企業における フリーランス活用事例集 - minister of …...企業における...

25
企業における フリーランス活用事例集 平成30年7月 経済産業政策局産業人材政策室

Upload: others

Post on 03-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

企業におけるフリーランス活用事例集

平成30年7月経済産業政策局産業人材政策室

Page 2: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

2

GEヘルスケア・ジャパン株式会社⊢ 製造部門にマーケティングの視点を導入

マーケティングの知見を持つ人材が不足する局面でフリーランス人材を活用 製造部門内の新規事業や限られた予算内の期間限定のプロジェクトにおいても、専門性の高いマーケティングスタッフを置く必要があったため。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 約 2,000名

• 売上高 1,391億円(2017年12月期)

• 事業内容 医療機器の開発・製造・販売など

背景

• これまでに、医療機器のプロモーション企画と販売店向けの資料制作、2016年度にグローバルでGEのショーケースサイトに選ばれた日野工場(Brilliant Factory)のブランディング、同工場の見学コーディネート業務など多様なプロジェクトでフリーランス人材を活用。

• 外部人材の活用にあたっては各プロジェクトの責任者が主導し、派遣社員や法人への業務委託など多様な選択肢がある中からフリーランス人材を選択。

• これらの業務において外部人材を活用するという判断に至ったのは、新規事業や限られた予算内の期間限定のプロジェクトにおいてフルタイムのマーケティングスタッフを置くことが困難であったため。

• 派遣社員や法人への業務委託など多様な選択肢がある中から①プロフェッショナルなスキルを持った上で自立的に業務が遂行でき、②GEヘルスケアの立場を理解しつつ社外の目線から提案できるプロフェッショナル人材の必要性から、フリーランス人材を選択。

• フリーランス人材を活用することで、社内にはない発想が持ち込まれる、業務プロセスが改善されるといった期待があった。

◎ 製造部門内の新規事業や期間限定プロジェクトでフリーランス人材を活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

「ミッションのために働いてもらっている」という認識を社内で共有 フリーランス人材にミッションの内容を明確に伝えることが活用のポイント。 基本的にはアウトプットベースでの評価をしつつ、密なフォローアップを実施。

第三者視点でも理解しやすい工場見学ツールの作成 ショーケースサイトとしての工場のブランディング 顧客ニーズに合わせた工場見学プランの提案・コーディネート

効果

活用事例

課題

企業規模

広報

大企業

Page 3: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

3

「ミッションのために働いてもらう」という認識を共有させること 業務の切り出しを適切に行うことが非常に重要。 ポイントとなるのは「ミッションのために働いてもらう」という認識を共有すること、フリーランス人材自身が自分のミッションを明確に理解できるようにすること(自走してもらうこと)。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

本来発注された業務外のタスクが次々に依頼される状況に陥ると、フリーランス人材のモチベーション低下や離職を引き起こしかねないと認識しているため、プロジェクトマネージャーはタスクベースでの指示出しはしない。

マーケティング・ブランディング等のスキルはある程度業界横断的に活用できるため、業界知見については着任後のインプットで補うことが可能である。ただ、社内的なルールやカルチャーの理解、社内人材とのコミュニケーションは、プロジェクトマネージャーが適宜フォローすることが求められる。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• フリーランス人材に発注するミッションの明確化。

依頼者選定

• プラットフォーマーを通して複数候補者と面談。

依頼内容摺合せ

• プラットフォーマーを介して半年間業務委託契約を締結。• プロジェクト全体の予算配分のバランスを考慮しつつ、業務時間や報酬額を決定。

業務委託契約

• 在宅と社内での業務を組み合わせ、柔軟な業務形態を採用。在宅での業務実施にあたっては社用携帯・PCの使用などにより、セキュリティの確保に配慮。

• 進捗を逐一報告することは求めず、アウトプットベースの進捗管理を実施。

評価

• 成果物に基づきフィードバックを本人とプラットフォーマーに実施。• 場合によっては新たなミッションを依頼するなど、契約期間を延長。

活用のフロー

(写真)フリーランス人材とプロジェクトマネージャー

(写真)日野工場の概観

Page 4: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

4

株式会社ビジョナリーホールディングス⊢ データマーケターを活用し高度なCRM(顧客関係性管理)を実現

高度なCRM(顧客管理)実現のためにフリーランスのデータマーケターを活用 高度なCRMにより、業績をさらに上げていくために、自社の考えを組んでフラットな立場で提案してくれるフリーランスの存在が重要となっていた。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 1,372人(2018年4月時点)

• 売上高 178億円(2017年4月期)

• 事業内容 メガネスーパーの運営等

背景

• 株式会社ビジョナリーホールディングスは、グループ企業として株式会社メガネスーパーを持つ企業。• 眼鏡等の販売においてはじめて業界内で価格破壊をした創業40年企業だったが、競合企業の台頭によって赤字に転落。ファンドが入って再建を図った企業であり、フリーランスの活用により、商品の更なる訴求を図った。

• CRM、顧客軸での訴求を実施し、ある程度の成果は出たものの、更に上の段階を進めていくためには、成功事例を持っている方のノウハウ、また、CRMの分野において当社の動きに連動し、当社の考えを汲んで提案してくれる必要があった。

• また、期待する業務遂行に当たっては多様なスキルをシームレスに発揮することができ、オンタイムで課題に対応していくことが必要にもなっており、これらの対応は、企業では難しく、個人と契約ことがベストであると考え、課題に対して、コミュニケーションの中から色々提案してくれる人を求めた。

◎ 高度なCRM(顧客管理)実現のためにフリーランスのデータマーケターを活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

現場の営業とも交流するようにしたことで、活用機会増加 マーケティング支援としてデータ分析から打ち手の提案までを依頼。 現場の営業とも交流するようにしたことで、活用機会増加を期待

はじめて本格的なCRM(one to one マーケティング)が可能となった→ 40パターンのDMを顧客等に送付しており、送付の条件、

中身検討に必要となる高度な顧客データ分析今までなかった視点・腹落ちするデータの獲得

効果

活用事例

課題

企業規模

営業・顧客開拓

大企業

Page 5: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

5

現場の営業とも交流するようにしたことで、活用機会増加 分析結果を従業員でもわかるレベルで会話してくれ、現場の営業と気軽にコミュニケーションをとってもらうなど、社内における接触を増やすことで、活用機会が増加。

