計算したときに、女性の育児休業等

取得率が70%以上となれば認定基準6を満たし

たことになります。なお、3年遡ると取得率が

70%に満たないが、2年であれば70%以上とな

るような場合は、2年分だけ遡って計算しても構

いません。この場合の女性の育児休業等取得率は、

次のようであれば認定基準6を満たしたことにな

ります。

計画期間+計画期間開始日以前の最長3年以内に、育児休業等をした者の数           出産した者の数

≧70%

 これには、次のような場合が該当します。

最長3年

Aさんの育児休業期間

計画期間(女性の取得率が70%未満)

この期間の女性取得率が70%以上

 ただし、このようにして計算した場合に、育

児休業等の取得率が70%となる期間の開始日が、

行動計画の開始日から最長でも3年以内でなけれ

ばならないことになります。

 常時雇用する従業員数が300人以下の中小企業については、この基準が緩和されています。☆常時雇用する従業員数が300人以下の場合の特例☆

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認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

3歳から小学校に入学するまでの子を持つ従業員を対象とする「育児休業の制度または勤務時間の短縮等の措置に準ずる措置」を講じていること。

認定基準

7 認定を受けるためには、行動計画に目標として

掲げている・いないにかかわらず、以下のような

「育児休業の制度または勤務時間の短縮等の措置

に準ずる措置」のうち、いずれか1つの措置を実

施しておく必要があります。各企業の実情に照ら

して「できること」を実行してください。

● 「育児休業の制度または勤務時間の短縮等の措置に準ずる措置」とは具体的には育児・介護休業法第24条第1項により事業主が必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされている、以下のような措置をいいます。

● 育児休業に準ずる休業の制度

● 短時間勤務の制度

  ・1日の所定労働時間を短縮する制度

  ・週または月の所定労働時間を短縮する制度

  ・週または月の所定労働日数を短縮する制度

   (隔日勤務であるとか、特定の曜日のみの勤務等の制度をいいます。)

  ・従業員が個々に勤務しない日または時間を請求することを認める制度

● フレックスタイム制

● 始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ

● 所定外労働をさせない制度

● 託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

 これらの措置は、計画期間終了時までに措置されていれば構いません。従業員の雇用形態や部門

ごとに異なる措置とすることでも差し支えありません。

 また、1日の労働時間が6時間以下の従業員には、必ずしも適用する必要はありません。

ポイント

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認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

★上記の措置を実施していることを証明する資料の例★

❶ 所定外労働の削減のための措置

(ⅰ)「ノー残業デー」や「ノー残業ウィーク」の導入・拡充

(ⅱ)フレックスタイム制や変形労働時間制の活用

(ⅲ)時間外労働協定における延長時間の短縮

(ⅳ)その他これらに準ずる措置

❷ 年次有給休暇の取得の促進のための措置

(ⅰ)年次有給休暇の計画的付与制度の導入

(ⅱ)年間の年次有給休暇取得計画の策定

(ⅲ)その他これらに準ずる措置

❸  その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

(ⅰ)職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の是正のための取組み

(ⅱ)子どもの検診や予防接種のための休暇制度の実施又は子どもの学校行事への参加のための休

暇制度の導入

(ⅲ)その他これらに準ずる措置

次の①~③のいずれかを実施していること。① 所定外労働の削減のための措置②  年次有給休暇の取得の促進のための措置③  その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

認定基準

 認定を受けるためには、この基準も、目標とし

て行動計画に掲げている・いないに関わらず、達

成しておく必要があります。計画期間終了時まで

に措置されていればよく、計画期間中であれば措

置が講じられた時期は問いません。

 次世代育成支援対策推進法では、各企業が育児

をしている従業員に対して職場生活と家庭生活を

両立でき、働きやすい環境を提供できるように推

進することが第一義としていますが、最終的な着

地点は、従業員全員が働きやすい「仕事と生活の

調和(ワーク・ライフ・バランス)」のとれた雇

用環境を整備することです。

 このような考え方から、認定のための条件とし

て、育児をしていない従業員を含めて働き方の見

直しを行い、①~③のような多様な働き方の実現

に向けた取組みを行うことが必要とされています。

具体的には、以下のいずれかの措置を実施してい

ることをいいます。

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認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

 認定を受けたことにより、次のようなメリット

が期待できます。

①  認定を受けた事業主は、次世代認定マーク(愛

称くるみん)を利用することができるようにな

り、「認定企業」であることを対外的にアピー

ルすることができます。

②  このマークを自社の商品やその広告、企業の

名刺などにつけることにより、「次世代育成支

援対策に取り組んでいる企業」であることが広

く周知されることになります。このマークは、

いわば、「働きがいがあり、働きやすい企業」「社

員を大切にする企業」であることを示しており、

企業のイメージアップにつながります。

③  このマークを求人広告やハローワークの求人

票に記載することにより、優秀な人材の採用・

確保などが期待できます。

④  企業の従業員の定着、モラールやモチベー

ションの向上とそれに伴う生産性の向上や受

注・販売の増加などが期待できます。

★上記の措置を実施していることを証明する資料の例★

措  置 内容例措置を実施していることを証明す

る資料の例

1所定外労働の削減の

ための措置

「ノー残業デー」や「ノー残業

ウィーク」の導入・拡充

社内通知等全従業員に周知した文

書の写し、取組結果報告書の写し等

2年次有給休暇の取得

の促進のための措置

年次有給休暇の計画的付与制度の

導入

社内通知等全従業員に周知した文

書の写し等

3

その他働き方の見直

しに資する多様な労

働条件の整備のため

の措置

職場優先の意識や固定的な性別役割

分担意識等の是正のための取組み

取組み実施についての社内通知等

全従業員に周知した文書の写し、

作成した啓発資料、取組み結果報

告書の写し等

法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。

認定基準

9 次世代育成支援対策推進法や、労働基準法、男

女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの関係

法令に違反する重大な事実がないことも、認定を

受けるためには必要な要件です。

4.認定を受けたことによる効果・メリットの発生

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認定を受けて、「次世代認定マーク(くるみん)」を活用しましょう

 1回目の計画期間が満了し、目標を達成するな

ど、認定基準を満たしていれば、その時点で「認

定」を受けることが可能です。認定を受ける手続

きをしましょう。

 認定を受けるには、認定申請書を都道府県労働

局に提出する必要があります。各申請書類の提出

後、基準に適合しているかどうかの審査を経て、

認定されることになります。

 また、計画期間の満了が近くなったら、同様の

手順を経て、次の行動計画を策定し、その旨を都

道府県労働局に届け出ましょう。次回の行動計画

も、目標を達成すれば、新たに認定を受けること

ができます。

5.認定の手続き

 認定申請時には、“行動計画そのもの”や“目標を達成したことが証明できる資料”などが必要と

なります。

ポイント

● 認定の申請は都道府県労働局雇用均等室へ○認定の申請様式は、

1.最寄りの『都道府県労働局』か

2.厚生労働省(労働局)のホームページからダウンロードして入手できます。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/kaisei/dl/02.doc

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株式会社

みつば

ああ

〶 住所:〒222-0026 横浜市港北区篠原町3014-2 加祥ビル☎ 電話:045-439-3365  FAX:045-439-3366  ホームページ:http://www.mitsuba-group.co.jp

社員数:37名  男性:15名  女性:22名 女性社員の割合:60%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:5.4%  女性:2.7%

¥ 資本金:4,000万円 事業内容(業種):自動車管理事業、スターチャイルド事業、保育サービス事業

1 行動計画の策定

 平成6年の設立から暫くの間は、短期で退職す

る者もおり、社員の定着が思うようにいかなかっ

た。

 育児休業制度自体は、設立当初から就業規則に

盛り込まれてはいたが、当時は社員の年齢構成が

出産・育児期とは無縁であったため、こうした制

度を利用する者がいなかった。

 しかし、次世代法の施行された平成17年度を

境に、出産・育児を控えた社員が発生したことか

ら、従来からの育児休業制度の整備を図るととも

に、行動計画の策定に取りかかることとした。

 保育サービス事業(保育所の運営や保育士の人

材派遣など)を通じ、次世代を担う子ども達の育

成を支援することを事業の本筋としている当社と

しては、当社自らが、まず育児支援施策を社内全

体で実践することが社会的責任の一環でもあり、

ひいては、それが地域密着型の経営に繋がると考

えている。

 顧客にサービスを提供する社員自身が、自社の

育児支援の恩恵を受けることで、育児の大切さを

身をもって感じてもらった上で、顧客に接するこ

とを期待している。

 そこで、経営者としては、こうした取組みによっ

て、まず社員自身に会社を好きになってもらうこ

とが何よりも大事であるとし、社員の仕事と生活

の質を高めることを第一に考え計画の策定を行っ

た。

 特に検討会のような特別な組織を設けることは

せず、社長の意向を受けた総務部主任が顧問社会

保険労務士のアドバイスをもとに計画を策定した。

なお、策定に活かす社員のニーズは、当該主任が

社内および各支社を回り、意見や要望をうかがう

形で行った。

 また、一方では、社員全員に対し、アンケート

を行って、育児支援に関する社員の意見から本音

を把握し、策定項目の考案に活かした。

 こうしたアンケートの項目については、今回の

行動計画策定に関わっている顧問社会保険労務士

のアドバイスにより、作成されている。

 行動計画については、型にはめたものにするよ

りも、社員が利用しやすい実のある目標を計画に

定めることを心掛けた。

 そのためには、常に自社の経営理念を念頭に置

きながら、本当に社員が求めているものを把握し、

株式会社 みつば~育児支援施策は社会的責任の一環~

認定企業事例認定企業事例ⅣⅣ

子育て社員とその子ども

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33

認定企業事例

コスト面や人員計画に照らしながら、実現可能な

継続性のある計画にするように配慮した。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 当社では、院内保育施設の設置(病院などで働

く看護師が、自らの病院に自分の子どもを預けな

がら働く環境)を提案しているが、当社自らが行

動計画の認定を受けることで、今後このような提

案をする際にも、説得力を持つものになるため、

認定を受けることを決意した。つまり、保育事業

を展開する当社自らが認定を受けることで、今後

の経営方針においても相乗効果をもたらすことも

狙いとした。

 また、当社は、県や市の入札制度への参加は当

然に欠かせないものであるが、こうした入札の審

査に際して、次世代法による国からの認定を受け

ていることが、審査の加点材料に組み込まれてい

る場合もあるため、認定取得する意向の後押しと

なっている。

 行動計画の認定にあたっては、当該計画の策定

から実施に至るまで親身になって当社を支援して

いた顧問社会保険労務士に同行してもらい、神奈

川労働局に足繁く通い、認定申請に必要な確認資

料などについてあらかじめ相談した。

 策定した行動計画が円滑に実施されるためには、

社員が利用しやすい制度であることが第一条件で

あることから、まず社員に当社の行動計画の内容

を理解してもらうことが何よりも先決であると考

え、当社のホームページ上に載せた。

 また、当該計画の項目に深く関わる制度、例え

ば、「育児休業制度」「フレックスタイムおよび短

時間勤務制度」「雇用保険の育児休業給付」「健康

保険の出産手当金」などの詳細について、半年に

1回の割合で説明会や研修会を行って社員に周知

を図っている。

 そして、社長自ら朝礼などを通じて、育児支援

についての自らの想いや取組方針を伝え、社員へ

の利用の促進を定期的に図った。総務部主任も、

「社長自らが、行動計画実施のアプローチを図っ

たことが、社員の利用意欲を後押しした」と語る。

 当社では、育児休業制度や短時間勤務制度の利

用について、管理職が最初に利用したこともあっ

て、行動計画を実施するために社員が後に続いて

利用しやすい雰囲気にある。

 男性社員は育児休業を取得することについて、

無給となることでの所得の損失や自らの業務に支

障をきたすなどの理由から休業の取得をためらう

ところがあることから、当社では、最初の2週間

を有給(労働基準法規定の年次有給休暇とは別枠)

にし、また休業中のフォローについては、当社の

ホームページ上で社内情報を知らせたり、メール

を通じて休業中の者が留守にしている業務の進捗

状況などを知らせた。

 そして、女性の育児休業後の職場復帰にあたっ

ては、当分の間は、仕事と家庭の両立ができるよ

うにと、通常は8時間勤務のところを6時間に短

縮し、子の保育園への送迎が行いやすいよう、柔

軟な職場復帰支援を行った。

 この行動計画期間内の育児休業取得者は、男性

が2名(うち1人が管理職)・女性が1名(管理職)。

 男性は2名ともに2・3週間、女性は子どもの

保育園探しの関係もあって1年3か月の休業取得

をした。

休業取得者のコメント 今回紹介するコメントは、事業部主任と支店長の2名。

 当社事業部主任のコメント 本人は、2週間の休業を取得したが、出産当初は休業取得について多少のためらいもあったという。地方から横浜に転居したばかりでもあり、「家内ひとりに育児を任せるわけにもいかず、せめて家族3人の生活がひととおり軌道に乗るまでは、育児のサポートをしたい」と考え、休業の取得を申し出たという。 幸い社内全体の協力もあり、安心して休業することができ、本人も「休業の間、育児に関わることができ、家族3人での生活スタイルもスムーズに確立できました。そうしたことで、家族が一つになれた気がします。今回、休業を取得させて頂けたことを会社や社員のみんなに感謝しております」。

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

34

株式会社

みつば

 当社支店長のコメント 12月中旬~1月中旬の1か月間休業取得した。当該時期を休業取得としたのは、「年末年始を絡めることで、仕事への影響を最小限にとどめたいという考えと、子どもが新生児から乳児へ成長する一番大切な時期でもあるからです」と話す。 休業取得当初は、本人も自分が支店長という立場でもあり、休業の申し出をためらったそうだが、直属の上司となる社長および事業部長からも「当社の取り組む次世代育成支援の推進のためにも是非取得しなさい。業務については、全面的にバックアップするから」という助言もあり、安心して休業できた。 ただ、本人の職責上、部下や現場からの相談、報告や指示といった作業も必要であることから、当社のホームページ上やメールなどを通じて対応したという。 本人の上司にあたる事業部長のコメントは、「彼には、今回の休業取得を通じて、新しい時代の父親像として仕事と育児の両立を成功してもらいたいし、何といっても支店長という立場で休業を取得することも、今後の若い社員のみならず年配社員を含めた社内全体のますますの意識改革に繋がっていくモデルとなることを期待しています」としている。

3 認定取得のコストと効果

 計画策定から実施・認定に至るまでにかかった

コストとしては、育児休業制度を含めた制度の具

体化を含めて、周辺法律のアドバイスに関して、

顧問社会保険労務士に対して支払ったプラスアル

ファの報酬がある。

 総務部主任の話では、こうして専門家を活用し

たことで、育児休業制度の整備やその制度と行動

計画をうまくリンクさせる手法、その他計画に

沿った労働時間の整備などでも、社会保険労務士

からアドバイスを受けたことがかなりプラスに働

いたことを強調していた。

 「くるみんマーク」の活用については、今後も

積極的に若い社員を採用していく予定のため、人

材募集に活用する求人誌等の紙面への掲載を続け

ていく。

 また、先述した病院に対する院内保育施設設置

の営業提案に向けても、当社が認定マークを取得

していることもPRとして織りまぜながらアピー

ルしていく意向である。そして、自治体の行う融

資制度や入札制度については、「くるみんマーク」

取得を今後も強調していきたいとしている。

 認定取得の効果については、認定取得の当社の

取組みが評価され、神奈川県より県規定の認定を

受けると同時に、横浜市からも「横浜市グッドバ

ランス賞」の認定を受けている。

 また、当社のような100人以下企業が「くる

みんマーク」取得に至るケースが非常に少ないこ

とから、2・3社の全国紙からも取材を受け、当

社の取組みが紙面上で紹介されたこともアピール

ポイントに繋がっている。当社が注目されること

で、当社と同規模の企業からも、行動計画策定に

ついての取組み内容の照会や取組み方法などにつ

いての問い合わせが次々に寄せられている。

 なお、人事採用面については、若年者からの求

人応募件数が増えた。1回の募集広告で20名程

度の問い合わせが通常であったが、子育て支援を

前面に打ち出した際は、およそ40名の応募など、

件数が飛躍的に増加した。

 次に、社員の意識の変化については、ここ一連

の取組みの甲斐もあり、育児社員を社内全体でカ

バーし合う雰囲気ができ上がり、より一層社内の

結束力が深まった印象を総務部主任は感じている。

そうした結果を受け、特に若い社員の間でも、「自

分達も結婚して子どもが生まれた時は、うちの会

社の育児支援制度を利用すれば、仕事と子育てを

両立できる」という期待の声も高まってきている。

 また、当社では、以前、女性管理職が休業を取

得した時に、代替として新たに正社員を採用した

のだが、その女性管理職が職場復帰した後もその

正社員と引き続き雇用契約を継続し、現在も働い

ているという。つまり、代替要員ではあっても、

今では当社の中核となって働いている。こうした

代替要員の活躍は、当社の経営面や人事施策面に

おいても確実に好影響を与えていることになり、

今現在では「育児支援イコール新たな戦力を生み

出す経営のチャンス」という革新的なイメージが

Page 39: 中小企業のための 一般事業主行動計画 策 ... · 「次世代育成支援対策推進法」は、次世代の社 会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環

35

認定企業事例

社内に定着している。

 今後期待する効果については、当社の取組みが

マスコミに取り上げられたように、少数精鋭の企

業が認定を受けたことを社外に発信することで、

今後は当社と同規模の企業も認定を受けることに

より、次世代育成の裾野が広がる効果も併せて期

待している。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 当社では、1回目の計画に引き続き、社員が安

心して仕事と育児を両立できるような環境の構築

に努めることを念頭に置き、2回目の策定に至っ

た。

 そのために、社員全員が利用可能な複数の選択

肢を揃え計画策定することとし、育児休業制度の

みならず、短時間勤務制度などを導入し、労働負

荷を軽減することに力を注いだ。

 また、社長の意向も活かし、男性社員について

も、「子の行事参加休暇」を策定した。

 今後は、特に女性社員について、家庭で仕事を

しながら育児ができるよう、「在宅勤務制度」も

視野に入れると同時に、正社員のみならず派遣ス

タッフにも利用勝手の良い制度を策定していく。

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 「やはり、こうした育児支援の取組みは、経営

者の考えひとつではないでしょうか」と総務部主

任は話す。

 さらに、「例えば、育児支援制度を導入する意向、

また、経営方針に照らしてみて、どういった制度

運用を行うのか、社員に対して社内の育児支援制

度をどのような方法で浸透させるのか…などの経

営者の取組み方針が重要なウェイトを占めるので

はないでしょうか」、経営者の意向を強調していた。

 また、当社のような100人以下の企業が厚生

労働省より「くるみんマーク」の認定取得を受け

ること自体、今現在をもっても少ないことである

のだが、それも、当社の労使一体となった取組み

が功を奏しているといえる。

社内風景

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

36

株式会社

みつば

【株式会社みつば 行動計画(第1回)】

 社員が仕事と子育てを両立させることができ、社員全員が働きやすい環境をつくることによって、すべての社員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成17年5月1日~平成19年9月18日まで