自社からフリーランス人材に課題・示してほしいデータを伝え、フリーランス人材には、データ分析、テストマーケティングの企画等を提案を依頼するが、あくまでも決めるのは自社。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

フリーランス人材には、データを分析して「生かす」ことまでをお願いしている。 会社全体では、データを「加工」し、「分析」し、「施策実行」・「効果検証」・「仕組み化」までを行う必要があるため、一連の流れをスピード感をもって対応するためにサポートを依頼。

社内において認知度が高まると、他部署等からの依頼事項が増えてくるようになった。ただ、業務を多く依頼することで「外部人材に本来やってほしいこと」が後回しになってしまうリスクもあった。

そのため、フリーランスを受けいれた責任者が「当該依頼が真に外部のプロの力が必要か(対応できる社内人材はいないか)」を見極め、必要と感じた部分のみ、依頼をかけるようにした。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• CRMの分野において当社の動きについて行けて、当社の考えを汲んで提案してくれる必要があった。

依頼者選定

• フリーランス選定と並行し、いわゆるCRMを得意とする企業に複数接触した。• 結果として、個と個で関係性も持つことができるフリーランスを選定した。

業務委託契約

• データ分析全般を依頼している。• 時給制で単価を設定し、「稼働見合い」で支払うという業務委託契約としている。• 依頼事項は明確にしている。依頼事項が多岐にわたってしまいがちなので、なにが必要なのかお互い決め、無駄な発注をかけないようにしている。

評価

• 会社からは特にフィードバックを行ってはいない。• 仕事を次回発注するかどうかがポイントと考えている。

活用のフロー

Page 6: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

6

古河電気工業株式会社(古河ファイナンス・アンド・ビジネス・サポート株式会社)⊢ 専門性・中立性を要し、緊急性が高い業務にフリーランス活用

社内にはない専門的知見を持つ人材をスポットで活用するため、フリーランス人材を登用 緊急案件への対応がきっかけとなり、経理や中期経営計画策定など多様な業務で中立的立場から専門的知見を得る手段としてフリーランス人材を活用。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 52,254人(2017年3月末)

• 売上高 8,433億円(2017年3月期)

• 事業内容 情報通信・電力・自動車部品等の製造

背景

• グループファイナンスや人事・経理・購買のシェアードサービスを手がける子会社である古河ファイナンス・アンド・ビジネスサポート(以下、古河FBS)においてフリーランス人材を活用。

• これまでに属人化業務の整理と業務手順書の作成、M&Aにおける経理業務の立ち上げ、中期計画作成支援などでフリーランス人材を登用。

• フリーランス人材活用の直接的なきっかけとなったのは属人化業務を担っていた人材が急病で倒れ、緊急に対応する必要が生じたからであるが、その他にも専門的知見を持つ外部人材の力を借りる必要が生じた際に随時フリーランス人材を活用している。

• 特にきわめて専門性が高い分野で、社内に当該分野の知見を有する人材がいないことが明らかな場合、かつ急を要するときに有用と考えている。

• 古河電工は自前主義の強い社風であったが、以前にも社外の専門家を探して業務を依頼した経験を有し、これまでの業務において積極的にコンサルタント等の外部人材が有するノウハウを活用して成果を挙げた。

◎ 社内にはない専門的知見を持つ人材をスポットで活用するため、フリーランス人材を登用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

社内での依頼内容の整理を丁寧に行うことで業務と人材のミスマッチを回避 活用のポイントは業務内容と求める人材像を明確化すること、そして、依頼者に求める要件をMust要件とWant要件に分類し、優先順位付けを行うこと。

業務の整理と業務手順書作成M&Aにおける経理業務の立ち上げ中期経営計画策定に当たっての専門的知見の提供

効果

活用事例

課題

企業規模

財務・会計など

大企業

※従業員数、売上高はいずれも古河電気工業株式会社のもの(連結)。

Page 7: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

7

社内での依頼内容の整理を丁寧に行うことで業務と人材のミスマッチを回避 自分たちが何をしたいのか、何を求めているのかを言語化するイシューの特定が最も重要な部分 単に相手に依頼したい事項を列挙するのではなく、いつまでに何がしたいのかを整理する必要がある

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

委託業務要件の整理にあたっては、提示するスキル要件のうち何がMust要件(必須の要件)で何がWant要件(満たしている方が望ましいが、必須ではない要件)を明確化し、優先順位付けを行うことが重要。

すべての要件を満たす人材を見つけることは困難であるため、場合によっては譲歩可能である要件については整理しておく必要がある。

実際に業務を依頼する現場の責任者がこうした作業に不慣れである場合は、マネジメント層等が対話しながら丁寧に考えを引き出すことも有効ではないか。古河FBSの場合はコンサルタント活用や人事業務の経験を持つ社長が現場担当者をサポートした。

業務切り出し

• フリーランス人材に何をいつまでにすることを求めているのかを現場のマネージャーと経営マネジメント層が話し合いながら言語化。

依頼者選定

• 委託業務要件をベースにプラットフォーマーがフリーランス人材をアサイン。• 全ての要件を満たす人材は希少なので、条件の優先順位付けが重要。

依頼内容摺合せ

• 委託業務要件を整理。• 一般的な勤務条件に加え、ミッションや求める成果物、スキル等を明確に示す。

業務委託契約

• プラットフォーマーを通して契約を締結。• 報酬等は社内の給与体系ではなく、外部委託を行う際の相場観を基に決定。

評価• フリーランス人材本人とプラットフォーマーの双方に対してフィードバックを実施。

活用のフロー

(写真)フリーランス人材との打合せの様子

当該企業のその他の取り組み・声

Page 8: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

8

株式会社ベネフィット・ワン⊢ 経営トップの意識変革から外部人材の活用を推進

人手の需給が逼迫する中でも、会社の強みを活かした人材確保を行なうための方策として、フリーランスなどの外部人材活用に着目 労働生産性向上に対する社会的要請が高まる中、多様な雇用形態の活用が有効なソリューションになると考え、フリーランスの活用を含む働き方改革を成長戦略に位置づけ全社的に実行。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 980人(2018年4月)

• 売上高 320億円(2018年3月期)

• 事業内容 官公庁や企業の福利厚生業務代行など

背景

• 経営トップ自ら、労働市場や雇用のあり方が、近年大きく変化していると認識。• 2016年10月に社長をプロジェクトオーナーとする全社的な働き方改革プロジェクト「Neo Works」を発足、全社で業務の棚卸しを行い、効率化が必要な定型業務と社の成長のために今後増員が必要な業務を分類・整理。

• 労働市場の需給バランスの逆転、IT(情報技術)の発達、主婦や一次産業従事者などフルタイムを前提とした雇用が難しい人材、といった時局の変化から正社員雇用を前提とした日本企業の雇用のあり方は転換期を迎えていると認識。

• 「オフィスじゃなくても」「社員じゃなくても」働くことが出来る仕組み(システム環境や業務プロセスなど)を整備。• 将来的には、自社サービスの会員や一般のフリーランスを巻き込むことで外部人材を確保し、業務の7割程度を個人に外部委託することを視野に入れている。

◎人手の需給が逼迫する中でも、会社の強みを活かした人材確保を行なうための方策として、フリーランスなどの外部人材活用に着目

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

経営トップの強いリーダーシップの下、全社的な業務見直しを断行 トップダウンで改革を推進したことで、業務改善にとどまらないドラスティックな見直しが可能に。

生産性向上により社員の過重労働を回避現場を巻き込んだ業務改善のアイディア出し

効果

活用事例

課題

企業規模

商品企画

大企業

Page 9: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

9

経営トップの強いリーダーシップの下、全社的な業務見直しを断行 プラットフォーマーの業務発注管理サービスを導入し、WEB上で委託業務とフリーランスのマッチングから報酬支払管理まで一貫して行なえるように。

契約書等のペーパーレス化と、マッチングオペレーションの効率化を推し進めている。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

フリーランス人材活用は働き手にとっては仕事の質に応じてより高い報酬を得ることができるという点、企業にとっては外部労働市場での評価を経た質の高い人材を確保できるという点でメリットがあると認識。

当初現場には警戒感があったが、いざ外部に業務を委託してみると「この業務も頼めないか」と前向きに捉えるようになった。”外部化”を行う中で、フリーランスとのコミュニケーションは円滑に行われており、社員の肌感覚によれば習熟度の向上により成果物の水準は上がっている。

現場は「個人情報を扱う業務なので外に出せる業務はない」などと主張するが、そうした業務でもプロセスを分解すれば「一部分だけでも外部に委託できる」というケースもある。

本取り組みを開始してから1年が経過したが、活用が進んでいる部署は活性化していると感じる。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• 業務の見直しは各部署で実施するが、責任の所在を明確化するために専任チームを新設した。全体最適の観点から、①現場意識のバラツキを統制するとともに、②各種サポート・推進役として機能。

依頼者選定

• 現在は、リスク回避とノウハウの蓄積の観点から、OB/OGや社員の親族・知人などが中心。• 大々的な求人は行なわず、社員や稼働中のフリーランスのクチコミで人材を集めている。

依頼内容摺合せ

• 「同一の業務に社員が従事した場合何時間かかるか」を基準に各業務の難易度を設定し、難易度に基づいて1件あたりの料金を設定。時間当たりではなく、案件当たりの報酬を算出。

業務委託契約

• 専任チームが発注部署・フリーランス双方の一元的窓口として、クラウドソーシングプラットフォームを用いることで委託業務とフリーランスを繋いでいる。

評価

• 業務マニュアルについて、業務委託を導入する際には用語の統一やデリバリーの仕方を含め修正。• クラウドソーシングプラットフォームの導入により、WEB上で発注から納品報告、報酬支払管理まで一貫して行なうことが可能に。また品質・納期・コミュニケーションの観点から働き手を評価できるように。

活用のフロー

(写真)ミーティングの様子 (写真)オペレーションセンター室内

Page 10: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

10

株式会社NTTドコモ⊢ 新規ビジネス開発において、現場への権限委譲によりスムーズな外部人材活用を可能に

ノウハウ面で社内リソースでの対応が難しい業務に、フリーランスを活用 新規事業や限られた予算内の期間限定プロジェクトにおいて、専門性の高いマーケティングスタッフを置く必要があったため。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 7,609人(2017年3月末時点)

• 営業収益 47,694億円(2018年3月期)

• 事業内容 携帯電話サービス等の通信事業

背景

• ローミングサービスなど携帯電話の国際サービスを担当する国際事業部において、フリーランス人材数名を含むエンジニア10名程度と契約。

• 近年ではエンジニア以外でも新規事業開発の専門家として女性のフリーランス人材1名を登用した。

• 国際通信のスペシャリストスキルが求められる部署で、「この業務を出来る人が足りない」という需要が明確にあり、それができる人材を探した結果がフリーランス人材であった。

• 他部署にてフリーランス人材のエンジニアの登用経験がある社員もおり、外部人材と仕事をすることに社員は慣れているため、フリーランスの受入れはスムーズ。

• 新規事業開発において女性のフリーランス人材を登用した際は、海外旅行者向けの新規サービスを開発するプロジェクトが立ち上がり、ターゲットを「女性」としたものの、プロジェクトメンバーが全員男性かつ技術者のみという同質性の高い集団だったため、外部人材の登用に踏み切った。

◎ ノウハウ面で社内リソースでの対応が難しい業務に、フリーランスを活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

外部人材の活用に対する上司の理解と契約に際しての現場への権限委譲 フリーランス人材にミッションの内容を明確に伝えることが活用のポイント。 基本的にはアウトプットベースでの評価をしつつ、密なフォローアップを実施。