2.内  容

目標1  育児休業期間を平成19年4月までに、子が2歳に達するまでの間において利用できるように育児休業規程を整備する。

【対策】● 平成17年5月~:育児休業規程・介護休業規程の整備改定作業に取り組む。● 平成19年4月~:説明会、社内文書等による周知・啓発を実施する。

目標2  平成19年8月までに、小学生未満の子を持つ社員が、希望する場合に利用できる所定外労働をさせない制度を導入する。

【対策】● 平成19年4月~:育児休業規程・介護休業規程の整備改定作業に取り組む。● 平成19年8月~:説明会、社内文書等による周知・啓発を実施する。

【株式会社みつば 行動計画(第2回)】

 社員が仕事と子育てを両立させることができ、社員全員が働きやすい環境をつくることによって、すべての社員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成19年9月19日~平成21年9月18日まで

2.内  容

目標1  子どもが生まれる際の父親の休暇の取得の促進

【対策】● 平成19年10月~:社員総会での説明会、社内文書等による周知・啓発を実施する。

目標2  育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備

【対策】● 平成19年10月~:育児休業規程の整備改定作業に取り組む。● 平成19年10月~: 職場復帰しやすい環境(システムおよび職場情報の提供)の整

備に取り組む。● 平成20年12月~:説明会、社内文書等による周知・啓発を実施する。

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37

1 行動計画の策定

 株式会社第一印刷所は、昭和18年創立の新潟

県を代表する印刷会社である。「朗らかに稼ごう

や」「至誠守約」「和」の社是のもと、顧客満足と

同時に社員満足の向上を追求している。そのため、

男女を平等に扱うという視点から、平成13年よ

りポジティブ・アクション(男女格差を是正する

自主的・積極的な取組み)にも取り組み、均等推

進企業、ファミリー・フレンドリー企業表彰など

を受けている。

 平成16年秋、女性活用に積極的かつ300人規

模に近いといった理由で、モデル企業として行動

計画を策定するよう、新潟労働局雇用均等室から

協力要請があった。ポジティブ・アクションを推

進していた経営幹部が、これを快諾したのが行動

計画に取組んだきっかけである。また、幹部内で

別途、少子化対策になんとか貢献したいと話し

合っていた時期でもあった。

 計画策定にあたっては、仕事と子育ての両立と

同時に、子育て中ではない社員を含めた全員が働

きやすい環境をつくることを目指した。

 具体的には、既存の社内委員会等を活用し、ボ

トムアップ型で意見集約を行った。まず人事課の

女性が作成した基本案をもとに、既存の「ポジティ

ブ・アクションプロジェクトチーム」(各部門の

積極的な女性7人で構成)で議論を重ね、取締役

会の承認を経て、決定した。プロジェクトはそれ

までの活動で、社員の要望や女性が働きやすくな

るための課題などを把握していて、利用者の視点

から取得しやすい制度を提案してくれた。

 第1回目の目標は別掲のとおり、配偶者出産休

暇(出産予定日前後2週間内に3日の有給休暇)

の導入、勤務時間短縮等の措置に準ずるものの導

入、年次有給休暇の取得促進、など4つとした。

年休の促進は、単なる周知運動に終わらないよう、

具体策も盛り込んだ。家庭の行事に合わせて休み

やすい環境を整えることを目指し、結婚記念日、

本人・家族の誕生日などに年休を取る「マイホリ

デー」を打ち出している。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 当社は、モデル企業になるため、認定を目指し

て計画を策定した。竹野茂人事課長は、女性の育

児休業は計画時点で定着していたため、後述の男

株式会社 第一印刷所~社員全員が働きやすい職場環境を目指す~

〶 住所:〒950-8724 新潟市中央区和合町2丁目4番18号☎ 電話:025-382-7400  FAX:025-382-7415  ホームページ:http://www.dip.co.jp/

社員数:293名  男性:216名  女性:77名 女性社員の割合:26.3%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:18.5%  女性:22.1%

¥ 資本金:4,714万円 事業内容(業種): 製造業(1)印刷及び出版に関する業務、(2)各種情報加工及び処理に関する業務、(3)前各号に附帯す

る一切の業務

本社工場

認定企業事例

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

38

株式会社

第一印刷所

性の育休取得が現れた時点で、認定が受けられる

と思ったという。

 行動計画の内容や具体的な取組状況については

随時、電子掲示板や社内報で社員に周知した。社

外に対しても、認定を受けた事実に加えて、行動

計画の実績をホームページで公表している。

 行動計画に定めた「目標達成のための対策」を

実践する段階では、前記のポジティブ・アクショ

ンプロジェクトチームと、同じく既存の「職場活

性委員会」(総務部長ほか労使で構成。毎月1回

開催)が活躍している。しかし、最も苦労したのは、

人事課が担当する就業規則をはじめとする諸規程

の整備だった。新潟労働局雇用均等室や財団法人

21世紀職業財団新潟事務所の協力があり、乗り

切れたという。

 年休の取得も、なかなか進まなかった。計画期

間の中盤から、課ごとに毎月の取得率を集計し、

公表するなどで、向上に努めた。

 男性の育児休業取得に向けては、社長が入社案

内で「男性も育児参加を可能とする職場づくりを

行っている」と表明した上、男女とも最初の3日

間を有給化した。さらに、「男性の育児参加計画書」

を作成し、対象者へ配布している。

 第1回目の3年間、育児休業の取得者は、女性

5人(取得率100%)を、男性6人(同33%)

が上回った。ただし、女性は全員約1年の長期休

業、男性は4~11日の短期である。

 男性初の取得者は、人事課のある本社とは離れ

た支店の営業職だった。このケースだけは、竹野

人事課長が支店長に連絡し、育休を勧めた。その後、

印刷オペレーター、事務職などへ広がり、いまで

は休業できない部署はないとみている。社内会議

で取得者数などを随時公表し続けたところ、「子

供が生まれる部下がいるから、自分も勧めてみよ

うか」といった管理職が現われ、取得が一層進んだ。

 これに加え、男性の配偶者出産休暇は、対象者

の3分の2にあたる12人が取得した。このなか

には、短期育児休業とダブルで利用している。上

記の初の育休者も、出産時にまず配偶者出産休暇

を取得。そこで休める環境が整っていることを実

感し、育児休業にもつながったようだ。中小企業

で例のない男性の育休取得率は、トップの意思表

明や育児参加計画書による意識付け、有給化によ

る所得保障、配偶者出産休暇による“お試し”が

相まった結果だろう。

3 認定取得のコストと効果

 「くるみんマーク」は、ホームページのトップ

ページに掲載、社用封筒類・入社案内・名刺へ印

刷するなどで活用している。

 中小企業にもかかわらず、男性の育休取得が多

いため、全国有名紙を含めた数多くのマスコミ、

専門誌に取り上げられた。男性の育児参加が可能

な職場づくりでトップレベルにあることを、内外

にアピールできている。これが、社員の自信やモ

ラールのアップに寄与しているのは、想像に難く

ない。

 また、人材の確保、とくに女性の採用・定着で

は、困らなくなった。近年の新卒では、女性の採

用人数が多い。ポジティブ・アクションプロジェ

クトのメンバーが、女性社員のめざすべきモデル

になっていて、女性役職者も年々増えている。子

を産む女性にとって、育児休業は当然の権利とし

て定着している。現職復帰が原則で、復職後も子

育てを両立し、退職するようなケースはほとんど

ない。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 第2回目は、平成20年4月からの5年間とし

た。新たな制度の導入は短時間勤務制度のみにと

どめ、前期に導入した配偶者出産休暇、マイホリ

デー休暇の利用がいまひとつとの評価から、その

取得改善を継続目標にしている。男性の育児休業

の目標値は、前期の「1人以上」から、「20%以上」

という取得率表示へレベルアップ。他社が見れば

厳しい数値だが、クリアする自信があるようだ。

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39

認定企業事例

 竹野人事課長は、「行動計画の取組みは、まず

関係法令の理解が不可欠。そのうえで社員全員参

加により行うこと」をポイントとして挙げてくれ

た。現在は、行動計画取組みの実例が出ているか

ら、そのなかで自社のレベルに合ったものを参考

にすれば、認定取得は難しくない。「一歩ずつ制

度を整備し、育休の取得も徐々に進めていくこと

が大切」とアドバイスする。

 男性が育児参加しやすい職場づくりへの取組み

が評価され、財団法人21世紀職業財団から100

万円(50万円を2年)の助成金を受給している

(両立支援レベルアップ助成金、「男性労働者育

児参加促進コース」)。

参考資料:男性対象者向けの「育児参加計画書」(抜粋)

財団法人21世紀職業財団の資料を参考に、会社に合わせて作成。妊娠から小学校入学までのステージに分け、健診や保育の流れ、そのとき夫(自分)が行おうとする育児参加を書き入れるこのシートが、男性の意識づけに役立っている。

社内風景

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

40

株式会社

第一印刷所

【株式会社第一印刷所の行動計画(第1回)】

 当社では次世代育成支援対策推進法に基づき以下の行動計画を作成しました。職員の皆さんが仕事と子育ての両立の実現と、子育てをしていない職員の皆さんも含めた全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、4つの目標を掲げました。社内全体での取り組みですので、各種調査等へのご協力をお願いします。

1.計画期間 平成17年4月1日から平成20年3月31日までの3年間

2.内  容

目標1 子どもが生まれる男性職員が出産予定日の前後2週間以内に3日以内取得できる    特別休暇(出産休暇)を導入し、取得率を30%以上にする。

【対策】● 平成17年4月~:制度の詳細を検討する。● 平成18年1月~: 管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓

発の実施

目標2 計画期間内に育児休業の取得状況を次の水準以上にする。     男性職員:期間中1人以上取得する。     女性職員:取得率を70%以上取得する。

【対策】● 平成17年4月~: 取得を容易にするため育児休業期間のうち3日間は有給扱いと

する等の育児休業規程を検討する。● 平成17年9月~: 管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓

発の実施

目標3  平成18年1月までに、3歳から小学校に入学するまでの子を持つ職員が、希望する場合に利用できる勤務時間短縮等の措置に準ずる措置を導入する。(短時間勤務の制度、所定外労働をさせない制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ制度、フレックスタイム制のうちいずれか1つ以上)

【対策】● 平成17年4月~:職員の具体的なニーズの調査、制度の詳細を検討する。● 平成18年1月~: 管理職を対象とした研修の実施、掲示板等を活用した周知・啓

発の実施

目標4  年次有給休暇の取得促進策として、マイホリデー(結婚記念日、本人・子供・配偶者の誕生日)における休暇の取得を呼びかけ、年次有給休暇を持つ職員のうち、マイホリデーに年次有給休暇を取得した職員数を計画期間内に30%以上にする。

【対策】● 平成17年4月~:部署別に取得状況を公開し、促進を図る。

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認定企業事例

【株式会社第一印刷所の行動計画(第2回)】

 当社では次世代育成支援対策推進法に基づき、2期目の行動計画(5年間)を作成しました。職員の皆さんが仕事と子育ての両立の実現と、子育てをしていない職員の皆さんも含めた全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、4つの目標を掲げました。社内全体での取り組みですのでご協力をお願いします。

1.計画期間 平成20年4月1日から平成25年3月31日までの5年間

2.内  容

目標1  子どもが生まれる男性職員が出産予定日の前後2週間以内に3日以内取得できる配偶者出産休暇(出産休暇)を周知し、取得率を50%以上にする。

【対策】● 平成20年4月~:掲示板等を活用した周知・啓発の実施

目標2 計画期間内に育児休業の取得状況を次の水準以上にする。     男性職員:取得率を20%以上とする。     女性職員:取得率を80%以上とする。

【対策】● 平成20年4月~: 取得を容易にするため育児休業期間のうち3日間は有給扱いと

する制度を周知し継続する。

目標3  平成21年1月までに、小学校に入学するまでの子を持つ職員が、希望する場合に利用できる勤務時間短縮等の措置に準ずる措置を導入する。(短時間勤務の制度、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ制度のいずれか1つ以上)

【対策】● 平成20年4月~:具体的なニーズ調査、制度の詳細を検討する。● 平成21年1月~:制度の実施を図る。

目標4  年次有給休暇の取得促進策として、マイホリデー(結婚記念日、本人・子供・配偶者の誕生日)における休暇の取得を呼びかけ、年次有給休暇を持つ職員のうち、マイホリデーに年次有給休暇を取得した職員数を計画期間内に70%以上にする。

【対策】● 平成20年4月~:部署別に取得状況を公開し、促進を図る。

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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株式会社

アドバ

〶 住所:☎ 電話:           FAX:           ホームページ:

社員数:     男性:     女性:    女性社員の割合:

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:    女性:

¥ 資本金: 事業内容(業種):

〶 住所:460-0008 名古屋市中区栄3-14-7RICCO栄7,8階☎ 電話:052-263-4955  FAX:052-263-4954  ホームページ:http://www.adva.co.jp

社員数:171名  男性:73名  女性:98名 女性社員の割合:57.3%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:8.2%  女性: 9.1%

¥ 資本金:6,690万円 事業内容(業種):広告業(求人メディア、販促、集客メディア)

1 行動計画の策定

 リクルーティング(求人メディア事業)を本筋

とし、主に求人広告などを手掛ける当社としては、

自らが子育て支援に取り組み、その証となる「く

るみんマーク」を他社に先がけて求人誌などに載

せることには意義があると感じた。

 また、当社でも、子育てしながら働く社員も多

い(当社ホームページでも「Workingママ」と

呼んで、働く女性も当社の中核となっていること

を広報している)ことから、次世代法に取り組む

ことにより、子育てをしながら働くことも可能と

なる人事施策上の相乗効果も期待した。

 そして、ここ2・3年の社員の結婚ラッシュや

子育て期を迎えた社員の増加も今回の取り組みの

後押しとなっている。

 「仕事と家庭を両立させながら働く社員は、ど

こか“生き生きとした姿”が感じられます」と担

当取締役は語る。

 そうしたことから、「社員には、常に安心感と

達成感を味わって仕事をしてもらいたいです。そ

して、全ての社員が、その持っている能力を最大

限に発揮してもらいたいです」、「当社は、そうし

た社員を応援する活力ある企業でいたいです」と

育児支援に関する方針を出している。

 そうした姿勢から、以前からも、特に女性社員

については、産休~職場復帰にあたり、その間の

休業措置から復帰時の就業時間の調整に至るまで

の、その時々の社員の状況に応じた柔軟な対応は

してきていたが、今回の行動計画策定を機会に、

更に社員の利用勝手を考え、従来からの取り決め

を進化させたものをその計画の中に制度化し、社

内全体に統一させることにした。

 特に、社内に検討会のような組織は持たず、担

当取締役と総務担当者の二人三脚で進めた。計画

の策定にあたっては、計画策定前に産休や育児休

業を体験した社員の声を参考に策定することに努

めた。

 人事評価や処遇の面でも、常に男女の区別なく

全社員一律に扱ってきた当社としては、今般の計

画目標を定める際にも、男性・女性のそれぞれに

適した利便性のある項目を立てることを心掛けた。

 具体的には、例えば、小学校就学前の子を持つ

社員のための、選択可能な勤務時間制度(短時間

勤務や時差出勤)の整備であるとか、男性の育児

休業などについても、ごく短期間ではあっても、

株式会社 アドバ~全社員の力を最大限に生かす一環として~

株式会社 アドバ

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43

認定企業事例

妻や子どものために気軽に取得できるような項目

にすることを心掛けた。なお、その際には、会社

や社員にとって、足かせの制度とならないよう十

分に配慮した。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 当社の今般の計画策定に関わる担当取締役が参

加した県主催の企業セミナーの中で、次世代法に

よる計画を実施した企業に対し、厚生労働省より

認定される制度があることを知った。結果、認定

を受けた企業が自社の広告や商品に「くるみん

マーク」を掲載できることも当社の魅力となった。

 後掲する社内報などでは、当社社員の結婚や出

産に始まり、子育てに至るまでの節目節目を写真

を交えて、その都度、社員に公開している。そし

て、当社ホームページでも「Workingママ」と

いうサイトを設け、子育て社員の子育て体験記な

どを載せるなどし、社内の育児支援に関する取組

みを社内外にアピールしている。

 この社内報は、当社の採用内定者にも配布し、

入社前から社内の雰囲気を感じ取ってもらってい

る。こうした紙面を読んで、当社が育児支援ひと

つをとっても“男女区別のない人材活性”を行っ

ている企業であることを知ってもらう良い機会と

なっている。

 当社では、男女分け隔てのない同一処遇・同一

勤務の職場環境が定着している関係で、今回のよ

うな育児支援に係る意識改革の必要は特になかっ

た。

 ただし、当社が週間サイクルで運営する広告代

理店であることから、短納期が付いて回る業務で

あるため、担当者としては、「時間外労働の削減」

については、かなり苦労することが予想された。

 ところが、計画の実施期間に入ると、拠点それ

ぞれも自主性を持ってノー残業デーの設定等、工

夫するようになった。

 その結果、労働時間の改善がはかられ、先頃、

当社で一定期間のデータを採ったところ、業績あ

るいは生産性の高い社員が必ずしも長時間残業を

している訳でもないことがわかった。つまり、い

ちがいに長時間作業イコール成果が上がるという

図式でないことが証明されてきたことがうかがえ

る。

 当社では、社員の育児支援にあたり、その社員

の休業中から職場復帰に至るまでのサポート体制

について、特に以下の措置を図っている。

 こうした措置は、過去に育児休業を取得した者

からの「休業中は、仕事からも離れてしまうので、

社内の動向と自分の担当業務などがどうしても気

❶ 休業中の者に対し、社内報の送付やメールの送信などで、社内の出来事や休業者の担当業務の情報などを知らせて、意識の共有を図っている。❷ 妻の出産時や子どもの運動会・参観日のために休暇を取れるようにと、男女ともに年次有給休暇とは別枠で、1日の有給扱いの休暇が取れる「育児特別休暇」を設けた。❸ 職場復帰後の就業時間についても、「時差出勤」や「半日有給」などを上長と相談しながら取得できるように配慮している。❹ 職場復帰時の不安払拭のためにと、休業中や復帰前の3回にわたり、会社と面談を行って、復帰後の仕事プランについての意思確認を行っている❺ 職場復帰後に、子育てにも目配りしながら仕事が行えるようにと、「(注)フレキシブル社員制度」を設けた。

(注)「フレキ シブル社員制度」……週/30時間勤務で、出社義務も週1回という制度。 自宅で顧客先と連絡を取ったり、原稿を作成したりできるので、 いわゆる“在宅勤務”に近い制度とし運用されている。もちろん、自らの裁量で時間を有効に使いながら仕事ができるので、育児期の社員からは好評で、今まで4名の社員が利用している。

休業前休業期間中の公的給付の活用や職場復帰後の仕事面についての希望について伺う

復帰前職場復帰時の担当業務と勤務時間の確認を行う(「フレキシブル社員制度」や「時差出勤」等の利用の確認)