フリーランスの登用により、内部人材の限られた思考回路を脱却することができ、新しい展望に繋がった。

国際事業部でのフリーランス人材登用に刺激を受け、別の部署にてフリーランス人材が登用された例も。

効果

活用事例

課題

企業規模

※会社ロゴなど

新規事業立ち上げ

大企業

Page 11: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

11

外部人材の活用に対する上司の理解と契約に際しての現場への権限委譲 活用のポイントは、外部人材の活用に対する上司の理解と契約に際しての現場への権限委譲。それにより、現場の需要に合った人材を素早く採用することが出来る

国際事業部長決裁で、人事部等を介さず、事業部と委託元の会社が直接やり取りを行うため、採用に至るまでのスピードが速い。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

活用したプロジェクトは、比較的規模の小さい新規ビジネスを次々と立ち上げるものだったため、フリーランス人材と親和性が高かったが、大掛かりなプロジェクトの場合、外部人材を登用するのが難しい場合がある。

また、社内の情報統制の面で課題がある。外部人材にもある程度情報へのアクセス権を与えないとプロジェクトの進行に支障が生じるが、社内でも限られた社員のみアクセスできる資料等を、外部人材に開示することは社内ルール上不可能。

現場の運用においては上述の制約をカバーし、必要最低限かつルール上問題ない情報にとどめて開示するやり方が必要

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• 依頼したい業務内容および必要な人材像を明確化。→ 例えば、昨年の新規事業開発の場合は、「女性の感覚がわかり、事業開発の知見がある人」

依頼者選定

• プラットフォーマー等への照会等を行い、依頼者を選定• 現場への権限委譲により、人事部等を介さずスムーズに選定を進めることが可能に

依頼内容摺合せ

• フリーランス人材と委託する業務内容のすり合わせを行う。(本人の適性等にあわせて柔軟に業務、役割を変更することを視野に、業務内容は広めに設定。)

業務委託契約

• 勤務形態は常駐から週1・2時間程度まで様々である。• 海外経験の豊富な法務部の職員が外部人材登用に協力的であり、手続きをスムーズに進めることが出来る。

評価

• 社内の評価の仕組みとは切り離されており、フィードバックは特に実施せず。• 契約延長するかどうかについては、部長および課長の会議においてアウトプットを精査し、決定する。

活用のフロー

(写真)打ち合わせの様子

Page 12: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

12

大手広告業A社

⊢ プロジェクトごとに適任のクリエイティビティを見分け、同じ仕事仲間としてフリーランス人材を活用

業務の遂行に業界特有のスキルを保有する人材が必要であり、従来からフリーランスは人材ポートフォリオの一部として活用 広告業界では、企業に勤務し経験を積んだのち独立する人も多く、フリーランスの活用も多い。結果として、OBがフリーランスとして活躍しているケースもある。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 事業内容 広告業

背景

• 広告業界では、企業に勤務し経験を積んだのち独立する人も多く、フリーランスの活用も多いため、フリーランスも含めた社内外における一定の人材ポートフォリオがある。

• フリーランスのプランナー、デザイナー、コピーライター等クリエイティブ・デザイン職を活用している。

• コピーライター、CMプランナー、デザイナーに関しては、外部協力機関としての制作プロダクション等の業界があり、そこに発注することが通常だが、個人事務所も含めたフリーランスへの発注も多い。

• 調査・分析結果から広告表現にブリッジする役割を担う【ストラテジックプランニング】という広告業界特有のスキルを保有する人材の必要性も高くなって来ている。そのような人材を集めた企業は稀で外注できる会社がないため、OB等の外部人材個人に依頼をするケースも増えて来ている。

◎業務の遂行に、業界特有のスキルを保有する人材が必要であり、従来からフリーランスは人材ポートフォリオの一部として活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

プロジェクト毎に、そのプロジェクト完遂に必要とされるスキルを見極め 「必要なスキル」を明確化し、そのスキルを持つ人材の選定、必要に応じて、チームを組む場合もあるが、擦り合わせし、チームの一員として仲間意識を持って仕事を進める。

クライアントから納得のいくクオリティの高い作品を納品効果

活用事例

課題

企業規模

クリエイティブ・デザイン

大企業

Page 13: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

13

プロジェクト毎に、そのプロジェクト完遂に必要とされるスキルを見極め プロジェクトごとに、そのプロジェクト完遂に必要とされるスキルを持つクリエイティブ・デザイン職を活用。 「必要なスキル」を持つ人材の選定を最優先させ、チームを組むにあたっては、受発注の関係ではあるものの、チームの一員としての一定の仲間意識を持って仕事を進める。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

顧客から受注したプロジェクトごとに、クリエイティブディレクターがそのプロジェクトに適任と思われる社内人材・外部協力機関人材・フリーランス人材をスタッフィングする。

フリーランスとの仕事の進め方は、会議室でのミーティングを基本とする、アウトプットのみの提出にする等、プロジェクト特性や個人の働き方に応じ様々である。

チームとして働くためには、お互いの仕事のやり方を理解することを心掛けている。プロジェクト単位での契約になるが、信頼感があると、次の依頼につながるなど継続的に仕事ができる。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• クリエイティブな分野は切り出し範囲が明確(コピー、CM、グラフィックデザイン等の専門が明確)。

依頼者選定

• クリエイティブディレクターが、依頼内容に強みを持つクリエイティブを、社内のみならず外部協力機関、フリーランスまで選択肢を広げてスタッフィングし、プロジェクトメンバーを組成。

• 自社OBや、広告賞の受賞者等、実績がありスキル・強みが分かっているフリーランスには依頼がしやすい。

依頼内容摺合せ

• クライアント毎のプロジェクト単位で依頼。

業務委託契約

• プロジェクト単位で契約を締結することが基本。

評価

• プロジェクトメンバーが集合し、皆で議論する場に同席してもらい、一緒に議論をしてもらうケースも少なくない。

• 成果はもとより、仕事をする中で信頼感があると、またその人のスキルを活かせるようなプロジェクトがあった際に業務を依頼する。

活用のフロー

Page 14: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

14

パイオニア株式会社⊢ 新規事業開発で社内にないデザイン思考のノウハウ獲得

新規事業開発にデザイン思考を取り入れるため、フリーランス人材を活用 新規事業開発にあたってはオープンイノベーションの視点が必要と認識。社内にないデザイン思考等のノウハウを獲得する手段としてフリーランス人材の活用を決断。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 16,798人(2018年3月末時点)