休業中会社とのコミュニケーション維持が主な目的で、職場復帰に向けての意思確認と子供を預ける保育園への入所状況の確認を行う

面 

❹図

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

44

株式会社

アドバ

にかかってしまう」、「職場復帰時の担当業務への

順応性も気にかかってしまう」という声を反映さ

せた措置である。

 当社では、育児休業取得者について、職場復帰

時にアンケート形式のレポート用紙を提出させ、

以下に掲げる質問事項で聞いた結果が、前述のよ

うな声であった。

 ◦ 出産後も働いてよかったと思えること

 ◦ 休業中たいへんだと思ったこと

 ◦ 仕事と家庭を両立させるためにどういった

ことが必要か・・・etc

休業取得者のコメント 営業部マネージャー(女性管理職) 本人は、妊娠が発覚した時、「産休を取るか、退職をするか、で迷った」という。 そこで、同じ女性として、また仕事と家庭の両立を経験した先輩に相談したところ、「大変だろうけれど、仕事と家庭を両立できれば、仕事も育児も楽しくなるわよ。あなたが育児休業を取ったときは、社内でもバックアップするから」と激励されたことで、産休~育児休業の取得に踏み切ったという。 また、当社ホームページ上の「Workingママ」にも代表されているように、当社で仕事と育児の両立を成功させている先輩達が多いことも本人の育休取得の後押しとなったようだ。 休業期間中は、社内のサポート体制により応援してもらったとのことで、「やはり、多少は仕事も気になりながらも、安心して休業が取れ職場復帰できました」と話す。 そして、休業期間中は、家事と子育てに追われる一方、今までの自分の仕事を振り返り、見つめ直すことができたことで、休業が良い機会になり、復帰後の仕事にも活かされているという。

3 認定取得のコストと効果

 「くるみんマーク」を名刺や求人広告へ掲載す

る一方、当社のホームページにも掲載し、社外へ

の発信も積極的に行っている。また、年賀状への

掲載もしている。

 当社ホームページの「Workingママ」のサイ

トでも、「愛知県ファミリーフレンドリー企業」

の表彰とともに、「くるみんマーク」の取得につ

いて掲載し、社内外に告知している。

 当社は、平成18年に県より「愛知県ファミ

リー・フレンドリー企業」を受賞したが、県内で

はそちらのイメージが強いようで、その受賞を契

機に、県内各社(当社の業務上の顧客先を含む)

から「我が社でも、社員に対する育児支援を制度

化しようと思うのですが…」と当社の取組みに関

するノウハウを問い合わせてくる企業も出てきた。

この「愛知県ファミリー・フレンドリー企業」の

受賞理由としては、特に、「フレキシブル社員制度」

や「育児特別休暇」が高く評価されているようで

ある。

 そして、こうした表彰を受けたことによる取材

や講演の依頼もあった。

 現在、当社では、育児休業社員が発生した時の

フォロー体制として、休業する社員の業務によっ

ては対処方法を変えるべきかどうかを検討してい

る。

 当社の職種柄、営業社員が休業したときは、同

僚の営業社員にフォローしてもらえるが、総務や

庶務などの内勤事務の社員が休業したら、代替要

員の確保を考えざるを得ないところから、こうし

た場合のフォロー体制についても、現在シミュ

レーションを行い、検討しているところである。

 また、取引先企業の中にも行動計画の策定に取

り組む予定の企業も何社かあるようなので、そう

した企業への先達としてのサポートも行っていき

たい。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 第1回目の計画では、フレキシブル社員制度や

育児特別休暇が高い評価を受けたので、今後はま

すますの利用価値を高めていき、他にも残業時間

の削減などの労働時間制度に係る取組みについて

も、永遠のテーマであることから、第2回目の計

画に引き続き盛り込むこととした。

 また、出産や育児のために過去に退職した女性

社員から再び当社への再就職を希望する者を再雇

Page 49: 中小企業のための 一般事業主行動計画 策 ... · 「次世代育成支援対策推進法」は、次世代の社 会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環

45

認定企業事例

用する「ジョブリターン制度」も設けることとした。

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 今回の行動計画策定から認定に至るまでの一連

の運用を手掛けた担当取締役はじめ総務担当者は、

「育児支援のような今や社会的責任の一環として

位置づけされる人事施策を成功させるのも、要は

“経営トップの意思・考え”が重要ですね」と話す。

 「社員にとって、有意義であり活かされた計画

にするためには、型通りに制度や仕組みをつくる

ということではなく、社員にとって利用勝手が良

く喜ばれるものにするというスタンスで取組むこ

とが重要だと思います」、「こういう姿勢で取組む

ことは、社員の自主性も助長させます」と自社で

の実績も踏まえた上で、具体的に「女性だけを対

象に捉えるのではなく、男性を含めた全社員の力

を最大限に活かすことを考え、無理のない実現可

能な項目から策定していく姿勢が、“実効性のあ

る行動計画”を生むのではないでしょうか」と助

言する。

資料 「社内報」の一部を紹介(2008年 例)

社内風景

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

46

株式会社

アドバ

【株式会社アドバの行動計画(第1回)】

 社員が仕事と家庭が両立できるよう、また今後、結婚・出産を迎えるであろう社員に出産後も継続して働けるというイメージをもってもらえるよう、以下のような対策を行なう。

1.計画期間 平成17年4月15日~平成19年4月14日

2.内  容  子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備

目標1  子どもが生まれる際の父親の休暇の取得の促進のため、男性女性を問わず取得できる休暇制度を導入する。

【対策】● 平成17年5月~:社員のニーズ調査のためににアンケートを実施する。● 平成17年7月~:アンケートを元に、具体的な内容を検討する。● 平成17年10月~:制度を導入して社員に周知する。

目標2 小学校就学前の子どもを育てる社員が利用できる、労働時間に関する制度を確立する

【対策】● 平成17年7月~:どういった制度が利用しやすいか検証をする。● 平成17年10月~:具体的な内容を検討する。● 平成18年4月~:制度を導入して社員に周知する。

働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備

目標3 所定外労働時間を削減するよう、社員に意識を持たせる。

【対策】● 平成17年7月~:社員の労働時間を把握するため正確なデータをとる。● 平成17年10月~: データを元に検証する。どういったことが原因で労働時間が長

くなっているかを調査する。● 平成18年4月~:実際にデータを社員に公開するなどして意識をもってもらう。

その他次世代育成支援対策

目標4 社員が社員の子どもと仕事をとおして触れ合える機会をつくる。

【対策】● 平成17年7月~:どういった場を提供できるか検討する。

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認定企業事例

47

〶 住所:☎ 電話:           FAX:           ホームページ:

社員数:     男性:     女性:    女性社員の割合:

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:    女性:

¥ 資本金: 事業内容(業種):

〶 住所:〒607-8501 京都市山科区東野中井ノ上町11-39☎ 電話:075-581-6119  FAX:075-501-4770  ホームページ:http://www.sing.co.jp/

社員数:261名  男性:157名  女性:104名 女性社員の割合:39.8%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:12.7%  女性:10.6%

¥ 資本金:5,390万円 事業内容(業種):教育図書出版(幼児から中学3年までの学習教材の出版、販売)

1 行動計画の策定

 幼児から中学3年までの月刊家庭学習教材「ポ

ピー」や、小・中学校向けの学校教材を発行して

いる株式会社新学社は、その経営計画で人材育成

を最重視している。平成16年に当時の社長の指

示により、社員満足や女性社員が働き続けられる

ことを目指した“ファミリー・コンシャス・プロ

ジェクト”(育児・介護支援対策検討プロジェクト)

を立ち上げた。もとより、家庭の支えがあるから

社員が活躍できると考えていて、2年に1度の家

族懇親会を継続するなど、家族に感謝する文化が

ある。“配偶者出産休暇”、育児社員のニーズに応

じた“年次有給休暇の半日取得”など、法定以上

の育児支援制度も導入していた。

 プロジェクトのスタートと同時期に次世代法に

よる行動計画の策定を知り、類似の内容になるこ

とから行動計画を策定したものである。

 策定にあたっては、「仕事と家庭の両立を支援

し、育児・介護などに関する社内制度を安心して

利用できる職場環境を整備する」ことを目的とし

た。社員満足と顧客満足は一体であるというのが

前提にある。

 社内体制としては、プロジェクトチームをその

まま行動計画の推進役に位置づけた。プロジェク

トチームは、総務部長以下、男女各3人で構成。

総務部員に、育児経験者を加えた形だ。半数は本

社以外から選ぶなど、全社的な活動であることを

打ち出している。メンバーの総務部員と育児経験

者で、既存の法定制度や会社独自制度のなかにも

利用しにくい面があることを把握していたため、

法を上回る制度の導入から既存制度の利用改善ま

で、数多くの目標を盛り込んだ。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 平成17年4月からの第1回行動計画の目標は

別掲のように、法を上回る育児支援制度の実施と

その内容の周知、残業時間の削減や年次有給休暇

取得促進のための制度の改善などである。新制度

や制度改善の具体的な部分は、社員のニーズを反

映した。管理職、育休を取得している部下がいる

管理職、女性などと区分してアンケートを実施。

育児経験者へは個別インタビューするなど、ニー

ズの把握には力を割いた。

 プロジェクトでの検討の結果、とりまとめた制

株式会社 新学社~社員の本音をひき出すためのアンケートは重要~

株式会社 新学社

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

48

株式会社

新学社

度等が役員会の承認を得て、計画に掲げた目標が

すべて実現する運びとなった。さらにその活動の

過程で、男性社員にも育児休業が理解され、実際

に取得者が現れた。行動計画策定時点では認定を

意識していなかったが、プロジェクトの成果を社

内外で明らかにする意味で、認定申請することに

したものである。

 実は、最初に届け出た計画の目標設定が甘く、

計画期間は平成19年3月31日までなのに、新制

度移行は翌4月1日と決まった。これでは期間内

の目標達成とは認められないこと、4月以降に男

性の育児休業者が見込まれたことから、一般事業

主行動計画変更届を提出して計画終期を7月末ま

で4カ月延ばす工夫をして、認定に至った経緯が

ある。

 社員の意見聴取から実施案の提示まで、プロ

ジェクトメンバーが活躍したが、社長の指示でス

タートしたこと、経営幹部(現社長)がプロジェ

クトの責任者であった点から、役員会の理解も得

やすかったようだ。

 実現した支援策については、A4版カラー刷り

6ページのパンフレットを作成し、全社員・全管

理職へ説明会を実施した。課題となったのは、対

象者の線引きをどこまでにするかということで

あった。結果的に、短時間勤務制度、時間外・深

夜勤務の制限、看護休暇の対象は「子が小学校3

年生修了時まで」としている。これは、「小学生

になっても低学年までは大変で、高学年になれば

ひと安心できる」という経験者の声を取り入れた

ものだ。

 育児休業は、男性1人、女性8人(88%)が

取得。男性は第2子の産後、第1子の世話等のた

め短期間休んだ。女性はみな長期間で、保育所に

入所できないため1歳半まで休む社員も半数ほど

いる。10年ほど前に比べて社内の雰囲気は確実

に変わっていて、育児休業を取得し、現職復帰し

ている。休業者の業務は、作業の見直しなどによっ

て部署内でカバーするほか、派遣社員を活用する

場合もある。

3 認定取得のコストと効果

 プロジェクトメンバーが社外の無料セミナーに

参加したほかはすべて社内で対応していて、計画

実現に特別なコストはかけていない。休業者代替

要員の派遣社員にかかる費用も、休業者が無給に

なることと相殺できる。出費は、パンフレットの

印刷代と月2万円の保育所手当であり、これに拡

充した特別休暇の有給分を加えたコストが増えた

ことになるが、田附義明取締役は「それによる成

果の方が大きい」と評価している。

 行動計画は社内LANによって全社員に公表し

た。認定取得の際も同じく、社内LANや社内報

を通じて社員に周知している。

 「くるみんマーク」は、本社受付や会社案内、ホー

ムページや就職ポータルサイトに掲載している。

ホームページ上では、トップページに『認定を受

けました』というバナーを張り、両立支援のコン

テンツを設けて行動計画の概要を公表している。

 また、全社員の名刺にも「くるみんマーク」を

入れていて、営業部員などからは「取引先と話し

やすくなった」という声も出ているという。教育

図書出版社としてイメージアップにつながること

から、より有効に活用するよう、総務部から各部

署へ呼びかけている。

 まだ、取引面などで直接的な認定の効果が出て

いるわけではないが、社内には、「会社は本気で

子育て支援に取り組んでいる」という姿勢を理解

してもらうことができた。育児休業を取った男性

は1人だけだが、看護休暇や時間外勤務の制限な

ど他の支援メニューの利用は増えていて、その中

には役職者の利用も少なくない。

 そして、制度運用がスムーズに進み、育児休業

した女性が確実に復帰し、継続勤務するように

なっている。田附取締役は、「休業者は、出産・

育児を経ても戻ってくることができる安心感を持

つ。上司や同僚は、経験のある人、気心の知れた

人と継続して仕事ができることで、職場に連帯感

が生まれる。これは何物にも代えられない成果」

という。

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認定企業事例

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 平成19年8月からの第2回計画策定にあたっ

ては、再度アンケートを実施。その結果、制度を

安心して利用できる職場環境の整備に向け、所定

外労働の削減、年次有給休暇の取得促進、育児支

援に関する内容の社員への周知を目標に掲げてい

る。第1回計画では社員のニーズに応え、数多く

の法を上回る制度を導入することに成功した。一

方で、制度を整備するだけでは不十分だという意

見が多かった。

        

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 行動計画の実践についてプロジェクトチームは、

社員が何を求めているかをしっかり聴くこと、体

験者の意見を大切にすることをポイントに挙げて

くれた。チーム内で予想と実際のニーズには差が

あり、既存制度の使いにくさなども明らかになっ

た経験からだ。それには、「アンケートは無記名

とし、回収率を上げる」のが重要としている。

 育児支援制度に対して財団法人21世紀職業財

団の両立支援レベルアップ助成金「ベビーシッ

ター費用等補助コース」の2分の1助成、短時間

勤務に対して同「子育て期の短時間勤務支援コー

ス」(50万円)の助成金を申請している。

育児支援策を利用した社員の声を子供の写真入りで掲載したほか、クイズ形式で制度を紹介するなど、利用促進に向けて広報する

参考資料:認定取得を報せる社内報(抜粋)

社内風景

社員向けパンフレット

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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株式会社

新学社

【株式会社新学社の行動計画(第1回)】

1.計画期間 平成17年4月1日~平成19年7月31日

2.内  容

目標1  法を上回る育児支援制度の実施

目標2 小学校就学前の子供を育てる労働者が利用できる措置

【対策】● インタビュー・アンケートを実施し、どういった制度が求められているか把握。● アンケートの意見をまとめ、さらに座談会を開催し、改正案の絞込み。● 改正案をまとめ、平成19年4月1日実施に向けて、役員会の承認を得る。         ↓● 具体的な法を上回る育児支援制度    ・子の1歳の誕生日休暇の設置  ・育児短時間勤務  ・時間外・深夜勤務の制限  ・子の看護休暇  ・配偶者出産特別休暇  ・有給休暇  ・金銭的支援

目標3 育児支援に関する内容の社員への周知

【対策】●  アンケートの中に現在の育児支援内容を記入し、現制度を知っているか確認。記入

することによって、周知する。● 全社員への改正育児支援の説明会実施。  全社員へ改正育児支援パンフレット配布。  管理職者への育児支援制度の説明。

目標4 残業時間の削減、有給取得促進の為、制度改正

【対策】● ノー残業デーを月1回実施。● 有給を利用しやすいように制度を改正する。

目標5  地域との連携をはかる為、チャレンジ体験(中学生の職場体験)の積極的受け入れを行う。

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認定企業事例

1 行動計画の策定

 平成5~18年に当社の取締役総務部長として

人事労務関係を一手に引き受けていた監査役が、

今般の行動計画策定に携わっており、ここ20年

にかけてその時々の職場事情に合わせて、労働時

間の短縮措置や高年齢者雇用の確保など様々な人

事施策を法律に先駆けて行ってきている。

 今般の計画策定についても、3年前の平成18

年に、当社初の育児休業取得者が発生したことを

きっかけとして取り組むことになった。

 当社の樋口社長は、4・5年前から女性社員の

採用および基幹業務への登用に積極的に取り組ん

でいる。そこには「世の中には “実力のある優秀

な女性”がたくさん溢れている」との想いがあり、

「女性を戦略化し、経営の中核へと底上げするこ

と」を現在の経営戦略の一つとしている。

 タイや中国をはじめ国外にもマーケットの拡大

を展開している当社としては、今後も「効率良く

仕事を行う語学堪能な女性社員を重要な戦力とし

て処遇していく」こととしており、昨年の4月か

ら女性社員を3名程チーフ職へ登用した。

 また、仕事と家庭の両立についても、社員には、

「まず家庭を大事にしなさい」と言っている。「家

庭を愛して、また家族に愛されてこそ、仕事に対

するヤル気が生まれてくるんです。そして、その

ヤル気が、やがてには会社の利益を生むんです。」

として、社員第一主義の経営方針を取っている。

 今般の計画策定を含めた次世代育成支援対策

推進法(以下、「次世代法」という)による全て

の取組みについては、社内組織のTM会(トゥモ

ロー・マネージメント)を活用した。この組織編

成は全社員の投票で3名を選出、2名は社長指名

の計5名のメンバーで構成する。

 TM会の役割は、次世代法の啓発、行動計画の

策定(社員のニーズを聴取)、行動計画の取組み

内容について検討し、社員に情報を発信すること

にある。当社では他に委員会活動なるユニークな

ものがあり、ヒラメキ委員会、スッキリ委員会、

ハツラツ委員会、トキメキ委員会が社員の自主運

営で活動している。委員会には全社員在籍するシ

ステムになっている。

 今回の行動計画の策定にあたっては、当社の人

事方針から、社員と家族が一体となれる様な項目

を考え、定めることとし、社員が家庭に接する時

間を少しでも多くするように、「年次有給休暇の

株式会社 天彦産業~社員第一主義の経営方針~

〶 住所:〒559-0032 大阪府大阪市住之江区南港南5-5-26☎ 電話:06-6613-2361  FAX:06-6613-2367  ホームページ:http://www.tenhiko.co.jp/

社員数:36名  男性:26名  女性:10名 女性社員の割合:27.8%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:19.4%  女性:2.7%

¥ 資本金:2,083万円 事業内容(業種):特殊鋼・鉄鋼及び加工品、国内外販売

株式会社 天彦産業

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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株式会社

天彦産業

取得促進」を基本として盛り込むことを第一に考

えた。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 第1回目の計画を届出する際には、認定申請未

定で提出していたのだが、大阪労働局より、「御

社の取り組み成果によっては認定が受けられ、社

外にも示すことができますよ」 との説明を受けて、

認定取得を目指すことになった。

 社内の全体会議で、まず次世代法の趣旨を話し、

その後にTM会で取りまとめられた計画内容を報

告した。

 また、その後の大阪労働局への届出経過につい

ても逐次社員に報告をする一方、並行して取り組

んでいる財団法人21世紀職業財団の「中小企業

子育て支援助成金」の申請の経過についても報告

をした。

 なお、この全体会議は、年2回行われ、全社員

に出席義務がある。

 今般の計画策定の目標については、先述のよう

に、社員が家庭と向き合えるような施策にすると

いう方針から、以下の目標を掲げることとした。

 ①の年次有給休暇の取得促進については、社長

が最も力を入れているところでもある。

 当社では、15年程前、ある社員が子どもの入

学式のためにと、有給休暇の取得を申し出たとこ

ろ、その社員の所属上司が拒否をした。

 その一部始終を聞きつけた社長は、その社員に

改めて当該日の有給を取得させた上で、その後の

管理職会議の中で、「お子さんの学校行事は、社

員のみならずそのお子さんにとっても、かけがい

のない1日のはず…、私は社員の幸せを奪ってま

で仕事をさせたくはない」とたしなめたという。

 そこには、社員には思いやりを与えてあげれば、

やがてには、その社員のヤル気にも繋がり、後に

何倍もの貢献度となって会社に返してくれるとい

う社長の想いがある。今回の有給取得促進には、

そうした想いも反映されている。

 次に、②の子供参観日を設けた趣旨であるが、

これは学校で行われる授業参観日との整合性を

図ったものであって、「子ども達にも、親の働く

姿を見せてあげられる日があっても良いのではな

いか」という監査役の考えから設けられたもので

あり、当社としては、主に下記に掲げる相乗効果

も期待している(「子供参観日」のスケジュール

およびに当参観日の模様は、後掲資料①・②)。

(A)  働く親の姿を見て、親に対する感謝と尊敬の心を持たせたい

(B)  将来、父親の後を継ぎたいという働くことの大切さを伝えたい

(C)  親子のふれあいと子ども同士の交流の場としたい

 参観日後の社員の感想としては、「子どもに自

分の仕事や会社のことを教えてあげられる良い機

会となった」、「会社の話題で親子の会話が弾みま

した」などで、予想以上の好評を得ている。

 育児休業については、この計画期間内に、男性・

女性それぞれ1人ずつの取得がある。女性につい

ては、計画期間開始後の平成18年8月の産休か

ら始まり、1年間の育児休業を取得した。

❶ 年次有給休暇の取得促進に向けた「各種休暇」の設定  ◦ リフレッシュ休暇…7~8月に当社所定のお盆休みのほかに自由に2日取れる休暇  ◦ 誕生日休暇…本人または配偶者の誕生日に取れる休暇  ◦ 半日有給休暇制度…特に、子どもの入学式 、卒業式 、授業参観日のために取れる休暇❷  子どもに働く姿を見せる「子供参観日」の実施

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認定企業事例

休業取得者のコメント 貿易業務担当の女性社員  「休業中は、安心感を持てたせいか、日が経つにつれ子育てにも慣れ、心に余裕ができました。私に安心感を与えてくれた会社や同僚のみんなには大変感謝しています。今後は、私のように育児休業を取得する同僚に対しても、今度は逆に私がサポートしていきたいです。」 「休業期間中、子どもが寝ている時間などを利用して語学勉強をし、職場復帰後の仕事にも役立てました」と言う。そうした意味で、本人が休業期間中にスキル・アップを果たした意義は、後発の育児社員にとっても良いモデルになったと会社では考えている。

3 認定取得のコストと効果

 名刺や封筒へ「くるみんマーク」を印刷し、更

なるイメージアップから業績に繋げていきたい意

向で、今後はホームページへの掲載も予定してい

る。また、当社玄関に基準適合一般事業主認定通

知書を掲示している。

 従業員への周知については、朝礼や全体会議の

場で、計画の策定から認定に至るまでの経緯を説

明した上で、認定の取得についても改めて全社員

に周知した。

 認定取得の効果については、社外的には、何と

いっても、当社の取組みがマスコミに取り上げら

れていることが大きい。

 業界紙や団体組合広報誌などで取り上げられる

一方、平成20年夏に読売テレビで当社の「子供

参加日」の模様が放送され、反響を呼んでいるよ

うだ。

 また、当社が籍を置く中小企業組合の勉強会で

も、“当社の取組み”や“計画の策定から認定に

至るまで”を講演した。

 社内的には、国の制度に沿って人事施策を行っ

ていることが、社員には更に安心感を与えている

ようで、モチベーションの高揚にも繋がり、社格

アップも感じている。

 今後期待する効果については、社外的には、「当

社の行動計画を他社がご覧になって、うちも行動

計画を策定しようという呼び水になることをまず

は期待します」。そして、他の100人以下の中小

企業でも、女性社員の雇用について産休~育児休

業~職場復帰という流れを常態化することを当社

では期待している。

 社内的には、社員の更なるモチベーションアッ

プを図り、キャリアアップを望むと同時に、求人

面においても、優秀な人材を確保できることを期

待している。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 今後も、社員が休暇を取得しやすい雰囲気づく

りを形にしていくことを心掛け、また、育児をす

る社員が、安心して子どもの世話をできるような

施策も考えていきたいとしている。

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 「今回のような育児支援の取組みをただ単に法

律の要請として捉えるのではなく、社員の私生活

が有意義なものになるための土台造りに懇切丁寧

に取組む姿勢が、大きな鍵になると思います」と

社長は語る。

 また、「社員の実情に合ったものを敏感に察知

して計画を策定すると良いでしょう」と、監査役

も今回の取組みに深く関わった立場から話してい

た。

社内風景

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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株式会社

天彦産業

【株式会社天彦産業の行動計画】

 従業員の働き方を見直し、家庭生活との両立が図られ、特に親と子のふれあいを密にするとともに、出産後も働きやすい環境を整備、支援するものである。

1.計画期間 平成18年5月25日~平成20年5月24日までの2年間

2.内  容

目標1  有給休暇取得促進策として新たに休暇制度を導入する     リフレッシュ休暇     誕生日休暇     半日休暇制度

【対策】● 平成18年6月検討に入る

目標2 平成19年夏休み期間において子供参観日を開催する

【対策】● 平成18年6月検討に入る

資料① 「子供参観日」のスケジュール 資料② 「子供参観日」の模様

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認定企業事例

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ああ

〶 住所:〒649-6216 和歌山県岩出市野上野15-3☎ 電話:0736-67-3050  FAX:0736-67-2050  ホームページ:http://www.mille-ferme.com/

社員数:30名  男性:7名  女性:23名 女性社員の割合:76.7%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:6.7%  女性:33.3%

¥ 資本金:300万円 事業内容(業種):繊維製品の企画製造販売

1 行動計画の策定

 “ミル・フェルム”のブランドで、おしゃれ授

乳服の先駆けとなった有限会社シーエスピーが、

インターネット市場に開店したのは平成15年の

ことである。ユーザーの要望を取り入れた商品が

多くの支持を得て、その後一年間で売上が50倍

にアップし、4人だった社員も増えていくことに

なる。千畑博信社長はこのとき40代に入ったば

かり。アパレル業界での経験は長く、子育ての経

験はあるものの、マタニティーなどに特別詳しい

わけではなかった。そこで、ママの声を商品企画

に反映するため、育児経験のある女性を積極的に

採用。それらの社員が働きやすい職場づくりに取

り組んできた。

 しかし、平成17年ごろ、急成長した企業によ

くあるように、業務量が増えて人材不足と長時間

労働が慢性化した。ベテランと新人の間に温度差

ができたり、社内規程等の整備が遅れがちになり、

退職者も少なくなかったという。子育て支援策で

従業員と意見が合わないこともあった。

 それらを解消し、社員のニーズにあった制度を

整備したり、社内のルールを整理するのに、行動

計画に基づく取り組みを実践するのがピッタリと

考えたものである。女性の継続勤務が増えるよう、

妊娠から復職までを支援するとともに、独身者等

を含めた全社員の働き方を見直すことを目指した。

 平成18年からの第1回行動計画は、千畑社長

自身の構想を、育児経験のある庶務担当の女性社

員がまとめるという方法で策定した。千畑社長は

それまでの大勢の採用面接の場面などで、労働条

件や育児支援の要望を聴いてきた蓄えがあり、そ

の中で自社として実現可能な、身の丈に合ったも

のを目標とした。

 とはいえ、第1回計画で掲げた目標は別掲のと

おり、①妊娠中や産休復帰後の女性社員のための

相談窓口を設置、②小学校就学前の子を持つ社員

の短時間勤務制度の導入、③乳児連れて勤務でき

る施設の設置、④育児休業・職場復帰しやすい環

境を整備するための社内検討会の実施、⑤ノー残

業デーの設定、⑥授乳コーナーや乳幼児と一緒に

利用できるトイレの設置、と設備面は大企業にひ

けをとらない充実ぶりだ。

 これには、新社屋の建築を予定していて、ショー

ルーム内の顧客向け設備を活用するといったこと

が可能な事情があった。

有限会社 シーエスピー~認定を受けて社内に優秀な人材が定着~

有限会社 シーエスピー

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

56

有限会社

シーエスピー

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 千畑社長はアパレル業の経験で、中国との価格

競争により生産が減り、事業縮小を余儀なくされ

た業界を目の当たりにしてきた。いま同社の経営

は好調だが、環境変化は速い。持続可能な経営の

ためには、顧客が自社の商品を購入する理由が必

要と考えている。社員の子育てを支援している企

業と認められること、それを証明する「くるみん

マーク」を掲げられることは、顧客が自社を選ぶ

のに重要な企業イメージづくりに役立つはずと、

行動計画に取り組んだ当初から認定を得ることを

目指していた。

 具体的な取組みは各部署の主任クラスで構成す

る社内検討会で検討するなど、特別な体制はとら

ずに企業全体で臨んだ。しかし、目標①の相談窓

口の庶務部門の女性2人の存在は欠かせなかった

という。相談窓口の社員は、「NPO法人日本子育

てアドバイザー協会」主催の子育てアドバイザー

養成講座を修了し、育児休業や短時間勤務といっ

た社内の労働条件面だけでなく、妊娠や子育て全

般の悩みについて相談に応じている。両親等のサ

ポートがなく初めて育児をする新米父母も多く、

身近に相談窓口があるのはとても心強い。

 目標⑤のノー残業デーの設定の場合、残業時間

の現状を把握した上で、方法を決め、検討開始か

ら1年後に「毎月第3木曜日のノー残業デー」を

導入した。導入前には文書を回覧したり、掲示物

によって社員に周知している。

 各種支援対策を規定化する際には、顧問の社会

保険労務士のアドバイスを受けている。

 計画期間中の育児休業対象者は、男女とも1人

で、それぞれ取得した。男性は生産管理担当で、

第3子誕生時に暦上で2週間取得した。繁忙期

だったが、パートタイマーの勤務時間を延長した

り、同僚の応援によって業務をカバーした。

 女性は企画担当で、子が1歳になるまで休業し

た。人員を増やしている時期も重なり、代わりに

1人を新規採用した。休業中は頻繁にメールで連

絡をとり、復帰前は社外セミナーを受講させるな

どで、復職の不安の解消を図っている。復帰後は

母子でモデルをしたり、商品開発に意見を出すな

ど、休職者ならではの貢献も多い。

 同社の両立支援策で利用度が高いものに、目標

②の短時間勤務制度がある。小学校就学前の子を

持つ社員が、終業時刻18時30分を1時間繰り上

げることができるものだ(始業は地元の感覚でか

なりゆっくりめの9時30分のため、保育所の送

迎等にも支障はない)。これまで女性7人が利用し、

現在も対象女性の4分の3が利用していることか

ら、育児社員は残業しないで勤務する雰囲気が浸

透している。

3 認定取得のコストと効果

 行動計画に取組んだことによるコストは、意外

と少ない。授乳コーナーやトイレの設置は、顧客

向けを兼ねたもので、人的コスト(担当者や検討

委員会の労力)は業務の一環に入る。唯一、相談

窓口への研修に直接的な費用を支出したが、それ

以上の効果があったと考えている。

 認定取得後は、厚生労働省の記者発表を通じて、

行動計画を公表した。「くるみんマーク」は会社

のホームページほか、商品広告にも掲載し、社外

に周知している。平成20年春物からは、東京都

内の地下鉄の中吊り広告にも表示している。

 取引先の百貨店、育児関連用品メーカーの担当

者のなかには、くるみんを知っている人がいて、

同社商品の再評価にもつながっているという。

 また、求人広告にもくるみんを活用している。

行動計画に取り組んで以降、応募者が増え、求人

の10倍以上に上ることもある。また、応募者の

質も向上した。以前に比べ、意欲や能力の高い人

から選抜できるようになり、社内に優秀な人材が

定着した。行動計画の実現に向けて全社員が共通

認識のもとで協力したことと、新社屋完成や設備

改善との相乗効果で、社員がプライドを持って働

くことができる職場になっているという。

 短時間勤務者が増えたり、子どもの急病などで

早退する同僚がいても、独身社員も含めて「お互

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認定企業事例

いさま」という雰囲気が生まれ、気兼ねしないで

支援策を利用できる。妊娠イコール退職といった

イメージ、出産・育児の漠然とした不安があった

女性が、会社の姿勢や支援策を理解した結果、退

職を踏みとどまったというケースもある。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 環境変化が速いことから、平成20年からの第

2回計画も最短の2年間とした。第1回の目標を

達成し、ほぼ期待通りの成果が現れたが、男性の

制度利用が少ないこと、全社的に年次有給休暇の

取得率が低いことから、「出産時の父親休暇」の

導入、年休の取得促進などを目標に掲げた。第1

回の具体的制度を検討する過程で、全社員を対象

としたアンケートを実施し、そこで寄せられた意

見などを参考にしている。

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 千畑社長は、「昨今、雇用情勢は激変したとい

うものの、中小企業は人材不足、とくに質の面で

不足しているという悩みは変わりない。行動計画

を策定し、認定を目指すという社内の取組みは、

優秀な人材をひきつけるはず」と、中小企業での

人材戦略を助言する。

社内風景

認定後は、市民が目にする広告にもくるみんマークを活用

参考資料:同社商品「ミル・フェルム」の電車中吊り広告

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認定企業事例

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有限会社

シーエスピー

【有限会社シーエスピー行動計画(第1回)】

 社員の働き方を見直し、特に女性社員の継続就業者が増えるよう、妊娠・出産・復職時における支援のあり方を検討する。

1.計画期間 平成18年1月1日~平成19年12月31日までの2年間

2.内  容  子育てを行う労働者等の労働生活と家庭生活の両立を支援するための雇用環境の整備

目標1  妊娠中や産休復帰後の女性社員のための相談窓口を設置する

【対策】● 平成18年1月 :相談窓口の設置について検討する● 平成18年2月~:相談員の研修を行う● 平成18年10月 :相談窓口を設置することを社員に周知する

目標2 小学校就学前の子を育てる労働者が利用できる短時間勤務制度を導入する

【対策】● 平成18年5月 :小学校就学前の子を持つ社員の勤務時間の実態を調査する● 平成18年8月~:社内検討委員会を設置する● 平成18年9月 :制度内容を検討する● 平成19年1月 :制度を導入して社員に周知する

目標3 乳児の世話をしながら勤務できる施設を設置する

【対策】● 平成18年4月 :施設内容を検討するチームを設置する● 平成18年5月~:施設内容を検討する● 平成18年7月 :設置業者との打ち合わせを実施する● 平成18年10月 :施設の存在を社員に周知し、利用を開始する

働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備

目標4  育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境を整備するための窓口を設置し、社内検討会を実施する

【対策】● 平成18年9月 : 社員の具体的なニーズ調査のためにアンケートを実施するアンケート

を集計し、内容をまとめる● 平成18年10月 :アンケートの結果と今後の対策を社員に配布する● 平成18年11月~:窓口を設置して社員に周知する           窓口担当者の研修を行う● 平成18年12月 :窓口担当者を中心に社内検討会を開く

目標5  所定外労働を削減するため、ノー残業デーを実施する

【対策】● 平成18年11月 :検討グループを設置する● 平成18年11月~:残業時間の現状を把握する● 平成19年2月~:制度内容を検討する● 平成19年4月 :制度を導入して社員に周知する

その他次世代育成対策

目標6  新社屋の来客スペース部に授乳コーナーや乳幼児と一緒に利用できるトイレを設置する

【対策】● 平成17年7月  設置業者との打ち合わせを実施する● 平成17年10月  設置するとともに施設の存在を社員に周知する● 平成17年11月  利用開始

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認定企業事例

【有限会社シーエスピー行動計画(第2回)】

 子育てを行う社員が仕事と子育てを両立させることができ、全ての社員がその能力を十分に発揮できるような雇用環境の整備を行う。 また、次世代育成支援に貢献できる企業となるため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成20年1月1日~平成21年12月31日までの2年間

2.内  容  子育てを行う労働者等の労働生活と家庭生活の両立を支援するための雇用環境の整備

目標1  子どもが生まれる際の父親が取得できる休暇制度の導入

【対策】● 平成20年4月 :社内の具体的ニーズの調査・分析する● 平成20年10月 :制度の詳細に関する検討を開始● 平成21年4月 :特別休暇制度の運用開始           社内回覧や掲示を活用した制度の周知・啓発の実施

働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備

目標2 年次有給休暇の取得の促進のための措置の実施

【対策】● 平成20年1月 :年次有給休暇の取得状況を分析し、現状を把握● 平成20年12月 :改善点を検討し、1人あたりの年次有給休暇の取得日数を設定● 平成20年12月~:社内回覧や掲示、朝礼等を活用した周知・啓発の実施

その他次世代育成対策

目標3  若年者に対するインターンシップ等の就業体験機会の提供、トライアル雇用等を通じた雇入れまたは職業訓練の実施

【対策】● 平成20年6月 :就業体験者の受け入れ体制について検討開始● 平成20年7月 :受け入れ担当者を決定し社員への説明を行う● 平成20年8月 :就業体験者の受け入れを実施

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認定企業事例

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オタフクソース

株式会社

ああ

〶 住所:〒733-8670 広島県広島市西区商工センター7-4-27☎ 電話:082-277-7111(代)  FAX:082-277-3879  ホームページ:http://www.otafuku.co.jp/

社員数:470名  男性:316名  女性:154名 女性社員の割合:32.8%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:30.0%   女性:10.4%

¥ 資本金:1億円 事業内容(業種):製造業(ソース、酢、たれ、その他調味料の開発・製造・販売)