• 売上高 3,654億円(2018年3月期)

• 事業内容 カーエレクトロニクス製品の製造など

背景

• 社内の技術の他の産業への応用可能性を検討している。有機ELはもともとTVに使われることが主であったが、市場が縮小傾向にあるため、5年前から照明モジュールに進出。

• 現在は女性のメイク用照明と看護師が夜間巡視に用いるナースライトに注力。

• 新規事業開発では未知の課題に取り組むために、①成功の確率が必ずしも高くなく、②既存の手法が通用しにくいという業務の特性から、パートナーとしてはマーケティング会社や広告代理店、コンサルティング会社への業務委託よりもベンチャー企業との協業の方が望ましいと考えていた。

• 担当者がピッチイベントに参加したり、ベンチャー企業との接点を持つ中で、企業とフリーランス人材の仲介事業を手がけるプラットフォーマーとの関係を構築。フリーランス人材を活用した事業開発を構想するようになった。

• 並行して、女性をターゲットとした新商品の開発を進める中で、デザイン思考、期待不一致モデル、バリュー・プロポジション、ジョブ理論等を運用した経験がある女性の人材を探索していたが、社内には適任者がいなかった。

◎新規事業開発にデザイン思考を取り入れるため、フリーランス人材を活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

事前に合宿を行うことで、プロジェクトメンバーとフリーランス人材の認識を丁寧に摺合せる 発注者が「やりたいこと」を明確に伝えること、フリーランス人材の「できること」をしっかりと確認すること、そして依頼したらしっかり任せること。

デザイン思考を活用した新規事業開発(照明)のノウハウを社内に導入

効果

活用事例

課題

企業規模

マーケティング

大企業

(写真)本社エントランスの照明

Page 15: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

15

事前に合宿を行うことで、プロジェクトメンバーとフリーランス人材の認識を丁寧に摺合せる 実際に業務を進めるに当っては信頼構築と互いの役割分担に対する認識のすり合わせを重視。 まずは1日限りの業務委託契約を締結し、事前合宿を行った。合宿での議論を通じ、①依頼者に実際の製品を手にとってもらうことができた、②担当者の熱意や生の声を伝えられた、③依頼者の経歴やスキルをより正確に把握できた、といった成果が得られた。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

フリーランス人材に求めたのは「伴走者」としての役割である。契約は2つのフェーズに分けて行なわれ、第1フェーズではデザイン思考のプロセス及び各段階での必要人員のプランニング、第2フェーズでは社内での検討結果のレポーティングのフィードバックなどを依頼。

現場の状況を把握している必要があるプロセスは社員が、フィードバック等をフリーランス人材が担うという役割分担であったため、「フリーランス人材が社内情報を十分に有さない、あるいはリモートワークであるために業務に支障をきたす」ということはなかった。

ただセキュリティを担保しながら情報共有を行なうためには配慮をする必要があるため、今回は社内システムとは別にプラットフォーマーが用意した環境を用いてコミュニケーションを行なった。コミュニケーションの方式を確立することは重要。

当該企業のその他の企業の取り組み・声

業務切り出し

• 新規事業開発を行う中で、ノウハウを有する人材が社内に不足している領域を特定。

依頼者選定

• フリーランス人材をアサインしたいプロジェクトの詳細を企画書にまとめ、プラットフォーマーに提示。• 企画書をもとにプラットフォーマーが必要な人材像を特定、候補者を提示。過去の実績と提案書の完成度に基づいて実際の依頼先を選定。

依頼内容摺合せ

• プロジェクトメンバーとフリーランス人材で合宿を行い、認識を共有。

業務委託契約

• プラットフォーマーを通して契約を締結。• 通常の業務委託契約に加え、別途企画書に基づく計画書で内容を合意。

評価

• 活動中のレポートを元に新規事業の方向性をどの程度明確にできたかを評価。報告書等を新規に作成することは求めなかった。

活用のフロー

Page 16: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

16

株式会社タスカジ⊢ 社内で足りない機能の充足として広報のプロ人材を活用

メディア戦略、プレスリリース、タレントマネジメント等広報にフリーランスを活用 広報を社内で足りない機能として認識しており、自社の事業における広報の重要性を理解し一緒に動いてくれるプロ人材を活用。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 ー

• 売上高 ー

• 事業内容 家事代行マッチングプラットフォーム「タスカジ」の開発・運営

背景

• 広報を社内で足りない機能として認識しており、自社の事業における広報の重要性を理解し一緒に動いてくれるプロ人材を活用。

• 依頼したい人材が、他社の業務も抱えており、フルタイムのコミットが難しいためフリーランスとして契約。

• 起業当初は社長が独自で事業を行っていたが、約1年後、チームとして一緒にビジネスを拡大できるメンバーを探し始めた。

• 特に、「家事代行は人の行動変容が大事なビジネスなのでメディアから価値観を変えていくことが大事」と考えており、広報のノウハウ不足を強く感じていた。

• そこで、2015年に広報のフリーランスとして活動していたプロフェッショナル人材に直接契約を依頼。当フリーランスは出身大学院の広報としても活動しており、これまでの実績も知ることができていた。

◎メディア戦略、プレスリリース、タレントマネジメント等広報にフリーランスを活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

契約においては、事前に業務内容及び時間を明確に定義し、スモールスタートから始める まずは、依頼したい業務が先にあり、その業務に必要な能力を持つ人がいれば、その人に合った契約(雇用・フリーランス)を行う。

『プロフェショナルの流儀』『沸騰ワード10』『スッキリ』など人気番組を始め各種メディアで露出多数

タスカジ関連書籍を続々出版(年間9冊)、1冊目は9万部、2冊目は6万5千部のベストセラー

効果

活用事例

課題

企業規模

広報

中小・小規模企業

Page 17: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

17

契約においては、事前に業務内容及び時間を明確に定義し、スモールスタートから始める 必要な能力を先に定義し、その能力を持つ人材をウォンテッドリー等のツールを活用し探し契約。 活用のポイントは、契約において業務内容及び時間を明確に定義し、スモールスタートすること、また、人が変わっても業務が滞りなく進むよう引き継ぎも考えたアウトプットを要件定義することが挙げられる。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

依頼したい業務が先にあり、その業務に必要な能力を持つ人がいれば、その人に合った契約を行う。業務量が多くフルタイムで働く必要がある場合は、正社員を求めるケースが多いが、フルタイム分の業務量が無い仕事や、依頼したい人が他社の業務を抱えている場合はフリーランスとして業務委託契約を結ぶ。

条件交渉の際のコミュニケーションが課題である。初めの段階で相手の価値観がわからないこと、契約の相場観がわからないことから、業務の摺合せは丁寧に行う。

人が入れ替わる前提でドキュメントを準備するようにしている。その時々必要な人材が異なるため、流動してもいい仕組みが大事。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• 必要な能力を先に定義し、その能力を持つ人材をウォンテッドリー等のツールを活用し探し契約

依頼者選定

• 依頼したい業務を定義し、その業務を遂行可能な人材を選定(縁故、採用SNSやHRテックの利用)

依頼内容摺合せ

• 依頼者と委託する業務の摺合せ(2カ月程度調整を行う)

業務委託契約

• はじめはスモールスタート、3~6ヶ月の契約。その後、月次で自動更新• 依頼内容により契約形態は変える。Web改修等のアウトプットが提示可能な業務は納品契約、広報は月次単位で業務内容及び時間を明確に定義した契約等(○○業務 ○時間/月)

評価• 「プロ」であるため、フィードバックは特に実施せず

活用のフロー

(写真)「タスカジ」に関連する書籍

Page 18: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

18

株式会社デンタライト⊢ デザイン戦略・実務をフリーランスに依頼

事業システムやチラシなどにおけるデザインにフリーランス人材を活用 会社が成長し、取り巻く事業環境の変化に伴い、日々変わる状況への対応が必要になった。

基本情報

ポイント

• 所在地 福岡県

• 従業員数 15名

• 売上高 約2,000万円

• 事業内容 歯科関連ITシステム開発等

背景

• 2013年10月に起業した当初から、都度ロゴやチラシ等の発注を行ってきた。• デンタライト社の主たるサービスである歯科医院向け予約・CRMシステムの名称「ジニー」は、社長と社員そしてフリーランスのデザイナーが幾度も打ち合わせ・検討をして決定した名称。フリーランスサイドからさまざまな案を提示し、社長の感覚にあうものを見つけるまでに相当に時間がかかったが、明確な成果となった。

• 2017年10月、多額の資金調達を行った後、会社を取り巻く事業環境が日々変化する状況に対応していかなければならなかったため、都度発注ではなく日々必要なデザインを起こし、オンタイムで対応してもらう必要性が高まった。

• デザインの実業務自体はリモートでも行い、フリーランスからさらに別のデザイナーやイラストレーターに依頼を行い、取り纏めを行った上で仕上げる。

◎ 事業システムやチラシなどにおけるデザインにフリーランス人材を活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

コミュニケーションを通じ、社内の問題意識を踏まえたデザインの作成を依頼 社内の様々な部署から出てくる要望を受け、社内の問題意識を踏まえ、それらのデザイン化を依頼。(時には、社長とディスカッションを行い、企画・検討)

歯科診療所向け顧客情報管理システム「ジニー」というサービス名を考案

現在同社の主力サービスに成長、メディア取材の増加

効果

活用事例

課題

企業規模

クリエイティブ・デザイン

中小・小規模企業

(写真)同社が提供する歯科医院向けITツール「ジニー」

Page 19: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

19

コミュニケーションを通じ、社内の問題意識を踏まえたデザインの作成を依頼 フリーランスは、週2-3回協働しており、社内の様々な部署から出てくる依頼を受け、社内の問題意識を踏まえ、デザイン化していく。時には、社長とディスカッションを行い、企画・検討を進める。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

当初、社長とフリーランスとでゴールの認識がうまく出来ていなかった。原因としては、「お互いできることと求めることが、言語化できていなかった」ことが挙げられ、これにより、結果のミスマッチが起きてしまった。

週2-3日の業務でも、週5日フルで働く社長や社員とは事業のキャッチアップ度合いに差が出ていた。そこで、一度社長とフリーランスで腹を割って話す場を設け、共通言語化を行った。また、社長とフリーランス直でやりとりを行っていたが、間に「翻訳」するような役割を担う社員を1人配置し、潤滑油とした。

(進捗管理としての)スケジュール管理表を作り上げるにあたって大事なことは、会社全体の業務の流れを理解することである。理解することで無理のなく効果的なスケジュールを作成することができる。

この進捗管理表には、これから取り組んでほしい事項も記載しており、これにより、どのような残タスクがあるかもわかるようになっている。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• デザイン部分を依頼できる人材が必要。

依頼者選定

• 社長が、もともと同じNPOで知り合いだったデザイナーに業務を依頼

業務委託契約

• 始めは都度契約で、必要に応じロゴやチラシの製作を委託。• タスクが増えてきた段階で、これまでの都度契約から週2~3日の業務に変更し、緊急性が高いものや• 企画段階から入り込む必要がある業務にも対応してもらうよう契約を変更。

進捗管理

• 週2~3日、社員と協働。デザイン戦略は、社長も含めたディスカッションを行う。• 緊急度や重要度が異なる業務を様々な部署から依頼するので、スケジュール管理表として一元的に見える化し管理。

評価

• 業務全体のゴールに関してすり合わせが不十分だと感じた際は、社長と2人で根詰めて思っていることをいう時間を設けた。

活用のフロー

Page 20: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

20

株式会社教育デジタルソリューションズ⊢ 新規事業開発にあたり、企画・デザインにおけるブリッジ人材を活用

新規事業開発にあたって、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナー(製品を使用することで得られる体験をデザインする人材)を活用 ユーザー視点に立ったUXデザイナーの活用で、ユーザーに価値を届けるためのブレないサービス設計を行う