1 行動計画の策定

 オタフクソース株式会社はここ20年間、右肩

上がりに売上を伸ばし、社員数も増えている。最

近は新卒者を毎年25人前後採用し続けているた

め、創業80年を超える歴史にもかかわらず、社

員の平均年齢は33歳(平成20年10月現在)と

若い。

 「健康と豊かさと和」をもたらすことにより社

会に貢献するを企業理念に掲げていて、まず社員

自身が食育の大切さを知り、団らんの楽しさを実

践することを促している。そのため、平成17年

の行動計画策定前から家庭生活の充実を目指す労

働環境づくりや、家族向けの施策に取り組んでき

た。法定期間より長い育児休業を認めたり、家族

の誕生日や結婚記念日に取得できる「団らん休暇」

を設けたり、社長直筆の手紙を添えて子供に入学

祝い金を贈呈、同居の親等を家族手当の対象とし

ている。

 10年くらい前から女性社員の託児所設置の要

望が目立つ一方、経営層でも少子化問題への貢献

方法を議論していた。平成16年、白根佳雅取締

役が人事部門の統括担当となったのを契機に、“社

内アクション・プラン”を定めて両立支援策を体

系的に再整備しようとしていた矢先、次世代育成

法が施行されたため行動計画を策定したものであ

る。

 創業者から続く代々の経営者は、「社員が子を

生み、育てること」「家族を大切にすること」を常々

表明している。行動計画の策定にあたっては、子

供を生むときだけでなく、育てるのに役立つ点を

重視した。自社なりに育児のあり方を検討し、そ

れを反映するよう努めている。

 “社内アクション・プラン”は、人事部門トッ

プである白根取締役が構想をまとめ、人事部門島

原由里子シニア(係長級)がそれを明文化した。

平成17年4月からの第1回行動計画は、それを

手直しして策定したかたちで、人事部門の本来業

務の一環として取り組んだ。以前からすべての社

員から意見を聴く仕組みがあり、育児支援への要

望も承知していたため、あらためて自社の現状や

ニーズを把握したり、特別な体制を取るようなこ

とはしていない。

 第1回の目標は別掲のとおり、小学校入学前の

子を持つ社員への短時間勤務制度の導入、出産や

子育てによる退職者の再雇用制度の導入、年次有

オタフクソース 株式会社~トップの構想を明文化~

オタフクソース株式会社 本社工場

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認定企業事例

給休暇の取得率のアップなど4つ。育児しながら

勤務したい社員には、保育所送迎が可能な出退勤

時刻が不可欠である。幼児期は一緒に過ごし、そ

の時期を過ぎた後でまた活躍したいという者に応

える仕組みを整えるべきで全社的に年休の取得率

が低い、というのが主な理由である。

 社員の要望、子育てのあり方、自社の体力に合

わせた経営負担のバランスを考慮して、目標を定

めた。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 行動計画の取組みは、人事業務の一環として、

白根取締役を含めた本社人事部門6人のチーム

ワークで進めた。短時間勤務や再雇用制度の具体

的内容を検討する際には、育児経験者などに個別

ヒアリングを行っている。

 ただし、実際の育児休業や短時間勤務などの場

面では、職場ごとの上司の役割を重視し、人事部

門はサポートに回る。休業等に伴う業務の調整な

どは上司の役割であり、それを含めて相談し、自

分が休んでも職場に迷惑がかからないという安心

感がなければ、利用は進まない。休暇中の上司と

休業者の「コミュニケーションシート」を作るな

ど、ルールは人事部門で決めるが、シートのやり

とりといった運用はあくまで上司の仕事である。

 行動計画策定などは随時、毎月発行の社内報な

どで周知。行動計画の実施段階ではまず、ルール

を浸透させるため、社内規定の整備から着手した

という。できあがった規定は、社内LANで公表

し、さらに、制度内容や具体的手続きをハンドブッ

クとしてまとめ、同じく社内LANでだれもが見

られるように公表した。上司や同僚に対するメッ

セージも掲載していて、単なる手続きマニュアル

ではない。同社は全国に営業所があり、人事部が

拠点を回って、社内規程の変更と併せて説明した。

 短時間勤務制度は、小学校入学未満の子を持つ

社員を対象に、始業1時間の繰下げ、終業1時間

の繰上げ、またはその両方を利用できる3パター

ンを導入。再雇用制度は退職時の要件、再雇用申

請時の要件を整備した。この2つの制度導入につ

いては、経営トップが両立支援策に積極的である

とともに、経営幹部が人事部門の責任者であった

ためか、スムーズに進んだという。年休の取得率

向上は、社内報などで広報すると同時に、社内旅

行の日程に有休の計画的付与を活用するなどして

実現した。

 育児休業の取得実績は、女性14人(100%)、

男性1人となった。休業者の業務は、部署内で業

務を調整したり、派遣社員を活用したりしている。

短時間勤務は女性5人が活用した。なかには、フ

ルタイムで復帰したあと子供の体調不良が続き、

それを心配した上司から勧められて利用したケー

スなどもあり、同社の管理職の意識が高いのがう

かがえる。

休業者のコメント 第一子出産の際、1歳2カ月まで休業した、品質保証部の久保由紀子さんの場合、妊娠がわかった時点で最初に上司へ相談。休業中の代替要員の目処が立ち、安心して出産に臨めたそうだ。休業中は毎月1回、上司に「コミュニケーションシート」を提出した。自分の状況を伝えるとともに、会社の状況もわかって安心でき、人間関係を維持するのに役立ったという。社内の通信教育を受講し、会社から完全に離れた感じにはならなかった。短時間勤務は利用していないが、実際にやってみないとわからないことばかりなので、制度があると安心できるという。

3 認定取得のコストと効果

 工場見学者が訪れるロビーやエレベータ内に、

認定企業である旨を知らせている。「くるみんマー

ク」は、ホームページ内の採用情報の欄や、会社

案内のパンフレットに掲載。会社案内には行動計

画の概要を公表。ホームページでは「少子化対策

への取組み」と題して行動計画の概要とくるみん

の意味を紹介している。

 効果の面では、行動計画を策定して以降、出産・

育児を理由に退職する社員がいなくなった。育児

支援の充実は、長く勤めたい女性の重要な要素と

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認定企業事例

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オタフクソース

株式会社

なっていて、実際にそのような意識の女性が入社

してくるため、退職しないという循環を生んでい

るようである。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 第2回計画は、“社内アクション・プラン”で残っ

たものを盛り込んだかたちである。「在宅育児手

当」(1歳6カ月未満の子供を持つ社員や配偶者

が育児に専念するとき月2万円を支給)、「父親休

暇」(配偶者の出産時に有給1日付与)を実現し

ている。

 今後は、再雇用制度を利用しやすいよう見直し

たり、事業所内託児施設の開設を検討していく。

 これについては、財団法人21世紀職業財団の

両立支援レベルアップ助成金(事業所内託児施設

設置・運営コース。設置費用、運営人件費の各3

分の2を支給)を活用したい意向で、財団に相談

しているところである。           

       

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 白根取締役は、「育児支援の取組みは、経営トッ

プの考え方次第。企業はなんのためにあるのかと

考えると、実現は可能」と語る。また人事部門では、

「社員が制度を利用し、喜んでいるリアクション

がトップに届けば、それがまたトップを動かす」と、

社員のニーズに合った施策にすることを強調する。

お好み焼を焼く日

社員からは最近の状況や会社への要望ほか、業務面で気づいたこと、提案も書くようになっている

参考資料:休業中のやりとりに使用するコミュニケーションシート(抜粋)

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認定企業事例

【オタフクソース株式会社の行動計画(第1回)】

 社員が仕事と子育てを両立させることができ、社員全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての社員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次のような行動計画を策定する。

1.計画期間 平成17年4月1日~平成19年3月31日

2.内  容

目標1  計画期間内に、育児休業の取得状況を次の水準以上にする     男性社員…期間内に1人以上取得すること     女性社員…取得率を70%以上とすること

目標2  平成17年10月までに、小学生未満の子を持つ社員を対象とする短時間勤務制度を導入する

● 法律は子が3歳までは短時間勤務制度等を会社に義務づける  当社の短時間勤務制度は、子が小学校に就学するまで   ①8:00~16:00勤務、②9:00~17:00勤務、③9:00~16:00勤務

の3つのパターンから選択できる

目標3  平成17年10月までに、出産や子育てによる退職者についての再雇用制度を導入する

● 当社の再雇用制度は次の社員に適用する   (退職時の資格要件)    ①退職時の勤続年数が3年以上    ②在職中の出勤率が良好で、人事考課が標準以上    ③退職理由が妊娠、出産、育児・介護   (再雇用申請時の資格要件)    ①年齢が満45歳未満    ②退職後の離職期間が6年以内    ③心身ともに健康    ④会社に通勤できる地域に居住

目標4 計画期間内に年次有給休暇の1人当たりの取得率をアップする

● 55期は有給休暇の取得促進として、   1.工場での有給休暇の計画的付与(1月13日)実施   2.社員旅行参加促進(1月~3月)

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認定企業事例

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オタフクソース

株式会社

【オタフクソース株式会社の行動計画(第2回)】

 家族団らん、育児を支援する観点から、「家族と触れ合う時間」が増える支援策を実行する。より幅広い社員が対象となる目標を設定し、全社で取り組む風土を醸成する。

1.計画期間 平成19年4月1日~平成21年3月31日

2.内  容

目標1  計画期間内に、育児休業の取得状況を次の水準以上にする     男性社員…期間内に1人以上取得すること     女性社員…取得率を80%以上とすること

【対策】● 育児休業期間中の代替要員の確保● 育児休業期間中の職場復帰プログラムの充実● 社内報等を活用した育児休業に関する情報提供

目標2 子育てを支援するための手当の見直し

【対策】● 実施予定日:平成19年10月1日~

目標3 出産時の「父親休暇」制度の新設

【対策】● 配偶者の出産時に1日「父親休暇」(特別有給休暇)を付与する● 実施予定日:平成19年10月1日~

目標4 年次有給休暇の取得促進

【対策】● 年間2日の有給休暇の計画的付与● 実施予定日:平成19年4月1日~

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認定企業事例

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ああ

〶 住所:〒034-0061 青森県十和田市大字切田字横道100-22☎ 電話:0176-25-1100  FAX:0176-25-1115  ホームページ:http://www.fukushinosato.com/

社員数:297名  男性:82名  女性:215名 女性社員の割合:72.4%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:6.1%  女性:14.8%

¥ 資本金:2億3,900万円 事業内容(業種):社会福祉

1 行動計画の策定

 当法人は、行動計画の策定当時、常用労働者が

300名を超えていたことで、計画を策定するこ

ととなった。また、職員の約7割を女性が占め、

特に20~40歳代の子育て世代が8割いること

もあって、平成14年頃から育児休業制度を利用

する者も多かったが、その一方で、出産や育児に

伴い、退職する女性職員も後を絶たなかった。

 こうした現状を踏まえ、男女全ての職員が安心

して働ける職場環境の構築も必要であるとし、計

画の策定に着手した。

 当法人の職員は若い女性が大多数を占めている

こともあり、理事長は、「せっかく技術を身に付け、

入所者や利用者とのコミュニケーションにも優れ

てきた職員を出産や育児という理由だけで失うこ

とはことは大きな痛手となる」と考え、今回の行

動計画の策定においては、出産・育児期を迎えて

も気兼ねなく休業が取得でき、安心して職場復帰

できるような職場環境の確立を目指し、計画を策

定した。

 今般の行動計画策定にあたっては、別段、検討

会のような組織は立ち上げなかったが、各事業所

との連携を密に保ちながら、行動計画の策定から

実施に至るまでを行った。

 具体的には、「介護老人保健施設みのり苑」に

置かれる統括本部(人事部)を拠点とし、十和田

市と野辺地町に展開する他の3施設の事務担当者

とともに、「職員の育児支援」をテーマに当法人

運用のホームページ上からイントラネットやメー

ルなどのネットワークを通じて、情報を共有し、

指示・伝達を行うようにしている。

 行動計画の項目設定にあたっては、職員の利用

勝手を最優先に考えることから、その職員の声を

反映させるという方針に基づき、無作為方式で各

施設の職員からアンケートを取った。

 そのアンケートの結果は、「年次有給休暇を取

りやすくして欲しい」、「子どもを気軽に預けられ

る託児所が欲しい」などの声があり、また男性職

員からは「妻の出産時に多少の連続休暇が欲しい」

といった声が多かった。

 また、こうしたアンケート実施と並行して、各

管理職(各部署長)を介して、“会社にして欲し

い子育て支援”という意見や要望を聞き取った。

アンケートや意見聴取の質問項目は、計画策定を

担当した人事部長が考えた。

社会福祉法人 福祉の里~安心して職場復帰できるような職場環境を確立~

「介護老人保健施設 みのり苑」

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

66

社会福祉法人

福祉の里

 そして、実際に計画の項目を定める際には、男

女双方に公平感のある定め方を心掛けた。

 例えば、第1回目の計画には、男性職員のため

の「配偶者出産休暇」を設けているが、これは、

同計画に定められている女性職員のための「母性

健康管理措置」との整合性から「男性職員も妻が

出産する際に休日を取れる日があっても良いので

はないか」という男女平等の視点から策定したも

のである。

 この「配偶者出産休暇」を利用した男性職員は、

この第1回目の計画期間の3年間で、10数名い

るとのことであるが、当法人の男性職員の数から

すると高い利用率である。

 また、幼少期の子どもを抱える職員が多いこと

から、「保育園の送り迎えのために、就業時刻の

調整をして欲しい」という意見も非常に多かった

ため、同計画に始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ

を含めた「短時間勤務制度」も盛り込むこととした。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 計画策定当初は、特に認定を意識してはいな

かったが、計画実施期間中の平成19年6月に財

団法人21世紀職業財団から「職場風土改革促進

事業」を推奨され、行動計画の実施と職場風土改

革を、並行して実施することになった。

 以後は、財団法人21世紀職業財団(両立支援

レベルアップ助成金の「職場風土改革コース」)

の受給も視野に入れながら計画の実施に取り組む

上で、労働局のアドバイザーの助言などを参考に、

職場風土の改善に取り組むこととし、まずは子育

てしやすい職場環境を意識する中で、一度届出し

た計画の見直しを行い、新たな項目として、①母

性健康管理措置を具体化し、就業規則に盛り込み

職員への周知を徹底する。②短時間勤務制度の導

入を含めた勤務時間体制の見直しを追加した。

 また、こうした行動計画の変更に伴い、当法人

では、当計画の取組み内容についての社内外への

周知をより一層図るよう努めた。

 まず、管理職クラスに対しては、各関連施設の

管理職が一堂に会する運営会議の場で、計画の内

容やその計画に沿った具体的な取組みの詳細を、

周知・指示し、職員への対応にあたらせた。

 一方、各職員に対しては、各施設毎に備え付け

られている掲示板へ計画の内容を掲載するととも

に、給与明細書にも同内容を記した書面を同封す

るなどして、周知に努めた。

 また、当法人では、半年に1回の割合で新人研

修を行っているが、その場を利用して当計画の内

容やその計画に沿った取組みの詳細についてレク

チャーし、当法人の方針を理解してもらっている。

 こうした職員の育児支援の取組みを行う上で、

職員・スタッフ同士の結束力を一番の要としてお

り、懇親会などを通じて職員同士の意思疎通を図

る機会を持つようにしている。その甲斐あって、

今では、「同僚に何かがあったときは、互いに助

け合おう」という風土が根付いている。

 そして、今後は、各関連施設の横の繋がりもよ

り強固なものにしていきたいとしている。

 また、育児休業取得者に対する休業中のフォ

ローや職場復帰支援にも力を入れている。例えば、

休業中の職員に対しては、月1回発行の社内報を

送付し、施設内の雰囲気を常に感じ取れるように

し、また職員の動向を把握できるように配慮して

いる。そして、職場復帰の際には、「在宅講習」

や「復帰直前講習」などを実施して、心身にわた

る充実した職場復帰を促している。その取組みの

甲斐あって、計画期間中の休業取得者の職場復帰

率は100%である。

 育児休業取得者は、この行動計画期間内におい

て、男性2名・女性17名が取得している。

 男性2名の内訳は、現場スタッフと関連施設の

管理職クラスの者である。

 現場スタッフは、妻の第2子出産に際し、「配

偶者出産休暇」を2日取得し、引き続き約2週間

の育児休業を取得した。妻の出産日に合わせて、

当該職員がいつでも休業に入れるように、現有ス

タッフであらかじめその職員の業務を分担し、併

せて引き継ぎもしておいたので、その職員の休業

中も滞りなくフォローできた。

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認定企業事例

休業取得者のコメント 「2週間程の休業期間では、出産後の第2子にミルクを与え、第1子の保育園への送り迎えをしたりと忙しくもあったが、非常に有意義な生活を送れました。また、今回の休業を通して育児の大切さを実感しました」。

 当法人では、こうした男性職員の育児休業中の

フォローについては、現有の職員や他の関連施設

からの応援により対処する習慣ができ上がってい

る。

 ただし、女性職員の育児休業では、事情が変わっ

てくる。というのは、女性職員の場合には、もと

もと休業期間自体が1年間と長くなることから、

代替策に頼らざるを得ず、パート職員を採用して

カバーしている。

 こうして採用したパート職員も休業取得者が職

場復帰する頃には、既に仕事も覚え貴重な戦力と

なっていることから、引き続き契約を更新したり、

もしくは正職員として採用している。

3 認定取得のコストと効果

 計画の策定・実施から認定に至るまでの金銭面

の負担は特にない。また、労力としては、人事部

として、行動計画の内容を就業規則や育児休業規

則などの社内規則の中にいかにして反映させるか

という点で、悩み苦労したという。

 当法人施設の正面玄関に、厚生労働省からの認

定証と「くるみんマーク」を額に収め掲示している。

 また、現在、名刺や求人募集誌にも「くるみん

マーク」を入れているが、今後は当法人の封筒や

ホームページにも掲載することを検討したいとし

ている。

 今回の「くるみんマーク」取得は、当法人発行

の機関誌にも掲載したが、当該マークを知ってい

る方からは激励や祝福の声がある。

 また、当法人内の各施設においても、職員自体

に“ワーク・ライフ・バランス”を重要視する風

潮が出てきており、例えば、若年職員の間からは、

仕事を順序よく滞りなく終わらせて、少しでも家

族との時間を多く持ちたいと考える職員が多く

なっている。

 そして、今回の計画を通じて育児支援に取り組

んでいる人事部としては、この計画の策定から実

施に至る中で、職場環境の見直しができたのと同

時に、人材の定着にプラス効果をもたらしたこと

を強調していた。

 少子・高齢化を迎え、全般的に介護人材が不足

しているなかで、当法人でも人材確保には苦労を

しており、加えて定着率の低さに何か策を講じな

ければならない状況であったが、こうした取組み

の結果、例年と比べて大幅に退職者が減り、定着

率が向上した。

 次に、社外の反響としては、「くるみんマーク」

使用に絡む相乗効果はあまり感じられないが、認

定を受けたことで、県内の地元新聞3社から取材

の依頼があったり、また、自治体からの取材申し

込みがある。

 今回認定を受けたことは、外部的に当法人のイ

メージアップが図れた感じがし、今後はせっかく

認定を受けたので、策定した計画が形骸化するこ

とのないよう、改善策を見い出しながらますます

職員の利用しやすい制度を確立し、経営面の確立

を目指していきたいとしている。

 そこには、「様々な事情を抱えながらも、施設

利用者のために常に笑顔で接することが、現場の

基本であり、職員は、仕事と家庭の両立に悩んで

います。職員が働きやすい職場環境の整備するこ

と、メンタルヘルスを含めたケアも必要なのです」

という職員を思いやる言葉に集約されている。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 第2回目の行動計画の策定時期は、平成20年

1月頃に着手した。

 これについては、21年度の事業目標をふまえ、

第1回目の問題点を改善すべく、目標を設定した。

 両立支援を目指した魅力ある職場づくりを念頭

に置き、労働時間の短縮に繋がるノー残業デーの

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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社会福祉法人

福祉の里

実施や連続した休暇制度を導入し、職員のリフ

レッシュを図ることを目標として策定することに

した。

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 人事担当者は、「中小企業の中でも、特に若い

社員の多いところでは自分の子どもの育児をした

いと考えているはずです」と話す。

 今後は、労働力人口も減少していくことから、

職員の定着をめざす意味で、「今働いている職員

を大切にするという意気込みで、計画を策定する

ことが必要でしょう」と話す。

 計画を策定する上では、① 社員の気持ちを汲

み取ること、②長いスパンで計画を立てること、

③自社で取組みやすい項目を立てることが特に必

要であることを自社の実績から強調する。

施設入所者と子どものふれ合い

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認定企業事例

【社会福祉法人福祉の里の行動計画(第1回)】

 職員が仕事と子育てを両立させることができ、職員全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成17年11月21日~平成20年3月31日

2.内  容

目標1  平成20年3月までに、当法人の育児休業等に関する規程等を職員に周知させる

【対策】● 平成17年11月~   育児休業等に関する規程等の職員配布用資料の作成及び配布、研修   育児休業等に関する規程等の変更があった際の周知方法の検討、実施

目標2 平成20年3月までに、就業規則に母性健康管理の事項を盛り込むことを検討する

【対策】● 平成17年11月~   母性健康管理に関する事項の詳細の調査   母性健康管理を就業規則に盛り込んだ場合の問題点の洗い出し及び対策   母性健康管理を就業規則に盛り込むことの可否