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 16人(2018年4月時点)

• 売上高 ー

• 事業内容 教育と学習に特化したデータ分析を通じた教育関係者・学習者支援事業

背景

• 新規事業では、「高校生の受験・進路選択の際に活用できるサービス」を開発中である。• 高校生の親に情報提供を行うサービスを提供予定となっており、UIやUXが非常に重要なサービス。

• 当初社内人材3名で企画していた新規事業において、UXデザインが重要な要素の1つであるという認識に立ったが、社内にはUXデザインに関するノウハウを持つ人がいなかった。このため、UXデザインができる人を探し、結果としてフリーランスを活用することとした。

• UXデザイナーといっても、ワイヤーフレームだけ作成できれば良いわけではなく、ユーザーリサーチや総合的価値の部分を含めたUX設計が重要。よって、企画から参画してもらって、上流工程も含めて一緒にサービスを作っていける人材を選定した。

◎新規事業開発にあたって、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナー(製品を使用することで得られる体験をデザインする人材)を活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

スモールスタートとして、社内メンバー数名とフリーランス人材で個別打ち合わせを実施 新規事業開発検討会議にも出席。UXデザイナーの目線から積極的に意見を出し、ユーザーリサーチ(アンケート・インタビューの実施)に貢献

UXデザインの基礎となるリサーチ設計が完了 リサーチ結果に基づき事業企画案が完成

効果

※会社ロゴ 等

活用事例

課題

企業規模

商品企画

中小・小規模企業

(写真)事業企画案のイメージ

Page 21: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

21

スモールスタートとして、社内メンバー数名とフリーランス人材で個別打ち合わせを実施 当初、スモールスタートとして、社内メンバー数名とフリーランス人材で企画主旨を伝える個別打ち合わせを実施。 併せて、定例会も開催し、UXデザインを行うにあたって必要となる項目を中心に発言を依頼。 エンドユーザーの存在やニーズを把握することで、いままでの仮説をさらにブラッシュアップすることができた

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

定例会は週に1回、社内メンバー及びマーケティングが専門のフリーランス等が参加して2時間程度行われている。定例会の中では、UXデザインを行うにあたって必要となる項目を中心に発言を依頼。他のメンバーが気づかない視点での発言がある。

事業を企画する際「ビジネスモデル」の策定や「市場性調査」に着目しがちだが、今回は、企画段階からUXデザイナーに参画してもらうことで、「ユーザー視点」を常に意識できる体制にした。

当初は、「UXデザインを念頭に置いたデザイナーが考えていること」と「今回の定例会に参加しているメンバーが考えていること」とはかい離があることも多かった。たとえば、アンケート項目の検討の際に設問案を検討すると、それぞれが方向性の違う設問を作ってしまい回答者が答えづらい設計になってしまうこともあった。

そのため、「その設問の意義」や「この回答をどのように使うのか」ということをきちんと話し合い、お互いのゴールを明確にするようにした。話し合いに際してはSlack等を活用し、かしこまらなくていいスタイルでざっくばらんに議論した。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• UXからUIデザインまで幅広く対応できるデザイナーを探す。• 企画とUXデザインの業務では、UXデザインの業務を優先。

依頼者選定

•デザイン会社、ならびに知り合いから依頼者を選定。•相談・依頼の柔軟さや、予算面から、知り合いのフリーランス人材に依頼。

依頼内容摺合せ

• 業務内容は打ち合わせによって決定• 週一回の全体会議に参加してもらうようにしている。

業務委託契約

• はじめはスモールスタートで開始、事業が進み始めたら、実施事項も異なるため、契約を見直す予定。

評価

• リモートワークが中心。日々チャットにて状況報告、連絡。別途、オフィスにて定例会を実施。• 関連する情報は社員、フリーランス関係なくチャットですべてオープンになっている。• 「プロ」であるため、評価のフィードバックは特に実施していない

活用のフロー

Page 22: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

22

株式会社Branding Engineer⊢ 人事制度・部門の立ち上げ、人事担当者育成にプロの知見を活用

ベンチャー企業の人事機能立ち上げにあたり、フリーランスを伴走役として活用 創業間もないタイミングで人事専任の社員を採用することは難しかったため、採用戦略の立案にスタートアップベンチャーでの人事部長や役員を経験したフリーランスを活用

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 53名(2018年5月時点)

• 売上高 9.8億円(2017年8月期)

• 事業内容 エンジニア向けの人材サービス等

背景

• 創業5期目のスタートアップベンチャーであり会社がまだ成長段階にある中で、経営層や社内人材と伴走しながら個社に最適なソリューションを提案してくれる人材としてフリーランスを選択。

• 会社の成長のためには人事や採用に注力する必要があると考えていたが、創業間もないタイミングで人事専任の社員を採用することは難しかったため、採用戦略の立案にスタートアップベンチャーでの人事部長や役員を経験したフリーランスを活用。

• 当初は社長が社員一人ひとりに目を配ることが可能だったが、社員が50人を超えたことでそれが困難に。マネージャーに権限を委ねるなど、組織マネジメントのあり方を変える必要が生じた。人事制度の設計に当たり、内製化も検討したが、戦略人事の経験者に協力を依頼。

◎ ノウハウ面で社内リソースでの対応が難しい業務に、フリーランスを活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

役割分担を明確にし、専門分野に応じたフリーランスの活用を実施 人事分野で、①採用戦略の立案、採用面接サポート、人事担当者の育成、

②人事制度の設計を依頼し、それぞれタスクの明確化。

採用戦略の立案 人事担当者の育成・サポート人事制度(等級・評価・報酬)の設計人事フェーズに合わせた、対社員に対する研修の実施

効果

活用事例

課題

企業規模

人事

中小・小規模企業

Page 23: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

23

役割分担を明確にし、専門分野に応じたフリーランスの活用を実施 二名のフリーランスを活用し、それぞれ①採用戦略の立案、採用面接サポート、人事担当者の育成、②人事制度の設計を依頼