目標3  平成20年3月までに、育児をする職員のために短時間勤務や隔日勤務の導入の可能性を検討する

【対策】● 平成17年11月~   短時間勤務や隔日勤務を導入した場合の問題点の洗い出し及び対策   短時間勤務や隔日勤務を導入することの可否

目標4 平成20年3月までに、配偶者の出産時に取得できる男性の休暇制度を導入する

【対策】● 平成17年11月~   導入する休暇制度の事項に関する具体的な内容の検討   配偶者の出産時の休暇制度を導入した場合の問題点の洗い出し及び対策   配偶者出産時の休暇制度の導入の可否

目標5 平成20年3月までに育児休業の取得状況を次の水準以上にする     男性職員…年に1名以上取得すること     女性職員…取得率を80%以上とすること

【対策】● 平成19年11月~   男性も育児休業を取得できることを周知するため、管理職を対象とする研修の実施

目標6 平成20年3月までに所定外労働の削減に向けて「ノー残業デー」を実施する

【対策】● 平成19年11月~   所定外労働の削減に向けて各自業務の問題点の洗い出しと対策等を検討する   各事業所毎に「ノー残業デー」を設置し、実施する

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認定企業事例

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社会福祉法人

福祉の里

【社会福祉法人福祉の里の行動計画(第2回)】

 職員が仕事と子育てを両立させることができ、職員全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成20年4月1日~平成22年3月31日

2.内  容

目標1  平成22年3月までに、「ノー残業デー」を週2日に設定する

【対策】● 平成20年4月~   各部署の「ノー残業デー」の実施状況の把握   週2日導入する場合の問題点と対策についての検討   職員への周知徹底と実施状況の把握

目標2 平成23年3月までに、連続した休暇(リフレッシュ休暇)の導入を検討する

【対策】● 平成20年4月~   各部署の問題点の吸い上げ   連続休暇制度を導入した場合の問題点と対策について検討   就業規則等に盛り込むことの可否

目標3 平成23年3月までに、子の看護休暇の有給化を検討する

【対策】● 平成20年4月~   子の看護休暇を有給化することの可否   規程の見直しの検討

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認定企業事例

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ああ

〶 住所:〒657-0845 神戸市灘区岩屋中町4-2-7☎ 電話:078-802-5997  FAX:078-802-5994  ホームページ:http://www.katayama-clinic.jp/

社員数:32名  男性:3名  女性:29名 女性社員の割合:90.6%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:33.3%  女性:31.0%

¥ 資本金:(個人病院) 事業内容(業種):医療・福祉(小児診療所)

1 行動計画の策定

 大学病院クラスの小児医療設備にとどまらず、

小児科・病児保育施設・保育所を併設した“3

in 1体制”を実現している片山キッズクリニッ

クは、50代の片山啓院長が「働きながら子育て

する人をサポートしたい」という想いから、平成

16年11月に神戸市で開業した小児科医院であ

る。片山院長は以前、東京にある総合病院の小児

科部長を務めていたが、働く親に冷たい社会だと

痛感していた。

 いまの親は祖父母の支援がなく、保育所などに

子どもを預けて共働きしているのに、子どもが

ちょっと熱を出せば会社に電話がかかってきて呼

び出される。そのたびに上司や同僚の冷たい視線

を浴びながら早退せざるを得ない。水ぼうそうと

もなれば預け先はなく、会社を3~4日も休むこ

とになる。ところが、同クリニックの体制なら、

保育中の子どもの具合が悪くなっても、親に連絡

したうえ併設のクリニックで診察する。その後は

病児保育施設で預かり、親は休んだり早退したり

する必要はない。最先端の換気システムにより、

感染性疾患にも対応できる。全国的にみても貴重

なこのような施設が待望されていたことは、オー

プン直後からほぼ満員状態の病児保育施設や、個

人開業4年で8000人を超える患者数、小児科で

は通常考えられない市外からの通院があることな

どで実証された。

 親を応援する姿勢は院内でも同じことで、開業

当初から雇用する職員に対しても保育施設の利用

などの子育て支援を行っている。開業から半年近

く経ち、正職員を中心に適用していた慣行を、す

べての職員が利用できる制度にすることなどが必

要になっていた。職員全員が働きやすい環境を作

ることを目指して行動計画に取り組んだものであ

る。

 計画策定にあたっては、特別な体制整備などは

行わず、片山院長の意向を受け星野浩勲事務長が

計画策定の実務を担当した。星野事務長が計画策

定の原案を作成し、それを片山院長が承認するか

たちをとった。

 第1回の目標は別掲のとおり、①「育児・介護

サービス利用の費用助成」の制度化、②女性の育

児休業取得1名、の2つである。このほか申請書

に記載する「支援対策の内容」には、所定外労働

削減のための措置の実施、年次有給休暇の取得促

片山 キッズクリニック~子育てする親を応援する小児科~

片山キッズクリニック 入口に「くるみんマーク」

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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片山

キッズクリニック

進のための措置の実施を掲げた。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 計画の実施段階は、職員から個別に要望を聴き、

片山院長と星野事務長で対応できることとできな

いことを探るという方法で進めた。少人数の職場

のため、この段階でも新たな体制整備はせず、定

例の幹部会(各セクションの代表者が参加)を活

用し、これが現場の状況を把握するのに大いに役

立ったという。

 行動計画の内容やその実践によって制度化した

ものは、職員全員が参加する全体説明会で周知し

た。この席が、新たなニーズの掘り起こしの場に

もなり、第2回計画の策定に結び付けている。

 計画策定当時は、開業から半年足らずで、就業

規則などはなく、育児支援措置が規定化されてい

ない状態だった。また、正職員・短時間職員にか

かわらず、みなに公平なものでないと気持ちよく

働くことができない。そのために規定の整備が欠

かせなかった。就業規則は労働基準監督署に足を

運んで相談を行い整備した。入職時などに全員に

手渡しし、説明している。

 もうひとつの課題は、目標①の育児サービス利

用の費用助成の内容である。神戸市認可保育所の

保育料、対象職員数の育児サービスを受ける見込

み、クリニックの収支などを勘案しながら、最

終的に「40%補助」と定めた。コストの面から、

持続可能な制度を重視している。育児サービスの

利用頻度は異なるものの、対象者のほぼ全員が利

用するニーズに合致した制度だ。

 第1回計画期間中に出産した女性は看護師1人

だけだったが、育児休業を取得。男性は院長を含

め3人しかいないため、対象者そのものが現れな

かったが、計画期間の数カ月前、男性医師が短期

の育児休業を取得していた実績がある。本来の認

定基準では、期間中に取得者がいることが必要だ

が、中小企業の特例を活用し、この医師が取得者

として数えられている。

3 認定取得のコストと効果

 規定整備の手間はかなりのものだったが、行動

計画に付随するプラスアルファの業務ではなく、

開業間もないクリニックとしては、当然やるべき

業務だったととらえている。保育費用の助成は毎

月10~20万円を支出し、その2分の1が財団法

人21世紀職業財団から助成されている(両立支

援レベルアップ助成金、「ベビーシッター費用等

補助コース」)。

 「くるみんマーク」はホームページ、名刺など

に載せたり、ステッカーにしてクリニックの入口

の扉に張ったりといった方法で活用している。

 行動計画は財団法人21世紀職業財団のWebサ

イト「両立支援のひろば」を利用する方法で、院

外にも公表している。

 求人情報誌や新聞折込みに求人広告を出すとき

にも、「くるみんマーク」を掲載している。この

際、就職支援業者等にくるみんの意味を説明する

と、保育施設を持つこと、保育費用の補助がある

といった実態とあわせて、認定取得により子育て

しやすい職場であることが理解され、求職者に積

極的に勧めてくれるという。他の病院が小児科医

師不足で困窮するなか、個人開業で4人の常勤小

児科医がいるのは通常考えられない数である。4

人のうち2人は女性医師である。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 平成19年4月からの第2回の行動計画は、第

1回の検証を行った上で、さらに働きやすい職場

を目指した。前期中に要望はあったものの、実現

できなかった短時間勤務の制度化と、有給取得の

一層の推進などを目標に掲げている。介護サービ

スを利用した職員に対する、費用助成(月2万円

上限)を制度化した。

 また、診療時間が過ぎても患者が来れば診察し

なければならず、点滴など長期間かかるものもあ

るため、構造的に残業が発生してしまう。そこで

残業削減にも引き続き取り組んでいる。シフト表

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認定企業事例

で定時退勤日や残業担当などをあらかじめ決める

ほか、有給取得も積極的に組み込んでいる。

 第1回の経験から、そうそう新しい制度を追加

していくことはできないと認識した。ニーズを掘

り起こすのにも時間がかかる。収支の状況をじっ

くり見極めたり、職員の出産・育児の動向を把握

するために、第2回目は3か年計画に伸ばした。

 ただ、併設の認可外保育施設は平成21年3月

末で閉鎖する。経営赤字が続き、閉めざるを得な

い状況になった。3設備併設の理想が崩れるのは

残念だが、以降は事業所内託児施設にシフトし、

雇用する職員の保育支援と病児保育は守り続けて

いく意向だ。

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 星野事務長は、「行動計画は職員のためのもので、

認定による企業のメリットをねらって取り組むも

のではない。そこを履き違えると、職員のニーズ

からずれたものになり、制度の利用は進まない」

と助言する。

 また、子育ての実態をよく知る立場からも、参

考となる話を聴かせてくれた。

 病児保育では、朝に父親が送ってきて、夕方に

母親が迎えに来るというパタンーンが増えてい

る。しかも最近の父親は、子供の前日の状態、睡

眠、食事、排泄などについて、きちんと把握して

いるという。そんな父親の意識変化に、多くの会

社がついていけていないのではないだろうか。「夫

婦交代で数回に分けて育児休暇を取れるようにな

れば、母親の負担が減り、職場復帰も進むはず」

(片山院長)とみている。

求人広告に「くるみんマーク」を入れる

余計な残業をしなくてすむよう、半分は定時退勤、最後まで残る1人などをあらかじめシフト表で決めている。自立した資格者の場合、責任範囲を明確にすることが効率的である。

参考資料:クリニックの看護師勤務表(抜粋)

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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片山

キッズクリニック

【片山キッズクリニックの行動計画(第1回)】

 職員が仕事と子育てを両立させることができ、職員全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成17年4月1日~平成19年3月31日

2.内  容

目標1  平成19年3月までに、育児・介護サービス利用の費用助成制度を制度化する

【対策】● 平成17年4月:労働者の具体的なニーズの調査、制度の詳細に関する検討開始● 平成18年度中:制度化する

目標2 計画期間内に、育児休業取得者を1人以上だす

【対策】● 平成18年10月:男性も育児休業を取得できることを周知するため、幹部会での検討● 平成19年~  : 育児休業中の社員で希望する者を対象とする職場復帰のための慣

らし勤務(月2回以上)を実施

【片山キッズクリニックの行動計画(第2回)】

 第1回の計画に引き続き、出産前後の支援を強化するとともに、職員全員が働きやすい環境をつくることによって、全ての職員がその能力を十分に発揮できるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成19年4月1日~平成22年3月31日

2.内  容

目標1 平成22年3月までに、育児のための勤務時間短縮の措置を制度化する

【対策】● 平成19年4月:産後従業員の具体的なニーズの調査、制度の詳細に関する検討開始● 平成19年度 :制度化する

目標2 計画期間内に有給休暇の積極的推進と、新しい休日の増加を計画期間内に制度化する

【対策】● 平成19年4月: 従業員の職業生活と家庭生活の両立のため、家族との時間を大切

にすることを推奨する。幹部会で新しい休暇などの導入を検討する

● その他:幹部会で新しい休暇など(リフレッシュ休暇)の導入を検討する

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ああ

〶 住所:〒882-1102 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字押方東平1130☎ 電話:0982-72-3210  FAX:0982-73-1082 

ホームページ:国見ヶ丘病院         http://www.kunimigaoka.or.jp/

ホームページ:介護老人保健施設神楽苑          http://www.kaguraen.jp/

社員数:235名  男性:61名  女性:174名 女性社員の割合:74.0%

小学校入学前の子どものいる社員の割合(社員全員に対しての割合)   男性:3.4%  女性:6.8%

¥ 資本金:300万円 事業内容(業種):医療・福祉

1 行動計画の策定

 平成17年10月頃、当法人に対し、宮崎労働局

より行動計画の策定依頼があった。その際、労働

局の職員からは、次世代法に沿った行動計画の策

定から認定に至るまでの説明があり、「こちらと

しても、御社の相談に乗りながらご指導しますの

で、県内第1号の認定を目指しましょう」との話

があった。

 宮崎県庁としても、昨今の少子化を憂いており、

県主体となって対策に乗り出す中で、まず女性の

“仕事と家庭の両立”の確立に向けて力を注いで

いる(宮崎県では、両立支援に取り組む企業を募

集し、「仕事と家庭の両立応援宣言書」により取

組み宣言した企業をサポートしている。当宣言書

の紙面は資料①として後掲している。)。

 昭和40年に「国見ヶ丘病院(以下、「病院」と

いう)」として、40名近い職員をもって開設した

当法人も、その後、平成12年の介護老人保健施

設(以下、「保健施設」という)となる「神楽苑」

の併設を経て、現在の職員数は病院と施設を合わ

せて約240名。

 また、職員の約8割が女性職員であるという女

性主体の職場であるところが、今回の計画策定に

つながっている。

 当法人の理事は、理事長の奥様で、昭和40年

の設立当初から当法人の理事として経営に携わっ

ているが、当理事自身も過去の出産~育児期にか

けて、仕事と育児を両立させることに大変苦労し

た。

 そういう経験があるからこそ、当法人の職員に

は、「安心して休業を取って欲しいし、また職場

復帰後も元気に仕事をして、人間としても伸びて

もらいたいんです」と話す。

 理事は、職員の教育係も兼ねており、今までに

多くの育児職員を育ててきたが、「子育てを応援

してあげた看護師は必ず優秀な看護師に育ちま

す」と断言する。

 そして、今回の行動計画策定でも、育児支援の

要と考える「先輩職員が後輩職員を大切にし、応

援する」という意識の風土が根付くチャンスと捉

え策定にあたった。

 今般の計画策定にあたっては、子育て中の職員

を中心に「子育て支援委員会(以下、「委員会」

という)」という組織を立ち上げた。

 委員は病院の各病棟(病棟は4病棟に分かれる)

医療法人 和敬会~先輩が後輩を大切にし、子育てを応援する~

医療法人和敬会 「神楽苑」

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

76

医療法人

和敬会

と保健施設を代表する職員などの約10名で構成

され、毎年選任される。

 また、委員長は、今般の計画策定を担当した保

健施設長が務める。委員長は、当委員会の委員に

ついて、「さすが、子育てを実施中の職員だけあっ

て、近年の子育て事情や子育て職員の気持ちもよ

く解っています」と言う。

 こうした委員会が上手く機能しているせいか、

病院や保健施設内でも、育児期を過ぎた職員だけ

でなく、これから育児期を迎える若手職員を含め

た全職員の間で、子育て職員をフォローする風土

ができ上がっている。

 また、当法人の管理職のほとんどが女性であり、

過去に自ら産休~育児休業を取得し、仕事と子育

ての両立を成し遂げているという点も、現在の子

育て支援風土の素地となっている。

 当委員会の機能としては、主に以下のものがあ

る。

 ・ 子育て支援にあたっての管理職や職員に対す

る相談・研修・情報提供などの実施

 ・ 当委員会の議事録などを通じて、検討項目や

決議事項を全職員への周知徹底

 ・ 必要に応じて職員の意見を汲み取るアンケー

トなどの実施

 また、当委員会は、今回のような育児支援ばか

りではなく、60歳定年後再雇用など職員に最も

身近な制度に関しても検討し、活力ある職場づく

りに活かされている。

 行動計画の目標を定める際には、職員の希望に

沿って取り組めることをまず形にすることを心掛

けた。また、こうした職員のための施策は、必ず

職員の質を高めることにつながることも過去の実

績から明らかであることから、職員にはより一層

の理解・協力と育児職員への応援を求めた。

2 行動計画の実施から認定の取得まで

 認定制度の存在自体については、平成17年度

の計画策定時点で、既に知っていた。当法人では、

設立当初からの育児支援を継承している中での今

回の制度化であるため、特に認定を意識してはい

なかった。労働局職員からの認定要件を満たす方

法について、懇切丁寧にアドバイスを受けたこと

で認定を意識するようになった。

 そして、県内における認定取得第1号になるこ

とにより、女性が働きやすい職場であることを、

社外に認識してもらうことに意義があると感じ、

認定の取得を目指すことになった。

 委員長が、委員会の決議により策定した計画内

容について、その後に管理職者会議で連絡する。

 そして、それを受けた各管理職が、自らの職場

に戻り、職員に伝えるというトップダウン方式を

採っている。

 その際には、委員会で話し合われた項目内容を

議事録に収め、病院内の各病棟と保健施設に回覧

形式で流し、全職員に対する周知の徹底を図るよ

うにしている。

 この議事録を供覧した職員は、供覧したことを

署名した上で、次の職員に回すことになっている。

この議事録に署名をしない職員については、人事

考課上、マイナス査定にすることとしている。こ

うした所にも、当法人のいう全職員参画型の人事

施策の考え方があらわれている。

 当法人としては、次世代法に取り組むには、職

員間のコミュニケーション維持が、まず何よりも

必要であると考えた。

 以前、当法人では、突然の年次有給休暇取得を

申し出た職員がいたため、施設利用者への担当割

などの面も含めて、大変苦慮したことがあった。

 やはり、子を持つ親としては、子の保育園や学

校の行事(参観日や運動会)に合わせて、年次有

給休暇を取得することも当然あるので、あらかじ

め職場内のコミュニケーションが行き届いていれ

ば、職員同士の融通性によりフォローできる体制

ができ上がるのではないかと考えた。そこで、当

法人では、年に数回の交流イベントを企画して全

職員の意思疎通を図っている。

 次に、育児休業取得者の職場復帰にあたっては、

復帰1・2か月前を目途に、所属上長と面談をし、

復帰後の担当業務の確認を行うようにしている。

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77

認定企業事例

また、その際には、本人の希望があれば、復帰後

に1日1時間の勤務時間の短縮をしている。

 第1回目の計画期間から第2回目の計画期間に

かけての育休取得実績は、9割以上が女性である

が、数にすると50名以上にも上る。

 男性の育児休業については、当法人も積極的に

推奨しているが、男性職員が少ない上に、その男

性職員も育児期を過ぎた職員ばかりということも

あって、認定要件となる男性の育児休業取得者に

なかなか結び付かなかったが、昨年、妻の育休の

後に引き続く形で20日間の休業を取得した者が

いた。

3 認定取得のコストと効果

 労働局への手続関係(特に確認資料としての添

付書類)について、複雑でわかりにくいところが

あったので、何度か労働局に出向いて相談した。

 認定マークの活用は、今のところ特に活用例が

ないが、今後は当法人のホームページや名刺に載

せていきたいと考えている。

 「くるみんマーク」の取得については、職員に

対して朝礼を通して報告した。

 理事の話では、「今まで、各職員について、ケー

ス・バイ・ケースで行ってきた育児支援が、計画

という形にした上で国から認定されたことで、さ

らに制度として確立することができました」と話

す。

 そして、職員の求人面にも好影響を与えている。

当法人では、平成12年の保健施設併設を機会に

20歳代の職員が増えているが、今般の認定取得

を機会に、更に学卒の20歳代からの求人申し込

みが増えている。

 また、普段、当法人が大学や専門学校を通じて

行っている職員の募集についても、当法人が認定

を受けたことが口コミにより拡がっているようで、

応募の問い合わせも例年にも増して増えている。

 現在のこの育児支援システムを維持して、20

年、30年後も職員の職業生活を応援できる職場

であり続けたいと考えている。

 現在、当法人所在の地域は人口減少による過疎

化が深刻な問題となっているが、そうした中での

当法人の社会的役割も大きいと考えているようで、

活力ある企業であり続けるための経営の一環とし

て、この育児支援を今後も大きく捉えていきたい

と考えている。

4 第2回計画策定の際の課題と工夫

 当法人では、育児休業の申し出をしやすい職場

環境を醸成するために、職場での“ノー残業”を

目指し「残業ゼロ」の取組みを行い、第1回目の

計画に定めた。“無駄な残業”をなくし、家庭に

時間的なゆとりを持たせることが、仕事と家庭の

両立には必要であるとの考えから取り組んだが、

近年、当法人が最も力を入れている職場全体のレ

ベルアップを図る上で、人事施策の柱としている

“仕事の平準化”にも力を入れており、育児支援

の風土定着の相乗効果として成功を収めていると

いう。

 また、第2回目の計画には、職員の働く姿を自

分の子ども達に見てもらう「子供参観日の実施

(小学生のお子さんを対象とし、夏休みや冬休み

に実施)」を盛り込むことにしたが、子ども達に

とっては、自分の親の仕事が理解できるのと同時

に、他の子ども達との交流の場にもなっているこ

と、また、職員自身にとっても、職員同士のコミュ

ニケーションを更に深める良い機会となっている

ことから、好評のようである(社員に向けた「子

供参観日」の参加募集のパンフレットは、後掲資

料②に掲載)。

 当参観日に出席した子ども達からも、「将来、

お母さんと同じような仕事がしたいです」、「友達

がたくさんできて良かったです」といった声が聞

かれている。

 これを受けて、保健施設長も「こうした子ども

たちの中から、将来うちで働いてくれる子が出て

くれるとより一層いいですね」と話す。今後は当

参観日の対象者を中学生の子ども達にまで拡げる

考えもある。

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認定企業事例

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

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医療法人

和敬会

                      

5 今後行動計画の策定から認定を目指す企業へのアドバイス

 「まず、職場内の状況を見て、自らの職場に合い、

取り組みやすい内容を計画に策定することが一番

ではないでしょうか。あとは、実行に移すのみで

す」と、今回の取組みにあたった保健施設長は話す。

苑内風景

資料① 「仕事と家庭の両立応援宣言書」 資料② 「子供参観日のお知らせ」

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認定企業事例

【医療法人和敬会の行動計画(第1回)】

 職員が仕事と子育てを両立させることのできる職場環境を醸成するため、全職員の理解と協力を喚起する。また、人の子も我が子の姿勢を抱ける環境の整備を図り、安心して子供を産み育てる事ができるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成17年4月1日~平成19年3月31日

2.内  容

目標1  職員が仕事と子育てを両立できる時間を確保するため、所定外労働時間を100%行わない職場とする

【対策】● 平成17年9月29日: 所定外労働をなくし、ノー残業でゆとりのある生活を構築さ

せるため、業務の見直しを行い、仕事の過重な部署の軽減を図るための子育て支援委員会を立ち上げる

● 平成19年3月31日までに100%の目標を達成する

目標2 計画期間内に、育児休業の取得状況を次の水準以上にする     男性職員…期間内に1人以上取得すること     女性職員…取得率70%以上とすること

【対策】● 平成17年12月までには、男性の育児休業について取得できることを周知させる●  平成17年度から育児休業中の社員で希望する者を対象として、職場復帰のための

講習会を年に1回実施

【医療法人和敬会の行動計画(第2回)】

 職員が仕事と子育てを両立させることのできる職場環境を醸成するため、全職員の理解と協力を喚起する。また、人の子も我が子の姿勢を抱ける環境の整備を図り、安心して子供を産み育てる事ができるようにするため、次のように行動計画を策定する。

1.計画期間 平成19年4月1日~平成24年3月31日

2.内  容

目標1 子供が生まれる際の父親の休暇の取得を図る

【対策】● 平成24年までには、男性の出産休暇として3日以上の休暇を設ける● 子育て支援委員会において、草案を作成し和敬会の管理者会へ提案する● 3日以上の休暇が決定したときは、師長会を通じて全職員へ周知する● 掲示板へ掲示、チラシの回覧などを行い周知徹底を図る

目標2  子供が保護者である父親や母親の働いているところを実際に見ることができる「子供参観日」を実施する

【対策】● 平成19年8月から24年3月まで、年1回程度「子供参観日」を行う● 子育て中の職員へ、子供の人数を報告していただき参観日の趣旨を理解させる● 子供の長期休業日を利用して、職場を参観することを子供達へ呼びかける● 子供が参観した日は、午前・午後の半日勤務とする

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行動計画の届け出及び認定申請書行動計画の届け出及び認定申請書ⅤⅤ 1.「一般事業主行動計画策定・変更届」:様式第一号

一般事業主行動計画策定・変更届 記入例

 常時雇用する労働者が301人(平成23年4月1日以降は101人)以上である場合は「第1項」に○を、300人(平成23年4月1日以降は100人)以下である場合には「第4項」に○をつけてください。

 行動計画を策定した旨の届出をする場合は「策定」に○を、既に届出をした行動計画の変更の届出をする場合は「変更」に○をつけてください。

 該当するものに○をつけてください。 ①と②に該当するものの内容は、様式裏面の「次世代育成支援対策の内容として定めた事項」欄を参考にしてください。 なお、認定を受けるためには、この欄が①又は③であることが必要です。

① 平成21年4月1日以降に、一般事業主行動計画の策定・届出義務のある企業が一般事業主行動計画を策定又は変更する場合は、6.及び7.を必ず実施する必要があります。

② 一般事業主行動計画の策定・届出が努力義務の企業は6.及び7.を実施している場合のみ記載してください。

③ 努力義務の企業であっても、平成21年4月1日以降に策定又は変更した行動計画について認定を受ける場合は、6.及び7.を必ず実施する(原則として、概ね3か月以内に公表及び労働者への周知を行う)必要があります。

 該当するものに○をつけ、その日を記入してください。

届出を行う事業主の氏名(記名押印または自筆による署名)又は名称、住所、電話番号を記入してください。法人の場合は、法人

の名称、主たる事務所の所在地、代表者の氏名(記名押印または自筆による署名)、主たる事務所の電話番号を記入してください。

この届出書を提出する日又は提出前の1か月以内のいずれかの日の常時雇用する労働者数(雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者数)を記入してください。

認定を希望するかどうかについて、該当するものに○をつけてください。なお、ここで「無」に○をつけた場合でも、認定申請ができなくなるわけではありません。

計画期間を記入してください。

この届出を提出する日を記入してください。

なお、認定を受けるためにはこの期間が2年間~5年間であることが必要です。

 行動計画を策定した場合や、既に策定した行動計画を変更した場合は、この様式に記入して、主たる事務所を管轄する都道府県労働局雇用均等室に提出してください。

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行動計画の届け出及び認定申請書

※ 届出様式の裏面は、策定または変更した行動計画の内容について「行動計画策定指針」に掲げられて

いる項目のうち該当するものに○をつけてください。

策定した行動計画の内容として該当するものに○をつけてください。変更の届出の場合は、変更後の行動計画の内容に該当

するものにすべて○をつけてください。

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行動計画の届け出及び認定申請書

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

基準適合一般事業主認定申請書 記入例

 行動計画の計画期間終了後、認定を受けることを希望する場合は、この様式に記入し、必要な書類を添付して、主たる事務所を管轄する都道府県労働局雇用均等室に提出してください。

 平成21年4月1日以降に策定又は変更した行動計画について認定を受ける場合は、公表及び労働者への周知を適切に行っていることが認定要件となりますので、必ず記入してください。なお、策定・届出が努力義務の企業についても、認定を受けるためには、公表及び労働者への周知を行っていることが必要です。

 平成21年3月31日までに策定又は変更し、平成21年4月1日以降変更していない一般事業主行動計画については、4.(1)、4.(2)のみ記載し、4 . ( 3 ) 、 4 .(4)は記載する必要はありません。

 認定を受けようとする一般事業主行動計画を策定又は変更した日を記入してください。

 一般事業主行動計画を変更した場合は、変更内容について該当する数字を○で囲んでください。

 労働者への周知方法について、該当する番号を○で囲み、④を囲んだ場合は、①~③以外の周知方法を記載してください。

公表方法について、該当する番号を○で囲み、①を囲んだ場合は、その方法を囲むか、具体的に記載してください。②を囲んだ場合は、①以外の公表の方法を記載してください。

この届出書を提出する日又は提出前の1か月以内のいずれかの日の常時雇用する労働者数(雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者数)を記入してください。

実施した行動計画の計画期間を記入し、それが何期目の行動計画であるか記入してください。なお、行動計画の

途中で期間の変更を行った場合には、変更後の計画期間を記入してください。

実施した行動計画の「一般事業主行動計画策定・変更届」を提出した労働局の都道府県名を記入してください。

実施した行動計画の「一般事業主行動計画策定・変更届」を提出した日を記入してください。

この申請書を提出する日を記入してください。

申請を行う事業主の氏名(記名押印または自筆による署名)又は名称、住所、電話番号を記入してください。法人の場合は、法人の名称、主たる事務所の所在地、代

表者の氏名(記名押印または自筆による署名)、主たる事務所の電話番号を記入してください。

2.「基準適合一般事業主認定申請書」:様式第二号

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行動計画の届け出及び認定申請書

※ ここでいう「育児休業等」とは、子が1歳に達するまで(子が1歳を超えても休業が必要と認められ

る一定の場合には、子が1歳6か月に達するまで)の間の休業(育児・介護休業法第2条第1号に規

定されている休業)に加え、子が小学校就学の始期に達するまでの間に育児のためにする休業(育児・

介護休業法第23条第1項又は第24条第1項に規定されている休業)をいいます。

計画期間内に育児休業等※を取得した男性労働者数を記入してください。なお、認定申

請時に、既に退職している労働者は、含みません。

 常時雇用する労働者数が300人以下の事業主で、計画期間内に育児休業等を取得した男性労働者がいなかった場合は、イ計画期間において看護休暇を取得した男性労働者数(1歳に満たない子のために当該休暇を取得した場合を除く)、ロ 計画期間における短時間勤務制度の措置を子の養育のために利用した男性労働者数、ハ 計画期間開始前3年以内に育児休業等を取得した男性労働者の取得期間のいずれかを記入してください。

(A)欄には計画期間内に出産した女性労働者数を、(B)欄には計画期間内に育児休業等※をした女性労働者数をそれぞれ記入してください。(C)欄には

(B)÷(A)の値を、小数第1位を切り捨てて記入してください。

認定申請時にすでに退職している労働者は、出産をしていても、育児休業等を取得していても、「育児休業等をしたものの割合」の算定に当たっては分母にも分子にも含まれません。

常時雇用する労働者数が300人以下の事業主については、「計画期間+計画期間開始前の(最長)3年間」で70%以上となる期間を記入してください。また、(A)欄にはその期間内に出産した女性労働者数

を、(B)欄にはその期間内に育児休業等※をした女性労働者数を記入し、(B)÷(A)の値を、小数第1位を切り捨てて記入してください。

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行動計画の届け出及び認定申請書

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

認定の申請の際には、この様式に①~⑦の書類を添付して、都道府

県労働局雇用均等室に提出してください。

3歳から小学校に入学するまでの子を持つ労働者を対象とする「育児休業の制度または勤務時間短縮等の措置に準ずる措置」の実施の有無(有が1つ以上必要)について、該当するものに○をつけてください。

働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置の実施の有無について、該当するもの(有が1つ以上必要)に○をつけてください。「有」の場合

は、その内容を「措置の内容」欄に記入してください。

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行動計画の届け出及び認定申請書

「目標の達成状況」欄には、「次世代育成支援対策の実施により達成しようとした目標」欄に記入したそれぞれの目標について、計画期間終了日時点での達成状況を記入してください。

「次世代育成支援対策の実施により達成しようとした目標」欄には、認定を受けようとする行動計画に掲げた目標について記入してください。

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助成率等 助成限度額

設置費2分の1

(中小企業3分の2)2,300万円

増築費 2分の1

増築1.150万円(5人以上の定員増を伴う増築、体調不良児のための安静室等の整備)

建替え2,300万円(5人以上の定員増を伴う建替え)

 子育て支援を行う中小企業に対する支援の充実

のため、育児休業取得者、短時間勤務制度の利用

者が初めて出た中小企業事業主(労働者数100

人以下)に対して助成されます。(問い合わせ先:

都道府県労働局雇用均等室、(財)21世紀職業財

団地方事務所)

1.実施期間

  平成18年度から23年度までの6年間

2.支給要件

   中小企業事業主(労働者数100人以下)が、

次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計

画を作成・届出、周知・公表していること及び

以下の①または②のいずれかの措置を講じるも

の。

 ①育児休業の付与

   子の出生後6ヶ月以上休業を取得し、職場復

帰後6ヶ月以上継続して雇用されたこと。

 ②短時間勤務制度の利用(3歳未満)

   3歳未満の子を持つ労働者が6ヶ月以上短時

間勤務制度を利用したこと。

3.助成金の額

   2の①または②のいずれかの対象者が初めて

出た場合に、5人目まで次の額が支給されます。

○1人目 育児休業 100万円(定額)

     短時間勤務

60万円、80万円、100万円

     (利用期間に応じて)

○2人目以降 育児休業 80万円(定額)

       短時間勤務

40万円、60万円、80万円

       (利用期間に応じて)

 労働者のための保育施設を事業所内(労働者の

通勤経路またはその近接地域を含む)に設置、運

営及び増築を行う事業主(共同して事業所内保育

施設の設置等を行う複数の事業主を含む)に設置、

運営及び増築を行う事業主(共同して事業所内託

児施設の設置等を行う複数の事業主を含む)・事

業主団体に、その費用の一部を助成されます。また、

保育遊具等購入費用の一部についても助成されま

す。(問い合わせ先:都道府県労働局雇用均等室)

国等の支援制度を活用しましょう国等の支援制度を活用しましょうⅥⅥ 国等の助成金制度一覧(平成21年度見込み)

1 育児・介護雇用安定等助成金(中小企業子育て支援助成金)

2 事業所内保育施設設置・運営等助成金

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国等の支援制度を活用しましょう

運営費

(大企業)1年目~5年目2分の1

6年目~10年目3分の1

(中小企業)1年目~5年目3分の2

6年目~10年目3分の1

1年目~5年目 6年目~10年目及び※

通常型規模に応じ最高699万6千円

規模に応じ最高466万4千円

時間延長型規模に応じ最高951万6千円

規模に応じ最高634万4千円

深夜延長型規模に応じ最高1,014万6千円

規模に応じ最高676万4千円

体調不調児対応型

上記それぞれの型の運営に係る額+165万円

上記それぞれの型の運営に係る額+110万円

保育遊具等購入費

自己負担10万円を控除した額

40万円

※… 両立支援レベルアップ助成金(事業所内託児施設設置・運営コース)の運営費を受給し、受給期間を経過した事業主又は事業所内保育施設整備等助成事業の新築費を受給した事業主等の場合、平成21年度以降申請したときから5年間

(問い合わせ先:財団法人21世紀職業財団地方事務所 http://www.jiwe.or.jp/local/index.html)

3 両立支援レベルアップ助成金

【代替要員確保コース】

 育児休業取得者が、育児休業終了後、原職等に

復帰する旨の取扱いを就業規則等に規定し、休業

取得者の代替要員を確保し、かつ、休業取得者を

原職等に復帰させた事業主に支給されます。

1. 原職等復帰について、平成12年4月1日以

降新たに就業規則等に規定した事業主の場合

① 最初に要件を満たした育児休業取得者(支給対象労働者)が生じた場合

中小企業 50万円[40万円]※

大 企 業 40万円[30万円]※

② 2人目以降の支給対象労働者が生じた場合(最初に支給対象労働者が生じた日の翌日から5年間、①と合わせて1事業所当たり1年度10人まで)

中小企業 15万円

大 企 業 10万円

2. 原職等復帰について、平成12年3月31日ま

でに既に就業規則等に規定していた事業主の

場合

支給対象労働者が生じた場合 平成12年4月1日以降、支給対象労働者が生じた日の翌日から5年間、1事業所あたり1年度10人まで

中小企業 15万円

大 企 業 10万円

※ [ ] 内の金額は、常時雇用する労働者が300人以下で、一般事業主行動計画の策定・届出が無い場合の金額です。

【休業中能力アップコース】

 育児休業又は介護休業取得者がスムーズに職場

復帰できるよう、これらの労働者の能力の開発及

び向上を図るため、次のいずれか1つ以上の措置

(職場復帰プログラム)を実施した事業主・事業

主団体に支給されます。

⑴在宅講習 ⑵職場環境適応講習 ⑶職場復帰直

前講習 ⑷職場復帰直後講習

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国等の支援制度を活用しましょう

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

支給限度額支給対象労働者1人当たり

中小企業 21万円

大 企 業 16万円

※ 支給は1事業所当たり育児休業者・介護休業者それぞれ延べ100人までです。

 ⑵職場環境適応講習と⑶職場復帰直前講習を同

一の月に併せて実施する場合は、当該期間中は職

場復帰直前講習にかかる職場復帰プログラムのみ

の支給となります。

【子育て期の短時間勤務支援コース】

 次の⑴から⑶のいずれかの短時間勤務制度につ

いて、アからウの労働者を対象とした制度を就業

規則等に規定し、労働者がこれらの制度を連続し

て6か月以上利用した場合に、事業主に支給され

ます。

 

短時間勤務制度

 ⑴ 1日の所定労働時間を短縮する制度

 ⑵ 週又は月の所定労働時間を短縮する制度

 ⑶ 週又は月の所定労働日数を短縮する制度

対 象 者

 ア  小学校就学の始期から第3学年終了までの

子を養育する労働者

 イ  3歳から小学校就学の始期に達するまでの

子を養育する労働者

 ウ 3歳に達するまでの子を養育する労働者

 また、短時間勤務制度の利用促進に関して、専

門的資格を有する者(社会保険労務士、中小企業

診断士)の助言を受け、最初に支給対象労働者が

生じた中小企業事業主に30万円を支給されます。

アに該当する制度の場合

① 支給対象労働者が最初に生じた場合

中小企業 50万円 [40万円]※

大 企 業 40万円 [30万円]※

② 2人目以降の支給対象者が生じた場合

(最初に支給対象労働者が生じた日の翌日から5年間、①とあわせて1事業主当たり延べ10人まで)

中小企業 15万円

大 企 業 10万円

イ に該当する制度の場合

① 支給対象労働者が最初に生じた場合

中小企業

50万円 [40万円]※

② 2人目以降の支給対象者が生じた場合

(最初に支給対象労働者が生じた日の翌日から5年間、①とあわせて1事業主当たり延べ10人まで)

15万円

専 門家に助言を受けた場合

短時間勤務制度の利用促進に関して助言を受け、制度の支給対象労働者(※)が最初に生じた場合(一般事業主行動計画の策定・届出がある場合)