当初は自力での制度設計や大手コンサルファームへの依頼も考えたが、様々な戦略人事経験者に相談する中で協力を申し出たプロ人材がおり、フリーランスとして業務を委託

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

成長段階のベンチャーであるため、コンサルティング会社等のパッケージ化されたスキームではなく、個社に最適なソリューションを提案し、その後の運用までサポートできる依頼先を求めていた。依頼者が異動や転勤によって担当を外れてしまうリスクが無いのはフリーランス人材の強み。

特に制度設計について、人事経験を持つ社員を採用することで解決を図ると「自分にとっての運用しやすさ」を意識した制度を構築してしまい、ノウハウが属人化してしまうのではないかという懸念があった。

フリーランス人材と社員では要求されるものが大きく異なる。依頼する業務内容は社内の知見やノウハウが不足している領域であるため、高い専門性を有し、戦略的視点に立って積極的なアイディア出しをすることを期待している。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• 依頼の起点は経営課題であるが、社内での問題意識やゴールの認識は明確。フリーランス活用にあたり、タスクの明確化はきわめて重要であると認識している。

依頼者選定

• 社内人材での解決、コンサルティング会社への依頼など多様な選択肢を比較検討。• 起業家やベンチャー企業の戦略人事のネットワーク等を通じ課題解決のための情報収集を実施。

依頼内容摺合せ

• 能力を裏打ちするのは経歴や当該分野での実績であると考えている。• 今は紹介によって人材を確保しているため過去の業績も比較的確認しやすいが、今後全く知らない方に業務を依頼する場合には厳密なリファレンスチェックを行なう予定。

業務委託契約

• コンサルティングフィーとしてフェーズに関わらず毎月固定額を支払い、追加的な業務の分については都度相談。フィーはゴールから逆算して算出し、繁閑関係なく平均値での報酬水準を設定することで、追加的な業務に対するバッファを持たせている。

評価

• 契約は基本的に自動更新であるが、ミスマッチが判明した場合、更新しないこともある。• 制度や戦略など成果物の完成がゴールではなく、その後の運用や改定のサポートも期待。

活用のフロー

(写真)人事担当者の打合せの様子

Page 24: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

24

株式会社外為印刷⊢ 社長の参謀としてフリーランスを活用、経営全般の改革支援・増収に貢献

業界を取り巻く環境が大きく変化する中、中長期的な戦略を検討するために外部人材を活用 近年電子化の進展による印刷業の大きく変化に対応するため、上場企業の役員をフリーランスとして迎えた。

基本情報

ポイント

• 所在地 東京都

• 従業員数 25名

• 売上高 5億円

• 事業内容 印刷業

背景

• 近年電子化の進展によって印刷業のあり方は大きく変化し、また印刷需要全体が縮小していく中で、会社の売上高も低下しつつあることに危機感を感じ,次の60年に向けた経営相談ができる人材を登用。

• 当初は営業のモチベーションアップを課題として想定していたが、フリーランス人材との対話を継続する中でより大きな真の経営課題を発見し、全社的な改革に踏み切った。

• 2年前に創業60周年を迎えたことを契機に「次の60年に向けた何らかのアクションを起こしたい」と考えるようになったが、社内には経営について相談できる相手がおらず先の展望が描きにくい状態にあった。

• また、社内の人間であるがゆえに気付きにくいこともあるため、外部人材の力を借りる必要性を感じていた。

◎ 業界を取り巻く環境が大きく変化する中、中長期的な戦略を検討するために外部人材を活用

紹介事例類型

活用分野・背景

課題・その対応

社長とフリーランス人材の間で双方向のコミュニケーションを重視 対話を行う中で当初気付いていなかった課題を発見し、全社的な業務のあり方や社員のマインドを改革する決断が可能となった。

業界全体が縮小する中で増収を達成人事評価制度や目標管理制度の改革中長期計画の策定、新規事業案の策定提携パートナーの紹介

効果

活用事例

課題

企業規模

(写真)フリーランス人材との打合せの様子

経営者の右腕人材

中小・小規模企業

Page 25: 企業における フリーランス活用事例集 - Minister of …...企業における フリーランス活用事例集 平成30年 7 月 経済産業政策局 産業人材政策室

25

社長とフリーランス人材の間で双方向のコミュニケーションを重視 対話を行う中で当初気付いていなかった課題を発見し、全社的な業務のあり方や社員のマインドを改革する決断ができた。

当初はフリーランス人材に営業のモチベーションアップ施策の提案を期待しており、プラットフォーマーにも営業に関する知見を持つ人材を紹介するよう依頼していたが、フリーランス人材への相談を行う中で真の課題は保守的な社風にあると判断し全社的な改革に踏み切る決断に至った。

取り組みにおいて重要だったポイント(解決策など)

他にも、新たな営業手法の導入や中長期計画の策定において、フリーランス人材の助言を得ながら取り組むことができた。

基本的には社長が顧問に課題だと感じている事項を伝え、フリーランス人材がその内容を咀嚼して解決策を提示するという形式で業務を行っている。

フリーランス人材が提示するアイディアは販促策から新サービスの新規事業など幅広く、また具体的かつ実行可能なものであり、また、社内からは生まれない発想を持ち込んでくれるため、今後の成長への手応えを感じている。

制度の変更や外部人材が全社的な方針の決定に関与することについては社内から反対の声も上がったが、社長は説得するにあたって社員との徹底的な話し合いの場を持った。結果的には会社を去った社員もいるが、改革の過程を経たことで「会社が変わってきている」実感を持つ社員が増えてきている。

当該企業のその他の取り組み・声

業務切り出し

• 営業のモチベーションアップが課題と想定。

依頼者選定

• プラットフォーマーを通して複数候補者と面談。• 提示された資料の説得力と人柄が決め手となり、依頼者を選定。

依頼内容摺合せ

• フリーランスと社長が定期的に対面でのコミュニケーションを実施。

業務委託契約

• プラットフォーマーを介して半年間契約を締結。• 報酬水準についてはプラットフォーマーのものを採用。

評価

• フリーランスの業務は経営に関するアイディアの提案であり、具体的な成果物は求めていない。• フリーランスの提案内容に高い満足度を得ており現在も契約中。

活用のフロー