※ア、イの場合 中小企業

1事業主1回限り30万円※ウの場合

常時雇用する労働者数が101人以上の中小企業  

※ [ ] 内の金額は、常時雇用する労働者が300人以下で、一般事業主行動計画の策定・届出がない場合の金額です。

【育児・介護費用等補助コース】

 労働者が育児・介護サービスを利用する際に要

した費用の全部又は一部について、補助等を行う

旨を就業規則などに規定し、実際に費用補助を

行った事業主に、その補助等の額の一定割合を助

成されます。

一般事業主行動計画 次世代育成支援対策推進法第12条に基づき、301人以上の労働者を常時雇用する事業主は、一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出る義務があります。 また、常時雇用する労働者が300人以下の事業主も、一般事業主行動計画の策定・届出に努める事が求められています。

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国等の支援制度を活用しましょう

助成率中小企業

4分の3(育児サービス費用)

2分の1(介護サービス費用)

大 企 業 3分の1

※年間限度額 【中小企業】   1人当たり40万円、かつ、1事業所当たり480万円です。また、支給は1事業所当たり5年間を限度とします。

 【大企業】   1人当たり30万円、かつ、1事業所当たり360万円です。また、支給は1事業所当たり5年間を限度とします。

 また、労働者の育児・介護サービス利用料を補

助する制度を平成10年4月1日以降新たに設け

た事業主で、初めて労働者に費用補助を行った場

合に、上記の費用助成に加えて一定額が助成され

ます。

支給額(1事業主につき)

中小企業 40万円 [30万円]※

大 企 業 30万円 [20万円]※

※ [ ] 内の金額は、常時雇用する労働者が300人以下で、一般事業主行動計画の策定・届出がない場合の金額です。

【職場風土改革コース】

 労働者に対する両立支援を推進するため、両立

支援制度を労働者が気兼ねなく利用する事ができ

るよう、職場風土改革に計画的に取り組む事業主

(常時雇用する労働者の数が300人以下で、かつ、

子育て世代の労働者の割合が4割以上の事業主)

を㈶21世紀職業財団地方事務所長が指定した上

で、指定を受けた事業主が成果をあげた場合に支

給されます。

1年度目 事業実施前に比べ両立指標の得点が向上した事業主 50万円

2年度目

1年度目よりさらに両立指標の得点が向上した事業主 50万円

2か年度にわたる取り組みの結果、女性の育児休業取得率が80%以上かつ配偶者が出産した男性従業員の育児休業取得者の割合が10%以上、かつ、事業終了後の両立指標の得点が190点以上の事業主

50万円を加算

 加算については、1年度目、2年度目の2か年

にわたって支給を受けた事業主が対象となります。

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(平成20年9月1日現在)都道府県 名  称 主たる事務所の所在地 電話番号

北海道北海道商工会連合会 北海道札幌市中央区北一条西七丁目一番地 011-251-0102北海道中小企業団体中央会 北海道札幌市中央区北一条西七丁目一番地 011-231-1919

青 森 社団法人青森県経営者協会 青森県青森市橋本二丁目二番十七号 017-734-2531

岩 手岩手県商工会連合会 岩手県盛岡市盛岡駅西通一丁目三番八号 019-622-4165岩手県中小企業団体中央会 岩手県盛岡市内丸十四番八号 019-624-1363

宮 城仙台商工会議所 宮城県仙台市青葉区本町二丁目十六番十二号 022-265-8181宮城県中小企業団体中央会 宮城県仙台市青葉区上杉一丁目十四番二号 022-222-5560

秋 田秋田県中小企業団体中央会 秋田県秋田市旭北錦町一番四十七号 018-863-8701社団法人秋田県経営者協会 秋田県秋田市旭北錦町一番四十七号 018-864-0812

山 形 山形県中小企業団体中央会 山形県山形市城南町一丁目一番一号 023-647-0360福 島 福島県中小企業団体中央会 福島県福島市三河南町一番二十号 024-536-1261茨 城 茨城県中小企業団体中央会 茨城県水戸市桜川二丁目二番三十五号 029-224-8030

栃 木社団法人栃木県経営者協会 栃木県宇都宮市本町十二番十一号 028-622-3059栃木県中小企業団体中央会 栃木県宇都宮市中央三丁目一番四号 028-635-2300

群 馬 社団法人群馬県経営者協会 群馬県前橋市大手町三丁目三番一号 027-234-2770

埼 玉埼玉県中小企業団体中央会 埼玉県さいたま市大宮区桜木町一丁目七番地五 048-641-1315埼玉県商工会議所連合会 埼玉県さいたま市大宮区桜木町一丁目七番地五 048-647-4115

千 葉社団法人千葉県経営者協会 千葉県千葉市中央区千葉港四番三号 043-246-1158千葉県中小企業団体中央会 千葉県千葉市中央区千葉港四番二号 043-242-3277

東 京

社団法人中央労働基準協会 東京都千代田区二番町九番地の八 03-3263-5060社団法人三田労働基準協会 東京都港区芝四丁目四番五号 03-3451-0901全国中小企業団体中央会 東京都中央区新川一丁目二十六番十九号 03-3523-4903東京経営者協会 東京都千代田区大手町一丁目九番四号 03-3241-2361東京商工会議所 東京都千代田区丸の内三丁目二番二号 03-3283-7631東京都中小企業団体中央会 東京都中央区銀座二丁目十番十八号 03-3542-0386

神奈川神奈川県中小企業団体中央会 神奈川県横浜市中区尾上町五丁目八十番地 045-633-5134社団法人神奈川県経営者協会 神奈川県横浜市中区山下町二番地 045-671-7060

新 潟社団法人新潟県経営者協会 新潟県新潟市中央区川岸町一丁目四十七番地三 025-267-2311新潟県中小企業団体中央会 新潟県新潟市中央区川岸町一丁目四十七番地一 025-267-1100

富 山 社団法人富山県経営者協会 富山県富山市総曲輪二丁目一番三号 076-421-9588石 川 社団法人石川県経営者協会 石川県金沢市尾山町九番十三号 076-232-3030

福 井福井県経営者協会 福井県福井市大手三丁目七番一号 0776-22-3119福井県中小企業団体中央会 福井県福井市大手三丁目七番一号 0776-23-3042

山 梨山梨県経営者協会 山梨県甲府市中央四丁目十二番二十一号 055-233-0271山梨県中小企業団体中央会 山梨県甲府市飯田二丁目二番地一号 055-237-3215

長 野 社団法人長野県経営者協会 長野県長野市県町五百八十四番地 026-235-3522

岐 阜岐阜県中小企業団体中央会 岐阜県岐阜市薮田南五丁目十四番五十三号 058-277-1100岐阜県農業協同組合中央会 岐阜県岐阜市宇佐南四丁目十三番一号 058-276-5620社団法人岐阜県経営者協会 岐阜県岐阜市神田町二丁目二番地 058-266-1151

静 岡静岡県中小企業団体中央会 静岡県静岡市葵区追手町四十四番一号 054-254-1511社団法人静岡県経営者協会 静岡県静岡市葵区追手町十番三百三号 054-252-4325

愛 知愛知県経営者協会 愛知県名古屋市中区栄二丁目十番十九号 052-221-1931愛知県中小企業団体中央会 愛知県名古屋市中区丸の内二丁目四番七号 052-229-0044

三 重亀山商工会議所 三重県亀山市東御幸町三十九番八号 0595-82-1331三重県経営者協会 三重県津市丸之内養正町四番一号 059-228-3557三重県中小企業団体中央会 三重県津市栄町一丁目八百九十一番地 059-228-5195

相談・お問い合わせ先相談・お問い合わせ先ⅦⅦ 1.次世代育成支援対策推進センター一覧

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相談・お問い合わせ先

都道府県 名  称 主たる事務所の所在地 電話番号滋 賀 社団法人滋賀経済産業協会 滋賀県大津市打出浜二番一号 077-526-3575

京 都京都経営者協会 京都府京都市下京区塩小路通烏丸西入東塩小路

町六百十四番地 075-361-8406

京都府中小企業団体中央会 京都府京都市右京区西院東中水町十七番地 075-314-7131

大 阪

大阪府中小企業団体中央会 大阪府大阪市中央区本町橋二番五号 06-6947-4372

関西経営者協会 大阪府大阪市中央区久太郎町二丁目五番二十八号 06-6253-2351

堺経営者協会 大阪府堺市堺区中安井町三丁二番十三号 072-226-2611東大阪経営者協会 大阪府東大阪市小阪三丁目四番C-二百十四号 06-6789-0032

兵 庫

尼崎経営者協会 兵庫県尼崎市昭和通三丁目九十六番地 06-6411-4281姫路経営者協会 兵庫県姫路市下寺町四十三番地 079-288-1011兵庫県経営者協会 兵庫県神戸市中央区明石町三十二番地 078-321-0051兵庫県中小企業団体中央会 兵庫県神戸市中央区下山手通四丁目十六番三号 078-331-2045

奈 良 奈良県経営者協会 奈良県奈良市登大路町三十六番地二 0742-26-2001和歌山 和歌山県経営者協会 和歌山県和歌山市西汀丁二十六番地 073-431-7376

鳥 取社団法人鳥取県経営者協会 鳥取県鳥取市扇町三番地 0857-22-8424鳥取県中小企業団体中央会 鳥取県鳥取市富安一丁目九十六番地 0857-26-6671

島 根島根県中小企業団体中央会 島根県松江市母衣町五十五番地四 0852-21-4809社団法人島根県経営者協会 島根県松江市母衣町五十五番地四 0852-21-4925

岡 山岡山県経営者協会 岡山県岡山市田町一丁目三番一号 086-225-3988岡山県中小企業団体中央会 岡山県岡山市弓之町四丁目十九番二百二号 086-224-2245

広 島

広島県経営者協会 広島県広島市中区基町五番四十四号 082-221-6844広島県中小企業団体中央会 広島県広島市中区基町五番四十四号 082-228-0926広島県商工会連合会 広島県広島市中区大手町三丁目三番二十七号 082-247-0221福山商工会議所 広島県福山市西町二丁目十番一号 084-921-8734呉商工会議所 広島県呉市宝町一番十号交通局四階 0823-21-0151

山 口山口県経営者協会 山口県山口市中央五丁目二番三十一号 083-922-0888山口県中小企業団体中央会 山口県山口市中央四丁目五番十六号 083-922-2606

徳 島徳島県中小企業団体中央会 徳島県徳島市西新町二丁目五番地 088-654-4431徳島商工会議所 徳島県徳島市西新町二丁目五番地 088-653-3211

香 川 香川県中小企業団体中央会 香川県高松市福岡町二丁目二番二の四百一号 087-851-8311愛 媛 愛媛県経営者協会 愛媛県松山市大手町二丁目五番七号 089-921-6767

高 知高知県経営者協会 高知県高知市本町四丁目一番十六号 088-872-5181高知商工会議所 高知県高知市本町一丁目六番二十四号 088-875-1170

福 岡 福岡県経営者協会 福岡県福岡市中央区大手門二丁目一番十号 092-715-0562

佐 賀佐賀県経営者協会 佐賀県佐賀市与賀町二番十一号 0952-23-7191佐賀県中小企業団体中央会 佐賀県佐賀市松原一丁目二番三十五号 0952-23-4598

長 崎長崎県経営者協会 長崎県長崎市桜町四番一号 095-822-0245長崎県中小企業団体中央会 長崎県長崎市桜町四番一号 095-826-3201

熊 本熊本県経営者協会 熊本県熊本市下通一丁目七番十九号 096-352-0419熊本県中小企業団体中央会 熊本県熊本市安政町三番十三号 096-325-3255

大 分大分県経営者協会 大分県大分市中央町二丁目九番二十七号 097-532-4745大分県中小企業団体中央会 大分県大分市金池町三丁目一番六十四号 097-536-6331

宮 崎宮崎県経営者協会 宮崎県宮崎市橘通東一丁目八番十一号 0985-22-4667宮崎県商工会議所連合会 宮崎県宮崎市橘通東一丁目八番十一号 0985-22-2161宮崎県中小企業団体中央会 宮崎県宮崎市松橋二丁目四番三十一号 0985-24-4278

鹿児島鹿児島県経営者協会 鹿児島県鹿児島市名山町一番三号 099-222-3489鹿児島県中小企業団体中央会 鹿児島県鹿児島市名山町九番一号 099-222-9258

沖 縄沖縄県中小企業団体中央会 沖縄県那覇市小禄千八百三十一番地の一 098-859-6120社団法人沖縄県経営者協会 沖縄県那覇市小禄千八百三十一番地の一 098-859-6151

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相談・お問い合わせ先

ⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦ

(平成20年12月1日現在)都道府県 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号北海道 060-8566 札幌市北区北8条西2丁目1番1号 札幌第1合同庁舎 011-709-2715 011-709-8786青 森 030-8558 青森市新町2丁目4番25号 青森合同庁舎 017-734-4211 017-777-7696岩 手 020-0023 盛岡市内丸7番25号 盛岡合同庁舎1号館 019-604-3010 019-604-1535宮 城 983-8585 仙台市宮城野区鉄砲町1番地 仙台第4合同庁舎 022-299-8844 022-299-8845秋 田 010-0951 秋田市山王7丁目1番3号 秋田合同庁舎 018-862-6684 018-862-4300山 形 990-8567 山形市香澄町3丁目2番1号 山交ビル3階 023-624-8228 023-624-8246福 島 960-8021 福島市霞町1番46号 福島合同庁舎 024-536-4609 024-536-4658茨 城 310-8511 水戸市宮町1丁目8-31 029-224-6288 029-224-6265栃 木 320-0845 宇都宮市明保野町1番4号 宇都宮第2地方合同庁舎 028-633-2795 028-637-5998群 馬 371-8567 前橋市大渡町1丁目10番7号 群馬県公社総合ビル 027-210-5009 027-210-5104埼 玉 330-6016 さいたま市中央区新都心11-2 ランド・アクシス・タワー16階 048-600-6210 048-600-6230千 葉 260-8612 千葉市中央区中央4丁目11番1号 千葉第2地方合同庁舎 043-221-2307 043-221-2308東 京 102-8305 千代田区九段南1-2-1 九段第3合同庁舎14階 03-3512-1611 03-3512-1555神奈川 231-8434 横浜市中区北仲通5丁目57番地 横浜第2合同庁舎13階 045-211-7380 045-211-7381新 潟 951-8588 新潟市中央区川岸町1丁目56番地 025-234-5928 025-265-6420富 山 930-8509 富山市神通本町1-5-5 076-432-2740 076-432-3959石 川 920-0024 金沢市西念3丁目4番1号 金沢駅西合同庁舎 076-265-4429 076-221-3087福 井 910-8559 福井市春山1丁目1番54号 福井春山合同庁舎 0776-22-3947 0776-22-4920山 梨 400-8577 甲府市丸の内1丁目1番11号 055-225-2859 055-225-2787長 野 380-8572 長野市中御所1丁目22番1号 026-227-0125 026-227-0126岐 阜 500-8842 岐阜市金町4丁目30番地 明治安田生命岐阜金町ビル3階 058-263-1220 058-263-1707静 岡 420-8639 静岡市葵区追手町9番50号 静岡地方合同庁舎5階 054-252-5310 054-252-8216愛 知 460-0008 名古屋市中区栄2丁目3番1号 名古屋広小路ビルヂング 052-219-5509 052-220-0573三 重 514-8524 津市島崎町327番2号 津第2地方合同庁舎 059-226-2318 059-228-2785滋 賀 520-0051 大津市梅林1丁目3番10号 滋賀ビル 077-523-1190 077-527-3277  520-0806 大津市打出浜449-5(平成21年度中に移転予定) (未定) (未定)京 都 604-0846 京都市中京区両替町通御池上ル金吹町451 075-241-0504 075-241-0493大 阪 540-8527 大阪市中央区大手前4丁目1番67号 大阪合同庁舎第2号館 06-6941-8940 06-6946-6465兵 庫 650-0044 神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 神戸クリスタルタワー 078-367-0820 078-367-3854奈 良 630-8570 奈良市法蓮町387番地 奈良第3地方合同庁舎 0742-32-0210 0742-32-0214和歌山 640-8581 和歌山市黒田48 073-488-1170 073-475-0114鳥 取 680-8522 鳥取市富安2丁目89番9号 0857-29-1709 0857-29-4142島 根 690-0841 松江市向島町134番10号 松江地方合同庁舎5階 0852-31-1161 0852-31-1505岡 山 700-8611 岡山市下石井1丁目4番1号 岡山第2合同庁舎 086-224-7639 086-224-7693広 島 730-8538 広島市中区上八丁堀6番30号 広島合同庁舎第2号館 082-221-9247 082-221-2356山 口 753-8510 山口市中河原町6番16号 山口地方合同庁舎1号館 083-995-0390 083-995-0389徳 島 770-0851 徳島市徳島町城内6番地6 徳島地方合同庁舎4階 088-652-2718 088-652-2751香 川 760-0019 高松市サンポート3番33号 高松サンポート合同庁舎3階 087-811-8924 087-811-8935愛 媛 790-8538 松山市若草町4番3号 松山若草合同庁舎 089-935-5222 089-935-5223高 知 780-8548 高知市南金田1番39号 088-885-6041 088-885-6042福 岡 812-0013 福岡市博多区博多駅東2丁目11番1号 福岡合同庁舎新館 092-411-4894 092-411-4895佐 賀 840-0801 佐賀市駅前中央3丁目3番20号 佐賀第2合同庁舎 0952-32-7218 0952-32-7224長 崎 850-0033 長崎市万才町7番1号 住友生命長崎ビル6階 095-801-0050 095-801-0051熊 本 860-0008 熊本市二の丸1番2号 熊本合同庁舎 096-352-3865 096-352-3876大 分 870-0037 大分市東春日町17番20号 大分第2ソフィアプラザビル6階 097-532-4025 097-537-1240宮 崎 880-0805 宮崎市橘通東3丁目1番22号 宮崎合同庁舎 0985-38-8827 0985-38-8831鹿児島 892-0847 鹿児島市西千石町1番1号 鹿児島西千石第一生命ビル 099-222-8446 099-222-8459沖 縄 900-0006 那覇市おもろまち2丁目1番1号 那覇第2地方合同庁舎1号館3階 098-868-4380 098-869-7914

2.都道府県労働局雇用均等室一覧

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平成20年度一般事業主行動計画策定等支援事業マニュアル作成委員会委員名簿

(順不同・敬称略)

谷田部 光 一日本大学法学部教授

川 上 文 男社会保険労務士

佐 藤 容 右特定社会保険労務士

古志野 純 子株式会社長岡塗装店常務取締役

竹 野   茂株式会社第一印刷所総務部人事課長

鎌 田 史 郎岩手県中小企業団体中央会連携支援部長

石 井 敏 雄東京都中小企業団体中央会調査役

定 塚 由美子厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課長

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厚生労働省委託事業

中小企業のための一般事業主行動計画

策定・認定取得マニュアル

中小企業のための一般事業主行動計画

策定・認定取得マニュアル─次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画」策定・認定取得を目指しませんか─

平成21年3月

認定マーク(愛称くるみん)

認定マーク(愛称くるみん)

全国中小企業団体中央会全国中小企業団体中央会

中小企業のための一般事業主行動計画策定・認定取得マニュアル

全国中小企業団体中央会

03-221(策定認定所定マニュアル表紙A案)